JP2004034362A - 画像記録装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】記録ヘッドの1回当たりのインク吐出量を示す吐出量情報及び記録ヘッドから吐出されたインクの総量を示す総吐出量情報の少なくとも一方に基づいて階調補正情報を導出手段60によって導出する。これによって、記録ヘッドのインク吐出特性に応じた好適な階調補正情報を導出することができる。そして、導出手段60により導出された階調補正情報の調整量を示す調整情報を入力手段62によって入力し、導出手段60により導出された階調補正情報を、入力手段62により入力された調整情報によって示される調整量に応じて調整手段64により調整する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像記録装置に係り、より詳しくは、記録する画像を示す画像情報に基づいてインク滴を記録媒体に吐出させることにより画像を記録する画像記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、記録ヘッドに形成された複数のノズルから記録媒体にインク滴を吐出して画像の記録を行うインクジェット記録装置が、構造が簡単であり、かつ騒音が低いという理由から、急速に普及している。
【0003】
しかしながら、インクジェット記録装置は、記録ヘッドのインク吐出量に個体差があったり、経時変化によりインク吐出量が変化するため、記録ヘッドの交換前後の記録画像や、複数の同一機種の記録装置で同一の画像を記録したとき、各画像間で色調が変わってしまう場合がある、という問題点があった。例えば、カラー画像の記録用のインクとして、各々ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの各色のインクを吐出する4個の記録ヘッドが搭載されている機種の場合、例えばシアンインクの記録ヘッドを、それまでよりインク吐出量の多いものに交換すると、交換前に比較して青っぽい画像が記録されてしまうことになる。
【0004】
このような問題点を解決するために適用できる技術として、特許第2661917号公報、特開平9−321999号公報、及び特許第2810392号公報の各公報に記載の技術があった。
【0005】
特許第2661917号公報に記載の技術は、同一色同一階調につき複数の標準色パッチを予め設定されている位置に描画し、描画された標準色パッチを、白色光源、レンズ、フォトダイオード等により構成された反射率検出装置によって読み取り、読み取られた同一色同一階調の複数の標準色パッチのデータを平均化し、平均化されたデータに基づいて階調補正あるいは色調補正に用いる補正データを作成し、当該補正データを用いて階調補正あるいは色調補正を行うものであり、これによって画像形成における斑(むら)の上記補正データに与える影響を抑制して、高精度に階調補正あるいは色調補正を行うことのできる補正データを得るようにしたものである。
【0006】
また、特開平9−321999号公報に記載の技術は、目標色からなる基準リファレンスチャートと、複数のパッチからなるバランスチャートを作成し、基準リファレンスチャートに等色となるバランスチャートを目視により選択し、選択したデータの差に基づいて色変換データを補正するものである。
【0007】
更に、特許第2810392号公報に記載の技術は、吐出されるインクによって形成される画像の濃度に関する吐出特性データを取得し、当該吐出特性データに基づいて出力画像を示す画像情報の濃度特性を補正し、補正後の画像情報に基づいて画像の記録を行うものである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許第2661917号公報に記載の技術では、白色光源、レンズ、フォトダイオード等により構成された反射率検出装置を備える必要があり、装置の大型化や高コスト化を招いてしまう、という問題点があった。
【0009】
また、上記特開平9−321999号公報に記載の技術では、複数のパッチから基準リファレンスチャートと最も近いものを目視により選択する必要があり、当該選択に不慣れな人にとっては選択が困難である、という問題点があった。
【0010】
更に、上記特許第2810392号公報に記載の技術では、予め記憶された記録ヘッドの吐出特性データに基づいて出力画像の濃度特性の補正を行っているので、記録ヘッドからのインクの吐出量の経時変化に対応することができない、また、予め記憶する吐出特性データに誤差が生じる場合があり、この場合には、使用当初から所望とする色調の画像を得ることができない、という問題点があった。
【0011】
本発明は、上記問題点を解消するためになされたものであり、装置の大型化や高コスト化を招くことなく、経時変化による画像の色調の変化を簡易に防止することができる画像記録装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の画像記録装置は、画像記録用のインクを吐出する記録ヘッドを備えると共に、記録する画像を示す画像情報を階調補正情報により階調補正し、補正後の画像情報に基づいて画像を記録するものであり、図1に示すように、記録ヘッドの1回当たりのインク吐出量を示す吐出量情報及び記録ヘッドから吐出されたインクの総量を示す総吐出量情報の少なくとも一方に基づいて階調補正情報を導出する導出手段60と、導出手段60により導出された階調補正情報の調整量を示す調整情報を入力する入力手段62と、導出手段60により導出された階調補正情報を入力手段62により入力された調整情報によって示される調整量に応じて調整する調整手段64と、を備えている。
【0013】
請求項1に記載の画像記録装置によれば、記録ヘッドの1回当たりのインク吐出量を示す吐出量情報及び記録ヘッドから吐出されたインクの総量を示す総吐出量情報の少なくとも一方に基づいて階調補正情報が導出手段60によって導出される。これによって、記録ヘッドのインク吐出特性に応じた好適な階調補正情報を導出することができる。
【0014】
ここで、本発明では、導出手段60により導出された階調補正情報の調整量を示す調整情報が入力手段62によって入力され、導出手段60により導出された階調補正情報が、調整手段64によって入力手段62により入力された調整情報によって示される調整量に応じて調整される。
【0015】
すなわち、本発明では、第1段階として、吐出量情報及び総吐出量情報の少なくとも一方に基づいて、記録ヘッドのインク吐出特性に応じた階調補正情報を導出している。従って、この階調補正情報は、ある程度の精度をもって階調補正を行うことができるものである。
【0016】
そして、本発明では、第2段階として、当該階調補正情報を、入力手段により入力された調整情報によって示される調整量に応じて調整している。
【0017】
本発明では、このように2段階で目的とする階調補正情報を得るようにしているので、ユーザは、目的とする階調補正情報から大きく外れない状態で階調補正情報を調整することができ、複数のパッチから基準リファレンスチャートと最も近いものを目視により選択する従来技術に比較して、簡易に目的とする階調補正情報を得ることができる。
【0018】
また、本発明において、導出手段により総吐出量情報を用いる場合には、当該情報により示される吐出されたインクの総量は記録ヘッドにおけるインク吐出特性の経時変化の変化量に相関性が高いものであるので、この導出手段によって導出された階調補正情報は記録ヘッドの経時変化をある程度反映したものとなり、この結果として記録ヘッドのインク吐出量の経時変化に対応することができる。
【0019】
更に、ユーザは、本発明の画像記録装置によって記録された画像を参照して調整情報を入力することができるので、当該ユーザの好みを反映しつつ、記録ヘッドのインク吐出量の経時変化に対応することができると共に、ユーザによる記録画像の目視結果が階調補正情報に反映されるので、導出手段において用いられる吐出量情報及び総吐出量情報の少なくとも一方に誤差が生じた場合であっても、当該誤差の影響を軽減することができる。
【0020】
また、本発明では、白色光源、レンズ、フォトダイオード等により構成された反射率検出装置を必要としないので、当該反射率検出装置を必要とする従来技術のように装置の大型化や高コスト化を招くことはない。
【0021】
このように、請求項1に記載の画像記録装置によれば、記録ヘッドの1回当たりのインク吐出量を示す吐出量情報及び記録ヘッドから吐出されたインクの総量を示す総吐出量情報の少なくとも一方に基づいて階調補正情報を導出し、導出した階調補正情報の調整量を示す調整情報を入力し、導出した階調補正情報を入力した調整情報によって示される調整量に応じて調整しているので、装置の大型化や高コスト化を招くことなく、経時変化による画像の色調の変化を簡易に防止することができる。
【0022】
また、請求項2に記載の画像記録装置は、請求項1記載の発明において、複数種類の階調補正情報を記憶した記憶手段を更に備えると共に、前記導出手段は、前記吐出量情報及び前記総吐出量情報の少なくとも一方に応じた最適な階調補正情報を前記記憶手段から読み出すことにより前記階調補正情報を導出するものである。
【0023】
請求項2に記載の画像記録装置によれば、複数種類の階調補正情報が記憶手段によって記憶される。なお、上記記憶手段には、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable ROM)、フラッシュEEPROM(Flash EEPROM)等の記憶素子、フロッピィディスク、CD−R(Compact Disc−Recordable)、CD−RW(Compact Disc−ReWritable)、光磁気ディスク、磁気テープ等の可搬記録媒体やハードディスク等の固定記録媒体、或いはネットワーク接続されたサーバ・コンピュータ等に設けられた外部記憶装置等を用いることができる。
【0024】
ここで、本発明では、導出手段により、上記吐出量情報及び上記総吐出量情報の少なくとも一方に応じた最適な階調補正情報を記憶手段から読み出すことにより階調補正情報が導出される。
【0025】
このように、請求項2に記載の画像記録装置によれば、請求項1記載の発明と同様の効果を奏することができると共に、複数種類の階調補正情報を記憶手段に記憶しておき、吐出量情報及び総吐出量情報の少なくとも一方に応じた最適な階調補正情報を記憶手段から読み出すことにより調整前の階調補正情報を導出しているので、当該階調補正情報を演算により導出する場合に比較して、当該階調補正情報を記憶するための記憶手段は必要とするものの、演算負荷を低減することができ、高速に当該階調補正情報を導出することができる。
【0026】
また、請求項3に記載の画像記録装置は、請求項2記載の発明において、前記調整手段は、前記入力手段により入力された前記調整情報によって示される調整量に応じた調整後の階調補正情報を前記記憶手段から読み出すことにより前記階調補正情報を調整するものである。
【0027】
請求項3に記載の画像記録装置によれば、調整手段によって、入力手段により入力された調整情報によって示される調整量に応じた調整後の階調補正情報を上記記憶手段から読み出すことにより階調補正情報が調整される。
【0028】
このように、請求項3に記載の画像記録装置によれば、請求項2記載の発明と同様の効果を奏することができると共に、調整情報によって示される調整量に応じた調整後の階調補正情報を記憶手段から読み出すことにより階調補正情報を調整しているので、階調補正情報を演算により調整する場合に比較して演算負荷を低減することができ、高速に当該階調補正情報を調整することができる。
【0029】
また、請求項4に記載の画像記録装置は、請求項3記載の発明において、前記吐出量情報を当該吐出量情報により示されるインク吐出量に応じた複数段階の情報とし、前記総吐出量情報を当該総吐出量情報により示されるインクの総量に応じた複数段階の情報とし、前記入力手段により入力される前記調整情報を当該調整情報により示される調整量に応じた複数段階の情報とすると共に、前記階調補正情報を、前記調整情報の段階毎に異なる情報とし、かつ前記導出手段において前記吐出量情報を用いる場合は当該吐出量情報の段階が1段階増加する毎に1つずつずれるように適用し、前記導出手段において前記総吐出量情報を用いる場合は当該総吐出量情報の段階が1段階増加する毎に1つずつずれるように適用するものである。
【0030】
請求項4に記載の画像記録装置によれば、本発明の吐出量情報が当該吐出量情報により示されるインク吐出量に応じた複数段階の情報とされ、総吐出量情報が当該総吐出量情報により示されるインクの総量に応じた複数段階の情報とされ、入力手段により入力される調整情報が当該調整情報により示される調整量に応じた複数段階の情報とされると共に、階調補正情報が、上記調整情報の段階毎に異なる情報とされ、かつ本発明の導出手段において上記吐出量情報を用いる場合は当該吐出量情報の段階が1段階増加する毎に1つずつずれるように適用され、導出手段において上記総吐出量情報を用いる場合は当該総吐出量情報の段階が1段階増加する毎に1つずつずれるように適用される。
【0031】
これにより、導出手段により吐出量情報を用いる場合は、当該吐出量情報の隣接する段階間で2つの階調補正情報を除いた全ての階調補正情報を共通に用いることができ、また、導出手段により総吐出量情報を用いる場合にも、当該総吐出量情報の隣接する段階間で2つの階調補正情報を除いた全ての階調補正情報を共通に用いることができ、この結果として、調整情報の段階数をMとし、吐出量情報の段階数をDとし、総吐出量情報の段階数をSとしたときに、最低、M+D+S−2の数の階調補正情報のみを用意すればよいことになり、単純に全ての組み合わせに対応して階調補正情報を用意しておく場合(この場合は、M×D×Sの数の階調補正情報が必要。)に比較して、階調補正情報の記憶に要する記憶容量を大幅に削減することができる。
【0032】
このように、請求項4に記載の画像記録装置によれば、請求項3記載の発明と同様の効果を奏することができると共に、吐出量情報を当該吐出量情報により示されるインク吐出量に応じた複数段階の情報とし、総吐出量情報を当該総吐出量情報により示されるインクの総量に応じた複数段階の情報とし、入力手段により入力される調整情報を当該調整情報により示される調整量に応じた複数段階の情報とすると共に、階調補正情報を、上記調整情報の段階毎に異なる情報とし、かつ上記吐出量情報を用いる場合は当該吐出量情報の段階が1段階増加する毎に1つずつずれるように適用し、上記総吐出量情報を用いる場合は当該総吐出量情報の段階が1段階増加する毎に1つずつずれるように適用しているので、階調補正情報を記憶するための記憶容量を大幅に削減することができる。
【0033】
また、請求項5に記載の画像記録装置は、請求項1乃至請求項4の何れか1項記載の発明において、前記記録ヘッドが交換されたときに前記調整手段による前記階調補正情報の調整を無効とする無効手段を更に備えたものである。
【0034】
請求項5に記載の画像記録装置によれば、記録ヘッドが交換されたときに調整手段による階調補正情報の調整が無効手段によって無効とされる。
【0035】
すなわち、記録ヘッドが交換された場合において、調整手段により交換前の記録ヘッドに対応して行われた階調補正情報の調整は、交換後の記録ヘッドに対応したものとはなっていないため、そのままの階調補正情報により階調補正を行って画像を記録した場合には、所望とする色調から大幅に変化したものとなってしまう。
【0036】
そこで、本発明では、記録ヘッドが交換されたときに調整手段による階調補正情報の調整を無効とするようにしており、これによって、記録画像の色調の変化を低減するようにしている。
【0037】
このように、請求項5に記載の画像記録装置によれば、請求項1乃至請求項4の何れか1項記載の発明と同様の効果を奏することができると共に、記録ヘッドが交換されたときに調整手段による階調補正情報の調整を無効としているので、記録ヘッドの交換前後における記録画像の色調の変化を低減することができる。
【0038】
また、請求項6に記載の画像記録装置は、請求項1乃至請求項5の何れか1項記載の発明において、前記記録ヘッドを、ブラックインク、シアンインク、マゼンタインク、及びイエローインクを吐出可能なものとし、黒色の画像を記録することができる黒色画像情報に基づいて、前記ブラックインクのみを用いた第1黒色画像と、前記シアンインク、前記マゼンタインク、及び前記イエローインクを用いた第2黒色画像と、を記録画像の色調を確認するためのテスト画像として記録するテスト画像記録手段を更に備えたものである。
【0039】
請求項6に記載の画像記録装置によれば、記録ヘッドが、ブラックインク、シアンインク、マゼンタインク、及びイエローインクを吐出可能なものとされると共に、テスト画像記録手段により、黒色の画像を記録することができる黒色画像情報に基づいて、上記ブラックインクのみを用いた第1黒色画像と、上記シアンインク、上記マゼンタインク、及び上記イエローインクを用いた第2黒色画像と、が記録画像の色調を確認するためのテスト画像として記録される。
【0040】
このようにして記録された第2黒色画像は、シアンインク、マゼンタインク、イエローインクの各インクの吐出量が略同一である場合には第1黒色画像と略同様の色調となるが、各インクの吐出量が略同一でない場合には第1黒色画像に比較して吐出量の多いインクの色に近い色調となる。従って、本発明により記録された第1黒色画像と第2黒色画像とを目視により比較することにより、簡易に吐出量の多い、又は少ないインクを判断することができ、この結果として、簡易に階調補正情報の調整を行うことができる。
【0041】
このように、請求項6に記載の画像記録装置によれば、請求項1乃至請求項5の何れか1項記載の発明と同様の効果を奏することができると共に、記録ヘッドを、ブラックインク、シアンインク、マゼンタインク、及びイエローインクを吐出可能なものとし、黒色の画像を記録することができる黒色画像情報に基づいて、ブラックインクのみを用いた第1黒色画像と、シアンインク、マゼンタインク、及びイエローインクを用いた第2黒色画像と、を記録画像の色調を確認するためのテスト画像として記録しているので、簡易に階調補正情報を調整できる。
【0042】
更に、請求項7に記載の画像記録装置は、請求項6記載の発明において、前記テスト画像記録手段は、前記調整手段により調整された階調補正情報によって補正された前記黒色画像情報を用いて前記テスト画像を記録するものである。
【0043】
請求項7に記載の画像記録装置によれば、テスト画像記録手段によって、調整手段により調整された階調補正情報によって補正された黒色画像情報が用いられて本発明のテスト画像が記録される。
【0044】
このように、請求項7に記載の画像記録装置によれば、請求項6記載の発明と同様の効果を奏することができると共に、調整手段により調整された階調補正情報によって補正された黒色画像情報を用いてテスト画像を記録しているので、テスト画像を階調補正情報に対する調整が反映されたものとすることができ、この結果として、階調補正情報の調整を高精度でかつ短時間に行うことができる。
【0045】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0046】
〔第1実施形態〕
まず、図2を参照して、本実施の形態に係るインクジェット記録装置における本発明に特に関係する印刷部50の構成について説明する。
【0047】
同図に示すように、本実施の形態に係るインクジェット記録装置の印刷部50は、各々対応する色のインクが充填され、かつ充填されたインクを吐出する複数の記録ヘッド2が搭載されたキャリッジ1と、キャリッジ1がキャリッジ走査方向(図2紙面左右方向)に沿って移動するようにキャリッジ1を案内するガイドシャフト3と、を含んで構成されている。なお、本実施の形態に係る記録ヘッド2は、同図に示すように、ブラックインクを吐出することのできる記録ヘッド2aと、シアンインクを吐出することのできる記録ヘッド2bと、マゼンタインクを吐出することのできる記録ヘッド2cと、イエローインクを吐出することのできる記録ヘッド2dと、により構成されている。
【0048】
このインクジェット記録装置では、キャリッジ1をガイドシャフト3に沿ってキャリッジ走査方向の一方向(例えば、図2紙面左方向)に移動すると共に、記録媒体4に記録すべき画像の画像データに基づいて記録ヘッド2からインクを吐出することによって主走査がなされ、キャリッジ1をガイドシャフト3に沿ってキャリッジ走査方向の他方向(例えば、図2紙面右方向)に移動する(復帰する)と共に、記録媒体4を図示しない用紙搬送装置によって上記キャリッジ走査方向と直交する方向である用紙搬送方向に所定距離だけ移動することによって副走査がなされ、以上の主走査及び副走査を繰り返すことによって、記録媒体4に所定領域の画像が記録される。
【0049】
次に、図3を参照して、本第1実施形態に係るインクジェット記録装置10Aの電気系の構成を説明する。同図に示すように、本実施の形態に係るインクジェット記録装置10Aは、記録すべき画像を示すR(赤)、G(緑)、B(青)の画像データが入力され、当該画像データをC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)の画像データに変換する色変換部12と、入力されたC、M、Y、Kの画像データを後述する階調補正パラメータ選択部26により選択された階調補正パラメータによって補正する階調補正部14と、階調補正部14による階調補正後の画像データに対して誤差拡散処理やパターンディザ処理等の処理を施すことによりハーフトーンの画像データを生成するハーフトーン処理部16と、当該ハーフトーンの画像データに基づいて記録ヘッド2を駆動するための駆動信号(記録ヘッド2のインク吐出のオン/オフを制御する信号)を生成するヘッド駆動部18と、を含んで構成されている。
【0050】
色変換部12の出力端は階調補正部14の一方の入力端に、階調補正部14の出力端はハーフトーン処理部16の入力端に、ハーフトーン処理部16の出力端はヘッド駆動部18の入力端に、各々接続されている。なお、本実施の形態に係るインクジェット記録装置10Aでは、色変換部12に入力される画像データをR、G、B毎に8ビット/1画素の画像データとし、色変換部12及び階調補正部14により得られるCMYKの画像データをC、M、Y、K毎に8ビット/1画素の画像データとし、ハーフトーン処理部16により得られる画像データをC、M、Y、K毎に1ビット/1画素の2値化画像データとするものとされている。
【0051】
一方、インクジェット記録装置10Aには、階調補正部14による階調の補正に用いる複数の階調補正パラメータの各々をテーブル形式で記憶したメモリにより構成された階調補正パラメータ記憶部20と、ユーザによる操作に応じて各種情報を入力するコントロールパネル22と、コントロールパネル22を介して入力された情報に基づいて階調補正パラメータ記憶部20に記憶された階調補正パラメータから好適なものを選択する階調補正パラメータ選択部26と、が含まれている。なお、階調補正パラメータ記憶部20にテーブル形式で記憶されている階調補正パラメータを以下では、「階調補正テーブル」という。
【0052】
階調補正パラメータ記憶部20及びコントロールパネル22の各々の出力端は階調補正パラメータ選択部26の入力端に、階調補正パラメータ選択部26の出力端は階調補正部14の他方の入力端に、各々接続されている。
【0053】
図4には、階調補正パラメータ記憶部20に記憶されている複数の階調補正テーブルが模式的に示されている。同図に示すように、本実施の形態に係るインクジェット記録装置10Aでは、階調補正テーブルT0〜階調補正テーブルT6の7種類の階調補正テーブルを記憶している。これらのテーブルは、本実施の形態に係るインクジェット記録装置10Aに備えられた印刷モード(ここでは、高速印刷モード、標準印刷モード、及び高画質モードと、これら3種類のモード毎の記録用紙の種類に応じた印刷モード)毎に記憶されており、各色毎に8ビット/1画素構成のC、M、Y、Kの画像データを、同様の構成のC、M、Y、Kの画像データに補正するものとして構成されている。
【0054】
同図に示すように、階調補正テーブルT6、T5、T4、T3、T2、T1、T0の順に、階調補正で用いたときの階調補正後の画像データの値が大きくなるように各階調補正テーブルが設定されている。従って、後述するインク吐出量情報により示される1回(1ドット)当たりのインク吐出量が同一の記録ヘッドを用いるものと仮定した場合、符号Tに付された数字が小さな値である階調補正テーブルほど、より高い濃度を示す画像データが得られることになる。また、上記インク吐出量が少ない記録ヘッドでは、当該記録ヘッドより上記インク吐出量が多い記録ヘッドに比較して符号Tに付された数字が小さな値である階調補正テーブルを用いることにより、同一の画像データに対して同一の濃度となる画像データを得ることができることになる。
【0055】
一方、本実施の形態に係るインクジェット記録装置10Aでは、記録ヘッドの搭載時(交換時)に、当該記録ヘッドの1回(1ドット)当たりのインク吐出量を示すインク吐出量情報(本発明の「吐出量情報」に相当。)をコントロールパネル22に対する操作により入力するようにしている。そして、入力されたインク吐出量情報は階調補正パラメータ選択部26に備えられた不図示の不揮発性のメモリ(バッテリバックアップされたRAMを含む。)に記憶される。
【0056】
ここで、記録ヘッドのインク吐出量には個体差があるため、本実施の形態に係るインクジェット記録装置10Aでは、インク吐出量情報を当該インク吐出量情報により示されるインク吐出量に応じて複数段階に分類して各段階毎に識別子を予め定めておき、当該識別子によって記録ヘッドのインク吐出量を示すようにしている。具体的には、上記複数段階をインク吐出量情報により示されるインク吐出量を示す値の大きさに応じて‘小’、‘中’、‘大’の3段階とし、各段階毎の識別子として、‘小’の段階に属する記録ヘッドについては‘00’を、‘中’の段階に属する記録ヘッドについては‘01’を、‘大’の段階に属する記録ヘッドについては‘10’を、各々適用している。従って、階調補正パラメータ選択部26に備えられたメモリには、記録ヘッド2の1回当たりのインク吐出量を示すインク吐出量情報として、‘00’、‘01’、‘10’の何れかの識別子が予め記憶されている。
【0057】
なお、本実施の形態に係るインクジェット記録装置10Aでは、記録ヘッドの搭載時(交換時)に、記録ヘッドが交換された旨を示す情報(以下、「記録ヘッド交換情報」という。)が階調補正パラメータ選択部26に備えられたメモリに記憶される。
【0058】
一方、インクジェット記録装置10Aでは、当該インクジェット記録装置10Aにより記録される画像の濃度を、記録ヘッド2で吐出されるインクの色毎に調整することができる濃度調整機能を備えており、当該濃度調整機能を働かせる際に用いられる濃度調整値(本発明の「調整情報」に相当。)はコントロールパネル22を介して入力される。ここで、本実施の形態では、上記濃度調整値として、所定の基準濃度を‘0’とし、基準濃度より所定レベルだけ濃くする場合に‘+1’を、当該所定レベルより更に濃くする場合に‘+2’を、基準濃度より所定レベルだけ薄くする場合に‘−1’を、当該所定レベルより更に薄くする場合に‘−2’を、各々コントロールパネル22上で設定するものとされている。すなわち、本実施の形態では、濃度調整機能により、記録ヘッド2で吐出されるインクの色毎に、‘+2’、‘+1’、‘0’、‘−1’、‘−2’の5段階で濃度を調整することができる。
【0059】
なお、本実施の形態に係るインクジェット記録装置10Aには、濃度調整機能を働かせるか否かを指示するための不図示の「濃度調整」ボタンが設けられており、ユーザは、濃度調整機能を働かせる場合に「濃度調整」ボタンをオン状態とし、濃度調整機能の実施を解除する場合には「濃度調整」ボタンをオフ状態とする。また、濃度調整機能を働かせた際にユーザによって設定された濃度調整値は、階調補正パラメータ選択部26に備えられた不図示のメモリに記憶される。当該メモリに記憶された濃度調整値を以下の説明では、「ユーザ設定情報」という。
【0060】
一方、階調補正パラメータ選択部26では、次の表1に基づいて、階調補正パラメータ記憶部20に記憶されている階調補正テーブルから実際に階調補正に用いる階調補正テーブルを選択する。
【0061】
【表1】
【0062】
表1において、「ユーザ設定値」は濃度調整機能を働かせるためにコントロールパネル22を介してユーザにより入力された濃度調整値を、「インク吐出量情報」における‘00’、‘01’、‘10’は、予め階調補正パラメータ選択部26に備えられたメモリに記憶された記録ヘッド2のインク吐出量を示す識別子を、各々示すものである。すなわち、階調補正パラメータ選択部26では、予め上記メモリに記憶された記録ヘッド2のインク吐出量と、ユーザによって入力された濃度調整値に基づいて実際に用いる階調補正テーブルを選択するようにしている。なお、本実施の形態に係るインクジェット記録装置10Aでは、表1に示される情報を、同表に示すようなテーブル形式で階調補正パラメータ選択部26に備えられたメモリに予め記憶しており、当該テーブル(以下、「階調補正テーブル選択テーブル」という。)を参照することによって階調補正テーブルを選択する。
【0063】
階調補正パラメータ選択部26が本発明の導出手段、調整手段、及び無効手段に、階調補正パラメータ記憶部20が本発明の記憶手段に、コントロールパネル22が本発明の入力手段に、各々相当する。
【0064】
次に、本実施の形態に係るインクジェット記録装置10Aの作用を説明する。
まず、図3を参照して、インクジェット記録装置10Aの画像記録時における全体的な動作について簡単に説明する。
【0065】
まず、記録すべき画像を示すR、G、Bの画像データが色変換部12に入力されてC、M、Y、Kの画像データに変換され、変換後の画像データが階調補正部14に出力される。階調補正部14では、色変換部12から入力された画像データに対して、予め階調補正パラメータ選択部26により選択された階調補正テーブルが用いられて階調補正が行われ、当該補正後の画像データが順次ハーフトーン処理部16に出力される。
【0066】
ハーフトーン処理部16では、階調補正部14から入力された階調補正後の画像データに対して、誤差拡散処理やパターンディザ処理等の処理が施されることによりハーフトーンの画像データが生成されて2値化画像データとしてヘッド駆動部18に出力される。
【0067】
ヘッド駆動部18では、ハーフトーン処理部16から入力された2値化画像データに基づき記録ヘッド2を駆動するための駆動信号が生成されて記録ヘッド2に供給され、当該駆動信号に応じた記録ヘッド2の駆動によって画像が記録される。
【0068】
次に、図5を参照して、階調補正パラメータ選択部26の作用を説明する。なお、図5は、インクジェット記録装置10Aの不図示の電源スイッチがオン状態とされているときに、所定時間(本実施の形態では、10秒)毎に階調補正パラメータ選択部26で実行される階調補正パラメータ選択処理の流れを示すフローチャートである。また、ここでは、ユーザによって印刷モードが設定されており、当該印刷モードを示すモード情報が階調補正パラメータ選択部26に備えられた不図示のメモリに記憶されている場合について説明する。
【0069】
同図のステップ100では、階調補正パラメータ選択部26に備えられた不図示のメモリからモード情報、インク吐出量情報及びユーザ設定情報を読み出す。なお、本実施の形態に係るインクジェット記録装置10Aでは、インクジェット記録装置10Aの出荷調整時に、ユーザ設定情報のデフォルト値として‘0’が当該不図示のメモリに記憶される。従って、本階調補正パラメータ選択処理が出荷後初めて実行されたときや、ユーザによりユーザ設定情報が一度も更新されていないときには、ユーザ設定情報として‘0’が読み出されることになる。
【0070】
次のステップ102では、前述の記録ヘッド交換情報が階調補正パラメータ選択部26に備えられた不図示のメモリに記憶されているか否かを判定することにより、記録ヘッド2が交換されたか否かを判定し、肯定判定の場合には当該不図示のメモリに記憶されているユーザ設定情報をリセット(本実施の形態では、ユーザ設定情報を‘0’に更新)すると共に記録ヘッド交換情報を当該メモリから消去した後にステップ106に移行し、否定判定の場合には上記ステップ104の処理を実行することなくステップ106に移行する。
【0071】
ステップ106では、階調補正テーブル選択テーブル(表1参照)を参照することにより、上記ステップ100において読み出したモード情報、インク吐出量情報及びユーザ設定情報に基づいて当該モード情報により示される印刷モードに対応する階調補正テーブルであり、かつ当該インク吐出量情報により示されるインク吐出量の記録ヘッドにとって好適であると共に、ユーザ設定情報により示される濃度調整値に応じた階調補正テーブルを階調補正パラメータ記憶部20に記憶されている階調補正テーブルから選択して読み出す。
【0072】
例えば、インク吐出量情報により示されるインク吐出量を示す識別子が‘01’であり、ユーザ設定情報が‘0’であった場合には、これに対応する好適な階調補正テーブルとして階調補正テーブルT3が自動的に選択されて読み出される。同様に、インク吐出量を示す識別子が‘00’であり、ユーザ設定情報が‘0’であった場合には、これに対応する好適な階調補正テーブルとして階調補正テーブルT2が、インク吐出量を示す識別子が‘10’であり、ユーザ設定情報が‘0’であった場合には、これに対応する好適な階調補正テーブルとして階調補正テーブルT4が、各々自動的に選択されて読み出される。
【0073】
次のステップ108では、上記ステップ106において読み出した階調補正テーブルを階調補正部14に出力し、次のステップ110では、前述の「濃度調整」ボタンがオン状態とされているか否かを判定することにより、ユーザによる濃度調整を行う(濃度調整機能を働かせる)か否かを判定し、肯定判定の場合はステップ112に移行し、否定判定の場合には本階調補正パラメータ選択処理を終了する。
【0074】
ステップ112では、予め定められた画像を記録するように関係各部を制御することにより、上記ステップ108によって階調補正部14に出力された階調補正テーブルを用いて階調補正された画像データに基づく画像を記録させる。
【0075】
次のステップ114では、予め定められたユーザ設定画面をコントロールパネル22の表示部22Aに表示させるように関係各部を制御し、次のステップ116では、所定情報の入力待ちを行う。
【0076】
図6には、上記ステップ114の処理によってコントロールパネル22の表示部22Aに表示されたユーザ設定画面の一例が示されている。同図に示す例では、ユーザ設定画面として、インク毎の濃度調整値の指定を促す旨のメッセージと共に、インク毎に濃度調整値を直接指定可能とするための複数(本実施の形態では5つ)の矩形枠が表示されている。また、同図に示すユーザ設定画面では、濃度調整値の指定を終了する際に指定する「指定終了」ボタンが表示されている。
【0077】
本実施の形態に係るインクジェット記録装置10Aのコントロールパネル22の表示部22Aには、表面に不図示の感圧式タッチパネルが配設されている。従って、ユーザは、濃度調整値を指定したいインクで、かつ指定したい濃度調整値に対応する位置に位置された矩形枠内の領域を指先で接触指定した後に「指定終了」ボタンを接触指定することにより、所望の濃度調整値を簡易に入力することができる。
【0078】
同図に示すようなユーザ設定画面がコントロールパネル22の表示部22Aに表示されると、ユーザは、上記ステップ112の処理によって記録された画像を参照して、濃度を調整したいインクがある場合には、当該インクと、指定したい濃度調整値とに対応する矩形枠内を接触指定する。例えば、上記ステップ112の処理によって記録された画像が青っぽく感じ、青っぽさを低減したい場合にユーザは、シアンインクと、現設定値より小さな濃度調整値とに対応する矩形枠内を接触指定する。また、例えば、上記ステップ112の処理によって記録された画像を、より赤っぽい画像としたい場合にユーザは、マゼンタインクと、現設定値より大きな濃度調整値とに対応する矩形枠内を接触指定する。なお、同図に示す例では、ブラックインクの濃度調整値として‘0’が、シアンインクの濃度調整値として‘−1’が、マゼンタインクの濃度調整値として‘+1’が、イエローインクの濃度調整値として‘0’が、各々ユーザにより指定された状態が示されている。
【0079】
そして、ユーザは、濃度調整値の指定を終了したい場合には「指定終了」ボタンを接触指定する。これによって、階調補正パラメータ選択部26には、指定された濃度調整値を示す情報及び「指定終了」ボタンが指定されたことを示す情報が入力され、上記ステップ116が肯定判定となってステップ118に移行する。
【0080】
ステップ118では、上記ステップ116において入力された濃度調整値を示す情報を階調補正パラメータ選択部26に備えられた不図示のメモリにユーザ設定情報として記憶することによって当該ユーザ設定情報を更新する。
【0081】
次のステップ120では、階調補正テーブル選択テーブル(表1参照)を参照することにより、上記ステップ100において読み出したモード情報、インク吐出量情報と、上記ステップ118で更新されたユーザ設定情報とに基づいて、上記ステップ106と同様に階調補正テーブルを階調補正パラメータ記憶部20に記憶されている階調補正テーブルから選択して読み出す。
【0082】
例えば、インク吐出量情報により示されるインク吐出量を示す識別子が‘01’であり、かつ更新後のユーザ設定情報が‘+2’であった場合には、実際に階調補正に用いる階調補正テーブルとして階調補正テーブルT1が選択されて読み出され、同様に、インク吐出量を示す識別子が‘00’ であり、かつ更新後のユーザ設定情報が‘−1’であった場合には、実際に階調補正に用いる階調補正テーブルとして階調補正テーブルT3が選択されて読み出されることになる。
【0083】
次のステップ122では、上記ステップ120において読み出した階調補正テーブルを階調補正部14に出力することにより、それまで階調補正部14に設定されていた階調補正テーブルを調整し、その後に本階調補正パラメータ選択処理を終了する。
【0084】
本階調補正パラメータ選択処理によって、ステップ102及びステップ104の処理により、記録ヘッドが交換されたときに、それまでにユーザによって設定されていたユーザ設定情報がリセットされ、当該ユーザ設定情報による階調補正テーブルの調整が無効とされると共に、ステップ110〜ステップ122の処理により、インク吐出量情報(及び記録ヘッドが交換されていない場合におけるユーザ設定情報)に基づいて選択された階調補正テーブルがユーザにより設定された濃度調整値を示すユーザ設定情報に応じて調整される。
【0085】
本階調補正パラメータ選択処理のステップ102及びステップ104の処理が本発明の無効手段に、ステップ106の処理が本発明の導出手段に、ステップ120の処理が本発明の調整手段に、各々相当する。
【0086】
以上詳細に説明したように、本実施の形態に係るインクジェット記録装置10Aは、インク吐出量情報に基づいて階調補正テーブルを導出し、導出した階調補正テーブルの調整量を示す濃度調整値を入力し、導出した階調補正テーブルを入力した濃度調整値によって示される調整量に応じて調整しているので、装置の大型化や高コスト化を招くことなく、経時変化による画像の色調の変化を簡易に防止することができる。
【0087】
また、本実施の形態に係るインクジェット記録装置10Aは、複数種類の階調補正テーブルを階調補正パラメータ記憶部20に記憶しておき、インク吐出量情報に応じた最適な階調補正テーブルを階調補正パラメータ記憶部20から読み出すことにより調整前の階調補正テーブルを導出しているので、当該階調補正テーブルを演算により導出する場合に比較して、当該階調補正テーブルを記憶するための階調補正パラメータ記憶部20は必要とするものの、演算負荷を低減することができ、高速に当該階調補正テーブルを導出することができる。
【0088】
また、本実施の形態に係るインクジェット記録装置10Aは、濃度調整値によって示される調整量に応じた調整後の階調補正テーブルを階調補正パラメータ記憶部20から読み出すことにより階調補正テーブルを調整しているので、階調補正テーブルを演算により調整する場合に比較して演算負荷を低減することができ、高速に当該階調補正テーブルを調整することができる。
【0089】
また、本実施の形態に係るインクジェット記録装置10Aは、インク吐出量情報を当該インク吐出量情報により示されるインク吐出量に応じた複数段階の情報とし、濃度調整値を当該濃度調整値により示される調整量に応じた複数段階の情報とすると共に、階調補正テーブルを、濃度調整値の段階毎に異なる情報とし、かつインク吐出量情報の段階が1段階増加する毎に1つずつずれるように適用しているので、階調補正テーブルを記憶するための記憶容量を大幅に削減することができる。
【0090】
更に、本実施の形態に係るインクジェット記録装置10Aは、記録ヘッドが交換されたときに階調補正テーブルの調整を無効としているので、記録ヘッドの交換前後における記録画像の色調の変化を低減することができる。
【0091】
〔第2実施形態〕
上記第1実施形態では、インク吐出量情報及びユーザにより入力された調整情報に基づいて実際に用いる階調補正テーブルを得る場合の形態について説明したが、本第2実施形態では、インク吐出量情報及び調整情報に加えて、記録ヘッドから吐出されたインクの総量を示す総吐出ドット数情報(本発明の「総吐出量情報」に相当。)に基づいて実際に用いる階調補正テーブルを得る場合の形態について説明する。
【0092】
まず、図7を参照して、本第2実施形態に係るインクジェット記録装置10Bの電気系の構成を説明する。なお、図7の図3と同一の構成要素には図3と同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0093】
図7に示すように、本第2実施形態に係るインクジェット記録装置10Bは、記録ヘッド2から吐出されたインクのドット数を計数するカウンタ24が備えられている点、及び階調補正パラメータ選択部26に代えて階調補正パラメータ選択部26’を適用している点のみが上記第1実施形態に係るインクジェット記録装置10Aと異なっている。カウンタ24の出力端は階調補正パラメータ選択部26’に接続されており、階調補正パラメータ選択部26’はカウンタ24による計数値、すなわち、記録ヘッド2から吐出されたインクのドット数を示す情報(以下、「総吐出ドット数情報」という。)を常時参照することができる。
【0094】
また、本実施の形態に係るインクジェット記録装置10Bでも、記録ヘッドの搭載時(交換時)に、当該記録ヘッドの1回(1ドット)当たりのインク吐出量を示すインク吐出量情報をコントロールパネル22に対する操作により入力するようにしている。そして、入力されたインク吐出量情報は階調補正パラメータ選択部26’に備えられた不図示のメモリに記憶される。
【0095】
また、本実施の形態に係るインクジェット記録装置10Bでも、記録ヘッドの搭載時(交換時)に記録ヘッドが交換された旨を示す記録ヘッド交換情報が階調補正パラメータ選択部26’に備えられたメモリに記憶される点、及び濃度調整機能を働かせるか否かを指示するための不図示の「濃度調整」ボタンが設けられている点は、インクジェット記録装置10Aと同様である。
【0096】
ところで、本発明の発明者による実験により、図8に示すように、総吐出ドット数が増加するに従って1回当たりのインク吐出量が低下する傾向があることが判明した。そこで、本第2実施形態に係るインクジェット記録装置10Bでは、総吐出ドット数情報を当該情報により示されるインクの総量に応じて複数段階に分類して各段階毎に識別子を予め定めておき、当該識別子によって記録ヘッドの総吐出ドット数を示すようにしている。
【0097】
なお、同図に示すように、上記インク吐出量の低下は、当初の吐出量から10%程度低下した時点で低下率が小さくなる傾向にあるので、本実施の形態では、当初のインク吐出量から吐出量が5%減少するまでの総吐出ドット数については‘00’を、5%を越えて10%減少するまでの総吐出ドット数については‘01’を、10%を越えたときの総吐出ドット数については‘10’を、各々識別子として適用している。
【0098】
一方、図9には、本第2実施形態に係る階調補正パラメータ記憶部20に記憶されている複数の階調補正テーブルが模式的に示されている。同図に示すように、本実施の形態に係るインクジェット記録装置10Bでは、階調補正テーブルT0〜階調補正テーブルT8の9種類の階調補正テーブルを記憶している。これらのテーブルは、本実施の形態に係るインクジェット記録装置10Bに備えられた印刷モード(ここでは、高速印刷モード、標準印刷モード、及び高画質モードと、これら3種類のモード毎の記録用紙の種類に応じた印刷モード)毎に記憶されており、各色毎に8ビット/1画素構成のC、M、Y、Kの画像データを、同様の構成のC、M、Y、Kの画像データに補正するものとして構成されている。
【0099】
同図に示すように、階調補正テーブルT8、T7、T6、T5、T4、T3、T2、T1、T0の順に、階調補正で用いたときの階調補正後の画像データの値が大きくなるように各階調補正テーブルが設定されている。従って、インク吐出量情報により示される1回(1ドット)当たりのインク吐出量が同一の記録ヘッドを用いるものと仮定した場合、符号Tに付された数字が小さな値である階調補正テーブルほど、より高い濃度を示す画像データが得られることになる。また、上記インク吐出量が少ない記録ヘッドでは、当該記録ヘッドより上記インク吐出量が多い記録ヘッドに比較して符号Tに付された数字が小さな値である階調補正テーブルを用いることにより、同一の画像データに対して同一の濃度となる画像データを得ることができることになる。
【0100】
一方、階調補正パラメータ選択部26’では、次の表2に基づいて、階調補正パラメータ記憶部20に記憶されている階調補正テーブルから実際に階調補正に用いる階調補正テーブルを選択する。
【0101】
【表2】
【0102】
表2において、「ユーザ設定値」は濃度調整機能を働かせるためにコントロールパネル22を介してユーザにより入力された濃度調整値を、「インク吐出量情報」における‘00’、‘01’、‘10’は、予め階調補正パラメータ選択部26’に備えられたメモリに記憶された記録ヘッド2のインク吐出量を示す識別子を、「総吐出ドット数情報」における‘00’、‘01’、‘10’は、カウンタ24により計数されている記録ヘッド2の総吐出ドット数を示す識別子を、各々示すものである。
【0103】
すなわち、階調補正パラメータ選択部26’では、予め上記メモリに記憶された記録ヘッド2のインク吐出量と、カウンタ24により計数されている総吐出ドット数と、ユーザによって入力された濃度調整値と、に基づいて、実際に用いる階調補正テーブルを選択するようにしている。なお、本実施の形態に係るインクジェット記録装置10Bでは、表2に示される情報を、同表に示すようなテーブル形式で階調補正パラメータ選択部26’に備えられた不図示のメモリに予め記憶しており、当該テーブル(以下、「階調補正テーブル選択テーブルST2」という。)を参照することによって階調補正テーブルを選択する。
【0104】
階調補正パラメータ選択部26’が本発明の導出手段、調整手段、無効手段及びテスト画像記録手段に、階調補正パラメータ記憶部20が本発明の記憶手段に、コントロールパネル22が本発明の入力手段に、各々相当する。
【0105】
次に、本第2実施形態に係るインクジェット記録装置10Bの作用を説明する。なお、インクジェット記録装置10Bの画像記録時における全体的な動作は上記第1実施形態に係るインクジェット記録装置10Aと同様であるので、ここでの説明は省略し、以下、図10を参照して、本第2実施形態に係る階調補正パラメータ選択部26’の作用を説明する。なお、図10は、インクジェット記録装置10Bの不図示の電源スイッチがオン状態とされているときに、所定時間(本実施の形態では、10秒)毎に階調補正パラメータ選択部26’で実行される階調補正パラメータ選択処理の流れを示すフローチャートであり、図5と同一の処理を行うステップには図5と同一のステップ番号を付して、その説明を省略する。また、ここでは、ユーザによって印刷モードが設定されており、当該印刷モードを示すモード情報が階調補正パラメータ選択部26’に備えられた不図示のメモリに記憶されている場合について説明する。
【0106】
図10のステップ100’では、階調補正パラメータ選択部26’に備えられた不図示のメモリからモード情報、インク吐出量情報及びユーザ設定情報を読み出すと共に、カウンタ24の計数値を参照することによって総吐出ドット数情報を取得する。なお、本実施の形態に係るインクジェット記録装置10Bでも、インクジェット記録装置10Bの出荷調整時に、ユーザ設定情報のデフォルト値として‘0’が当該不図示のメモリに記憶される。従って、本階調補正パラメータ選択処理が出荷後初めて実行されたときや、ユーザによりユーザ設定情報が一度も更新されていないときには、ユーザ設定情報として‘0’が読み出されることになる。
【0107】
そして、ステップ106’では、階調補正テーブル選択テーブルST2(表2参照)を参照することにより、上記ステップ100’において取得したモード情報、インク吐出量情報、ユーザ設定情報及び総吐出ドット数情報に基づいて当該モード情報により示される印刷モードに対応する階調補正テーブルであり、かつ当該インク吐出量情報及び当該総吐出ドット数情報により各々示されるインク吐出量及び総吐出ドット数の記録ヘッドにとって好適であると共に、ユーザ設定情報により示される濃度調整値に応じた階調補正テーブルを階調補正パラメータ記憶部20に記憶されている階調補正テーブルから選択して読み出す。
【0108】
例えば、総吐出ドット数情報により示される総吐出ドット数を示す識別子が‘00’で、インク吐出量情報により示されるインク吐出量を示す識別子が‘01’であり、かつユーザ設定情報が‘0’であった場合には、これに対応する好適な階調補正テーブルとして階調補正テーブルT5が自動的に選択されて読み出される。同様に、総吐出ドット数を示す識別子が‘01’で、インク吐出量を示す識別子が‘00’であり、かつユーザ設定情報が‘0’であった場合には、これに対応する好適な階調補正テーブルとして階調補正テーブルT3が、総吐出ドット数を示す識別子が‘10’で、インク吐出量を示す識別子が‘10’であり、かつユーザ設定情報が‘0’であった場合には、これに対応する好適な階調補正テーブルとして階調補正テーブルT4が、各々自動的に選択されて読み出される。
【0109】
その後、ステップ112’では、予め定められた画像を記録するように関係各部を制御することにより、ステップ108によって階調補正部14に出力された階調補正テーブルを用いて階調補正された画像データに基づく画像を記録させる。なお、ここでは、上記予め定められた画像として、矩形形状の黒色の画像を記録することのできる画像データによる、ブラックインクのみを用いた第1黒色画像と、シアンインク、マゼンタインク、及びイエローインクを用いた第2黒色画像(所謂、プロセス・ブラックによる画像)と、により構成された画像(本発明の「テスト画像」に相当。)を適用する。
【0110】
図11には、本ステップ112’の処理によって記録された画像の一例が示されている。同図に示される例では、第1黒色画像B1(ブラックインクのみによる画像)及び第2黒色画像B2(プロセス・ブラックによる画像)が各々1つずつ記録されている。ユーザは、同図に示す画像を参照して、第1黒色画像B1と第2黒色画像B2との色調を比較し、例えば、第2黒色画像B2のほうが第1黒色画像B1より青っぽい場合には、シアンインクの吐出量が他のインクに比較して多い場合であるので、シアンインクの濃度調整値として現設定値より小さな値をユーザ設定画面(図6参照)上で設定し、第2黒色画像B2のほうが第1黒色画像B1より赤っぽい場合には、マゼンタインクの吐出量が他のインクに比較して多い場合であるので、マゼンタインクの濃度調整値として現設定値より小さな値をユーザ設定画面上で設定する。
【0111】
そして、ステップ120’では、階調補正テーブル選択テーブルST2(表2参照)を参照することにより、上記ステップ100’において取得したモード情報、インク吐出量情報及び総吐出ドット数情報と、上記ステップ118で更新されたユーザ設定情報とに基づいて、上記ステップ106’と同様に階調補正テーブルを階調補正パラメータ記憶部20に記憶されている階調補正テーブルから選択して読み出す。
【0112】
例えば、インク吐出量情報により示されるインク吐出量を示す識別子が‘01’で、総吐出ドット数情報により示される総吐出ドット数を示す識別子が‘00’であり、かつ更新されたユーザ設定情報により示される濃度設定値が‘+2’であった場合には、実際に階調補正に用いる階調補正テーブルとして階調補正テーブルT3が選択されて読み出され、同様に、インク吐出量を示す識別子が‘00’ で、総吐出ドット数情報により示される総吐出ドット数を示す識別子が‘10’であり、かつ更新されたユーザ設定情報により示される濃度設定値が‘−1’であった場合には、実際に階調補正に用いる階調補正テーブルとして階調補正テーブルT3が選択されて読み出されることになる。
【0113】
本階調補正パラメータ選択処理によって、ステップ102及びステップ104の処理により、記録ヘッドが交換されたときに、それまでにユーザによって設定されていたユーザ設定情報がリセットされ、当該ユーザ設定情報による階調補正テーブルの調整が無効とされると共に、ステップ110〜ステップ122の処理により、インク吐出量情報と総吐出ドット数情報(及び記録ヘッドが交換されていない場合におけるユーザ設定情報)に基づいて選択された階調補正テーブルがユーザにより設定された濃度調整値を示すユーザ設定情報に応じて調整される。
【0114】
本階調補正パラメータ選択処理のステップ102及びステップ104の処理が本発明の無効手段に、ステップ106’の処理が本発明の導出手段に、ステップ112’の処理が本発明のテスト画像記録手段に、ステップ120’の処理が本発明の調整手段に、各々相当する。
【0115】
以上詳細に説明したように、本実施の形態に係るインクジェット記録装置10Bは、インク吐出量情報及び総吐出ドット数情報の双方に基づいて階調補正テーブルを導出し、導出した階調補正テーブルの調整量を示す濃度調整値を入力し、導出した階調補正テーブルを入力した濃度調整値によって示される調整量に応じて調整しているので、装置の大型化や高コスト化を招くことなく、経時変化による画像の色調の変化を簡易に防止することができる。
【0116】
また、本実施の形態に係るインクジェット記録装置10Bは、複数種類の階調補正テーブルを階調補正パラメータ記憶部20に記憶しておき、インク吐出量情報及び総吐出ドット数情報の双方に応じた最適な階調補正テーブルを階調補正パラメータ記憶部20から読み出すことにより調整前の階調補正テーブルを導出しているので、当該階調補正テーブルを演算により導出する場合に比較して、当該階調補正テーブルを記憶するための階調補正パラメータ記憶部20は必要とするものの、演算負荷を低減することができ、高速に当該階調補正テーブルを導出することができる。
【0117】
また、本実施の形態に係るインクジェット記録装置10Bは、濃度調整値によって示される調整量に応じた調整後の階調補正テーブルを階調補正パラメータ記憶部20から読み出すことにより階調補正テーブルを調整しているので、階調補正テーブルを演算により調整する場合に比較して演算負荷を低減することができ、高速に当該階調補正テーブルを調整することができる。
【0118】
また、本実施の形態に係るインクジェット記録装置10Bは、インク吐出量情報を当該インク吐出量情報により示されるインク吐出量に応じた複数段階の情報とし、総吐出ドット数情報を当該総吐出ドット数情報により示されるインクの総量に応じた複数段階の情報とし、濃度調整値を当該濃度調整値により示される調整量に応じた複数段階の情報とすると共に、階調補正テーブルを、濃度調整値の段階毎に異なる情報とし、かつインク吐出量情報の段階が1段階増加する毎に1つずつずれるように適用し、総吐出ドット数情報の段階が1段階増加する毎に1つずつずれるように適用しているので、階調補正テーブルを記憶するための記憶容量を大幅に削減することができる。
【0119】
また、本実施の形態に係るインクジェット記録装置10Bは、記録ヘッドが交換されたときに階調補正テーブルの調整を無効としているので、記録ヘッドの交換前後における記録画像の色調の変化を低減することができる。
【0120】
また、本実施の形態に係るインクジェット記録装置10Bは、記録ヘッドを、ブラックインク、シアンインク、マゼンタインク、及びイエローインクを吐出可能なものとし、黒色の画像を記録することができる黒色画像情報に基づいて、ブラックインクのみを用いた第1黒色画像と、シアンインク、マゼンタインク、及びイエローインクを用いた第2黒色画像と、を記録画像の色調を確認するためのテスト画像として記録しているので、簡易に階調補正テーブルを調整できる。
【0121】
更に、本実施の形態に係るインクジェット記録装置10Bは、調整後の階調補正テーブルによって補正された黒色画像情報を用いてテスト画像を記録しているので、テスト画像を階調補正テーブルに対する調整が反映されたものとすることができ、この結果として、階調補正テーブルの調整を高精度でかつ短時間に行うことができる。
【0122】
〔第3実施形態〕
上記第1、第2実施形態では、予め記憶しておいた複数の階調補正テーブルから選択することによって階調補正情報を導出する場合の形態について説明したが、本第3実施形態では、上記第1、第2実施形態における階調補正テーブルと同様の出力を得ることのできる関数を導出することにより階調補正情報を導出する場合の形態について説明する。
【0123】
まず、図12を参照して、本第3実施形態に係るインクジェット記録装置10Cの電気系の構成を説明する。なお、図12の図7と同一の構成要素には図7と同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0124】
図12に示すように、本第3実施形態に係るインクジェット記録装置10Cは、階調補正パラメータ選択部26’に代えて階調補正パラメータ生成部28が備えられている点、及び階調補正パラメータ記憶部20が除かれている点のみが上記第2実施形態に係るインクジェット記録装置10Bと異なっている。
【0125】
従って、階調補正パラメータ生成部28にはカウンタ24が接続されており、階調補正パラメータ生成部28はカウンタ24による計数値、すなわち、総吐出ドット数情報を常時参照することができる。
【0126】
また、本実施の形態に係るインクジェット記録装置10Cでも、記録ヘッドの搭載時(交換時)に、当該記録ヘッドの1回(1ドット)当たりのインク吐出量を示すインク吐出量情報をコントロールパネル22に対する操作により入力するようにしている。そして、入力されたインク吐出量情報は階調補正パラメータ生成部28に備えられた不図示の不揮発性のメモリ(バッテリバックアップされたRAMを含む。)に記憶される。
【0127】
また、本実施の形態に係るインクジェット記録装置10Cでも、記録ヘッドの搭載時(交換時)に、記録ヘッドが交換された旨を示す記録ヘッド交換情報が階調補正パラメータ生成部28に備えられたメモリに記憶される点、及び濃度調整機能を働かせるか否かを指示するための不図示の「濃度調整」ボタンが設けられている点は、インクジェット記録装置10Aと同様である。
【0128】
なお、階調補正パラメータ生成部28に備えられた不図示のメモリには、インク吐出量情報により示される値がインク吐出量情報の採り得る値の中心値であり、かつ総吐出ドット数情報により示される値が総吐出ドット数情報の採り得る値の中心値であると共に、ユーザ設定情報により示される値がユーザ設定情報の採り得る値の中心値である場合に対応する階調補正テーブル(表2に示す例では、階調補正テーブルT4)を作成可能な関数(以下、「基準関数」という。)が、印刷モード毎に予め記憶されている。なお、以下では、この基準関数を次の(1)式により表現する。
【0129】
Dout=F(Din) ・・・(1)
ここで、Dinは入力データを、Doutは出力データを、各々示す。
【0130】
階調補正パラメータ生成部28が本発明の導出手段、調整手段、無効手段及びテスト画像記録手段に、コントロールパネル22が本発明の入力手段に、各々相当する。
【0131】
次に、本第3実施形態に係るインクジェット記録装置10Cの作用を説明する。なお、インクジェット記録装置10Cの画像記録時における全体的な動作は上記第1、第2実施形態に係るインクジェット記録装置と同様であるので、ここでの説明は省略し、以下、図13を参照して、本第3実施形態に係る階調補正パラメータ生成部28の作用を説明する。なお、図13は、インクジェット記録装置10Cの不図示の電源スイッチがオン状態とされているときに、所定時間(本実施の形態では、10秒)毎に階調補正パラメータ生成部28で実行される階調補正パラメータ生成処理の流れを示すフローチャートであり、図10と同一の処理を行うステップには図10と同一のステップ番号を付して、その説明を省略する。また、ここでは、ユーザによって印刷モードが設定されており、当該印刷モードを示すモード情報が階調補正パラメータ生成部28に備えられた不図示のメモリに記憶されている場合について説明する。
【0132】
図13のステップ105では、ステップ100’で取得したモード情報、インク吐出量情報、総吐出ドット数情報及びユーザ設定情報と、前述の基準関数とに基づいて、次の(2)式に示すように階調補正関数を導出する。
【0133】
Dout=F(Din)
×{1+0.05×[N+(1−U)+(T−1)]}・・・(2)ここで、F(Din)は取得したモード情報により示される印刷モードに対応する基準関数を、Nは取得したユーザ設定情報を、Uは取得したインク吐出量情報を、Tは取得した総吐出ドット数情報を、各々示す。また、ここでは、取得したインク吐出量情報及び総吐出ドット数情報の各識別子を、‘00’は‘0’に、‘01’は‘1’に、‘10’は‘2’に、各々変換して上記U及びTとして用いる。
【0134】
次のステップ107では、上記ステップ105で導出した階調補正関数を用いて階調補正テーブルを生成する。具体的には、入力データDinを0から255まで1ずつ増加させたときの各出力データDoutを算出し、入力データDinと、対応する出力データDoutとを関連付けたものを階調補正テーブルとする。
【0135】
そして、ステップ119では、ステップ100’で取得したモード情報、インク吐出量情報、総吐出ドット数情報と、ステップ118で更新されたユーザ設定情報と、前述の基準関数とに基づいて、上記(2)式に示すように階調補正関数を導出し、次のステップ121では、上記ステップ119で導出した階調補正関数を用いて上記ステップ107と同様に階調補正テーブルを生成する。上記ステップ119の処理により、一例として図9に示すような階調補正テーブルを生成することのできる階調補正関数を導出することができる。
【0136】
本階調補正パラメータ生成処理によって、ステップ102及びステップ104の処理により、記録ヘッドが交換されたときに、それまでにユーザによって設定されていたユーザ設定情報がリセットされ、当該ユーザ設定情報による階調補正関数の調整が無効とされると共に、ステップ110〜ステップ122の処理により、インク吐出量情報と総吐出ドット数情報(及び記録ヘッドが交換されていない場合におけるユーザ設定情報)に基づいて導出された階調補正関数がユーザにより設定された濃度調整値を示すユーザ設定情報に応じて調整される。
【0137】
本階調補正パラメータ生成処理のステップ102及びステップ104の処理が本発明の無効手段に、ステップ105の処理が本発明の導出手段に、ステップ112’の処理が本発明のテスト画像記録手段に、ステップ119の処理が本発明の調整手段に、各々相当する。
【0138】
以上詳細に説明したように、本実施の形態に係るインクジェット記録装置10Cは、インク吐出量情報及び総吐出ドット数情報の双方に基づいて階調補正関数を導出し、導出した階調補正関数の調整量を示す濃度調整値を入力し、導出した階調補正関数を入力した濃度調整値によって示される調整量に応じて調整しているので、装置の大型化や高コスト化を招くことなく、経時変化による画像の色調の変化を簡易に防止することができる。
【0139】
また、本実施の形態に係るインクジェット記録装置10Cは、演算によって調整前の階調補正関数を導出しているので、複数種類の階調補正テーブルを予め記憶しておく場合に比較して、当該階調補正テーブルを記憶するための記憶容量をなくすることができる。
【0140】
また、本実施の形態に係るインクジェット記録装置10Cは、濃度調整値によって示される調整量に応じた調整後の階調補正関数を演算により得るようにしているので、調整後の階調補正テーブルを複数記憶しておく場合に比較して、当該階調補正テーブルを記憶するための記憶容量をなくすることができる。
【0141】
また、本実施の形態に係るインクジェット記録装置10Cは、記録ヘッドが交換されたときに階調補正関数の調整を無効としているので、記録ヘッドの交換前後における記録画像の色調の変化を低減することができる。
【0142】
また、本実施の形態に係るインクジェット記録装置10Cは、記録ヘッドを、ブラックインク、シアンインク、マゼンタインク、及びイエローインクを吐出可能なものとし、黒色の画像を記録することができる黒色画像情報に基づいて、ブラックインクのみを用いた第1黒色画像と、シアンインク、マゼンタインク、及びイエローインクを用いた第2黒色画像と、を記録画像の色調を確認するためのテスト画像として記録しているので、簡易に階調補正関数を調整できる。
【0143】
更に、本実施の形態に係るインクジェット記録装置10Cは、調整後の階調補正関数に基づいて補正された黒色画像情報を用いてテスト画像を記録しているので、テスト画像を階調補正関数に対する調整が反映されたものとすることができ、この結果として、階調補正関数の調整を高精度でかつ短時間に行うことができる。
【0144】
〔第4実施形態〕
上記第3実施形態では、インク吐出量情報及び総吐出ドット数情報の双方に基づいて階調補正テーブルと同様の出力を得ることのできる関数を導出する場合の形態について説明したが、本第4実施形態では、インク吐出量情報を用いることなく階調補正テーブルと同様の出力を得ることのできる関数を導出する場合の形態について説明する。
【0145】
なお、本第4実施形態に係るインクジェット記録装置の構成は、上記第3実施形態に係るインクジェット記録装置10Cと同様であるので、ここでの説明は省略する。但し、本第4実施形態に係るインクジェット記録装置10Cでは、インク吐出量情報を用いないため、上記第3実施形態では必要とされたインク吐出量情報の入力作業を必要としない。
【0146】
また、本第4実施形態に係る階調補正パラメータ生成部28に備えられた不図示のメモリには、前述の(1)式で示される基準関数に代えて、総吐出ドット数情報により示される値が総吐出ドット数情報の採り得る値の中心値であると共に、ユーザ設定情報により示される値がユーザ設定情報の採り得る値の中心値である場合に対応する階調補正テーブルを作成可能な基準関数が、印刷モード毎に予め記憶されている。なお、以下では、この基準関数を次の(3)式により表現する。
【0147】
Dout=F2(Din) ・・・(3)
ここで、Dinは入力データを、Doutは出力データを、各々示す。
【0148】
次に、本第4実施形態に係るインクジェット記録装置10Cの作用を説明する。なお、インクジェット記録装置10Cの画像記録時における全体的な動作は上記第1〜第3実施形態に係るインクジェット記録装置と同様であるので、ここでの説明は省略し、以下、図14を参照して、本第4実施形態に係る階調補正パラメータ生成部28の作用を説明する。なお、図14は、インクジェット記録装置10Cの不図示の電源スイッチがオン状態とされているときに、所定時間(本実施の形態では、10秒)毎に階調補正パラメータ生成部28で実行される階調補正パラメータ生成処理の流れを示すフローチャートであり、図13と同一の処理を行うステップには図13と同一のステップ番号を付して、その説明を省略する。また、ここでは、ユーザによって印刷モードが設定されており、当該印刷モードを示すモード情報が階調補正パラメータ生成部28に備えられた不図示のメモリに記憶されている場合について説明する。
【0149】
図14のステップ100’’では、上記不図示のメモリからモード情報及びユーザ設定情報を読み出すと共に、カウンタ24の計数値を参照することによって総吐出ドット数情報を取得する。
【0150】
そして、ステップ105’では、ステップ100’’で取得したモード情報、ユーザ設定情報及び総吐出ドット数情報と、(3)式で示される前述の基準関数とに基づいて、次の(4)式に示すように階調補正関数を導出する。
【0151】
Dout=F2(Din)
×{1+0.05×[N+(T−1)]}・・・(4)
ここで、F(Din)は取得したモード情報により示される印刷モードに対応する基準関数を、Nは取得したユーザ設定情報を、Tは取得した総吐出ドット数情報を示す。また、ここでは、取得した総吐出ドット数情報の識別子を、‘00’は‘0’に、‘01’は‘1’に、‘10’は‘2’に、各々変換して上記Tとして用いる。
【0152】
次のステップ107’では、上記ステップ105’で導出した階調補正関数を用いて階調補正テーブルを生成する。具体的には、入力データDinを0から255まで1ずつ増加させたときの各出力データDoutを算出し、入力データDinと、対応する出力データDoutとを関連付けたものを階調補正テーブルとする。
【0153】
そして、ステップ119’では、ステップ100’’で取得したモード情報及び総吐出ドット数情報と、ステップ118で更新されたユーザ設定情報と、前述の基準関数とに基づいて、上記(4)式に示すように階調補正関数を導出し、次のステップ121’では、上記ステップ119’で導出した階調補正関数を用いて上記ステップ107’と同様に階調補正テーブルを生成する。上記ステップ119’の処理により、一例として図15に示すような階調補正テーブルを生成することのできる階調補正関数を導出することができる。
【0154】
本階調補正パラメータ生成処理によって、ステップ102及びステップ104の処理により、記録ヘッドが交換されたときに、それまでにユーザによって設定されていたユーザ設定情報がリセットされ、当該ユーザ設定情報による階調補正関数の調整が無効とされると共に、ステップ110〜ステップ122の処理により、総吐出ドット数情報(及び記録ヘッドが交換されていない場合におけるユーザ設定情報)に基づいて導出された階調補正関数がユーザにより設定された濃度調整値を示すユーザ設定情報に応じて調整される。
【0155】
本階調補正パラメータ生成処理のステップ102及びステップ104の処理が本発明の無効手段に、ステップ105’の処理が本発明の導出手段に、ステップ112’の処理が本発明のテスト画像記録手段に、ステップ119’の処理が本発明の調整手段に、各々相当する。
【0156】
以上詳細に説明したように、本実施の形態に係るインクジェット記録装置10Cは、総吐出ドット数情報に基づいて階調補正関数を導出し、導出した階調補正関数の調整量を示す濃度調整値を入力し、導出した階調補正関数を入力した濃度調整値によって示される調整量に応じて調整しているので、装置の大型化や高コスト化を招くことなく、経時変化による画像の色調の変化を簡易に防止することができる。
【0157】
また、本実施の形態に係るインクジェット記録装置10Cは、演算によって調整前の階調補正関数を導出しているので、複数種類の階調補正テーブルを予め記憶しておく場合に比較して、当該階調補正テーブルを記憶するための記憶容量をなくすることができる。
【0158】
また、本実施の形態に係るインクジェット記録装置10Cは、濃度調整値によって示される調整量に応じた調整後の階調補正関数を演算により得るようにしているので、調整後の階調補正テーブルを複数記憶しておく場合に比較して、当該階調補正テーブルを記憶するための記憶容量をなくすることができる。
【0159】
また、本実施の形態に係るインクジェット記録装置10Cは、記録ヘッドが交換されたときに階調補正関数の調整を無効としているので、記録ヘッドの交換前後における記録画像の色調の変化を低減することができる。
【0160】
また、本実施の形態に係るインクジェット記録装置10Cは、記録ヘッドを、ブラックインク、シアンインク、マゼンタインク、及びイエローインクを吐出可能なものとし、黒色の画像を記録することができる黒色画像情報に基づいて、ブラックインクのみを用いた第1黒色画像と、シアンインク、マゼンタインク、及びイエローインクを用いた第2黒色画像と、を記録画像の色調を確認するためのテスト画像として記録しているので、簡易に階調補正関数を調整できる。
【0161】
更に、本実施の形態に係るインクジェット記録装置10Cは、調整後の階調補正関数によって補正された黒色画像情報を用いてテスト画像を記録しているので、テスト画像を階調補正関数に対する調整が反映されたものとすることができ、この結果として、階調補正関数の調整を高精度でかつ短時間に行うことができる。
【0162】
なお、本実施の形態では、インク吐出量情報を用いることなく階調補正関数を導出して階調補正テーブルを生成する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、インク吐出量情報とは無関係な、一例として図15に示されるような階調補正テーブルと、一例として次の表3に示すような階調補正テーブル選択テーブルとを予め用意しておき、これらのテーブルを利用して前述の第1実施形態に係る階調補正パラメータ選択処理(図5参照)と略同様の処理(ステップ100及びステップ102における‘インク吐出量情報’が‘総吐出ドット数情報’に置き換わる点のみが異なる。)により、実際に階調補正で用いる階調補正テーブルを選択する形態とすることもできる。
【0163】
【表3】
【0164】
この場合は、階調補正テーブルを記憶するための記憶容量が多くなってしまうものの、階調補正関数を用いた場合の演算に要する負荷をなくすることができる。
【0165】
また、上記第1、第2実施形態では、複数種類の階調補正テーブルを予め記憶しておき、これらの中から読み出すことによって調整前後の階調補正テーブルを得る場合について説明し、上記第3、第4実施形態では、演算によって調整前後の階調補正テーブルを得る場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、基準となる複数種類の階調補正テーブルを予め記憶しておき、これらの中から読み出すことによって調整前の階調補正テーブルを得、得られた階調補正テーブルに対する演算によって調整後の階調補正テーブルを得る形態とすることもできる。この場合は、上記第1、第2実施形態に比較して階調補正テーブルを記憶するための記憶容量を低減することができ、上記第3、第4実施形態に比較して、演算負荷を低減することができる。
【0166】
また、上記第3、第4実施形態では、階調補正パラメータ生成部28において階調補正テーブルを導出して階調補正部14に出力する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、階調補正パラメータ生成部28において得られた階調補正関数を階調補正部14に出力し、階調補正部14において当該階調補正関数を用いて階調補正を行う形態とすることもできる。この場合は、上記第3、第4実施形態に比較して、階調補正部14における階調補正時間は増加するものの、階調補正パラメータ生成部28の階調補正テーブルを得るための演算負荷をなくすることができる。
【0167】
また、上記各実施形態では、階調補正情報を調整することで色調変化を抑制する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、これに加えて、例えば、記録ヘッドを駆動するための駆動信号のパルス数、パルス幅、駆動電圧等の調整を行うことにより色調変化を抑制する形態とすることもできる。
この場合は、色調変化の抑制のために用いるパラメータが上記各実施形態に比較して多くなるので、より広範囲でかつ融通性の高い色調調整を行うことができる。
【0168】
また、上記各実施形態では、ユーザ設定情報の段階数を5とし、かつインク吐出量情報及び総吐出ドット数情報の段階数を各々3とした場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各情報とも2以上の何れの段階数でも採り得ることは言うまでもない。
【0169】
また、上記各実施形態では、階調補正パラメータ選択処理ないし階調補正パラメータ生成処理を所定時間毎に繰り返し実行する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各処理とも、例えば、インクジェット記録装置の電源投入時に実行する形態や、「濃度調整」ボタンがオン状態とされたときや記録ヘッドが交換されたとき等の割り込み処理として行う形態等とすることもできる。これらの場合も、上記各実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0170】
更に、上記各実施形態において説明した各処理の流れ(図5、図10、図13、図14参照)は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において適宜変更可能であることは言うまでもない。
【0171】
また、上記第3、第4実施形態で記載した各数式((1)式〜(4)式参照)も一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において適宜変更可能であることは言うまでもない。
【0172】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明に係る画像記録装置によれば、記録ヘッドの1回当たりのインク吐出量を示す吐出量情報及び記録ヘッドから吐出されたインクの総量を示す総吐出量情報の少なくとも一方に基づいて階調補正情報を導出し、導出した階調補正情報の調整量を示す調整情報を入力し、導出した階調補正情報を入力した調整情報によって示される調整量に応じて調整しているので、装置の大型化や高コスト化を招くことなく、経時変化による画像の色調の変化を簡易に防止することができる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の構成を示す機能ブロック図である。
【図2】実施の形態に係るインクジェット記録装置における印刷部の構成例を示す概略斜視図である。
【図3】第1実施形態に係るインクジェット記録装置10Aの電気系の構成を示すブロック図である。
【図4】第1実施形態に係る階調補正パラメータ記憶部20に記憶されている複数の階調補正テーブルを示す模式図である。
【図5】第1実施形態に係るインクジェット記録装置10Aの階調補正パラメータ選択部26で実行される階調補正パラメータ選択処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】階調補正パラメータ選択処理及び階調補正パラメータ生成処理の実行途中でコントロールパネル22の表示部22Aに表示されるユーザ設定画面の一例を示す概略図である。
【図7】第2実施形態に係るインクジェット記録装置10Bの電気系の構成を示すブロック図である。
【図8】記録ヘッドの総吐出ドット数と1回当たりのインク吐出量との関係の一例を示すグラフである。
【図9】第2実施形態に係る階調補正パラメータ記憶部20に記憶されている複数の階調補正テーブルを示す模式図である。
【図10】第2実施形態に係るインクジェット記録装置10Bの階調補正パラメータ選択部26’で実行される階調補正パラメータ選択処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】第2実施形態に係る階調補正パラメータ選択処理の実行途中でインクジェット記録装置10Bにより記録される画像の一例を示す概略図である。
【図12】第3、第4実施形態に係るインクジェット記録装置10Cの電気系の構成を示すブロック図である。
【図13】第3実施形態に係るインクジェット記録装置10Cの階調補正パラメータ生成部28で実行される階調補正パラメータ生成処理の流れを示すフローチャートである。
【図14】第4実施形態に係るインクジェット記録装置10Cの階調補正パラメータ生成部28で実行される階調補正パラメータ生成処理の流れを示すフローチャートである。
【図15】第4実施形態の他の形態例の説明に供する模式図である。
【符号の説明】
10A〜10C インクジェット記録装置
20 階調補正パラメータ記憶部(記憶手段)
22 コントロールパネル(入力手段)
26 階調補正パラメータ選択部(導出手段、調整手段、無効手段)26’ 階調補正パラメータ選択部(導出手段、調整手段、無効手段、テスト画像記録手段)
28 階調補正パラメータ生成部(導出手段、調整手段、無効手段、テスト画像記録手段)
Claims (7)
- 画像記録用のインクを吐出する記録ヘッドを備えると共に、記録する画像を示す画像情報を階調補正情報により階調補正し、補正後の画像情報に基づいて画像を記録する画像記録装置であって、
前記記録ヘッドの1回当たりのインク吐出量を示す吐出量情報及び前記記録ヘッドから吐出されたインクの総量を示す総吐出量情報の少なくとも一方に基づいて前記階調補正情報を導出する導出手段と、
前記導出手段により導出された前記階調補正情報の調整量を示す調整情報を入力する入力手段と、
前記導出手段により導出された前記階調補正情報を前記入力手段により入力された前記調整情報によって示される調整量に応じて調整する調整手段と、
を備えた画像記録装置。 - 複数種類の階調補正情報を記憶した記憶手段を更に備えると共に、
前記導出手段は、前記吐出量情報及び前記総吐出量情報の少なくとも一方に応じた最適な階調補正情報を前記記憶手段から読み出すことにより前記階調補正情報を導出する
請求項1記載の画像記録装置。 - 前記調整手段は、前記入力手段により入力された前記調整情報によって示される調整量に応じた調整後の階調補正情報を前記記憶手段から読み出すことにより前記階調補正情報を調整する
請求項2記載の画像記録装置。 - 前記吐出量情報を当該吐出量情報により示されるインク吐出量に応じた複数段階の情報とし、前記総吐出量情報を当該総吐出量情報により示されるインクの総量に応じた複数段階の情報とし、前記入力手段により入力される前記調整情報を当該調整情報により示される調整量に応じた複数段階の情報とすると共に、
前記階調補正情報を、前記調整情報の段階毎に異なる情報とし、かつ前記導出手段において前記吐出量情報を用いる場合は当該吐出量情報の段階が1段階増加する毎に1つずつずれるように適用し、前記導出手段において前記総吐出量情報を用いる場合は当該総吐出量情報の段階が1段階増加する毎に1つずつずれるように適用する
ことを特徴とする請求項3記載の画像記録装置。 - 前記記録ヘッドが交換されたときに前記調整手段による前記階調補正情報の調整を無効とする無効手段
を更に備えた請求項1乃至請求項4の何れか1項記載の画像記録装置。 - 前記記録ヘッドを、ブラックインク、シアンインク、マゼンタインク、及びイエローインクを吐出可能なものとし、
黒色の画像を記録することができる黒色画像情報に基づいて、前記ブラックインクのみを用いた第1黒色画像と、前記シアンインク、前記マゼンタインク、及び前記イエローインクを用いた第2黒色画像と、を記録画像の色調を確認するためのテスト画像として記録するテスト画像記録手段
を更に備えた請求項1乃至請求項5の何れか1項記載の画像記録装置。 - 前記テスト画像記録手段は、前記調整手段により調整された階調補正情報によって補正された前記黒色画像情報を用いて前記テスト画像を記録する
請求項6記載の画像記録装置。
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