JP2004048650A - 平行平板線路型素子、回路基板 - Google Patents

平行平板線路型素子、回路基板 Download PDF

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Koichiro Masuda
増田 幸一郎
Hirokazu Toya
遠矢 弘和
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Abstract

【課題】高速化、高周波数化に適した平行平板線路型素子を提供する。
【解決手段】平板部11と、平板部11の一方の面上にこの面の略垂直方向に複数の突起が間隙をおいて立設された突起部12と、を有する第1の金属部材1と、平板部21と、平板部21の一方の面上にこの面の略垂直方向に複数の突起が間隙をおいて立設された突起部22と、を有する第2の金属部材2と、第1の金属部材1の突起を第2の金属部材2の間隙に、第2の金属部材2の突起を第1の金属部材1の間隙に挿入することで形成した平行平板線路型素子の突起と間隙との間に形成された誘電体皮膜31と、を有し、第1の金属部材1と第2の金属部材2との間に、誘電体皮膜31に沿って伝送線路が形成され、この伝送線路は、一端から入力する100kHzから10GHzの高周波電磁波の透過率が−20dB以下となるように形成したことを特徴とする。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は電子基板上に実装される線路型素子に関し、特にノイズフィルタ用バイパス素子や電源デカップリング用素子として用いられる高速化、高周波化に適した平行平板線路型素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
科学技術の進歩に伴って電子機器の小型化、および高性能化が求められている。これらの要求は、例えばスイッチング電源やデジタル信号処理回路部品ではクロック周波数を高周波数化することによって達成されるが、それに伴って回路、特に電源回路の高周波電流が増大して電磁輻射の増大や信号品質の低下が顕著となる。このため電源デカップリング(分離)用の素子に対する性能向上の要求はますます厳しくなっている。
【0003】
高性能ディジタル機器は、高速で動作する高速回路と低速で動作する低速回路が混在しているため、電源分配回路に漏洩する電磁波のスペクトラムは、最近においては数百kHzから数十GHzもの非常に広い帯域に分布する。また、ボードに搭載されている比較的大型の半導体集積回路の直流電源電流は数十アンペアを超える大きなレベルとなっている。なお、電源分配回路とは、図16に示されるように電源回路と、電源回路から供給された電源を他の回路に供給する電源分配配線とを含む回路である。
【0004】
漏洩電磁波は電源分配配線や他の回路を経由して電源回路に伝搬し、電源回路から電源を供給された回路に対して障害を発生する。ボードの電源分配配線付近には通常、多数の信号配線が配置されているため、漏洩電磁波は容易に多数の信号配線に結合する。結合した漏洩電磁波は信号品質を劣化させるとともに、信号配線を高周波電流となってディジタル機器の外部信号ケーブルに伝搬する。そして、外部信号ケーブルがアンテナの役割を果たして空中に高いレベルの不要電磁波を放射する。
【0005】
さらに電源分配配線を伝搬する漏洩電磁波の一部は電源回路を通過して商用交流電源線に伝搬し、商用交流電源線がアンテナの役割を果たして空中に高いレベルの不要電磁波を放射する。一方、電源分配配線を伝搬する漏洩電磁波は電源分配配線の途中で反射を繰り返して進むので、その一部は信号配線にも伝搬して信号波形を劣化させる。
【0006】
以上のような問題を解決する抜本策は、図16に示されるように回路の動作(例えば、スイッチング素子によるスイッチング動作)によって発生した電磁波が電源分配配線に漏洩しないようにすることである。このためには電磁波を発生する回路から電源分配回路を見たときの高周波に対するインピーダンスを、電磁波に含まれる周波数帯域の全てに対して非常に低くする必要がある。
【0007】
トランジスタから見た電源分配回路のインピーダンスがゼロであれば、トランジスタが励起する電磁波は電源分配配線の入口で反射し電源分配回路に侵入することはなくなる。
【0008】
電源分配配線のインピーダンスを小さくする目的でこれまで使用されてきたのがコンデンサである。コンデンサは電気・電子機器に使用される部品としては歴史が古く、これまで種々の形のものが実用化されてきた。現在では、金属薄膜を蒸着したセラミック材料を多層積層した構造のセラミックコンデンサや、タンタルやアルミニウムなどの弁作用を有する金属の多孔質成形体を陽極としその酸化皮膜を誘電体として導電性高分子を固体電解質とする構造を有する固体電解コンデンサなどが開発されている。
【0009】
固体電解コンデンサとしては、誘電体酸化皮膜上にポリピロールもしくはそのアルキル置換体を固体電解質として有する固体電解コンデンサ(例えば、特許文献1参照)、あるいは、誘電体酸化皮膜上に固体電解質としてポリアニリンが形成された固体電解コンデンサおよびその製造方法(例えば、特許文献2参照)が知られている。これらのコンデンサでは、それ以前のものに比べて2桁以上導電率の高い導電性高分子を固体電解質に用いているので、等価直列抵抗が小さく、同じ容量のものでもそれ以前のものに比べて2桁以上の高周波領域まで効果を有するものとなった。
【0010】
しかしながら、これらのコンデンサは、電荷の充放電という機能を実現するための2端子構造となっているため、10MHzを超える高周波数領域では端子間のインピーダンスが激増し、ディジタル回路の電源分配回路用には適さなくなってきている。このため、小型の積層セラミックコンデンサチップを、多数並列に接続するコンデンサアレイが開発されているが、10MHzを超える高周波数領域でインピーダンス値を効率的に低下させることは困難であった。
【0011】
一方高周波化に対応するために、フィルタの構成も検討されており、例えば、セラミック誘電体シートにより挟まれた蛇行導体及び接地導体からなる表面実装型ノイズフィルタが提案されている(例えば、特許文献3参照)。図17は、セラミック誘電体シートではさまれた蛇行導体と接地導体からなる上記表面実装型ノイズフィルタの構成を示す断面図である。
【0012】
図17に示すように、従来の表面実装型フィルタは、第1誘電体シート110と第2誘電体シート120と第3誘電体シート130とを積層した構成を有し、第1誘電体シート110と第2誘電体シート120との界面に、信号伝達に用いられる第1内部導体111、蛇行導体115及び第2内部導体112を配し、第2誘電体シート120と第3誘電体シート130との界面に、蛇行導体115に対向するように接地導体125を形成したものである。
【0013】
第1内部導体111の一端は第1信号用電極151に接続し、第2内部導体112の一端は第2信号用電極152に接続し、第1内部導体111及び第2内部導体112双方の他端との間に蛇行導体115が接続されている。このように構成することにより、従来のインダクタンス素子とキャパシタンス素子とを組み合わせたノイズフィルタよりも高周波のノイズ吸収特性が優れたノイズフィルタを得ることができる。
【0014】
そして、このような表面実装型フィルタでは、一方の電極、例えば第1信号電極115から入力された電気信号がろ波され、そのろ波された電気信号は他方(第2信号用電極152)に出力されることとなる。しかしながらこの表面実装型フィルタでは、分布定数的に形成されるキャパシタンスは、接地導体125と蛇行導体115およびこれらの間に積層された誘電体シートによって構成されており、この分布キャパシタンスだけでは10MHzを超える高周波数領域でインピーダンス値を効率的に低下させることは困難であるため、内部導体の一部を蛇行導体とすることにより、容量と直列インダクタンスとを組み合わせて信号減衰効果を高めている。
【0015】
【特許文献1】
特公平4−56445号公報(特開昭60−37114号公報)
【特許文献2】
特開平3−35516号公報
【特許文献3】
特開平6−53046号公報
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、金属薄膜を蒸着したセラミック材料を多層積層した構造のセラミックコンデンサや、タンタルやアルミニウムなどの弁作用を有する金属の多孔質形成体を陽極とし、その酸化皮膜を誘電体として導電性高分子を固体電解質とする構造を有する固体電解コンデンサなどが開発され、高周波数領域まで使用可能なコンデンサとして様々な用途に使われているが、これらのコンデンサを電磁波伝送という観点から線路型素子として構成することについては考慮されておらず、単に電荷の充放電という機能を実現するための2端子構造となっているため、10MHzを超える高周波数領域ではインピーダンスが激増している。
【0017】
このため、数百MHzを超えるクロック周波数での動作においては、このような機能のコンデンサを用いる限り、信号発生回路で想定している特性、すなわち高周波数における電源の内部インピーダンスを十分小さくすることができないという問題点があった。
【0018】
また、ノイズ除去の目的で表面実装型のフィルタも開発されているが、限りなく低いインピーダンス値を実現するものではないためにコンデンサの代替としての使用には限界があることや、特に100MHz以上の高周波数領域において、低インピーダンスを実現することが難しいという問題点があった。
【0019】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、主にノイズフィルタのバイパス素子や、デカップリング用素子として用いられる高速化、高周波数化に適した平行平板線路型素子、回路基板を提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】
係る目的を達成するために請求項1記載の発明は、第1の平板部と、該第1の平板部の一方の面上に、該面の略垂直方向に複数の突起が間隙をおいて立設された突起部と、を有する第1の金属部材と、第2の平板部と、該第2の平板部の一方の面上に、該面の略垂直方向に複数の突起が間隙をおいて立設された突起部と、を有する第2の金属部材と、第1の金属部材の突起を第2の金属部材の間隙に、第2の金属部材の突起を第1の金属部材の間隙に挿入することで形成した平行平板線路型素子の突起と間隙との間に形成された誘電体皮膜と、を有し、第1の金属部材と第2の金属部材との間に、誘電体皮膜に沿って伝送線路が形成され、伝送線路は、該伝送線路の入力端から入力する100kHzから10GHzの高周波電磁波の出力端への透過率が−20dB以下となるように形成したことを特徴とする。
【0021】
請求項2記載の発明は、第1の平板部と、該第1の平板部の一方の面上に、該面の略垂直方向に複数の突起が間隙をおいて立設された突起部と、を有する第1の金属部材と、第2の平板部と、該第2の平板部の一方の面上に、該面の略垂直方向に複数の突起が間隙をおいて立設された突起部と、を有する第2の金属部材と、第1の金属部材の突起を第2の金属部材の間隙に、第2の金属部材の突起を第1の金属部材の間隙に挿入することで形成した平行平板線路型素子の突起と間隙との間に形成された誘電体皮膜と、を有し、第1の金属部材の突起部と第2の金属部材の突起部とは、平板状の形状であり、第1の金属部材と第2の金属部材との間に、誘電体皮膜に沿って伝送線路が形成され、伝送線路は、該伝送線路の入力端から入力する100kHzから10GHzの高周波電磁波の出力端への透過率が−20dB以下となるように形成したことを特徴とする。
【0022】
請求項3記載の発明は、第1の平板部と、該第1の平板部の一方の面上に、該面の略垂直方向に複数の突起が間隙をおいて立設された突起部と、を有する第1の金属部材と、第2の平板部と、該第2の平板部の一方の面上に、該面の略垂直方向に複数の突起が間隙をおいて立設された突起部と、を有する第2の金属部材と、第1の金属部材の突起を第2の金属部材の間隙に、第2の金属部材の突起を第1の金属部材の間隙に挿入することで形成した平行平板線路型素子の突起と間隙との間に形成された誘電体皮膜と、を有し、第1の金属部材の突起部は、立設平板部および該立設平板部の表面に所定の間隔で第1の平板部に対して垂直方向に設けられた複数の角柱部から構成されている凹凸板状の形状であり、第2の金属部材の突起部は、立設平板部および該立設平板部の表面に所定の間隔で第2の平板部に対して垂直方向に設けられた複数の角柱部から構成されている凹凸板状の形状であり、第1の金属部材と第2の金属部材との間に、誘電体皮膜に沿って伝送線路が形成され、伝送線路は、該伝送線路の入力端から入力する100kHzから10GHzの高周波電磁波の出力端への透過率が−20dB以下となるように形成したことを特徴とする。
【0023】
請求項4記載の発明は、第1の平板部と、該第1の平板部の一方の面上に、該面の略垂直方向に複数の突起が間隙をおいて立設された突起部と、を有する第1の金属部材と、第2の平板部と、該第2の平板部の一方の面上に、該面の略垂直方向に複数の突起が間隙をおいて立設された突起部と、を有する第2の金属部材と、第1の金属部材の突起を第2の金属部材の間隙に、第2の金属部材の突起を第1の金属部材の間隙に挿入することで形成した平行平板線路型素子の突起と間隙との間に形成された誘電体皮膜と、を有し、第1の金属部材の突起部は、該突起部の側面に第1の平板部と平行な断面が鋸歯状となるように鋸歯状突起が設けられている凹凸板状の形状であり、第2の金属部材の突起部は、該突起部の側面に第2の平板部と平行な断面が鋸歯状となるように鋸歯状突起が設けられている凹凸板状の形状であり、第1の金属部材と第2の金属部材との間に、誘電体皮膜に沿って伝送線路が形成され、伝送線路は、該伝送線路の入力端から入力する100kHzから10GHzの高周波電磁波の出力端への透過率が−20dB以下となるように形成したことを特徴とする。
【0024】
請求項5記載の発明は、請求項1から4の何れか1項に記載の発明において、平行平板線路型素子は、入力する直流電力を第1の金属部材及び第2の金属部材に沿って送電することを特徴とする。
【0025】
請求項6記載の発明は、請求項1から5の何れか1項に記載の発明において、第1の金属部材、または第2の金属部材は、弁作用を有する金属からなり、弁作用を有する金属の表面に誘電体皮膜を形成することを特徴とする。
【0026】
請求項7記載の発明は、請求項1から6の何れか1項に記載の発明において、誘電体皮膜と第1の金属部材、または第2の金属部材との間に、導電性物質からなる導電性物質層が充填されていることを特徴とする。
【0027】
請求項8記載の発明は、請求項7記載の発明において、導電性物質層が導電性高分子から構成されていることを特徴とする。
【0028】
請求項9記載の発明は、請求項8記載の発明において、導電性高分子が、ポリピロール、ポリチエフェン、ポリアニリン、およびこれらの誘導体のいずれかであることを特徴とする。
【0029】
請求項10記載の発明は、請求項6記載の発明において、弁作用を有する金属が、アルミニウム、タンタル、ニオブのいずれかであることを特徴とする。
【0030】
請求項11記載の発明は、請求項1から10の何れか1項に記載の発明において、第1および第2の平板部の側面に、電磁波の外部への漏洩を防止する側面シールド板が設けられていることを特徴とする。
【0031】
請求項12記載の発明は、間隙部を隔てて略平行に第1の平板部に対して立設された第1の複数の突起部を有し第1の平板部の両端部を第1の端子とする第1の金属部材と、間隙部を隔てて略平行に第2の平板部に対して立設された第2の複数の突起部を有し第2の平板部の両端部を第2の端子とする第2の金属部材とを備え、該突起部が設けられている側の表面には誘電体皮膜が形成され、この誘電体皮膜に沿って伝送線路を形成した平行平板線路型素子と、基板と、基板上に形成された第1の電源配線と第2の電源配線とを備え、第1の電源配線と第2の電源配線に、第1の平板部の両端部と、第2の平板部の両端部とがそれぞれ挿入接続され、伝送線路は、該伝送線路の入力端から入力する100kHzから10GHzの高周波電磁波の出力端への透過率が−20dB以下となるように形成したことを特徴とする。
【0032】
このように本発明は、平行平板線路型素子を構成し、この素子の有する伝送線路の入力端から入力する100kHzから10GHzの高周波電磁波の出力端への透過率が−20dB以下となるように形成した。このため平行平板線路型素子の特性インピーダンスを十分低く設計することができ、ノイズ源から発生する電磁波の電源分配回路側への侵入を防止することができる。
【0033】
また、伝送線路構造の1つである平行平板線路型素子を構成したことにより、線路の特性インピーダンスの周波数依存性が少なくなり、また、凹凸状に線路を形成することで金属表面に電力が集中するようになる高周波では一層線路が長くなるため、弁作用を有する金属の一方から入力された高周波電磁波は誘電体皮膜の薄膜と導電性物質によって広い周波数帯域にわたってろ波されるので、高速化、高周波化に適した線路型素子が実現できる。
【0034】
また、導電性物質層が導電性高分子から構成されている場合には、それによって高周波数領域まで使用可能な平行平板線路型素子を容易に得ることができる。また、その導電性高分子がポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン、およびこれらの誘導体のいずれかである場合には、それによって環境安定性に優れ、100℃以上まで安定な導電性物質の層を形成することができ、従って安定性、耐久性に優れ、高周波数領域まで使用可能な平行平板線路型素子を容易に得ることができる。
【0035】
さらに、第1または第2の金属部材を構成する弁作用を有する金属がアルミニウム、タンタル、ニオブのいずれかである場合には、それによって誘電率が高く均一で安定した誘電体皮膜を形成することができ、従って体積効率の優れた安定した平行平板線路型素子を容易に得ることができる。
【0036】
【発明の実施の形態】
まず、図1を参照しながら本発明の概念を説明する。図1に示されるように本発明は、略平行に配置された第1の金属部材1と第2の金属部材2との間に、これら金属部材間を蛇行する形状の伝送線路を形成したことを特徴としている。これら第1の金属部材1と第2の金属部材2とは、平板部(11、21)と、平板部の一方の面上に、この面の略垂直方向に複数の突起が間隙部(13、23)をおいて立設された突起部(21、22)とを有して構成される。また、第1の金属部材1と第2の金属部材2の何れか一方の突起部と間隙部の表面に誘電体皮膜を形成し、第1の金属部材1の突起部12を第2の金属部材の間隙部23に、第2の金属部材2の突起部22を第1の金属部材の間隙部13に挿入することで平行平板線路型素子を形成している。
【0037】
このようにして形成された本発明の平行平板線路型素子は、第1の金属部材1と第2の金属部材2との間に、誘電体皮膜31に沿って伝送線路を形成し、この伝送線路は、伝送線路の入力端から入力する100kHzから10GHzの高周波電磁波の出力端への透過率が−20dB以下、より好ましくは、−40dBから−60dBとなるように形成したことを特徴としている。
【0038】
平行平板線路型素子のインピーダンスは、図2に示されるように一定の特性インピーダンスZ の回路で評価することができる。平行平板線路型素子の特性は、図2に示されるようにポート1からポート2への透過特性で示される。この回路を評価する反射係数Γと透過係数Τは、散乱行列[S]の要素S11とS21であり、次式で表される。
【0039】
【数1】
Figure 2004048650
【0040】
但し、Z は平行平板線路型素子の入出力線路の特性インピーダンスを表し、Z は平行平板線路型素子のインピーダンスを表すものとする。従ってZ >>Z であれば、Γ≒−1、Τ≒0となり、入力する高周波電磁波を伝送線路の入口付近で反射させることができる。
【0041】
本発明は、伝送線路の入力端から入力する100kHzから10GHzの高周波電磁波の出力端への透過率が−20dB以下、より好ましくは、−40dBから−60dBとなるように伝送線路を構成したことを特徴としている。従って、図3の線路素子の特性インピーダンスとS21との関係を表す図に示されるように、平行平板線路型素子の特性インピーダンスを低く設計することができる。
【0042】
なお、S21特性は、図4に示されたネットワーク・アナライザのSパラメータ測定セットで測定する。測定系の特性インピーダンスは50Ωである。ネットワーク・アナライザの信号出力端子、信号入力端子に同軸線(50Ω)を接続し、中間に図4に示された測定治具を挿入する。測定治具は、測定のために内部に平行平板線路型素子を実装している。透過係数を表すS21は、図4に示されたネットワーク・アナライザのNAポート1から印加した信号a1と、図4に示されたNAポート2へ透過した信号b2の比(b2/a1)で得られる。
【0043】
ここで、平行平板線路型素子内での高周波電磁波と直流電力の振る舞いについて説明する。
上述したように本実施形態が対象とする100kHzから10GHzの高周波電磁波は、伝送線路の入口付近で反射されることになる。しかしながら、この対象周波数以外の周波数の電磁波(例えば、周波数が100kHz以下の電磁波)は、伝送線路内を伝わって図16に示された電源分配配線側に出力される。しかしながら、電源分配配線側に出力される電磁波の周波数は非常に低いものとなるので、電源分配配線のノイズ源となるようなことはない。
【0044】
また、図5に示されるように電源回路より入力する直流電流(直流電力)は、第1の金属部材1及び第2の金属部材2を伝わって流れる。この時、例えば第2の金属部材2にプラスの電荷が、第1の金属部材1にマイナスの電荷が流れるとすると、図5に示されるように第2の金属部材2から第1の金属部材1の方向に電界が生じる。また、図5の裏から表方向に磁界が生じる。この電磁場により伝送線路内には、電磁波が伝搬することになる。
【0045】
次に、本発明に係る平行平板線路型素子の実施の形態について図面を参照して説明する。
図6は本発明の第1の実施の形態の平行平板線路型素子の断面図であり、図7は本発明の第1の実施の形態の平行平板線路型素子の構成を示す組立て前の斜視図であり、図8は本発明の第1の実施の形態の平行平板線路型素子の斜視図であり、図9は本発明の第1の実施の形態の平行平板線路型素子の部分断面図であり、(a)は図8の切断面X−X’における断面図(線路方向)、(b)は図8の切断面Y−Y’の断面図である。
【0046】
本発明の平行平板線路型素子の第1の実施形態は、例えば図6の断面図に示すように、第1の金属部材1と、第2の金属部材2と、導電性物質層3とから構成される。
【0047】
第1の金属部材1は、平板部11と、平板部11に対して垂直に等間隔で立設された平板状の複数の突起部12とを有する。第2の金属部材2は、弁作用を有する金属からなり、平板部21と、平板部21に対して垂直に等間隔で立設された平板状の複数の突起部22とを有し、突起部22が設けられている側の表面には誘電体皮膜31が設けられている。第1の金属部材1と第2の金属部材2とは互いの突起部12、22が相手の間隙部23、13に所定の隙間を持ってはまり込む形状となっており、その隙間に導電性物質層3が充填されている。第1の金属部材1および第2の金属部材2の平板部11、21における突起部12、22と直交する方向の両端部には、それぞれ、陰電極引き出し端子11a、11bおよび陽電極引き出し端子21a、21bが設けられており、電極引き出し端子の設けられていない両側面は第1の金属部材1に設けられた側面シールド板14でカバーされている。なお、複数の突起部12、22は平板部11、21に対して略垂直であればよく、突起と突起の間隔もすべて一定である必要はない。
【0048】
このように構成された本実施形態は、伝送線路の入力端から入力する100kHzから10GHzの高周波電磁波の出力端への透過率が−20dB以下、より好ましくは−40dBから−60dBとなるように伝送線路を構成したことを特徴としている。
【0049】
平行平板線路型素子の特性を評価する反射係数Γと透過係数Τは、散乱行列[S]の要素S11とS21であり、上述した式(1)で示される。
【0050】
従って、Z >>Z であれば、Γ≒−1、Τ≒0となり、入力する高周波電磁波を伝送線路の入口付近で反射させることができる。本実施形態は、伝送線路の入力端から入力する100kHzから10GHzの高周波電磁波の出力端への透過率が−20dB以下、より好ましくは−40dBから−60dBとなるように伝送線路を構成したことにより、図3に示されるように平行平板線路型素子の特性インピーダンスを低く設計することができる。
【0051】
また、高周波電磁波の透過率が−20dB以下、より好ましくは−40dBから−60dBとなる伝送線路を構成するために本実施形態では以下の構成を有している。コンデンサの電極となる弁作用金属(第2の金属部材)と、導電性高分子との間に挟み込んだ誘電体皮膜の膜厚を非常に薄く形成したことにより極板間距離が短くなりコンデンサの容量を大きくすることができる。また、極板(第2の金属部材2)を構成する金属に弁作用金属を用いて極板の断面積を広くとったことにより、自己インダクタンス成分を小さくすることができる。
【0052】
損失の無視できる伝送線路は単位長さ当たりのインダクタンスと単位長さ当たりの静電容量により特性インピーダンスZ が次式によって決定される。
【0053】
【数2】
Figure 2004048650
【0054】
従って、特性インピーダンスを小さくするためには単位長さ当たりのインダクタンスを小さくし、単位長さ当たりの静電容量を大きくすればよい。
【0055】
このため本実施形態の平行平板線路型素子は、単位長さ当たりのインダクタンスを小さくし、単位長さ当たりの容量を大きくすることにより、線路の特性インピーダンスを小さくし、スイッチング素子等から発生する高周波電磁波をろ波することができる。
【0056】
導電性物質層3の材料は、導電性である限り特に限定されず、各種金属や、二酸化マンガンや酸化インジウム等の半導体、テトラシアノキノジメタンとテトラチアフルバレンとの電荷移動錯体などの有機導電体が用いられるが、特にポリピロールやポリチオフェン、ポリエチレンジオキシチオフェン、ポリアニリン、ポリフェニレン、ポリフラン、ポリチアジル、ポリフェニレンビニレン、ポリアセチレン、ポリアズレン等の導電性高分子が好ましく、中でも安定性の観点からポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン、およびこれらの誘導体が好ましい。本発明においてポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリンの誘導体とは、例えばこれらの化合物に各種置換基を付加したものや、他の高分子と共重合したものなどが挙げられる。本発明では導電性高分子は通常、電子供与性もしくは電子吸引性の化合物からなるドーパントと組み合わせて用いられる。本発明ではドーパントは特に限定されず、導電性高分子のドーパントして従来公知のものが用いられる。このようなドーパントとしては、例えばヨウ素、塩素、過塩素酸アニオン等のハロゲン化合物や、芳香族スルホン酸化合物等のルイス酸として作用するもの、あるいは、リチウムやテトラエチルアンモニウムカチオンのようなルイス塩基として作用するものが挙げられる。
【0057】
本発明の平行平板線路型素子は、第2の金属部材2に弁作用を有する金属を用い、弁作用を有する金属の表面に一様に誘電体皮膜31を形成し、第1の金属部材1と誘電体皮膜31の間隙に導電性物質層3を充填することで構成する。このとき、導電性物質層3は、誘電体皮膜31と密着し、なおかつ導電率が高いことが好ましい。第2の金属部材2の表面が滑らかであれば、浸透性の低い材料であっても差し支えないが、エッチング等により表面積が拡大され、細かな凹凸が生じ、荒れた表面となった弁作用を有する金属を用いる場合、導電性物質層3は誘電体皮膜31に密着でき、かつ導電性が高い導電性高分子から構成されることが好ましい。このように構成することにより、高周波領域まで使用可能な平行平板線路型素子を容易に得ることができる。
【0058】
また、導電性高分子をポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン、およびこれらの誘導体のいずれかで構成することにより、環境安定性に優れ、100℃以上まで安定な導電性物質の層を形成することができ、従って安定性、耐久性に優れ、高周波数領域まで使用可能な平行平板線路型素子を容易に得ることができる。
【0059】
本発明ではこれらの導電性高分子の形成方法は特に限定されず、弁作用を有する第2の金属部材2の突起部22の表面に導電性高分子の溶液を浸透させた後に溶剤を蒸発させたり、あるいは導電性高分子を形成するモノマーやオリゴマーと重合触媒を導入して略平面形状の突起部22の表面で直接導電性高分子の重合を行ったり、導電性高分子の中間体からなる高分子の層を形成して導電性高分子に転換したりして行うことができる。
【0060】
本発明において第2の金属部材2の平板部21において離れた位置に設けられた2つ以上の陽電極引き出し端子21a、21bは、誘電体皮膜31に表面が覆われた弁作用を有する第2の金属部材2に直流電力(電気信号)を入力するためのものであり、そのため、ある程度距離を離しておく必要がある。本発明では例えば図6のように第2の金属部材2の平板部21を両側に突き出させて電極引き出し端子としたり、溶接や圧着によって取り付けたものを電極引き出し端子としたりすることもできる。
【0061】
本発明において、弁作用を有し平板部21と複数の突起部22を有する第2の金属部材2の材料の種類は限定されず、タンタルやアルミニウム、ニオブ、チタン、ジルコニウム、ケイ素、マグネシウムなどの表面被膜形成が可能な金属が使用でき、圧延箔や微粉末焼結体などの形で用いられる。弁作用を有する金属をアルミニウム、タンタル、もしくはニオブで構成することにより、誘電率が高く均一で安定した誘電体皮膜31を形成することができ、従って体積効率の優れた安定した平行平板線路型素子を容易に得ることができる。
【0062】
また、その誘電体皮膜31の形成方法も特に限定されず、電解質溶液を用いて電解化成したり、適当な酸化剤を用いて酸化させたり、あるいは空気酸化で形成したものをそのまま用いたりして行うこともできるが、通常は電解化成で行われる。また、第2の金属部材2の突起部22の形状も、凹凸状の突起である限り特に限定されず、平板形状のものや湾曲したもの、一部を折り曲げたものなどが使用できる。さらに、本発明において第2の金属部材2は弁作用を有する金属の表面積を拡大させたものも使用できる。金属の表面を拡大させた第2の金属部材2としては、微紛焼結体を凹凸突起形状に加工したものやプレスやレーザー加工した箔を電解液中で電解エッチしたエッチング箔などが挙げられる。金属の表面を拡大させた第2の金属部材2とは、エッチング等により第2の金属部材の表面にスポンジ状の穴が形成された金属である。
【0063】
また、本発明では導電性物質としての固体電解質と第1の金属部材とはこれらをそのまま接触させたり、導電性カーボンペーストや銀ペーストを用いて接続させたりすることもできる。
【0064】
本発明の線路型素子は電子回路基板にそのまま取り付けて用いたり、リード電極を引き出して樹脂や金属ケース等で封止して用いたりすることもできる。
【0065】
次に、本発明の平行平板線路型素子の第2の実施の形態について図面を参照して説明する。図10は本発明の第2の実施の形態の平行平板線路型素子の構成を示す組立て前の斜視図であり、図11は本発明の第2の実施の形態の平行平板線路型素子の部分断面図であり、(a)は図10の切断面X−X’における断面図(線路方向)、(b)は図10の切断面Y−Y’における断面図である。
【0066】
本発明の第2の実施形態においても、平行平板線路型素子は、例えば図10に示すように、第1の金属部材4と、第2の金属部材5と、導電性物質層6とから構成される。
【0067】
第1の金属部材4は、平板部41に対して垂直に等間隔で立設された複数の突起部42を有し、突起部42は立設平板部42aと立設平板部42aの表面に等間隔に平板部41に対して垂直方向に設けられた複数の角柱部42bとから構成されている。第2の金属部材5は、弁作用を有する金属からなっており、平板部51に対して垂直に等間隔で立設された複数の突起部52を有し、突起部52は立設平板部52aと立設平板部52aの表面に等間隔に平板部51に対して垂直方向に設けられた複数の角柱部52bとから構成され、突起部52が設けられている側の表面には誘電体皮膜61を有する。
【0068】
第1の金属部材4と第2の金属部材5とは互いの突起部42、52が相手の間隙部53、43に所定の隙間を持ってはまり込む形状となっており、その隙間に導電性物質層6が充填されている。第1の金属部材4および第2の金属部材5の平板部41、51において突起部42、52と直交する方向の両端部には、それぞれ、陰電極引き出し端子41a、41bおよび陽電極引き出し端子51a、51bが設けられており、電極引き出し端子の設けられていない両側面は第1の金属部材4に設けられた側面シールド板44でカバーされている。
【0069】
第2の実施の形態の平行平板線路型素子は、突起部42、52の形状が第1の実施の形態の突起部12、22と異なるだけなので、詳細の説明は省略する。
【0070】
次に、本発明の平行平板線路型素子の第3の実施の形態について図面を参照して説明する。図12は本発明の第3の実施の形態の平行平板線路型素子の構成を示す組立て前の斜視図であり、図13は本発明の第3の実施の形態の平行平板線路型素子の部分断面図であり、(a)は図12の切断面X−X’における断面図(線路方向)、(b)は図12の切断面Y−Y’における断面図である。
【0071】
本発明の第3の実施形態においても、平行平板線路型素子は、例えば図12に示すように、第1の金属部材7と、第2の金属部材8と、導電性物質層9とから構成される。
【0072】
第1の金属部材7は、平板部71に対して垂直に等間隔で立設された複数の凹凸板状の突起部72を有し、突起部72の長手方向の側面には平板部701と平行な断面が鋸歯状となるように鋸歯状突起72bが設けられている。第2の金属部材8は、弁作用を有する金属からなっており、平板部81に対して垂直に等間隔で立設された複数の凹凸板状の突起部82を有し、突起部82の長手方向の側面には平板部81と平行な断面が鋸歯状となるように鋸歯状突起82bが設けられており、突起部82が設けられている側の表面には誘電体皮膜91を有する。
【0073】
第1の金属部材7と第2の金属部材8とは互いの突起部72、82が相手の間隙部83、73に所定の隙間を持ってはまり込む形状となっており、その隙間に導電性物質層9が充填されている。第1の金属部材7および第2の金属部材8の平板部71、81における突起部72、82と直交する方向の両端部には、それぞれ、陰電極引き出し端子71a、71bおよび陽電極引き出し端子81a、81bが設けられており、電極引き出し端子の設けられていない両側面は第1の金属部材7に設けられた側面シールド板74でカバーされている。
【0074】
第3の実施の形態の平行平板線路型素子は、突起部72、82の形状が第1の実施の形態の突起部12、22と異なるだけなので、詳細の説明は省略する。
【0075】
次に、上述した第1〜第3の実施形態の製造手順について以下に詳述する。
【0076】
(実施例1−1)
まず、平板部(11、21)の一方の面上に、この面の略垂直方向に複数の突起が間隙をおいて立設された第1の金属部材1、第2の金属部材2を形成する手順を説明する。これには以下に示す3つの方法が挙げられる。第1の方法は、金型で平行板をプレスして、凹凸を形成する方法である。第2の方法は、平行平板に、垂直な板を部品として後付けする方法である。これは、平行平板にスリットを形成し、このスリットに垂直な板をはめ込み、銀ペーストなどの導電性接着剤で固定する。あるいは溶接で平行板と垂直な板とを固定する方法である。第3の方法は、エッチングで凹凸を形成する方法である。この方法は、金属(例えば、アルミニウム片)に絶縁物で被覆して、レジストを塗布しマスクを用いてパターンニングする。次に、フッ酸中で酸化アルミニウムをエッチングし、酸化アルミニウムをマスクにしてホットリン酸中でアルミニウムをエッチングし、被覆している酸化アルミニウムを全面除去する方法である。
【0077】
次に、第1の実施の形態の実施例1においては、第2の金属部材2として、突起部22を形成したアルミニウム片を5wt.%のホウ酸アンモニウムが水に溶けたホウ酸アンモニウム水溶液中において10Vで陽極酸化し、洗浄および乾燥して金属酸化被膜からなる誘電体酸化被膜31を有するアルミニウム片を得た。このアルミニウム片の両端部5mmをヘキサフルオロプロピレンからなるフッ素系樹脂の溶液に浸漬し、乾燥して両端をマスクした。この片を0.1N硫酸水溶液中に浸漬し、静電容量を測定したところ約380μFであった。なお、静電容量の測定は、図12に示されるように硫酸水溶液中に浸漬した状態で行なう。硫酸水溶液は、電気伝導率が高く誘電体皮膜間の間隙に浸み込むので、正確に誘電体皮膜の面積に比例した静電容量を測定することができる。このとき、硫酸水溶液の応答速度が低い点が危惧されるが、測定周波数が120Hz程度と低いので、この応答速度は問題にならない。また、溶液としては、硫酸水溶液に限定されることはなく、導電性を有する水溶液であればよい。
【0078】
次に、ガラス製容器に濃度10wt.%のパラトルエンスルホン酸と5wt.%のアニリンとを含む水溶液を調整し、上記の誘電体皮膜31を形成したアルミニウム片を浸漬して取り出した。これを空気中、室温で30分乾燥し、次に10wt.%のペルオキソ二硫酸アンモニウムと10wt.%のパラトルエンスルホン酸を含む水溶液に浸漬し、取り出してさらに20分間空気中に保持し、アニリンの重合を行った。その後、水、メタノールで洗浄し、80℃で乾燥した。この操作を4回繰り返したところその誘電体皮膜31の表面がパラトルエンスルホン酸をドーパントとするポリアニリンからなる導電性高分子で被覆されたアルミニウム片からなる第2の金属部材2が得られた。
【0079】
このアルミニウム片の導電性高分子(ポリアニリン)形成部分を覆うように導電性カーボンペースト、および銀ペーストを形成し、導電性高分子、導電性カーボンペースト、及び銀ペーストからなる導電性物質層3を形成し、さらに突起部12を有する銅金属板からなる第1の金属部材1を導電性物質層3を覆うように取り付け、その金属板1の両端を陰電極引き出し端子11a,11bとした。
その後、アルミニウム片からなる第2の金属部材2の両端部をテトラヒドロフランに浸漬し、マスク樹脂であるヘキサフルオロプロピレンを溶解させ、超音波溶接機を用いて両端に2つの陽電極引き出し端子21a,21bを取り付けた。
【0080】
得られた平行平板線路型素子はアルミニウム片からなる第2の金属部材2を陽極、銅金属板からなる第1の金属部材1を陰極として容量を測定すると測定周波数120Hzで約380μFであり、誘電体皮膜31の表面が充分にポリアニリンで被覆されていることがわかった。
【0081】
この平行平板線路型素子の両端に設けられた二組の電極引き出し端子11a,11b,21a,21bをネットワーク・アナライザに接続して電力透過特性S21を測定したところ、100kHzから100MHzまで−70dB以下であり、1GHzでも−40dB以下となって、高速デジタル回路の電源デカップリング素子として従来コンデンサに比べて遙かに勝る特性を有することが分かった。
【0082】
(実施例1−2)
第1の実施の形態の実施例2においては、ガラス製容器に濃度10wt.%のドデシルベンゼンスルホン酸第二鉄を含むメタノール溶液を作製し、この溶液に実施例1−1の誘電体皮膜31を形成したアルミニウム片を浸漬して取り出した。これを空気中、室温で30分乾燥し、次に50wt.%のピロールを含む水溶液に浸漬し、取り出してさらに30分間空気中に保持し、ピロールの重合を行った。その後、水、メタノールで洗浄し、80℃で乾燥した。この操作を4回繰り返したところその誘電体皮膜31の表面がドデシルベンゼンスルホン酸をドーパントとする導電性高分子のポリピロールで被覆されたアルミニウム片が得られた。
【0083】
このアルミニウム片のポリピロール形成部分を覆うように実施例1−1と同様の方法で導電性物質層3を形成し、銅金属板からなり突起部12が設けられた第1の金属部材1を取り付け、その平板部11の両端を陰電極引き出し端子11a,11bとした。その後、実施例1−1同様な方法でマスク樹脂を溶解させ、二組の引き出し陽電極引き出し端子21a,21bを取り付けた。
【0084】
得られた平行平板線路型素子はアルミニウム片からなる第2の金属部材2を陽極、銅金属板からなる第1の金属部材1を陰極として容量を測定すると120Hzで約380μFであり、誘電体皮膜31の表面が充分に導電性高分子であるポリピロールで被覆されていることがわかった。
【0085】
この平行平板線路型素子の両端に設けられた二組の電極引き出し端子11a,11b,21a,21bをネットワーク・アナライザに接続して電力透過特性S21を測定したところ、100kHzから100MHzまで−70dB以下であり、1GHzでも−40dB以下となって、高速デジタル回路の電源デカップリング素子として従来コンデンサに比べて遙かに勝る特性を有することが分かった。
【0086】
(実施例1−3)
第1の実施の形態の実施例3においては、ガラス製容器に濃度5wt.%のポリへキシルチオフェンのキシレン溶液を作製し、実施例1−1の誘電体皮膜31が形成されたアルミニウム片のマスクされていない部分に滴下し、80℃で乾燥した。その後、全体を塩酸水溶液に浸漬し、誘電体皮膜31の表面が塩素イオンをドーパントとする導電性高分子のポリへキシルチオフェンからなる誘電体被膜31で被覆されたアルミニウム片を得た。
【0087】
このアルミニウム片のポリへキシルチオフェン形成部分を覆うように実施例1−1と同様の方法で導電性物質層3を形成し、銅金属板からなる第1の金属部材1を取り付け、その平板部11の両端を陰電極引き出し端子11a,11bとした。その後、実施例1−1と同様の方法でマスク樹脂を溶解させ、二組の陽電極引き出し端子21a,21bを取り付けた。
【0088】
得られた平行平板線路型素子はアルミニウム片からなる第2の金属部材2を陽極、銅金属板からなる第1の金属部材1を陰極として容量を測定すると測定周波数120Hzで約380μFであり、誘電体皮膜の表面が充分にポリへキシルチオフェンで被覆されていることがわかった。
【0089】
この平行平板線路型素子の両端に設けられた二組の電極引き出し端子11a,11b,21a,21bをネットワーク・アナライザに接続して電力透過特性S21を測定したところ、100kHzから100MHzまで−60dB以下であり、1GHzでも−40dB以下となって、高速デジタル回路の電源デカップリング素子として従来コンデンサに比べて遙かに勝る特性を有することが分かった。
【0090】
(実施例1−4)
第1の実施の形態の実施例4においては、ガラス製容器に濃度10wt.%のドデシルベンゼンスルホン酸第二鉄を含むエタノール溶液を作製し、この溶液に実施例1−1の誘電体皮膜31を形成したアルミニウム片を浸漬して取り出した。これを空気中、室温で30分乾燥し、次に50wt.%のエチレンジオキシチオフェンを含む水溶液に浸漬し、取り出してさらに30分間空気中に保持し、エチレンジオキシチオフェンの重合を行った。その後、水、メタノールで洗浄し、80℃で乾燥した。この操作を4回繰り返したところその誘電体皮膜31の表面がドデシルベンゼンスルホン酸をドーパントとするポリエチレンジオキシチオフェンの導電性高分子31で被覆されたアルミニウム片が得られた。
【0091】
このアルミニウム片のポリエチレンジオキシチオフェン形成部分を覆うように実施例1−1と同様の方法で導電性物質層3を形成し、銅金属板からなる第1の金属部材1を取り付け、その平板部11の両端を陰電極引き出し端子11a,11bとした。その後、実施例1−1と同様の方法でマスク樹脂を溶解させ、2つの引き出し陽電極引き出し端子21a,21bを取り付けた。
【0092】
得られた平行平板線路型素子はアルミニウム片からなる第2の金属部材2を陽極、銅金属板からなる第1の金属部材1を陰極として容量を測定すると測定周波数120Hzで約380μFであり、誘電体皮膜31の表面が充分にポリエチレンジオキシチオフェンで被覆されていることがわかった。
【0093】
この平行平板線路型素子の両端に設けられた二組の電極引き出し端子11a,11b,21a,21bをネットワーク・アナライザに接続して電力透過特性S21を測定したところ、1MHzから100MHzまで−60dB以下であり、1GHzでも−40dB以下となって、高速デジタル回路の電源デカップリング素子として従来コンデンサに比べて遙かに勝る特性を有することが分かった。
【0094】
(実施例1−5)
第1の実施の形態の実施例5においては、ガラス製容器に濃度30wt.%のドデシルベンゼンスルホン酸第二鉄のメタノール溶液を入れ、−50℃に冷却した。次に、この溶液に6wt.%となるようにピロールを滴下し、−50℃に保ったまま攪拌して混合した。この溶液を実施例1−1の誘電体皮膜31を形成したアルミニウム片のマスクされていない部分に滴下し、室温で60分保った。その後、水、メタノールで洗浄し、80℃で乾燥して誘電体皮膜31の表面がドデシルベンゼンスルホン酸をドーパントとする導電性高分子のポリピロールで被覆されたアルミニウム片を得た。
【0095】
このアルミニウム片のポリピロール形成部分を覆うように実施例1−1と同様の方法で導電性物質の層3を形成し、銅金属板からなる第1の金属部材1を取り付け、その平坦部11の両端を陰電極引き出し端子11a,11bとした。その後、実施例1−1と同様の方法でマスク樹脂を溶解させ、二組の陽電極引き出し端子21a,21bを取り付けた。
【0096】
得られた平行平板線路型素子はアルミニウム片からなる第2の金属部材2を陽極、銅金属板からなる第1の金属部材1を陰極として容量を測定すると測定周波数120Hzで約375μFであり、誘電体皮膜31の表面が充分にポリピロールで被覆されていることがわかった。
【0097】
この平行平板線路型素子の両端に設けられた二組の電極引き出し端子11a,11b,21a,21bをネットワーク・アナライザに接続して電力透過特性S21を測定したところ、1MHzから100MHzまで−60dB以下であり、高速デジタル回路の電源デカップリング素子として従来コンデンサに比べて遙かに勝る特性を有することが分かった。
【0098】
(実施例1−6)
第1の実施の形態の実施例6においては、平均粒径0.5μmのタンタル粉末を凹凸突起状の形状を有する空間に充填し、その平坦面にタンタル板を取り付けて加圧成型した。この成型体を真空中で2000℃に昇温し、タンタル粉末焼結体の成型体からなる第2の金属部材2を得た。この第2の金属部材2を0.05wt.%のリン酸水溶液中において化成電圧10Vで陽極酸化し、洗浄および乾燥して金属酸化被膜からなる誘電体皮膜31を有するタンタル成型体を得た。この成型体のタンタル線部分をヘキサフルオロプロピレンからなるフッ素系樹脂の溶液に浸漬し、乾燥してマスクした。得られた成型体を0.1N硫酸水溶液中に浸漬し、静電容量を測定したところ測定周波数120Hzで約300μFであった。
【0099】
次に、ガラス製容器に濃度10wt.%のドデシルベンゼンスルホン酸第二鉄を含むメタノール溶液を作製し、この溶液に誘電体皮膜31を有するタンタル微紛成型体を浸漬して取り出した。これを空気中、室温で30分乾燥し、次に50wt.%のピロールを含む水溶液に浸漬し、取り出してさらに30分間空気中に保持し、ピロールの重合を行った。その後、水、メタノールで洗浄し、80℃で乾燥した。この操作を4回繰り返したところその誘電体皮膜31の表面がドデシルベンゼンスルホン酸をドーパントとする導電性高分子のポリピロールで被覆されたタンタル微紛成型体が得られた。
【0100】
このタンタル微紛成型体のポリピロール形成部分を覆うように実施例1−1と同様の方法で導電性物質の層3を形成し、銅金属板からなる第1の金属部材1を取り付け、その平板部11の両端を陰電極引き出し電極11a、11bとした。その後、実施例1−1と同様の方法でマスク樹脂を溶解させ、二組の陽電極引き出し端子21a,21bを取り付けた。
【0101】
得られた平行平板線路型素子は、タンタル微紛金属からなる第2の金属部材2を陽極、銅金属板からなる第1の金属部材1を陰極として容量を測定すると測定周波数120Hzで約280μFであり、誘電体皮膜31の表面が充分にポリピロールで被覆されていることがわかった。
【0102】
この平行平板線路型素子の両端に設けられた二組の引き出し電極11a,11b,21a,21bをネットワーク・アナライザに接続して電力透過特性S21を測定したところ、100kHzから100MHzまでおよそ−60dB以下であり、1GHzでも−40dB以下となって、高速デジタル回路の電源デカップリング素子として従来コンデンサに比べて遙かに勝る特性を有することが分かった。
【0103】
(実施例2−1)
第2の実施の形態の実施例1においては、第2の金属部材5として、突起部52の形状が断面十字の柱をならべた形状とし、両端を陽電極引き出し端子51a,51bとしたアルミニウム片を、5wt.%のホウ酸アンモニウム水溶液中において10Vで陽極酸化し、洗浄および乾燥して金属酸化被膜からなる誘電体酸化被膜61を有するアルミニウム片からなる第2の金属部材5を得た。この平坦部51の両端部各5mmをヘキサフルオロプロピレンからなるフッ素系樹脂の溶液に浸漬し、乾燥して両端をマスクした。
【0104】
次に、ガラス製容器に濃度10wt.%のパラトルエンスルホン酸と5wt.%のアニリンとを含む水溶液を調整し、上記の誘電体皮膜31を形成したアルミニウム片からなる第2の金属部材5を浸漬して取り出した。これを空気中、室温で30分乾燥し、次に10wt.%のペルオキソ二硫酸アンモニウムと10wt.%のパラトルエンスルホン酸を含む水溶液に浸漬し、取り出してさらに20分間空気中に保持し、アニリンの重合を行った。その後、水、メタノールで洗浄し、80℃で乾燥した。この操作を4回繰り返したところその誘電体表面がパラトルエンスルホン酸をドーパントとする導電性高分子のポリアニリンで被覆されたアルミニウム片からなる第2の金属部材5が得られた。
【0105】
このアルミニウム片からなる第2の金属部材5のポリアニリン形成部を覆うように導電性カーボンペースト、および銀ペーストからなる導電性物質の層6を形成し、さらに厚さ約100μmの銅金属板からなる第1の金属部材4を第2の金属部材5のポリアニリン形成部分を覆うように取り付け、その両端にネジ止め用の孔を設け、陰電極引き出し端子41a、41bとした。その後、アルミニウム片2からなる第2の金属部材5の平坦部51の両端部をテトラヒドロフランに浸漬し、マスク樹脂であるヘキサフルオロプロピレンを溶解させた。
【0106】
得られた平行平板線路型素子はアルミニウム片2からなる第2の金属部材5を陽極、銅金属板からなる第1の金属部材4を陰極として容量を測定すると測定周波数120Hzで約310μFであった。
【0107】
この平行平板線路型素子の両端に設けられた二組の電極引き出し端子41a,41b,51a,51bをネットワーク・アナライザに接続して電力透過特性S21を測定したところ、100kHzから1GHzまで、−40dB以下と、高速デジタル回路の電源デカップリング素子として従来コンデンサに比べて遙かに勝る特性特性を有することが判った。
【0108】
なお、上述した第1の実施形態の製造手順である実施例1−2から実施例1−6は、第2の実施形態においても同様に適用することができる。
【0109】
(実施例3−1)
第3の実施の形態の実施例1においては、第2の金属部材8として、突起部82が鋸歯状の柱をならべた形状となり、両端を陽電極引き出し端子81a、81bとしたアルミニウム片を、5wt.%のホウ酸アンモニウム水溶液中において10Vで陽極酸化し、洗浄および乾燥して金属酸化被膜からなる誘電体酸化被膜91を有するアルミニウム片からなる第2の金属部材8を得た。この第2の金属部材8の平坦部81の両端部各5mmをヘキサフルオロプロピレンからなるフッ素系樹脂の溶液に浸漬し、乾燥して両端をマスクした。
【0110】
次に、ガラス製容器に濃度10wt.%のパラトルエンスルホン酸と5wt.%のアニリンとを含む水溶液を調整し、誘電体皮膜91を形成したアルミニウム片を浸漬して取り出した。これを空気中、室温で30分乾燥し、次に10wt.%のペルオキソ二硫酸アンモニウムと10wt.%のパラトルエンスルホン酸を含む水溶液に浸漬し、取り出してさらに20分間空気中に保持し、アニリンの重合を行った。その後、水、メタノールで洗浄し、80℃で乾燥した。この操作を4回繰り返したところその誘電体表面がパラトルエンスルホン酸をドーパントとする導電性高分子のポリアニリンで被覆されたアルミニウム片からなる第2の金属部材8が得られた。
【0111】
このアルミニウム片からなる第2の金属部材8のポリアニリン形成部を覆うように導電性カーボンペースト、および銀ペーストからなる導電性物質層9を形成し、さらに厚さ約100μmの銅金属板からなる第1の金属部材7を第2の金属部材8のポリアニリン形成部分を覆うように取り付け、その両端にネジ止め用の孔を設け、陰電極引き出し端子81a、81bとした。その後、第2の金属部材8の平坦部81の両端部をテトラヒドロフランに浸漬し、マスク樹脂であるヘキサフルオロプロピレンを溶解させた。
【0112】
得られた平行平板線路型素子は、アルミニウム片からなる第2の金属部材2を陽極、銅金属板からなる第1の金属部材1を陰極として容量を測定すると測定周波数120Hzで約310μFであった。
【0113】
この平行平板線路型素子の両端に設けられた二組の電極引き出し端子71a、71b、81a、81bをネットワーク・アナライザに接続して電力透過特性S21を測定したところ、100kHzから1GHzまで、−40dB以下と、高速デジタル回路の電源デカップリング素子として従来コンデンサに比べて遙かに勝る特性特性を有することが判った。
【0114】
なお、上述した第1の実施形態の製造手順である実施例1−2から実施例1−6は、第3の実施形態においても同様に適用することができる。
【0115】
次に、図15を参照して、上述した第1の実施形態の平行平板線路型素子を積層印刷配線基板に搭載した回路基板について説明する。
図15に示す回路基板は、積層印刷基板303と、この積層印刷基板303の表面上に搭載された平行平板線路型素子と、平行平板線路型素子の陽電極引き出し端子21a,21bにそれぞれ接続する電源配線301a,301bと、平行平板線路型素子の陰電極引き出し端子11a,11bにそれぞれ接続する接地配線302a、302bとを備えており、電源配線301a,301b、接地配線302a、302bは、それぞれ積層印刷基板303上に銅など電気伝導率が高い材料を用いて形成される。
【0116】
積層印刷基板303上には、図示しない多数の回路部品が搭載されており、これらの回路部品から発生する高周波雑音が電源配線301a,301b、電源配線302、302bに重畳してこれらの配線を伝搬し回路素子を誤動作させるという問題があったが、この雑音を平行平板線路型素子内部でろ波することにより、図15に示す回路基板は高周波雑音に対して誤動作が生じにくく、高周波における回路動作が安定しているという特徴がある。
【0117】
また、回路基板に、多数の回路部品を搭載した場合に回路部品同士が接近して配置されるので、雑音源とこの雑音源の影響を受ける回路部品とが接近することになる。この場合においても、電源配線および接地配線に挿入された平行平板線路型素子が効率的に電源配線及び接地配線に重畳された雑音をろ波するので、本願発明の平行平板線路型素子を用いた回路基板は、高周波で動作する回路基板を高密度に実装することが可能である。
【0118】
なお、上記において、電源配線と対をなす配線は接地配線として説明したが、負電源配線であってもよく、一般的には第1の直流電源配線と第2の直流電源配線とが、それぞれ平行平板線路型素子の陽電極引き出し端子21a,21b、および陰電極引き出し端子11a,11bとにそれぞれ接続されて全体の回路が構成される。
【0119】
さらに、図15および上記において、積層印刷基板303の表面に平行平板線路型素子が実装される場合について説明したが、積層印刷基板303を構成する多層基板のうちで、内部の基板表面に本願発明の平行平板線路型素子を実装しても同様の効果が得られる。また、この回路基板の実施形態では、上述した第1の実施形態の平行平板線路型素子を実装して説明を行なったが、平行平板線路型素子の第2、第3の実施形態についても同様に回路基板に適用することができる。
【0120】
上述した実施形態は本発明の好適な実施の形態である。但し、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施可能である。
【0121】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、平行平板線路型素子を構成し、この素子の有する伝送線路の入力端から入力する100kHzから10GHzの高周波電磁波の出力端への透過率が−20dB以下となるように形成した。このため平行平板線路型素子の特性インピーダンスを十分低く設計することができ、ノイズ源から発生する電磁波の電源分配回路側への侵入を防止することができる。
【0122】
また、伝送線路構造の1つである平行平板線路型素子を構成したことにより、線路の特性インピーダンスの周波数依存性が少なくなり、また、凹凸状に線路を形成することで金属表面に電力が集中するようになる高周波では一層線路が長くなるため、弁作用を有する金属の一方から入力された高周波電磁波は誘電体皮膜の薄膜と導電性物質によって広い周波数帯域にわたってろ波されるので、高速化、高周波化に適した線路型素子が実現できる。
【0123】
導電性物質層が導電性高分子から構成されている場合には、それによって高周波数領域まで使用可能な平行平板線路型素子を容易に得ることができる。また、その導電性高分子がポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン、およびこれらの誘導体のいずれかである場合には、それによって環境安定性に優れ、100℃以上まで安定な導電性物質の層を形成することができ、従って安定性、耐久性に優れ、高周波数領域まで使用可能な平行平板線路型素子を容易に得ることができる。
【0124】
さらに、第1または第2の金属部材を構成する弁作用を有する金属がアルミニウム、タンタル、ニオブのいずれかである場合には、それによって誘電率が高く均一で安定した誘電体皮膜を形成することができ、従って体積効率の優れた安定した平行平板線路型素子を容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の平行平板線路型素子の構成とこの素子の動作を説明するための図である。
【図2】線路における反射計数Γと透過計数Τを計算するための透過回路図である。
【図3】透過特性S21と線路の特性インピーダンスZyとの関係を示す図である。
【図4】ネットワーク・アナライザの構成を示す図である。
【図5】伝送線路での電磁波と電流との相互作用を説明するための図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態における平行平板線路型素子の断面図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態における平行平板線路型素子の組立て前の斜視図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態における平行平板線路型素子の斜視図である。
【図9】本発明の第1の実施の形態の平行平板線路型素子の部分断面図である。
(a)は図8の切断面X−X’における断面図(線路方向)である。
(b)は図8の切断面Y−Y’の断面図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態の平行平板線路型素子の構成を示す組立て前の斜視図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態の平行平板線路型素子の部分断面図である。
(a)は図10の切断面X−X’における断面図(線路方向)である。
(b)は図10の切断面Y−Y’における断面図である。
【図12】本発明の第3の実施の形態の平行平板線路型素子の構成を示す組立て前の斜視図である。
【図13】本発明の第3の実施の形態の平行平板線路型素子の部分断面図である。
(a)は図12の切断面X−X’における断面図(線路方向)である。
(b)は図12の切断面Y−Y’における断面図である。
【図14】アルミニウム片の静電容量の測定方法を説明するための図である。
【図15】本発明に係る平行平板型線路素子を印刷配線基板に搭載して回路基板を構成した斜視図である。
【図16】LSIを構成するスイッチング素子から発生する電力が電源分配配線に与える影響を説明するための図である。
【図17】表面実装型フィルタの従来の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
1、4、7 第1の金属部材
2、5、8 第2の金属部材
3、6、9 導電性物質層
11、21、41、51、71、81 平板部
11a、11b、41a、41b、71a、71b 陰電極引き出し端子
12、22、42、52、72、82 突起部
13、23、43、53、73、83 間隙部
14、44、74  側面シールド板
21a、21b、51a、51b、81a、81b 陽電極引き出し端子
31 誘電体皮膜
42a、52a 立設平板部
42b、52b 角柱部
72b、82b 鋸歯状突起
110 第1誘電体シート
111 第1内部導体
112 第2内部導体
115 蛇行導体
120 第2誘電体シート
125 接地導体
130 第3誘電体シート
151 第1信号電極
152 第2信号電極

Claims (12)

  1. 第1の平板部と、該第1の平板部の一方の面上に、該面の略垂直方向に複数の突起が間隙をおいて立設された突起部と、を有する第1の金属部材と、
    第2の平板部と、該第2の平板部の一方の面上に、該面の略垂直方向に複数の突起が間隙をおいて立設された突起部と、を有する第2の金属部材と、
    前記第1の金属部材の突起を前記第2の金属部材の間隙に、第2の金属部材の突起を前記第1の金属部材の間隙に挿入することで形成した平行平板線路型素子の前記突起と前記間隙との間に形成された誘電体皮膜と、を有し、
    前記第1の金属部材と前記第2の金属部材との間に、前記誘電体皮膜に沿って伝送線路が形成され、
    前記伝送線路は、該伝送線路の入力端から入力する100kHzから10GHzの高周波電磁波の出力端への透過率が−20dB以下となるように形成したことを特徴とする平行平板線路型素子。
  2. 第1の平板部と、該第1の平板部の一方の面上に、該面の略垂直方向に複数の突起が間隙をおいて立設された突起部と、を有する第1の金属部材と、
    第2の平板部と、該第2の平板部の一方の面上に、該面の略垂直方向に複数の突起が間隙をおいて立設された突起部と、を有する第2の金属部材と、
    前記第1の金属部材の突起を前記第2の金属部材の間隙に、第2の金属部材の突起を前記第1の金属部材の間隙に挿入することで形成した平行平板線路型素子の前記突起と前記間隙との間に形成された誘電体皮膜と、を有し、
    前記第1の金属部材の突起部と前記第2の金属部材の突起部とは、平板状の形状であり、
    前記第1の金属部材と前記第2の金属部材との間に、前記誘電体皮膜に沿って伝送線路が形成され、
    前記伝送線路は、該伝送線路の入力端から入力する100kHzから10GHzの高周波電磁波の出力端への透過率が−20dB以下となるように形成したことを特徴とする平行平板線路型素子。
  3. 第1の平板部と、該第1の平板部の一方の面上に、該面の略垂直方向に複数の突起が間隙をおいて立設された突起部と、を有する第1の金属部材と、
    第2の平板部と、該第2の平板部の一方の面上に、該面の略垂直方向に複数の突起が間隙をおいて立設された突起部と、を有する第2の金属部材と、
    前記第1の金属部材の突起を前記第2の金属部材の間隙に、第2の金属部材の突起を前記第1の金属部材の間隙に挿入することで形成した平行平板線路型素子の前記突起と前記間隙との間に形成された誘電体皮膜と、を有し、
    前記第1の金属部材の前記突起部は、立設平板部および該立設平板部の表面に所定の間隔で前記第1の平板部に対して垂直方向に設けられた複数の角柱部から構成されている凹凸板状の形状であり、
    前記第2の金属部材の前記突起部は、立設平板部および該立設平板部の表面に所定の間隔で前記第2の平板部に対して垂直方向に設けられた複数の角柱部から構成されている凹凸板状の形状であり、
    前記第1の金属部材と前記第2の金属部材との間に、前記誘電体皮膜に沿って伝送線路が形成され、
    前記伝送線路は、該伝送線路の入力端から入力する100kHzから10GHzの高周波電磁波の出力端への透過率が−20dB以下となるように形成したことを特徴とする平行平板線路型素子。
  4. 第1の平板部と、該第1の平板部の一方の面上に、該面の略垂直方向に複数の突起が間隙をおいて立設された突起部と、を有する第1の金属部材と、
    第2の平板部と、該第2の平板部の一方の面上に、該面の略垂直方向に複数の突起が間隙をおいて立設された突起部と、を有する第2の金属部材と、
    前記第1の金属部材の突起を前記第2の金属部材の間隙に、第2の金属部材の突起を前記第1の金属部材の間隙に挿入することで形成した平行平板線路型素子の前記突起と前記間隙との間に形成された誘電体皮膜と、を有し、
    前記第1の金属部材の前記突起部は、該突起部の側面に前記第1の平板部と平行な断面が鋸歯状となるように鋸歯状突起が設けられている凹凸板状の形状であり、
    前記第2の金属部材の前記突起部は、該突起部の側面に前記第2の平板部と平行な断面が鋸歯状となるように鋸歯状突起が設けられている凹凸板状の形状であり、
    前記第1の金属部材と前記第2の金属部材との間に、前記誘電体皮膜に沿って伝送線路が形成され、
    前記伝送線路は、該伝送線路の入力端から入力する100kHzから10GHzの高周波電磁波の出力端への透過率が−20dB以下となるように形成したことを特徴とする平行平板線路型素子。
  5. 前記平行平板線路型素子は、
    入力する直流電力を前記第1の金属部材及び前記第2の金属部材に沿って送電することを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の平行平板線路型素子。
  6. 前記第1の金属部材、または前記第2の金属部材は、弁作用を有する金属からなり、
    前記弁作用を有する金属の表面に前記誘電体皮膜を形成することを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の平行平板線路型素子。
  7. 前記誘電体皮膜と前記第1の金属部材、または前記第2の金属部材との間に、導電性物質からなる導電性物質層が充填されていることを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の平行平板線路型素子。
  8. 前記導電性物質層が導電性高分子から構成されていることを特徴とする請求項7記載の平行平板線路型素子。
  9. 前記導電性高分子が、ポリピロール、ポリチエフェン、ポリアニリン、およびこれらの誘導体のいずれかであることを特徴とする請求項8記載の平行平板線路型素子。
  10. 前記弁作用を有する金属が、アルミニウム、タンタル、ニオブのいずれかであることを特徴とする請求項6記載の平行平板線路型素子。
  11. 前記第1および前記第2の平板部の側面に、電磁波の外部への漏洩を防止する側面シールド板が設けられていることを特徴とする請求項1から10の何れか1項に記載の平行平板線路型素子。
  12. 間隙部を隔てて略平行に第1の平板部に対して立設された第1の複数の突起部を有し前記第1の平板部の両端部を第1の端子とする第1の金属部材と、
    間隙部を隔てて略平行に第2の平板部に対して立設された第2の複数の突起部を有し前記第2の平板部の両端部を第2の端子とする第2の金属部材とを備え、該突起部が設けられている側の表面には誘電体皮膜が形成され、この誘電体皮膜に沿って伝送線路を形成した平行平板線路型素子と、
    基板と、
    前記基板上に形成された第1の電源配線と第2の電源配線とを備え、
    前記第1の電源配線と前記第2の電源配線に、前記第1の平板部の両端部と、前記第2の平板部の両端部とがそれぞれ挿入接続され、
    前記伝送線路は、該伝送線路の入力端から入力する100kHzから10GHzの高周波電磁波の出力端への透過率が−20dB以下となるように形成したことを特徴とする回路基板。
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