JP3594151B2 - 電磁調理器用複合材及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本願発明は、電磁加熱式炊飯ジャー内釜、電磁調理器用鍋等として用いられる電磁調理器用複合材に関し、更に詳しくは、熱伝導性が向上し、電磁調理器用器物として用いた場合、温度分布がより均一になり、調理物の加熱もより早くなる電磁調理器用複合材及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電磁加熱式調理器具に用いられる電磁加熱式炊飯ジャー内釜や電磁調理器用鍋等の器物は、発熱を受け持つ鉄、ステンレス等の磁性金属板と導熱を受け持つアルミニウムやアルミニウム合金板(アルミニウム板)との複合材を基材とし、アルミニウム板を内側として深絞り等のプレス成形加工により製造されている。アルミニウム板の外表面側には、炊飯等のこびりつきを防ぐために、通常、フッ素樹脂の被覆層が設けられている。
【0003】
電磁調理器では、トッププレートの下側にコイルを配置し、コイルで生じた磁力線によりトッププレート上の鍋の底板内に渦電流を起こして発熱させるようになっている。したがって、電磁加熱式炊飯ジャー内釜や電磁調理器用鍋等の器物は、鉄、ステンレス等の磁性金属により作成されている。しかし、磁性金属は、熱伝導率が小さいため、鍋等の器物の底部は加熱されるものの、側面の温度が低く、内容物(調理物)の均一加熱が困難である。そこで、磁性金属板とアルミニウム板とを複合化した複合材を用いて、深絞り等のプレス成形加工により、外面を磁性金属により形成し、内面を熱伝導率の良いアルミニウムまたはアルミニウム合金により形成した電磁調理器用器物が開発されている。
【0004】
このような構造を採用することにより、高周波加熱を可能とするとともに、器物の側板上方への熱伝導性を向上させ、かつ、側板外面への放熱を防ぐことができる。しかしながら、従来の電磁調理器用複合材は、熱伝導性が必ずしも十分ではなく、更なる改善が求められている。
ところで、従来、このような構造の複合材は、ロール圧延によって磁性金属板とアルミニウム板とを複合化する方法により製造されていた(特公昭54−3468号公報、特公昭54−9985号公報)。ロール圧延法によれば、複合材を大量に生産することができるものの、アルミニウム板を圧縮して接合するため、板厚のバラツキが大きく、このため、プレス成形時にしわや割れが生じやすいという欠点がある。
【0005】
このようなロール圧延法による欠点を克服する方法として、本出願人は、熱間等方向加圧法(特願平3−57184号)や熱間一軸加圧法(特開平6−15465号公報、特開平6−179083号公報)により、磁性金属板とアルミニウム板とを接合する複合材の製造方法を提案している。特に、熱間一軸加圧法によれば、分離材を用いて基材となる複数組を同時に加熱・加圧(ホットプレス)することができるため、大量生産が可能であり、しかもプレス成形した際に、器物のしわや割れ、層間剥離等の不良率の発生が極めて少ない複合材を得ることができる。
【0006】
この熱間一軸加圧法によれば、磁性金属板とアルミニウム板とを、中間層を介在させることなく直接にホットプレスして接合することができるが、中間層として、Cu、Al、Ni、Agまたはこれらの合金などの金属層を介在させると、接合条件を低温、低圧側にシフトさせることができる。そこで、前記各公開公報には、磁性金属板及び/またはアルミニウム板の接合面に、これらの金属層を、メッキ、蒸着、イオン蒸着、溶融金属浸漬などの方法により設けた後、熱間一軸加圧法によりホットプレスする方法が開示されている。
【0007】
しかしながら、これらの公開公報の実施例には、磁性金属板及び/またはアルミニウム板の接合面に、厚みが1〜10μm程度の極めて薄いメッキ層、あるいは厚みが20μm程度の溶融浸漬法によるAl層を設けて、接合した例が開示されているだけである。そして、これらの公開公報の実施例には、磁性金属板及び/またはアルミニウム板の接合面にCuメッキ層を形成した例も開示されているが、Cuメッキ層の厚みは、1〜10μm程度と極めて薄いものである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、熱伝導性が向上し、電磁調理器用器物に成形した場合、温度分布がより均一になり、調理物の加熱もより早くなる電磁調理器用複合材及びその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、前記従来技術の有する問題点を克服するために鋭意研究を行った結果、磁性金属板とアルミニウム板とを金属層を介して接合してなる電磁調理器用複合材において、金属層として銅(Cu)層を配置するとともに、この銅層の厚みをある一定値以上に大きくし、かつ、アルミニウム板と銅層の合計厚みに対する銅層の厚みの比率を一定値以上に設定することにより、熱伝導性が顕著に改善されることを見いだした。
【0009】
このような厚みのある銅層を形成するには、磁性金属板とアルミニウム板との間に銅板を挟み込んでホットプレスし、各層を接合する方法が採用される。この場合、磁性金属板とアルミニウム板の各片面に銅メッキ層を施し、銅板を各銅メッキ層の間に挟み込んでホットプレスし、各層を接合すると、接合強度が向上する。磁性金属板とアルミニウム板の各片面に、ニッケルメッキを施し、その上に銅メッキ層を形成すると、各層の接合強度が更に向上する。
本発明は、これらの知見に基づいて完成するに至ったものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、磁性金属板とアルミニウム板とを銅層を介して接合してなる電磁調理器用複合材であって、銅層の厚みが0.07mm以上で、アルミニウム板の厚みが0.10mm以上であり、銅層が磁性金属板とアルミニウム板の各片面にニッケルメッキ層を介して施された銅メッキ層と、各銅メッキ層に挟まれた銅板との接合により形成されたものであり、かつ、アルミニウム板の厚みをD1とし、銅層の厚みをD2としたとき、アルミニウム板と銅層の合計厚みに対する銅層の厚みの比率〔D2/(D1+D2)〕が0.05以上であることを特徴とする電磁調理器用複合材が提供される。
また、本発明によれば、磁性金属板とアルミニウム板の各片面に、ニッケルメッキ層を介して銅メッキ層を形成した後、各銅メッキ層により銅板を挟むようにして磁性金属板、銅板、及びアルミニウム板を積層し、次いで、ホットプレスして各層を接合することを特徴とする電磁調理器用複合材の製造方法が提供される。
【0011】
【発明の実施の態様】
本発明では、磁性金属板として、鉄板、ステンレス板、ニッケル板などを使用するが、特にフェライト系ステンレス板を用いると、電磁誘導加熱方式での発熱が可能となるため好ましい。磁性金属板の厚みは、通常、0.3〜1.0mm程度である。多くの場合、0.5mm厚程度のステンレス板が用いられる。
本発明では、アルミニウム板として、アルミニウム単体あるいはアルミニウム合金から形成された板を用いる。特に、Mg−Mn系アルミニウム合金板を用いると、耐食性に優れた器物を得ることができるため好ましい。
【0012】
本発明の電磁調理器用複合材は、通常、磁性金属板とアルミニウム板の各片面に所望によりニッケルメッキ層を介して銅メッキ層を形成した後、各銅メッキ層により銅板を挟むようにして磁性金属板、銅板、及びアルミニウム板を積層し、次いで、ホットプレスして各層を接合する方法により製造する。
ホットプレスする方法としては、熱間等方向加圧法や熱間一軸加圧法などが採用される。熱間等方向加圧法は、加熱機構を内蔵した高圧容器を使用し、超高圧の不活性ガス雰囲気中で高圧加熱することにより、磁性金属板とアルミニウム板とを接合する方法である。
【0013】
本発明では、熱間一軸加圧法によりホットプレスすることが好ましい。この熱間一軸加圧法は、従来よりセラミックス等の無機質粉末原料を高密度に燒結するための方法として知られており、臼と杵よりなる型内に原料粉末を入れ、加熱炉と油圧プレスを備えた装置で、温度と一軸圧力を同時に加える方法である。本発明の複合材を製造する場合には、粉末原料が入る型内に各素材板を重ね合わせて入れ、これを熱間一軸加圧して、接合する。各素材板(磁性金属板、銅板、及びアルミニウム板)の組は、必要に応じて分離材を介して多数組を積層して型内に入れ、同時にホットプレスすれば、複合材の大量生産が可能である。
【0014】
熱間一軸加圧法の条件は、通常、温度180〜600℃、圧力200〜1000kg/cm2、及び加圧時間10分間〜3時間である。熱間一軸加圧法における雰囲気としては、大気中、非酸化性ガス中でもよいが、接合界面へのガス分子の介在を低減し、接合金属同士の拡散を促進するためには、減圧または10torr以下の真空にすることが好ましい。熱間一軸加圧法によれば、加熱下に、積層した板素材の上下から加圧し金属拡散によって各層を接合することができ、従来のロール圧延による製造方法にくらべて、▲1▼板厚ばらつきが小さい、▲2▼材料ロスが少ない等の利点が得られる。分離材としては、アルミナ等のセラミックシート、カーボンシートなどのシート状のもの、ガラスクロスなどの織物や布状のもの、粉末状のものなどが使用できる。分離材の材質は、磁性金属やアルミニウムまたはアルミニウム合金よりも融点の高いものが使用される。
【0015】
磁性金属板及びアルミニウム板の接合面側には、銅メッキが施される。銅メッキ層を設けることにより、銅板を挟み込んでホットプレスした場合に、比較的穏やかな条件で、各層間の接合が可能となる。具体的には、銅メッキを施すことにより、200〜260℃程度の低温で接合が可能となる。銅メッキ層は、磁性金属板及びアルミニウム板の接合面側に、予めニッケルメッキを施した後、その上に銅メッキを施して形成すると、磁性金属板と銅板との間の接合強度、及び銅板とアルミニウム板との間の接合強度が向上するため、好ましい。
【0016】
さらに、アルミニウム板の接合面側には、亜鉛置換メッキ処理を行った後、その上にニッケルメッキを施し、さらにその上に銅メッキを施すと、ニッケルメッキ及び銅メッキの付着力が増大するため好ましい。亜鉛置換では、通常、0.1μm未満の層が形成される。ニッケルメッキの場合、通常、0.1〜5μm、好ましくは0.1〜1μm程度の薄いメッキ層を形成することが望ましい。銅メッキでは、通常、1〜20μm、好ましくは5〜15μm程度のメッキ層を形成することが望ましい。
磁性金属板及びアルミニウム板は、メッキ処理等を施す前に、十分に洗浄処理を行ったり、電解エッチング処理やサンドブラスト処理等による粗面化処理を行うことが好ましい。
【0017】
本発明では、片面にそれぞれ銅メッキが施された磁性金属板とアルミニウム板の各銅メッキ層により銅板を挟むようにして、磁性金属板、銅板、及びアルミニウム板を積層し、次いで、熱間一軸加圧法などによりホットプレスして各層を接合して、電磁調理器用複合材を製造する。銅板としては、板厚0.05mm以上のものを用い、接合後に、各銅メッキ層と銅板により形成される銅層の合計厚みが0.07mm以上となるようにする。磁性金属板とアルミニウム板に、それぞれ10μm程度の厚みの銅メッキ層を形成して接合した公知の複合材では、熱伝導性の改善効果が小さく、したがって、そのような複合材を電磁加熱式炊飯ジャー内釜などに成形した場合、内容物の昇温速度を高めたり、温度分布を均一にする作用効果が不十分である。また、銅板を挟んで接合しても、銅層の合計厚みが小さ過ぎると、やはり十分な熱伝導性の改善効果を得ることができない。
【0018】
また、本発明では、銅層の厚みを0.07mm以上にするとともに、アルミニウム板の厚みを0.10mm以上とし、更には、アルミニウム板の厚みをD1とし、銅層の厚みをD2としたとき、アルミニウム板と銅層の合計厚みに対する銅層の厚みの比率〔D2/(D1+D2)〕を0.05以上とすることが必要である。このような構成を採用することにより、コストを抑制しつつ、効率よく熱伝導性を大幅に向上させることができる。
【0019】
アルミニウム板の厚み(D1)は、通常、0.10〜2.50mm、好ましくは0.30〜2.00mm、より好ましくは0.50〜1.50mmである。アルミニウム板の厚みが小さすぎると、耐食性が低下し、また、ホットプレスなどの加工条件に耐えなくなるおそれが生じる。逆に、アルミニウム板の厚みが大きすぎると、経済的ではない。
【0020】
銅層の厚み(D2)は、通常、0.07〜2.00mm、好ましくは0.10〜1.50mm、より好ましくは0.20〜1.00mmである。なお、銅層の厚みは、各銅メッキ層と銅板の各厚みの合計厚みである。銅層の厚みが小さすぎると、熱伝導性向上効果が小さく、逆に、大きすぎると、経済的ではなく、熱伝導性向上効果も飽和する。使用する銅板の厚みは、通常、0.05〜1.98mm、好ましくは0.08〜1.48mm、より好ましくは0.18〜0.98mmである。
【0021】
アルミニウム板と銅層の合計厚み(D1+D2)に対する銅層の厚み(D2)の比率〔D2/(D1+D2)〕は、通常、0.05〜0.60であり、好ましくは0.10〜0.50である。この比率が小さすぎると、熱伝導性の改善効果が小さく、大きすぎると、ホットプレスやプレス成形加工などが困難になるおそれがある。なお、アルミニウム板と銅層の合計厚み(D1+D2)は、好ましくは0.90〜2.50mm、より好ましくは1.00〜1.70mmである。
【0022】
本発明の電磁調理器用複合材は、アルミニウム板の側を器物の内面にして、電磁加熱式炊飯ジャー内釜、電磁調理器用鍋等の器物にプレス成形加工される。この場合、器物内面に非粘着性を持たせるために、アルミニウム板の銅板との接合面とは反対側の面に、フッ素樹脂の被覆層を形成することが好ましい。本発明の複合材へのフッ素樹脂の被覆層は、予めフッ素樹脂を被覆したアルミニウム板を用いるか、あるいは各層を接合した後、該面にフッ素樹脂を被覆することにより形成することができる。フッ素樹脂層は、場合によっては、複合材を各種器物の形状にプレス成形加工した後、その内面にフッ素樹脂のコーティングを施すことによって、形成してもよい。予めフッ素樹脂を被覆したアルミニウム板を用いると、接合時の加圧によってフッ素樹脂層の表面がより平滑になり、非粘着性が向上するので好ましい。フッ素樹脂層の厚みは、通常、5〜50μm、好ましくは10〜30μm程度である。
【0023】
また、本発明の複合材を炊飯器内釜などの耐食性が要求される用途に用いる場合には、磁性金属板の非接合面に、クロムメッキやクロメート処理被膜、あるいは亜鉛メッキ等の耐食性金属層を形成することが好ましい。特に、磁性金属として、鉄系合金やニッケル系合金を用いる場合には、クロム及びクロム酸化物を含有する被膜処理を施すことが望ましい。また、使用温度にもよるが、磁性金属板の非接合面に、フッ素樹脂やアラミド、アミド、イミド系の耐熱樹脂を被覆してもよい。
【0024】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を挙げて、本発明についてより具体的に説明する。
【0025】
[実施例1]
アルミニウム板として、材質がJIS3004系アルミニウム合金MG−110(住友軽金属社製;Mg0.6〜0.8%及びMn0.9〜1.1%を含有)で、板厚が1.13mm、径360mmφのアルミニウム合金板(サークル板)を用いた。アルミニウム合金板の表面には、NaCl水溶液中、20クーロン/cm2の電気量で電解エッチングを施し、表面に微細な凹凸を設けた後、その片面に、四フッ化エチレン樹脂分散液を2層にコートし、焼き付けてフッ素樹脂被覆層(厚み20μm)を形成した。フッ素樹脂被覆層を形成したアルミニウム合金板の他面には、亜鉛置換メッキ処理(厚み0.1μm未満)を行った後、その上にニッケルメッキ(厚み0.5μm)を施し、さらにその上に銅メッキ(厚み10μm)を施した。
一方、磁性金属板として、材質がSUS430で、板厚が0.5mm、径360mmφのステンレス板(サークル板)を用いた。ステンレス板の片面に、ニッケルメッキ(厚み0.5μm)を施した後、その上に銅メッキ(厚み10μm)を施した。
【0026】
図1に示すように、片面にフッ素樹脂被覆層1を設け、他面に銅メッキ層3を設けたアルミニウム合金板2、銅板4(厚み0.05mm)、及び片面に銅メッキ層5を設けたステンレス板6を、各銅メッキ層3及び5の間に銅板4を挟んで積層した。この積層品を1セットとし、各セット間には、カーボン薄板を分離材として配置して、100セットを積み重ねた。
この100セットの積層品をカーボン製の型の臼に入れ、杵を入れて、型全体を熱間一軸加圧装置の真空炉にセットした。そして、圧力600kg/cm2、温度260℃、真空度1torrにて1時間加圧し、100セットの複合材を得た。各複合材の層間の接合強度は、アルミニウム板/銅層の間もステンレス板/銅層の間も、同じ15kg/5mm(幅5mmの複合板の引き剥し強度)であった。
【0027】
このようにして得られた複合材を、深絞り成形加工により、フッ素樹脂被覆層を内面側にして電磁加熱(IH)ジャー炊飯器内釜(底面の径約230mmφ、側面の高さ約140mm)に成形加工した。複合材を用いた内釜の熱伝導性を評価するために、次の2つの試験を実施した。
<試験1>
内釜を電磁誘導加熱用ホットプレートの上にのせ、水2リットルを加熱し、加熱時間と水温とを測定した。水温は、測定時にスプーンで水をよく攪拌した後、内釜の中央部の水面から50mmの深さまでアルコール温度計の先端を浸漬して測定した。
<試験2>
からの内釜を電磁誘導加熱用ホットプレートの上にのせ、内釜の内面の底面(電磁コイルの真上)と側面(熱伝導によって昇温)との温度差を測定した。側面の温度測定は、底部から30mmのところの内釜内面に接触式温度計を配置して行った。
これらの試験結果を表1に示す。
【0028】
[実施例2〜6、比較例1〜3]
表1に示すように、銅板とアルミニウム板の厚みを種々に変化させたこと以外は、実施例1と同様にして複合材を作成し、同様にして評価した。なお、比較例1及び3では、銅板を使用しなかった。結果を表1に一括して示す。
【0029】
【表1】
【0030】
表1の結果から明らかなように、銅板を挟んで中間の銅層を厚くすることにより熱伝導性が向上し、電磁調理器用器物として用いた場合、温度分布がより均一になり、しかも調理物の加熱もより早くなることが確認できる。より具体的に、銅層の厚みが0.07mm以上になると、例えば、試験1において、10分後の水温が比較例よりも3℃以上高くなり、0.10mm以上になると、更に高くなることから、実用的な昇温速度の改善の得られることが分かる。また、試験2の結果からは、内釜側面の昇温速度が早くなり、より均一な加熱が可能となることが分かる。
【0031】
【発明の効果】
本発明によれば、熱伝導性が向上し、電磁調理器用器物として用いた場合、温度分布がより均一になり、調理物の加熱もより早くなる電磁調理器用複合材及びその製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1実施例の複合材の積層構成を示す断面図である。
【符号の説明】
1:フッ素樹脂層
2:アルミニウム板
3:銅メッキ層
4:銅板
5:銅メッキ層
6:磁性金属板
Claims (6)
- 磁性金属板とアルミニウム板とを銅層を介して接合してなる電磁調理器用複合材であって、銅層の厚みが0.07mm以上で、アルミニウム板の厚みが0.10mm以上であり、銅層が磁性金属板とアルミニウム板の各片面にニッケルメッキ層を介して施された銅メッキ層と、各銅メッキ層に挟まれた銅板との接合により形成されたものであり、かつ、アルミニウム板の厚みをD1とし、銅層の厚みをD2としたとき、アルミニウム板と銅層の合計厚みに対する銅層の厚みの比率〔D2/(D1+D2)〕が0.05以上であることを特徴とする電磁調理器用複合材。
- アルミニウム板の厚みD1が0.10〜2.50mm、銅層の厚みD2が0.07〜2.00mm、かつ、アルミニウム板と銅層の合計厚みに対する銅層の厚みの比率〔D2/(D1+D2)〕が0.05〜0.60である請求項1記載の電磁調理器用複合材。
- アルミニウム板の銅層との接合面とは反対側の面に、フッ素樹脂層が更に形成されている請求項1または2記載の電磁調理器用複合材。
- 磁性金属板とアルミニウム板の各片面に、ニッケルメッキ層を介して銅メッキ層を形成した後、各銅メッキ層により銅板を挟むようにして磁性金属板、銅板、及びアルミニウム板を積層し、次いで、ホットプレスして各層を接合することを特徴とする電磁調理器用複合材の製造方法。
- アルミニウム板の銅板との接合面とは反対側の面に、予めフッ素樹脂を被覆したアルミニウム板を用いるか、あるいは各層を接合した後、該面にフッ素樹脂を被覆する請求項4記載の電磁調理器用複合材の製造方法。
- 板厚0.05mm以上の銅板を用い、接合後に、銅メッキ層と銅板とにより形成される銅層の厚みを0.07mm以上とする請求項4または5記載の電磁調理器用複合材の製造方法。
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