JP2004034297A - インクジェット記録装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】異なる量のインク滴を吐出させて複数のサイズのドットを選択的に形成可能なインクジェット記録装置において、ムラを低減して高品位な画像形成を実現する。
【解決手段】各記録走査において形成されるドット面積に大きな偏りが生じないように複数サイズのドットの生成・配置を行う。
【選択図】 図1
【解決手段】各記録走査において形成されるドット面積に大きな偏りが生じないように複数サイズのドットの生成・配置を行う。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、記録媒体に異なる複数のドット径のインクを吐出して画像を形成するインクジェット記録装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、パーソナル・コンピュータや複写装置、ワード・プロセッサ等のOA機器が広く普及しており、これらの機器の画像形成(記録)装置の一種としてインクジェット方式によりディジタル画像記録を行う装置が急速に発展、普及している。特にOA機器の高機能化とともにカラー化が進んでおり、これに伴なって様々なカラー・インクジェット記録装置が開発されてきている。
【0003】
一般にインクジェット記録装置は、記録手段(プリント・ヘッド)およびインクタンクを搭載するキャリッジと、記録紙を搬送する搬送手段と、これらを制御する制御手段とを具備する。そして複数の吐出口からインク液滴を吐出させるプリント・ヘッドを記録紙の搬送方向(副走査方向)と直行する方向(主走査方向)にシリアル・スキャンさせ、一方で非記録時に記録幅に等しい量で間欠搬送するものである。さらには、カラー対応のインクジェット記録装置の場合、複数色のプリント・ヘッドにより吐出されるインク液滴の重ねあわせによるカラー画像を形成する。
【0004】
この記録方法は、記録信号に応じてインクを微少な液滴として吐出口(ノズル)から記録媒体上に吐出しすることにより文字や図形などの記録を行うものであり、ノンインパクトであるため騒音が少ないこと、ランニング・コストが低いこと、装置が小型化しやすいこと、およびカラー化が比較的容易であること、などの利点を有していることから、コンピューターやワードプロセッサー等と併用され、あるいは単独で使用される複写機、プリンター、ファクシミリ等の記録装置において、画像形成(記録)手段として広く用いられている。
【0005】
インクジェット記録装置においてインクを吐出させる方法としては、▲1▼吐出口近傍に発熱素子(電気/熱エネルギー変換体)を設け、この発熱素子に電気信号を印可することによりインクを局所的に加熱して圧力変化を起こさせ、インクを吐出口から吐出させるサーマル方式と、▲2▼ピエゾ素子等の電気/圧力変換手段を用い、インクに機械的圧力を付与してインクを吐出するピエゾ方式、などが用いられている。一般に、前者のサーマル方式は、ノズルの高密度化・多ノズル化が容易であるといった特徴がある。一方、後者のピエゾ方式は、吐出制御性に優れ、またインクの自由度が高く、ヘッド寿命が半永久的であるといった特徴がある。
【0006】
図16はインクジェット記録装置の全体制御回路の概略構成を示すブロック図である。
【0007】
マイクロプロセッサ形態のCPU601はインタフェース605を介してホスト624に接続されており、制御プログラムを格納したROM602や更新可能な制御プログラムや処理プログラムや各種定数データなどを格納したEEPROM603、及びホスト624からインタフェース605を介して受信したコマンド信号や記録情報を格納するためのRAM604にアクセスし、これらのメモリに格納された情報に基づいて記録動作を制御する。さらにCPU601は、出力ポート608及びキャリッジモータ制御回路610を介してキャリッジモータ611を動作させることによりキャリッジ620を移動させたり、出力ポート608及び紙送りモータ制御回路613を介して紙送りモータ614を動作させることにより搬送ローラなどの紙搬送機構612を動作させる。さらにCPU601は、RAM604に格納されている記録情報に基づきプリント・ヘッド制御回路621を介してプリント・ヘッド622を駆動することにより記録媒体上に所望の画像を記録することができる。また、電源回路619からは、CPU601やプリント・ヘッド制御回路621を動作させるためのロジック駆動電圧Vcc(たとえば5V)、各種モータ駆動電圧Vm(たとえば24V)、プリント・ヘッド622を駆動させるための電圧Vh(たとえば30V)、等が出力される。さらに操作キー607から入力される指示情報は入力ポート606を介してCPU601に伝達され、CPU601からの命令は出力ポート609を介してLED制御回路615に伝えられるとLEDが点灯したり、表示制御回路617に伝えられるとLCD618にメッセージが表示される。623は上述した種種の構成要素を互いに接続するCPUバスである。
【0008】
従来のインクジェット記録方法においては、インクのにじみのない高発色のカラー画像を得るためにはインク吸収層を有する専用コート紙を使用する必要があったが、近年はインクの改良等によりプリンタや複写機等で大量に使用される普通紙への印字適性を持たせた方法も実用化されている。さらにはOHPシートや布、プラスチック・シート等の様々な記録媒体への対応が望まれており、こうした要求に応えるため、インクの吸収特性が異なる記録媒体(記録メディア)を必要に応じて選択した際に記録媒体の種類に係わりなく最良の記録が可能な記録装置の開発および製品化が進められている。また記録媒体の大きさについても、宣伝広告用のポスタや衣類等の織布では大サイズのものが要求されてきている。このようなインクジェット記録装置は、優れた記録手段として幅広い産業分野で需要が高まっており、より一層高品位な画像の提供が求められ、また更なる高速化への要求も一段と高まっていると言える。
【0009】
一般に、カラー・インクジェット記録方法は、シアン(Cy),マゼンタ(Mg),イエロー(Ye)の3色のカラー・インクを使用し、また、さらにはブラック(Bk)を加えた4色のインクを使用してカラー記録を実現する。このようなカラー・インクジェット記録装置においては、キャラクタのみ印字するモノクロ・インクジェット記録装置と異なり、カラー・イメージ画像を記録するにあたっては、発色性や階調性、一様性など、様々な要素が必要となる。
【0010】
しかし、記録される画像の品位はプリント・ヘッド単体の性能に依存するところが大きい。例えばサーマル方式においては、プリント・ヘッドの吐出口の形状や電気/熱変換体(吐出ヒータ)のばらつき等のプリント・ヘッド製作工程時に生じるノズル毎の僅かな違いがそれぞれに吐出されるインクの吐出量や吐出方向の向きに影響を及ぼし、最終的に形成される記録画像の濃度ムラとして画像品位を劣化させる原因となる。その結果として、ヘッド主走査方向に対して周期的にエリア・ファクタ100%を満たせない“白”の部分が存在したり、逆に必要以上にドットが重なり合ったり、あるいは白筋が発生したりすることとなる。これらの現象が通常人間の目で濃度ムラとして感知される。
【0011】
そこで、これらの濃度ムラ対策としてマルチパス記録法と呼ばれる方式が提案されている。ここでは、簡単のために12ノズルからなる単一インク色ヘッドを用いた場合を例に挙げて説明する。記録の様子を図13に示す。
【0012】
第1走査において偶数列パターン●を記録し、記録幅の半分(6ドット幅)だけ紙送りを行った後、第2考査において奇数列パターン○を記録することにより記録を完成する。すなわち、順次6ドット単位の紙送りと偶数列/奇数列パターンの記録を交互に行うことにより、6ドット単位の記録領域を1スキャン毎に完成させていく。このようにして、一つのラインを異なる二つのノズルを用いて記録することにより、濃度ムラを抑えた高品位な画像を形成することができる。また、マルチパス記録法は、インクを乾かしながら記録していくことによりブリーディング(にじみ)を抑えるといった効果や、走査毎の記録ドットを低減することから吐出不良の原因となるプリント・ヘッドの昇温を抑制する効果、なども同時に達成できる。ここでは主走査方向について説明したが、副走査方向に対して連続するドットを間引いて記録することにより、更なる高画質化が可能になる。
【0013】
また、インクジェット記録においては、1ドットでアナログ的な階調表現は実現できない。そこで単位面積あたりに複数のドットを最適に配置して多彩な色表現を作り出している。しかしながらインクの溢れなどを引き起こさずに単位面積あたりに打てるインク量には制限がある。記録メディアによって大きく異なるが、300dpi×300dpiあたりに打ち込めるインク総量はせいぜい200pl程度である。さらに、記録ドット径を変えずに単純に階調を上げると実質的な解像度は低下してしまう。
【0014】
画素の分解能を高めればより細やかに階調表現を行うことができる。より小さいドットが吐出できれば単位面積で表現できる色のバリエーションが増えるので画質面で有利になる。さらに小ドット化は粒状感の低減といった効果ももたらす。現状では3pl以下の吐出制御も実現可能になってきている。したがって、吐出インク滴の量を少なくして記録ドット径を小さくすることにより、階調性に優れ、低濃度領域での粒状性が目立たない、高品位な画像形成が可能になる。
【0015】
しかしながら、小さなドットでは1ドットで塗りつぶせる面積が小さくなるので、高い濃度を表現するためには従来よりもより多くのドットを打ち込む必要があり、結果として記録時間が長くなってしまうという弊害が生じる。一般に、ドット径を半分にした小径なドットを用いる場合は4倍の記録時間を必要とする。記録時間の低下を防ぐためには、インク滴を吐出する駆動周波数を4倍に高めるか、あるいはノズル数を4倍にすることなどが考えられるが、何れも容易ではない。
【0016】
これを回避する手法の一つとして、複数サイズのドットを用いる方式が提案されている。同一のノズルから異なる複数のサイズのドットを打ち分けることにより、高濃度領域で多くの小ドットを打ち込む代わりに大ドットを打ち込むことで記録速度を高めることができる。同時に低濃度領域では小ドットを使用することで粒状感が低減され、また階調性を高められるため、高速で高品位な画像形成を実現することができる。
【0017】
サーマル・インクジェット方式では、大小複数のヒータを備え、作動するヒータの数又は種類により発生する気泡の大きさを変化させ、インク吐出量を制御することができる。また、ピエゾ・インクジェット方式においては、素子に与える駆動電圧を制御してインクの押し出し(圧力)を細かく制御することにより吐出量を変化させることができる。現状では両方式ともに3種程度のドット径(吐出インク滴量)を使い分けられるものが製品化されている。
【0018】
ピエゾ・インクジェット方式における可変インク吐出量制御について簡単に説明する。ピエゾ・インクジェット方式は、駆動信号の制御により能動的なメニスカス制御が可能であるために非常に吐出制御性に優れており、比較的容易に小ドットから大ドットまで幅広いレンジの複数サイズのドットを安定的に吐出させる(打ち分ける)ことが可能である。さらには、吐出インク滴の飛翔速度の制御までも可能であることも大きな利点であると言える。ピエゾ・インクジェット方式におけるドットサイズ変更のための駆動波形選択制御は大きく分けて以下の2方式に分類できる。一つは「時分割パルス印加方式」であり、異なるインク滴量を吐出させる複数の駆動パルス(例えば大ドット用パルスと小ドット用パルス)を一記録周期内に連続して生成・入力し、これらに対して独立にON/OFFを制御するものである。この方式では、小ドット用パルスや大ドット用パルスのみをONして大ドットや小ドットを形成するだけでなく、ともにONすることによって特大ドットを得ることもできる。もう一方は「パルス切替え方式」であり、異なるインク滴量を吐出させる複数の駆動パルス(例えば大ドット用パルスと小ドット用パルス)を同時に生成・入力し、データに応じて切り替えて使用するものである。
【0019】
図14は、それぞれ大ドット・小ドットの吐出を実現する駆動波形を時分割に挿入した「時分割パルス印加方式」の一例である。「時分割パルス印加方式」においては、単位印刷周期内に大ドット用パルスと小ドット用パルスと備える。大ドット波形による大インク滴の飛翔速度に対して、小ドット波形による小インク滴の飛翔速度を相対的に大きくなるよう制御する。これにより、異なるタイミングで駆動される小ドットと大ドットの紙面上における着弾位置のずれを回避、あるいは抑制できる。さらには、大ドット波形のみをONして大ドットを形成し、小ドット波形のみをONして小ドットを形成するだけでなく、大ドット波形と小ドット波形を共にONして極大ドットを得ることも可能である。図15は、それぞれ大ドット・小ドットの吐出を実現する駆動波形を同時生成して切り替える「パルス切替え方式」の一例である。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
先に述べたマルチパス記録においては、各記録走査において生成されるドット数に著しい偏りがあると紙搬送幅相当毎のムラが生じる場合がある。図19及び図20を参照しながら、この現象について簡単に説明する。
【0021】
図19は、偶数列を形成する走査と奇数列を形成する走査を交互に繰り返して2パス記録を行う例(図13)において、画像データの二値化結果として偶数列が奇数列に対して著しく多くドットが生成・配置された場合を示した図である。すなわち、紙搬送幅毎に偶数列,奇数列の順に形成される領域と奇数列,偶数列の順に形成される領域とが交互に存在しており、換言すれば、紙搬送幅毎に低dutyのドット形成,高dutyのドット形成の順に実行される領域と高dutyのドット形成,低dutyのドット形成の順に実行される領域とが交互に存在することになる。
【0022】
ここで、図20は、先に着弾したドットと隣接させて次のドットを比較的短い時間間隔で打ち込んだ場合の記録紙に対するインクの浸透、定着の様子を示す模式的断面図である。一般には、後から打ち込んたインク滴は、紙面に垂直な方向と紙面に沿った方向には浸透するが、先に着弾したインク滴が浸透している領域にはあまり浸透定着しない。後から打ち込んだインク滴は、先に打ち込んだインク滴が浸透した領域のさらに下方へ浸透・定着することになる。この現象に対して、高dutyのドット形成が先行する場合と低dutyのドット形成が先行する場合とでは、2回の記録走査によるインクの浸透・定着の様子が異なることになる。その結果、紙搬送幅毎に濃度ムラが発生してしまい、画品位を大きく損なうといった問題がある。さらに、色毎に走査間の振り分け比率が異なると、色目の差を引き起こしさらに画品位を劣化させることとなる。
【0023】
これを回避するためには、マルチパス記録での各走査へのドットの割当てを均等にすることが必要である。図14を例に挙げると、偶数列と奇数列に同等数のドットが存在するようにドットの生成・配置を実行することで解決できる。
【0024】
しかしながら、先に述べたようなマルチサイズのドット形成、すなわち、異なる量のインク滴を吐出させて複数種類の径のドットを用いて画像形成を実現する場合においては、各走査に対するドット数の割当てを均等にすることでは解決できない。このことを図12及び図13を用いて説明する。
【0025】
ここでは、多値誤差拡散処理によって24値の中間データ(300×300dpi)を得て、これを4×4のマトリクス・テーブルを用いて展開する(1200×1200dpi)ことにより、大小の2種のドット生成・配置を決定する方式を例に説明する。図17はマトリクス・テーブルの一例であり、中間データである階調値が0,1,2,16,18に対応するマトリクス・テーブルを示すものである。階調値16でのドット形成に着目すると、2回の記録走査に対して、偶数列を記録する走査では小7個の合計8個のドットを形成し、奇数列を記録する走査では、大1個+小6個のドットを形成する。ドット数は2回の記録走査で共に7個で均等である。
【0026】
しかしながら、結果として形成されるドット面積が大きく異なるため、結果として、紙搬送幅相当のムラが回避できない。階調値18の場合も同様であり、ドット数の合計は共に7個と差がないものの、そのドット形成面積は2回の記録走査の間で大きな開きがあるため、偶数列の形成が先行する領域と奇数列の形成が先行する領域とで濃度ムラを引き起こしてしまう。図18a及び図18bは2つの記録走査へのドットの振り分けの様子を示している。
【0027】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、複数種のサイズのドットを効率よく各走査に振り分けて、濃度ムラのない、高品位な画像形成を可能にする優れたインクジェット記録装置を提供することにある。
【0028】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明に係る第一の発明によるインクジェット記録装置は、以下の構成からなる。
【0029】
すなわち、異なる量のインク滴を選択的に吐出可能な複数の吐出部を有するプリント・ヘッドを記録媒体上の同一領域に対して複数回走査させ、入力された画像情報に基づいて記録媒体上にインク滴を吐出して画素を形成するインクジェット記録装置において、前記同一領域に対する複数回の走査間において吐出インク滴により形成される画素の総面積又は濃度が概ね均等になるよう画像形成がなされる、ことを特徴とする。これにより、各走査において形成される画素面積(濃度)の大きな偏りを回避することが可能になる。
【0030】
更に、本発明に係る第二の発明によるインクジェット記録装置は以下の構成からなる。
【0031】
すなわち、第一の発明によるインクジェット記録装置において、前記複数回の走査間において吐出インク滴により形成される画素の総面積又は濃度が概ね均等になるよう制御するデータ生成制御手段と、前記データ生成制御手段による制御に従い、前記入力画像情報に基づいて複数の異なる量のインク滴の吐出可否を選択制御するための画像形成データを生成出力するデータ生成手段と、各走査においては限定された所定座標の画素に対して前記データ生成手段出力である画像形成データに従いプリント・ヘッドを駆動制御する駆動制御手段と、を備えることを特徴とする。これにより、各走査において形成される画素面積(濃度)の大きな偏りを回避するよう、ドットの生成・配置処理を行うことが可能になる。
【0032】
更に、本発明に係る第三の発明によるインクジェット記録装置は以下の構成からなる。
【0033】
すなわち、第一又は第二の発明によるインクジェット記録装置において、各走査においては、前記プリント・ヘッド走査方向の画素を間引いて形成する、ことを特徴とする。これにより、主走査方向に画素を間引く各走査において形成される画素面積(濃度)の大きな偏りを回避することが可能になる。
【0034】
更に、本発明に係る第四の発明によるインクジェット記録装置は以下の構成からなる。
【0035】
すなわち、第一又は第二の発明によるインクジェット記録装置において、各走査においては、前記プリント・ヘッド走査と直行する方向の画素を間引いて形成する、ことを特徴とする。これにより、副走査方向に画素を間引く各走査において形成される画素面積(濃度)の大きな偏りを回避することが可能になる。
【0036】
更に、本発明に係る第五の発明によるインクジェット記録装置は以下の構成からなる。
【0037】
すなわち、第一から第四の発明によるインクジェット記録装置において、前記プリント・ヘッドは、熱エネルギーを用いて前記インクに状態変化を生起させることによりインク滴を吐出する、ことを特徴とする。これにより、サーマル方式のプリント・ヘッドを備えたインクジェット記録装置に適用することが可能になる。
【0038】
更に、本発明に係る第六の発明によるインクジェット記録装置は以下の構成からなる。
【0039】
すなわち、第一から第四の発明によるインクジェット記録装置において、前記プリント・ヘッドは、圧力発生素子を作動させることによりインク滴を吐出する、ことを特徴とする。これにより、ピエゾ方式のプリント・ヘッドを備えたインクジェット記録装置に適用することが可能になる。
【0040】
【発明の実施の形態】
(実施形態1)
以下、図面を参照して本発明の第一の実施形態を詳細に説明する。
【0041】
図3は本発明によるインクジェット記録装置の記録部の構成を示したものである。
【0042】
301はプリント・ヘッドであり、4色(Bk,Cy,Mg,Ye)のカラー・インクがそれぞれ封入されたインク・タンクと、それぞれに対応した4つのヘッドが一体化したマルチヘッドとにより構成されている。302はプリント・ヘッド301を支持し、記録とともにこれらを移動させるキャリッジである。キャリッジ302は非記録状態などの待機時には図のホーム・ポジション位置HPにある。303は紙送りローラであり、補助ローラ304とともに記録紙306を抑えながら図の夫印の方向に回転し、記録紙306をY方向に随時送っていく。また305は給紙ローラであり、記録紙306の給紙を行うとともに、紙送りローラ303及び補助ローラ304と同様に記録紙306を抑える役割を果たす。ここで、プリント・ヘッド301は、Bk,Cy,Mg,Yeの4色について紙送り方向に配置された64個のノズルをそれぞれ有している。
【0043】
以上の構成における基本的な記録動作について説明する。
【0044】
待機時にホーム・ポジション位置HPにあるキャリッジ302は記録開始命令により×方向に移動しながらプリント・ヘッド301の複数のノズルにより記録データに従い記録紙306上にインクを吐出し記録を行う。記録紙306端部まで記録データの記録が終了するとキャリッジは元のホーム・ポジション位置に戻る。紙送りローラ304が夫印方向へ回転することによりY方向へ所定幅だけ紙送りし、再びX方向への記録を開始する。このようなスキャン動作と紙送り動作との繰り返しによりデータ記録を実現する。
【0045】
なお、図示していないが、本実施形態のインクジェット記録装置内には、記録及び画像処理を制御・実行するCPU,ROM,RAM,専用回路より構成される制御部、外部のホスト・コンピュータ等との間で画像情報や各種制御情報をやりとりするためのインタフェース部、キャリッジ駆動用のキャリッジ・モータ、給紙ローラ駆動用の給紙モータ、紙搬送駆動用の紙搬送モータなどを駆動するためのモータ・ドライバ、プリント・ヘッドを駆動するためのプリント・ヘッド駆動用のドライバ、ユーザによる制御情報を入力する操作パネル、などを備えている。
【0046】
本実施形態におけるインクジェット記録装置はサーマル・インクジェット方式を採用している。図5は、プリント・ヘッドのヒータ近傍の模式図である。501及び502は互いに異なる発熱量の小ヒータと大ヒータである。ここでは、上下方向および水平方向に互いに位置をずらして配置している。503はインク・リザーバと接続するインク供給流路であり、504はノズル流路である。プリント・ヘッドが有するノズル数は16ノズルであり、ノズルピッチは1200dpiであるものとする。
【0047】
より吐出口に近い小ヒータ501のみを発熱駆動した場合にドットAを形成するのに相当する量のインク滴を吐出し、小ヒータ501と大ヒータ502とを同時に発熱駆動することによりドットBを形成するだけの量のインク滴を吐出する。単一の記録走査における各座標位置では、小ヒータ501駆動による小ドットA形成または小ヒータ501及び大ヒータ502駆動による大ドットB形成を選択的に実行することができる。ここで、単位記録周期は紙面上で600dpiに相当し、これは主走査方向の記録解像度の1/2に等しい。
【0048】
また、本実施形態におけるインクジェット記録装置は、同一記録領域を複数回走査させて画像を形成するマルチパス記録方式を採用している。先に述べたとおり、マルチパス記録は、一つのラインを複数のノズルを用いて画像を形成することにより、ノズル毎のインクの吐出量や吐出方向の微少な違いによる濃度ムラを抑え、同時にパス毎の記録dutyを低減してインク滲みなどによる画品位の劣化を防ぐ記録方式である。本実施形態では2パス記録を例に挙げて説明する。記録解像度は主走査方向1200dpi×副走査方向1200dpiである。2種の記録走査E及び記録走査Oを交互に実行することにより画像形成を完了する。走査間にはヘッド幅の1/2である8ノズル幅に相当する紙搬送を行う。記録走査Eでは主走査方向に偶数番目の画素、すなわち偶数画素列のみを記録する。一方、記録走査Oでは主走査方向に奇数番目の画素、すなわち奇数画素列のみを記録する。この記録走査の様子を図6に示す。
【0049】
次に大ドット及び小ドット記録データの生成処理について説明する。本実施形態においては、ドット・データの生成処理はホストPC側で実行されてインクジェット記録装置側へ転送処理される。図4はホストPCにおけるドット・データ生成処理を説明するための概略ブロック図である。ここでは簡単のため単色データについて示す。
【0050】
401は多値誤差拡散処理部であり、入力される8bit(256値)の画像データに対して誤差拡散法による24値化処理を実行して中間データを出力する。ここで、入力画像データの解像度は300dpi×300dpiである。402はテーブル格納部であり、多値誤差拡散処理部401出力に対応する24値の各々に対応する24個のテーブルを格納している。403はドット展開部であり、多値誤差拡散処理部401出力をテーブル格納部402に格納されたマトリクス・テーブルを用いてドット・データに展開する。ドット・データは2bit(3値)データであり、2は大ドット形成を示し、1は小ドット形成を示し、0はどちらのドットも形成しないことを意味する。解像度は1200dpi×1200dpiである。
【0051】
図2はテーブル格納部402に格納されているマトリクス・テーブルの一例を示すものである。多値誤差拡散処理部401で生成された中間データの階調値0,1,2,16,18にそれぞれ対応するマトリクス・テーブルである。マトリクス・テーブルの詳細な特徴は後述する。
【0052】
ホストPC側で生成されたドット・データはインクジェット記録装置側へ転送処理される。図7はインクジェット記録装置内のメモリ制御ブロックを示す概略ブロック図である。
【0053】
701は位置検出部であり、プリント・ヘッドを搭載するキャリッジの位置を検出する。702はメモリ部であり、図外より入力されたドット・データを一時格納する。703は入力制御部であり、メモリ部702への記録データの書き込み処理を行う。704は出力制御部であり、位置検出部701によるプリント・ヘッドの記録紙面上の検出位置に基づき画像データの読みだし処理を行う。710は制御部であり、各部の状態を監視するとともに図内,図外からの制御信号に応答して各種制御を行う。
【0054】
ホストPCから転送された画素あたり3値のドット・データは、入力制御部403を介してメモリ部702へ一時格納する。ドット・データは解像度1200dpi×1200dpiの2bitデータであり、2は大ドット形成を示し、1は小ドット形成を示し、0はどちらのドットも形成しないことを意味する。各記録走査では、出力制御部704によって、メモリ部702に格納されたドット・データが位置検出部701によるプリント・ヘッドの記録紙面上の主走査方向の検出位置に基づき出力される。主走査方向の列座標毎にノズル数分のデータを読み出す。記録走査Eでは偶数列データのみ、記録走査Oでは奇数列データのみを出力して、図外のプリント・ヘッド制御ブロックへ送出する。
【0055】
図1aは、図2にマトリクス・テーブルを示した階調値16に対する2つの記録走査へのドットの振り分けの様子を示している。図1bは、図2にマトリクス・テーブルを示した階調値18に対する2つの記録走査へのドットの振り分けの様子を示している。
【0056】
図1aは階調値16において記録走査Eに振り分けられるドット・マトリクスを示している。記録走査Eで形成されるドットは小8個であり、記録走査Oで形成されるドットは大1個+小5個であり、記録走査間で均等ではないものの、形成されるドット面積の差は比較的小さく抑えられている。また、図1bは階調値18において記録走査Oに振り分けられるドット・マトリクスを示している。記録走査Eで形成されるドットは大1個+小7個であり、記録走査Oで形成されるドットは大1個+小6個であり、記録走査間で均等ではないものの、形成されるドット面積の差は比較的小さく抑えられている。このようにして、各走査で形成されるドットの面積の差を最小限に抑えて大きな偏りが生じないように異なるサイズのドットの生成・配置を制御する。これにより、紙搬送領域毎の複数記録走査に対する記録比率構成が崩れることによる濃度ムラ、すなわち、2パス記録において先行走査で低比率、後続走査で高比率を形成する領域と、逆に先行走査で高比率、後続走査で低比率を形成する領域との間の濃度差に起因するムラ、を抑えることが可能になる。また、ノズル毎の吐出特性のばらつきなどの平均化にも寄与するため、効率よいマルチパス記録が実現される。
【0057】
なお、ここでは、ホストPC側で生成されドット・データのうち主走査方向の全ての列データをラスタスキャンして一度に転送し、インクジェット記録装置側で記録走査E又は記録走査Oに応じて偶数列又は奇数列のみを読み出す構成を説明したが、記録走査中に次回の記録走査に必要なだけの列データをホストPCより転送するものであってもよい。
【0058】
以上詳細に説明したとおり、異なる量のインク滴を吐出させて複数のサイズのドットを選択的に形成可能であって同一領域を複数回走査させてマルチパス記録を行うインクジェット記録装置において、同一領域に対する複数回の記録走査によって形成されるドット面積(濃度)に大きな偏りがないように異なるサイズのドットの生成・配置を行うことにより、階調性が高く濃度ムラのない高品位な画像形成を可能にする優れたインクジェット記録装置が実現できる。
【0059】
(実施形態2)
上記第1の実施形態においては、偶数列のみを形成する記録走査と奇数列のみを形成する記録走査とを交互に実行して2パス記録を行うインクジェット記録装置について詳細に説明した。間引きにより各走査で形成される画素位置や記録パス数はこれに限定するものではない。第2の実施形態においては、主走査方向ではなく副走査方向の間引きを行い、偶数行のみを形成する記録走査と奇数行のみを形成する記録走査とを交互に実行するインクジェット記録装置について説明する。
【0060】
また、上記第1の実施形態においては、吐出口近傍に設けた発熱素子に電気信号を印加することによりインクを局所的に加熱して圧力変化を起こさせ、インクを吐出させるサーマル方式のインクジェット記録装置について説明した。本実施形態においては、入力される駆動電圧波形に応じて伸縮する振動子により発生する圧力によってインク滴を吐出するピエゾ方式のインクジェット記録装置について説明する。
【0061】
以下、図面を参照しながら第2の実施形態について詳細に説明する。装置全体の基本構成は第1の実施形態と同様である。記録解像度も第1の実施形態同様に主走査方向1200dpi×副走査方向1200dpiである。
【0062】
図10は、プリント・ヘッドの圧力発生室近傍の模式図である。1001は圧電振動子であり、1002は圧電振動子の変位を受ける振動板であり、1003は圧力室であり、1004はインク・リザーバと接続するインク供給流路であり、1005はノズル流路である。プリント・ヘッドが有するノズル数は15ノズルであり、ノズルピッチは第1の実施形態におけるプリント・ヘッドノズルピッチの1/2である600dpiとする。
【0063】
プリント・ヘッドの駆動波形について簡単に説明する。図11は本実施形態において使用される駆動電圧波形信号である。単位記録周期に連続した2つの波形成分である波形Aと波形Bで構成されており、2種のサイズのドットが選択形成可能である。波形AのみをONすることにより小ドットAが得られ、波形Aと波形Bを共にONすることにより大ドットBを得ることができる。ここで、単位記録周期は紙面上で1200dpiに相当し、これは主走査方向の記録解像度に等しい。
【0064】
また、本実施形態におけるインクジェット記録装置は、同一記録領域を複数回走査させて画像を形成する。本実施形態では、記録解像度1200dpi×1200dpiに対してプリント・ヘッドのノズル解像度が600dpiであるため1度の走査で全ての行を形成することはできない。このため、2種の記録走査E及び記録走査Oを交互に実行することにより画像形成を完了する。走査間には15画素幅に相当する紙搬送を行う。記録走査Eでは偶数番目のラインの画素、すなわち偶数行のみを記録する。一方、記録走査Oでは奇数番目のラインの画素、すなわち奇数行のみを記録する。この記録走査の様子を図12に示す。
【0065】
次に大ドット及び小ドット記録データの生成処理について説明する。第1の実施形態においてはホストPC側でドット生成・配置処理を行いドット・データをインクジェット記録装置側へ転送する場合を例に説明したが、本実施形態においては、このドット・データ生成処理も含めてインクジェット記録装置内で実行される。なお、ドット生成・配置め手法は第1の実施形態と同様であり、多値誤差拡散処理によって24値の中間データを生成した後に、4×4のマトリクス・テーブルを用いて記録解像度1200dpi×1200dpiの3値データに展開するものである。
【0066】
図9はマトリクス・テーブルの一例を示すものである。中間データの階調値0,1,2,16,18にそれぞれ対応するマトリクス・テーブルである。
【0067】
図8aは、図9にマトリクス・テーブルを示した階調値16に対する2つの記録走査へのドットの振り分けの様子を示している。図8bは、図9にマトリクス・テーブルを示した階調値18に対する2つの記録走査へのドットの振り分けの様子を示している。
【0068】
図8aは階調値16において記録走査Eに振り分けられるドット・マトリクスを示している。記録走査Eで形成されるドットは小8個であり、記録走査Oで形成されるドットは大1個+小5個であり、記録走査間で均等ではないものの、形成されるドット面積の差は比較的小さく抑えられている。また、図8bは階調値18において記録走査Oに振り分けられるドット・マトリクスを示している。記録走査Eで形成されるドットは大1個+小7個であり、記録走査Oで形成されるドットは大1個+小6個であり、記録走査間で均等ではないものの、形成されるドット面積の差は比較的小さく抑えられている。このようにして、各走査で形成されるドットの面積の差を最小限に抑えて大きな偏りが生じないように異なるサイズのドットの生成・配置を制御する。これにより、紙搬送領域毎の複数記録走査に対する記録比率構成が崩れることによる濃度ムラ、すなわち、2パス記録において先行走査で低比率、後続走査で高比率を形成する領域と、逆に先行走査で高比率、後続走査で低比率を形成する領域との間の濃度差に起因するムラ、を抑えることが可能になる。
【0069】
以上詳細に説明したとおり、異なる量のインク滴を吐出させて複数のサイズのドットを選択的に形成可能であって同一領域を複数回走査させてマルチパス記録を行うインクジェット記録装置において、同一領域に対する複数回の記録走査によって形成されるドット面積(濃度)に大きな偏りがないように異なるサイズのドットの生成・配置を行うことにより、階調性が高く濃度ムラのない高品位な画像形成を可能にする優れたインクジェット記録装置が実現できる。
【0070】
(その他の実施形態)
上記第1の実施形態においては、各記録走査において主走査方向の画素列を間引いて形成する場合について説明した。また、上記第2の実施形態においては、各記録走査において副走査方向の画素行を間引いて形成する場合について説明した。本発明は、これらに限定するものではなく、主走査方向の間引きと副走査方向の間引きを組み合わせる場合にも適用できる。また、各走査の間引き方についても、偶数列と奇数列に分けるものに限らず、例えば千鳥と逆千鳥などに振り分けることも可能である。
【0071】
また、上記第1および第2の実施形態においては、2種のドット径を選択形成可能である例を示したが、3種以上のサイズのドットを選択して画像を形成する場合にも適用できることは明らかである。また、複数回の走査で重ね打ちを実施してもよい。また、上記第1および第2の実施形態においては、2回の記録走査で画像を形成する2パス記録を例に説明したが、記録パス数3以上のマルチパス記録に適用することもできる。要求される画品位とスループットに応じた画像形成モードにより、これらの最適なパラメータを選択できるものであってもよい。
【0072】
また、上記第1の実施形態においては、大小2つのヒータを搭載して小ヒータによる小ドット形成と大小ヒータによる大ドット形成を選択実行する場合を例に挙げて説明したが、さらに多くの種類のヒータを搭載してもよい。またヒータの配置もこれに限定するものではない。
【0073】
また、上記第2の実施形態においては、画素内での駆動波形の切替え方式として「時分割パルス印加方式」を採用したが、「パルス切替え方式」であってもよいし、これらの併用であってもよい。
【0074】
また、第1の実施形態及び第2の実施形態においては、4色(Bk,Cy,Mg,Ye)のカラー・インクがそれぞれ封入されたインク・タンクとそれぞれに対応した4つのヘッドが一体化したマルチヘッドを搭載したインクジェット記録装置について説明したが、各インクに対応して独立した一色ヘッドから構成されるマルチヘッドを搭載するものであってもよい。さらには、インク色についても4色に限定するものではなく、またL−CyやL−Mgなど淡色を用いて濃度の異なる複数のインクを用いた構成であってもよい。ノズル数も15や16に限定するものではない。
【0075】
また、搭載するプリント・ヘッドは一組(各色1つ)に限定するものではなく、複数組(各色2つ以上)のヘッドを備えたインクジェット記録装置に対しても適用できる。特定色のみ複数組備えてもよい。
【0076】
また、本発明に係るインクジェット記録装置の形態は、コンピュータやワード・プロセッサをはじめとする情報処理装置の画像出力装置として一体又は別体に設けられるものに限らず、読取装置と組み合わせた複写装置や通信機能を有するファクシミリ装置などであってもよい。
【0077】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、異なる量のインク滴を選択的に吐出可能な複数の吐出部を有するプリント・ヘッドを記録媒体上の同一領域に対して複数回走査させ、入力された画像情報に基づいて記録媒体上にインク滴を吐出して画素を形成するインクジェット記録装置において、前記同一領域に対する複数回の走査間において吐出インク滴により形成される画素の総面積又は濃度が概ね均等になるよう画像形成がなされる、ことによって、各走査で形成されるドットの面積の差を最小限に抑えて大きな偏りが生じないよう制御し、紙搬送幅毎の複数記録走査に対する比率構成が異なることに起因する濃度ムラを抑えることが可能になり、同時にマルチパス記録の効率化を実現し、高品位な画像形成を可能にする優れたインクジェット記録装置が提供できるといった優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】aは本発明の第1の実施形態における階調値16に対応するマトリクス・テーブルの各記録走査へのドットの振り分けの様子を説明する図である。bは本発明の第1の実施形態における階調値18に対応するマトリクス・テーブルの各記録走査へのドットの振り分けの様子を説明する図である。
【図2】本発明の第1の実施形態におけるマトリクス・テーブルの一例を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施形態におけるインクジェット記録装置を示す概略図である。
【図4】本発明の第1の実施形態におけるドット・データ生成処理に関わる概略ブロック図である。
【図5】本発明の第1の実施形態におけるプリント・ヘッドの模式図である。
【図6】本発明の第1の実施形態における記録走査の様子を示す図である。
【図7】本発明の第1の実施形態におけるメモリ制御ブロックの概略ブロック図である。
【図8】aは本発明の第2の実施形態における階調値16に対応するマトリクス・テーブルの各記録走査へのドットの振り分けの様子を説明する図である。bは本発明の第2の実施形態における階調値18に対応するマトリクス・テーブルの各記録走査へのドットの振り分けの様子を説明する図である。
【図9】本発明の第2の実施形態におけるマトリクス・テーブルの一例を示す図である。
【図10】本発明の第2の実施形態におけるプリント・ヘッドの模式図である。
【図11】本発明の第2の実施形態におけるプリント・ヘッド駆動波形を示す図である。
【図12】本発明の第2の実施形態における記録走査の様子を示す図である。
【図13】マルチパス記録の様子を説明する模式図である。
【図14】ピエゾ方式における「時分割パルス印加方式」を説明する模式図である。
【図15】ピエゾ方式における「パルス切替え方式」を説明する模式図である。
【図16】インクジェット記録装置の全体制御回路の構成例を示す概略ブロック図である。
【図17】aはマトリクス・テーブルの各記録走査へのドットの振り分けの様子を説明する図である。bはマトリクス・テーブルの各記録走査へのドットの振り分けの様子を説明する図である。
【図18】マトリクス・テーブルの一例を示す図である。
【図19】画像データの二値化結果の一例を示す図である。
【図20】隣接ドットを形成するインク滴の紙面着弾時間差が短い場合の浸透・定着の様子を説明する模式図である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、記録媒体に異なる複数のドット径のインクを吐出して画像を形成するインクジェット記録装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、パーソナル・コンピュータや複写装置、ワード・プロセッサ等のOA機器が広く普及しており、これらの機器の画像形成(記録)装置の一種としてインクジェット方式によりディジタル画像記録を行う装置が急速に発展、普及している。特にOA機器の高機能化とともにカラー化が進んでおり、これに伴なって様々なカラー・インクジェット記録装置が開発されてきている。
【0003】
一般にインクジェット記録装置は、記録手段(プリント・ヘッド)およびインクタンクを搭載するキャリッジと、記録紙を搬送する搬送手段と、これらを制御する制御手段とを具備する。そして複数の吐出口からインク液滴を吐出させるプリント・ヘッドを記録紙の搬送方向(副走査方向)と直行する方向(主走査方向)にシリアル・スキャンさせ、一方で非記録時に記録幅に等しい量で間欠搬送するものである。さらには、カラー対応のインクジェット記録装置の場合、複数色のプリント・ヘッドにより吐出されるインク液滴の重ねあわせによるカラー画像を形成する。
【0004】
この記録方法は、記録信号に応じてインクを微少な液滴として吐出口(ノズル)から記録媒体上に吐出しすることにより文字や図形などの記録を行うものであり、ノンインパクトであるため騒音が少ないこと、ランニング・コストが低いこと、装置が小型化しやすいこと、およびカラー化が比較的容易であること、などの利点を有していることから、コンピューターやワードプロセッサー等と併用され、あるいは単独で使用される複写機、プリンター、ファクシミリ等の記録装置において、画像形成(記録)手段として広く用いられている。
【0005】
インクジェット記録装置においてインクを吐出させる方法としては、▲1▼吐出口近傍に発熱素子(電気/熱エネルギー変換体)を設け、この発熱素子に電気信号を印可することによりインクを局所的に加熱して圧力変化を起こさせ、インクを吐出口から吐出させるサーマル方式と、▲2▼ピエゾ素子等の電気/圧力変換手段を用い、インクに機械的圧力を付与してインクを吐出するピエゾ方式、などが用いられている。一般に、前者のサーマル方式は、ノズルの高密度化・多ノズル化が容易であるといった特徴がある。一方、後者のピエゾ方式は、吐出制御性に優れ、またインクの自由度が高く、ヘッド寿命が半永久的であるといった特徴がある。
【0006】
図16はインクジェット記録装置の全体制御回路の概略構成を示すブロック図である。
【0007】
マイクロプロセッサ形態のCPU601はインタフェース605を介してホスト624に接続されており、制御プログラムを格納したROM602や更新可能な制御プログラムや処理プログラムや各種定数データなどを格納したEEPROM603、及びホスト624からインタフェース605を介して受信したコマンド信号や記録情報を格納するためのRAM604にアクセスし、これらのメモリに格納された情報に基づいて記録動作を制御する。さらにCPU601は、出力ポート608及びキャリッジモータ制御回路610を介してキャリッジモータ611を動作させることによりキャリッジ620を移動させたり、出力ポート608及び紙送りモータ制御回路613を介して紙送りモータ614を動作させることにより搬送ローラなどの紙搬送機構612を動作させる。さらにCPU601は、RAM604に格納されている記録情報に基づきプリント・ヘッド制御回路621を介してプリント・ヘッド622を駆動することにより記録媒体上に所望の画像を記録することができる。また、電源回路619からは、CPU601やプリント・ヘッド制御回路621を動作させるためのロジック駆動電圧Vcc(たとえば5V)、各種モータ駆動電圧Vm(たとえば24V)、プリント・ヘッド622を駆動させるための電圧Vh(たとえば30V)、等が出力される。さらに操作キー607から入力される指示情報は入力ポート606を介してCPU601に伝達され、CPU601からの命令は出力ポート609を介してLED制御回路615に伝えられるとLEDが点灯したり、表示制御回路617に伝えられるとLCD618にメッセージが表示される。623は上述した種種の構成要素を互いに接続するCPUバスである。
【0008】
従来のインクジェット記録方法においては、インクのにじみのない高発色のカラー画像を得るためにはインク吸収層を有する専用コート紙を使用する必要があったが、近年はインクの改良等によりプリンタや複写機等で大量に使用される普通紙への印字適性を持たせた方法も実用化されている。さらにはOHPシートや布、プラスチック・シート等の様々な記録媒体への対応が望まれており、こうした要求に応えるため、インクの吸収特性が異なる記録媒体(記録メディア)を必要に応じて選択した際に記録媒体の種類に係わりなく最良の記録が可能な記録装置の開発および製品化が進められている。また記録媒体の大きさについても、宣伝広告用のポスタや衣類等の織布では大サイズのものが要求されてきている。このようなインクジェット記録装置は、優れた記録手段として幅広い産業分野で需要が高まっており、より一層高品位な画像の提供が求められ、また更なる高速化への要求も一段と高まっていると言える。
【0009】
一般に、カラー・インクジェット記録方法は、シアン(Cy),マゼンタ(Mg),イエロー(Ye)の3色のカラー・インクを使用し、また、さらにはブラック(Bk)を加えた4色のインクを使用してカラー記録を実現する。このようなカラー・インクジェット記録装置においては、キャラクタのみ印字するモノクロ・インクジェット記録装置と異なり、カラー・イメージ画像を記録するにあたっては、発色性や階調性、一様性など、様々な要素が必要となる。
【0010】
しかし、記録される画像の品位はプリント・ヘッド単体の性能に依存するところが大きい。例えばサーマル方式においては、プリント・ヘッドの吐出口の形状や電気/熱変換体(吐出ヒータ)のばらつき等のプリント・ヘッド製作工程時に生じるノズル毎の僅かな違いがそれぞれに吐出されるインクの吐出量や吐出方向の向きに影響を及ぼし、最終的に形成される記録画像の濃度ムラとして画像品位を劣化させる原因となる。その結果として、ヘッド主走査方向に対して周期的にエリア・ファクタ100%を満たせない“白”の部分が存在したり、逆に必要以上にドットが重なり合ったり、あるいは白筋が発生したりすることとなる。これらの現象が通常人間の目で濃度ムラとして感知される。
【0011】
そこで、これらの濃度ムラ対策としてマルチパス記録法と呼ばれる方式が提案されている。ここでは、簡単のために12ノズルからなる単一インク色ヘッドを用いた場合を例に挙げて説明する。記録の様子を図13に示す。
【0012】
第1走査において偶数列パターン●を記録し、記録幅の半分(6ドット幅)だけ紙送りを行った後、第2考査において奇数列パターン○を記録することにより記録を完成する。すなわち、順次6ドット単位の紙送りと偶数列/奇数列パターンの記録を交互に行うことにより、6ドット単位の記録領域を1スキャン毎に完成させていく。このようにして、一つのラインを異なる二つのノズルを用いて記録することにより、濃度ムラを抑えた高品位な画像を形成することができる。また、マルチパス記録法は、インクを乾かしながら記録していくことによりブリーディング(にじみ)を抑えるといった効果や、走査毎の記録ドットを低減することから吐出不良の原因となるプリント・ヘッドの昇温を抑制する効果、なども同時に達成できる。ここでは主走査方向について説明したが、副走査方向に対して連続するドットを間引いて記録することにより、更なる高画質化が可能になる。
【0013】
また、インクジェット記録においては、1ドットでアナログ的な階調表現は実現できない。そこで単位面積あたりに複数のドットを最適に配置して多彩な色表現を作り出している。しかしながらインクの溢れなどを引き起こさずに単位面積あたりに打てるインク量には制限がある。記録メディアによって大きく異なるが、300dpi×300dpiあたりに打ち込めるインク総量はせいぜい200pl程度である。さらに、記録ドット径を変えずに単純に階調を上げると実質的な解像度は低下してしまう。
【0014】
画素の分解能を高めればより細やかに階調表現を行うことができる。より小さいドットが吐出できれば単位面積で表現できる色のバリエーションが増えるので画質面で有利になる。さらに小ドット化は粒状感の低減といった効果ももたらす。現状では3pl以下の吐出制御も実現可能になってきている。したがって、吐出インク滴の量を少なくして記録ドット径を小さくすることにより、階調性に優れ、低濃度領域での粒状性が目立たない、高品位な画像形成が可能になる。
【0015】
しかしながら、小さなドットでは1ドットで塗りつぶせる面積が小さくなるので、高い濃度を表現するためには従来よりもより多くのドットを打ち込む必要があり、結果として記録時間が長くなってしまうという弊害が生じる。一般に、ドット径を半分にした小径なドットを用いる場合は4倍の記録時間を必要とする。記録時間の低下を防ぐためには、インク滴を吐出する駆動周波数を4倍に高めるか、あるいはノズル数を4倍にすることなどが考えられるが、何れも容易ではない。
【0016】
これを回避する手法の一つとして、複数サイズのドットを用いる方式が提案されている。同一のノズルから異なる複数のサイズのドットを打ち分けることにより、高濃度領域で多くの小ドットを打ち込む代わりに大ドットを打ち込むことで記録速度を高めることができる。同時に低濃度領域では小ドットを使用することで粒状感が低減され、また階調性を高められるため、高速で高品位な画像形成を実現することができる。
【0017】
サーマル・インクジェット方式では、大小複数のヒータを備え、作動するヒータの数又は種類により発生する気泡の大きさを変化させ、インク吐出量を制御することができる。また、ピエゾ・インクジェット方式においては、素子に与える駆動電圧を制御してインクの押し出し(圧力)を細かく制御することにより吐出量を変化させることができる。現状では両方式ともに3種程度のドット径(吐出インク滴量)を使い分けられるものが製品化されている。
【0018】
ピエゾ・インクジェット方式における可変インク吐出量制御について簡単に説明する。ピエゾ・インクジェット方式は、駆動信号の制御により能動的なメニスカス制御が可能であるために非常に吐出制御性に優れており、比較的容易に小ドットから大ドットまで幅広いレンジの複数サイズのドットを安定的に吐出させる(打ち分ける)ことが可能である。さらには、吐出インク滴の飛翔速度の制御までも可能であることも大きな利点であると言える。ピエゾ・インクジェット方式におけるドットサイズ変更のための駆動波形選択制御は大きく分けて以下の2方式に分類できる。一つは「時分割パルス印加方式」であり、異なるインク滴量を吐出させる複数の駆動パルス(例えば大ドット用パルスと小ドット用パルス)を一記録周期内に連続して生成・入力し、これらに対して独立にON/OFFを制御するものである。この方式では、小ドット用パルスや大ドット用パルスのみをONして大ドットや小ドットを形成するだけでなく、ともにONすることによって特大ドットを得ることもできる。もう一方は「パルス切替え方式」であり、異なるインク滴量を吐出させる複数の駆動パルス(例えば大ドット用パルスと小ドット用パルス)を同時に生成・入力し、データに応じて切り替えて使用するものである。
【0019】
図14は、それぞれ大ドット・小ドットの吐出を実現する駆動波形を時分割に挿入した「時分割パルス印加方式」の一例である。「時分割パルス印加方式」においては、単位印刷周期内に大ドット用パルスと小ドット用パルスと備える。大ドット波形による大インク滴の飛翔速度に対して、小ドット波形による小インク滴の飛翔速度を相対的に大きくなるよう制御する。これにより、異なるタイミングで駆動される小ドットと大ドットの紙面上における着弾位置のずれを回避、あるいは抑制できる。さらには、大ドット波形のみをONして大ドットを形成し、小ドット波形のみをONして小ドットを形成するだけでなく、大ドット波形と小ドット波形を共にONして極大ドットを得ることも可能である。図15は、それぞれ大ドット・小ドットの吐出を実現する駆動波形を同時生成して切り替える「パルス切替え方式」の一例である。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
先に述べたマルチパス記録においては、各記録走査において生成されるドット数に著しい偏りがあると紙搬送幅相当毎のムラが生じる場合がある。図19及び図20を参照しながら、この現象について簡単に説明する。
【0021】
図19は、偶数列を形成する走査と奇数列を形成する走査を交互に繰り返して2パス記録を行う例(図13)において、画像データの二値化結果として偶数列が奇数列に対して著しく多くドットが生成・配置された場合を示した図である。すなわち、紙搬送幅毎に偶数列,奇数列の順に形成される領域と奇数列,偶数列の順に形成される領域とが交互に存在しており、換言すれば、紙搬送幅毎に低dutyのドット形成,高dutyのドット形成の順に実行される領域と高dutyのドット形成,低dutyのドット形成の順に実行される領域とが交互に存在することになる。
【0022】
ここで、図20は、先に着弾したドットと隣接させて次のドットを比較的短い時間間隔で打ち込んだ場合の記録紙に対するインクの浸透、定着の様子を示す模式的断面図である。一般には、後から打ち込んたインク滴は、紙面に垂直な方向と紙面に沿った方向には浸透するが、先に着弾したインク滴が浸透している領域にはあまり浸透定着しない。後から打ち込んだインク滴は、先に打ち込んだインク滴が浸透した領域のさらに下方へ浸透・定着することになる。この現象に対して、高dutyのドット形成が先行する場合と低dutyのドット形成が先行する場合とでは、2回の記録走査によるインクの浸透・定着の様子が異なることになる。その結果、紙搬送幅毎に濃度ムラが発生してしまい、画品位を大きく損なうといった問題がある。さらに、色毎に走査間の振り分け比率が異なると、色目の差を引き起こしさらに画品位を劣化させることとなる。
【0023】
これを回避するためには、マルチパス記録での各走査へのドットの割当てを均等にすることが必要である。図14を例に挙げると、偶数列と奇数列に同等数のドットが存在するようにドットの生成・配置を実行することで解決できる。
【0024】
しかしながら、先に述べたようなマルチサイズのドット形成、すなわち、異なる量のインク滴を吐出させて複数種類の径のドットを用いて画像形成を実現する場合においては、各走査に対するドット数の割当てを均等にすることでは解決できない。このことを図12及び図13を用いて説明する。
【0025】
ここでは、多値誤差拡散処理によって24値の中間データ(300×300dpi)を得て、これを4×4のマトリクス・テーブルを用いて展開する(1200×1200dpi)ことにより、大小の2種のドット生成・配置を決定する方式を例に説明する。図17はマトリクス・テーブルの一例であり、中間データである階調値が0,1,2,16,18に対応するマトリクス・テーブルを示すものである。階調値16でのドット形成に着目すると、2回の記録走査に対して、偶数列を記録する走査では小7個の合計8個のドットを形成し、奇数列を記録する走査では、大1個+小6個のドットを形成する。ドット数は2回の記録走査で共に7個で均等である。
【0026】
しかしながら、結果として形成されるドット面積が大きく異なるため、結果として、紙搬送幅相当のムラが回避できない。階調値18の場合も同様であり、ドット数の合計は共に7個と差がないものの、そのドット形成面積は2回の記録走査の間で大きな開きがあるため、偶数列の形成が先行する領域と奇数列の形成が先行する領域とで濃度ムラを引き起こしてしまう。図18a及び図18bは2つの記録走査へのドットの振り分けの様子を示している。
【0027】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、複数種のサイズのドットを効率よく各走査に振り分けて、濃度ムラのない、高品位な画像形成を可能にする優れたインクジェット記録装置を提供することにある。
【0028】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明に係る第一の発明によるインクジェット記録装置は、以下の構成からなる。
【0029】
すなわち、異なる量のインク滴を選択的に吐出可能な複数の吐出部を有するプリント・ヘッドを記録媒体上の同一領域に対して複数回走査させ、入力された画像情報に基づいて記録媒体上にインク滴を吐出して画素を形成するインクジェット記録装置において、前記同一領域に対する複数回の走査間において吐出インク滴により形成される画素の総面積又は濃度が概ね均等になるよう画像形成がなされる、ことを特徴とする。これにより、各走査において形成される画素面積(濃度)の大きな偏りを回避することが可能になる。
【0030】
更に、本発明に係る第二の発明によるインクジェット記録装置は以下の構成からなる。
【0031】
すなわち、第一の発明によるインクジェット記録装置において、前記複数回の走査間において吐出インク滴により形成される画素の総面積又は濃度が概ね均等になるよう制御するデータ生成制御手段と、前記データ生成制御手段による制御に従い、前記入力画像情報に基づいて複数の異なる量のインク滴の吐出可否を選択制御するための画像形成データを生成出力するデータ生成手段と、各走査においては限定された所定座標の画素に対して前記データ生成手段出力である画像形成データに従いプリント・ヘッドを駆動制御する駆動制御手段と、を備えることを特徴とする。これにより、各走査において形成される画素面積(濃度)の大きな偏りを回避するよう、ドットの生成・配置処理を行うことが可能になる。
【0032】
更に、本発明に係る第三の発明によるインクジェット記録装置は以下の構成からなる。
【0033】
すなわち、第一又は第二の発明によるインクジェット記録装置において、各走査においては、前記プリント・ヘッド走査方向の画素を間引いて形成する、ことを特徴とする。これにより、主走査方向に画素を間引く各走査において形成される画素面積(濃度)の大きな偏りを回避することが可能になる。
【0034】
更に、本発明に係る第四の発明によるインクジェット記録装置は以下の構成からなる。
【0035】
すなわち、第一又は第二の発明によるインクジェット記録装置において、各走査においては、前記プリント・ヘッド走査と直行する方向の画素を間引いて形成する、ことを特徴とする。これにより、副走査方向に画素を間引く各走査において形成される画素面積(濃度)の大きな偏りを回避することが可能になる。
【0036】
更に、本発明に係る第五の発明によるインクジェット記録装置は以下の構成からなる。
【0037】
すなわち、第一から第四の発明によるインクジェット記録装置において、前記プリント・ヘッドは、熱エネルギーを用いて前記インクに状態変化を生起させることによりインク滴を吐出する、ことを特徴とする。これにより、サーマル方式のプリント・ヘッドを備えたインクジェット記録装置に適用することが可能になる。
【0038】
更に、本発明に係る第六の発明によるインクジェット記録装置は以下の構成からなる。
【0039】
すなわち、第一から第四の発明によるインクジェット記録装置において、前記プリント・ヘッドは、圧力発生素子を作動させることによりインク滴を吐出する、ことを特徴とする。これにより、ピエゾ方式のプリント・ヘッドを備えたインクジェット記録装置に適用することが可能になる。
【0040】
【発明の実施の形態】
(実施形態1)
以下、図面を参照して本発明の第一の実施形態を詳細に説明する。
【0041】
図3は本発明によるインクジェット記録装置の記録部の構成を示したものである。
【0042】
301はプリント・ヘッドであり、4色(Bk,Cy,Mg,Ye)のカラー・インクがそれぞれ封入されたインク・タンクと、それぞれに対応した4つのヘッドが一体化したマルチヘッドとにより構成されている。302はプリント・ヘッド301を支持し、記録とともにこれらを移動させるキャリッジである。キャリッジ302は非記録状態などの待機時には図のホーム・ポジション位置HPにある。303は紙送りローラであり、補助ローラ304とともに記録紙306を抑えながら図の夫印の方向に回転し、記録紙306をY方向に随時送っていく。また305は給紙ローラであり、記録紙306の給紙を行うとともに、紙送りローラ303及び補助ローラ304と同様に記録紙306を抑える役割を果たす。ここで、プリント・ヘッド301は、Bk,Cy,Mg,Yeの4色について紙送り方向に配置された64個のノズルをそれぞれ有している。
【0043】
以上の構成における基本的な記録動作について説明する。
【0044】
待機時にホーム・ポジション位置HPにあるキャリッジ302は記録開始命令により×方向に移動しながらプリント・ヘッド301の複数のノズルにより記録データに従い記録紙306上にインクを吐出し記録を行う。記録紙306端部まで記録データの記録が終了するとキャリッジは元のホーム・ポジション位置に戻る。紙送りローラ304が夫印方向へ回転することによりY方向へ所定幅だけ紙送りし、再びX方向への記録を開始する。このようなスキャン動作と紙送り動作との繰り返しによりデータ記録を実現する。
【0045】
なお、図示していないが、本実施形態のインクジェット記録装置内には、記録及び画像処理を制御・実行するCPU,ROM,RAM,専用回路より構成される制御部、外部のホスト・コンピュータ等との間で画像情報や各種制御情報をやりとりするためのインタフェース部、キャリッジ駆動用のキャリッジ・モータ、給紙ローラ駆動用の給紙モータ、紙搬送駆動用の紙搬送モータなどを駆動するためのモータ・ドライバ、プリント・ヘッドを駆動するためのプリント・ヘッド駆動用のドライバ、ユーザによる制御情報を入力する操作パネル、などを備えている。
【0046】
本実施形態におけるインクジェット記録装置はサーマル・インクジェット方式を採用している。図5は、プリント・ヘッドのヒータ近傍の模式図である。501及び502は互いに異なる発熱量の小ヒータと大ヒータである。ここでは、上下方向および水平方向に互いに位置をずらして配置している。503はインク・リザーバと接続するインク供給流路であり、504はノズル流路である。プリント・ヘッドが有するノズル数は16ノズルであり、ノズルピッチは1200dpiであるものとする。
【0047】
より吐出口に近い小ヒータ501のみを発熱駆動した場合にドットAを形成するのに相当する量のインク滴を吐出し、小ヒータ501と大ヒータ502とを同時に発熱駆動することによりドットBを形成するだけの量のインク滴を吐出する。単一の記録走査における各座標位置では、小ヒータ501駆動による小ドットA形成または小ヒータ501及び大ヒータ502駆動による大ドットB形成を選択的に実行することができる。ここで、単位記録周期は紙面上で600dpiに相当し、これは主走査方向の記録解像度の1/2に等しい。
【0048】
また、本実施形態におけるインクジェット記録装置は、同一記録領域を複数回走査させて画像を形成するマルチパス記録方式を採用している。先に述べたとおり、マルチパス記録は、一つのラインを複数のノズルを用いて画像を形成することにより、ノズル毎のインクの吐出量や吐出方向の微少な違いによる濃度ムラを抑え、同時にパス毎の記録dutyを低減してインク滲みなどによる画品位の劣化を防ぐ記録方式である。本実施形態では2パス記録を例に挙げて説明する。記録解像度は主走査方向1200dpi×副走査方向1200dpiである。2種の記録走査E及び記録走査Oを交互に実行することにより画像形成を完了する。走査間にはヘッド幅の1/2である8ノズル幅に相当する紙搬送を行う。記録走査Eでは主走査方向に偶数番目の画素、すなわち偶数画素列のみを記録する。一方、記録走査Oでは主走査方向に奇数番目の画素、すなわち奇数画素列のみを記録する。この記録走査の様子を図6に示す。
【0049】
次に大ドット及び小ドット記録データの生成処理について説明する。本実施形態においては、ドット・データの生成処理はホストPC側で実行されてインクジェット記録装置側へ転送処理される。図4はホストPCにおけるドット・データ生成処理を説明するための概略ブロック図である。ここでは簡単のため単色データについて示す。
【0050】
401は多値誤差拡散処理部であり、入力される8bit(256値)の画像データに対して誤差拡散法による24値化処理を実行して中間データを出力する。ここで、入力画像データの解像度は300dpi×300dpiである。402はテーブル格納部であり、多値誤差拡散処理部401出力に対応する24値の各々に対応する24個のテーブルを格納している。403はドット展開部であり、多値誤差拡散処理部401出力をテーブル格納部402に格納されたマトリクス・テーブルを用いてドット・データに展開する。ドット・データは2bit(3値)データであり、2は大ドット形成を示し、1は小ドット形成を示し、0はどちらのドットも形成しないことを意味する。解像度は1200dpi×1200dpiである。
【0051】
図2はテーブル格納部402に格納されているマトリクス・テーブルの一例を示すものである。多値誤差拡散処理部401で生成された中間データの階調値0,1,2,16,18にそれぞれ対応するマトリクス・テーブルである。マトリクス・テーブルの詳細な特徴は後述する。
【0052】
ホストPC側で生成されたドット・データはインクジェット記録装置側へ転送処理される。図7はインクジェット記録装置内のメモリ制御ブロックを示す概略ブロック図である。
【0053】
701は位置検出部であり、プリント・ヘッドを搭載するキャリッジの位置を検出する。702はメモリ部であり、図外より入力されたドット・データを一時格納する。703は入力制御部であり、メモリ部702への記録データの書き込み処理を行う。704は出力制御部であり、位置検出部701によるプリント・ヘッドの記録紙面上の検出位置に基づき画像データの読みだし処理を行う。710は制御部であり、各部の状態を監視するとともに図内,図外からの制御信号に応答して各種制御を行う。
【0054】
ホストPCから転送された画素あたり3値のドット・データは、入力制御部403を介してメモリ部702へ一時格納する。ドット・データは解像度1200dpi×1200dpiの2bitデータであり、2は大ドット形成を示し、1は小ドット形成を示し、0はどちらのドットも形成しないことを意味する。各記録走査では、出力制御部704によって、メモリ部702に格納されたドット・データが位置検出部701によるプリント・ヘッドの記録紙面上の主走査方向の検出位置に基づき出力される。主走査方向の列座標毎にノズル数分のデータを読み出す。記録走査Eでは偶数列データのみ、記録走査Oでは奇数列データのみを出力して、図外のプリント・ヘッド制御ブロックへ送出する。
【0055】
図1aは、図2にマトリクス・テーブルを示した階調値16に対する2つの記録走査へのドットの振り分けの様子を示している。図1bは、図2にマトリクス・テーブルを示した階調値18に対する2つの記録走査へのドットの振り分けの様子を示している。
【0056】
図1aは階調値16において記録走査Eに振り分けられるドット・マトリクスを示している。記録走査Eで形成されるドットは小8個であり、記録走査Oで形成されるドットは大1個+小5個であり、記録走査間で均等ではないものの、形成されるドット面積の差は比較的小さく抑えられている。また、図1bは階調値18において記録走査Oに振り分けられるドット・マトリクスを示している。記録走査Eで形成されるドットは大1個+小7個であり、記録走査Oで形成されるドットは大1個+小6個であり、記録走査間で均等ではないものの、形成されるドット面積の差は比較的小さく抑えられている。このようにして、各走査で形成されるドットの面積の差を最小限に抑えて大きな偏りが生じないように異なるサイズのドットの生成・配置を制御する。これにより、紙搬送領域毎の複数記録走査に対する記録比率構成が崩れることによる濃度ムラ、すなわち、2パス記録において先行走査で低比率、後続走査で高比率を形成する領域と、逆に先行走査で高比率、後続走査で低比率を形成する領域との間の濃度差に起因するムラ、を抑えることが可能になる。また、ノズル毎の吐出特性のばらつきなどの平均化にも寄与するため、効率よいマルチパス記録が実現される。
【0057】
なお、ここでは、ホストPC側で生成されドット・データのうち主走査方向の全ての列データをラスタスキャンして一度に転送し、インクジェット記録装置側で記録走査E又は記録走査Oに応じて偶数列又は奇数列のみを読み出す構成を説明したが、記録走査中に次回の記録走査に必要なだけの列データをホストPCより転送するものであってもよい。
【0058】
以上詳細に説明したとおり、異なる量のインク滴を吐出させて複数のサイズのドットを選択的に形成可能であって同一領域を複数回走査させてマルチパス記録を行うインクジェット記録装置において、同一領域に対する複数回の記録走査によって形成されるドット面積(濃度)に大きな偏りがないように異なるサイズのドットの生成・配置を行うことにより、階調性が高く濃度ムラのない高品位な画像形成を可能にする優れたインクジェット記録装置が実現できる。
【0059】
(実施形態2)
上記第1の実施形態においては、偶数列のみを形成する記録走査と奇数列のみを形成する記録走査とを交互に実行して2パス記録を行うインクジェット記録装置について詳細に説明した。間引きにより各走査で形成される画素位置や記録パス数はこれに限定するものではない。第2の実施形態においては、主走査方向ではなく副走査方向の間引きを行い、偶数行のみを形成する記録走査と奇数行のみを形成する記録走査とを交互に実行するインクジェット記録装置について説明する。
【0060】
また、上記第1の実施形態においては、吐出口近傍に設けた発熱素子に電気信号を印加することによりインクを局所的に加熱して圧力変化を起こさせ、インクを吐出させるサーマル方式のインクジェット記録装置について説明した。本実施形態においては、入力される駆動電圧波形に応じて伸縮する振動子により発生する圧力によってインク滴を吐出するピエゾ方式のインクジェット記録装置について説明する。
【0061】
以下、図面を参照しながら第2の実施形態について詳細に説明する。装置全体の基本構成は第1の実施形態と同様である。記録解像度も第1の実施形態同様に主走査方向1200dpi×副走査方向1200dpiである。
【0062】
図10は、プリント・ヘッドの圧力発生室近傍の模式図である。1001は圧電振動子であり、1002は圧電振動子の変位を受ける振動板であり、1003は圧力室であり、1004はインク・リザーバと接続するインク供給流路であり、1005はノズル流路である。プリント・ヘッドが有するノズル数は15ノズルであり、ノズルピッチは第1の実施形態におけるプリント・ヘッドノズルピッチの1/2である600dpiとする。
【0063】
プリント・ヘッドの駆動波形について簡単に説明する。図11は本実施形態において使用される駆動電圧波形信号である。単位記録周期に連続した2つの波形成分である波形Aと波形Bで構成されており、2種のサイズのドットが選択形成可能である。波形AのみをONすることにより小ドットAが得られ、波形Aと波形Bを共にONすることにより大ドットBを得ることができる。ここで、単位記録周期は紙面上で1200dpiに相当し、これは主走査方向の記録解像度に等しい。
【0064】
また、本実施形態におけるインクジェット記録装置は、同一記録領域を複数回走査させて画像を形成する。本実施形態では、記録解像度1200dpi×1200dpiに対してプリント・ヘッドのノズル解像度が600dpiであるため1度の走査で全ての行を形成することはできない。このため、2種の記録走査E及び記録走査Oを交互に実行することにより画像形成を完了する。走査間には15画素幅に相当する紙搬送を行う。記録走査Eでは偶数番目のラインの画素、すなわち偶数行のみを記録する。一方、記録走査Oでは奇数番目のラインの画素、すなわち奇数行のみを記録する。この記録走査の様子を図12に示す。
【0065】
次に大ドット及び小ドット記録データの生成処理について説明する。第1の実施形態においてはホストPC側でドット生成・配置処理を行いドット・データをインクジェット記録装置側へ転送する場合を例に説明したが、本実施形態においては、このドット・データ生成処理も含めてインクジェット記録装置内で実行される。なお、ドット生成・配置め手法は第1の実施形態と同様であり、多値誤差拡散処理によって24値の中間データを生成した後に、4×4のマトリクス・テーブルを用いて記録解像度1200dpi×1200dpiの3値データに展開するものである。
【0066】
図9はマトリクス・テーブルの一例を示すものである。中間データの階調値0,1,2,16,18にそれぞれ対応するマトリクス・テーブルである。
【0067】
図8aは、図9にマトリクス・テーブルを示した階調値16に対する2つの記録走査へのドットの振り分けの様子を示している。図8bは、図9にマトリクス・テーブルを示した階調値18に対する2つの記録走査へのドットの振り分けの様子を示している。
【0068】
図8aは階調値16において記録走査Eに振り分けられるドット・マトリクスを示している。記録走査Eで形成されるドットは小8個であり、記録走査Oで形成されるドットは大1個+小5個であり、記録走査間で均等ではないものの、形成されるドット面積の差は比較的小さく抑えられている。また、図8bは階調値18において記録走査Oに振り分けられるドット・マトリクスを示している。記録走査Eで形成されるドットは大1個+小7個であり、記録走査Oで形成されるドットは大1個+小6個であり、記録走査間で均等ではないものの、形成されるドット面積の差は比較的小さく抑えられている。このようにして、各走査で形成されるドットの面積の差を最小限に抑えて大きな偏りが生じないように異なるサイズのドットの生成・配置を制御する。これにより、紙搬送領域毎の複数記録走査に対する記録比率構成が崩れることによる濃度ムラ、すなわち、2パス記録において先行走査で低比率、後続走査で高比率を形成する領域と、逆に先行走査で高比率、後続走査で低比率を形成する領域との間の濃度差に起因するムラ、を抑えることが可能になる。
【0069】
以上詳細に説明したとおり、異なる量のインク滴を吐出させて複数のサイズのドットを選択的に形成可能であって同一領域を複数回走査させてマルチパス記録を行うインクジェット記録装置において、同一領域に対する複数回の記録走査によって形成されるドット面積(濃度)に大きな偏りがないように異なるサイズのドットの生成・配置を行うことにより、階調性が高く濃度ムラのない高品位な画像形成を可能にする優れたインクジェット記録装置が実現できる。
【0070】
(その他の実施形態)
上記第1の実施形態においては、各記録走査において主走査方向の画素列を間引いて形成する場合について説明した。また、上記第2の実施形態においては、各記録走査において副走査方向の画素行を間引いて形成する場合について説明した。本発明は、これらに限定するものではなく、主走査方向の間引きと副走査方向の間引きを組み合わせる場合にも適用できる。また、各走査の間引き方についても、偶数列と奇数列に分けるものに限らず、例えば千鳥と逆千鳥などに振り分けることも可能である。
【0071】
また、上記第1および第2の実施形態においては、2種のドット径を選択形成可能である例を示したが、3種以上のサイズのドットを選択して画像を形成する場合にも適用できることは明らかである。また、複数回の走査で重ね打ちを実施してもよい。また、上記第1および第2の実施形態においては、2回の記録走査で画像を形成する2パス記録を例に説明したが、記録パス数3以上のマルチパス記録に適用することもできる。要求される画品位とスループットに応じた画像形成モードにより、これらの最適なパラメータを選択できるものであってもよい。
【0072】
また、上記第1の実施形態においては、大小2つのヒータを搭載して小ヒータによる小ドット形成と大小ヒータによる大ドット形成を選択実行する場合を例に挙げて説明したが、さらに多くの種類のヒータを搭載してもよい。またヒータの配置もこれに限定するものではない。
【0073】
また、上記第2の実施形態においては、画素内での駆動波形の切替え方式として「時分割パルス印加方式」を採用したが、「パルス切替え方式」であってもよいし、これらの併用であってもよい。
【0074】
また、第1の実施形態及び第2の実施形態においては、4色(Bk,Cy,Mg,Ye)のカラー・インクがそれぞれ封入されたインク・タンクとそれぞれに対応した4つのヘッドが一体化したマルチヘッドを搭載したインクジェット記録装置について説明したが、各インクに対応して独立した一色ヘッドから構成されるマルチヘッドを搭載するものであってもよい。さらには、インク色についても4色に限定するものではなく、またL−CyやL−Mgなど淡色を用いて濃度の異なる複数のインクを用いた構成であってもよい。ノズル数も15や16に限定するものではない。
【0075】
また、搭載するプリント・ヘッドは一組(各色1つ)に限定するものではなく、複数組(各色2つ以上)のヘッドを備えたインクジェット記録装置に対しても適用できる。特定色のみ複数組備えてもよい。
【0076】
また、本発明に係るインクジェット記録装置の形態は、コンピュータやワード・プロセッサをはじめとする情報処理装置の画像出力装置として一体又は別体に設けられるものに限らず、読取装置と組み合わせた複写装置や通信機能を有するファクシミリ装置などであってもよい。
【0077】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、異なる量のインク滴を選択的に吐出可能な複数の吐出部を有するプリント・ヘッドを記録媒体上の同一領域に対して複数回走査させ、入力された画像情報に基づいて記録媒体上にインク滴を吐出して画素を形成するインクジェット記録装置において、前記同一領域に対する複数回の走査間において吐出インク滴により形成される画素の総面積又は濃度が概ね均等になるよう画像形成がなされる、ことによって、各走査で形成されるドットの面積の差を最小限に抑えて大きな偏りが生じないよう制御し、紙搬送幅毎の複数記録走査に対する比率構成が異なることに起因する濃度ムラを抑えることが可能になり、同時にマルチパス記録の効率化を実現し、高品位な画像形成を可能にする優れたインクジェット記録装置が提供できるといった優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】aは本発明の第1の実施形態における階調値16に対応するマトリクス・テーブルの各記録走査へのドットの振り分けの様子を説明する図である。bは本発明の第1の実施形態における階調値18に対応するマトリクス・テーブルの各記録走査へのドットの振り分けの様子を説明する図である。
【図2】本発明の第1の実施形態におけるマトリクス・テーブルの一例を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施形態におけるインクジェット記録装置を示す概略図である。
【図4】本発明の第1の実施形態におけるドット・データ生成処理に関わる概略ブロック図である。
【図5】本発明の第1の実施形態におけるプリント・ヘッドの模式図である。
【図6】本発明の第1の実施形態における記録走査の様子を示す図である。
【図7】本発明の第1の実施形態におけるメモリ制御ブロックの概略ブロック図である。
【図8】aは本発明の第2の実施形態における階調値16に対応するマトリクス・テーブルの各記録走査へのドットの振り分けの様子を説明する図である。bは本発明の第2の実施形態における階調値18に対応するマトリクス・テーブルの各記録走査へのドットの振り分けの様子を説明する図である。
【図9】本発明の第2の実施形態におけるマトリクス・テーブルの一例を示す図である。
【図10】本発明の第2の実施形態におけるプリント・ヘッドの模式図である。
【図11】本発明の第2の実施形態におけるプリント・ヘッド駆動波形を示す図である。
【図12】本発明の第2の実施形態における記録走査の様子を示す図である。
【図13】マルチパス記録の様子を説明する模式図である。
【図14】ピエゾ方式における「時分割パルス印加方式」を説明する模式図である。
【図15】ピエゾ方式における「パルス切替え方式」を説明する模式図である。
【図16】インクジェット記録装置の全体制御回路の構成例を示す概略ブロック図である。
【図17】aはマトリクス・テーブルの各記録走査へのドットの振り分けの様子を説明する図である。bはマトリクス・テーブルの各記録走査へのドットの振り分けの様子を説明する図である。
【図18】マトリクス・テーブルの一例を示す図である。
【図19】画像データの二値化結果の一例を示す図である。
【図20】隣接ドットを形成するインク滴の紙面着弾時間差が短い場合の浸透・定着の様子を説明する模式図である。
Claims (6)
- 異なる量のインク滴を選択的に吐出可能な複数の吐出部を有するプリント・ヘッドを記録媒体上の同一領域に対して複数回走査させ、入力された画像情報に基づいて記録媒体上にインク滴を吐出して画素を形成するインクジェット記録装置において、
前記同一領域に対する複数回の走査間において吐出インク滴により形成される画素の総面積又は濃度が概ね均等になるよう画像形成がなされる、
ことを特徴とするインクジェット記録装置。 - 前記複数回の走査間において吐出インク滴により形成される画素の総面積又は濃度が概ね均等になるよう制御するデータ生成制御手段と、
前記データ生成制御手段による制御に従い、前記入力画像情報に基づいて複数の異なる量のインク滴の吐出可否を選択制御するための画像形成データを生成出力するデータ生成手段と、
各走査においては限定された所定座標の画素に対して前記データ生成手段出力である画像形成データに従いプリント・ヘッドを駆動制御する駆動制御手段と、を備えることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。 - 各走査においては、前記プリント・ヘッド走査方向の画素を間引いて形成する、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のインクジェット記録装置。 - 各走査においては、前記プリント・ヘッド走査と直行する方向の画素を間引いて形成する、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のインクジェット記録装置。 - 前記プリント・ヘッドは、熱エネルギーを用いて前記インクに状態変化を生起させることによりインク滴を吐出する、ことを特徴とする、請求項1から請求項4に記載のインクジェット記録装置。
- 前記プリント・ヘッドは、圧力発生素子を作動させることによりインク滴を吐出する、ことを特徴とする、請求項1から請求項4に記載のインクジェット記録装置。
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