JP2004040764A - 最小位相変動連続時間積分フィルタおよび当該フィルタを使用した帯域通過σδ変調器 - Google Patents
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Abstract
【課題】レーダ受信機において、アナログ−デイジタル符号化の精度を向上させるために使用される、フィードバックループを形成する帯域通過ΣΔ変調器を提供する。
【解決手段】入力側に供給された信号を帯域通過積分するための、最小位相変動と称する、位相変動を有する共振装置を少なくとも1つ有する連続時間フィルタを使用することで解決される。フィルタリングに伴う遅延を最小化し、ループの安定性を保つためには、帯域通過フィルタを連続時間装置とする場合、多種フィルタである必要がある。このようなフィルタは、例えば共振器と1つ又は複数の周波数帯域においてその作用が共振器より優勢になる抵抗を有する事により実現される。
【選択図】 図14
【解決手段】入力側に供給された信号を帯域通過積分するための、最小位相変動と称する、位相変動を有する共振装置を少なくとも1つ有する連続時間フィルタを使用することで解決される。フィルタリングに伴う遅延を最小化し、ループの安定性を保つためには、帯域通過フィルタを連続時間装置とする場合、多種フィルタである必要がある。このようなフィルタは、例えば共振器と1つ又は複数の周波数帯域においてその作用が共振器より優勢になる抵抗を有する事により実現される。
【選択図】 図14
Description
【0001】
【発明の技術分野】
本発明は、連続時間系フィルタリングに関するものである。より具体的に、例えばシグマ−デルタ(ΣΔ)変調器等のフィードバック制御ループにおけるフィルタリングに関するものである。アナログ方式のΣΔ変調器は、例えば、レーダ受信機や通信システムにおいて、特にアナログ−ディジタル符号化の精度を向上させるために使用することができる。
【0002】
【従来技術の説明】
信号のΣΔ変調は、当該信号を少数のビットに符号化するものであるが、そのビット数による理論上の限界より遥かに高い精度を実現することができる。その目的で、フィードバック制御ループが形成される。精度を制限する量子化装置は、図1(a)の一般図に見えるように、ループの出力側に配置される。
【0003】
信号がディジタル信号である場合、ΣΔ変調ユニットはディジタル装置として作成される。ΣΔ変調器へ入力されるディジタル信号がN個のビットからなるものであれば、帰還信号はN−n個の空の最下位ビット(LSB)を含むN個のビットからなり、積分装置1への入力信号はN+1個のビットからなり、量子化装置2の入力と出力の信号はそれぞれN個のビットとn個のビット(ここで、nはNより遥かに小さい)からなるものとなる。従って、ΣΔ変調器の出力で符号化される信号は、ビット数が少ないが、帯域内で高精度を有する。これは、変調器の入力信号が20ビットで符号化されるが、出力が1ビットで得られるCDリーダにおいて一般的である。
【0004】
しかし、信号がアナログ信号であり、アナログ−ディジタル変換機2(精度を制限する量子化)が、図1(b)に見えるように、ループの出力側に配置された場合、入力/出力誤差を積分するフィルタリング11が、必然的にアナログ方式のフィルタリングになる。ここで、2つの可能性がある。第1の可能性は、信号の周波数が低い時であり、この場合、フィルタリング11前にループ(図示せず)の入口で信号をサンプリングし、離散時間系(例えばスイッチトキャパシタを使用して)フィルタリングを行う。第2の可能性は、特にキャリア周波数などの高周波数領域で生じるものであり、この場合、離散時間方式(特に、スイッチトキャパシタまたはスイッチト電流ループ方式)は不適当である。よって、フィルタリング11を連続時間系のフィルタリングとする。このような場合、最も一般的に使用される技術はGmC技術(トランスコンダクタンス増幅器を使用するもの)である。従って、サンプリングは、ループの出力側で、量子化(アナログ−ディジタル変換機)の直前に行われる。
【0005】
また、高周波数についてさらに言及すると、アナログ−ディジタル変換機(ADC)2とディジタル−アナログ変換機(DAC)3の総変換時間は、1サンプリング周期を超え、複数のサンプリング周期に亘って存在する。この問題は、符号化を1ビットに制限することで解決することができるが、その場合、符号化関数が非線形性の強い特性を有するため、ΣΔ変調器の安定性を確実に得ることができる条件を決定することができない。従って、マルチビット符号化が望ましい。この種の符号化において、開ループの応答を、1次線形性の応答とすることができる。
【0006】
そうすると、ループフィルタ11の作成にあたり、ループの安定性を維持しながら利得を最大化する(よって、フィードバック制御信号と制御との間の誤差を最小化する)といったフィードバック制御ループにおける最も一般的な課題を解決しなければならない。これは、潜時値、すなわちループの総遅延時間が、大きいので、実現することが非常に難しい。高潜時値の存在下であっても良好な結果が得られるフィルタリング関数を求めることが困難であるため、現在に至っても連続時間ΣΔ変調器の開発が遅れている。
【0007】
【発明の概要】
本発明は、ループの利得のモジュラスが1となる周波数領域でフィルタの位相を最小化することで、連続時間フィルタリングの困難性を準最適に解決するものである。
【0008】
具体的に、本発明は、入力側に供給された信号を帯域通過積分するための、最小位相変動と称する、位相変動を有する少なくとも1つの素子を具備する連続時間フィルタを提案する。
【0009】
最小位相変動素子とは、周波数がゼロまたは無限大に近づくにつれ、展開位相、すなわち、不明瞭な点を連続性で埋めることで再構成された位相が、ゼロに近づく傾向を有する素子である。
【0010】
帯域通過積分器として実時間のフィルタを作成する場合、−1の臨界点近辺における利得の変動と位相の変動との釣合の問題が生じる。この釣合によってループの安定性が得られなくてはならない。因果関係上、これらの変動はバヤール−ボード(Bayard−Bode)関係によって結ばれている。この問題は、最小位相変更を有する共振装置を少なくとも1つ有する連続時間帯域通過積分フィルタを使用することで解決できる。この最小位相変更を有する共振装置とは、具体的には共振器と抵抗を有するものである。
【0011】
本発明のさらなる目的は、このような連続時間帯域通過積分フィルタを含むフィードバックループを提供することである。このフィードバックループは、特にΣΔ変調器によって構成され得る。フィードバックループを形成する帯域通過ΣΔ変調器は、例えば、アナログ−ディジタル変換機、帰還ディジタル−アナログ変換機および上述したような連続時間帯域通過積分フィルタを具備するものである。
【0012】
【詳細な説明】
帯域通過ΣΔ変調器は、有用帯域内において、従来の符号器に比べて遥かに高い精度で信号のディジタル符号化を可能にする。その実際の機能として、ディジタル化以外にも、量子化雑音を整形することで、有用帯域におけるこの雑音のスペクトル密度を従来の符号器による雑音より遥かに小さくすることである。この有用帯域における量子化雑音のスペクトルパワー密度の低下は、帯域外の雑音のフィルタリングとデシメーションを行った後に、それに相当する精度の向上として現れる。
【0013】
図1は、ある実施例による連続時間帯域通過ΣΔ変調器を示す概略図である。連続時間帯域通過ΣΔ変調器は、フィードバックループからなる。変調器は、ループの順方向チャネルv1に、積分装置1に続いてアナログ/ディジタル変換機(ADC)2を有する。積分装置1は、積分用のフィルタ装置11と、有用帯域における誤差の増幅器12を有する。変調器は、戻りチャネルv2上に、ディジタル/アナログ変換機(ADC)3を有する。この変換機(ADC)3は、ΣΔ変調器の出力で得られた変換信号を変調器の入力まで伝送するために使用される。ループの入力側に、積分装置1の前方に演算器4が配置されており、ΣΔ変調器が例えばレーダまたは通信システム内に使用される場合に、受信機の入力部から送信され、ΣΔ変調器の入力に印加される符号化すべき信号を受信するとともに、さらに、ディジタル/アナログ変換後に戻りチャネルから送信される変換信号も受信する。この演算器4が入力信号と変換信号の差を評価することによって、帯域通過積分装置が、帯域内における出力信号と入力信号との誤差の積分を行う。
【0014】
有用帯域における開ループの利得は1より遥かに大きいので、この有用帯域内では、出力信号と入力信号との誤差が必然的に非常に小さくなる。これがフィードバックループの原理である。従って、ループの出力側の量子化雑音が、この利得に相当する率で排除される。出力信号の量子化雑音は、アナログ/ディジタル変換を行う際に発生する。
【0015】
よって、ループの利得をできるだけ高くすることが必要である。しかし、2つの変換機2および3を行うために必要な時間を考慮すると、好ましいレベルの利得を選択することは不可能である。実際、ループの実用化にあたり、ナイキスト基準を満たさなくてはならない。その結果、所定の変換機2および3について、ループの安定性は専らフィルタリング11と積分処理1の利得12によって決定する。
【0016】
フィルタリングに伴う遅延を最小化し、ループの安定性を保つためには、帯域通過フィルタ11を連続時間装置とする場合、多極フィルタである必要がある。この種の連続時間フィルタは、その原理上、各々が完全な増幅器に挟まれ、1次フィルタを形成する1次共振器のカスケードとして表すことができる。この構造の伝達関数は、各応答の(対数振幅および位相における)総和である。これらの応答は、前記共振器を、直列または並列に、第1に、内部インピーダンス51を有する発電機52と、第2に、負荷7との間に繋ぐことで得ることができる。図2(a)および2(b)に示すLC共振器は、通常の方法によって、この目的で実施される。
【0017】
図2(a)には、直列共振器を示す。インダクタL61とキャパシタC62が直列接続された直列LC回路6Sを有する。図2(b)には、並列共振器を示す。インダクタL61とキャパシタC62が並列接続された並列LC回路6Pを有する。
【0018】
しかし、このような簡単なLC共振器6を有する連続時間フィルタ11は、位相の変動が最小化されたものではない。実用上、共振周波数または反共振周波数から離れた状態で位相がゼロに戻ることが好ましい。実際、これが確認されなければ、フィルタが設置されたループは安定性を示す。
【0019】
図3(a)には、図2に示す共振装置の位相応答を、周波数の関数として示す。周波数軸は、共振周波数に対して正規化されている。図3(a)に示す位相は、周波数が0に近づくにつれ、90°に寄り、周波数が無限大に向かうにつれ、−90°に寄る。位相変動を最小化するためには、周波数がゼロまたは無限大に向かうにつれ、位相がゼロに寄る必要がある。よって、図3(a)において、図2に示すような簡単なLC共振器を有するフィルタは、いわゆる「最小」位相変動を有するものではない。
【0020】
図3(b)には、図2の共振装置の振幅応答を、周波数の関数として示す。周波数軸は、共振周波数に対して正規化されている。振幅は、共振周波数から離れても飽和しない。振幅応答の波形は、因果関係により、図2(a)に見えるような位相変動を説明することができる。
【0021】
高安定性と同時に充分の利得を実現するためには、フィルタ11は最小位相変動を有する連続時間帯域通過積分フィルタでなければいけない。具体的に、次のような伝達関数を有する。
【0022】
ここで得られる関数は、QNとQDの値によって変化する。実際、QD≧QNの場合、共振周波数周辺で、周波数とともに位相が低下するので、位相遅れを有する帯域フィルタリング関数が得られる。QD≦QNの場合に得られるフィルタは、位相進みを有する帯域阻止性のものになる。QDは、共振器6(または共振装置)の振幅における伝達関数の極大を示す。この比率QD/QNは、共振器6(または共振装置)の振幅における伝達関数の極大と極小との間の比率を示す。
【0023】
本発明は、これを、共振器6に代わって共振装置6’s1、6’s2、6’p1、6’p2、6”sおよび6”pを使用することで実現することを提案する。
【0024】
本発明の第1、第2、第3および第4の変形を、図4(a)、4(b)、6(a)および6(b)に示す。これらの装置は、共振装置6’s1、6’s2、6’p1または6’p2を構成するために、LC回路6に、直列または並列に抵抗を追加したものである。
【0025】
本発明によるフィルタの第1変形は、図4(a)に示すように、直列共振器61〜62に抵抗63を並列配置したものである。その結果、共振状態の場合、共振装置6’s1の作用において共振器61〜62が優勢になる。また、回路が共振状態から遠く、共振器61〜62のインピーダンスが大きい場合、抵抗63の作用が優勢になる。これは、図5(a)および5(b)に示してある。
【0026】
図5(a)には、フィルタ11の当該変形の、QN=7の場合の位相の応答を、周波数の関数として示す。曲線c1、c2およびc3で示す応答は、QDの値が、それぞれ10、20および14である場合のフィルタ11の応答に相当する。周波数軸は、共振周波数に対して正規化されている。共振装置6’s1は、図5(a)に示すように、最小位相変動素子である。実際、周波数が0または無限大に向かうにつれ、位相は0に近づく。
【0027】
図5(b)には、フィルタ11の当該変形の、QN=7の場合の振幅の応答を、周波数の関数として示す。曲線c1、c2およびc3で示す応答は、QDの値が、それぞれ10、20および14である場合のフィルタ11の応答に相当する。周波数軸は、共振周波数に対して正規化されている。
【0028】
同様に、並列共振器61〜62に抵抗63を直列接続することによって、図4(b)に示す共振装置6’p1を構成することが可能である。
【0029】
この種の共振装置6’1の伝達関数は、一般的に次のような形式を有する。
ここで、
そして、直列共振装置6’s1において、
さらに、直列共振装置6’p1において、
【0030】
これらの共振装置6’の部品を、図6(a)および6(b)に示すように変更、配置すると、フィルタに位相進みを伴う帯域阻止作用を持たせることができる。図6(a)の発明によるフィルタ11の第3変形において、抵抗63は並列配置されるLC直列共振器61〜62と直列接続される。その結果、共振状態では、共振装置6’s2の作用において抵抗63が優勢になる。また、動作条件が共振状態から遠い場合、共振器61〜62の働きが抵抗63より大きくなる。これは、フィルタ11のこの変形における、図7(a)に示すような位相および、図7(b)に示すような振幅の周波数応答によって表すことができる。
【0031】
図7(a)には、当該変形による共振装置6’s2を有するフィルタ11における、QN=7の場合の位相応答を、周波数の関数として示す。曲線c4、c5およびc6に示す応答は、それぞれ、QD=2.5、3.5および5であるフィルタ11に対応するものである。周波数軸は、共振周波数に対して正規化されている。共振装置6’s2は、図7(a)に示すとおり、最小位相変動素子である。実際、周波数が0または無限大に向かうにつれ、位相は0に近づく。
【0032】
図7(b)には、当該変形による共振装置6’s2を有するフィルタ11における、QN=7の場合の振幅応答を、周波数の関数として示す。曲線c4、c5およびc6に示す応答は、それぞれ、QD=2.5、3.5および5であるフィルタ11に対応するものである。周波数軸は、共振周波数に対して基準化されている。
【0033】
従って、どの種類の共振装置(例えば、位相遅れ装置、位相進み装置等)を望むかによって、共振装置の構造を、1つまたは複数の所定の周波数帯域(それぞれ、共振周波数を含まない周波数帯域、共振周波数を含む周波数帯域等)において抵抗63の作用が共振器より優勢になるようにする。
【0034】
同様にして、図6(b)に示すように、共振装置6’p2に対して直列配置された並列型のLC共振器61〜62に対して、抵抗63を並列配置することができる。
【0035】
この種の共振装置6’2は、次の形式の伝達関数を有する。
ここで、
そして、直列共振装置6’s2において、
さらに、直列共振装置6’p2において、
【0036】
複数の基本素子、すなわち共振装置を組み合わせることで高次フィルタ11が得られる。従って、本発明による高次フィルタ11の製造は、上記共振装置の第1ないし第4変形6’s1、6’s2、6’p1、6’p2を1つ以上カスケードさせる過程を含む。この高次フィルタを得るために使用されるカスケードは、伝達関数の乗算を可能にする増幅器、または図8に示すような梯子構造に直接組立てたり、図12に示すようなバランスブリッジ構造として組立てることによって実現することができる。
【0037】
図8において、フィルタ素子を構成するのは共振装置6’s1、6’p1のみであるが、次の組合せを、一般的な応用において、位相進み素子6’s2、6’p2にも難なく適用することが可能であることは明かである。また、両種類に適用することも可能である。図8に示すフィルタ11は、交互に配置された共振装置6’s1、6’p1からなる梯子構造のカスケードである。各対の共振装置6’s1、6’p1が段を形成する。フィルタ11は、N段によって構成される。
【0038】
実用上、品質因子の値が高いインダクタを含ませることは難しい。そのため、過電圧の高い共振器の(インダクタおよびキャパシタによる)製造は不可能である。共振器の過電圧は、特に変換時間が長い場合、過電圧が大きいほど臨界領域における位相が小さくなるので、ΣΔ変調器のループ安定性を得るための基本条件である。それが、非常に高い過電圧を有するモノリシックまたは一体型の共振器技術を使用する理由である。これらの技術に属する装置として、バルク波共振器(BAW)やそのTFR(薄膜共振器)またはFBAR(基本バルク波共振器)またはHBAR(高次バルク波共振器)形態、表面波共振器(SAW)、誘電体共振器、MEMS(マイクロエレクトロメカニカルシステム)共振器等があるが、これらに限定されるものではない。しかし、多くの場合、このような共振器は、単純な直列または並列LC回路61〜62ではなく、図9に示すように、LC素子61〜62を有する直列構造の共振枝と並列の静電キャパシタ64からなる等価図を有するものである。従って、共振と反共振を両方有するものである。
【0039】
よって、共振装置6”sおよび6”pは、フィルタリングの場合は直列型、位相進みの場合は並列型の特性を有する直列LC共振器61〜62を得るために図10(a)に示すように変更され、フィルタリングの場合は並列型、位相進みの場合は直列型の特性を有する並列LC共振器61〜62を得るために図10(b)に示すように変更される。これらの共振装置6”s、6”pは、1次フィルタまたは上述したような高次フィルタであるフィルタ11において使用され、増幅器を介してカスケードされるか、図11に示すように梯子状に直接接続される。この図11において、装置全体の性能を最適化するためにすべての共振装置6”s、6”pを異なるものにすることができる。さらに、この図において、位相遅れフィルタと位相進みフィルタとの間に構造上の差異はもはや存在せず、その差は共振器の抵抗値とインピーダンス値との比、該当する周波数帯域およびフィルタにおける抵抗−共振器対の配置によって決まるものである。
【0040】
従って、図11を、共振装置6”s、6”pの静電キャパシタンス64またはその直列キャパシタンス62の値がゼロである一般図として捉えることもできる。これが、すべての共振装置6”s、6”pに対して行われる場合、図8を参照して説明するように、使用される構造はインダクタおよびキャパシタ構造としてもっとも一般的なものである。
【0041】
勿論、図11の一般構造は、差動モードの操作のために、自明の方法で対称化し、図11の共振装置6”pの倍のインピーダンスを有する共振装置6”pを有する図12の構造にすることも可能である。さらに、図12において、電源装置5sのインピーダンス51とフィルタのインピーダンス7も、それぞれ、図11におけるインピーダンスの倍である。
【0042】
この種のフィルタ構造によって得られる通常の周波数応答を、位相におけるものを図13(a)に、振幅におけるものを図13(b)に示す。これは、fsを標本化周波数とした時に、中央周波数f0=3fs/8を有するΣΔ変調器の開ループ応答を近似する線形応答である。このようなΣΔ変調器の構造例を図14に示す。この図面において、このΣΔ変調器、アナログ−ディジタル変換機2およびディジタル−アナログ変換機3によって形成される対は、累積的な総合処理時間が4.82個の標本化周期である。この応答は、アナログ−ディジタル変換機2によるスペクトルのエイリアシングやディジタル−アナログ変換機3によるシンク(Sinc)フィルタリングを考慮したものである。
【0043】
図14に提案される実施例において、ループフィルタ11は2つのフィルタ11(2)および11(3)からなる。各フィルタ11は、3つの部分に分けることができる。ループフィルタ11は、さらに、第1の増幅器12(1)、第1のフィルタ11(2)、第2の増幅器12(2)、第2のフィルタ11(3)および第3の増幅器12(3)を、順番に配置した直列回路を挟んだ両側に2つの共振セル6p(1)および6p(4)を具備する。
【0044】
各フィルタ11(2)および11(3)の3つの部分は、いずれも、図11に示すような直列装置6”sおよび並列装置6”pからなる2つの共振装置を有する。共振セル6p(1)および6p(4)は、アナログ−ディジタル変換機2によって設けられるスペクトルのエイリアシングによる応答への影響を最小化するように設計されるため、低過電圧セルである。従って、閉ループの場合の変調器の動作は、位相において±20度、振幅において±3dBの限界を以って安定である。
【0045】
次の表は、フィルタ11(2)および11(3)の各部分の要素の代表的な値を示すものである。
【0046】
差動モードによる操作の特例の場合に、他の構造を提案することができる。その構造とは、バランスブリッジ構造であり、その原理を図15に示す。バランスブリッジは、共振装置6”s(a)および6”s(b)の静電キャパシタ64と、同値のさらなるキャパシタ621および623を有する。共振装置6”s(a)および6”s(b)における2つの抵抗63(a)および63(b)と2つの共振アーム61〜62(a)および61〜62(b)の存在によって、ブリッジがアンバランスになる。その結果、帯域内で応答を得ることができ、さらに、近範囲の拒絶による準プラトーで応答を制限することで、位相変動を抑えることができる。
【0047】
通過帯域、すなわち共振装置6”s(a)および6”s(b)の共振周辺において、追加された静電キャパシタ621および623のインピーダンスを、2つのインダクタ611および613によって補償することができる。この操作態様が、LCωr 2=1における最適の操作である。
【0048】
これらのブリッジ構造は、通常は異なる中央周波数でカスケード接続することによって、高次フィルタリングを実現することができる。
【0049】
図16(a)および16(b)は、中央周波数f0=3fs/4の、累積的総合処理時間が7.5標本化周期であるアナログ−ディジタル変換機2とディジタル−アナログ変換機3からなる対を有するΣΔ変調器の、開ループにおける、位相および振幅の周波数応答の例をそれぞれ示すものである。ΣΔ変調器は、さらに、図15に示すブリッジ型構造を4つ有するカスケードによって得られるフィルタ11を含むものである。共振器の周波数およびインピーダンス値は、次の条件を満たすものである:ωa 2/ωr 2−1=1/150、RCωr=0.943および(ωr−ω0)/ω0=±2.53×10−3および±2.94×10−3。
【0050】
図16(a)および16(b)に示す応答を読取ると、閉ループ変調器の操作が安定しており、次の限界を有することが示されている:位相において±20度、振幅において±3dB。
【0051】
ΣΔ変調器の変換機は、標本化周期より長い遅延を設けるように選択することができる。ΣΔ変調器のある実施形態によると、ΣΔ変調器の1つの要素または特定の要素またはすべての要素が、半導体内に集積される。
【0052】
抵抗63は、圧電基板上またはセラミックパック内またはその上に取り付けることができる。キャパシタ62は、セラミックパック内またはその上に取り付けることができる。1つまたは複数の共振器61〜62は、セラミック共振器または表面波共振器(SAW)またはバルク波共振器(BAW)、またはその変形であるFBAR(基本バルク波共振器)またはHBAR(高次バルク波共振器)またはTFR(薄膜共振器)、または誘電体共振器、または超伝導体材料からなる共振器、またはGmC型共振器(キャパシタ+トランスコンダクタンス増幅器)であってもよい。さらに、音響共振器(SAW、BAW、TFR、FBAR、HBAR)の圧電基板は、シリコン上に集積されたものであってもよい。
【0053】
フィルタ要素(抵抗、キャパシタおよびインダクタ)を圧電基板上に製造することによって、要素間の相互接続の手間がなくなり、フィルタの製造を容易化する。フィルタの要素(抵抗、キャパシタおよびインダクタ)を圧電基板上またはセラミックパック内に形成する利点の1つは、フィルタの伝達関数を制御し易くなることである。さらに、圧電基板上に形成されたフィルタは、ΣΔ変調器の1つまたは複数の要素を含んだ半導体上に搭載されたものだってもよい。
【0054】
ここであげる応用例は、ΣΔ変調器によって示したが、あらゆる種類のフィードバックループに適用することも可能である。本発明により、ループが不安定になることなく、フィードバックループの潜時値を1より大きくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)および1(b)は、それぞれ、あらゆる種類の信号と、アナログ信号を処理するための連続時間帯域通過ΣΔ変調器を示す一般図である。
【図2】図2(a)および2(b)は、従来技術による1次連続時間帯域通過積分フィルタを示すものである。
【図3】図3(a)および3(b)は、それぞれ、図2のフィルタの位相と振幅における周波数応答を示すものである。
【図4】図4(a)および4(b)は、本発明による1次連続時間帯域通過積分フィルタの第1変形と第2変形を示すものである。
【図5】図5(a)および5(b)は、それぞれ、図4のフィルタの位相と振幅における周波数応答を、共振器Qdの過電圧の関数として示すものである。
【図6】図6(a)および6(b)は、本発明による1次連続時間帯域通過積分フィルタの第3変形と第4変形を示すものである。
【図7】図7(a)および7(b)は、それぞれ、図6のフィルタの位相と振幅における周波数応答を、共振器Qdの過電圧の関数として示すものである。
【図8】図8は、本発明による高次連続時間帯域通過積分フィルタの第5変形を示すものである。
【図9】図9は、従来技術による共振器の等価回路を示すものである。
【図10】図10(a)および10(b)は、本発明による等価共振装置の2つの実施形態を示すものである。
【図11】図11は、図10の等価共振装置を使用した梯子構造を有する差動モードの高次連続時間帯域通過積分フィルタの第6の変形を示すものである。
【図12】図12は、図10の等価共振装置を使用した梯子構造を有する差動モードの高次連続時間帯域通過積分フィルタの第7の変形を示すものである。
【図13】図13(a)および13(b)は、それぞれ、図12のフィルタの位相と振幅における周波数応答を示すものである。
【図14】図14は、図11の高次連続時間帯域通過積分フィルタを使用した連続時間帯域通過積分ΣΔ変調器を示すものである。
【図15】図15は、図10の等価共振装置を使用したブリッジ構造を有する差動モードの高次連続時間帯域通過積分フィルタの第8の変形を示すものである。
【図16】図16(a)および16(b)は、それぞれ、図15のフィルタの位相と振幅における周波数応答を示すものである。
【発明の技術分野】
本発明は、連続時間系フィルタリングに関するものである。より具体的に、例えばシグマ−デルタ(ΣΔ)変調器等のフィードバック制御ループにおけるフィルタリングに関するものである。アナログ方式のΣΔ変調器は、例えば、レーダ受信機や通信システムにおいて、特にアナログ−ディジタル符号化の精度を向上させるために使用することができる。
【0002】
【従来技術の説明】
信号のΣΔ変調は、当該信号を少数のビットに符号化するものであるが、そのビット数による理論上の限界より遥かに高い精度を実現することができる。その目的で、フィードバック制御ループが形成される。精度を制限する量子化装置は、図1(a)の一般図に見えるように、ループの出力側に配置される。
【0003】
信号がディジタル信号である場合、ΣΔ変調ユニットはディジタル装置として作成される。ΣΔ変調器へ入力されるディジタル信号がN個のビットからなるものであれば、帰還信号はN−n個の空の最下位ビット(LSB)を含むN個のビットからなり、積分装置1への入力信号はN+1個のビットからなり、量子化装置2の入力と出力の信号はそれぞれN個のビットとn個のビット(ここで、nはNより遥かに小さい)からなるものとなる。従って、ΣΔ変調器の出力で符号化される信号は、ビット数が少ないが、帯域内で高精度を有する。これは、変調器の入力信号が20ビットで符号化されるが、出力が1ビットで得られるCDリーダにおいて一般的である。
【0004】
しかし、信号がアナログ信号であり、アナログ−ディジタル変換機2(精度を制限する量子化)が、図1(b)に見えるように、ループの出力側に配置された場合、入力/出力誤差を積分するフィルタリング11が、必然的にアナログ方式のフィルタリングになる。ここで、2つの可能性がある。第1の可能性は、信号の周波数が低い時であり、この場合、フィルタリング11前にループ(図示せず)の入口で信号をサンプリングし、離散時間系(例えばスイッチトキャパシタを使用して)フィルタリングを行う。第2の可能性は、特にキャリア周波数などの高周波数領域で生じるものであり、この場合、離散時間方式(特に、スイッチトキャパシタまたはスイッチト電流ループ方式)は不適当である。よって、フィルタリング11を連続時間系のフィルタリングとする。このような場合、最も一般的に使用される技術はGmC技術(トランスコンダクタンス増幅器を使用するもの)である。従って、サンプリングは、ループの出力側で、量子化(アナログ−ディジタル変換機)の直前に行われる。
【0005】
また、高周波数についてさらに言及すると、アナログ−ディジタル変換機(ADC)2とディジタル−アナログ変換機(DAC)3の総変換時間は、1サンプリング周期を超え、複数のサンプリング周期に亘って存在する。この問題は、符号化を1ビットに制限することで解決することができるが、その場合、符号化関数が非線形性の強い特性を有するため、ΣΔ変調器の安定性を確実に得ることができる条件を決定することができない。従って、マルチビット符号化が望ましい。この種の符号化において、開ループの応答を、1次線形性の応答とすることができる。
【0006】
そうすると、ループフィルタ11の作成にあたり、ループの安定性を維持しながら利得を最大化する(よって、フィードバック制御信号と制御との間の誤差を最小化する)といったフィードバック制御ループにおける最も一般的な課題を解決しなければならない。これは、潜時値、すなわちループの総遅延時間が、大きいので、実現することが非常に難しい。高潜時値の存在下であっても良好な結果が得られるフィルタリング関数を求めることが困難であるため、現在に至っても連続時間ΣΔ変調器の開発が遅れている。
【0007】
【発明の概要】
本発明は、ループの利得のモジュラスが1となる周波数領域でフィルタの位相を最小化することで、連続時間フィルタリングの困難性を準最適に解決するものである。
【0008】
具体的に、本発明は、入力側に供給された信号を帯域通過積分するための、最小位相変動と称する、位相変動を有する少なくとも1つの素子を具備する連続時間フィルタを提案する。
【0009】
最小位相変動素子とは、周波数がゼロまたは無限大に近づくにつれ、展開位相、すなわち、不明瞭な点を連続性で埋めることで再構成された位相が、ゼロに近づく傾向を有する素子である。
【0010】
帯域通過積分器として実時間のフィルタを作成する場合、−1の臨界点近辺における利得の変動と位相の変動との釣合の問題が生じる。この釣合によってループの安定性が得られなくてはならない。因果関係上、これらの変動はバヤール−ボード(Bayard−Bode)関係によって結ばれている。この問題は、最小位相変更を有する共振装置を少なくとも1つ有する連続時間帯域通過積分フィルタを使用することで解決できる。この最小位相変更を有する共振装置とは、具体的には共振器と抵抗を有するものである。
【0011】
本発明のさらなる目的は、このような連続時間帯域通過積分フィルタを含むフィードバックループを提供することである。このフィードバックループは、特にΣΔ変調器によって構成され得る。フィードバックループを形成する帯域通過ΣΔ変調器は、例えば、アナログ−ディジタル変換機、帰還ディジタル−アナログ変換機および上述したような連続時間帯域通過積分フィルタを具備するものである。
【0012】
【詳細な説明】
帯域通過ΣΔ変調器は、有用帯域内において、従来の符号器に比べて遥かに高い精度で信号のディジタル符号化を可能にする。その実際の機能として、ディジタル化以外にも、量子化雑音を整形することで、有用帯域におけるこの雑音のスペクトル密度を従来の符号器による雑音より遥かに小さくすることである。この有用帯域における量子化雑音のスペクトルパワー密度の低下は、帯域外の雑音のフィルタリングとデシメーションを行った後に、それに相当する精度の向上として現れる。
【0013】
図1は、ある実施例による連続時間帯域通過ΣΔ変調器を示す概略図である。連続時間帯域通過ΣΔ変調器は、フィードバックループからなる。変調器は、ループの順方向チャネルv1に、積分装置1に続いてアナログ/ディジタル変換機(ADC)2を有する。積分装置1は、積分用のフィルタ装置11と、有用帯域における誤差の増幅器12を有する。変調器は、戻りチャネルv2上に、ディジタル/アナログ変換機(ADC)3を有する。この変換機(ADC)3は、ΣΔ変調器の出力で得られた変換信号を変調器の入力まで伝送するために使用される。ループの入力側に、積分装置1の前方に演算器4が配置されており、ΣΔ変調器が例えばレーダまたは通信システム内に使用される場合に、受信機の入力部から送信され、ΣΔ変調器の入力に印加される符号化すべき信号を受信するとともに、さらに、ディジタル/アナログ変換後に戻りチャネルから送信される変換信号も受信する。この演算器4が入力信号と変換信号の差を評価することによって、帯域通過積分装置が、帯域内における出力信号と入力信号との誤差の積分を行う。
【0014】
有用帯域における開ループの利得は1より遥かに大きいので、この有用帯域内では、出力信号と入力信号との誤差が必然的に非常に小さくなる。これがフィードバックループの原理である。従って、ループの出力側の量子化雑音が、この利得に相当する率で排除される。出力信号の量子化雑音は、アナログ/ディジタル変換を行う際に発生する。
【0015】
よって、ループの利得をできるだけ高くすることが必要である。しかし、2つの変換機2および3を行うために必要な時間を考慮すると、好ましいレベルの利得を選択することは不可能である。実際、ループの実用化にあたり、ナイキスト基準を満たさなくてはならない。その結果、所定の変換機2および3について、ループの安定性は専らフィルタリング11と積分処理1の利得12によって決定する。
【0016】
フィルタリングに伴う遅延を最小化し、ループの安定性を保つためには、帯域通過フィルタ11を連続時間装置とする場合、多極フィルタである必要がある。この種の連続時間フィルタは、その原理上、各々が完全な増幅器に挟まれ、1次フィルタを形成する1次共振器のカスケードとして表すことができる。この構造の伝達関数は、各応答の(対数振幅および位相における)総和である。これらの応答は、前記共振器を、直列または並列に、第1に、内部インピーダンス51を有する発電機52と、第2に、負荷7との間に繋ぐことで得ることができる。図2(a)および2(b)に示すLC共振器は、通常の方法によって、この目的で実施される。
【0017】
図2(a)には、直列共振器を示す。インダクタL61とキャパシタC62が直列接続された直列LC回路6Sを有する。図2(b)には、並列共振器を示す。インダクタL61とキャパシタC62が並列接続された並列LC回路6Pを有する。
【0018】
しかし、このような簡単なLC共振器6を有する連続時間フィルタ11は、位相の変動が最小化されたものではない。実用上、共振周波数または反共振周波数から離れた状態で位相がゼロに戻ることが好ましい。実際、これが確認されなければ、フィルタが設置されたループは安定性を示す。
【0019】
図3(a)には、図2に示す共振装置の位相応答を、周波数の関数として示す。周波数軸は、共振周波数に対して正規化されている。図3(a)に示す位相は、周波数が0に近づくにつれ、90°に寄り、周波数が無限大に向かうにつれ、−90°に寄る。位相変動を最小化するためには、周波数がゼロまたは無限大に向かうにつれ、位相がゼロに寄る必要がある。よって、図3(a)において、図2に示すような簡単なLC共振器を有するフィルタは、いわゆる「最小」位相変動を有するものではない。
【0020】
図3(b)には、図2の共振装置の振幅応答を、周波数の関数として示す。周波数軸は、共振周波数に対して正規化されている。振幅は、共振周波数から離れても飽和しない。振幅応答の波形は、因果関係により、図2(a)に見えるような位相変動を説明することができる。
【0021】
高安定性と同時に充分の利得を実現するためには、フィルタ11は最小位相変動を有する連続時間帯域通過積分フィルタでなければいけない。具体的に、次のような伝達関数を有する。
【0022】
ここで得られる関数は、QNとQDの値によって変化する。実際、QD≧QNの場合、共振周波数周辺で、周波数とともに位相が低下するので、位相遅れを有する帯域フィルタリング関数が得られる。QD≦QNの場合に得られるフィルタは、位相進みを有する帯域阻止性のものになる。QDは、共振器6(または共振装置)の振幅における伝達関数の極大を示す。この比率QD/QNは、共振器6(または共振装置)の振幅における伝達関数の極大と極小との間の比率を示す。
【0023】
本発明は、これを、共振器6に代わって共振装置6’s1、6’s2、6’p1、6’p2、6”sおよび6”pを使用することで実現することを提案する。
【0024】
本発明の第1、第2、第3および第4の変形を、図4(a)、4(b)、6(a)および6(b)に示す。これらの装置は、共振装置6’s1、6’s2、6’p1または6’p2を構成するために、LC回路6に、直列または並列に抵抗を追加したものである。
【0025】
本発明によるフィルタの第1変形は、図4(a)に示すように、直列共振器61〜62に抵抗63を並列配置したものである。その結果、共振状態の場合、共振装置6’s1の作用において共振器61〜62が優勢になる。また、回路が共振状態から遠く、共振器61〜62のインピーダンスが大きい場合、抵抗63の作用が優勢になる。これは、図5(a)および5(b)に示してある。
【0026】
図5(a)には、フィルタ11の当該変形の、QN=7の場合の位相の応答を、周波数の関数として示す。曲線c1、c2およびc3で示す応答は、QDの値が、それぞれ10、20および14である場合のフィルタ11の応答に相当する。周波数軸は、共振周波数に対して正規化されている。共振装置6’s1は、図5(a)に示すように、最小位相変動素子である。実際、周波数が0または無限大に向かうにつれ、位相は0に近づく。
【0027】
図5(b)には、フィルタ11の当該変形の、QN=7の場合の振幅の応答を、周波数の関数として示す。曲線c1、c2およびc3で示す応答は、QDの値が、それぞれ10、20および14である場合のフィルタ11の応答に相当する。周波数軸は、共振周波数に対して正規化されている。
【0028】
同様に、並列共振器61〜62に抵抗63を直列接続することによって、図4(b)に示す共振装置6’p1を構成することが可能である。
【0029】
この種の共振装置6’1の伝達関数は、一般的に次のような形式を有する。
ここで、
そして、直列共振装置6’s1において、
さらに、直列共振装置6’p1において、
【0030】
これらの共振装置6’の部品を、図6(a)および6(b)に示すように変更、配置すると、フィルタに位相進みを伴う帯域阻止作用を持たせることができる。図6(a)の発明によるフィルタ11の第3変形において、抵抗63は並列配置されるLC直列共振器61〜62と直列接続される。その結果、共振状態では、共振装置6’s2の作用において抵抗63が優勢になる。また、動作条件が共振状態から遠い場合、共振器61〜62の働きが抵抗63より大きくなる。これは、フィルタ11のこの変形における、図7(a)に示すような位相および、図7(b)に示すような振幅の周波数応答によって表すことができる。
【0031】
図7(a)には、当該変形による共振装置6’s2を有するフィルタ11における、QN=7の場合の位相応答を、周波数の関数として示す。曲線c4、c5およびc6に示す応答は、それぞれ、QD=2.5、3.5および5であるフィルタ11に対応するものである。周波数軸は、共振周波数に対して正規化されている。共振装置6’s2は、図7(a)に示すとおり、最小位相変動素子である。実際、周波数が0または無限大に向かうにつれ、位相は0に近づく。
【0032】
図7(b)には、当該変形による共振装置6’s2を有するフィルタ11における、QN=7の場合の振幅応答を、周波数の関数として示す。曲線c4、c5およびc6に示す応答は、それぞれ、QD=2.5、3.5および5であるフィルタ11に対応するものである。周波数軸は、共振周波数に対して基準化されている。
【0033】
従って、どの種類の共振装置(例えば、位相遅れ装置、位相進み装置等)を望むかによって、共振装置の構造を、1つまたは複数の所定の周波数帯域(それぞれ、共振周波数を含まない周波数帯域、共振周波数を含む周波数帯域等)において抵抗63の作用が共振器より優勢になるようにする。
【0034】
同様にして、図6(b)に示すように、共振装置6’p2に対して直列配置された並列型のLC共振器61〜62に対して、抵抗63を並列配置することができる。
【0035】
この種の共振装置6’2は、次の形式の伝達関数を有する。
ここで、
そして、直列共振装置6’s2において、
さらに、直列共振装置6’p2において、
【0036】
複数の基本素子、すなわち共振装置を組み合わせることで高次フィルタ11が得られる。従って、本発明による高次フィルタ11の製造は、上記共振装置の第1ないし第4変形6’s1、6’s2、6’p1、6’p2を1つ以上カスケードさせる過程を含む。この高次フィルタを得るために使用されるカスケードは、伝達関数の乗算を可能にする増幅器、または図8に示すような梯子構造に直接組立てたり、図12に示すようなバランスブリッジ構造として組立てることによって実現することができる。
【0037】
図8において、フィルタ素子を構成するのは共振装置6’s1、6’p1のみであるが、次の組合せを、一般的な応用において、位相進み素子6’s2、6’p2にも難なく適用することが可能であることは明かである。また、両種類に適用することも可能である。図8に示すフィルタ11は、交互に配置された共振装置6’s1、6’p1からなる梯子構造のカスケードである。各対の共振装置6’s1、6’p1が段を形成する。フィルタ11は、N段によって構成される。
【0038】
実用上、品質因子の値が高いインダクタを含ませることは難しい。そのため、過電圧の高い共振器の(インダクタおよびキャパシタによる)製造は不可能である。共振器の過電圧は、特に変換時間が長い場合、過電圧が大きいほど臨界領域における位相が小さくなるので、ΣΔ変調器のループ安定性を得るための基本条件である。それが、非常に高い過電圧を有するモノリシックまたは一体型の共振器技術を使用する理由である。これらの技術に属する装置として、バルク波共振器(BAW)やそのTFR(薄膜共振器)またはFBAR(基本バルク波共振器)またはHBAR(高次バルク波共振器)形態、表面波共振器(SAW)、誘電体共振器、MEMS(マイクロエレクトロメカニカルシステム)共振器等があるが、これらに限定されるものではない。しかし、多くの場合、このような共振器は、単純な直列または並列LC回路61〜62ではなく、図9に示すように、LC素子61〜62を有する直列構造の共振枝と並列の静電キャパシタ64からなる等価図を有するものである。従って、共振と反共振を両方有するものである。
【0039】
よって、共振装置6”sおよび6”pは、フィルタリングの場合は直列型、位相進みの場合は並列型の特性を有する直列LC共振器61〜62を得るために図10(a)に示すように変更され、フィルタリングの場合は並列型、位相進みの場合は直列型の特性を有する並列LC共振器61〜62を得るために図10(b)に示すように変更される。これらの共振装置6”s、6”pは、1次フィルタまたは上述したような高次フィルタであるフィルタ11において使用され、増幅器を介してカスケードされるか、図11に示すように梯子状に直接接続される。この図11において、装置全体の性能を最適化するためにすべての共振装置6”s、6”pを異なるものにすることができる。さらに、この図において、位相遅れフィルタと位相進みフィルタとの間に構造上の差異はもはや存在せず、その差は共振器の抵抗値とインピーダンス値との比、該当する周波数帯域およびフィルタにおける抵抗−共振器対の配置によって決まるものである。
【0040】
従って、図11を、共振装置6”s、6”pの静電キャパシタンス64またはその直列キャパシタンス62の値がゼロである一般図として捉えることもできる。これが、すべての共振装置6”s、6”pに対して行われる場合、図8を参照して説明するように、使用される構造はインダクタおよびキャパシタ構造としてもっとも一般的なものである。
【0041】
勿論、図11の一般構造は、差動モードの操作のために、自明の方法で対称化し、図11の共振装置6”pの倍のインピーダンスを有する共振装置6”pを有する図12の構造にすることも可能である。さらに、図12において、電源装置5sのインピーダンス51とフィルタのインピーダンス7も、それぞれ、図11におけるインピーダンスの倍である。
【0042】
この種のフィルタ構造によって得られる通常の周波数応答を、位相におけるものを図13(a)に、振幅におけるものを図13(b)に示す。これは、fsを標本化周波数とした時に、中央周波数f0=3fs/8を有するΣΔ変調器の開ループ応答を近似する線形応答である。このようなΣΔ変調器の構造例を図14に示す。この図面において、このΣΔ変調器、アナログ−ディジタル変換機2およびディジタル−アナログ変換機3によって形成される対は、累積的な総合処理時間が4.82個の標本化周期である。この応答は、アナログ−ディジタル変換機2によるスペクトルのエイリアシングやディジタル−アナログ変換機3によるシンク(Sinc)フィルタリングを考慮したものである。
【0043】
図14に提案される実施例において、ループフィルタ11は2つのフィルタ11(2)および11(3)からなる。各フィルタ11は、3つの部分に分けることができる。ループフィルタ11は、さらに、第1の増幅器12(1)、第1のフィルタ11(2)、第2の増幅器12(2)、第2のフィルタ11(3)および第3の増幅器12(3)を、順番に配置した直列回路を挟んだ両側に2つの共振セル6p(1)および6p(4)を具備する。
【0044】
各フィルタ11(2)および11(3)の3つの部分は、いずれも、図11に示すような直列装置6”sおよび並列装置6”pからなる2つの共振装置を有する。共振セル6p(1)および6p(4)は、アナログ−ディジタル変換機2によって設けられるスペクトルのエイリアシングによる応答への影響を最小化するように設計されるため、低過電圧セルである。従って、閉ループの場合の変調器の動作は、位相において±20度、振幅において±3dBの限界を以って安定である。
【0045】
次の表は、フィルタ11(2)および11(3)の各部分の要素の代表的な値を示すものである。
【0046】
差動モードによる操作の特例の場合に、他の構造を提案することができる。その構造とは、バランスブリッジ構造であり、その原理を図15に示す。バランスブリッジは、共振装置6”s(a)および6”s(b)の静電キャパシタ64と、同値のさらなるキャパシタ621および623を有する。共振装置6”s(a)および6”s(b)における2つの抵抗63(a)および63(b)と2つの共振アーム61〜62(a)および61〜62(b)の存在によって、ブリッジがアンバランスになる。その結果、帯域内で応答を得ることができ、さらに、近範囲の拒絶による準プラトーで応答を制限することで、位相変動を抑えることができる。
【0047】
通過帯域、すなわち共振装置6”s(a)および6”s(b)の共振周辺において、追加された静電キャパシタ621および623のインピーダンスを、2つのインダクタ611および613によって補償することができる。この操作態様が、LCωr 2=1における最適の操作である。
【0048】
これらのブリッジ構造は、通常は異なる中央周波数でカスケード接続することによって、高次フィルタリングを実現することができる。
【0049】
図16(a)および16(b)は、中央周波数f0=3fs/4の、累積的総合処理時間が7.5標本化周期であるアナログ−ディジタル変換機2とディジタル−アナログ変換機3からなる対を有するΣΔ変調器の、開ループにおける、位相および振幅の周波数応答の例をそれぞれ示すものである。ΣΔ変調器は、さらに、図15に示すブリッジ型構造を4つ有するカスケードによって得られるフィルタ11を含むものである。共振器の周波数およびインピーダンス値は、次の条件を満たすものである:ωa 2/ωr 2−1=1/150、RCωr=0.943および(ωr−ω0)/ω0=±2.53×10−3および±2.94×10−3。
【0050】
図16(a)および16(b)に示す応答を読取ると、閉ループ変調器の操作が安定しており、次の限界を有することが示されている:位相において±20度、振幅において±3dB。
【0051】
ΣΔ変調器の変換機は、標本化周期より長い遅延を設けるように選択することができる。ΣΔ変調器のある実施形態によると、ΣΔ変調器の1つの要素または特定の要素またはすべての要素が、半導体内に集積される。
【0052】
抵抗63は、圧電基板上またはセラミックパック内またはその上に取り付けることができる。キャパシタ62は、セラミックパック内またはその上に取り付けることができる。1つまたは複数の共振器61〜62は、セラミック共振器または表面波共振器(SAW)またはバルク波共振器(BAW)、またはその変形であるFBAR(基本バルク波共振器)またはHBAR(高次バルク波共振器)またはTFR(薄膜共振器)、または誘電体共振器、または超伝導体材料からなる共振器、またはGmC型共振器(キャパシタ+トランスコンダクタンス増幅器)であってもよい。さらに、音響共振器(SAW、BAW、TFR、FBAR、HBAR)の圧電基板は、シリコン上に集積されたものであってもよい。
【0053】
フィルタ要素(抵抗、キャパシタおよびインダクタ)を圧電基板上に製造することによって、要素間の相互接続の手間がなくなり、フィルタの製造を容易化する。フィルタの要素(抵抗、キャパシタおよびインダクタ)を圧電基板上またはセラミックパック内に形成する利点の1つは、フィルタの伝達関数を制御し易くなることである。さらに、圧電基板上に形成されたフィルタは、ΣΔ変調器の1つまたは複数の要素を含んだ半導体上に搭載されたものだってもよい。
【0054】
ここであげる応用例は、ΣΔ変調器によって示したが、あらゆる種類のフィードバックループに適用することも可能である。本発明により、ループが不安定になることなく、フィードバックループの潜時値を1より大きくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)および1(b)は、それぞれ、あらゆる種類の信号と、アナログ信号を処理するための連続時間帯域通過ΣΔ変調器を示す一般図である。
【図2】図2(a)および2(b)は、従来技術による1次連続時間帯域通過積分フィルタを示すものである。
【図3】図3(a)および3(b)は、それぞれ、図2のフィルタの位相と振幅における周波数応答を示すものである。
【図4】図4(a)および4(b)は、本発明による1次連続時間帯域通過積分フィルタの第1変形と第2変形を示すものである。
【図5】図5(a)および5(b)は、それぞれ、図4のフィルタの位相と振幅における周波数応答を、共振器Qdの過電圧の関数として示すものである。
【図6】図6(a)および6(b)は、本発明による1次連続時間帯域通過積分フィルタの第3変形と第4変形を示すものである。
【図7】図7(a)および7(b)は、それぞれ、図6のフィルタの位相と振幅における周波数応答を、共振器Qdの過電圧の関数として示すものである。
【図8】図8は、本発明による高次連続時間帯域通過積分フィルタの第5変形を示すものである。
【図9】図9は、従来技術による共振器の等価回路を示すものである。
【図10】図10(a)および10(b)は、本発明による等価共振装置の2つの実施形態を示すものである。
【図11】図11は、図10の等価共振装置を使用した梯子構造を有する差動モードの高次連続時間帯域通過積分フィルタの第6の変形を示すものである。
【図12】図12は、図10の等価共振装置を使用した梯子構造を有する差動モードの高次連続時間帯域通過積分フィルタの第7の変形を示すものである。
【図13】図13(a)および13(b)は、それぞれ、図12のフィルタの位相と振幅における周波数応答を示すものである。
【図14】図14は、図11の高次連続時間帯域通過積分フィルタを使用した連続時間帯域通過積分ΣΔ変調器を示すものである。
【図15】図15は、図10の等価共振装置を使用したブリッジ構造を有する差動モードの高次連続時間帯域通過積分フィルタの第8の変形を示すものである。
【図16】図16(a)および16(b)は、それぞれ、図15のフィルタの位相と振幅における周波数応答を示すものである。
Claims (16)
- 入力側に供給された信号の帯域通過積分処理を行うフィルタであって、該処理が実時間で行われ、該フィルタが最小位相変動を有する要素を少なくとも1つ有するフィルタ。
- 最小位相変動を有する共振装置を少なくとも1つ有する、上記請求項に記載のフィルタ。
- 前記最小位相変動を有する共振装置が、共振器と、1つまたは複数の周波数帯域においてその作用が共振器より優勢になる抵抗とを有する、上記請求項に記載のフィルタ。
- 共振周波数に対して対称であり、共振周波数を含まない周波数帯域において抵抗の作用が優勢である場合、前記最小位相変動を有する共振装置が位相遅れ装置である上記請求項に記載のフィルタ。
- 前記最小位相変動を有し、位相遅れを伴う共振装置が、
−抵抗に対して並列接続された直列共振器であって、直列接続されたインダクタおよびキャパシタを有する直列共振器、または
−抵抗に対して直列接続された並列共振器であって、並列接続されたインダクタおよびキャパシタを有する並列共振器を有する、上記請求項に記載のフィルタ。 - 共振周波数を含む周波数帯域において、抵抗の作用が優勢である場合、前記最小位相変動を有する共振装置が位相進み装置である、上記請求項に記載のフィルタ。
- 前記最小位相変動を有し、位相進みを伴う共振装置が、
−抵抗に対して直列接続された直列共振器であって、直列接続されたインダクタおよびキャパシタを有する直列共振器、または
−抵抗に対して並列接続された並列共振器であって、並列接続されたインダクタおよびキャパシタを有する並列共振器を有する、上記請求項に記載のフィルタ。 - 前記最小位相変動を有する共振装置が、
−直列接続されたインダクタとキャパシタを有する直列共振器を含む第1アーム、
−第1アームの直列共振器に対して並列接続された第2アームであって、キャパシタを含む第2アーム、および
−第1アームの直列共振器および第2アームのキャパシタに対して並列接続されているか、直列共振器およびキャパシタによって形成される装置に対して直列接続されている抵抗を含む等価図を有する請求項2または3に記載のフィルタ。 - 高次フィルタである請求項2ないし8のいずれか1項に記載のフィルタ。
- 最小位相変動を有する共振装置が、カスケードまたは梯子構造またはバランスブリッジ構造に配置される上記請求項に記載のフィルタ。
- フィルタを構成する要素が、圧電基板上またはセラミックパッケージ内に形成される上記請求項のうちいずれか1項に記載のフィルタ。
- 1つまたは複数の共振器が、
−セラミック共振器、
−表面波共振器(SAW)、
−バルク波共振器(BAW)、
−基本バルク共振器(FBAR)、
−高次バルク共振器(HBAR)、
−薄膜共振器(TFR)、
−誘電体共振器、
−超伝導体材料からなる共振器、および
−GmC型共振器からなる群より選択された共振器である上記請求項のうちいずれか1項に記載のフィルタ。 - 請求項1ないし12のうちいずれか1項に記載のフィルタを有するフィードバックループ。
- 潜時値が1より大きい上記請求項に記載のフィードバックループ。
- 請求項14に記載のフィードバックループからなり、ループの順方向チャネルにアナログ−ディジタル変換機を有し、ループの戻りチャネルにディジタル−アナログ変換機を有する、フィードバックループを形成する帯域通過ΣΔ変調器。
- ΣΔ変調器を形成する要素のうち1つまたは複数、あるいはΣΔ変調器を形成するすべての要素が、半導体内に集積され、
フィルタが、半導体上に搭載された圧電基板上またはΣΔ変調器のセラミックパッケージ内に形成される上記請求項に記載の帯域通過ΣΔ変調器。
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