JP2004035410A - 電子供与性化合物錯体の製造方法およびその製造装置、ならびに共役ジエンスルホン化物の製造方法およびその製造装置 - Google Patents

電子供与性化合物錯体の製造方法およびその製造装置、ならびに共役ジエンスルホン化物の製造方法およびその製造装置 Download PDF

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Naoto Takahashi
高橋 直人
Keiichi Bessho
別所 啓一
Shinya Ishigaki
石垣 慎也
Hiroshi Unno
海野 洋
Daisuke Taneda
種田 大介
Nobuo Yoshida
吉田 伸雄
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Abstract

【解決手段】本発明に係る電子供与性化合物錯体の製造方法は、内管と外管とを有し、前記外管の内部に前記内管が該外管と平行に配設されており、前記外管の入口端部から、前記内管の出口端部までの内管の長さ(L1)が、前記外管の入口端部から、前記外管の出口端部までの外管の長さ(L2)より短かい2重管式リアクターであって、前記内管から無水硫酸を導入し、前記外管から電子供与性化合物を導入し、反応済み溶液を回収し外管に対して供給するラインを持ち、前記内管の出口端部から前記外管の出口端部までの間の2重管式リアクター空間内で、前記無水硫酸と前記電子供与性化合物とを接触させることを特徴としている。
【効果】無水硫酸と電子供与性化合物錯体との急激あるいは局所的反応を抑制することができるので、優れた品質の錯体を得ることができる。このような錯体を用いることにより、ジエン異性体など不純物含量の少ない共役ジエンスルホン化物を得ることができる。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の技術分野】
本発明は、電子供与性化合物錯体の製造方法及びその製造装置に関する。さらに詳しくは、無水硫酸と電子供与性化合物錯体との局所的反応を抑制し、不純物含量の少ない電子供与性化合物錯体の製造方法及びその製造装置に関する。
また、該製造方法により得られる電子供与性化合物錯体と共役ジエンとの反応による共役ジエンスルホン化物の製造方法および製造装置に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
従来より、脂肪族ジエンのスルホン化物を得る手法として、無水硫酸と電子供与性化合物からなる錯体をスルホン化剤として用いる方法が一般的に採られている。
無水硫酸と電子供与性化合物の錯体を生成する反応は、反応が非常に急激でありまた非常に大きな発熱を伴う。このため、たとえば該錯体の合成は実験室レベルのスケールでは溶媒(電子供与性化合物もしくは電子供与性化合物とその他の溶媒の混合物)に対して無水硫酸を滴下する形で行われている。
【0003】
しかし、スケールアップを行う場合、無水硫酸の供給ノズル出口をリアクター上部に設けて気相部から投下する方法、もしくは溶媒中に設けて直接供給する方法は、錯体合成の反応速度が非常に高いため、無水硫酸の供給量を増やすと容易に局所的かつ急激な反応を引き起こす。
このような局所的で急激な反応により、急激で大きな温度上昇を招くとともに、無水硫酸と電子供与性化合物との反応が、これらの最適反応の量比から逸脱した状態で進行するため、副反応による不純物の生成あるいは炭化により、錯体の品質が大きく低下するという問題点があった。
【0004】
このため、従来行われてきた方法による局所的、急激な反応の防止策として、たとえば、溶媒を増やすことで急激な反応を抑えることが行われているが、溶媒の大量使用は製品が希釈されることによる生産性の低下や、それに伴うエネルギー効率の観点より問題があった。また、大量の溶媒を供給しても無水硫酸と効率よく接触させなければ局所的かつ急激な反応が容易に起こってしまうという問題点がある。
【0005】
また、撹拌翼で溶媒を撹拌するあるいは撹拌効率を向上させることで、反応原料の分散を促進し、局所的、急激な反応を抑制することも行われていた。しかし、撹拌翼でリアクター中の溶媒を撹拌しても、局所的に見ると時間的に撹拌の強弱が存在し、撹拌の弱い瞬間に起こる錯体合成反応では、反応原料の分散が不十分となり局所的な反応が起こりやすいという問題点があった。
【0006】
このため、無水硫酸と電子供与性化合物錯体との急激あるいは局所的反応を抑制し、不純物含量の少ない電子供与性化合物錯体の製造方法の出現が望まれていた。
そこで本願発明者らは、上記問題を解決すべく鋭意研究し、無水硫酸を管状のチューブを介して、そのチューブの外側に配設された外管から導入される電子供与性化合物に供給することにより、錯体の合成反応が起きる箇所に安定した流れを作り出し、また、その外管の電子供与性化合物の供給ラインに、該リアクターで一度反応させた、未反応の電子供与性化合物を含む溶液を循環させることで、これによって常に無水硫酸と電子供与性化合物とを、電子供与性化合物錯体の使用量を抑えつつ十分な量で、均一に接触させることができるので、局所的、急激な反応を抑え、電子供与性化合物錯体の品質を向上させることができることを見出したため、本願発明を完成するに至った。
【0007】
【発明の目的】
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題を解決しようとするものであって、無水硫酸と電子供与性化合物錯体との急激あるいは局所的反応を抑制し、不純物含量の少ない電子供与性化合物錯体の製造方法を提供することを目的としている。また本発明は、前記製造方法あるいは前記製造装置により得れる電子供与性化合物錯体と共役ジエンとの反応により、高純度の共役ジエンスルホン化物の製造方法または製造装置を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る電子供与性化合物錯体の製造方法は、内管と外管とを有し、前記外管の内部に前記内管が該外管と平行に配設されており、前記外管の入口端部から、前記内管の出口端部までの内管の長さ(L1)が、前記外管の入口端部から、前記外管の出口端部までの外管の長さ(L2)より短かい2重管式リアクターであって、前記内管から無水硫酸を導入し、前記外管から電子供与性化合物を導入して、前記内管の出口端部から前記外管の出口端部までの間の2重管式リアクター空間内で、前記無水硫酸と前記電子供与性化合物とを接触させる構造を持ち、電子供与性化合物として未反応の電子供与性化合物を回収し、外管に循環するラインを持つことを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る電子供与性化合物錯体の製造装置は、無水硫酸を導入する内管と電子供与性化合物を導入する外管とからなる2重管式リアクターを有する電子供与性化合物錯体の製造装置であって、
前記外管の内部に前記内管が該外管と平行に配設されており、前記外管の入口端部から、前記内管の出口端部までの内管の長さ(L1)が、前記外管の入口端部から、前記外管の出口端部までの外管の長さ(L2)より短かく、
前記内管の出口端部から前記外管の出口端部までの間の2重管式リアクター空間内で、前記無水硫酸と前記電子供与性化合物とを接触させる構造を持ち、電子供与性化合物として未反応の電子供与性化合物を回収し、外管に循環するラインを持つことを特徴としている。
【0010】
このように、無水硫酸を、管状のチューブを介して、そのチューブの外側に配設された外管から導入される電子供与性化合物と接触させることにより、錯体の合成反応が起きる箇所に安定した流れを作り出し、これによって常に未反応の無水硫酸と電子供与性化合物とを、十分な量で、均一に接触させることができるので、ここにさらに電子供与性化合物を含む反応済み溶液を循環させることでより大量の電子供与性化合物を供給し、局所的、急激な反応を抑え電子供与性化合物錯体の品質を向上させることができる。
【0011】
また、本発明に係る電子供与性化合物錯体の製造方法および製造装置では、前記内管の出口端部の中心が前記外管の中心に配設され、前記無水硫酸が外管の軸方向と平行に供給されることが好ましい。
本発明に係る電子供与性化合物錯体の製造方法及び製造装置で用いられる前記2重管式リアクターは、内管と外管とからなるリアクターであり、外管を電子供与性化合物が流れ、内管を無水硫酸が流れ、内管の出口端部から該無水硫酸が供給されて外管を流れてきた電子供与性化合物と接触する。この場合、無水硫酸が、外管の中心から電子供与性化合物の流れに平行な向きで供給されると、無水硫酸の電子供与性化合物への拡散を、供給速度の低下を抑えつつ、均一かつ十分に行うことができる。一方、たとえば、外管の壁面付近から無水硫酸を供給すると、外管の壁面付近は壁面の抵抗のため流速が小さいため、無水硫酸の分散が不十分なまま錯体の合成反応が進行し、局所的反応を惹起しやすくなる。また、内管の出口端部の位置が外管の中心からずれると、外管を流れる電子供与性化合物の流れに乱れが発生したり、あるいは滞留部が発生し、その滞留部において急激な反応が起こり、副反応生成物が生成して、得られる電子供与性化合物錯体の純度が低下することがある。
【0012】
本発明に係る電子供与性化合物錯体の製造方法及び製造装置では、前記外管の長さL2は、外管の内径(D2)の3倍以上であることが好ましい。
外管の長さが一定以上あると、外管入口端部から導入された電子供与性化合物の流れが安定した状態になるため、内管出口端部から供給される無水硫酸と電子供与性化合物との反応場の流れを安定させ、均一な錯体合成反応を起こさせることができる。反応場で流れの乱れや滞留部が生じると、副反応が起き、得られる電子供与性化合物錯体の純度が低下すると考えられるからである。
【0013】
本発明に係る電子供与性化合物錯体の製造方法及び製造装置では、前記外管の長さL2と前記内管の長さL1との差(L2−L1)は、外管の内径(D2)の2倍以上であることが好ましい。
前記外管の長さL2と前記内管の長さL1との差(L2−L1)は、前記外管の出口端部から、前記内管の出口端部までの距離を表すものであるが、2重管式リアクター内の前記外管の出口端部から、前記内管の出口端部までの空間が、前記無水硫酸と前記電子供与性化合物の反応場となる。前記外管の長さL2と前記内管の長さL1との差(L2−L1)が、外管の内径(D2)の2倍以上あると、十分な反応スペースを確保でき、また、生成した電子供与性化合物錯体を外管出口で抜き出しことにより生じる流れの乱れの影響を抑制することができる。
【0014】
本発明では、前記内管の内径(D1)と前記外管の内径(D2)との比(D1/D2)が、0.05〜0.7の範囲にあることが好ましい。
D1/D2が上記範囲にあると、無水硫酸と電子供与性化合物との接触を十分に行いつつ、局所反応を抑制することができるとともに、流れの乱れを抑制することができる。
【0015】
本発明に係る電子供与性化合物錯体の製造方法及び製造装置では、前記2重管式リアクターは、外管の外側に冷却管を有していてもよい。
このような外部冷却システムを採用することにより、従来のジャケット方式に比べ、冷却能力を大幅に向上させることができるので、局所反応を抑制し、不純物の生成を一層抑制することができる。
前記電子供与性化合物は、ジオキサンであることが好ましい。
【0016】
本発明に係る共役ジエンスルホン化物の製造方法は、内管と外管とを有し、前記外管の内部に前記内管が該外管と平行に配設されており、前記外管の入口端部から、前記内管の出口端部までの内管の長さ(L1)が、前記外管の入口端部から、前記外管の出口端部までの外管の長さ(L2)より短かい2重管式リアクターであって、前記内管から無水硫酸を導入し、前記外管から電子供与性化合物を導入して、前記内管の出口端部から前記外管の出口端部までの間の2重管式リアクター空間内で、前記無水硫酸と前記電子供与性化合物とを接触させることにより得られる電子供与性化合物錯体と、
共役ジエンとを接触させることを特徴としている。
【0017】
本発明に係る共役ジエンスルホン化物の製造装置は、無水硫酸を導入する内管と電子供与性化合物を導入する外管とからなる2重管式リアクターを有する電子供与性化合物錯体の製造装置であって、前記外管の内部に前記内管が該外管と平行に配設されており、前記外管の入口端部から、前記内管の出口端部までの内管の長さ(L1)が、前記外管の入口端部から、前記外管の出口端部までの外管の長さ(L2)より短かく、前記内管の出口端部から前記外管の出口端部までの間の2重管式リアクター空間内で、前記無水硫酸と前記電子供与性化合物とを接触させる電子供与性化合物錯体の製造装置と、
前記電子供与性化合物錯体の製造装置により製造される電子供与性化合物錯体と共役ジエンとを接触させる反応装置とを有し、未反応の電子供与性化合物を回収して、前記外管に該回収した電子供与性化合物を導入する工程(あるいは回収ライン)を有することを特徴とする。
【0018】
前記電子供与性化合物錯体の製造装置により得られる電子供与性化合物錯体は、純度が高く、該電子供与性化合物錯体を用いると、高収率、高純度で生産性よく共役ジエンスルホン化物を得ることができる。
前記共役ジエンスルホン化物の製造方法および製造装置では、前記共役ジエンは、イソプレンであることが好ましい。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。
電子供与性化合物錯体の製造方法および製造装置
図1は、本発明の電子供与性化合物錯体の製造方法を実施するための2重管式リアクターの実施例を示す概略図である。
【0020】
図1に示したように、2重管式リアクター1は、内管2と外管3とを備えており、内管2の長さL1は、外管3の長さL2よりも短い。
なお、L1は、外管の入口端部4(内管の入口端部7と同じ位置)から内管の出口端部5までの内管の長さを意味し、L2は、外管の入口端部4から外管の出口端部6までの内管の長さを意味する。
【0021】
無水硫酸(三酸化イオウ)は、内管の導入部8を経て、内管2内に供給され、内管の出口端部5から2重管式リアクター1の反応場に供給される。また、電子供与性化合物は、外管の導入部9を経て、外管3内に供給される。
このようにして供給された無水硫酸と電子供与性化合物とは、前記内管の出口端部5から前記外管の出口端部6までの間の2重管式リアクター1の空間内で接触して、電子供与性化合物錯体が合成される。
【0022】
前記内管の導入部8の接合方向は、特に限定されず、2重管式リアクター1の外管、内管の軸方向と平行に接合されていても、任意の方向から2重管式リアクターに接合していてもよい。
また、前記外管の導入部9の接合方向は、特に限定されず、2重管式リアクター1の外管、内管の軸方向と平行に接合されていても、任意の方向から2重管式リアクターに接合していてもよい。
【0023】
さらに、図2は、本発明の電子供与性化合物錯体の製造方法を実施するための2重管式リアクターの実施例を示す概略図であるが、外管の導入部9が、外管の側面から導入されていてもよい。この場合、外管の入口端部4は、外管の導入部の下端を基準とすることとなる。したがって、L1、L2の長さも、この外管の下端を基準とする。
【0024】
図1に示すように、外管の出口端部6から外へ、反応生成物が抜き出だされるが、その抜き出す方向は、反応場の流れに影響を及ぼさなければ特に限定されず、内管、外管の軸方向と平行に抜き出されていても、任意の方向に抜き出されてもよい。反応場への影響を最も小さくする観点からは、内管、外管の軸方向と平行に、反応生成物を抜き出すことが好ましい。
【0025】
本発明では、前記外管の長さL2は、外管の内径(D2)の好ましくは3倍以上、さらに好ましくは10倍以上の範囲にあることが望ましい。
本発明では、前記外管の長さL2と前記内管の長さL1との差(L2−L1)は、外管の内径(D2)の2倍以上であることが好ましく、さらに好ましくは、
4倍以上の範囲にあることが望ましい。
【0026】
前記内管の内径D1の大きさは、2重管式リアクターのスケールにより異なり限定されないが、たとえば、前記外管の内径D2に対する比(D1/D2)は、好ましくは0.05〜0.3、さらに好ましくは0.08〜0.2の範囲にあることが望ましい。内径D1の大きさがD2に対して、0.3より大きくなると、無水硫酸と電子供与性化合物との反応が急激に起こり、また、流れが乱れることがあり、生成物の純度が低下することがある。また、D1/D2が、0.05より小さいと、十分な無水硫酸の供給がされず、生産性が低下する。
【0027】
無水硫酸が内管を流れる流速は、内管の内径などにより異なり限定されないが、たとえば、好ましくは0.05〜15m/sec、さらに好ましくは0.5〜5m/secの範囲にあることが望ましい、
また、電子供与性化合物が外管を流れる流速は、外管の内径などにより異なり限定されないが、たとえば、好ましくは0.1〜20m/sec、さらに好ましくは0.7〜10m/secの範囲にあることが望ましい、
流速がこの範囲にあると、十分に原料の接触時間を確保することができる。
【0028】
無水硫酸が内管を流れる流量は、内径などにより異なり限定されないが、たとえば、好ましくは0.2〜200kg/hr、さらに好ましくは0.4〜40kg/hrの範囲にあることが望ましい、
また、電子供与性化合物が外管を流れる流量は、外管の内径などにより異なり限定されないが、たとえば、好ましくは1〜1000kg/hr、さらに好ましくは2〜400kg/hrの範囲にあることが望ましい、
流速がこの範囲にあると、反応熱による温度上昇を抑え、副反応を抑えることができる。また、流速がこの範囲にあると、十分に原料を供給することができ、生産効率よく錯体を生成させることができる。
【0029】
供給する無水硫酸、電子供与性化合物の温度は、特に限定されないが、たとえば、好ましくは0〜80℃、さらに好ましくは15〜60℃の範囲にあることが望ましい。
温度がこの範囲にあると、副反応の発生を抑制することができる。
本発明で用いられる2重管式リアクターを構成する内管2の出口端部の形状は、特に限定されず、内管2と同形状でもよいし、出口端部にテーパーを付けてコーン型とすることもできる。このようにすると、反応場における流れの乱れの発生を抑え、副反応をさらに抑制することができる。
【0030】
図3は、本発明の電子供与性化合物錯体の製造方法を実施するための2重管式リアクターの実施例を示す概略図である。
図3に示したように、内管2と外管3とを備える2重管式リアクター1は、外管3の外側に、さらに、冷却管10を備えていてもよい。冷却管10は、外管3を全て覆っていてもよいし、2重管式リアクター内の前記外管の出口端部から、前記内管の出口端部までの、前記無水硫酸と前記電子供与性化合物の反応場付近を覆っていることが望ましい。
【0031】
冷却は、冷却管内に冷却水などを導入することにより行うことができる。
本発明で用いる電子供与性化合物としては、N,N−ジメチルホルムアミド、ジオキサン、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルなどのエーテル類;ピリジン、ピペラジン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミンなどのアミン類;ジメチルスルフィド、ジエチルスルフィドなどのスルフィド類;アセトニトリル、エチルニトリル、プロピルニトリルなどのニトリル化合物などが挙げられ、このうちでもN,N−ジメチルホルムアミド、ジオキサンが好ましく、ジオキサンがより好ましい。
共役ジエンスルホン化物の製造方法および製造装置
本発明に係る共役ジエンスルホン化物の製造方法は、前記電子供与性化合物錯体の製造方法により製造される電子供与性化合物錯体と、共役ジエンとを接触させることを特徴としている。
【0032】
前記共役ジエンとしては、イソプレンが挙げられる。
図4は、本発明の共役ジエンスルホン化物の製造方法を実施するための連続式の共役ジエンスルホン化物製造装置の実施例を示す概略図である。
図4に示したように、共役ジエンスルホン化物の製造装置11は、2重管式リアクター1を有する電子供与性化合物錯体の製造装置12を有し、無水硫酸は、導入部8を経て、電子供与性化合物錯体の製造装置12に供給され、電子供与性化合物は、外管の導入部9を経て、電子供与性化合物錯体の製造装置12に供給される。
【0033】
このようにして供給された無水硫酸と電子供与性化合物とは、前記2重管式リアクター1を有する電子供与性化合物錯体の製造装置12内で接触して、電子供与性化合物錯体が合成される。
製造した電子供与性化合物錯体を含む反応液は、共役ジエンとの反応のための反応容器13に供給される。
【0034】
前記反応容器13において行う、前記電子供与性化合物錯体と、共役ジエンとの反応の条件は、特に限定されず、公知の条件によりスルホン化物を製造することができる。
たとえば、電子供与性化合物錯体の量は、共役ジエン1モルに対して、通常、無水硫酸換算で0.1〜10モル、好ましくは0.5〜3モルであり、0.1モル未満では反応収率が低く、一方10モルを超えると未反応無水硫酸が多くなり、アルカリで中和したのち、多量の硫酸ナトリウムを生じ、純度が低下するため好ましくない。
【0035】
このスルホン化の反応温度は、通常、−70〜200℃、好ましくは−30〜50℃であり、−70℃未満ではスルホン化反応が遅くなり経済的でなく、一方200℃を超えると副反応を起こし、生成物が黒色化する場合があり好ましくない。
このようにして、ジオキサン錯体と共役ジエンとの接触により、共役ジエンに無水硫酸が環状に結合した環状中間体(一般名称「スルトン」)が生成する。
【0036】
次いで、生成したスルトンを含む反応溶液は、生成物分離装置14に移送する。
ここで反応溶液は、スルトンを含む溶液と、未反応の電子供与性化合物、無水硫酸を含む溶液とに分離される。
得られたスルトンに、塩基性化合物を作用させ、スルトンの環状結合をスルホン基が結合した二重結合に変化させる(以下「二重結合化」という)ことにより、たとえば下記一般式(I)で表される共役ジエンスルホン化物を得ることができる。
【0037】
【化1】
Figure 2004035410
【0038】
〔一般式(I)中、Xは、水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、アンモニウム基もしくはアミノ基である。〕
前記塩基性化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどのアルカリ金属水酸化物;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムメトキシド、ナトリウム−t−ブトキシド、カリウム−t−ブトキシドなどのアルカリ金属アルコキシド;メチルリチウム、エチルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、アミルリチウム、プロピルナトリウム、メチルマグネシウムクロライド、エチルマグネシウムブロマイド、プロピルマグネシウムアイオダイド、ジエチルマグネシウム、ジエチル亜鉛、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムなどの有機金属化合物;アンモニア水、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、ピペラジンなどのアミン類;ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、亜鉛などの金属化合物を挙げることができる。これらの塩基性化合物は、1種単独で使用することも、また2種以上を併用することもできる。これらの塩基性化合物の中では、アルキル金属水酸化物が好ましく、特に水酸化ナトリウムが好ましい。
【0039】
塩基性化合物の使用量は、共役ジエン1モルに対して、通常、0.1〜3モル、好ましくは0.5〜3モルであり、0.1モル未満では、環状結合の二重結合化が促進されず、スルトンのままで残ったり、たとえば下記一般式(II) で表されるヒドロオキシオレフィンを生成し、重合性能をほとんど有しない化合物が生成する。
【0040】
【化2】
Figure 2004035410
【0041】
一方、3モルを超えると、未反応アルカリが多く残り製品の純度が低下し好ましくない。このスルトンの二重結合化の際には、前記塩基性化合物を水溶液の形で使用することもでき、あるいは塩基性化合物に不活性な有機溶媒に溶解して使用することもできる。
この有機溶媒としては、前記各種の有機溶媒のほか、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの方向族炭化水素化合物;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコールなどのアルコール類などが挙げられる。これらの溶媒は、適宜、2種以上混合して使用することができる。塩基性化合物を水溶液または有機溶媒溶液として使用する場合には、塩基性化合物濃度は、通常、1〜70重量%、好ましくは10〜50重量%程度である。
【0042】
また、二重結合化の反応温度は、通常、−30〜150℃、好ましくは−10〜70℃、より好ましくは0〜50℃で行われ、また常圧、減圧あるいは加圧下の何れでも実施することができる。さらに、二重結合化の反応時間は、通常、0.1〜24時間、好ましくは0.5〜5時間である。また、この二重結合化に際しては、スルトンに水あるいはアルコールを加えたのち、脱水反応や脱アルコール反応によっても、目的とする一般式(I)で表されるスルホン化物が得られる。
【0043】
一方、ジオキサンを含む溶液は回収ポンプ15により回収して、冷却装置16を経て再び、外管導入部9を経て、電子供与性化合物錯体の装置12に供給される。この流量は、新規に供給される電子供与性化合物に対し、重量比で2倍以上、さらに好ましくは、10倍以上が望ましい。
このような連続式の共役ジエンスルホン化物製造装置11では、前記電子供与性化合物錯体の製造装置12が、前記2重管式リアクター1を、1本または2本以上有していてもよい。
【0044】
このようにして得られる共役ジエンスルホン化物は、ジエンの異性体の混入が少ないため純度が高く、該共役ジエンスルホン化物は、各種の重合原料などとして有用である。たとえば、本発明の共役ジエンスルホン化物から公知の方法により得られるスルホン化物重合体は、セメント分散剤、コンクリート分散剤、炭酸カルシウム分散剤、石炭分散剤、石膏分散剤、ピグメント分散剤、石油・石炭混合物分散剤などの分散剤;炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、シリカなどのスケール防止剤、防蝕剤などの水処理剤;吸水ゲル;反応性乳化剤、繊維染色剤などに使用することができる。また、前記共役ジエンスルホン化物重合体は、単独重合体または他の単量体との共重合体とすることによって親水性を高めた樹脂、ゴムの帯電防止、繊維の着色性改良などの多くの用途に使用することが可能である。
【0045】
【発明の効果】
本発明に係る電子供与性化合物錯体の製造方法あるいはその製造装置によれば、無水硫酸を管状のチューブを介して、そのチューブの外側に配設された外管から導入される電子供与性化合物に供給することにより、錯体の合成反応が起きる箇所に安定した流れを作り出し、これによって常に未反応の無水硫酸と電子供与性化合物とを、十分な量で、均一に接触させることができるので、局所的、急激な反応を抑え電子供与性化合物錯体の品質を向上させることができる。
【0046】
本発明に係る共役ジエンスルホン化物の製造方法あるいはその製造装置によれば、優れた品質の電子供与性化合物錯体と共役ジエンとを反応させるので、高純度の共役ジエンスルホン化物を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、2重管式リアクターの一例を示す概略図である。
【図2】図2は、2重管式リアクターの一例を示す概略図である。
【図3】図3は、冷却管を有する2重管式リアクターの一例を示す概略図である。
【図4】図4は、共役ジエンスルホン化物の製造装置の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
1 … 2重管式リアクター
2 … 内管
3 … 外管
4 … 外管入口端部
5 … 内管出口端部
6 … 外管出口端部
7 … 内管入口端部
8 … 内管の導入部
9 … 外管の導入部
10 … 冷却管
11 … 共役ジエンスルホン化物の製造装置
12 … 電子供与性化合物錯体の製造装置
13 … 反応容器
14 … 生成物分離装置
15 … 回収ポンプ
16 … 冷却装置

Claims (4)

  1. 内管と外管とを有し、前記外管の内部に前記内管が該外管と平行に配設されており、前記外管の入口端部から、前記内管の出口端部までの内管の長さ(L1)が、前記外管の入口端部から、前記外管の出口端部までの外管の長さ(L2)より短かい2重管式リアクターであって、前記内管から無水硫酸を導入し、前記外管から電子供与性化合物を導入して、前記内管の出口端部から前記外管の出口端部までの間の2重管式リアクター空間内で、前記無水硫酸と前記電子供与性化合物とを接触させる電子供与性化合物錯体の製造方法であり、電子供与性化合物として該2重管式リアクターで生成された電子供与性化合物錯体溶液の一部を循環させ外管に供給することを特徴とする電子供与性化合物錯体の製造方法。
  2. 無水硫酸を導入する内管と電子供与性化合物を導入する外管とからなる2重管式リアクターを有する電子供与性化合物錯体の製造装置であって、前記外管の内部に前記内管が該外管と平行に配設されており、前記外管の入口端部から、前記内管の出口端部までの内管の長さ(L1)が、前記外管の入口端部から、前記外管の出口端部までの外管の長さ(L2)より短かく、
    前記内管の出口端部から前記外管の出口端部までの間の2重管式リアクター空間内で、前記無水硫酸と前記電子供与性化合物とを接触させる電子供与性化合物錯体の製造装置であり、電子供与性化合物として該2重管式リアクターで生成された電子供与性化合物錯体溶液の一部を循環させ外管に供給することを特徴とする電子供与性化合物錯体の製造装置。
  3. 内管と外管とを有し、前記外管の内部に前記内管が該外管と平行に配設されており、前記外管の入口端部から、前記内管の出口端部までの内管の長さ(L1)が、前記外管の入口端部から、前記外管の出口端部までの外管の長さ(L2)より短かい2重管式リアクターであって、前記内管から無水硫酸を導入し、前記外管から電子供与性化合物を導入して、前記内管の出口端部から前記外管の出口端部までの間の2重管式リアクター空間内で、前記無水硫酸と前記電子供与性化合物とを接触させることにより得られる電子供与性化合物錯体と、
    共役ジエンとを接触させる共役ジエンスルホン化物の製造方法であり、これによって得られた共役シ゛エンスルホン化物溶液の一部を循環させ電子供与性化合物ラインに供給することを特徴とする共役ジエンスルホン化物の製造方法。
  4. 無水硫酸を導入する内管と電子供与性化合物を導入する外管とからなる2重管式リアクターを有する電子供与性化合物錯体の製造装置であって、前記外管の内部に前記内管が該外管と平行に配設されており、前記外管の入口端部から、前記内管の出口端部までの内管の長さ(L1)が、前記外管の入口端部から、前記外管の出口端部までの外管の長さ(L2)より短かく、前記内管の出口端部から前記外管の出口端部までの間の2重管式リアクター空間内で、前記無水硫酸と前記電子供与性化合物とを接触させる電子供与性化合物錯体の製造装置と、
    前記電子供与性化合物錯体の製造装置により製造される電子供与性化合物錯体と、共役ジエンとを接触させる反応装置とを有し、それによって得られた未反応の電子供与性化合物を含む共役ジエンスルホン化物溶液の一部を回収し、電子供与性化合物の供給ラインに供給することを特徴とする、共役ジエンスルホン化物の製造装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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