JP2004033826A - 液状物体の塗布方法及び塗布装置と円板状物体の貼り合わせ方法及び貼り合わせ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】被塗布物への液状物体の塗布を全体にほぼ均一にする。
【解決手段】ディスク基板を中心軸周りに回転させる駆動部と、ディスク基板の回転速度を制御する回転速度制御手段と、ディスク基板の回転速度が初速度Voから漸次低下して終速度Veに至るまでディスク基板上に接着剤をポンプからほぼ一定量づつ同心円状に環状塗布する吐出制御手段とを有している。高速の初速度Voで回転するディスク基板にポンプから接着剤を塗布して塊状部を引き延ばす。ついで定量の接着剤を連続して環状に塗布して終速度Veで塊状部に連結して塗布を終了する。塊状部の接着剤は両側部S1,S2に流れて均されてほぼ均一幅の環状の接着剤塗布部を得る。
【選択図】 図4
【解決手段】ディスク基板を中心軸周りに回転させる駆動部と、ディスク基板の回転速度を制御する回転速度制御手段と、ディスク基板の回転速度が初速度Voから漸次低下して終速度Veに至るまでディスク基板上に接着剤をポンプからほぼ一定量づつ同心円状に環状塗布する吐出制御手段とを有している。高速の初速度Voで回転するディスク基板にポンプから接着剤を塗布して塊状部を引き延ばす。ついで定量の接着剤を連続して環状に塗布して終速度Veで塊状部に連結して塗布を終了する。塊状部の接着剤は両側部S1,S2に流れて均されてほぼ均一幅の環状の接着剤塗布部を得る。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液状物体を環状等に均一に塗布する塗布方法及び塗布装置に関する。またこれら方法及び装置を用いて、円板状物体に接着剤を塗布する工程を有する貼り合わせ方法及び貼り合わせ装置に関し、特には、例えばディジタル・ビデオ/バーサタイル・ディスク(以下、これをDVDと略記する)等の光ディスク等を製造するときに用いて好適なディスク基板等の円板状物体の貼り合わせ方法と貼り合わせ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、DVDを製造する際には、2枚のディスク基板を紫外線硬化性樹脂組成物等を接着剤として貼り合わせる手法が採用されている。ここでいう紫外線硬化性樹脂組成物には、少なくともカチオン重合型紫外線硬化性樹脂組成物とラジカル重合型紫外線硬化性樹脂組成物とが含まれる。
このうち、ラジカル重合型紫外線硬化性樹脂組成物を接着剤として用いる場合には、紫外線照射による硬化速度が速いために、一方のディスク基板にラジカル重合型紫外線硬化性樹脂組成物を円環状に塗布して他方のディスク基板を貼り合わせ、両ディスク基板間にラジカル重合型紫外線硬化性樹脂組成物を展延した後、ディスク基板を透過してUV照射を行うことで硬化させて接着して1枚のディスクを得ることになる。
カチオン重合型紫外線硬化性樹脂組成物は、UV照射の後、徐々に硬化が進展して所定時間経過後に硬化する特性を有する接着剤であるので、紫外線が透過しないディスク基板の貼り合わせに好適に用いることができる。カチオン重合型紫外線硬化性樹脂組成物を用いてディスクを製造するには、一方のディスク基板の表面にカチオン重合型紫外線硬化性樹脂組成物を略円環状に塗布し、カチオン重合型紫外線硬化性樹脂組成物に紫外線を照射する。
そして他方のディスク基板を重ねて貼り合わせ、両ディスク基板を回転(スピン)させることで両基板間のカチオン重合型紫外線硬化性樹脂組成物を展延させる。その後、カチオン重合型紫外線硬化性樹脂組成物が硬化することにより2枚のディスク基板が接着し、1枚のディスクが出来上がる。
【0003】
ところで塗布工程でディスク基板上に円環状に塗布されたカチオン重合型紫外線硬化性樹脂組成物は、展延工程において2枚のディスク基板を回転させることで生じる遠心力で展延する際に外部に飛散することになる。この場合、カチオン重合型紫外線硬化性樹脂組成物は既にUV照射されているために硬化が進行しており、回収して再使用することができない。このような無駄を発生させないために、カチオン重合型紫外線硬化性樹脂組成物の塗布量は最小限にする必要がある。
また円環状に塗布されたカチオン重合型紫外線硬化性樹脂組成物について周方向の塗布量にムラがあると、部分的に外部への無駄な飛散が発生するおそれがあり、塗布量が少ない部分では展延不足による接合不良や気泡混入のおそれがある。従ってカチオン重合型紫外線硬化性樹脂組成物を円環状に塗布する際には、できるだけ均一な塗布断面積をなすように塗布量と塗布幅を全体に均一にする必要がある。
【0004】
接着剤の塗布装置としては、従来ニードルバルブ式ディスペンサや容量計量式ポンプが用いられているが、開閉バルブが一段であるためにノズルに残圧が残り先端部に液溜まりが生じて、塗布開始時の塗布量が過剰となって塗布の均一性が損なわれる欠点がある。そのため、2段バルブ式ディスペンサを採用してノズル先端に残る液溜まりを防止する技術が提案されている。
図9に示す2段バルブ式ディスペンサ60では、二つの開閉バルブ62,63が設けられた2段構成であるために、ノズル64先端部に液溜まりが残存するのを抑えて、吐出量が均一になるように制御できる。また2段バルブ式ディスペンサを使用したとしても、液温が変動することで生じる液粘度の変化により吐出量が変動するが、液温変動を±0.1℃に制御することにより吐出量の安定化を図ることが行われている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のような2段バルブ式ディスペンサを採用したとしても、ノズル64から吐出される接着剤は、吐出開始時において、吐出開始後の吐出量が安定するようになる定常吐出時よりも必ず多く吐出される。その原因として次のような理由が考えられる。
第一の原因として、この種の塗布装置において、樹脂等からなる接着剤の温度調節が2段バルブ式ディスペンサのノズル64先端まで及んでいないのでポンプ1内の温度上昇に伴いノズル64近辺の温度が上昇する。例えば接着剤の液温は23℃に設定されるが、運転によって装置内温度は25〜26℃程度まで上昇する。すると、ノズル先端に残る微量な接着剤が温度上昇に伴う粘度低下によって吐出開始時に一気に吐出する。
第二の原因として、ノズル64先端から接着剤が吐出される瞬間は、接着剤が押し出される圧力より接着剤の表面張力が勝るので、ある程度の重量を有する塊にならないとノズル64から接着剤が離れない(離型剤を塗布すると改善されるが)。第二の原因の改善策として、ノズル64と被塗布物であるディスク基板との距離をごく短く設定すれば、接着剤のノズル64からの吐出開始時の挙動を改善できるが、ノズル64に対して相対回転するディスク基板の微小なうねりにより塗布面であるディスク基板表面と接触して傷をつける可能性がある。
【0006】
従って、接着剤の円環状塗布を行ったとき、その塗布状況は、液溜まりのために塗布開始時の塗布量がその後の定常塗布時より多くなり、その後に均一な定常塗布量に戻りつつ円環状の軌跡を描いて1周し塗布開始部と重なった時点で塗布が終了することになる。すると、図10に示すように円環状塗布部65において、塗布開始点の液溜まりによる塊状部66が他の塗布領域67よりも塗布量及び塗布幅が大きくなる。
その結果、その後の展延工程で接着剤の塊状部66と他の塗布領域67とで展延量及び展延速度に周方向の変動を生じることになり、展延の後に塊状部66に対応した半径方向のディスク端面から外部に飛散する接着剤量の増大を引き起こし、接着剤の消費量増大を引き起こす欠点がある。また塊状部66に対応した半径方向のディスク内周側から接着剤がしみ出すこともある。
尚、従来技術として特開昭61−110350号公報や特開平5−20714号公報では、ディスク基板にリング状に接着剤を塗布して他のディスク基板を貼り合わせてスピン回転させて接着剤を展延する技術が開示されているが、円周方向に塗布する接着剤の塗布量をコントロールする技術については何ら開示されていない。特開平4−263136号公報や特開平11−162018号公報ではディスク基板の接合面に接着剤のはみ出しを防ぐ溝を設置する技術が開示されているが、ディスク基板に特殊な加工が必要になる上に接着剤が過剰に必要になる等の欠点は改善されていない。このように接着剤塗布開始時の大径の塊状部を抑制する技術については全く提案されていなかった。
【0007】
ディスク基板上での円環状塗布部65の塗布量及び塗布幅の変動が大きいときには、次のような問題が発生する。
▲1▼接着剤がカチオン重合型紫外線硬化性樹脂組成物の場合、塗布量の変動を吸収するために全体に多めに塗布すると、展延時の外部への振り切り量が増大するので廃棄物になる量が増大する。すなわち、振り切られたカチオン重合性紫外線硬化性樹脂組成物は、その遅効性を利用するために予め紫外線照射されている場合が多く、回収して再利用することができない。
▲2▼接着剤を挟んで二枚のディスク基板を貼り合わせ、展延した際に、塗布量の多い塊状部66の接着剤がディスク基板の内周端や内周溝を越えて滲みだし外観不良になったり、他の塗布量の少ない領域の接着剤が内周端や内周溝に到達しないために気泡が混入する。
▲3▼接着剤の塗布量に変動があると展延に偏りを生じるが、特に接着剤の硬化速度が速いときには硬化速度に偏りを生じる。そしてこれに起因して接着剤層厚さに変動が生じると、作製されたディスクの高速回転時にディスクの面ブレが発生し、軸加速度特性が悪化して軸方向の変動が増大する。そのため、ディスク表面の情報記録面に再生用レーザー光の焦点を正確に合わせることができなくなり、再生エラーが発生する。
【0008】
本発明は、このような実情に鑑みて、被塗布物への液状物体の塗布を全体にほぼ均一にできるようにした液状物体の塗布方法及び塗布装置を提供することを目的とする。
また本発明の他の目的は、円板状物体への接着剤の塗布を全体にほぼ均一にできるようにした円板状物体の貼り合わせ方法及び貼り合わせ装置を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、吐出口と被塗布物とを相対回転させ、吐出口より液状物体を被塗布物に吐出させて、均一な環状に塗布する塗布方法であって、塗布開始時の前記相対回転の速度を、その後の前記相対回転の速度より速くするようにした液状物体の塗布方法を提供する。
塗布開始時に、液状物体の塗布速度を高速にすることで液状物体が塊状部となって塗布され他の領域よりも塗布量及び塗布幅が増大するのを抑制して、その後に定常塗布量を以て環状に塗布して塗布を終了し、ほぼ均一な環状の塗布形状を形成できる。
【0010】
本発明による液状物体の塗布方法は、液状物体を被塗布物に環状に塗布する塗布方法であって、液状物体は塗布開始時から塗布終了時に向けて塗布速度を低下させるようにしてもよい。塗布速度を塗布開始時から漸次低下させることで、最も高速の塗布開始時の塗布量と塗布幅を低減させて大きな塊状になるのを抑えることができ、その後に定常塗布量を以て環状に塗布して塗布を終了する。しかも塗布量と塗布幅を抑制された塊状部の液状物体が両側へ流動してほぼ均一な環状塗布を達成できる。
また本発明による円板状物体の貼り合わせ方法は、2つの円板状物体を接着剤を介して貼り合わせるようにした円板状物体の貼り合わせ方法であって、接着剤の吐出口と円板状物体とを相対回転させてこの円板状物体に接着剤を円環状に塗布する塗布工程と、接着剤を挟んで2枚の円板状物体を貼り合わせた後に回転させて接着剤を展延させる展延工程とを備えていて、塗布工程において液状物体は塗布開始時から塗布終了時に向けて接着剤の吐出口と円板状物体との相対回転速度を低下させるようにした。
そのため、相対回転速度が塗布開始時から次第に低減することで、接着剤の塗布開始時における塊状部の形成を小さく抑えて全体にほぼ均一な塗布量と塗布幅を有する環状の塗布形状を形成することができ、その後貼り合わせた円板状物体を回転させることで環状の液状物体の展延処理を全周に亘って均一な広がりになるように行える。
【0011】
また本発明による塗布装置は、液状物体を被塗布物に環状に塗布する塗布装置であって、液状物体を被塗布物に吐出する吐出口と、該吐出口と被塗布物とを相対回転させる相対回転手段と、吐出口と被塗布物との相対回転速度について塗布開始時の相対回転速度をその後の相対回転速度より速くするようにした相対回転速度制御手段とを備えている。尚、相対回転速度制御手段について、吐出口と被塗布物との相対回転速度を塗布開始時から塗布終了時に向けて低下させるようにしてもよい。
吐出口と被塗布物との相対回転速度を塗布開始時で高速にすることで、吐出口から吐出される液状物体について吐出開始時の塊状部の形成を抑えて液状物体のほぼ均一な環状の塗布形状を形成できる。
本発明による貼り合わせ装置は、接着剤をほぼ一定量づつ吐出口から円板状物体に塗布する塗布手段と、吐出口と円板状物体とを相対回転させる相対回転手段と、吐出口と被塗布物との相対回転速度を塗布開始時から塗布終了時に向けて低下させるようにした相対回転速度制御手段と、環状に塗布された接着剤を挟んで2枚の円板状物体を貼り合わせる貼り合わせ手段と、貼り合わせた円板状物体を回転させて接着剤を展延させる展延手段とを備えているので、全体にほぼ均一な環状の塗布形状を形成でき、その後円板状物体を回転させることで環状の液状物体の展延処理を全周に亘って均一な広がりになるよう行える。
尚、接着剤はカチオン重合型紫外線硬化性樹脂組成物であり、円板状物体に接着剤が環状に塗布された状態で接着剤に紫外線を照射する紫外線照射手段を更に備えていてもよい。また円板状物体はディスク基板であり、2枚の該ディスク基板を貼り合わせてディスクを構成してもよい。
【0012】
【実施例】
本発明の実施例をDVDの製造装置により説明する。
図1にはDVD製造装置の概略構成を示す。図において符号R1,R2はいずれもディスク基板取出部、R3はディスク作成部、R4はディスク検査部、R5はディスク払出部であり、いずれも図示しないケースの内部に収納されている。
ディスク基板取出部R1は、貼り合わされて1枚のディスク(DVD)をなす2枚のディスク基板(板状物体)の一方をディスク保持器2に積層した状態に複数枚ストックしておくストック装置3と、ディスク保持器2に保持されたディスク基板1aを1枚ずつ取り出す取出装置4とによって構成されている。
ディスク基板取出部R2も同様に、2枚のディスク基板の他方を複数層ストックしておくストック装置3と、ストックされたディスク基板1bを1枚ずつ取り出す取出装置4とに分けて構成されている。
【0013】
ディスク作成部R3は、ディスク基板1aの重ね合わせ面に接着剤Sとしての紫外線硬化性樹脂組成物(この場合はカチオン重合型紫外線硬化性樹脂組成物)を例えば円環状に塗布する塗布装置5(塗布手段)と、接着剤Sを塗布されたディスク基板1aに紫外線を照射する紫外線照射装置6(紫外線照射手段)と、塗布された接着剤Sを挟んでディスク基板1aにディスク基板1bを重ね合わせて1枚のディスク1とする重ね合わせ装置7(貼り合わせ手段)と、重ね合わされたディスク基板1a,1bを周方向に回転させて展延する展延装置8(展延手段)と、展延を終えたディスク1に紫外線と赤外線とを含む光を閃光的に照射して端面硬化処理を行う端面処理装置9と、端面処理を終えたディスク1を所定時間だけ平面状に保持しつつ硬化させる平面保持装置10とによって構成されている。
なお、展延装置8は2系統(8A、8B)が設けられているが、これはディスク基板1a,1bの貼り合わせに比べて展延処理に時間を要するために連続的なディスク製造の生産性が損なわれないようにするためであり、2つの展延装置8A,8Bにディスク1を交互に受け渡して展延することで実質的に展延に要する時間の半減を可能にしている。
平面保持装置10は、例えば3重の周回路11,12,13を三階に積層して各周回路11,12,13間で昇降する複数の昇降装置14、15,16とを備えていて、貼り合わされたディスク1を複数台の平面保持ユニット18に搭載して各周回路11,12,13を間欠的に順次走行させて、反りの悪化を防止しつつ硬化を完了させることができる。
ディスク検査部R4は、ディスク1を検査し良/不良を判定するディスク検査装置19によって構成されている。ディスク払出部R5は、良品と判定されたディスク1を払い出す良品払出部20と、不良品と判定されたディスク1を払い出す不良品払出部21とによって構成されている。
【0014】
ところで、本実施例による塗布装置5は、図2及び図3に示す構成を有している。即ち、図2において塗布装置5は塗布ステージ23に設けたディスク基板1aの回転駆動部24(相対回転手段)と、ディスク基板1aの所定位置に接着剤Sとして液状物体であるカチオン重合型紫外線硬化性樹脂組成物を円環状に塗布するためのポンプ25とが設けられている。このポンプ25は例えば図9に示す二段バルブ式ディスペンサ60と同一構成である。
塗布ステージ23は一方のディスク基板1aを載置するための載置面23aを有している。ディスク基板1aの回転駆動部24は塗布ステージ23に一体に設けられており、ディスク基板1aの中央孔CH及び載置面23aに設けた孔27に対して出没可能な把持部28と、把持部28を出没可能に支持していて把持部28をディスク基板1aと共に中心軸O回りに回転可能な駆動部29とを有している。尚、孔27は中央孔CHと同径かそれより大きい内径を有する。
把持部28は複数、例えば3本の把持ピン30が所定角度(例えば120°間隔)毎に中心軸Oと略同軸の円環状に沿って配設され、各把持ピン30は図示しない弾性部材によって径方向内側即ち中心軸O方向に付勢されている。各把持ピン30は略棒状を呈していて、中心軸Oと略平行に延在すると共に上端は外側に屈曲または湾曲する爪部30aとされている。爪部30aは回転時にディスク基板1aが浮き上がるのを防止して上下方向に位置決めする。
【0015】
駆動部29は把持部28をその長手方向に進退させてディスク基板1aの中央孔CHと載置面23aに対して出没させると共に、各把持ピン30を弾性部材の付勢力に抗して径方向外側に拡径させてディスク基板1aを中央孔CHの内周縁で把持してディスク基板1aを回転させることになる。
またポンプ25は吐出手段を構成するもので、ディスク基板1aの塗布ステージ23とは反対側即ち上方に設けられ、そのノズル25aは下方に延びていて先端開口はディスク基板1aに近接し且つ駆動部29の中心軸Oから径方向に所定距離だけずれた定位置にある。そのためノズル部25aから吐出された接着剤Sは中心軸O回りに回転するディスク基板1aのクランプエリアに中央孔CHと同心をなす円環状に塗布されることになる。
またこのポンプ25は2段バルブ式ディスペンサであるから、ノズル25aに残る液溜まりを防止できる。しかもこのポンプ25内の接着剤の温度変動を例えば±0.1℃内に制御することにより吐出量の安定化を図っている。そのため、ポンプ25のノズル部25aから吐出される接着剤Sの単位時間当たりの吐出量が、定常状態ではほぼ均一になる。
【0016】
更にポンプ25は吐出制御手段32に電気的に接続されており、駆動部29は把持部28即ちディスク基板1aの回転速度を検出すると共にその回転速度を増減調整するための回転速度制御手段33(相対回転速度制御手段)に電気的に接続され、回転速度制御手段33は吐出制御手段32に電気的に接続されている。そして吐出制御手段32では、回転速度制御手段33で検出した把持部28即ちディスク基板1aの回転速度が所望の設定速度(Vo−Ve)の範囲内である場合にポンプ25のノズル25aから接着剤を一定量Q吐出するように制御し、ディスク基板1aの回転速度が上昇する立ち上がり時や設定速度から低下する立ち下がり時には接着剤を吐出しないように制御する。
しかも回転速度制御手段33ではディスク基板1aの回転速度を、図4に示すように、初速度Voまで上昇させる立ち上がり工程、初速度Voに到達した時点から一定減速比で漸次回転速度を低下させていき終速度Ve(<Vo)に到達するまでの接着剤吐出工程、終速度Veから回転を停止させるべく回転速度を更に低下させる立ち下がり工程とに制御する。これに連動して回転速度が初速度Voから終速度Veまでの接着剤吐出工程において、吐出制御手段32から単位時間当たり一定の吐出量Qをポンプ25から吐出させるように制御する。
ここで、図3にはポンプ25の構造の一例が開示されており、ポンプ25のチャンバ35内にはディスペンザ36が設けられ、容器37に貯留された接着剤Sをディスペンザ36に供給する供給ホース38が連結されている。供給ホース38は断熱ホース39内を通ってチャンバ35内に導かれ、チャンバ35には温度を23℃±1℃に設定された制御エア発生装置40が接続され、チャンバ35内に温度制御されたエアを供給して供給ホース38内の接着剤Sの温度をほぼ一定に制御する。
【0017】
次に、上記のように構成されたDVD製造装置によるディスク1の製造方法について説明する。
まず、図1に示すディスク基板取出部R1において、ストック装置3を構成するストックステージAが回転し、ステージ上に設置された複数のディスク保持器2のひとつが基板取出位置A1に移動して取出装置4による基板取り出しに備える。各ディスク保持器2には、ディスク基板1aとスペーサ(図示略)とが交互に積層されている。
取出装置4には、同期して駆動する2本のアーム4a,4bが設けられており、ディスク保持器2に保持されたディスク基板1aのうち最も上にある1枚がアーム4aによって塗布ステージB上の基板受取位置B1に搬送される。またアーム4aの回帰動作の際、ディスク保持器2のスペーサはアーム4bによって回収される。
ディスク基板取出部R2においても同様に、ストック装置3を構成するストックステージAが回転し、ステージ上に設置された複数のディスク保持器2のひとつが基板取出位置A1に移動する。続いて、ディスク保持器2に保持されたディスク基板1bのうち最も上にある1枚がアーム4aによって重ね合わせ装置7に搬送され、反転アームに受け渡される。また、アーム4aの回帰動作の際、ディスク保持器2のスペーサはアーム4bによって回収される。
【0018】
基板受取位置B1に搬送されたディスク基板1aは、塗布ステージBの回転に伴って接着剤塗布位置B2に移動する。接着剤塗布位置B2に移動したディスク基板1aの重ね合わせ面には、接着剤Sが塗布装置5によってディスク基板1aの情報記録層が設けられた面の内側に位置するクランプエリアに中央孔CHと同心円をなすリングを描くように線状に塗布される。
ここでの塗布量は、周方向に対してはできるだけ均一かつ定量的に、必要量のみ実施されることが望ましい。その理由は、回転展延の際にディスク1の外側へ飛散する接着剤Sの廃棄量を極力少なくするためである。また、環状をなす接着剤塗布部の塗布幅が広くなると他方のディスク基板1aを重ねた際に中央孔CHから内周側に接着剤Sがはみ出して仕上がり不良の原因になるのを防ぐためである。
なお、接着剤Sには、波長領域310〜340nmにおける光吸収係数が2×103m−1以下の特性を有するカチオン重合型紫外線硬化性樹脂組成物が使用される。このような接着剤Sを用いることにより紫外線照射による局部的な硬化が起こることなく照射後の展延が可能となる。このような接着剤Sは、光重合開始剤として、350nm以下の光吸収係数が比較的小さい材料を選択的に使用することによって得られるものである。
【0019】
次に接着剤Sの塗布方法について図2,図4及び図5により詳細に説明する。先ず図2において、塗布ステージ23の載置面23a上の所定位置にディスク基板1aが載置され接着剤塗布位置B2に回動させられると、塗布ステージ23の孔27内に没している把持部28がディスク基板1aの中央孔CHを貫通して上方に突出する。次に駆動部29によって把持部28の複数の把持ピン30が弾性部材の付勢力に抗して径方向外側に拡径作動し、これによってディスク基板1aは把持部28に把持される。この状態でディスク基板1aは駆動部28の回転中心をなす中心軸Oと同軸になる。
そして駆動部29を駆動することで把持部28を中心軸O回りに回転させ、ディスク基板1aを一体回転させる。駆動部29によるディスク基板1aの回転速度は、図4に示すように、回転速度を漸次増大させて初速度Voに到達した時点で吐出制御手段32によりポンプ25から接着剤Sを一定量Qづつ吐出させ、これと同時に回転速度制御手段33により駆動部29によるディスク基板1aの回転速度を漸次減少させる。尚、回転速度VoからVeまでは接着剤の塗布を行う塗布速度を構成する。
【0020】
するとノズル25aに対してディスク基板1aが回転することで接着剤Sが同心円を描いて環状に塗布される。この接着剤塗布工程を図5で説明すると、先ず最も高速の初速度Voでポンプ25のノズル25aから接着剤Sを吐出するが、吐出開始時にはノズル25aにわずかに残留していた接着剤Sが、吐出量Qで吐出口に供給される接着剤Sと共に吐出口端面で表面張力によって膨れ上がり、更に接着剤量の上昇による吐出口端面の液だまりの重量が表面張力にうち勝って、液溜まりの接着剤として一気に吐出されるために、定量Qより多い塊状部Saとして塗布される(図5(a)参照)。この時、ディスク基板1aは高速Voで回転するために塊状部Saは塗布方向に引き延ばされて高速の塗布速度Voで塗布されることになる。そのため定量Qより過剰に供給された塊状部Saは、高速で引き延ばされ単位長さ当たりの塗布量と塗布幅を小さくすることができる。
その後、定量Qの接着剤Sが連続してノズル25aから吐出されるが、高速の塗布速度を次第に低下させつつ塗布されるために当初は塗布幅と塗布量が小さく、そしてディスク基板1aの回転速度が次第に低下するために塗布量と塗布幅は少しづつ大きくなり、終速度Veにおける塗布速度によって塊状部Saに接続されて塗布を終了する(同図(b)参照)。これによってディスク基板1aと同心の環状の接着剤塗布部SAが形成される。
この時、塊状部Saにおける接着剤はその両側近傍の塗布部S1、S2より塗布幅と塗布量が若干多い程度であるが、その後に塊状部Saの接着剤は液状物体の流動性のために塗布量及び塗布幅の比較的小さい両側の塗布部S1、S2方向に一部が流れて塗布幅と塗布量が全周に亘ってほぼ均一に均される(同図(c)参照)。このようにして塗布開始時の液溜まりによる塊状部Saがあっても全周に亘ってほぼ均一な塗布幅及び塗布量の接着剤塗布部SAが形成される。
回転速度が終速度Veに達した時点でポンプ25からの接着剤Sの吐出を停止させた後、ディスク基板1aの回転速度を低下させて停止させる。
【0021】
上述のように、接着剤塗布部SAの形成されたディスク基板1aは、図1において塗布ステージBの回転に伴って紫外線照射位置B3に移動し、ディスク基板1aの重ね合わせ面には紫外線照射装置6から紫外線が照射され、接着剤Sの硬化のための反応種が植え付けられる。次いでディスク基板1aは重ね合わせ位置B4に移動させられ、ディスク基板1bが反転アームで反転し、接着剤塗布部SAを介して重ね合わされることにより、1枚のディスク1となる。
尚、移動する過程で何らかのトラブルが発生して紫外線照射後に所定時間以上の停滞が生じてしまったディスク基板1aやディスク1は、既に硬化が進行しているために不良品払出位置B5に移動して不良品用シュータを介して排除される。
ディスク1は、展延装置8(8A,8B)に搬送され、上述したように、ディスク1は中央孔CHを利用して把持されて自らの周方向に高速で回転され、遠心力を利用して接着剤Sの展延が行われる。これにより、ディスク基板1a,1b間の接着剤塗布部SAは均一な厚さの層に展延される。次にディスク1は、端面処理ステージC上のディスク受取位置C1に搬送され、端面処理ステージCの回転に伴って端面処理位置C2に移される。端面処理位置C2では、ディスク1の表裏両面と端面に、端面処理装置9によって紫外線と赤外線を含んだ光線が閃光的に照射される。これにより、端面近傍の接着剤Sの硬化が促進されるとともに、熱線で加温されることにより接着剤S全体の硬化時間が短縮される。
【0022】
端面処理を終えたディスク1は、端面処理ステージCの回転によって移載位置C3に移動し、平面保持装置10に搬送される。各ディスク1は投入位置D1で平面保持ユニット18上に平面状に保持された状態で、第1乃至第3昇降装置14,15,16を介して上、中、下段の各周回路11、12、13を順次周回することで所定時間養生される。最後に上段の周回路11に戻った平面保持ユニット18は、排出位置D2に至る。
この間に接着剤Sの硬化が更に進行し、貼り合わせたディスク1の形状が固まる。平面保持装置10において硬化を終えたディスク1は、排出位置D2で平面保持ユニット18から取り外され、ディスク検査装置19に搬送される。
ディスク検査装置19で不良品と判定されたディスク1は不良品払出部21で正規のラインから外され、良品と判定されたディスク1のみが良品払出部20に設けられたディスクストックテーブルE上のディスク保持器2上に積層され、後工程に搬送される。
【0023】
上述のように本実施の形態によるDVD製造装置によれば、塗布装置5による塗布開始時に定量Qよりも多い塗布量の塊状部Saが塗布されたとしても、塗布開始時の塗布速度(初速度)Voを高速に設定して塗布速度(終速度)Veまで漸次速度を下げつつ定量Qを塗布することで、塊状部Saを小さく抑えて全体にほぼ均一な塗布幅と塗布量を有する環状の接着剤塗布部SAを形成できる。その際、ノズル25aからの吐出量Qは定量に設定して連続して吐出すればよくディスク基板1aの回転速度をVoからVeまで速度を低下させるだけでよく制御が容易である。
【0024】
尚、上述の実施例では、接着剤吐出工程でのディスク基板1aの回転速度をVoからVeまで直線的に低下させるように設定したが、本発明はこのような実施例に限定されることなく次のような変形例を用いるようにしてもよい。例えば、塊状部Saを塗布する塗布開始時のみ塗布速度を高速Voに設定し、その後の円環状領域を定速V1(<Vo)に設定してもよい。これによっても塊状部Saの塗布幅及び塗布量を従来のものより小さく且つ長く引き延ばして形成できてほぼ均一な環状の接着剤塗布部SAを形成できる。
また環状塗布の終了時である終速度Veの近傍における塗布量を定量Qより少ない量Q1に減少させれば、塊状部Sa近傍の側部S1の塗布量と塗布幅が一層小さくなり、塊状部Saからの流動量が増すことになる。この場合には一層均一な環状の接着剤塗布部SAを形成できる。
【0025】
次に試験例について図6〜図8により説明する。
この試験に用いる塗布装置5は図2及び図3に示すものを用い、ポンプ25は図3に示す2段バルブ式ディスペンサ740MD−SS(EFD)を用いる。接着剤Sとしてカチオン型紫外線硬化性樹脂組成物EX−4016(液粘度:360mPa・s 温度25℃:大日本インキ化学工業株式会社製)を用い、吐出圧:0.202MPa、1回の吐出時間:2.5secとした。接着剤Sの温度制御に用いる制御エア発生装置40におけるエア設定温度は23℃±1℃とし、ノズル25aの内径:G15ゲージ(φ1.36mm)として、1ショットの吐出量は約680mgであった。
DVD用のディスク基板1aは直径φ120mmとし、接着剤Sの塗布はディスク基板1aと同心円状にφ38mmの円環状の接着剤塗布部SAを形成する。
そして図6は例示する環状の接着剤塗布部SAであるが、接着剤Sは反時計回りに環状に塗布するものとして、塗布開始時の塊状部Saでの測定点を▲1▼として、45°間隔で▲1▼〜▲8▼まで8箇所の測定点を等間隔で設定し、各測定点で接着剤Sの塗布幅を測定するものとする。塗布幅の測定と観察は、接着剤塗布部SAに閃光UV照射発生装置(SBC−15:ウシオ電機株式会社製)で閃光照射して硬化させたもので行った。
図7に示すディスク基板1aの回転速度と接着剤吐出開始点p、吐出終了点qを含む経過時間との関係において、接着剤塗布領域(p−q間)で吐出開始の初速度Voから直線的に速度を低下させて終速度Veに到達させる塗布方法を実施例aとし、接着剤塗布領域(p−q間)でのディスク基板1aの回転速度を一定速度Veに設定したものを比較例b、接着剤塗布領域(p−q間)でディスク基板1aの回転開始と同時に吐出開始させ、回転終了と同時に吐出終了させる塗布方法を従来例cとして、比較試験をした。
【0026】
試験結果は図8に示すようになった。
円環状の各接着剤塗布部SAにおいて、実施例aでは塗布幅の最大幅が測定点▲4▼の7.4mm、最小幅が測定点▲2▼の7.3mm、測定点▲1▼〜▲8▼の塗布幅のバラツキは0.1mmとなった。比較例bでは塗布幅の最大幅が測定点▲1▼の8.0mm、最小幅が測定点▲5▼の7.5mm、測定点▲1▼〜▲8▼の塗布幅のバラツキは0.5mmとなった。従来例cでは塗布幅の最大幅が測定点▲1▼の8.5mm、最小幅が測定点▲6▼の7.5mm、測定点▲1▼〜▲8▼の塗布幅のバラツキは1.0mmとなった。実施例aのバラツキは、比較例の1/5、従来例の1/10であった。
尚、比較例や実施例では測定点▲1▼における塊状部Saの塗布幅が最も高く、従来技術と同様の欠点を有することを認識できる。比較例や従来例で接着剤塗布部SAの測定点▲2▼や▲8▼における塗布幅が高いのは測定点▲1▼における塊状部Saの接着剤Sが両側部S1,S2方向に流動するためと考えられる。
特に従来例cでは、塗布幅変動の第一の要因として、ノズル25aからの吐出開始時にノズル25aにわずかな液溜まりが発生し、更に接着剤の吐出による表面張力で大きくなり、これが吐出圧力と重力の合力に抗しきれなくなってノズルから離れることで吐出が開始する。しかも、吐出開始時の塗布速度が起動時で小さいために吐出開始時の接着剤Sは大きな塊状部Saになる。また第二の要因として、ディスク基板の回転開始時と回転終了時に塗布を行うと回転速度変化が塗布幅の変化として現れ、回転開始時と終了時に塗布幅が広がる。そのため塗布幅の変動が最も大きかった。
また比較例bでは、上述した第二の要因は改善できたが、第一の要因は改善できないために従来例と同様に塗布幅の変動が残った。
実施例においてもわずかに測定点▲8▼で塗布幅が上昇しており、上記と同様の傾向が見受けられたが、全体的には均一な塗布幅になり、第一及び第二の要因を共に改善できた。
【0027】
尚、上述の実施例においては、接着剤Sとしてカチオン重合型紫外線硬化性樹脂組成物を用い、ディスク基板1aへの塗布後であってディスク基板1aの重ね合わせ前の接着剤Sに紫外線照射を行う方法を示したが、紫外線照射は、円環状塗布のためにノズル25aからディスク基板1a上に落下させる接着剤Sに対して降下中に行ってもよい。
さらに、カチオン重合型紫外線硬化性樹脂組成物に代えてラジカル重合型紫外線硬化性樹脂組成物を接着剤として用いてもよい。
尚、ラジカル重合型紫外線硬化性樹脂組成物に対する紫外線照射は、カチオン重合型紫外線硬化性樹脂組成物を用いる場合とは異なり、ラジカル重合型紫外線硬化性樹脂組成物を展延した後、貼り合わされたディスクの両側面から実施することになる。
また本発明は上述した接着剤に限定されることなく、他の液状物体を用いても良く、各種の液状物体を各種の被塗布物や円板状物体に塗布する際の塗布方法及び塗布装置に採用できる。
さらに、接着剤の塗布に際してポンプ25のノズル25aを固定した状態で被塗布物または円板状部材であるディスク基板1aを回転させることで、ノズル25aから接着剤Sを塗布するようにしたが、これに代えてディスク基板1aを固定してノズル25aをディスク基板1aの中央孔CHと同心円状に所定速度(塗布速度)で回転させつつ接着剤Sを吐出させるようにしてもよい。或いはノズル25aとディスク基板1aを共に異なる速度で回転させてもよく(この場合、両者の速度差が塗布速度になる)、要するにノズル25aとディスク基板1aを定速で相対回転または相対移動させた状態で接着剤Sを吐出させるようにすればよい。
また接着剤等の液状物体の塗布は必ずしも1回で終了せずに複数回環状に重ねて塗布して終了させるようにしてもよい。
【0028】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明による液状物体の塗布方法及び塗布装置によれば、塗布開始時の塗布速度または相対回転速度を高速にすることで液状物体を引き延ばして接着剤塗布部の塗布量及び塗布幅を小さくして、塗布開始時の液だまりの落下による塊状部の形成を抑えて、全体にほぼ均一な環状の接着剤塗布部を形成できる。
また本発明による円板状物体の貼り合わせ方法及び貼り合わせ装置は、塗布速度が塗布開始時から次第に低減することで、接着剤の塗布開始時における塊状部の形成を抑えて全体にほぼ均一な塗布量と塗布幅を有する環状の接着剤塗布部を形成することができ、貼り合わせた円板状物体を回転させることで環状の液状物体の展延処理を全周に亘って均一な広がりに形成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例によるディスク製造装置の概略全体構成図である。
【図2】図1に示すディスク製造装置に含まれた塗布装置の要部説明図である。
【図3】図2に示す塗布装置におけるポンプ25の概略構成を示す図である。
【図4】実施例において、ディスク基板の回転速度変化を示す図である。
【図5】ディスク基板上における接着剤塗布部の形成手順を示す図であって、(a)は環状に塗布する途中部分を示す図、(b)は環状に塗布した直後の図、(c)は環状に接着剤塗布部を形成した状態を示す図である。
【図6】環状の接着剤塗布部における測定点を示す図である。
【図7】実施例、比較例、従来例におけるディスク基板の回転速度と接着剤塗布領域を示す図である。
【図8】実施例、比較例、従来例におけるディスク基板上に塗布された接着剤塗布部の各測定点での塗布幅を示す図である。
【図9】(a)、(b)は2段バルブの開状態と閉状態を示す図である。
【図10】従来の塗布方法による接着剤塗布部を示す図である。
【符号の説明】
1 ディスク
1a,1b ディスク基板(被塗布物、円板状物体)
5 塗布装置(塗布手段)
7 重ね合わせ装置(貼り合わせ手段)
8 展延装置(展延手段)
24 回転駆動部(相対回転手段)
25 ポンプ(吐出手段)
25a ノズル(吐出口)
29 駆動部(相対回転手段)
32 吐出制御手段
33 回転速度制御手段(相対回転速度制御手段)
S 接着剤(液状物体)
【発明の属する技術分野】
本発明は、液状物体を環状等に均一に塗布する塗布方法及び塗布装置に関する。またこれら方法及び装置を用いて、円板状物体に接着剤を塗布する工程を有する貼り合わせ方法及び貼り合わせ装置に関し、特には、例えばディジタル・ビデオ/バーサタイル・ディスク(以下、これをDVDと略記する)等の光ディスク等を製造するときに用いて好適なディスク基板等の円板状物体の貼り合わせ方法と貼り合わせ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、DVDを製造する際には、2枚のディスク基板を紫外線硬化性樹脂組成物等を接着剤として貼り合わせる手法が採用されている。ここでいう紫外線硬化性樹脂組成物には、少なくともカチオン重合型紫外線硬化性樹脂組成物とラジカル重合型紫外線硬化性樹脂組成物とが含まれる。
このうち、ラジカル重合型紫外線硬化性樹脂組成物を接着剤として用いる場合には、紫外線照射による硬化速度が速いために、一方のディスク基板にラジカル重合型紫外線硬化性樹脂組成物を円環状に塗布して他方のディスク基板を貼り合わせ、両ディスク基板間にラジカル重合型紫外線硬化性樹脂組成物を展延した後、ディスク基板を透過してUV照射を行うことで硬化させて接着して1枚のディスクを得ることになる。
カチオン重合型紫外線硬化性樹脂組成物は、UV照射の後、徐々に硬化が進展して所定時間経過後に硬化する特性を有する接着剤であるので、紫外線が透過しないディスク基板の貼り合わせに好適に用いることができる。カチオン重合型紫外線硬化性樹脂組成物を用いてディスクを製造するには、一方のディスク基板の表面にカチオン重合型紫外線硬化性樹脂組成物を略円環状に塗布し、カチオン重合型紫外線硬化性樹脂組成物に紫外線を照射する。
そして他方のディスク基板を重ねて貼り合わせ、両ディスク基板を回転(スピン)させることで両基板間のカチオン重合型紫外線硬化性樹脂組成物を展延させる。その後、カチオン重合型紫外線硬化性樹脂組成物が硬化することにより2枚のディスク基板が接着し、1枚のディスクが出来上がる。
【0003】
ところで塗布工程でディスク基板上に円環状に塗布されたカチオン重合型紫外線硬化性樹脂組成物は、展延工程において2枚のディスク基板を回転させることで生じる遠心力で展延する際に外部に飛散することになる。この場合、カチオン重合型紫外線硬化性樹脂組成物は既にUV照射されているために硬化が進行しており、回収して再使用することができない。このような無駄を発生させないために、カチオン重合型紫外線硬化性樹脂組成物の塗布量は最小限にする必要がある。
また円環状に塗布されたカチオン重合型紫外線硬化性樹脂組成物について周方向の塗布量にムラがあると、部分的に外部への無駄な飛散が発生するおそれがあり、塗布量が少ない部分では展延不足による接合不良や気泡混入のおそれがある。従ってカチオン重合型紫外線硬化性樹脂組成物を円環状に塗布する際には、できるだけ均一な塗布断面積をなすように塗布量と塗布幅を全体に均一にする必要がある。
【0004】
接着剤の塗布装置としては、従来ニードルバルブ式ディスペンサや容量計量式ポンプが用いられているが、開閉バルブが一段であるためにノズルに残圧が残り先端部に液溜まりが生じて、塗布開始時の塗布量が過剰となって塗布の均一性が損なわれる欠点がある。そのため、2段バルブ式ディスペンサを採用してノズル先端に残る液溜まりを防止する技術が提案されている。
図9に示す2段バルブ式ディスペンサ60では、二つの開閉バルブ62,63が設けられた2段構成であるために、ノズル64先端部に液溜まりが残存するのを抑えて、吐出量が均一になるように制御できる。また2段バルブ式ディスペンサを使用したとしても、液温が変動することで生じる液粘度の変化により吐出量が変動するが、液温変動を±0.1℃に制御することにより吐出量の安定化を図ることが行われている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のような2段バルブ式ディスペンサを採用したとしても、ノズル64から吐出される接着剤は、吐出開始時において、吐出開始後の吐出量が安定するようになる定常吐出時よりも必ず多く吐出される。その原因として次のような理由が考えられる。
第一の原因として、この種の塗布装置において、樹脂等からなる接着剤の温度調節が2段バルブ式ディスペンサのノズル64先端まで及んでいないのでポンプ1内の温度上昇に伴いノズル64近辺の温度が上昇する。例えば接着剤の液温は23℃に設定されるが、運転によって装置内温度は25〜26℃程度まで上昇する。すると、ノズル先端に残る微量な接着剤が温度上昇に伴う粘度低下によって吐出開始時に一気に吐出する。
第二の原因として、ノズル64先端から接着剤が吐出される瞬間は、接着剤が押し出される圧力より接着剤の表面張力が勝るので、ある程度の重量を有する塊にならないとノズル64から接着剤が離れない(離型剤を塗布すると改善されるが)。第二の原因の改善策として、ノズル64と被塗布物であるディスク基板との距離をごく短く設定すれば、接着剤のノズル64からの吐出開始時の挙動を改善できるが、ノズル64に対して相対回転するディスク基板の微小なうねりにより塗布面であるディスク基板表面と接触して傷をつける可能性がある。
【0006】
従って、接着剤の円環状塗布を行ったとき、その塗布状況は、液溜まりのために塗布開始時の塗布量がその後の定常塗布時より多くなり、その後に均一な定常塗布量に戻りつつ円環状の軌跡を描いて1周し塗布開始部と重なった時点で塗布が終了することになる。すると、図10に示すように円環状塗布部65において、塗布開始点の液溜まりによる塊状部66が他の塗布領域67よりも塗布量及び塗布幅が大きくなる。
その結果、その後の展延工程で接着剤の塊状部66と他の塗布領域67とで展延量及び展延速度に周方向の変動を生じることになり、展延の後に塊状部66に対応した半径方向のディスク端面から外部に飛散する接着剤量の増大を引き起こし、接着剤の消費量増大を引き起こす欠点がある。また塊状部66に対応した半径方向のディスク内周側から接着剤がしみ出すこともある。
尚、従来技術として特開昭61−110350号公報や特開平5−20714号公報では、ディスク基板にリング状に接着剤を塗布して他のディスク基板を貼り合わせてスピン回転させて接着剤を展延する技術が開示されているが、円周方向に塗布する接着剤の塗布量をコントロールする技術については何ら開示されていない。特開平4−263136号公報や特開平11−162018号公報ではディスク基板の接合面に接着剤のはみ出しを防ぐ溝を設置する技術が開示されているが、ディスク基板に特殊な加工が必要になる上に接着剤が過剰に必要になる等の欠点は改善されていない。このように接着剤塗布開始時の大径の塊状部を抑制する技術については全く提案されていなかった。
【0007】
ディスク基板上での円環状塗布部65の塗布量及び塗布幅の変動が大きいときには、次のような問題が発生する。
▲1▼接着剤がカチオン重合型紫外線硬化性樹脂組成物の場合、塗布量の変動を吸収するために全体に多めに塗布すると、展延時の外部への振り切り量が増大するので廃棄物になる量が増大する。すなわち、振り切られたカチオン重合性紫外線硬化性樹脂組成物は、その遅効性を利用するために予め紫外線照射されている場合が多く、回収して再利用することができない。
▲2▼接着剤を挟んで二枚のディスク基板を貼り合わせ、展延した際に、塗布量の多い塊状部66の接着剤がディスク基板の内周端や内周溝を越えて滲みだし外観不良になったり、他の塗布量の少ない領域の接着剤が内周端や内周溝に到達しないために気泡が混入する。
▲3▼接着剤の塗布量に変動があると展延に偏りを生じるが、特に接着剤の硬化速度が速いときには硬化速度に偏りを生じる。そしてこれに起因して接着剤層厚さに変動が生じると、作製されたディスクの高速回転時にディスクの面ブレが発生し、軸加速度特性が悪化して軸方向の変動が増大する。そのため、ディスク表面の情報記録面に再生用レーザー光の焦点を正確に合わせることができなくなり、再生エラーが発生する。
【0008】
本発明は、このような実情に鑑みて、被塗布物への液状物体の塗布を全体にほぼ均一にできるようにした液状物体の塗布方法及び塗布装置を提供することを目的とする。
また本発明の他の目的は、円板状物体への接着剤の塗布を全体にほぼ均一にできるようにした円板状物体の貼り合わせ方法及び貼り合わせ装置を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、吐出口と被塗布物とを相対回転させ、吐出口より液状物体を被塗布物に吐出させて、均一な環状に塗布する塗布方法であって、塗布開始時の前記相対回転の速度を、その後の前記相対回転の速度より速くするようにした液状物体の塗布方法を提供する。
塗布開始時に、液状物体の塗布速度を高速にすることで液状物体が塊状部となって塗布され他の領域よりも塗布量及び塗布幅が増大するのを抑制して、その後に定常塗布量を以て環状に塗布して塗布を終了し、ほぼ均一な環状の塗布形状を形成できる。
【0010】
本発明による液状物体の塗布方法は、液状物体を被塗布物に環状に塗布する塗布方法であって、液状物体は塗布開始時から塗布終了時に向けて塗布速度を低下させるようにしてもよい。塗布速度を塗布開始時から漸次低下させることで、最も高速の塗布開始時の塗布量と塗布幅を低減させて大きな塊状になるのを抑えることができ、その後に定常塗布量を以て環状に塗布して塗布を終了する。しかも塗布量と塗布幅を抑制された塊状部の液状物体が両側へ流動してほぼ均一な環状塗布を達成できる。
また本発明による円板状物体の貼り合わせ方法は、2つの円板状物体を接着剤を介して貼り合わせるようにした円板状物体の貼り合わせ方法であって、接着剤の吐出口と円板状物体とを相対回転させてこの円板状物体に接着剤を円環状に塗布する塗布工程と、接着剤を挟んで2枚の円板状物体を貼り合わせた後に回転させて接着剤を展延させる展延工程とを備えていて、塗布工程において液状物体は塗布開始時から塗布終了時に向けて接着剤の吐出口と円板状物体との相対回転速度を低下させるようにした。
そのため、相対回転速度が塗布開始時から次第に低減することで、接着剤の塗布開始時における塊状部の形成を小さく抑えて全体にほぼ均一な塗布量と塗布幅を有する環状の塗布形状を形成することができ、その後貼り合わせた円板状物体を回転させることで環状の液状物体の展延処理を全周に亘って均一な広がりになるように行える。
【0011】
また本発明による塗布装置は、液状物体を被塗布物に環状に塗布する塗布装置であって、液状物体を被塗布物に吐出する吐出口と、該吐出口と被塗布物とを相対回転させる相対回転手段と、吐出口と被塗布物との相対回転速度について塗布開始時の相対回転速度をその後の相対回転速度より速くするようにした相対回転速度制御手段とを備えている。尚、相対回転速度制御手段について、吐出口と被塗布物との相対回転速度を塗布開始時から塗布終了時に向けて低下させるようにしてもよい。
吐出口と被塗布物との相対回転速度を塗布開始時で高速にすることで、吐出口から吐出される液状物体について吐出開始時の塊状部の形成を抑えて液状物体のほぼ均一な環状の塗布形状を形成できる。
本発明による貼り合わせ装置は、接着剤をほぼ一定量づつ吐出口から円板状物体に塗布する塗布手段と、吐出口と円板状物体とを相対回転させる相対回転手段と、吐出口と被塗布物との相対回転速度を塗布開始時から塗布終了時に向けて低下させるようにした相対回転速度制御手段と、環状に塗布された接着剤を挟んで2枚の円板状物体を貼り合わせる貼り合わせ手段と、貼り合わせた円板状物体を回転させて接着剤を展延させる展延手段とを備えているので、全体にほぼ均一な環状の塗布形状を形成でき、その後円板状物体を回転させることで環状の液状物体の展延処理を全周に亘って均一な広がりになるよう行える。
尚、接着剤はカチオン重合型紫外線硬化性樹脂組成物であり、円板状物体に接着剤が環状に塗布された状態で接着剤に紫外線を照射する紫外線照射手段を更に備えていてもよい。また円板状物体はディスク基板であり、2枚の該ディスク基板を貼り合わせてディスクを構成してもよい。
【0012】
【実施例】
本発明の実施例をDVDの製造装置により説明する。
図1にはDVD製造装置の概略構成を示す。図において符号R1,R2はいずれもディスク基板取出部、R3はディスク作成部、R4はディスク検査部、R5はディスク払出部であり、いずれも図示しないケースの内部に収納されている。
ディスク基板取出部R1は、貼り合わされて1枚のディスク(DVD)をなす2枚のディスク基板(板状物体)の一方をディスク保持器2に積層した状態に複数枚ストックしておくストック装置3と、ディスク保持器2に保持されたディスク基板1aを1枚ずつ取り出す取出装置4とによって構成されている。
ディスク基板取出部R2も同様に、2枚のディスク基板の他方を複数層ストックしておくストック装置3と、ストックされたディスク基板1bを1枚ずつ取り出す取出装置4とに分けて構成されている。
【0013】
ディスク作成部R3は、ディスク基板1aの重ね合わせ面に接着剤Sとしての紫外線硬化性樹脂組成物(この場合はカチオン重合型紫外線硬化性樹脂組成物)を例えば円環状に塗布する塗布装置5(塗布手段)と、接着剤Sを塗布されたディスク基板1aに紫外線を照射する紫外線照射装置6(紫外線照射手段)と、塗布された接着剤Sを挟んでディスク基板1aにディスク基板1bを重ね合わせて1枚のディスク1とする重ね合わせ装置7(貼り合わせ手段)と、重ね合わされたディスク基板1a,1bを周方向に回転させて展延する展延装置8(展延手段)と、展延を終えたディスク1に紫外線と赤外線とを含む光を閃光的に照射して端面硬化処理を行う端面処理装置9と、端面処理を終えたディスク1を所定時間だけ平面状に保持しつつ硬化させる平面保持装置10とによって構成されている。
なお、展延装置8は2系統(8A、8B)が設けられているが、これはディスク基板1a,1bの貼り合わせに比べて展延処理に時間を要するために連続的なディスク製造の生産性が損なわれないようにするためであり、2つの展延装置8A,8Bにディスク1を交互に受け渡して展延することで実質的に展延に要する時間の半減を可能にしている。
平面保持装置10は、例えば3重の周回路11,12,13を三階に積層して各周回路11,12,13間で昇降する複数の昇降装置14、15,16とを備えていて、貼り合わされたディスク1を複数台の平面保持ユニット18に搭載して各周回路11,12,13を間欠的に順次走行させて、反りの悪化を防止しつつ硬化を完了させることができる。
ディスク検査部R4は、ディスク1を検査し良/不良を判定するディスク検査装置19によって構成されている。ディスク払出部R5は、良品と判定されたディスク1を払い出す良品払出部20と、不良品と判定されたディスク1を払い出す不良品払出部21とによって構成されている。
【0014】
ところで、本実施例による塗布装置5は、図2及び図3に示す構成を有している。即ち、図2において塗布装置5は塗布ステージ23に設けたディスク基板1aの回転駆動部24(相対回転手段)と、ディスク基板1aの所定位置に接着剤Sとして液状物体であるカチオン重合型紫外線硬化性樹脂組成物を円環状に塗布するためのポンプ25とが設けられている。このポンプ25は例えば図9に示す二段バルブ式ディスペンサ60と同一構成である。
塗布ステージ23は一方のディスク基板1aを載置するための載置面23aを有している。ディスク基板1aの回転駆動部24は塗布ステージ23に一体に設けられており、ディスク基板1aの中央孔CH及び載置面23aに設けた孔27に対して出没可能な把持部28と、把持部28を出没可能に支持していて把持部28をディスク基板1aと共に中心軸O回りに回転可能な駆動部29とを有している。尚、孔27は中央孔CHと同径かそれより大きい内径を有する。
把持部28は複数、例えば3本の把持ピン30が所定角度(例えば120°間隔)毎に中心軸Oと略同軸の円環状に沿って配設され、各把持ピン30は図示しない弾性部材によって径方向内側即ち中心軸O方向に付勢されている。各把持ピン30は略棒状を呈していて、中心軸Oと略平行に延在すると共に上端は外側に屈曲または湾曲する爪部30aとされている。爪部30aは回転時にディスク基板1aが浮き上がるのを防止して上下方向に位置決めする。
【0015】
駆動部29は把持部28をその長手方向に進退させてディスク基板1aの中央孔CHと載置面23aに対して出没させると共に、各把持ピン30を弾性部材の付勢力に抗して径方向外側に拡径させてディスク基板1aを中央孔CHの内周縁で把持してディスク基板1aを回転させることになる。
またポンプ25は吐出手段を構成するもので、ディスク基板1aの塗布ステージ23とは反対側即ち上方に設けられ、そのノズル25aは下方に延びていて先端開口はディスク基板1aに近接し且つ駆動部29の中心軸Oから径方向に所定距離だけずれた定位置にある。そのためノズル部25aから吐出された接着剤Sは中心軸O回りに回転するディスク基板1aのクランプエリアに中央孔CHと同心をなす円環状に塗布されることになる。
またこのポンプ25は2段バルブ式ディスペンサであるから、ノズル25aに残る液溜まりを防止できる。しかもこのポンプ25内の接着剤の温度変動を例えば±0.1℃内に制御することにより吐出量の安定化を図っている。そのため、ポンプ25のノズル部25aから吐出される接着剤Sの単位時間当たりの吐出量が、定常状態ではほぼ均一になる。
【0016】
更にポンプ25は吐出制御手段32に電気的に接続されており、駆動部29は把持部28即ちディスク基板1aの回転速度を検出すると共にその回転速度を増減調整するための回転速度制御手段33(相対回転速度制御手段)に電気的に接続され、回転速度制御手段33は吐出制御手段32に電気的に接続されている。そして吐出制御手段32では、回転速度制御手段33で検出した把持部28即ちディスク基板1aの回転速度が所望の設定速度(Vo−Ve)の範囲内である場合にポンプ25のノズル25aから接着剤を一定量Q吐出するように制御し、ディスク基板1aの回転速度が上昇する立ち上がり時や設定速度から低下する立ち下がり時には接着剤を吐出しないように制御する。
しかも回転速度制御手段33ではディスク基板1aの回転速度を、図4に示すように、初速度Voまで上昇させる立ち上がり工程、初速度Voに到達した時点から一定減速比で漸次回転速度を低下させていき終速度Ve(<Vo)に到達するまでの接着剤吐出工程、終速度Veから回転を停止させるべく回転速度を更に低下させる立ち下がり工程とに制御する。これに連動して回転速度が初速度Voから終速度Veまでの接着剤吐出工程において、吐出制御手段32から単位時間当たり一定の吐出量Qをポンプ25から吐出させるように制御する。
ここで、図3にはポンプ25の構造の一例が開示されており、ポンプ25のチャンバ35内にはディスペンザ36が設けられ、容器37に貯留された接着剤Sをディスペンザ36に供給する供給ホース38が連結されている。供給ホース38は断熱ホース39内を通ってチャンバ35内に導かれ、チャンバ35には温度を23℃±1℃に設定された制御エア発生装置40が接続され、チャンバ35内に温度制御されたエアを供給して供給ホース38内の接着剤Sの温度をほぼ一定に制御する。
【0017】
次に、上記のように構成されたDVD製造装置によるディスク1の製造方法について説明する。
まず、図1に示すディスク基板取出部R1において、ストック装置3を構成するストックステージAが回転し、ステージ上に設置された複数のディスク保持器2のひとつが基板取出位置A1に移動して取出装置4による基板取り出しに備える。各ディスク保持器2には、ディスク基板1aとスペーサ(図示略)とが交互に積層されている。
取出装置4には、同期して駆動する2本のアーム4a,4bが設けられており、ディスク保持器2に保持されたディスク基板1aのうち最も上にある1枚がアーム4aによって塗布ステージB上の基板受取位置B1に搬送される。またアーム4aの回帰動作の際、ディスク保持器2のスペーサはアーム4bによって回収される。
ディスク基板取出部R2においても同様に、ストック装置3を構成するストックステージAが回転し、ステージ上に設置された複数のディスク保持器2のひとつが基板取出位置A1に移動する。続いて、ディスク保持器2に保持されたディスク基板1bのうち最も上にある1枚がアーム4aによって重ね合わせ装置7に搬送され、反転アームに受け渡される。また、アーム4aの回帰動作の際、ディスク保持器2のスペーサはアーム4bによって回収される。
【0018】
基板受取位置B1に搬送されたディスク基板1aは、塗布ステージBの回転に伴って接着剤塗布位置B2に移動する。接着剤塗布位置B2に移動したディスク基板1aの重ね合わせ面には、接着剤Sが塗布装置5によってディスク基板1aの情報記録層が設けられた面の内側に位置するクランプエリアに中央孔CHと同心円をなすリングを描くように線状に塗布される。
ここでの塗布量は、周方向に対してはできるだけ均一かつ定量的に、必要量のみ実施されることが望ましい。その理由は、回転展延の際にディスク1の外側へ飛散する接着剤Sの廃棄量を極力少なくするためである。また、環状をなす接着剤塗布部の塗布幅が広くなると他方のディスク基板1aを重ねた際に中央孔CHから内周側に接着剤Sがはみ出して仕上がり不良の原因になるのを防ぐためである。
なお、接着剤Sには、波長領域310〜340nmにおける光吸収係数が2×103m−1以下の特性を有するカチオン重合型紫外線硬化性樹脂組成物が使用される。このような接着剤Sを用いることにより紫外線照射による局部的な硬化が起こることなく照射後の展延が可能となる。このような接着剤Sは、光重合開始剤として、350nm以下の光吸収係数が比較的小さい材料を選択的に使用することによって得られるものである。
【0019】
次に接着剤Sの塗布方法について図2,図4及び図5により詳細に説明する。先ず図2において、塗布ステージ23の載置面23a上の所定位置にディスク基板1aが載置され接着剤塗布位置B2に回動させられると、塗布ステージ23の孔27内に没している把持部28がディスク基板1aの中央孔CHを貫通して上方に突出する。次に駆動部29によって把持部28の複数の把持ピン30が弾性部材の付勢力に抗して径方向外側に拡径作動し、これによってディスク基板1aは把持部28に把持される。この状態でディスク基板1aは駆動部28の回転中心をなす中心軸Oと同軸になる。
そして駆動部29を駆動することで把持部28を中心軸O回りに回転させ、ディスク基板1aを一体回転させる。駆動部29によるディスク基板1aの回転速度は、図4に示すように、回転速度を漸次増大させて初速度Voに到達した時点で吐出制御手段32によりポンプ25から接着剤Sを一定量Qづつ吐出させ、これと同時に回転速度制御手段33により駆動部29によるディスク基板1aの回転速度を漸次減少させる。尚、回転速度VoからVeまでは接着剤の塗布を行う塗布速度を構成する。
【0020】
するとノズル25aに対してディスク基板1aが回転することで接着剤Sが同心円を描いて環状に塗布される。この接着剤塗布工程を図5で説明すると、先ず最も高速の初速度Voでポンプ25のノズル25aから接着剤Sを吐出するが、吐出開始時にはノズル25aにわずかに残留していた接着剤Sが、吐出量Qで吐出口に供給される接着剤Sと共に吐出口端面で表面張力によって膨れ上がり、更に接着剤量の上昇による吐出口端面の液だまりの重量が表面張力にうち勝って、液溜まりの接着剤として一気に吐出されるために、定量Qより多い塊状部Saとして塗布される(図5(a)参照)。この時、ディスク基板1aは高速Voで回転するために塊状部Saは塗布方向に引き延ばされて高速の塗布速度Voで塗布されることになる。そのため定量Qより過剰に供給された塊状部Saは、高速で引き延ばされ単位長さ当たりの塗布量と塗布幅を小さくすることができる。
その後、定量Qの接着剤Sが連続してノズル25aから吐出されるが、高速の塗布速度を次第に低下させつつ塗布されるために当初は塗布幅と塗布量が小さく、そしてディスク基板1aの回転速度が次第に低下するために塗布量と塗布幅は少しづつ大きくなり、終速度Veにおける塗布速度によって塊状部Saに接続されて塗布を終了する(同図(b)参照)。これによってディスク基板1aと同心の環状の接着剤塗布部SAが形成される。
この時、塊状部Saにおける接着剤はその両側近傍の塗布部S1、S2より塗布幅と塗布量が若干多い程度であるが、その後に塊状部Saの接着剤は液状物体の流動性のために塗布量及び塗布幅の比較的小さい両側の塗布部S1、S2方向に一部が流れて塗布幅と塗布量が全周に亘ってほぼ均一に均される(同図(c)参照)。このようにして塗布開始時の液溜まりによる塊状部Saがあっても全周に亘ってほぼ均一な塗布幅及び塗布量の接着剤塗布部SAが形成される。
回転速度が終速度Veに達した時点でポンプ25からの接着剤Sの吐出を停止させた後、ディスク基板1aの回転速度を低下させて停止させる。
【0021】
上述のように、接着剤塗布部SAの形成されたディスク基板1aは、図1において塗布ステージBの回転に伴って紫外線照射位置B3に移動し、ディスク基板1aの重ね合わせ面には紫外線照射装置6から紫外線が照射され、接着剤Sの硬化のための反応種が植え付けられる。次いでディスク基板1aは重ね合わせ位置B4に移動させられ、ディスク基板1bが反転アームで反転し、接着剤塗布部SAを介して重ね合わされることにより、1枚のディスク1となる。
尚、移動する過程で何らかのトラブルが発生して紫外線照射後に所定時間以上の停滞が生じてしまったディスク基板1aやディスク1は、既に硬化が進行しているために不良品払出位置B5に移動して不良品用シュータを介して排除される。
ディスク1は、展延装置8(8A,8B)に搬送され、上述したように、ディスク1は中央孔CHを利用して把持されて自らの周方向に高速で回転され、遠心力を利用して接着剤Sの展延が行われる。これにより、ディスク基板1a,1b間の接着剤塗布部SAは均一な厚さの層に展延される。次にディスク1は、端面処理ステージC上のディスク受取位置C1に搬送され、端面処理ステージCの回転に伴って端面処理位置C2に移される。端面処理位置C2では、ディスク1の表裏両面と端面に、端面処理装置9によって紫外線と赤外線を含んだ光線が閃光的に照射される。これにより、端面近傍の接着剤Sの硬化が促進されるとともに、熱線で加温されることにより接着剤S全体の硬化時間が短縮される。
【0022】
端面処理を終えたディスク1は、端面処理ステージCの回転によって移載位置C3に移動し、平面保持装置10に搬送される。各ディスク1は投入位置D1で平面保持ユニット18上に平面状に保持された状態で、第1乃至第3昇降装置14,15,16を介して上、中、下段の各周回路11、12、13を順次周回することで所定時間養生される。最後に上段の周回路11に戻った平面保持ユニット18は、排出位置D2に至る。
この間に接着剤Sの硬化が更に進行し、貼り合わせたディスク1の形状が固まる。平面保持装置10において硬化を終えたディスク1は、排出位置D2で平面保持ユニット18から取り外され、ディスク検査装置19に搬送される。
ディスク検査装置19で不良品と判定されたディスク1は不良品払出部21で正規のラインから外され、良品と判定されたディスク1のみが良品払出部20に設けられたディスクストックテーブルE上のディスク保持器2上に積層され、後工程に搬送される。
【0023】
上述のように本実施の形態によるDVD製造装置によれば、塗布装置5による塗布開始時に定量Qよりも多い塗布量の塊状部Saが塗布されたとしても、塗布開始時の塗布速度(初速度)Voを高速に設定して塗布速度(終速度)Veまで漸次速度を下げつつ定量Qを塗布することで、塊状部Saを小さく抑えて全体にほぼ均一な塗布幅と塗布量を有する環状の接着剤塗布部SAを形成できる。その際、ノズル25aからの吐出量Qは定量に設定して連続して吐出すればよくディスク基板1aの回転速度をVoからVeまで速度を低下させるだけでよく制御が容易である。
【0024】
尚、上述の実施例では、接着剤吐出工程でのディスク基板1aの回転速度をVoからVeまで直線的に低下させるように設定したが、本発明はこのような実施例に限定されることなく次のような変形例を用いるようにしてもよい。例えば、塊状部Saを塗布する塗布開始時のみ塗布速度を高速Voに設定し、その後の円環状領域を定速V1(<Vo)に設定してもよい。これによっても塊状部Saの塗布幅及び塗布量を従来のものより小さく且つ長く引き延ばして形成できてほぼ均一な環状の接着剤塗布部SAを形成できる。
また環状塗布の終了時である終速度Veの近傍における塗布量を定量Qより少ない量Q1に減少させれば、塊状部Sa近傍の側部S1の塗布量と塗布幅が一層小さくなり、塊状部Saからの流動量が増すことになる。この場合には一層均一な環状の接着剤塗布部SAを形成できる。
【0025】
次に試験例について図6〜図8により説明する。
この試験に用いる塗布装置5は図2及び図3に示すものを用い、ポンプ25は図3に示す2段バルブ式ディスペンサ740MD−SS(EFD)を用いる。接着剤Sとしてカチオン型紫外線硬化性樹脂組成物EX−4016(液粘度:360mPa・s 温度25℃:大日本インキ化学工業株式会社製)を用い、吐出圧:0.202MPa、1回の吐出時間:2.5secとした。接着剤Sの温度制御に用いる制御エア発生装置40におけるエア設定温度は23℃±1℃とし、ノズル25aの内径:G15ゲージ(φ1.36mm)として、1ショットの吐出量は約680mgであった。
DVD用のディスク基板1aは直径φ120mmとし、接着剤Sの塗布はディスク基板1aと同心円状にφ38mmの円環状の接着剤塗布部SAを形成する。
そして図6は例示する環状の接着剤塗布部SAであるが、接着剤Sは反時計回りに環状に塗布するものとして、塗布開始時の塊状部Saでの測定点を▲1▼として、45°間隔で▲1▼〜▲8▼まで8箇所の測定点を等間隔で設定し、各測定点で接着剤Sの塗布幅を測定するものとする。塗布幅の測定と観察は、接着剤塗布部SAに閃光UV照射発生装置(SBC−15:ウシオ電機株式会社製)で閃光照射して硬化させたもので行った。
図7に示すディスク基板1aの回転速度と接着剤吐出開始点p、吐出終了点qを含む経過時間との関係において、接着剤塗布領域(p−q間)で吐出開始の初速度Voから直線的に速度を低下させて終速度Veに到達させる塗布方法を実施例aとし、接着剤塗布領域(p−q間)でのディスク基板1aの回転速度を一定速度Veに設定したものを比較例b、接着剤塗布領域(p−q間)でディスク基板1aの回転開始と同時に吐出開始させ、回転終了と同時に吐出終了させる塗布方法を従来例cとして、比較試験をした。
【0026】
試験結果は図8に示すようになった。
円環状の各接着剤塗布部SAにおいて、実施例aでは塗布幅の最大幅が測定点▲4▼の7.4mm、最小幅が測定点▲2▼の7.3mm、測定点▲1▼〜▲8▼の塗布幅のバラツキは0.1mmとなった。比較例bでは塗布幅の最大幅が測定点▲1▼の8.0mm、最小幅が測定点▲5▼の7.5mm、測定点▲1▼〜▲8▼の塗布幅のバラツキは0.5mmとなった。従来例cでは塗布幅の最大幅が測定点▲1▼の8.5mm、最小幅が測定点▲6▼の7.5mm、測定点▲1▼〜▲8▼の塗布幅のバラツキは1.0mmとなった。実施例aのバラツキは、比較例の1/5、従来例の1/10であった。
尚、比較例や実施例では測定点▲1▼における塊状部Saの塗布幅が最も高く、従来技術と同様の欠点を有することを認識できる。比較例や従来例で接着剤塗布部SAの測定点▲2▼や▲8▼における塗布幅が高いのは測定点▲1▼における塊状部Saの接着剤Sが両側部S1,S2方向に流動するためと考えられる。
特に従来例cでは、塗布幅変動の第一の要因として、ノズル25aからの吐出開始時にノズル25aにわずかな液溜まりが発生し、更に接着剤の吐出による表面張力で大きくなり、これが吐出圧力と重力の合力に抗しきれなくなってノズルから離れることで吐出が開始する。しかも、吐出開始時の塗布速度が起動時で小さいために吐出開始時の接着剤Sは大きな塊状部Saになる。また第二の要因として、ディスク基板の回転開始時と回転終了時に塗布を行うと回転速度変化が塗布幅の変化として現れ、回転開始時と終了時に塗布幅が広がる。そのため塗布幅の変動が最も大きかった。
また比較例bでは、上述した第二の要因は改善できたが、第一の要因は改善できないために従来例と同様に塗布幅の変動が残った。
実施例においてもわずかに測定点▲8▼で塗布幅が上昇しており、上記と同様の傾向が見受けられたが、全体的には均一な塗布幅になり、第一及び第二の要因を共に改善できた。
【0027】
尚、上述の実施例においては、接着剤Sとしてカチオン重合型紫外線硬化性樹脂組成物を用い、ディスク基板1aへの塗布後であってディスク基板1aの重ね合わせ前の接着剤Sに紫外線照射を行う方法を示したが、紫外線照射は、円環状塗布のためにノズル25aからディスク基板1a上に落下させる接着剤Sに対して降下中に行ってもよい。
さらに、カチオン重合型紫外線硬化性樹脂組成物に代えてラジカル重合型紫外線硬化性樹脂組成物を接着剤として用いてもよい。
尚、ラジカル重合型紫外線硬化性樹脂組成物に対する紫外線照射は、カチオン重合型紫外線硬化性樹脂組成物を用いる場合とは異なり、ラジカル重合型紫外線硬化性樹脂組成物を展延した後、貼り合わされたディスクの両側面から実施することになる。
また本発明は上述した接着剤に限定されることなく、他の液状物体を用いても良く、各種の液状物体を各種の被塗布物や円板状物体に塗布する際の塗布方法及び塗布装置に採用できる。
さらに、接着剤の塗布に際してポンプ25のノズル25aを固定した状態で被塗布物または円板状部材であるディスク基板1aを回転させることで、ノズル25aから接着剤Sを塗布するようにしたが、これに代えてディスク基板1aを固定してノズル25aをディスク基板1aの中央孔CHと同心円状に所定速度(塗布速度)で回転させつつ接着剤Sを吐出させるようにしてもよい。或いはノズル25aとディスク基板1aを共に異なる速度で回転させてもよく(この場合、両者の速度差が塗布速度になる)、要するにノズル25aとディスク基板1aを定速で相対回転または相対移動させた状態で接着剤Sを吐出させるようにすればよい。
また接着剤等の液状物体の塗布は必ずしも1回で終了せずに複数回環状に重ねて塗布して終了させるようにしてもよい。
【0028】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明による液状物体の塗布方法及び塗布装置によれば、塗布開始時の塗布速度または相対回転速度を高速にすることで液状物体を引き延ばして接着剤塗布部の塗布量及び塗布幅を小さくして、塗布開始時の液だまりの落下による塊状部の形成を抑えて、全体にほぼ均一な環状の接着剤塗布部を形成できる。
また本発明による円板状物体の貼り合わせ方法及び貼り合わせ装置は、塗布速度が塗布開始時から次第に低減することで、接着剤の塗布開始時における塊状部の形成を抑えて全体にほぼ均一な塗布量と塗布幅を有する環状の接着剤塗布部を形成することができ、貼り合わせた円板状物体を回転させることで環状の液状物体の展延処理を全周に亘って均一な広がりに形成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例によるディスク製造装置の概略全体構成図である。
【図2】図1に示すディスク製造装置に含まれた塗布装置の要部説明図である。
【図3】図2に示す塗布装置におけるポンプ25の概略構成を示す図である。
【図4】実施例において、ディスク基板の回転速度変化を示す図である。
【図5】ディスク基板上における接着剤塗布部の形成手順を示す図であって、(a)は環状に塗布する途中部分を示す図、(b)は環状に塗布した直後の図、(c)は環状に接着剤塗布部を形成した状態を示す図である。
【図6】環状の接着剤塗布部における測定点を示す図である。
【図7】実施例、比較例、従来例におけるディスク基板の回転速度と接着剤塗布領域を示す図である。
【図8】実施例、比較例、従来例におけるディスク基板上に塗布された接着剤塗布部の各測定点での塗布幅を示す図である。
【図9】(a)、(b)は2段バルブの開状態と閉状態を示す図である。
【図10】従来の塗布方法による接着剤塗布部を示す図である。
【符号の説明】
1 ディスク
1a,1b ディスク基板(被塗布物、円板状物体)
5 塗布装置(塗布手段)
7 重ね合わせ装置(貼り合わせ手段)
8 展延装置(展延手段)
24 回転駆動部(相対回転手段)
25 ポンプ(吐出手段)
25a ノズル(吐出口)
29 駆動部(相対回転手段)
32 吐出制御手段
33 回転速度制御手段(相対回転速度制御手段)
S 接着剤(液状物体)
Claims (6)
- 吐出口と被塗布物とを相対回転させ、吐出口より液状物体を被塗布物に吐出させて、均一な円環状に塗布する塗布方法であって、塗布開始時の前記相対回転の速度を、その後の前記相対回転の速度より速くするようにした液状物体の塗布方法。
- 2つの円板状物体を接着剤を介して貼り合わせるようにした円板状物体の貼り合わせ方法であって、
前記接着剤の吐出口と円板状物体とを相対回転させてこの円板状物体に前記接着剤を円環状に塗布する塗布工程と、
前記接着剤を挟んで2枚の円板状物体を貼り合わせた後に回転させて接着剤を展延させる展延工程とを備えていて、
前記塗布工程において前記液状物体は塗布開始時から塗布終了時に向けて前記接着剤の吐出口と円板状物体との相対回転速度を低下させるようにした円板状物体の貼り合わせ方法。 - 液状物体を被塗布物に環状に塗布する塗布装置であって、前記液状物体を被塗布物に吐出する吐出口と、該吐出口と被塗布物とを相対回転させる相対回転手段と、前記吐出口と被塗布物との相対回転速度について塗布開始時の相対回転速度をその後の塗布時の相対回転速度より速くするようにした相対回転速度制御手段とを備えてなる塗布装置。
- 2つの円板状物体を接着剤を介して貼り合わせるようにした円板状物体の貼り合わせ装置であって、
前記接着剤をほぼ一定量づつ吐出口から円板状物体に塗布する塗布手段と、前記吐出口と円板状物体とを相対回転させる相対回転手段と、前記吐出口と円板状物体との相対回転速度を塗布開始時から塗布終了時に向けて低下させるようにした相対回転速度制御手段と、環状に塗布された前記接着剤を挟んで2枚の円板状物体を貼り合わせる貼り合わせ手段と、貼り合わせた前記円板状物体を回転させて接着剤を展延させる展延手段とを備えてなる貼り合わせ装置。 - 前記接着剤はカチオン重合型紫外線硬化性樹脂組成物であり、前記円板状物体に接着剤が環状に塗布された状態で接着剤に紫外線を照射する紫外線照射手段を更に備えてなる請求項4記載の貼り合わせ装置。
- 前記円板状物体はディスク基板であり、2枚の該ディスク基板を貼り合わせてディスクを構成するようにした請求項4または5記載の貼り合わせ装置。
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2002
- 2002-06-28 JP JP2002191189A patent/JP2004033826A/ja not_active Withdrawn
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
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A621 | Written request for application examination |
Effective date: 20050513 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 |
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A761 | Written withdrawal of application |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761 Effective date: 20070625 |