JP2007024286A - ディスクブレーキパッド - Google Patents
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Abstract
【課題】パッドの剛性を損なうことなく、鳴きや異音を抑制し得ると共に、ジャダーの発生を防止することができるディスクブレーキパッドを提供する。
【解決手段】摩擦材1の摩擦面に2本の溝3A,3Bを備え、両溝3A,3Bが、ディスクロータDRの回転に対応する方向を摩擦材1の横幅方向として、その横幅中心Cの左右に配置してあり、横幅寸法をLとしたときに、少なくとも一方の溝が横幅中心CからL/4の位置Aよりも外側に設けてあり、一方及び他方の溝の間隔をL/2よりも大きくし、摩擦材1とディスクロータDRとが対向した状態で、各溝3A,3Bが冷却用フィンFに対して交差する方向に沿って形成してあるディスクブレーキパッドP1とし、剛性を維持しつつ鳴きや異音の抑制及びジャダーの防止を実現した。
【選択図】 図1
【解決手段】摩擦材1の摩擦面に2本の溝3A,3Bを備え、両溝3A,3Bが、ディスクロータDRの回転に対応する方向を摩擦材1の横幅方向として、その横幅中心Cの左右に配置してあり、横幅寸法をLとしたときに、少なくとも一方の溝が横幅中心CからL/4の位置Aよりも外側に設けてあり、一方及び他方の溝の間隔をL/2よりも大きくし、摩擦材1とディスクロータDRとが対向した状態で、各溝3A,3Bが冷却用フィンFに対して交差する方向に沿って形成してあるディスクブレーキパッドP1とし、剛性を維持しつつ鳴きや異音の抑制及びジャダーの防止を実現した。
【選択図】 図1
Description
本発明は、自動車用ディスクブレーキに用いられるディスクブレーキパッドの改良に関するものである。
自動車のブレーキは、ブレーキロータとブレーキライニングとの接触で摩擦熱を発生させ、自動車の運動エネルギーを熱エネルギーに変換するものである。その中でも、ディスクブレーキは、制動特性が優れていることから、自動車用ブレーキのほかに産業機械用ブレーキとしても広く用いられており、また、ディスクブレーキパッドの摩擦材として非石綿系の材料が用いられていることも周知である。
ディスクブレーキは、基本性能である効きの安定性、強度及び耐久性に関しては、充分な技術水準に達していると言えるが、運転者がブレーキペダルを踏んで制動状態をコントロールする際に、より意のままに操れるようにするためには、ブレーキペダルの踏力が軽く、ペダルストロークが短いことが望まれている。このブレーキペダルの踏力をより軽くするには、ディスクブレーキパッドの摩擦係数を高める必要がある。
一方、自動車用ディスクブレーキにおいて、制動時に発生する鳴き(1〜十数KHzのスキール音)や異音(約50〜300Hzのグローン音)は、運転者などに不快感を与える場合がある。このような鳴きや異音は、摩擦による自励振動が音として伝達したものであり、ディスクブレーキパッドの摩擦係数が高いと発生し易く、また、摩擦係数(μ)の速度(V)に対する低下量(μ−V負勾配)が大きいと車両の停止直前等に発生し易いことが判っている。
さらに、ディスクロータの部分的な摩耗で生じた強制振動がハンドルやフロアを振動させるジャダーにあっても、運転者等に不快感を与える場合がある。そして、ジャダーの直接的な原因であるディスクロータの部分的な摩耗は、ブレーキディスクパッドの摩擦係数を高めた場合に生じやすいことが判っている。
このように、ディスクブレーキは、基本性能は充分であるものの、制動時における高周波の鳴きや低周波の異音等のノイズに関しては、未だ改善の余地があった。
そこで、従来のディスクブレーキにあっては、ノイズの発生を防止するために、ディスクブレーキパッドとディスクロータとの界面において摩擦時に発生する振動が共振しないように、若しくは共振しても大きな振動エネルギにならないようにする対策が提案されていた。
具体的には、例えば、ディスクブレーキパッドの摩擦面に斜めの溝を1本形成し、これにより制動時の振動モードを変化させてノイズを低減するもの(特許文献1)や、ディスクブレーキパッドの摩擦面に3本以上の溝を配置し、これによりノイズの防止や熱フェード及びウォーターフェード対策を図ったもの(特許文献2)があった。
実開昭61−160333号公報
特開2000−145848号公報
しかしながら、上記したような従来のディスクブレーキパッドにあっては、摩擦面に溝を形成することで、ノイズの低減などを実現し得るものの、その効果が必ずしも充分なものではなく、また、溝の数を多くするとパッドの剛性が損なわれる恐れがあることから、さらなる改良が望まれていた。
本発明は、上記従来の状況に鑑みて成されたものであって、パッドの剛性を損なうことなく、鳴きや異音を抑制し得ると共に、ジャダーの発生を防止することができるディスクブレーキパッドを提供することを目的としている。
本発明のディスクブレーキパッドは、自動車用ディスクブレーキのディスクブレーキパッドであって、摩擦材の摩擦面に2本の溝を備えている。このとき、両溝は、ディスクロータの回転に対応する方向を摩擦材の横幅方向として、その横幅中心の左右に配置してあると共に、横幅寸法をLとしたときに、少なくとも一方の溝が横幅中心からL/4の位置よりも外側に設けてあり、且つ一方及び他方の溝の間隔をL/2よりも大きいものとしている。
そしてさらに、各溝は、摩擦材とディスクロータとが対向した状態において、ディスクロータの冷却用フィンすなわちベンチレーテッド型ディスクロータの冷却用フィンに対して交差する方向に沿って形成してあり、各溝と冷却用フィンとが完全に重なる状態にならないものとしている。
本発明のディスクブレーキパッドによれば、摩擦材における2本の溝の配置を規定することで、パッドの一次曲げ剛性を高めることができ、固有振動数を大きくすることが可能になると共に、パッドのそりによる面圧分布の偏りも少なくなり、制動中のトルク変動を小さくすることができる。
これにより、制動時の停止直前に発生するパッドの自励振動、自励振動により発生する鳴き、及びディスクロータにおいて冷却用フィンの有る部分と無い部分の熱膨張差による厚みの差にパッドが共振することで発生する異音を大幅に抑制することができると共に、パッドの不均一な当たりにより発生するジャダーを防止することが可能となり、さらに、溝により、摩擦材の摩耗粉を除去することができる。
図1及び図2は本発明のディスクブレーキパッドの一実施形態を示す図である。
図1に示すディスクブレーキパッドP1は、非石綿系の摩擦材1とバックプレート(ベースプレート)2から成るものであって、図示しないキャリパーにおいて、図2に示すベンチレーテッド型ディスクロータDRの両面に対向する状態に装着され、制動時には、キャリパーにおけるピストンにより押圧されてディスクロータDRを挟持する。
上記のディスクブレーキパッドP1は、摩擦材1の摩擦面に2本の溝3A,3Bを備えている。両溝3A,3Bは、ディスクロータDRの回転に対応する方向(図1中で左右方向)を摩擦材1の横幅方向として、その横幅中心Cの左右に対象的に配置してあって、横幅寸法をLとしたときに、横幅中心Cから左右夫々にL/4の位置A,Aよりも外側に設けてあると共に、双方の間隔をL/2よりも大きくしている。
両溝3A,3Bは、摩擦材1に対して機械加工により形成することができ、少なくとも一方の溝を横幅中心CからL/4の位置Aよりも外側に設けて、一方及び他方の溝の間隔をL/2よりも大きくしても良いが、この場合は、横幅中心Cに対して左右対称の配置ではなくなる。
また、両溝3A,3Bは、図2に示すように、摩擦材1とディスクロータDRとが対向した状態において、ディスクロータDRに放射状に形成した冷却用フィンFに対して交差する方向に沿って形成、すなわち各溝3A,3Bと冷却用フィンFとが完全に重なる状態にならないように形成してある。
このとき、両溝3A,3Bは、望ましくは、摩擦材1の横幅方向に対して90度から45度の範囲の角度に沿って形成するのが良く、図示の実施形態では、互いに平行で且つ摩擦材1の横幅方向に対して直交する方向、すなわち摩擦材1の横幅方向に対して90度を成す配置になっている。
さらに、両溝3A,3Bは、摩擦材1の厚さ(一般的に7〜20mm程度)をtとしたときに、その深さDをt−2mm以下としている。この溝3A,3Bの深さDは、摩擦材1の厚さtと同等にして、バックプレート2が溝底面となるようにしても良いが、摩擦面に堆積した摩耗粉の除去が摩擦材1の摩耗限界付近まで必要であること、本発明は摩擦面の面圧分布を分散させて、高周波の鳴き等を抑制することを目的としていること、摩擦材1が摩耗するに従ってパッドが振動しなくなることから、摩擦材1の摩耗限界付近であるt−2mm以下としている。
このように、溝3A,3Bの深さDを摩擦材1の摩耗限界付近であるt−2mm以下とすることにより、摩耗粉の除去機能や鳴き抑制の機能を摩擦材1の寿命まで良好に維持することができる。
上記のディスクブレーキパッドP1は、摩擦材1に2本の溝3A,3Bを形成し、とくに、少なくとも一方の溝を摩擦材1の横幅中心CからL/4の位置Aよりも外側に設けると共に、両溝3A,3Bの間隔をL/2よりも大きくしたことにより、1本の溝を設けたもの、2本の溝を設け且つその間隔をL/2以下としたもの、及び3本又はそれ以上の溝を設けたものと比べて、パッドの一次曲げ剛性を高めることができ、固有振動数を大きくして高周波の鳴きを抑制することができる。
また、上記のディスクブレーキパッドP1は、上記構成とすることで、制動中の摩擦熱で発生するパッドのそりによる面圧分布の偏りも小さくなり、これによっても高周波の鳴きを抑制することができ、なお且つ制動中のトルク変動を小さくし得ると共に、パッドの不均一な当たりにより発生するジャダーを防止することができる。
さらに、上記のディスクブレーキパッドP1は、摩擦材1とディスクロータDRとが対向した状態において、各溝3A,3Bが、ディスクロータDRの冷却用フィンFに対して交差する方向に沿って形成してあることから、制動時に発生するパッドとディスクロータDRの自励振動の同期、例えばディスクロータDRにおいて冷却用フィンFの有る部分と無い部分の熱膨張差による厚みの差にパッドが共振することを抑制し、その振動が発生原因となる低周波の異音を大幅に抑制することができる。
さらに、上記のディスクブレーキパッドP1は、摩擦材1の横幅中心Cに対して2本の溝3A,3Bを互いに平行に且つ左右対称に配置したことで、構造上の左右差が無くなってディスクロータDRに対して左右均一に当接することとなり、これにより面圧分布の偏りがより一層小さいものとなり、制動時の停止直前に発生するパッドの自励振動、及び自励振動により発生する鳴きを抑制する効果や、パッドの不均一な当たりにより発生するジャダーを防止する効果をより一層高めることができる。
さらに、上記の如く、摩擦材1の横幅中心Cに対して2本の溝3A,3Bを互いに平行に且つ左右対称に配置したことで、同一の加工ラインで左右の溝3A,3Bを容易に形成することができ、作業性や生産性の向上を図ることができる。
さらに、上記のディスクブレーキパッドP1は、先述したように、溝3A,3Bによって摩擦材1の摩耗粉を除去することができ、この摩耗粉が低周波の異音の原因でもあることから、この摩耗粉の除去機能を有することで低周波異音をより一層抑制し得るものとなる。
図3及び図4は、本発明のディスクブレーキパッドの他の実施形態を示す図である。
図示のディスクブレーキパッドP2は、摩擦材1の摩擦面に2本の溝3A,3Bが形成してあると共に、各溝3A,3Bの少なくとも一部が、キャリパーにおけるピストンPtに対応する範囲と重なっている。
この実施形態における2本の溝3A,3Bは、摩擦材1の横幅中心Cに対して左右対象に配置してあると共に、互いの上端部同士を接近させた状態に内向き傾斜したものとなっており、その大部分が横幅中心Cから左右夫々にL/4の位置A,Aよりも外側に設けてあると共に、少なくとも双方の下端部同士の間隔をL/2よりも大きくしている。
また、摩擦材1とディスクロータとが対向した状態において、各溝3A,3Bがディスクロータの冷却用フィン(図2参照)に対して交差する方向に沿って形成してある。このとき、各溝3A,3Bの傾斜角度は、横幅方向に対して90度から45度の範囲の角度である。
上記のディスクブレーキパッドP2にあっても、先の実施形態と同様の効果を得ることができ、とくに、各溝3A,3Bの少なくとも一部をピストンPtに対応する範囲と重ねた構成とすることで、溝3A,3Bにより摩擦面が三分割された摩擦材1をピストンPtで押圧して、面圧分布の偏りを効果的に緩和することができる。
これにより、ディスクブレーキパッドP2は、ディスクロータに偏り無く当接することとなり、パッドの自励振動、自励振動により発生する高周波の鳴き、及びパッドの不均一な当たりにより発生するジャダーを抑制することができる。
図5は、本発明のディスクブレーキパッドのさらに他の実施形態を示す図である。
図示のディスクブレーキパッドP3は、摩擦材1の摩擦面に2本の溝3A,3Bが形成してあると共に、各溝3A,3Bの少なくとも一部が、キャリパーにおけるピストンPtに対応する範囲と重なっている。
この実施形態における2本の溝3A,3Bは、摩擦材1の横幅中心Cに対して左右対象に配置してあると共に、互いに平行で且つ横幅方向に対して直角に配置したものとなっており、横幅中心Cから左右夫々にL/4の位置A,Aよりも外側に設けてあると共に、双方の間隔をL/2よりも大きくしており、さらに、摩擦材1とディスクロータとが対向した状態において、各溝3A,3Bがディスクロータの冷却用フィン(図2参照)に対して交差する方向に沿って形成してある。
上記のディスクブレーキパッドP3にあっても、先の実施形態と同様の効果を得ることができ、とくに、各溝3A,3Bの少なくとも一部をピストンPtに対応する範囲と重ねた構成とすることで、溝3A,3Bにより摩擦面が三分割された摩擦材1をピストンPtで押圧して、面圧分布の偏りを効果的に緩和することができる。
これにより、ディスクブレーキパッドP3は、ディスクロータに偏り無く当接することとなり、パッドの自励振動、自励振動により発生する高周波の鳴き、及びパッドの不均一な当たりにより発生するジャダーを抑制することができる。
図6は、本発明のディスクブレーキパッドのさらに他の実施形態を示す図である。
図示のディスクブレーキパッドP4は、摩擦材1の摩擦面に2本の溝3A,3Bが形成してあると共に、各溝3A,3Bの少なくとも一部が、キャリパーにおける爪Crに対応する範囲と重なっている。
この実施形態における2本の溝3A,3Bは、摩擦材1の横幅中心Cに対して左右対象に配置してあると共に、互いの上端部同士を接近させた状態に内向き傾斜したものとなっており、その大部分が横幅中心Cから左右夫々にL/4の位置A,Aよりも外側に設けてあると共に、少なくとも双方の下端部同士の間隔をL/2よりも大きくしている。
また、摩擦材1とディスクロータとが対向した状態において、各溝3A,3Bがディスクロータの冷却用フィン(図2参照)に対して交差する方向に沿って形成してある。このとき、各溝3A,3Bの傾斜角度は、横幅方向に対して90度から45度の範囲の角度である。
上記のディスクブレーキパッドP4にあっても、先の実施形態と同様の効果を得ることができ、とくに、各溝3A,3Bの少なくとも一部をキャリパーの爪Crに対応する範囲と重ねた構成とすることで、溝3A,3Bにより摩擦面が三分割された摩擦材1をキャリパーの爪Crで押圧して、面圧分布の偏りを効果的に緩和することができる。
また、各溝3A,3Bを横幅方向に対して傾斜した状態に設けたことにより、キャリパーの爪Crに対応する範囲と重なる面積が大きくなり、摩擦面が三分割された摩擦材1をキャリパーの爪Crでより効果的に押圧して面圧分布の偏りをより一層緩和し得る。
これにより、ディスクブレーキパッドP4は、ディスクロータに偏り無く当接することとなり、パッドの自励振動、自励振動により発生する高周波の鳴き、及びパッドの不均一な当たりにより発生するジャダーを抑制することができる。
図7は、本発明のディスクブレーキパッドのさらに他の実施形態を示す図である。
図示のディスクブレーキパッドP5は、摩擦材1の摩擦面に2本の溝3A,3Bが形成してあると共に、各溝3A,3Bの少なくとも一部が、キャリパーにおける爪Crに対応する範囲と重なっている。
この実施形態における2本の溝3A,3Bは、摩擦材1の横幅中心Cに対して左右対象に配置してあると共に、互いに平行で且つ横幅方向に対して直角に配置したものとなっており、横幅中心Cから左右夫々にL/4の位置A,Aよりも外側に設けてあると共に、双方の間隔をL/2よりも大きくしており、さらに、摩擦材1とディスクロータとが対向した状態において、各溝3A,3Bがディスクロータの冷却用フィン(図2参照)に対して交差する方向に沿って形成してある。
上記のディスクブレーキパッドP5にあっても、先の実施形態と同様の効果を得ることができ、とくに、各溝3A,3Bの少なくとも一部をキャリパーの爪Crに対応する範囲と重ねた構成とすることで、溝3A,3Bにより摩擦面が三分割された摩擦材1をキャリパーの爪Crで押圧して、面圧分布の偏りを効果的に緩和することができる。
これにより、ディスクブレーキパッドP5は、ディスクロータに偏り無く当接することとなり、パッドの自励振動、自励振動により発生する高周波の鳴き、及びパッドの不均一な当たりにより発生するジャダーを抑制することができる。
図8は、本発明のディスクブレーキパッドのさらに他の実施形態を示す図である。
図示のディスクブレーキパッドP6は、摩擦材1の摩擦面に2本の溝3A,3Bが形成してあると共に、各溝3A,3Bの少なくとも一部が、キャリパーにおける爪Crに対応する範囲と重なっている。
この実施形態における2本の溝3A,3Bは、摩擦材1の横幅中心Cに対して左右対象に配置してあると共に、互いの下端部同士を接近させた状態に外向き傾斜したものとなっており、その大部分が横幅中心Cから左右夫々にL/4の位置A,Aよりも外側に設けてあると共に、少なくとも双方の上端部同士の間隔をL/2よりも大きくしている。
また、摩擦材1とディスクロータとが対向した状態において、各溝3A,3Bがディスクロータの冷却用フィン(図2参照)に対して交差する方向に沿って形成してある。このとき、各溝3A,3Bの傾斜角度は、横幅方向に対して90度から45度の範囲の角度である。
上記のディスクブレーキパッドP6にあっても、先の実施形態と同様の効果を得ることができ、とくに、各溝3A,3Bの少なくとも一部をキャリパーの爪Crに対応する範囲と重ねた構成とすることで、溝3A,3Bにより摩擦面が三分割された摩擦材1をキャリパーの爪Crで押圧して、面圧分布の偏りを効果的に緩和することができる。
また、各溝3A,3Bを横幅方向に対して傾斜した状態に設けたことにより、キャリパーの爪Crに対応する範囲と重なる面積が大きくなり、摩擦面が三分割された摩擦材1をキャリパーの爪Crでより効果的に押圧して面圧分布の偏りをより一層緩和し得る。
これにより、ディスクブレーキパッドP6は、ディスクロータに偏り無く当接することとなり、パッドの自励振動、自励振動により発生する高周波の鳴き、及びパッドの不均一な当たりにより発生するジャダーを抑制することができる。
なお、本発明のディスクブレーキパッドは、その構成の細部が上述した各実施形態に限定されるものではなく、特性が異なる摩擦材を使用した場合でも同様の効果を得ることができ、具体的には、例えば非石綿系の摩擦材を用いたパッドのほか、ロールスチールの摩擦材を用いたパッドであっても同様の効果が得られる。
また、上記各実施形態では、シングルピストンを使用したディスクブレーキ用のディスクブレーキパッドを例示したが、ツインピストンを使用したディスクブレーキや、浮動型や固定型のキャリパーを使用したディスクブレーキ等にも当然適用可能である。
実施例1として、図1に示すディスクブレーキパッドパッドP1を作製した。この際、摩擦材1の横幅寸法Lは138mmであり、両溝3A,3Bは、互いに平行で、横幅中心Cの左右夫々にL/4の位置A,Aよりも外側とし、その間隔をL/2よりも大きい80mm(L/2<)とした。
また、比較例1として、図9に示すように、両溝3A,3Bの間隔をL/2よりも小さい50mm(L/2>)としたディスクブレーキパッドP11を、比較例2として、図10に示すように、横幅中心Cに1本の溝3Cを形成したディスクブレーキパッドP12を、比較例3として、図11に示すように、横幅中心Cとその左右に合計3本の溝3A,3B,3Cを互いに平行に形成したディスクブレーキパッドP13を作製した。
そして、上記の実施例1及び比較例1〜3のパッドについて固有振動数を調べた。その結果を表1に示す。
表1から明らかなように、実施例1のディスクブレーキパッドは、比較例1〜3のものと比較して、摩擦材表面の中心部分の剛性が高くなり、そのため一次曲げの固有振動数が高くなる結果となり、このことから、制動時に発生する高周波の鳴きに対して抑制効果があることを確認した。
実施例1のディスクブレーキパッドP1のほか、実施例2として、図5に示すディスクブレーキパッドP3を、実施例3として、図7に示すディスクブレーキパッドP5を、実施例4として、図8に示すディスクブレーキパッドP6を作製した。各パッドにおける溝の間隔、角度及び深さを表2に示す。また、先の比較例1〜3のパッドP11〜P13における溝の配置及び深さを表3に示す。
そして、上記の実施例1〜4及び比較例1〜3の各パッドについて、鳴きダイナモメータ試験機を用いて鳴き評価試験を実施した。この試験では、JASOブレーキ鳴き試験機と、浮動型ディスクブレーキを使用し、キャリパーのインナー側とアウター側に、各実施例1〜4及び比較例1〜3のパッドを組合わせて装着して、各組合せ毎に実施した。そのパッドの組合せと試験結果を表4に示す。
表4から明らかなように、試験No.1及び4は、インナー側(ピストン側)とアウター側(爪側)に本発明の同じ実施例のパッドを用いたものであり、高周波の鳴きの発生率が低い結果となった。また、試験No.2及び3は、インナー側とアウター側に本発明の異なる実施例のパッドを用いたものであり、同様に高周波の鳴きの発生率が低い結果となった。
ただし、インナー側とアウター側に溝の角度が異なるパッドを用いた場合には、溝の角度が同じであるパッドを用いた場合に比べて、高周波の鳴きの発生率が若干高くなることを確認した。
これらの本発明の実施例のパッドを用いた試験に対して、インナー側とアウター側に比較例のパッドを用いた試験No.5〜7、及びインナー側に比較例のパッドを用いるとともにアウター側に実施例のパッドを用いた試験No.8では、高周波の鳴きの発生率が明らかに高いことを確認した。
また、各試験において、溝の深さを変えた場合、鳴き発生率への影響は少ないことが判った。つまり、高周波の鳴きを抑制するには、溝の深さよりも溝の配置が重要であることを確認した。
次に、実施例1、比較例1及び2のディスクブレーキパッドについて、ブレーキダイナモ試験機にて、ブレーキ制動時のトルク変動を測定した。試験は、イナーシャI=14Kgf・m・sec−2でパッドとディスクロータを200回擦り合せた後、下記試験条件の組合せを実施し、2サイクル繰り返し制動後のトルク変動を測定した。
<試験条件>
初速 :160km/h
制動温度:30,100,50,200,250℃
減速度 :2.9m/s−2,3.9m/s−2
制動回数:2回(制動温度30℃),3回(その他の制動温度)
測定結果を表5に示す。
初速 :160km/h
制動温度:30,100,50,200,250℃
減速度 :2.9m/s−2,3.9m/s−2
制動回数:2回(制動温度30℃),3回(その他の制動温度)
測定結果を表5に示す。
表5から明らかなように、実施例1のディスクブレーキパッドは、各条件においてトルク変動の値が小さいものとなっており、これに対して、比較例1及び2のディスクブレーキパッドは、トルク変動の値が大きいことを確認した。
つまり、本発明の実施例1のディスクブレーキパッドは、溝の位置を規定通りに設けたことでパッドの面圧分布の偏りを緩和することができ、これによりブレーキ制動中のトルク変動が小さくなる。そして、上記の測定結果は、本発明のディスクブレーキパッドの効果、すなわちトルク変動により発生するステアリング振動や車体振動を小さくすることができ、制動時に発生するジャダーを抑制し得ることを裏付けるものとなった。
1 摩擦材
2 バックプレート
3A 一方の溝
3B 他方の溝
Cr キャリパーの爪
DR ディスクロータ
F 冷却用フィン
P1〜P6 ディスクブレーキパッド
Pt キャリパーのピストン
2 バックプレート
3A 一方の溝
3B 他方の溝
Cr キャリパーの爪
DR ディスクロータ
F 冷却用フィン
P1〜P6 ディスクブレーキパッド
Pt キャリパーのピストン
Claims (7)
- 自動車用ディスクブレーキのディスクブレーキパッドであって、摩擦材の摩擦面に2本の溝を備え、両溝が、ディスクロータの回転に対応する方向を摩擦材の横幅方向として、その横幅中心の左右に配置してあると共に、横幅寸法をLとしたときに、少なくとも一方の溝が横幅中心からL/4の位置よりも外側に設けてあり、且つ一方及び他方の溝の間隔をL/2よりも大きくすると共に、摩擦材とディスクロータとが対向した状態において、各溝がディスクロータの冷却用フィンに対して交差する方向に沿って形成してあることを特徴とするディスクブレーキパッド。
- 各溝が、摩擦材の横幅方向に対して90度から45度の範囲の角度に沿って形成してあることを特徴とする請求項1に記載のディスクブレーキパッド。
- 各溝の少なくとも一部が、キャリパーにおける爪に対応する範囲と重なっていることを特徴とする請求項1又は2に記載のディスクブレーキパッド。
- 各溝の少なくとも一部が、キャリパーにおけるピストンに対応する範囲と重なっていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のディスクブレーキパッド。
- 両溝が、摩擦材の横幅中心に対して左右対称に設けてあることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のディスクブレーキパッド。
- 両溝が、互いに平行で且つ摩擦材の横幅方向に対して直交する方向に沿って形成してあることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のディスクブレーキパッド。
- 各溝の深さが、摩擦材の厚さをtとして、t−2mm以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のディスクブレーキパッド。
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