以下、本発明を実施するための実施形態を図面に基づき説明する。
図1は、本発明に係る燃料電池車両の燃料配管接続構造の一実施形態が適用された電動二輪車を示す左側面図である。また、図2は、図1の電動二輪車の外装等を外した状態を示す左側面図である。更に、図3は、図1の電動二輪車の外装等を外した状態を示す斜視図である。本実施形態において、上下、左右、前後の表現は、電動二輪車に搭乗した運転者を基準にしたものである。また、図1〜図3中の矢印Fは電動二輪車1の前方を示し、矢印Rは電動二輪車1の後方を示す。
図1〜図3に示すように、燃料電池車両としての電動二輪車1は、燃料電池2で発電し、この電力によって電動機としてのモータ3を駆動させて走行する車両である。また、電動二輪車1は、スクータ型の自動二輪車である。電動二輪車1は、前後に延びる車体5と、操舵輪としての前輪6と、前輪6を操舵自在に支えるステアリング機構7と、駆動輪としての後輪8と、後輪8を上下方向へ揺動自在に支えるスイングアーム9と、後輪8を駆動するモータ3と、を備えている。
車体5は、車両の前後に延びる車体フレーム11と、この車体フレーム11を覆う外装12と、車体フレーム11の後半部の上方に配置されるシート13と、を備えている。また、車体5は、電力を発生しこの電力を供給する燃料電池2と、燃料電池2にて発電に使用される燃料ガスとしての高圧の水素ガスを貯蔵する燃料タンク15と、燃料電池2の電力を補助する二次電池16と、燃料電池2の出力電圧の調整と燃料電池2及び二次電池16の電力の分配を制御する電力管理装置17と、電力管理装置17が出力する直流電力を三相交流電力に変換すると共に、その交流電力の周波数を変更してモータ3へ給電してモータ3の回転数を調整するインバータ18と、これらを統括的に管理する車両コントローラ19と、を備えている。
電動二輪車1のパワートレインは、燃料電池2及び二次電池16を有し、車両の走行状態、燃料電池2の発電状態、二次電池16の蓄電状態によって各電池の電力を適宜に使うシステムである。ここで、電動二輪車1は、減速する際にモータ3で回生電力を発生させる。また、車両の電源である二次電池16及び燃料電池2は、インバータ18に並列に接続されてモータ3へ電力を供給する。二次電池16は、電動二輪車1が減速する際にモータ3で発生する回生電力、及び燃料電池2が発電する余剰電力をそれぞれ蓄える。
車体フレーム11は、複数の鋼鉄製中空管を一体に組み合わせたものである。車体フレーム11は、前端上部に配置されるヘッドパイプ21と、ヘッドパイプ21の中央部から後ろ下がりに傾斜して延びる上部ダウンフレーム22と、ヘッドパイプ21の下方に接続され、後ろ下がりに傾斜して延びる下部ダウンフレーム23と、左右一対の下部フレーム24と、左右一対の上部フレーム25と、ピボット軸26と、上ブリッジフレーム27と、下ブリッジフレーム28と、ガードフレーム29と、搭載機器保護フレーム30と、を備えている。ヘッドパイプ21は、ステアリング機構7を操舵自在、つまり車両の左右方向へ揺動自在に支持している。
左右一対の下部フレーム24は、下部ダウンフレーム23の左右に配設されて、ヘッドパイプ21の下部に接続されている。また、左右一対の下部フレーム24は、ヘッドパイプ21との接続部分から下部ダウンフレーム23に沿って略平行に、かつ後ろ下がりに傾斜して延びる前側傾斜部分と、この前側傾斜部分の下端で後方に向かって湾曲する前側湾曲部分と、この前側湾曲部分の後端から略水平に車体5の後方へ向かって車体5の中央部分(車両の前後方向で中央部分)に達するまで直線状に延びる直線部分と、を有している。更に、左右一対の下部フレーム24は、直線部分の後端部から後上方に向けて湾曲する後側湾曲部分と、この後側湾曲部分の上端部から後ろ上がりに傾斜して延びる後側傾斜部分を経て上部フレーム25に接続される上下フレーム接合部と、を有している。なお、左右の下部フレーム24の車両幅方向(左右方向)の間隔は、上部フレーム25の同方向の間隔よりも広い。
また、左右それぞれの下部フレーム24は、前側湾曲部分の外側に搭乗者が足を置くフットボード31を下方から支持するフットレストブラケット31aを備えている。
車体5の左側に配置される下部フレーム24は、サイドスタンドブラケット(図示省略)を備えている。サイドスタンドブラケット(図示省略)には、電動二輪車1を左側へ傾けた状態で自立させるサイドスタンド(図示省略)が設けられている。このサイドスタンドは、電動二輪車1を自立させる起立位置と、走行の妨げとならないよう車体5に添う収納位置との間を揺動する。
左右一対の上部フレーム25は、車体5の前半部において下部フレーム24の前側傾斜部分の上下方向の中央部に接続されている。左右一対の上部フレーム25は、下部フレーム24の前側傾斜部分との接続部分から車体5の後方に向かって略水平に延びる水平部分と、左右一対の上部フレーム25の水平部分の後端であって、車体5の後半部、かつ後輪8の上方部分において後ろ上がりに大きく傾斜し、車体5の左右方向内側へ湾曲して後輪8の太さ(幅寸法)程度に接近する後端部と、を有している。
ピボット軸26は、車体5の後半部において左右の上部フレーム25間に架設されている。つまり、ピボット軸26は、左右の上部フレーム25の下側、かつ上部フレーム25と下部フレーム24との合流部分(上下フレーム接合部)よりも後方であって、左右の上部フレーム25の水平部分と左右の下部フレーム24の後側傾斜部分とに接続される左右のブラケット26a間に架設されている。そして、ピボット軸26は、車両の左右方向に沿って配置され、スイングアーム9の前端を揺動可能に軸支している。
上ブリッジフレーム27は、左右の上部フレーム25の前端部に架設されている。この上ブリッジフレーム27は、左右の上部フレーム25の間を実質的に車両の左右方向へ直線状に延びて、左右の上部フレーム25を連結する。
下ブリッジフレーム28は、左右の下部フレーム24の前側湾曲部分に架設されている。この下ブリッジフレーム28は、左右の下部フレーム24の間を実質的に車両の左右方向へ直線状に延びて、左右の下部フレーム24を連結する。
ガードフレーム29は、左右の下部フレーム24の後側湾曲部分に架設されている。このガードフレーム29は、左右の下部フレーム24との接続部分から後下方に延びると共に、車体フレーム11の内部空間を拡大するように後ろ下がりのU字形状に延びている。また、このガードフレーム29には、電動二輪車1を直立状態で自立させるセンタースタンド33が設けられている。このセンタースタンド33は、電動二輪車1を自立させる起立位置と、走行の妨げとならないよう車体5に添う収納位置との間を揺動する。
上部ダウンフレーム22は、ヘッドパイプ21と上ブリッジフレーム27との間に架設されている。また、下部ダウンフレーム23は、左右の下部フレーム24の前側傾斜部分の上部の間で実質的に車両の左右方向へ直線状に延びて架設されるヘッドパイプ近傍のブリッジフレーム34の左右方向中央部に接続される上端部と、下ブリッジフレーム28の左右方向中央部に接続される下端部とを有している。
搭載機器保護フレーム30は、上部フレーム25の後半部の上部に設けられて、燃料電池2を電動二輪車1の車体に支持している。また、搭載機器保護フレーム30は、その一部が上部フレーム25に着脱可能に設けられる。
シート13は、車体フレーム11の後半部上方を覆って前後に延びている。このシート13はタンデム式であり、搭乗者を着座させる前半部13aと、同乗者を着座させる後半部13bとを一体的に備える。また、シート13は、前半部13aと後半部13bとの間に傾斜部13cを備えている。図1、図2に示すように、後半部13bは前半部13aよりも高く位置付けられており、後半部13bの下方に燃料電池2を収容する収納空間を容易に確保できるように構成されている。
ここで、左右の上部フレーム25及び左右の下部フレーム24で囲まれる空間をセンタートンネル領域35と呼び、また、上部フレーム25の後半部、外装12及びシート13で囲まれる空間を機器搭載領域36と呼び、更に、センタートンネル領域35の後方かつ機器搭載領域36の下方の空間をタイヤハウス領域37と呼ぶ。
センタートンネル領域35は、燃料タンク15を収容している。本実施形態に係るスクータ型の電動二輪車1では、センタートンネル領域35は、搭乗者が足を乗せる左右のフットボード31の間に、車両の前後方向に沿って設けられ、フットボード31の足載せ領域を左右に分断するようにフットボード31から上方へ膨出した領域となっている。換言すると、センタートンネル領域35の左右には、足載せ領域となるフットボード31が配置され、左右のフットボード31の間に燃料タンク15が配置される。
機器搭載領域36には、車体5の前側から順に二次電池16、電力管理装置17、燃料電池2が収容される。この機器搭載領域36は、搭載機器保護フレーム30によって前端部、中央部、後端部、及び中央部から後端部に渡る側部が保護されている。
搭載機器保護フレーム30は機器搭載領域36を囲んで、この機器搭載領域36に搭載される機器を保護している。搭載機器保護フレーム30は、機器搭載領域36の前端部に設けられて、左右の上部フレーム25の間で上に凸のアーチ状に架設された前保護フレーム30aと、機器搭載領域36の中央部であって上部フレーム25と下部フレーム24との合流箇所よりも後側に設けられて、左右の上部フレーム25の間で上に凸のアーチ状に架設される中央保護フレーム30bと、機器搭載領域36の後端部に設けられて、左右それぞれの上部フレーム25が内側に湾曲する部分に接続され、この湾曲部分から後ろ斜め上方へ延びる左右一対の後保護フレーム30cと、中央保護フレーム30bの左右それぞれから後方へ延びて後保護フレーム30cの上端部に接続され、更に車体5の後端部へ到達する左右一対の側部保護フレーム30dと、左右の側部保護フレーム30dの後端部に架設されるブラケット30eと、を備えている。
左右の上部フレーム25は、前保護フレーム30aの下端が接合される箇所で屈曲して車両の後方に向かって間隔を拡げ、中央保護フレーム30bの下端が接合される箇所で屈曲して車両の後方に延びている。このため、中央保護フレーム30bは、前保護フレーム30aよりも幅が広く、高さも高い。後保護フレーム30c及び左右一対の側部保護フレーム30dは一体化されている。また、後保護フレーム30c及び左右一対の側部保護フレーム30dは、中央保護フレーム30b及び上部フレーム25に着脱自在に連結されて燃料電池2を支持している。
タイヤハウス領域37には後輪8が配置されている。また、機器搭載領域36とタイヤハウス領域37との間には、それぞれの領域を分断する隔壁部材としてのリヤフェンダ38が設けられている。
外装12は、車体5の前半部を覆うフロントレッグシールドカバー41と、車体5の中央上部に配置されてセンタートンネル領域35などの上部フレーム25の上方を覆うフロントフレームカバー42と、車体5の後半部に配置されて機器搭載領域36などの車体5の側面のうちシート13の下方部分を覆うフレームカバー43と、を備えている。
フレームカバー43は、シート13と共に機器搭載領域36を囲んでいる。機器搭載領域36は、シート13、フレームカバー43及び隔壁部材に囲まれる閉鎖的な空間である。機器搭載領域36は、フレームカバー43、もしくは隔壁部材の適宜の箇所に設けられる通気孔(図示省略)によって、燃料電池2への空気の流れを容易、かつ確実に制御し、また冷却が必要な装置へ冷却風としての空気の流れを容易、かつ確実に制御している。なお、機器搭載領域36は、各カバー(フロントフレームカバー42、フレームカバー43等)の継ぎ目などから空気が入り込むことを許容する。
前記ステアリング機構7は、車体5の前方に配置されて、車体フレーム11のヘッドパイプ21を中心に左右方向へ揺動し前輪6の操舵を可能にする。このステアリング機構7は、頂部に設けられるハンドル45と、このハンドル45と前輪6とを連結して上下に若干傾斜して延びる左右一対のフロントフォーク46と、を備える。左右のフロントフォーク46は、弾性的に伸縮自在なテレスコピック構造を備える。この左右のフロントフォーク46の下端部には、従動輪としての前輪6を回転自在に支持する車軸(図示省略)が架設されている。前輪6の上方にはフロントフェンダ47が配置されている。このフロントフェンダ47は、左右のフロントフォーク46の間にあって、フロントフォーク46に固定されている。
前記スイングアーム9は、車体5の左右方向に延びるピボット軸26を中心に上下方向へ揺動する。このスイングアーム9は、車体5の左右で前後方向に延びる一対のアーム部の間に後輪8を回転自在に支持している。車体フレーム11とスイングアーム9との間には、リアサスペンション48が架設されている。このリアサスペンション48の上端部は、上部フレーム25の後端部に揺動自在に支持される。また、リアサスペンション48の下端部は、スイングアーム9の後端部に揺動自在に取り付けられる。このリアサスペンション48は、スイングアーム9の揺動を緩衝する。
また、スイングアーム9は、後輪8を回転駆動させるモータ3と、燃料電池2から供給される直流電力を交流電力に変換等してモータ3へ供給するインバータ18と、を収容している。モータ3は、燃料電池2または二次電池16から供給される電力によって後輪8を回転駆動させる。また、モータ3は、スイングアーム9の後部に収容されて、後輪8の車軸と同軸に配置されている。更に、モータ3は、スイングアーム9に一体的に組み付けられて、ユニットスイング式スイングアームを構成している。インバータ18は、スイングアーム9の前部に収容されて、ピボット軸26とモータ3との間に配置されている。後輪8は、モータ3から駆動力が伝達される車軸(図示省略)によって支持される駆動輪である。
前記燃料電池2は、燃料として高圧ガス、例えば水素ガスと、酸化剤として空気中の酸素とを反応させて発電し、空気を用いて冷却する空冷式燃料電池システムである。この燃料電池2は、機器搭載領域36の後半側に配置されている。更に具体的には、燃料電池2は、シート13の前半部13aと後半部13bとの間の傾斜部13cから後半部13bの下方に渡って配置されている。つまり、車両の側面視で、燃料電池2は、同乗者を着座させるシート13の後半部13bと後輪8やスイングアーム9との間に配置されている。
また、燃料電池2は、車体5の前後方向に延びる長辺を有する略直方体形状であって、吸気口2aが配置される正面を前斜め下方へ向け、排気口2bが配置される背面を後ろ斜め上方へ向ける姿勢で機器搭載領域36に配置されている。つまり、燃料電池2は、前方側が後方側よりも下方に位置する前傾姿勢で車体フレーム11に固定されて搭載される。詳細には、燃料電池2の上部は搭載機器保護フレーム30に固定される。また、燃料電池2の下部は、左右一対の上部フレーム25のそれぞれに設けられた左右一対の固定用ブラケット50(後に詳説)固定される。
燃料電池2は、正面側から背面側へ向かって連結される扁平な複数のモジュールを含んでいる。具体的には、燃料電池2は、正面側から順に積層状態に重ねられて連結されるフィルタ(図示省略)、吸気シャッタ(図示省略)、燃料電池スタック(図示省略)、ファン(図示省略)、排気シャッタ(図示省略)を有している。燃料電池2の天面には、燃料電池用制御部(図示省略)が設けられている。
吸気シャッタは、開閉自在な空気の吸気口2aを有し、吸気口2aを開閉して燃料電池スタックへの空気の導入量を制御すると共に、吸気口2aを閉じて燃料電池2内で空気を循環させる循環経路を形成する。排気シャッタは、開閉自在な空気の排気口2bを有し、排気口2bを閉じて燃料電池2内で空気を循環させる循環経路を形成する。換言すると、燃料電池2は、正面に開閉可能な吸気口2aを有し、背面に開閉可能な排気口2bを有し、吸気口2aと排気口2bを閉じることで燃料電池2内の空気を循環させる。
燃料電池スタックは、吸気口2aから吸い込まれる空気に含まれる酸素と、燃料タンク15から供給される水素とを電気化学反応させて発電し、発電後に湿潤な余剰ガスを生成する。ファンは、機器搭載領域36内の空気を吸気口2aから燃料電池2内に吸い込むための吸込負圧を発生させる一方で、燃料電池スタックから余剰ガスを吸い出して排気口2bから排出する。ファンが流動させる空気の流れは、燃料電池スタックで発電に用いられる他に、燃料電池2の冷却に利用される。
燃料電池2の後方には、排気ダクト52が設けられている。燃料電池2のファンは、余剰ガスを燃料電池スタックから吸い出して排気ダクト52へ排出する。排気ダクト52の前端部は、燃料電池2の箱体(即ち排気シャッタの枠体)に気密に接続されている。排気ダクト52は、車体5の後端で後下方と後上方に向かって開口される排気口52aを有する。排気ダクト52は、燃料電池2のファンから吐出される排気(余剰ガス)を、排気口52aへ導いて車体5の後方へ排出する。
後上方ヘ向かって開口する排気口52aは、燃料電池2の排気面(背面)よりも上方であって、望ましくは排気ダクト52の後方上端部に設けられる。詳細には、燃料電池2の排気口よりも高い位置に、この後上方ヘ向かって開口する排気口52aの上縁部が配置される。排気ダクト52は、燃料電池2の排気面(背面)よりも上方に配置される排気口52aを有することによって、未反応の水素ガスを含む湿潤な余剰ガスを排気口52aに導いて車体5から確実に排気する。
前記燃料タンク15は高圧圧縮水素貯蔵システムである。この燃料タンク15は、図4及び図5にも示すように、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)製容器あるいはアルミライナ製複合容器である圧力容器55と、燃料充填口56を有する燃料充填部材57と、燃料充填元弁58及び燃料供給元弁59を内蔵した弁装置としてのタンクバルブ63と、二次減圧弁64と、を備える。
圧力容器55は、燃料電池2の燃料としての水素ガス、例えば約70MPaの水素ガスを貯蔵する。この圧力容器55は、円筒形状の胴部55aと、この胴部55aの前後の端面に一体に設けられたドーム状の鏡板55bとを有し、胴部55aの中心線を車体5の前後方向へ沿わせてセンタートンネル領域35内に配置されている。つまり、図2及び図3に示すように、圧力容器55は、一対の上部フレーム25、一対の下部フレーム24、下ブリッジフレーム28、及びガードフレーム29に周囲を囲まれて、電動二輪車1の転倒や衝突による負荷に対して堅牢に保護されている。
また、圧力容器55は、車体5の一方側、例えば車体5の右側に配置される上部フレーム25と、車体5の他方側、例えば車体5の左側に配置される下部フレーム24との間に架設されるクランプバンド61によって、センタートンネル領域35に支持されて搭載される。詳細には、圧力容器55は、右側の上部フレーム25と左側の下部フレーム24との間に架設される下クランプバンド(クランプバンド61の下半部)に載置され、上クランプバンド(クランプバンド61の上半部)で締め付けられて挟持される。なお、クランプバンド61は、車体5の左側に配置される上部フレーム25と、車体5の右側に配置される下部フレーム24との間に架設されていても良い。
燃料充填部材57は、センタートンネル領域35の外側、詳しくはセンタートンネル領域35の後ろ上方であって、機器搭載領域36の前端部に配置されている。この燃料充填部材57は、二次電池16よりも上方、あるいは真上に配置されている。また、燃料充填部材57は、搭載機器保護フレーム30の前保護フレーム30aの上部と中央保護フレーム30bの上部との間に架設される充填用ブラケット30fに固定されている。更に、燃料充填部材57は、燃料充填時に設備側の燃料供給部材(不図示)を車体の上方かつ左側から差し込めるよう、車体5の上方かつやや左側に向かって延び、シート13の前端部に設けられる燃料充填口用リッド62(図1)によって覆い隠される。この燃料充填口用リッド62は、ヒンジ機構(図示省略)を介してシート13に支持されており、揺動することで開閉する。燃料充填部材57は、燃料としての水素の高圧ガスを燃料タンク15に導き入れる入口としての燃料充填口56を有している。
燃料充填口56は、燃料充填部材57の頂部に設けられ、車体5の左上方を向いている。燃料タンク15の圧力容器55内に燃料を充填する際に、燃料充填口用リッド62を開放した状態において、燃料充填口56の上方は雰囲気に開放される。したがって、燃料としての高圧燃料ガス(水素ガス)を燃料タンク15の圧力容器55に充填する際に、仮に高圧燃料ガス(水素ガス)が漏洩しても、漏洩燃料は滞留することなく電動二輪車1の上方へ拡散する。
燃料充填元弁58及び燃料供給元弁59を内蔵するタンクバルブ63は、図2、図4及び図5に示すように、圧力容器55の後方側の鏡板55bの頂部に設置されて、ガードフレーム29で囲まれた空間に配置される。燃料供給元弁59は、共に図示しない遮断弁及び一次減圧弁を備える。この燃料供給元弁59の遮断弁と燃料充填元弁58は、電磁弁を用いた開閉弁である。また、燃料供給元弁59の一次減圧弁と二次減圧弁64は、圧力容器55からの高圧燃料ガスの圧力を順次減圧して調整する。
図2及び図3に示すように、前記二次電池16は、箱状のリチウムイオン電池である。この二次電池16は、機器搭載領域36の前端部であって、圧力容器55の胴部55aの後半部及び後方側の鏡板55bと、シート13の前半部13aとの間に配置されている。
なお、電動二輪車1は、二次電池16の他に、メータ類(図示省略)やランプ類(図示省略)用の電源として、例えば12V系の電力を供給する第2二次電池(図示省略)を備える。この第2二次電池はヘッドパイプ21の周囲、例えばヘッドパイプ21の右側の側方に配置されている。
図4に示すように、仮に、燃料充填部材57の燃料充填口56から高圧燃料ガスとしての水素ガスが漏洩しても、空気より軽い水素ガスは上昇して、車内に滞留することなく車外に拡散する。また、仮に、タンクバルブ63の燃料充填元弁58または燃料供給元弁59から燃料としての水素ガスが漏洩しても、水素ガスはタイヤハウス領域37(図2)に向かって移動して、車内に滞留することなく車外に拡散する。
図2及び図3に示す前記電力管理装置17は、機器搭載領域36内で二次電池16と燃料電池2との間に配置され、車体フレーム11に固定されている。なお、電力管理装置17は二次電池16と同じ防水ケース内に配置されていても良い。電動二輪車1は、二次電池16、電力管理装置17、及び燃料電池2を上述のように配置することによって、電気的な接続関係が隣り合う装置を極力近接する位置に配置することが可能となり、装置間の配線長を短く、配線に係る重量を軽くすることが可能になる。また、電力管理装置17は、ピボット軸26の前上方に配置されており、スイングアーム9への配線長を短くして、配線に係る重量を軽くすることが可能になる。
前記車両コントローラ19は、電動二輪車1内で比較的に高所となるヘッドパイプ21の周囲、例えば、12V系の電力を供給する第2二次電池の反対側にあたるヘッドパイプ21の左側の側方に配置されている。
ところで、燃料電池2は、図4に示す燃料タンク15が搭載された車体フレーム11に、図8に示すように、吊り具44を介し懸吊装置(不図示)を用いて鉛直方向下方へ吊り降ろされながら、固定用ブラケット50に案内され位置決めされて搭載される。従って、本実施形態では、上記鉛直方向が燃料電池2の車体フレーム11への搭載方向Aである。燃料電池2は、車体フレーム11への搭載時に、左右一対の上部フレーム25からそれぞれ上方に突出して設けられた左右一対の上記固定用ブラケット50間に上方から挿入されて配置され、これらの固定用ブラケット50にボルトにて締付け固定されて取り付けられる。
図7及び図8に示すように、固定用ブラケット50は板金製であり、下部には固定ボルト40を用いて上部フレーム25にボルト固定されるための固定穴49aが、上部には、取付ボルト60を用いて燃料電池2をボルト固定して取り付けるための取付穴49bがそれぞれ複数個、例えば2個ずつ形成される。なお、固定穴49a、取付穴49bは、その軸方向が車両の左右方向に沿って形成され、その締め付け面が車両の前後方向に平行で、左右一対の固定用ブラケット50で対向するように配置される。そして、固定用ブラケット50には、固定穴49aから取付穴49bに沿って上下方向(つまり燃料電池2の搭載方向A)に延びる溝またはスリット(本実施形態では溝51)が形成されている。
一方、燃料電池2には、底面2c近傍に締付ボス53が、突出部として燃料電池2の幅方向外方へ突設されている。この締付ボス53は、固定用ブラケット50の取付穴49bに挿通された取付ボルト60が螺合される箇所であるが、燃料電池2の搭載時には、この締付ボス53が固定用ブラケット50の溝51に係合することで(図7(C)参照)、吊り降ろし過程の燃料電池2を案内し、且つ車両前後方向及び車両幅方向に位置決めする。このため、これらの固定用ブラケット50の溝51と燃料電池2の締付ボス53とが、吊り降ろし過程の燃料電池2を車体フレーム11への搭載方向Aへ案内し位置決めするガイド機構部を構成する。
つまり、燃料電池2は、車体フレーム11への搭載のために吊り下げられたときに、車体フレーム11に固定されるときの搭載姿勢と同様に、前方側が後方側よりも下方に位置する前傾姿勢の角度とされ、左右一対の固定用ブラケット50間に挿入される。このとき、燃料電池2は、締付ボス53の先端に形成されて車両の左右方向に垂直な締め付け面が固定用ブラケット50に当接することで車両の左右方向の位置決めがなされ、更に、車両の前後に複数配置された締付ボス53が左右一対の固定用ブラケット50間に挿入されることで、車両の上下軸回りの位置決め(回転方向の位置決め)がなされる。そして、燃料電池2は、締付ボス53が固定用ブラケット50の溝51(またはスリット)の前壁あるいは後壁に当接することでその位置が規制されて、車両の前後方向の位置決めがなされる。
また、固定用ブラケット50の内面(裏面)には、取付穴49bに対応する位置にスペーサ54が固着されている。このスペーサ54は、燃料電池2を固定用ブラケット50に取付ボルト60を用いて固定して取り付ける際に、図7(C)に示すように燃料電池2の締付ボス53に当接することで、燃料電池2の車両幅方向の位置決めを適正化する。
このスペーサ54の上端は、固定用ブラケット50の上端よりも下方(固定穴49a側)に位置づけられる。これにより、左右一対の固定用ブラケット50におけるスペーサ54間の距離よりも、左右一対の固定用ブラケット50の上端間の距離が大きくなり、このため、吊り降ろし過程の燃料電池2が左右一対の固定用ブラケット50間に挿入され易くなる。なお、固定用ブラケット50の上端を外側(表面側)に広げることで、上述の燃料電池2の挿入性を更に向上させてもよい。
また、締付ボス53の形状によって上述の挿入性を向上させることもできる。この場合、締付ボス53の挿入方向の前側(締付ボス53の先端側や下側)を切欠いたり丸くしたりして、締付ボス53の挿入方向の前側にガイド形状を形成する。これら挿入性の向上は、締付ボス53の左右方向の先端が締め付け面となり、締付けや位置決め精度の向上を考慮して固定用ブラケット50の締め付け面との間に隙間を設けない場合に、特に有効である。
なお、固定用ブラケット50には、吊り降ろし過程の燃料電池2が適正な位置まで吊り降ろされたときに、この燃料電池2に当接して燃料電池2の下降を停止させるストッパを備えてもよい。このストッパは、燃料電池2に設けられて固定用ブラケット50に当接されるようにしてもよい。このストッパを設けることで、燃料電池2の上下方向の位置決めが可能になると共に、接続用継手70における配管への無理な力の作用を抑制することも可能になる。
また、図8に示すように、燃料電池2には、燃料タンク15からの燃料ガス(水素ガス)を導くための燃料電池側燃料配管(後述の第3燃料供給配管68)が延出されている。この第3燃料供給配管68は、燃料電池2の底面2cに対して上方で、且つ燃料電池2の側面に沿って後方へ延び、燃料電池2の後面よりも後方へ突出している。更に、第3燃料供給配管68は、接続用継手70(後述)に接続される先端部に68aを含む接続側部分68bが、燃料電池2に対して上方に屈曲した後に下方に屈曲して、先端部68aが燃料電池2の搭載方向Aに平行になるように設けられている。つまり、第3燃料供給配管68は、燃料電池2への固定箇所から接続用継手70に接続される先端部68aとの間で複数の屈曲箇所を有し、この屈曲の形状によって、金属製のパイプ部材でありながら弾性変形が可能となり、燃料電池2の取付(配管の接続作業)を容易にしている。
一方、図4及び図5に示すように、前述の燃料タンク15では、圧力容器55の後側の鏡板55bに弁装置としてのタンクバルブ63が設置される。このタンクバルブ63の燃料充填元弁58は、燃料充填配管65により燃料充填部材57に接続される。つまり、燃料充填配管65には、車外の燃料供給装置から供給された、タンクバルブ63で減圧等されていない高圧の燃料ガスが、燃料充填配管65を経て導入される。また、タンクバルブ63の燃料供給元弁59(遮断弁、1次減圧弁)は、第1燃料供給配管66により2次減圧弁64に接続され、この2次減圧弁64が第2燃料供給配管67、接続用継手70及び第3燃料供給配管68(図8、図9)により燃料電池2に接続される。なお、燃料充填部材57は、タンクバルブ63の近傍であって、タンクバルブ63の前上方のシート13の前端部付近に設けられて、燃料充填配管65を短くすると共に、配管の配策が容易となるように配置されている。
燃料充填部材57から燃料充填配管65を経て導入された高圧の燃料ガス(水素ガス)は、タンクバルブ63の燃料充填元弁58を経て圧力容器55内に供給されて充填される。この圧力容器55内の高圧燃料ガスは、タンクバルブ63の燃料供給元弁59(特に一次減圧弁)で減圧され、第1燃料供給配管66を経て二次減圧弁64で再度減圧された後、第2燃料供給配管67、接続用継手70及び第3燃料供給配管68を経て燃料電池2へ供給される。ここで、上記配管65、66、67及び68は、ホース材よりも可撓性が低いが、低コストなパイプ材にて構成されている。
図5及び図6に示すように、左右一対の上部フレーム25における車両前後方向略中央位置には、クロスメンバ69が架け渡されて固着され、このクロスメンバ69に取付ブラケット71を介して接続用継手70が取り付けられる。つまり、この接続用継手70は、図4及び図8に示すように、車両前後方向において燃料電池2と燃料タンク15の圧力容器55との間に配置される。更に、接続用継手70は、図5及び図6に示すように、車両幅(左右)方向において左右一対の上部フレーム25、25間に配置される。更に接続用継手70は、図8及び図9に示すように、左右一対の上部フレーム25の上面から上方へ突出して配置されている。
また、接続用継手70は、燃料電池2の車体フレーム11(上部フレーム25、固定用ブラケット50)への搭載方向A(上下方向)に平行になるように配置されている。従って、燃料電池2が吊り降ろされて車体フレーム11(上部フレーム25、固定用ブラケット50)に搭載される際に、この車体フレーム11への搭載前の燃料電池2に接続された第3燃料供給配管68は、その先端部68aが接続用継手70に挿入されて、燃料タンク側接続配管としての第2燃料供給配管67に接続される。つまり、第3燃料供給配管68は、車体フレーム11(上部フレーム25、下部フレーム24)に既に搭載された後の燃料タンク15における二次減圧弁64に接続された第2燃料供給配管67に、前後左右方向に位置決めされた状態で接続用継手70に上方から接近し、この第3燃料供給配管68の先端部68aが接続用継手70に容易に挿入されて接続される。
図6に示すように、接続用継手70は、その継手本体72が取付ナット73によって取付用ブラケット71に固定され、第2燃料供給配管67の先端部を、締込ナット74を通過させて継手本体72に挿入した後、締込ナット74を継手本体72に螺合して締め込むことで、第2燃料供給配管67の先端部が接続用継手70に取り付けられる。更に、燃料電池2の車体フレーム11への搭載時に、第3燃料供給配管68の先端部68aを、締込ナット75を通過させて継手本体72に挿入した後、締込ナット75を継手本体72に螺合して締め込むことで、図9に示すように第3燃料供給配管68の先端部68aが接続用継手70に取り付けられる。これにより、接続用継手70を用いて第2燃料供給配管67と第3燃料供給配管68とが接続される。
次に、接続用継手70を用いた第2燃料供給配管67と第3燃料供給配管68との組付手順を、図4〜図6、図8及び図9を用いて説明する。
まず、燃料タンク15を車体フレーム11に搭載する前に、燃料タンク15のタンクバルブ63及び燃料充填部材57に燃料充填配管65を、タンクバルブ63及び二次減圧弁64に第1燃料供給配管66を、二次減圧弁64に第2燃料供給配管67をそれぞれ接続して、燃料ガスの漏洩を検査しておく。更に、燃料電池2についても、車体フレーム11に搭載する前に、第3燃料供給配管68を接続して燃料ガスの漏洩を検査しておく。このように、燃料タンク15や燃料電池2に対して、車両搭載前に配管をできるだけ接続した組立状態で燃料ガスの漏洩を検査することで、小さな設備で精度よく漏洩を検査することが可能になる。また、組み立てられた車両における漏洩の検査箇所を減らし、生産性を向上させることも可能になる。
次に、図4〜図6に示すように、燃料タンク15の圧力容器55、燃料充填部材57、タンクバルブ63及び二次減圧弁64を、車体フレーム11の主に下部フレーム24及び上部フレーム25に搭載する。更に、接続用継手70を取付ナット73により、クロスメンバ67の取付用ブラケット71に固定して取り付ける。そして、この接続用継手70に第2燃料供給配管67の先端部を締込ナット74により締め付け、その後、燃料ガスの漏洩を検査する。なお、燃料タンク15から接続用継手70までを、燃料タンク15側のアッセンブリーとして組付けた状態で車体フレームに搭載してもよい。こうすることで、小さな設備で精度よく漏洩を検査することが可能になる。また、組み立てられた車両における漏洩の検査箇所を減らし、生産性を向上させることも可能になる。
次に、図8に示すように、左右一対のそれぞれの固定用ブラケット50を左右一対の上部フレーム25のそれぞれに、固定ボルト40を用いて仮止めする。その後、第3燃料供給配管68が接続された燃料電池2を、吊り具44を介し懸吊装置を用いて吊り降ろしながら、この燃料電池2を一対の固定用ブラケット50間に位置決めする。この状態で、図8及び図9に示すように、第3燃料供給配管68の先端部68aを接続用継手70に挿入して締込ナット75で仮止め(締込ナット75を手締め)する。
次に、懸吊状態にある燃料電池2を固定用ブラケット50に取付ボルト60を用いて仮止めし、この状態で吊り具44を燃料電池2から取り外す。その後、接続用継手70の締込ナット75を締め込んで第3燃料供給配管68の先端部68aを接続用継手70に取り付ける。この第3燃料供給配管68の接続用継手70への取り付け後に、固定用ブラケット50を上部フレーム25に固定ボルト40を用いて固定し、更に、燃料電池2を固定用ブラケット50に取付ボルト60を用いて固定して取り付ける。
上述のようにして、燃料電池2の車体フレーム11(上部フレーム25、固定用ブラケット50)への搭載が完了し、且つ燃料電池2に接続された第3燃料供給配管68の接続用継手70への取り付けが完了する。第3燃料供給配管68と接続用継手70間での燃料ガスの漏洩検査は、第3燃料供給配管68の接続用継手70への取り付けが完了した時点、または燃料電池2の車体フレーム11への搭載が完了した時点で実施される。
以上のように構成されたことから、本実施形態によれば、次の効果(1)〜(6)を奏する。
(1)図8及び図9に示すように、車体フレーム11への搭載前の燃料電池2に接続された第3燃料供給配管68を、車体フレーム11に既に搭載されている燃料タンク15の二次減圧弁64に接続された第2燃料供給配管67に接続させる接続用継手70が、燃料電池2の車体フレーム11への搭載方向Aに平行に配置されている。更に、燃料電池2に接続された第3燃料供給配管68の先端部68aは、燃料電池2の車体フレーム11への搭載方向Aに平行に設けられている。
これらのことから、燃料電池2を搭載方向Aに沿って吊り降ろす(下方に移動する)燃料電池2の車体フレーム11への搭載時に、第3燃料供給配管68の先端部68aが搭載方向Aに移動するので、燃料電池2の車体フレーム11への搭載と同時に、第3燃料供給配管68の先端部68aを、搭載方向Aに平行に配置された接続用継手70に容易に挿入できる。この結果、この接続用継手70を介した第3燃料供給配管68と第2燃料供給配管67との接続作業性を向上させることができる。更に、燃料電池2の車体フレーム11への搭載時に、燃料電池2に接続された第3燃料供給配管68が、車体フレーム11のクロスメンバ67に取り付けられた接続用継手70に衝突や干渉することを抑制できるので、第3燃料供給配管68の損傷を防止できる。
(2)図8に示すように、燃料電池2に接続された第3燃料供給配管68は、先端部68aを含む接続側部分68bが、燃料電池2に対して上方に屈曲された後に下方に屈曲して構成されたので、これらの屈曲部によって第3燃料供給配管68に弾性が付与される。この結果、第3燃料供給配管68の先端部68aと接続用継手70とは、多少の位置ずれを許容して取り付けることが可能になるので、第3燃料供給配管68と接続用継手70との取付作業が容易になり、且つ第3燃料供給配管68の損傷を防止できる。
(3)燃料電池2に接続された第3燃料供給配管68は、燃料電池2の底面2cに対して上方に配置されている。このため、燃料電池2を車体フレーム11に搭載する前に、この燃料電池2の第3燃料供給配管68の接続作業が容易になる。更に、第3燃料供給配管68を気にせずに、底面2cを床や台車の上面などに接触させて保持することが可能になり、車体フレーム11への搭載前の燃料電池2の保管や移動も容易になって、第3燃料供給配管68の損傷を防止できる。
(4)上部フレーム25に固定される固定用ブラケット50と燃料電池2には、燃料電池2を車体フレーム11への搭載方向Aに案内して位置決めするガイド機構部としての、固定用ブラケット50の溝51及び燃料電池2の締付ボス53が設けられている。このため、車体フレーム11(上部フレーム25、固定用ブラケット50)への燃料電池2の搭載の作業性を向上させることができると共に、燃料電池2に接続された第3燃料供給配管68の先端部68aを、燃料電池11のクロスメンバ69に取り付けられた接続用継手70に容易に位置決めすることができる。また、固定用ブラケット50の溝51及び燃料電池2の締付ボス53の簡単な構成で、上述のガイド機構部を構成することができる。
(5)車体フレーム11のクロスメンバ69に取り付けられた接続用継手70が、図4に示すように、車両前後方向における燃料電池2と燃料タンク15の圧力容器55との間に配置されたので、燃料電池2と接続用継手70との間の第3燃料供給配管68、及び燃料タンク15の二次減圧弁64と接続用継手70との間の第2燃料供給配管67を共に短縮できる。また、車体フレーム11のクロスメンバ69に取り付けられる接続用継手70が、図5に示すように、左側の上部フレーム25と右側の上部フレーム25との間に配置されたので、これらの上部フレーム25によって接続用継手70を保護できる。
(6)車体フレーム11のクロスメンバ69に取り付けられる接続用継手70の少なくとも上部の接続部分が、図8に示すように、左右一対の上部フレーム25の上面から上方へ突出して設けられたので、位置の確認が容易になると共に、燃料電池2に接続された第3燃料供給配管68を接続用継手70に取り付ける取付作業を容易化できる。つまり、接続用継手70の締込ナット75(図6)の締込作業に用いる工具の作業空間を、接続用継手70の周囲に十分に確保できる。更に、接続用継手70が燃料電池2の前方で且つ上部フレーム25の上面から上方へ突出されたので、上述の接続用継手70の締込ナット75の締込作業性をより一層向上させることができる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができ、また、それらの置き換えや変更は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
例えば、ガイド機構を構成する固定用ブラケット50の溝51と燃料電池2の締付ボス53は、溝51に代わる凹部が燃料電池2に、締付ボス53に代わる凸部が固定用ブラケット50にそれぞれ形成され、これらの凹部と凸部が係合することで、燃料電池2を搭載方向Aに案内し且つ位置決めしてもよい。
また、燃料電池2の位置決めを、固定用ブラケット50の溝51と燃料電池2の締付ボス53との関係で説明したが、固定用ブラケット50の溝51と車体フレーム11の上部フレーム25の締付けボスやナットとを利用しても可能である。但し、固定用ブラケット50と車体フレーム11との間に本実施形態の位置決め構造を適用する場合には、固定用ブラケット50が燃料電池2の側方から下方に突出するため、保管や搬送に特別な治具が必要になる。