JP2004042065A - 電磁攪拌装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】高品質の鋳片を連続鋳造できるようにする。
【解決手段】最大鋳造幅となるように調節された鋳型2の中空部の鋳造幅方向における内壁面よりも、コア41A、41Bの幅方向における端部が外側になるようにコアの幅を決定することにより、磁束密度が著しく低下するコア41A、41Bの端部を除いた領域であるコア41A、41Bの央部から発生する磁界を使用して、上記最大鋳造幅になるように調節された鋳型2の中空部に満たされている溶鋼5を攪拌できるようにして、溶鋼5に与えられる推力を可及的に均一にできるようにする。
【選択図】 図1
【解決手段】最大鋳造幅となるように調節された鋳型2の中空部の鋳造幅方向における内壁面よりも、コア41A、41Bの幅方向における端部が外側になるようにコアの幅を決定することにより、磁束密度が著しく低下するコア41A、41Bの端部を除いた領域であるコア41A、41Bの央部から発生する磁界を使用して、上記最大鋳造幅になるように調節された鋳型2の中空部に満たされている溶鋼5を攪拌できるようにして、溶鋼5に与えられる推力を可及的に均一にできるようにする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁攪拌装置に関し、特に、鋳型内に満たされている溶融金属に磁界を付与して攪拌しながら鋳片を連続鋳造するために用いて好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
鉄鋼業の分野では、鋳型の上部に満たされている溶融金属を電磁力の作用により攪拌して鋳片(スラブ)を連続鋳造することが一般的に行われている。
【0003】
例えば、特開昭61−14052号公報では、鋳型の外側に配設された電磁攪拌装置の終端を上記鋳型の終端よりも短くして、鋳型内の溶融金属を攪拌するようにした技術が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の技術では、電磁攪拌装置の端部における磁束密度が小さくなってしまうため、鋳型内の溶融金属を攪拌する際に、上記電磁攪拌装置の端部に近接した領域における溶融金属の流速が減少してしまう。
【0005】
これにより、鋳型内の溶融金属の流速が均一でなくなり、特に、上記鋳型の内壁面周辺における溶融金属の流速が均一でなくなってしまう虞があった。
【0006】
したがって、上述したような従来の電磁攪拌装置を用いて溶融金属を攪拌しながら鋳片を連続鋳造した場合には、鋳造した鋳片の端部に気泡や介在物が混入してしまい、高品質の鋳片を鋳造することができないという問題点があった。
【0007】
本発明は上述の問題点にかんがみ、高品質の鋳片を連続鋳造できるようにすることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の電磁攪拌装置は、鋳造幅を調節することが可能な鋳型の中空部を介して対向するように配設されたコアを用いて、上記鋳型の中空部に満たされている溶融金属を攪拌する電磁攪拌装置であって、上記鋳造幅が最大になるように調節された鋳型の中空部よりも、上記コアの幅を大きくしたことを特徴としている。
また、本発明の他の特徴とするところは、上記コアの幅は、上記鋳型の最大幅から1割程度離れた鋳型の内側領域において、最大電磁力の0.8倍以上の電磁力を付与可能な幅に構成されていることを特徴としている。
また、本発明のその他の特徴とするところは、上記コアの幅は、上記鋳型の最大幅からポールピッチの0.25倍以上外側領域迄カバーする長さに構成されていることを特徴としている。
【0009】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
次に、添付の図面を参照しながら本発明の電磁攪拌装置の第1の実施の形態を説明する。
【0010】
図1は、本実施の形態の電磁攪拌装置を配設した連続鋳造装置の概略構成を示した図である。具体的に、図1(a)は水平断面の模式図であり、図1(b)は図1(a)のI−I´方向
における側断面の模式図である。
【0011】
図1において、本実施の形態の連続鋳造装置1は、鋳型2と、浸漬ノズル3と、電磁攪拌装置4とを有している。
【0012】
鋳型2は、溶鋼(溶融金属)5を冷却して所定の形状に凝固させ、所定の幅と厚さを有する板状の鋼片(スラブ)を連続鋳造するための型である。図1(a)に示すように、鋳型2の中空部における水平断面の形状は長方形であり、図1(a)に示した鋳型2の中空部の横(長辺)方向が鋼片の幅方向、縦(短辺)方向が鋼片の厚み方向となる。
【0013】
このような構成の鋳型2は、バックプレート7により支持され、短辺側(鋼片の幅方向)で対向して配設されている短辺部2Aと、長辺側(鋼片の厚み方向)で対向して配設されている長辺部2Bとを有している。そして、短辺部2Aの位置を調節することにより、鋳型2の中空部の長辺方向(鋳造幅方向)の長さを調節することができるようになっている。
【0014】
一方、鋳型2の長辺部2Bの位置も調節することができ、上記長辺部2Bの位置を調節するとともに、上記短辺部2Aを所望の大きさのものに取り替えることにより、鋳型2の中空部の短辺方向(鋼片の厚み方向)の長さを調節することができるようになっている。
【0015】
このような構成の鋳型2の内部には、鋳型2の中空部内の高さ方向に浸漬ノズル3が配設されている。この浸漬ノズル3は、その側壁部に鋳型2の短辺側内壁面に向かって斜め下向きに開口している2つの吐出口3Aを有しており、この吐出口3Aから鋳型2の下方に向けて溶鋼5が吐出されるようになっている。
【0016】
なお、本実施の形態の浸漬ノズル3は、鋳型2の中空部内の高さ方向の位置を調節することができるようになっている。さらに、吐出口3Aが詰まってしまうことを防止するために、アルゴンガス(Arガス)などの不活性ガスを吹き込みながら溶鋼5を吐出するようにしている。
【0017】
電磁攪拌装置4は、浸漬ノズル3から吐出されて鋳型2の上部に満たされた溶鋼5(未凝固部分)に対して電磁力を作用させて、鋳型2の内壁面方向に攪拌力6を付与し、溶鋼5を攪拌する装置である。
【0018】
具体的に説明すると、この電磁攪拌装置4はリニアモータであり、鋳型2の水平断面における長辺側で鋳型2の中空部を介して対向するように配設される1組のコア41A、41Bと、上記コア41A、41Bに巻回されるコイル42A〜42Mとを有している。
【0019】
そして、例えば、図1(a)に示したコイル42AにW相の交流電流を与えたときに、コイル42Bに−V相、コイル42CにU相、コイル42Dに−W相、コイル42EにV相、コイル42Fに−U相、コイル42GにW相、コイル42Hに−V相、コイル42JにU相、コイル42Kに−W相、コイル42LにV相、コイル42Mに−U相の交流電流が流れるように、コイル42A〜42Mが図示しない三相交流電源と結線されている。そして、上述した位相関係の交流電流をコイル42A〜42Mに流して移動磁界を発生させ、溶鋼5に攪拌力6を付与するようにしている。
【0020】
なお、上記−V相は、V相と180度位相が異なる交流電流が流れる相であることを表し、上記−W相は、W相と180度位相が異なる交流電流が流れる相であることを表し、上記−U相は、U相と180度位相が異なる交流電流が流れる相であることを表している。
【0021】
そして、本実施の形態では、最大鋳造幅(最大幅)となるように調節された鋳型2の中空部の長辺方向(鋳造幅方向)における内壁面よりも、コア41A、41Bの幅方向における端部が外側になるようにコアの幅を決定する。具体的には、上記コア41A、41Bの幅を鋳型2の最大鋳造幅よりも大きくしている。
【0022】
ここで、最大鋳造幅とは、適正に連続鋳造することが可能な鋳型2の鋳造幅の最大値である。具体的には、鋳型2の中空部の長辺方向(鋳型2の鋳造幅方向)の長さが最大になるように鋳型2の短辺部2Aの位置を調節したときの鋳型2の中空部の長辺方向における長さである。なお、上記最大鋳造幅は、鋳型2の短辺部2A及び長辺部2Bを取り替えないで鋳型2の中空部の長辺方向(鋳型2の鋳造幅方向)の長さが最大になるように鋳型2の短辺部2Aの位置を調節したときの鋳型2の中空部における長辺方向の長さである。
【0023】
そして、本実施の形態では、具体的に、以下のようにして電磁攪拌装置4のコア41A、41Bの幅を決定する。
なお、ここでは、鋳型2の中空部の長辺方向(鋳型2の鋳造幅方向)における長さを正規化した値で表す(以下、上記正規化した長さを幅方向正規化長さと表す)。上記幅方向正規化長さは、具体的に、図3に示した最大鋳造幅aと、鋳型2の中空部の長辺方向における長さbとの比b/aで表される。
【0024】
コア41A、41Bの幅の決定に際しては、まず、上記短辺部2Aの位置を調節して鋳型2の中空部の長辺方向における長さが上記最大鋳造幅になるように鋳型2を調節する。
【0025】
そして、上記調節した鋳型2の中空部の幅方向における一方の内壁面から他方の内壁面の方向に、上記幅方向正規化長さで0.1に相当する長さ分だけ離れた領域で溶鋼5に付与される電磁力を測定する。
【0026】
このような電磁力の測定をコア41A、41Bの幅を変えて行い、上記測定した電磁力が電磁攪拌装置4から溶鋼5に与えられる電磁力の最大値の80%以上になるような幅を有するコア41A、41Bを選択する。
【0027】
図2は、上述したようにして行った電磁力の測定結果を示し、鋳型2の内部で発生する電磁力の分布の測定結果を示した図である。より具体的に説明すると、図2(a)は鋳型2の中空部の長辺方向全体における電磁力の分布を示した図であり、図2(b)は図2(a)のグラフの左側を拡大して示した図である。
【0028】
図2(a)及び図2(b)において、横軸は、上記幅方向正規化長さ(=b/a)、縦軸は、電磁攪拌装置4から溶鋼5に与えられる電磁力の最大値を1として正規化した電磁力(以下、正規化電磁力と表す)である。
【0029】
そして、コア41A、41Bの幅を上記最大鋳造幅で割った値(コア幅比)をパラメータとして、鋳型2の中空部の長辺方向における任意の位置(幅方向正規化長さ)での電磁力(正規化電磁力)の値をプロットすることにより、図2に示したグラフが作成される。
【0030】
このようにして作成された図2に示したグラフから、コア幅比が1.19以上であれば、幅方向正規化長さが0.1のところでの正規化電磁力が0.8以上になることが分かる。すなわち、鋳型2の最大鋳造幅の1.19倍以上の幅を有するコア41A、41Bを選択すればよいことが分かる。
【0031】
以上のように本実施の形態では、最大鋳造幅となるように調節された鋳型2の中空部よりも、コア41A、41Bの幅方向における端部が外側になるようにコアの幅を決定して、上記コア41A、41Bの幅を鋳型2の最大鋳造幅よりも幅広に形成し、磁束密度が著しく低下するコア41A、41Bの端部を除いた領域であるコア41A、41Bの央部からを発生する磁界を、上記最大鋳造幅になるように調節された鋳型2の中空部に満たされている溶鋼5に与えるようにしたので、溶鋼5に与えられる推力を可及的に均一にすることができ、鋳型2内のメニスカスから溶鋼5が凝固し始めるまでの領域に付与される攪拌力6を可及的に均一にすることができる。
【0032】
これにより、従来のように鋳型2の短辺側内壁面の周辺領域における流速が低減してしまうということを防止することができ、鋳造される鋼片の端部に気泡や介在物が混入してしまうことを防止することができる。したがって、本実施の形態の電磁攪拌装置4を用いて鋼片を連続鋳造すれば、高品質の鋼片を連続鋳造することができる。
【0033】
なお、本実施の形態では、電磁攪拌装置として配設されるリニアモータを2極機としたが、リニアモータの極数は2極に限定されず、3極以上の極数であってもよい。また、各コイル42A〜42Mに流す交流電流の位相の関係も図1に示したものに限定されない。
【0034】
(第2の実施の形態)
次に、添付の図面を参照しながら本発明の電磁攪拌装置の第2の実施の形態を説明する。
本実施の形態の電磁攪拌装置は、コアの幅に対する規定を上述した第1の実施の形態と異なるようにしただけであり、その他の構成については上述した第1の実施の形態と同様である。したがって、第1の実施の形態の説明で用いた図1を用いて本実施の形態の説明を行う。
【0035】
本実施の形態の電磁攪拌装置では、鋳型2の中空部の長辺方向における長さが最大鋳造幅になるように短辺部2Aの位置を調節し、上記短辺部2Aの位置を調節したときの鋳型2の短辺側内壁面よりも、コア41A、41Bの幅方向における両端部が、ポールピッチの0.25倍以上外側になるようにコアの幅を決定するようにしている。
【0036】
ここでポールピッチとは、コイル42A〜42Mに流れる交流電流の位相が180度異なるポール(極)間の距離であり、例えば図1(a)に付した符号Pで示される距離である。
【0037】
このようにしてコア41A、41Bの幅を決定するようにすれば、電磁攪拌装置4として配設されるリニアモータの極数と、上記リニアモータの寸法だけからコア41A、41Bの幅を決定することができる。したがって、本実施の形態では、高品質の鋼片を連続鋳造するためのコア41A、41Bの幅を上述した第1の実施の形態よりも簡単に、かつ確実に決定することができる。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、鋳造幅が最大になるように調節された鋳型の中空部よりも、コアの幅を大きくしたので、磁束密度が著しく低下するコアの端部を除いた領域を使用しないでコアの央部から発生する磁界だけを使用して、上記鋳型の中空部に満たされている溶融金属を攪拌することができる。これにより、鋳型の中空部に満たされている溶融金属に対して可及的に均一な電磁力を与えることができ、上記溶融金属に付与する攪拌力を可及的に均一にして攪拌流速を均一にすることができ、連続鋳造する鋳片の端部に気泡や介在物が混入してしまうことを防止して、高品質の鋳片を連続鋳造することができる。
【0039】
また、本発明の他の特徴によれば、上記コアの幅を、上記鋳型の最大幅からポールピッチの0.25倍以上外側領域迄カバーする長さにしたので、高品質の鋳片を連続鋳造するために必要なコアの幅をより容易に、かつ確実に決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示し、連続鋳造装置の概略構成を示した図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態を示し、鋳型内部で発生する電磁力の分布の測定結果を示した図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態を示し、鋳型の水平方向の断面の概略構成を示した図である。
【符号の説明】
1 連続鋳造装置
2 鋳型
2A 短辺部
2B 長辺部
3 浸漬ノズル
4 電磁攪拌装置
5 溶鋼
41A、41B コア
42A〜42M コイル
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁攪拌装置に関し、特に、鋳型内に満たされている溶融金属に磁界を付与して攪拌しながら鋳片を連続鋳造するために用いて好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
鉄鋼業の分野では、鋳型の上部に満たされている溶融金属を電磁力の作用により攪拌して鋳片(スラブ)を連続鋳造することが一般的に行われている。
【0003】
例えば、特開昭61−14052号公報では、鋳型の外側に配設された電磁攪拌装置の終端を上記鋳型の終端よりも短くして、鋳型内の溶融金属を攪拌するようにした技術が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の技術では、電磁攪拌装置の端部における磁束密度が小さくなってしまうため、鋳型内の溶融金属を攪拌する際に、上記電磁攪拌装置の端部に近接した領域における溶融金属の流速が減少してしまう。
【0005】
これにより、鋳型内の溶融金属の流速が均一でなくなり、特に、上記鋳型の内壁面周辺における溶融金属の流速が均一でなくなってしまう虞があった。
【0006】
したがって、上述したような従来の電磁攪拌装置を用いて溶融金属を攪拌しながら鋳片を連続鋳造した場合には、鋳造した鋳片の端部に気泡や介在物が混入してしまい、高品質の鋳片を鋳造することができないという問題点があった。
【0007】
本発明は上述の問題点にかんがみ、高品質の鋳片を連続鋳造できるようにすることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の電磁攪拌装置は、鋳造幅を調節することが可能な鋳型の中空部を介して対向するように配設されたコアを用いて、上記鋳型の中空部に満たされている溶融金属を攪拌する電磁攪拌装置であって、上記鋳造幅が最大になるように調節された鋳型の中空部よりも、上記コアの幅を大きくしたことを特徴としている。
また、本発明の他の特徴とするところは、上記コアの幅は、上記鋳型の最大幅から1割程度離れた鋳型の内側領域において、最大電磁力の0.8倍以上の電磁力を付与可能な幅に構成されていることを特徴としている。
また、本発明のその他の特徴とするところは、上記コアの幅は、上記鋳型の最大幅からポールピッチの0.25倍以上外側領域迄カバーする長さに構成されていることを特徴としている。
【0009】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
次に、添付の図面を参照しながら本発明の電磁攪拌装置の第1の実施の形態を説明する。
【0010】
図1は、本実施の形態の電磁攪拌装置を配設した連続鋳造装置の概略構成を示した図である。具体的に、図1(a)は水平断面の模式図であり、図1(b)は図1(a)のI−I´方向
における側断面の模式図である。
【0011】
図1において、本実施の形態の連続鋳造装置1は、鋳型2と、浸漬ノズル3と、電磁攪拌装置4とを有している。
【0012】
鋳型2は、溶鋼(溶融金属)5を冷却して所定の形状に凝固させ、所定の幅と厚さを有する板状の鋼片(スラブ)を連続鋳造するための型である。図1(a)に示すように、鋳型2の中空部における水平断面の形状は長方形であり、図1(a)に示した鋳型2の中空部の横(長辺)方向が鋼片の幅方向、縦(短辺)方向が鋼片の厚み方向となる。
【0013】
このような構成の鋳型2は、バックプレート7により支持され、短辺側(鋼片の幅方向)で対向して配設されている短辺部2Aと、長辺側(鋼片の厚み方向)で対向して配設されている長辺部2Bとを有している。そして、短辺部2Aの位置を調節することにより、鋳型2の中空部の長辺方向(鋳造幅方向)の長さを調節することができるようになっている。
【0014】
一方、鋳型2の長辺部2Bの位置も調節することができ、上記長辺部2Bの位置を調節するとともに、上記短辺部2Aを所望の大きさのものに取り替えることにより、鋳型2の中空部の短辺方向(鋼片の厚み方向)の長さを調節することができるようになっている。
【0015】
このような構成の鋳型2の内部には、鋳型2の中空部内の高さ方向に浸漬ノズル3が配設されている。この浸漬ノズル3は、その側壁部に鋳型2の短辺側内壁面に向かって斜め下向きに開口している2つの吐出口3Aを有しており、この吐出口3Aから鋳型2の下方に向けて溶鋼5が吐出されるようになっている。
【0016】
なお、本実施の形態の浸漬ノズル3は、鋳型2の中空部内の高さ方向の位置を調節することができるようになっている。さらに、吐出口3Aが詰まってしまうことを防止するために、アルゴンガス(Arガス)などの不活性ガスを吹き込みながら溶鋼5を吐出するようにしている。
【0017】
電磁攪拌装置4は、浸漬ノズル3から吐出されて鋳型2の上部に満たされた溶鋼5(未凝固部分)に対して電磁力を作用させて、鋳型2の内壁面方向に攪拌力6を付与し、溶鋼5を攪拌する装置である。
【0018】
具体的に説明すると、この電磁攪拌装置4はリニアモータであり、鋳型2の水平断面における長辺側で鋳型2の中空部を介して対向するように配設される1組のコア41A、41Bと、上記コア41A、41Bに巻回されるコイル42A〜42Mとを有している。
【0019】
そして、例えば、図1(a)に示したコイル42AにW相の交流電流を与えたときに、コイル42Bに−V相、コイル42CにU相、コイル42Dに−W相、コイル42EにV相、コイル42Fに−U相、コイル42GにW相、コイル42Hに−V相、コイル42JにU相、コイル42Kに−W相、コイル42LにV相、コイル42Mに−U相の交流電流が流れるように、コイル42A〜42Mが図示しない三相交流電源と結線されている。そして、上述した位相関係の交流電流をコイル42A〜42Mに流して移動磁界を発生させ、溶鋼5に攪拌力6を付与するようにしている。
【0020】
なお、上記−V相は、V相と180度位相が異なる交流電流が流れる相であることを表し、上記−W相は、W相と180度位相が異なる交流電流が流れる相であることを表し、上記−U相は、U相と180度位相が異なる交流電流が流れる相であることを表している。
【0021】
そして、本実施の形態では、最大鋳造幅(最大幅)となるように調節された鋳型2の中空部の長辺方向(鋳造幅方向)における内壁面よりも、コア41A、41Bの幅方向における端部が外側になるようにコアの幅を決定する。具体的には、上記コア41A、41Bの幅を鋳型2の最大鋳造幅よりも大きくしている。
【0022】
ここで、最大鋳造幅とは、適正に連続鋳造することが可能な鋳型2の鋳造幅の最大値である。具体的には、鋳型2の中空部の長辺方向(鋳型2の鋳造幅方向)の長さが最大になるように鋳型2の短辺部2Aの位置を調節したときの鋳型2の中空部の長辺方向における長さである。なお、上記最大鋳造幅は、鋳型2の短辺部2A及び長辺部2Bを取り替えないで鋳型2の中空部の長辺方向(鋳型2の鋳造幅方向)の長さが最大になるように鋳型2の短辺部2Aの位置を調節したときの鋳型2の中空部における長辺方向の長さである。
【0023】
そして、本実施の形態では、具体的に、以下のようにして電磁攪拌装置4のコア41A、41Bの幅を決定する。
なお、ここでは、鋳型2の中空部の長辺方向(鋳型2の鋳造幅方向)における長さを正規化した値で表す(以下、上記正規化した長さを幅方向正規化長さと表す)。上記幅方向正規化長さは、具体的に、図3に示した最大鋳造幅aと、鋳型2の中空部の長辺方向における長さbとの比b/aで表される。
【0024】
コア41A、41Bの幅の決定に際しては、まず、上記短辺部2Aの位置を調節して鋳型2の中空部の長辺方向における長さが上記最大鋳造幅になるように鋳型2を調節する。
【0025】
そして、上記調節した鋳型2の中空部の幅方向における一方の内壁面から他方の内壁面の方向に、上記幅方向正規化長さで0.1に相当する長さ分だけ離れた領域で溶鋼5に付与される電磁力を測定する。
【0026】
このような電磁力の測定をコア41A、41Bの幅を変えて行い、上記測定した電磁力が電磁攪拌装置4から溶鋼5に与えられる電磁力の最大値の80%以上になるような幅を有するコア41A、41Bを選択する。
【0027】
図2は、上述したようにして行った電磁力の測定結果を示し、鋳型2の内部で発生する電磁力の分布の測定結果を示した図である。より具体的に説明すると、図2(a)は鋳型2の中空部の長辺方向全体における電磁力の分布を示した図であり、図2(b)は図2(a)のグラフの左側を拡大して示した図である。
【0028】
図2(a)及び図2(b)において、横軸は、上記幅方向正規化長さ(=b/a)、縦軸は、電磁攪拌装置4から溶鋼5に与えられる電磁力の最大値を1として正規化した電磁力(以下、正規化電磁力と表す)である。
【0029】
そして、コア41A、41Bの幅を上記最大鋳造幅で割った値(コア幅比)をパラメータとして、鋳型2の中空部の長辺方向における任意の位置(幅方向正規化長さ)での電磁力(正規化電磁力)の値をプロットすることにより、図2に示したグラフが作成される。
【0030】
このようにして作成された図2に示したグラフから、コア幅比が1.19以上であれば、幅方向正規化長さが0.1のところでの正規化電磁力が0.8以上になることが分かる。すなわち、鋳型2の最大鋳造幅の1.19倍以上の幅を有するコア41A、41Bを選択すればよいことが分かる。
【0031】
以上のように本実施の形態では、最大鋳造幅となるように調節された鋳型2の中空部よりも、コア41A、41Bの幅方向における端部が外側になるようにコアの幅を決定して、上記コア41A、41Bの幅を鋳型2の最大鋳造幅よりも幅広に形成し、磁束密度が著しく低下するコア41A、41Bの端部を除いた領域であるコア41A、41Bの央部からを発生する磁界を、上記最大鋳造幅になるように調節された鋳型2の中空部に満たされている溶鋼5に与えるようにしたので、溶鋼5に与えられる推力を可及的に均一にすることができ、鋳型2内のメニスカスから溶鋼5が凝固し始めるまでの領域に付与される攪拌力6を可及的に均一にすることができる。
【0032】
これにより、従来のように鋳型2の短辺側内壁面の周辺領域における流速が低減してしまうということを防止することができ、鋳造される鋼片の端部に気泡や介在物が混入してしまうことを防止することができる。したがって、本実施の形態の電磁攪拌装置4を用いて鋼片を連続鋳造すれば、高品質の鋼片を連続鋳造することができる。
【0033】
なお、本実施の形態では、電磁攪拌装置として配設されるリニアモータを2極機としたが、リニアモータの極数は2極に限定されず、3極以上の極数であってもよい。また、各コイル42A〜42Mに流す交流電流の位相の関係も図1に示したものに限定されない。
【0034】
(第2の実施の形態)
次に、添付の図面を参照しながら本発明の電磁攪拌装置の第2の実施の形態を説明する。
本実施の形態の電磁攪拌装置は、コアの幅に対する規定を上述した第1の実施の形態と異なるようにしただけであり、その他の構成については上述した第1の実施の形態と同様である。したがって、第1の実施の形態の説明で用いた図1を用いて本実施の形態の説明を行う。
【0035】
本実施の形態の電磁攪拌装置では、鋳型2の中空部の長辺方向における長さが最大鋳造幅になるように短辺部2Aの位置を調節し、上記短辺部2Aの位置を調節したときの鋳型2の短辺側内壁面よりも、コア41A、41Bの幅方向における両端部が、ポールピッチの0.25倍以上外側になるようにコアの幅を決定するようにしている。
【0036】
ここでポールピッチとは、コイル42A〜42Mに流れる交流電流の位相が180度異なるポール(極)間の距離であり、例えば図1(a)に付した符号Pで示される距離である。
【0037】
このようにしてコア41A、41Bの幅を決定するようにすれば、電磁攪拌装置4として配設されるリニアモータの極数と、上記リニアモータの寸法だけからコア41A、41Bの幅を決定することができる。したがって、本実施の形態では、高品質の鋼片を連続鋳造するためのコア41A、41Bの幅を上述した第1の実施の形態よりも簡単に、かつ確実に決定することができる。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、鋳造幅が最大になるように調節された鋳型の中空部よりも、コアの幅を大きくしたので、磁束密度が著しく低下するコアの端部を除いた領域を使用しないでコアの央部から発生する磁界だけを使用して、上記鋳型の中空部に満たされている溶融金属を攪拌することができる。これにより、鋳型の中空部に満たされている溶融金属に対して可及的に均一な電磁力を与えることができ、上記溶融金属に付与する攪拌力を可及的に均一にして攪拌流速を均一にすることができ、連続鋳造する鋳片の端部に気泡や介在物が混入してしまうことを防止して、高品質の鋳片を連続鋳造することができる。
【0039】
また、本発明の他の特徴によれば、上記コアの幅を、上記鋳型の最大幅からポールピッチの0.25倍以上外側領域迄カバーする長さにしたので、高品質の鋳片を連続鋳造するために必要なコアの幅をより容易に、かつ確実に決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示し、連続鋳造装置の概略構成を示した図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態を示し、鋳型内部で発生する電磁力の分布の測定結果を示した図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態を示し、鋳型の水平方向の断面の概略構成を示した図である。
【符号の説明】
1 連続鋳造装置
2 鋳型
2A 短辺部
2B 長辺部
3 浸漬ノズル
4 電磁攪拌装置
5 溶鋼
41A、41B コア
42A〜42M コイル
Claims (3)
- 鋳造幅を調節することが可能な鋳型の中空部を介して対向するように配設されたコアを用いて、上記鋳型の中空部に満たされている溶融金属を攪拌する電磁攪拌装置であって、
上記鋳造幅が最大になるように調節された鋳型の中空部よりも、上記コアの幅を大きくしたことを特徴とする電磁攪拌装置。 - 上記コアの幅は、上記鋳型の最大幅から1割程度離れた鋳型の内側領域において、最大電磁力の0.8倍以上の電磁力を付与可能な幅に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の電磁攪拌装置。
- 上記コアの幅は、上記鋳型の最大幅からポールピッチの0.25倍以上外側領域迄カバーする長さに構成されていることを特徴とする請求項1に記載の電磁攪拌装置。
Priority Applications (1)
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KR102326865B1 (ko) * | 2020-10-14 | 2021-11-16 | 주식회사 포스코 | 주조 설비 및 주조 방법 |
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2002
- 2002-07-09 JP JP2002200374A patent/JP2004042065A/ja active Pending
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