JP2004039787A - インダクタ - Google Patents

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Abstract

【課題】回路の共振特性をなくして高周波雑音により生ずる波形歪みを低減したインダクタを提供する。
【解決手段】軟磁性材料により開磁路を形成し、該開磁路に巻線を卷回させてなるインダクタに複素比誘電率が周波数により変化する軟磁性材料を用いる。該軟磁性材料は、前記巻線に流れる電気信号の周波数より高周波領域において、その複素比誘電率の虚数部が実数部より大である。具体的には、前記軟磁性材料は、比抵抗が150Ωm以上であって、その複素比誘電率の実数部が1KHzにおいて1,000以上、かつ20,000以下、1MHzにおいて50以下であると共に、1MHzにおいてその複素比誘電率の虚数部が実数部より大である。又、前記軟磁性材料は、巻線に流れる電気信号の周波数が1MHzにおいて、その複素比誘電率の虚数部と実数部との比が1以上である。
【選択図】 図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インダクタに関し、特に高周波領域で使用して有効なインダクタに関する。
【0002】
【従来の技術】
電子機器の雑音を低減することは、電子機器が小型化、高性能化されるに従って、ますます重要になってきている。係る雑音を低減するために各種のインダクタが使用されている。大電流が流れ、比較的低周波の用途には、飽和磁束密度の大きな鉄系圧粉磁心や、アモルファス磁心が用いられ、その形状は主にトロイダル形状である。一方、高周波の用途には、比抵抗の大きい、Ni−Znフェライト(10〜10Ωm)が磁心として使用されている。
【0003】
一方、近年のように、電子機器が高性能化、高周波化される中で、高周波インダクタの需要も高まっている。又、比抵抗が大きい為に磁心に巻線を直接卷回できる点も前記Ni−Znフェライトが好まれる理由である。しかし、係るNi−Znフェライトは、飽和磁束密度が小さいために閉磁路で使用されることがあまりなく、開磁路であるドラム形状、ロッド形状の磁心として使用されることが多い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
高周波帯域向けのインダクタには、上述したNi−Znフェライトが用いられている。しかし、Ni−Znフェライトは、原料にNiを含むために専用の製造プロセスを必要とする等の経済的及び製造技術的問題点がある。これに対して、安価で良好な特性を有するソフトフェライトにMn−Znフェライトがあるが、一般的なMn−Znフェライトにおける比抵抗は、比抵抗が0.1〜1Ωmと低く、低周波から渦電流損が増大して使用できる周波数も数百 kHz程度が限界である。又、これを超える周波数領域では透磁率(初透磁率)が著しく低下して、軟磁性材料としての特性を全く失ってしまう、という問題があった。又、比抵抗が低いことに起因する絶縁不良を防止する為に、カバーや、絶縁皮膜のコーティングが必要になり、磁心に巻線を直接卷回できないために価格が上昇する欠点があり、その用途は大幅に限られている。
【0005】
一般に、インダクタの等価回路は、簡易的に抵抗成分R、誘導性リアクタンスLの直列等価回路で表されるが、より詳しくは図5に示すように、誘導性リアクタンスLとその抵抗成分R1及び容量性リアクタンスCとその抵抗成分R2に置き換えられたものとの直並列回路にて表される。ここで、容量性リアクタンスCは巻線間の浮遊容量とコア−巻線間の浮遊容量から成る。誘導性リアクタンスLの抵抗成分R1は、巻線抵抗による銅損と磁心の磁気損失による抵抗から成る。一方、容量性リアクタンスCの抵抗成分R2はコア−巻線間の電気結合から生じる損失(後述するがこれは誘電損失に依存する)から成る。このような等価回路のために、インダクタの周波数特性は、LC共振を生じ、上に凸なインピーダンス特性を示す。
【0006】
前記インダクタのLC共振の鋭さを示す指標として周知のQ値がある。係るQ値が大きいほど鋭く共振し、小さいほど鈍い共振特性となる。それぞれ使用される電子回路の環境に応じて適切なQ値を有するインダクタが使用されているが、近年の電子機器の高周波化、ディジタル化の流れにより、高周波ノイズを抑制できるインダクタの重要性が増している。又、伝送信号波形を歪ませることなく、ノイズ成分を効率的に吸収するノイズ対策部品への要求も高まっている。
【0007】
一方、Q値が大きく、インダクタのインピーダンスが鋭く共振してしまうと、インダクタンスが周波数によって急激に変化したり、更にそれがノイズの発生源となったりして、伝送信号を歪ませる原因となる場合があり好ましくない。従って、前述のような鋭い共振を伴なわず、高周波において使用可能なインダクタが望まれている。
【0008】
上述のように、Mn −Zn フェライトのような軟磁性材料を用いた磁気コアは、安価であり、かつ良好な特性を有するものの、その比抵抗が非常に小さいために低周波から渦電流損が増大して使用できる周波数も数百 kHz程度が限界で高周波において使用することができず、又、比抵抗が低いことに起因する絶縁不良を防止する為に、カバーや、絶縁皮膜のコーティングが必要になり、磁心に巻線を直接卷回できなかった。これに対して、本発明者等はFe組成を50.0 mol%未満とし、かつTiOおよびSnOのうち1種以上を適量含有させることにより比抵抗を著しく高めることが出来るMn−Znフェライトを特許第3108803号、特許第3108804号等において明らかにした。
【0009】
しかしながら、単に高比抵抗のフェライトを磁心に用いるだけでは、伝送信号波形に悪影響を及ぼすことなく、ノイズ抑制を行なえるインダクタを提供することはできない。Ni−Znフェライトがこれに該当する。このNi−Znフェライトを磁心に用いた場合、実用特性であるインピーダンス特性が鋭く共振した特性を提示する。
【0010】
前述のように、従来用いられているNi−Znフェライトを開磁路の磁心に用いた場合、Q値が大きく、インダクタのインピーダンスが鋭く共振する。前記Q値は、インダクタ部品の損失成分に反比例する。一方、磁心の損失成分としては、前述のように磁気損失と誘電損失(複素比誘電率の虚数部と実数部の比)があり、又、巻線の損失としては巻線抵抗がある。これらの成分の内、材料特性に依存する磁気損失と誘電損失が前記Ni−Znフェライトでは小さいために、その結果Q値が大きくなり、インダクタのインピーダンスが鋭く共振し易い。従って、このような共振を伴なわず、かつ、Ni−Znフェライトを用いた場合と同様、高周波において使用可能なインダクタが望まれている。
【0011】
本発明の第1の目的は、前記問題を解決して、安価なMn −Zn フェライトの比抵抗を著しく高めることにより、従来のNi−Znフェライトと同等の高周波特性を得ると共に、磁心に巻線を直接卷回できるインダクタを提供することである。又、本発明の第2の目的は、伝送信号波形に悪影響を及ぼすことなく、ノイズ抑制を行なえるインダクタを提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するために請求項1記載のインダクタでは、軟磁性材料により開磁路を形成し、該開磁路に巻線を卷回させてなるインダクタにおいて、前記軟磁性材料は、その複素比誘電率が周波数により変化し、高周波領域において、その複素比誘電率の虚数部が実数部より大であることを特徴とする。
【0013】
請求項2記載のインダクタでは、請求項1に記載のインダクタにおいて、前記軟磁性材料は、比抵抗が150Ωm以上であって、その複素比誘電率の実数部が1kHzにおいて1,000以上、かつ20,000以下、1MHzにおいて50以下であると共に、1MHzにおいてその複素比誘電率の虚数部が実数部より大であることを特徴とする。
【0014】
請求項3記載のインダクタでは、請求項1に記載のインダクタにおいて、前記軟磁性材料は、周波数が1MHzにおいて、その複素比誘電率の虚数部と実数部との比が1以上であることを特徴とする。
【0015】
請求項4記載のインダクタでは、請求項1に記載のインダクタにおいて、前記軟磁性材料は、その基本成分組成が、Fe 44.0〜50.0 mol%(ただし、50.0mol%は除く)、 ZnO 4.0〜26.5 mol%、TiOおよびSnOのうちの何れか一方または両方が 0.1〜8.0mol%、残部 MnOの材料組成を有することを特徴とするMn−Zn フェライトであることを特徴とする。
【0016】
請求項5記載のインダクタでは、請求項1に記載のインダクタにおいて、前記軟磁性材料は、その基本成分組成が、Fe 44.0〜50.0 mol%(ただし、50.0mol%は除く)、 ZnO 4.0〜26.5 mol%、TiOおよびSnOのうちの何れか一方または両方が 0.1〜8.0mol%、 CuO 0.1〜16.0 mol%、残部 MnOの材料組成を有することを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
上述のように、フェライトのような軟磁性材料を用いた磁気コアは、単に磁気的性質のみでなく、誘電的性質も持っており、更にその複素比誘電率は周波数により変化する。従って、インピーダンスZは複素比誘電率εの影響を受ける。以下、前記軟磁性材料を用いた磁気コアを透磁率μのみではなく、複素比誘電率εも考慮して述べる。前記複素透磁率μと磁気損失(tanδ)、及び複素比誘電率εと誘電損失(tanδ)を以下のように定義する。
μ=μ’−jμ”              (1)
tanδ=μ”/μ’          (2)
ここで、μ’は複素比誘電率μの実数部、μ”は、複素比誘電率μの虚数部である。
ε=ε’−jε”              (3)
tanδ=ε”/ε’          (4)
ここで、ε’は複素比誘電率εの実数部、ε”は、複素比誘電率εの虚数部である。
【0018】
図5の等価回路図にて誘導性リアクタンスLはμ’に比例し、その抵抗成分R1はμ”に比例する。一方、巻線とコア間の電気結合はコアの誘電率に依存する。この内、複素比誘電率εの実数部ε’は巻線とコア間の容量性リアクタンスCとなる。一方で、容量性リアクタンスの抵抗成分R2においては以下のように考えることが出来る。
複素比誘電率εの虚数部ε”は抵抗成分として作用する。即ち、ε”は誘電損失に依存する抵抗成分であると考え、等価回路でR2として記載出来る。
μ’及びμ”が同等の特性を有する材料であっても誘電的性質が異なれば、インピーダンス特性(Q値)も変化する。誘電損失(tanδ)が大きい軟磁性材料は図5のR2が増加し、回路のQ値を下げる働きをし、結果、インピーダンス特性が鋭く共振しない。
【0019】
従来のMn −Zn フェライトは誘電損失(tanδ)が大きい為、インピーダンス特性が鋭く共振しない。しかし、先述したように比抵抗が非常に小さいために低周波から渦電流損が増大して使用できる周波数も数百 kHz程度が限界で高周波において使用することができない。更に複素比誘電率の実数部は低周波(1kHz)から高周波(1MHz)まで、20,000より大きな略一定の値、或いは、その値が変化する場合であっても1桁程度の変化である。その為、低周波にて初透磁率が共鳴を起こしてしまう。
更に従来のNi−Znフェライト及びMg−Znフェライトは複素比誘電率の実数部は低周波(1kHz)から高周波(1MHz)まで、20程度の略一定の値、或いは、その値が変化する場合であっても1桁程度の変化である。その為、高周波にて使用する事が出来る。しかし、先述したように誘電損失(tanδ)が小さい為、インピーダンス特性が鋭く共振してしまう。
発明者らは、複素比誘電率の実数部が低周波(1kHz)から高周波(1MHz)にかけて著しく減少するような軟磁性材料は高周波域にて誘電損失(tanδ)が1以上となる事を見出し、更にこの軟磁性材料により開磁路を形成し、該開磁路に巻線を卷回させてなるインダクタはインピーダンスが鋭く共振しない事、更に1MHzにおける複素比誘電率の実数部が小さいため高周波においても良好な特性を得る事が出来る事を見出した。
【0020】
本発明は、前記誘電損失(tanδ)が周波数により変化し、高周波領域において、その複素比誘電率の虚数部が実数部より大になる作用を用いている。即ち、本発明の軟磁性材料は、複素比誘電率の実数部に依存する容量性リアクタンスCをもち、その複素比誘電率が周波数により変化し、その複素比誘電率の実数部が高周波で著しく低下し、その結果、高周波領域において虚数部が実数部より大になり、容量性リアクタンスの抵抗成分R2に影響を与える。
【0021】
以下、実施例1と実施例2について説明する。図1は、本発明の実施形態である実施例1と実施例2の軟磁性材料を用いた磁気コアと、比較のために用いる軟磁性材料を用いた磁気コアの基本成分組成(単位はmol%)である。図1において、符号S1が実施例1、符号S2が実施例2、符号S3、S4、S5が比較のために用いる軟磁性材料のそれぞれ基本成分組成(単位はmol%)である。以下、符号S1、S2、S3、S4、S5をそれぞれ試料1、試料2、試料3、試料4、試料5と称す。
【0022】
以下の実施例では、使用する信号の周波数を10MHz以下とする。又、比抵抗ρは、信号ライン、電源ラインなどのケーブルに印加される電圧により決定されるが、通常使用される用途における電圧の範囲で問題のない比抵抗ρの範囲で決定し、本発明で使用する軟磁性材料は、従来のMn −Znフェライトに比べて10倍程度の著しく大きな抵抗を有することを特徴としており、0.15Ωm×10すなわちρ=150Ωmとなる。前記条件において、軟磁性材料のその複素比誘電率の実数部が1kHzにおいて1,000以上、かつ20,000以下、1MHzにおいて50以下であると共に、1MHzにおいてその複素比誘電率の虚数部が実数部より大となるように基本成分組成を定めた。
【0023】
【実施例1】
試料1の基本成分組成は、図1の符号S1に示す軟磁性材料のように、Fe 44.0〜50.0 mol%(ただし、50.0mol%は除く)、 ZnO 4.0〜26.5 mol%、TiOおよびSnOのうちの何れか一方または両方が 0.1〜8.0mol%、残部 MnOの材料組成の範囲から、Fe 47.0 mol%、ZnO 10.5 mol%、TiO2 1.0mol%、MnO 41.5 mol%とした場合である。
【0024】
予め主成分としてのFe 、ZnO 、TiOおよびMnO の各原料粉末を前記図2に示した所定の比率となるように秤量し、これらをボールミルにて混合して混合粉末を得、次に、この混合粉末を大気中900 ℃で2時間、仮焼成する。次にボールミルにて平均粉体粒径がおよそ1.4μmになるまで微粉砕する。
【0025】
更に、この混合粉末にポリビニルアルコールを添加して造粒し、80MPa の圧力を加えてトロイダル形状、ロッド形状並びにペレット(円板)形状(誘電率測定用)の磁心にする。トロイダル形状の磁心は、例えば、焼き上がりで外径15mm、内径8mm、高さ3mmである。又、ロッド形状の磁心は、焼き上がりで外径10mm、高さ24mmである。又、ペレット形状の磁心は、焼き上がりで外径10mm、高さ3mmである。その後、窒素を流入して酸素分圧を制御した雰囲気中、1,150℃で3時間焼成する。
【0026】
【実施例2】
試料2の基本成分組成は、図1の符号S2に示す軟磁性材料のように、Fe 44.0〜50.0 mol%(ただし、50.0mol%は除く)、 ZnO 4.0〜26.5 mol%、TiOおよびSnOのうちの1種または2種 0.1〜8.0mol%、 CuO 0.1〜16.0 mol%、残部 MnOの材料組成の範囲から、Fe 47.0 mol%、ZnO 10.5 mol%、SnO2 0.5mol%、MnO 39.5 mol%、 CuO 1.5 mol%とした場合である。
【0027】
予め主成分としてのFe 、ZnO 、SnO、MnO、及びCuO の各原料粉末を前記図2に示した所定の比率となるように秤量し、これらをボールミルにて混合して混合粉末を得、次に、この混合粉末を大気中900 ℃で2時間、仮焼成する。次にボールミルにて平均粉体粒径がおよそ1.4μmになるまで微粉砕した。
【0028】
更に、この混合粉末にポリビニルアルコールを添加して造粒し、80MPa の圧力を加えてトロイダル形状、ロッド形状並びにペレット(円板)形状(誘電率測定用)の磁心にする。トロイダル形状の磁心は、例えば、焼き上がりで外径15mm、内径8mm、高さ3mmである。又、ロッド形状の磁心は、焼き上がりで外径10mm、高さ24mmである。又、ペレット形状の磁心は、焼き上がりで外径10mm、高さ3mmである。その後、窒素を流入して酸素分圧を制御した雰囲気中、1,150℃で3時間焼成する。
【0029】
なお、試料3、4、5に示した、比較のために用いる軟磁性材料は、予め主成分としてのFe 、ZnO 、MnO、Ni、MgO及びCuO の各原料粉末を前記図1に示した所定の比率となるように秤量し、これらをボールミルにて混合して混合粉末を得、次に、この混合粉末を大気中900 ℃で2時間、仮焼成する。次にボールミルにて平均粉体粒径がおよそ1.4μmになるまで微粉砕した。
【0030】
更に、この混合粉末にポリビニルアルコールを添加して造粒し、80MPa の圧力を加えてトロイダル形状、ロッド形状並びにペレット(円板)形状(誘電率測定用)の磁心にする。トロイダル形状の磁心は、例えば、焼き上がりで外径15mm、内径8mm、高さ3mmである。又、ロッド形状の磁心は、焼き上がりで外径10mm、高さ24mmである。又、ペレット形状の磁心は、焼き上がりで外径10mm、高さ3mmである。その後、符号S3の試料は、窒素を流入して酸素分圧を制御した雰囲気中、1,150℃で3時間焼成し、試料4、5は大気中、1,150℃で3時間焼成した。
【0031】
図2は、図1の基本成分組成(単位はmol%)で形成したトロイダル形状磁心の基本特性の実測値であって、0.1MHzにおける初透磁率μi、1,194A/mにおける飽和磁束密度Bs、比抵抗ρv、及び1kHzと1MHzにおける複素比誘電率の実数部ε’、1MHzにおける複素比誘電率の虚数ε”と実数部ε’との比(tanδ=ε”/ε’)の実測値である。誘電特性はペレット(円板)形状の磁心を用い、両面にAu蒸着する事によってこれを電極とし、交流電圧を印加する事によって測定を行った。なお、符号S1、S2、S3、S4、S5は、図1と同一に用いている。
【0032】
図2から明らかなように、試料1、試料2、及びNi−Zn系の試料4は、初透磁率μi、飽和磁束密度Bs、比抵抗ρvとも実用的な数値である。しかし、Ni−Zn系の試料4は、試料1、試料2に比べて1MHzにおける誘電損失tanδ=ε”/ε’が非常に小さく、インダクタとした場合、Q値が大きくなり、インダクタのインピーダンスが鋭く共振し易い。
【0033】
一方、一般的なMn−Zn系の試料3は、初透磁率μi、飽和磁束密度Bsは実用的な数値であるが、比抵抗ρvが著しく低く、高周波での使用が困難である。又、比抵抗ρvが著しく低いために、その表面に薄い絶縁皮膜を施すか、または絶縁皮膜のあるケーブルを使用することが必要となり、用途が限定される。
【0034】
又、Mg−Zn系の試料5は、飽和磁束密度Bsが低く、他の試料に比べて優位性がない。特に、インダクタに直流電流が重畳する場合には磁気飽和しないことが要求されるため、飽和磁束密度Bsが低い試料5は磁心の寸法を大きくせねばならない。
【0035】
図3は、前記試料1、2、4、5におけるインダクタンスの直流電流IB依存特性である。前述したロッド形状の磁心に、20ターンの一次巻線を磁心に直に卷回し、130ターンの二次巻線を卷回した後に直流電流IBを流して周知の二次巻線法により1kHzにおける一次巻線のインダクタンスの変化を測定した。図2で示したように、磁気飽和密度の最も低い試料5が最も少ない直流電流IBでインダクタンスが図3のように低下し始める。試料1、2、4についても同様であり、磁気飽和密度の低いものほど直流電流IBの影響が早く現れる。従って、インダクタンス特性は、試料1、2、4、5の順に優れている。
【0036】
図4は、前記各試料におけるインダクタのインピーダンスの変化を示した図であってインピーダンスZを縦軸に、周波数を横軸にとってある。前述したロッド形状の磁心に、150ターンの巻線を磁心に直に卷回しインダクタンスの変化を測定した。図4より明らかなように、試料1〜4ともに1MHzまでは同じインピーダンス特性を示すが、試料4のみ、周波数6MHz近傍で鋭く共振してインピーダンスが著しく変化している。一方、試料1、2にはインダクタのインピーダンスが鋭く共振する現象が見られない。これは、図2に示したように、試料1、2の誘電損失tanδ=ε”/ε’が周波数1kHzと1MHzとでは著しく異なり、1MHzにおける誘電損失tanδが1以上となっているためである。
一方、試料3はインダクタのインピーダンスが鋭く共振する現象が見られないが、高周波においてインピーダンスの減少が著しい。
ノイズを抑制する効果において試料1、2、4は同程度であるが、インダクタが鋭く共振する現象の少ない本発明の試料1、2は、伝送信号、特にディジタル信号の信号波形に影響を及ぼす可能性が低い点で試料4より優れている。
【0037】
以上の結果、従来から知られている、Mn−Zn系の試料3、Ni−Zn系の試料4、Mg−Zn系の試料5に比べ、本発明の試料1、2のインピーダンス特性、雑音抑制性能が優れていることがわかる。
【0038】
【発明の効果】
請求項1記載のインダクタによれば、軟磁性材料により開磁路を形成し、該開磁路に巻線を卷回させてなるインダクタにおいて、前記軟磁性材料は、その複素比誘電率が周波数により変化し、高周波領域において、その複素比誘電率の虚数部が実数部より大であることにより、従来のNi−Znフェライトと同等の高周波特性を得ると共に、磁心に巻線を直接卷回でき、インピーダンス特性が優れ、伝送信号波形に悪影響を及ぼすことのないインダクタを得ることができる。
【0039】
請求項2及び3に記載のインダクタによれば、前記軟磁性材料は、比抵抗が150Ωm以上であって、その複素比誘電率の実数部が1kHzにおいて1,000以上、かつ20,000以下、1MHzにおいて50以下であると共に、1MHzにおいてその複素比誘電率の虚数部が実数部より大であると共に、複素比誘電率の虚数部と実数部の比が1以上であることにより、実用的な周波数範囲のインダクタを得ることができる。
【0040】
請求項4及び5に記載のインダクタによれば、前記軟磁性材料は、安価なMn −Zn フェライトをベースにしており、その比抵抗を著しく高めることにより、安価で高性能なインダクタを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の軟磁性材料を用いた磁気コアと、比較のために用いる軟磁性材料を用いた磁気コアの基本成分組成(単位はmol%)である。
【図2】図1の基本成分組成(単位はmol%)で形成したトロイダル形状の磁心の基本特性の実測値である。
【図3】試料1、2、4、5におけるインダクタンスの直流電流IB依存特性である。
【図4】試料1、2、4におけるインダクタのインピーダンスの変化を示した図である。
【図5】インダクタの等価回路図である。
【符号の説明】
R 抵抗成分
L 誘導性リアクタンス
C 容量性リアクタンス
ε、ε’、ε”  複素比誘電率
S1、S2、S3、S4、S5 試料

Claims (4)

  1. 軟磁性材料により開磁路を形成し、該開磁路に巻線を卷回させてなるインダクタにおいて、前記軟磁性材料は、その複素比誘電率が周波数により変化し、1MHz以上の高周波領域において、その複素比誘電率の虚数部が実数部より大であることを特徴とするインダクタ。
  2. 前記軟磁性材料は、比抵抗が150Ωm以上であって、その複素比誘電率の実数部が1kHzにおいて1,000以上、かつ20,000以下、1MHzにおいて50以下であると共に、1MHzにおいてその複素比誘電率の虚数部が実数部より大であることを特徴とする請求項1に記載のインダクタ。
  3. 前記軟磁性材料は、その基本成分組成が、Fe 44.0〜50.0 mol%(ただし、50.0mol%は除く)、 ZnO 4.0〜26.5 mol%、TiOおよびSnOのうちの何れか一方または両方が 0.1〜8.0mol%、残部 MnOの材料組成を有することを特徴とするMn−Zn フェライトであることを特徴とする請求項1に記載のインダクタ。
  4. 前記軟磁性材料は、その基本成分組成が、Fe 44.0〜50.0 mol%(ただし、50.0mol%は除く)、 ZnO 4.0〜26.5 mol%、TiOおよびSnOのうちの何れか一方または両方が 0.1〜8.0mol%、CuO 0.1〜16.0 mol%、残部 MnOの材料組成を有することを特徴とするMn−Znフェライトであることを特徴とする請求項1に記載のインダクタ。
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