JP2004043783A - インクジェット記録用インク - Google Patents
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Abstract
【課題】耐水性、耐光性にすぐれ、しかも安定した吐出特性をもつインクジェット記録用インクを提供する。
【解決手段】染料及び/又は顔料と水とを必須成分とするインクジェット記録用インクであって、ポリエチレンオキサイド基及びポリプロピレンオキサイド基を有する非イオン系界面活性剤を含有し、かつ、そのポリエチレンオキサイド基の付加モル数Xとポリプロピレンオキサイド基の付加モル数Yが、0<Y<X≦10を満たす。
【選択図】 なし
【解決手段】染料及び/又は顔料と水とを必須成分とするインクジェット記録用インクであって、ポリエチレンオキサイド基及びポリプロピレンオキサイド基を有する非イオン系界面活性剤を含有し、かつ、そのポリエチレンオキサイド基の付加モル数Xとポリプロピレンオキサイド基の付加モル数Yが、0<Y<X≦10を満たす。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録用インクであり、特に記録ヘッドからインク滴を吐出させ、記録媒体上にインク像を得るインクジェットプリンタ用のインクに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、インク滴を記録媒体上に吐出させて記録像を書き込む形式のインクジェット記録用のインクとして、染料が使用されていた。これは、吐出安定性、インクの保存安定性の向上が目的である。しかし記録物の耐水・耐候性の面から考えると、染料よりも顔料を用いる方が有利である。
【0003】
そこで特許文献1、特許文献2では、インクの構成成分として、水と顔料と樹脂エマルジョンを含有することで、耐水性、耐光性の問題を解決するとともに、従来の染料系インクの問題点であった文字のにじみ等を解決するインクが報告されている。このような顔料と樹脂エマルジョンからなるインクは、印字画像の耐光性、耐水性、および耐擦性等、優れた基本特性を有している。
【0004】
しかしながら、インク液中に着色成分である顔料の他に、エマルジョン等の多数の成分を含まれるため、インクの起泡性が増加し、インクの吐出特性が低下する。これにより、インクジェットヘッド内に気泡が発生し、インクジェットヘッドの吐出エネルギーが減衰され、十分なインク吐出が得られなくなり、インクドットの飛行曲がり、吐出不良等を生じる。その結果、画像不良の発生を来たす。
【0005】
インクジェットヘッドにとって泡の発生は先述のごとく悪影響を及ぼす。したがって、泡の立たないインクが望ましいが、複数の材料を混合して作成する性質上、完全に泡を押さえることは不可能である。
【0006】
特許文献3では、インクに使用する界面活性剤の起泡性を規定することでこのような問題の解決を試みている。確かにインク中の界面活性剤の起泡性は、インクの起泡性にある程度影響を与えると思われる。しかし、界面活性剤の起泡性によって、インク自体の起泡性を完全に規定することはできない。特に本発明のように着色成分である顔料の他に、樹脂エマルジョン等の多数の成分を含有するインクにおいては、それらの各成分によってもインクの起泡性は大きな影響を受ける。
【0007】
さらに、特許文献4ではJISK規格に基づいた5分後の泡の高さを規定することを試みている。しかしながら、インクジェットシステムの系においては、できるだけ泡が発生しないもしくは、発生した泡がすばやく消えることが望ましい。
【0008】
【特許文献1】
特開平2−255875号公報
【特許文献2】
特開平4−18462号公報
【特許文献3】
特開昭61−250076号公報
【特許文献4】
特開平9−279068号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来技術の問題を解決するものであり、耐水性、耐光性にすぐれ、しかも安定した吐出特性をもつインクジェット記録用インクを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、少なくとも水を主成分とする溶媒と、色材を含む固形分と、少なくとも1種類の非イオン系界面活性剤とを含有し、そして、その非イオン系界面活性剤が有するポリエチレンオキサイド基の付加モル数X、ポリプロピレンオキサイド基の付加モル数Yについて、所定の範囲とすることにより、目的のインクを得られることを見出し、本発明にいたった。
【0011】
即ち、本発明は、染料及び/又は顔料と水とを必須成分とするインクジェット記録用インクであって、ポリエチレンオキサイド基及びポリプロピレンオキサイド基を有する非イオン系界面活性剤を含有し、かつ、そのポリエチレンオキサイド基の付加モル数Xとポリプロピレンオキサイド基の付加モル数Yが、0<Y<X≦10、を満たすインクジェット記録用インクである。
【0012】
また、本発明は、上記非イオン系界面活性剤のポリエチレンオキサイド基の付加モル数Xとポリプロピレンオキサイド基の付加モル数Yが、0<X≦10、及び、X/2−1<Y≦X/3+2、を満たすインクジェット記録用インクである。
【0013】
そして、本発明は、上記非イオン系界面活性剤を0.001重量%以上2重量%以下含有するインクジェット記録用インクである。
【0014】
更に、本発明は、上記非イオン系界面活性剤が下記式1で示される構造の物質からなるインクジェット記録用インクである。
【化2】
ただし、q及びrはそれぞれ分子数であり、EOはポリエチレンオキサイド基であり、POはポリプロピレンオキサイド基であり、x及びyはそれぞれの基の付加モル数である。
【0015】
また、本発明は、色材を含む固形分を1重量%以上20重量%以下含有するインクジェット記録用インクである。
【0016】
そして、本発明は、上記固形分が顔料と水溶性樹脂及び/またはエマルジョン及び/またはラテックスであるインクジェット記録用インクである。
【0017】
これにより、印字物の性能、特に耐水性、耐擦刷性が向上する。
【0018】
更に、本発明は、上記顔料が特に自己分散型顔料であるインクジェット記録用インクである。
【0019】
また、本発明は、水溶性有機溶剤を30重量%以上含有するインクジェット記録用インクである。
【0020】
これにより、目詰まり防止、添加剤の溶解性が向上する。
【0021】
そして、本発明は、上記水溶性有機溶剤がエチレングリコール系エーテルを3重量%以上有するインクジェット記録用インクである。
【0022】
更に、本発明は、上記エチレングリコール系エーテルがトリエチレングリコール系エーテル及び/又はテトラエチレングリコール系エーテルであるインクジェット記録用インクである。
【0023】
これにより、画像濃度が上がり、画質が向上する。
【0024】
また、本発明は、静的表面張力が25dyne/m〜50dyne/mであるインクジェット記録用インクである。
【0025】
そして、本発明は、粘度が1〜10cpであるインクジェット記録用インクである。
【0026】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を説明する。
本発明では、固体成分として顔料と樹脂成分を含有し、さらにそのようなインク液中に多数の成分を含有するインクにおいて、ポリエチレンオキサイド基及びポリプロピレンオキサイド基を有する非イオン系界面活性剤を含有する。
【0027】
そして、含有する非イオン系界面活性剤は、そのポリエチレンオキサイド基の付加モル数Xとポリプロピレンオキサイド基の付加モル数Yが、0<Y<X≦10、を満たしている。または、0<X≦10、及び、X/2−1<Y≦X/3+2、を満たしている。具体的な組合せの例を示すと、(X、Y)は、(3、1〜2)、(5、1〜4)、(7、3〜5)、(9、3〜5)である。これにより、泡が立ちにくく、吐出が安定となる。非イオン系界面活性剤の含有量は、0.001重量%以上2重量%以下が好ましく、これにより、効果が顕著となる。
【0028】
非イオン系界面活性剤としては、下記式1で示される構造の物質が用いられる。
【化3】
ただし、q及びrはそれぞれ分子数であり、EOはポリエチレンオキサイド基であり、POはポリプロピレンオキサイド基であり、x及びyはそれぞれの基の付加モル数である。これにより、安定したインクジェットヘッドからの吐出特性を得ることができ、高品位な印字画像を得ることができる。
【0029】
まず、本発明のインクジェット記録用インクを詳細に説明する。本発明のインクに用いることができる顔料としては、一般的に、有機顔料としてアゾ系、フタロシアニン系、アントラキノン系、キナクリドン系、ジオキサジン系、インジゴ系、チオインジゴ系、ペリレン系、イソインドレノン系、アニリンブラック、アゾメチン系、ローダミンBレ−キ顔料、カーボンブラック等が挙げられ、無機顔料として酸化鉄、酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、紺青、カドミウムレッド、クロムイエロー、金属粉が挙げられる。しかしながら、好ましくは、水中で帯電して分散する自己分散性顔料が挙げられる。具体的には、有機顔料に対して、酸・塩基処理、カップリング剤処理、ポリマーグラフト処理、プラズマ処理、酸化/還元処理等の表面改質処理等を施すことにより、水に自己分散可能な顔料を得ることができる。
【0030】
色材を含む固形分の添加量は、1重量%以上20重量%以下が好ましいが、さらには12重量%以下が好ましい。これを超える添加量では、吐出安定性が確保出来ないからである。1重量%未満では添加した効果を奏しない。
【0031】
以上のような非水溶性の着色剤は、場合によって分散剤によって分散された着色剤分散液として用いられてよい。
【0032】
本発明のインクは、水溶性有機溶剤を含有することができる。水溶性有機溶剤としては、エチレングリコール系エーテルを3%以上有することができ、例えば、トリエチレングリコール系エーテル及び/又はテトラエチレングリコール系エーテルである。含有量は、30重量%以上が好ましい。
【0033】
本発明のインクに用いることの出来る水溶性樹脂及びエマルジョンとしては、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、ポリアクリル酸エステル、ポリメタアクリル酸エステル、ポリスチレン、ポリエチルアクリル酸エステル、スチレンーブタジエン共重合体、ブタジエン共重合体、アクリロニトリルーブタジエン共重合体、クロロプレン共重合体、架橋アクリル樹脂、架橋スチレン樹脂、フッ素樹脂、フッ化ビニリデン、ベンゾグアナミン樹脂、ポリオレフィン樹脂、スチレン−メタアクリル酸エステル共重合体、ポリスチレン、スチレン−アクリルアミド共重合体、n−イソブチルアクリレート、アクリロニトリル、酢酸ビニル、アクリルアミド、ポリビニルアセタール、ロジン系樹脂、ポリエチレン、塩化ビニリデン樹脂、酢酸ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−アクリル共重合体、塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂等を水に懸濁させたものである。
【0034】
次に、本発明におけるインクには、インクを所望の物性にするため、インクの乾燥を防止するため、また、ノズルの耐目詰まり性、保湿性、分散安定性の効果を付与するために等の目的で、下記親水性高沸点低揮発性有機溶媒を複数混合して使用してもよい。すなわち、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−へキサンジオール、グリセリン、1,2,6−へキサントリオール、1、2,4−ブタントリオール、1,2,3−ブタントリオール、ぺトリオール等の多価アルコ−ル類、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、ε−カプロラクタム等の含窒素複素環化合物、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等のアミン類、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール、エチレン尿素、尿素等の含硫黄化合物類、プロピレンカーボネート、炭酸エチレン、γ−ブチロラクトン等を単独または複数混合して用いことができる。
【0035】
また、本発明における画像記録促進液および記録液には、従来から知られている記録液用の添加剤を加えることができる。例えば、防腐防黴剤としてはデヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム等が使用できる。pH調整剤としては、調合されるインクに悪影響をおよぼさずにpHを7以上に調整できるものであれば、任意の物質を使用することができ、その例としては、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属元素の水酸化物、水酸化アンモニウム、第4級アンモニウム水酸化物、第4級ホスホニウム水酸化物、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩等が挙げられる。キレート試楽としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、ウラミル二酢酸ナトリウム等が挙げられる。防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオジグリコール酸アンモン、ジイソプロピルアンモニイウムニトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムニトライト等が挙げられる。その他、目的に応じて水溶性紫外線吸収剤、水溶性赤外線吸収剤、溶解助剤、酸化防止剤などを添加することもできる。
【0036】
本発明のインクは、静的表面張力が25dyne/m〜50dyne/mであり、また、粘度が1〜10cpであるのが好ましい。
【0037】
次に本発明を実施例および比較例に基づいて具体的に説明するが、これらの実施例により本発明が限定されるものではない。まず本発明に用いるインクの組成について以下に示す。尚、%とあるのは重量基準である。また組成については顔料、樹脂、溶剤および添加剤の種類、添加量は図1及び図2に示す通りであり、全量が100になるように残量としてイオン交換水を加えた。なお、界面活性剤1は、上記式1におけるx=9、y=5であり、同2は同じくx=1、y=3であり、同3は同じくx=15、y=7であり、同4はポリエチレンオキサイド・ポリプロピレンオキサイドブロックポリマーである。
【0038】
図1及び図2のインクの各成分を混合して25℃で1時間撹拌、混合させた後、1.2μmのメンブランフィルタを用いて加圧濾過、脱気処理し、調製した。
【0039】
次に、上記に従って得られたインクをピエゾ方式のインクジェットプリンター(商品名:CL−700(エプソン社製))に用いて印字実験を行い、連続吐出の安定性及び印字物の定着性、耐水性、画像濃度について評価を行った。評価結果を図3及び図4に示す。
【0040】
「吐出安定性」評価を説明する。A4の10%ベタ部の印字物の状態からインクの吐出安定性を評価した。評価A〜Dの基準を以下に示す。
A:ベタ画像を完全に得ることが出来、かすれや白抜けはみられない。
B:ベタ画像が不完全な形であり、白すじが発生する。
C:かすれが発生し、ベタ画像が得られない。
D:全く吐出せず、画像が得られない
【0041】
「定着性」評価を説明する。市販のコピー用普通紙にベタ画像を印字して、30秒後に100gの荷重をかけ、ろ紙でこすり、汚れを確認した。評価A〜Dの基準を以下に示す。
A:ろ紙が汚れることなく、定着は良好である。
B:ろ紙がやや汚れるが、印字物には影響がない。
C:こすりにより印字物がやや乱れる。
D:ろ紙、印字物ともによごれる。
【0042】
「耐水性」評価を説明する。市販のコピー用普通紙に印字したベタ画像および文字画像を水につけて画像の状態を見た。評価A〜Dの基準を以下に示す。
A:インクが流れ出ることなく、全く問題がない
B:画像の端からややインクがにじみ出る
C:流れ出たインクで白紙部にやや色がつく
D:かなりインクが流れ出て文字はにじんでしまう
【0043】
「画像濃度」評価を説明する。べた部をx−riteで測定し、そのOD値で判定した。評価A〜Cの基準を以下に示す。
A:OD値が1.0以上
B:OD値が0.8〜1.0
C:OD値が0.8以下
【0044】
総合評価の基準を以下に示す。
◎:評価Aが4つ
○:評価Aが1つ以上で、評価C以下が無し
△:評価B以上が3つ以上で、評価Dが無し
×:「耐水性」評価がC以下又は総合評価が上記◎〜△を満たさない
【0045】
実施例1のインクは本発明の趣旨によるインク組成を持つものである。本発明の効果を示すために、同じ溶媒組成で界面活性剤処方を変えたものが比較例1〜5にあたる。
【0046】
比較例1では界面活性剤の骨格が全く異なる非イオン活性剤を用いたところ、吐出試験において全く吐出させることが出来ず画像を得ることが出来なかった。また、比較例2および3では同じ骨格ながら、本発明で限定している範囲外の付加モル数の界面活性剤を用いた。その結果、比較例1と比較して吐出性は向上したものの、評価できる画像は得られなかった。さらに、比較例4および5では本発明で限定している範囲外の添加量にした場合の評価を行ったが、界面活性剤が入っていないと吐出せず、また多すぎると解け残りが発生し、吐出に影響を及ぼす。
【0047】
比較例6および7では色材を含む固形分量を増減してみたところやはり吐出に問題があった。
【0048】
さらに比較例8では同じインク組成ながら、色材として染料を加えたインクを評価した。実施例1と比較して、吐出性には問題はないものの、耐水性はかなり劣ることがわかる。また、画像の滲みもかなりひどく、顔料を用いることで画質が向上することがうかがえる。
【0049】
実施例2〜7では当該界面活性剤の添加量を変えたものであるが、実施例1と比較すると吐出性はやや劣る。このことから、当該界面活性剤の添加量は請求項2に示した範囲が望ましい。
【0050】
実施例8では樹脂成分を添加しなかった場合について検討を行った。自己分散顔料はかなり小粒径化処理が施され、普通紙の場合紙面上に入り込むことで、樹脂の添加がなくてもある程度の定着性を保つことは可能である。しかしながら、画像濃度の低下もみられ、樹脂成分の添加が望ましい。
【0051】
また、実施例9では色材として顔料すなわち、カーボンブラックを分散剤を用いて分散させたものと自己分散型顔料の場合を比較した。画像濃度、吐出性で自己分散顔料が優れているほか、長期保存安定性も優れていることがわかった。
【0052】
実施例10の組成の場合、溶剤組成の割合が小さく、添加剤の溶解安定性が悪くなる。その結果、吐出安定性が低下する。
【0053】
さらに、実施例1と実施例11の比較で示されるように、溶剤組成中にエチレングリコール系エーテルを用いることで、インクの平面方向への浸透が促進され、その結果、高い画像濃度が得られ、さらに速乾性にも寄与する。
【0054】
【発明の効果】
以上のように、本発明のインクによれば、顔料インクの優れた性能を維持しつつ、ピエゾ方式のインクジェットシステムにおいて非常に吐出性能が向上し、安定した良好な画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例のインク成分を説明する図表。
【図2】比較例のインク成分を説明する図表。
【図3】実施例のインクの特性の評価を説明する図表。
【図4】比較例のインクの特性の評価を説明する図表。
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録用インクであり、特に記録ヘッドからインク滴を吐出させ、記録媒体上にインク像を得るインクジェットプリンタ用のインクに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、インク滴を記録媒体上に吐出させて記録像を書き込む形式のインクジェット記録用のインクとして、染料が使用されていた。これは、吐出安定性、インクの保存安定性の向上が目的である。しかし記録物の耐水・耐候性の面から考えると、染料よりも顔料を用いる方が有利である。
【0003】
そこで特許文献1、特許文献2では、インクの構成成分として、水と顔料と樹脂エマルジョンを含有することで、耐水性、耐光性の問題を解決するとともに、従来の染料系インクの問題点であった文字のにじみ等を解決するインクが報告されている。このような顔料と樹脂エマルジョンからなるインクは、印字画像の耐光性、耐水性、および耐擦性等、優れた基本特性を有している。
【0004】
しかしながら、インク液中に着色成分である顔料の他に、エマルジョン等の多数の成分を含まれるため、インクの起泡性が増加し、インクの吐出特性が低下する。これにより、インクジェットヘッド内に気泡が発生し、インクジェットヘッドの吐出エネルギーが減衰され、十分なインク吐出が得られなくなり、インクドットの飛行曲がり、吐出不良等を生じる。その結果、画像不良の発生を来たす。
【0005】
インクジェットヘッドにとって泡の発生は先述のごとく悪影響を及ぼす。したがって、泡の立たないインクが望ましいが、複数の材料を混合して作成する性質上、完全に泡を押さえることは不可能である。
【0006】
特許文献3では、インクに使用する界面活性剤の起泡性を規定することでこのような問題の解決を試みている。確かにインク中の界面活性剤の起泡性は、インクの起泡性にある程度影響を与えると思われる。しかし、界面活性剤の起泡性によって、インク自体の起泡性を完全に規定することはできない。特に本発明のように着色成分である顔料の他に、樹脂エマルジョン等の多数の成分を含有するインクにおいては、それらの各成分によってもインクの起泡性は大きな影響を受ける。
【0007】
さらに、特許文献4ではJISK規格に基づいた5分後の泡の高さを規定することを試みている。しかしながら、インクジェットシステムの系においては、できるだけ泡が発生しないもしくは、発生した泡がすばやく消えることが望ましい。
【0008】
【特許文献1】
特開平2−255875号公報
【特許文献2】
特開平4−18462号公報
【特許文献3】
特開昭61−250076号公報
【特許文献4】
特開平9−279068号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来技術の問題を解決するものであり、耐水性、耐光性にすぐれ、しかも安定した吐出特性をもつインクジェット記録用インクを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、少なくとも水を主成分とする溶媒と、色材を含む固形分と、少なくとも1種類の非イオン系界面活性剤とを含有し、そして、その非イオン系界面活性剤が有するポリエチレンオキサイド基の付加モル数X、ポリプロピレンオキサイド基の付加モル数Yについて、所定の範囲とすることにより、目的のインクを得られることを見出し、本発明にいたった。
【0011】
即ち、本発明は、染料及び/又は顔料と水とを必須成分とするインクジェット記録用インクであって、ポリエチレンオキサイド基及びポリプロピレンオキサイド基を有する非イオン系界面活性剤を含有し、かつ、そのポリエチレンオキサイド基の付加モル数Xとポリプロピレンオキサイド基の付加モル数Yが、0<Y<X≦10、を満たすインクジェット記録用インクである。
【0012】
また、本発明は、上記非イオン系界面活性剤のポリエチレンオキサイド基の付加モル数Xとポリプロピレンオキサイド基の付加モル数Yが、0<X≦10、及び、X/2−1<Y≦X/3+2、を満たすインクジェット記録用インクである。
【0013】
そして、本発明は、上記非イオン系界面活性剤を0.001重量%以上2重量%以下含有するインクジェット記録用インクである。
【0014】
更に、本発明は、上記非イオン系界面活性剤が下記式1で示される構造の物質からなるインクジェット記録用インクである。
【化2】
ただし、q及びrはそれぞれ分子数であり、EOはポリエチレンオキサイド基であり、POはポリプロピレンオキサイド基であり、x及びyはそれぞれの基の付加モル数である。
【0015】
また、本発明は、色材を含む固形分を1重量%以上20重量%以下含有するインクジェット記録用インクである。
【0016】
そして、本発明は、上記固形分が顔料と水溶性樹脂及び/またはエマルジョン及び/またはラテックスであるインクジェット記録用インクである。
【0017】
これにより、印字物の性能、特に耐水性、耐擦刷性が向上する。
【0018】
更に、本発明は、上記顔料が特に自己分散型顔料であるインクジェット記録用インクである。
【0019】
また、本発明は、水溶性有機溶剤を30重量%以上含有するインクジェット記録用インクである。
【0020】
これにより、目詰まり防止、添加剤の溶解性が向上する。
【0021】
そして、本発明は、上記水溶性有機溶剤がエチレングリコール系エーテルを3重量%以上有するインクジェット記録用インクである。
【0022】
更に、本発明は、上記エチレングリコール系エーテルがトリエチレングリコール系エーテル及び/又はテトラエチレングリコール系エーテルであるインクジェット記録用インクである。
【0023】
これにより、画像濃度が上がり、画質が向上する。
【0024】
また、本発明は、静的表面張力が25dyne/m〜50dyne/mであるインクジェット記録用インクである。
【0025】
そして、本発明は、粘度が1〜10cpであるインクジェット記録用インクである。
【0026】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を説明する。
本発明では、固体成分として顔料と樹脂成分を含有し、さらにそのようなインク液中に多数の成分を含有するインクにおいて、ポリエチレンオキサイド基及びポリプロピレンオキサイド基を有する非イオン系界面活性剤を含有する。
【0027】
そして、含有する非イオン系界面活性剤は、そのポリエチレンオキサイド基の付加モル数Xとポリプロピレンオキサイド基の付加モル数Yが、0<Y<X≦10、を満たしている。または、0<X≦10、及び、X/2−1<Y≦X/3+2、を満たしている。具体的な組合せの例を示すと、(X、Y)は、(3、1〜2)、(5、1〜4)、(7、3〜5)、(9、3〜5)である。これにより、泡が立ちにくく、吐出が安定となる。非イオン系界面活性剤の含有量は、0.001重量%以上2重量%以下が好ましく、これにより、効果が顕著となる。
【0028】
非イオン系界面活性剤としては、下記式1で示される構造の物質が用いられる。
【化3】
ただし、q及びrはそれぞれ分子数であり、EOはポリエチレンオキサイド基であり、POはポリプロピレンオキサイド基であり、x及びyはそれぞれの基の付加モル数である。これにより、安定したインクジェットヘッドからの吐出特性を得ることができ、高品位な印字画像を得ることができる。
【0029】
まず、本発明のインクジェット記録用インクを詳細に説明する。本発明のインクに用いることができる顔料としては、一般的に、有機顔料としてアゾ系、フタロシアニン系、アントラキノン系、キナクリドン系、ジオキサジン系、インジゴ系、チオインジゴ系、ペリレン系、イソインドレノン系、アニリンブラック、アゾメチン系、ローダミンBレ−キ顔料、カーボンブラック等が挙げられ、無機顔料として酸化鉄、酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、紺青、カドミウムレッド、クロムイエロー、金属粉が挙げられる。しかしながら、好ましくは、水中で帯電して分散する自己分散性顔料が挙げられる。具体的には、有機顔料に対して、酸・塩基処理、カップリング剤処理、ポリマーグラフト処理、プラズマ処理、酸化/還元処理等の表面改質処理等を施すことにより、水に自己分散可能な顔料を得ることができる。
【0030】
色材を含む固形分の添加量は、1重量%以上20重量%以下が好ましいが、さらには12重量%以下が好ましい。これを超える添加量では、吐出安定性が確保出来ないからである。1重量%未満では添加した効果を奏しない。
【0031】
以上のような非水溶性の着色剤は、場合によって分散剤によって分散された着色剤分散液として用いられてよい。
【0032】
本発明のインクは、水溶性有機溶剤を含有することができる。水溶性有機溶剤としては、エチレングリコール系エーテルを3%以上有することができ、例えば、トリエチレングリコール系エーテル及び/又はテトラエチレングリコール系エーテルである。含有量は、30重量%以上が好ましい。
【0033】
本発明のインクに用いることの出来る水溶性樹脂及びエマルジョンとしては、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、ポリアクリル酸エステル、ポリメタアクリル酸エステル、ポリスチレン、ポリエチルアクリル酸エステル、スチレンーブタジエン共重合体、ブタジエン共重合体、アクリロニトリルーブタジエン共重合体、クロロプレン共重合体、架橋アクリル樹脂、架橋スチレン樹脂、フッ素樹脂、フッ化ビニリデン、ベンゾグアナミン樹脂、ポリオレフィン樹脂、スチレン−メタアクリル酸エステル共重合体、ポリスチレン、スチレン−アクリルアミド共重合体、n−イソブチルアクリレート、アクリロニトリル、酢酸ビニル、アクリルアミド、ポリビニルアセタール、ロジン系樹脂、ポリエチレン、塩化ビニリデン樹脂、酢酸ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−アクリル共重合体、塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂等を水に懸濁させたものである。
【0034】
次に、本発明におけるインクには、インクを所望の物性にするため、インクの乾燥を防止するため、また、ノズルの耐目詰まり性、保湿性、分散安定性の効果を付与するために等の目的で、下記親水性高沸点低揮発性有機溶媒を複数混合して使用してもよい。すなわち、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−へキサンジオール、グリセリン、1,2,6−へキサントリオール、1、2,4−ブタントリオール、1,2,3−ブタントリオール、ぺトリオール等の多価アルコ−ル類、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、ε−カプロラクタム等の含窒素複素環化合物、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等のアミン類、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール、エチレン尿素、尿素等の含硫黄化合物類、プロピレンカーボネート、炭酸エチレン、γ−ブチロラクトン等を単独または複数混合して用いことができる。
【0035】
また、本発明における画像記録促進液および記録液には、従来から知られている記録液用の添加剤を加えることができる。例えば、防腐防黴剤としてはデヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム等が使用できる。pH調整剤としては、調合されるインクに悪影響をおよぼさずにpHを7以上に調整できるものであれば、任意の物質を使用することができ、その例としては、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属元素の水酸化物、水酸化アンモニウム、第4級アンモニウム水酸化物、第4級ホスホニウム水酸化物、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩等が挙げられる。キレート試楽としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、ウラミル二酢酸ナトリウム等が挙げられる。防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオジグリコール酸アンモン、ジイソプロピルアンモニイウムニトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムニトライト等が挙げられる。その他、目的に応じて水溶性紫外線吸収剤、水溶性赤外線吸収剤、溶解助剤、酸化防止剤などを添加することもできる。
【0036】
本発明のインクは、静的表面張力が25dyne/m〜50dyne/mであり、また、粘度が1〜10cpであるのが好ましい。
【0037】
次に本発明を実施例および比較例に基づいて具体的に説明するが、これらの実施例により本発明が限定されるものではない。まず本発明に用いるインクの組成について以下に示す。尚、%とあるのは重量基準である。また組成については顔料、樹脂、溶剤および添加剤の種類、添加量は図1及び図2に示す通りであり、全量が100になるように残量としてイオン交換水を加えた。なお、界面活性剤1は、上記式1におけるx=9、y=5であり、同2は同じくx=1、y=3であり、同3は同じくx=15、y=7であり、同4はポリエチレンオキサイド・ポリプロピレンオキサイドブロックポリマーである。
【0038】
図1及び図2のインクの各成分を混合して25℃で1時間撹拌、混合させた後、1.2μmのメンブランフィルタを用いて加圧濾過、脱気処理し、調製した。
【0039】
次に、上記に従って得られたインクをピエゾ方式のインクジェットプリンター(商品名:CL−700(エプソン社製))に用いて印字実験を行い、連続吐出の安定性及び印字物の定着性、耐水性、画像濃度について評価を行った。評価結果を図3及び図4に示す。
【0040】
「吐出安定性」評価を説明する。A4の10%ベタ部の印字物の状態からインクの吐出安定性を評価した。評価A〜Dの基準を以下に示す。
A:ベタ画像を完全に得ることが出来、かすれや白抜けはみられない。
B:ベタ画像が不完全な形であり、白すじが発生する。
C:かすれが発生し、ベタ画像が得られない。
D:全く吐出せず、画像が得られない
【0041】
「定着性」評価を説明する。市販のコピー用普通紙にベタ画像を印字して、30秒後に100gの荷重をかけ、ろ紙でこすり、汚れを確認した。評価A〜Dの基準を以下に示す。
A:ろ紙が汚れることなく、定着は良好である。
B:ろ紙がやや汚れるが、印字物には影響がない。
C:こすりにより印字物がやや乱れる。
D:ろ紙、印字物ともによごれる。
【0042】
「耐水性」評価を説明する。市販のコピー用普通紙に印字したベタ画像および文字画像を水につけて画像の状態を見た。評価A〜Dの基準を以下に示す。
A:インクが流れ出ることなく、全く問題がない
B:画像の端からややインクがにじみ出る
C:流れ出たインクで白紙部にやや色がつく
D:かなりインクが流れ出て文字はにじんでしまう
【0043】
「画像濃度」評価を説明する。べた部をx−riteで測定し、そのOD値で判定した。評価A〜Cの基準を以下に示す。
A:OD値が1.0以上
B:OD値が0.8〜1.0
C:OD値が0.8以下
【0044】
総合評価の基準を以下に示す。
◎:評価Aが4つ
○:評価Aが1つ以上で、評価C以下が無し
△:評価B以上が3つ以上で、評価Dが無し
×:「耐水性」評価がC以下又は総合評価が上記◎〜△を満たさない
【0045】
実施例1のインクは本発明の趣旨によるインク組成を持つものである。本発明の効果を示すために、同じ溶媒組成で界面活性剤処方を変えたものが比較例1〜5にあたる。
【0046】
比較例1では界面活性剤の骨格が全く異なる非イオン活性剤を用いたところ、吐出試験において全く吐出させることが出来ず画像を得ることが出来なかった。また、比較例2および3では同じ骨格ながら、本発明で限定している範囲外の付加モル数の界面活性剤を用いた。その結果、比較例1と比較して吐出性は向上したものの、評価できる画像は得られなかった。さらに、比較例4および5では本発明で限定している範囲外の添加量にした場合の評価を行ったが、界面活性剤が入っていないと吐出せず、また多すぎると解け残りが発生し、吐出に影響を及ぼす。
【0047】
比較例6および7では色材を含む固形分量を増減してみたところやはり吐出に問題があった。
【0048】
さらに比較例8では同じインク組成ながら、色材として染料を加えたインクを評価した。実施例1と比較して、吐出性には問題はないものの、耐水性はかなり劣ることがわかる。また、画像の滲みもかなりひどく、顔料を用いることで画質が向上することがうかがえる。
【0049】
実施例2〜7では当該界面活性剤の添加量を変えたものであるが、実施例1と比較すると吐出性はやや劣る。このことから、当該界面活性剤の添加量は請求項2に示した範囲が望ましい。
【0050】
実施例8では樹脂成分を添加しなかった場合について検討を行った。自己分散顔料はかなり小粒径化処理が施され、普通紙の場合紙面上に入り込むことで、樹脂の添加がなくてもある程度の定着性を保つことは可能である。しかしながら、画像濃度の低下もみられ、樹脂成分の添加が望ましい。
【0051】
また、実施例9では色材として顔料すなわち、カーボンブラックを分散剤を用いて分散させたものと自己分散型顔料の場合を比較した。画像濃度、吐出性で自己分散顔料が優れているほか、長期保存安定性も優れていることがわかった。
【0052】
実施例10の組成の場合、溶剤組成の割合が小さく、添加剤の溶解安定性が悪くなる。その結果、吐出安定性が低下する。
【0053】
さらに、実施例1と実施例11の比較で示されるように、溶剤組成中にエチレングリコール系エーテルを用いることで、インクの平面方向への浸透が促進され、その結果、高い画像濃度が得られ、さらに速乾性にも寄与する。
【0054】
【発明の効果】
以上のように、本発明のインクによれば、顔料インクの優れた性能を維持しつつ、ピエゾ方式のインクジェットシステムにおいて非常に吐出性能が向上し、安定した良好な画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例のインク成分を説明する図表。
【図2】比較例のインク成分を説明する図表。
【図3】実施例のインクの特性の評価を説明する図表。
【図4】比較例のインクの特性の評価を説明する図表。
Claims (12)
- 染料及び/又は顔料と水とを必須成分とするインクジェット記録用インクであって、
ポリエチレンオキサイド基及びポリプロピレンオキサイド基を有する非イオン系界面活性剤を含有し、かつ、そのポリエチレンオキサイド基の付加モル数Xとポリプロピレンオキサイド基の付加モル数Yが、
0<Y<X≦10
を満たすことを特徴とするインクジェット記録用インク。 - 上記非イオン系界面活性剤のポリエチレンオキサイド基の付加モル数Xとポリプロピレンオキサイド基の付加モル数Yが、
0<X≦10
及び
X/2−1<Y≦X/3+2
を満たす請求項1記載のインクジェット記録用インク。 - 上記非イオン系界面活性剤を0.001重量%以上2重量%以下含有する請求項1記載のインクジェット記録用インク。
- 色材を含む固形分を1重量%以上20重量%以下含有する請求項1記載のインクジェット記録用インク。
- 上記固形分が顔料と水溶性樹脂及び/またはエマルジョン及び/またはラテックスである請求項5記載のインクジェット記録用インク。
- 上記顔料が特に自己分散型顔料である請求項5記載のインクジェット記録用インク。
- 水溶性有機溶剤を30重量%以上含有する請求項1記載のインクジェット記録用インク。
- 上記水溶性有機溶剤がエチレングリコール系エーテルを3重量%以上有する請求項8記載のインクジェット記録用インク。
- 上記エチレングリコール系エーテルがトリエチレングリコール系エーテル及び/又はテトラエチレングリコール系エーテルである請求項9記載のインクジェット記録用インク。
- 静的表面張力が25dyne/m〜50dyne/mである請求項1記載のインクジェット記録用インク。
- 粘度が1〜10cpである請求項11記載のインクジェット記録用インク。
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