JP2004043330A - 新規ピリジン誘導体およびその用途 - Google Patents

新規ピリジン誘導体およびその用途 Download PDF

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JP2004043330A
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Masayuki Nakamura
中村 雅之
Atsushi Inoue
井上 淳
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Senju Pharmaceutical Co Ltd
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Senju Pharmaceutical Co Ltd
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Abstract

【課題】虚血性疾患、免疫疾患、アルツハイマー病、骨粗鬆症、脳虚血疾患、白内障、緑内障、網膜(脈絡膜)疾患、光凝固による眼球後眼部合併症(例えば黄斑部浮腫、網膜剥離など)などの予防または治療薬として、あるいは血管新生などの抑制または治療薬として有用なカルパイン阻害活性を有し、かつ、高い水溶性を有する化合物を提供することである。
【解決手段】下記一般式
【化1】
Figure 2004043330

[式中、Rはピリジル基を、RおよびRはそれぞれ低級アルキル基を、nは0、1または2を示す。]で表される化合物またはその塩、および当該化合物を含有するカルパイン阻害剤。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はカルパイン阻害活性を有する新規ピリジン誘導体に関する。また、本発明は新規ピリジン誘導体を含有する医薬に関する。
【0002】
【従来の技術】
カルパインは生体内に広く分布する細胞質内のタンパク分解酵素の一つであり、カルシウムイオンで活性化される。現在では、このカルパインの異常な活性化が脳卒中、クモ膜下出血、アルツハイマー病、虚血性疾患、筋ジストロフィー、白内障、血小板凝集、関節炎などの種々の疾患に関与していることが明らかとなっている[Trends in Pharmacological Siences,15巻,412頁(1994年)]。一方、カルパイン阻害剤は水晶体培養による実験的白内障モデルにおいて、水晶体の透明維持に効果があり[Curr. Eye Res.,10巻,657−666頁(1994年)]、白内障治療剤(WO93/23032)などとして有用であることがわかってきている。これまで報告されているカルパイン阻害剤としては、ペプチドハロメタン誘導体(特公平6−29229)、ペプチドジアゾメタン誘導体[Biochem.J.,253巻,751−758頁(1988年)、J.Med.Chem.,35巻,216−220頁(1992年)]、ペプチジルアルデヒド誘導体(特開平10−147564など)などが挙げられるが、これらの阻害剤は、未だ実用化されていないのが現状である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
カルパイン阻害活性を有し、かつ、高い水溶性を有する化合物を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意研究した結果、高い水溶性を有し、かつ、強いカルパイン阻害活性を有するピリジン誘導体を創製し、さらに研究を進め本発明を完成した。
【0005】
すなわち、本発明は、
(1)下記一般式(I)
【化2】
Figure 2004043330
[式中、Rはピリジル基を、RおよびRはそれぞれ低級アルキル基を、nは0、1または2を示す。]で表される化合物またはその塩、
(2)上記(1)記載の化合物またはその医薬上許容される塩を含有する医薬、
(3)カルパイン阻害剤である上記(2)記載の医薬、および
(4)カルパインが関与する疾患の予防または治療剤である上記(2)記載の医薬に関する。
【0006】
上記一般式(I)中、Rで表されるピリジル基としては、2−ピリジル、3−ピリジルおよび4−ピリジルのいずれでもよい。RおよびRで表される低級アルキル基としては、炭素数1〜6の直鎖状または分枝状アルキル基が好ましく、具体的にはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、1,2−ジメチルプロピル、ヘキシル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、4−メチルペンチル、1,1−ジメチルブチル、1,2−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、2,3−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、1−エチルブチル、2−エチルブチル、1−エチル−2−メチルプロピル、1,1,2−トリメチルプロピルが挙げられる。とりわけ好ましくは炭素数3〜4の直鎖状または分枝状アルキル基である。Rで表される低級アルキル基としてはイソプロピルが、Rで表される低級アルキル基としてはイソブチルが特に好ましい。nは0、1または2の整数である。
【0007】
さらに、本発明は、本発明化合物(I)およびその塩、また本発明化合物(I)およびその塩の各種の溶媒和や結晶多形の物質ならびにプロドラッグをも包含する。本発明における式(I)で表される化合物の塩としては生理学的に許容される塩が好ましく、例えば無機酸との塩、有機酸との塩または酸性アミノ酸との塩などが挙げられる。無機酸との塩の好適な例としては、例えば塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸などとの塩が挙げられる。有機酸との塩の好適な例としては、例えばギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、フマール酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などとの塩が挙げられる。酸性アミノ酸との塩の好適な例としては、例えばアスパラギン酸、グルタミン酸などとの塩が挙げられる。
【0008】
本発明の化合物は、例えば下記反応式
【化3】
Figure 2004043330
[式中、各記号は前記と同意義であり、Aはアミノ基の保護基を示す。]により製造することができる。
【0009】
アミノ基がAで表される保護基で保護されたα−アミノ酸のN−ヒドロキシコハク酸イミドエステル(II)[以下、化合物(II)と記載することもある。]と一般式(III)で表されるアミノアルコール[以下、化合物(III)と記載することもある。]を反応させることにより、一般式(IV)で表される化合物[以下、化合物(IV)と記載することもある。]を得ることができる。Aで表される保護基としてはベンジルオキシカルボニル基(以下、Z基と記載することもある。)、tert−ブトキシカルボニル基(以下、Boc基と記載することもある。)などの通常ペプチド合成の分野で用いられるものを適宜使用できる。この反応は、化合物(II)を通常使用される有機溶媒に溶解し、約1〜約5モル当量の化合物(III)を加え、攪拌することにより行うことができる。通常使用される有機溶媒としては、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、メタノール、エタノール、ベンゼン、トルエン、酢酸エチルなどのような反応に悪影響をおよぼさない慣用の溶媒またはそれらの混合溶媒が挙げらるが、好ましくは酢酸エチルである。反応温度は、副反応が起こらない範囲であれば、特に限定されず、反応は通常、冷却下、室温または加温下で行われるが、好ましくは室温である。
【0010】
次に、化合物(IV)を酸化反応に付することにより、一般式(V)で表される化合物[以下、化合物(V)と記載することもある。]を得ることができる。該酸化方法としては、例えばクロム酸酸化に分類される二クロム酸ピリジニウム(PDC)酸化、クロロクロム酸ピリジニウム(PCC)酸化、ジョーンズ(Jones)酸化、コリンズ(Collins)酸化、またはジメチルスルホキシド(DMSO)酸化に分類されるスワン(Swern)酸化、DMSO−三酸化硫黄ピリジン錯体による酸化、DMSO−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)による酸化、DMSO−塩化オキサリルによる酸化、または次亜ハロゲン酸による酸化、N−ハロゲノカルボン酸アミドによる酸化など、自体公知の方法を使用することができるが、とりわけDMSO−三酸化硫黄ピリジン錯体による酸化が好ましい。DMSO−三酸化硫黄ピリジン錯体を用いて酸化する反応は、化合物(IV)をジメチルスルホキシドまたはジメチルスルホキシドと通常使用される有機溶媒(例えばテトラヒドロフラン、ジクロロメタン、酢酸エチルなど)の混合溶媒に溶解し、適当な塩基(例えばジイソプロピルエチルアミンやトリエチルアミンなど)の存在下、三酸化硫黄ピリジン錯体を加えることで行うことができる。反応温度は特に限定されないが、通常冷却下、室温または加温下であり、好ましくは氷冷下から室温の範囲である。
【0011】
次に、化合物(V)のアルデヒドをエチレングリコールで環状アセタールを形成して保護する[一般式(VI)で表される化合物、以下、化合物(VI)と記載することもある。]。この反応は、化合物(V)を通常使用される有機溶媒に溶解し、エチレングリコールを加え、ピリジニウムp−トルエンスルホナートの存在下で攪拌して行うことができる。通常使用される有機溶媒としては、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、メタノール、エタノール、ベンゼン、トルエン、酢酸エチルなどのような反応に悪影響をおよぼさない慣用の溶媒またはそれらの混合溶媒が挙げらるが、好ましくはトルエンである。エチレングリコールの使用量は化合物(V)に対して約1〜約20倍当量で、好ましくは約3〜約6倍当量である。ピリジニウムp−トルエンスルホナートの代わりに通常酸触媒として用いられるp−トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、酢酸、ギ酸などの有機酸や塩酸、臭化水素酸、硫酸などの無機酸を用いても同様の反応を行うことができる。反応温度は約20〜約200℃であるが、好ましくは約50〜約150℃である。また、エチレングリコールの代わりにエタノールを用いて同様の反応を行い、ジエチルアセタールを形成することにより化合物(V)のアルデヒドを保護することもできる。
【0012】
次に化合物(VI)の保護基であるAを、アミノ保護基の脱離反応に用いられる慣用的方法から適宜選択して脱離することにより、一般式(VII)で表される化合物[以下、化合物(VII)と記載することもある。]を得ることができる。例えばAがZ基の場合は、化合物(VI)を通常使用される溶媒(例えばメタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、酢酸などのような反応に悪影響をおよぼさない慣用の溶媒またはそれらの混合溶媒)に溶解し、慣用の金属触媒(例えばパラジウム炭素、ラネーニッケルなど)の存在下で接触還元によりAを脱離することができる。水素圧は約1〜約50気圧であるが、好ましくは約1〜約5気圧である。反応温度は、好ましくない副反応が起こらない範囲であれば特に限定されず、通常冷却下、室温または加温下で行われる。AがBoc基の場合は、化合物(VI)を通常使用される有機溶媒(例えばテトラヒドロフラン、ジクロロメタン、酢酸エチルなどのような反応に悪影響をおよぼさない慣用の溶媒またはそれらの混合溶媒)に溶解し、酸の存在下、攪拌することによりAを脱離することができる。酸としては塩酸、トリフルオロ酢酸、p−トルエンスルホン酸などが挙げられる。また、市販されている塩酸の酢酸エチル溶液もしくはジオキサン溶液などを用いて脱離することもできる。反応温度は特に限定されないが、通常冷却下、室温または加温下であり、好ましくは氷冷下から室温の範囲である。
【0013】
次に、化合物(VII)と一般式(VIII)で表される化合物[以下、化合物(VIII)と記載することもある。]またはその塩あるいはそれらの反応性誘導体のアミド化反応を行うことにより、一般式(IX)で表される化合物[以下、化合物(IX)と記載することもある。]を得ることができる。このアミド化反応は脱水縮合剤を用いるような通常のペプチド合成の方法などによって行われる。化合物(VIII)の好適な反応性誘導体としては、酸ハロゲン化物(例えば酸塩化物など)、酸無水物(例えばジアルキルリン酸、フェニルリン酸、ジフェニルリン酸、ジベンジルリン酸、ハロゲン化リン酸などの置換されたリン酸:ジアルキル亜リン酸:亜硫酸:チオ硫酸:硫酸:例えばメタンスルホン酸などのスルホン酸:例えば酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、ピバリン酸、ペンタン酸、イソペンタン酸、トリクロロ酢酸などの脂肪族カルボン酸:例えば安息香酸などの芳香族カルボン酸のような酸との混合酸無水物;対称酸無水物など)、活性化アミド(例えばイミダゾール、4−置換イミダゾール、ジメチルピラゾール、トリアゾール、テトラゾールとの活性化アミドなど)、活性化エステル(例えばN,N−ジメチルヒドロキシルアミン、1−ヒドロキシ−2−(1H)−ピリドン、N−ヒドロキシコハク酸イミド、N−ヒドロキシフタルイミド、1−ヒドロキシベンゾトリアゾールなどのN−ヒドロキシ化合物とのエステルなど)などが挙げられるが、好ましくは1−ヒドロキシベンゾトリアゾールとのエステル体または酸塩化物である。脱水縮合剤としては、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩またはジシクロヘキシルカルボジイミドなどが好適に使用される。反応に使用される有機溶媒としてはN,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、メタノール、エタノール、ベンゼン、トルエン、酢酸エチルまたはこれらの混合溶媒などが挙げらるが、好ましくはN,N−ジメチルホルムアミドである。反応温度は、好ましくない副反応が起こらない範囲であれば特に限定されず、通常冷却下、室温または加温下であり、好ましくは氷冷下から室温の範囲である。
【0014】
さらに、化合物(IX)を脱アセタール化反応に付することにより、一般式(I)で表される化合物を得ることができる。この脱アセタール化反応は、化合物(IX)を水または通常使用される有機溶媒と水の混合溶媒に溶解し、酸を加え、攪拌することにより行うことができる。反応に使用される有機溶媒としてはN,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、メタノール、エタノール、ベンゼン、トルエン、酢酸エチルまたはこれらの混合溶媒などが挙げらるが、好ましくはテトラヒドロフランである。用いられる酸としてはp−トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、酢酸、ギ酸などの有機酸や塩酸、臭化水素酸、硫酸などの無機酸が挙げられるが、特に好ましくは塩酸である。好適な塩酸濃度は約1〜約6Mである。反応温度は特に限定されず、冷却下、室温または加温下で反応は行われる。反応時間は、約1〜約48時間程度である。このようにして得られるピリジン誘導体は公知の分離精製手段、例えば濃縮、減圧濃縮、溶媒抽出、晶出、再結晶、転溶、クロマトグラフィーなどにより単離精製することができる。
【0015】
本発明の式(I)で表される化合物およびその塩(以下、本発明化合物と記載する場合がある。)は文献未載の新規化合物であり、後記試験例に示すように優れたカルパイン阻害活性を有するため、それらを有効成分として、必要により後記の担体などを組み合わせることにより、医薬として有用である。
【0016】
本発明化合物を含有する医薬は、哺乳動物(例えばヒト、ラット、マウス、ウサギ、ウシ、ブタ、イヌ、ネコなど)のカルパインが関与する疾患、例えば虚血性疾患、免疫疾患、アルツハイマー病、骨粗鬆症、脳虚血疾患、白内障、緑内障、網膜(脈絡膜)疾患、光凝固による眼球後眼部合併症(例えば黄斑部浮腫、網膜剥離など)などの予防または治療薬として、あるいは血管新生などの抑制または治療薬として有用である。また、本発明化合物は高い水溶性を有しているので、従来困難であった水性液剤としての使用が可能である。さらに、本発明化合物は組織移行性に優れ、かつ毒性も非常に低く安全性にも優れている。
【0017】
本発明化合物を含有する医薬は全身的または局所的に投与される。全身的には経口投与の他、静脈内注射、皮下注射、筋肉内注射など非経口的にも投与される。局所的には、皮膚、粘膜、鼻内、眼内などに投与される。
【0018】
本発明化合物を含有する医薬の製剤形態としては、粉末、顆粒、錠剤、カプセル剤、坐剤などの固形剤、およびシロップ剤、注射剤、点眼剤、点鼻剤などの液剤などが挙げられる。顆粒および錠剤として製造する場合には、例えば賦形剤(乳糖、白糖、ブドウ糖、デンプン、結晶セルロースなど)、滑沢剤(ステアリン酸マグネシウム、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウムなど)、崩壊剤(デンプン、カルメロースナトリウム、炭酸カルシウムなど)、結合剤(デンプン糊液、ヒドロキシプロピルセルロース液、カルメロース液、アラビアゴム液、ゼラチン液、アルギン酸ナトリウム液など)などを用いることにより任意の剤形を製造することができる。また、顆粒剤および錠剤には、適当なコーティング剤(ゼラチン、白糖、アラビアゴム、カルナバロウなど)、腸溶性コーティング剤(例えば酢酸フタル酸セルロース、メタアクリル酸コポリマー、ヒドロキシプロピルセルロースフタレート、カルボキシメチルエチルセルロースなど)などで剤皮を施してもよい。
【0019】
カプセル剤として製造する場合には、適当な賦形剤、例えば流動性と滑沢性を向上させるためのステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、軽質無水ケイ酸など、また加圧流動性のための結晶セルロースや乳糖などの他、上記崩壊剤などを適宜添加したものを均等に混和または粒状もしくは粒状としたものに適当なコーティング剤で剤皮を施したものを充填するか、適当なカプセル基剤(ゼラチンなど)にグリセリンまたはソルビトールなど加えて塑性を増したカプセル基剤で被包成形することもできる。これらカプセル剤には必要に応じて、着色剤、保存剤[二酸化硫黄、パラベン類(パラオキシ安息香酸メチル、エチル、プロピルエステル)]などを加えることができる。カプセル剤は通常のカプセルの他、腸溶性コーティングカプセル、胃内抵抗性カプセル、放出制御カプセルとすることもできる。腸溶性カプセルとする場合、腸溶性コーティング剤でコーティングした化合物または化合物に上記の適当な賦形剤を添加したものを通常のカプセルに充填または、カプセル自身を腸溶性コーティング剤でコーティング、もしくは腸溶性高分子を基剤として成形することができる。
【0020】
坐剤として製造する場合には坐剤基剤(例えばカカオ脂、マクロゴールなど)を適宜選択して使用することができる。
【0021】
シロップ剤として製造する場合、例えば安定剤(エデト酸ナトリウムなど)、懸濁化剤(アラビアゴム、カルメロースなど)、矯味剤(単シロップ、ブドウ糖など)、芳香剤などを適宜選択して使用することができる。
【0022】
注射剤、点眼剤または点鼻剤として製造する場合、医薬上許容される添加物、例えば等張化剤(塩化ナトリウム、塩化カリウム、グリセリン、マンニトール、ソルビトール、ホウ酸、ホウ砂、ブドウ糖、プロピレングリコールなど)、緩衝剤(リン酸緩衝液、酢酸緩衝液、ホウ酸緩衝液、炭酸緩衝液、クエン酸緩衝液、トリス緩衝液など)、保存剤(パラオキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、ベンジルアルコール、塩化ベンザルコニウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、エデト酸ナトリウム、ホウ酸、ホウ砂など)、増粘剤(ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコールなど)、安定化剤(亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、エデト酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、アスコルビン酸、ジブチルヒドロキシトルエンなど)、pH調整剤(塩酸、水酸化ナトリウム、リン酸、酢酸など)などを適宜添加した溶液に溶解または分散することによって製造することができる。
【0023】
なお、本発明化合物は、医薬品として望まれる高い水溶性を有するので、水溶性液剤、特に上記したシロップ剤、注射剤、点眼剤および点鼻剤などの製剤として有利に使用できる。
【0024】
上記シロップ剤、注射剤、点眼剤および点鼻剤における添加剤の添加量は、添加する添加剤の種類、用途などによって異なるが、添加剤の目的を達成し得る濃度を添加すればよく、等張化剤は、通常、浸透圧が約229〜約343mOsmとなるよう、約0.5〜約5.0w/v%に添加する。また、緩衝剤は約0.01〜約2.0w/v%程度、増粘剤は約0.01〜約1.0w/v%程度、安定化剤は約0.001〜約1.0w/v%程度添加する。pH調整剤は、適宜添加し、通常pH約3〜約9、好ましくは約4〜約8に調整される。
【0025】
本発明化合物の投与量は対象となる疾患、症状、投与対象、投与方法などにより異なるが、例えば内服剤として成人に投与する場合は、1日数回、1回量約1〜約200mg、好ましくは約10〜約100mgである。また、注射剤として成人に投与する場合は、1日1回、約0.1〜約50mg、好ましくは約1〜約30mgである。また、眼に局所的に使用する場合には、通常約0.001〜約1.0w/v%、好ましくは約0.01〜約0.5w/v%に調整した点眼液を、1回約20〜約50μL、1日数回点眼するのがよい。
【0026】
【発明の実施の形態】
本発明を以下の参考例、実施例、試験例および製剤例に従いさらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。なお、実施例で述べる化合物の分析値において、融点はYanaco製MP−500V型(補正なし)を用いて測定した。核磁気共鳴スペクトル(NMR)はVarian製Gemini−2000型を用いて測定した。比旋光度([α])はHoriba製SEPA−2000型を用いて測定した。元素分析はElementar製Vario EL型を用いて測定した。
【0027】
【実施例】
参考例1 (2S)−2−((ベンジルオキシ)カルボニルアミノ)−N−((1S)−1−(ヒドロキシメチル)−3−メチルブチル)−3−メチルブタナミド(参考化合物1)
ベンジルオキシカルボニル−L−バリンN−ヒドロキシコハク酸イミドエステル(30g,86mmol)の酢酸エチル溶液(400mL)にL−ロイシノール(12g,100mmol)を加えた。この反応液を室温で18時間攪拌した(沈殿が観察された)。この沈殿を酢酸エチルの追加により溶解し、この溶液を1M塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで脱水後、減圧濃縮した。残渣をヘキサンで洗浄し、参考化合物1(19g,63%) を無色結晶として得た。
mp 65.1−65.9 ℃. H−NMR (300 MHz, DMSO−d) δ : 0.80−0.87 (m, 12H), 1.26−1.37 (m, 2H), 1.59 (m, 1H), 1.92 (m, 1H), 3.18 (m, 1H), 3.30 (m, 1H), 3.77−3.83 (m, 2H), 4.61 (m, 1H), 4.99−5.08 (m, 2H), 7.21 (d, 1H, J = 8.7Hz), 7.31−7.36 (m, 5H), 7.51 (d, 1H, J = 8.7 Hz).
【0028】
参考例2 (2S)−2−((ベンジルオキシ)カルボニルアミノ)−N−((1S)−1−ホルミル−3−メチルブチル)−3−メチルブタナミド(参考化合物2)
参考化合物1(19g,54mmol)をジメチルスルホキシド(150mL)とジクロロメタン(70mL)に溶解し、5℃に冷却した。そこへ、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(28g,220mmol)と三酸化硫黄ピリジン錯体(35g,220mmol)のジメチルスルホキシド懸濁液(70mL)を加えた。この反応液を氷冷下で30分間攪拌した。反応液を酢酸エチルで希釈し、この溶液を1M塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで脱水後、減圧濃縮した。得られた白色固体を酢酸エチル/ヘキサン混液から結晶化し、参考化合物2(12g,63%)を無色結晶として得た。
mp 123.1−124.6 ℃. H−NMR (300 MHz, DMSO−d) δ : 0.84−0.91 (m, 12H), 1.37−1.65 (m, 3H), 2.00 (m, 1H), 3.90 (m, 1H), 4.12 (m, 1H), 5.04 (s, 2H), 7.31−7.37 (m, 6H), 8.34 (d, 1H, J = 6.9 Hz), 9.39 (s, 1H).
【0029】
参考例3 (2S)−2−((ベンジルオキシ)カルボニルアミノ)−N−((1S)−1−(2,5−ジオキソラニル)−3−メチルブチル)−3−メチルブタナミド(参考化合物3)
参考化合物2(11g,31mmol)のトルエン溶液(300mL)にエチレングリコール(9.8g,160mmol)とピリジニウムp−トルエンスルホナート(1.6g,6.3mmol)を加えた。この溶液を80℃で4時間攪拌した。この反応液を1M塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで脱水後、減圧濃縮した。残渣をヘキサン混液から結晶化し、参考化合物3(12g,97%)を無色結晶として得た。
mp 105.9−106.6 ℃. H−NMR (300 MHz, DMSO−d) δ : 0.79−0.87 (m, 12H), 1.21 (m, 1H), 1.38 (m, 1H), 1.57 (m, 1H), 1.93 (m, 1H), 3.73−3.9 (m, 5H),4.01 (m, 1H), 4.71 (d, 1H, J = 2.4 Hz), 4.98−5.09 (m, 2H), 7.18 (d, 1H,J = 9.0), 7.31−7.35 (m, 5H), 7.54 (d, 1H, J = 9.3 Hz).
【0030】
参考例4 (2S)−2−アミノ−N−((1S)−1−(2,5−ジオキソラニル)−3−メチルブチル)−3−メチルブタナミド(参考化合物4)
参考化合物3(12g,31mmol)をエタノール(250mL)に溶解し、常圧室温で10%パラジウム炭素 (2.0g)の存在化、水素化反応を行った。72時間攪拌後、パラジウム炭素をろ去し、ろ液を減圧濃縮し、参考化合物4(7.5g,95%)を無色オイルとして得た。
H−NMR (300 MHz, DMSO−d) δ : 0.76 (d, 3H, J = 6.9 Hz), 0.82 (d, 3H, J = 6.6 Hz), 0.87 (d, 6H, J = 6.6 Hz), 1.23 (m, 1H), 1.37 (m, 1H), 1.55 (m, 1H), 1.68 (s, 2H), 1.9 (m, 1H), 2.96 (d, 1H, J = 5.1 Hz), 3.74−3.91 (m, 4H), 4.01 (m, 1H), 4.72 (d, 1H, J = 3.3 Hz), 7.62 (d, 1H, J = 9.6 Hz).
【0031】
参考例5 (2S)−N−((1S)−1−(2,5−ジオキソラニル)−3−メチルブチル)−3−メチル−2−(4−ピリジルカルボニルアミノ)ブタナミド(参考化合物5)
参考化合物4(1.6g,6.2mmol)のテトラヒドロフラン溶液(30mL)にイソニコチノイルクロリド塩酸塩(1.4g,8.0mmol)とトリエチルアミン(1.3g,12mmol)を加えた。この溶液を室温で2時間攪拌した。減圧濃縮後、残渣を酢酸エチルに溶解し、この溶液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで脱水後、減圧濃縮し、参考化合物5(2.3g,98%)を微黄色オイルとして得た。
H−NMR (300 MHz, DMSO−d) δ : 0.79 (d, 3H, J = 6.6 Hz), 0.86 (d, 3H, J = 6.6 Hz), 0.92 (d, 3H, J = 6.9 Hz), 0.92 (d, 3H, J = 6.6 Hz), 1.24 (m, 1H), 1.39 (m, 1H), 1.59 (m, 1H), 2.10 (m, 1H), 3.73−3.86 (m, 4H), 4.02 (m, 1H), 4.32 (t, 1H, J = 8.4 Hz), 4.72 (d, 1H, J = 3.6 Hz), 7.72−7.77 (m, 3H), 8.53 (d, 1H, J = 8.7 Hz), 8.71−8.74 (m, 2H).
【0032】
参考例6 (2S)−N−((1S)−1−(2,5−ジオキソラニル)−3−メチルブチル)−3−メチル−2−((2−ピリジルメチル)カルボニルアミノ)ブタナミド(参考化合物6)
参考化合物4(0.80g,3.1mmol)、2−ピリジル酢酸塩酸塩(0.59g,3.4mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(0.46g,3.4mmol)およびトリエチルアミン(0.34g,3.4mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド(20mL)に溶解した。そこへ、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(0.65g,3.4mmol)のジクロロメタン溶液(20mL)を氷冷下で加えた。この溶液を室温で18時間攪拌した後、減圧濃縮した。残渣を酢酸エチルで希釈し、この溶液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで脱水後、減圧濃縮した。残渣をヘキサンから結晶化を行い、参考化合物6(0.90g,77%)を無色結晶として得た。
mp 108.3−109.2 ℃. H−NMR (300 MHz, DMSO−d) δ : 0.78−0.86 (m, 12H), 1.22 (m, 1H), 1.37 (m, 1H), 1.53 (m, 1H), 1.96 (m, 1H), 3.71 (s, 2H), 3.75−3.85 (m, 4H), 4.01 (m, 1H), 4.22 (dd, 1H, J = 8.8, 6.5 Hz), 4.70 (d, 1H, J = 3.3 Hz), 7.25 (m, 1H), 7.32 (m, 1H), 7.66−7.75 (m, 2H), 8.11 (d, 1H, J = 8.8 Hz), 8.48 (m, 1H).
【0033】
参考例7 (2S)−N−((1S)−1−(2,5−ジオキソラニル)−3−メチルブチル)−3−メチル−2−((3−ピリジルメチル)カルボニルアミノ)ブタナミド(参考化合物7)
参考化合物4(0.80g,3.1mmol)、3−ピリジル酢酸塩酸塩(0.59g,3.4mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(0.46g,3.4mmol)およびトリエチルアミン(0.34g,3.4mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド(20mL)に溶解した。そこへ、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(0.65g,3.4mmol)のジクロロメタン溶液(20mL)を氷冷下で加えた。この溶液を室温で18時間攪拌した後、減圧濃縮した。残渣を酢酸エチルで希釈し、この溶液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで脱水後、減圧濃縮した。残渣をヘキサンから結晶化を行い、参考化合物7(0.92g,79%)を無色結晶として得た。
mp 89.7−90.3 ℃. H−NMR (300 MHz, DMSO−d) δ : 0.77−0.84 (m, 12H), 1.21 (m, 1H), 1.35 (m, 1H), 1.51 (m, 1H), 1.92 (m, 1H), 3.51 (d, 1H, J = 14.1 Hz), 3.58 (d, 1H, J = 14.1 Hz), 3.73−3.87 (m, 4H), 3.99 (m, 1H), 4.18(dd, 1H, J = 8.9, 7.2 Hz), 4.69 (d, 1H, J = 3.6 Hz), 7.31 (m, 1H), 7.65−7.71 (m, 2H), 8.19 (d, 1H, J = 8.9 Hz), 8.41−8.46 (m, 2H).
【0034】
参考例8 (2S)−N−((1S)−1−(2,5−ジオキソラニル)−3−メチルブチル)−3−メチル−2−((4−ピリジルメチル)カルボニルアミノ)ブタナミド(参考化合物8)
参考化合物4(0.80g,3.1mmol)、4−ピリジル酢酸塩酸塩(0.59g,3.4mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(0.46g,3.4mmol)およびトリエチルアミン(0.34g,3.4mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド(20mL)に溶解した。そこへ、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(0.65g,3.4mmol)のジクロロメタン溶液(20mL)を氷冷下で加えた。この溶液を室温で18時間攪拌した後、減圧濃縮した。残渣を酢酸エチルで希釈し、この溶液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで脱水後、減圧濃縮した。残渣をヘキサンから結晶化を行い、参考化合物8(0.90g,77%)を無色結晶として得た。
mp 159.1−159.8 ℃. H−NMR (300 MHz, DMSO−d) δ : 0.77−0.84 (m, 12H), 1.20 (m, 1H), 1.35 (m, 1H), 1.50 (m, 1H), 1.90 (m, 1H), 3.53 (d, 1H, J = 13.8 Hz), 3.59 (d, 1H, J = 13.8 Hz), 3.73−3.87 (m, 4H), 4.00 (m, 1H), 4.18 (dd, 1H, J = 9.2, 7.2 Hz), 4.69 (d, 1H, J = 3.6 Hz), 7.26−7.28 (m, 2H), 7.71 (d, 1H, J = 9.3 Hz), 8.21 (d, 1H, J = 9.2 Hz), 8.45−8.47 (m, 2H).
【0035】
参考例9 (2S)−N−((1S)−1−(2,5−ジオキソラニル)−3−メチルブチル)−3−メチル−2−((3−ピリジルエチル)カルボニルアミノ)ブタナミド(参考化合物9)
参考化合物4(0.80g,3.1mmol)、3−ピリジルプロピオン酸塩酸塩(0.59g,3.4mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(0.46g,3.4mmol)およびトリエチルアミン(0.34g,3.4mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド(20mL)に溶解した。そこへ、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(0.65g,3.4mmol)のジクロロメタン溶液(20mL)を氷冷下で加えた。この溶液を室温で18時間攪拌した後、減圧濃縮した。残渣を酢酸エチルで希釈し、この溶液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで脱水後、減圧濃縮した。残渣をヘキサンから結晶化を行い、参考化合物9(0.94g,78%)を無色結晶として得た。
mp 83.8−84.2 ℃. H−NMR (300 MHz, DMSO−d) δ : 0.74 (d, 3H, J = 6.3 Hz), 0.76 (d, 3H, J = 6.6 Hz), 0.80 (d, 3H, J = 6.6 Hz), 0.86 (d, 3H, J = 6.6 Hz), 1.22 (m, 1H), 1.35 (m, 1H), 1.54 (m, 1H), 1.86 (m, 1H), 2.41−2.60 (m, 2H), 2.82 (t, 2H, J = 7.5 Hz), 3.73−3.84 (m, 4H), 3.98 (m, 1H), 4.18 (m, 1H), 4.69 (m, 1H), 7.26 (m, 1H), 7.61−7.65 (m, 2H), 7.82 (d, 1H,J = 9.0 Hz), 8.38 (d, 1H, J = 4.8 Hz), 8.43 (m, 1H).
【0036】
実施例1 (2S)−N−((1S)−1−ホルミル−3−メチルブチル)−3−メチル−2−(4−ピリジルカルボニルアミノ)ブタナミド(化合物1)
【化4】
Figure 2004043330
参考化合物5(1.2g,3.3mmol)をテトラヒドロフラン(20mL)に溶解し1M塩酸(20mL)を加えた。この溶液を50℃で8時間攪拌した。この反応液を濃縮後、残渣を酢酸エチルに溶解した。この溶液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで脱水後、減圧濃縮した。残渣をヘキサンから結晶化を行い、化合物1(0.51g,48%)を無色結晶として得た。
mp 101.7−103.1 ℃. H−NMR (300 MHz, CDCl) δ : 0.93 (d, 6H, J = 6.3 Hz), 1.04 (d, 3H, J = 6.6 Hz), 1.05 (d, 3H, J = 6.6 Hz), 1.45 (m, 1H), 1.66−1.76 (m, 2H), 2.23 (m, 1H), 4.53−4.61 (m, 2H), 6.53 (d, 1H, J = 7.2 Hz), 7.14 (d, 1H, J = 8.4 Hz), 7.65−7.67 (m, 2H), 8.75−8.77 (m, 2H), 9.59 (s, 1H). [α] 25 +18.2°(C = 0.204).
【0037】
実施例2 (2S)−N−((1S)−1−ホルミル−3−メチルブチル)−3−メチル−2−((2−ピリジルメチル)カルボニルアミノ)ブタナミド(化合物2)
【化5】
Figure 2004043330
参考化合物6(0.87g,2.3mmol)を1M塩酸(20mL)に溶解した。この溶液を50℃で4時間攪拌した後、HPLCシステム(カラム;YMC−Pack ODS−A 250×20mmI.D.,移動相;アセトニトリル/水/トリフルオロ酢酸=20:80:0.1)を用いて精製した。主分画を集め、炭酸水素ナトリウムを加え中和し、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで脱水後、減圧濃縮することにより化合物2(0.46g,60%)を無色結晶として得た。
mp 131.5−132.0 ℃. H−NMR (300 MHz, DMSO−d) δ : 0.84 (d, 3H, J = 6.6 Hz), 0.86 (d, 3H, J = 6.9 Hz), 0.88 (d, 6H, J = 6.6 Hz), 1.41 (m, 1H), 1.50−1.62 (m, 2H), 2.02 (m, 1H), 3.72 (s, 2H), 4.12 (m, 1H), 4.24 (dd, 1H, J = 8.7, 6.8 Hz), 7.25 (m, 1H), 7.33 (m, 1H), 7.72 (m, 1H), 8.22 (d, 1H, J = 8.7 Hz), 8.43 (d, 1H, J = 7.2 Hz), 8.46 (m, 1H), 9.39 (s, 1H). [α] 25 −53.7°(C = 0.203).
【0038】
実施例3 (2S)−N−((1S)−1−ホルミル−3−メチルブチル)−3−メチル−2−((3−ピリジルメチル)カルボニルアミノ)ブタナミド(化合物3)
【化6】
Figure 2004043330
参考化合物7(0.89g,2.4mmol)を1M塩酸(20mL)に溶解した。この溶液を50℃で4時間攪拌した後、HPLCシステム(カラム;YMC−Pack ODS−A 250×20mmI.D.,移動相;アセトニトリル/水/トリフルオロ酢酸=20:80:0.1)を用いて精製した。主分画を集め、炭酸水素ナトリウムを加え中和し、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで脱水後、減圧濃縮することにより化合物3(0.50g,64%)を無色結晶として得た。
mp 108.9−110.7 ℃. H−NMR (300 MHz, DMSO−d) δ : 0.82−0.88 (m, 12H), 1.40 (m, 1H), 1.49−1.61 (m, 2H), 1.99 (m, 1H), 3.51 (d, 1H, J = 14.1 Hz),3.60 (d, 1H, J = 14.1 Hz), 4.12 (m, 1H), 4.21 (m, 1H), 7.32 (m, 1H), 7.67 (d, 1H, J = 7.5 Hz), 8.28 (d, 1H, J = 9.0 Hz), 8.41−8.47 (m, 3H), 9.39 (s, 1H). [α] 25 −24.1°(C = 0.203).
【0039】
実施例4 (2S)−N−((1S)−1−ホルミル−3−メチルブチル)−3−メチル−2−((4−ピリジルメチル)カルボニルアミノ)ブタナミド(化合物4)
【化7】
Figure 2004043330
参考化合物8(0.77g,2.3mmol)を1M塩酸(20mL)に溶解した。この溶液を50℃で4時間攪拌した後、HPLCシステム(カラム;YMC−Pack ODS−A 250×20mmI.D.,移動相;アセトニトリル/水/トリフルオロ酢酸=20:80:0.1)を用いて精製した。主分画を集め、炭酸水素ナトリウムを加え中和し、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで脱水後、減圧濃縮することにより化合物4(0.37g,54%)を無色結晶として得た。
mp 99.1−101.4 ℃. H−NMR (300 MHz, CDCl) δ : 0.90 (d, 3H, J = 6.0 Hz), 0.91 (d, 3H, J = 6.6 Hz), 0.93 (d, 3H, J = 6.0 Hz), 0.95 (d, 3H, J = 6.6 Hz), 1.46 (m, 1H), 1.55−1.68 (m, 2H), 2.10 (m, 1H), 3.61 (s, 2H), 4.27 (m, 1H), 4.36 (dd, 1H, J = 9.0, 7.2 Hz), 7.28−7.29 (m, 2H), 7.88 (d, 1H, J = 9.3 Hz), 7.97 (d, 1H, J = 7.2 Hz), 8.49−8.50 (m, 2H), 9.48 (s, 1H). [α] 25 −40.7°(C = 0.204).
【0040】
実施例5 (2S)−N−((1S)−1−ホルミル−3−メチルブチル)−3−メチル−2−((3−ピリジルエチル)カルボニルアミノ)ブタナミド(化合物5)
【化8】
Figure 2004043330
参考化合物9(0.77g,2.3mmol)を1M塩酸(20mL)に溶解した。この溶液を50℃で4時間攪拌した後、HPLCシステム(カラム;YMC−Pack ODS−A 250×20mmI.D.,移動相;アセトニトリル/水/トリフルオロ酢酸=20:80:0.1)を用いて精製した。主分画を集め、炭酸水素ナトリウムを加え中和し、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで脱水後、減圧濃縮することにより化合物5(0.46g,58%)を無色結晶として得た。
mp 105.0−106.1 ℃. H−NMR (300 MHz, DMSO−d) δ : 0.78 (d, 3H, J = 6.9 Hz), 0.81 (d, 3H, J = 6.9 Hz), 0.85 (d, 3H, J = 6.6 Hz), 0.89 (d, 3H, J = 6.3 Hz), 1.41 (m, 1H), 1.50−1.68 (m, 2H), 1.92 (m, 1H), 2.42−2.61 (m, 2H), 2.83 (t, 2H, J = 7.5 Hz), 4.08 (m, 1H), 4.20 (dd, 1H, J = 8.7, 7.2 Hz), 7.27 (m, 1H), 7.62 (m, 1H), 7.93 (d, 1H, J = 9.0 Hz), 8.37−8.43 (m,
3H), 9.38 (s, 1H).
【0041】
実施例6 (2S)−N−((1S)−1−ホルミル−3−メチルブチル)−3−メチル−2−((3−ピリジルメチル)カルボニルアミノ)ブタナミド塩酸塩(化合物6)
【化9】
Figure 2004043330
化合物3(0.43g,1.3mmol)を酢酸エチル(50mL)に溶解し、氷冷下で4M塩酸/酢酸エチル溶液(0.40mL)を加えた。生じた沈殿をろ取した後、酢酸エチルで洗浄し化合物6(0.40g,86%)を無色結晶として得た。
mp 79.8−80.1 ℃. Anal. Calcd for C1827・HCl・HO : C, 55.73 ; H, 7.80 ; N, 10.83. Found : C, 55.58 ; H, 7.66 ; N, 10.63.
【0042】
実施例7 (2S)−N−((1S)−1−ホルミル−3−メチルブチル)−3−メチル−2−((3−ピリジルエチル)カルボニルアミノ)ブタナミド塩酸塩(化合物7)
【化10】
Figure 2004043330
化合物5(0.43g,1.3mmol)を酢酸エチル(50mL)に溶解し、氷冷下で4M塩酸/酢酸エチル溶液(0.40mL)を加えた。生じた沈殿をろ取した後、酢酸エチルで洗浄し化合物7(0.40g,86%)を無色結晶として得た。
mp 79.6−80.2 ℃. Anal. Calcd for C1929・HCl・HO : C, 56.78 ; H, 8.02 ; N, 10.45. Found : C, 56.99 ; H, 8.24 ; N, 10.24.
【0043】
試験例1 溶解性の確認
化合物6および化合物7の結晶(10mg)に水(100μL)をそれぞれ加えた。その結果、両方の結晶とも、水に全溶した。このように、化合物6および化合物7は高い水溶性を有していることがわかった。
【0044】
試験例2 μ−カルパインおよびm−カルパイン阻害活性の測定
μ−およびm−カルパインの阻害活性は文献[Anal.Biochem. vol.208,387−392(1993)]に記載された方法に準じて測定した。すなわち、種々の濃度の被験薬を含むジメチルスルホキシド溶液(2.5μL)に、0.5mg/mLのカゼイン、50mMのトリス塩酸緩衝液(pH7.4)、20mMのジチオスレイトールおよび1.0nmolのμ−カルパイン(コスモバイオ製)またはm−カルパイン(コスモバイオ製)を含む反応液(200μL)を96ウェルプレート上で加えた。そこへ、20mMの塩化カルシウム水溶液(50μL)を加え、30℃で60分間反応させた。この反応液(100μL)を別の96ウェルプレートに移し、精製水(50μL)と50%のProtein Assay Dye Reagent(BIO−RAD Catalog 500−0006)水溶液(100μL)を加えて室温で15分間放置した後、595nMで吸光度を測定した。被験薬を含まず同様に処理したものをコントロール値、20mM塩化カルシウム水溶液の代わりに1mM EDTA水溶液(50μL)を加え同様に処理したものをブランク値とし、50%阻害に必要な量(IC50)を求めた。
阻害率={1−(測定値−ブランク値)/(コントロール値−ブランク値)}×100
【0045】
(試験結果)
その結果を表1に示した。本発明化合物には、優れたカルパイン阻害活性が認められた。
【0046】
【表1】
Figure 2004043330
【0047】
製剤例1 錠剤
化合物1                    5g
デンプン                   12g
乳糖                   27.2g
ステアリン酸マグネシウム          0.4g
化合物1、乳糖およびデンプンを加えてよく混和し、湿性錠剤調整法に準じて打錠用顆粒とする。ステアリン酸マグネシウムを加えて打錠し、錠剤400錠とする。錠剤は、必要に応じて、腸溶性コーティング剤(メタアクリル酸コポリマー)でコーティングする。
【0048】
製剤例2 点眼剤
化合物6                  100mg
ホウ酸                   700mg
ホウ砂                    適量
塩化ナトリウム               500mg
エデト酸ナトリウム            0.05mg
塩化ベンザルコニウム         0.0005mg
滅菌精製水           全量    100mL
以上の成分を常法により無菌的に混和溶解して点眼剤とする。
【0049】
製剤例3 注射剤
化合物7                  100mg
塩化ナトリウム               900mg
1N水酸化ナトリウム             適量
注射用蒸留水            全量  100mL
以上の成分を常法により無菌的に混和溶解して注射剤とする。
【発明の効果】
本発明の一般式(I)で表される化合物は、優れたカルパイン阻害活性を有しているため、カルパインが関与する種々の疾患、例えば虚血性疾患、免疫疾患、アルツハイマー病、骨粗鬆症、脳組織障害による疾患、白内障、緑内障、網脈絡膜疾患、光凝固による眼球後眼部合併症、血管新生を伴う疾患などの予防および治療薬として有用である。また、本発明の一般式(I)で表される化合物は、高い水溶性を有しているため、特に水性液剤に有利に使用される。

Claims (4)

  1. 下記一般式
    Figure 2004043330
    [式中、Rはピリジル基を、RおよびRはそれぞれ低級アルキル基を、nは0、1または2を示す。]で表される化合物またはその塩。
  2. 請求項1記載の化合物またはその医薬上許容される塩を含有する医薬。
  3. カルパイン阻害剤である請求項2記載の医薬。
  4. カルパインが関与する疾患の予防または治療剤である請求項2記載の医薬。
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