JP2004035949A - 金属箔テープの連続表面処理槽及び液中方向転換ロール - Google Patents
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Abstract
【課題】表面処理液中で金属箔テープを非接触的に方向転換することができる液中方向転換ロールと該ロールを備えた金属箔テープの連続表面処理槽を提供する。
【解決手段】処理液槽内に固定された状態における一方の側壁部から底壁部を経て他方の側壁部に至る被処理金属箔テープの幅に対応する壁領域に、ロール中空部に加圧供給される処理液をロール外へ噴出させ、該ロール外壁面に沿って方向転換される金属箔テープとの間に液圧を発生させて金属箔面とロール外壁面とを処理液層によって離間させるための多数の処理液噴出孔を有する、液中方向転換ロール。該方向転換ロール外壁面と金属箔との間に液圧を発生させ、金属箔テープを方向転換ロール外壁面から離間させた状態で金属箔テープの搬送方向を転換する金属箔テープの連続表面処理槽。
【選択図】 図2
【解決手段】処理液槽内に固定された状態における一方の側壁部から底壁部を経て他方の側壁部に至る被処理金属箔テープの幅に対応する壁領域に、ロール中空部に加圧供給される処理液をロール外へ噴出させ、該ロール外壁面に沿って方向転換される金属箔テープとの間に液圧を発生させて金属箔面とロール外壁面とを処理液層によって離間させるための多数の処理液噴出孔を有する、液中方向転換ロール。該方向転換ロール外壁面と金属箔との間に液圧を発生させ、金属箔テープを方向転換ロール外壁面から離間させた状態で金属箔テープの搬送方向を転換する金属箔テープの連続表面処理槽。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属箔テープの巻物から連続的に繰り出されてくる金属箔テープを表面処理液を満たした槽内に連続的に供給し、処理後の金属箔テープを連続的に取り出すための金属箔テープの連続表面処理槽に関し、特に、槽内の表面処理液中で連続的に供給されてくる金属箔テープを槽内から取り出す方向に非接触的に方向転換することができる液中方向転換ロールと該ロールを備えた金属箔テープの連続表面処理槽に関する。
【0002】
【従来の技術】
電解箔や圧延箔はプリント配線基板等に使用され、その接着強度、耐薬品性や耐熱性等を向上させるために表面処理が行われる。このような表面処理は、一般に、金属箔テープの巻物から金属箔テープを繰り出し、表面処理液を満たした槽の中を連続的に通過させることにより行われ、通常は、各種の表面処理液が入った複数の槽中に順次浸漬することによって複数の処理をされることが多い。
表面処理液の入った槽内に供給された金属箔テープは、通常、槽内に浸漬配置されている方向転換ロールによって処理液中で進行方向が取出し方向に変えられ、槽から取り出されて次の処理槽へと送られる。
【0003】
従来の表面処理槽内の処理液中に浸漬配置されている液中方向転換ロールは、一般に回転軸受けによって軸支持されており、連続供給されてくる金属箔テープは処理液中でロールに接触し、ロールの回転によって槽内で方向を変えて処理液中を通過しながら、取り出されるまでに表面処理がなされている。
しかし、金属箔テープは厚さが極めて薄く、また強度も弱いことから、処理液中で方向転換用の回転ロールと接触した際に、すべり等が起こると表面に傷がつきやすいし、また、回転ロールは金属箔テープと常に接触しているため、磨耗等が避けられず、定期的に生産ラインを停止して交換する必要がある。このように、接触型の方向転換ロールを備えた表面処理槽の場合、ロールの保守、点検の必要性と製品の品質管理の面で問題があった。
【0004】
一方、めっき処理槽内のめっき液中に連続的に鋼板を通板し、めっき液中に浸漬配置した円弧状のフローター面にめっき液を噴射しながら、該フローターに沿って鋼板の通板方向を非接触的に転換する電気めっきセルが特開平8−127895号公報に提案されている。このセルが解決しようとした課題は、同種のフローターを使用したセルにおいて、鋼板の通板速度が上がった場合、フローターと鋼板間に噴射しためっき液が鋼板の通板に追随して不均一に流れることによって鋼板とフローターとの接触が起こることを回避することにあり、その解決策としてフローター外周面に鋼板の幅方向に分布させた多数の小さな突起を形成し、フローターと鋼板間のめっきの流動を均一ならしめる手段を採択しているものである。
【0005】
このセルにおけるフローターは、本発明の金属箔テープの表面処理槽中における金属箔テープの搬送方向を非接触的に転換する手段として採用できる可能性がある。しかし、鋼板とフローター間にめっき液を供給する手段がフローターへの鋼板の入側と出側の2箇所だけであるため、めっき液噴射装置から最も遠い位置であり、かつ鋼板とフローターの接触が生起しやすいフローター最下部にまで安定しためっき液層を形成し介在させるためには、鋼板の通板速度に応じためっき液の噴射量や噴射速度等の制御等に困難性がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような従来方式における問題点を解決するすることを目的とするものであり、特に、表面処理液中で方向転換ロールと金属箔テープとを直接接触させることなく金属箔テープの搬送方向を変えることにより、金属箔テープを傷つけることがなく、かつ浸漬ロールの磨耗がなく、安定して高品質の製品を製造することができる表面処理槽を提供することを目的とするものである。
本発明は、以下の各発明を包含する。
【0007】
【課題を解決するための手段】
(1)表面処理槽に連続供給される金属箔テープを表面処理液中で方向転換させる液中方向転換ロールであって、表面処理槽内に固定された状態における液中方向転換ロールの一方の側壁部から底壁部を経て他方の側壁部に至る壁領域のうち、被処理金属箔テープの幅に対応する壁領域に、液中方向転換ロールの中空部に加圧供給される表面処理液を液中方向転換ロール外へ噴出させ、液中方向転換ロールの外壁面に沿って方向転換される金属箔テープとの間に液圧を発生させて金属箔テープ面と液中方向転換ロールの外壁面とを表面処理液層によって離間させるための多数の表面処理液噴出孔を有することを特徴とする、金属箔テープの連続表面処理槽用液中方向転換ロール。
【0008】
(2)前記液中方向転換ロールは、同軸に離間して配置されている内管と前記多数の表面処理液噴出孔を有する外管を有し、前記外管両端部と内管外壁との間及び内管の一方の端部が閉鎖されている二重管からなり、前記内管は、前記外管に設けられている多数の表面処理液噴出孔と直接対面していない管体上部壁に、長さ方向に連続する表面処理液噴出用スリットを有していることを特徴とする、(1)項記載の金属箔テープの連続表面処理槽用液中方向転換ロール。
【0009】
(3)前記液中方向転換ロールにおける前記内管上壁部の表面処理液噴出用スリットは、前記外管の表面処理液噴出孔の配置領域よりも、管体の長さ方向において広い領域に設けられていることを特徴とする、(2)項記載の金属箔テープの連続表面処理槽用液中方向転換ロール。
【0010】
(4)前記内管上壁部に形成されている表面処理液噴出用スリットの開口面積の総和は、前記内管の処理液供給側端部開口面積よりも小さいことを特徴とする、(2)項又は(3)項に記載の金属箔テープの連続表面処理槽用液中方向転換ロール。
【0011】
(5)前記方向転換ロールにおける多数の表面処理液噴出孔は、前記方向転換ロールの周方向において、周方向断面の下部と鉛直軸との交点を基準に±120°以内の壁領域に千鳥状及び/又は格子状に配置されていることを特徴とする、(1)項〜(4)項のいずれか1項に記載の金属箔テープの連続表面処理槽用液中方向転換ロール。
【0012】
(6)前記液中方向転換ロールの頂部壁にエア抜き穴が設けられていることを特徴とする、(1)項〜(5)項のいずれか1項に記載の金属箔テープの連続表面処理槽用液中方向転換ロール。
【0013】
(7)前記多数の表面処理液噴出孔と前記エア抜き穴の開口面積の総和は、前記内管に設けたスリットの開口面積よりも小さいことを特徴とする、(1)項〜(6)項のいずれか1項に記載の金属箔テープの連続表面処理槽用液中方向転換ロール。
【0014】
(8)前記多数の表面処理液噴出孔は、液中方向転換ロールの周方向においては、周方向断面の下部と鉛直軸との交点を基準に±40°〜±100°の範囲となる外壁領域に、また液中方向転換ロールの長さ方向においては、搬送される金属箔テープの両側部と対面する外壁領域において、表面処理液噴出孔の口径がその他の外壁領域に設けられている表面処理液噴出孔の口径より大きいことを特徴とする、(1)項〜(7)項のいずれか1項に記載の金属箔テープの連続表面処理槽用液中方向転換ロール。
【0015】
(9)前記多数の表面処理液噴出孔は、液中方向転換ロールの周方向においては、鉛直軸下面より±40°〜±100°の範囲において、また液中方向転換ロールの長さ方向においては、搬送される金属箔テープの両側部と対面する領域に数多く設けられていることを特徴とする、(1)項〜(8)項のいずれか1項に記載の金属箔テープの連続表面処理槽用液中方向転換ロール。
【0016】
(10)前記多数の表面処理液噴出孔は、液中方向転換ロールの壁内面側から出口方向にラッパ状に広がる形状であることを特徴とする、(1)項〜(9)項のいずれか1項に記載の金属箔テープの連続表面処理槽用液中方向転換ロール。
【0017】
(11)表面処理槽と、表面処理槽中に被処理金属箔テープを連続的に供給する空中ガイドロールと、表面処理済金属箔テープを連続的に表面処理槽から取り出す空中ガイドロールと、表面処理槽中で連続的に搬送されながら表面処理されている金属箔テープの搬送方向を転換する液中方向転換ロールを有する金属箔テープの連続表面処理槽であって、前記液中方向転換ロールは、表面処理槽内に固定された状態において、液中方向転換ロールの一方の側壁部から底壁部を経て他方の側壁部に至る壁領域に設けられている多数の表面処理液噴出孔から、液中転換ロールの中空内部に加圧供給される表面処理液を噴出させることによって液中方向転換ロールの外壁面と金属箔テープとの間に液圧を発生させ、金属箔テープを液中方向転換ロールの外壁面から離間させた状態で金属箔テープの搬送方向を転換する非接触型の液中方向転換ロールであることを特徴とする、金属箔テープの連続表面処理槽。
【0018】
(12)前記非接触型の液中方向転換ロールが、前記(1)項〜(10)項のいずれかに1項に記載されている金属箔テープの連続表面処理槽用の液中方向転換ロールであることを特徴とする、(11)項記載の金属箔テープの連続表面処理槽。
【0019】
【発明の実施の形態】
既に述べたように、従来型の搬送される金属箔テープと回転接触しながら金属箔テープの進行方法を転換する液中方向転換ロールは、金属箔テープの表面に接触傷を発生させる可能性が高いし、また、液中方向転換ロールが金属箔テープとの接触で磨耗するという問題もある。本発明の液中方向転換ロールとそれを使用して構成されている金属箔テープの連続表面処理槽には上記の諸問題がない。以下、図面を参照して本発明をより具体的に説明する。
【0020】
図1は、本発明の金属箔テープの連続表面処理槽の好ましい一例の装置の概略断面図である。図1において、符号1は表面処理槽、2は液中方向転換ロール、3は外管、4は内管、5は表面処理液の噴出孔、6は内管上部スリット、7、8は空中ガイドロール、9は金属箔テープ、10は表面処理液を示す。
【0021】
図1の装置において、液中方向転換ロール2は表面処理槽1内の表面処理液10中に浸漬されている状態で、表面処理槽内壁に固定されており、金属箔テープ9は、空中ガイドロール8を経て表面処理槽1内の表面処理液10中に搬入され、液中方向転換ロール2の一側面から下面を巡って他側面に廻り、空中ガイドロール7を経て取り出される。
【0022】
液中方向転換ロール2は、図1においては二重管として示されており、その内管4に導入される表面処理液10は表面処理槽1内から取り出されて内管内に導入され、スリット6から噴出して外管3の上壁内面に一旦衝突し、外管の側面から下面に設けられている噴出孔5から噴出して外管3の外壁面と金属箔テープ9間に液圧を生じさせ、金属箔テープ9を液中方向転換ロール2の外壁面から離間させる。液中方向転換ロール2を半周して方向転換された金属箔テープ9は、上記のような液圧によって液中方向転換ロール2から離間された状態で取出し側の空中ガイドロール7方向に送られる。
【0023】
図1の連続表面処理槽1における液中方向転換ロール2の好ましい例を、図2の長さ方向縦断面図及び図3の周方向縦断面図として示す。
図2において、液中方向転換ロール2は、加圧供給される表面処理液10の供給管である内管4と、加圧供給された表面処理液を金属箔テープ(9)面に噴射する多数の表面処理液噴出孔5を有する外管3とを、図示するように、閉鎖板11で閉鎖して一体化し、さらに内管4の一端を閉鎖板13で閉鎖した構造を有している。外管3の上部にはエア抜き穴12が形成されている。また、内管4の上部には表面処理液噴出用のスリット6が長さ方向に設けられている。
【0024】
図3に詳細に示すように、内管4には、その上壁部に内管4の長さ方向に伸びるスリット6が設けられている。このようなスリットを内管4に設けることにより、矢印方向に内管4に供給される加圧表面処理液を一旦、外管3の上部内壁面に衝突させて流れを分散させると、表面処理液は内外管の間の中空部内で液圧が均一となるので、外管3の表面処理液噴出孔5からの噴出圧力の制御が容易となる。このスリット6は、外管3における表面処理液噴出孔5が配置されている長さ方向の領域と等しい領域か、より広い領域にわたって内管上壁に設けられる。
【0025】
外管3の管壁に形成される前記表面処理液噴出孔5は、図7の(イ)に示すように、液中方向転換ロールの周方向においては、周方向断面の下部と鉛直軸との交点(X)を基準に±120°以内の外壁領域に千鳥状及び/又は格子状に配置されている。
【0026】
また、金属箔と外管3の管壁部との接触が発生する可能性は、外管側部において最も高いので、外管の表面処理液噴出孔5は、図7の(ロ)に示すように、液中方向転換ロールの周方向において、周方向断面の下部と鉛直軸との交点(X)を基準に±40°〜±100°の範囲となる外壁領域に、また方向転換ロールの長さ方向においては、搬送される金属箔テープの両側部と対面する外壁領域において重点的に設けられている。
【0027】
このように、表面処理液噴出孔5を重点配置する必要がある箇所に求められる液圧を確保するためには、該箇所における噴出孔の総開口面積を大きくする必要があり、そのための手段としては、同一径の噴出孔であれば配置ピッチを短くして配置数を多くすることが有効であるし、また、該箇所に配置される噴出孔の口径を大きくして、噴出液量を多くしてやることも有効な手段である。但し、噴出孔の径を大きくすると、処理液供給管である内管4の開口面積に限度があることから、噴出孔の配置間隔を広くすることが必要となり、そうすると、金属箔テープと外管外壁間に形成される液圧が不均一となるので注意する必要がある。
通常、表面処理液噴出孔5の口径は直径で4mm以下がよく、表面処理液噴出孔5のピッチは50mm以下であることが、均一な液圧を発生させるためには好ましい。
【0028】
表面処理液噴出孔5の配置状態は、図4の(イ)に示すような千鳥状や(ロ)に示すような格子状とすることができるが、前述したように、表面処理液による所望の噴出圧と噴出量を達成できる配置であればよく、特に限定はされない。
【0029】
以上の図1〜図4では、液中方向転換ロール2が内管4と外管3を有する二重管構造のものである場合について説明したが、液中方向転換ロール2の外壁と金属箔テープ9の間に所望の液圧が形成でき、金属箔テープ9を液中方向転換ロール面から離間させた状態で安定して搬送できるような表面処理液噴出孔5を形成できる中空管体であれば単一管からなるものであってもよい。
【0030】
また、図1〜図4には、液中方向転換ロールが円筒形のロールであるものを示したが、同様に、金属箔テープ9を液中方向転換ロール2の面から離間させた状態で安定して搬送できるような表面処理液噴出孔5を形成できるものであれば、その形状は任意である。
【0031】
【実施例】
図5の(イ)及び(ロ)に示す試験処理槽を準備し、本発明の効果を検証する実験を行った。図2及び図3に示されている二重管型のFRP製の液中方向転換ロールを製作し、図5(イ)及び(ロ)に示すように試験処理槽内の表面処理液中に浸漬固定した。
表面処理液は、試験処理槽内から流量計、循環配管、ポンプを通って液中ロールに加圧供給した。供給圧力は、ポンプと液中ロール入り口間に配置した圧力計によって測定した。
【0032】
図5の(ロ)に示すように、一端を試験処理槽外壁に固定し、一方の空中ガイドロールを経て試験処理槽内の表面処理液中に入れ、FRP製の液中方向転換ロールの下部を周回させて方向転換し、他方の空中ガイドロールを経て試験処理槽外に取り出した銅箔テープの端部に張力重錘を懸架し、重錘の重量で張力を印加した。
FRP製の液中方向転換ロールにはロールを周回する細い幅の銅箔を貼付し、試験中に銅箔テープとFRP上の銅箔の間の抵抗値を常時測定して液中方向転換ロールと銅箔テープ間の接触状態(抵抗小)、非接触状態(抵抗大)の判定をした。銅箔テープとFRP製の液中方向転換ロール間を安定的に非接触状態をすることができる条件は次表の通りであった。
【0033】
【表1】
【0034】
銅箔テープへの印加張力と、表面処理液の流量及び液中方向転換ロールへの処理液の供給圧との関係を図6に示す。図6からも、表1の条件により、表面処理液流量及び供給圧が共に高い数値を示す領域では、安定的に銅箔テープと液中方向転換ロール間が非接触状態に保たれることが分る。
【0035】
以上の実証試験結果を踏まえ、銅箔テープ表面処理の実操業ラインに本発明の表面処理槽で使用される非回転型の液中方向転換を適用し、図1に示す表面処理槽と同種の表面処理槽による実用試験を次表に示す条件で実施した。各実用試験のいずれにおいても、搬送される銅箔テープに傷がつくことはなく、安定的に通箔が行われることが実証された。
【0036】
【表2】
【0037】
【発明の効果】
以上のように、本発明の金属箔テープ連続表面処理槽において使用される非回転型の中空ロールからなる液中方向転換ロールは、表面処理槽内の処理液中で、通箔中の金属箔テープと接触することなく、金属箔テープを安定に方向転換させることができるため、安定した品質の表面処理金属箔テープを製造することを可能とするものである。また、簡単な操作によって搬送中の金属箔テープと液中方向転換ロールと安定的に非接触状態に維持できるため、液中方向転換ロールが磨耗することによって必要となる操業ラインの停止等のロスがないという極めて有利な経済的効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である連続表面処理槽の概略断面図である。
【図2】本発明の一実施例である液中方向転換ロールの断面図である。
【図3】本発明の一実施例である液中方向転換ロールの概略断面図である。
【図4】本発明の一実施例である液中方向転換ロールの外壁における表面処理液噴出孔の配置状態を示す図である。
【図5】本発明の一実施例で使用した試験装置の概略図である。
【図6】本発明の液中方向転換ロールを使用した実用実験結果を示す図である。
【図7】本発明の液中方向転換ロールの外壁における表面処理液噴出孔の配置状態を説明する図である。
【符号の説明】
1:表面処理槽、2:液中方向転換ロール、3:外管、4:内管、5:表面処理液噴出孔、6:内管上部スリット、7、8:空中ガイドロール、9:金属箔テープ、10:表面処理液、11,13:閉鎖板、12:エア抜き穴
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属箔テープの巻物から連続的に繰り出されてくる金属箔テープを表面処理液を満たした槽内に連続的に供給し、処理後の金属箔テープを連続的に取り出すための金属箔テープの連続表面処理槽に関し、特に、槽内の表面処理液中で連続的に供給されてくる金属箔テープを槽内から取り出す方向に非接触的に方向転換することができる液中方向転換ロールと該ロールを備えた金属箔テープの連続表面処理槽に関する。
【0002】
【従来の技術】
電解箔や圧延箔はプリント配線基板等に使用され、その接着強度、耐薬品性や耐熱性等を向上させるために表面処理が行われる。このような表面処理は、一般に、金属箔テープの巻物から金属箔テープを繰り出し、表面処理液を満たした槽の中を連続的に通過させることにより行われ、通常は、各種の表面処理液が入った複数の槽中に順次浸漬することによって複数の処理をされることが多い。
表面処理液の入った槽内に供給された金属箔テープは、通常、槽内に浸漬配置されている方向転換ロールによって処理液中で進行方向が取出し方向に変えられ、槽から取り出されて次の処理槽へと送られる。
【0003】
従来の表面処理槽内の処理液中に浸漬配置されている液中方向転換ロールは、一般に回転軸受けによって軸支持されており、連続供給されてくる金属箔テープは処理液中でロールに接触し、ロールの回転によって槽内で方向を変えて処理液中を通過しながら、取り出されるまでに表面処理がなされている。
しかし、金属箔テープは厚さが極めて薄く、また強度も弱いことから、処理液中で方向転換用の回転ロールと接触した際に、すべり等が起こると表面に傷がつきやすいし、また、回転ロールは金属箔テープと常に接触しているため、磨耗等が避けられず、定期的に生産ラインを停止して交換する必要がある。このように、接触型の方向転換ロールを備えた表面処理槽の場合、ロールの保守、点検の必要性と製品の品質管理の面で問題があった。
【0004】
一方、めっき処理槽内のめっき液中に連続的に鋼板を通板し、めっき液中に浸漬配置した円弧状のフローター面にめっき液を噴射しながら、該フローターに沿って鋼板の通板方向を非接触的に転換する電気めっきセルが特開平8−127895号公報に提案されている。このセルが解決しようとした課題は、同種のフローターを使用したセルにおいて、鋼板の通板速度が上がった場合、フローターと鋼板間に噴射しためっき液が鋼板の通板に追随して不均一に流れることによって鋼板とフローターとの接触が起こることを回避することにあり、その解決策としてフローター外周面に鋼板の幅方向に分布させた多数の小さな突起を形成し、フローターと鋼板間のめっきの流動を均一ならしめる手段を採択しているものである。
【0005】
このセルにおけるフローターは、本発明の金属箔テープの表面処理槽中における金属箔テープの搬送方向を非接触的に転換する手段として採用できる可能性がある。しかし、鋼板とフローター間にめっき液を供給する手段がフローターへの鋼板の入側と出側の2箇所だけであるため、めっき液噴射装置から最も遠い位置であり、かつ鋼板とフローターの接触が生起しやすいフローター最下部にまで安定しためっき液層を形成し介在させるためには、鋼板の通板速度に応じためっき液の噴射量や噴射速度等の制御等に困難性がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような従来方式における問題点を解決するすることを目的とするものであり、特に、表面処理液中で方向転換ロールと金属箔テープとを直接接触させることなく金属箔テープの搬送方向を変えることにより、金属箔テープを傷つけることがなく、かつ浸漬ロールの磨耗がなく、安定して高品質の製品を製造することができる表面処理槽を提供することを目的とするものである。
本発明は、以下の各発明を包含する。
【0007】
【課題を解決するための手段】
(1)表面処理槽に連続供給される金属箔テープを表面処理液中で方向転換させる液中方向転換ロールであって、表面処理槽内に固定された状態における液中方向転換ロールの一方の側壁部から底壁部を経て他方の側壁部に至る壁領域のうち、被処理金属箔テープの幅に対応する壁領域に、液中方向転換ロールの中空部に加圧供給される表面処理液を液中方向転換ロール外へ噴出させ、液中方向転換ロールの外壁面に沿って方向転換される金属箔テープとの間に液圧を発生させて金属箔テープ面と液中方向転換ロールの外壁面とを表面処理液層によって離間させるための多数の表面処理液噴出孔を有することを特徴とする、金属箔テープの連続表面処理槽用液中方向転換ロール。
【0008】
(2)前記液中方向転換ロールは、同軸に離間して配置されている内管と前記多数の表面処理液噴出孔を有する外管を有し、前記外管両端部と内管外壁との間及び内管の一方の端部が閉鎖されている二重管からなり、前記内管は、前記外管に設けられている多数の表面処理液噴出孔と直接対面していない管体上部壁に、長さ方向に連続する表面処理液噴出用スリットを有していることを特徴とする、(1)項記載の金属箔テープの連続表面処理槽用液中方向転換ロール。
【0009】
(3)前記液中方向転換ロールにおける前記内管上壁部の表面処理液噴出用スリットは、前記外管の表面処理液噴出孔の配置領域よりも、管体の長さ方向において広い領域に設けられていることを特徴とする、(2)項記載の金属箔テープの連続表面処理槽用液中方向転換ロール。
【0010】
(4)前記内管上壁部に形成されている表面処理液噴出用スリットの開口面積の総和は、前記内管の処理液供給側端部開口面積よりも小さいことを特徴とする、(2)項又は(3)項に記載の金属箔テープの連続表面処理槽用液中方向転換ロール。
【0011】
(5)前記方向転換ロールにおける多数の表面処理液噴出孔は、前記方向転換ロールの周方向において、周方向断面の下部と鉛直軸との交点を基準に±120°以内の壁領域に千鳥状及び/又は格子状に配置されていることを特徴とする、(1)項〜(4)項のいずれか1項に記載の金属箔テープの連続表面処理槽用液中方向転換ロール。
【0012】
(6)前記液中方向転換ロールの頂部壁にエア抜き穴が設けられていることを特徴とする、(1)項〜(5)項のいずれか1項に記載の金属箔テープの連続表面処理槽用液中方向転換ロール。
【0013】
(7)前記多数の表面処理液噴出孔と前記エア抜き穴の開口面積の総和は、前記内管に設けたスリットの開口面積よりも小さいことを特徴とする、(1)項〜(6)項のいずれか1項に記載の金属箔テープの連続表面処理槽用液中方向転換ロール。
【0014】
(8)前記多数の表面処理液噴出孔は、液中方向転換ロールの周方向においては、周方向断面の下部と鉛直軸との交点を基準に±40°〜±100°の範囲となる外壁領域に、また液中方向転換ロールの長さ方向においては、搬送される金属箔テープの両側部と対面する外壁領域において、表面処理液噴出孔の口径がその他の外壁領域に設けられている表面処理液噴出孔の口径より大きいことを特徴とする、(1)項〜(7)項のいずれか1項に記載の金属箔テープの連続表面処理槽用液中方向転換ロール。
【0015】
(9)前記多数の表面処理液噴出孔は、液中方向転換ロールの周方向においては、鉛直軸下面より±40°〜±100°の範囲において、また液中方向転換ロールの長さ方向においては、搬送される金属箔テープの両側部と対面する領域に数多く設けられていることを特徴とする、(1)項〜(8)項のいずれか1項に記載の金属箔テープの連続表面処理槽用液中方向転換ロール。
【0016】
(10)前記多数の表面処理液噴出孔は、液中方向転換ロールの壁内面側から出口方向にラッパ状に広がる形状であることを特徴とする、(1)項〜(9)項のいずれか1項に記載の金属箔テープの連続表面処理槽用液中方向転換ロール。
【0017】
(11)表面処理槽と、表面処理槽中に被処理金属箔テープを連続的に供給する空中ガイドロールと、表面処理済金属箔テープを連続的に表面処理槽から取り出す空中ガイドロールと、表面処理槽中で連続的に搬送されながら表面処理されている金属箔テープの搬送方向を転換する液中方向転換ロールを有する金属箔テープの連続表面処理槽であって、前記液中方向転換ロールは、表面処理槽内に固定された状態において、液中方向転換ロールの一方の側壁部から底壁部を経て他方の側壁部に至る壁領域に設けられている多数の表面処理液噴出孔から、液中転換ロールの中空内部に加圧供給される表面処理液を噴出させることによって液中方向転換ロールの外壁面と金属箔テープとの間に液圧を発生させ、金属箔テープを液中方向転換ロールの外壁面から離間させた状態で金属箔テープの搬送方向を転換する非接触型の液中方向転換ロールであることを特徴とする、金属箔テープの連続表面処理槽。
【0018】
(12)前記非接触型の液中方向転換ロールが、前記(1)項〜(10)項のいずれかに1項に記載されている金属箔テープの連続表面処理槽用の液中方向転換ロールであることを特徴とする、(11)項記載の金属箔テープの連続表面処理槽。
【0019】
【発明の実施の形態】
既に述べたように、従来型の搬送される金属箔テープと回転接触しながら金属箔テープの進行方法を転換する液中方向転換ロールは、金属箔テープの表面に接触傷を発生させる可能性が高いし、また、液中方向転換ロールが金属箔テープとの接触で磨耗するという問題もある。本発明の液中方向転換ロールとそれを使用して構成されている金属箔テープの連続表面処理槽には上記の諸問題がない。以下、図面を参照して本発明をより具体的に説明する。
【0020】
図1は、本発明の金属箔テープの連続表面処理槽の好ましい一例の装置の概略断面図である。図1において、符号1は表面処理槽、2は液中方向転換ロール、3は外管、4は内管、5は表面処理液の噴出孔、6は内管上部スリット、7、8は空中ガイドロール、9は金属箔テープ、10は表面処理液を示す。
【0021】
図1の装置において、液中方向転換ロール2は表面処理槽1内の表面処理液10中に浸漬されている状態で、表面処理槽内壁に固定されており、金属箔テープ9は、空中ガイドロール8を経て表面処理槽1内の表面処理液10中に搬入され、液中方向転換ロール2の一側面から下面を巡って他側面に廻り、空中ガイドロール7を経て取り出される。
【0022】
液中方向転換ロール2は、図1においては二重管として示されており、その内管4に導入される表面処理液10は表面処理槽1内から取り出されて内管内に導入され、スリット6から噴出して外管3の上壁内面に一旦衝突し、外管の側面から下面に設けられている噴出孔5から噴出して外管3の外壁面と金属箔テープ9間に液圧を生じさせ、金属箔テープ9を液中方向転換ロール2の外壁面から離間させる。液中方向転換ロール2を半周して方向転換された金属箔テープ9は、上記のような液圧によって液中方向転換ロール2から離間された状態で取出し側の空中ガイドロール7方向に送られる。
【0023】
図1の連続表面処理槽1における液中方向転換ロール2の好ましい例を、図2の長さ方向縦断面図及び図3の周方向縦断面図として示す。
図2において、液中方向転換ロール2は、加圧供給される表面処理液10の供給管である内管4と、加圧供給された表面処理液を金属箔テープ(9)面に噴射する多数の表面処理液噴出孔5を有する外管3とを、図示するように、閉鎖板11で閉鎖して一体化し、さらに内管4の一端を閉鎖板13で閉鎖した構造を有している。外管3の上部にはエア抜き穴12が形成されている。また、内管4の上部には表面処理液噴出用のスリット6が長さ方向に設けられている。
【0024】
図3に詳細に示すように、内管4には、その上壁部に内管4の長さ方向に伸びるスリット6が設けられている。このようなスリットを内管4に設けることにより、矢印方向に内管4に供給される加圧表面処理液を一旦、外管3の上部内壁面に衝突させて流れを分散させると、表面処理液は内外管の間の中空部内で液圧が均一となるので、外管3の表面処理液噴出孔5からの噴出圧力の制御が容易となる。このスリット6は、外管3における表面処理液噴出孔5が配置されている長さ方向の領域と等しい領域か、より広い領域にわたって内管上壁に設けられる。
【0025】
外管3の管壁に形成される前記表面処理液噴出孔5は、図7の(イ)に示すように、液中方向転換ロールの周方向においては、周方向断面の下部と鉛直軸との交点(X)を基準に±120°以内の外壁領域に千鳥状及び/又は格子状に配置されている。
【0026】
また、金属箔と外管3の管壁部との接触が発生する可能性は、外管側部において最も高いので、外管の表面処理液噴出孔5は、図7の(ロ)に示すように、液中方向転換ロールの周方向において、周方向断面の下部と鉛直軸との交点(X)を基準に±40°〜±100°の範囲となる外壁領域に、また方向転換ロールの長さ方向においては、搬送される金属箔テープの両側部と対面する外壁領域において重点的に設けられている。
【0027】
このように、表面処理液噴出孔5を重点配置する必要がある箇所に求められる液圧を確保するためには、該箇所における噴出孔の総開口面積を大きくする必要があり、そのための手段としては、同一径の噴出孔であれば配置ピッチを短くして配置数を多くすることが有効であるし、また、該箇所に配置される噴出孔の口径を大きくして、噴出液量を多くしてやることも有効な手段である。但し、噴出孔の径を大きくすると、処理液供給管である内管4の開口面積に限度があることから、噴出孔の配置間隔を広くすることが必要となり、そうすると、金属箔テープと外管外壁間に形成される液圧が不均一となるので注意する必要がある。
通常、表面処理液噴出孔5の口径は直径で4mm以下がよく、表面処理液噴出孔5のピッチは50mm以下であることが、均一な液圧を発生させるためには好ましい。
【0028】
表面処理液噴出孔5の配置状態は、図4の(イ)に示すような千鳥状や(ロ)に示すような格子状とすることができるが、前述したように、表面処理液による所望の噴出圧と噴出量を達成できる配置であればよく、特に限定はされない。
【0029】
以上の図1〜図4では、液中方向転換ロール2が内管4と外管3を有する二重管構造のものである場合について説明したが、液中方向転換ロール2の外壁と金属箔テープ9の間に所望の液圧が形成でき、金属箔テープ9を液中方向転換ロール面から離間させた状態で安定して搬送できるような表面処理液噴出孔5を形成できる中空管体であれば単一管からなるものであってもよい。
【0030】
また、図1〜図4には、液中方向転換ロールが円筒形のロールであるものを示したが、同様に、金属箔テープ9を液中方向転換ロール2の面から離間させた状態で安定して搬送できるような表面処理液噴出孔5を形成できるものであれば、その形状は任意である。
【0031】
【実施例】
図5の(イ)及び(ロ)に示す試験処理槽を準備し、本発明の効果を検証する実験を行った。図2及び図3に示されている二重管型のFRP製の液中方向転換ロールを製作し、図5(イ)及び(ロ)に示すように試験処理槽内の表面処理液中に浸漬固定した。
表面処理液は、試験処理槽内から流量計、循環配管、ポンプを通って液中ロールに加圧供給した。供給圧力は、ポンプと液中ロール入り口間に配置した圧力計によって測定した。
【0032】
図5の(ロ)に示すように、一端を試験処理槽外壁に固定し、一方の空中ガイドロールを経て試験処理槽内の表面処理液中に入れ、FRP製の液中方向転換ロールの下部を周回させて方向転換し、他方の空中ガイドロールを経て試験処理槽外に取り出した銅箔テープの端部に張力重錘を懸架し、重錘の重量で張力を印加した。
FRP製の液中方向転換ロールにはロールを周回する細い幅の銅箔を貼付し、試験中に銅箔テープとFRP上の銅箔の間の抵抗値を常時測定して液中方向転換ロールと銅箔テープ間の接触状態(抵抗小)、非接触状態(抵抗大)の判定をした。銅箔テープとFRP製の液中方向転換ロール間を安定的に非接触状態をすることができる条件は次表の通りであった。
【0033】
【表1】
【0034】
銅箔テープへの印加張力と、表面処理液の流量及び液中方向転換ロールへの処理液の供給圧との関係を図6に示す。図6からも、表1の条件により、表面処理液流量及び供給圧が共に高い数値を示す領域では、安定的に銅箔テープと液中方向転換ロール間が非接触状態に保たれることが分る。
【0035】
以上の実証試験結果を踏まえ、銅箔テープ表面処理の実操業ラインに本発明の表面処理槽で使用される非回転型の液中方向転換を適用し、図1に示す表面処理槽と同種の表面処理槽による実用試験を次表に示す条件で実施した。各実用試験のいずれにおいても、搬送される銅箔テープに傷がつくことはなく、安定的に通箔が行われることが実証された。
【0036】
【表2】
【0037】
【発明の効果】
以上のように、本発明の金属箔テープ連続表面処理槽において使用される非回転型の中空ロールからなる液中方向転換ロールは、表面処理槽内の処理液中で、通箔中の金属箔テープと接触することなく、金属箔テープを安定に方向転換させることができるため、安定した品質の表面処理金属箔テープを製造することを可能とするものである。また、簡単な操作によって搬送中の金属箔テープと液中方向転換ロールと安定的に非接触状態に維持できるため、液中方向転換ロールが磨耗することによって必要となる操業ラインの停止等のロスがないという極めて有利な経済的効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である連続表面処理槽の概略断面図である。
【図2】本発明の一実施例である液中方向転換ロールの断面図である。
【図3】本発明の一実施例である液中方向転換ロールの概略断面図である。
【図4】本発明の一実施例である液中方向転換ロールの外壁における表面処理液噴出孔の配置状態を示す図である。
【図5】本発明の一実施例で使用した試験装置の概略図である。
【図6】本発明の液中方向転換ロールを使用した実用実験結果を示す図である。
【図7】本発明の液中方向転換ロールの外壁における表面処理液噴出孔の配置状態を説明する図である。
【符号の説明】
1:表面処理槽、2:液中方向転換ロール、3:外管、4:内管、5:表面処理液噴出孔、6:内管上部スリット、7、8:空中ガイドロール、9:金属箔テープ、10:表面処理液、11,13:閉鎖板、12:エア抜き穴
Claims (12)
- 表面処理槽に連続供給される金属箔テープを表面処理液中で方向転換させる液中方向転換ロールであって、表面処理槽内に固定された状態における液中方向転換ロールの一方の側壁部から底壁部を経て他方の側壁部に至る壁領域のうち、被処理金属箔テープの幅に対応する壁領域に、液中方向転換ロールの中空部に加圧供給される表面処理液を液中方向転換ロール外へ噴出させ、液中方向転換ロールの外壁面に沿って方向転換される金属箔テープとの間に液圧を発生させて金属箔テープ面と液中方向転換ロールの外壁面とを表面処理液層によって離間させるための多数の表面処理液噴出孔を有することを特徴とする、金属箔テープの連続表面処理槽用液中方向転換ロール。
- 前記液中方向転換ロールは、同軸に離間して配置されている内管と前記多数の表面処理液噴出孔を有する外管を有し、前記外管両端部と内管外壁との間及び内管の一方の端部が閉鎖されている二重管からなり、前記内管は、前記外管に設けられている多数の表面処理液噴出孔と直接対面していない管体上部壁に、長さ方向に連続する表面処理液噴出用スリットを有していることを特徴とする、請求項1記載の金属箔テープの連続表面処理槽用液中方向転換ロール。
- 前記液中方向転換ロールにおける前記内管上壁部の表面処理液噴出用スリットは、前記外管の表面処理液噴出孔の配置領域よりも、管体の長さ方向において広い領域に設けられていることを特徴とする、請求項2記載の金属箔テープの連続表面処理槽用液中方向転換ロール。
- 前記内管上壁部に形成されている表面処理液噴出用スリットの開口面積の総和は、前記内管の処理液供給側端部開口面積よりも小さいことを特徴とする、請求項2又は3に記載の金属箔テープの連続表面処理槽用液中方向転換ロール。
- 前記方向転換ロールにおける多数の表面処理液噴出孔は、前記方向転換ロールの周方向において、周方向断面の下部と鉛直軸との交点を基準に±120°以内の壁領域に千鳥状及び/又は格子状に配置されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の金属箔テープの連続表面処理槽用液中方向転換ロール。
- 前記液中方向転換ロールの頂部壁にエア抜き穴が設けられていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の金属箔テープの連続表面処理槽用液中方向転換ロール。
- 前記多数の表面処理液噴出孔と前記エア抜き穴の開口面積の総和は、前記内管に設けたスリットの開口面積よりも小さいことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の金属箔テープの連続表面処理槽用液中方向転換ロール。
- 前記多数の表面処理液噴出孔は、液中方向転換ロールの周方向においては、周方向断面の下部と鉛直軸との交点を基準に±40°〜±100°の範囲となる外壁領域に、また液中方向転換ロールの長さ方向においては、搬送される金属箔テープの両側部と対面する外壁領域において、表面処理液噴出孔の口径がその他の外壁領域に設けられている表面処理液噴出孔の口径より大きいことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の金属箔テープの連続表面処理槽用液中方向転換ロール。
- 前記多数の表面処理液噴出孔は、液中方向転換ロールの周方向においては、鉛直軸下面より±40°〜±100°の範囲において、また液中方向転換ロールの長さ方向においては、搬送される金属箔テープの両側部と対面する領域に数多く設けられていることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の金属箔テープの連続表面処理槽用液中方向転換ロール。
- 前記多数の表面処理液噴出孔は、液中方向転換ロールの壁内面側から出口方向にラッパ状に広がる形状であることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の金属箔テープの連続表面処理槽用液中方向転換ロール。
- 表面処理槽と、表面処理槽中に被処理金属箔テープを連続的に供給する空中ガイドロールと、表面処理済金属箔テープを連続的に表面処理槽から取り出す空中ガイドロールと、表面処理槽中で連続的に搬送されながら表面処理されている金属箔テープの搬送方向を転換する液中方向転換ロールを有する金属箔テープの連続表面処理槽であって、前記液中方向転換ロールは、表面処理槽内に固定された状態において、液中方向転換ロールの一方の側壁部から底壁部を経て他方の側壁部に至る壁領域に設けられている多数の表面処理液噴出孔から、液中転換ロールの中空内部に加圧供給される表面処理液を噴出させることによって該液中方向転換ロールの外壁面と金属箔テープとの間に液圧を発生させ、金属箔テープを液中方向転換ロールの外壁面から離間させた状態で金属箔テープの搬送方向を転換する非接触型の液中方向転換ロールであることを特徴とする、金属箔テープの連続表面処理槽。
- 前記非接触型の液中方向転換ロールが、前記請求項1〜10のいずれかに1項に記載されている金属箔テープの連続表面処理槽用の液中方向転換ロールであることを特徴とする、請求項11記載の金属箔テープの連続表面処理槽。
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JP2008163408A (ja) * | 2006-12-28 | 2008-07-17 | Fujifilm Corp | めっき装置、液中ローラー、およびフィルムのめっき方法 |
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2002
- 2002-07-03 JP JP2002194554A patent/JP2004035949A/ja active Pending
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