JP2004039977A - 回転塗布装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】回転塗布装置において、被処理物直上周縁部における排気流線の分散、均等化を図り、もって、塗布膜の面内膜厚均一性の向上を図る。
【解決手段】被処理物Wを載置した回転ステージ2が高速回転することによって生じる自然発生的な気流とは別に、被処理物Wの周縁を取囲むように円周上に配置した複数の翼1aからなる翼列が、被処理物Wを載置してある回転ステージ2と共に回転することによって、強制的、かつ均等に被処理物直上周縁の排気を行う。排気口8の配置位置に影響されることなく、被処理物直上周縁部における排気流量分布が均等化され、薄膜4の膜厚均一性が向上する。
【選択図】 図1
【解決手段】被処理物Wを載置した回転ステージ2が高速回転することによって生じる自然発生的な気流とは別に、被処理物Wの周縁を取囲むように円周上に配置した複数の翼1aからなる翼列が、被処理物Wを載置してある回転ステージ2と共に回転することによって、強制的、かつ均等に被処理物直上周縁の排気を行う。排気口8の配置位置に影響されることなく、被処理物直上周縁部における排気流量分布が均等化され、薄膜4の膜厚均一性が向上する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シリコンウェーハ、フォトマスク用ガラス角基板、FPD(Flat Panel Display)用ガラス角基板等の平板状被処理物の表面に液状の樹脂材料やSOG(Spin on Glass)の薄膜を遠心力の作用により形成する回転塗布装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、レジストに代表される液状の樹脂材料やSOG(Spin on Glass)をシリコンウェーハ、フォトマスク用ガラス角基板、FPD用ガラス角基板等の被処理物表面に塗布して成膜する装置として、回転塗布装置が一般に使用されている。また、成膜において、例えばシリコンウェーハ上にエッチングマスク用のレジストを成膜する回転塗布装置では、後続工程の露光、現像、エッチング、剥離プロセス及び、要求されるエッチングパターンの線幅等に依存してレジスト膜厚が一義的に設定される。このため、使用するレジスト材料の粘度及び、分子量等の特性を考慮して、回転塗布装置の回転数、回転加速度及び処理時間が設定される。また、必要な膜厚を得るだけでなく、次プロセスが要求する膜厚均一性を向上させることは、製品歩留まりを向上させるうえで、重要な課題である。さらに、膜厚均一性の良好な領域を拡大させることは、製品の大型化対応、生産性の向上、生産コストの低減などに有効な手段である。
【0003】
回転塗布装置において、装置内に発生する気流が膜厚均一性に関係していると考えられる。例えば、上面が開口した円筒状容器内において、平板を水平面内で回転した場合、遠心力の作用により回転中心から半径方向を外側に向かう気流が平板上に発生する。このため、平板上回転中心部では、気圧が降下し、これを補うため回転中心上方から平板に向かう下降気流が発生する。同様の現象が回転塗布処理中のウェーハ表面上においても発生する。そして、塗布液の状態がウェットな初期の段階において、ウェーハ表面上を回転中心から半径方向外側に向かう不均一な気流の影響を受けるため、膜厚均一性が悪化する問題がある。
【0004】
従来から、この種の回転塗布装置では、処理中にウェーハ表面上を回転中心から半径方向外側に向かう気流を、ウェーハ上で淀むことなく安定して掃気する種々の工夫がなされている。例えば、図8(a)に示される装置では、上部処理容器5aと下部処理容器5bからなる処理容器6の中央にベアリングBで回転自在に支持された回転ステージ2が設けられ、その上に被処理物Wが位置決めピン3により保持・載置された構成において、回転ステージ2の側方から下部にかけて設けた排気流路と下部処理用器5bの底部に設けた排気口8を用いて、塗布膜上面の気体を外部強制排気9するようになっている。この排気口8の配置は、円周方向における排気均一性の向上/安定化のために、図8(a)(b)に示されるように、同一円周上に同じピッチを有して対称的であり、排気口8の外部強制排気9は、個々に細かく排気流量調整される。さらに、処理用器6に流入する気流を安定させるため、上部処理容器5aの上部には整流筒10及び、略十字形状の開口を有する整流板10bが設けられている。この整流板10bは、円周方向の開口面積を操作することにより処理容器に流入する気流量を均一に制御するため、開口の大きな十字型凸部開口の部分を排気口8に面しない角度位置に向けて配置されている。この配置は、被処理物Wの周縁部における排気流量分布に対し、排気口8の配置位置の影響を打ち消すものである。
【0005】
また、処理容器内で生じる気流を安定排気する他の例として、図9及び図10に示されるように、複数の門型スリット14を穿設した側壁と、中心部に被処理物Wの対角寸法より大きな直径の円形開口16を有する天板15とからなる気流制御体17を回転ステージ2の周縁部に一体化して設けたものがしられている。この気流制御体17は、回転ステージ2と共に回転することにより、処理容器21内において排気口8を通して排気ファン20により排気するとき回転ステージの外側における処理容器内に生じる渦気流を抑止して、被処理物W上の塗布膜4の厚均一性の向上を図るものである(特公平05−012990号公報参照)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、レジストに代表される塗布液の塗布プロセスにおける塗布膜厚の面内均一性の要求精度は、エッチングパターンの線幅微細化等に伴い、これまで以上に高くなり、前記したような排気口複数化等による排気均一性の改善は、物理的(空間的)な限界に達しつつある。例えば、前記の図8に示す処理容器6の下部には、ステージを回転する図示されない電動機やその動力を出力軸に伝達する機構等を配する必要があり、排気口8に接続する比較的口径の大きな配管を電動機及び動力伝達機構に隣接して配置することは物理的に不可能である。また、有限個の排気口では、被処理物周縁部の排気流量を完全に均等にできないことが想像できる。また、前記図9の気流制御体17を用いる従来手法は、回転ステージの回転によって、回転ステージの外側における処理容器内に生じる渦気流を抑止するものであり、被処理物上に発生する半径方向の気流を均等分散化するためには何ら効果がない。また、気流制御体17を用いるこの従来法は、処理容器底部に配置されている有限個の排気口の配置位置に依存する排気不均一性を解消できない。
【0007】
本発明は、上記の課題を解消するものであって、シリコンウェーハ、フォトマスク用ガラス角基板、FPD用ガラス角基板等の平板状被処理物表面に液状材料の塗布膜を遠心力の作用により形成する回転塗布装置において、被処理物直上周縁部における排気の均等化を図り、もって、前記塗布膜の面内膜厚均一性の向上が可能な回転塗布装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を達成するために、請求項1の発明は、回転ステージに載置した平板状被処理物の表面に塗布液を滴下し、前記回転ステージと共に前記被処理物を該被処理物の中心軸回りに高速回転して生じた遠心力により前記被処理物の表面に前記塗布液を広げて薄膜を形成する回転塗布装置において、前記回転ステージが、前記回転ステージの端縁部であって該回転ステージの回転軸と同軸の円周上に、前記回転ステージの回転に伴い該回転ステージの中心から端縁部に向かう気流を発生させる翼列を前記被処理物に干渉しないように備えたものである。
【0009】
上記構成の回転塗布装置においては、被処理物を載置した回転ステージが高速回転することによって生じる自然発生的な気流とは別に、被処理物の周縁を取囲むように円周上に配置した翼列が、被処理物を載置してある回転ステージと共に回転することによって、中心から端縁部に向かう気流を発生させ、強制的、かつ均等に被処理物直上周縁の排気を行うことができるので、排気口の配置位置に依存した被処理物直上周縁部における排気流量分布の不均一性が発生せず、形成した薄膜の膜厚均一性を向上することができる。
【0010】
請求項2の発明は、回転ステージに載置した平板状被処理物の表面に塗布液を滴下し、前記回転ステージと共に前記被処理物を該被処理物の中心軸回りに高速回転して生じた遠心力により前記被処理物の表面に前記塗布液を広げて薄膜を形成する回転塗布装置において、前記回転ステージの外縁部に、該回転ステージと同軸かつ独立に回転可能であって、回転に伴い前記回転ステージの中心から外縁部に向かう気流を発生させる翼列が前記被処理物に干渉しないように配置されたリングステージを備えたものである。
【0011】
上記構成の回転塗布装置においては、被処理物を載置した回転ステージとその外縁部に備えたリングステージ上の翼列とは、それぞれ独立に回転制御可能であり、両者を同期して同一回転方向に回転できるので、前記請求項1記載の回転塗布装置と同様の効果を奏する。また、請求項1記載の回転塗布装置では、被処理物を載置した回転ステージに対して常に翼列が同期して回転する構成であるが、請求項2記載の回転塗布装置の構成においては、翼列の内側に配した被処理物の回転速度とは独立に翼列を回転させることができるので、例えば、予め翼列だけを排気回転方向に回転して排気流量が安定した後、被処理物表面への塗布処理(処理液滴下と回転)を行うこと等が可能となり、膜厚均一性の良好な成膜ができる。
【0012】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2記載の回転塗布装置において、回転ステージの上方に配置され、被処理物の外形に近似した略円形状の吸気口を有した整流筒と、前記回転ステージの外周側方に配置され、該回転ステージを囲繞すると共に上部が前記整流筒に接続され、下部に排気口を有した略軸対称の処理容器とを備え、前記回転ステージに備えられ、又は前記回転ステージとは独立の前記リングステージに配置された前記翼列は、前記処理容器内面と前記回転ステージとの間隙に位置するものである。
【0013】
上記構成の回転塗布装置においては、回転ステージの周縁部又は外縁部に配置された翼列が、上部に吸気口を有した整流筒と下部に排気口を備えた処理容器からなる排気流路の途中に備えられているので、被処理物直上周縁部においてディフューザ効果により整流、安定化された排気流線を得ることが可能となり、膜厚均一性の良好な成膜ができる。
【0014】
請求項4の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の回転塗布装置において、翼列を構成する各翼の迎え角を等しい角度に調整する機構を有するものである。
【0015】
上記構成の回転塗布装置においては、翼列を構成する各翼の迎え角を等しい角度に調整する機構を用いて翼列の迎え角を調整できるので、被処理物周縁部での排気流速の変更や、各翼が失速状態にならぬような調整を行い、処理液条件や塗布膜形成条件に合わせた排気量及び排気流量分布の均等化を図って、膜厚均一性の良好な成膜ができる。
【0016】
【発明の実施形態】
以下、本発明の一実施形態に係る回転塗布装置について、図1乃至図3を参照して説明する。図面中の共通する部材には同一符号を付して重複説明を省略する。また、図面中の黒い矢印の集まりは気流を示すものである。回転塗布装置は、図1に示されるように、略軸対称の構造をしており、上部処理容器5aと下部処理容器5bとからなる処理容器6の中央に、ベアリングBで回転自在に支持された回転ステージ2を有し、上部処理容器5aの開口部上部には、昇降自在に配される整流筒10を備えている。本装置の運転時には、整流筒10の上方から空気が流入して、回転ステージ2の側方を通過し、下部処理容器5bの底部に設けられた排気口8から、図示しない排気ポンプ等により排気される。また、下部処理容器5bの底部には廃液回収口7が設けられており、ここから塗布液が回収処理される。回転ステージ2は、下部のステージ支持部2bを介して、図示しない回転駆動機構に接続され、例えば矢印Rの方向に回転される。また、図2(a)に示されるように、回転ステージ2の上面には複数の位置決めピン3が有り、例えば被処理物Wが矩形基板の場合、これらが基板の4隅を支えて回転時にこれを保持する。
【0017】
また、回転ステージ2の端縁部上面には、回転ステージ2の回転軸と同軸の円周上に複数の翼1bを配列して成る翼列1が設けられている(図3)。この翼列1は、図2(a)(b)に示されるように、回転ステージ2の回転に伴い回転ステージ2の回転中心から半径方向を外側に向かって気流が発生するように、予め迎え角(後述)が調整されている。そして、端縁部に向かう気流により、被処理物Wの表面上の空気は、淀むことなく安定して掃気される。
【0018】
本回転塗布装置を用いた塗布膜形成について以下に説明する。まず、整流筒10が図示されない昇降機構により上昇される。被処理物Wが、上部処理容器5aの上面に形成された開口を通して、ロボットハンド(図示なし)により回転ステージ2上に中心軸を一致させて載置されると共に、位置決めピン3により支持される。次に、回転ステージ2が静止した状態で、塗布液が被処理物W上面中心部に、図示されない塗布液供給手段により滴下される。塗布液供給手段が被処理物W上面より待避後、整流筒10が下降し、上部処理容器5a上面に載置されると、回転ステージ2が所定の回転速度で、図示されない電動機及びその動力を出力軸に伝達する機構によって回転し、薄膜形成(塗布処理)が行われる。塗布液供給手段の構成によっては、整流筒10の上方から塗布液の吐出部を被処理物W上面まで近接し、塗布液を滴下することも可能である。この場合、予め、塗布液が遠心力で広がる程度の低い回転速度で回転ステージ2を回転させつつ塗布液を滴下し、吐出部を待避後、所定の回転速度で塗布処理を行ってもよい。塗布処理中において、被処理物W上面の気流は、回転ステージ2周縁部に配される翼列1の作用により、常に回転中心から半径方向を外側に向かって流れる。少なくとも、被処理物Wが配置されている、翼列1の内側の領域において、排気口8の配置位置の影響を受けて気流が乱れることはない。従って、この翼列1を用いることにより、塗布処理中の被処理物Wの直上周縁部における排気流量を均等に分散させ、安定化することができ、塗布膜厚分布の均一性が向上する。
【0019】
塗布処理中において、被処理物Wに塗布されなかった余分な塗布液は、遠心力により各翼1aの間隙を通過して、処理容器6内側面に飛来・付着し、内側面を伝って処理容器底部に設けられた廃液回収口7に集液されて排出される。従って、排気中に含まれるミスト状の塗布液を、排気口8の手前で分離・回収することができる。このように、排気流が処理容器から排出される過程で、液状物質(ミスト状)を分離・回収することにより、排気口8以降に配される気液分離用トラップを簡略化することができると共に、メンテナンスに要する時間やコストを節約することができる。また、翼列1を構成する材料として撥水性に富む材質を使用することにより、各翼1aが塗布液の付着により汚染されることを抑制することができる。
【0020】
次に、本発明の他の実施形態に係る回転塗布装置について、図4乃至図6を参照して説明する。上述の回転塗布装置においては、翼列1は回転ステージ2の上面に設けられていたが、図4に示されるように、回転ステージ2の周縁部下面に翼列1を配置しても同様の効果が奏される。この場合、塗布処理中に飛散した塗布液が翼列1に直接、付着することがなく、メンテナンス性の一層の向上が期待される。
【0021】
また、図5及び図6に示される回転塗布装置は、被処理物Wを載置する回転ステージ2の外縁部に、回転ステージ2と同軸かつ独立に回転可能なリングステージ20を備えており、このリングステージ20上に翼1aからなる翼列を配置したものである。図5に示される回転塗布装置を用いた塗布膜形成について以下に説明する。この場合、例えば前記と同様の手順に沿って被処理物Wを回転ステージ2に載置後、回転ステージ2が静止した状態で、塗布液の滴下、整流筒10の下降・載置が行われる。次に、図示しない回転駆動手段によりリングステージ20、従って、その上に配置された翼列が正転方向に回転(回転方向R2)もしくは、逆転方向に回転され、排気流量(逆転方向の回転によっては、吸気流量)が所定の値に安定化される。続いて、回転ステージ2が、得たい膜厚に応じて所定の回転速度で回転され、塗布処理が実施される。このように、本回転塗布装置によると、塗布処理に必要な回転数に依存することなく、独立に排気(吸気)流量を得ることが可能である。従って、異なる膜厚の塗布処理においても、終始一定の排気(吸気)流量を保持して塗布処理が可能であり、前記の回転ステージと翼列とが一体型の装置の場合に比して、膜厚分布の均一性が向上する膜厚範囲が拡大する。すなわち、膜厚に関する対応性能が向上する。なお、本装置において、回転ステージ2と、翼列を配したリングステージ20とを同期して回転すれば、前述の実施形態と同等の装置となる。また、図6に示されるように、翼1aをリングステージ20の裏面に配置することにより、塗布処理時に飛散した余分な塗布液が直接、翼列1aに付着することを防止可能であり、図5に示される装置と同様の効果を奏すると共にメンテナンス性の一層の向上を図ることができる。
【0022】
次に、本発明における翼列の迎え角調整機構の一実施形態を、図7を参照して説明する。迎え角θは、図7(a)に示されるように、翼形状の前縁点Aと後縁点Bとを結ぶ直線(翼弦)が翼1aからなる翼列1のピッチ円中心Oと前縁点Aとを結ぶ直線(流体の流れ方向)となす角度θとして定義される。翼列1を構成する各翼1aについて、この迎え角θを一括して変更するために、各翼1aは、各翼1aの下部中央において支軸12aにより回転ステージ2に回転自在に取り付けられている。また、回転ステージ2の外周には、回転ステージ2に外接して同軸に回転する連結リング11が設けられている。そして、各翼1aの後縁点Bの近傍下部に挿入固定された作用軸12bの一端が、連結リングに設けられた穴に回転自在に挿入され、支軸12aと翼1aと作用軸1bとによりリンク機構が構成されている。このような構成において、連結リング11を回転ステージ2に対して矢印X方向に回転・移動すると、前縁点Aは矢印Y方向に、また、後縁点Bは矢印Z方向に回転し、図7(c)に示されるように、迎え角がθ2に変化する。この変化は、リンク機構により全ての翼1aについて一斉に発生するため、翼列1の各翼1aについて、迎え角θを一括して変更することができる。以上、回転ステージ2に翼列1が設けられた場合について説明したが、回転ステージ2の替わりにリングステージ20としても、同様の内容となる。また、迎え角θを調整する機構については、本実施形態で示した一例に限定されるものではなく、翼列を構成する各翼の迎え角を一定に保ち、かつ調整可能な機構、機能に逸脱しない形態であればよい。
【0023】
上記のように、迎え角θを調整することができると、同じ回転速度、同じ翼数、同じ翼面積で構成された翼列において、迎え角θの調整により、排気流量だけを調整することが可能となる。従って、回転ステージと翼列とが一体型の回転塗布装置において、必要な膜厚に応じて回転ステージ2の回転速度が決定された場合にも、迎え角θを調整することにより、良好な膜厚均一性を得るために必要な排気流量を得ることができる。また、不適切な例として、翼列を構成する各翼について個々に異なる迎え角が設定されている場合、特に、被処理物を載置する回転ステージと翼列とが同期して回転する場合には、各翼間を通過する空気流量に差異が生じる上に、被処理物と各翼との相対位置が同期して一定であるため、被処理物直上周縁部に発生した不均一な排気流量分布が膜厚の均一性に悪影響を及ぼすことになる。この点、本発明における翼列の迎え角調整機構は、翼列を構成する各翼について、リンク機構により同一の迎え角を一括して与えることができるので、迎え角の乱れが発生することなく迎え角の調整が可能であり、膜厚均一性の良好な成膜ができる。
【0024】
なお、本発明は、上記構成に限られることなく種々の変形が可能である。例えば、上記では、翼の断面形状が一般的な「翼形状」について説明したが、単純な平板を翼として翼列に配置しても略同等の効果を奏する。また、本発明を説明する図は、全て、被処理物Wの平面形状が角型の基板について示されているが、シリコンウェーハ等の円形基板についても同様の効果を得て処理することができる。
【0025】
【発明の効果】
以上のように請求項1の発明によれば、被処理物の周縁を取囲むように円周上に配置した翼列が、被処理物を載置してある回転ステージと共に回転することによって、強制的、かつ均等に被処理物直上周縁の排気を行うことができるので、排気口の配置位置に依存した被処理物直上周縁部における排気流量分布の不均一性が発生せず、薄膜の膜厚均一性を向上することができる。
【0026】
請求項2の発明によれば、被処理物を載置した回転ステージとは独立に回転制御可能なリングステージ上の翼列により、前記請求項1記載の回転塗布装置と同様の効果が得られると共に、塗布処理に必要な回転数に依存することなく、独立に排気(吸気)流量を得ることが可能である。従って、異なる膜厚の塗布処理においても、一定の排気流量を保持して塗布処理が可能であり、膜厚分布の均一性が向上する膜厚範囲が拡大する。また、予め、翼列だけを排気回転方向に回転して排気流量が安定した後、被処理物表面への塗布処理(処理液滴下と回転)を行うことが可能であり、膜厚均一性の良好な成膜ができる。
【0027】
請求項3の発明によれば、回転ステージの周縁部又は外縁部に配置された翼列が、上部に吸気口を有した整流筒と下部に排気口を備えた処理容器からなる排気流路の途中に備えられているので、被処理物直上周縁部においてディフューザ効果により整流、安定化された排気流線を得ることが可能である。このため、塗布処理中に被処理物上から半径方向外側に向かう気流を淀むことなく安定して掃気することができ、膜厚均一性の良好な成膜ができる。
【0028】
請求項4の発明によれば、翼列を構成する各翼の迎え角を一括して調整することができるため、同じ回転速度、同じ翼数、同じ翼面積で構成された翼列において、排気流量だけを調整することが可能となる。必要な膜厚に応じて回転ステージ2の回転速度が決定された場合にも、迎え角を調整することにより、必要な排気流量を得て、膜厚均一性の良好な成膜ができる。また、各翼が失速状態にならぬような調整ができると共に、処理液条件や塗布膜形成条件に合わせた排気量及び排気流量分布の均等化を図って、膜厚均一性の良好な成膜ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による回転塗布装置の側方断面図。
【図2】(a)は図1におけるB1−B1矢視平面図、(b)は同平面図におけるB2−B2側方断面図。
【図3】同上回転塗布装置における翼列の斜視図。
【図4】本発明の他の実施形態による回転塗布装置(回転ステージ裏面に翼列を配置)の側方断面図。
【図5】本発明の他の実施形態による回転塗布装置(翼列が独立回転可能)の側方断面図。
【図6】本発明の他の実施形態による回転塗布装置(翼列が独立回転可能、翼列を裏面に配置)の側方断面図。
【図7】(a)は翼列の迎え角調整機構の一実施形態を示す上方平面図、(b)は同調整機構の側方断面図、(c)は迎え角を変化させた状態の同調整機構の上方平面図、(d)は同状態の同調整機構の側方断面図。
【図8】(a)は従来の回転塗布装置の上方平面図、(b)は同装置の側方断面図、(c)は同装置における被処理物から排気口に至る気流を説明する平面図。
【図9】従来の回転塗布装置において、回転ステージ上に配される気流制御体の斜視図。
【図10】従来の回転塗布装置の側方断面図。
【符号の説明】
1 翼列
1a 翼
2 回転ステージ
4 塗布膜
5a 上部処理容器(処理容器)
5b 下部処理容器(処理容器)
6 処理容器
8 排気口
9 外部強制排気
10 整流筒
20 リングステージ
W 被処理物
【発明の属する技術分野】
本発明は、シリコンウェーハ、フォトマスク用ガラス角基板、FPD(Flat Panel Display)用ガラス角基板等の平板状被処理物の表面に液状の樹脂材料やSOG(Spin on Glass)の薄膜を遠心力の作用により形成する回転塗布装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、レジストに代表される液状の樹脂材料やSOG(Spin on Glass)をシリコンウェーハ、フォトマスク用ガラス角基板、FPD用ガラス角基板等の被処理物表面に塗布して成膜する装置として、回転塗布装置が一般に使用されている。また、成膜において、例えばシリコンウェーハ上にエッチングマスク用のレジストを成膜する回転塗布装置では、後続工程の露光、現像、エッチング、剥離プロセス及び、要求されるエッチングパターンの線幅等に依存してレジスト膜厚が一義的に設定される。このため、使用するレジスト材料の粘度及び、分子量等の特性を考慮して、回転塗布装置の回転数、回転加速度及び処理時間が設定される。また、必要な膜厚を得るだけでなく、次プロセスが要求する膜厚均一性を向上させることは、製品歩留まりを向上させるうえで、重要な課題である。さらに、膜厚均一性の良好な領域を拡大させることは、製品の大型化対応、生産性の向上、生産コストの低減などに有効な手段である。
【0003】
回転塗布装置において、装置内に発生する気流が膜厚均一性に関係していると考えられる。例えば、上面が開口した円筒状容器内において、平板を水平面内で回転した場合、遠心力の作用により回転中心から半径方向を外側に向かう気流が平板上に発生する。このため、平板上回転中心部では、気圧が降下し、これを補うため回転中心上方から平板に向かう下降気流が発生する。同様の現象が回転塗布処理中のウェーハ表面上においても発生する。そして、塗布液の状態がウェットな初期の段階において、ウェーハ表面上を回転中心から半径方向外側に向かう不均一な気流の影響を受けるため、膜厚均一性が悪化する問題がある。
【0004】
従来から、この種の回転塗布装置では、処理中にウェーハ表面上を回転中心から半径方向外側に向かう気流を、ウェーハ上で淀むことなく安定して掃気する種々の工夫がなされている。例えば、図8(a)に示される装置では、上部処理容器5aと下部処理容器5bからなる処理容器6の中央にベアリングBで回転自在に支持された回転ステージ2が設けられ、その上に被処理物Wが位置決めピン3により保持・載置された構成において、回転ステージ2の側方から下部にかけて設けた排気流路と下部処理用器5bの底部に設けた排気口8を用いて、塗布膜上面の気体を外部強制排気9するようになっている。この排気口8の配置は、円周方向における排気均一性の向上/安定化のために、図8(a)(b)に示されるように、同一円周上に同じピッチを有して対称的であり、排気口8の外部強制排気9は、個々に細かく排気流量調整される。さらに、処理用器6に流入する気流を安定させるため、上部処理容器5aの上部には整流筒10及び、略十字形状の開口を有する整流板10bが設けられている。この整流板10bは、円周方向の開口面積を操作することにより処理容器に流入する気流量を均一に制御するため、開口の大きな十字型凸部開口の部分を排気口8に面しない角度位置に向けて配置されている。この配置は、被処理物Wの周縁部における排気流量分布に対し、排気口8の配置位置の影響を打ち消すものである。
【0005】
また、処理容器内で生じる気流を安定排気する他の例として、図9及び図10に示されるように、複数の門型スリット14を穿設した側壁と、中心部に被処理物Wの対角寸法より大きな直径の円形開口16を有する天板15とからなる気流制御体17を回転ステージ2の周縁部に一体化して設けたものがしられている。この気流制御体17は、回転ステージ2と共に回転することにより、処理容器21内において排気口8を通して排気ファン20により排気するとき回転ステージの外側における処理容器内に生じる渦気流を抑止して、被処理物W上の塗布膜4の厚均一性の向上を図るものである(特公平05−012990号公報参照)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、レジストに代表される塗布液の塗布プロセスにおける塗布膜厚の面内均一性の要求精度は、エッチングパターンの線幅微細化等に伴い、これまで以上に高くなり、前記したような排気口複数化等による排気均一性の改善は、物理的(空間的)な限界に達しつつある。例えば、前記の図8に示す処理容器6の下部には、ステージを回転する図示されない電動機やその動力を出力軸に伝達する機構等を配する必要があり、排気口8に接続する比較的口径の大きな配管を電動機及び動力伝達機構に隣接して配置することは物理的に不可能である。また、有限個の排気口では、被処理物周縁部の排気流量を完全に均等にできないことが想像できる。また、前記図9の気流制御体17を用いる従来手法は、回転ステージの回転によって、回転ステージの外側における処理容器内に生じる渦気流を抑止するものであり、被処理物上に発生する半径方向の気流を均等分散化するためには何ら効果がない。また、気流制御体17を用いるこの従来法は、処理容器底部に配置されている有限個の排気口の配置位置に依存する排気不均一性を解消できない。
【0007】
本発明は、上記の課題を解消するものであって、シリコンウェーハ、フォトマスク用ガラス角基板、FPD用ガラス角基板等の平板状被処理物表面に液状材料の塗布膜を遠心力の作用により形成する回転塗布装置において、被処理物直上周縁部における排気の均等化を図り、もって、前記塗布膜の面内膜厚均一性の向上が可能な回転塗布装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を達成するために、請求項1の発明は、回転ステージに載置した平板状被処理物の表面に塗布液を滴下し、前記回転ステージと共に前記被処理物を該被処理物の中心軸回りに高速回転して生じた遠心力により前記被処理物の表面に前記塗布液を広げて薄膜を形成する回転塗布装置において、前記回転ステージが、前記回転ステージの端縁部であって該回転ステージの回転軸と同軸の円周上に、前記回転ステージの回転に伴い該回転ステージの中心から端縁部に向かう気流を発生させる翼列を前記被処理物に干渉しないように備えたものである。
【0009】
上記構成の回転塗布装置においては、被処理物を載置した回転ステージが高速回転することによって生じる自然発生的な気流とは別に、被処理物の周縁を取囲むように円周上に配置した翼列が、被処理物を載置してある回転ステージと共に回転することによって、中心から端縁部に向かう気流を発生させ、強制的、かつ均等に被処理物直上周縁の排気を行うことができるので、排気口の配置位置に依存した被処理物直上周縁部における排気流量分布の不均一性が発生せず、形成した薄膜の膜厚均一性を向上することができる。
【0010】
請求項2の発明は、回転ステージに載置した平板状被処理物の表面に塗布液を滴下し、前記回転ステージと共に前記被処理物を該被処理物の中心軸回りに高速回転して生じた遠心力により前記被処理物の表面に前記塗布液を広げて薄膜を形成する回転塗布装置において、前記回転ステージの外縁部に、該回転ステージと同軸かつ独立に回転可能であって、回転に伴い前記回転ステージの中心から外縁部に向かう気流を発生させる翼列が前記被処理物に干渉しないように配置されたリングステージを備えたものである。
【0011】
上記構成の回転塗布装置においては、被処理物を載置した回転ステージとその外縁部に備えたリングステージ上の翼列とは、それぞれ独立に回転制御可能であり、両者を同期して同一回転方向に回転できるので、前記請求項1記載の回転塗布装置と同様の効果を奏する。また、請求項1記載の回転塗布装置では、被処理物を載置した回転ステージに対して常に翼列が同期して回転する構成であるが、請求項2記載の回転塗布装置の構成においては、翼列の内側に配した被処理物の回転速度とは独立に翼列を回転させることができるので、例えば、予め翼列だけを排気回転方向に回転して排気流量が安定した後、被処理物表面への塗布処理(処理液滴下と回転)を行うこと等が可能となり、膜厚均一性の良好な成膜ができる。
【0012】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2記載の回転塗布装置において、回転ステージの上方に配置され、被処理物の外形に近似した略円形状の吸気口を有した整流筒と、前記回転ステージの外周側方に配置され、該回転ステージを囲繞すると共に上部が前記整流筒に接続され、下部に排気口を有した略軸対称の処理容器とを備え、前記回転ステージに備えられ、又は前記回転ステージとは独立の前記リングステージに配置された前記翼列は、前記処理容器内面と前記回転ステージとの間隙に位置するものである。
【0013】
上記構成の回転塗布装置においては、回転ステージの周縁部又は外縁部に配置された翼列が、上部に吸気口を有した整流筒と下部に排気口を備えた処理容器からなる排気流路の途中に備えられているので、被処理物直上周縁部においてディフューザ効果により整流、安定化された排気流線を得ることが可能となり、膜厚均一性の良好な成膜ができる。
【0014】
請求項4の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の回転塗布装置において、翼列を構成する各翼の迎え角を等しい角度に調整する機構を有するものである。
【0015】
上記構成の回転塗布装置においては、翼列を構成する各翼の迎え角を等しい角度に調整する機構を用いて翼列の迎え角を調整できるので、被処理物周縁部での排気流速の変更や、各翼が失速状態にならぬような調整を行い、処理液条件や塗布膜形成条件に合わせた排気量及び排気流量分布の均等化を図って、膜厚均一性の良好な成膜ができる。
【0016】
【発明の実施形態】
以下、本発明の一実施形態に係る回転塗布装置について、図1乃至図3を参照して説明する。図面中の共通する部材には同一符号を付して重複説明を省略する。また、図面中の黒い矢印の集まりは気流を示すものである。回転塗布装置は、図1に示されるように、略軸対称の構造をしており、上部処理容器5aと下部処理容器5bとからなる処理容器6の中央に、ベアリングBで回転自在に支持された回転ステージ2を有し、上部処理容器5aの開口部上部には、昇降自在に配される整流筒10を備えている。本装置の運転時には、整流筒10の上方から空気が流入して、回転ステージ2の側方を通過し、下部処理容器5bの底部に設けられた排気口8から、図示しない排気ポンプ等により排気される。また、下部処理容器5bの底部には廃液回収口7が設けられており、ここから塗布液が回収処理される。回転ステージ2は、下部のステージ支持部2bを介して、図示しない回転駆動機構に接続され、例えば矢印Rの方向に回転される。また、図2(a)に示されるように、回転ステージ2の上面には複数の位置決めピン3が有り、例えば被処理物Wが矩形基板の場合、これらが基板の4隅を支えて回転時にこれを保持する。
【0017】
また、回転ステージ2の端縁部上面には、回転ステージ2の回転軸と同軸の円周上に複数の翼1bを配列して成る翼列1が設けられている(図3)。この翼列1は、図2(a)(b)に示されるように、回転ステージ2の回転に伴い回転ステージ2の回転中心から半径方向を外側に向かって気流が発生するように、予め迎え角(後述)が調整されている。そして、端縁部に向かう気流により、被処理物Wの表面上の空気は、淀むことなく安定して掃気される。
【0018】
本回転塗布装置を用いた塗布膜形成について以下に説明する。まず、整流筒10が図示されない昇降機構により上昇される。被処理物Wが、上部処理容器5aの上面に形成された開口を通して、ロボットハンド(図示なし)により回転ステージ2上に中心軸を一致させて載置されると共に、位置決めピン3により支持される。次に、回転ステージ2が静止した状態で、塗布液が被処理物W上面中心部に、図示されない塗布液供給手段により滴下される。塗布液供給手段が被処理物W上面より待避後、整流筒10が下降し、上部処理容器5a上面に載置されると、回転ステージ2が所定の回転速度で、図示されない電動機及びその動力を出力軸に伝達する機構によって回転し、薄膜形成(塗布処理)が行われる。塗布液供給手段の構成によっては、整流筒10の上方から塗布液の吐出部を被処理物W上面まで近接し、塗布液を滴下することも可能である。この場合、予め、塗布液が遠心力で広がる程度の低い回転速度で回転ステージ2を回転させつつ塗布液を滴下し、吐出部を待避後、所定の回転速度で塗布処理を行ってもよい。塗布処理中において、被処理物W上面の気流は、回転ステージ2周縁部に配される翼列1の作用により、常に回転中心から半径方向を外側に向かって流れる。少なくとも、被処理物Wが配置されている、翼列1の内側の領域において、排気口8の配置位置の影響を受けて気流が乱れることはない。従って、この翼列1を用いることにより、塗布処理中の被処理物Wの直上周縁部における排気流量を均等に分散させ、安定化することができ、塗布膜厚分布の均一性が向上する。
【0019】
塗布処理中において、被処理物Wに塗布されなかった余分な塗布液は、遠心力により各翼1aの間隙を通過して、処理容器6内側面に飛来・付着し、内側面を伝って処理容器底部に設けられた廃液回収口7に集液されて排出される。従って、排気中に含まれるミスト状の塗布液を、排気口8の手前で分離・回収することができる。このように、排気流が処理容器から排出される過程で、液状物質(ミスト状)を分離・回収することにより、排気口8以降に配される気液分離用トラップを簡略化することができると共に、メンテナンスに要する時間やコストを節約することができる。また、翼列1を構成する材料として撥水性に富む材質を使用することにより、各翼1aが塗布液の付着により汚染されることを抑制することができる。
【0020】
次に、本発明の他の実施形態に係る回転塗布装置について、図4乃至図6を参照して説明する。上述の回転塗布装置においては、翼列1は回転ステージ2の上面に設けられていたが、図4に示されるように、回転ステージ2の周縁部下面に翼列1を配置しても同様の効果が奏される。この場合、塗布処理中に飛散した塗布液が翼列1に直接、付着することがなく、メンテナンス性の一層の向上が期待される。
【0021】
また、図5及び図6に示される回転塗布装置は、被処理物Wを載置する回転ステージ2の外縁部に、回転ステージ2と同軸かつ独立に回転可能なリングステージ20を備えており、このリングステージ20上に翼1aからなる翼列を配置したものである。図5に示される回転塗布装置を用いた塗布膜形成について以下に説明する。この場合、例えば前記と同様の手順に沿って被処理物Wを回転ステージ2に載置後、回転ステージ2が静止した状態で、塗布液の滴下、整流筒10の下降・載置が行われる。次に、図示しない回転駆動手段によりリングステージ20、従って、その上に配置された翼列が正転方向に回転(回転方向R2)もしくは、逆転方向に回転され、排気流量(逆転方向の回転によっては、吸気流量)が所定の値に安定化される。続いて、回転ステージ2が、得たい膜厚に応じて所定の回転速度で回転され、塗布処理が実施される。このように、本回転塗布装置によると、塗布処理に必要な回転数に依存することなく、独立に排気(吸気)流量を得ることが可能である。従って、異なる膜厚の塗布処理においても、終始一定の排気(吸気)流量を保持して塗布処理が可能であり、前記の回転ステージと翼列とが一体型の装置の場合に比して、膜厚分布の均一性が向上する膜厚範囲が拡大する。すなわち、膜厚に関する対応性能が向上する。なお、本装置において、回転ステージ2と、翼列を配したリングステージ20とを同期して回転すれば、前述の実施形態と同等の装置となる。また、図6に示されるように、翼1aをリングステージ20の裏面に配置することにより、塗布処理時に飛散した余分な塗布液が直接、翼列1aに付着することを防止可能であり、図5に示される装置と同様の効果を奏すると共にメンテナンス性の一層の向上を図ることができる。
【0022】
次に、本発明における翼列の迎え角調整機構の一実施形態を、図7を参照して説明する。迎え角θは、図7(a)に示されるように、翼形状の前縁点Aと後縁点Bとを結ぶ直線(翼弦)が翼1aからなる翼列1のピッチ円中心Oと前縁点Aとを結ぶ直線(流体の流れ方向)となす角度θとして定義される。翼列1を構成する各翼1aについて、この迎え角θを一括して変更するために、各翼1aは、各翼1aの下部中央において支軸12aにより回転ステージ2に回転自在に取り付けられている。また、回転ステージ2の外周には、回転ステージ2に外接して同軸に回転する連結リング11が設けられている。そして、各翼1aの後縁点Bの近傍下部に挿入固定された作用軸12bの一端が、連結リングに設けられた穴に回転自在に挿入され、支軸12aと翼1aと作用軸1bとによりリンク機構が構成されている。このような構成において、連結リング11を回転ステージ2に対して矢印X方向に回転・移動すると、前縁点Aは矢印Y方向に、また、後縁点Bは矢印Z方向に回転し、図7(c)に示されるように、迎え角がθ2に変化する。この変化は、リンク機構により全ての翼1aについて一斉に発生するため、翼列1の各翼1aについて、迎え角θを一括して変更することができる。以上、回転ステージ2に翼列1が設けられた場合について説明したが、回転ステージ2の替わりにリングステージ20としても、同様の内容となる。また、迎え角θを調整する機構については、本実施形態で示した一例に限定されるものではなく、翼列を構成する各翼の迎え角を一定に保ち、かつ調整可能な機構、機能に逸脱しない形態であればよい。
【0023】
上記のように、迎え角θを調整することができると、同じ回転速度、同じ翼数、同じ翼面積で構成された翼列において、迎え角θの調整により、排気流量だけを調整することが可能となる。従って、回転ステージと翼列とが一体型の回転塗布装置において、必要な膜厚に応じて回転ステージ2の回転速度が決定された場合にも、迎え角θを調整することにより、良好な膜厚均一性を得るために必要な排気流量を得ることができる。また、不適切な例として、翼列を構成する各翼について個々に異なる迎え角が設定されている場合、特に、被処理物を載置する回転ステージと翼列とが同期して回転する場合には、各翼間を通過する空気流量に差異が生じる上に、被処理物と各翼との相対位置が同期して一定であるため、被処理物直上周縁部に発生した不均一な排気流量分布が膜厚の均一性に悪影響を及ぼすことになる。この点、本発明における翼列の迎え角調整機構は、翼列を構成する各翼について、リンク機構により同一の迎え角を一括して与えることができるので、迎え角の乱れが発生することなく迎え角の調整が可能であり、膜厚均一性の良好な成膜ができる。
【0024】
なお、本発明は、上記構成に限られることなく種々の変形が可能である。例えば、上記では、翼の断面形状が一般的な「翼形状」について説明したが、単純な平板を翼として翼列に配置しても略同等の効果を奏する。また、本発明を説明する図は、全て、被処理物Wの平面形状が角型の基板について示されているが、シリコンウェーハ等の円形基板についても同様の効果を得て処理することができる。
【0025】
【発明の効果】
以上のように請求項1の発明によれば、被処理物の周縁を取囲むように円周上に配置した翼列が、被処理物を載置してある回転ステージと共に回転することによって、強制的、かつ均等に被処理物直上周縁の排気を行うことができるので、排気口の配置位置に依存した被処理物直上周縁部における排気流量分布の不均一性が発生せず、薄膜の膜厚均一性を向上することができる。
【0026】
請求項2の発明によれば、被処理物を載置した回転ステージとは独立に回転制御可能なリングステージ上の翼列により、前記請求項1記載の回転塗布装置と同様の効果が得られると共に、塗布処理に必要な回転数に依存することなく、独立に排気(吸気)流量を得ることが可能である。従って、異なる膜厚の塗布処理においても、一定の排気流量を保持して塗布処理が可能であり、膜厚分布の均一性が向上する膜厚範囲が拡大する。また、予め、翼列だけを排気回転方向に回転して排気流量が安定した後、被処理物表面への塗布処理(処理液滴下と回転)を行うことが可能であり、膜厚均一性の良好な成膜ができる。
【0027】
請求項3の発明によれば、回転ステージの周縁部又は外縁部に配置された翼列が、上部に吸気口を有した整流筒と下部に排気口を備えた処理容器からなる排気流路の途中に備えられているので、被処理物直上周縁部においてディフューザ効果により整流、安定化された排気流線を得ることが可能である。このため、塗布処理中に被処理物上から半径方向外側に向かう気流を淀むことなく安定して掃気することができ、膜厚均一性の良好な成膜ができる。
【0028】
請求項4の発明によれば、翼列を構成する各翼の迎え角を一括して調整することができるため、同じ回転速度、同じ翼数、同じ翼面積で構成された翼列において、排気流量だけを調整することが可能となる。必要な膜厚に応じて回転ステージ2の回転速度が決定された場合にも、迎え角を調整することにより、必要な排気流量を得て、膜厚均一性の良好な成膜ができる。また、各翼が失速状態にならぬような調整ができると共に、処理液条件や塗布膜形成条件に合わせた排気量及び排気流量分布の均等化を図って、膜厚均一性の良好な成膜ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による回転塗布装置の側方断面図。
【図2】(a)は図1におけるB1−B1矢視平面図、(b)は同平面図におけるB2−B2側方断面図。
【図3】同上回転塗布装置における翼列の斜視図。
【図4】本発明の他の実施形態による回転塗布装置(回転ステージ裏面に翼列を配置)の側方断面図。
【図5】本発明の他の実施形態による回転塗布装置(翼列が独立回転可能)の側方断面図。
【図6】本発明の他の実施形態による回転塗布装置(翼列が独立回転可能、翼列を裏面に配置)の側方断面図。
【図7】(a)は翼列の迎え角調整機構の一実施形態を示す上方平面図、(b)は同調整機構の側方断面図、(c)は迎え角を変化させた状態の同調整機構の上方平面図、(d)は同状態の同調整機構の側方断面図。
【図8】(a)は従来の回転塗布装置の上方平面図、(b)は同装置の側方断面図、(c)は同装置における被処理物から排気口に至る気流を説明する平面図。
【図9】従来の回転塗布装置において、回転ステージ上に配される気流制御体の斜視図。
【図10】従来の回転塗布装置の側方断面図。
【符号の説明】
1 翼列
1a 翼
2 回転ステージ
4 塗布膜
5a 上部処理容器(処理容器)
5b 下部処理容器(処理容器)
6 処理容器
8 排気口
9 外部強制排気
10 整流筒
20 リングステージ
W 被処理物
Claims (4)
- 回転ステージに載置した平板状被処理物の表面に塗布液を滴下し、前記回転ステージと共に前記被処理物を該被処理物の中心軸回りに高速回転して生じた遠心力により前記被処理物の表面に前記塗布液を広げて薄膜を形成する回転塗布装置において、
前記回転ステージが、前記回転ステージの端縁部であって該回転ステージの回転軸と同軸の円周上に、前記回転ステージの回転に伴い該回転ステージの中心から端縁部に向かう気流を発生させる翼列を前記被処理物に干渉しないように備えていることを特徴とする回転塗布装置。 - 回転ステージに載置した平板状被処理物の表面に塗布液を滴下し、前記回転ステージと共に前記被処理物を該被処理物の中心軸回りに高速回転して生じた遠心力により前記被処理物の表面に前記塗布液を広げて薄膜を形成する回転塗布装置において、
前記回転ステージの外縁部に、該回転ステージと同軸かつ独立に回転可能であって、回転に伴い前記回転ステージの中心から外縁部に向かう気流を発生させる翼列が前記被処理物に干渉しないように配置されたリングステージを備えていることを特徴とする回転塗布装置。 - 回転ステージの上方に配置され、被処理物の外形に近似した略円形状の吸気口を有した整流筒と、
前記回転ステージの外周側方に配置され、該回転ステージを囲繞すると共に上部が前記整流筒に接続され、下部に排気口を有した略軸対称の処理容器とを備え、
前記回転ステージに備えられ、又は前記回転ステージとは独立の前記リングステージに配置された前記翼列は、前記処理容器内面と前記回転ステージとの間隙に位置することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の回転塗布装置。 - 翼列を構成する各翼の迎え角を等しい角度に調整する機構を有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の回転塗布装置。
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2019165040A (ja) * | 2018-03-19 | 2019-09-26 | 株式会社リコー | 酸化インジウムを含む膜の製造方法、及び電界効果型トランジスタの製造方法 |
JP7357111B1 (ja) | 2022-05-17 | 2023-10-05 | セメス株式会社 | 基板処理装置 |
-
2002
- 2002-07-05 JP JP2002197377A patent/JP2004039977A/ja not_active Withdrawn
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