JP2004034381A - 偏肉成形品の発泡射出成形法 - Google Patents

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成瀬 秀樹
Kazuharu Yasuda
安田 和治
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Abstract

【課題】薄肉部と厚肉部18を有する偏肉成形品の成形に際し、薄肉部分の発泡を確実に抑制しつつ、厚肉部18内部を、厚肉部18におけるヒケの発生を十分抑制できる程度に容易に発泡させることができる射出成形方法を提供する。
【解決手段】偏肉成形品に対応する第一金型キャビティ2と、該第一金型キャビティ2に連結された第二金型キャビティ3とを有する金型を用い、二酸化炭素を溶解させた発泡性の溶融樹脂を、ガスで加圧された第一金型キャビティ2内に射出した後、前記第二金型キャビティ3内に溶融樹脂の一部を排出することにより、前記第一金型キャビティ2で成形される偏肉成形品の厚肉部18だけを発泡させる偏肉成形品の発泡射出成形法とする。
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガスを溶解させて溶融粘度を低下させ、金型キャビティへの充填を容易にした発泡性の溶融樹脂を用いた発泡射出成形法に関するもので、更に詳しくは、薄肉部と厚肉部を有する偏肉成形品を成形対象とし、表面および薄肉部は非発泡で厚肉部の内部のみが発泡し、厚肉部にヒケが無い偏肉成形品を得ることが可能な発泡射出成形法に関する。
【0002】
【従来の技術】
パソコンをはじめとする情報機器や、家電、OA機器などの樹脂製筐体部品は、軽量化に対する要求が年々厳しくなっているが、成形品の軽量化を達成するためには、当然のことではあるが、基板部の肉厚を極力薄肉化するのが最も効果がある。
【0003】
ところが、基板部の薄肉化と共に、成形品の強度は低下する。また金型キャビティ内での樹脂の流動抵抗が大きくなるため、成形品のサイズが大きくなる程、成形は困難となる。
【0004】
この問題に対しては、製品設計上、厚肉部であるリブの肉厚を大きくするのが一般的な手法であり、成形品の強度が向上する上に、リブが金型キャビティ内の流動支援効果を生み出すため、成形性も改善される。
【0005】
しかし、リブを厚肉化すると、成形品の体積が増すばかりか、リブのヒケの発生を防ぐために過量の樹脂を充填する必要があるため、リブの厚肉化に応じた分の成形品重量アップを招く。更には、ヒケの大きさによっては、一般の射出成形法では対処できず、ガスアシスト射出成形法などの利用が必要となるケースも考えられる。
【0006】
ガスアシスト射出成形法は、リブの内部に高圧窒素ガスを注入して中空化し、ヒケの発生を抑制するという技術なので、確かに成形品の軽量化にはつながる。また、通常の射出成形法と比較して、肉厚の大きなリブの設置が可能になるため、前述のように流動支援効果を利用した成形品の更なる薄肉軽量化が達成される。しかし、リブを厚肉化するだけでは、劇的な金型キャビティ内の流動性改良は期待できず、従って成形品の薄肉軽量化には限界がある。
【0007】
そこで、成形品の薄肉軽量化という近年のニーズに対して幅広く対応していくためには、リブを必要以上に厚肉化せずとも、薄肉基板部を有する金型キャビティ内への樹脂充填を容易にする射出成形法が必要である。そして更なる軽量化を図るため、厚肉部を発泡させると同時に、薄肉部である基板部は、強度低下を防ぐために発泡させないという成形法が必要である。
【0008】
一般的に熱可塑性樹脂の成形性改善の手段としては、成形材料の流動特性を改良する方法が古くから用いられており、樹脂の平均分子量を下げる、樹脂の分子量分布を広げて低分子量成分を増やす、可塑剤と呼ばれる低分子化合物を添加する等の方法が知られている。しかし、いずれの方法も成形材料の流動性向上と引き替えに、耐熱性の低下を招くという問題がある。
【0009】
また、成形材料の流動特性は、成形条件によっても大きく変わり、成形温度や金型温度を高くすることによって、成形性を改善する方法も一般的である。しかし、高い成形温度は、樹脂および可塑剤等の添加物の熱分解を引き起こし、成形品の強度低下や変色を引き起こすという問題がある。加えて、金型表面に分解物が付着する場合もあり、生産現場においては、金型付着物の拭き取りに要する時間や、成形機の温度を高くすることによる消費電力の増大が生産コストの上昇につながる。金型温度を高くする場合も、成形品の冷却固化に要する時間が増大するため、生産性の低下につながり、コストアップ要因となる。
【0010】
そこで、前述の問題を解決する手段として、WO98/52734には、熱可塑性樹脂に二酸化炭素を0.2重量%以上溶解して溶融粘度を低下させた溶融樹脂を、あらかじめ金型キャビティを溶融樹脂のフローフロントで発泡が起きない圧力以上にガスで加圧状態にして、金型キャビティに射出することを特徴とする射出成形法が記載されている。
【0011】
一方、発泡成形品を得る射出成形方法としては、以下の二つの射出成形方法が一般的に知られている。一つは、アゾ化合物やニトロソ化合物などの化学発泡剤を用いる方法で、化学発泡剤の熱分解温度以上の温度にて熱可塑性樹脂と溶融混練を行い、発生した熱分解ガスを利用して成形品を発泡させる成形方法である。もう一つは、窒素やブタンなどのガスを物理発泡剤として、熱可塑性樹脂に溶解させて発泡させる方法である。
【0012】
更には、特開2002−36280号公報に、気泡のない薄肉部と気泡を有する厚肉部とを有する偏肉成形品の射出成形法であって、二酸化炭素を0.2重量%以上溶解させた溶融熱可塑性樹脂を、フローフロントで発泡しない圧力以上にガスで加圧した金型キャビティ内に射出し、薄肉部の樹脂が固化するまで樹脂が発泡しない圧力以上に樹脂を加圧し、その後、樹脂にかけた圧力を厚肉部の樹脂が発泡する圧力まで開放して成形することを特徴とする偏肉成形品の射出成形法が記載されている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、特開2002−36280に記載されている偏肉成形品の射出成形法を実践する場合、射出成形機の保圧設定値が低い時は、樹脂に溶解させる炭酸ガスの重量にもよるが、射出成形機から薄肉部の未固化樹脂に伝達される圧力よりも、未固化樹脂の発泡圧力の方が勝ることがある。従って、この場合には、成形品の内部が全体に渡り発泡するため、記載されているような、気泡のない薄肉部と気泡を有する厚肉部とを有する偏肉成形品は得られない。
【0014】
射出成形機の保圧設定値を徐々に上げていくと、やがて薄肉部の未固化樹脂は、発泡圧力を上回る圧力以上に加圧された状態で固化するようになる。射出成形機の保圧動作を停止した時、既に薄肉部の固化が完了しており、かつ厚肉部に未固化樹脂が残存していれば、厚肉部だけが発泡し、特開2002−36280に記載の偏肉成形品が得られるようになる。
【0015】
更に保圧設定値を上げていくと、厚肉部への樹脂充填量が増えて、保圧動作を停止した後も厚肉部の未固化樹脂が加圧状態となって発泡が抑制される。その結果、厚肉部においては、樹脂の収縮力にうち勝てるだけの発泡圧力が得られず、厚肉部にヒケが発生する。そして、更に保圧設定値を上げていけば、全く気泡の無い成形品が得られるようになる。
【0016】
ところで、薄肉部の発泡状態については、一様ではなく、ゲートから離れるほど射出成形機からの圧力が伝達がされにくいため、充填末端部は発泡しやすく、ゲート付近は発泡しにくい。成形品の形状によっては、充填末端部の薄肉部の発泡を抑制するために、必要以上の圧力がゲート付近に作用してしまうケースも考えられる。この場合、ゲート付近の厚肉部は、発泡が十分に起こらず、ヒケが発生して、外観の優れた偏肉成形品は得られない。
【0017】
本発明者らが検討した結果、薄肉部の発泡を全体に渡り抑制しつつ厚肉部のみを発泡させ、かつ厚肉部のヒケを防止するのに十分な気泡を発生させるための成形機保圧設定値としては、成形品の形状やゲートの位置、設置数にもよるが、非常に狭い領域であったり、または存在しない場合もあることが判明した。
【0018】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたもので、薄肉部と厚肉部を有する偏肉成形品の成形に際し、薄肉部分の発泡を確実に抑制しつつ、厚肉部内部を、厚肉部におけるヒケの発生を十分抑制できる程度に容易に発泡させることができる射出成形方法を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、鋭意検討した結果、下記の方法が前記目的を達成することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0020】
すなわち、本発明は、以下の通りである。
【0021】
1.薄肉部と厚肉部を有する偏肉成形品に対応する第一金型キャビティと、該第一金型キャビティに連結された第二金型キャビティとを有する金型を用い、前記第一金型キャビティ内に、物理発泡剤を溶解させた発泡性の溶融樹脂を射出するに際し、少なくとも該第一金型キャビティ内を、前記溶融樹脂のフローフロントで発泡が起きない圧力以上にガスで加圧状態とし、該第一金型キャビティ内への前記溶融樹脂の射出時または射出後、前記第二金型キャビティ内に溶融樹脂の一部を排出することにより、前記第一金型キャビティで成形される偏肉成形品の厚肉部だけを発泡させることを特徴とする偏肉成形品の発泡射出成形法。
【0022】
2.物理発泡剤が二酸化炭素または窒素であり、溶融樹脂中における該二酸化炭素または窒素の濃度が0.2重量%以上であることを特徴とする前記1に記載の偏肉成形品の発泡射出成形法。
【0023】
3.第二金型キャビティが第一金型キャビティの厚肉部に連結されていることを特徴とする前記1または2に記載の偏肉成形品の発泡射出成形法。
【0024】
4.少なくとも第一金型キャビティ内を加圧するガスが、二酸化炭素または窒素であることを特徴とする前記1〜3のいずれかに記載の偏肉成形品の発泡射出成形法。
【0025】
5.第一金型キャビティ内に溶融樹脂を充填した後、偏肉成形品の裏面側と金型面との間に加圧ガスを注入して、偏肉成形品の表面に対応する金型面に加圧ガスで樹脂を押さえ付けることを特徴とする前記1〜4のいずれかに記載の偏肉成形品の発泡射出成形法。
【0026】
6.第一の金型キャビティで成形される偏肉成形品の肉厚が、薄肉部は1.5mm以上3.0mm以下、厚肉部は薄肉部の2倍以上であることを特徴とする前記1〜5のいずれかに記載の偏肉成形品の発泡射出成形法。
【0027】
7.薄肉部と厚肉部を有する偏肉成形品に対応する第一金型キャビティと、該第一金型キャビティに連結された第二金型キャビティとを有し、少なくとも偏肉成形品の表面に対応する金型面に熱伝導率が0.002cal/cm・sec・℃以下で、かつ厚みが0.001mm以上3mm以下の断熱層を被覆した金型を用い、前記第一金型キャビティ内に、物理発泡剤を溶解させた発泡性の溶融樹脂を射出後、前記第二金型キャビティ内に溶融樹脂の一部を排出することにより、前記第一金型キャビティで成形される偏肉成形品の厚肉部だけを発泡させることを特徴とする偏肉成形品の発泡射出成形法。
【0028】
8.物理発泡剤が二酸化炭素または窒素であり、溶融樹脂中における該二酸化炭素または窒素の濃度が0.2重量%以上であることを特徴とする前記7に記載の偏肉成形品の発泡射出成形法。
【0029】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
【0030】
図1に示す金型1は、本発明の射出成形法に使用される金型の一例を示すもので、まずこの金型1の概要を説明する。
【0031】
図示されるように金型1は、固定型1aと可動型1bとからなる。金型キャビティ内は二つの金型キャビティに分割されており、第一金型キャビティ2および第二金型キャビティ3とからなる。第一金型キャビティ2は、製品としての偏肉成形品に対応するもので、薄肉部である基板部に厚肉部としてリブ18が設けられた形状となっている。また、第二金型キャビティ3は、スプルーやランナーと同様に、上記製品としての偏肉成形品から除去される余剰成形部分に相当する。
【0032】
可動型1bには、油圧式シリンダー15およびこれに接続された可動ピン16が設けられており、油圧式シリンダー15には、金型1の外部の装置(図示されていない)により、油圧が伝達されるものとなっている。第一金型キャビティ2と第二金型キャビティ3を結ぶ流路4の遮断および開通は、この可動ピン16の動作で制御される。すなわち、可動ピン16が固定型1aの方向に対して前進した状態では、第一および第二金型キャビティ2,3間の流路は遮断され、後退した状態では該流路4は開通する。
【0033】
更には、可動型1bには、後述する発泡性の溶融樹脂の充填前に少なくとも第一金型キャビティ2内を加圧するための加圧ガス供給(排出)ライン6が設けられており、加圧ガス源(図示されてない)と接続されている。また、図示される加圧ガス供給(排出)ライン6は、可動型1bに設けられているが、これは固定型1aに設けることもできる。なお、本発明における上記加圧ガス供給(排出)ライン6による加圧は、第一金型キャビティ2内に対して行うことができれば足るが、同時に第二金型キャビティ3に対して行っても影響はなく、金型構造も簡略にすることができる。
【0034】
本発明においては、発泡性の溶融樹脂充填時のフローフロントにおける発泡を防止するため、発泡性の溶融樹脂充填前に第一金型キャビティ2(および第二金型キャビティ3)をガスで加圧する。この加圧時に、第一金型キャビティ2(および第二金型キャビティ3)内に供給された加圧ガスの圧力を維持できるようにするため、金型パーティング面5上、およびスプルー7、ランナー8、エジェクターピン9の周囲には、それぞれシール材10を設置しておくことが好ましい。なお、シール材10としては、ニトリル−ブタジエン製のO−リング等を用いることが望ましいが、適用する金型温度範囲での耐熱性に問題が無ければ特に制限は無い。
【0035】
第一金型キャビティ2(および第二金型キャビティ3)の加圧に用いるガスの種類としては、窒素、空気、希ガス等、溶融樹脂に対して不活性なガスであれば特に制限はない。しかし、金型の表面状態を高度に転写するためには、例えば二酸化炭素などの溶融樹脂に対する吸収率の高いガスを用いることが好ましい。それは、金型表面の微細な凹凸形状において、溶融樹脂充填時にこの金型表面の凹部と溶融樹脂との間に残留するガスが溶融樹脂に吸収されること、およびガスの吸収によって溶融樹脂充填時に成形品表面の固化層の可塑化が起こるからであり、これらによって成形品に対する金型表面の高度な転写を実現することができる。
【0036】
以下、発泡性の溶融樹脂充填前の第一金型キャビティ2(および第二金型キャビティ3)の加圧に用いるガスとして、最も好ましい二酸化炭素を用いる場合を例として更に本発明の方法を説明するが、以下の説明においては、二酸化炭素は結果的に第一金型キャビティ2および第二金型キャビティ3の両方に供給されるものとする。但し、第二金型キャビティ3は溶融樹脂の一部を排出するためのスペースで、この第二金型キャビティ3の加圧は付随的なものであって重要なものではないので、説明上は第一金型キャビティ2の加圧だけで、第二金型キャビティ3の加圧についての説明は省略する。
【0037】
まず、金型1を閉鎖した状態で、加圧ガス供給(排出)ライン6に介在する供給用電磁弁11をオープンにし、第一金型キャビティ2内に加圧した二酸化炭素を供給する。この加圧ガス供給(排出)ライン6には、解放用電磁弁12が接続されており、二酸化炭素の供給時はクローズにしておくが、これをオープンにすれば、第一金型キャビティ2内の二酸化炭素を金型外部に排出することができるようになっている。
【0038】
図2に、第一金型キャビティ2への二酸化炭素の供給と、第一金型キャビティ2からの二酸化炭素の排出とを行う箇所の構造の一例を示す。
【0039】
図示されるように、第一金型キャビティ2の外周には、加圧ガス供給(排出)ライン6と連結した加圧ガス供給(排出)溝13(図2における交差したライン領域)が設けられている。この加圧ガス供給(排出)溝13は、第一金型キャビティ2内への二酸化炭素の供給用と、第一金型キャビティ2からの二酸化炭素の排出用とを兼ねている。また、加圧ガス供給(排出)溝13と第一金型キャビティ2との間には加圧ガス供給(排出)隙間14が設けられており、この加圧ガス供給(排出)隙間14を通して二酸化炭素の給排が行われるものとなっている。図示される加圧ガス供給(排出)隙間14は、図2において間隔の狭い縦ラインで表された領域がパーティング面より若干低くなっていることにより形成されているものである。
【0040】
加圧ガス供給(排出)溝13の幅および深さとしては、成形する偏肉成形品の容積にもよるが、二酸化炭素の給排をスムーズに行うことができるよう、できる限り大きくすることが好ましく、具体的には幅、深さ共に3mm以上7mm以下程度とするのが良い。
【0041】
加圧ガス供給(排出)隙間14の深さとしては、溶融樹脂が入り込むことがないような範囲内で、できるだけ大きくとることが好ましく、使用する樹脂の種類や成形機の射出圧力等にもよるが、具体的には2/100mm以上5/100mm以下程度とするのが良い。加圧ガス供給(排出)隙間14の幅(加圧ガス供給(排出)溝13から第一金型キャビティ2に至る長さ)としては、小さ過ぎる場合は第一金型キャビティ2内への二酸化炭素の供給と排出が遅れることになり、大き過ぎる場合は、誤って溶融樹脂を第一金型キャビティ2内にオーバーパックしてしまった場合に、溶融樹脂が加圧ガス供給(排出)ライン6に逆流してしまう危険性もあり、具体的には、10mm以上20mm以下程度とするのが良い。
【0042】
第一金型キャビティ2内への二酸化炭素の供給において、供給用電磁弁11をオープンにする時間は、第一金型キャビティ2の容積や供給する圧力にもよるが、一般には1〜2秒程度で良い。
【0043】
二酸化炭素の供給圧力の下限としては、成形品表面の発泡を抑えることができる圧力、つまり後述する物理発泡剤を溶解させた発泡性の溶融樹脂を射出した際に、第一金型キャビティ2内を流動する該溶融樹脂のフローフロントにおいて発泡が生じない圧力以上の圧力が必要で、成形品表面外観に対する要求レベルにもよるが、0.1MPa以上の圧力が必要である。
【0044】
一方、二酸化炭素の供給圧力が高いほど、成形品の表面の発泡を防止する効果は大きくなる。しかし、圧力を高くし過ぎると、射出成形機の型締力がこれに負けて金型パーティング面5がわずかに開き、二酸化炭素が金型外部へ漏洩しやすくなり、これへの対応のために金型のシール構造が複雑になったり、二酸化炭素の消費量が増大してコストアップ要因になる等の問題が生ずるため、二酸化炭素の供給圧力としては、成形品表面の発泡による外観不良が起きない圧力範囲で、極力低くすることが好ましく、供給圧力の上限としては、10〜15MPa程度以下とするのが良い。
【0045】
第一金型キャビティ2内を流動する発泡性の溶融樹脂のフローフロントにおいて発泡が生じない圧力以上の二酸化炭素を注入して加圧状態とした後、物理発泡剤を溶解させて溶融粘度が低下した溶融樹脂を射出する。
【0046】
本発明で用いる物理発泡剤とは、溶融樹脂に溶解させることができ、溶融樹脂に溶解させることで当該溶融樹脂の溶融粘度を低下させる性質を有する常温における気体をいい、具体的には、二酸化炭素、窒素、炭素数1〜5の飽和炭化水素およびその一部をフッ素で置換したフロン等を挙げることができる。
【0047】
上記物理発泡剤のうち、二酸化炭素と窒素を比較説明すると、二酸化炭素を用いる場合は、樹脂の溶融粘度を低下させる効果が極めて高く、成形性は大きく改善されるため、特に流動長の長い成形品においては好ましい。一方、物理発泡剤として窒素を用いる場合は、金型キャビティ内での溶融樹脂の流動性は二酸化炭素よりも劣るが、発泡セルの微細性には優れる。このため、どちらを使うかは目的に応じて選択すべきである。なお、以下の説明においては、溶融樹脂に溶解させる物理発泡剤として二酸化炭素を用いたものとする。
【0048】
二酸化炭素を溶解させた発泡性の溶融樹脂を得る方法としては主に、固体状態の樹脂を二酸化炭素により加圧された容器内に放置し、これによって二酸化炭素を吸収した樹脂を可塑化する方法と、射出成形機のシリンダー内に二酸化炭素を供給し、樹脂を可塑化する際に溶解させる方法の二つがあるが、短時間で二酸化炭素を溶解させるためには後者の方法の方が適しており、本発明においては二酸化炭素の存在下で樹脂を可塑化することが好ましい。
【0049】
溶融樹脂中の二酸化炭素の溶解量としては、用いる樹脂のガラス転移温度にもよるが、下限としては樹脂中の濃度で0.2重量%以上である。
【0050】
二酸化炭素の吸収量が大きくなるほど溶融樹脂の流動性は良くなり、また微細発泡した成形品が得られるようになる。しかし、二酸化炭素の吸収量を大きくし過ぎると、成形品表面の発泡を防止するために第一金型キャビティ2内の二酸化炭素の圧力も高くする必要があるため、金型の高度なシール構造が必要となる。更には、シール材10が劣化して金型のシール性が低下した場合、第一金型キャビティ2内を高圧に保持するためには、シール材10の新品への交換が頻繁になる等の問題が生ずる。また二酸化炭素の消費量が増大するので、生産コストアップにもなる。従って、二酸化炭素の溶解量の上限としては、目的とする成形品の厚肉部の発泡状態にもよるが、5重量%程度以下とするのが良い。
【0051】
上記溶融樹脂中の二酸化炭素の濃度は、金型キャビティに発泡を押さえるに十分なガス圧力をかけた状態で、二酸化炭素を含む発泡性の溶融樹脂を用いて射出成形した成形直後における成形品の重量Wと、成形品を、非晶性樹脂にあってはガラス転移温度、結晶性樹脂にあっては融点よりも約30℃低い熱風乾燥機中に24時間以上放置し、成形品中に含まれていた二酸化炭素量が放散して重量が一定になった成形品の重量Wとから、{(W−W)/W}×100(重量%)によって求められる値をいう。
【0052】
二酸化炭素を溶解させた発泡性の溶融樹脂を金型キャビティ内に射出する際、加圧ガス供給(排出)ライン6に接続されている解放用電磁弁12を溶融樹脂の射出充填完了と同時または射出充填完了直後にオープンとすることにより、第一金型キャビティ2内の二酸化炭素は、供給時とは逆の流れとなり、加圧ガス供給(排出)隙間14を通過して加圧ガス供給(排出)ライン6に戻り、金型外部に排出される。
【0053】
第一金型キャビティ2内に高圧に保持されている二酸化炭素は、溶融樹脂の流動に対する抵抗力となる上、残留する二酸化炭素によって成形品表面にヒケが発生し、外観が損なわれる場合もあるため、発泡性の溶融樹脂の射出充填に伴って二酸化炭素を迅速に排出することが好ましい。
【0054】
第一金型キャビティ2内の二酸化炭素の排出速度を高める方法としては、加圧ガス供給(排出)ライン6および解放用電磁弁12の設置数を増やしたり、加圧ガス供給(排出)ライン6の配管径をできる限り大きくとることは効果的である。また、解放用電磁弁12と真空ポンプ(図示されていない)を直列に接続すると、二酸化炭素の排出速度が上がり、より効果的である。更には、図1に示すように、加圧ガス供給(排出)ライン6に分岐する形で設けられた放出スペース17は、第一金型キャビティ2から二酸化炭素が排出される際の逃げ場となり得るので、このようなものを設けることも効果がある。
【0055】
0.2重量%以上の二酸化炭素を溶解させた発泡性の溶融樹脂を第一金型キャビティ2内に射出する時、第一金型キャビティ2と第二金型キャビティ3を結ぶ流路4は、最初から開通させた状態でも良いし、また最初は遮断しておき、第一金型キャビティ2内に溶融樹脂が満たされてから開通させても良い。
【0056】
最初から可動ピン16を後退させて流路4を開通させておいた場合、射出途中から、第一金型キャビティ2から第二金型キャビティ3へ溶融樹脂が排出されることが生じる。射出の完了と同時または直後に第一金型キャビティ内の二酸化炭素による加圧を解除し、薄肉部の発泡を防止できる圧力での樹脂保圧を行うが、この樹脂保圧においても上記溶融樹脂の排出が継続されることになる。そして、この溶融樹脂の一部が第二金型キャビティ3に排出されることにより、偏肉成形品の厚肉部であるリブ18に加わる樹脂保圧の圧力を弱めることができ、当該リブ18内を確実に発泡させることができる。流路4を最初から開通させておく方法の場合、短時間で大量の溶融樹脂が第二金型キャビティ3へ排出されないよう、流路4を小さくしておくことが好ましい。
【0057】
一方、最初は可動ピン16を前進させて流路4を遮断しておいた場合、通常、流路4を遮断した状態で上記溶融樹脂の射出と二酸化炭素により加圧解除を行い、樹脂保圧の開始と同時または一定時間樹脂保圧を加えた後に可動ピン16を後退させて流路4を開放し、樹脂保圧によって加わるリブ18への圧力を軽減して、リブ18内を発泡させることになる。
【0058】
可動ピン16を動かすタイミングの違いにより、第一金型キャビティ2内の溶融樹脂圧分布は変化するから、成形品の発泡状態にも大きく影響することになる。可動ピン16の動作は、成形品の形状やゲートバランス等の金型構造と、目的とする成形品の発泡状態を考慮した上で制御することが好ましいが、一般的には、樹脂保圧が比較的小さくてすむ場合に当初から流路4を開放しておく方法を採用しやすい。しかし、薄肉部の発泡を確実に防止しやすい高い樹脂保圧を加えても厚肉部を発泡させやすい点から、当初は流路4を閉鎖しておき、一定時間樹脂保圧を加えた後に可動ピン16を後退させて流路4を開放する方法が好ましい。
【0059】
上記のように、第一金型キャビティ2に発泡性の溶融樹脂を充填し、続いて第二金型キャビティ3に発泡性の溶融樹脂の一部を排出する前または排出後に、基板部である薄肉部が完全に冷却固化するまで適度な樹脂保圧をかける。この時の適度な樹脂保圧は、第一および第二金型キャビティ2,3の寸法、ゲート点数等の金型構造の違いや、射出成形機のタイプの違いにいたるまで、様々な因子が関係するため、定量的には説明できないが、低過ぎる場合には、第一金型キャビティ2において薄肉部が発泡してしまい、高過ぎる場合には、厚肉部の発泡が不十分となったり、全く発泡しなかったりすることを生じるため、目的とする成形品の発泡状態に応じて行うことが好ましい。
【0060】
一般に薄肉部においては、ゲートから遠い位置ほど射出成形機からの樹脂保圧の伝達が弱く、発泡しやすいが、成形品の薄肉部の発泡を薄肉部の全体に亘って防止するために樹脂保圧を高くし過ぎると、リブ18の内部が過充填となり、発泡が起こりにくくなる。また、リブ18の内部は、発泡しているとしても、特にゲートに近い部分では、気泡の数を目視で数えることが可能なくらい不十分な発泡状態となってしまい、発泡射出成形のメリットである発泡圧による厚肉部のヒケ防止が達成できない場合がある。
【0061】
第二金型キャビティ3を設ける目的は、このような場合に、ゲートから遠く、厚肉部だけを発泡させることが困難な部分を製品部分から除外するためである。これによって、射出成形機の樹脂保圧設定を高くして、ゲートから遠い部分の薄肉部の発泡を防止するという方法をとる必要が無くなる。すなわち、厚肉部にヒケが発生するという前述の問題を解決できる。
【0062】
第二金型キャビティは、薄肉部まで発泡性溶融樹脂を充填できる圧力で射出した時に、更にはその後薄肉部における発泡を抑制できる圧力で保圧した時に、厚肉部における溶融樹脂を逃がすことで、厚肉部に残留する圧力を軽減して厚肉部での発泡を促すもので、厚肉部における溶融樹脂が排出されやすいよう、厚肉部に連結されていることが好ましい。
【0063】
ところで、第二金型キャビティ3に発泡性の溶融樹脂の一部を排出する射出成形を行っても、成形機の樹脂保圧設定値が高い場合は、第二金型キャビティ3が完全に樹脂で満たされた後に、リブ18に保圧が伝達されて気泡の発生が妨げられ、ヒケが発生する。
【0064】
このような場合は、第一金型キャビティ2に樹脂を充填後、直ちにガス注入ピン19より、成形品のリブ18突出側である裏面とこれに対応する第一金型キャビティ2の面との間に加圧ガスを注入すると、ヒケの発生を防止可能である。この場合、図3に示すように注入された加圧ガスはリブ18に作用し、リブ18の根元は絞り込まれ、溶融樹脂の一部が成形品の表面(意匠面)を押さえ付ける方向に移動する。従って成形品は、ヒケに相当する収縮分の樹脂がリブ18の根本から補われつつ固化するので、前述のようにリブ18の発泡圧が弱い場合でも、ヒケの発生を防止可能である。
【0065】
ここでガス注入ピン19の構造であるが、ガス注入ピン19は第一金型キャビティ2内に先端を臨ませた状態で設けられており、加圧ガス供給ライン20に接続されている。ガス注入ピン19の断面は、図4(a),(b)に示すように、円の一部を削り取った形状をしており、溶融樹脂が逆流して入り込むことはないが、加圧ガスは通過可能なクリアランスが形成されている。このクリアランスより、第一金型キャビティ2の面と成形品裏面との間に加圧ガスが供給され、リブ18に作用して、前述のようにヒケを防止する。なお、樹脂充填後に注入する上記加圧ガスとしては、不活性ガスであれば特に制限は無い。
【0066】
薄肉部が完全に冷却固化するまで保圧をかけた後、リブ18の内部に未固化の樹脂が存在する間に射出成形機の保圧動作を解除する。そして成形品全体の冷却固化が完了すれば、薄肉部には気泡が無く、リブ18だけが発泡した成形品が得られる。
【0067】
射出成形機の保圧時間としては、薄肉部や厚肉部の肉厚および肉厚バランス等にもよるが、一般的には5秒以下程度とするのが良く、好ましくは3秒以下である。
【0068】
冷却固化が完了して得られるリブ18だけが発泡した射出成形品は、大気中に放置しておけば、射出成形時に吸収させた二酸化炭素が放散するので、気泡の無い薄肉部については、機械的性質等が損なわれることは無い。また二酸化炭素の放散に伴い、成形品表面の外観の変化も無い。
【0069】
偏肉成形品の場合、薄肉部の肉厚が1.5mm以上、厚肉部の肉厚が薄肉部の肉厚の2倍以上であると、従来の方法では薄肉部の発泡を防止し、かつ厚肉部を十分に発泡させることが容易ではない。このため、このような寸法形状の偏肉成形品の成形に本発明は特に有効である。
【0070】
逆に、薄肉部の肉厚が1.5mm未満の場合には、金型温度等の成形条件にもよるが、金型キャビティ内に溶融樹脂を充填した後の薄肉部における未固化樹脂が少ないため、薄肉部での発泡は起こりにくい。従って、薄肉部の発泡を防止するために高い樹脂保圧をかける必要が無くなり、樹脂保圧によって厚肉部の発泡が妨げられてヒケが発生するという前述の問題を回避できる可能性がある。しかしこの場合にも、薄肉部の発泡を防止可能な成形条件としては、範囲が狭いと考えられ、本発明の成形法を用いる効果は大きい。
【0071】
成形品の表面全体が発泡するのを防止する別な方法としては、前記第一金型キャビティ2を予めガスで加圧することに代えまたは加圧と併用して、第一金型キャビティ面に断熱層を被覆した金型を用いる方法である。
【0072】
一般に発泡性の溶融樹脂は、金型キャビティ内に充填すると、固化温度よりもはるかに低い温度の金型面に接触することにより、フローフロントから生じたガスを巻き込みながら表面に急速に固化層が形成される。従って得られる成形品には、ガスを巻き込んで固化することによるスワールマーク(発泡模様)が表面全体に渡って生じ、著しく外観が損なわれる。
【0073】
ところが第一金型キャビティ2の金型面に断熱層を被覆した金型を用いると、射出されて該断熱層に接した発泡性樹脂の表面の温度は、その固化温度を超える状態がしばらく続く。従って、フローフロントから生じたガスが金型キャビティの外部に排出されていく間、樹脂の表面は完全に固化しておらず、流動性が良好な状態に保たれているため、成形品は発泡模様を生じることなく冷却固化する。
【0074】
本発明においては、少なくとも第一金型キャビティ2における成形品の意匠面に対応する金型面に、熱伝導率が0.002cal/cm・sec・℃以下の断熱層を0.001mm以上3mm以下の厚みで被覆し、前述の射出成形を行うことにより、成形品表面の発泡を防止することができる。第一金型キャビティ2の金型面全体に断熱層を被覆した金型を用いる場合は、成形品の表面全体に渡り発泡を防止できるため、樹脂充填前に第一金型キャビティ2内をガスで加圧するのと同様の効果が得られる。
【0075】
本発明に用いることができる断熱層の材質としては、熱伝導率と厚みが前記条件を満たし、かつ溶融樹脂の温度において耐熱性を有するものであれば特に制限は無いが、具体的にはポリイミド樹脂は耐熱性と加工性(金型キャビティ面に対する密着性)に優れることから好ましい。また断熱層の傷つき防止のため、その表面にメッキを施しても良い。
【0076】
第一金型キャビティ2の金型面への断熱層の被覆においては、薄過ぎる場合は充填時のフローフロントから生じたガスが第一金型キャビティ2の外部に十分に排出される前に、発泡性の溶融樹脂の表面に固化層が形成されてしまうので、成形品表面のスワールマークを完全に消すことが困難となる。一方、厚過ぎる場合には成形品の表面外観は優れるものの、樹脂の冷却固化が遅れ、成形サイクルが延びてコストアップ等を招く。従って、断熱層の厚みとしては、樹脂の温度や金型温度等の成形条件にもよるが、前記のように0.001mm以上3mm以下であることが必要で、0.05mm以上0.2mm以下程度とすることが好ましい。
【0077】
本発明に用いることができる樹脂としては、一般に熱可塑性樹脂と称されるものであれば、特に制限はない。例えば、次のものが挙げられる。
【0078】
ポリスチレン(PS)や、ハイインパクトポリスチレン(HIPS)、ミデイアムインパクトポリスチレン(MIPS)のようなゴム補強スチレン系樹脂、スチレン−アクリロニトリル共重合体(SAN樹脂)、アクリロニトリル−ブチルアクリレートラバー−スチレン共重合体(AAS樹脂)、アクリロニトリル−エチレンプロピルラバー−スチレン共重合体(AES)、アクリロニトリル−塩化ポリエチレン−スチレン共重合体(ACS)、ABS樹脂(例えば、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン−アルファメチルスチレン共重合体、アクリロニトリル−メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン共重合体)、変性ポリフェニレンエーテル(m−PPE)等のスチレン系樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル系樹脂。低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)等のオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン等の塩化ビニル系樹脂、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル系樹脂、ポリカーボネート(PC)、変性ポリカーボネート等のポリカーボネート系樹脂、ポリアミド66、ポリアミド6、ポリアミド46等のポリアミド系樹脂、ポリオキシメチレンコポリマー、ポリオキシメチレンホモポリマー等のポリアセタール(POM)樹脂、その他のエンジニアリング樹脂、スーパーエンジニアリング樹脂、例えば、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、熱可塑性ポリイミド(TPI)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等の他、セルロースアセテート(CA)、セルロースアセテートブチレート(CAB)、エチルセルロース(EC)等のセルロース誘導体、液晶ポリマー、液晶アロマチックポリエステル等の液晶系ポリマー、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(TPU)、熱可塑性スチレンブタジエンエラストマー(SBC)、熱可塑性ポリオレフィンエラストマー(TPO)、熱可塑性ポリエステルエラストマー(TPEE)、熱可塑性塩化ビニルエラストマー(TPVC)、熱可塑性ポリアミドエラストマー(TPAE)等の熱可塑性エラストマーを挙げることができる。また、一種もしくはそれ以上の上記熱可塑性樹脂のブレンド体やポリマーアロイと称される熱可塑性樹脂を用いても良い。熱可塑性樹脂は、充填材および/または添加材等を含有していても良い。
【0079】
【実施例】
次に本発明を実施例に基づいて説明する。
【0080】
実施例1
図5に示すような長方形のリブ付き平板成形品を本発明に基づく射出成形法にて成形した。本成形品の金型は、図1とほぼ同様な構造であり、リブ付き平板部は第一金型キャビティによって成形されるものとなっている。
【0081】
使用した金型の第一金型キャビティ部の寸法は、基板部である薄肉部21が長辺100mm、短辺40mm、肉厚2.0mm、厚肉部であるリブ22が高さが6mm、根元の肉厚が3.5mm、ゲート対応部分23は断面形状が長方形で、短辺は薄肉部と同じ2.0mm、長辺は3mmである。
【0082】
また、第二金型キャビティ対応部分24は正方形の形状で、一辺が30mm、肉厚が薄肉部21と同じ2.0mmである。更には二つの金型キャビティを結ぶ流路対応部分25の寸法は、ゲート対応部分23と同じ寸法の流路が直径4mmφの可動ピンによって遮断したり、開通させたりすることが可能な形状のものである。
【0083】
更には、本成形品の金型は、リブ22の突出側である可動型側にガス注入ピンが2箇所設けられている。このため、薄肉部21上のガス注入ピン対応位置26より、樹脂充填後に高圧ガスを注入し、リブ22を本成形品の表面側である固定型側キャビティ面に押さえ付けながら冷却固化させ、リブ22のヒケを防止することが可能である。このガス注入ピンからのガスの注入は、金型に接続された加圧ガス供給ラインから高圧窒素ガスを供給することで行われるものとなっている。
【0084】
使用した射出成形機は、住友重機械工業株式会社製SG125M−HPで、本成形機は改造により、シリンダーの外壁に穴をあけてガス供給ラインを接続してあるので、成形機シリンダー内部の可塑化状態にある樹脂に、二酸化炭素を吸収させることができる。
【0085】
次に成形の方法であるが、第一および第二金型キャビティを結ぶ流路を遮断した状態で、本金型の第一金型キャビティ内を二酸化炭素で加圧後、二酸化炭素を吸収させた発泡性の溶融樹脂を第一金型キャビティがちょうど満たされる程度に射出し、続いて保圧動作に入ると同時に流路を開通させ、溶融樹脂の一部を第二金型キャビティに排出して成形を行った。
【0086】
成形条件は下記に示す。また使用した樹脂は、エー・アンド・エム スチレン株式会社製のポリスチレン樹脂685を用いた。
【0087】
評価は、第一金型キャビティによって成形されるリブ付き平板成形品の外観について、目視により行った。その結果を表1に示す。
【0088】
(射出成形条件)
・成形機シリンダー温度:240℃
・射出速度:50mm/sec
・樹脂保圧:10kgf/cm(成形機作動油圧力)
・樹脂保圧時間:3sec
・冷却時間:20sec
・金型温度:40℃
・金型キャビティへの二酸化炭素注入圧力:7MPa
・金型キャビティへの二酸化炭素注入時間:2.0sec
・成形機シリンダーへの二酸化炭素注入圧力:11MPa
【0089】
実施例2
実施例1と同様にして樹脂を射出し、保圧動作に入ると同時にガス注入ピンから下記条件にて高圧窒素ガスを注入し、成形機の樹脂保圧設定値以外は実施例1と同様にして成形を行った。その結果を表1に示す。
・高圧窒素ガスの圧力:10MPa
・高圧窒素ガスの注入時間:3sec
・樹脂保圧:25kgf/cm(成形機作動油圧力)
【0090】
比較例1
第一および第二金型キャビティを結ぶ流路は終始遮断した状態とし、第一金型キャビティのみに樹脂を射出し、実施例1と同様にして射出成形を行った。その結果を表1に示す。
【0091】
比較例2
下記条件を除き、比較例1と同様にして射出成形を行った。その結果を表1に示す。
・樹脂保圧:15kgf/cm(成形機作動油圧力)
【0092】
比較例3
下記条件を除き、比較例1と同様にして射出成形を行った。その結果を表1に示す。
・樹脂保圧:20kgf/cm(成形機作動油圧力)
【0093】
比較例4
下記条件を除き、比較例1と同様にして射出成形を行った。その結果を表1に示す。
・樹脂保圧:25kgf/cm(成形機作動油圧力)
【0094】
【表1】
Figure 2004034381
【0095】
なお、表1の「リブの気泡状態」における◎は気泡が多く発泡状態が良好な場合、○は◎より気泡はやや少ないが明瞭な発泡状態が得られている場合、△は◎より気泡が明らかに少なく発泡が不十分な場合、×は気泡が非常に少なく発泡が全く不十分な場合を示す。また、表1の「ゲート付近におけるリブのヒケ状態」における○はヒケが観察されない場合、△は軽度のヒケが観察された場合、×は明瞭なヒケが観察された場合を示す。
【0096】
【発明の効果】
本発明は以上説明した通りのものであり、二酸化炭素または窒素を吸収させて溶融粘度を低下させるため、成形性に非常に優れる。また厚肉部だけを選択的に発泡させることができるため、製品の薄肉部の強度を損なうことなく軽量化を図ることができる。更には、厚肉部のヒケをも防止できるため、外観に優れた成形品が得られ、電子機器の筐体部品等、様々な産業用途への利用が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いる金型の一例を示す断面図である。
【図2】第一金型キャビティ2への二酸化炭素の供給と、第一金型キャビティ2からの二酸化炭素の排出とを行う箇所の金型構造の一例を示す図である。
【図3】ヒケ防止原理の説明図である。
【図4】ガス注入ピンの一例を示す断面図である。
【図5】実施例および比較例で成形したリブ付き平板成形品を示す図である。
【符号の説明】
1  金型
1a 固定型
1b 可動型
2  第一金型キャビティ
3  第二金型キャビティ
4  流路
5  金型パーティング面
6  加圧ガス供給(排出)ライン
7  スプルー
8  ランナー
9  エジェクターピン
10 シール材
11 供給用電磁弁
12 解放用電磁弁
13 加圧ガス供給(排出)溝
14 加圧ガス供給(排出)隙間
15 油圧式シリンダー
16 可動ピン
17 放出スペース
18 リブ
19 ガス注入ピン
20 加圧ガス供給ライン
21 薄肉部
22 リブ
23 ゲート対応部分
24 第二金型キャビティ対応部分
25 流路対応部分
26 ガス注入ピン対応位置

Claims (8)

  1. 薄肉部と厚肉部を有する偏肉成形品に対応する第一金型キャビティと、該第一金型キャビティに連結された第二金型キャビティとを有する金型を用い、前記第一金型キャビティ内に、物理発泡剤を溶解させた発泡性の溶融樹脂を射出するに際し、少なくとも該第一金型キャビティ内を、前記溶融樹脂のフローフロントで発泡が起きない圧力以上にガスで加圧状態とし、該第一金型キャビティ内への前記溶融樹脂の射出時または射出後、前記第二金型キャビティ内に溶融樹脂の一部を排出することにより、前記第一金型キャビティで成形される偏肉成形品の厚肉部だけを発泡させることを特徴とする偏肉成形品の発泡射出成形法。
  2. 物理発泡剤が二酸化炭素または窒素であり、溶融樹脂中における該二酸化炭素または窒素の濃度が0.2重量%以上であることを特徴とする請求項1に記載の偏肉成形品の発泡射出成形法。
  3. 第二金型キャビティが第一金型キャビティの厚肉部に連結されていることを特徴とする請求項1または2に記載の偏肉成形品の発泡射出成形法。
  4. 少なくとも第一金型キャビティ内を加圧するガスが、二酸化炭素または窒素であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の偏肉成形品の発泡射出成形法。
  5. 第一金型キャビティ内に溶融樹脂を充填した後、偏肉成形品の裏面側と金型面との間に加圧ガスを注入して、偏肉成形品の表面に対応する金型面に加圧ガスで樹脂を押さえ付けることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の偏肉成形品の発泡射出成形法。
  6. 第一の金型キャビティで成形される偏肉成形品の肉厚が、薄肉部は1.5mm以上3.0mm以下、厚肉部は薄肉部の2倍以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の偏肉成形品の発泡射出成形法。
  7. 薄肉部と厚肉部を有する偏肉成形品に対応する第一金型キャビティと、該第一金型キャビティに連結された第二金型キャビティとを有し、少なくとも偏肉成形品の表面に対応する金型面に熱伝導率が0.002cal/cm・sec・℃以下で、かつ厚みが0.001mm以上3mm以下の断熱層を被覆した金型を用い、前記第一金型キャビティ内に、物理発泡剤を溶解させた発泡性の溶融樹脂を射出後、前記第二金型キャビティ内に溶融樹脂の一部を排出することにより、前記第一金型キャビティで成形される偏肉成形品の厚肉部だけを発泡させることを特徴とする偏肉成形品の発泡射出成形法。
  8. 物理発泡剤が二酸化炭素または窒素であり、溶融樹脂中における該二酸化炭素または窒素の濃度が0.2重量%以上であることを特徴とする請求項7に記載の偏肉成形品の発泡射出成形法。
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