JP2004036719A - 制振プレートとその製造方法 - Google Patents

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四谷 剛毅
Shohei Nagano
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Abstract

【課題】生産性や製造コストに悪影響を及ぼすことなく十分な制振効果を発揮することのできる制振プレートとその製造方法を提供すること。
【解決手段】ブレーキパッド10の振動音を減衰する必要のある本体部11aと取付部としての靱性を要求される突出部11b,11cとを一体に備えたバッキングプレート11の製造に際し、本体部11aの圧下率が突出部11b,11cの圧下率よりも高くなるように母材11’の形状を決め、この母材11’に振動音の伝達方向に沿った鍛造加工を施して、制振プレートを兼ねるバッキングプレート11を得る。本体部11aの圧下率を高くして振動音の伝達方向と略垂直な平面に沿って球状黒鉛を扁平化することで本体部11aの制振性を高め、同時に、突出部11b,11cの圧下率を低くすることで取付部となる突出部11b,11cの靱性を確保する。
【選択図】    図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車ディスクブレーキのブレーキパッドに装着されるバッキングプレート等に代表される制振プレートとその製造方法の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
振動音を減衰させる機能を要求される制振プレートとしては、自動車用ディスクブレーキのブレーキパッドに装着されるバッキングプレート等が公知である。
【0003】
バッキングプレートに制振機能を与えるための構成としては、例えば、鋳鉄素材から削り出した片状黒鉛鋳鉄をバッキングプレートにしたものが特開昭61−64850として提案され、また、プレートに中空室を設けて鋳鉄粉を封入したものが特開平10−246257として提案されている。この他にも、プレートをハニカム構造としたものが特開平9−296835として提案され、プレートに制振材薄膜を貼ったものが特開平5−44749として提案されている。また、燒結鉄でプレートを形成したものが特開平10−231872として公知である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開昭61−64850等で開示された加工法を適用した場合には、鋳鉄素材から片状黒鉛鋳鉄を削り出すための切削加工に手間が掛かり、特に、自動車ディスクブレーキのバッキングプレート等においては、キャリパキャリアに対する取付部となる突出部に高い寸法精度が要求されるため、生産性が低くなるといった問題がある。更に、材料となる片状黒鉛鋳鉄の靱性が低く、十分な耐久性が保証できなくなるといった可能性もある。
【0005】
また、特開平10−246257等の製造方法を適用した場合は、中空室のポケット加工や鋳鉄粉封入後の密閉加工が複雑であるため、前記と同様、生産性が低く、コストも割高となる欠点がある。しかも、除去加工部となる中空室を設けた上で機械的な強度を確保するためにはプレート自体を厚くする必要があり、機構部のコンパクト化の面でも制限が生じる。
【0006】
更に、特開平9−296835等で提案されるハニカム構造のものは構造が複雑であって生産性の点で問題があり、プレートも厚めとなる欠点がある。
【0007】
これに対し、特開平5−44749等で開示されたものは構造が簡単であり、生産性には優れるが、制振材薄膜を利用した振動音の減衰効果が必ずしも十分ではない。
【0008】
また、特開平10−231872等のように燒結鉄でプレートを形成する場合も生産性は高いが、格別効果的な減衰材を用いているわけではないので、振動音に対する減衰能力が不十分であり、更に、素材自体が多孔質構造であるため耐食性の点でも問題が残る。
【0009】
【発明の目的】
そこで、本発明の目的は、前記従来技術の欠点を解消し、生産性や製造コストに悪影響を及ぼすことなく、十分な制振効果を発揮することのできる制振プレートとその製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明による制振プレートの製造方法は、振動源となる部材に装着されて振動音の伝達を抑制する制振プレートの製造方法であり、前記目的を達成するため、特に、
黒鉛の分布が略均一な球状黒鉛鋳鉄によって母材を形成し、この母材に対し、前記振動音の伝達方向に沿って所定の圧下率で鍛造加工を施して制振プレートを生成することを特徴とした構成を有する。
【0011】
まず、黒鉛の分布が略均一な球状黒鉛鋳鉄によって制振プレートの母材、すなわち、鍛造加工の結果として制振プレートとなるベースメタルを形成する。母材の形成には通常の鋳造技術が利用できる。
母材となる球状黒鉛鋳鉄では、基地中に球状黒鉛が略均一に分布しており、基地と黒鉛のヤング率が著しく相違するため、このままの状態でも或る程度の制振効果を発揮することが可能である。即ち、図1(a)の作用原理図に示されるように、母材に入射された振動音のうち球状黒鉛の部分に衝突した部分の振動音が散乱および減衰されて母材に吸収される。
しかし、このままの状態では球状黒鉛の部分に衝突する振動音の割合が低く、また、振動音が球状黒鉛の部分に衝突した場合であっても、黒鉛形状が球状であるため振動音が回折現象によって球状黒鉛の部分を回り込み、結果として、大半の振動音が球状黒鉛の部分を避けて母材を透過してしまう。このため、未加工の球状黒鉛鋳鉄は片状黒鉛鋳鉄に比べて制振効果が低いという問題があった。
そこで、本発明では、更に、この母材に対し、振動音の伝達方向に沿って所定の圧下率で鍛造加工を施して制振プレートを生成するようにした。この結果、図1(b)の作用原理図に示されるように、球状黒鉛が振動音の伝達方向と略垂直な平面に沿って扁平化され、振動音が衝突する黒鉛部分の面積が著しく増大し、制振プレートに入射された振動音の大半が、扁平化された黒鉛に衝突して散乱および減衰されて制振プレートに吸収され、同時に、振動音の回折現象も抑制されることから高い制振効果を発揮することができるようになる。また、鍛造を利用した加工であるため切削加工に比べて生産性が高く製造コストが抑制されるといったメリットもある。
このようにして扁平化された黒鉛は、その各々が振動音の伝達方向と略垂直な平面に沿って扁平化しているので、黒鉛の扁平化の方向性が一様ではない削り出し加工の片状黒鉛鋳鉄に比べて高い制振効果を発揮することが可能である。また、球状黒鉛鋳鉄からの鍛造によって成形されたものであるため、片状黒鉛鋳鉄に比べて高い靱性を保持することができる。
母材とする球状黒鉛鋳鉄としては鍛造が可能なものを任意に選択して利用できるが、30%以上の球状化率を有する鋳鉄が好適である。
母材を鍛造加工する際の圧下率とこの鍛造加工によって得られた制振プレートが振動音に対して発揮する減衰率との対応関係、および、母材を鍛造加工する際の圧下率とこの鍛造加工によって得られた制振プレートの伸びとの対応関係を図2に示す。なお、ここで言う伸びとは制振プレートを引張して破断が生じるまでの限界の伸びを示した百分率であり、ここでは、この値を制振プレートの靱性を表すためのパラメータとして利用している。制振プレートに最低限度必要とされる減衰率すなわち制振効果と、制振プレートに最低限度必要とされる伸びすなわち靱性とを両立させるためには、鍛造加工の際の圧下率を40%以上80%以下の範囲とすることが望ましい。
【0012】
更に、単一の母材に対し、振動音の減衰を強く要求される部分の圧下率が靱性を要求される部分の圧下率よりも高くなるようにして鍛造加工を施すようにしてもよい。
【0013】
図2からも明らかなように、専ら振動音の減衰を要求される部分の圧下率を高くして鍛造加工を施すことによって必要部分の制振効果を増大させ、同時に、靱性を要求される部分の圧下率を低くして鍛造加工を施すことで、必要部分の靱性を確保することが可能となる。
振動音の減衰を強く要求される部分の圧下率は50%以上80%以下の範囲、また、専ら靱性を要求される部分の圧下率は50%以下の範囲とすることが望ましい。
例えば、自動車ディスクブレーキのバッキングプレートを制振プレートにて構成する場合には、ブレーキパッドを装着する本体部の圧下率を高くして制振効果を増大させてブレーキ鳴きを防止し、同時に、キャリパキャリアに対する取付部となる突出部の圧下率を低くすることにより、バッキングプレートに必要な靱性を確保することができる。
【0014】
本発明による制振プレートは、振動源となる部材に装着されて振動音の伝達を抑制する制振プレートであり、前記と同様の目的を達成するため、特に、
球状黒鉛鋳鉄によって形成され、この球状黒鉛鋳鉄に内包された黒鉛が、振動音の伝達方向と略垂直な平面に沿って扁平化されていることを特徴とした構成を有する。
【0015】
制振プレートに内包された黒鉛が振動音の伝達方向と略垂直な平面に沿って扁平化されているため、既に述べた通りの理由により、振動源となる部材からの振動音の伝達を効果的に抑制することができる。
【0016】
更に、振動音の減衰を要求される部分と靱性を要求される部分とを一体に備えた制振プレートにおいては、振動音の減衰を要求される部分に内包された黒鉛の扁平率が、靱性を要求される部分に内包された黒鉛の扁平率よりも高くされていることが望ましい。
【0017】
振動音の減衰を要求される部分では、この部分に内包された扁平率の高い黒鉛によって振動音の伝達が効果的に防止され、また、靱性を要求される部分では未加工に近い状態の球状黒鉛鋳鉄によって機械的な強度を確保することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。まず、一例として、本発明の制振プレート製造方法を適用して製作された制振プレートを自動車のディスクブレーキのバッキングプレートとして利用した場合の実施形態について説明する。
【0019】
図3は、自動車に装備されるディスクブレーキの一般的な構造について示した斜視図である。ディスクブレーキ1は、概略において、キャリパ2とキャリパキャリア3、および、ピストン4とブレーキパッドセット5,6、ならびに、ブレーキディスク7によって構成される。
【0020】
ピストン4はピストン本体4aとピストンカップ4b,4cとから成り、キャリパ2に固設されたシリンダハウジング8に内嵌され、ブレーキホースを介して車両側から供給されるブレーキオイルを駆動源としてブレーキパッドセット5,6と接離する方向に駆動される。
【0021】
ブレーキパッドセット5,6の各々は、それぞれブレーキパッド10とバッキングプレート11とによって構成され、バッキングプレート11の本体部11aにブレーキパッド10が接着剤で固着されている。
【0022】
更に、バッキングプレート11の本体部11aの上下にはキャリパキャリア3およびキャリパ2に対しての取付部となる突出部11b,11cが一体に設けられ、この突出部11b,11cの部分がキャリパキャリア3の柱状突起3b,3cとキャリパ2の周壁部12との間で摺動自在に挟み込まれる。従って、ブレーキパッドセット5,6はキャリパキャリア3に対してピストン4と同じ方向性で移動自在に保持されることになる。
【0023】
一方、キャリパ2のボルト通し穴14にはボルト13が余裕をもって挿通され、更に、このボルト13にゴム等の弾性体から成るスリーブ15を環装してから、ボルト13の先端部がキャリパキャリア3の柱状突起3bに設けられた雌ネジ部に固定される。つまり、キャリパ2はキャリパキャリア3に対してピストン4およびブレーキパッドセット5,6と同方向に所定量だけ移動を許容されていることになる。
【0024】
これにより、ブレーキパッドセット5のブレーキパッド10のみがブレーキディスク7に片当たりする問題が解消され、ブレーキパッドセット5,6のブレーキパッド10,10によってブレーキディスク7の表裏を確実に挾圧することが可能となる。
【0025】
これらのパーツを装着したキャリパキャリア3は、ボルト16を介して車両側に固定され、ブレーキパッドセット5,6のブレーキパッド10,10をブレーキディスク7の表裏に位置させた状態で、ブレーキディスク7と一定の位置関係を保持される。
【0026】
なお、符号17,18はブレーキパッドセット5,6のガタツキを防止するためにキャリパキャリア3とブレーキパッドセット5,6との間に介装されるバネ部材、また、符号19はブレーキパッドセット6に重合されるリテーナ、符号20はブレーキディスク7を保護するためのダストカバーである。
【0027】
これらの構成要素のうちブレーキパッドセット5,6のブレーキパッド10,10の部分は回転中のブレーキディスク7と直接的に接触して振動を発生する振動源となる部分である。特に、ブレーキディスク7の一部に錆などが発生していてブレーキディスク7とブレーキパッド10,10との間の摩擦が周期的に変動するような場合においては、ブレーキパッド10,10が著しく振動して異音を発生させる所謂ブレーキ鳴きという現象が発生する場合がある。
【0028】
このため、ブレーキパッド10,10に接着固定されるバッキングプレート11,11には振動音の伝達を抑制する制振機能が強く要求されている。
【0029】
そこで、本実施形態では、このバッキングプレート11,11に対して本発明の制振プレート構造およびその製造方法を適用することにした。
【0030】
バッキングプレート11のうち、上下の突出部11b,11cはキャリパキャリア3およびキャリパ2に対しての取付部を構成する部分であるから、機械的な強度を維持するための靱性が要求される。また、本体部11aは振動源となるブレーキパッド10を固着する部分であるから、靱性よりは制振性、つまり、振動音を減衰させる機能が要求される。
【0031】
従って、課題を解決するための手段の項でも既に述べた通り、制振プレートを兼ねるバッキングプレート11の製造に際しては、ブレーキパッド10の振動音が伝達される方向、つまり、バッキングプレート11の厚み方向を鍛造加工の方向に一致させ、更に、鍛造工程での圧下率に関しては、突出部11b,11cの部分で相対的に低く、また、本体部11aの部分では相対的に高くすることが望ましい。
【0032】
この実施形態では、制振プレートを兼ねるバッキングプレート11の母材として、炭素3.8%,シリコン2.5%,銅0.1%,マンガン0.2%,燐0.01%,硫黄0.02%,マグネシウム0.03%(共に重量比)で球状化率が80%(即ち30%以上の範囲)のフェライト系球状黒鉛鋳鉄を使用し、鍛造加工の際の圧下率は靱性を要求される突出部11b,11cの部分で40%(即ち40%以上50%以下の範囲)、また、制振性の重要な本体部11aの部分で70%(即ち50%以上80%以下の範囲)となるようにして、1000℃の雰囲気で熱間鍛造を施すことにした。
【0033】
従って、最終的にバッキングプレート11に必要とされる均一な厚みをtとすれば突出部11b,11cに相当する部分の母材の厚みは概ね1.6t、また、本体部11aに相当する部分の母材の厚みは概ね3.3tとなる。
【0034】
図4(a)にバッキングプレート11の母材11’の断面形状の概略を示す。図4(a)における符号11a’の部分はバッキングプレート11における本体部11aに相当する部分、また、符号11b’,11c’の部分はバッキングプレート11における突出部11b,11cに相当する部分である。この母材11’は通常の鋳造技術によって成形することが可能であり、内部での黒鉛の分布は概ね均一である。
【0035】
次に、ブレーキパッド10からの振動音が伝達される方向、つまり、バッキングプレート11となる母材11’の厚み方向を鍛造加工の方向に一致させ、1000℃の雰囲気で熱間鍛造を施した後、仕上げ加工によって表面の酸化膜を除去して図4(b)に示されるような一体型のバッキングプレート11を得る。なお、図4(b)では白抜きの外形線でバッキングプレート11の平面形状を示し、下方に記載した断面図で厚み方向の断面を定性的に示している。前述した通り、鍛造加工での圧下率は、最終的に、突出部11b,11cの部分で40%、また、本体部11aの部分で70%となる。
【0036】
この結果、図4(b)に示される通り、制振プレートを兼ねるバッキングプレート11に内包される黒鉛は、本体部11aの部分では、振動音の伝達方向つまりバッキングプレート11の厚みの方向と略垂直な平面に沿って大幅に扁平化される一方、突出部11b,11cの部分では、球状に近い状態に保持される。
【0037】
つまり、黒鉛の扁平化率の高い本体部11aの部分ではブレーキパッド10からの振動音の伝達を減衰させるための高い制振効果が得られ、また、キャリパキャリア3およびキャリパ2に対しての取付部となる突出部11b,11cの部分では、鍛造加工を施していない未加工のフェライト系球状黒鉛鋳鉄と略同等の靱性を保持して十分な機械的強度を発揮することが可能となる。
【0038】
以上、一実施形態として、本発明による制振プレートの製造方法および制振プレートをディスクブレーキのバッキングプレートに適用することによってブレーキパッドの振動音の伝達の抑制とブレーキ鳴きの発生確率を軽減した例について述べたが、この他にも、ブレーキローターやブレーキドラム等において振動音の発生する可能性のある摺動部で鍛造加工の圧下率を高めにして制振効果を高め、また、ハット部やハブ部によって構成される取付部の圧下率を低めにして機械的な強度の達成に必要とされる靱性を確保することができる。また、デフケースやデフキャリア等で強度を要求されない部分の圧下率を高くして振動音の減衰効果を高めることが可能である。
【0039】
【発明の効果】
本発明による制振プレートおよびその製造方法は、球状黒鉛鋳鉄で形成された母材に振動音の伝達方向に沿って所定の圧下率で鍛造加工を施すことによって制振プレートを生成するようにしたので、制振プレートに内包された球状黒鉛を振動音の伝達方向と略垂直な平面に沿って扁平化して黒鉛部分の面積を増大させることができ、制振プレートに入射された振動音の大半を扁平化された黒鉛に衝突させて散乱および減衰させて吸収することが可能となり、また、振動音の回折現象も抑制されることから高い制振効果を発揮することができる。
しかも、鍛造を利用した加工であるため、切削加工によって中空室を形成したりハニカム構造を適用したりする場合と比べて生産性が高く、制振プレートの製造コストを軽減することができるメリットがある。
また、このようにして扁平化された黒鉛は、その各々が最適化された鍛造方向に応じて振動音の伝達方向と略垂直な平面に沿って扁平化しているので、一般に減衰性が高いとされる片状黒鉛鋳鉄に劣らない高い制振効果を発揮することが可能であり、しかも、片状黒鉛鋳鉄に比べて高い靱性を保持することができる。
【0040】
更に、振動音の減衰を強く要求される部分と専ら靱性を要求される部分とを一体に備えた制振プレートの製作に際しては、制振プレートとなる単一の母材に対し、振動音の減衰を強く要求される部分の圧下率を靱性が要求される部分の圧下率よりも高くなるようにして鍛造加工を施すようにしているので、例えば、ディスクブレーキのブレーキパッドを装着するバッキングプレートの本体部に強力な制振効果を持たせてブレーキパッドの振動音の伝達を抑制してブレーキ鳴きの発生率を軽減し、同時に、キャリパキャリアに対する取付部となるバッキングプレートの上下の突出部の靱性を十分なものとして機械的な耐久性を保証するといったこともできるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】球状黒鉛鋳鉄を鍛造して制振効果を向上させる作用原理について示した概念図であり、図1(a)は通常の球状黒鉛鋳鉄に対する振動音の透過状態を示した模式図、また、図1(b)は鍛造加工によって黒鉛を扁平化させた球状黒鉛鋳鉄に対する振動音の透過状態を示した模式図である。
【図2】母材を鍛造加工する際の圧下率とこの鍛造加工によって得られた制振プレートが振動音に対して発揮する減衰率との対応関係、および、母材を鍛造加工する際の圧下率とこの鍛造加工によって得られた制振プレートの伸びとの対応関係を示した線図である。
【図3】自動車に装備されるディスクブレーキの構造について示した分解図である。
【図4】本発明の制振プレートおよびその製造方法をディスクブレーキのバッキングプレートに適用した場合の一実施形態について示した概念図で、図4(a)ではバッキングプレートの母材の形状と黒鉛の形状について示し、また、図4(b)では鍛造後のバッキングプレートの形状と黒鉛の形状について示している。
【符号の説明】
1 ディスクブレーキ
2 キャリパ
3 キャリパキャリア
3b,3c 柱状突起
4 ピストン
4a ピストン本体
4b,4c ピストンカップ
5,6 ブレーキパッドセット
7 ブレーキディスク
8 シリンダハウジング
9 ブリーダプラグ
10 ブレーキパッド
11 バッキングプレート(制振プレート)
11a 本体部
11b,11c 突出部
11’ 母材
11a’ バッキングプレートの本体部に対応する母材の部分
11b’,11c’ バッキングプレートの突出部に対応する母材の部分
12 周壁部
13 ボルト
14 ボルト通し穴
15 スリーブ
16 ボルト
17,18 バネ部材
19 リテーナ

Claims (4)

  1. 振動源となる部材に装着されて振動音の伝達を抑制する制振プレートの製造方法であって、
    黒鉛の分布が略均一な球状黒鉛鋳鉄によって母材を形成し、この母材に対し、前記振動音の伝達方向に沿って所定の圧下率で鍛造加工を施して制振プレートを生成することを特徴とした制振プレートの製造方法。
  2. 振動音の減衰を要求される部分の圧下率を、靱性を要求される部分の圧下率よりも高くして前記鍛造加工を施すことを特徴とした請求項1記載の制振プレートの製造方法。
  3. 振動源となる部材に装着されて振動音の伝達を抑制する制振プレートであって、
    球状黒鉛鋳鉄によって形成され、この球状黒鉛鋳鉄に内包された黒鉛が、前記振動音の伝達方向と略垂直な平面に沿って扁平化されていることを特徴とした制振プレート。
  4. 振動音の減衰を要求される部分と靱性を要求される部分とを一体に備え、振動音の減衰を要求される部分に内包された黒鉛の扁平率が、靱性を要求される部分に内包された黒鉛の扁平率よりも高くされているいことを特徴とした請求項3記載の制振プレート。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2010009824A1 (de) * 2008-07-24 2010-01-28 Becorit Gmbh Bremsbelag für eine scheibenbremse und bremsbelagsystem

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