JP2004045129A - 内径計測器、及び、内径計測方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】異径内径旋削加工の1工程周期を短縮すること。
【解決手段】操作具1と、傾斜自在に結合する内径測定ユニット2と、それらを傾斜自在に結合する結合体4,5とから構成されている。操作具1は、操作具側本体1−1と、線形に運動する操作具側運動軸1−2とから形成されている。内径測定ユニット2は、ユニット側本体2−1と、それに同体に結合する測定子53と、ユニット側運動軸2−2とから形成されている。操作具側運動軸1−2の運動端部はユニット側回転体4に結合し、ユニット側運動軸2−2の一端は測定対象内径の一端に接触する接触点Qを形成し、ユニット側本体2−1の一端は測定対象内径の他端に接触する接触点Pを形成している。測定子53とユニット側運動軸2−2の他端との間の相対距離が電気信号として出力される。細い内径側開口から挿入される内径計測器は、より奥側の大径の内径を測定することができ、特に、チャックに固定したままでワークのなお径を計測することができる。
【選択図】 図1
【解決手段】操作具1と、傾斜自在に結合する内径測定ユニット2と、それらを傾斜自在に結合する結合体4,5とから構成されている。操作具1は、操作具側本体1−1と、線形に運動する操作具側運動軸1−2とから形成されている。内径測定ユニット2は、ユニット側本体2−1と、それに同体に結合する測定子53と、ユニット側運動軸2−2とから形成されている。操作具側運動軸1−2の運動端部はユニット側回転体4に結合し、ユニット側運動軸2−2の一端は測定対象内径の一端に接触する接触点Qを形成し、ユニット側本体2−1の一端は測定対象内径の他端に接触する接触点Pを形成している。測定子53とユニット側運動軸2−2の他端との間の相対距離が電気信号として出力される。細い内径側開口から挿入される内径計測器は、より奥側の大径の内径を測定することができ、特に、チャックに固定したままでワークのなお径を計測することができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内径計測器、及び、内径計測方法に関し、特に、大小内径が連続する穴の穴径を計測することができる内径計測器、及び、内径計測方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
機械部品の多くは、機械的加工により製作され機械的に仕上げられる。その機械的加工のプロセスは、旋盤による内外径旋削のような部品加工、溶接機による部品間溶接のような組立等から形成される数十・数百のステップから構成されている。このような機械的加工品として、一体型ラッチハウジングが知られている。一体型ラッチハウジングは、複数個の筒状部品を溶接により連接的に組み立てられて製作される。その組立体は、内部に異径円筒面が形成されている。一体型ラッチハウジング101の内側円筒面は、図9に示されるように、小径円筒内面102と大径円筒内面103とから形成されている。多様な数十の工程(ステップ)から形成されるプロセスの途中には、内径切削とワーク取り外しと内径計測とワーク取付け(チャッキング)の3ステップからなる部分プロセスがあり、このような部分プロセスが複数回に繰り返される。ラッチハウジング101は、大外径大内径部104と小外径小内径部105とから形成され、大外径大内径部109は、大外径大内径部104がチャック106によりチャッキングされ、小外径小内径部105から切削工具を挿入して加工される。大外径大内径部104から内径計測器が挿入され得る大外径側端面107の大内径開口108を開放するために、大外径大内径部104をチャック106から一旦取り外す必要がある。工程中のこのような取り外しが数回に行われる従来の内径旋削の複数回の荒加工と複数回の中間加工と仕上げ加工のために1工程周期が長くかかっていて、その複数回の取り外しと再固定は、内径の加工精度を劣化させている。
【0003】
1工程周期の短縮が求められる。更に、1工程周期の短縮のための内径計測器具の提供が求められる。更に、加工精度の向上が求められる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、異径内径旋削加工の1工程周期を短縮することができる異径内径機械要素の内径計測方法を提供することにある。
本発明の他の課題は、異径内径旋削加工の1工程周期を短縮することができる異径内径機械要素の内径計測器を提供することにある。
本発明の更に他の課題は、異径内径旋削加工の1工程周期を短縮し、且つ、内径加工精度を向上させることができる異径内径機械要素の内径計測器を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
その課題を解決するための手段が、下記のように表現される。その表現中に現れる技術的事項には、括弧()つきで、番号、記号等が添記されている。その番号、記号等は、本発明の実施の複数・形態又は複数の実施例のうちの少なくとも1つの実施の形態又は複数の実施例を構成する技術的事項、特に、その実施の形態又は実施例に対応する図面に表現されている技術的事項に付せられている参照番号、参照記号等に一致している。このような参照番号、参照記号は、請求項記載の技術的事項と実施の形態又は実施例の技術的事項との対応・橋渡しを明確にしている。このような対応・橋渡しは、請求項記載の技術的事項が実施の形態又は実施例の技術的事項に限定されて解釈されることを意味しない。
【0006】
本発明による内径計測器は、操作具(1)と、操作具(1)に傾斜自在に結合する内径測定ユニット(2)と、操作具(1)と内径測定ユニット(2)とを結合する結合体とから構成されている。操作具(1)は、操作具側本体(1−1)と、操作具側本体(1−1)に対して線形に運動する操作具側運動軸(1−2)とから形成されている。内径測定ユニット(2)は、ユニット側本体(2−1)と、ユニット側本体(2−1)に同体に結合する測定子(53)と、ユニット側本体(2−1)に対して線形に運動するユニット側運動軸(2−2)とから形成されている。その結合体は、操作具側運動軸(1−2)の運動端に結合する操作具側回転体(4)と、操作具側回転体(4)に相対的に回転自在に結合し、ユニット側本体(2−1)に結合するユニット側回転体(5)とから形成されている。操作具側運動軸(1−2)の運動端部はユニット側回転体(4)に結合している。ユニット側運動軸(2−2)の一端は測定対象内径の一端に接触する接触点(Q)を形成し、ユニット側本体(2−1)の一端は測定対象内径の他端に接触する接触点(P)を形成している。測定子(53)とユニット側運動軸(2−2)の他端との間の相対距離が電気信号として出力される。
【0007】
操作具(1)と内径測定ユニット(2)とは、相対的に互いに傾斜自在であり、内径測定ユニット(2)の両端間距離(線分PQの長さ)の最大値は測定対象ワークの軸方向穴の内径より大きいが、操作具(1)に対して傾斜しX−0軸方向(そのワークの中心軸心線を通りその中心軸心線に直交する方向)の成分がその内径より小さくなる内径測定ユニット(2)は、そのX軸方向穴に通ることができる。操作具(1)と内径測定ユニット(2)との間の相対的操作力により操作具(1)と内径測定ユニット(2)との間の相対的角度は連続的に可変であり、内径測定ユニット(2)のX−0軸方向成分の最小値が、電気的信号として出力される。ワークの小径側から内径測定ユニット(2)を挿入してその小径より大きいワークの大径側の内径を測定することができる。本発明による内径計測器は、ワークの大径側がチャックされているような場合等に有効に利用され得る。
【0008】
2つの接触点の間の距離が大きくなる方向にユニット側運動軸(2−2)を運動させるバイアス力を持つスプリング(44)がユニット側本体(2−2)に装着されていることが好ましい。スプリング(44)は、既述の2点P,Qを常態的に内径の直径線上に位置づけることができ、計測操作を容易にする。操作具側回転体(5)とユニット側回転体(4)とは、基準機械面(S1)を形成して互いに接合する接合面をそれぞれに有することは重要である。その接合面は、操作具(1)の運動軸方向(Y軸方向)にX−0軸を機械的に90度に規定することができ、線PQの極座標原点を正確に規定することができる。接合面(S1)は、操作具側運動軸(1−2)とユニット側運動軸(2−2)との直交性を正確に規定することができる。その直交性は、見えない状態で手触りで明白に計測者が感知することができる。
【0009】
本発明による内径計測方法は、既述の内径計測器を用いて加工プロセス中のワークの内径を測定する内径計測方法であり、ワークをチャック(106)に固定する第1ステップと、ワークの内径側を旋削する第2ステップと、ワークをチャック(106)に固定したままで、内径計測器を用いてワークの内径を測定する第3ステップと、第2ステップと第3ステップを繰り返す第4ステップとから構成され、一連の加工プロセスの1周期を短縮し、且つ、チャックから取り外す回数が減少し、その繰り返しの加工の寸法精度を向上させることができる。第3ステップは、操作具側運動軸(1−2)とユニット側運動軸(2−2)との間の傾斜角を変動させながら2つの接触点(P,Q)を内径上で走査するステップを備えている。
【0010】
【発明の実施の形態】
図に対応して、本発明による内径計測器の実施の形態は、内径測定ユニットが傾斜運動操作具とともに設けられている。その傾斜運動操作具1は、図1に示されるように、内径測定ユニット2に対して傾斜自在に組み付けられている。内径測定ユニット2は、傾斜運動操作具1に傾斜自在に保持されている。第1相対的線形運動要素から構成される内径測定ユニット2は、第1運動方向規定軸心線Xを有している。その第1相対的線形運動要素は、一方側第1相対的線形運動要素2−1と他方側第1相対的線形運動要素2−2とから構成されている。一方側第1相対的線形運動要素2−1と他方側第1相対的線形運動要素2−2とは、第1運動方向規定軸心線Xの方向線上で相対的に線形に運動する。
【0011】
第2相対的線形運動要素から構成される傾斜運動操作具1は、第2運動方向規定軸心線Yを有している。その第2相対的線形運動要素は、一方側第2相対的線形運動要素1−1と他方側第2相対的線形運動要素1−2とから構成されている。一方側第2相対的線形運動要素1−1と他方側第2相対的線形運動要素1−2とは、第2運動方向規定軸心線Yの方向線上で相対的に線形に運動する。
【0012】
傾斜運動操作具1は、XY軸間角度可変結合具3を介して内径測定ユニット2に結合している。XY軸間角度可変結合具3は、内径測定ユニット側固定子4と、傾斜運動操作具側固定子5とから構成されている。内径測定ユニット側固定子4は、傾斜中心規定ピン6により傾斜運動操作具側固定子5に対して傾斜自在にピン結合している。傾斜中心規定ピン6には、一方側第2相対的線形運動要素1−1に一体化又は同体化されている軸筒7が結合している。軸筒7には、本体摘み部分8が固着している。軸筒7の中に他方側第2相対的線形運動要素1−2として操作用軸棒が第2運動方向規定軸心線Yの方向に通されている。他方側第2相対的線形運動要素1−2の先端部位は、内径測定ユニット側固定子4の適正部位に固着されている。
【0013】
図2は、傾斜運動操作具1の内径測定ユニット2に対する既述の傾斜運動機構の詳細と組立を示している。内径測定ユニット側固定子4の傾斜運動操作具側固定子5に対する対向面は、図3に示されるように、直交状凹面9に形成されている。直交状凹面9に、傾斜運動操作具側固定子5の内径測定ユニット側固定子4に向かう対向部位11が装着される。内径測定ユニット側固定子4は、対向部位11に対して摺動的に相対的に傾斜運動することができる。
【0014】
内径測定ユニット側固定子4の適正部位にねじ穴12が開けられている。ねじ穴12は、X軸に直交している。傾斜運動操作具側固定子5の対向部位11には、ピン軸挿入穴13(図6参照)が開けられている。ピン軸形成ねじである既述の傾斜中心規定ピン6が既述のねじ穴12にねじ込まれ、対向部位11の適正部位に開けられている支点形成穴15に挿入される。ねじ穴12は、図3に示されるように、内径測定ユニット側固定子4の両側に開けられている。
【0015】
傾斜運動操作具側固定子5の小径部分16に、軸筒7の先頭部分が外装されて固着される。小径部分16には、図6に示されるように、軸直角方向にねじ穴18が切られ、軸筒7の先頭部位に開けられているねじ通し穴(図2参照)20にねじを通してねじ穴18にねじ込むことにより、軸筒7を傾斜運動操作具側固定子5に固着することができる。
【0016】
図2に示されるように、一方側第2相対的線形運動要素1−1の一部である本体摘み部分8にねじ通し穴19が開けられている。軸筒7の後尾部分にねじ穴21が形成されている。ねじ通し穴19にねじを通しねじ穴21にそのねじをねじ込むことにより、本体摘み部分8を軸筒7に固着することができる。本体摘み部分8の貫通孔22にガイド23が圧入的に挿入されている。
【0017】
他方側第2相対的線形運動要素1−2は、図2に示されるように、ロッド部分24と、引き操作用摘み25とワイヤ部分26とから構成されている。ロッド部分24の後方部分はねじ部分27として形成されている。ねじ部分27は、引き操作用摘み25に形成されている雌ねじ28にねじ込まれている。
【0018】
ワイヤ部分26の先端部分は、内径測定ユニット側固定子4の適正部位に通されて固着される。内径測定ユニット側固定子4には、図4と図5とに示されるように、ワイヤ通し穴29が開けられている。傾斜運動操作具側固定子5には、図6に示されるように、ワイヤ部分26とロッド部分24とを貫通的に通す貫通孔31が開けられている。ワイヤ部分26は、傾斜運動操作具側固定子5の貫通孔31に通され更に内径測定ユニット側固定子4のワイヤ通し穴29に通される。ワイヤ通し穴29に侵入しているワイヤ部分26は、図3に示されるねじ穴32にねじ込まれるねじ(図示されず)により、内径測定ユニット側固定子4に強固に固着される。
【0019】
内径測定ユニット2は、図2に示されるように、一方側第1相対的線形運動要素2−1として本体筒33を有している。本体筒33の小径部分34は、内径測定ユニット側固定子4にX軸方向に貫通している装着穴35に通されている。小径部分34は、内径測定ユニット側固定子4に形成されているねじ穴36にねじ込まれるねじ(図示されず)により内径測定ユニット側固定子4に固着される。本体筒33に触針案内体37の一方側小径部分38が内装される。
【0020】
一方側小径部分38は、本体筒33に形成されているねじ穴39にねじ込まれるねじ(図示されず)により本体筒33に固着される。触針案内体37のねじ部分である他方側小径部分41が、ガイドストッパねじ42にねじ込まれている。ガイドストッパねじ42は、ストッパ用鍔43を有している。ガイドストッパねじ42に案内されて触針案内体37に対して反発してX軸方向に運動するストッパ用鍔43は、ガイドストッパねじ42に外装されている。
【0021】
触針案内体37とストッパ用鍔43との間に、反発用スプリング44が介設されている。ストッパ用鍔43は、他方側第1相対的線形運動要素2−2を構成している。触針45は、ストッパ用鍔43に固定されている。触針45は、X軸方向に延びて本体筒33の中を通っている。他方側第1相対的線形運動要素2−2は、ストッパ用鍔43と触針45とから構成されている。
【0022】
デジタルゲージユニット46は、本体筒33とともに一方側第1相対的線形運動要素2−1を構成している。内径測定ユニット側固定子4の装着穴35に通されて内径測定ユニット側固定子4から抜け出ている本体筒33の小径部分34にデジタルゲージユニット46のセンサ部分47がねじ込まれる。小径部分34に外装されている締付け具48をねじ49で締め付けて、小径部分34をデジタルゲージユニット46の一部分51に強固に締め付けて、図1に示されるように、全体の組立が完了する。
【0023】
内径測定ユニット2としては、市販されている既製品がそのままに利用されている。そのような既製品では、図2に示されるように、触針45の一端部分は機械的出力端子52として形成されている。機械的出力端子52は、デジタルゲージユニット46の測定子53にX軸方向に対向している。デジタルゲージユニット46は、機械的出力端子52に対する測定子53の相対的接近距離に線形に対応する電気信号54を出力することができる。
【0024】
他方側第2相対的線形運動要素1−2であるロッド部分24に対して引き操作用摘み25を負回転方向に回転させることにより、引き操作用摘み25は、ねじ部分27に対して後退する。本体摘み部分8を左手で持ち、右手で持つ引き操作用摘み25をY軸正方向に引けば、引き操作用摘み25に他方側第2相対的線形運動要素1−2であるロッド部分24とワイヤ部分26とを介して連結されている内径測定ユニット側固定子4は、Y軸正方向に引かれ、引き操作用摘み25に対して相対的にY軸負方向に引かれる一方側第2相対的線形運動要素1−1である本体摘み部分8に軸筒7を介して連結されている傾斜運動操作具側固定子5は、Y軸負方向に引かれる。このように、本体摘み部分8と引き操作用摘み25とは、相対的に逆方向に引かれ得るから、一方側第2相対的線形運動要素1−1と他方側第2相対的線形運動要素1−2は互いに逆方向に引かれ得る。
【0025】
このような第1逆方向引っ張り力によって、内径測定ユニット側固定子4と傾斜運動操作具側固定子5との間に傾斜中心規定ピン6を中心とする回転モーメントが発生して、内径測定ユニット側固定子4の直交状凹面9の一部面である第1角度座標規定面S1(図2参照)と傾斜運動操作具側固定子5の対向部位11の対向面である第2角度座標規定面S2(図2参照)が合致し、内径測定ユニット2の中心軸心線は、Y軸に直交するX軸線X−0に合致する。このような合致により、傾斜運動操作具1の中心軸心線であるY軸と内径測定ユニット2の中心軸心線であるX軸線X−0との間の角度は、90度である。
【0026】
一方側第1相対的線形運動要素2−1の触子点Pと触針45の接触点Qとは、常にX軸上にある。触子点Pと触子点Qの間の距離は、これらの2点に相対的外力が作用しない限り、反発用スプリング44の反発力により最大化している。一方側第1相対的線形運動要素2−1と他方側第1相対的線形運動要素2−2との離隔方向運動は、ガイドストッパねじ42により拘束されていて、触子点Pと触子点Qの間の距離は、これらの2点に相対的外力が作用しない限り、規定最大距離Lになっている。
【0027】
既述の第1逆方向引っ張り力と反対の方向の第2逆方向引っ張り力を両手で本体摘み部分8と引き操作用摘み25とに作用させることにより、内径測定ユニット2は、傾斜運動操作具1に対して傾斜運動許容常態が得られ、図1に示されるように、角度θの範囲で内径測定ユニット2は傾斜運動操作具1に対して傾斜運動することができる。図1は、X軸が傾斜中心規定ピン6を中心として角度θだけ回転運動して、X軸が回転座標X−θに回転的に移動したことを示している。
【0028】
内径測定ユニット2がこのように傾斜すれば、内径測定ユニット2は図9に示される一体型ラッチハウジング101の小外径小内径部105の小径円筒内面102に侵入することが可能である。内径測定ユニット2とともに一方側第2相対的線形運動要素1−1の軸筒7を適正に小径円筒内面102に通し、既述の通りの第1逆方向引っ張り力を本体摘み部分8と引き操作用摘み25に相対的に与えれば、一方側第1相対的線形運動要素2−1の触子点Pと他方側第1相対的線形運動要素2−2の触子点Qとは、両点間距離が縮小する方向に大径円筒内面103から外力を受け、一方側第1相対的線形運動要素2−1と他方側第1相対的線形運動要素2−2とは反発用スプリング44の反発力に抵抗して、X軸線上で互いに接近する方向に移動する。
【0029】
反発用スプリング44の反発力に抵抗して第1逆方向引っ張り力を本体摘み部分8と引き操作用摘み25に相対的に与え続ければ、やがて、一方側第1相対的線形運動要素2−1に固定されている固定X軸がX軸線X−0に合致した時にデジタルゲージユニット46が出力する値は、大径円筒内面103の直径値に一致している。第1角度座標規定面S1と第2角度座標規定面S2は、必ずしもこのような合致に対応する面として構成される必要はなく、固定X軸がX軸線X−0を越えて回転するように第1角度座標規定面S1を形成することは可能である。この場合、デジタルゲージユニット46が出力する最小値が、大径円筒内面103の直径値に一致する。しかし、X軸とY軸が直交する状態で一方側第2相対的線形運動要素1−1を前進後退させることにより、大径円筒内面103の直径を走査的に測定することができる。
【0030】
図7は、一体型ラッチハウジングの公知の加工プロセスを示している。その加工プロセスは、原形ワーク61を加工して内径外径異径体62を製作し更にそれを開先加工する第1プロセス63と、他の原形ワーク64を加工して内外径非異径体を製作し更にそれを開先加工する第2プロセス66と、両加工品を溶接して溶接結合体67を製作するプロセスステップ68と、溶接結合体67の外径部に溝を形成するラッチハウジング外径仕上げ品69を製作するプロセス71と、ラッチハウジング外径仕上げ品69の仕上げを行う仕上げプロセス72とから構成されている。
【0031】
図8は、第1プロセス63のうちの1ステップの詳細を示している。第1プロセス63のうち内径外径異径体62を製作する1ステップは、46ステップから形成される内径異径加工プロセス73である。内径異径加工プロセス73の内の12ステップは、ワーク取り外しステップと、内径計測ステップと、ワーク取り付けの3ステップとからそれぞれに形成される3つの部分プロセスを含んでいる。その3つのプロセスのうちの1つは、ステップ20とステップ21とステップ22とから構成されている。その3つのプロセスのうちの他の1つは、ステップ25とステップ26とステップ27とから構成されている。その3つのプロセスのうちの更に他の1つは、ステップ30とステップ31とステップ32とから構成されている。その3つのプロセスのうちの更に他の1つは、ステップ35とステップ36とステップ37とから構成されている。
【0032】
これらの4つの部分プロセスがそれぞれに含む4つの内径計測ステップ21,26,31,36の計測のためには、従来、ワークの取り外しとワークの再取り付けが必要であった。本発明による内径計測器を用いることにより、このようなワーク取り付けとその取り外しのための8ステップが省略され得る。このような8ステップの省略は、全プロセスの1周期を効果的に短縮することができる。
【0033】
【発明の効果】
本発明による内径計測器、及び、内径計測方法は、内径測定のプロセスの自由度を高くすることができ、更には、加工精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明による内径計測器の実施の形態を示す正面図である。
【図2】図2は、図1の各部の分解と組立を示す正面図である。
【図3】図3は、部品を示す平面図である。
【図4】図4は、図3の正面図である。
【図5】図5は、図3の側面図ある。
【図6】図6は、他の部品を示す正面断面図である。
【図7】図7は、プロセスを示すフロー図である。
【図8】図8は、他のプロセスを示すフロー図である。
【図9】図9は、ワークの加工を示す断面図である。
【符号の説明】
1…操作具
1−1…操作具側本体
1−2…操作具側運動軸
2…内径測定ユニット
2−1…ユニット側本体
2−2…ユニット側運動軸
4…ユニット側回転体
5…操作具側回転体
44…スプリング
53…測定子
P…接触点
Q…接触点
S1…接合面
106…チャック
【発明の属する技術分野】
本発明は、内径計測器、及び、内径計測方法に関し、特に、大小内径が連続する穴の穴径を計測することができる内径計測器、及び、内径計測方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
機械部品の多くは、機械的加工により製作され機械的に仕上げられる。その機械的加工のプロセスは、旋盤による内外径旋削のような部品加工、溶接機による部品間溶接のような組立等から形成される数十・数百のステップから構成されている。このような機械的加工品として、一体型ラッチハウジングが知られている。一体型ラッチハウジングは、複数個の筒状部品を溶接により連接的に組み立てられて製作される。その組立体は、内部に異径円筒面が形成されている。一体型ラッチハウジング101の内側円筒面は、図9に示されるように、小径円筒内面102と大径円筒内面103とから形成されている。多様な数十の工程(ステップ)から形成されるプロセスの途中には、内径切削とワーク取り外しと内径計測とワーク取付け(チャッキング)の3ステップからなる部分プロセスがあり、このような部分プロセスが複数回に繰り返される。ラッチハウジング101は、大外径大内径部104と小外径小内径部105とから形成され、大外径大内径部109は、大外径大内径部104がチャック106によりチャッキングされ、小外径小内径部105から切削工具を挿入して加工される。大外径大内径部104から内径計測器が挿入され得る大外径側端面107の大内径開口108を開放するために、大外径大内径部104をチャック106から一旦取り外す必要がある。工程中のこのような取り外しが数回に行われる従来の内径旋削の複数回の荒加工と複数回の中間加工と仕上げ加工のために1工程周期が長くかかっていて、その複数回の取り外しと再固定は、内径の加工精度を劣化させている。
【0003】
1工程周期の短縮が求められる。更に、1工程周期の短縮のための内径計測器具の提供が求められる。更に、加工精度の向上が求められる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、異径内径旋削加工の1工程周期を短縮することができる異径内径機械要素の内径計測方法を提供することにある。
本発明の他の課題は、異径内径旋削加工の1工程周期を短縮することができる異径内径機械要素の内径計測器を提供することにある。
本発明の更に他の課題は、異径内径旋削加工の1工程周期を短縮し、且つ、内径加工精度を向上させることができる異径内径機械要素の内径計測器を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
その課題を解決するための手段が、下記のように表現される。その表現中に現れる技術的事項には、括弧()つきで、番号、記号等が添記されている。その番号、記号等は、本発明の実施の複数・形態又は複数の実施例のうちの少なくとも1つの実施の形態又は複数の実施例を構成する技術的事項、特に、その実施の形態又は実施例に対応する図面に表現されている技術的事項に付せられている参照番号、参照記号等に一致している。このような参照番号、参照記号は、請求項記載の技術的事項と実施の形態又は実施例の技術的事項との対応・橋渡しを明確にしている。このような対応・橋渡しは、請求項記載の技術的事項が実施の形態又は実施例の技術的事項に限定されて解釈されることを意味しない。
【0006】
本発明による内径計測器は、操作具(1)と、操作具(1)に傾斜自在に結合する内径測定ユニット(2)と、操作具(1)と内径測定ユニット(2)とを結合する結合体とから構成されている。操作具(1)は、操作具側本体(1−1)と、操作具側本体(1−1)に対して線形に運動する操作具側運動軸(1−2)とから形成されている。内径測定ユニット(2)は、ユニット側本体(2−1)と、ユニット側本体(2−1)に同体に結合する測定子(53)と、ユニット側本体(2−1)に対して線形に運動するユニット側運動軸(2−2)とから形成されている。その結合体は、操作具側運動軸(1−2)の運動端に結合する操作具側回転体(4)と、操作具側回転体(4)に相対的に回転自在に結合し、ユニット側本体(2−1)に結合するユニット側回転体(5)とから形成されている。操作具側運動軸(1−2)の運動端部はユニット側回転体(4)に結合している。ユニット側運動軸(2−2)の一端は測定対象内径の一端に接触する接触点(Q)を形成し、ユニット側本体(2−1)の一端は測定対象内径の他端に接触する接触点(P)を形成している。測定子(53)とユニット側運動軸(2−2)の他端との間の相対距離が電気信号として出力される。
【0007】
操作具(1)と内径測定ユニット(2)とは、相対的に互いに傾斜自在であり、内径測定ユニット(2)の両端間距離(線分PQの長さ)の最大値は測定対象ワークの軸方向穴の内径より大きいが、操作具(1)に対して傾斜しX−0軸方向(そのワークの中心軸心線を通りその中心軸心線に直交する方向)の成分がその内径より小さくなる内径測定ユニット(2)は、そのX軸方向穴に通ることができる。操作具(1)と内径測定ユニット(2)との間の相対的操作力により操作具(1)と内径測定ユニット(2)との間の相対的角度は連続的に可変であり、内径測定ユニット(2)のX−0軸方向成分の最小値が、電気的信号として出力される。ワークの小径側から内径測定ユニット(2)を挿入してその小径より大きいワークの大径側の内径を測定することができる。本発明による内径計測器は、ワークの大径側がチャックされているような場合等に有効に利用され得る。
【0008】
2つの接触点の間の距離が大きくなる方向にユニット側運動軸(2−2)を運動させるバイアス力を持つスプリング(44)がユニット側本体(2−2)に装着されていることが好ましい。スプリング(44)は、既述の2点P,Qを常態的に内径の直径線上に位置づけることができ、計測操作を容易にする。操作具側回転体(5)とユニット側回転体(4)とは、基準機械面(S1)を形成して互いに接合する接合面をそれぞれに有することは重要である。その接合面は、操作具(1)の運動軸方向(Y軸方向)にX−0軸を機械的に90度に規定することができ、線PQの極座標原点を正確に規定することができる。接合面(S1)は、操作具側運動軸(1−2)とユニット側運動軸(2−2)との直交性を正確に規定することができる。その直交性は、見えない状態で手触りで明白に計測者が感知することができる。
【0009】
本発明による内径計測方法は、既述の内径計測器を用いて加工プロセス中のワークの内径を測定する内径計測方法であり、ワークをチャック(106)に固定する第1ステップと、ワークの内径側を旋削する第2ステップと、ワークをチャック(106)に固定したままで、内径計測器を用いてワークの内径を測定する第3ステップと、第2ステップと第3ステップを繰り返す第4ステップとから構成され、一連の加工プロセスの1周期を短縮し、且つ、チャックから取り外す回数が減少し、その繰り返しの加工の寸法精度を向上させることができる。第3ステップは、操作具側運動軸(1−2)とユニット側運動軸(2−2)との間の傾斜角を変動させながら2つの接触点(P,Q)を内径上で走査するステップを備えている。
【0010】
【発明の実施の形態】
図に対応して、本発明による内径計測器の実施の形態は、内径測定ユニットが傾斜運動操作具とともに設けられている。その傾斜運動操作具1は、図1に示されるように、内径測定ユニット2に対して傾斜自在に組み付けられている。内径測定ユニット2は、傾斜運動操作具1に傾斜自在に保持されている。第1相対的線形運動要素から構成される内径測定ユニット2は、第1運動方向規定軸心線Xを有している。その第1相対的線形運動要素は、一方側第1相対的線形運動要素2−1と他方側第1相対的線形運動要素2−2とから構成されている。一方側第1相対的線形運動要素2−1と他方側第1相対的線形運動要素2−2とは、第1運動方向規定軸心線Xの方向線上で相対的に線形に運動する。
【0011】
第2相対的線形運動要素から構成される傾斜運動操作具1は、第2運動方向規定軸心線Yを有している。その第2相対的線形運動要素は、一方側第2相対的線形運動要素1−1と他方側第2相対的線形運動要素1−2とから構成されている。一方側第2相対的線形運動要素1−1と他方側第2相対的線形運動要素1−2とは、第2運動方向規定軸心線Yの方向線上で相対的に線形に運動する。
【0012】
傾斜運動操作具1は、XY軸間角度可変結合具3を介して内径測定ユニット2に結合している。XY軸間角度可変結合具3は、内径測定ユニット側固定子4と、傾斜運動操作具側固定子5とから構成されている。内径測定ユニット側固定子4は、傾斜中心規定ピン6により傾斜運動操作具側固定子5に対して傾斜自在にピン結合している。傾斜中心規定ピン6には、一方側第2相対的線形運動要素1−1に一体化又は同体化されている軸筒7が結合している。軸筒7には、本体摘み部分8が固着している。軸筒7の中に他方側第2相対的線形運動要素1−2として操作用軸棒が第2運動方向規定軸心線Yの方向に通されている。他方側第2相対的線形運動要素1−2の先端部位は、内径測定ユニット側固定子4の適正部位に固着されている。
【0013】
図2は、傾斜運動操作具1の内径測定ユニット2に対する既述の傾斜運動機構の詳細と組立を示している。内径測定ユニット側固定子4の傾斜運動操作具側固定子5に対する対向面は、図3に示されるように、直交状凹面9に形成されている。直交状凹面9に、傾斜運動操作具側固定子5の内径測定ユニット側固定子4に向かう対向部位11が装着される。内径測定ユニット側固定子4は、対向部位11に対して摺動的に相対的に傾斜運動することができる。
【0014】
内径測定ユニット側固定子4の適正部位にねじ穴12が開けられている。ねじ穴12は、X軸に直交している。傾斜運動操作具側固定子5の対向部位11には、ピン軸挿入穴13(図6参照)が開けられている。ピン軸形成ねじである既述の傾斜中心規定ピン6が既述のねじ穴12にねじ込まれ、対向部位11の適正部位に開けられている支点形成穴15に挿入される。ねじ穴12は、図3に示されるように、内径測定ユニット側固定子4の両側に開けられている。
【0015】
傾斜運動操作具側固定子5の小径部分16に、軸筒7の先頭部分が外装されて固着される。小径部分16には、図6に示されるように、軸直角方向にねじ穴18が切られ、軸筒7の先頭部位に開けられているねじ通し穴(図2参照)20にねじを通してねじ穴18にねじ込むことにより、軸筒7を傾斜運動操作具側固定子5に固着することができる。
【0016】
図2に示されるように、一方側第2相対的線形運動要素1−1の一部である本体摘み部分8にねじ通し穴19が開けられている。軸筒7の後尾部分にねじ穴21が形成されている。ねじ通し穴19にねじを通しねじ穴21にそのねじをねじ込むことにより、本体摘み部分8を軸筒7に固着することができる。本体摘み部分8の貫通孔22にガイド23が圧入的に挿入されている。
【0017】
他方側第2相対的線形運動要素1−2は、図2に示されるように、ロッド部分24と、引き操作用摘み25とワイヤ部分26とから構成されている。ロッド部分24の後方部分はねじ部分27として形成されている。ねじ部分27は、引き操作用摘み25に形成されている雌ねじ28にねじ込まれている。
【0018】
ワイヤ部分26の先端部分は、内径測定ユニット側固定子4の適正部位に通されて固着される。内径測定ユニット側固定子4には、図4と図5とに示されるように、ワイヤ通し穴29が開けられている。傾斜運動操作具側固定子5には、図6に示されるように、ワイヤ部分26とロッド部分24とを貫通的に通す貫通孔31が開けられている。ワイヤ部分26は、傾斜運動操作具側固定子5の貫通孔31に通され更に内径測定ユニット側固定子4のワイヤ通し穴29に通される。ワイヤ通し穴29に侵入しているワイヤ部分26は、図3に示されるねじ穴32にねじ込まれるねじ(図示されず)により、内径測定ユニット側固定子4に強固に固着される。
【0019】
内径測定ユニット2は、図2に示されるように、一方側第1相対的線形運動要素2−1として本体筒33を有している。本体筒33の小径部分34は、内径測定ユニット側固定子4にX軸方向に貫通している装着穴35に通されている。小径部分34は、内径測定ユニット側固定子4に形成されているねじ穴36にねじ込まれるねじ(図示されず)により内径測定ユニット側固定子4に固着される。本体筒33に触針案内体37の一方側小径部分38が内装される。
【0020】
一方側小径部分38は、本体筒33に形成されているねじ穴39にねじ込まれるねじ(図示されず)により本体筒33に固着される。触針案内体37のねじ部分である他方側小径部分41が、ガイドストッパねじ42にねじ込まれている。ガイドストッパねじ42は、ストッパ用鍔43を有している。ガイドストッパねじ42に案内されて触針案内体37に対して反発してX軸方向に運動するストッパ用鍔43は、ガイドストッパねじ42に外装されている。
【0021】
触針案内体37とストッパ用鍔43との間に、反発用スプリング44が介設されている。ストッパ用鍔43は、他方側第1相対的線形運動要素2−2を構成している。触針45は、ストッパ用鍔43に固定されている。触針45は、X軸方向に延びて本体筒33の中を通っている。他方側第1相対的線形運動要素2−2は、ストッパ用鍔43と触針45とから構成されている。
【0022】
デジタルゲージユニット46は、本体筒33とともに一方側第1相対的線形運動要素2−1を構成している。内径測定ユニット側固定子4の装着穴35に通されて内径測定ユニット側固定子4から抜け出ている本体筒33の小径部分34にデジタルゲージユニット46のセンサ部分47がねじ込まれる。小径部分34に外装されている締付け具48をねじ49で締め付けて、小径部分34をデジタルゲージユニット46の一部分51に強固に締め付けて、図1に示されるように、全体の組立が完了する。
【0023】
内径測定ユニット2としては、市販されている既製品がそのままに利用されている。そのような既製品では、図2に示されるように、触針45の一端部分は機械的出力端子52として形成されている。機械的出力端子52は、デジタルゲージユニット46の測定子53にX軸方向に対向している。デジタルゲージユニット46は、機械的出力端子52に対する測定子53の相対的接近距離に線形に対応する電気信号54を出力することができる。
【0024】
他方側第2相対的線形運動要素1−2であるロッド部分24に対して引き操作用摘み25を負回転方向に回転させることにより、引き操作用摘み25は、ねじ部分27に対して後退する。本体摘み部分8を左手で持ち、右手で持つ引き操作用摘み25をY軸正方向に引けば、引き操作用摘み25に他方側第2相対的線形運動要素1−2であるロッド部分24とワイヤ部分26とを介して連結されている内径測定ユニット側固定子4は、Y軸正方向に引かれ、引き操作用摘み25に対して相対的にY軸負方向に引かれる一方側第2相対的線形運動要素1−1である本体摘み部分8に軸筒7を介して連結されている傾斜運動操作具側固定子5は、Y軸負方向に引かれる。このように、本体摘み部分8と引き操作用摘み25とは、相対的に逆方向に引かれ得るから、一方側第2相対的線形運動要素1−1と他方側第2相対的線形運動要素1−2は互いに逆方向に引かれ得る。
【0025】
このような第1逆方向引っ張り力によって、内径測定ユニット側固定子4と傾斜運動操作具側固定子5との間に傾斜中心規定ピン6を中心とする回転モーメントが発生して、内径測定ユニット側固定子4の直交状凹面9の一部面である第1角度座標規定面S1(図2参照)と傾斜運動操作具側固定子5の対向部位11の対向面である第2角度座標規定面S2(図2参照)が合致し、内径測定ユニット2の中心軸心線は、Y軸に直交するX軸線X−0に合致する。このような合致により、傾斜運動操作具1の中心軸心線であるY軸と内径測定ユニット2の中心軸心線であるX軸線X−0との間の角度は、90度である。
【0026】
一方側第1相対的線形運動要素2−1の触子点Pと触針45の接触点Qとは、常にX軸上にある。触子点Pと触子点Qの間の距離は、これらの2点に相対的外力が作用しない限り、反発用スプリング44の反発力により最大化している。一方側第1相対的線形運動要素2−1と他方側第1相対的線形運動要素2−2との離隔方向運動は、ガイドストッパねじ42により拘束されていて、触子点Pと触子点Qの間の距離は、これらの2点に相対的外力が作用しない限り、規定最大距離Lになっている。
【0027】
既述の第1逆方向引っ張り力と反対の方向の第2逆方向引っ張り力を両手で本体摘み部分8と引き操作用摘み25とに作用させることにより、内径測定ユニット2は、傾斜運動操作具1に対して傾斜運動許容常態が得られ、図1に示されるように、角度θの範囲で内径測定ユニット2は傾斜運動操作具1に対して傾斜運動することができる。図1は、X軸が傾斜中心規定ピン6を中心として角度θだけ回転運動して、X軸が回転座標X−θに回転的に移動したことを示している。
【0028】
内径測定ユニット2がこのように傾斜すれば、内径測定ユニット2は図9に示される一体型ラッチハウジング101の小外径小内径部105の小径円筒内面102に侵入することが可能である。内径測定ユニット2とともに一方側第2相対的線形運動要素1−1の軸筒7を適正に小径円筒内面102に通し、既述の通りの第1逆方向引っ張り力を本体摘み部分8と引き操作用摘み25に相対的に与えれば、一方側第1相対的線形運動要素2−1の触子点Pと他方側第1相対的線形運動要素2−2の触子点Qとは、両点間距離が縮小する方向に大径円筒内面103から外力を受け、一方側第1相対的線形運動要素2−1と他方側第1相対的線形運動要素2−2とは反発用スプリング44の反発力に抵抗して、X軸線上で互いに接近する方向に移動する。
【0029】
反発用スプリング44の反発力に抵抗して第1逆方向引っ張り力を本体摘み部分8と引き操作用摘み25に相対的に与え続ければ、やがて、一方側第1相対的線形運動要素2−1に固定されている固定X軸がX軸線X−0に合致した時にデジタルゲージユニット46が出力する値は、大径円筒内面103の直径値に一致している。第1角度座標規定面S1と第2角度座標規定面S2は、必ずしもこのような合致に対応する面として構成される必要はなく、固定X軸がX軸線X−0を越えて回転するように第1角度座標規定面S1を形成することは可能である。この場合、デジタルゲージユニット46が出力する最小値が、大径円筒内面103の直径値に一致する。しかし、X軸とY軸が直交する状態で一方側第2相対的線形運動要素1−1を前進後退させることにより、大径円筒内面103の直径を走査的に測定することができる。
【0030】
図7は、一体型ラッチハウジングの公知の加工プロセスを示している。その加工プロセスは、原形ワーク61を加工して内径外径異径体62を製作し更にそれを開先加工する第1プロセス63と、他の原形ワーク64を加工して内外径非異径体を製作し更にそれを開先加工する第2プロセス66と、両加工品を溶接して溶接結合体67を製作するプロセスステップ68と、溶接結合体67の外径部に溝を形成するラッチハウジング外径仕上げ品69を製作するプロセス71と、ラッチハウジング外径仕上げ品69の仕上げを行う仕上げプロセス72とから構成されている。
【0031】
図8は、第1プロセス63のうちの1ステップの詳細を示している。第1プロセス63のうち内径外径異径体62を製作する1ステップは、46ステップから形成される内径異径加工プロセス73である。内径異径加工プロセス73の内の12ステップは、ワーク取り外しステップと、内径計測ステップと、ワーク取り付けの3ステップとからそれぞれに形成される3つの部分プロセスを含んでいる。その3つのプロセスのうちの1つは、ステップ20とステップ21とステップ22とから構成されている。その3つのプロセスのうちの他の1つは、ステップ25とステップ26とステップ27とから構成されている。その3つのプロセスのうちの更に他の1つは、ステップ30とステップ31とステップ32とから構成されている。その3つのプロセスのうちの更に他の1つは、ステップ35とステップ36とステップ37とから構成されている。
【0032】
これらの4つの部分プロセスがそれぞれに含む4つの内径計測ステップ21,26,31,36の計測のためには、従来、ワークの取り外しとワークの再取り付けが必要であった。本発明による内径計測器を用いることにより、このようなワーク取り付けとその取り外しのための8ステップが省略され得る。このような8ステップの省略は、全プロセスの1周期を効果的に短縮することができる。
【0033】
【発明の効果】
本発明による内径計測器、及び、内径計測方法は、内径測定のプロセスの自由度を高くすることができ、更には、加工精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明による内径計測器の実施の形態を示す正面図である。
【図2】図2は、図1の各部の分解と組立を示す正面図である。
【図3】図3は、部品を示す平面図である。
【図4】図4は、図3の正面図である。
【図5】図5は、図3の側面図ある。
【図6】図6は、他の部品を示す正面断面図である。
【図7】図7は、プロセスを示すフロー図である。
【図8】図8は、他のプロセスを示すフロー図である。
【図9】図9は、ワークの加工を示す断面図である。
【符号の説明】
1…操作具
1−1…操作具側本体
1−2…操作具側運動軸
2…内径測定ユニット
2−1…ユニット側本体
2−2…ユニット側運動軸
4…ユニット側回転体
5…操作具側回転体
44…スプリング
53…測定子
P…接触点
Q…接触点
S1…接合面
106…チャック
Claims (6)
- 操作具と、
前記操作具に傾斜自在に結合する内径測定ユニットと、
前記操作具と前記内径測定ユニットとを結合する結合体とを含み、
前記操作具は、
操作具側本体と、
前記操作具側本体に対して線形に運動する操作具側運動軸とを備え、
前記内径測定ユニットは、
ユニット側本体と、
前記ユニット側本体に同体に結合する測定子と、
前記ユニット側本体に対して線形に運動するユニット側運動軸とを備え、
前記結合体は、
前記操作具側運動軸の運動端に結合する操作具側回転体と、
前記操作具側回転体に相対的に回転自在に結合し、前記ユニット側本体に対して結合するユニット側回転体とを備え、
前記操作具側運動軸の運動端部は前記ユニット側回転体に結合し、
前記ユニット側運動軸の一端は測定対象内径の一端に接触する接触点を形成し、
前記ユニット側本体の一端は前記測定対象内径の他端に接触する接触点を形成し、
前記測定子と前記ユニット側運動軸の他端との間の相対距離が電気信号として出力される
内径計測器。 - 2つの前記接触点の間の距離が大きくなる方向に前記ユニット側運動軸を運動させるバイアス力を持つスプリングが前記ユニット側本体に装着されている
請求項1の内径計測器。 - 前記操作具側回転体と前記ユニット側回転体とは、基準機械面を形成して互いに接合する接合面をそれぞれに有する
請求項1又は2の内径計測器。 - 前記接合面は、前記操作具側運動軸と前記ユニット側運動軸との直交性を規定する
請求項3の内径計測器。 - 請求項1の内径計測器を用いて加工プロセス中のワークの内径を測定する内径計測方法であり、
ワークをチャックに固定する第1ステップと、
前記ワークの内径側を旋削する第2ステップと、
前記ワークを前記チャックに固定したままで、前記内径計測器を用いて前記ワークの内径を測定する第3ステップと、
前記第2ステップと前記第3ステップを繰り返す第4ステップ
とを含む内径計測方法。 - 前記第3ステップは、前記操作具側運動軸と前記ユニット側運動軸との間の傾斜角を変動させながら2つの前記接触点を前記内径上で走査するステップを備える
請求項5の内径計測方法。
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JP2002201077A JP2004045129A (ja) | 2002-07-10 | 2002-07-10 | 内径計測器、及び、内径計測方法 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN116907310A (zh) * | 2023-09-08 | 2023-10-20 | 烟台福尔精密机械有限公司 | 一种喷油嘴喷孔直径检测装置 |
-
2002
- 2002-07-10 JP JP2002201077A patent/JP2004045129A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
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CN116907310A (zh) * | 2023-09-08 | 2023-10-20 | 烟台福尔精密机械有限公司 | 一种喷油嘴喷孔直径检测装置 |
CN116907310B (zh) * | 2023-09-08 | 2023-11-14 | 烟台福尔精密机械有限公司 | 一种喷油嘴喷孔直径检测装置 |
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