JP2004033006A - 生物由来材料の消化・細胞回収方法およびその装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】生物由来材料の特定型の細胞群を分離、特に、膵臓器からのランゲルハンス島を分離するに際し、短時間で、容易に膵臓器を消化し、ランゲルハンス島を分離回収処理する方法および装置を提供すること。
【解決手段】生物由来材料を、特定型群の細胞クラスターを通過させるが生物由来材料を通過させないスクリーンを有するチャンバーに入れ、15−38℃で生理的媒体と共に撹拌し、再循環させることなく、前記細胞がスクリーンの通過を確認した後、冷却された第2の生理的媒体をチャンバー内に入れ、0−14℃で撹拌し、再循環させることなく、スクリーンを通過する特定の細胞型群を回収する方法および装置。
【選択図】 図1
【解決手段】生物由来材料を、特定型群の細胞クラスターを通過させるが生物由来材料を通過させないスクリーンを有するチャンバーに入れ、15−38℃で生理的媒体と共に撹拌し、再循環させることなく、前記細胞がスクリーンの通過を確認した後、冷却された第2の生理的媒体をチャンバー内に入れ、0−14℃で撹拌し、再循環させることなく、スクリーンを通過する特定の細胞型群を回収する方法および装置。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、膵臓等の臓器から必要な細胞や組織を、細胞および組織の機能を損なうことなく、効率よく分離回収する方法および装置に関する。特に、酵素によって膵臓器を消化し、ランゲルハンス島を効率よく分離回収する方法およびその装置に関する。分離精製されたランゲルハンス島は、糖尿病患者内にインシュリンを生成させるため、糖尿病患者に移植することができる。
【0002】
【従来の技術】
糖尿病は、日本のみならず世界的に広がっている深刻な疾病である。1997年に旧厚生省が行った調査では、「糖尿病が強く疑われる人」約690万人、この値に「糖尿病の可能性を否定できない人」680万人を加えると、約1370万人がリスク群と推定されている。WHOの推定する全世界の糖尿病人口は、2000年で1億5千万人あまりであり、2025年には約3億人に達するものと予測されている。
【0003】
近年、糖尿病の根治的治療法として膵島移植が注目を浴びるようになってきている。膵島移植は、生理的な血糖コントロールを可能とし、手技も簡単で、ハイリスク例にも応用できる優れた糖尿病治療法として期待されている。膵島移植は、糖代謝の改善による糖尿病性二次病変の進行阻止または改善を目的としているが、強化インスリン療法やインスリン持続皮下注入療法でも血糖コントロールの難しいインスリン依存型糖尿病(IDDM)は、まさに膵島移植のよい適応であると考えられている。膵島移植は局所麻酔で可能なほどで、手術侵襲が極めて小さいため糖尿病患者にとってより安全であり、血管吻合の必要がないため血管病変の進行により膵(臓器)移植の適応外になった患者でも実施可能である。また、門脈循環にインスリンが放出されるため生理学的にも有利である。さらに、分離膵島の凍結保存による、いわゆるbankingも可能である等、膵(臓器)移植と比較して多くの利点を有している。
【0004】
また、インスリン非依存型糖尿病(NIDDM)臨床の実際では、積極的にインスリン療法が用いられている。これは、インスリンを投与することにより、患者自身の膵島β細胞を休息させ、それによりβ細胞の機能が回復してくるのを待つという考え方からであり、近年、積極的に導入され、好結果が報告されている。このことは、NIDDMにおいても、膵島移植によって治療可能であることを示しており、NIDDM例のβ細胞機能が低下してきている時期に膵島を移植すれば、再びβ細胞機能が回復し、NIDDMの悪化を防止できる可能性も考えられている。
【0005】
実験的医療の段階から始まった膵島移植は、当初、成績が芳しくなかったが、1999年3月よりカナダEdmontonにあるAlberta大学において、新しい画期的なEdmonton Protocolが実施され、膵島移植施行7例全例が、insulin independentとなったということが報告され(Shapiro AM,Lakey JRT,Ryan EA,Korbutt GS,Toth E,Warnock GL,Kneteman NM,Rajotte RV: N Eng J Med,343,230−238(2000)を参照。)、このprotocolによる多施設共同トライアルも準備されている。
【0006】
このように、膵島移植の臨床研究までに発展した理由としては、大動物膵よりの大量膵島分離法の研究がなされ、1984年、Ricordi等は、独自の自動膵島分離装置を考案し、ブタ、ヒト膵よりの大量膵島分離に成功したことが大きい。
大量膵島分離に関する技術としては、特表平2−5042222号公報(米国特許第5079160号公報に対応)には、細胞亜類型の細胞クラスターを単離する方法が記載されている。この先行技術には、膵臓から膵島を分離する手法および装置が開示されている。
【0007】
具体的には、脊椎動物の完全な器官からの細胞の一定の特定型群を得る方法であって、
(a)完全器官を、特定型群に含まれる細胞を遊離させるに有効な量のプロテアーゼを含有する生理的媒体で膨張させ、
(b)前記膨張器官を通しておよび細胞、すなわち、特定型群の細胞クラスターを通過させるが器官を通過させない分離手段を通して、生理的媒体を、前記細胞を移動させ、かつ、細胞を取り出すのに十分な時間、再循環し、
(c)前記細胞が分離手段の通過を開始した後、前記器官を通しおよび前記分離手段を通して回収手段に新たな生理的媒体を循環し、次いで、
(d)前記分離手段を通過する細胞の特定型群を回収する、
ことを特徴とする方法である。
【0008】
しかしながら、上記の、膵臓からのランゲルハンス島の分離法は、分離操作の過程で生理的媒体を再循環させるというプロセスがあり、バルブ操作が煩雑になったり、分離時間がかかったりする等の欠点があった。また、ここには、細胞の放出を向上させる手段として、生物由来材料であるところの器官を入れた室中にビー球(marbles)等の滑らかな「向上手段」(enhancers)を入れることが記載されているが、室、すなわち、生物由来材料である器官をいれたチャンバー全体の撹拌態様については、具体的には示されていない。さらに、生物由来材料である器官を入れた室、すなわち、チャンバーについて、プロセスを容易ならしめるために、消化の状態を目視確認できるように、その素材を透明化したり、また、再利用できるように滅菌可能な素材や低コストのディスポーザブル製品に製作可能な素材等についての記載は一切ない。
【0009】
Ricordi C,Lacy PE,Finke EH,Olack BJ,Scharp DW: Daibetes,37,413−420(1988)には、上記の特表平2−5042222号公報(米国特許第5079160号公報に対応)と同様の方法が記載されているが、生物由来材料である臓器を入れるチャンバーがステンレスでできており、臓器の消化の進行具合が目視で確認できないという欠点があった。
【0010】
Chern HT,Chen CF,Leu FJ,TSOU SS,Chang TM,SUN AM: Proceedings of the National Science Council,ROC Part B: Life Sciences,17,143−151(1993)には、Ricordiの自動消化装置を用いて、犬の膵臓からランゲルハンス島を大量に分離する方法が記載されているが、本方法も、最初にクローズドループで再循環し、続いてオープンシステムにして操作を行っており、バルブ操作等が煩雑であった。また、消化チャンバーの撹拌方法や素材については何ら言及されていない。
【0011】
Takei S,Teruya M,Grunewald Axel,Garcia R,Chan EK,Charls MA: Pancreas,9,150−156(1994)には、Ricordiの自動消化装置を用いて、ヒトおよびブタからのランゲルハンス島を大量に分離する方法が記載されているが、本方法も、最初にクローズドループで再循環する方法がとられており、バルブ操作等が煩雑であった。また、消化チャンバーの撹拌様式については、なんら言及されていない。一方、消化チャンバーの素材については、透明の材料からなるチャンバーを用いたとの記載があるが、材料の詳細については一切触れられておらず、透明度の度合い、耐熱性、耐衝撃性、加工性、コスト等の観点から適した材料について、これを示唆する記載もない。
【0012】
Swanson CJ,Olack BJ,Goodnight D,Zhang L,Mohanakumar: Human Immunology,62,739−749(2001)には、特表平2−5042222号公報(米国特許第5079160号明細書に対応)と同様に、分離操作の過程で生理的媒体を再循環させるというプロセスがあり、バルブ操作が煩雑になったりする等の欠点があった。
【0013】
一方、生物由来材料を入れたチャンバーの撹拌方法としては、消化チャンバーをアーム型の撹拌装置に備え付け、撹拌を行うことが記載されているが、撹拌を行うためのアームの振幅幅が大きいために撹拌機のスペースをとってしまったり、装置の運転者に障害を与える可能性があり、安全上の問題があった。また、消化チャンバーの素材については一切触れられていない。
米国特許第5837444号明細書には、臓器を消化するチャンバーと、予め定められたサイズより大きな細胞を留まらせるようなフィルターを有する、細胞(ランゲルハンス島)を回収するチャンバーがクローズドループになっており、そのクローズドの回路において再循環させ、ランゲルハンス島を回収チャンバーに留まらせる態様の装置が開示されている。
【0014】
この公報の装置の構造は複雑で、実際にランゲルハンス島の分離作業を行う際には操作が煩雑である。さらに、この公報では、ランゲルハンス島の消化分離効率を向上させるための消化チャンバーの撹拌方法については何ら触れられていない。この公報には、消化チャンバーが透明のポリスルホンでできていることが開示されているが、膵島移植の臨床を行うために、ビー玉のような撹拌素子をチャンバー内にいれ、臓器を消化し、さらに、消化後、オートクレーブ滅菌して繰り返し使用するには耐久性が乏しく、一方、繰り返し使用せずに、臨床毎に使い捨てにするためのものとしては、高価であり、加工性が劣るという問題を有していた。
【0015】
すなわち、これまで膵臓器からのランゲルハンス島を分離ために、臓器の消化の際に生理的適合性媒体を再循環させずに、短時間、かつ、容易にランゲルハンス島分離を進行させ、撹拌のためのスペースをとらない、安全、かつ、効率的に分離する方法はなかった。また、臓器の消化の際に生理的媒体を再循環させずに、短時間で、容易にランゲルハンス島分離を進行させるための回路および撹拌のためのスペースをとらない、安全、かつ、効率的に分離するための撹拌装置、および消化の状態が確認でき、繰り返し使用のための耐滅菌性および耐衝撃性を有したチャンバーまたは低コストなディスポーザブル型のチャンバーを有する装置は存在しなかった。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、生物由来材料の特定型の細胞群を分離する方法およびその装置、とりわけ、膵臓器からランゲルハンス島を分離する手段において、短時間、かつ、容易に膵臓器を消化し、ランゲルハンス島を分離回収処理することができる方法および装置を提供することにある。
さらに、ランゲルハンス島を消化する際のチャンバーとして、臨床試験等、繰り返して使用する場合や使い捨て使用の場合の最適なチャンバーを提供するものである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記のような問題点を解決するために鋭意研究を重ねた結果、意外にも、生物由来材料を消化用チャンバー内に入れ、加熱された生理的媒体をチャンバーに流入させたのち、再循環させることなく、第2の冷却された生理的媒体をチャンバーに流入させ、次いで、再循環させることなく前記スクリーンを通過する特定の細胞型群を回収することによって、短時間、かつ、容易に、特定の細胞型群を回収できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0018】
すなわち、本発明は以下のとおりである。
第一の発明は、生物由来材料からの細胞の一定の特定型群を得る方法であって、
(1)生物由来材料を特定型群の細胞クラスターを通過させるが生物由来材料を通過させないスクリーンを有するチャンバーに入れ、
(2)加熱工程を通過させながら、生理的媒体をチャンバーに流入させ、チャンバー内を15−38℃に加温してチャンバーを撹拌し、
(3)再循環させることなく、前記細胞がスクリーンを通過するのを確認した後、冷却工程を通過させながら、第2の生理的媒体をチャンバーに流入させ、チャンバー内を0−14℃に冷却してチャンバーを撹拌し、次いで、
(4)再循環させることなく、前記スクリーンを通過する特定の細胞型群を回収することを特徴とする生物由来材料の消化・細胞回収方法である。
【0019】
第2の発明は、生理的媒体供給部(a)、回路加熱部(b)、回路冷却部(c)、消化チャンバー部(d)および細胞回収部(e)を備え、消化チャンバー部(d)は、撹拌手段、入り口部および出口部を有し、消化チャンバーの入り口部は、回路加熱部(b)と回路冷却部(c)に接続し、回路加熱部(b)と回路冷却部(c)は、切り替え可能な回路を介して生理的媒体供給部(a)と接続しており、消化チャンバーは、消化チャンバー内の溶液中の粒子径を調節するスクリーンを介して細胞回収部(e)に接続されていることを特徴とする生物由来材料の消化・細胞回収装置である。
【0020】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に用いられる生物由来材料として、円口類、棘魚類、板皮類、軟骨魚類、硬骨魚類、両性類、爬虫類、鳥類、哺乳類に属する動物由来の、個体、器官、臓器、組織等である。具体例として、動物個体、胎児、脳、心臓、肺、肝臓、腎臓、膵臓、副腎、脾臓、胆臓、胎盤、食道、胃、腸、大腸、十二指腸、皮膚、骨、軟骨、目、角膜、羊膜、筋肉、胆管、血管、神経等が挙げられる。
【0021】
本発明において、細胞の一定の特定型群とは、細胞および細胞クラスターがもつ特徴的なある種の性質を有する細胞の集団および細胞クラスターの集団として定義される。細胞または細胞クラスターが持つ特徴的な性質とは、細胞または細胞クラスターのサイズ、比重、内容物、表面マーカー、分泌タンパク、化学物質による染色性等を指し、それらのうち、同一の性質を有する細胞または細胞クラスターの集団が、細胞の特定型群である。
【0022】
本発明において、スクリーンとは、網目構造をもった構造物のことをいう。スクリーンによって、網目サイズより小さな細胞、組織片、粒子等は通過できるが、網目サイズより大きなものは通過できないようにすることができる。通常、網目構造をもったガラス板、フィルムまたは金網が用いられるが、適当な網目サイズをもったフィルター等も用いることが可能である。
本発明において、生物由来材料を消化する際に、プロテアーゼを加えることは必ずしも必要ではないが、消化効率を向上させるためにはプロテアーゼを加えることが好ましい。プロテアーゼとは、タンパク質加水分解酵素のことをいう。使用されるプロテアーゼは限定されないが、組織に含まれる細胞を遊離することができる酵素であればいずれでもよい。大抵の構造タンパク質はコラーゲンよりなるので、コラゲナーゼおよび/または「コラゲナーゼ」を含む標品が用いられる。「コラゲナーゼ」は、いくつかのプロテアーゼの種々の粗標品として販売されており、本発明についての有効レベルはもちろん用いるコラゲナーゼ標品の性質にも依存する。
【0023】
一般に「コラゲナーゼ」は、構造タンパク質を破壊するのに有効であって、現に実質的量でコラゲナーゼを含有する酵素標品を記述するのに用いられる用語である。コラゲナーゼを欠くものも含め、他の「プロテアーゼ」標品も用いることができる。例えば、トリプシンまたはキモトリプシンからなる標品も有効である。近年では、コラゲナーゼの混合物であるところの「リベラーゼTM」(ベーリンガー・マンハイム社製)がランゲルハンス島分離のために好適に用いられる。
標的生物由来材料の組織を「消化するのに有効なプロテアーゼの量」は、目的とする細胞の特定型群を遊離するために生物由来材料に含有される関連構造タンパクを十分な程度に破砕することができる。
【0024】
有効であるために必要とされる濃度は、生物由来材料および用いるコラゲナーゼ標品によって変化するが、膵臓からランゲルハンス島を遊離するためには、一般に適当なコラゲナーゼの0.5〜3mg/mlが有効である。有効な濃度は、消化の温度、pHおよび程度をはじめとする消化の条件による。上記の量は、これらの変数の最適化を想定している。特定の場合に有効であるのに必要とされる「コラゲナーゼ」の量の確認は、別のプロテアーゼ酵素標品の有効レベルの決定と同様、当業者が容易に実施できるものである。
【0025】
本発明おける生理的媒体とは、生体組織に適合し得る適切なイオン強度およびpHを有する緩衝溶液のことをいう。この媒体は、抗生物質、栄養物(例えば、胎児ウシ血清(FBS))等の補完物を含有していてもよい。この種の代表的媒体は、ハンク溶液(Hank’s solution)、リンゲル溶液、LAP−1溶液、UW溶液等が挙げられる。pHおよびイオン強度条件は、消化または灌流の対象となる生物由来材料に調和するように正確に調節することができる。
【0026】
本発明の方法および装置は、いずれの生物由来材料に対しても適用可能であるが、とりわけ膵臓からのランゲルハンス島を分離するのに有効である。
本発明の方法は、膨張させた生物由来材料の清化および担体媒体による生物由来材料の灌流によるランゲルハンス島の除去を包含する。ランゲルハンス島の分離精製は次いで、COBE2911(米国、Gambro社製)等のような自動比重遠心分離機を用いて実施してもよい。
【0027】
本発明は、1つの局面において、脊椎動物の臓器から必要細胞または組織を得る方法であって、部分的に消化した臓器の生理的媒体による連続的移動により目的とする細胞を回収する方法に関する。
本発明の方法においては、担体媒体による臓器の消化のプロセスを早めるために、15−38℃の高められた温度で行い、臓器を通過した後のすべてのプロセス面において、コラゲナーゼを不活性化し細胞を保存するために担体媒体を冷却する。回収においては、細胞を低温に維持した回収器に通す。
【0028】
細胞が検出中に現れるのにいくらかの時間を要するので、媒体は、最初高められた温度にしておき、臓器を通して少量ずつ連続的に流入される。細胞が出口スクリーンを通して出現し、臓器の消化が最適になった時点で、低温にした新たな媒体を連続的に供給し、目的とする細胞、組織を含む流出液を回収する。このとき、今、分解している臓器もこのプロセス段階では0〜14℃の低温に維持する。
【0029】
消化プロセス中、消化を早めるためおよび短時間で全工程を処理が行えるようにするために、消化チャンバーを撹拌する必要がある。撹拌の様式については限定はないが、チャンバーが上下に振幅し、かつ、上下方向の振幅軸を中心にして、左右回転しながら撹拌できるようにすることが好ましい。この撹拌方法によって、チャンバー中の撹拌向上物体は、より効率的にチャンバー内の媒体の混合および目的とする細胞クラスターの放出を促進することができる。
【0030】
消化プロセス中、消化の状態を容易に確認できるようにするためには、消化チャンバーは透明な素材でできていることが好ましく、取り扱い性や加工性を考慮するとプラスチック製であることが好ましい。
膵島移植の臨床を行うために、ビー玉のような撹拌素子を消化チャンバー内にいれ、臓器を消化したり、使用後、オートクレーブ滅菌して繰り返し使用するためには、消化チャンバーは、ある程度の耐衝撃性および耐熱性が必要である。これらの条件を満たす素材としては、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリフェニレンオキシド、グリプタル樹脂等が挙げられ、好ましくはポリカーボネートである。
【0031】
一方、繰り返し使用せずに、臨床の際や実験毎に使い捨てにするためには、安価、かつ、加工性に優れたプラスチックで作製された消化チャンバーが必要である。具体的には、ポリメチルメタクリレート、塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリクロルフルオロエチレン等の素材が挙げられる。好ましくは、ポリメチルメタクリレート、塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンである。
【0032】
次に、本発明の方法に用いられる装置について説明する。本発明の装置は、(a)生理的媒体供給部、(b)回路加熱部、(c)回路冷却部、(d)消化チャンバー部および(e)細胞回収部を備え、(d)消化チャンバー部は、撹拌手段、入り口部および出口部を有し、消化チャンバーの入り口部は、(b)回路加熱部と(c)回路冷却部に接続し、(b)回路加熱部と(c)回路冷却部は、切り替え可能な回路を介して(a)生理的媒体供給部と接続しており、消化チャンバーは、消化チャンバー内の溶液中の粒子径を調節するスクリーンを介して(e)細胞回収部に接続されている。
【0033】
スクリーンは、チャンバーを出る粒子のサイズを調節するものであり、細胞の流出および生物由来材料の保持を可能にする最も好都合な濾過手段である。しかしながら、流出する細胞のサイズ区別が必要とされない場合、単にチャンバー内に生物由来材料を保持するために用いることができる。
チャンバー内の望ましい消化温度を維持できるようにするための温度監視手段を有することが好ましい。チャンバーに温度センサーを設けたり、外部からチャンバーの表面温度を測定できるようにしておくことができる。
【0034】
本発明の装置は、膵臓組織からのランゲルハンス島の調製に特に適するが、その他、肝臓からの肝細胞、皮膚からの脂肪細胞、脾臓からの脾細胞等や各種臓器や生物由来材料からの幹細胞の調製等にも適用できる。本発明は、いずれの脊椎動物種の生物由来材料にも適用可能であるが、特に、哺乳動物、例えば、ヒト、ウシ、ブタ、イヌ等に適している。
灌流は、生物由来材料からの目的とする細胞集団の放出を監視できるような方法で行う。細胞の放出の向上のため、生物由来材料含有チャンバーの撹拌をこのプロセス中行い、撹拌の効果は、チャンバー中にビー玉等を入れることによって高められる。撹拌は、チャンバーが設置された震盪機の上下の振幅運動のスピードを変えることによって、上下の振幅運動の軸に対して左右回転する運動も連動しており、撹拌の程度をコントロールすることができる。
【0035】
本発明の装置の例を図面より説明する。図1は、本発明の装置の平面図、図2は、その側面図の例である。装置本体(1)には、生理的媒体用容器(2)、可変ポンプ(3)、冷却用ステンレス容器(5)に収納された冷却用ラジエーター(4)、加熱用ステンレス容器(7)に収納された加熱用ラジエーター(6)と投げ込み恒温装置(8)、消化用チャンバー(10)、消化用チャンバーに接続された回路(シリコンチューブ(12))を受けるチューブ受け(13)が設置されている。
【0036】
消化用チャンバー(10)は、当面の全生物由来材料を入れるに適当な寸法のチャンバーであればよい。それはまた振とう機等の撹拌装置上にチャンバーをおいたときに媒体の撹拌を助けるビー玉または他の撹拌向上手段(101)を含む。第2図に示すように、チャンバー(10)は、2つの入り口(A)および(B)を有しており、この入り口を通じて灌流媒体がチャンバー中に入ることができる。入り口の数は任意であるが、運転のしやすさを考慮すると1つまたは2つであることが好ましい。
【0037】
生物由来材料を含有する消化用チャンバー(10)は、特定型膵細胞を単離するのに適した孔径を有するスクリーン(11)を備えている。膵臓からのランゲルハンス島の単離のための代表的孔径は種に依存し、マウスランゲルハンス島では230μm、ヒトランゲルハンス島では280μmである。スクリーン(11)は、チャンバー(10)の出口側の媒体流出部の手前に設置されてある。スクリーンは、チャンバーを2つの部分に分離し、スクリーンを切り換え、上部および下部チャンバーのねじ部(102)によってチャンバーを再密閉することにより交換できる。消化用チャンバー(10)には、温度の監視を可能にする熱伝対手段(103)が備えられている。
【0038】
消化を行う場合には、生物由来材料をチャンバー(10)に入れ、チャンバーを追加のプロテアーゼ含有の生理的適合媒体で満たす。適当な媒体はハンク溶液、リンゲル溶液等を包含する。生物由来材料に適した孔径のスクリーンをチャンバーに入れ、チャンバーを密閉する。密閉された消化チャンバーを灌流媒体が流入する入り口部と出口部で接続する。媒体の供給は、当初、媒体供給容器(2)で設定され、媒体供給容器(2)には全系に供給するに十分な媒体が加えられる。この媒体は、ポンプ(3)で、回路加熱部(b)(加熱系回路(6))から消化チャンバー(10)に供給される。温度は、温度センサー(9)または外部の表面温度測定計で監視し、チャンバー内温度が15〜38℃、好ましくは約37℃になるようにする。
【0039】
消化が進み、ランゲルハンス島細胞を回収容器中で確認できるようになった時点で、新たな生理的適合性媒体を、回路冷却部(c)(冷却系回路(4))を通じて消化チャンバー(10)に供給される。温度は温度センサー(9)または外部の表面温度測定計で監視し、チャンバー内温度が0〜14℃、好ましくは約4℃になるようにする。
チャンバー出口から流出してくる特定型群細胞を含んだ媒体は、回収容器(14)に流入し、約0〜4℃で冷却され回収保存される。
【0040】
消化プロセス中、消化を早めるため、また短時間で全工程を処理が行えるようにするために、チャンバーを撹拌する必要がある。撹拌の様式は、チャンバーが上下に振幅し、かつ、上下方向の振幅軸を中心にして、左右回転しながら撹拌できるようにすることが好ましい。この撹拌方法によってチャンバー中の撹拌向上物体は、より効率的にチャンバー内の媒体の混合および目的とする細胞クラスターの放出を促進することができる。
【0041】
出口媒体中の細胞の存在を検出できる手段が出口側回路のサンプリング部(15)に備えられていてもよい。これにより、流出液中における目的細胞の存在の監視を行うことができる。細胞は顕微鏡で直接見ることができる。ランゲルハンス島の場合、ジチゾン(dithizone)で染色することによって確認できる。
目的細胞が検出された後の本発明方法の最後の工程は、分解中の生物由来材料を通して流した新鮮媒体による細胞の回収である。プロテアーゼを含有する必要のない新たな生理的媒体の温度は0〜15℃の範囲である。細胞の大半を洗い出すのに十分な低温媒体が用いられ、流出液および/またはさらに精製した流出液から遠心分離等の適当な手段によって細胞クラスターを回収することができる。
【0042】
目的とする細胞が出口媒体中で検出されると、最終回収工程を開始する。回路加熱部(b)(加熱系回路(6))を通じての消化チャンバーへの生理的媒体流入を停止し、灌流回路を回路加熱部(b)(加熱系回路(6))から回路冷却部(c)(冷却系回路(4))に切り替え、再び消化チャンバー内へ流入させる。これは、回路冷却部(c)(冷却系回路(4))を通じて流入させる媒体が低温であることによって、プロテアーゼによる過消化を防ぐために役立つ。
具体的には、新たな生理的媒体を供給容器(2)からバルブ(60)によって加熱回路をバイパスして供給し、消化チャンバー(10)を通し、回収容器(14)に流出させる。このとき、何回かのフラスコの取り換えを行ってもよい。回収はチャンバーから細胞がもはや流出しなくなるまで続ける。本方法における、各部分の時間は、生物由来材料の性質および量、消化および回収で用いられる特定条件によって変化する。しかしながら、代表的な時間は10〜30分程度である。
【0043】
細胞を回収した後、これをいずれかの常套手段によってさらに精製することができる。1つの好ましい手段は、フィコール(Ficoll)やパーコール(Percoll)による勾配遠心分離である。単離される特定の細胞に適したほかの精製方法ももちろん用いることができる。しかしながら、ランゲルハンス島について、重要で、有効な精製方法はフィコール遠心分離である。
この方法を行うため、回収フラスコからの細胞懸濁液にフィコール勾配を与え、遠心分離してランゲルハンス島細胞を含有する精製画分を回収する。
【0044】
上記方法によると90%以上、好ましくは95%以上の純度でランゲルハンス島を調製できる。ヒトの膵臓から得られるランゲルハンス島は、当然のことながら、適当な免疫抑制剤を用いることによって、そのまま膵島移植に使用できる。また、後で使用するために、適当な材料中に封入することによって保存できる。このようなカプセル化により免疫応答が抑制され、その結果、異種移植への使用も可能となる。例えばブタ等のランゲルハンス島をヒトに移植することができる。
【0045】
【発明の実施の形態】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は何らこれに限定されるものではない。
【0046】
【実施例1】
消化装置の製作
図1および図2に示す消化装置を製作した。図1は装置の平面図、図2は、その側面図である。装置の構成要素およびその仕様を表1に示す。
【0047】
【実施例2】
雑種成犬を用いた膵島分離実験。
雑種成犬(5頭)から膵臓を摘出し、実施例1で作製した装置を用いてランゲルハンス島の分離を行った。
具体的には、雑種成犬を麻酔下に開腹し、膵臓摘出後、直ちに氷冷し、HBSS(Hank緩衝液)にコラゲナーゼ(新田ゼラチン社製、type S−1)を1mg/mlの濃度になるように溶解した液100mlを膵管に挿入したカニューレによりゆっくりと注入した。その後、生理的媒体流入口および流出口にシリコン製チューブを接続した消化チャンバーに上記の膵臓とビー球(直径2cm)7個を入れた。さらにコラゲナーゼ溶液100mlと37℃のEuro Collins溶液を加え、スクリーン(ステンレス製メッシュ、孔径:0.85mm)を取り付け、チャンバーの蓋を閉めて、震盪機にセットした。
【0048】
その後、HBSS溶液(1〜1.5L)を満たした生理的媒体供給容器からポンプを介して37℃に加熱した加熱回路(加熱ラジエーター)をゆっくりと通過させ、消化チャンバー内に流入させながら、チャンバーを上下に振幅し、かつ、上下方向の振幅軸を中心にして、左右回転させながら撹拌した。流出口から出てくる細胞群を含む溶液を、氷で冷却された250ml容の遠沈管(Corning社製)に回収した。その際、回収液が遠沈管の容量を越える前に新たな遠沈管を用意した。また、経時的にその少量をとり、Dithizone溶液によって染色し、分離ランゲルハンス島細胞の状態を顕微鏡で観察した。
【0049】
Dithizone染色によって、ランゲルハンス島が確認された後、生理的媒体としてEuro Collins溶液を生理的媒体供給容器に満たし、さらに、加熱系回路(加熱ラジエーター)から氷で冷却された冷却系回路(冷却ラジエーター)に媒体が流れるように、バルブを切り替えた。
その後、Euro Collins溶液(1〜1.5L)を満たした生理的媒体供給容器からポンプを介して氷で冷却された冷却回路(冷却ラジエーター)をゆっくりと通過させ、消化チャンバー内に流入させながら、チャンバーを上下に振幅し、かつ、上下方向の振幅軸を中心にして、左右回転させながら撹拌した。流出口から出てくる細胞群を含む溶液は、氷で冷やされたFetal Bovine Serum (米国、Sigma社製)5mlを添加した250ml容の遠沈管(米国、Corning社製)に回収した。その際、回収液が遠沈管の容量を越える前に新たな遠沈管を用意した。
【0050】
その後、回収した溶液に含まれる細胞群は、Euro Collins溶液で200×g、4℃にて3回遠心洗浄をした。そうして得られた細胞群は、比重dが、d=1.108のDextran T70またはFicolの溶液200mlに懸濁させ、d=1.108、d=1.094、d=1.081であるところのDextran T70の溶液とEuro Collins溶液を順に重層するか、d=1.108、d=1.094、d=1.081であるところのFicol溶液とEuro Collins溶液を順に重層し、cell processor、COBE 2991(米国、Gambro社製)を用いて遠心分離し、比重d=1.108とd=1.094の界面に集まる細胞集団(ランゲルハンス島)を回収した。
【0051】
回収されたランゲルハンス島を25mlのEuro Collins溶液に懸濁させた。そのうちの0.1mlをとり、dithizoneによって染色し、50μm以上のものをランゲルハンス島の数として2回カウントした。同時に、純度も位相差顕微鏡にて見積もった。その結果を表2に示す。その膵島細胞収量は137,715±14,677IEQ(72,850±2,666islets)、6,260±667IEQ/g膵、純度>95%(n=5)であった。
その後、回収したランゲルハンス島は、100mg/dlのグルコースと10%の牛胎児血清を含むRPMI−1640培地で、3回遠心洗浄した。これらのランゲルハンス島を10mlの同じ培地中で37℃,5%CO2、95%Airの条件下で培養した。
【0052】
2日間培養後、static incubation testを実施した。すなわち、50個のランゲルハンス島を、3.3mMのグルコース存在下で37℃、1時間培養し、その後、3.3mMのグルコースで刺激した際に産出されるインスリン濃度を測定した。さらに、その後、16.7mMのグルコースで刺激し、37℃、1時間培養後の産出されたインスリン濃度を測定した。インスリン濃度の測定は、酵素免疫測定キット(Glazyme、Sanyo社製)を用いて行った。その結果を表3に示す。低グルコース(3.3mM)刺激によるインスリン分泌102.6±32.8μU/mlから高グルコース(16.7mM)刺激によるインスリン分泌233.4±40.68μU/mlへと約2.3倍へ上昇した(n=4)。
以上のことから、実施例2の方法は、膵臓から、短時間で、容易、効率的、かつ、細胞の機能を障害することなくランゲルハンス島を分離できることが確認された。
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】
【0055】
【表3】
【0056】
【発明の効果】
本発明は、生物由来材料の特定型の細胞群を分離、とりわけ、膵臓器からのランゲルハンス島を分離する方法およびその装置であって、本発明によると、短時間、かつ、容易に膵臓器を消化し、ランゲルハンス島を分離回収処理することができる。
さらに、本発明のよると、ランゲルハンス島を消化する際のチャンバーとして、臨床試験等、繰り返して使用する場合や、使い捨て使用の場合の最適なチャンバーが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の生物由来材料の消化・細胞回収装置の一例の平面図。
【図2】図1の生物由来材料の消化・細胞回収装置の平面図。
【産業上の利用分野】
本発明は、膵臓等の臓器から必要な細胞や組織を、細胞および組織の機能を損なうことなく、効率よく分離回収する方法および装置に関する。特に、酵素によって膵臓器を消化し、ランゲルハンス島を効率よく分離回収する方法およびその装置に関する。分離精製されたランゲルハンス島は、糖尿病患者内にインシュリンを生成させるため、糖尿病患者に移植することができる。
【0002】
【従来の技術】
糖尿病は、日本のみならず世界的に広がっている深刻な疾病である。1997年に旧厚生省が行った調査では、「糖尿病が強く疑われる人」約690万人、この値に「糖尿病の可能性を否定できない人」680万人を加えると、約1370万人がリスク群と推定されている。WHOの推定する全世界の糖尿病人口は、2000年で1億5千万人あまりであり、2025年には約3億人に達するものと予測されている。
【0003】
近年、糖尿病の根治的治療法として膵島移植が注目を浴びるようになってきている。膵島移植は、生理的な血糖コントロールを可能とし、手技も簡単で、ハイリスク例にも応用できる優れた糖尿病治療法として期待されている。膵島移植は、糖代謝の改善による糖尿病性二次病変の進行阻止または改善を目的としているが、強化インスリン療法やインスリン持続皮下注入療法でも血糖コントロールの難しいインスリン依存型糖尿病(IDDM)は、まさに膵島移植のよい適応であると考えられている。膵島移植は局所麻酔で可能なほどで、手術侵襲が極めて小さいため糖尿病患者にとってより安全であり、血管吻合の必要がないため血管病変の進行により膵(臓器)移植の適応外になった患者でも実施可能である。また、門脈循環にインスリンが放出されるため生理学的にも有利である。さらに、分離膵島の凍結保存による、いわゆるbankingも可能である等、膵(臓器)移植と比較して多くの利点を有している。
【0004】
また、インスリン非依存型糖尿病(NIDDM)臨床の実際では、積極的にインスリン療法が用いられている。これは、インスリンを投与することにより、患者自身の膵島β細胞を休息させ、それによりβ細胞の機能が回復してくるのを待つという考え方からであり、近年、積極的に導入され、好結果が報告されている。このことは、NIDDMにおいても、膵島移植によって治療可能であることを示しており、NIDDM例のβ細胞機能が低下してきている時期に膵島を移植すれば、再びβ細胞機能が回復し、NIDDMの悪化を防止できる可能性も考えられている。
【0005】
実験的医療の段階から始まった膵島移植は、当初、成績が芳しくなかったが、1999年3月よりカナダEdmontonにあるAlberta大学において、新しい画期的なEdmonton Protocolが実施され、膵島移植施行7例全例が、insulin independentとなったということが報告され(Shapiro AM,Lakey JRT,Ryan EA,Korbutt GS,Toth E,Warnock GL,Kneteman NM,Rajotte RV: N Eng J Med,343,230−238(2000)を参照。)、このprotocolによる多施設共同トライアルも準備されている。
【0006】
このように、膵島移植の臨床研究までに発展した理由としては、大動物膵よりの大量膵島分離法の研究がなされ、1984年、Ricordi等は、独自の自動膵島分離装置を考案し、ブタ、ヒト膵よりの大量膵島分離に成功したことが大きい。
大量膵島分離に関する技術としては、特表平2−5042222号公報(米国特許第5079160号公報に対応)には、細胞亜類型の細胞クラスターを単離する方法が記載されている。この先行技術には、膵臓から膵島を分離する手法および装置が開示されている。
【0007】
具体的には、脊椎動物の完全な器官からの細胞の一定の特定型群を得る方法であって、
(a)完全器官を、特定型群に含まれる細胞を遊離させるに有効な量のプロテアーゼを含有する生理的媒体で膨張させ、
(b)前記膨張器官を通しておよび細胞、すなわち、特定型群の細胞クラスターを通過させるが器官を通過させない分離手段を通して、生理的媒体を、前記細胞を移動させ、かつ、細胞を取り出すのに十分な時間、再循環し、
(c)前記細胞が分離手段の通過を開始した後、前記器官を通しおよび前記分離手段を通して回収手段に新たな生理的媒体を循環し、次いで、
(d)前記分離手段を通過する細胞の特定型群を回収する、
ことを特徴とする方法である。
【0008】
しかしながら、上記の、膵臓からのランゲルハンス島の分離法は、分離操作の過程で生理的媒体を再循環させるというプロセスがあり、バルブ操作が煩雑になったり、分離時間がかかったりする等の欠点があった。また、ここには、細胞の放出を向上させる手段として、生物由来材料であるところの器官を入れた室中にビー球(marbles)等の滑らかな「向上手段」(enhancers)を入れることが記載されているが、室、すなわち、生物由来材料である器官をいれたチャンバー全体の撹拌態様については、具体的には示されていない。さらに、生物由来材料である器官を入れた室、すなわち、チャンバーについて、プロセスを容易ならしめるために、消化の状態を目視確認できるように、その素材を透明化したり、また、再利用できるように滅菌可能な素材や低コストのディスポーザブル製品に製作可能な素材等についての記載は一切ない。
【0009】
Ricordi C,Lacy PE,Finke EH,Olack BJ,Scharp DW: Daibetes,37,413−420(1988)には、上記の特表平2−5042222号公報(米国特許第5079160号公報に対応)と同様の方法が記載されているが、生物由来材料である臓器を入れるチャンバーがステンレスでできており、臓器の消化の進行具合が目視で確認できないという欠点があった。
【0010】
Chern HT,Chen CF,Leu FJ,TSOU SS,Chang TM,SUN AM: Proceedings of the National Science Council,ROC Part B: Life Sciences,17,143−151(1993)には、Ricordiの自動消化装置を用いて、犬の膵臓からランゲルハンス島を大量に分離する方法が記載されているが、本方法も、最初にクローズドループで再循環し、続いてオープンシステムにして操作を行っており、バルブ操作等が煩雑であった。また、消化チャンバーの撹拌方法や素材については何ら言及されていない。
【0011】
Takei S,Teruya M,Grunewald Axel,Garcia R,Chan EK,Charls MA: Pancreas,9,150−156(1994)には、Ricordiの自動消化装置を用いて、ヒトおよびブタからのランゲルハンス島を大量に分離する方法が記載されているが、本方法も、最初にクローズドループで再循環する方法がとられており、バルブ操作等が煩雑であった。また、消化チャンバーの撹拌様式については、なんら言及されていない。一方、消化チャンバーの素材については、透明の材料からなるチャンバーを用いたとの記載があるが、材料の詳細については一切触れられておらず、透明度の度合い、耐熱性、耐衝撃性、加工性、コスト等の観点から適した材料について、これを示唆する記載もない。
【0012】
Swanson CJ,Olack BJ,Goodnight D,Zhang L,Mohanakumar: Human Immunology,62,739−749(2001)には、特表平2−5042222号公報(米国特許第5079160号明細書に対応)と同様に、分離操作の過程で生理的媒体を再循環させるというプロセスがあり、バルブ操作が煩雑になったりする等の欠点があった。
【0013】
一方、生物由来材料を入れたチャンバーの撹拌方法としては、消化チャンバーをアーム型の撹拌装置に備え付け、撹拌を行うことが記載されているが、撹拌を行うためのアームの振幅幅が大きいために撹拌機のスペースをとってしまったり、装置の運転者に障害を与える可能性があり、安全上の問題があった。また、消化チャンバーの素材については一切触れられていない。
米国特許第5837444号明細書には、臓器を消化するチャンバーと、予め定められたサイズより大きな細胞を留まらせるようなフィルターを有する、細胞(ランゲルハンス島)を回収するチャンバーがクローズドループになっており、そのクローズドの回路において再循環させ、ランゲルハンス島を回収チャンバーに留まらせる態様の装置が開示されている。
【0014】
この公報の装置の構造は複雑で、実際にランゲルハンス島の分離作業を行う際には操作が煩雑である。さらに、この公報では、ランゲルハンス島の消化分離効率を向上させるための消化チャンバーの撹拌方法については何ら触れられていない。この公報には、消化チャンバーが透明のポリスルホンでできていることが開示されているが、膵島移植の臨床を行うために、ビー玉のような撹拌素子をチャンバー内にいれ、臓器を消化し、さらに、消化後、オートクレーブ滅菌して繰り返し使用するには耐久性が乏しく、一方、繰り返し使用せずに、臨床毎に使い捨てにするためのものとしては、高価であり、加工性が劣るという問題を有していた。
【0015】
すなわち、これまで膵臓器からのランゲルハンス島を分離ために、臓器の消化の際に生理的適合性媒体を再循環させずに、短時間、かつ、容易にランゲルハンス島分離を進行させ、撹拌のためのスペースをとらない、安全、かつ、効率的に分離する方法はなかった。また、臓器の消化の際に生理的媒体を再循環させずに、短時間で、容易にランゲルハンス島分離を進行させるための回路および撹拌のためのスペースをとらない、安全、かつ、効率的に分離するための撹拌装置、および消化の状態が確認でき、繰り返し使用のための耐滅菌性および耐衝撃性を有したチャンバーまたは低コストなディスポーザブル型のチャンバーを有する装置は存在しなかった。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、生物由来材料の特定型の細胞群を分離する方法およびその装置、とりわけ、膵臓器からランゲルハンス島を分離する手段において、短時間、かつ、容易に膵臓器を消化し、ランゲルハンス島を分離回収処理することができる方法および装置を提供することにある。
さらに、ランゲルハンス島を消化する際のチャンバーとして、臨床試験等、繰り返して使用する場合や使い捨て使用の場合の最適なチャンバーを提供するものである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記のような問題点を解決するために鋭意研究を重ねた結果、意外にも、生物由来材料を消化用チャンバー内に入れ、加熱された生理的媒体をチャンバーに流入させたのち、再循環させることなく、第2の冷却された生理的媒体をチャンバーに流入させ、次いで、再循環させることなく前記スクリーンを通過する特定の細胞型群を回収することによって、短時間、かつ、容易に、特定の細胞型群を回収できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0018】
すなわち、本発明は以下のとおりである。
第一の発明は、生物由来材料からの細胞の一定の特定型群を得る方法であって、
(1)生物由来材料を特定型群の細胞クラスターを通過させるが生物由来材料を通過させないスクリーンを有するチャンバーに入れ、
(2)加熱工程を通過させながら、生理的媒体をチャンバーに流入させ、チャンバー内を15−38℃に加温してチャンバーを撹拌し、
(3)再循環させることなく、前記細胞がスクリーンを通過するのを確認した後、冷却工程を通過させながら、第2の生理的媒体をチャンバーに流入させ、チャンバー内を0−14℃に冷却してチャンバーを撹拌し、次いで、
(4)再循環させることなく、前記スクリーンを通過する特定の細胞型群を回収することを特徴とする生物由来材料の消化・細胞回収方法である。
【0019】
第2の発明は、生理的媒体供給部(a)、回路加熱部(b)、回路冷却部(c)、消化チャンバー部(d)および細胞回収部(e)を備え、消化チャンバー部(d)は、撹拌手段、入り口部および出口部を有し、消化チャンバーの入り口部は、回路加熱部(b)と回路冷却部(c)に接続し、回路加熱部(b)と回路冷却部(c)は、切り替え可能な回路を介して生理的媒体供給部(a)と接続しており、消化チャンバーは、消化チャンバー内の溶液中の粒子径を調節するスクリーンを介して細胞回収部(e)に接続されていることを特徴とする生物由来材料の消化・細胞回収装置である。
【0020】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に用いられる生物由来材料として、円口類、棘魚類、板皮類、軟骨魚類、硬骨魚類、両性類、爬虫類、鳥類、哺乳類に属する動物由来の、個体、器官、臓器、組織等である。具体例として、動物個体、胎児、脳、心臓、肺、肝臓、腎臓、膵臓、副腎、脾臓、胆臓、胎盤、食道、胃、腸、大腸、十二指腸、皮膚、骨、軟骨、目、角膜、羊膜、筋肉、胆管、血管、神経等が挙げられる。
【0021】
本発明において、細胞の一定の特定型群とは、細胞および細胞クラスターがもつ特徴的なある種の性質を有する細胞の集団および細胞クラスターの集団として定義される。細胞または細胞クラスターが持つ特徴的な性質とは、細胞または細胞クラスターのサイズ、比重、内容物、表面マーカー、分泌タンパク、化学物質による染色性等を指し、それらのうち、同一の性質を有する細胞または細胞クラスターの集団が、細胞の特定型群である。
【0022】
本発明において、スクリーンとは、網目構造をもった構造物のことをいう。スクリーンによって、網目サイズより小さな細胞、組織片、粒子等は通過できるが、網目サイズより大きなものは通過できないようにすることができる。通常、網目構造をもったガラス板、フィルムまたは金網が用いられるが、適当な網目サイズをもったフィルター等も用いることが可能である。
本発明において、生物由来材料を消化する際に、プロテアーゼを加えることは必ずしも必要ではないが、消化効率を向上させるためにはプロテアーゼを加えることが好ましい。プロテアーゼとは、タンパク質加水分解酵素のことをいう。使用されるプロテアーゼは限定されないが、組織に含まれる細胞を遊離することができる酵素であればいずれでもよい。大抵の構造タンパク質はコラーゲンよりなるので、コラゲナーゼおよび/または「コラゲナーゼ」を含む標品が用いられる。「コラゲナーゼ」は、いくつかのプロテアーゼの種々の粗標品として販売されており、本発明についての有効レベルはもちろん用いるコラゲナーゼ標品の性質にも依存する。
【0023】
一般に「コラゲナーゼ」は、構造タンパク質を破壊するのに有効であって、現に実質的量でコラゲナーゼを含有する酵素標品を記述するのに用いられる用語である。コラゲナーゼを欠くものも含め、他の「プロテアーゼ」標品も用いることができる。例えば、トリプシンまたはキモトリプシンからなる標品も有効である。近年では、コラゲナーゼの混合物であるところの「リベラーゼTM」(ベーリンガー・マンハイム社製)がランゲルハンス島分離のために好適に用いられる。
標的生物由来材料の組織を「消化するのに有効なプロテアーゼの量」は、目的とする細胞の特定型群を遊離するために生物由来材料に含有される関連構造タンパクを十分な程度に破砕することができる。
【0024】
有効であるために必要とされる濃度は、生物由来材料および用いるコラゲナーゼ標品によって変化するが、膵臓からランゲルハンス島を遊離するためには、一般に適当なコラゲナーゼの0.5〜3mg/mlが有効である。有効な濃度は、消化の温度、pHおよび程度をはじめとする消化の条件による。上記の量は、これらの変数の最適化を想定している。特定の場合に有効であるのに必要とされる「コラゲナーゼ」の量の確認は、別のプロテアーゼ酵素標品の有効レベルの決定と同様、当業者が容易に実施できるものである。
【0025】
本発明おける生理的媒体とは、生体組織に適合し得る適切なイオン強度およびpHを有する緩衝溶液のことをいう。この媒体は、抗生物質、栄養物(例えば、胎児ウシ血清(FBS))等の補完物を含有していてもよい。この種の代表的媒体は、ハンク溶液(Hank’s solution)、リンゲル溶液、LAP−1溶液、UW溶液等が挙げられる。pHおよびイオン強度条件は、消化または灌流の対象となる生物由来材料に調和するように正確に調節することができる。
【0026】
本発明の方法および装置は、いずれの生物由来材料に対しても適用可能であるが、とりわけ膵臓からのランゲルハンス島を分離するのに有効である。
本発明の方法は、膨張させた生物由来材料の清化および担体媒体による生物由来材料の灌流によるランゲルハンス島の除去を包含する。ランゲルハンス島の分離精製は次いで、COBE2911(米国、Gambro社製)等のような自動比重遠心分離機を用いて実施してもよい。
【0027】
本発明は、1つの局面において、脊椎動物の臓器から必要細胞または組織を得る方法であって、部分的に消化した臓器の生理的媒体による連続的移動により目的とする細胞を回収する方法に関する。
本発明の方法においては、担体媒体による臓器の消化のプロセスを早めるために、15−38℃の高められた温度で行い、臓器を通過した後のすべてのプロセス面において、コラゲナーゼを不活性化し細胞を保存するために担体媒体を冷却する。回収においては、細胞を低温に維持した回収器に通す。
【0028】
細胞が検出中に現れるのにいくらかの時間を要するので、媒体は、最初高められた温度にしておき、臓器を通して少量ずつ連続的に流入される。細胞が出口スクリーンを通して出現し、臓器の消化が最適になった時点で、低温にした新たな媒体を連続的に供給し、目的とする細胞、組織を含む流出液を回収する。このとき、今、分解している臓器もこのプロセス段階では0〜14℃の低温に維持する。
【0029】
消化プロセス中、消化を早めるためおよび短時間で全工程を処理が行えるようにするために、消化チャンバーを撹拌する必要がある。撹拌の様式については限定はないが、チャンバーが上下に振幅し、かつ、上下方向の振幅軸を中心にして、左右回転しながら撹拌できるようにすることが好ましい。この撹拌方法によって、チャンバー中の撹拌向上物体は、より効率的にチャンバー内の媒体の混合および目的とする細胞クラスターの放出を促進することができる。
【0030】
消化プロセス中、消化の状態を容易に確認できるようにするためには、消化チャンバーは透明な素材でできていることが好ましく、取り扱い性や加工性を考慮するとプラスチック製であることが好ましい。
膵島移植の臨床を行うために、ビー玉のような撹拌素子を消化チャンバー内にいれ、臓器を消化したり、使用後、オートクレーブ滅菌して繰り返し使用するためには、消化チャンバーは、ある程度の耐衝撃性および耐熱性が必要である。これらの条件を満たす素材としては、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリフェニレンオキシド、グリプタル樹脂等が挙げられ、好ましくはポリカーボネートである。
【0031】
一方、繰り返し使用せずに、臨床の際や実験毎に使い捨てにするためには、安価、かつ、加工性に優れたプラスチックで作製された消化チャンバーが必要である。具体的には、ポリメチルメタクリレート、塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリクロルフルオロエチレン等の素材が挙げられる。好ましくは、ポリメチルメタクリレート、塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンである。
【0032】
次に、本発明の方法に用いられる装置について説明する。本発明の装置は、(a)生理的媒体供給部、(b)回路加熱部、(c)回路冷却部、(d)消化チャンバー部および(e)細胞回収部を備え、(d)消化チャンバー部は、撹拌手段、入り口部および出口部を有し、消化チャンバーの入り口部は、(b)回路加熱部と(c)回路冷却部に接続し、(b)回路加熱部と(c)回路冷却部は、切り替え可能な回路を介して(a)生理的媒体供給部と接続しており、消化チャンバーは、消化チャンバー内の溶液中の粒子径を調節するスクリーンを介して(e)細胞回収部に接続されている。
【0033】
スクリーンは、チャンバーを出る粒子のサイズを調節するものであり、細胞の流出および生物由来材料の保持を可能にする最も好都合な濾過手段である。しかしながら、流出する細胞のサイズ区別が必要とされない場合、単にチャンバー内に生物由来材料を保持するために用いることができる。
チャンバー内の望ましい消化温度を維持できるようにするための温度監視手段を有することが好ましい。チャンバーに温度センサーを設けたり、外部からチャンバーの表面温度を測定できるようにしておくことができる。
【0034】
本発明の装置は、膵臓組織からのランゲルハンス島の調製に特に適するが、その他、肝臓からの肝細胞、皮膚からの脂肪細胞、脾臓からの脾細胞等や各種臓器や生物由来材料からの幹細胞の調製等にも適用できる。本発明は、いずれの脊椎動物種の生物由来材料にも適用可能であるが、特に、哺乳動物、例えば、ヒト、ウシ、ブタ、イヌ等に適している。
灌流は、生物由来材料からの目的とする細胞集団の放出を監視できるような方法で行う。細胞の放出の向上のため、生物由来材料含有チャンバーの撹拌をこのプロセス中行い、撹拌の効果は、チャンバー中にビー玉等を入れることによって高められる。撹拌は、チャンバーが設置された震盪機の上下の振幅運動のスピードを変えることによって、上下の振幅運動の軸に対して左右回転する運動も連動しており、撹拌の程度をコントロールすることができる。
【0035】
本発明の装置の例を図面より説明する。図1は、本発明の装置の平面図、図2は、その側面図の例である。装置本体(1)には、生理的媒体用容器(2)、可変ポンプ(3)、冷却用ステンレス容器(5)に収納された冷却用ラジエーター(4)、加熱用ステンレス容器(7)に収納された加熱用ラジエーター(6)と投げ込み恒温装置(8)、消化用チャンバー(10)、消化用チャンバーに接続された回路(シリコンチューブ(12))を受けるチューブ受け(13)が設置されている。
【0036】
消化用チャンバー(10)は、当面の全生物由来材料を入れるに適当な寸法のチャンバーであればよい。それはまた振とう機等の撹拌装置上にチャンバーをおいたときに媒体の撹拌を助けるビー玉または他の撹拌向上手段(101)を含む。第2図に示すように、チャンバー(10)は、2つの入り口(A)および(B)を有しており、この入り口を通じて灌流媒体がチャンバー中に入ることができる。入り口の数は任意であるが、運転のしやすさを考慮すると1つまたは2つであることが好ましい。
【0037】
生物由来材料を含有する消化用チャンバー(10)は、特定型膵細胞を単離するのに適した孔径を有するスクリーン(11)を備えている。膵臓からのランゲルハンス島の単離のための代表的孔径は種に依存し、マウスランゲルハンス島では230μm、ヒトランゲルハンス島では280μmである。スクリーン(11)は、チャンバー(10)の出口側の媒体流出部の手前に設置されてある。スクリーンは、チャンバーを2つの部分に分離し、スクリーンを切り換え、上部および下部チャンバーのねじ部(102)によってチャンバーを再密閉することにより交換できる。消化用チャンバー(10)には、温度の監視を可能にする熱伝対手段(103)が備えられている。
【0038】
消化を行う場合には、生物由来材料をチャンバー(10)に入れ、チャンバーを追加のプロテアーゼ含有の生理的適合媒体で満たす。適当な媒体はハンク溶液、リンゲル溶液等を包含する。生物由来材料に適した孔径のスクリーンをチャンバーに入れ、チャンバーを密閉する。密閉された消化チャンバーを灌流媒体が流入する入り口部と出口部で接続する。媒体の供給は、当初、媒体供給容器(2)で設定され、媒体供給容器(2)には全系に供給するに十分な媒体が加えられる。この媒体は、ポンプ(3)で、回路加熱部(b)(加熱系回路(6))から消化チャンバー(10)に供給される。温度は、温度センサー(9)または外部の表面温度測定計で監視し、チャンバー内温度が15〜38℃、好ましくは約37℃になるようにする。
【0039】
消化が進み、ランゲルハンス島細胞を回収容器中で確認できるようになった時点で、新たな生理的適合性媒体を、回路冷却部(c)(冷却系回路(4))を通じて消化チャンバー(10)に供給される。温度は温度センサー(9)または外部の表面温度測定計で監視し、チャンバー内温度が0〜14℃、好ましくは約4℃になるようにする。
チャンバー出口から流出してくる特定型群細胞を含んだ媒体は、回収容器(14)に流入し、約0〜4℃で冷却され回収保存される。
【0040】
消化プロセス中、消化を早めるため、また短時間で全工程を処理が行えるようにするために、チャンバーを撹拌する必要がある。撹拌の様式は、チャンバーが上下に振幅し、かつ、上下方向の振幅軸を中心にして、左右回転しながら撹拌できるようにすることが好ましい。この撹拌方法によってチャンバー中の撹拌向上物体は、より効率的にチャンバー内の媒体の混合および目的とする細胞クラスターの放出を促進することができる。
【0041】
出口媒体中の細胞の存在を検出できる手段が出口側回路のサンプリング部(15)に備えられていてもよい。これにより、流出液中における目的細胞の存在の監視を行うことができる。細胞は顕微鏡で直接見ることができる。ランゲルハンス島の場合、ジチゾン(dithizone)で染色することによって確認できる。
目的細胞が検出された後の本発明方法の最後の工程は、分解中の生物由来材料を通して流した新鮮媒体による細胞の回収である。プロテアーゼを含有する必要のない新たな生理的媒体の温度は0〜15℃の範囲である。細胞の大半を洗い出すのに十分な低温媒体が用いられ、流出液および/またはさらに精製した流出液から遠心分離等の適当な手段によって細胞クラスターを回収することができる。
【0042】
目的とする細胞が出口媒体中で検出されると、最終回収工程を開始する。回路加熱部(b)(加熱系回路(6))を通じての消化チャンバーへの生理的媒体流入を停止し、灌流回路を回路加熱部(b)(加熱系回路(6))から回路冷却部(c)(冷却系回路(4))に切り替え、再び消化チャンバー内へ流入させる。これは、回路冷却部(c)(冷却系回路(4))を通じて流入させる媒体が低温であることによって、プロテアーゼによる過消化を防ぐために役立つ。
具体的には、新たな生理的媒体を供給容器(2)からバルブ(60)によって加熱回路をバイパスして供給し、消化チャンバー(10)を通し、回収容器(14)に流出させる。このとき、何回かのフラスコの取り換えを行ってもよい。回収はチャンバーから細胞がもはや流出しなくなるまで続ける。本方法における、各部分の時間は、生物由来材料の性質および量、消化および回収で用いられる特定条件によって変化する。しかしながら、代表的な時間は10〜30分程度である。
【0043】
細胞を回収した後、これをいずれかの常套手段によってさらに精製することができる。1つの好ましい手段は、フィコール(Ficoll)やパーコール(Percoll)による勾配遠心分離である。単離される特定の細胞に適したほかの精製方法ももちろん用いることができる。しかしながら、ランゲルハンス島について、重要で、有効な精製方法はフィコール遠心分離である。
この方法を行うため、回収フラスコからの細胞懸濁液にフィコール勾配を与え、遠心分離してランゲルハンス島細胞を含有する精製画分を回収する。
【0044】
上記方法によると90%以上、好ましくは95%以上の純度でランゲルハンス島を調製できる。ヒトの膵臓から得られるランゲルハンス島は、当然のことながら、適当な免疫抑制剤を用いることによって、そのまま膵島移植に使用できる。また、後で使用するために、適当な材料中に封入することによって保存できる。このようなカプセル化により免疫応答が抑制され、その結果、異種移植への使用も可能となる。例えばブタ等のランゲルハンス島をヒトに移植することができる。
【0045】
【発明の実施の形態】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は何らこれに限定されるものではない。
【0046】
【実施例1】
消化装置の製作
図1および図2に示す消化装置を製作した。図1は装置の平面図、図2は、その側面図である。装置の構成要素およびその仕様を表1に示す。
【0047】
【実施例2】
雑種成犬を用いた膵島分離実験。
雑種成犬(5頭)から膵臓を摘出し、実施例1で作製した装置を用いてランゲルハンス島の分離を行った。
具体的には、雑種成犬を麻酔下に開腹し、膵臓摘出後、直ちに氷冷し、HBSS(Hank緩衝液)にコラゲナーゼ(新田ゼラチン社製、type S−1)を1mg/mlの濃度になるように溶解した液100mlを膵管に挿入したカニューレによりゆっくりと注入した。その後、生理的媒体流入口および流出口にシリコン製チューブを接続した消化チャンバーに上記の膵臓とビー球(直径2cm)7個を入れた。さらにコラゲナーゼ溶液100mlと37℃のEuro Collins溶液を加え、スクリーン(ステンレス製メッシュ、孔径:0.85mm)を取り付け、チャンバーの蓋を閉めて、震盪機にセットした。
【0048】
その後、HBSS溶液(1〜1.5L)を満たした生理的媒体供給容器からポンプを介して37℃に加熱した加熱回路(加熱ラジエーター)をゆっくりと通過させ、消化チャンバー内に流入させながら、チャンバーを上下に振幅し、かつ、上下方向の振幅軸を中心にして、左右回転させながら撹拌した。流出口から出てくる細胞群を含む溶液を、氷で冷却された250ml容の遠沈管(Corning社製)に回収した。その際、回収液が遠沈管の容量を越える前に新たな遠沈管を用意した。また、経時的にその少量をとり、Dithizone溶液によって染色し、分離ランゲルハンス島細胞の状態を顕微鏡で観察した。
【0049】
Dithizone染色によって、ランゲルハンス島が確認された後、生理的媒体としてEuro Collins溶液を生理的媒体供給容器に満たし、さらに、加熱系回路(加熱ラジエーター)から氷で冷却された冷却系回路(冷却ラジエーター)に媒体が流れるように、バルブを切り替えた。
その後、Euro Collins溶液(1〜1.5L)を満たした生理的媒体供給容器からポンプを介して氷で冷却された冷却回路(冷却ラジエーター)をゆっくりと通過させ、消化チャンバー内に流入させながら、チャンバーを上下に振幅し、かつ、上下方向の振幅軸を中心にして、左右回転させながら撹拌した。流出口から出てくる細胞群を含む溶液は、氷で冷やされたFetal Bovine Serum (米国、Sigma社製)5mlを添加した250ml容の遠沈管(米国、Corning社製)に回収した。その際、回収液が遠沈管の容量を越える前に新たな遠沈管を用意した。
【0050】
その後、回収した溶液に含まれる細胞群は、Euro Collins溶液で200×g、4℃にて3回遠心洗浄をした。そうして得られた細胞群は、比重dが、d=1.108のDextran T70またはFicolの溶液200mlに懸濁させ、d=1.108、d=1.094、d=1.081であるところのDextran T70の溶液とEuro Collins溶液を順に重層するか、d=1.108、d=1.094、d=1.081であるところのFicol溶液とEuro Collins溶液を順に重層し、cell processor、COBE 2991(米国、Gambro社製)を用いて遠心分離し、比重d=1.108とd=1.094の界面に集まる細胞集団(ランゲルハンス島)を回収した。
【0051】
回収されたランゲルハンス島を25mlのEuro Collins溶液に懸濁させた。そのうちの0.1mlをとり、dithizoneによって染色し、50μm以上のものをランゲルハンス島の数として2回カウントした。同時に、純度も位相差顕微鏡にて見積もった。その結果を表2に示す。その膵島細胞収量は137,715±14,677IEQ(72,850±2,666islets)、6,260±667IEQ/g膵、純度>95%(n=5)であった。
その後、回収したランゲルハンス島は、100mg/dlのグルコースと10%の牛胎児血清を含むRPMI−1640培地で、3回遠心洗浄した。これらのランゲルハンス島を10mlの同じ培地中で37℃,5%CO2、95%Airの条件下で培養した。
【0052】
2日間培養後、static incubation testを実施した。すなわち、50個のランゲルハンス島を、3.3mMのグルコース存在下で37℃、1時間培養し、その後、3.3mMのグルコースで刺激した際に産出されるインスリン濃度を測定した。さらに、その後、16.7mMのグルコースで刺激し、37℃、1時間培養後の産出されたインスリン濃度を測定した。インスリン濃度の測定は、酵素免疫測定キット(Glazyme、Sanyo社製)を用いて行った。その結果を表3に示す。低グルコース(3.3mM)刺激によるインスリン分泌102.6±32.8μU/mlから高グルコース(16.7mM)刺激によるインスリン分泌233.4±40.68μU/mlへと約2.3倍へ上昇した(n=4)。
以上のことから、実施例2の方法は、膵臓から、短時間で、容易、効率的、かつ、細胞の機能を障害することなくランゲルハンス島を分離できることが確認された。
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】
【0055】
【表3】
【0056】
【発明の効果】
本発明は、生物由来材料の特定型の細胞群を分離、とりわけ、膵臓器からのランゲルハンス島を分離する方法およびその装置であって、本発明によると、短時間、かつ、容易に膵臓器を消化し、ランゲルハンス島を分離回収処理することができる。
さらに、本発明のよると、ランゲルハンス島を消化する際のチャンバーとして、臨床試験等、繰り返して使用する場合や、使い捨て使用の場合の最適なチャンバーが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の生物由来材料の消化・細胞回収装置の一例の平面図。
【図2】図1の生物由来材料の消化・細胞回収装置の平面図。
Claims (11)
- 生物由来材料からの細胞の一定の特定型群を得る方法であって、
(1)生物由来材料を特定型群の細胞クラスターを通過させるが生物由来材料を通過させないスクリーンを有するチャンバーに入れ、
(2)加熱工程を通過させながら、生理的媒体をチャンバーに流入させ、チャンバー内を15−38℃に加温してチャンバーを撹拌し、
(3)再循環させることなく、前記細胞がスクリーンを通過するのを確認した後、冷却工程を通過させながら、第2の生理的媒体をチャンバーに流入させ、チャンバー内を0−14℃に冷却してチャンバーを撹拌し、次いで、
(4)再循環させることなく、前記スクリーンを通過する特定の細胞型群を回収することを特徴とする生物由来材料の消化・細胞回収方法。 - 生物由来材料が膵臓であり、細胞の特定型群がランゲルハンス島である請求項1記載の生物由来材料の消化・細胞回収方法。
- 工程(1)において、チャンバーにプロテアーゼを入れることを特徴とする請求項1記載の生物由来材料の消化・細胞回収方法。
- 工程(2)において、生物由来材料と接触させる生理的媒体の温度を25−40℃に維持し、工程(3)において、流入させる第2の生理的媒体の温度を0−15℃に維持することを特徴とする請求項1記載の生物由来材料の消化・細胞回収方法。
- チャンバーを上下に振幅させ、かつ、上下方向の振幅軸を中心にして左右回転させることによりチャンバーを撹拌することを特徴とする請求項1記載の生物由来材料の消化・細胞回収方法。
- 生理的媒体供給部(a)、回路加熱部(b)、回路冷却部(c)、消化チャンバー部(d)および細胞回収部(e)を備え、消化チャンバー部(d)は、撹拌手段、入り口部および出口部を有し、消化チャンバーの入り口部は、回路加熱部(b)と回路冷却部(c)に接続し、回路加熱部(b)と回路冷却部(c)は、切り替え可能な回路を介して生理的媒体供給部(a)と接続しており、消化チャンバーは、消化チャンバー内の溶液中の粒子径を調節するスクリーンを介して細胞回収部(e)に接続されていることを特徴とする生物由来材料の消化・細胞回収装置。
- チャンバーを上下に振幅させ、かつ、上下方向の振幅軸を中心にして左右回転させる撹拌装置を備えていることを特徴とする請求項6記載の生物由来材料の消化・細胞回収装置。
- チャンバーが、チャンバー内の温度をモニタリングするセンサーを有することを特徴とする請求項6記載の生物由来材料の消化・細胞回収装置。
- チャンバーの温度を表面温度計で測定することを特徴とする請求項6記載の生物由来材料の消化・細胞回収装置。
- チャンバーが、透明なプラスチック容器からなることを特徴とする請求項6記載の生物由来材料の消化・細胞回収装置。
- 透明なプラスチックが、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリフェニレンオキシド、グリプタル樹脂、ポリメチルメタクリレート、塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレン、アクリロニトリルースチレン共重合体、アクリロニトリルーブタジエン共重合体、およびポリクロルフルオロエチレンから選ばれた少なくとも一種であることを特徴とする請求項10記載の生物由来材料の消化・細胞回収装置。
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