JP2004034382A - 記録ヘッドおよび画像記録方法ならびに画像記録装置 - Google Patents

記録ヘッドおよび画像記録方法ならびに画像記録装置 Download PDF

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Abstract

【課題】マルチチャンネルの記録ヘッドを用いたインターリーブ記録を行うに際し、故障チャンネルが発生した際にも、生産性および解像度を共に低下させることなく画像記録を行うことができ記録ヘッド、および、この記録ヘッドを用いる画像記録方法ならびに録装置を提供する。
【解決手段】記録ヘッドの物理解像度は記録画像の解像度よりも低く、かつ、記録チャンネルの配列の延長線上に、記録チャンネルのチャンネルピッチの整数倍離れて配置される予備チャンネルを有し、さらに、この予備チャンネルは、記録画像の解像度と同じ物理解像度で記録チャンネルと少なくとも同数配列されることを特徴とする記録ヘッドにより、前記課題を解決する。
【選択図】図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、マルチチャンネルの記録ヘッドを用いて、記録ヘッドの物理解像度よりも高解像度な画像記録を行うインターリーブ記録の技術分野に属し、詳しくは、インターリーブ記録において、記録ヘッドに故障チャンネルが生じた場合でも、生産性の低下等を生じることなく、通常と同様に画像記録を行うことができるマルチチャンネルの記録ヘッド、および、この記録ヘッドを用いる画像記録方法、ならびに、この画像記録方法を実施する画像記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
複数の光ビームで感光材料を露光するマルチシャンネル露光ヘッドや、インク液滴を吐出するノズルを複数配列してなるインクジェット記録ヘッドのように、複数の記録チャンネル(記録素子)を有するマルチチャンネルの記録ヘッドが、各種のプリンタに利用されている。
このようなマルチチャンネルの記録ヘッド(以下、単に記録ヘッドとする)を用いた画像記録方法の1つとして、感光材料や受像紙等の記録媒体をドラムの側面に巻回して保持し、ドラムを回転(主走査)しつつ、記録ヘッドの記録チャンネルの配列方向とドラムの軸線方向とを一致して、記録ヘッドを軸線方向に移動(副走査)することにより、記録材料を記録ヘッドによって二次元的に走査する、いわゆるドラムスキャナによる画像記録が知られている。
【0003】
また、このような記録ヘッドを用いたドラムスキャナによる画像記録において、記録ヘッドの軸線方向への移動に応じて、隣り合わせる記録チャンネルとの間を埋めるように各記録チャンネルを駆動して画像を記録することにより、記録ヘッドの有する解像度(記録ヘッドの物理解像度)よりも高い解像度で画像記録を行う、インターリーブ(画像)記録が知られている。
【0004】
マルチチャンネルの記録ヘッドによるインターリーブ記録の一例として、図6に示される記録方法が知られている。
図示例は、解像度が150epi(ejection per inch)で、4チャンネル(白丸)の記録ヘッドによって、600dpiの画像記録を行う例である。この画像方法では、インターリーブ記録によって、4倍の画像記録を行うので、ドラムが一回転する毎に、記録ヘッドは、自身のチャンネルピッチの1/4ずつ、矢印で示す軸線(記録チャンネルの配列)方向に移動して、画像を記録する。
このような画像記録をドラム4回転、すなわち4回を行うと、各記録チャンネル間が3つの記録画素で埋められたようになり、すなわち、600dpiの画像記録が行われる。
【0005】
この記録方法では、既に記録した画素の下流(記録ヘッドの移動方向)側の記録を行うために、5回転目の記録を開始する前に、矢印mで示すように、最上流の記録チャンネルが、4回転目を終了した時点における最下流の記録チャンネルの記録位置から600dpi分だけ離れた位置となるまで、記録ヘッドを一気に動かす。次いで、同様に、ドラム4回転分の記録を行い、再度、同様に一気に記録ヘッドを動かし、記録を行うことを繰り返して、150epiで4チャンネルの記録ヘッドによって、記録媒体の全面に600dpiの画像を記録する。
【0006】
しかしながら、このような記録方法(step−scan)では、インターリーブ記録による解像度の向上に応じた所定のドラム回転数毎に、大きく記録ヘッドを移動する必要があり、この際に画像記録ムラが生じ易いという問題点がある。
【0007】
このような問題点を解決した、ドラムを回転しつつ、記録ヘッドを一定速度で連続的に移動しながら、いわゆるヘリカルスキャンによって記録媒体の全面に画像を記録するインターリーブ記録も知られている。この方法では、記録チャンネルのチャンネルピッチ(1pitch)に対するドラム一回転当たりの記録ヘッドの移動量の比をp、記録ヘッドの物理解像度に対する記録解像度の比をN、記録チャンネル数をM、任意の整数をXとし、NおよびMが整数で、かつ、下記の式(1)および(2)を満たすようにして画像記録を行う(後に詳述する)。
p*N=M            式(1)
p=X+1/N      式(2)
図7にその記録方法の一例を示す。
【0008】
図7に示される例は、150epiで5つの記録チャンネルを有する記録ヘッドによって、600dpiの画像記録を行う例である。この例では、記録ヘッドを、ドラム1回転毎に記録チャンネルのピッチに対して1.25の比で連続的に移動しつつ、各記録チャンネルによる画像を行う。
これにより、図7に示されるように、4回転目以降(3回転目の途中から)は、各記録チャンネル間を3つの記録画素で埋めるようにして、150epiの記録ヘッドで600dpiの画像記録を行うことができる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このような記録ヘッドを用いたインターリーブ記録では、故障チャンネル(不良チャンネル)が生じると、記録画像に線状の白抜けや、スジむらが生じて、適正画質の画像を記録することができなくなってしまう。
このような不都合を防止するために、各種の方法が提案されている。
【0010】
その1つとして、記録ヘッドの各チャンネルを、予め奇数チャンネルと偶数チャンネルとに分け、故障チャンネルが生じた場合には、故障チャンネルを有さないグループの記録チャンネルを用いて画像を記録する方法が知られている。
しかしながら、この方法では、故障チャンネルが発生した後では、記録画像の解像度が半分になってしまい、また、故障チャンネル発生前と同じ解像度で画像を記録するためには、生産性が半分になってしまう。
【0011】
別の方法として、故障チャンネルが発生した場合に、記録チャンネルの配列を故障チャンネルを挟む2つに分け、チャンネル数が多い方を用いて画像記録を行う方法が知られている。
この方法では、故障チャンネルの位置に応じて、記録ヘッドのチャンネル数が異なってしまうために、各ケースで生産性が違ってしまい、その上、画像データの割り振り等、画像処理が複雑になってしまい、システムのコストが高くなってしまう。
【0012】
さらに、記録ヘッドを2つ持つ、あるいは、記録チャンネルと同様の予備チャンネルを持つ方法も知られているが、この方法では、記録ヘッドのコストが二倍近くになってしまう上に、予備ヘッドを配置する場所が必要、記録ヘッドのサイズが二倍になる等の不都合もあり、装置設計の自由度や装置の小型化等の点でも、大幅に不利になってしまう。
【0013】
本発明の目的は、前記従来技術の問題点を解決することにあり、マルチチャンネルの記録ヘッドを用いたドラムスキャナによる画像記録で、各記録チャンネル間を埋めるように画像記録を行うことにより、記録ヘッドの物理解像度よりも高解像度の画像記録を行うインターリーブ記録を行うに際し、故障チャンネルが発生した際にも、短い休止期間で、かつ、低コストの対応で、生産性および解像度を共に低下させることなく画像記録を行うことができ、また、故障チャンネルによる歩留り低下の防止できるマルチチャンネルの記録ヘッド、および、この記録ヘッドを用いる画像記録方法、ならびに、この画像記録方法を実施する画像記録装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明の記録ヘッドは、一方向に配列された複数の記録チャンネルを有するマルチチャンネルの記録ヘッドであって、前記記録ヘッドの物理解像度は記録画像の解像度よりも低く、かつ、前記記録チャンネルの配列の延長線上に、前記記録チャンネルのチャンネルピッチの整数倍離れて配置される予備チャンネルを有し、さらに、この予備チャンネルは、記録画像の解像度と同じ物理解像度で前記記録チャンネルと少なくとも同数配列されることを特徴とする記録ヘッドを提供する。
このような本発明の記録ヘッドにおいて、前記記録チャンネルの配列の両外側に前記予備チャンネルを有するのが好ましい。
【0015】
また、本発明の画像記録方法は、前記本発明の記録ヘッドを用いて画像を記録するに際し、側面に記録媒体を巻き付けでドラムを回転し、かつ、前記記録ヘッドの記録チャンネルの配列方向とドラムの軸線方向とを一致して、この軸線方向に記録ヘッドを移動しつつ、前記記録ヘッドの各記録チャンネルを記録画像に応じて変調駆動することにより、前記記録ヘッドの物理解像度よりも高解像度の記録画像を行うと共に、前記記録チャンネルの故障チャンネルに対応する予備チャンネルを決定しておくと共に、記録時には、前記故障チャンネルの記録データを対応する予備チャンネルに割り振り、故障チャンネルに対する予備チャンネルの周回遅れ数に応じて、前記割り振った記録データで予備チャンネルを変調駆動することを特徴とする画像記録方法を提供する。
【0016】
さらに、本発明の画像記録装置は、前記本発明の記録ヘッドと、側面に記録材料を巻回して回転するドラムと、前記記録ヘッドの記録チャンネル配列方向とドラムの軸線方向とを一致して、前記記録ヘッドをドラムの軸線方向に移動する移動手段と、前記記録ヘッドの内の故障チャンネルの情報を取得し、故障チャンネルに対応する予備チャンネルを決定する手段と、前記ドラムの回転および記録ヘッドの移動に応じて、前記記録ヘッドの各記録チャンネルを記録画像に応じて変調駆動することにより、前記記録チャンネルの物理解像度よりも高解像度の記録画像を行うと共に、前記故障チャンネルの記録データを対応する予備チャンネルに割り振り、この故障チャンネルに対する予備チャンネルの周回遅れ数に応じて、前記割り振った記録データに応じて予備チャンネルを変調駆動する手段とを有することを特徴とする画像記録装置を提供する。
【0017】
このような本発明の画像記録方法および画像記録装置において、前記記録チャンネルのチャンネルピッチに対する前記ドラムが一回転する間における記録ヘッドの移動量の比をp、前記記録ヘッドの物理解像度に対する記録画像の解像度の比をN、前記記録ヘッドの記録チャンネル数をM、任意の整数をXとした際に、NおよびMは整数であり、かつ、下記式(1)および(2)を満たすのが好ましい。
p*N=M            式(1)
p=X+1/N      式(2)
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の記録ヘッド、画像記録方法、および画像記録装置について、添付の図面に示される好適実施例を基に、詳細に説明する。
【0019】
なお、以下の例は、本発明をインクジェットプリンタ(インクジェット記録ヘッド)に利用した例である。しかしながら、本発明は、これに限定はされず、複数の光ビームを個々に変調して感光材料の露光を行うことができるマルチチャンネルの露光ヘッド、サーマル記録ヘッド、ドットインパクト記録ヘッド等、各種のマルチチャンネルの記録ヘッドに利用可能であり、また、このようなマルチチャンネルの記録ヘッドを用いたインターリーブ記録に利用可能である。
中でも、後述する予備チャンネルの作製が比較的容易で、しかも、故障チャンネルが発生し易い、インクジェットには、特に、好適である。
【0020】
図1に、本発明の記録ヘッドを用い、本発明の画像記録方法を実施する本発明の画像記録装置の一例の概念図を示す。
このインクジェットプリンタ10(以下、プリンタ10とする)は、基本的に、インクジェットの記録ヘッド12が装着されるヘッドユニット14と、ドラム16と、ヘッドユニット14の移動手段(図示省略)と、設定手段20とを有して構成される。
【0021】
このようなプリンタ10は、ドラム16の外側面に受像媒体Pを巻回して、中心軸16aを中心にドラム16を図中矢印x方向に回転すると共に、記録ヘッド12の記録チャンネルの配列方向と中心軸16a(ドラム16の軸線)の延在方向を一致して、この軸線方向(図中矢印y方向)にヘッドユニット14を連続的に移動することにより、記録ヘッド12に配列された記録チャンネルによって、受像媒体Pをヘリカルスキャンによって二次元的に走査することにより、受像媒体Pの全面に画像を記録する、いわゆるドラムスキャナである。
【0022】
図示例のプリンタ10は、このようなマルチチャンネルの記録ヘッド12を用いたドラムスキャナによる画像記録において、記録ヘッド12の各記録チャンネルの間を埋めるように画像記録を行うことにより、記録ヘッド12の解像度(記録ヘッド12の物理解像度)よりも高解像度な画像記録を行う、インターリーブ記録を行うものである。この画像記録に関しては、後に詳述する。
【0023】
ヘッドユニット14は、基本的に、公知のインクジェットプリンタのヘッドユニット(インクジェットカートリッジ等)と同様のものであり、記録ヘッド12に加え、インクタンク、記録ヘッド12にインクを供給する供給路、記録ヘッド12への駆動エネルギの供給手段、画像データに応じて記録ヘッド12を駆動させる記録制御手段等を有する。ヘッドユニット14は、記録ヘッド12からのインクの吐出方向をドラム16に向けて配置される。
また、ヘッドユニット14には、後述するインターリーブ記録に応じて各記録チャンネルに画像データを割り振ると共に、供給された記録ヘッド12の故障チャンネルの情報に応じて、故障チャンネルに対応する予備チャンネルを決定し、かつ、予備チャンネルの故障チャンネルに対する周回遅れ数に応じて画素の並べかえを行って、故障チャンネルの画像データを予備チャンネルに割り振って、画像データを記録制御手段に送る、設定手段20が接続される。
【0024】
記録ヘッド12は、マルチチャンネルのインクジェット記録ヘッドであって、故障チャンネルを補償するための後述する予備チャンネルを有する以外には、基本的に、インクを吐出するノズル、インク吐出手段としてのアクチュエータ、各ノズルにインクを供給するインク供給路、アクチュエータのドライバ等を有する、公知のインクジェットの記録ヘッドである。
【0025】
このような記録ヘッド12は、各種のインクジェットの記録ヘッドが利用可能である。従って、アクチュエータとしてのヒータによってインクを加熱し、気泡の成長によってインクを吐出する、いわゆるサーマルインクジェットでもよく、ピエゾ素子等を利用するアクチュエータによって振動板を振動してインクを吐出する、いわゆるピエゾタイプのインクジェットでもよく、静電気を利用するMEMS(Micro Electronic Mechanical System)によって振動板を振動してインクを吐出する、いわゆる静電タイプのインクジェットでもよい。
また、基板面に対して垂直方向にインクを吐出するトップシュータ型(フェイスインクジェット)であってもよく、基板面に対して平行方向にインクを吐出するサイドシュータ型(エッジインクジェット)であってもよい。
さらに、記録ヘッド12は、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)およびK(黒)のインクを吐出するカラーの記録ヘッドでも、例えばKインクのみを吐出するモノクロの記録ヘッドでもよい。また、C、M、YおよびKの各インクを吐出するモノクロの記録ヘッドなど、記録チャンネルの配列方向と直交する方向に複数の記録ヘッドを配置した構成のヘッドにおいて、少なくとも1つの記録ヘッドに本発明を利用してもよい。さらに、短尺な記録ヘッド(短尺ヘッド)を、直線状や千鳥格子状等に配列して長尺化した記録ヘッドにおいて、全体もしくは各短尺ヘッド毎に本発明を利用してもよい。
以下の説明では、図面および説明を簡略化して、本発明の特徴をより明瞭にするために、一例として、モノクロの記録ヘッドで説明する。
【0026】
このようなヘッドユニット14は、ドラム16の軸線方向に延在するガイドバー18によって、この軸線方向に移動自在に指示されており、かつ、図示しない移動手段によって、矢印y方向(以下、副走査方向とする)に移動される。
なお、ヘッドユニット14(すなわち記録ヘッド12)の移動方法には、限定はなく、ネジ伝動、プーリ等を用いるベルト伝動、ラックアンドピニオン等のギア等を用いる方法等、目的とする移動精度を達成できるものであれば、各種の方法が利用可能である。
【0027】
また、ドラム16も、ドラムスキャナに用いられる通常のドラムであり、公知の方法で(外)側面に受像媒体Pを保持して、中心軸16aを中心に回転する円筒である。
なお、本発明において、ドラムは図示例のようなアウタードラムに限定はされず、内側面に受像媒体P(記録媒体)を保持する、いわゆる、インナードラムであってもよい。
【0028】
図2に、記録ヘッド12の一例の表面(インク吐出面)の概念図を示す。
図示例の記録ヘッド12は、600dpiの画像記録を行うもので、記録チャンネル22a〜記録チャンネル22eの5つの記録チャンネル(ノズル)22を、150epi(ejection per inch)の解像度(記録ヘッド12の物理解像度)で有する。さらに、記録ヘッド12は、記録チャンネルの配列の延長線上に、記録チャンネル22のチャンネルピッチ(以下、これを1pitch とする)だけ離れて、5つの予備チャンネル24(24a〜24e)を記録解像度と同じ600epiで有する。前述のように記録ヘッド12は、この予備チャンネル24を有する以外は、基本的に、公知のインクジェットの記録ヘッドである。予備チャンネル24については、後に詳述する。
【0029】
まず、この記録ヘッド12によるインターリーブ記録に付いて説明する。
前述のように、図示例のプリンタ10は、マルチチャンネルの記録ヘッド12を用い、ドラムスキャナによるヘリカルスキャンでインターリーブ記録を行って、解像度が150epiの記録ヘッド12によって、これよりも高解像度の600dpiの画像記録を行う。
【0030】
ここで、このようなインターリーブ記録においては、前述のように、記録チャンネル22のチャンネルピッチに対する、ドラム16の1回転当たりの記録ヘッド12の移動量の比を移動ピッチp(p=[ドラムの1回転当たりの記録ヘッド移動量]/[1pitch ])、記録ヘッド12の解像度に対する記録解像度の比を解像度倍率N(N=[記録解像度]/[物理解像度])、記録ヘッド12が有する記録チャンネル22の数をチャンネル数M、任意の整数をXとした際に、NおよびMは整数であり、かつ、下記式(1)および(2)を満たすように、
p*N=M            式(1)
p=X+1/N      式(2)
記録ヘッド12の物理解像度やチャンネル数M、移動ピッチpを設定することにより、各記録チャンネル22間を均一に埋めるように画像記録を行って、偏り無く適正に解像度を向上したインターリーブ記録を行うことができる。
【0031】
図示例においては、5つの記録チャンネル22を150epiで有するの記録ヘッド12によって、600dpiの画像記録を行う。すなわち、チャンネル数Mは5、解像度倍率Nは4である。また、移動ピッチpを1.25、すなわち図3に概念的に示すように、ドラム16が一回転(矢印R)する間に、記録チャンネル22のチャンネルピッチ(以下、これを1pitch とする)の1.25倍(1.25pitch)、記録ヘッド12を移動する。従って、この場合には、X=1とすることにより、上記式(1)および式(2)が満たされる。言い換えれば、上記式を満たす「1」という整数が存在する(このインターリーブ記録は、前述の図7と同様)。
図2に示される例においては、このように上記条件を満たした上で、記録画像に応じて各記録チャンネル22を駆動することにより、図2(B)に示されるように、ドラム16の1回転目に、副走査方向(矢印y方向)に1,5,9,13,17番目の画素を記録し、2回転目に同6,10,14,18,22番目の画素を記録し、3回転目に同11,15,19,23,27番目の画素を記録し、4回転目に20,24,…と、副走査方向の13番目の記録画素以降は、各記録チャンネル22の間を均等に3つの記録画素で埋めて、記録ヘッド12の解像度よりも高解像度な600dipの画像記録を行っている。
【0032】
上記式において、Nは前記解像度倍率であるが、別の見方をすれば、インターリーブ記録における繰り返し周期(隣の記録チャンネルに至るまでの記録回数)を示している。従って、適正な記録を行うためには、ドラム22がN回転したら(すなわち、N+1回転目の開始時には)、最上流の記録チャンネル(図示例では22a)が、その周期の記録開始当初の最下流の記録チャンネル(同22e)から1pitch 下流に位置している必要がある。
また、記録画素を副走査方向(記録チャンネルの配列方向)に適正な間隔で配列するためには、ドラム16が1回転する間に、記録チャンネルの1pitch の整数倍+記録解像度の1画素分だけ、記録ヘッド12が移動する必要がある。
このような条件を満たすのが,上記式を満たす場合であって、移動ピッチp、チャンネル数M、および解像度倍率Nの各種の組み合わせにおいて、上記式において整数Xが存在する場合に、インターリーブ記録を行うことができる。
【0033】
言い換えれば、予め決定された、目的とする記録解像度、記録ヘッドの物理解像度、記録チャンネル数等の1以上に応じて、上記式を満たすように、残りのパラメータを決定すればよい。
例えば、解像度が150epiの記録ヘッドを用いて600dipの画像記録を行う場合に、チャンネル数Mが17であれば、移動ピッチpを4.25とすればX=4が存在するので、適正なインターリーブ記録を行うことができ、同M=61の場合にはp=15.25(X=15)、同M=65の場合にはp=16.25(X=16)とすれば、適正なインターリーブ記録を行うことができる。また、解像度が150epiの記録ヘッドを用いて300dipの画像記録を行う場合には、チャンネル数M=11、移動ピッチp=5.5とすれば、X=5が存在するので、適正なインターリーブ記録を行うことができる。
【0034】
ここで、本発明の記録ヘッド12は、記録チャンネル配列の延長線上で、かつ、記録チャンネル22(最も外側の記録チャンネル22a)と1pitch 離れた位置に、記録解像度と同じ解像度(600epi)で、5つの予備チャンネル24(24a〜24e)を、記録チャンネルの数と同数の5つ有する。なお、本発明において、予備チャンネル24は、記録チャンネル22と同数には限定されず、同数以上であってもよい。
本発明の記録ヘッド12においては、このような予備チャンネル24を有することにより、記録チャンネル22の故障チャンネルが発生しても、これを補償して、生産性を落とさずに600dpiの画像記録を行うことができる。
以下、図2(B)を参照して、詳細に説明する。
【0035】
図2に示される例において、仮に、斜線を入れた記録チャンネル22bが故障チャンネルであったとする(以下、故障チャンネル22bとする)。
前述のように、ドラム16の1回転目には、記録ヘッド12の各記録チャンネル22が、副走査方向(矢印y方向)に1,5,9,13,17番目の画素を記録する。しかしながら、本例においては、故障チャンネル22bが有るので、5番目の画素が記録されない。同様に、ドラム16の2回転目には、故障チャンネル22b以外の6,14,18,22番目の画素を記録し、3回転目には同11,19,23,27番目の画素を記録する。
【0036】
ここで、図2(B)に示されるように、ドラム16の3回転目には、予備チャンネル24c(黒塗り)が、1回転目の故障チャンネル22bと副走査方向に同位置の5番目の画素に位置する。従って、1回転目に故障チャンネル22bが記録すべき画像を、3回転目に予備チャンネル24cが記録することにより、故障チャンネル22bを補償できる。
以下、同様に、4回転目には、故障チャンネル22bが2回転目に記録すべき10番目の画素に予備チャンネル24cが位置し、5回転目には、故障チャンネル22bが3回転目に記録すべき15番目の画素に予備チャンネル24cが位置する。
すなわち、本例においては、2周遅れで、故障チャンネル22bが記録すべき画素の位置に、予備チャンネル24cが位置し、故障チャンネル22bを予備チャンネル24cで補償できる。
【0037】
同様に、記録チャンネル22aが故障チャンネルである場合には、2周遅れで予備チャンネル24dが同じ画素に位置し、記録チャンネル22cが故障チャンネルである場合には3周遅れで予備チャンネル24bが同じ画素に位置し、記録チャンネル22dが故障チャンネルである場合には4周遅れで予備チャンネル24aが同じ画素に位置し、さらに、記録チャンネル22eが故障チャンネルである場合には4周遅れで予備チャンネル24eが同じ画素に位置し、それぞれ、故障チャンネルを補償することができる。
【0038】
図4に、このような予備チャンネルを有する本発明の記録ヘッドおよび画像記録方法の別の例を示す。
図4に示される例は、先と同様に、150epiの記録ヘッドで600dpiの記録を行うものであるが、記録ヘッドの記録チャンネル数Mは9、移動ピッチpは2.25である(X=2)。また、図示例においては、記録チャンネルの配列の延長線上に、記録チャンネルと1pitch 離れた位置に、記録画像と同解像度の600epiの予備チャンネル28が、記録ヘッドの記録チャンネル数と同数の9個配列される。
【0039】
図4に示されるように、本例においても、上記式(1)および式(2)を満たすことにより、各記録チャンネル(白丸)の間を3つの記録画素で埋めて、適切なインターリーブ記録を行うことができる。また、例えば、図中斜線で示す左から4番目の記録チャンネルであれば、図中右から3番目の予備チャンネルで2週遅れで補償できる等、何れの記録チャンネルも、いずれかの予備チャンネル28で補償することができ、従って、故障チャンネルが発生しても、白抜け等のスジむらを生じることなく、600dpiの画像記録を行うことができる。
【0040】
すなわち、記録チャンネル配列の延長上の、記録チャンネルとチャンネルピッチの整数倍離れた位置に、記録チャンネルと少なくとも同数の、記録解像度と同じ解像度の予備チャンネルを有する本発明によれば、故障チャンネルを知見して、これに対応する予備チャンネルを決定して補償することにより、使用中に記録チャンネル22のいずれかに損傷等が発生しても、故障チャンネルを補償した所定解像度の画像記録を、故障チャンネル発生前と同じ生産性で行うことができる。また、製造時に欠陥チャンネルが生じても、同様に、これを補償できるので、生産歩留りも向上できる。
しかも、記録チャンネル22に対応する予備チャンネル、および、その周回遅れ数は、記録ヘッドの記録チャンネル数や予備チャンネルの位置(記録チャンネルとの離間ピッチ数)に応じて、一義的に決まるので、故障チャンネルさえ知見できれば、直ちに対応することができ、休止時間も最小限で済む。
【0041】
本発明において、予備チャンネル24の位置は、図示例のように、記録チャンネル22のチャンネルピッチ(1pitch )離れているのでに限定はされない。すなわち、予備チャンネルは、記録チャンネル数と同数で、かつ、記録画像と同解像度であれば、2pitch や3pitch 等、記録チャンネルのチャンネルピッチの整数倍、記録チャンネル(その、最も外側のチャンネル)と離れていればよい。
なお、同様の故障チャンネルの補償は、予備チャンネルを記録解像度分だけ記録チャンネルと離して配置しても可能であるが、この場合には、記録チャンネルと予備チャンネルとのクロストークが生じる場合があり、好ましくない。
【0042】
ところで、以上の例において、複数の故障チャンネルが発生して、それに対応する予備チャンネルが隣り合わせている場合には、予備チャンネルによる画像記録の際にクロストークが発生し、それに起因して、画質が低下してしまう場合がある。
例えば、図2に示される例において、記録チャンネル22bに加え、記録チャンネル22cも故障チャンネルであった場合には、対応するのは、予備チャンネル24cおよび予備チャンネル24bの、600dpiで隣合わせるチャンネルになってしまう。この場合には、吐出するインク(液滴)のサイズ等に応じて、定着前にインクが混ざり合ってしまう場合がある。また、マルチビームの露光ヘッドであれば、通常、コヒーレント光を利用するので、両者が干渉してしまう場合もある。
【0043】
このような不都合を無くすために、図5(A)および(B)に示される記録ヘッド12aのように、記録チャンネル22の両側に予備チャンネル24を形成してもよい。
前述のように、左側の予備チャンネル24であれば、記録チャンネル22aには予備チャンネル24dが、記録チャンネル22bには予備チャンネル24cが、記録チャンネル22cには予備チャンネル24bが、記録チャンネル22dには予備チャンネル24aが、さらに、記録チャンネル22eには予備チャンネル24eが、それぞれ対応し、補償できる。
また、この記録ヘッド12aは、さらに右側にも予備チャンネル24を有し、図5に示されるように、記録チャンネル22aには予備チャンネル24fが、記録チャンネル22bには予備チャンネル24jが、記録チャンネル22cには予備チャンネル22iが、記録チャンネル22dには予備チャンネル24hが、さらに、記録チャンネル22eには予備チャンネル24gが、それぞれ対応し、補償できる。
【0044】
従って、これによれば、例えば、前述のように記録チャンネル22b(密な斜線)および記録チャンネル22c(粗な斜線)が故障チャンネルであっても、記録チャンネル22bには先と同様に予備チャンネル24c(黒塗り)を対応させ、記録チャンネル22cには予備チャンネル24i(黒塗り)を対応させることで、隣り合わせる予備チャンネル24を使用しないようにすることができる。
すなわち、記録チャンネルンの両側に予備チャンネルを配置することにより、複数の故障チャンネルが発生しても、対応する予備チャンネルを左右に割り振って、隣り合わせる予備チャンネルを使用しないようにすることができ、記録解像度で配置される予備チャンネル同士のクロストークを防止し、適正な画像記録を安定して行うことができる。
【0045】
以下、図1および図2に示されるプリンタ10の作用を説明することにより、本発明に付いて、より詳細に説明する。
プリンタ10においては、予め、設定手段20に故障チャンネルの情報が入力されている。図示例においては、一例として、先と同様に記録チャンネル22bが故障チャンネルであり、その情報が設定手段20に入力されている。
これに応じて、設定手段20は、記録チャンネル22bに対応して、予備チャンネル24cおよび2周の周回遅れ数を設定する。なお、各記録チャンネル22に対応する予備チャンネル24、および、その周回遅れ数は、前述のように一義的に決まるので、テーブル化して設定手段20が持っていればよい。
【0046】
本発明において、故障チャンネルの検出方法には、特に限定はなく、各種の方法が利用可能である。
例えば、キャリブレーションを行う際に、キャリブレーションチャートを解析して、白抜け等のスジむらを検出し、このスジむらに対応する記録チャンネルを検出する方法が例示される。また、キャリブレーションチャートではなく、故障チャンネル検出用にベタ画像を記録して、画像を解析して故障チャンネルを検出してもよい。また、インターリーブ記録を行わずに、1回転当たりの移動量を大きくしたヘリカルスキャンによって各記録チャンネルで螺旋を記録し、これを解析して故障チャンネルを検出する方法も好適である。
また、故障チャンネルは、オペレータや外部の検査装置が設定手段20に入力するものでもよく、あるいは、プリンタにスキャナを搭載して前述のチャート等の画像読取を行い、プリンタ自身(例えば、設定手段20)が画像を解析して故障チャンネルを決定してもよい。
【0047】
以上のような設定の下、画像データは設定手段20に供給される。
設定手段20は、ドラム16の回転数と、各周回における各記録チャンネル22の副走査方向の位置とに応じて、供給された画像データの並び替えを行い、各記録チャンネル22に振り分ける。さらに、故障チャンネルである記録チャンネル22bの画像データを、記録チャンネル22bに対する予備チャンネル24cの周回遅れ数(2周)に応じて割り振るように、画素の並び替えを行い、並び替えた画像データをヘッドユニット14(その記録制御部)に送る。
【0048】
前述のように、ドラム16は受像媒体Pを保持して回転すると共に、ヘッドユニット14は、記録ヘッド12の記録チャンネル配列方向と副走査方向(ドラム16の軸線)とを一致して、所定の移動ピッチpで副走査方向に移動する。
これにより、記録ヘッド12によって、受像媒体Pがヘリカルスキャンされ、ヘッドユニット14は、供給された画像データに応じて記録ヘッド12の各記録チャンネル22を変調駆動し、150epiの記録ヘッド12によって、インターリーブ記録による600dpiの画像が記録される。
【0049】
以上、本発明の記録ヘッド、画像記録方法および画像記録装置について、詳細に説明したが、本発明は上記実施例に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の変更および改良を行ってもよいのは、もちろんである。
【0050】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、マルチチャンネルの記録ヘッドを用いて、記録ヘッドの物理解像度以上の解像度の画像記録を行うインターリーブ記録において、故障チャンネルが発生しても、短い停止期間で、生産性を落とさずに、所定解像度の画像記録を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる画像記録装置の一例の概略斜視図である。
【図2】(A)は、本発明の記録ヘッドの一例の概念図、(B)は、この記録ヘッドによるインターリーブ記録を説明するための概念図である。
【図3】図2における画像記録を説明するための概念図である。
【図4】本発明の別の例を説明するための概念図である。
【図5】(A)は、本発明の記録ヘッドの別の例の概念図、(B)は、この記録ヘッドによるインターリーブ記録を説明するための概念図である。
【図6】従来の記録方法の一例を説明するための概念図である。
【図7】従来の記録方法の別の例を説明するための概念図である。
【符号の説明】
10 (インクジェット)プリンタ
12 記録ヘッド
14 ヘッドユニット
16 ドラム
18 ガイドバー
20 設定手段
22 記録チャンネル
24 予備チャンネル

Claims (5)

  1. 一方向に配列された複数の記録チャンネルを有するマルチチャンネルの記録ヘッドであって、
    前記記録ヘッドの物理解像度は記録画像の解像度よりも低く、かつ、前記記録チャンネルの配列の延長線上に、前記記録チャンネルのチャンネルピッチの整数倍離れて配置される予備チャンネルを有し、さらに、この予備チャンネルは、記録画像の解像度と同じ物理解像度で前記記録チャンネルと少なくとも同数配列されることを特徴とする記録ヘッド。
  2. 前記記録チャンネルの配列の両外側に前記予備チャンネルを有する請求項1に記載の記録ヘッド。
  3. 請求項1または2に記載の記録ヘッドを用いて画像を記録するに際し、
    側面に記録媒体を巻き付けでドラムを回転し、かつ、前記記録ヘッドの記録チャンネルの配列方向とドラムの軸線方向とを一致して、この軸線方向に記録ヘッドを移動しつつ、前記記録ヘッドの各記録チャンネルを記録画像に応じて変調駆動することにより、前記記録ヘッドの物理解像度よりも高解像度の記録画像を行うと共に、
    前記記録チャンネルの故障チャンネルに対応する予備チャンネルを決定しておくと共に、記録時には、前記故障チャンネルの記録データを対応する予備チャンネルに割り振り、故障チャンネルに対する予備チャンネルの周回遅れ数に応じて、前記割り振った記録データで予備チャンネルを変調駆動することを特徴とする画像記録方法。
  4. 前記記録チャンネルのチャンネルピッチに対する前記ドラムが一回転する間における記録ヘッドの移動量の比をp、前記記録ヘッドの物理解像度に対する記録画像の解像度の比をN、前記記録ヘッドの記録チャンネル数をM、任意の整数をXとした際に、NおよびMは整数であり、かつ、下記式(1)および(2)を満たす請求項3に記載に画像記録方法。
    p*N=M            式(1)
    p=X+1/N      式(2)
  5. 請求項1または2に記載の記録ヘッドと、
    側面に記録材料を巻回して回転するドラムと、
    前記記録ヘッドの記録チャンネルの配列方向とドラムの軸線方向とを一致して、前記記録ヘッドをドラムの軸線方向に移動する移動手段と、
    前記記録ヘッドの内の故障チャンネルの情報を取得し、故障チャンネルに対応する予備チャンネルを決定する手段と、
    前記ドラムの回転および記録ヘッドの移動に応じて、前記記録ヘッドの各記録チャンネルを記録画像に応じて変調駆動することにより、前記記録チャンネルの物理解像度よりも高解像度の記録画像を行うと共に、前記故障チャンネルの記録データを対応する予備チャンネルに割り振り、この故障チャンネルに対する予備チャンネルの周回遅れ数に応じて、前記割り振った記録データに応じて予備チャンネルを変調駆動する手段とを有することを特徴とする画像記録装置。
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