JP2004043448A - (メタ)アクリル酸類の製造方法 - Google Patents

(メタ)アクリル酸類の製造方法 Download PDF

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Shuhei Yada
矢田 修平
Yasuyuki Ogawa
小川 寧之
Kenji Takasaki
高崎 研二
Yoshiro Suzuki
鈴木 芳郎
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Abstract

【解決手段】プロピレン、プロパンもしくはイソブチレンの気相接触酸化を含む反応工程、及び要すれば更にエステル化工程を含む反応工程でアクリル酸もしくはメタクリル酸又は(メタ)アクリル酸エステルを製造する方法において、ミカエル付加物を含有する高沸点混合物を分解反応器で分解して、(メタ)アクリル酸類を回収するに当たり、該分解反応器より液状の反応残渣物を間欠的に抜き出すことを特徴とする(メタ)アクリル酸類の製造方法。
【効果】(メタ)アクリル酸類のミカエル付加物を含有する高沸物を加熱分解して有価物を回収する方法において、分解残渣物を、分解反応器から貯蔵タンクに、閉塞なく送出することができ、長期連続運転が可能となる。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、アクリル酸もしくはメタクリル酸(以下、これらを総称して(メタ)アクリル酸という。)、又はそれらのエステル(以下、(メタ)アクリル酸とそれらのエステルを総称して(メタ)アクリル酸類という。)の製造方法に関する。更に詳しくは、(メタ)アクリル酸類の製造工程で副生する(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸エステルのミカエル付加物を分解し、有益化合物を回収することにより、産業廃棄物の量を削減し、かつ高い回収率によって工業的に有利な(メタ)アクリル酸類を製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
アクリル酸又はアクリル酸エステル類の製造時に副生するミカエル付加物の分解方法としては、アクリル酸の製造プロセスにおいては触媒を用いない熱分解方法が一般的に採用されるが(特許文献1参照)、アクリル酸エステルの製造プロセスの場合は、ルイス酸もしくはルイス塩基の存在下に加熱して分解する方法が知られている(特許文献2〜6参照)。また、ミカエル付加物の分解反応方式としては、分解反応を行いながら目的の分解反応生成物を蒸留で留去させる反応蒸留方式が一般的に採用されている。また、アクリル酸の製造工程で副生するミカエル付加物と、アクリル酸エステルの製造工程で副生するミカエル付加物とを併せて熱分解する方法も公知であり、無触媒、反応蒸留方式で熱分解する方法(特許文献7参照)と、高濃度の酸触媒を用いて分解する方法(特許文献8参照)等がある。
【特許文献1】特開平11−12222号公報
【特許文献2】特開昭49−55614号公報
【特許文献3】特公平7−68168号公報
【特許文献4】特開平9−110791号公報
【特許文献5】特開平9−124552号公報
【特許文献6】特開平10−45670号公報
【特許文献7】特開平8−225486号公報
【特許文献8】特開平9−183753号公報
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来、かかる分解反応を行うに当り、反応器の塔頂にて製品、あるいは反応原料として有用な(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、アルコールの回収量を増加させるためには、分解反応温度を上げ、塔底抜き出し量を抑える必要があった。しかし抜き出し量が少量となるまで分解反応を押し進めると、塔底液が高粘度液体となり、分解反応液の排出ラインで閉塞トラブルが発生するために分解反応器を長期間安定して運転することが困難であった。
この問題解決の一例として、塔底液を送出する配管の径を小さくして、高流速で送出する方法が考えられるが、送出のためのポンプが高圧仕様となり工業的生産方法においては経済的に不利であり採用できない状況にあった。また、塔底液の粘度を下げるため製造工程の廃水を添加したりあるいは新規に水を添加する方法が考えられるが、液温の低下を引き起こすため、かえって閉塞を助長したり、大量に加える必要が生じたりして実質的に採用できない状況にあった。
本発明は、このような従来の(メタ)アクリル酸類のミカエル付加物の分解反応における問題点を克服し、高粘度液の抜き出し方法を改良することで、閉塞を防止し、回収率を上げた連続運転方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記問題点を解決するため、各種の検討を行った結果、(メタ)アクリル酸類のミカエル付加物の分解反応を実施するに当り、塔底液を反応器底部からの連続抜き出しでは無く、パルス送出すなわち間欠抜き出しにより、長時間閉塞なく実施できることを見出して、本発明に到達した。
閉塞が良好に防止できる理由は明らかではないが、本発明者らは、実験事実から定常流れでの管内閉塞は、間欠流動により流体の流れがより乱され、流体の流れが一時的に停止するにも関わらず、流体流れの乱れ効果で閉塞が極めて効果的に抑制されるためであると推定している。
即ち、本発明の要旨は、プロピレン、プロパンもしくはイソブチレンの気相接触酸化を含む反応工程、及び要すれば更にエステル化工程を含む反応工程で(メタ)アクリル酸類を製造する方法において、ミカエル付加物を含有する高沸点混合物を分解反応器で分解して、(メタ)アクリル酸類を回収するに当たり、該分解反応器より液状の反応残渣物を間欠的に抜き出すことを特徴とする(メタ)アクリル酸類の製造方法に存する。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明をさらに詳しく説明する。
<(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸エステル>
本発明は、(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸エステルの製造に際して取得される高沸点混合物(高沸物)の分解処理に適用できる。例えば、プロピレン又はイソブチレンをMo−Bi系複合酸化物触媒の存在下、気相接触酸化し、アクロレイン又はメタクロレインを生成し、更にMo−V系複合酸化物触媒の存在下、気相接触酸化する(メタ)アクリル酸の製造プロセスに適用できる。この際、プロピレン等を酸化して主としてアクロレイン又はメタクロレインを生成する前段反応と、アクロレイン又はメタクロレインを酸化して主として(メタ)アクリル酸を生成する後段反応をそれぞれ別の反応器で行うものでも、一つの反応器に前段反応を行う触媒と後段反応を行う触媒を同時に充填して反応を行うものでも構わない。また、プロパンをMo−V−Te系複合酸化物触媒、或いはMo−V−Sb系複合酸化物触媒等を用いて気相酸化するアクリル酸の製造プロセスにも適用できる。更には、(メタ)アクリル酸にアルコールを反応させてそのエステルを製造するプロセスにも適用できる。
【0006】
これらのプロセスにおいて、目的物を分離した後に得られる高沸点混合物(以下、単に高沸物と略称することがある)が、本発明の分解対象物である。アクリル酸エステルとしては、炭素数1〜8のアルキル又はシクロアルキルエステルがあげられる。たとえば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ターシャリーブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸メトキシエチル等が挙げられる。メタクリル酸エステルについても上記と同様のエステルが挙げられる。
【0007】
<ミカエル付加物>
本発明の分解対象物である高沸物に含有されるミカエル付加物とは、(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸エステルの炭素・炭素二重結合に、水、アルコール、(メタ)アクリル酸などの活性水素化合物がイオン付加したものである。具体的には、例えばアクリル酸を製造する場合のミカエル付加物として、下記に例示するようなアクリル酸2量体(以下、ダイマー)、アクリル酸3量体(以下、トリマー)、アクリル酸4量体(以下、テトラマー)、β―ヒドロキシプロピオン酸等である。
ダイマー: HC=CH−C(=O)−O−CH−CH−C(=O)−OH
トリマー: HC=CH−C(=O)−O−CH−CH−C(=O)−O−CH−CH−C(=O)−OH
テトラマー:HC=CH−C(=O)−O−CH−CH−C(=O)−O−CH−CH−C(=O)−O−CH−CH−C(=O)−OH
β―ヒドロキシプロピオン酸:HO−CH−CH−C(=O)−OH
【0008】
一方、アクリル酸エステルを製造する場合のミカエル付加物として、上述のアクリル酸エステルへのアクリル酸のミカエル付加物、具体的にはβ―アクリロキシプロピオン酸エステル(ダイマーのエステル);アルコールのミカエル付加物、具体的にはβ―アルコキシプロピオン酸エステル、ダイマー、トリマー、テトラマーのエステル体、β―ヒドロキシプロピオン酸、β―ヒドロキシプロピオン酸エステル類等がある。
β―アクリロキシプロピオン酸エステル: HC=CH−C(=O)−O−CH−CH−C(=O)−OR
β―アルコキシプロピオン酸エステル  :  RO−CH−CH−C(=O)−OR
トリマーのエステル: HC=CH−C(=O)−O−CH−CH−C(=O)−O−CH−CH−C(=O)−OR
β―ヒドロキシプロピオン酸エステル:HO−CH−CH−C(=O)−OR
【0009】
メタクリル酸及びメタクリル酸エステルについてもほぼ上記と同様である。相違点はα−位の水素がメチル基に置換される結果、プロピオン酸(エステル)はイソ酪酸(エステル)となる点のみである。
【0010】
反応分解器に供給する高沸物は、上記ミカエル付加物を含有する高沸点混合物である。ミカエル付加物の含有量は製造プロセスによって大幅に変動しうるが、通常1〜90重量%、好ましくは2〜70重量%程度のミカエル付加物を含有する高沸物が用いられる。高沸物には、(メタ)アクリル酸類を製造する工程で生成、副生する化合物、もしくはプロセス助剤として使用する物質も含まれている。具体的には、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル類、マレイン酸、マレイン酸エステル類、フルフラール、ベンズアルデヒド、ポリマー、オリゴマー、エステル製造原料として使用するアルコール類、重合禁止剤、具体的にはアクリル酸銅、ジチオカルバミン酸銅、フェノール化合物、フェノチアジン化合物等である。
【0011】
ジチオカルバミン酸銅としては、ジメチルジチオカルバミン酸銅、ジエチルジチオカルバミン酸銅、ジプロピルジチオカルバミン酸銅、ジブチルジチオカルバミン酸銅等のジアルキルジチオカルバミン酸銅、エチレンジチオカルバミン酸銅、テトラメチレンジチオカルバミン酸銅、ペンタメチレンジチオカルバミン酸銅、ヘキサメチレンジチオカルバミン酸銅等の環状アルキレンジチオカルバミン酸銅、オキシジエチレンジチオカルバミン酸銅等の環状オキシジアルキレンジチオカルバミン酸銅等である。
フェノール化合物としては、ハイドロキノン、メトキノン、ピロガロール、カテコール、レゾルシン、フェノール、またはクレゾール等である。フェノチアジン化合物としては、フェノチアジン、ビスー(α―メチルベンジル)フェノチアジン、3,7−ジオクチルフェノチアジン、ビスー(α―ジメチルベンジル)フェノチアジン等である。上記以外の物質もプロセスによっては含まれる場合があるが、本発明に影響しないことは明らかである。
【0012】
<(メタ)アクリル酸類を製造する工程>
前述の高沸物は、例えば、プロピレン、プロパン、イソブチレン又はアクロレインを接触気相酸化して得られた(メタ)アクリル酸含有ガスを水又は有機溶媒と接触させて(メタ)アクリル酸を溶液として捕集した後、抽出、蒸留等の精製工程を経て得られる。
(メタ)アクリル酸エステルを製造する工程は、例えば、(メタ)アクリル酸とアルコールを有機酸、あるいはカチオン性イオン交換樹脂等を触媒として反応させるエステル化反応工程、該反応で得られた粗(メタ)アクリル酸エステル液を濃縮する為の単位操作として抽出、蒸発、蒸留を行う精製工程よりなる。各単位操作は、エステル化反応の(メタ)アクリル酸とアルコールの原料比、エステル化反応に用いる触媒種、あるいは原料、反応副生成物等それぞれの物性により適宜選定される。
【0013】
<高沸物の熱分解反応の製造ライン図>
図面を参照して記述する。図1は、本発明の熱分解反応の製造ラインの一例であり、記号及び番号は下記を意味する。
A:分解反応器
B:塔底ポンプ
C:加熱用熱交換器
D:間欠抜き出し制御弁
1:高沸物供給ライン
3:加熱用熱交換器供給ライン
4:反応残渣物抜き出しライン
6:有価物回収ライン
【0014】
高沸物はライン1より分解反応器Aに供給される。分解反応器Aへの供給は連続的または間欠的(半連続的)に実施できるが、連続供給が好ましい。分解反応器で生成する有価物および一部の高沸物を構成する物質は回収ライン6より、連続的にガス状で抜き出され、そのままガス状、もしくは冷却して液状で製造工程へ戻される。分解反応器Aが塔型反応器である場合には、冷却した液の一部を分解反応塔の塔頂部分へ還流液として戻してもよい。塔底液は、ライン2から抜き出されポンプBを経て一部は加熱用熱交換器Cへ供給され、分解反応器Aに戻される。残りはライン4より本発明の主旨である間欠抜き出し制御弁Dを経て系外へ送出される。5は貯層への送出配管である。
【0015】
<高沸物の分解反応>
高沸物中に含まれるミカエル付加物を加熱することにより(メタ)アクリル酸を主体とする単量体に分解することができる。高沸物中に(メタ)アクリル酸エステルが含まれている場合は、条件によって、(メタ)アクリル酸とアルコールに加水分解することができるし、分解せずにエステルのまま回収することもできる。
分解反応の温度は、110〜250℃、好ましくは120〜230℃に調節される。図1において、高沸物は加熱用熱交換器Cで加熱され、温度制御が行われる。図1のように分解反応器Aの外部に加熱器が設置されるもの以外に、分解反応器内に設置されるインナーコイル型、分解反応器周囲に設置されるジャケット型加熱器等があり、いずれの型式の加熱装置も使用可能である。
【0016】
分解反応の滞留時間は、高沸物の組成、触媒の有無、分解反応温度によって異なる。上述の分解反応温度範囲の低い温度の場合は比較的長時間、例えば10〜50時間、高い温度の場合は30分〜10時間である。反応圧力は、減圧条件、常圧条件のいずれでもよい。
【0017】
分解反応は、高沸物のみを対象として実施することができるが、分解反応を促進する目的で酸触媒の存在下、又は水を共存させることもできる。分解反応触媒としては、硫酸、リン酸、メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、塩化アルミニウムのような酸又はルイス酸が主に使用できる。触媒及び/又は水は、予め高沸物と混合して、又は高沸物とは別に分解反応器Aに供給される。高沸物中にポリマー、重合防止剤、触媒等が含まれる場合は、これらは分解されることなく、通常はそのまま分解残渣物中に濃縮される。
【0018】
<分解反応器の構造>
分解反応器Aの構造は、塔型、槽型などいずれでもよい。塔型反応器の場合、内容物として一般の蒸留塔に使用されるトレイ、あるいは充填物が設置される場合があり、分解反応が行われると共に蒸留操作がなされるので好ましい。充填物としては、規則充填物として、スルザー・ブラザース社製のスルザーパック、住友重機械工業社製の住友スルザーパッキング、メラパック、グリッチ社製のジェムパック、モンツ社製のモンツパック、東京特殊金網社製のグッドロールパッキング、日本ガイシ社製のハニカムパック、ナガオカ社製のインパルスパッキング等が用いられる。
不規則充填物としては、ノートン社製のインタロックスサドル、日鉄化工機社製のテラレット、BASF社製のポールリング、マストランスファー社製のカスケード・ミニ・リング、日揮社製のフレキシリング等であり、これら充填物は如何なるもの用いてもよく、また1種類以上を組み合わせて使用しても良い。
【0019】
トレイとしては、ダウンカマーのある泡鐘トレイ、多孔版トレイ、バルブトレイ、スーパーフラックトレイ、マックスフラクストレイ等、ダウンカマーの無いデユアルトレイ、ディスクアンドドーナツ型トレイ等がある。トレイ、あるいは充填物を組み合わせて使用しても良く、また、分解反応物の内部にこれら内容物が全く無くても良い。
槽型反応器の場合は、槽だけでもよく、必要に応じてバッフル、撹拌翼など付設したものでもよい。
【0020】
<間欠抜き出し>
本発明において最も大きな特徴は、分解反応器から分解残渣物を間欠的に抜き出すことにある。間欠抜き出しは、間欠抜き出し制御弁Dによって実施される。該弁Dの閉止時間は、通常5秒から5分、好ましくは10秒から2分、該弁Dの開口時間は、通常2秒から5分、好ましくは3秒から2分の間で選択される。制御弁Dの開口率[開口時間/(開口時間+閉止時間)の百分率]として好ましいのは、2〜50%、より好ましくは5〜30%の範囲である。上記範囲よりも閉止時間が短い、および開口時間が長いと、分解残渣物の流れの慣性により閉止抑制効果が十分発揮されないことがある。閉止時間が長い、および開口時間が短いと配管内液の静止状態が影響し配管閉塞を引き起こしやすくなるため好ましくない。連続抜き出し(開口率100%)では後記比較例からも明らかなように配管の閉塞が起こる。
一方、ミカエル付加物又はエステルの分解生成物として、アクリル酸、メタクリル酸、アルコールなどが分解反応器の上部(塔頂)から連続的に抜き出される。これらは精製系に導かれ、または製造プロセスの適宜の位置に循環される。
【0021】
【実施例】
以下に、本発明を具体的に説明するために、実施例および比較例を挙げて詳細に説明するが本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、高沸物の組成分析は、水素炎イオン化検出器(FID)付きのガスクロマトグラフを用いて常法に従って実施した。
【0022】
<実施例1>
図1に示す設備で高沸物の分解反応を実施した。分解反応器として外径600mm、長さ1800mm、材質はハステロイCの塔型反応器を使用した。原料として下記組成の高沸物をライン1より580kg/hで連続的に供給した。
[ 高沸物(原料)組成]
アクリル酸ブチル:        22重量%
β―ブトキシプロピオン酸ブチル: 69重量%
アクリロキシプロピオン酸ブチル:  4重量%
β―ヒドロキシプロピオン酸ブチル: 2重量%
ハイドロキノン:          2重量%
メトキシキノン:          1重量%
また、分解反応触媒として硫酸1重量%水溶液をライン1に58kg/h(原料供給液に対し10重量%)で供給し、反応圧力100kPa、分解温度190℃、滞留時間1時間で分解反応を実施した。
【0023】
塔頂からアクリル酸及びブタノールを主体とする有価物を449.5kg/hで回収する一方、塔底より下記組成の反応残渣物を188.5kg/hで間欠的に抜き出した。即ち、図1に示す間欠抜き出し制御弁Dを閉止時間75秒、開口時間5秒(開き率6.3%)で実施した。
抜き出し液を、3/4B径の配管(内径22.2mm)を用いて、800m離れて設置された反応残渣物貯槽に送出した。3ヶ月連続運転を行ったが、反応残渣物の送出配管に閉塞は認められなかった。結果を表1に示した。
[ 反応残渣物組成 ]
アクリル酸ブチル:       11.7重量%
β―ブトキシプロピオン酸ブチル:72.7重量%
アクリロキシプロピオン酸ブチル: 2.1重量%
β―ヒドロキシプロピオン酸ブチル:0.4重量%
ハイドロキノン:         6.2重量%
メトキシキノン:         3.1重量%
ブタノール:           0.8重量%
硫酸:              3.1重量%
なお、高沸物中の各成分の分解率は、 下記の通りである。
β―ブトキシプロピオン酸ブチル:約67%
アクリロキシプロピオン酸ブチル:約83%
β―ヒドロキシプロピオン酸ブチル:約74%
但し、分解率は、高沸物中の各成分毎に、[1−(分解反応器よりの抜出量)/(分解反応への供給量)]×100(%)で定義されるものである。
【0024】
<実施例2〜4>
実施例1と同じ設備、および操作で得られた反応残渣液を、間欠抜き出し時間(開き率)を表1に示す条件に変更した以外は実施例1と同様にして反応残渣物貯槽に送出した。いずれの条件でも3ヶ月連続運転の結果、送出配管に閉塞は認められなかった。また、高沸物の分解率は、各成分とも実施例1とほぼ同じであった。表1に結果を示す。
【0025】
<比較例1>
実施例1と同じ設備及び操作で得られた反応残渣液を、実施例1と同じ反応残渣物貯槽用タンクに連続的に送出した。運転開始の5日目頃より反応残渣液の送出量が徐々に低下するのが認められた。該配管に対して、外部より機械的衝撃を与えたところ、部分的・一時的に閉塞が解消したが送出量の完全な回復は不可能であった。その後、抜き出し量が引き続き低下したため、徐々に分解反応器での滞留時間が増加した。その結果、反応残渣の液性状が高粘性となり25日目に分解反応器の運転を停止するに至った。なお、閉塞以前の定常運転時の高沸物の分解率は、各成分とも実施例1とほぼ同じであった。表1に結果を示す。
【0026】
<実施例5〜8>
実施例1と同じ装置を用い、原料として下記組成の高沸物を580kg/hで供給して分解反応を実施した。
[ 高沸物(原料)組成 ]
アクリル酸:        46.0重量%
マレイン酸:        10.0重量%
アクリル酸ダイマー(アクリロキシプロピオン酸):42.4重量%
ハイドロキノン:       0.9重量%
フェノチアジン:       0.7重量%
分解反応の条件を、反応圧力72kPa、分解温度190℃、滞留時間1時間とし、分解触媒は供給しなかった。
【0027】
塔頂からアクリル酸を主体とする有価物を449.5kg/hで回収する一方、塔底より下記組成の反応残渣物を130.5kg/hで間欠的に抜き出した。即ち、図1に示す間欠抜き出し制御弁Dの閉止時間及び開口時間を、表2に示すように設定して実施した。
抜き出し液を、3/4B径の配管(内径22.2mm)を用いて、800m離れて設置された反応残渣物貯槽に送出した。3ヶ月連続運転を行ったが、反応残渣物の送出配管に閉塞は認められなかった。また、アクリル酸ダイマーの分解率は約72%であった。結果を表2に示した。
[ 反応残渣物組成 ]
アクリル酸:        9.0重量%
マレイン酸:       14.0重量%
アクリル酸ダイマー(アクリロキシプロピオン酸):69.5重量%
ハイドロキノン:      4.0重量%
フェノチアジン:      3.1重量%
オリゴマー及びポリマー:  0.4重量%
【0028】
<比較例2>
実施例5〜8と同じ設備及び操作で得られた反応残渣液を、実施例5〜8と同じ反応残渣物貯槽に連続的に送出した。運転開始の5日目頃より反応残渣液の貯槽への送出量が徐々に低下するのが認められた。該配管に対して、外部より機械的衝撃を与えたところ、部分的・一時的に閉塞が解消したが送出量の完全な回復は不可能であった。その後、抜き出し量が引き続き低下したため、徐々に分解反応器での滞留時間が増加した。その結果、反応残渣の液性状が高粘性となり18日目に分解反応器の運転を停止するに至った。表2に結果を示す。
【0029】
【表1】
Figure 2004043448
【0030】
【表2】
Figure 2004043448
【0031】
【発明の効果】
(メタ)アクリル酸類のミカエル付加物を含有する高沸物を加熱分解して有価物を回収する方法において、分解反応残渣物を、分解反応器から貯蔵タンクに、閉塞なく送出することができ、長期連続運転が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】熱分解反応の製造ラインの一例を示す。
【符号の説明】
A:分解反応器
B:塔底ポンプ
C:加熱用熱交換器
D:間欠抜き出し制御弁
1:高沸物供給ライン
3:加熱用熱交換器供給ライン
4:反応残渣物抜き出しライン
6:有価物回収ライン

Claims (6)

  1. プロピレン、プロパンもしくはイソブチレンの気相接触酸化を含む反応工程、及び要すれば更にエステル化工程を含む反応工程で(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸エステルを製造する方法において、ミカエル付加物を含有する高沸点混合物を分解反応器で分解して、(メタ)アクリル酸類を回収するに当たり、該分解反応器より液状の反応残渣物を間欠的に抜き出すことを特徴とする(メタ)アクリル酸類の製造方法。
  2. 抜き出し停止時間が5秒〜5分間、抜き出し時間が2秒〜5分間であることを特徴とする請求項1に記載の(メタ)アクリル酸類の製造方法。
  3. 分解反応器に液状の高沸点混合物を連続的に供給し、かつ気相から(メタ)アクリル酸類を連続的に抜き出すことを特徴とする請求項1又は2に記載の(メタ)アクリル酸類の製造方法。
  4. 高沸点混合物が(メタ)アクリル酸のダイマーを含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の(メタ)アクリル酸類の製造方法。
  5. 高沸点混合物がβ−アルコキシプロピオン酸アルキル又はβ−アルコキシイソ酪酸アルキルを含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の(メタ)アクリル酸類の製造方法。
  6. 高沸点混合物を酸触媒の存在下、加熱することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の(メタ)アクリル酸類の製造方法。
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