JP2004043929A - クラッド材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】表面に凹凸5を有するクラッド材10の製造方法であって、表面にフッ素樹脂層2、3を設けた金属板1を表面側としてクラッド材10を構成する複数の金属板1、7を積層して積層体を形成する工程と、フッ素樹脂層2、3を設けた金属板1の表面側に、凹凸4a形状を有する転写用金属板4を、該凹凸4a面が対向するように積層する工程と、該積層状態でホットプレス(熱間一軸加圧)する工程とを備え、該ホットプレス時に、積層された金属板1、7同士を接合すると共に、転写用金属板4の凹凸4aをフッ素樹脂層2、3に転写させている。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、クラッド材の製造方法に関し、詳しくは、表面のフッ素樹脂層に凹凸を有するクラッド材を製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、フライパン、鍋、ジャー炊飯器の内釜等の表面には、非粘着性のフッ素樹脂によりコーティングを施して内容物のこびりつき防止を図っているものが提供されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、金属板の表面にコーティングされたフッ素樹脂の被膜層は剥がれ易く、更なる非粘着性を確保するため、表面に凹凸面を施して内容物との接触面積を低減して非粘着性を付与することが考えられる。
また、上記表面コーティングされたクラッド材の表面に任意の模様を付するため、クラッド材表面に凹凸を形成することも考えられる。
本発明は、上記事項に鑑みてなされたもので、表面に凹凸を有するクラッド材の簡易な製造方法を提供することを課題としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、表面に凹凸を有するクラッド材の製造方法であって、
表面にフッ素樹脂層を設けた金属板を表面側として複数の金属板を積層して積層体を形成する工程と、
上記フッ素樹脂層を設けた金属板の表面側に、凹凸形状を有する転写用金属板を、該凹凸面が対向するように積層する工程と、
上記積層状態でホットプレス(熱間一軸加圧)する工程とを備え、
上記ホットプレス時に、上記積層された金属板同士を接合すると共に、上記転写用金属板の凹凸を上記フッ素樹脂層に転写させていることを特徴とするクラッド材の製造方法を提供している。
【0005】
上記製造方法によると、ホットプレス(熱間一軸加圧)によりクラッド材を形成する工程と同時に、コート板表面のフッ素樹脂層に凹凸面を付与することができるので、作業工数を増やすことなく、凹凸を有するフッ素樹脂層を備えたクラッド材を簡単に製造することが可能となる。
なお、上記凹凸は、円筒状や角柱状の多数の突出部を有する形状としてもよいし、模様を表すものでもよいし、文字等を表すものでもよい。
【0006】
上記コート板の金属板の表面は微細な凹凸である粗面部とし、該粗面部に上記フッ素樹脂層のベースコートを設けている。
【0007】
上記のように、積層体の表面に粗面部を設けることで、フッ素樹脂が表面の微細な凹凸に入り込み、非粘着性のフッ素樹脂によるベースコートを強固に行うことができる。
【0008】
上記ベースコートの表面に所要位置の目盛り、模様、文字等の上記表示を印刷あるいは塗装により付して、その表面に更にトップコートを形成するフッ素樹脂層を設けてもよい。この場合、印刷等による表示部分は上記転写用金属板で凹凸が転写されない部分に設けることが好ましい。
なお、上記目盛り等の表示を付さずに上記ベースコート表面に更にトップコートとなるフッ素樹脂層を設けてもよい。
【0009】
上記金属板同士の対向面には、銅、アルミニウム、ニッケル、銀等の接合用金属層がメッキ、蒸着、イオン蒸着、溶融金属浸漬法あるいは溶融金属溶射で形成されていると、上記ホットプレス時に上記接合用金属層を溶融させて上記金属板同士を強固に接合でき好ましい。なお、上記接合用金属層は、メッキ処理等にて設ける代わりに、接合用金属箔を介在させることにより設けてもよい。
【0010】
また、上記フッ素樹脂層を設けた金属板は伝熱層となる非磁性金属板とし、上記フッ素樹脂層のある表面の反対側面に積層される金属板は高周波磁界により発熱層となる磁性金属板とし、電磁誘導加熱容器の素材としていると好適である。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
本実施形態のクラッド材10は電磁調理鍋等の電磁誘導加熱容器の素材となるものであり、図1に示すように、非磁性金属板(アルミニウム板)1の上面にフッ素樹脂層2、3を設けると共に下面に銅メッキ層6を設けたコート板9を磁性金属板(ステンレス板)7の上面側に積層し、フッ素樹脂層2、3のある上面側に転写用金属板4を介在させた状態でホットプレスして形成している。
【0012】
コート板9の非磁性金属板は、熱伝導性が良好で伝熱層となるものであれば特に限定されず、アルミニウム、アルミニウム合金、セラミック、非磁性ステンレス等の材料が用いられるが、本実施形態では熱伝導性や加工性が良い点からアルミニウム板1を用いている。
上記アルミニウム板1は、熱伝導性および強度の観点から0.5〜5.0mmの厚みのものを使用し、下面側に接着層となる銅メッキ6を施し、該銅メッキ6の厚さは1〜20μmとしている。
【0013】
アルミニウム板1の上面側には、図4に示すように、予めエッチング処理により表面に微細な凹凸となる粗面部1aを形成している。
なお、上記エッチングには、電気エッチング、化学エッチング、広義にはブラスト法等も含まれる。
アルミニウム板1のエッチング処理した上面に、着色されたフッ素樹脂をベースコート2として10〜40μmの厚さでコーティングしている。
コーティングされたフッ素樹脂はアルミニウム板1の表面に粗面部1aを設けることで、表面の凹凸に入り込み、非粘着性のフッ素樹脂によるベースコートを強固に行うことができる。
【0014】
上記ベースコート2の表面には、更に無色のフッ素樹脂をトップコート3として5〜40μmの厚さでコーティングしている。
なお、ベースコート2およびトップコート3に用いるフッ素樹脂としては、耐熱性に優れたポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)等を用いることが好ましい。
【0015】
磁性金属板7は、高周波磁界により渦電流が流れて発熱層となるものであれば特に限定されず、磁性ステンレス、鉄、鉄合金、ニッケル、ニッケル合金、銅、銅合金、コバルト、コバルト合金等が用いられるが、本実施形態では、磁性のステンレス板7を用いている。
ステンレス板7は、0.1〜3.0mmの厚みのものを使用し、上面側に接着層となる銅メッキ6を施し、銅メッキ6の厚さは1〜20μmとしている。
【0016】
転写用金属板4の材料はフッ素樹脂層となるトップコート3、ベースコート2に凹凸を付与できれば特に限定されず、鉄、鉄合金、ステンレス等が好適に用いられるが、本実施形態では、下面に凹凸4aを備えた鉄板4を用いている。
【0017】
次に、クラッド材10の形成工程を説明する。
フッ素コーティングされたアルミニウム板1の下面に銅メッキ6が互いに対向するようにステンレス板7を積層すると共に、アルミニウム板1のコーティングされた表面側に転写用の鉄板4を凹凸4aがフッ素樹脂層(トップコート3、ベースコート2)と対向するように載置する。
上記積層状態で、図2に示すように、ホットプレス(熱間一軸加圧)することにより、銅メッキ6同士の銅の金属拡散により接着剤として機能させ、アルミニウム板1とステンレス板7とが接合されると同時に、転写用の鉄板4の凹凸4aがフッ素樹脂層(トップコート3、ベースコート2)に転写され、図3に示すように、転写用の鉄板4を取り外すだけで、表面に凹凸5を有するクラッド材10を簡単に形成することができる。
【0018】
上記ホットプレスとしては、熱間等方向加圧法や熱間一軸加圧法などが挙げられるが、本実施形態では、熱間一軸加圧法によりホットプレスしている。
詳しくは、臼と杵からなる型内に、フッ素コーティングされたコート板9とステンレス板7とを積層した後、コート板9と対向するように転写用の鉄板4を載置し、加熱炉と油圧プレスを備えた装置で熱と圧力を同時に加えることにより、銅メッキ6を接着層としてアルミニウム板1とステンレス板7を接合させている。
上記熱間一軸加圧法によるホットプレスは、温度180〜600℃、圧力200〜1000kg/cm2、加圧時間5min〜30hの条件下で行っており、接合界面へのガス分子の介在を低減し、接合される金属同士の拡散を促進するべく減圧下または真空下で行うことが好ましい。
【0019】
なお、上記ホットプレスにより表面に凹凸5を有するクラッド材10を形成する場合、1枚のクラッド材10を構成する1組の積層体(コート板9とステンレス板7)を、転写用の鉄板4を介して複数組を型内に積層することで、複数のクラッド材10を一括して製造することができ、大量生産が可能となる。
【0020】
さらに、本実施形態のクラッド材10は2層構造としているが、3層以上のクラッド材としてもよい。
また、転写用金属板4の凹凸4aは、円筒状や角柱状の多数の突出部を有する形状に限定されず、模様や文字等を浮き出し或いは刻設して表示するものでもよい。
【0021】
本実施形態のクラッド材の変形例として、電磁誘導加熱容器ではない単なる加熱容器、鍋、フライパンの素材となるクラッド材であってもよい。
つまり、その場合のクラッド材を構成する金属板は、誘導コイルからの高周波磁界により渦電流が流れて発熱層となる材質に限定されない。
【0022】
また、接合用金属層6は、メッキ処理にて設ける代わりに、蒸着、イオン蒸着、溶融金属浸漬法あるいは溶融金属溶射で設けてもよく、その材料も銅の代わりに、アルミニウム、ニッケル、銀等を用いてもよい。
【0023】
【発明の効果】
以上の説明より明らかなように、本発明によれば、ホットプレスによりクラッド材を形成する際に、フッ素樹脂層に対向して上記転写用金属板を介在させるだけで、上記接合用金属層を溶融させて上記コート板と上記他の金属板とを接合する工程と同時に、コート板表面のフッ素樹脂層に凹凸面を付与することができ、作業工数を増やすことなく、凹凸を有するフッ素樹脂層を備えたクラッド材を簡単に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態のクラッド材の製造前の状態を示す概略図である。
【図2】クラッド材の製造中の状態を示す概略図である。
【図3】クラッド材の製造後の状態を示す概略図である。
【図4】フッ素樹脂層を示す要部断面模式図である。
【符号の説明】
1 アルミニウム板
1a 粗面部
2 ベースコート(フッ素樹脂層)
3 トップコート(フッ素樹脂層)
4 鉄板(転写用金属板)
4a、5 凹凸
6 銅メッキ
7 ステンレス板
9 コート板
10 クラッド材
Claims (5)
- 表面に凹凸を有するクラッド材の製造方法であって、
表面にフッ素樹脂層を設けた金属板を表面側として複数の金属板を積層して積層体を形成する工程と、
上記フッ素樹脂層を設けた金属板の表面側に、凹凸形状を有する転写用金属板を、該凹凸面が対向するように積層する工程と、
上記積層状態でホットプレス(熱間一軸加圧)する工程とを備え、
上記ホットプレス時に、上記積層された金属板同士を接合すると共に、上記転写用金属板の凹凸を上記フッ素樹脂層に転写させていることを特徴とするクラッド材の製造方法。 - 上記コート板の金属板の表面は微細な凹凸である粗面部とし、該粗面部に上記フッ素樹脂層のベースコートを設けている請求項1に記載のクラッド材の製造方法。
- 上記コート板は上記ベースコート表面に更にトップコートとなるフッ素樹脂層を備えている請求項2に記載のクラッド材の製造方法。
- 上記金属板同士の対向面には、銅、アルミニウム、ニッケル、銀等の接合用金属層がメッキ、蒸着、イオン蒸着、溶融金属浸漬法あるいは溶融金属溶射で形成されている請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のクラッド材の製造方法。
- 上記フッ素樹脂層を設けた金属板は伝熱層となる非磁性金属板とし、上記フッ素樹脂層のある表面の反対側面に積層される金属板は高周波磁界により発熱層となる磁性金属板としている請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のクラッド材の製造方法。
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