JP2004042564A - 化粧パネルの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】合成樹脂成形体の基板1と合成樹脂又は金属からなる化粧シート2とをPUR3を介して貼り合わせて化粧パネルを製造するに当たって、貼り合わせる前に水分を基板1又は化粧シート2に付与し、反応を促進させる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、住宅用の建材や浴室の壁等に用いられる化粧パネルの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、ラミネートによる建材用化粧パネルを製造するに当たって、接着剤としてPURが用いられてきている。PURとは「Poly Urethane Reactives」の略称で、反応型ホットメルトのことである。通常のホットメルトと同様に固形分100%であるが、成分の中に水分と反応する官能基を含んでいるため、冷却硬化後、基板や化粧シートに付着している水分やそれらを通して与えられる水分と反応し、反応後は加熱しても溶融せず、高い接着強度を有するという特徴を有している。このような特徴を有するPURを接着剤として用いるようになったのは、従来用いられている溶剤型2液ウレタン系接着剤では、環境面で溶剤飛散の問題があり、また、通常のホットメルトでは、接着の耐久性に不安があるからである。
【0003】
ここで、ラミネートによる建材用化粧パネルを製造するに当たって、接着剤としてPURを用いる場合、PURの反応においては水分が必要である。そして、例えば、基板が木質系材料であれば、材料そのものに水分を含んでいるため、また、シートが紙のような多孔質系材料であれば、透湿性が大きいため問題はないが、透湿性、吸湿性の無い又は小さい基板と化粧シートとをPURを接着剤として用いて接着する場合、基板、シートの貼り合わせにおいてなかなか水分が供給されず、反応硬化に時間がかかり、養生時間を長く設ける必要があり、生産性が悪くなるという問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、透湿性、吸湿性の無い又は小さい基板と化粧シートとをPURを接着剤として接着するに当たって反応硬化時間を短縮し、生産性を向上することができる化粧パネルの製造方法を提供することを課題とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明に係る化粧パネルの製造方法は、合成樹脂成形体の基板1と合成樹脂又は金属からなる化粧シート2とをPUR3を介して貼り合わせて化粧パネルを製造するに当たって、貼り合わせる前に水分を基板1又は化粧シート2に付与し、反応を促進させることを特徴とするものである。このような方法を採用することで、合成樹脂成形体の基板1と合成樹脂又は金属からなる化粧シート2とをPUR3を介して貼り合わせるに当たって、水分の供給が確実に行われてPUR3の反応硬化時間を短縮して養生時間を短縮できるものである。
【0006】
また、基板1を合成樹脂により成形する際、表面に浸水性又は吸水性材料を置いて同時成形により基板1を成形し、このように浸水性又は吸水性の表層4を有する基板1の表層側に化粧シート2をPUR3を介して貼り合わせることが好ましい。このような方法を採用することで、浸水性又は吸水性の表層4に水を保水できて、合成樹脂成形体の基板1と合成樹脂又は金属からなる化粧シート2とをPUR3を介して貼り合わせるに当たって、表層4に保水された水分をPUR3の反応のために確実に供給できて、硬化時間を短縮して養生時間を短縮できるものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明する。
【0008】
図1には基板1に化粧シート2を貼り合わせるための化粧パネルのラミネート装置の一例が示してある。化粧パネルのラミネート装置は、ベルトコンベアのような基板送りコンベア5と、基板送りコンベア5で送られる基板1の表面に水を供給する水供給部6と、水供給部6で表面に水を供給された基板1表面に化粧シート2を貼り付けるための化粧シート貼付け部7と、化粧シート貼付け部7に化粧シート2を供給するための化粧シート供給部8と、化粧シート2に接着剤として用いるPURを塗布するための塗布装置9とで構成してある。
【0009】
水供給部6は基板送りコンベア5の上方にロールコータ6aを配置して構成してあり、基板送りコンベア5上に載置された状態で搬送される基板1の表面にロールコータ6aにより水10を塗布することで水分を付与するようになっている。
【0010】
化粧シート供給部8は供給ローラ8a群により構成してあり、また、化粧シート貼付け部7はラミネート用ロールにより構成してあり、ラミネート用ロールとしては熱圧ゴムロール7a、冷圧ゴムロール7bが用いてある。
【0011】
塗布装置9は化粧シート供給部8の途中に設けてある。
【0012】
基板1は合成樹脂成形体よりなり、例えばSMC成形品(シートモールドコンパウンド成形品)である。化粧シート2は合成樹脂シート又は金属シートよりなるものであり、一例を挙げるとポリプロピレンシート2aの表面に印刷層2bを介してPETシート2cを積層一体化した複合シートであり、図2に示すように化粧シート2である複合シートの裏面のポリプロピレンシート2aに塗布装置9によりPUR3を塗布するようになっている。
【0013】
しかして、図1のような化粧パネルのラミネート装置を用いて化粧パネルを製造するのであるが、化粧パネルの製造に当たっては次のようにして行うものである。
【0014】
基板送りコンベア5で送られる基板1の表面にロールコータ6aにより水10が塗布され、この水10を表面に塗布された基板1は化粧シート供給部8側に移送される。一方、供給ローラ7a群により化粧シート供給部8側に供給される化粧シート2には裏面に塗布装置9によりPUR3が塗布され、この裏面にPUR3が塗布された化粧シート2が熱圧ゴムロール7aにより表面に水10が塗布された基板1に圧着され、更に、冷圧ゴムロール7bに押圧される。ここで、熱圧ゴムロール7aは例えば硬度50°、温度60℃であり、冷圧ゴムロール7bは硬度50°、温度20℃である。
【0015】
ロールコータ6aにより基板1の表面に塗布する水10は塗布するPUR3の反応に必要な水分量となるように計算により求めた量を塗布するものである。
【0016】
PUR3の反応に必要な水分量は以下の用にして求めるものである。
【0017】
すなわち、PUR3の主原料はポリイソシアネートとポリオールを反応させて得られる両端末がイソシアネートのプレポリマーであり、反応機構は下記の化1に示すような、1)鎖延長反応、2)架橋反応とがある。
【0018】
【化1】
【0019】
上記化1に示す1)鎖延長反応、2)架橋反応において鎖延長反応が主反応であり、その一般反応式は下記の化2で示す式の通りである。
【0020】
【化2】
【0021】
そして、プレポリマー−nモルに対して水n+1モルが反応するものであり、nが十分に大きければ、同じモル数で反応することになる。
【0022】
例えば、PUR3を80g/m2塗布する場合、PUR(YRO10−8、日立化成ポリマー製)のイソシアネート基(−NCO)%=1.6%として計算すると、80g/m2中のプレポリマーのモル数は、
80×0.16×1/{(14+12+16)×2}=0.015(モル)
であり、従って、必要な水分量は、
18(g/モル)×0.015(モル)=0.27(g) → 0.27(g/m2)である。
【0023】
ところで、本発明に用いる合成樹脂成形体よりなる基板1としては表面に浸水性又は吸水性の表層4を同時成形で備えたものであるのが好ましいものである。すなわち、基板1を合成樹脂により成形する際、表面に浸水性又は吸水性材料を置いて同時成形により基板1を成形し、このように浸水性又は吸水性の表層4を有する基板1の表層側に化粧シート2をPUR3を介して貼り合わせることで、基板1の表面に水を塗布した際に水の保持効果(保水効果)が得られるものである。
【0024】
ここで、基板1を合成樹脂により成形する際に、同時成形により表面に浸水性又は吸水性の表層4を形成するので、生産性はほぼ同じでありながら、合成樹脂成形体よりなる基板1の表面への高い保水効果が得られるものである。また、成形により得られた基板1は通常、金型に剥離剤を塗布するか、又は樹脂内部に離形剤を添加するため、その表面接着性は極めて小さい。そこで、貼り合わせを行う場合、接着性を上げる目的で研磨を行うが、この場合は基板1表面に浸水性又は吸水性の表層4を有するので接着性が改善されており、研磨は不要となるものである。
【0025】
図3には上記した図1の化粧パネルのラミネート装置に供給する基板として表層に浸水性又は吸水性の表層を形成した基板を用いた場合を示す概略構成図を示している。
【0026】
なお、上記各実施形態においては、基板1の表面にロールコータで水を塗布して水分を付与するようにした例を示したが、ロールコータ以外の方法で基板1の表面に水分を付与するようにしてもよく、また、化粧シート2の裏面側に水分を付与するようにしてもよく、あるいは基板1の表面及び化粧シート2の裏面の両方に水分を付与するようにしてもよいものである。
【0027】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づいて説明する。
(実施例1)
▲1▼ 金型成形により成形した繊維強化プラスチック製の基板1の表面をワイドベルトサンダーにより研磨した。
【0028】
▲2▼ ポリプロピレンシート2a(70μm)の表面に印刷層2bを介してPETシート2c(100μm)を積層一体化した複合シートよりなる化粧シート2の裏面(ポリプロピレンシート2aの裏面)にPUR(YRO10−8、日立化成ポリマー製)を塗布温度120℃で80μm厚で塗布した後、▲1▼で得た基板1の上にロールコータにより約0.3g/m2の水分を付与し、ラミネートロールを構成する熱圧ゴムロール7a、冷圧ゴムロール7bにより貼り合わせて化粧パネルを得た。使用した熱圧ゴムロール7aは硬度50°、温度60℃であり、冷圧ゴムロール7bは硬度50°、温度20℃である。
【0029】
本実施例において使用したラミネート装置は図1に示すようなものを用いた。(実施例2)
加湿器により化粧シート2の裏面じPUR3を塗布した後に、加湿器により化粧シート2の裏面に水分を付与した。他は実施例1と同様にして化粧パネルを得た。
(実施例3)
実施例1において、基板1の成形時に、表面にポリエステル系不織布を置いて基板1の表面に浸水性又は吸水性の表層4を同時成形し、且つ、表面の研磨を行わないこと以外は、実施例1と同様にして化粧パネルを得た。
(比較例1)
実施例1において、貼り合わせる前に水分付与を基板1に行わなかった以外は、実施例1と同様にして化粧パネルを得た。
【0030】
実施例1〜実施例3、比較例1において、貼り合わせた後のPUR反応率(注1)及び50℃雰囲気下での外観変化(注2)を経時で測定した。その結果を下記の表1に示す。
【0031】
(注1)PUR反応率
貼り合わせ後、所定時間ごとに化粧シート2を剥がし、PUR3を掻き取ってIR分析によりイソシアネート残存率を測定
反応率(%)=100−イソシアネート残存率(%)で計算
(注2)50℃雰囲気下での外観変化
貼り合わせ後、所定時間ごとに50℃設定の乾燥機に5Hr入れ、外観変化(面ゆらぎ)を調べる。これは夏場の生産時に、出荷後の化粧パネルが高温下に曝されることを想定したものであり、PUR3が十分反応硬化していなければ外観変化が大きくなる。
【0032】
【表1】
【0033】
上記表1から明らかなように、各実施例は比較例1に比べて各養生時間毎のPUR反応率が高く、また、各実施例は比較例1に比べて外観変化が小さいことが判る。
【0034】
【発明の効果】
上記のように本発明の請求項1記載の発明にあっては、合成樹脂成形体の基板と合成樹脂又は金属からなる化粧シートとをPURを介して貼り合わせて化粧パネルを製造するに当たって、貼り合わせる前に水分を基板又は化粧シートに付与し、反応を促進させるので、合成樹脂成形体の基板と合成樹脂又は金属からなる化粧シートとをPURを介して貼り合わせるに当たって、水分の供給が確実に行われてPURの反応硬化時間を短縮でき、これにより養生時間が短縮できるので、生産性が向上するものであり、また、PURを接着剤として接着するので、高い接着強度を有すると共に溶剤飛散の問題もなくて環境面でも優れているものである。
【0035】
また、請求項2記載の発明にあっては、上記請求項1記載の発明の効果に加えて、基板を合成樹脂により成形する際、表面に浸水性又は吸水性材料を置いて同時成形により基板を成形し、このように浸水性又は吸水性の表層を有する基板の表層側に化粧シートをPURを介して貼り合わせるので、浸水性又は吸水性の表層に水を保水できて、合成樹脂成形体の基板と合成樹脂又は金属からなる化粧シートとをPURを介して貼り合わせるに当たって、表層に保水された水分をPURの反応のために確実に供給できて、硬化時間を短縮して養生時間を短縮できるものであり、また、基板の表面に浸水性又は吸水性の表層を有しているので、接着性が向上され、この結果、基板の表面の接着性を上げるための研磨が不要である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いる化粧パネルのラミネート装置の概略構成図である。
【図2】同上の化粧シートの裏面に塗布装置によりPURを塗布している状態の説明図である。
【図3】同上の図1の化粧パネルのラミネート装置に供給する基板として表層に浸水性又は吸水性の表層を形成した基板を用いた場合を示す概略構成図である。
【符号の説明】
1 基板
2 化粧シート
3 PUR
4 表層
Claims (2)
- 合成樹脂成形体の基板と合成樹脂又は金属からなる化粧シートとをPURを介して貼り合わせて化粧パネルを製造するに当たって、貼り合わせる前に水分を基板又は化粧シートに付与し、反応を促進させることを特徴とする化粧パネルの製造方法。
- 基板を合成樹脂により成形する際、表面に浸水性又は吸水性材料を置いて同時成形により基板を成形し、このように浸水性又は吸水性の表層を有する基板の表層側に化粧シートをPURを介して貼り合わせることを特徴とする請求項1記載の化粧パネルの製造方法。
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JP2002206071A JP4055498B2 (ja) | 2002-07-15 | 2002-07-15 | 化粧パネルの製造方法 |
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CN104553298A (zh) * | 2014-12-02 | 2015-04-29 | 河北海贺胜利印刷机械集团有限公司 | 卷筒纸pur胶覆膜机涂水装置及涂水方法 |
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