JP3292404B2 - カラーインクジェット記録用インク組成物及びカラー画像形成方法 - Google Patents

カラーインクジェット記録用インク組成物及びカラー画像形成方法

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JP3292404B2
JP3292404B2 JP15680193A JP15680193A JP3292404B2 JP 3292404 B2 JP3292404 B2 JP 3292404B2 JP 15680193 A JP15680193 A JP 15680193A JP 15680193 A JP15680193 A JP 15680193A JP 3292404 B2 JP3292404 B2 JP 3292404B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はカラー画像の形成用カラ
ーインクジェット記録用インクセット及びそれを用いた
インクジェット記録方式によるカラー画像の形成方法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録方法は、高速記録が
可能であること、記録媒体に非接触であるため記録媒体
には、普通紙を始め種々のものが使用可能であること、
カラー記録が可能であることなどの利点から、近年大い
に活用されている。インクジェット記録において、長期
に亘って良好な印字記録を行うためには、使用するイン
ク(水性インク組成物)が、以下の条件を満たすことが
必要である。
【0003】1.インクの噴射特性が優れていること。
そのためには液滴発生方法や液滴飛翔制御方法に応じた
インク特性としてインクの粘度、表面張力、比伝導度、
密度が適当範囲に含まれること。 2.保存性に優れていること。そのためには長期間の保
存、連続使用あるいは記録休止中に化学変化により析出
が生じて、ノズルが詰ったり、インク物性が変化しない
こと。
【0004】3.印字記録された画像は、十分にコント
ラストが高く、滲みのない鮮明画像であること。 4.記録画像の乾燥が速いこと。 5.印字記録された画像は、その耐水性、耐光性等すな
わち保存性が良く、かつ耐摩耗性に富むこと。 6.更にフルカラープリンタ等に用いられるインクとし
ては高純度の色調を有する色再現性の優れた画像を形成
すること。
【0005】以上のような要求を満足するため、これま
でインクジェット記録等に用いられるインクとして数多
くの提案がなされているが、上記の諸条件全てを充分に
満足するインクはまだ得られていないのが現状である。
これらの特性は主としてインクを構成する組成物中の染
料に起因するものである。例えば染料濃度は高い方が、
コントラストの高い、鮮明な印字画像が得られるが、染
料濃度を上げるためには、染料の溶解安定性が高いこと
が必要である。しかし、染料の溶解安定性が高くなる
と、インクの保存安定性及び吐出安定性は高くなるが、
逆に印字画像の耐水性は悪くなるというジレンマがあ
る。染料の改良のみでこの両方の特性を共に満足させる
ことは困難である。また、カラー画像形成においては、
印字画像の乾燥性が高いことも2色の境界滲みをなく
し、解像度の高い画像を得るために重要である。加えて
良好な色調再現のための各染料の色調も重要な問題であ
る。
【0006】通常のインク組成物は、基本的には染料及
び湿潤剤といわれる多価アルコールまたはそのエーテル
類と水とにより構成されるものであり、染料としては酸
性染料、直接染料、塩基性染料等があるが、塩基性染料
は安全性及びその保存安定性の面からインクジェット記
録用インクとしてはあまり用いられておらず、おもに直
接染料、酸性染料が用いられている。
【0007】しかし、このような染料を含有したインク
を、インクジェット記録に用いると直接染料では溶解性
が悪いため、連続記録時や、記録再開時に、ノズルの目
詰りを起こすなどの問題があり、また、酸性染料には色
調の良いものが多いが、画像の耐水性及び耐光性が悪
く、画像の保存性に問題がある。これらの問題を解決す
るために、湿潤剤、界面活性剤等が添加されるが、湿潤
剤は主にインクの吐出安定性及び保存安定性を向上させ
るために、また界面活性剤は主に印字画像の乾燥性を向
上させるために添加される。界面活性剤の役割として
は、インクの表面張力を下げることにより、インクの紙
への浸透性を高める効果があり、それによって乾燥速度
を速めることができる。カラープリンタの場合、マゼン
タ、イエロー、シアンの単色印字部が画質劣化がなくと
も、レッド、グリーン、ブルーの2色重ね部分で画質の
劣化が起こりやすく、特に定着装置を用いないで乾燥を
行う場合、画質の劣化は著しい。
【0008】特開昭55−29546号公報では、界面
活性剤のもつ紙などへの浸透力を利用して、見かけ上の
乾燥性を上げているが、この処方は紙により著しく滲む
という欠点があった。また、特公昭58−6752号公
報では、アセチレン結合を有するエチレンオキサイド付
加体対を界面活性剤として用いることにより浸透性を向
上させ滲みの少ない速乾性インクが開示されているが、
この界面活性剤は、同時に使用する染料によっては相互
作用のため、乾燥速度が向上しないといった問題があ
る。また、特公昭60−23793号公報によると、界
面活性剤として、ジアルキルスルホコハク酸が、乾燥性
を向上し、画質劣化も少ないとしているが、紙によって
画素系が著しく異なるなどの問題がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は上記の
欠点を全て解消した水性インクセット、特にインクジェ
ット記録用水性カラーインクセットを提供すること、及
びこれらのインクセットを用いたカラー画像形成方法の
提供にある。更に詳細には第1にインクジェット記録用
インクとして、吐出安定性、保存安定性、乾燥性に優
れ、高品位な画質が得られ、かつ印字画像の劣化の少な
い、従来のカラー画像形成に比較して、耐水性の優れた
水性インクセットを提供することを目的とする。また第
2にこれらのインクセットを用いたカラー画像形成にお
いて、滲みのない高品位な画像形成のためのカラー画像
形成方法を提示することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の本発明の構成は、 (1)水溶性染料と1種ないし数種の湿潤剤と界面活性
剤とを含むマゼンタ、イエロー、シアン及びブラックの
4種のインクを用いて行うインクジェット記録方式によ
るカラー画像形成用インクにおいて、上記マゼンタイン
クの染料として下記式(1)で示される化合物を含有
し、上記イエローインクの染料として、下記一般式
(2)に示す化合物を含有し、上記シアンインクの染料
として、下記式(3)で示される化合物を含有し、上記
ブラックインクの染料として、下記式(4)で示される
化合物を含有し、かつ上記界面活性剤が下記式(5)、
(6)で示される界面活性剤であるカラーインクジェッ
ト記録用インクセット。
【0011】
【化6】
【0012】〔式(2)中、Ra,Rbは−SO3Mま
たは−COOMを示し、k+m≦5,l+n≦5となる
整数、またmはRaが−SO3Mの時0、−COOMの
時0または1を示し、nはRbが−SO3Mの時0、−
COOMの時0または1を示す。〕
【0013】
【化7】
【0014】〔式(3)中、x+y=3または4となる
整数〕
【0015】
【化8】
【0016】〔式(4)中、R及びR’はOHまたはN
2を、Mはアルカリ金属、第4級アンモニウム、第4
級ホスホニウムまたはアルカノールアミンを示す。〕 (2)上記カラーインクセットを用いたカラー画像形成
法において、複数のインク吐出口を有するヘッドを用い
た印字の際、一回のスキャンで隣接するノズルの吐出を
行わず、複数回のスキャンで全てのインク吐出口に対応
する印字ドットを形成することを特徴とするカラー画像
の形成方法
【0017】
【化9】
【0018】〔式(5),(6)中、Rは炭素数6〜1
4の分枝してもよいアルキル基、nは3〜12の整数、
R’は炭素数5〜7の分枝したアルキル基、M’はアル
カリ金属、第4級アンモニウム、第4級ホスホニウムま
たはアルカノールアミンを示す。〕である。以下に本発
明に用いられる上記染料の具体例を示すが、本発明はそ
れに限定されるものではない。
【0019】
【化10】
【0020】
【化11】
【0021】
【化12】
【0022】
【化13】
【0023】
【化14】
【0024】
【化15】
【0025】
【化16】
【0026】また、これらの染料の色調を補色するため
に他の染料を混合しても良い。これら染料を具体的に挙
げると酸性染料及び食用染料としては、 C.I.アシッドイエロー 17,23,42,44,
79,142 C.I.アシッドレッド 1,8,13,14,18,
26,27,35,37,42,52,82,87,8
9,92,97,106,111,114,115,1
34,186,249,254,289 C.I.アシッドブルー 9,29,45,92,24
9 C.I.アシッドブラック 1,2,7,24,26,
94 C.I.フードイエロー 3,4 C.I.フードレッド 7,9,14 C.I.フードブラック 1,2 直接染料としては、 C.I.ダイレクトイエロー 1,12,24,26,
33,44,50,86,120,132,142,1
44 C.I.ダイレクトレッド 1,4,9,13,17,
20,28,31,39,80,81,83,89,2
25 C.I.ダイレクトブルー 1,2,6,15,22,
25,71,76,79,86,87,90,98,1
63,165,202 C.I.ダイレクトブラック 19,22,32,3
8,51,56,71,74,75,77,154,1
71 などがある。
【0027】また本発明で上記染料と共に添加される界
面活性剤としては、下記一般式(5),(6)に示され
るようなポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩及
びジアルキルスルホコハク酸塩を用いると、優れた特性
が得られることが分かった。
【0028】
【化17】
【0029】式(5),(6)中、Mはアルカリ金属、
第4級アンモニウム、第4級ホスホニウム又はアルカノ
ールアミンを示し、Rは炭素数6〜14の直鎖あるいは
分岐したアルキル基を示し、炭素数が13のものが最も
好ましく、かつ分岐したものの方が好ましい。またnは
3〜12の整数を示すが、n=3のものが最も好まし
い。またRは炭素数5〜7の分岐したアルキル基を示
す。ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩のカル
ボン酸基あるいはジアルキルスルホコハク酸塩のスルホ
ン酸基の対イオンM’はナトリウム、リチウム及び/又
は下記一般式(7)で示される第4級アンモニウム、第
4級ホスホニウム、アルカノールアミンイオンである場
合に優れた溶解安定性及び良好な印字画像が得られる。
【0030】
【化18】
【0031】X:窒素又はリン R1〜R4:炭素数1〜4のアルキル基、ヒドロキシル
基、ハロゲン化アルキル基水素。 上記ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩あるい
はジアルキルスルホコハク酸塩は、インクの表面張力を
下げ、インクの紙への浸透性を上げることによって、印
字画像の乾燥性を速めるために添加されるものであり、
その添加量は、インクの表面張力が通常50mN/m以
下になるように調整され、水性インク組成物全量に対し
て、0.01〜3.0重量%が好ましい。前記界面活性
剤の添加量は、0.01よりも少ないと、高表面張力の
ため乾燥性が悪く、逆に3.0重量%よりも多いと浸透
性が上がりすぎて、滲みが生じる。
【0032】またジアルキルスルホコハク酸塩は、アル
カリ側で放置すると分化するという問題があるため、通
常pHを調整して用いられる。上記ポリオキシエチレン
アルキルエーテル酢酸塩は、具体的にはニッコールEC
Tシリーズ(商品名、日本サーファクタント工業化学社
製)などとして入手できる。
【0033】次にこれらカルボキシル基あるいはスルホ
ン基を有する界面活性剤をアルカリ塩とするにはインク
調整時にこれらを水に溶解する際、所望のアルカリイオ
ンを含んだアルカリ水酸化物を添加することにより容易
に行える。例えばリチウム塩の場合は水酸化リチウムを
添加することにより行え、一般式6の第4級アンモニウ
ム、ホスホニウム、アルカノールアミン陽イオンに関し
ては、具体的には以下に示す水酸化物を添加することに
より行われる。
【0034】
【化19】
【0035】尚、本発明において該界面活性剤の対イオ
ンがすべてがナトリウム、リチウムおよび/または上記
の一般式(7)の化合物である必要はなく、他のアルカ
リイオンと混合することもできる。好ましい他の対イオ
ンとしてはトリエタノールアミン等である。ナトリウ
ム、リチウムおよび/または上記一般式(7)の化合物
によるイオンの量としては該界面活性剤のユニットモル
数にたいして30%以上、より好ましくは50%以上と
なるように添加されることが好ましい。以下に本発明に
用いられる界面活性剤の具体例を示すが、本発明はそれ
に限定されるものではない。
【0036】界面活性剤の具体例
【0037】
【化20】
【0038】
【化21】
【0039】本発明のインクは水を液媒体として使用す
るものであるが、インクを所望の物性にするため、もし
くはインクの乾燥を防止するために、また、本発明の化
合物の溶解安定性を向上するため等の目的で添加される
湿潤剤としては、次のようなものが挙げられる。
【0040】エチレングリコール、ジエチレングリコー
ル、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコー
ル、ポリプロピレングリコール、グリセロール、1,5
−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,
2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリ
オール、1,2,3−ブタントリオール、ペトリオール
等の多価アルコール類、エチレングリコールモノエチル
エーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジ
エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレング
リコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモ
ノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチ
ルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル
等の多価アルコールアルキルエーテル類、エチレングリ
コールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノ
ベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル
類;N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチ
ル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミイダゾリジ
ノン、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクトン等の含
窒素複素環化合物;ホルムアミド、N−メチルホルムア
ミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類;モ
ノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノ
ールアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリ
エチルアミン等のアミン類、ジメチルスルホキシド、ス
ルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物類、プロ
ピレンカーボネート、炭酸エチレン等である。これらの
溶媒は、水とともに単独もしくは、複数混合して用いら
れる。
【0041】これらの中で特に好ましいものはジエチレ
ングリコール、チオジエタノール、ポリエチレングリコ
ール200〜600、トリエチレングリコール、グリセ
ロール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4
−ブタントリオール、ペトリオール、N−ヒドロキシエ
チル−2−ピロリドンであり、これらを用いることによ
り本化合物の高い溶解性と水分蒸発による噴射特性不良
の防止に対して優れた効果が得られる。
【0042】これら湿潤剤の添加量としては、印字の際
の吐出特性(液滴の重量、液滴の飛翔速度)にもよる
が、インク組成物全重量に対して、30重量%以下であ
ることが望ましく、これより多いと文字品位が悪くなる
等の不具合が生じる。また、表面張力を調整する目的で
本発明で使用する界面活性剤の他に添加される浸透剤と
してはジエチレングリコールモノフェニルエーテル、エ
チレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリ
コールモノアリルエーテル、ジエチレングリコールモノ
フェニルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエ
ーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、テ
トラエチレングリコールクロロフェニルエーテル等の多
価アルコールのアルキル及びアリールエーテル類、フッ
素系界面活性剤、アセチレン系界面活性剤、エタノー
ル、2−プロパノール等の低級アルコール類が挙げられ
るが、特に好ましいのはジエチレングリコールモノブチ
ルエーテルである。
【0043】本発明のインクには上記着色剤、溶媒の他
に従来より知られている添加剤を加えることができる。
【0044】例えば、防腐防黴剤としてはデヒドロ酢酸
ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、2−ピリジンチオ
ール−1−オキサイドナトリウム、安息香酸ナトリウ
ム、ペンタクロロフェノールナトリウム等が本発明に使
用できる。pH調整剤としては調合されるインクに悪影
響を及ぼさずに調整できるものであれば、任意の物質を
使用することができ。その例としてはジエタノールアミ
ン、トリエタノールアミン等のアミン、水酸化リチウ
ム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金
属の水酸化物、水酸化アンモニウム、第4級アンモニウ
ム水酸化物、第4級ホスホニウム水酸化物、炭酸リチウ
ム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属
の炭酸塩などが挙げられる。
【0045】又、防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸
塩、チオ硫酸ナトリウム、チオジグリコール酸アンモ
ン、ジイソプロピルアンモニウムニトライト、四硝酸ペ
ンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムニ
トライト等がある。その他目的に応じて水溶性紫外線吸
収剤、水溶性赤外線吸収剤を添加することもできる。ま
た、上記に述べたカラーインクセットを用いた本発明の
カラー画像形成法について図面により説明する。図3a
は従来の1スキャンによる印字ドットの形成を模式的に
説明する図、また図3bは本発明による2スキャン印字
による印字ドットの形成を模式的に説明する図である。
【0046】隣接するドットを1スキャンで印字する
と、特にカラーの場合、余程インクの乾燥性を上げない
限り、隣接するドット同士で混色が起り、鮮明な画像が
得られにくい。しかし、本発明により複数回のスキャン
で印字すると画像の鮮明性は格段に良くなり、また、紙
種による画素径(画質)のばらつきが少なく、したがっ
て普通紙への適性も向上することができる。スキャンの
回数については、画質の向上の観点からは、その回数が
多い程好ましいといえるが、他方印字時間が長くなると
いう問題もあるので、そのバランスを考慮する必要があ
る。
【0047】
【実施例】以下に本発明の実施例および比較例を示す。 実施例1〜4及び比較例1〜3 表3に示すような組成で処方したインク組成物を、室温
中で撹拌溶解し、これを0.22μmのテフロンフィル
ターにて濾過し、更に30分程度の脱気を行って実施例
インクセット1〜4及び比較例インクセット1〜3を作
製した。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
【表3】
【0051】つぎに上記実施例1〜21及び比較例1〜
9について下記の試験を行った。 1)画像の鮮明性 図1に示したサーマルインクジェット方式の300dp
iのノズルを有するインクジェットプリンター及び図2
に示した積層PZTを液室流路9の加圧に使用した30
0dpiのノズルを有するインクジェットプリンターに
て本発明による方法(2スキャンによる印字)を用いて
印字を行い、画像滲み(特に境界滲み)、色調、濃度を
目視により総合的に判断した。印字用紙は市販の再生
紙、上質紙とボンド紙の3紙に印字した。どの紙におい
ても鮮明な画像が得られた場合に○とした。
【0052】2)画像の乾燥性 印字後の画像に一定条件で濾紙を押しつけインクが濾紙
に転写しなくなるまでの時間を測定した。いずれの紙で
も10秒以内で乾燥した場合に○と判定した。 3)画像の耐水性 画像サンプルを30℃の水に1分間浸漬し、浸漬前後の
画像濃度の変化をマクベス濃度計で測定し、下記の式に
て耐水性(退色率%)を求め、退色率が30%以下の場
合に○とした。
【0053】
【数1】
【0054】4)保存安定性 各インクをポリエチレン容器に入れ、−20℃、5℃、
20℃、70℃でそれぞれの条件下で3カ月保存し、保
存後の表面張力、粘度、及び沈殿物析出の有無を調べ
た。どの条件で保存しても、物性等の変化がないものを
○とした。 5)印字休止時の信頼性 図2のヘッドを有するプリンター動作中にキャップ、ク
リーニング等が行われないでどれだけ印字休止しても復
帰できるかを調べ、どれだけの時間(秒)で噴射方向が
ずれるか、あるいは吐出液滴の重量が変化するかでその
信頼性を評価した結果を表4に示す。
【0055】6)印字方法による画像の鮮明性 実施例1のインクセット及び比較例1のインクセット
用いて、1スキャンによる印字画像と2スキャンによる
印字画像との境界滲み及び文字の滲みを評価した。印字
用紙は市販の再生紙、上質紙とボンド紙の3紙を用い、
目視により判断した。結果は表5に示すとおり、2スキ
ャンで印字を行う方が、2色部での境界滲み及び文字の
滲みが、1スキャンでの印字に比べ格段に向上した。
【0056】
【表4】
【0057】
【表5】
【0058】
【表6】
【0059】
【発明の効果】上記の結果から本発明の水性インクセッ
によれば、吐出安定性及び保存安定性に優れ、目詰り
のない水性インクセットを提供することができる。また
界面活性剤を添加することにより、インクの浸透性を高
めることができ、それにより画質の劣化を抑え、普通紙
に印字した際に高画質で速乾性の水性インクセットを提
供することができる。
【0060】また、本発明によれば、該染料及び該界面
活性剤のカウンターイオンを選択することにより、水に
対する溶解安定性を向上させることができ、保存安定
性、噴射安定性に優れた水性インクセットを提供するこ
とができる。これらにより本発明は普通紙に対して優れ
たカラー画像を形成するインクジェット記録用カラーイ
ンクセットを提供することができる。また本発明によれ
ば、従来のような1スキャンで全印字ドットを印字する
方法に比較して、2色の境界滲みだけでなく、文字の滲
みも少ない高品位な印字画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のインクの評価に使用したインクジェッ
トプリンターの概略図。
【図2】同別のインクジェットプリンターの概略図。
【図3】スキャン回数の相違による印字形成の模式的説
明図で、aは1スキャンによる印字の場合、bは2スキ
ャンによる印字の場合を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−122171(JP,A) 特開 昭64−62372(JP,A) 特開 平2−131983(JP,A) 特開 昭56−95961(JP,A) 特開 平3−277671(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09D 11/00 - 11/20 B41J 2/00 - 2/21 B41M 5/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水溶性染料と1種ないし数種の湿潤剤と
    界面活性剤とを含むマゼンタ、イエロー、シアン及びブ
    ラックの4種のインクを用いて行うインクジェット記録
    方式によるカラー画像形成用インクセットにおいて、上
    記マゼンタインクの染料として下記式(1)で示される
    化合物を含有し、上記イエローインクの染料として、下
    記一般式(2)に示す化合物を含有し、上記シアンイン
    クの染料として、下記式(3)で示される化合物を含有
    し、上記ブラックインクの染料として、下記式(4)で
    示される化合物を含有し、かつ上記界面活性剤が下記式
    (5)、(6)で示される界面活性剤であることを特徴
    とするカラーインクジェット記録用インクセット。 【化1】 〔式(2)中、Ra,Rbは−SO3Mまたは−COO
    Mを示し、k+m≦5,l+n≦5となる整数、またm
    はRaが−SO3Mの時0、−COOMの時0または1
    を示し、nはRbが−SO3Mの時0、−COOMの時
    0または1を示す。〕 【化2】 〔式(3)中、x+y=3または4となる整数〕 【化3】 〔式(4)中、R及びR’はOHまたはNH2を、Mは
    アルカリ金属、第4級アンモニウム、第4級ホスホニウ
    ムまたはアルカノールアミンを示す。〕 【化4】 〔式(5),(6)中、Rは炭素数6〜14の分枝して
    もよいアルキル基、nは3〜12の整数、R’は炭素数
    5〜7の分枝したアルキル基、M’はアルカリ金属、第
    4級アンモニウム、第4級ホスホニウムまたはアルカノ
    ールアミンを示す。〕
  2. 【請求項2】 上記界面活性剤のカルボン酸基またはス
    ルホン酸基の対イオンがナトリウム、リチウム及び/ま
    たは下記一般式(7)で示される第4級アンモニウム、
    第4級ホスホニウム、アルカノールアミンイオンである
    ことを特徴とした請求項記載のインクジェット記録用
    インクセット。 【化5】 〔式(7)中、Xは窒素またはリン、R1〜R4は炭素数
    1〜4のアルキル基、ヒドロキシル基、ハロゲン化アル
    キル基、水素を示す。〕
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載のカラーインクセ
    ットを用いたカラー画像形成法において、複数のインク
    吐出口を有するヘッドを用いた印字の際、一回のスキャ
    ンで隣接するノズルの吐出を行わず、複数回のスキャン
    で全てのインク吐出口に対応する印字ドットを形成する
    ことを特徴とするカラー画像の形成方法。
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