JP2004042828A - 燃料電池搭載車 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】燃料電池本体部1及びそれを発電作動させるための付属設備を備える燃料電池システムが搭載された燃料電池搭載車であって、前記燃料電池本体部1及び前記付属設備のうち少なくとも燃料ガス供給設備6が組み付けられ且つ所定の剛性を備えるサブフレーム39が、車体構成部材40に着脱自在に取り付けられている。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料電池本体部及びそれを発電作動させるための付属設備を備える燃料電池システムが搭載された燃料電池搭載車に関する。
【0002】
【従来の技術】
上記構成の燃料電池搭載車の従来技術としては、例えば、特開2001−268720号公報に示されるように、前記燃料電池システムを、車室の床の直下の車輪間に、トレイ上に配設して設けるものがあった。尚、この燃料電池搭載車は、車体走行駆動を電動モータにより行う構成であり、前記燃料電池本体部の発電作動によって発生した電力にて走行駆動用の前記電動モータを作動させる構成になっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
燃料電池システムを車体に搭載する場合において、燃料電池本体部やその付属設備の多数の装置類を各別に車体に組み付けるようにすると、組み付け作業が面倒となるものであり、しかも、このように燃料電池本体部やその付属設備の多数の装置類を各別に車体に組み付けるようにする形態を採用すると、燃料ガスのリークテスト等の各種テストを車体に組み付けた後において行わなければならないものとなり、各種テストが行い難いものとなるため、燃料電池システムを組み付け易く、しかも、各種テストが行い易い形態で搭載することが望まれる。
上記従来の燃料電池搭載車では、トレイの設置形態についての説明がないが、車体構成部材にトレイを取り付け、このように車体構成部材に取り付けられたトレイに対して、燃料電池本体部やその付属設備の多数の装置類を各別に組み付けるようにすると、上記要望を満足できないものとなる。
【0004】
本発明はかかる点に着目してなされたものであり、その目的は、燃料電池システムを組み付け易く、しかも、燃料ガスのリークテストが行い易い形態で搭載することが可能となる燃料電池搭載車を提供する点にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の燃料電池搭載車は、燃料電池本体部及びそれを発電作動させるための付属設備を備える燃料電池システムが搭載された燃料電池搭載車であって、前記燃料電池本体部及び前記付属設備のうち少なくとも燃料ガス供給設備が組み付けられ且つ所定の剛性を備えるサブフレームが、車体構成部材に着脱自在に取り付けられていることを特徴とする。
【0006】
前記サブフレームが前記燃料電池本体部及び前記付属設備のうち少なくとも燃料ガス供給設備が組み付けられた状態で車体構成部材に着脱自在に取り付けられる構成、つまり、サブフレームが車体構成部材に取り付けられる前に、燃料電池本体部及び付属設備のうち少なくとも燃料ガス供給設備が、車体構成部材とは分離しているサブフレームに対して予め組み付けられる構成であるから、サブフレームを車体構成部材に取り付けるだけで、燃料電池本体部及び付属設備のうち少なくとも燃料ガス供給設備も合わせて一挙に車体に取り付けることができ、車体構成部材に対してそれらを各別に組み付ける場合に比べて、組み付け作業を容易に行えるものとなる。
【0007】
又、前記サブフレームが前記燃料電池本体部及び前記付属設備のうち少なくとも燃料ガス供給設備が組み付けられた状態で車体構成部材に着脱自在に取り付けられる構成であるから、燃料ガスのリークテストをサブフレームに対して予め組み付けた状態で車体に組み付ける前に行うことができる。つまり、車体構成部材とは分離しているサブフレームに対して予め組み付けられる燃料電池本体部及び付属設備のうち少なくとも燃料ガス供給設備に対して、他のテスト用の装置を用いて燃料ガスのリークテストを行うことができ、それらを車体構成部材に取り付けた状態でリークテストを行う場合に比べて容易に作業を行える。
しかも、組み付けた後において発生する修理点検等の保守点検作業を行う場合にも、サブフレームを車体構成部材から取り外すだけで燃料電池本体部及び付属設備のうち少なくとも燃料ガス供給設備を一挙に取り外すことができ、取り外し作業が容易に行える。又、車体から取り外した状態において、サブフレームに対して燃料電池本体部及び付属設備のうち少なくとも燃料ガス供給設備が組み付けられているので、保守点検作業も容易に行うことができる。
【0008】
そして、上記したような付属設備には、燃料電池本体部に燃料ガスのような気体を通流するための各種の配管が設けられるが、前記燃料電池本体部及び前記付属設備のうち少なくとも燃料ガス供給設備が前記サブフレームに予め組み付けられるものであるから、これらの配管も予め接続された状態で組み付けられることになり、車体への組み付けの際に配管同士を接続する必要がなく、接続するときに相対的な位置ずれにより応力が集中して損傷するおそれを少ないものにできる。又、上述したように付属設備の少なくとも一部をサブフレームに対して予め組み付けるので、サブフレームを車体構成部材に組み付ける際に配管同士を接続する箇所を少なくすることができ、組み付け時における配管の損傷を少なくして組み付け作業を容易に行えるようにすることが可能となる。
【0009】
しかも、前記サブフレームは所定の剛性を備えることから、このサブフレームは、車体構成部材に取り付けられることで車体全体の剛性を維持するための補強メンバーとして機能することになり、このサブフレーム以外の強度補強用の部材の個数を減らしたり、その補強のための加工の手間を減らすことも可能となる。
【0010】
従って、燃料電池システムを組み付け易く、しかも、燃料ガスのリークテストが行い易い形態で搭載することが可能となる燃料電池搭載車を提供できるに至った。
【0011】
請求項2に記載の燃料電池搭載車は、請求項1において、車両フロアの後方側に開口部が設けられ、前記サブフレームが、前記燃料電池システムの少なくとも一部を前記開口部を挿通させて組付自在に、且つ、前記開口部を補強するように前記車体構成部材に取り付けられていることを特徴とする。
【0012】
すなわち、前記燃料電池本体部及び前記付属設備のうち少なくとも燃料ガス供給設備が組み付けられた前記サブフレームが、前記燃料電池システムの少なくとも一部を車両フロアの後方側に設けられた開口部を挿通させた状態で車体構成部材に組み付けられることになる。このように所定の剛性を備えるサブフレームが組み付けられると車両フロアの後方側に設けられた開口部が補強されることになる。
【0013】
例えば、従来の自動車に広く用いられる既存の車体構成部材としては、車両フロアを構成する板状体がそのまま車体構成部材を構成する物が多い。そして、このような既存の車体構造を用いて、車両フロアの後方側に開口部を設けてサブフレームを組み付ける構成とすることで、既存の車体の車両後部に設けられている荷室用空間を有効に利用して燃料電池システムを搭載することが可能となり、上記従来構成のように燃料電池システムを車室の床の直下の車輪間に設ける構成であれば、車体に組み付けた後において保守点検作業のために取り外す作業を行い難いものとなる不利があるが、このような構成に比べて、燃料電池システムを保守点検作業のために取り外し易いものにすることが可能となる。
【0014】
説明を加えると、車両フロアの後方側に設けられた開口部を通して燃料電池システムの少なくとも一部を上下方向に挿通させた状態で組み付けられるから、車両後部に設けられて上下方向に広い空間である荷室用空間を有効に利用して燃料電池システムを搭載することが可能となり、荷室用空間に対して荷の出し入れを行うための開閉部を通して燃料電池システムの保守点検作業を行うことが可能となって、請求項1を実施するのに好適な手段が得られる。
【0015】
請求項3記載の燃料電池搭載車は、請求項1又は2において、前記サブフレームが、前記燃料電池本体部を高位側に組み付け、且つ、前記付属設備の少なくとも一部が前記燃料電池本体部よりも下位側に組み付けるように構成されていることを特徴とする。
【0016】
燃料電池本体部は水素及び酸素を反応させて電気化学的作用により発電作動を行うのであるが、このような発電作動により水素及び酸素が反応した結果として水が発生するので、この水を燃料電池本体部の外部に排出させる必要があるが、このとき燃料電池本体部にて発生する水は前記付属設備に含まれる排出用の設備を通して外部に排出させることになる。
【0017】
そこで、前記サブフレームが、燃料電池本体部を高位側に組み付け、且つ、付属設備の少なくとも一部を燃料電池本体部よりも下位側に組み付けるように構成されているので、前記排出用の設備を燃料電池本体部よりも下位側に組み付けることにより、燃料電池本体部にて発生した水が燃料電池本体部よりも下位側に組み付けられた排出用の設備を通して自然流下によって円滑に排出され易くなり、請求項1又は2を実施するのに好適な手段が得られる。
【0018】
請求項4記載の燃料電池搭載車は、請求項1〜3のいずれかにおいて、前記燃料電池本体部と前記付属設備のうちの燃料ガス供給設備及び空気供給設備とが、前記燃料ガス供給設備を前記燃料電池本体部よりも車両中央側に位置させ且つ前記空気供給設備を前記燃料電池本体部よりも車両端部側に位置させる状態で、車両前後幅方向又は車両横幅方向に並ぶ状態で、前記サブフレームに組み付けられていることを特徴とする。
【0019】
すなわち、燃料電池本体部に水素を供給するために水素供給用の配管を備える燃料ガス供給設備は、燃料電池本体部よりも車両中央側に位置して車両前後幅方向又は車両横幅方向に並ぶ状態でサブフレームに組み付けられる。又、燃料電池本体部に酸素含有ガスである空気を供給するために空気供給用の配管を備える空気供給設備は、燃料電池本体部よりも車両端部側に位置して車両前後幅方向又は車両横幅方向に並ぶ状態でサブフレームに組み付けられる。
従って、燃料ガス供給設備が燃料電池本体部に近い位置に配備されるので、水素供給用の配管が短くなり配管の接続構成も簡素なもので済ませられ、且つ、空気供給設備が燃料電池本体部に近い位置に配備されるので、空気供給用の配管が短くなり配管の接続構成も簡素なもので済ませられる。
【0020】
しかも、前記燃料ガス供給設備が前記燃料電池本体部よりも車両中央側に位置させる状態でサブフレームに組み付けられるので、車両の走行中又は停止中に車両が外物や他の車両に衝突した場合であっても燃料ガス供給設備が損傷を受けるおそれが少ないので、損傷によって水素が漏洩する等の不都合を回避させ易いものとなり、使用上の安全性を向上させることが可能となり、請求項1〜3のいずれかを実施するのに好適な手段が得られる。
【0021】
請求項5記載の燃料電池搭載車は、請求項1〜4のいずれかにおいて、サスペンション機構の一部が、梯子状又は井桁状に組み付けて構成された前記サブフレームを貫通していることを特徴とする。
【0022】
例えば、扁平な板状の部材を屈曲形成させてサブフレームを構成することも考えられるが、このように構成すると、所定の剛性を備えるためには板厚を大きくしたり、多くの補強部材を付加する必要があり、重量が大きくなって、組み付け作業が行い難いものとなるおそれがあるが、上記したように梯子状又は井桁状に組み付けて構成されるものであるから、板状の部材の場合に比べてサブフレームの軽量化を図ることが可能であり、車両構成部材に対する組み付け作業が行い易いものとなり、又、サスペンション機構の一部がサブフレームを貫通しているため、サブフレームを低く取り付けることができ、車室をあまり狭めることなく各種設備を配置することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る燃料電池搭載車の実施形態について図面に基づいて説明する。
図1に示すように、本発明に係る燃料電池搭載車は、走行駆動用の電動モータMを駆動源として車体を走行させる電気自動車として構成され、前記電動モータMに電力を供給するための燃料電池本体部1及びそれを発電作動させるための付属設備を備える燃料電池システムSが搭載されている。前記燃料電池本体部1は、詳述はしないが、燃料ガスとしての水素ガスと酸素含有ガスとしての空気とが夫々供給されて、水素と酸素との電気化学的な反応により発電を行う周知構造の燃料電池にて構成されている。
【0024】
又、このような燃料電池本体部1とは別に2次電池として充電可能なバッテリー3も搭載されており、燃料電池本体部1の発電が停止してもこのバッテリー3の電力により走行可能であり、バッテリー3の充電状態が十分であれば燃料電池本体部1の発電を停止させることで水素ガスの消費量を抑制するようにしたり、車体走行中にブレーキ操作によって減速するときに電動モータMから発生する回生電力をバッテリー3に充電することができるように構成されている。
前記走行駆動用の電動モータMの作動を制御するためのモータ制御部4が設けられており、このモータ制御部4は、アクセルペダル5の踏み込み量の情報及び車速の検出情報等に基づいて目標走行駆動力を求め、その目標走行駆動力を出力するように走行駆動用の電動モータMの作動を制御する構成となっている。
【0025】
次に、前記燃料電池システムSにおける燃料電池本体部1を発電作動させるための付属設備について説明する。
前記付属設備は、燃料電池本体部1に水素を供給するための燃料ガス供給設備6、燃料電池本体部1に空気を供給するため空気供給設備7、燃料電池本体部1から排出される水素ガス及び電気化学反応により発生した水を外部に排出させるための水素排気設備8、燃料電池本体部1から排出される空気を外部に排出させるための空気排気設備9、燃料電池本体部1を冷却するための冷却設備10、各部の動作を電気的に制御するための制御設備11の夫々を備えて構成されている。
【0026】
詳述すると、図2に示すように、前記燃料電池本体部1に供給するための燃料ガスの一例である水素ガスを高圧状態で充填した状態で貯蔵する水素ボンベ12が備えられ、この水素ボンベ12から水素ガス供給管13を通して水素ガスを燃料電池本体部1に供給するように水素ガス供給経路が構成されている。そして、この水素ガス供給経路には、レギュレータ16、電磁遮断弁17等の弁機構18が備えられている。前記水素ボンベ12、水素ガス供給管13、弁機構18等により前記燃料ガス供給設備6が構成される。尚、前記水素ボンベ12内の水素貯蔵量が減ったときには水素ガスを充填する必要があるが、水素ガスの充填作業は図示しない充填用の供給管を通して行われる。
【0027】
一方、燃料電池本体部1から排出される水素ガスを水素排気管19を通して外部に排出させる水素排気用経路が構成され、その水素排気用経路には該経路を開閉自在な水素排気遮断弁20が設けられている。この水素排気管19及び水素排気遮断弁20等により前記水素排気設備8が構成される。又、燃料電池本体部1の電気化学反応により発生した水も水素ガスを共に水素排気用経路を通して外部に排出するようになっている。尚、前記水素排気遮断弁20は、通常は閉状態であり、設定時間が経過する毎に経路を開放させて水素ガスや水を排出させるようになっている。
【0028】
モータ駆動式のコンプレッサ21によって、エアークリーナ22及び吸気管23を通して車体外部から空気を吸引するとともに、その空気を空気供給管24を通して燃料電池本体部1に供給する空気供給経路が構成されている。又、前記コンプレッサ21、エアークリーナ22、吸気管23、及び、空気供給管24等により前記空気供給設備7が構成される。尚、この空気供給設備7から供給される空気は加湿モジュール25にて加湿された後に燃料電池本体部1に供給される。
【0029】
前記燃料電池本体部1から排出される空気を空気排気管26を通して外部に排出させる空気排気用経路が構成されている。この空気排気用経路にはマフラー28が設けられている。前記空気排気管26、マフラー28等により前記空気排気設備9が構成される。又、前記空気排気管26にはマフラー28よりも空気流動方向上手側の途中箇所に前記水素排気管19の排出側端部が連通接続されており、この接続箇所にて、燃料電池本体部1から排出される空気と、燃料電池本体部1から排出される水素ガスが合流した合流ガスが水を含む状態でマフラー28を通して外部に排出されるようになっている。
【0030】
又、燃料電池本体部1の内部を冷却するための冷却水を冷却水循環路32を通して放熱用のラジエータ33との間で循環通流させるように冷却水循環経路が構成され、この冷却水循環路32には、冷却水を強制的に循環通流させる循環ポンプ34が備えられている。冷却水循環路32、循環ポンプ34、ラジエータ33等により冷却設備10が構成される。
【0031】
尚、詳述はしないが、上記したような気体や液体を通流させるための各設備には、配管内の圧力や温度などの各種の情報を検出するための各種のセンサ類が設けられている。
【0032】
前記燃料電池本体部1の出力端子と電動モータなどの負荷とが電気的に接続される構成となっている。そして、燃料電池本体部1での発電電圧の検出情報、並びに、各設備に備えられる各種のセンサ類の検出情報に基づいて、前記コンプレッサ21、前記循環ポンプ34、及び、前記各設備に備えられる各種の弁等、燃料電池システムS全体の運転作動を制御するマイクロコンピュータ利用の燃料電池制御部38が備えられている。そして、燃料電池制御部38により前記制御設備11が構成される。
【0033】
次に、前記燃料電池システムSの車体搭載構成について説明する。
この燃料電池搭載車においては、車体を構成するために必要な剛性を備える車体構成部材40は、車体の外形形状に沿うように一体的に形成された所謂モノコックボディで構成され、車室の下部側では車両フロアを構成する板状体がそのまま車体構成部材40の一部を構成するようになっている。そして、前記燃料電池本体部1及び前記付属設備が組み付けられ且つ所定の剛性を備えるサブフレーム39が、車体構成部材40に着脱自在に取り付けられている。
【0034】
詳述すると、図2の仮想線で囲まれる全ての設備、すなわち、燃料電池本体部1、前記燃料ガス供給設備6、前記空気供給設備7、前記水素排気設備8、前記空気排気設備9、及び、冷却設備10の各設備を構成する全ての構成要素が、予め、前記サブフレーム39に組み付けられた状態で、そのサブフレーム39が車体構成部材40に着脱自在に取り付けられる構成となっている。
【0035】
そして、車体構成部材40の一部を構成する車両フロアの後方側に開口部41が設けられ、前記サブフレーム39が、燃料電池システムSの少なくとも一部を開口部41を挿通させて組付自在に、且つ、開口部41を補強するように車体構成部材40に取り付けられている。
説明を加えると、図3、図4に示すように、車体構成部材40に対して、車両の後部座席の下方側箇所から車体のほぼ後端部にわたる範囲で、且つ、車体横幅方向のほぼ全幅に近い大きな開口部41が形成されて、この開口部41に対して、上記したような燃料電池本体部1及び付属設備の少なくとも一部が組み付けられたサブフレーム39が、下方側からその開口部41を挿通する状態で装着されて、複数の締結作用部a、図に示す例では前部側の左右2箇所、後部側の左右2箇所、その他数箇所の締結作用部aにおいてボルトBoで締結固定する構成としている。前記サブフレーム39はそれ自身が所定の剛性を備える構成となっており、車体構成部材40に連結された状態では、開口部41を補強することになる。
【0036】
前記サブフレーム39は、前記燃料電池本体部1を高位側に組み付け、且つ、前記付属設備の少なくとも一部を前記燃料電池本体部1よりも下位側に組み付けるように構成されている。しかも、前記燃料電池本体部1と前記付属設備のうちの燃料ガス供給設備6及び空気供給設備7とが、前記燃料ガス供給設備6を前記燃料電池本体部1よりも車両中央側に位置させ且つ前記空気供給設備7を前記燃料電池本体部1よりも車両端部側に位置させる状態で車両前後幅方向に並ぶ状態で前記サブフレーム39に組み付けられている。
【0037】
前記サブフレーム39の構成について説明を加えると、図5に示すように、角筒状で長尺状のフレーム材を立体的に梯子状あるいは井桁状に組み付けて構成されている。つまり、複数のフレーム材として、長手方向が車体横幅方向に沿うように配設される複数の横向きフレーム材、長手方向が車体前後方向に沿うように配設される複数の前後向きフレーム材、長手方向が車体上下方向に沿うように配設される複数の上下向きフレーム材、及び、斜め方向に配設される斜めフレーム材の夫々が、一部では梯子状に、又、他の一部では井桁状になる状態で互いに溶接により一体的に接続されて構成されている。
【0038】
そして、上述したような各フレーム材を組み付けて、車体前方側には車体横幅方向中央部に位置させて前記循環ポンプ34を載置支持するポンプ載置部39Aが形成されている。それよりも車体後方側には大型の部材である水素ボンベ12をその長手方向が車体横幅方向に向かう姿勢で載置支持するためのボンベ載置部39Bが形成されている。又、そのボンベ載置部39Bよりも車体後方側には、ボンベ載置部39Bよりも上位側に位置する状態で大型の部材である燃料電池本体部1を載置支持するための燃料電池載置部39Cが形成されている。又、燃料電池載置部39Cよりも更に車体後方側には、燃料電池載置部39Cよりも下位側に位置するとともに、車体横方向視で車体後方側ほど上位となる斜め姿勢になる状態で、大型の部材であるコンプレッサ21を載置支持するためのコンプレッサ載置部39Dが形成されている。
【0039】
前記燃料電池載置部39Cは、ボンベ載置部39Bよりも上位側に位置するように構成されているから、図3に示すように、この電池搭載部39Cの下方側には、このサブフレーム39によって矩形状の空間が形成されることになる。そこで、この空間を利用して、サスペンション機構の一例であるリアサスペンション機構46におけるトーションビーム47が貫通する構成となっている。図6に示すように、リアサスペンション機構46は、左右のトレーリングアーム48、48同士を、それらにわたって架設されたトーションビーム47によって一体的に連結する構成となっており、このトーションビーム47を、前記サブフレーム39の空き領域を利用して配置させる構成としている。このように構成しておくと、リアサスペンション機構46の機能を低下させることなく、車体後部の荷室空間を有効利用して燃料電池システムSを搭載することができる。
【0040】
そして、図5に示すように、サブフレーム39を車両構成部材40に取り付ける際には、後からリアサスペンション機構46を装着するときに電池搭載部39Cの下方側はトーションビーム47を挿通させることが可能なように開放される状態となっているが、リアサスペンション機構46が装着された後は、電池搭載部39Cの下方側の矩形状の空間における前後両側のフレーム材同士を補強材49で連結固定するようにしている。
【0041】
そして、図4に示すように、前記水素ガス供給管13及び前記弁機構18が水素ボンベ12の車体後方側箇所に隣接させて配備されており、燃料電池本体部1に水素を供給するための燃料ガス供給設備6が、燃料電池本体部1よりも車体前方側、言い換えると、車体前後方向中央側に並んで配置されることになる。
又、図3に示すように、前記コンプレッサ21の上方側には、サブフレーム39のコンプレッサ載置部39Dから上方に延出したエアークリーナ支持部39Eにより支持される状態でエアークリーナ22が備えられ、エアークリーナ22からコンプレッサ21に空気を供給する吸気管23や、コンプレッサ21から加湿モジュール25に空気を供給するための空気供給管24は、コンプレッサ21の配置箇所に近い箇所に配置されることになり、燃料電池本体部1に空気を供給するための空気供給設備7が、燃料電池本体部1よりも車体後方側、言い換えると、車体前後方向端部側に並んで配置されることになる。
【0042】
前記加湿モジュール25は燃料電池本体部1の横一側箇所に車体横幅方向に並べて配置されているが、排気用のマフラー28は、コンプレッサ21の下方側の低い位置に設けられる構成となっており、燃料電池本体部1から排出される空気をマフラー28に導くための空気排気管26は、燃料電池本体部1よりも下方側に位置することになる。
前記燃料電池本体部1から排出される水素ガス及び水は前記水素排気管19を通して外部に排出されるが、上述したように、水素排気管19は空気排気管26におけるマフラー28よりも空気流動方向上手側の途中箇所に連通接続される構成であり、前記空気排気管26は燃料電池本体部1よりも下方側に位置していることから、燃料電池本体部1から排出される水が自然流下する状態で良好に排出されることになる。
【0043】
前記燃料電池本体部1の上方側に位置させる状態で前記制御設備11の一式がボックス内に収納された状態で支持されている。このように前記制御設備11を、燃料電池本体部1や他の付属設備に対して上下方向に重複する状態で配置することで、車体前後方向での配置スペースを小さくした状態でコンパクトに燃料電池システムSを搭載することができる。
【0044】
このようにして、車両の後部座席の下方側の空間及び後部座席の後方側に形成されている荷室空間を有効利用した合理的な収納形態で燃料電池システムSを搭載することができる。又、燃料電池システムSの配設領域と車室内部空間とを遮蔽する遮蔽部材50が設けられ、水素ガスが車室内部空間に流入することがないようにしている。
【0045】
上述したように、燃料電池を発電作動させるための全ての付属設備が、予め、前記サブフレーム39に組み付けられた状態で、そのサブフレーム39が車体構成部材40に着脱自在に取り付けられる構成となっているから、燃料ガスのリークテストに限らず、燃料電池システム全ての運転テストを車両組み付け前に全て行うことが可能であり、そのような全ての運転テストが完了後に燃料電池システムをそのまま車体に搭載することが可能となり、作業が極めて容易に行えるものとなる。
【0046】
〔別実施形態〕
以下、別実施形態を列記する。
【0047】
(1)上記実施形態では、車体構成部材がモノコックボディであって車両フロア自身が車体構成部材の一部を構成するものとして、前記サブフレームが長尺状のフレーム材を梯子状又は井桁状に組み付けて構成されているものを例示したが、このような構成に限らず、前記車体構成部材が長尺状のフレーム材を梯子状又は井桁状に組み付けて構成されるものであってもよく、又、前記サブフレームが板状フレームで構成されるものであってもよい。
【0048】
(2)上記実施形態では、車両フロアの後方側に開口部を設けて、前記サブフレームが、前記燃料電池システムの少なくとも一部を前記開口部を挿通させて組付自在となるものを例示したが、このような構成に限らず、車体の前部側や車体中央部において車体構成部材にサブフレームを連結する構成としてもよく、車体の後部側に上記したような開口部を形成することなく車体構成部材にサブフレームを連結する構成としてもよい。
【0049】
(3)上記実施形態では、前記サブフレームが、前記燃料電池本体部を高位側に組み付け、且つ、前記付属設備の少なくとも一部を前記燃料電池本体部よりも下位側に組み付けるように構成されるものを例示したが、この構成に代えて、前記燃料電池本体部と前記付属設備の少なくとも一部とを上下方向に同じレベルとなるように設けてもよく、前記燃料電池本体部を、前記付属設備の少なくとも一部よりも下位側に設けてもよい。但し、このように構成した場合であっても発電作動によって発生した水を適正に外部に排出させるための構成は必要である。
【0050】
(4)上記実施形態では、前記燃料電池本体部と前記燃料ガス供給設備及び空気供給設備とが、車両前後幅方向に並ぶ状態でサブフレームに組み付けられる構成を例示したが、この構成に代えて、前記燃料電池本体部と前記燃料ガス供給設備及び空気供給設備とが、車両横幅方向に並ぶ状態でサブフレームに組み付けられる構成としてもよい。
【0051】
(5)上記実施形態では、前記付属設備のうち、燃料ガス供給設備、空気供給設備、水素排気設備、空気排気設備、制御設備、冷却設備夫々の全ての構成要素をサブフレームに予め組み付ける構成としたが、このような構成に限らず、例えば、図2の破線で囲う部分、つまり、燃料電池本体部と燃料ガス供給設備のみをサブフレームに予め組み付ける構成としてもよい。又、燃料電池本体部と燃料ガス供給設備以外に、上記各付属設備のうちの予め選択された一部の設備も合わせて組み付ける構成としてもよく、各種の形態で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】車体全体の概略構成を示す側面図
【図2】燃料電池システムの構成図
【図3】燃料電池システムの側面図
【図4】燃料電池システムの平面図
【図5】サブフレームの斜視図
【図6】サスペンション機構を示す斜視図
【符号の説明】
1 燃料電池本体部
6 燃料ガス供給設備
7 空気供給設備
39 サブフレーム
40 車体構成部材
41 開口部
46 サスペンション機構
S 燃料電池システム
Claims (5)
- 燃料電池本体部及びそれを発電作動させるための付属設備を備える燃料電池システムが搭載された燃料電池搭載車であって、
前記燃料電池本体部及び前記付属設備のうち少なくとも燃料ガス供給設備が組み付けられ且つ所定の剛性を備えるサブフレームが、車体構成部材に着脱自在に取り付けられている燃料電池搭載車。 - 車両フロアの後方側に開口部が設けられ、前記サブフレームが、前記燃料電池システムの少なくとも一部を前記開口部を挿通させて組付自在に、且つ、前記開口部を補強するように前記車体構成部材に取り付けられている請求項1記載の燃料電池搭載車。
- 前記サブフレームが、前記燃料電池本体部を高位側に組み付け、且つ、前記付属設備の少なくとも一部を前記燃料電池本体部よりも下位側に組み付けるように構成されている請求項1又は2に記載の燃料電池搭載車。
- 前記燃料電池本体部と前記付属設備のうちの燃料ガス供給設備及び空気供給設備とが、前記燃料ガス供給設備を前記燃料電池本体部よりも車両中央側に位置させ且つ前記空気供給設備を前記燃料電池本体部よりも車両端部側に位置させる状態で、車両前後幅方向又は車両横幅方向に並ぶ状態で、前記サブフレームに組み付けられている請求項1〜3のいずれか1項に記載の燃料電池搭載車。
- サスペンション機構の一部が、梯子状又は井桁状に組み付けて構成された前記サブフレームを貫通している請求項1〜4のいずれか1項に記載の燃料電池搭載車。
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