JP2004034074A - 曲げ加工方法、曲げ加工機、及び温間金型装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】マグネシウムやテンレス等の難加工材からなるワークに対して曲げ加工を場合であっても、ワークWの曲げ部にひび,割れが発生することを防止しつつ、ワークの曲げ部の曲げ半径を容易に小さくすることができる曲げ加工方法を提供する。
【解決手段】本体フレームの下部に設けられた下部テーブル13と、本体フレーム上部に上下方向へ移動可能に設けられた上部テーブル17と、下型5のV溝5aの溝中心部に上下方向へ移動可能に設けられかつワークWの曲げ部Waに接触してワークWの曲げ部を加熱するヒータ29と、ヒータを上方向へ付勢可能な付勢部材33と備えるようにした。
【選択図】 図1
【解決手段】本体フレームの下部に設けられた下部テーブル13と、本体フレーム上部に上下方向へ移動可能に設けられた上部テーブル17と、下型5のV溝5aの溝中心部に上下方向へ移動可能に設けられかつワークWの曲げ部Waに接触してワークWの曲げ部を加熱するヒータ29と、ヒータを上方向へ付勢可能な付勢部材33と備えるようにした。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、曲げ加工方法、曲げ加工機、及び温間金型装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の一般的な曲げ加工機について簡単に説明すると、次のようになる。
【0003】
前記曲げ加工機は、上型の先端部を下型のV溝内に相対的に進入させることにより、前記下型に支持された板状のワークに対して曲げ加工を行うものであって、本体フレームをベースとしている。前記本体フレームの下部には、左右方向へ延びた下部テーブルが設けられており、この下部テーブルの上側には、前記下型が着脱可能に取付けられている。また、前記本体フレームの上部には、左右方向へ延びた上部テーブルが上下方向へ移動可能に設けられており、この上部テーブルの下側には、前記上型が着脱可能に取付けられている。更に、前記本体フレームの左側上部と右側上部には、前記上部テーブルを上下方向へ移動させる曲げ加工用油圧シリンダがそれぞれ設けられている。
【0004】
従って、ワークの曲げ部が前記V溝の溝中心部の真上に位置するように、ワークを前記下型に対して前後方向へ位置決めする。そして、前記曲げ加工用油圧シリンダの作動により前記上部テーブルを下方向へ移動させて、前記上型の先端部を前記下型の前記V溝内に進入させる。これによって、ワークの曲げ角度が所定の曲げ角度になるように、ワークに対して曲げ加工(冷間曲げ加工)を行うことができる。
【0005】
また、ワークに対して温間曲げ加工を行う場合にあっては、ワークを前記下型に対して前後方向へ位置決めする前に、前記本体フレームの近傍に配置したワーク加熱装置によりワークの曲げ部周辺(曲げ部を含む)を加熱してワークの曲げ部周辺を曲げ易くしておく。
【0006】
【発明が解決しようとnする課題】
ところで、マグネシウムやステンレス等の難加工材からなるワークに対して前述のような冷間曲げ加工を行う場合にあっては、大きな曲げ荷重を必要とし、前記上部テーブルを前記下部テーブルに対して相対的に移動させるアクチュエータが大型化するという問題がある。更に、上記の場合には、ワークの曲げ部にひび,割れの発生を防止しつつワークの曲げ部の曲げ半径を小さくすることが容易でないという問題がある。
【0007】
また、難加工材からなるワークを前記下型に対して前後方向へ位置決めする前に、ワークの曲げ部周辺を加熱しておいても、曲げ加工時にワークの曲げ部付近の温度が急激に低下することがあり、上記の問題を完全に解決することはできない。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明にあっては、上型の先端部を下型のV溝内に相対的に進入させることにより、前記下型に支持された板状のワークに対して曲げ加工を行う曲げ加工方法において、
ワークの曲げが進行して曲げ加工が終了するまで、前記下型に設けられたヒータが、ワークの曲げ部に接触しつつワークの曲げ部を加熱するようにしたことを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明にあっては、上型の先端部を下型のV溝内に相対的に進入させることにより、前記下型に支持された板状のワークに対して曲げ加工を行う曲げ加工機において、
本体フレームと、
前記本体フレームの下部に設けられ、上側に前記下型が取付けられる下部テーブルと、
前記本体フレームの上部に前記下部テーブルに対して相対的に上下方向へ移動可能に設けられ、下側に前記上型が取付けられる上部テーブルと、
前記下型の前記V溝の溝中心部に上下方向へ移動可能に設けられ、ワークの曲げ部に接触しつつワークの曲げ部を加熱するヒータと、
前記ヒータを上方向へ付勢可能な付勢部材と、
を備えてなることを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明特定事項によると、ワークの曲げ部が前記V溝の溝中心部の真上に位置するように、ワークを前記下型に対して前後方向へ位置決めする。そして、前記上部テーブルを前記下部テーブルに対して相対的に下方向へ移動させて、前記上型の先端部を前記下型の前記V溝内に相対的に進入させる。これによって、ワークの曲げ角度が所定の曲げ角度になるように、ワークに対して曲げ加工を行うことができる。
【0011】
ここで、前記ヒータが前記下型の前記V溝の溝中心部に上下方向へ移動可能に設けられてあって、前記ヒータが前記付勢部材により上方向へ付勢されるため、ワークの曲げが進行して曲げ加工が終了するまで、前記ヒータがワークの曲げ部に接触しつつワークの曲げ部を加熱することできる。
【0012】
請求項3に記載の発明にあっては、請求項2に記載の発明特定事項の他に、曲げ加工前の通常状態の下で、前記ヒータの上面の高さ位置が前記下型の上面の高さ位置と略同じになるように構成してなることを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載の発明特定事項によると、請求項2に記載の発明特定事項による作用の他に、曲げ加工前の通常状態の下で前記ヒータの上面の高さ位置が前記下型の上面の高さ位置と略同じであるため、ワークを前記下型に対して前後方向へ位置決めしたときから、前記ヒータがワークの曲げ部に接触しつつワークの曲げ部を加熱することできる。
【0014】
請求項4に記載の発明にあっては、請求項2又は請求項3に記載の発明特定事項の他に、前記上部テーブル,前記下部テーブルのうち少なくともいずれかのテーブルを動作させるアクチュエータと、
入力データに基づいて加工データを算出する加工データ算出手段と、
前記下型,前記上型,前記下部テーブル,前記上部テーブル,前記本体フレームのうちの適数のプレス構成部材の温度を検出する温度検出手段と、
前記適数のプレス構成部材の温度変化に基づいて前記ヒータの加熱に伴う前記適数のプレス構成部材の熱変形量を算出する熱変形量算出手段と、
前記熱変形量に基づいて前記加工データを補正する加工データ補正手段と、
補正された加工データに基づいて前記アクチュエータを制御する制御手段と、
を備えてなることを特徴とする。
【0015】
請求項4に記載の発明特定事項によると、請求項2又は請求項3に記載の発明特定事項による作用の他に、前記加工データ算出手段によって前記入力データに基づいて加工データを算出する一方、前記温度検出手段によって前記適数のプレス構成部材の温度を検出し、前記熱変形量算出手段によって前記適数のプレス構成部材の温度変化に基づいて前記ヒータの加熱に伴う前記適数のプレス構成部材の前記熱変形量を算出する。そして、前記加工データ補正手段によって前記熱変形量に基づいて前記加工データを補正し、前記アクチュエータ制御手段によって補正された加工データに基づいて前記アクチュエータを制御して少なくとも前記いずれかのテーブルを動作させる。
【0016】
請求項5に記載の発明にあっては、板状のワークの曲げ部を加熱しつつワークに対して曲げ加工を行うために用いられる温間金型装置において、
V溝を有する下型と、
前記下型の前記V溝の溝中心部に上下方向へ移動可能に設けられ、ワークの曲げ部に接触してワークの曲げ部を加熱するヒータと、
前記下型に設けられ、前記ヒータを上方向へ付勢可能な付勢部材と、
を備えてなることを特徴とする。
【0017】
請求項5に記載の発明特定事項によると、前記ヒータが前記下型の前記V溝の溝中心部に上下方向へ移動可能に設けられてあって、前記ヒータが前記付勢部材により上方向へ付勢されるため、ワークの曲げが進行して曲げ加工が終了するまで、前記ヒータがワークの曲げ部に接触しつつワークの曲げ部を加熱することできる。
【0018】
請求項6に記載の発明にあっては、請求項5に記載の発明特定事項の他に、曲げ加工前の通常状態の下で、前記ヒータの上面の高さ位置が前記下型の上面の高さ位置と略同じになるように構成してなることを特徴とする。
【0019】
請求項6に記載の発明特定事項によると、請求項5に記載の発明特定事項による作用の他に、曲げ加工前の通常状態の下で前記ヒータの上面の高さ位置が前記下型の上面の高さ位置と略同じであるため、ワークを前記下型に対して前後方向へ位置決めしたときから、前記ヒータがワークの曲げ部に接触しつつワークの曲げ部を加熱することできる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0021】
図1は、本発明の実施の形態に係わる曲げ加工方法を説明する図であって、図2は、本発明の実施の形態に係わる曲げ加工機の正面図であって、図3は、本発明の実施の形態に係わる曲げ加工機の側断面図であって、図4は、本発明の実施の形態に係わる制御ブロック図である。
【0022】
ここで、「前」は、図1及び図3において左,図2において紙面向かって表のことをいい、「後」は、図1及び図3において右,図2において紙面向かって裏のことをいい、「左」は、図1及び図3において紙面に向かって裏,図2において左のことをいい、「右」は、図1及び図3において紙面に向かって表,図2において右のことをいい、「上」は、図1から図3において上,「下」は、図1から図3において下のことをいう。
【0023】
図1から図3に示すように、本発明の実施の形態に係わる曲げ加工機1は、上型3の先端部を下型5のV溝5a内に進入させることにより、下型5に支持された板状のワークWに対して曲げ加工を行う機械であって、本体フレーム7をベースとしている。ここで、本体フレーム7は、左右に離隔した一対の側板9L,9Rと、一対の側板9L,9Rを連結する複数の連結部材11とを備えている。
【0024】
一対の側板9L,9Rの下部には、左右方向へ延びた下部テーブル13が設けられており、この下部テーブル13の上側には、下型5が下型取付具15(図1においては省略している)を介して着脱可能に取付けられている。一対の側板9L,9Rの上部には、左右方向へ延びた上部テーブル17が上下方向へ移動可能に設けられており、この上部テーブル17の下側には、上型3が上型取付具19(図1においては省略している)を介して着脱可能に取付けられている。そして、一対の側板9L,9Rの上部には、上部テーブル17を上下方向へ移動させる曲げ加工用油圧シリンダ21L,21Rが設けられている。なお、上部テーブル17を上下方向へ移動させる代わりに、下部テーブル13を上下方向へ移動させるようにしても差し支えない。
【0025】
下部テーブル13の下側の適宜位置には、一対のクラウニング用油圧シリンダ23が設けてあり、一対のクラウニング用油圧シリンダ23は、下部テーブル13の中央部を上部テーブル17側(上側)へ加圧することによってワークWの曲げ長さ方向に亘って曲げ角度のばらつきを抑制するものである。
【0026】
ここで、一対のクラウニング用油圧シリンダ23による加圧力の和(PC)と一対の曲げ加工用油圧シリンダ21L,21Rによる加圧力の和(PL+PR)の関係を示すものとして、クラウニング圧力比率(以下、適宜にCCという)があり、CCは、次のように与えられる。
【0027】
CC={PC/(PL+PR)}×100%
また、ワークWを下型5に対して前後方向へ位置決めするため、本体フレーム7における上部テーブル17の後側には、バックゲージ25が前後方向へ位置調節可能に設けられており、このバックゲージ25はワークWの後端面が突き当たり可能な突き当て面25aを有している。
【0028】
図2に示すように、下型5のV溝5aの溝中心部には、ガイド穴27が形成されており、このガイド穴27には、ワークWの曲げ部Waに接触してワークWの曲げ部Waを加熱するヒータ29がヒータ支持部材31を介して上下方向へ移動可能に設けられている。また、ガイド穴27におけるヒータ支持部材31の下側には、ヒータ29を上方向へ付勢可能なスプリング33が設けられており、曲げ加工前の通常状態の下で、ヒータ支持部材31の一部がガイド穴27のストッパ部(図示省略)に下方向から突き当たってヒータ29の上面の高さ位置が下型5の上面の高さ位置と略同じになるように構成してある。ここで、下型5と、ヒータ27と、ヒータ支持部材31と、スプリング33とによって、ワークWの曲げ部Waを加熱してワークWに対して曲げ加工を行うために用いられる温間金型装置が構成される。
【0029】
なお、ガイド穴27及びヒータ29をそれぞれ左右方向へ延びるように構成したり、又はガイド穴27及びヒータ29をそれぞれ左右方向へ適宜間隔に複数設けるようにしたりする等、適宜の変更をすることができる。また、前記温間金型装置からヒータ支持部材31を省略してスプリング33によってヒータ29を直接付勢するようにしてもよい。
【0030】
図4に示すように、曲げ加工機1は曲げ加工制御システム35を備えており、このプレス加工制御システム35はワークWに対して高精度な曲げ加工を行うためのシステムであって、詳細に以下のようになる。
【0031】
即ち、曲げ加工制御システム35は、CPU37と、入力部39と、記憶部41と、加工データ算出部43と、複数の温度センサ45と、熱変形量算出部47と、加工データ補正部49と、シリンダ制御部51とを主要な構成要素としている。
【0032】
入力部39は、CPU37に電気的に接続されてあって、機械データ、ワークデータ、製品データ等の入力データを入力するものである。ここで、前記機械データとは、例えば上部テーブル17と下部テーブル13の所定箇所の寸法,上部テーブル17と下部テーブル13のヤング率等のことをいい、前記ワークデータとは、例えばワークWの曲げ部Waの左右方向の長さ,ワークWのヤング率等のことをいい、前記製品データとは、例えば曲げフランジ,所定の曲げ角度等のことをいう。
【0033】
記憶部41は、CPU37に電気的に接続されてあって、種々のデータ等を記憶するものである。
【0034】
加工データ算出部43は、CPU37に電気的に接続されてあって、前記入力データに基づいて加工データを算出するものである。ここで、前記加工データとは、本発明の実施の形態にあっては、ワークWの曲げ角度が前記所定の曲げ角度になるための上型3の先端部と下型5のV溝5aの溝底部の高さ間隔(以下、適宜にD値という)のデータ、及びクラウニング圧力比率(CC)のデータことをいう。また、D値のデータを算出するD値算出式、及びCCのデータを算出するCC算出式は、実験的に求められてあって記憶部35に記憶されている。
【0035】
また、複数の温度センサ45は、CPU37に電気的に接続してあって、下型5の前面に左右方向へ適宜間隔に適宜に配置されている。
【0036】
熱変形量算出部47は、CPU37に電気的に接続されてあって、下型5の温度変化に基づいてヒータ29の加熱に伴う下型5をはじめとする機械系フレーム(上型3、下部テーブル13、上部テーブル17、側板9L,9R等)の熱変形量(熱膨張量)を算出するもである。ここで、下型5をはじめとする機械系フレームの熱変形量を算出する計算式は、実験的に求められてあって記憶部41に記憶されている。
【0037】
加工データ補正部49は、CPU37に電気的に接続されてあって、下型5をはじめとする機械系フレームの前記熱変形量に基づいて加工データ(D値のデータ及びCCのデータ)を補正するものである。ここで、D値のデータの補正値(補正式を含む)、及びCCのデータの補正値(補正式を含む)は、実験的に求められてあって記憶部41に記憶されている。
【0038】
シリンダ制御部51は、CPU37に電気的に接続されてあって、補正された加工データ(D値のデータ、及びCCのデータ)に基づいて曲げ加工用油圧シリンダ21L,21R及びクラウニング用油圧シリンダ23を制御するものである。
【0039】
次に、本発明の実施の形態に係わる曲げ加工方法について、作用を含めて説明する。
【0040】
ワークWを後方向へ移動させて、ワークWの後端面をバックゲージ25のワークWの曲げ部WaがV溝5aの溝中心部の真上に位置するように、ワークWを下型5に対して前後方向へ位置決めする(図1(a)参照)。そして、一対の曲げ加工用油圧シリンダ21L,21Rの作動により上部テーブル17を下方向へ移動させて、上型3の先端部を下型5のV溝5a内に進入させる共に、一対のクラウニング用油圧シリンダ23の作動により下部テーブル13の中央部を上部テーブル17側(上側)へ加圧する。これによって、ワークWの曲げ長さ方向に亘って曲げ角度のばらつきを抑制しつつ、ワークWの曲げ角度が前記所定の曲げ角度になるように、ワークWに対して曲げ加工を行うことができる(図1(b)参照)。
【0041】
ここで、曲げ加工前の通常状態の下でヒータ29の上面の高さ位置が下型5の上面の高さ位置と略同じであって、ヒータ29が下型5のV溝5aの溝中心部に上下方向へ移動可能に設けられ、かつヒータ29がスプリング33により上方向へ付勢されるため、ワークWを下型5に対して前後方向へ位置決めしたときから、ワークWの曲げが進行して曲げ加工が終了するまで、ヒータ29がワークWの曲げ部Waに接触しつつワークWの曲げ部Waを加熱することできる。
【0042】
更に、ワークWを曲げる過程において、加工データ算出部43によって前記入力データに基づいて前記加工データ(D値のデータ及びCCのデータ)を算出する一方、複数の温度センサ45によって下型5の温度を検出し、熱変形量算出部47によって下型5の温度変化に基づいてヒータ29の加熱に伴う下型5をはじめとする機械系フレームの前記熱変形量を算出する。なお、本発明の実施の形態にあっては、下型5の温度変化に基づいて下型5をはじめとする機械系フレームの前記熱変形量を算出しているが、下型5の他に下部テーブル13、上部テーブル17等の温度を検出し、下型5をはじめとする機械系フレームの温度変化に基づいて機械系フレームの前記熱変形量を算出してもよい。
【0043】
そして、加工データ補正部49によって前記熱変形量に基づいて前記加工データを補正し、シリンダ制御部51によって補正された加工データに基づいて一対の曲げ加工用油圧シリンダ21L,21Rを制御して上部テーブル17を下方向へ移動させると共に、一対のクラウニング用油圧シリンダ23を制御して下部テーブル13の中央部を上部テーブル17側へ加圧する。なお、前記熱変形量の算出、前記加工データの補正は、ワークWの曲げ角度が前記所定の曲げ角度になるまで、繰り返して多数回行ってもよい。
【0044】
以上の如き、本発明の実施の形態によれば、ワークWを下型5に対して前後方向へ位置決めしたときから、ワークWの曲げが進行して曲げ加工が終了するまで、ヒータ29がワークWの曲げ部Waに接触しつつワークWの曲げ部Waを加熱するため、マグネシウムやステンレス等の難加工材からなるワークWに対して曲げ加工を行う場合であっても、大きな曲げ荷重を不要として、上部テーブル17を上下方向へ移動させる一対の曲げ加工用油圧シリンダ21L,21Rが大型化することを回避できると共に、ワークWの曲げ部Waにひび,割れが発生することを防止しつつ、ワークWの曲げ部Waの曲げ半径を容易に小さくすることができる。
【0045】
また、ヒータ29の加熱に伴う下型5の前記熱変形量に基づいて前記加工データを補正しているため、前記熱変形量も加味して一対の曲げ加工用油圧シリンダ21L,21R及び一対のクラウニング用油圧シリンダ23を制御でき、ワークWの曲げ加工精度の向上を図ることができる。
【0046】
なお、本発明は、前述の発明の実施の形態の説明に限るものではなく、例えば、下型5の熱変形量を算出するだけでなく、上型3、下部テーブル13、上部テーブル17、側板9L,9Rの熱変形量を算出し、これらの熱変形量を含めて前記加工データの補正を行うようにしてもよい。
【0047】
【発明の効果】
請求項1から請求項6のうちのいずれかの請求項に記載の発明によれば、ワークの曲げが進行して曲げ加工が終了するまで、前記ヒータがワークの曲げ部に接触しつつワークの曲げ部を加熱するため、マグネシウムやステンレス等の難加工材からなるワークに対して曲げ加工を行う場合であっても、大きな曲げ荷重を不要として、前記上部テーブルを前記下部テーブルに対して相対的に移動させるアクチュエータが大型化することを回避できると共に、ワークの曲げ部にひび,割れが発生することを防止しつつ、ワークの曲げ部の曲げ半径を容易に小さくすることができる。特に、請求項3又は請求項6に記載の発明によれば、ワークを前記下型に対して前後方向へ位置決めしたときから、前記ヒータがワークの曲げ部に接触しつつワークの曲げ部を加熱することができるため、前述の効果が更に向上するものである。
【0048】
請求項4に記載の発明によれば、前述の効果の他に、前記熱変形量に基づいて前記加工データを補正しているため、前記熱変形量も加味して前記アクチュエータを制御でき、ワークの曲げ加工精度の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係わる曲げ加工方法を説明する図である。
【図2】本発明の実施の形態に係わる曲げ加工機の正面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係わる曲げ加工機の側断面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係わる制御ブロック図である。
【符号の説明】
1 曲げ加工機
3 上型
5 下型
7 本体フレーム
13 下部テーブル
17 上部テーブル
21L,21R 曲げ加工用油圧シリンダ
23 クラウニング用油圧シリンダ
29 ヒータ
33 スプリング
43 加工データ算出部
45 温度センサ
47 熱変形量算出部
49 加工データ補正部
51 シリンダ制御部
【発明の属する技術分野】
本発明は、曲げ加工方法、曲げ加工機、及び温間金型装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の一般的な曲げ加工機について簡単に説明すると、次のようになる。
【0003】
前記曲げ加工機は、上型の先端部を下型のV溝内に相対的に進入させることにより、前記下型に支持された板状のワークに対して曲げ加工を行うものであって、本体フレームをベースとしている。前記本体フレームの下部には、左右方向へ延びた下部テーブルが設けられており、この下部テーブルの上側には、前記下型が着脱可能に取付けられている。また、前記本体フレームの上部には、左右方向へ延びた上部テーブルが上下方向へ移動可能に設けられており、この上部テーブルの下側には、前記上型が着脱可能に取付けられている。更に、前記本体フレームの左側上部と右側上部には、前記上部テーブルを上下方向へ移動させる曲げ加工用油圧シリンダがそれぞれ設けられている。
【0004】
従って、ワークの曲げ部が前記V溝の溝中心部の真上に位置するように、ワークを前記下型に対して前後方向へ位置決めする。そして、前記曲げ加工用油圧シリンダの作動により前記上部テーブルを下方向へ移動させて、前記上型の先端部を前記下型の前記V溝内に進入させる。これによって、ワークの曲げ角度が所定の曲げ角度になるように、ワークに対して曲げ加工(冷間曲げ加工)を行うことができる。
【0005】
また、ワークに対して温間曲げ加工を行う場合にあっては、ワークを前記下型に対して前後方向へ位置決めする前に、前記本体フレームの近傍に配置したワーク加熱装置によりワークの曲げ部周辺(曲げ部を含む)を加熱してワークの曲げ部周辺を曲げ易くしておく。
【0006】
【発明が解決しようとnする課題】
ところで、マグネシウムやステンレス等の難加工材からなるワークに対して前述のような冷間曲げ加工を行う場合にあっては、大きな曲げ荷重を必要とし、前記上部テーブルを前記下部テーブルに対して相対的に移動させるアクチュエータが大型化するという問題がある。更に、上記の場合には、ワークの曲げ部にひび,割れの発生を防止しつつワークの曲げ部の曲げ半径を小さくすることが容易でないという問題がある。
【0007】
また、難加工材からなるワークを前記下型に対して前後方向へ位置決めする前に、ワークの曲げ部周辺を加熱しておいても、曲げ加工時にワークの曲げ部付近の温度が急激に低下することがあり、上記の問題を完全に解決することはできない。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明にあっては、上型の先端部を下型のV溝内に相対的に進入させることにより、前記下型に支持された板状のワークに対して曲げ加工を行う曲げ加工方法において、
ワークの曲げが進行して曲げ加工が終了するまで、前記下型に設けられたヒータが、ワークの曲げ部に接触しつつワークの曲げ部を加熱するようにしたことを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明にあっては、上型の先端部を下型のV溝内に相対的に進入させることにより、前記下型に支持された板状のワークに対して曲げ加工を行う曲げ加工機において、
本体フレームと、
前記本体フレームの下部に設けられ、上側に前記下型が取付けられる下部テーブルと、
前記本体フレームの上部に前記下部テーブルに対して相対的に上下方向へ移動可能に設けられ、下側に前記上型が取付けられる上部テーブルと、
前記下型の前記V溝の溝中心部に上下方向へ移動可能に設けられ、ワークの曲げ部に接触しつつワークの曲げ部を加熱するヒータと、
前記ヒータを上方向へ付勢可能な付勢部材と、
を備えてなることを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明特定事項によると、ワークの曲げ部が前記V溝の溝中心部の真上に位置するように、ワークを前記下型に対して前後方向へ位置決めする。そして、前記上部テーブルを前記下部テーブルに対して相対的に下方向へ移動させて、前記上型の先端部を前記下型の前記V溝内に相対的に進入させる。これによって、ワークの曲げ角度が所定の曲げ角度になるように、ワークに対して曲げ加工を行うことができる。
【0011】
ここで、前記ヒータが前記下型の前記V溝の溝中心部に上下方向へ移動可能に設けられてあって、前記ヒータが前記付勢部材により上方向へ付勢されるため、ワークの曲げが進行して曲げ加工が終了するまで、前記ヒータがワークの曲げ部に接触しつつワークの曲げ部を加熱することできる。
【0012】
請求項3に記載の発明にあっては、請求項2に記載の発明特定事項の他に、曲げ加工前の通常状態の下で、前記ヒータの上面の高さ位置が前記下型の上面の高さ位置と略同じになるように構成してなることを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載の発明特定事項によると、請求項2に記載の発明特定事項による作用の他に、曲げ加工前の通常状態の下で前記ヒータの上面の高さ位置が前記下型の上面の高さ位置と略同じであるため、ワークを前記下型に対して前後方向へ位置決めしたときから、前記ヒータがワークの曲げ部に接触しつつワークの曲げ部を加熱することできる。
【0014】
請求項4に記載の発明にあっては、請求項2又は請求項3に記載の発明特定事項の他に、前記上部テーブル,前記下部テーブルのうち少なくともいずれかのテーブルを動作させるアクチュエータと、
入力データに基づいて加工データを算出する加工データ算出手段と、
前記下型,前記上型,前記下部テーブル,前記上部テーブル,前記本体フレームのうちの適数のプレス構成部材の温度を検出する温度検出手段と、
前記適数のプレス構成部材の温度変化に基づいて前記ヒータの加熱に伴う前記適数のプレス構成部材の熱変形量を算出する熱変形量算出手段と、
前記熱変形量に基づいて前記加工データを補正する加工データ補正手段と、
補正された加工データに基づいて前記アクチュエータを制御する制御手段と、
を備えてなることを特徴とする。
【0015】
請求項4に記載の発明特定事項によると、請求項2又は請求項3に記載の発明特定事項による作用の他に、前記加工データ算出手段によって前記入力データに基づいて加工データを算出する一方、前記温度検出手段によって前記適数のプレス構成部材の温度を検出し、前記熱変形量算出手段によって前記適数のプレス構成部材の温度変化に基づいて前記ヒータの加熱に伴う前記適数のプレス構成部材の前記熱変形量を算出する。そして、前記加工データ補正手段によって前記熱変形量に基づいて前記加工データを補正し、前記アクチュエータ制御手段によって補正された加工データに基づいて前記アクチュエータを制御して少なくとも前記いずれかのテーブルを動作させる。
【0016】
請求項5に記載の発明にあっては、板状のワークの曲げ部を加熱しつつワークに対して曲げ加工を行うために用いられる温間金型装置において、
V溝を有する下型と、
前記下型の前記V溝の溝中心部に上下方向へ移動可能に設けられ、ワークの曲げ部に接触してワークの曲げ部を加熱するヒータと、
前記下型に設けられ、前記ヒータを上方向へ付勢可能な付勢部材と、
を備えてなることを特徴とする。
【0017】
請求項5に記載の発明特定事項によると、前記ヒータが前記下型の前記V溝の溝中心部に上下方向へ移動可能に設けられてあって、前記ヒータが前記付勢部材により上方向へ付勢されるため、ワークの曲げが進行して曲げ加工が終了するまで、前記ヒータがワークの曲げ部に接触しつつワークの曲げ部を加熱することできる。
【0018】
請求項6に記載の発明にあっては、請求項5に記載の発明特定事項の他に、曲げ加工前の通常状態の下で、前記ヒータの上面の高さ位置が前記下型の上面の高さ位置と略同じになるように構成してなることを特徴とする。
【0019】
請求項6に記載の発明特定事項によると、請求項5に記載の発明特定事項による作用の他に、曲げ加工前の通常状態の下で前記ヒータの上面の高さ位置が前記下型の上面の高さ位置と略同じであるため、ワークを前記下型に対して前後方向へ位置決めしたときから、前記ヒータがワークの曲げ部に接触しつつワークの曲げ部を加熱することできる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0021】
図1は、本発明の実施の形態に係わる曲げ加工方法を説明する図であって、図2は、本発明の実施の形態に係わる曲げ加工機の正面図であって、図3は、本発明の実施の形態に係わる曲げ加工機の側断面図であって、図4は、本発明の実施の形態に係わる制御ブロック図である。
【0022】
ここで、「前」は、図1及び図3において左,図2において紙面向かって表のことをいい、「後」は、図1及び図3において右,図2において紙面向かって裏のことをいい、「左」は、図1及び図3において紙面に向かって裏,図2において左のことをいい、「右」は、図1及び図3において紙面に向かって表,図2において右のことをいい、「上」は、図1から図3において上,「下」は、図1から図3において下のことをいう。
【0023】
図1から図3に示すように、本発明の実施の形態に係わる曲げ加工機1は、上型3の先端部を下型5のV溝5a内に進入させることにより、下型5に支持された板状のワークWに対して曲げ加工を行う機械であって、本体フレーム7をベースとしている。ここで、本体フレーム7は、左右に離隔した一対の側板9L,9Rと、一対の側板9L,9Rを連結する複数の連結部材11とを備えている。
【0024】
一対の側板9L,9Rの下部には、左右方向へ延びた下部テーブル13が設けられており、この下部テーブル13の上側には、下型5が下型取付具15(図1においては省略している)を介して着脱可能に取付けられている。一対の側板9L,9Rの上部には、左右方向へ延びた上部テーブル17が上下方向へ移動可能に設けられており、この上部テーブル17の下側には、上型3が上型取付具19(図1においては省略している)を介して着脱可能に取付けられている。そして、一対の側板9L,9Rの上部には、上部テーブル17を上下方向へ移動させる曲げ加工用油圧シリンダ21L,21Rが設けられている。なお、上部テーブル17を上下方向へ移動させる代わりに、下部テーブル13を上下方向へ移動させるようにしても差し支えない。
【0025】
下部テーブル13の下側の適宜位置には、一対のクラウニング用油圧シリンダ23が設けてあり、一対のクラウニング用油圧シリンダ23は、下部テーブル13の中央部を上部テーブル17側(上側)へ加圧することによってワークWの曲げ長さ方向に亘って曲げ角度のばらつきを抑制するものである。
【0026】
ここで、一対のクラウニング用油圧シリンダ23による加圧力の和(PC)と一対の曲げ加工用油圧シリンダ21L,21Rによる加圧力の和(PL+PR)の関係を示すものとして、クラウニング圧力比率(以下、適宜にCCという)があり、CCは、次のように与えられる。
【0027】
CC={PC/(PL+PR)}×100%
また、ワークWを下型5に対して前後方向へ位置決めするため、本体フレーム7における上部テーブル17の後側には、バックゲージ25が前後方向へ位置調節可能に設けられており、このバックゲージ25はワークWの後端面が突き当たり可能な突き当て面25aを有している。
【0028】
図2に示すように、下型5のV溝5aの溝中心部には、ガイド穴27が形成されており、このガイド穴27には、ワークWの曲げ部Waに接触してワークWの曲げ部Waを加熱するヒータ29がヒータ支持部材31を介して上下方向へ移動可能に設けられている。また、ガイド穴27におけるヒータ支持部材31の下側には、ヒータ29を上方向へ付勢可能なスプリング33が設けられており、曲げ加工前の通常状態の下で、ヒータ支持部材31の一部がガイド穴27のストッパ部(図示省略)に下方向から突き当たってヒータ29の上面の高さ位置が下型5の上面の高さ位置と略同じになるように構成してある。ここで、下型5と、ヒータ27と、ヒータ支持部材31と、スプリング33とによって、ワークWの曲げ部Waを加熱してワークWに対して曲げ加工を行うために用いられる温間金型装置が構成される。
【0029】
なお、ガイド穴27及びヒータ29をそれぞれ左右方向へ延びるように構成したり、又はガイド穴27及びヒータ29をそれぞれ左右方向へ適宜間隔に複数設けるようにしたりする等、適宜の変更をすることができる。また、前記温間金型装置からヒータ支持部材31を省略してスプリング33によってヒータ29を直接付勢するようにしてもよい。
【0030】
図4に示すように、曲げ加工機1は曲げ加工制御システム35を備えており、このプレス加工制御システム35はワークWに対して高精度な曲げ加工を行うためのシステムであって、詳細に以下のようになる。
【0031】
即ち、曲げ加工制御システム35は、CPU37と、入力部39と、記憶部41と、加工データ算出部43と、複数の温度センサ45と、熱変形量算出部47と、加工データ補正部49と、シリンダ制御部51とを主要な構成要素としている。
【0032】
入力部39は、CPU37に電気的に接続されてあって、機械データ、ワークデータ、製品データ等の入力データを入力するものである。ここで、前記機械データとは、例えば上部テーブル17と下部テーブル13の所定箇所の寸法,上部テーブル17と下部テーブル13のヤング率等のことをいい、前記ワークデータとは、例えばワークWの曲げ部Waの左右方向の長さ,ワークWのヤング率等のことをいい、前記製品データとは、例えば曲げフランジ,所定の曲げ角度等のことをいう。
【0033】
記憶部41は、CPU37に電気的に接続されてあって、種々のデータ等を記憶するものである。
【0034】
加工データ算出部43は、CPU37に電気的に接続されてあって、前記入力データに基づいて加工データを算出するものである。ここで、前記加工データとは、本発明の実施の形態にあっては、ワークWの曲げ角度が前記所定の曲げ角度になるための上型3の先端部と下型5のV溝5aの溝底部の高さ間隔(以下、適宜にD値という)のデータ、及びクラウニング圧力比率(CC)のデータことをいう。また、D値のデータを算出するD値算出式、及びCCのデータを算出するCC算出式は、実験的に求められてあって記憶部35に記憶されている。
【0035】
また、複数の温度センサ45は、CPU37に電気的に接続してあって、下型5の前面に左右方向へ適宜間隔に適宜に配置されている。
【0036】
熱変形量算出部47は、CPU37に電気的に接続されてあって、下型5の温度変化に基づいてヒータ29の加熱に伴う下型5をはじめとする機械系フレーム(上型3、下部テーブル13、上部テーブル17、側板9L,9R等)の熱変形量(熱膨張量)を算出するもである。ここで、下型5をはじめとする機械系フレームの熱変形量を算出する計算式は、実験的に求められてあって記憶部41に記憶されている。
【0037】
加工データ補正部49は、CPU37に電気的に接続されてあって、下型5をはじめとする機械系フレームの前記熱変形量に基づいて加工データ(D値のデータ及びCCのデータ)を補正するものである。ここで、D値のデータの補正値(補正式を含む)、及びCCのデータの補正値(補正式を含む)は、実験的に求められてあって記憶部41に記憶されている。
【0038】
シリンダ制御部51は、CPU37に電気的に接続されてあって、補正された加工データ(D値のデータ、及びCCのデータ)に基づいて曲げ加工用油圧シリンダ21L,21R及びクラウニング用油圧シリンダ23を制御するものである。
【0039】
次に、本発明の実施の形態に係わる曲げ加工方法について、作用を含めて説明する。
【0040】
ワークWを後方向へ移動させて、ワークWの後端面をバックゲージ25のワークWの曲げ部WaがV溝5aの溝中心部の真上に位置するように、ワークWを下型5に対して前後方向へ位置決めする(図1(a)参照)。そして、一対の曲げ加工用油圧シリンダ21L,21Rの作動により上部テーブル17を下方向へ移動させて、上型3の先端部を下型5のV溝5a内に進入させる共に、一対のクラウニング用油圧シリンダ23の作動により下部テーブル13の中央部を上部テーブル17側(上側)へ加圧する。これによって、ワークWの曲げ長さ方向に亘って曲げ角度のばらつきを抑制しつつ、ワークWの曲げ角度が前記所定の曲げ角度になるように、ワークWに対して曲げ加工を行うことができる(図1(b)参照)。
【0041】
ここで、曲げ加工前の通常状態の下でヒータ29の上面の高さ位置が下型5の上面の高さ位置と略同じであって、ヒータ29が下型5のV溝5aの溝中心部に上下方向へ移動可能に設けられ、かつヒータ29がスプリング33により上方向へ付勢されるため、ワークWを下型5に対して前後方向へ位置決めしたときから、ワークWの曲げが進行して曲げ加工が終了するまで、ヒータ29がワークWの曲げ部Waに接触しつつワークWの曲げ部Waを加熱することできる。
【0042】
更に、ワークWを曲げる過程において、加工データ算出部43によって前記入力データに基づいて前記加工データ(D値のデータ及びCCのデータ)を算出する一方、複数の温度センサ45によって下型5の温度を検出し、熱変形量算出部47によって下型5の温度変化に基づいてヒータ29の加熱に伴う下型5をはじめとする機械系フレームの前記熱変形量を算出する。なお、本発明の実施の形態にあっては、下型5の温度変化に基づいて下型5をはじめとする機械系フレームの前記熱変形量を算出しているが、下型5の他に下部テーブル13、上部テーブル17等の温度を検出し、下型5をはじめとする機械系フレームの温度変化に基づいて機械系フレームの前記熱変形量を算出してもよい。
【0043】
そして、加工データ補正部49によって前記熱変形量に基づいて前記加工データを補正し、シリンダ制御部51によって補正された加工データに基づいて一対の曲げ加工用油圧シリンダ21L,21Rを制御して上部テーブル17を下方向へ移動させると共に、一対のクラウニング用油圧シリンダ23を制御して下部テーブル13の中央部を上部テーブル17側へ加圧する。なお、前記熱変形量の算出、前記加工データの補正は、ワークWの曲げ角度が前記所定の曲げ角度になるまで、繰り返して多数回行ってもよい。
【0044】
以上の如き、本発明の実施の形態によれば、ワークWを下型5に対して前後方向へ位置決めしたときから、ワークWの曲げが進行して曲げ加工が終了するまで、ヒータ29がワークWの曲げ部Waに接触しつつワークWの曲げ部Waを加熱するため、マグネシウムやステンレス等の難加工材からなるワークWに対して曲げ加工を行う場合であっても、大きな曲げ荷重を不要として、上部テーブル17を上下方向へ移動させる一対の曲げ加工用油圧シリンダ21L,21Rが大型化することを回避できると共に、ワークWの曲げ部Waにひび,割れが発生することを防止しつつ、ワークWの曲げ部Waの曲げ半径を容易に小さくすることができる。
【0045】
また、ヒータ29の加熱に伴う下型5の前記熱変形量に基づいて前記加工データを補正しているため、前記熱変形量も加味して一対の曲げ加工用油圧シリンダ21L,21R及び一対のクラウニング用油圧シリンダ23を制御でき、ワークWの曲げ加工精度の向上を図ることができる。
【0046】
なお、本発明は、前述の発明の実施の形態の説明に限るものではなく、例えば、下型5の熱変形量を算出するだけでなく、上型3、下部テーブル13、上部テーブル17、側板9L,9Rの熱変形量を算出し、これらの熱変形量を含めて前記加工データの補正を行うようにしてもよい。
【0047】
【発明の効果】
請求項1から請求項6のうちのいずれかの請求項に記載の発明によれば、ワークの曲げが進行して曲げ加工が終了するまで、前記ヒータがワークの曲げ部に接触しつつワークの曲げ部を加熱するため、マグネシウムやステンレス等の難加工材からなるワークに対して曲げ加工を行う場合であっても、大きな曲げ荷重を不要として、前記上部テーブルを前記下部テーブルに対して相対的に移動させるアクチュエータが大型化することを回避できると共に、ワークの曲げ部にひび,割れが発生することを防止しつつ、ワークの曲げ部の曲げ半径を容易に小さくすることができる。特に、請求項3又は請求項6に記載の発明によれば、ワークを前記下型に対して前後方向へ位置決めしたときから、前記ヒータがワークの曲げ部に接触しつつワークの曲げ部を加熱することができるため、前述の効果が更に向上するものである。
【0048】
請求項4に記載の発明によれば、前述の効果の他に、前記熱変形量に基づいて前記加工データを補正しているため、前記熱変形量も加味して前記アクチュエータを制御でき、ワークの曲げ加工精度の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係わる曲げ加工方法を説明する図である。
【図2】本発明の実施の形態に係わる曲げ加工機の正面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係わる曲げ加工機の側断面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係わる制御ブロック図である。
【符号の説明】
1 曲げ加工機
3 上型
5 下型
7 本体フレーム
13 下部テーブル
17 上部テーブル
21L,21R 曲げ加工用油圧シリンダ
23 クラウニング用油圧シリンダ
29 ヒータ
33 スプリング
43 加工データ算出部
45 温度センサ
47 熱変形量算出部
49 加工データ補正部
51 シリンダ制御部
Claims (6)
- 上型の先端部を下型のV溝内に相対的に進入させることにより、前記下型に支持された板状のワークに対して曲げ加工を行う曲げ加工方法において、
ワークの曲げが進行して曲げ加工が終了するまで、前記下型に設けられたヒータが、ワークの曲げ部に接触しつつワークの曲げ部を加熱するようにしたことを特徴とする曲げ加工方法。 - 上型の先端部を下型のV溝内に相対的に進入させることにより、前記下型に支持された板状のワークに対して曲げ加工を行う曲げ加工機において、
本体フレームと、
前記本体フレームの下部に設けられ、上側に前記下型が取付けられる下部テーブルと、
前記本体フレームの上部に前記下部テーブルに対して相対的に上下方向へ移動可能に設けられ、下側に前記上型が取付けられる上部テーブルと、
前記下型の前記V溝の溝中心部に上下方向へ移動可能に設けられ、ワークの曲げ部に接触してワークの曲げ部を加熱するヒータと、
前記ヒータを上方向へ付勢可能な付勢部材と、
を備えてなることを特徴とする曲げ加工機。 - 曲げ加工前の通常状態の下で、前記ヒータの上面の高さ位置が前記下型の上面の高さ位置と略同じになるように構成してなることを特徴とする請求項2に記載の曲げ加工機。
- 前記上部テーブル,前記下部テーブルのうち少なくともいずれかを動作させるアクチュエータと、
入力データに基づいて加工データを算出する加工データ算出手段と、
前記下型,前記上型,前記下部テーブル,前記上部テーブル,前記本体フレームのうちの適数のプレス構成部材の温度を検出する温度検出手段と、
前記適数のプレス構成部材の温度変化に基づいて前記ヒータの加熱に伴う前記適数のプレス構成部材の熱変形量を算出する熱変形量算出手段と、
前記熱変形量に基づいて前記加工データを補正する加工データ補正手段と、
補正された加工データに基づいて前記アクチュエータを制御する制御手段と、
を備えてなることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の曲げ加工機。 - 板状のワークの曲げ部を加熱しつつワークに対して曲げ加工を行うために用いられる温間金型装置において、
V溝を有する下型と、
前記下型の前記V溝の溝中心部に上下方向へ移動可能に設けられ、ワークの曲げ部に接触してワークの曲げ部を加熱するヒータと、
前記下型に設けられ、前記ヒータを上方向へ付勢可能な付勢部材と、
を備えてなることを特徴とする温間金型装置。 - 曲げ加工前の通常状態の下で、前記ヒータの上面の高さ位置が前記下型の上面の高さ位置と略同じになるように構成してなることを特徴とする請求項5に記載の温間金型装置。
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