JP2004036089A - 木造建築物の断熱構造体 - Google Patents
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Abstract
【課題】施工後に平板状発泡樹脂製断熱材が収縮して隙間が生じても、断熱効果を損ない難い木造建築物の床、壁及び屋根の断熱構造体を提供する。
【解決手段】根太の間、又は、柱や間柱の間、垂木の間に平板状発泡樹脂製断熱材を張り合わせた床断熱構造体、壁断熱構造体及び屋根断熱構造体から選ばれた木造建築物の断熱構造体において、平板状発泡樹脂製断熱材が当接する支持材として長尺状の発泡樹脂製断熱材を根太或いは垂木或いは柱又は間柱に付設すると共に、該長尺状の発泡樹脂製断熱材の幅及び厚みを平板状発泡樹脂製断熱材の厚みよりも厚く形成した木造建築物の断熱構造体。
【選択図】 図2
【解決手段】根太の間、又は、柱や間柱の間、垂木の間に平板状発泡樹脂製断熱材を張り合わせた床断熱構造体、壁断熱構造体及び屋根断熱構造体から選ばれた木造建築物の断熱構造体において、平板状発泡樹脂製断熱材が当接する支持材として長尺状の発泡樹脂製断熱材を根太或いは垂木或いは柱又は間柱に付設すると共に、該長尺状の発泡樹脂製断熱材の幅及び厚みを平板状発泡樹脂製断熱材の厚みよりも厚く形成した木造建築物の断熱構造体。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、木造建築物における床、壁及び屋根の断熱構造体に関するものであり、特に、施工後に時間が経過して平板状発泡樹脂製断熱材等が収縮しても断熱性能が損なわれ難い、木造建築物における床、壁及び屋根の断熱構造体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の木造建築物の断熱構造体25としては、図11、図12及び図13に示す様な、床断熱構造体30や、図14に示す様な、壁断熱構造体33等が知られている。
上記図11及び図12に示す様な、従来の床断熱構造体30は、根太5,5’に架けられたΩ型の金具31によって発泡樹脂製ボード等の平板状発泡樹脂製断熱材8を吊して、根太5と根太5’との間に平板状発泡樹脂製断熱材8を敷設した後、その上に捨て板等の床下張り材9を敷設し、更に、その上からフローリング等の床仕上げ材10を敷設することによって施工された構造のものとなっいる。
また、図14に示す様な、従来の壁断熱構造体33は、間柱15と間柱15’とに架けたΩ型の金具31に止めて平板状発泡樹脂製断熱材8を間柱15と間柱15’との間に配置した後、構造合板等の内壁下張り材16を釘25等により打ち付け、その壁断熱構造体33の裏面側の柱14又は間柱15に構造用合板等の外壁下張り材17を釘25等により打ち付けることによって施工された構造のものが使用されている。
【0003】
しかし、上記床断熱構造体30の様に、根太5,5’に架けられたΩ型の金具31によって発泡樹脂製ボード等の平板状発泡樹脂製断熱材4を吊して、根太5と根太5’との間に平板状発泡樹脂製断熱材8を配置するだけでは、平板状発泡樹脂製断熱材8が下方側から十分に支持された状態となっていないので、平板状発泡樹脂製断熱材8が折れ曲がったり、平板状発泡樹脂製断熱材8の欠けによる平板状発泡樹脂製断熱材8の落下が生じたりするので、床の断熱構造体30の断熱効果が著しく損なわれてしまうことがあった。
それ故、図13に示す様に、根太5の側面部5aに木製の桟木32を釘25により打ち付けて、この木製の桟木32で平板状発泡樹脂製断熱材8の外側周囲8aの下側部分を受けて、平板状発泡樹脂製断熱材8が折れ曲がったり、平板状発泡樹脂製断熱材8が落下するのを防止して断熱効果が損なわれないようにする施工方法も実際に行われていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このような平板状発泡樹脂製断熱材8を下方側から受ける木製の桟木32が釘25により打ち付けられたものであることから、平板状発泡樹脂製断熱材8が折れ曲がったり、平板状発泡樹脂製断熱材8が落下するのを防止することができるようにはなるが、木造建築の施工後、時間の経過によって、根太5,5’自体が収縮したり、根太5と根太5’の間に敷設された発泡樹脂製ボード等の平板状発泡樹脂製断熱材8自体が収縮することから、根太5と平板状発泡樹脂製断熱材8との間に図13に示す様な隙間12が生じて、この隙間12から家屋内部の空気が逃げたり、外部の空気が流入したりして、断熱性能が低下したり、或いは、根太5や木製の桟木32自体も断熱性能がそれ程良好であるとは言えないことから、木材を通して伝熱が生じるので、断熱効果を顕著に高めるには限界があった。
【0005】
一方、近年、地球の温暖化防止の観点から、炭酸ガスの放出を極力減少させるために、より一層の省エネルギー化を行うことが求められるようになり、我が国の木造住宅の外気に接する部分の床断熱材においては、東京・大阪地区においても50〜25mm程度の厚みのものが、更に、東北地区では85〜50mm程度の厚みのものが要求されるようになった。
しかし、この様に厚く敷設した平板状発泡樹脂製断熱材8も、上記の如き平板状発泡樹脂製断熱材8自体の収縮等により根太5と平板状発泡樹脂製断熱材8との間に隙間12が生じたりすれば、断熱効果が著しく損なわれてしまうので、より気密性の高い高度な木造建築の施工技術が求められるようになった。
また、上記従来の木造建築の床断熱構造体30と同様に、従来の木造建築の壁断熱構造体33においても、平板状発泡樹脂製断熱材8自体の収縮等による柱14や間柱15と平板状発泡樹脂製断熱材8との間に生じる隙間12によって断熱効果の低下が起こるので、より一層の省エネルギー化が求められるようになり、より気密性の高い高度の木造建築の壁断熱構造体の施工技術が求められている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記問題点に鑑み鋭意研究を重ねた結果、平板状発泡樹脂製断熱材の外側周囲部分が当接する支持材として長尺状の発泡樹脂製断熱材を用い、該長尺状の発泡樹脂製断熱材の幅及び厚みが前記平板状発泡樹脂製断熱材の厚みよりも大きなものを用いると共に、その長尺状の発泡樹脂製断熱材を根太或いは柱又は間柱或いは垂木の側面部に付設して、前記平板状発泡樹脂製断熱材の外側周囲部分と密着させることにより、平板状発泡樹脂製断熱材と長尺状の発泡樹脂製断熱材との間に隙間を生じ難くして、発泡樹脂製断熱材の断熱層の厚みが何れの部分においても確保されるように形成することによって、施工後に断熱材が収縮しても発泡樹脂製断熱材の厚みの断熱層が確保されていて、断熱性能が損なわれ難い木造建築物における床、壁及び屋根の断熱構造体とすることができるとの知見に基づき本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明の木造建築物の断熱構造体は、根太と根太との間に平板状発泡樹脂製断熱材を充填して床材を敷設した床断熱構造体、或いは、柱と柱との間に又は柱と間柱との間に平板状発泡樹脂製断熱材を充填して内壁材及び外壁材を設けた壁断熱構造体、或いは、垂木と垂木との間に平板状発泡樹脂製断熱材を充填して屋根材を敷設した屋根断熱構造体から選ばれた木造建築物の断熱構造体において、前記床断熱構造体或いは壁断熱構造体或いは屋根断熱構造体における平板状発泡樹脂製断熱材の外側周囲部分が当接する支持材として長尺状の発泡樹脂製断熱材を用い、該長尺状の発泡樹脂製断熱材の幅及び厚みが前記平板状発泡樹脂製断熱材の厚みよりも厚く形成したものを用いると共に、その長尺状の発泡樹脂製断熱材を根太或いは柱又は間柱或いは垂木の側面部に付設して、この長尺状の発泡樹脂製断熱材に前記平板状発泡樹脂製断熱材の外側周囲部分を当接すること、を特徴とするものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
[I] 木造建築物の断熱構造体
(1) 基本構造
本発明における木造建築物の断熱構造体1としては、具体的には、図1〜5に示す様な床断熱構造体2と、図6〜8に示す様な壁断熱構造体3と、図9〜10に示す様な屋根断熱構造体4とが有る。
【0008】
(2) 床断熱構造体
(A) 構 造
本発明の木造建築物の断熱構造体1における床断熱構造体2としては、図1に示す様に、根太5及び隣接する根太5’と、これら根太5,5’の側面部5a,5’aにそれぞれ釘25等により打ち付けられた長尺状の発泡樹脂製断熱材6,よりなる支持材7,7’と、これら支持材7,7’との間に、平板状発泡樹脂製断熱材8の外側周囲部分8aが長尺状の発泡樹脂製断熱材6よりなる支持材7,7’の上面7a,7’aに当接して敷設した平板状発泡樹脂製断熱材8と、これら根太5,5’及び平板状発泡樹脂製断熱材8の上面に敷設された床下張り材9と、該床下張り材9の上面に敷設された床仕上げ材10とからなる床材とにより構成されるものであり、前記支持材7,7’として用いた長尺状の発泡樹脂製断熱材6の幅6w及び厚み6dが、前記平板状発泡樹脂製断熱材8の厚み8dよりも厚く形成したものである。
【0009】
(B) 構成部材
(a) 根太
上記床断熱構造体2を構成する根太5,5’としては、木造建築物の床構造の構造材として用いられている大引11の上に配設された木製の根太5,5’である。
【0010】
(b) 支持材
上記床断熱構造体2を構成する支持材7,7’(長尺状の発泡樹脂製断熱材6)としては、上記根太5,5’の側面部5a,5’aに釘5等により打ち付けられて付設されるものであり、支持材7,7’の長尺状の発泡樹脂製断熱材6として使用される素材としては平板状発泡樹脂製断熱材8とほぼ同等の素材の発泡樹脂製断熱材が用いられる。
形 状
該支持材7,7’の形状は、長さが一般に1〜5m、好ましくは1.8〜3mの長尺状の発泡樹脂製断熱材6である。
また、該支持材7,7’は、図2に示す様に、その長尺状の発泡樹脂製断熱材6の幅6w及び厚み6dが平板状発泡樹脂製断熱材8の厚み8dよりも平板状発泡樹脂製断熱材8が収縮する分の長さ8s以上に予め0.1mm以上、好ましくは1〜5mm厚く形成したものを用いる必要がある。
具体的には、平板状発泡樹脂製断熱材8が収縮する分8sが、通常1〜3mm程度であることから、支持材7,7’の長尺状の発泡樹脂製断熱材6の幅6wが一般に6〜225mm、好ましくは10〜220mm、厚み6dが一般に6〜225mm、好ましくは10〜220mm、長さ6Lが一般に100〜5000mm、好ましくは180〜3000mmのものが用いられる。
これら支持材7,7’の上面7a,7’aが平坦に形成されて、後記平板状発泡樹脂製断熱材8の外側周囲部分8aと密着させることができるようになっている。
【0011】
(c) 平板状発泡樹脂製断熱材
上記床断熱構造体2を構成する平板状発泡樹脂製断熱材8としては、上記根太5と隣接する根太5’との間の上記支持材7,7’の上面7a,7’a上に当接して敷設されて、支持材7,7’と密着されることにより気密性を保つことができる。
形 状
平板状発泡樹脂製断熱材8は、図3に示す様な、平板状の発泡樹脂製断熱材8を用いるのが一般的であるが、図4に示す様な、中央部に切り込み部8’aが形成された屈曲板状断熱材8’を用いて、根太5と根太5’の間に配置した後、該屈曲板状断熱材8’の切り込み部8’a側を押圧すれば、図5に示す様に、平板状に変形することができることから、根太5と平板状発泡樹脂製断熱材8との隙間12を著しく少なくして敷設することができるから好ましい。
上記平板状発泡樹脂製断熱材8の大きさは、長さ8Lが一般に500〜3000mm、好ましくは700〜1820mmで、幅8wが一般に250〜500mm、好ましくは250〜450mmで、厚さ8dが一般に5〜220mm、好ましくは10〜220mmのものを用いるのが一般的である。
素 材
平板状発泡樹脂製断熱材8の素材としては、後記発泡樹脂を原料素材として用いて製造されたものである。
【0012】
(d) 床下張り材(床材)
上記平板状発泡樹脂製断熱材8を敷設した上に、厚さ12mm程度の合板等からなる捨て板を敷設し、釘打ちすることにより床下張り材9が完成する。
【0013】
(e) 床仕上げ材(床材)
上記床下張り材9を敷設した上に、銘木合板等のフローリング材やCFシートやカーペットや畳等の床仕上げ材10を敷設することによって床断熱構造体2が完成する。
【0014】
(C) 断熱効果
上記床断熱構造体2とすることにより、建築時に使用した木材が乾燥したり、使用した平板状発泡樹脂製断熱材8中の揮発性ガス放出によって平板状発泡樹脂製断熱材8自体が収縮して、根太5と平板状発泡樹脂製断熱材8との間に隙間12が生じたとしても、図2に示す様に、支持材7として用いた長尺状の発泡樹脂製断熱材6の幅6wを、長尺状の発泡樹脂製断熱材6の平板状発泡樹脂製断熱材8と接する長さ6uが平板状発泡樹脂製断熱材8の厚み8dに平板状発泡樹脂製断熱材8が収縮する長さ8s分を加えた以上の長さのものを用いることにより、例え平板状発泡樹脂製断熱材8が収縮して隙間12ができても、該隙間12の外気に最も近い部分12aにおいても外気13と接するまでの距離13u(長尺状の発泡樹脂製断熱材の平板状発泡樹脂製断熱材と接する長さ6u)が平板状発泡樹脂製断熱材6の厚み6dよりも大きければ平板状発泡樹脂製断熱材8自体の厚み8d分以上の断熱効果を得ることができる。
【0015】
(3) 壁断熱構造体
(A) 構 造
本発明の木造建築物の断熱構造体1における壁断熱構造体3としては、図6に示す様に、柱14又は間柱15及び隣接する柱14’又は間柱15’と、該柱14又は間柱15及び隣接する柱14’又は間柱15’が互いに隣り合った側15a,15b及び15’a,15’bに釘5等により打ち付けた長尺状の発泡樹脂製断熱材6,6’よりなる支持材7,7’と、該長尺状の発泡樹脂製断熱材6,6’よりなる支持材7,7’に外側周囲部分8aを当接して貼り合わされた平板状発泡樹脂製断熱材8と、該平板状発泡樹脂製断熱材8を貼り合わせた側の柱14又は間柱15と隣り合った柱14’又は間柱15’との間に釘5等により打ち付けられた内壁材16と、前記平板状発泡樹脂製断熱材8を貼り合わせた側と反対側の柱14又は間柱15と隣り合った柱14’又は間柱15’との間に釘5等により打ち付けられた外壁材17とから構成されるものであり、前記支持材7,7’として用いた長尺状の発泡樹脂製断熱材6,6’の幅6w及び厚み6dが、前記平板状発泡樹脂製断熱材8の厚み8dよりも厚く形成したものである。
【0016】
(B) 構成部材
(a) 柱又は間柱
上記壁断熱構造体3を構成する柱14又は間柱15及び隣接する柱14’又は間柱15’としては、木造建築物の壁構造の構造材として用いられている木製の柱14又は間柱15及び隣接する柱14’又は間柱15’である。
【0017】
(b) 支持材
上記壁断熱構造体3を構成する支持材7,7’(長尺状の発泡樹脂製断熱材6)としては、上記柱14又は間柱15及び隣接する柱14’又は間柱15’の該柱14又は間柱15が互いに隣り合った側15a,15b及び15’a,15’bに釘5等により打ち付けられて付設されるものであり、支持材7として使用される素材としては平板状発泡樹脂製断熱材8とほぼ同等の素材の発泡樹脂製断熱材が用いられる。
形 状
該支持材7,7’の形状は、長さが一般に1〜5m、好ましくは1.8〜3mの長尺状の発泡樹脂製断熱材6である。
また、該支持材7,7’は、図7に示す様に、その長尺状の発泡樹脂製断熱材6の幅6w及び厚み6dが平板状発泡樹脂製断熱材8の厚み8dよりも平板状発泡樹脂製断熱材8が収縮する分の長さ8s以上に予め0.1mm以上、好ましくは1〜5mm厚く形成したものを用いる必要がある。
具体的には、平板状発泡樹脂製断熱材8の収縮する分の長さ8sが、通常1〜3mm程度であることから、支持材7,7’の長尺状の発泡樹脂製断熱材6の幅6wが一般に16〜191mm、好ましくは20〜195mm、厚み6dが一般に16〜195mm、好ましくは20〜191mm、長さ6Lが一般に100〜5000mm、好ましくは180〜3000mmのものが用いられる。
これら支持材7,7’の内壁側面7b,7’bが平坦に形成されて、後記平板状発泡樹脂製断熱材8の外側周囲部分8aと密着させることができるようになっている。
【0018】
(c) 平板状発泡樹脂製断熱材
上記壁断熱構造体3を構成する平板状発泡樹脂製断熱材8としては、上記柱14又は間柱15との間の上記支持材7,7’の内壁側面7b,7’bに当接して、支持材7,7’と密着させて貼り合わせることにより気密性を高めることができる。
形 状
平板状発泡樹脂製断熱材8の大きさは、長さ8Lが一般に500〜2000mm、好ましくは700〜1820mmで、幅8wが一般に250〜500mm、好ましくは250〜450mmで、厚さ8dが一般に15〜200mm、好ましくは20〜150mmのものである。
素 材
平板状発泡樹脂製断熱材8の素材としては後記発泡樹脂を原料素材として用いて製造されたものである。
【0019】
(d) 内壁下張り材
上記平板状発泡樹脂製断熱材8を貼り合わせた上に、厚さ8〜12mm程度の合板や石膏ボード等からなる内壁下張り材16を貼って釘打ちすることにより壁18の下地が完成する。
【0020】
(e) 内壁仕上げ材
木造建築物の壁18の内側18aにおいては、上記壁下張り材16を貼った上に、銘木合板、壁紙、クロス、モルタル、タイル等の内壁仕上げ材19を貼り合わせる。
【0021】
(f) 外壁下張り材
上記平板状発泡樹脂製断熱材8を貼り合わせた上に、厚さ8〜12mm程度の構造合板からなる外壁下張り材17を貼って釘打ちすることにより壁18の下地が完成する。
【0022】
(g) 外壁仕上げ材
木造建築物の壁18の風雨にさらされる外側18bにおいては、上記外壁下張り材17を貼った上に、防水膜20を貼ってラス網21を張り、その上にモルタル22を塗り、タイルを貼ったり、吹き付け塗装することにより防火壁としたり、防水膜を貼った後にアルミニウムや塗装鉄板の様な金属板、或いは、窯業セメント系サイジング材よりなる外壁仕上げ材23を施工することにより壁18が完成する。
【0023】
(C) 断熱効果
上記壁断熱構造体3とすることにより、建築時に使用した木材が乾燥したり、使用した平板状発泡樹脂製断熱材8中の揮発性ガス放出によって平板状発泡樹脂製断熱材8自体が収縮して、柱14又は間柱15と平板状発泡樹脂製断熱材8との間に隙間12が生じたとしても、図7に示す様に、支持材7として用いた長尺状の発泡樹脂製断熱材6の幅6wを、長尺状の発泡樹脂製断熱材6の平板状発泡樹脂製断熱材8と接する長さ6uが平板状発泡樹脂製断熱材8の厚み8dに平板状発泡樹脂製断熱材8が収縮する長さ8s分を加えた以上の長さのものを用いることにより、例え平板状発泡樹脂製断熱材8が収縮して隙間12ができても、該隙間12の外気に最も近い部分12aにおいても外気13と接するまでの距離13u(長尺状の発泡樹脂製断熱材の平板状発泡樹脂製断熱材と接する長さ6u)が平板状発泡樹脂製断熱材6の厚み6dよりも大きければ平板状発泡樹脂製断熱材8自体の厚み8d分以上の断熱効果を得ることができる。
【0024】
(4) 屋根断熱構造体
(A) 構 造
本発明の木造建築物の断熱構造体1における屋根断熱構造体4としては、図9及び10に示す様に、垂木24及び隣接する垂木24’と、これら垂木24,24’の側面部24a,24’aに釘25等により打ち付けられた長尺状の発泡樹脂製断熱材6よりなる支持材7,7’と、これら支持材7,7’との間に、平板状発泡樹脂製断熱材8の外側周囲部分8aが長尺状の発泡樹脂製断熱材6よりなる支持材7,7’の上面7a,7’aに当接して敷設した平板状発泡樹脂製断熱材8と、これら垂木24,24’及び平板状発泡樹脂製断熱材8の上面に敷設された屋根下張り材26と、該屋根下張り材26の上面に敷設された屋根仕上げ材27とからなる屋根材28とにより構成されるものであり、前記支持材7,7’として用いた長尺状の発泡樹脂製断熱材6の幅6w及び厚み6dが、前記平板状発泡樹脂製断熱材8の厚み8dよりも厚く形成したものである。
【0025】
(B) 構成部材
(a) 垂 木
上記屋根断熱構造体2を構成する垂木24,24’としては、木造建築物の屋根構造の構造材として用いられている母屋29の上に配設された木製の垂木24,24’である。
【0026】
(b) 支持材
上記屋根断熱構造体4を構成する支持材7,7’(長尺状の発泡樹脂製断熱材6)としては、上記垂木24,24’の側面部24a,24’aに釘25等により打ち付けられて付設されるものであり、支持材7,7’の長尺状の発泡樹脂製断熱材6として使用される素材としては平板状発泡樹脂製断熱材8とほぼ同等の素材の発泡樹脂製断熱材が用いられる。
形 状
該支持材7,7’の形状は、長さが一般に1〜5m、好ましくは1.8〜3mの長尺状の発泡樹脂製断熱材6である。
また、該支持材7,7’は、図9に示す様に、その長尺状の発泡樹脂製断熱材6の幅6w及び厚み6dが平板状発泡樹脂製断熱材8の厚み8dよりも平板状発泡樹脂製断熱材8が収縮する分の長さ8s以上に予め0.1mm以上、好ましくは1〜5mm厚く形成したものを用いる必要がある。
具体的には、平板状発泡樹脂製断熱材8が収縮する分8sが、通常1〜3mm程度であることから、支持材7,7’の長尺状の発泡樹脂製断熱材6の幅6wが一般に6〜225mm、好ましくは10〜220mm、厚み6dが一般に6〜225mm、好ましくは10〜220mm、長さ6Lが一般に100〜5000mm、好ましくは180〜3000mmのものが用いられる。
これら支持材7,7’の上面7a,7’aが平坦に形成されて、後記平板状発泡樹脂製断熱材8の外側周囲部分8aと密着させることができるようになっている。
【0027】
(c) 平板状発泡樹脂製断熱材
上記屋根断熱構造体を構成する平板状発泡樹脂製断熱材8としては、上記垂木24と隣接する垂木24’との間の上記支持材7,7’の上面7a,7’a上に当接して敷設されて、支持材7,7’と密着されることにより気密性を保つことができる。
形 状
平板状発泡樹脂製断熱材8は、図10に示す様な、平板状の発泡樹脂製断熱材8を用いるのが一般的であるが、図4に示す様な、中央部に切り込み部8’aが形成された屈曲板状断熱材8’を用いて、垂木24と垂木24’の間に配置した後、該屈曲板状断熱材8’の切り込み部8’a側を押圧すれば、平板状に変形することができることから、垂木と平板状発泡樹脂製断熱材8との隙間12を著しく少なくして敷設することができるから好ましい。
上記平板状発泡樹脂製断熱材8の大きさは、長さ8Lが一般に500〜3000mm、好ましくは700〜1820mmで、幅8wが一般に250〜500mm、好ましくは250〜450mmで、厚さ8dが一般に5〜220mm、好ましくは10〜220mmのものを用いるのが一般的である。
素 材
平板状発泡樹脂製断熱材8の素材としては、後記発泡樹脂を原料素材として用いて製造されたものである。
【0028】
(d) 屋根下張り材
上記平板状発泡樹脂製断熱材8を敷設した上に、合板を釘打ちし、厚さ1〜3mm程度の防水シートを敷設することにより床下張り材26が完成する。
【0029】
(e) 屋根仕上げ材
上記屋根下張り材26を敷設した上に、瓦やアスベスト等の床仕上げ材27を敷設することによって屋根断熱構造体4が完成する。
【0030】
(C) 断熱効果
上記屋根断熱構造体4とすることにより、建築時に使用した木材が乾燥したり、使用した平板状発泡樹脂製断熱材8中の揮発性ガス放出によって平板状発泡樹脂製断熱材8自体が収縮して、垂木と平板状発泡樹脂製断熱材8との間に隙間12が生じたとしても、図9に示す様に、支持材7として用いた長尺状の発泡樹脂製断熱材6の幅6wを、長尺状の発泡樹脂製断熱材6の平板状発泡樹脂製断熱材8と接する長さ6uが平板状発泡樹脂製断熱材8の厚み8dに平板状発泡樹脂製断熱材8が収縮する長さ8s分を加えた以上の長さのものを用いることにより、例え平板状発泡樹脂製断熱材8が収縮して隙間12ができても、該隙間12の外気に最も近い部分12aにおいても外気13と接するまでの距離13u(長尺状の発泡樹脂製断熱材の平板状発泡樹脂製断熱材と接する長さ6u)が平板状発泡樹脂製断熱材6の厚み6dよりも大きければ平板状発泡樹脂製断熱材8自体の厚み8d分以上の断熱効果を得ることができる。
【0031】
(5) 原料素材
上記本発明の木造建築物の断熱構造体1における床断熱構造体2及び壁断熱構造体3及び屋根断熱構造体4において主たる材料として用いられる発泡樹脂製断熱材としては、以下に示す性状及び熱伝導率を示す発泡樹脂である。
(A) 発泡樹脂
上記発泡樹脂製断熱材1に用いられる発泡樹脂としては、スチレン樹脂発泡体、エチレン・スチレン共重合樹脂発泡体等のスチレン系樹脂発泡体、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂発泡体、硬質ポリウレタン発泡体、フェノール系樹脂発泡体、或いは、スチレン改質ポリオレフィン系樹脂発泡体等の合成樹脂発泡体を挙げることができる。
これらの中でもスチレン系樹脂発泡体、更にスチレン樹脂発泡体を用いることが好ましい。
また、経済的、環境的な観点から、上記スチレン系樹脂発泡体には、スチレン系樹脂発泡体のリサイクル材を80重量%以下、好ましくは15〜50重量%、特に好ましくは20〜45重量%の割合で含有したスチレン系樹脂発泡体であることが好ましい。
上記スチレン系樹脂発泡体のリサイクル材としては、以前にスチレン系樹脂発泡体として使用された後に回収したスチレン系樹脂発泡体、或いは、製造工程中で廃材となり、回収されたスチレン系樹脂発泡体等を挙げることができる。
特に特表2001−525001号公報に記載されるグラファイト粒子を0.05〜25重量%、好ましくは2〜8重量%含有するスチレン系樹脂発泡体が好ましい。
具体的には、1〜50μm、好ましくは2.5〜12μmの平均粒径、100〜500g/リットルの嵩密度、5〜20m2/gの比表面積のグラファイト粒子を含有するスチレン系樹脂発泡体を挙げることができる。
【0032】
(B) 性 状
上記合成樹脂発泡体は、合成樹脂粒子の発泡倍率が一般に20〜150倍に、好ましくは25〜125倍に発泡させたもので、通常、密度が0.0067〜0.05g/cm3、好ましくは0.008〜0.040g/cm3のものであり、これは発泡倍率が20倍未満のものや150倍を超えるものは熱伝導倍率が高くなる傾向がある。特に独立気泡率の高い発泡体であることが好ましい。
【0033】
(C) 熱伝導率
この様な発泡樹脂製断熱材は、一般に熱伝導率が0.060W/m・k以下、好ましくは0.020〜0.050W/m・kのものである。
【0034】
【実施例】
以下に示す実施例及び比較例によって、本発明を更に具体的に説明する。
[I] 評価方法
(1) 熱伝導率
熱伝導率は、JIS−A−1420に準拠した簡易構成熱箱に平板状発泡樹脂製断熱材3枚を隙間無く施工し、JIS−A−1420に準拠して熱貫流率より測定することができる。
(2) 平板状発泡樹脂製断熱材の収縮率
平板状発泡樹脂製断熱材の収縮率は、455mm間隔で配置された根太間に平板状発泡樹脂製断熱材を敷設し、更にその上に捨て板、フローリング材を敷設し、それを室温で半年間放置して解体し、根太と断熱材との隙間を測定することによって測定することができる。
【0035】
[II] 実施例及び比較例
実施例1
発泡樹脂製断熱材の製造
BASF社製のグラファイト粒子を含有する発泡性ポリスチレン樹脂(商品名「Neopor」)を原料として用いてダイセン(株)製発泡ポリスチレン用バッチ式予備発泡機「DYH−1000」を使用して予備発泡し、発泡比重15kg/m3の予備発泡粒子を得た。
次に、ダイセン(株)製発泡ポリスチレン用型物成型機にて成形を実施し、成形品比重15kg/m3の図3に示す様な455タイプの平板状発泡樹脂製断熱材を得た。
支持材の製造
更に、上記同一の予備発泡粒子を用いて、ダイセン(株)製発泡型スチレン用型物成型機にて成形を実施し、幅3cm、高さ3cm、長さ182cmの大きさの長尺状の発泡樹脂製断熱材からなる支持材を製造した。
【0036】
発泡樹脂製断熱材の敷設
上記支持材を455mm間隔で配置された根太の側面部に釘で打ち付けた後、この支持材上に上記455タイプの平板状発泡樹脂製断熱材を敷設した。
床断熱構造体の形成
上記455タイプの平板状発泡樹脂製断熱材の上に幅91cm、長さ182cm、厚さ12mmの捨て板を敷設して、更にその上に、厚さ12mmのフローリング材を敷設することにより本発明の木造建築用の床断熱構造体を形成した。
その床を半年間室温にて放置した後、解体し、断熱材と根太との隙間を測定した。
更に、JIS−A−1420に準拠した簡易構成熱箱に本発明の平板状発泡樹脂製断熱材3枚を隙間無く施工して床模型施工性試験を行い、JIS−A−1420に準拠して熱貫流率より熱伝導を測定した。
その結果を表1に示す。
【0037】
実施例2
実施例1にて使用した455タイプの平板状発泡樹脂製断熱材を、図4及び図5に示す様な、中央部に切り込み部8’aが形成された屈曲板状断熱材8’に変更した以外は、実施例1と同様に実施した。
その結果を表1に示す。
【0038】
実施例3
三菱化学フォームプラスティック(株)製の発泡性ポリスチレン樹脂(商品名「JFN200」)を原料として用いて実施例1と同様に発泡成形し成形品比重15kg/m3の図3に示す様な455タイプの平板状発泡樹脂製断熱材を得た。
この平板状発泡樹脂製断熱材を実施例1と同様に床模型施工性試験と熱伝導を測定した。
その結果を表1に示す。
【0039】
実施例4
壁断熱構造体の形成
実施例1で製造した455タイプの平板状発泡樹脂製断熱材を使用し、実施例1で製造した長尺状の発泡樹脂製断熱材からなる支持材を使用して、455mm間隔で配置された間柱の側面部に支持材を釘で打ち付けた後、この支持材上に上記455タイプの平板状発泡樹脂製断熱材を配置した。
そして、上記455タイプの平板状発泡樹脂製断熱材の上に貼って、その上から幅91cm、長さ182cm、厚さ12mmの合板よりなる内壁下張り材を貼り、間柱に釘打ちした。また、その反対側の間柱に幅91cm、長さ182cm、厚さ12mmの合板よりなる外壁下張り材を貼って釘打ちした。
更に、上記内壁下張り材及び外壁下張り材上に、図6に示す様な内壁仕上げ材及び外壁仕上げ材を施工して木造建築用の壁断熱構造体を形成した。
評 価
更に、JIS−A−1420に準拠した簡易構成熱箱に本発明の平板状発泡樹脂製断熱材3枚を隙間無く施工し、JIS−A−1420に準拠して熱貫流率より熱伝導を測定した。
その結果を表1に示す。
【0040】
実施例5
実施例4にて使用した455タイプの平板状発泡樹脂製断熱材を、図4及び図5に示す様な、中央部に切り込み部8’aが形成された屈曲板状断熱材8’に変更した以外は、実施例4と同様に実施した。
その結果を表1に示す。
【0041】
実施例6
実施例3の三菱化学フォームプラスティック(株)製の発泡性ポリスチレン樹脂(商品名「JFN200」)を原料として用いて製造した455タイプの平板状発泡樹脂製断熱材を用いて、実施例3と同様にして木造建築用の壁断熱構造体を形成した。
その結果を表1に示す。
【0042】
実施例7
屋根天井断熱構造体の形成
実施例1にて製造した平板状発泡樹脂製断熱材を使用し、実施例1にて製造した長尺状の発泡樹脂製断熱材からなる支持材を使用して、455mm間隔で配置された垂木の側面部に支持材を釘で打ち付けた後、この支持材上に上記455タイプの平板状発泡樹脂製断熱材を配置した。
そして、上記455タイプの平板状発泡樹脂製断熱材の上に幅91cm、長さ182cm、厚さ12mmの合板よりなる屋根下地材を貼り、垂木に釘打ちして本発明の木造建築用の屋根天井断熱構造体を形成した。
評 価
その屋根を半年間室温にて放置させた後、解体して垂木との隙間を測定した。更に、JIS−A−1420に準拠した簡易構成熱箱に本発明の平板状発泡樹脂製断熱材3枚を隙間無く施工し、JIS−A−1420に準拠して熱貫流率より熱伝導を測定した。
その結果を表1に示す。
【0043】
実施例8〜9
実施例2及び3にて製造した平板状発泡樹脂製断熱材を使用した以外は、実施例7と同様に屋根天井断熱構造体として実施した。
その結果を表1に示す。
【0044】
実施例10
三菱化学フォームプラスティック(株)製の発泡性ポリスチレン樹脂(商品名「JFN200」)を原料として用いて、実施例1と同様に予備発泡し、発泡比重15kg/m3の予備発泡粒子を得た。
次に、この予備発泡粒子に成形品比重15kg/m3の縦15mm×横15mm×高さ15mmの立方体の成形品を45重量%添加したものをダイセン(株)製発泡ポリスチレン用ブロック成形機にて成形し1830mm×920mm×420mmのブロック成形品を得た。
次に、これをカットして図3に示す様な455タイプの平板状発泡樹脂製断熱材を得た。
更に、上記ブロックをカットして、幅3cm×高さ3cm×長さ182cmの長尺状の発泡樹脂製断熱材からなる支持材を製造した。
この平板状発泡樹脂製断熱材を実施例1と同様に床断熱構造体とし、実施例1と同様に床模型施工性試験と熱伝導を測定した。
その結果を表1に示す。
【0045】
実施例11
実施例10の予備発泡粒子に添加される成形品を、15kg/m3の成形品を粉砕して得られた不定形の粉砕品に変更し、20重量%添加した以外は実施例7と同様に実施した。
その結果を表1に示す。
【0046】
比較例1〜3
実施例1にて使用した455タイプの平板状発泡樹脂製断熱材をΩ型の金具を用いて、455mm間隔で配置された根太の間に吊して敷設し、実施例1と同様に床模型施工性試験を実施した結果、根太と断熱材との隙間が3mmであった。更に、JIS−A−1420に準拠した簡易構成熱箱に本発明の平板状発泡樹脂製断熱材3枚の隙間を3mm開けて施工し、JIS−A−1420に準拠して熱貫流率より熱伝導を測定した。
その結果を表1に示す。
【0047】
比較例2〜3
実施例2及び3の床構造体を、比較例1のΩ型の金具を用いて、455タイプの平板状発泡樹脂製断熱材を吊して敷設した以外は、実施例2及び3と同様に実施した。
その結果を表1に示す。
【0048】
【表1】
【0049】
【発明の効果】
このような本発明の木造建築物の床、壁及び屋根の断熱構造体は、施工後の時間の経過によって、根太や柱や垂木自体が収縮したり、根太と根太の間や柱と柱の間や垂木と垂木の間に敷設された平板状発泡樹脂製断熱材等が収縮して、根太や柱や垂木と平板状発泡樹脂製断熱材との間に隙間が生じても、この隙間から内部の空気が逃げたり、外部の空気が流入したり、隙間が生じることによる外気との距離の短縮による熱の放出を回避して、平板状発泡樹脂製断熱材の厚み分の断熱性能を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明実施例の床断熱構造体の断面図である。
【図2】図2は、図1の根太付近部分の拡大断面図である。
【図3】図3は、根太と根太の間に平板状発泡樹脂製断熱材を敷設する前の床断熱構造体の斜視図である。
【図4】図4は、発泡樹脂製屈曲板状断熱材を敷設する前の本発明の床断熱構造体の斜視図である。
【図5】図5は、図4の発泡樹脂製屈曲板状断熱材敷設後の本発明の床断熱構造体の断面図である。
【図6】図6は、本発明実施例の壁断熱構造体の断面図である。
【図7】図7は、図6の間柱付近部分の拡大断面図である。
【図8】図8は、間柱と間柱との間に平板状発泡樹脂製断熱材を配設する前の壁断熱構造体の一部切り欠き斜視図である。
【図9】図9は、本発明実施例の屋根断熱構造体の垂木付近部分の断面図である。
【図10】図10は、垂木と垂木との間に平板状発泡樹脂製断熱材を配設する前の屋根断熱構造体の一部切り欠き斜視図である。
【図11】図11は、Ω型の金具を根太に架けることによって断熱材を吊して敷設した従来の木造建築物における床の断熱構造体の斜視図である。
【図12】図12は、Ω型の金具を根太に架けることによって断熱材を吊して敷設した従来の木造建築物における床断熱構造体の断面図である。
【図13】図13は、木製の桟木を根太に釘打ちして平板状発泡樹脂製断熱材を支持した従来の木造建築物における床断熱構造体の断面図である。
【図14】図14は、Ω型の金具を間柱と間柱とに架けることによって断熱材を配置した従来の木造建築物における壁断熱構造体の断面図である。
【符号の説明】
1 木造建築物の断熱構造体
2 床断熱構造体
3 壁断熱構造体
3a 裏面側
4 屋根熱構造体
5 根太
5a 側面部
5’ 隣接する根太
5’a 側面部
6 長尺状の発泡樹脂製断熱材
6w 幅
6L 長さ
6d 厚み
6u 平板状発泡樹脂製断熱材に当接する長尺状の発泡樹脂製断熱材の長さ
7 支持材
7a 上面
7b 内壁側面
7’ 支持材
7’a 上面
7’b 内壁側面
8 平板状発泡樹脂製断熱材
8a 外側周囲部分
8d 厚み
8s 収縮する分
8L 長さ
8w 幅
8’ 屈曲板状断熱材
8’a 切り込み部
9 床下張り材
10 床仕上げ材
11 大引
12 隙間
12a 外気に最も近い部分
13 外気
13u 外気と接するまでの距離
14 柱
14’ 隣接する柱
15 間柱
15a 互いに隣り合った側
15b 互いに隣り合った側
15’ 隣接する間柱
15’a 互いに隣り合った側
15’b 互いに隣り合った側
16 内壁下張り材
17 外壁下張り材
18 壁
18a 内側
18b 外側
19 内壁仕上げ材
20 防水膜
21 ラス網
22 モルタル
23 外壁仕上げ材
24 垂木
24a 側面部
24’ 隣接する垂木
24’a 側面部
25 釘
26 屋根下張り材
27 屋根仕上げ材
28 屋根材
29 母屋
30 従来の木造建築物の床断熱構造体
31 Ω型の金具
32 桟木
33 従来の木造建築の壁断熱構造体
【発明の属する技術分野】
本発明は、木造建築物における床、壁及び屋根の断熱構造体に関するものであり、特に、施工後に時間が経過して平板状発泡樹脂製断熱材等が収縮しても断熱性能が損なわれ難い、木造建築物における床、壁及び屋根の断熱構造体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の木造建築物の断熱構造体25としては、図11、図12及び図13に示す様な、床断熱構造体30や、図14に示す様な、壁断熱構造体33等が知られている。
上記図11及び図12に示す様な、従来の床断熱構造体30は、根太5,5’に架けられたΩ型の金具31によって発泡樹脂製ボード等の平板状発泡樹脂製断熱材8を吊して、根太5と根太5’との間に平板状発泡樹脂製断熱材8を敷設した後、その上に捨て板等の床下張り材9を敷設し、更に、その上からフローリング等の床仕上げ材10を敷設することによって施工された構造のものとなっいる。
また、図14に示す様な、従来の壁断熱構造体33は、間柱15と間柱15’とに架けたΩ型の金具31に止めて平板状発泡樹脂製断熱材8を間柱15と間柱15’との間に配置した後、構造合板等の内壁下張り材16を釘25等により打ち付け、その壁断熱構造体33の裏面側の柱14又は間柱15に構造用合板等の外壁下張り材17を釘25等により打ち付けることによって施工された構造のものが使用されている。
【0003】
しかし、上記床断熱構造体30の様に、根太5,5’に架けられたΩ型の金具31によって発泡樹脂製ボード等の平板状発泡樹脂製断熱材4を吊して、根太5と根太5’との間に平板状発泡樹脂製断熱材8を配置するだけでは、平板状発泡樹脂製断熱材8が下方側から十分に支持された状態となっていないので、平板状発泡樹脂製断熱材8が折れ曲がったり、平板状発泡樹脂製断熱材8の欠けによる平板状発泡樹脂製断熱材8の落下が生じたりするので、床の断熱構造体30の断熱効果が著しく損なわれてしまうことがあった。
それ故、図13に示す様に、根太5の側面部5aに木製の桟木32を釘25により打ち付けて、この木製の桟木32で平板状発泡樹脂製断熱材8の外側周囲8aの下側部分を受けて、平板状発泡樹脂製断熱材8が折れ曲がったり、平板状発泡樹脂製断熱材8が落下するのを防止して断熱効果が損なわれないようにする施工方法も実際に行われていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このような平板状発泡樹脂製断熱材8を下方側から受ける木製の桟木32が釘25により打ち付けられたものであることから、平板状発泡樹脂製断熱材8が折れ曲がったり、平板状発泡樹脂製断熱材8が落下するのを防止することができるようにはなるが、木造建築の施工後、時間の経過によって、根太5,5’自体が収縮したり、根太5と根太5’の間に敷設された発泡樹脂製ボード等の平板状発泡樹脂製断熱材8自体が収縮することから、根太5と平板状発泡樹脂製断熱材8との間に図13に示す様な隙間12が生じて、この隙間12から家屋内部の空気が逃げたり、外部の空気が流入したりして、断熱性能が低下したり、或いは、根太5や木製の桟木32自体も断熱性能がそれ程良好であるとは言えないことから、木材を通して伝熱が生じるので、断熱効果を顕著に高めるには限界があった。
【0005】
一方、近年、地球の温暖化防止の観点から、炭酸ガスの放出を極力減少させるために、より一層の省エネルギー化を行うことが求められるようになり、我が国の木造住宅の外気に接する部分の床断熱材においては、東京・大阪地区においても50〜25mm程度の厚みのものが、更に、東北地区では85〜50mm程度の厚みのものが要求されるようになった。
しかし、この様に厚く敷設した平板状発泡樹脂製断熱材8も、上記の如き平板状発泡樹脂製断熱材8自体の収縮等により根太5と平板状発泡樹脂製断熱材8との間に隙間12が生じたりすれば、断熱効果が著しく損なわれてしまうので、より気密性の高い高度な木造建築の施工技術が求められるようになった。
また、上記従来の木造建築の床断熱構造体30と同様に、従来の木造建築の壁断熱構造体33においても、平板状発泡樹脂製断熱材8自体の収縮等による柱14や間柱15と平板状発泡樹脂製断熱材8との間に生じる隙間12によって断熱効果の低下が起こるので、より一層の省エネルギー化が求められるようになり、より気密性の高い高度の木造建築の壁断熱構造体の施工技術が求められている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記問題点に鑑み鋭意研究を重ねた結果、平板状発泡樹脂製断熱材の外側周囲部分が当接する支持材として長尺状の発泡樹脂製断熱材を用い、該長尺状の発泡樹脂製断熱材の幅及び厚みが前記平板状発泡樹脂製断熱材の厚みよりも大きなものを用いると共に、その長尺状の発泡樹脂製断熱材を根太或いは柱又は間柱或いは垂木の側面部に付設して、前記平板状発泡樹脂製断熱材の外側周囲部分と密着させることにより、平板状発泡樹脂製断熱材と長尺状の発泡樹脂製断熱材との間に隙間を生じ難くして、発泡樹脂製断熱材の断熱層の厚みが何れの部分においても確保されるように形成することによって、施工後に断熱材が収縮しても発泡樹脂製断熱材の厚みの断熱層が確保されていて、断熱性能が損なわれ難い木造建築物における床、壁及び屋根の断熱構造体とすることができるとの知見に基づき本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明の木造建築物の断熱構造体は、根太と根太との間に平板状発泡樹脂製断熱材を充填して床材を敷設した床断熱構造体、或いは、柱と柱との間に又は柱と間柱との間に平板状発泡樹脂製断熱材を充填して内壁材及び外壁材を設けた壁断熱構造体、或いは、垂木と垂木との間に平板状発泡樹脂製断熱材を充填して屋根材を敷設した屋根断熱構造体から選ばれた木造建築物の断熱構造体において、前記床断熱構造体或いは壁断熱構造体或いは屋根断熱構造体における平板状発泡樹脂製断熱材の外側周囲部分が当接する支持材として長尺状の発泡樹脂製断熱材を用い、該長尺状の発泡樹脂製断熱材の幅及び厚みが前記平板状発泡樹脂製断熱材の厚みよりも厚く形成したものを用いると共に、その長尺状の発泡樹脂製断熱材を根太或いは柱又は間柱或いは垂木の側面部に付設して、この長尺状の発泡樹脂製断熱材に前記平板状発泡樹脂製断熱材の外側周囲部分を当接すること、を特徴とするものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
[I] 木造建築物の断熱構造体
(1) 基本構造
本発明における木造建築物の断熱構造体1としては、具体的には、図1〜5に示す様な床断熱構造体2と、図6〜8に示す様な壁断熱構造体3と、図9〜10に示す様な屋根断熱構造体4とが有る。
【0008】
(2) 床断熱構造体
(A) 構 造
本発明の木造建築物の断熱構造体1における床断熱構造体2としては、図1に示す様に、根太5及び隣接する根太5’と、これら根太5,5’の側面部5a,5’aにそれぞれ釘25等により打ち付けられた長尺状の発泡樹脂製断熱材6,よりなる支持材7,7’と、これら支持材7,7’との間に、平板状発泡樹脂製断熱材8の外側周囲部分8aが長尺状の発泡樹脂製断熱材6よりなる支持材7,7’の上面7a,7’aに当接して敷設した平板状発泡樹脂製断熱材8と、これら根太5,5’及び平板状発泡樹脂製断熱材8の上面に敷設された床下張り材9と、該床下張り材9の上面に敷設された床仕上げ材10とからなる床材とにより構成されるものであり、前記支持材7,7’として用いた長尺状の発泡樹脂製断熱材6の幅6w及び厚み6dが、前記平板状発泡樹脂製断熱材8の厚み8dよりも厚く形成したものである。
【0009】
(B) 構成部材
(a) 根太
上記床断熱構造体2を構成する根太5,5’としては、木造建築物の床構造の構造材として用いられている大引11の上に配設された木製の根太5,5’である。
【0010】
(b) 支持材
上記床断熱構造体2を構成する支持材7,7’(長尺状の発泡樹脂製断熱材6)としては、上記根太5,5’の側面部5a,5’aに釘5等により打ち付けられて付設されるものであり、支持材7,7’の長尺状の発泡樹脂製断熱材6として使用される素材としては平板状発泡樹脂製断熱材8とほぼ同等の素材の発泡樹脂製断熱材が用いられる。
形 状
該支持材7,7’の形状は、長さが一般に1〜5m、好ましくは1.8〜3mの長尺状の発泡樹脂製断熱材6である。
また、該支持材7,7’は、図2に示す様に、その長尺状の発泡樹脂製断熱材6の幅6w及び厚み6dが平板状発泡樹脂製断熱材8の厚み8dよりも平板状発泡樹脂製断熱材8が収縮する分の長さ8s以上に予め0.1mm以上、好ましくは1〜5mm厚く形成したものを用いる必要がある。
具体的には、平板状発泡樹脂製断熱材8が収縮する分8sが、通常1〜3mm程度であることから、支持材7,7’の長尺状の発泡樹脂製断熱材6の幅6wが一般に6〜225mm、好ましくは10〜220mm、厚み6dが一般に6〜225mm、好ましくは10〜220mm、長さ6Lが一般に100〜5000mm、好ましくは180〜3000mmのものが用いられる。
これら支持材7,7’の上面7a,7’aが平坦に形成されて、後記平板状発泡樹脂製断熱材8の外側周囲部分8aと密着させることができるようになっている。
【0011】
(c) 平板状発泡樹脂製断熱材
上記床断熱構造体2を構成する平板状発泡樹脂製断熱材8としては、上記根太5と隣接する根太5’との間の上記支持材7,7’の上面7a,7’a上に当接して敷設されて、支持材7,7’と密着されることにより気密性を保つことができる。
形 状
平板状発泡樹脂製断熱材8は、図3に示す様な、平板状の発泡樹脂製断熱材8を用いるのが一般的であるが、図4に示す様な、中央部に切り込み部8’aが形成された屈曲板状断熱材8’を用いて、根太5と根太5’の間に配置した後、該屈曲板状断熱材8’の切り込み部8’a側を押圧すれば、図5に示す様に、平板状に変形することができることから、根太5と平板状発泡樹脂製断熱材8との隙間12を著しく少なくして敷設することができるから好ましい。
上記平板状発泡樹脂製断熱材8の大きさは、長さ8Lが一般に500〜3000mm、好ましくは700〜1820mmで、幅8wが一般に250〜500mm、好ましくは250〜450mmで、厚さ8dが一般に5〜220mm、好ましくは10〜220mmのものを用いるのが一般的である。
素 材
平板状発泡樹脂製断熱材8の素材としては、後記発泡樹脂を原料素材として用いて製造されたものである。
【0012】
(d) 床下張り材(床材)
上記平板状発泡樹脂製断熱材8を敷設した上に、厚さ12mm程度の合板等からなる捨て板を敷設し、釘打ちすることにより床下張り材9が完成する。
【0013】
(e) 床仕上げ材(床材)
上記床下張り材9を敷設した上に、銘木合板等のフローリング材やCFシートやカーペットや畳等の床仕上げ材10を敷設することによって床断熱構造体2が完成する。
【0014】
(C) 断熱効果
上記床断熱構造体2とすることにより、建築時に使用した木材が乾燥したり、使用した平板状発泡樹脂製断熱材8中の揮発性ガス放出によって平板状発泡樹脂製断熱材8自体が収縮して、根太5と平板状発泡樹脂製断熱材8との間に隙間12が生じたとしても、図2に示す様に、支持材7として用いた長尺状の発泡樹脂製断熱材6の幅6wを、長尺状の発泡樹脂製断熱材6の平板状発泡樹脂製断熱材8と接する長さ6uが平板状発泡樹脂製断熱材8の厚み8dに平板状発泡樹脂製断熱材8が収縮する長さ8s分を加えた以上の長さのものを用いることにより、例え平板状発泡樹脂製断熱材8が収縮して隙間12ができても、該隙間12の外気に最も近い部分12aにおいても外気13と接するまでの距離13u(長尺状の発泡樹脂製断熱材の平板状発泡樹脂製断熱材と接する長さ6u)が平板状発泡樹脂製断熱材6の厚み6dよりも大きければ平板状発泡樹脂製断熱材8自体の厚み8d分以上の断熱効果を得ることができる。
【0015】
(3) 壁断熱構造体
(A) 構 造
本発明の木造建築物の断熱構造体1における壁断熱構造体3としては、図6に示す様に、柱14又は間柱15及び隣接する柱14’又は間柱15’と、該柱14又は間柱15及び隣接する柱14’又は間柱15’が互いに隣り合った側15a,15b及び15’a,15’bに釘5等により打ち付けた長尺状の発泡樹脂製断熱材6,6’よりなる支持材7,7’と、該長尺状の発泡樹脂製断熱材6,6’よりなる支持材7,7’に外側周囲部分8aを当接して貼り合わされた平板状発泡樹脂製断熱材8と、該平板状発泡樹脂製断熱材8を貼り合わせた側の柱14又は間柱15と隣り合った柱14’又は間柱15’との間に釘5等により打ち付けられた内壁材16と、前記平板状発泡樹脂製断熱材8を貼り合わせた側と反対側の柱14又は間柱15と隣り合った柱14’又は間柱15’との間に釘5等により打ち付けられた外壁材17とから構成されるものであり、前記支持材7,7’として用いた長尺状の発泡樹脂製断熱材6,6’の幅6w及び厚み6dが、前記平板状発泡樹脂製断熱材8の厚み8dよりも厚く形成したものである。
【0016】
(B) 構成部材
(a) 柱又は間柱
上記壁断熱構造体3を構成する柱14又は間柱15及び隣接する柱14’又は間柱15’としては、木造建築物の壁構造の構造材として用いられている木製の柱14又は間柱15及び隣接する柱14’又は間柱15’である。
【0017】
(b) 支持材
上記壁断熱構造体3を構成する支持材7,7’(長尺状の発泡樹脂製断熱材6)としては、上記柱14又は間柱15及び隣接する柱14’又は間柱15’の該柱14又は間柱15が互いに隣り合った側15a,15b及び15’a,15’bに釘5等により打ち付けられて付設されるものであり、支持材7として使用される素材としては平板状発泡樹脂製断熱材8とほぼ同等の素材の発泡樹脂製断熱材が用いられる。
形 状
該支持材7,7’の形状は、長さが一般に1〜5m、好ましくは1.8〜3mの長尺状の発泡樹脂製断熱材6である。
また、該支持材7,7’は、図7に示す様に、その長尺状の発泡樹脂製断熱材6の幅6w及び厚み6dが平板状発泡樹脂製断熱材8の厚み8dよりも平板状発泡樹脂製断熱材8が収縮する分の長さ8s以上に予め0.1mm以上、好ましくは1〜5mm厚く形成したものを用いる必要がある。
具体的には、平板状発泡樹脂製断熱材8の収縮する分の長さ8sが、通常1〜3mm程度であることから、支持材7,7’の長尺状の発泡樹脂製断熱材6の幅6wが一般に16〜191mm、好ましくは20〜195mm、厚み6dが一般に16〜195mm、好ましくは20〜191mm、長さ6Lが一般に100〜5000mm、好ましくは180〜3000mmのものが用いられる。
これら支持材7,7’の内壁側面7b,7’bが平坦に形成されて、後記平板状発泡樹脂製断熱材8の外側周囲部分8aと密着させることができるようになっている。
【0018】
(c) 平板状発泡樹脂製断熱材
上記壁断熱構造体3を構成する平板状発泡樹脂製断熱材8としては、上記柱14又は間柱15との間の上記支持材7,7’の内壁側面7b,7’bに当接して、支持材7,7’と密着させて貼り合わせることにより気密性を高めることができる。
形 状
平板状発泡樹脂製断熱材8の大きさは、長さ8Lが一般に500〜2000mm、好ましくは700〜1820mmで、幅8wが一般に250〜500mm、好ましくは250〜450mmで、厚さ8dが一般に15〜200mm、好ましくは20〜150mmのものである。
素 材
平板状発泡樹脂製断熱材8の素材としては後記発泡樹脂を原料素材として用いて製造されたものである。
【0019】
(d) 内壁下張り材
上記平板状発泡樹脂製断熱材8を貼り合わせた上に、厚さ8〜12mm程度の合板や石膏ボード等からなる内壁下張り材16を貼って釘打ちすることにより壁18の下地が完成する。
【0020】
(e) 内壁仕上げ材
木造建築物の壁18の内側18aにおいては、上記壁下張り材16を貼った上に、銘木合板、壁紙、クロス、モルタル、タイル等の内壁仕上げ材19を貼り合わせる。
【0021】
(f) 外壁下張り材
上記平板状発泡樹脂製断熱材8を貼り合わせた上に、厚さ8〜12mm程度の構造合板からなる外壁下張り材17を貼って釘打ちすることにより壁18の下地が完成する。
【0022】
(g) 外壁仕上げ材
木造建築物の壁18の風雨にさらされる外側18bにおいては、上記外壁下張り材17を貼った上に、防水膜20を貼ってラス網21を張り、その上にモルタル22を塗り、タイルを貼ったり、吹き付け塗装することにより防火壁としたり、防水膜を貼った後にアルミニウムや塗装鉄板の様な金属板、或いは、窯業セメント系サイジング材よりなる外壁仕上げ材23を施工することにより壁18が完成する。
【0023】
(C) 断熱効果
上記壁断熱構造体3とすることにより、建築時に使用した木材が乾燥したり、使用した平板状発泡樹脂製断熱材8中の揮発性ガス放出によって平板状発泡樹脂製断熱材8自体が収縮して、柱14又は間柱15と平板状発泡樹脂製断熱材8との間に隙間12が生じたとしても、図7に示す様に、支持材7として用いた長尺状の発泡樹脂製断熱材6の幅6wを、長尺状の発泡樹脂製断熱材6の平板状発泡樹脂製断熱材8と接する長さ6uが平板状発泡樹脂製断熱材8の厚み8dに平板状発泡樹脂製断熱材8が収縮する長さ8s分を加えた以上の長さのものを用いることにより、例え平板状発泡樹脂製断熱材8が収縮して隙間12ができても、該隙間12の外気に最も近い部分12aにおいても外気13と接するまでの距離13u(長尺状の発泡樹脂製断熱材の平板状発泡樹脂製断熱材と接する長さ6u)が平板状発泡樹脂製断熱材6の厚み6dよりも大きければ平板状発泡樹脂製断熱材8自体の厚み8d分以上の断熱効果を得ることができる。
【0024】
(4) 屋根断熱構造体
(A) 構 造
本発明の木造建築物の断熱構造体1における屋根断熱構造体4としては、図9及び10に示す様に、垂木24及び隣接する垂木24’と、これら垂木24,24’の側面部24a,24’aに釘25等により打ち付けられた長尺状の発泡樹脂製断熱材6よりなる支持材7,7’と、これら支持材7,7’との間に、平板状発泡樹脂製断熱材8の外側周囲部分8aが長尺状の発泡樹脂製断熱材6よりなる支持材7,7’の上面7a,7’aに当接して敷設した平板状発泡樹脂製断熱材8と、これら垂木24,24’及び平板状発泡樹脂製断熱材8の上面に敷設された屋根下張り材26と、該屋根下張り材26の上面に敷設された屋根仕上げ材27とからなる屋根材28とにより構成されるものであり、前記支持材7,7’として用いた長尺状の発泡樹脂製断熱材6の幅6w及び厚み6dが、前記平板状発泡樹脂製断熱材8の厚み8dよりも厚く形成したものである。
【0025】
(B) 構成部材
(a) 垂 木
上記屋根断熱構造体2を構成する垂木24,24’としては、木造建築物の屋根構造の構造材として用いられている母屋29の上に配設された木製の垂木24,24’である。
【0026】
(b) 支持材
上記屋根断熱構造体4を構成する支持材7,7’(長尺状の発泡樹脂製断熱材6)としては、上記垂木24,24’の側面部24a,24’aに釘25等により打ち付けられて付設されるものであり、支持材7,7’の長尺状の発泡樹脂製断熱材6として使用される素材としては平板状発泡樹脂製断熱材8とほぼ同等の素材の発泡樹脂製断熱材が用いられる。
形 状
該支持材7,7’の形状は、長さが一般に1〜5m、好ましくは1.8〜3mの長尺状の発泡樹脂製断熱材6である。
また、該支持材7,7’は、図9に示す様に、その長尺状の発泡樹脂製断熱材6の幅6w及び厚み6dが平板状発泡樹脂製断熱材8の厚み8dよりも平板状発泡樹脂製断熱材8が収縮する分の長さ8s以上に予め0.1mm以上、好ましくは1〜5mm厚く形成したものを用いる必要がある。
具体的には、平板状発泡樹脂製断熱材8が収縮する分8sが、通常1〜3mm程度であることから、支持材7,7’の長尺状の発泡樹脂製断熱材6の幅6wが一般に6〜225mm、好ましくは10〜220mm、厚み6dが一般に6〜225mm、好ましくは10〜220mm、長さ6Lが一般に100〜5000mm、好ましくは180〜3000mmのものが用いられる。
これら支持材7,7’の上面7a,7’aが平坦に形成されて、後記平板状発泡樹脂製断熱材8の外側周囲部分8aと密着させることができるようになっている。
【0027】
(c) 平板状発泡樹脂製断熱材
上記屋根断熱構造体を構成する平板状発泡樹脂製断熱材8としては、上記垂木24と隣接する垂木24’との間の上記支持材7,7’の上面7a,7’a上に当接して敷設されて、支持材7,7’と密着されることにより気密性を保つことができる。
形 状
平板状発泡樹脂製断熱材8は、図10に示す様な、平板状の発泡樹脂製断熱材8を用いるのが一般的であるが、図4に示す様な、中央部に切り込み部8’aが形成された屈曲板状断熱材8’を用いて、垂木24と垂木24’の間に配置した後、該屈曲板状断熱材8’の切り込み部8’a側を押圧すれば、平板状に変形することができることから、垂木と平板状発泡樹脂製断熱材8との隙間12を著しく少なくして敷設することができるから好ましい。
上記平板状発泡樹脂製断熱材8の大きさは、長さ8Lが一般に500〜3000mm、好ましくは700〜1820mmで、幅8wが一般に250〜500mm、好ましくは250〜450mmで、厚さ8dが一般に5〜220mm、好ましくは10〜220mmのものを用いるのが一般的である。
素 材
平板状発泡樹脂製断熱材8の素材としては、後記発泡樹脂を原料素材として用いて製造されたものである。
【0028】
(d) 屋根下張り材
上記平板状発泡樹脂製断熱材8を敷設した上に、合板を釘打ちし、厚さ1〜3mm程度の防水シートを敷設することにより床下張り材26が完成する。
【0029】
(e) 屋根仕上げ材
上記屋根下張り材26を敷設した上に、瓦やアスベスト等の床仕上げ材27を敷設することによって屋根断熱構造体4が完成する。
【0030】
(C) 断熱効果
上記屋根断熱構造体4とすることにより、建築時に使用した木材が乾燥したり、使用した平板状発泡樹脂製断熱材8中の揮発性ガス放出によって平板状発泡樹脂製断熱材8自体が収縮して、垂木と平板状発泡樹脂製断熱材8との間に隙間12が生じたとしても、図9に示す様に、支持材7として用いた長尺状の発泡樹脂製断熱材6の幅6wを、長尺状の発泡樹脂製断熱材6の平板状発泡樹脂製断熱材8と接する長さ6uが平板状発泡樹脂製断熱材8の厚み8dに平板状発泡樹脂製断熱材8が収縮する長さ8s分を加えた以上の長さのものを用いることにより、例え平板状発泡樹脂製断熱材8が収縮して隙間12ができても、該隙間12の外気に最も近い部分12aにおいても外気13と接するまでの距離13u(長尺状の発泡樹脂製断熱材の平板状発泡樹脂製断熱材と接する長さ6u)が平板状発泡樹脂製断熱材6の厚み6dよりも大きければ平板状発泡樹脂製断熱材8自体の厚み8d分以上の断熱効果を得ることができる。
【0031】
(5) 原料素材
上記本発明の木造建築物の断熱構造体1における床断熱構造体2及び壁断熱構造体3及び屋根断熱構造体4において主たる材料として用いられる発泡樹脂製断熱材としては、以下に示す性状及び熱伝導率を示す発泡樹脂である。
(A) 発泡樹脂
上記発泡樹脂製断熱材1に用いられる発泡樹脂としては、スチレン樹脂発泡体、エチレン・スチレン共重合樹脂発泡体等のスチレン系樹脂発泡体、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂発泡体、硬質ポリウレタン発泡体、フェノール系樹脂発泡体、或いは、スチレン改質ポリオレフィン系樹脂発泡体等の合成樹脂発泡体を挙げることができる。
これらの中でもスチレン系樹脂発泡体、更にスチレン樹脂発泡体を用いることが好ましい。
また、経済的、環境的な観点から、上記スチレン系樹脂発泡体には、スチレン系樹脂発泡体のリサイクル材を80重量%以下、好ましくは15〜50重量%、特に好ましくは20〜45重量%の割合で含有したスチレン系樹脂発泡体であることが好ましい。
上記スチレン系樹脂発泡体のリサイクル材としては、以前にスチレン系樹脂発泡体として使用された後に回収したスチレン系樹脂発泡体、或いは、製造工程中で廃材となり、回収されたスチレン系樹脂発泡体等を挙げることができる。
特に特表2001−525001号公報に記載されるグラファイト粒子を0.05〜25重量%、好ましくは2〜8重量%含有するスチレン系樹脂発泡体が好ましい。
具体的には、1〜50μm、好ましくは2.5〜12μmの平均粒径、100〜500g/リットルの嵩密度、5〜20m2/gの比表面積のグラファイト粒子を含有するスチレン系樹脂発泡体を挙げることができる。
【0032】
(B) 性 状
上記合成樹脂発泡体は、合成樹脂粒子の発泡倍率が一般に20〜150倍に、好ましくは25〜125倍に発泡させたもので、通常、密度が0.0067〜0.05g/cm3、好ましくは0.008〜0.040g/cm3のものであり、これは発泡倍率が20倍未満のものや150倍を超えるものは熱伝導倍率が高くなる傾向がある。特に独立気泡率の高い発泡体であることが好ましい。
【0033】
(C) 熱伝導率
この様な発泡樹脂製断熱材は、一般に熱伝導率が0.060W/m・k以下、好ましくは0.020〜0.050W/m・kのものである。
【0034】
【実施例】
以下に示す実施例及び比較例によって、本発明を更に具体的に説明する。
[I] 評価方法
(1) 熱伝導率
熱伝導率は、JIS−A−1420に準拠した簡易構成熱箱に平板状発泡樹脂製断熱材3枚を隙間無く施工し、JIS−A−1420に準拠して熱貫流率より測定することができる。
(2) 平板状発泡樹脂製断熱材の収縮率
平板状発泡樹脂製断熱材の収縮率は、455mm間隔で配置された根太間に平板状発泡樹脂製断熱材を敷設し、更にその上に捨て板、フローリング材を敷設し、それを室温で半年間放置して解体し、根太と断熱材との隙間を測定することによって測定することができる。
【0035】
[II] 実施例及び比較例
実施例1
発泡樹脂製断熱材の製造
BASF社製のグラファイト粒子を含有する発泡性ポリスチレン樹脂(商品名「Neopor」)を原料として用いてダイセン(株)製発泡ポリスチレン用バッチ式予備発泡機「DYH−1000」を使用して予備発泡し、発泡比重15kg/m3の予備発泡粒子を得た。
次に、ダイセン(株)製発泡ポリスチレン用型物成型機にて成形を実施し、成形品比重15kg/m3の図3に示す様な455タイプの平板状発泡樹脂製断熱材を得た。
支持材の製造
更に、上記同一の予備発泡粒子を用いて、ダイセン(株)製発泡型スチレン用型物成型機にて成形を実施し、幅3cm、高さ3cm、長さ182cmの大きさの長尺状の発泡樹脂製断熱材からなる支持材を製造した。
【0036】
発泡樹脂製断熱材の敷設
上記支持材を455mm間隔で配置された根太の側面部に釘で打ち付けた後、この支持材上に上記455タイプの平板状発泡樹脂製断熱材を敷設した。
床断熱構造体の形成
上記455タイプの平板状発泡樹脂製断熱材の上に幅91cm、長さ182cm、厚さ12mmの捨て板を敷設して、更にその上に、厚さ12mmのフローリング材を敷設することにより本発明の木造建築用の床断熱構造体を形成した。
その床を半年間室温にて放置した後、解体し、断熱材と根太との隙間を測定した。
更に、JIS−A−1420に準拠した簡易構成熱箱に本発明の平板状発泡樹脂製断熱材3枚を隙間無く施工して床模型施工性試験を行い、JIS−A−1420に準拠して熱貫流率より熱伝導を測定した。
その結果を表1に示す。
【0037】
実施例2
実施例1にて使用した455タイプの平板状発泡樹脂製断熱材を、図4及び図5に示す様な、中央部に切り込み部8’aが形成された屈曲板状断熱材8’に変更した以外は、実施例1と同様に実施した。
その結果を表1に示す。
【0038】
実施例3
三菱化学フォームプラスティック(株)製の発泡性ポリスチレン樹脂(商品名「JFN200」)を原料として用いて実施例1と同様に発泡成形し成形品比重15kg/m3の図3に示す様な455タイプの平板状発泡樹脂製断熱材を得た。
この平板状発泡樹脂製断熱材を実施例1と同様に床模型施工性試験と熱伝導を測定した。
その結果を表1に示す。
【0039】
実施例4
壁断熱構造体の形成
実施例1で製造した455タイプの平板状発泡樹脂製断熱材を使用し、実施例1で製造した長尺状の発泡樹脂製断熱材からなる支持材を使用して、455mm間隔で配置された間柱の側面部に支持材を釘で打ち付けた後、この支持材上に上記455タイプの平板状発泡樹脂製断熱材を配置した。
そして、上記455タイプの平板状発泡樹脂製断熱材の上に貼って、その上から幅91cm、長さ182cm、厚さ12mmの合板よりなる内壁下張り材を貼り、間柱に釘打ちした。また、その反対側の間柱に幅91cm、長さ182cm、厚さ12mmの合板よりなる外壁下張り材を貼って釘打ちした。
更に、上記内壁下張り材及び外壁下張り材上に、図6に示す様な内壁仕上げ材及び外壁仕上げ材を施工して木造建築用の壁断熱構造体を形成した。
評 価
更に、JIS−A−1420に準拠した簡易構成熱箱に本発明の平板状発泡樹脂製断熱材3枚を隙間無く施工し、JIS−A−1420に準拠して熱貫流率より熱伝導を測定した。
その結果を表1に示す。
【0040】
実施例5
実施例4にて使用した455タイプの平板状発泡樹脂製断熱材を、図4及び図5に示す様な、中央部に切り込み部8’aが形成された屈曲板状断熱材8’に変更した以外は、実施例4と同様に実施した。
その結果を表1に示す。
【0041】
実施例6
実施例3の三菱化学フォームプラスティック(株)製の発泡性ポリスチレン樹脂(商品名「JFN200」)を原料として用いて製造した455タイプの平板状発泡樹脂製断熱材を用いて、実施例3と同様にして木造建築用の壁断熱構造体を形成した。
その結果を表1に示す。
【0042】
実施例7
屋根天井断熱構造体の形成
実施例1にて製造した平板状発泡樹脂製断熱材を使用し、実施例1にて製造した長尺状の発泡樹脂製断熱材からなる支持材を使用して、455mm間隔で配置された垂木の側面部に支持材を釘で打ち付けた後、この支持材上に上記455タイプの平板状発泡樹脂製断熱材を配置した。
そして、上記455タイプの平板状発泡樹脂製断熱材の上に幅91cm、長さ182cm、厚さ12mmの合板よりなる屋根下地材を貼り、垂木に釘打ちして本発明の木造建築用の屋根天井断熱構造体を形成した。
評 価
その屋根を半年間室温にて放置させた後、解体して垂木との隙間を測定した。更に、JIS−A−1420に準拠した簡易構成熱箱に本発明の平板状発泡樹脂製断熱材3枚を隙間無く施工し、JIS−A−1420に準拠して熱貫流率より熱伝導を測定した。
その結果を表1に示す。
【0043】
実施例8〜9
実施例2及び3にて製造した平板状発泡樹脂製断熱材を使用した以外は、実施例7と同様に屋根天井断熱構造体として実施した。
その結果を表1に示す。
【0044】
実施例10
三菱化学フォームプラスティック(株)製の発泡性ポリスチレン樹脂(商品名「JFN200」)を原料として用いて、実施例1と同様に予備発泡し、発泡比重15kg/m3の予備発泡粒子を得た。
次に、この予備発泡粒子に成形品比重15kg/m3の縦15mm×横15mm×高さ15mmの立方体の成形品を45重量%添加したものをダイセン(株)製発泡ポリスチレン用ブロック成形機にて成形し1830mm×920mm×420mmのブロック成形品を得た。
次に、これをカットして図3に示す様な455タイプの平板状発泡樹脂製断熱材を得た。
更に、上記ブロックをカットして、幅3cm×高さ3cm×長さ182cmの長尺状の発泡樹脂製断熱材からなる支持材を製造した。
この平板状発泡樹脂製断熱材を実施例1と同様に床断熱構造体とし、実施例1と同様に床模型施工性試験と熱伝導を測定した。
その結果を表1に示す。
【0045】
実施例11
実施例10の予備発泡粒子に添加される成形品を、15kg/m3の成形品を粉砕して得られた不定形の粉砕品に変更し、20重量%添加した以外は実施例7と同様に実施した。
その結果を表1に示す。
【0046】
比較例1〜3
実施例1にて使用した455タイプの平板状発泡樹脂製断熱材をΩ型の金具を用いて、455mm間隔で配置された根太の間に吊して敷設し、実施例1と同様に床模型施工性試験を実施した結果、根太と断熱材との隙間が3mmであった。更に、JIS−A−1420に準拠した簡易構成熱箱に本発明の平板状発泡樹脂製断熱材3枚の隙間を3mm開けて施工し、JIS−A−1420に準拠して熱貫流率より熱伝導を測定した。
その結果を表1に示す。
【0047】
比較例2〜3
実施例2及び3の床構造体を、比較例1のΩ型の金具を用いて、455タイプの平板状発泡樹脂製断熱材を吊して敷設した以外は、実施例2及び3と同様に実施した。
その結果を表1に示す。
【0048】
【表1】
【0049】
【発明の効果】
このような本発明の木造建築物の床、壁及び屋根の断熱構造体は、施工後の時間の経過によって、根太や柱や垂木自体が収縮したり、根太と根太の間や柱と柱の間や垂木と垂木の間に敷設された平板状発泡樹脂製断熱材等が収縮して、根太や柱や垂木と平板状発泡樹脂製断熱材との間に隙間が生じても、この隙間から内部の空気が逃げたり、外部の空気が流入したり、隙間が生じることによる外気との距離の短縮による熱の放出を回避して、平板状発泡樹脂製断熱材の厚み分の断熱性能を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明実施例の床断熱構造体の断面図である。
【図2】図2は、図1の根太付近部分の拡大断面図である。
【図3】図3は、根太と根太の間に平板状発泡樹脂製断熱材を敷設する前の床断熱構造体の斜視図である。
【図4】図4は、発泡樹脂製屈曲板状断熱材を敷設する前の本発明の床断熱構造体の斜視図である。
【図5】図5は、図4の発泡樹脂製屈曲板状断熱材敷設後の本発明の床断熱構造体の断面図である。
【図6】図6は、本発明実施例の壁断熱構造体の断面図である。
【図7】図7は、図6の間柱付近部分の拡大断面図である。
【図8】図8は、間柱と間柱との間に平板状発泡樹脂製断熱材を配設する前の壁断熱構造体の一部切り欠き斜視図である。
【図9】図9は、本発明実施例の屋根断熱構造体の垂木付近部分の断面図である。
【図10】図10は、垂木と垂木との間に平板状発泡樹脂製断熱材を配設する前の屋根断熱構造体の一部切り欠き斜視図である。
【図11】図11は、Ω型の金具を根太に架けることによって断熱材を吊して敷設した従来の木造建築物における床の断熱構造体の斜視図である。
【図12】図12は、Ω型の金具を根太に架けることによって断熱材を吊して敷設した従来の木造建築物における床断熱構造体の断面図である。
【図13】図13は、木製の桟木を根太に釘打ちして平板状発泡樹脂製断熱材を支持した従来の木造建築物における床断熱構造体の断面図である。
【図14】図14は、Ω型の金具を間柱と間柱とに架けることによって断熱材を配置した従来の木造建築物における壁断熱構造体の断面図である。
【符号の説明】
1 木造建築物の断熱構造体
2 床断熱構造体
3 壁断熱構造体
3a 裏面側
4 屋根熱構造体
5 根太
5a 側面部
5’ 隣接する根太
5’a 側面部
6 長尺状の発泡樹脂製断熱材
6w 幅
6L 長さ
6d 厚み
6u 平板状発泡樹脂製断熱材に当接する長尺状の発泡樹脂製断熱材の長さ
7 支持材
7a 上面
7b 内壁側面
7’ 支持材
7’a 上面
7’b 内壁側面
8 平板状発泡樹脂製断熱材
8a 外側周囲部分
8d 厚み
8s 収縮する分
8L 長さ
8w 幅
8’ 屈曲板状断熱材
8’a 切り込み部
9 床下張り材
10 床仕上げ材
11 大引
12 隙間
12a 外気に最も近い部分
13 外気
13u 外気と接するまでの距離
14 柱
14’ 隣接する柱
15 間柱
15a 互いに隣り合った側
15b 互いに隣り合った側
15’ 隣接する間柱
15’a 互いに隣り合った側
15’b 互いに隣り合った側
16 内壁下張り材
17 外壁下張り材
18 壁
18a 内側
18b 外側
19 内壁仕上げ材
20 防水膜
21 ラス網
22 モルタル
23 外壁仕上げ材
24 垂木
24a 側面部
24’ 隣接する垂木
24’a 側面部
25 釘
26 屋根下張り材
27 屋根仕上げ材
28 屋根材
29 母屋
30 従来の木造建築物の床断熱構造体
31 Ω型の金具
32 桟木
33 従来の木造建築の壁断熱構造体
Claims (5)
- 根太と根太との間に平板状発泡樹脂製断熱材を充填して床材を敷設した床断熱構造体、或いは、柱と柱との間に又は柱と間柱との間に平板状発泡樹脂製断熱材を充填して内壁材及び外壁材を設けた壁断熱構造体、或いは、垂木と垂木との間に平板状発泡樹脂製断熱材を充填して屋根材を敷設した屋根断熱構造体から選ばれた木造建築物の断熱構造体において、前記床断熱構造体或いは壁断熱構造体或いは屋根断熱構造体における平板状発泡樹脂製断熱材の外側周囲部分が当接する支持材として長尺状の発泡樹脂製断熱材を用い、該長尺状の発泡樹脂製断熱材の幅及び厚みが前記平板状発泡樹脂製断熱材の厚みよりも厚く形成したものを用いると共に、その長尺状の発泡樹脂製断熱材を根太或いは柱又は間柱或いは垂木の側面部に付設して、この長尺状の発泡樹脂製断熱材に前記平板状発泡樹脂製断熱材の外側周囲部分を当接することを特徴とする、木造建築物の断熱構造体。
- 長尺状の発泡樹脂製断熱材の幅及び厚みが、平板状発泡樹脂製断熱材の厚みよりも0.1mm以上厚く形成したものである、請求項1に記載の木造建築物の断熱構造体。
- 長尺状の発泡樹脂製断熱材及び平板状発泡樹脂製断熱材が、スチレン系樹脂発泡体である、請求項1又は2に記載の木造建築物の断熱構造体。
- 長尺状の発泡樹脂製断熱材及び平板状発泡樹脂製断熱材が、グラファイト粒子を含有するスチレン系樹脂発泡体である、請求項1〜3のいずれかに記載の木造建築物の断熱構造体。
- スチレン系樹脂発泡体が、スチレン系樹脂発泡体のリサイクル材を50重量%以下の割合で含有したスチレン系樹脂発泡体である、請求項1〜4のいずれかに記載の木造建築物の断熱構造体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002190744A JP2004036089A (ja) | 2002-06-28 | 2002-06-28 | 木造建築物の断熱構造体 |
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JP2002190744A JP2004036089A (ja) | 2002-06-28 | 2002-06-28 | 木造建築物の断熱構造体 |
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JP2004036089A true JP2004036089A (ja) | 2004-02-05 |
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ID=31700585
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JP (1) | JP2004036089A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2012246720A (ja) * | 2011-05-31 | 2012-12-13 | Misawa Homes Co Ltd | 木造建物の断熱構造 |
-
2002
- 2002-06-28 JP JP2002190744A patent/JP2004036089A/ja active Pending
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