JP2004137179A - 電子供与性化合物錯体の製造方法およびその製造装置、ならびにスルトンの製造方法およびその製造装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明に係る電子供与性化合物錯体の製造方法は、無水硫酸と電子供与性化合物とから電子供与性化合物錯体を得る方法であって、前記無水硫酸を反応容器内に噴霧状で供給して前記電子供与性化合物に接触させることを特徴としている。
【効果】無水硫酸と電子供与性化合物錯体との急激あるいは局所的反応を抑制することができるので、優れた品質の錯体を得ることができる。このような錯体を用いることにより、高純度のスルトンを得ることができる。
【選択図】 図1
【効果】無水硫酸と電子供与性化合物錯体との急激あるいは局所的反応を抑制することができるので、優れた品質の錯体を得ることができる。このような錯体を用いることにより、高純度のスルトンを得ることができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の技術分野】
本発明は、電子供与性化合物錯体の製造方法及びその製造装置に関する。さらに詳しくは、無水硫酸と電子供与性化合物錯体との局所的反応を抑制し、不純物含量の小さい電子供与性化合物錯体の製造方法及びその製造装置に関する。
また、該製造方法により得られる電子供与性化合物錯体と共役ジエンとの反応によるスルトンの製造方法および製造装置に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
従来より、脂肪族ジエンのスルホン化物を得る手法として、無水硫酸と電子供与性化合物とから得られる錯体をスルホン化剤として用いる方法が一般的に採られている。
通常、無水硫酸とジオキサン等の電子供与性化合物をと接触させて電子供与性化合物の錯体を生成する反応は、反応が非常に急激でありまた非常に大きな発熱を伴う。このため、たとえば該錯体の合成は実験室レベルのスケールでは溶媒(電子供与性化合物もしくは電子供与性化合物とその他の溶媒の混合物)に対して無水硫酸を滴下する形で行われている。
【0003】
しかし、スケールアップを行う場合、無水硫酸の供給ノズル出口をリアクター上部に設けて気相部から投下する方法、もしくは溶媒中に設けて直接供給する方法は、錯体合成の反応速度が非常に高いため、無水硫酸の供給量を増やすと容易に局所的かつ急激な反応を引き起こす。
このような局所的で急激な反応は、急激で大きな温度上昇を招くとともに、無水硫酸と電子供与性化合物との反応が、これらの最適反応の量比から逸脱した状態で進行するため、副反応による不純物の生成あるいは炭化により、錯体の品質が大きく低下するという問題があった。
【0004】
このため、従来行われてきた方法による局所的、急激な反応の防止策として、たとえば、溶媒を増やすことで急激な反応を抑えることが行われているが、溶媒を増やしても反応が急激に進行することを抑制するには限界があり、また、錯体合成に関与できる溶媒の量(範囲)も、反応効率、生産性などの観点から限られるという問題があった。
【0005】
また、撹拌翼で溶媒を撹拌するあるいは撹拌効率を向上させることで、反応原料の分散を促進し、局所的、急激な反応を抑制することも行われていた。しかし、撹拌翼でリアクター中の溶媒を撹拌しても、局所的に見ると時間的に撹拌の強弱が存在し、撹拌の弱い瞬間に起こる錯体合成反応では、反応原料の分散が不十分となり局所的な反応が起こりやすいという問題点があった。
【0006】
このため、無水硫酸と電子供与性化合物との急激あるいは局所的反応を抑制し、不純物含量の少ない電子供与性化合物錯体の製造方法の出現が望まれていた。
そこで本発明者らは、上記問題を解決すべく鋭意研究し、無水硫酸を噴霧状にして電子供与性化合物と接触させると、反応量を適切に限定でき、また攪拌に伴う影響も最小限かすることができることから、局所的、急激な反応を抑え、電子供与性化合物錯体の品質を向上させることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
【発明の目的】
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題を解決しようとするものであって、無水硫酸と電子供与性化合物との急激あるいは局所的反応を抑制し、不純物含量の少ない電子供与性化合物錯体の製造方法および製造装置を提供することを目的としている。また本発明は、前記製造方法あるいは前記製造装置により得られる電子供与性化合物錯体と共役ジエンとの反応により、高純度のスルトンの製造方法および製造装置を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る電子供与性化合物錯体の製造方法は、無水硫酸と電子供与性化合物とから電子供与性化合物錯体を得る方法であって、前記無水硫酸を噴霧状で前記電子供与性化合物に接触させることを特徴としている。
また、本発明に係る電子供与性化合物錯体の製造装置は、反応容器(M)と、無水硫酸を導入するラインと、電子供与性化合物を導入するラインと、前記無水硫酸と前記電子供与性化合物との接触により得られる電子供与性化合物錯体含有溶液を反応容器(M)から排出するラインとを有し、前記無水硫酸を導入するラインが該ライン出口に噴霧ノズルを有することを特徴としている。
【0009】
このように、無水硫酸を噴霧状にして電子供与性化合物と接触させることにより、反応場が均一になり、電子供与性化合物と無水硫酸とが一度に接触する量を限定し、局所的、急激な反応を抑えることができる。また、無水硫酸を噴霧状の分散した状態で供給することで、攪拌に伴う局所的反応の影響を最小限に抑えることができる。このため、電子供与性化合物錯体の品質を向上させることができる。
【0010】
また、本発明に係る電子供与性化合物錯体の製造方法では、前記電子供与性化合物を噴霧状で前記噴霧状の無水硫酸と接触させることが好ましい。また、本発明に係る電子供与性化合物錯体の製造装置では、前記電子供与性化合物を導入するラインが該ライン出口に噴霧ノズルを有することが好ましい。
このように電子供与性化合物も噴霧状として、噴霧状の無水硫酸と接触させることにより、無水硫酸と電子供与性化合物とが一度に接触する量をさらに限定でき、局所的、急激な反応をより効果的に抑えることができるとともに、攪拌に伴う局所的反応の影響をより有効に抑えることができる。このため、電子供与性化合物錯体の品質を一層向上させることができる。
【0011】
本発明に係る電子供与性化合物錯体の製造方法及び製造装置では、反応容器(M)がジャケットにより冷却されていることが好ましく、さらに、前記反応容器(M)は、さらに外部熱交換機により冷却されていることが好ましい。
無水硫酸と電子供与性化合物との反応は急激で発熱が大きいため、ジャケット冷却機構による冷却を行うことが好ましく、さらにジャケットによるリアクターの冷却に加え、外部熱交換による冷却を行うことにより、冷却能力を大幅に向上させることができるので、局所反応を抑制し、不純物の生成を一層抑制することができるとともに、反応容器のサイズを縮小することができるので生産効率を高めることができる。
【0012】
本発明に係る電子供与性化合物錯体の製造方法では、前記電子供与性化合物が、前記無水硫酸と前記電子供与性化合物との接触により得られる電子供与性化合物錯体含有溶液の一部を回収して得られる回収溶液(P)とともに供給されてもよい。
また本発明に係る電子供与性化合物錯体の製造装置では、前記無水硫酸と前記電子供与性化合物との接触により得られる電子供与性化合物錯体含有溶液の一部を回収し、該回収溶液(P)を前記電子供与性化合物に導入するラインに供給する回収ラインを有してもよい。
【0013】
このように、得られる電子供与性化合物錯体溶液の一部を、電子供与性化合物を導入するラインに戻すことで、見かけ上の溶媒使用量を増加させ、電子供与性化合物錯体合成反応を穏やかな条件で行わせることができる。
本発明に係る電子供与性化合物錯体の製造方法及び製造装置では、前記電子供与性化合物が、ジオキサンであることが好ましい。
【0014】
本発明に係るスルトンの製造方法は、無水硫酸を噴霧状で電子供与性化合物に接触させて得られる電子供与性化合物錯体と、共役ジエンとを接触させることを特徴としている。
また、本発明に係るスルトンの製造装置は、反応容器(M)と、無水硫酸を導入するラインと、電子供与性化合物を導入するラインと、前記無水硫酸と前記電子供与性化合物との接触により得られる電子供与性化合物錯体含有溶液を反応容器(M)から排出するラインとを有し、前記無水硫酸を導入するラインが該ライン出口に噴霧ノズルを有する電子供与性化合物錯体の製造装置と、
反応容器(N)と、前記電子供与性化合物錯体の製造装置により製造される電子供与性化合物錯体を導入するラインと、共役ジエンを導入するラインと、スルトン含有溶液を反応容器(N)から排出するラインとを有する反応装置とを有することを特徴としている。
【0015】
前記電子供与性化合物錯体の製造方法または製造装置により得られる電子供与性化合物錯体は、純度が高く、該電子供与性化合物錯体を用いると、高収率、高純度で生産性よくスルトンを得ることができる。
本発明のスルトンの製造方法では、前記電子供与性化合物錯体を噴霧状で前記共役ジエンと接触させることが好ましく、前記スルトンの製造装置では、前記電子供与性化合物錯体を導入するラインが該ライン出口に噴霧ノズルを有することが好ましい。
【0016】
共役ジエンと反応させる前記電子供与性化合物錯体を噴霧状にすることにより、共役ジエンとの反応場が均一になり、得られるスルトンの収率、純度を高めることができる。
本発明に係るスルトンの製造方法では、前記電子供与性化合物が、前記無水硫酸と前記電子供与性化合物との接触により得られる電子供与性化合物錯体含有溶液の一部を回収して得られる回収溶液(P)とともに供給されてもよい。また本発明に係るスルトンの製造装置では、前記無水硫酸と前記電子供与性化合物との接触により得られる電子供与性化合物錯体含有溶液の一部を回収し、該回収溶液(P)を前記電子供与性化合物の供給ラインに供給する回収ラインを有してもよい。
【0017】
本発明のスルトンの製造方法では、前記電子供与性化合物が、電子供与性化合物錯体と、共役ジエンとを接触させて得られるスルトン含有溶液の一部を回収して得られる回収溶液(Q)とともに供給されてもよく、また、前記スルトンの製造装置では、前記電子供与性化合物錯体と共役ジエンとの接触により得られるスルトン含有溶液の一部を回収し、該回収溶液(Q)を前記電子供与性化合物を導入するラインに供給する回収ラインを有していてもよい。
【0018】
このように、得られる電子供与性化合物錯体含有溶液の一部あるいはスルトン含有溶液の一部を、電子供与性化合物を導入するラインに戻すことで、見かけ上の溶媒使用量を増加させ、前述の電子供与性化合物錯体合成反応を穏やかな条件で行わせることができる。
前記スルトンの製造方法および製造装置では、前記共役ジエンは、イソプレンであることが好ましい。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。
電子供与性化合物錯体の製造方法および製造装置
図1は、本発明の電子供与性化合物錯体の製造方法を実施するための製造装置の一例を示す概略図である。
【0020】
図1に示すように、電子供与性化合物錯体の製造装置は、無水硫酸を導入するライン1と、電子供与性化合物を導入するライン2と、反応容器3(反応容器M)と、電子供与性化合物錯体溶液を排出するライン4と、該ライン1の出口に装着された噴霧ノズル5とからなる。ライン1、2、4は反応容器3に接続している。
【0021】
前記無水硫酸は、無水硫酸を導入するライン1を経て、反応容器3に装入される。この場合、無水硫酸を導入するライン1の出口には、噴霧ノズル5が装着されている。したがって、無水硫酸を導入するライン1から装入される無水硫酸は、噴霧状で反応場に供給されて、電子供与性化合物を導入するライン2を経て装入される電子供与性化合物と接触する。無水硫酸と電子供与性化合物との接触により得られる電子供与性化合物錯体は、反応条件により未反応の電子供与性化合物、無水硫酸などとともに、電子供与性化合物含有溶液としてライン4から排出される。
【0022】
無水硫酸を導入するライン1の反応容器3における取付位置は、反応容器の大きさ、用いる原料の量、その他の条件により適宜変更することができ、反応容器3の側面から導入されていてもよいし、反応容器3の上部から導入されていてもよい。
前記電子供与性化合物を導入するライン2は、該ラインの出口に、噴霧ノズル6を有していてもよく、電子供与性化合物は噴霧状態で、噴霧状の無水硫酸と接触させることができる。この場合、噴霧状の無水硫酸を導入するライン1の出口と、電子供与性化合物を導入するライン2の出口は、反応容器3の互いに対面する位置から噴霧することが好ましい。
【0023】
なお、電子供与性化合物を噴霧状で供給しない場合には、電子供与性化合物の落下流に対して噴霧状の無水硫酸を接触させてもよいし、反応容器内に導入された電子供与性化合物を含む溶液を攪拌しながら、その表面に、噴霧状の無水硫酸を吹きかけて接触させてもよい。
噴霧ノズルから噴霧される無水硫酸あるいは電子供与性化合物の噴霧パターンは、噴霧ノズルを側面から観察して、ノズルの先端部から直線的に噴霧されるパターン、円錐状に広がるパターン、同心円上に広がるパターンなどが挙げられるが、噴霧される化合物を相互に均一かつ有効に接触させるという観点から、ともに円錐状に広がるパターンが好ましい。
【0024】
噴霧される無水硫酸は、0.1〜100μm、さらに好ましくは 1〜30μm程度の霧状の微粒子の状態(ミスト状態)とすることが好ましい。また、電子供与性化合物を噴霧する場合、噴霧される電子供与性化合物は、好ましくは0.1〜100μm、さらに好ましくは1 〜30μm程度の霧状の微粒子の状態、したがって、いわゆるミストの状態とすることが好ましい。このような微粒子とすることにより、反応が均一に進行するとともに、またこれらの成分が大きな表面積を持つことにより反応効率がよい一方で、接触量が一定量以下となるので過剰な反応を抑制して穏やかに反応を進行させることができる。
【0025】
無水硫酸の量は、電子供与性化合物1モル/hrに対して、通常、0.05〜2モル/hr、好ましくは 0.2 〜0.4モル/hrであり、0.2モル/hr未満では反応収率が低く、一方0.4 モル/hrを超えると未反応無水硫酸が多くなり、アルカリで中和したのち、多量の硫酸ナトリウムを生じ、純度が低下するため好ましくない。
【0026】
無水硫酸を導入するライン1から供給された無水硫酸は、噴霧ノズルを出た直後において、好ましくは20〜70℃、さらに好ましくは35〜48℃の温度を有することが好ましい。
また、前記電子供与性化合物を導入するライン2から供給された電子供与性化合物は、ライン2から出た直後において、好ましくは0〜40℃、さらに好ましくは11〜20℃の温度で供給されることが望ましい。
【0027】
温度が上記範囲にあると、副反応の発生を抑制できる。
前記噴霧ノズル5および6は、流体を微粒子状に噴霧するための噴霧装置であれば限定されず、たとえば、スプレーノズル、アトマイザーなど、公知の構造を有する噴霧ノズルを採用することができる。これらのうちでは、スプレーノズルが好ましい。スプレーノズルを用いることにより、一定方向の流れを有する均一な噴霧を可能とすることができる。
【0028】
噴霧状の無水硫酸と電子供与性化合物との接触により、反応は瞬時に起こり、電子供与性化合物錯体を生成させることができる。この場合、この反応の発熱は非常に大きいため、反応容器3はジャケット式のジャケット冷却機構7を備えていることが好ましい。またさらに、反応容器3は、外部熱交換機構8を備えていてもよく、ジャケット式冷却機構7と外部熱交換機構8のいずれも備えていることが望ましい。
【0029】
本発明に係る電子供与性化合物錯体の製造方法を実施するための製造装置では、無水硫酸と電子供与性化合物との接触により得られる電子供与性化合物錯体溶液の一部を回収して、電子供与性化合物供給ライン2に戻す回収ライン9を有していてもよい。
回収され、電子供与性化合物供給ライン2に導入される電子供与性化合物錯体溶液(回収溶液P)の量は、定常状態で、電子供与性化合物の濃度が、好ましくは5〜50質量%、さらに好ましくは25〜40質量%となるように調整することが望ましい。
【0030】
本発明で用いる電子供与性化合物としては、N,N−ジメチルホルムアミド、ジオキサン、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルなどのエーテル類;ピリジン、ピペラジン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミンなどのアミン類;ジメチルスルフィド、ジエチルスルフィドなどのスルフィド類;アセトニトリル、エチルニトリル、プロピルニトリルなどのニトリル化合物などが挙げられ、このうちでもN,N−ジメチルホルムアミド、ジオキサンが好ましく、ジオキサンをより好ましく用いることができる。
スルトンの製造方法および製造装置
本発明に係るスルトンの製造方法および製造装置は、前記電子供与性化合物錯体の製造方法または製造装置により製造される電子供与性化合物錯体と、共役ジエンとを接触させることを特徴としている。
【0031】
なお、スルトンとは、電子供与性化合物錯体と共役ジエンとの接触により、共役ジエンに無水硫酸が環状に結合した環状中間体を意味している。
前記共役ジエンとしては、イソプレンが挙げられる。
図2は、本発明のスルトンの製造方法を実施するための連続式のスルトン製造装置の一例を示す概略図である。
【0032】
図2に示すように、本発明のスルトンの製造装置は、前記電子供与性化合物錯体の製造装置を含み、さらに、電子供与性化合物錯体と共役ジエンとを接触させる反応装置とを有している。具体的には、スルトンの製造装置は、少なくとも、無水硫酸を導入するライン1と、電子供与性化合物を導入するライン2と、反応容器3(反応容器M)と、電子供与性化合物錯体溶液を排出するライン4と、該ライン1の出口に装着された噴霧ノズル5とからなる電子供与性化合物錯体の製造装置、および反応容器12(反応容器N)と、電子供与性化合物錯体溶液を導入するライン10と、共役ジエンを導入するライン11と、スルトン含有溶液を反応容器12(反応容器N)から排出するライン13とを含む反応装置とを有している。
【0033】
前記電子供与性化合物錯体の製造方法および製造装置により得られる電子供与性化合物錯体溶液は、共役ジエンとの反応のため、電子供与性化合物を導入するライン10を経て反応容器12に供給され、共役ジエンを導入するライン11から供給される共役ジエンと接触して、スルトンを生成する。
この場合、前記電子供与性化合物錯体を導入するライン10は、ライン出口に噴霧ノズル14を有しても良い。またさらに、共役ジエンを供給するライン11も、該ライン出口に噴霧ノズルを有していてもよい。
【0034】
電子供与性化合物錯体を導入するライン10の反応容器12における取付位置は、反応容器の大きさ、その他の条件により適宜変更することができ、反応容器12の側面から導入されていてもよいし、反応容器12の上部から導入されていてもよい。
電子供与性化合物錯体と共役ジエンとを共に噴霧状で接触させる場合は、ライン10の出口とライン11の出口とは、反応容器12の側面の互いに対向する位置にあることが好ましい。
【0035】
電子供与性化合物錯体を噴霧状で供給し、共役ジエンを噴霧状で供給しない場合には、共役ジエンの落下流に対して噴霧状の電子供与性化合物錯体を接触させてもよいし、反応容器内に導入された共役ジエン溶液を攪拌しながら、その表面に、噴霧状の電子供与性化合物錯体を吹きかけて接触させてもよい。
噴霧ノズルから噴霧される電子供与性化合物錯体あるいは共役ジエンの噴霧パターンは、噴霧ノズルを側面から観察して、ノズルの先端部から直線的に噴霧されるパターン、円錐状に広がるパターン、同心円上に広がるパターンなどが挙げられるが、噴霧される化合物を相互に均一かつ有効に接触させるという観点から、ともに円錐状に広がるパターンが好ましい。
【0036】
噴霧される電子供与性化合物錯体は、0.1〜100μm、さらに好ましくは1〜30μm程度の霧状の微粒子の状態とすることが好ましく、共役ジエンも噴霧する場合、共役ジエンは、好ましくは0.1〜100μm、さらに好ましくは1〜30μm程度の霧状の微粒子の状態とすることが好ましい。このような微粒子とすることにより、反応が均一に進行するとともに、またこれらの成分が大きな表面積を持つことにより反応効率がよい一方で、接触量が一定量以下となるので過剰な反応を抑制して穏やかに反応を進行させることができる。
【0037】
前記反応容器12において行う、前記電子供与性化合物錯体と、共役ジエンとの反応の条件は、特に限定されず、公知の条件によりスルトンを製造することができる。
たとえば、電子供与性化合物錯体の量は、共役ジエン1モルに対して、通常、無水硫酸換算で0.1〜10モル、好ましくは0.5〜3モルであり、0.1モル未満では反応収率が低く、一方10モルを超えると未反応無水硫酸が多くなり、アルカリで中和したのち、多量の硫酸ナトリウムを生じ、純度が低下するため好ましくない。
【0038】
このスルホン化の反応温度は、通常、−70〜200℃、好ましくは−30〜50℃であり、−70℃未満ではスルホン化反応が遅くなり経済的でなく、一方200℃を超えると副反応を起こし、生成物が黒色化する場合があり好ましくない。
次いで、生成したスルトンを含む反応溶液は反応溶液移送ライン15を経て、生成物分離装置16などに移送して精製する。
【0039】
ここで反応溶液は、スルトン排出ライン17を通じてスルトンを含む溶液と、回収ライン18を通じてスルトン含有溶液の一部である未反応の電子供与性化合物、無水硫酸、電子供与性化合物錯体を含む溶液とに分離される。回収ライン18を通じて得られる前記電子供与性化合物などを含む回収溶液(Q)は、電子供与性化合物の導入ライン2に供給される。
【0040】
このような、スルトン含有溶液の一部である未反応のジオキサン等の電子供与性化合物を含む回収溶液(Q)は、ライン2における電子供与性化合物の濃度が、好ましくは30〜95質量%、さらに好ましくは50〜75質量%となるように調整してライン2に供給することが望ましい。
得られたスルトンは、塩基性化合物を作用させ、スルトンの環状結合をスルホン基が結合した二重結合に変化させる(以下「二重結合化」という)ことにより、たとえば、共役ジエンがイソプレンの場合には、下記一般式(I)で表される共役ジエンスルホン化物を得ることができる。
【0041】
【化1】
【0042】
〔一般式(I)中、Xは、水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、アンモニウム基もしくはアミノ基である。〕
前記塩基性化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどのアルカリ金属水酸化物;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムメトキシド、ナトリウム−t−ブトキシド、カリウム−t−ブトキシドなどのアルカリ金属アルコキシド;メチルリチウム、エチルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、アミルリチウム、プロピルナトリウム、メチルマグネシウムクロライド、エチルマグネシウムブロマイド、プロピルマグネシウムアイオダイド、ジエチルマグネシウム、ジエチル亜鉛、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムなどの有機金属化合物;アンモニア水、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、ピペラジンなどのアミン類;ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、亜鉛などの金属化合物を挙げることができる。これらの塩基性化合物は、1種単独で使用することも、また2種以上を併用することもできる。これらの塩基性化合物の中では、アルキル金属水酸化物が好ましく、特に水酸化ナトリウムが好ましい。
【0043】
塩基性化合物の使用量は、共役ジエン1モルに対して、通常、0.1〜10モル、好ましくは0.5〜3モルであり、0.1モル未満では、環状結合の二重結合化が促進されず、スルトンのままで残ったり、たとえば下記一般式(II) で表されるヒドロオキシオレフィンを生成し、重合性能をほとんど有しない化合物が生成する。
【0044】
【化2】
【0045】
一方、10モルを超えると、未反応アルカリが多く残り製品の純度が低下し好ましくない。このスルトンの二重結合化の際には、前記塩基性化合物を水溶液の形で使用することもでき、あるいは塩基性化合物に不活性な有機溶媒に溶解して使用することもできる。
この有機溶媒としては、前記各種の有機溶媒のほか、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの方向族炭化水素化合物;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコールなどのアルコール類などが挙げられる。
これらの溶媒は、適宜、2種以上混合して使用することができる。塩基性化合物を水溶液または有機溶媒溶液として使用する場合には、塩基性化合物濃度は、通常、1〜70質量%、好ましくは10〜50質量%程度である。
【0046】
また、二重結合化の反応温度は、通常、−30〜150℃、好ましくは−10〜70℃、より好ましくは0〜50℃で行われ、また常圧、減圧あるいは加圧下の何れでも実施することができる。さらに、二重結合化の反応時間は、通常、0.1〜24時間、好ましくは0.5〜5時間である。また、この二重結合化に際しては、スルトンに水あるいはアルコールを加えたのち、脱水反応や脱アルコール反応によっても、目的とする一般式(I)で表されるスルホン化物が得られる。このようにして得られる共役ジエンスルホン化物は、ジエンの異性体の混入が少ないため純度が高く、該共役ジエンスルホン化物は、各種の重合原料などとして有用である。たとえば、本発明のスルトンの製造方法により得られる共役ジエンスルホン化物から公知の方法により得られるスルホン化物重合体は、セメント分散剤、コンクリート分散剤、炭酸カルシウム分散剤、石炭分散剤、石膏分散剤、ピグメント分散剤、石油・石炭混合物分散剤などの分散剤;炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、シリカなどのスケール防止剤、防蝕剤などの水処理剤;吸水ゲル;反応性乳化剤、繊維染色剤などに使用することができる。また、前記共役ジエンスルホン化物重合体は、単独重合体または他の単量体との共重合体とすることによって親水性を高めた樹脂、ゴムの帯電防止、繊維の着色性改良などの多くの用途に使用することが可能である。
【0047】
【発明の効果】
本発明に係る電子供与性化合物錯体の製造方法あるいはその製造装置によれば、無水硫酸を噴霧状にして電子供与性化合物と接触させることにより、一度に接触する無水硫酸の量を限定し、局所的、急激な反応を抑えることができる。また、無水硫酸を分散した状態で供給することで、攪拌に伴う局所的反応の影響を最小限に抑えることができる。このため、電子供与性化合物錯体の品質を向上させることができる。
【0048】
本発明に係るスルトンの製造方法あるいはその製造装置によれば、優れた品質の電子供与性化合物錯体と共役ジエンとを反応させるので、高純度のスルトンを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の電子供与性化合物錯体の製造方法を実施するための製造装置の一例を示す概略図である。
【図2】図2は、本発明のスルトンの製造方法を実施するためのスルトンの製造装置の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
1 … 無水硫酸を導入するライン
2 … 電子供与性化合物を導入するライン
3 … 反応容器
4 … 排出ライン
5 … 噴霧ノズル
6 … 噴霧ノズル
7 … ジャケット冷却機構
8 … 外部熱交換機構
9 … 回収ライン
10 … 電子供与性化合物錯体を導入するライン
11 … 共役ジエンを導入するライン
12 … 反応容器
13 … 排出ライン
14 … 噴霧ノズル
15 … 反応溶液移送ライン
16 … 生成物分離装置
17 … スルトン排出ライン
18 … 回収ライン
【発明の技術分野】
本発明は、電子供与性化合物錯体の製造方法及びその製造装置に関する。さらに詳しくは、無水硫酸と電子供与性化合物錯体との局所的反応を抑制し、不純物含量の小さい電子供与性化合物錯体の製造方法及びその製造装置に関する。
また、該製造方法により得られる電子供与性化合物錯体と共役ジエンとの反応によるスルトンの製造方法および製造装置に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
従来より、脂肪族ジエンのスルホン化物を得る手法として、無水硫酸と電子供与性化合物とから得られる錯体をスルホン化剤として用いる方法が一般的に採られている。
通常、無水硫酸とジオキサン等の電子供与性化合物をと接触させて電子供与性化合物の錯体を生成する反応は、反応が非常に急激でありまた非常に大きな発熱を伴う。このため、たとえば該錯体の合成は実験室レベルのスケールでは溶媒(電子供与性化合物もしくは電子供与性化合物とその他の溶媒の混合物)に対して無水硫酸を滴下する形で行われている。
【0003】
しかし、スケールアップを行う場合、無水硫酸の供給ノズル出口をリアクター上部に設けて気相部から投下する方法、もしくは溶媒中に設けて直接供給する方法は、錯体合成の反応速度が非常に高いため、無水硫酸の供給量を増やすと容易に局所的かつ急激な反応を引き起こす。
このような局所的で急激な反応は、急激で大きな温度上昇を招くとともに、無水硫酸と電子供与性化合物との反応が、これらの最適反応の量比から逸脱した状態で進行するため、副反応による不純物の生成あるいは炭化により、錯体の品質が大きく低下するという問題があった。
【0004】
このため、従来行われてきた方法による局所的、急激な反応の防止策として、たとえば、溶媒を増やすことで急激な反応を抑えることが行われているが、溶媒を増やしても反応が急激に進行することを抑制するには限界があり、また、錯体合成に関与できる溶媒の量(範囲)も、反応効率、生産性などの観点から限られるという問題があった。
【0005】
また、撹拌翼で溶媒を撹拌するあるいは撹拌効率を向上させることで、反応原料の分散を促進し、局所的、急激な反応を抑制することも行われていた。しかし、撹拌翼でリアクター中の溶媒を撹拌しても、局所的に見ると時間的に撹拌の強弱が存在し、撹拌の弱い瞬間に起こる錯体合成反応では、反応原料の分散が不十分となり局所的な反応が起こりやすいという問題点があった。
【0006】
このため、無水硫酸と電子供与性化合物との急激あるいは局所的反応を抑制し、不純物含量の少ない電子供与性化合物錯体の製造方法の出現が望まれていた。
そこで本発明者らは、上記問題を解決すべく鋭意研究し、無水硫酸を噴霧状にして電子供与性化合物と接触させると、反応量を適切に限定でき、また攪拌に伴う影響も最小限かすることができることから、局所的、急激な反応を抑え、電子供与性化合物錯体の品質を向上させることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
【発明の目的】
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題を解決しようとするものであって、無水硫酸と電子供与性化合物との急激あるいは局所的反応を抑制し、不純物含量の少ない電子供与性化合物錯体の製造方法および製造装置を提供することを目的としている。また本発明は、前記製造方法あるいは前記製造装置により得られる電子供与性化合物錯体と共役ジエンとの反応により、高純度のスルトンの製造方法および製造装置を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る電子供与性化合物錯体の製造方法は、無水硫酸と電子供与性化合物とから電子供与性化合物錯体を得る方法であって、前記無水硫酸を噴霧状で前記電子供与性化合物に接触させることを特徴としている。
また、本発明に係る電子供与性化合物錯体の製造装置は、反応容器(M)と、無水硫酸を導入するラインと、電子供与性化合物を導入するラインと、前記無水硫酸と前記電子供与性化合物との接触により得られる電子供与性化合物錯体含有溶液を反応容器(M)から排出するラインとを有し、前記無水硫酸を導入するラインが該ライン出口に噴霧ノズルを有することを特徴としている。
【0009】
このように、無水硫酸を噴霧状にして電子供与性化合物と接触させることにより、反応場が均一になり、電子供与性化合物と無水硫酸とが一度に接触する量を限定し、局所的、急激な反応を抑えることができる。また、無水硫酸を噴霧状の分散した状態で供給することで、攪拌に伴う局所的反応の影響を最小限に抑えることができる。このため、電子供与性化合物錯体の品質を向上させることができる。
【0010】
また、本発明に係る電子供与性化合物錯体の製造方法では、前記電子供与性化合物を噴霧状で前記噴霧状の無水硫酸と接触させることが好ましい。また、本発明に係る電子供与性化合物錯体の製造装置では、前記電子供与性化合物を導入するラインが該ライン出口に噴霧ノズルを有することが好ましい。
このように電子供与性化合物も噴霧状として、噴霧状の無水硫酸と接触させることにより、無水硫酸と電子供与性化合物とが一度に接触する量をさらに限定でき、局所的、急激な反応をより効果的に抑えることができるとともに、攪拌に伴う局所的反応の影響をより有効に抑えることができる。このため、電子供与性化合物錯体の品質を一層向上させることができる。
【0011】
本発明に係る電子供与性化合物錯体の製造方法及び製造装置では、反応容器(M)がジャケットにより冷却されていることが好ましく、さらに、前記反応容器(M)は、さらに外部熱交換機により冷却されていることが好ましい。
無水硫酸と電子供与性化合物との反応は急激で発熱が大きいため、ジャケット冷却機構による冷却を行うことが好ましく、さらにジャケットによるリアクターの冷却に加え、外部熱交換による冷却を行うことにより、冷却能力を大幅に向上させることができるので、局所反応を抑制し、不純物の生成を一層抑制することができるとともに、反応容器のサイズを縮小することができるので生産効率を高めることができる。
【0012】
本発明に係る電子供与性化合物錯体の製造方法では、前記電子供与性化合物が、前記無水硫酸と前記電子供与性化合物との接触により得られる電子供与性化合物錯体含有溶液の一部を回収して得られる回収溶液(P)とともに供給されてもよい。
また本発明に係る電子供与性化合物錯体の製造装置では、前記無水硫酸と前記電子供与性化合物との接触により得られる電子供与性化合物錯体含有溶液の一部を回収し、該回収溶液(P)を前記電子供与性化合物に導入するラインに供給する回収ラインを有してもよい。
【0013】
このように、得られる電子供与性化合物錯体溶液の一部を、電子供与性化合物を導入するラインに戻すことで、見かけ上の溶媒使用量を増加させ、電子供与性化合物錯体合成反応を穏やかな条件で行わせることができる。
本発明に係る電子供与性化合物錯体の製造方法及び製造装置では、前記電子供与性化合物が、ジオキサンであることが好ましい。
【0014】
本発明に係るスルトンの製造方法は、無水硫酸を噴霧状で電子供与性化合物に接触させて得られる電子供与性化合物錯体と、共役ジエンとを接触させることを特徴としている。
また、本発明に係るスルトンの製造装置は、反応容器(M)と、無水硫酸を導入するラインと、電子供与性化合物を導入するラインと、前記無水硫酸と前記電子供与性化合物との接触により得られる電子供与性化合物錯体含有溶液を反応容器(M)から排出するラインとを有し、前記無水硫酸を導入するラインが該ライン出口に噴霧ノズルを有する電子供与性化合物錯体の製造装置と、
反応容器(N)と、前記電子供与性化合物錯体の製造装置により製造される電子供与性化合物錯体を導入するラインと、共役ジエンを導入するラインと、スルトン含有溶液を反応容器(N)から排出するラインとを有する反応装置とを有することを特徴としている。
【0015】
前記電子供与性化合物錯体の製造方法または製造装置により得られる電子供与性化合物錯体は、純度が高く、該電子供与性化合物錯体を用いると、高収率、高純度で生産性よくスルトンを得ることができる。
本発明のスルトンの製造方法では、前記電子供与性化合物錯体を噴霧状で前記共役ジエンと接触させることが好ましく、前記スルトンの製造装置では、前記電子供与性化合物錯体を導入するラインが該ライン出口に噴霧ノズルを有することが好ましい。
【0016】
共役ジエンと反応させる前記電子供与性化合物錯体を噴霧状にすることにより、共役ジエンとの反応場が均一になり、得られるスルトンの収率、純度を高めることができる。
本発明に係るスルトンの製造方法では、前記電子供与性化合物が、前記無水硫酸と前記電子供与性化合物との接触により得られる電子供与性化合物錯体含有溶液の一部を回収して得られる回収溶液(P)とともに供給されてもよい。また本発明に係るスルトンの製造装置では、前記無水硫酸と前記電子供与性化合物との接触により得られる電子供与性化合物錯体含有溶液の一部を回収し、該回収溶液(P)を前記電子供与性化合物の供給ラインに供給する回収ラインを有してもよい。
【0017】
本発明のスルトンの製造方法では、前記電子供与性化合物が、電子供与性化合物錯体と、共役ジエンとを接触させて得られるスルトン含有溶液の一部を回収して得られる回収溶液(Q)とともに供給されてもよく、また、前記スルトンの製造装置では、前記電子供与性化合物錯体と共役ジエンとの接触により得られるスルトン含有溶液の一部を回収し、該回収溶液(Q)を前記電子供与性化合物を導入するラインに供給する回収ラインを有していてもよい。
【0018】
このように、得られる電子供与性化合物錯体含有溶液の一部あるいはスルトン含有溶液の一部を、電子供与性化合物を導入するラインに戻すことで、見かけ上の溶媒使用量を増加させ、前述の電子供与性化合物錯体合成反応を穏やかな条件で行わせることができる。
前記スルトンの製造方法および製造装置では、前記共役ジエンは、イソプレンであることが好ましい。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。
電子供与性化合物錯体の製造方法および製造装置
図1は、本発明の電子供与性化合物錯体の製造方法を実施するための製造装置の一例を示す概略図である。
【0020】
図1に示すように、電子供与性化合物錯体の製造装置は、無水硫酸を導入するライン1と、電子供与性化合物を導入するライン2と、反応容器3(反応容器M)と、電子供与性化合物錯体溶液を排出するライン4と、該ライン1の出口に装着された噴霧ノズル5とからなる。ライン1、2、4は反応容器3に接続している。
【0021】
前記無水硫酸は、無水硫酸を導入するライン1を経て、反応容器3に装入される。この場合、無水硫酸を導入するライン1の出口には、噴霧ノズル5が装着されている。したがって、無水硫酸を導入するライン1から装入される無水硫酸は、噴霧状で反応場に供給されて、電子供与性化合物を導入するライン2を経て装入される電子供与性化合物と接触する。無水硫酸と電子供与性化合物との接触により得られる電子供与性化合物錯体は、反応条件により未反応の電子供与性化合物、無水硫酸などとともに、電子供与性化合物含有溶液としてライン4から排出される。
【0022】
無水硫酸を導入するライン1の反応容器3における取付位置は、反応容器の大きさ、用いる原料の量、その他の条件により適宜変更することができ、反応容器3の側面から導入されていてもよいし、反応容器3の上部から導入されていてもよい。
前記電子供与性化合物を導入するライン2は、該ラインの出口に、噴霧ノズル6を有していてもよく、電子供与性化合物は噴霧状態で、噴霧状の無水硫酸と接触させることができる。この場合、噴霧状の無水硫酸を導入するライン1の出口と、電子供与性化合物を導入するライン2の出口は、反応容器3の互いに対面する位置から噴霧することが好ましい。
【0023】
なお、電子供与性化合物を噴霧状で供給しない場合には、電子供与性化合物の落下流に対して噴霧状の無水硫酸を接触させてもよいし、反応容器内に導入された電子供与性化合物を含む溶液を攪拌しながら、その表面に、噴霧状の無水硫酸を吹きかけて接触させてもよい。
噴霧ノズルから噴霧される無水硫酸あるいは電子供与性化合物の噴霧パターンは、噴霧ノズルを側面から観察して、ノズルの先端部から直線的に噴霧されるパターン、円錐状に広がるパターン、同心円上に広がるパターンなどが挙げられるが、噴霧される化合物を相互に均一かつ有効に接触させるという観点から、ともに円錐状に広がるパターンが好ましい。
【0024】
噴霧される無水硫酸は、0.1〜100μm、さらに好ましくは 1〜30μm程度の霧状の微粒子の状態(ミスト状態)とすることが好ましい。また、電子供与性化合物を噴霧する場合、噴霧される電子供与性化合物は、好ましくは0.1〜100μm、さらに好ましくは1 〜30μm程度の霧状の微粒子の状態、したがって、いわゆるミストの状態とすることが好ましい。このような微粒子とすることにより、反応が均一に進行するとともに、またこれらの成分が大きな表面積を持つことにより反応効率がよい一方で、接触量が一定量以下となるので過剰な反応を抑制して穏やかに反応を進行させることができる。
【0025】
無水硫酸の量は、電子供与性化合物1モル/hrに対して、通常、0.05〜2モル/hr、好ましくは 0.2 〜0.4モル/hrであり、0.2モル/hr未満では反応収率が低く、一方0.4 モル/hrを超えると未反応無水硫酸が多くなり、アルカリで中和したのち、多量の硫酸ナトリウムを生じ、純度が低下するため好ましくない。
【0026】
無水硫酸を導入するライン1から供給された無水硫酸は、噴霧ノズルを出た直後において、好ましくは20〜70℃、さらに好ましくは35〜48℃の温度を有することが好ましい。
また、前記電子供与性化合物を導入するライン2から供給された電子供与性化合物は、ライン2から出た直後において、好ましくは0〜40℃、さらに好ましくは11〜20℃の温度で供給されることが望ましい。
【0027】
温度が上記範囲にあると、副反応の発生を抑制できる。
前記噴霧ノズル5および6は、流体を微粒子状に噴霧するための噴霧装置であれば限定されず、たとえば、スプレーノズル、アトマイザーなど、公知の構造を有する噴霧ノズルを採用することができる。これらのうちでは、スプレーノズルが好ましい。スプレーノズルを用いることにより、一定方向の流れを有する均一な噴霧を可能とすることができる。
【0028】
噴霧状の無水硫酸と電子供与性化合物との接触により、反応は瞬時に起こり、電子供与性化合物錯体を生成させることができる。この場合、この反応の発熱は非常に大きいため、反応容器3はジャケット式のジャケット冷却機構7を備えていることが好ましい。またさらに、反応容器3は、外部熱交換機構8を備えていてもよく、ジャケット式冷却機構7と外部熱交換機構8のいずれも備えていることが望ましい。
【0029】
本発明に係る電子供与性化合物錯体の製造方法を実施するための製造装置では、無水硫酸と電子供与性化合物との接触により得られる電子供与性化合物錯体溶液の一部を回収して、電子供与性化合物供給ライン2に戻す回収ライン9を有していてもよい。
回収され、電子供与性化合物供給ライン2に導入される電子供与性化合物錯体溶液(回収溶液P)の量は、定常状態で、電子供与性化合物の濃度が、好ましくは5〜50質量%、さらに好ましくは25〜40質量%となるように調整することが望ましい。
【0030】
本発明で用いる電子供与性化合物としては、N,N−ジメチルホルムアミド、ジオキサン、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルなどのエーテル類;ピリジン、ピペラジン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミンなどのアミン類;ジメチルスルフィド、ジエチルスルフィドなどのスルフィド類;アセトニトリル、エチルニトリル、プロピルニトリルなどのニトリル化合物などが挙げられ、このうちでもN,N−ジメチルホルムアミド、ジオキサンが好ましく、ジオキサンをより好ましく用いることができる。
スルトンの製造方法および製造装置
本発明に係るスルトンの製造方法および製造装置は、前記電子供与性化合物錯体の製造方法または製造装置により製造される電子供与性化合物錯体と、共役ジエンとを接触させることを特徴としている。
【0031】
なお、スルトンとは、電子供与性化合物錯体と共役ジエンとの接触により、共役ジエンに無水硫酸が環状に結合した環状中間体を意味している。
前記共役ジエンとしては、イソプレンが挙げられる。
図2は、本発明のスルトンの製造方法を実施するための連続式のスルトン製造装置の一例を示す概略図である。
【0032】
図2に示すように、本発明のスルトンの製造装置は、前記電子供与性化合物錯体の製造装置を含み、さらに、電子供与性化合物錯体と共役ジエンとを接触させる反応装置とを有している。具体的には、スルトンの製造装置は、少なくとも、無水硫酸を導入するライン1と、電子供与性化合物を導入するライン2と、反応容器3(反応容器M)と、電子供与性化合物錯体溶液を排出するライン4と、該ライン1の出口に装着された噴霧ノズル5とからなる電子供与性化合物錯体の製造装置、および反応容器12(反応容器N)と、電子供与性化合物錯体溶液を導入するライン10と、共役ジエンを導入するライン11と、スルトン含有溶液を反応容器12(反応容器N)から排出するライン13とを含む反応装置とを有している。
【0033】
前記電子供与性化合物錯体の製造方法および製造装置により得られる電子供与性化合物錯体溶液は、共役ジエンとの反応のため、電子供与性化合物を導入するライン10を経て反応容器12に供給され、共役ジエンを導入するライン11から供給される共役ジエンと接触して、スルトンを生成する。
この場合、前記電子供与性化合物錯体を導入するライン10は、ライン出口に噴霧ノズル14を有しても良い。またさらに、共役ジエンを供給するライン11も、該ライン出口に噴霧ノズルを有していてもよい。
【0034】
電子供与性化合物錯体を導入するライン10の反応容器12における取付位置は、反応容器の大きさ、その他の条件により適宜変更することができ、反応容器12の側面から導入されていてもよいし、反応容器12の上部から導入されていてもよい。
電子供与性化合物錯体と共役ジエンとを共に噴霧状で接触させる場合は、ライン10の出口とライン11の出口とは、反応容器12の側面の互いに対向する位置にあることが好ましい。
【0035】
電子供与性化合物錯体を噴霧状で供給し、共役ジエンを噴霧状で供給しない場合には、共役ジエンの落下流に対して噴霧状の電子供与性化合物錯体を接触させてもよいし、反応容器内に導入された共役ジエン溶液を攪拌しながら、その表面に、噴霧状の電子供与性化合物錯体を吹きかけて接触させてもよい。
噴霧ノズルから噴霧される電子供与性化合物錯体あるいは共役ジエンの噴霧パターンは、噴霧ノズルを側面から観察して、ノズルの先端部から直線的に噴霧されるパターン、円錐状に広がるパターン、同心円上に広がるパターンなどが挙げられるが、噴霧される化合物を相互に均一かつ有効に接触させるという観点から、ともに円錐状に広がるパターンが好ましい。
【0036】
噴霧される電子供与性化合物錯体は、0.1〜100μm、さらに好ましくは1〜30μm程度の霧状の微粒子の状態とすることが好ましく、共役ジエンも噴霧する場合、共役ジエンは、好ましくは0.1〜100μm、さらに好ましくは1〜30μm程度の霧状の微粒子の状態とすることが好ましい。このような微粒子とすることにより、反応が均一に進行するとともに、またこれらの成分が大きな表面積を持つことにより反応効率がよい一方で、接触量が一定量以下となるので過剰な反応を抑制して穏やかに反応を進行させることができる。
【0037】
前記反応容器12において行う、前記電子供与性化合物錯体と、共役ジエンとの反応の条件は、特に限定されず、公知の条件によりスルトンを製造することができる。
たとえば、電子供与性化合物錯体の量は、共役ジエン1モルに対して、通常、無水硫酸換算で0.1〜10モル、好ましくは0.5〜3モルであり、0.1モル未満では反応収率が低く、一方10モルを超えると未反応無水硫酸が多くなり、アルカリで中和したのち、多量の硫酸ナトリウムを生じ、純度が低下するため好ましくない。
【0038】
このスルホン化の反応温度は、通常、−70〜200℃、好ましくは−30〜50℃であり、−70℃未満ではスルホン化反応が遅くなり経済的でなく、一方200℃を超えると副反応を起こし、生成物が黒色化する場合があり好ましくない。
次いで、生成したスルトンを含む反応溶液は反応溶液移送ライン15を経て、生成物分離装置16などに移送して精製する。
【0039】
ここで反応溶液は、スルトン排出ライン17を通じてスルトンを含む溶液と、回収ライン18を通じてスルトン含有溶液の一部である未反応の電子供与性化合物、無水硫酸、電子供与性化合物錯体を含む溶液とに分離される。回収ライン18を通じて得られる前記電子供与性化合物などを含む回収溶液(Q)は、電子供与性化合物の導入ライン2に供給される。
【0040】
このような、スルトン含有溶液の一部である未反応のジオキサン等の電子供与性化合物を含む回収溶液(Q)は、ライン2における電子供与性化合物の濃度が、好ましくは30〜95質量%、さらに好ましくは50〜75質量%となるように調整してライン2に供給することが望ましい。
得られたスルトンは、塩基性化合物を作用させ、スルトンの環状結合をスルホン基が結合した二重結合に変化させる(以下「二重結合化」という)ことにより、たとえば、共役ジエンがイソプレンの場合には、下記一般式(I)で表される共役ジエンスルホン化物を得ることができる。
【0041】
【化1】
【0042】
〔一般式(I)中、Xは、水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、アンモニウム基もしくはアミノ基である。〕
前記塩基性化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどのアルカリ金属水酸化物;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムメトキシド、ナトリウム−t−ブトキシド、カリウム−t−ブトキシドなどのアルカリ金属アルコキシド;メチルリチウム、エチルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、アミルリチウム、プロピルナトリウム、メチルマグネシウムクロライド、エチルマグネシウムブロマイド、プロピルマグネシウムアイオダイド、ジエチルマグネシウム、ジエチル亜鉛、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムなどの有機金属化合物;アンモニア水、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、ピペラジンなどのアミン類;ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、亜鉛などの金属化合物を挙げることができる。これらの塩基性化合物は、1種単独で使用することも、また2種以上を併用することもできる。これらの塩基性化合物の中では、アルキル金属水酸化物が好ましく、特に水酸化ナトリウムが好ましい。
【0043】
塩基性化合物の使用量は、共役ジエン1モルに対して、通常、0.1〜10モル、好ましくは0.5〜3モルであり、0.1モル未満では、環状結合の二重結合化が促進されず、スルトンのままで残ったり、たとえば下記一般式(II) で表されるヒドロオキシオレフィンを生成し、重合性能をほとんど有しない化合物が生成する。
【0044】
【化2】
【0045】
一方、10モルを超えると、未反応アルカリが多く残り製品の純度が低下し好ましくない。このスルトンの二重結合化の際には、前記塩基性化合物を水溶液の形で使用することもでき、あるいは塩基性化合物に不活性な有機溶媒に溶解して使用することもできる。
この有機溶媒としては、前記各種の有機溶媒のほか、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの方向族炭化水素化合物;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコールなどのアルコール類などが挙げられる。
これらの溶媒は、適宜、2種以上混合して使用することができる。塩基性化合物を水溶液または有機溶媒溶液として使用する場合には、塩基性化合物濃度は、通常、1〜70質量%、好ましくは10〜50質量%程度である。
【0046】
また、二重結合化の反応温度は、通常、−30〜150℃、好ましくは−10〜70℃、より好ましくは0〜50℃で行われ、また常圧、減圧あるいは加圧下の何れでも実施することができる。さらに、二重結合化の反応時間は、通常、0.1〜24時間、好ましくは0.5〜5時間である。また、この二重結合化に際しては、スルトンに水あるいはアルコールを加えたのち、脱水反応や脱アルコール反応によっても、目的とする一般式(I)で表されるスルホン化物が得られる。このようにして得られる共役ジエンスルホン化物は、ジエンの異性体の混入が少ないため純度が高く、該共役ジエンスルホン化物は、各種の重合原料などとして有用である。たとえば、本発明のスルトンの製造方法により得られる共役ジエンスルホン化物から公知の方法により得られるスルホン化物重合体は、セメント分散剤、コンクリート分散剤、炭酸カルシウム分散剤、石炭分散剤、石膏分散剤、ピグメント分散剤、石油・石炭混合物分散剤などの分散剤;炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、シリカなどのスケール防止剤、防蝕剤などの水処理剤;吸水ゲル;反応性乳化剤、繊維染色剤などに使用することができる。また、前記共役ジエンスルホン化物重合体は、単独重合体または他の単量体との共重合体とすることによって親水性を高めた樹脂、ゴムの帯電防止、繊維の着色性改良などの多くの用途に使用することが可能である。
【0047】
【発明の効果】
本発明に係る電子供与性化合物錯体の製造方法あるいはその製造装置によれば、無水硫酸を噴霧状にして電子供与性化合物と接触させることにより、一度に接触する無水硫酸の量を限定し、局所的、急激な反応を抑えることができる。また、無水硫酸を分散した状態で供給することで、攪拌に伴う局所的反応の影響を最小限に抑えることができる。このため、電子供与性化合物錯体の品質を向上させることができる。
【0048】
本発明に係るスルトンの製造方法あるいはその製造装置によれば、優れた品質の電子供与性化合物錯体と共役ジエンとを反応させるので、高純度のスルトンを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の電子供与性化合物錯体の製造方法を実施するための製造装置の一例を示す概略図である。
【図2】図2は、本発明のスルトンの製造方法を実施するためのスルトンの製造装置の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
1 … 無水硫酸を導入するライン
2 … 電子供与性化合物を導入するライン
3 … 反応容器
4 … 排出ライン
5 … 噴霧ノズル
6 … 噴霧ノズル
7 … ジャケット冷却機構
8 … 外部熱交換機構
9 … 回収ライン
10 … 電子供与性化合物錯体を導入するライン
11 … 共役ジエンを導入するライン
12 … 反応容器
13 … 排出ライン
14 … 噴霧ノズル
15 … 反応溶液移送ライン
16 … 生成物分離装置
17 … スルトン排出ライン
18 … 回収ライン
Claims (8)
- 無水硫酸と電子供与性化合物とから電子供与性化合物錯体を得る方法であって、前記無水硫酸を噴霧状で前記電子供与性化合物に接触させることを特徴とする電子供与性化合物錯体の製造方法。
- 前記電子供与性化合物を噴霧状で前記噴霧状の無水硫酸と接触させることを特徴とする請求項1に記載の電子供与性化合物錯体の製造方法。
- 前記電子供与性化合物が、ジオキサンであることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の電子供与性化合物錯体の製造方法。
- 反応容器(M)と、無水硫酸を導入するラインと、電子供与性化合物を導入するラインと、前記無水硫酸と前記電子供与性化合物との接触により得られる電子供与性化合物錯体含有溶液を反応容器(M)から排出するラインとを有し、前記無水硫酸を導入するラインが該ライン出口に噴霧ノズルを有することを特徴とする電子供与性化合物錯体の製造装置。
- 前記電子供与性化合物を導入するラインが該ライン出口に噴霧ノズルを有することを特徴とする請求項4に記載の電子供与性化合物錯体の製造装置。
- 無水硫酸を噴霧状で電子供与性化合物に接触させて得られる電子供与性化合物錯体と、
共役ジエンとを接触させることを特徴とするスルトンの製造方法。 - 前記電子供与性化合物錯体を噴霧状で前記共役ジエンと接触させることを特徴とする請求項6に記載のスルトンの製造方法。
- 反応容器(M)と、無水硫酸を導入するラインと、電子供与性化合物を導入するラインと、前記無水硫酸と前記電子供与性化合物との接触により得られる電子供与性化合物錯体溶液を反応容器(M)から排出するラインとを有し、前記無水硫酸を導入するラインが該ライン出口に噴霧ノズルを有する電子供与性化合物錯体の製造装置と、
反応容器(N)と、前記電子供与性化合物錯体の製造装置により製造される電子供与性化合物錯体を導入するラインと、共役ジエンを導入するラインと、スルトン含有溶液を反応容器(N)から排出するラインとを有する反応装置と
を有することを特徴とするスルトンの製造装置。
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