JP2004032762A - 高効率ステップインピーダンスフィルタ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本RFフィルタは、複数の領域を有する基板を含み、各々は、各自の比透磁率及び比誘電率の基板特性を有する。少なくとも1つのフィルタ部分は、基板の他の領域と比較して異なる基板特性を有する基板領域に接続される。他のフィルタ部分は、異なる基板特性を有する他の基板領域に接続され得る。透磁率及び誘電率は、メタ材料を基板に添加することで及び/又は基板にボイドを形成することで調整され得る。RFフィルタはステップインピーダンスフィルタであり得る。あるフィルタ部分は、そのフィルタ部分が設けられる基板領域からの影響を受けるインピーダンスを有する伝送線路部分を含む。伝送線路部の構成は、マイクロストリップ、埋め込みマイクロストリップ及びストリップラインであり得る。基板の補足層は、そのフィルタ部分直下に設けられ得る。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、一般にRF回路に関する設計の自由度を増加させ、RFフィルタにおける特性を改善するために、誘電体回路基板材料を最適化する方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
マイクロストリップ及びストリップライン無線周波数(RF)フィルタは、一般的には、特別に設計された基板に作成される。RFフィルタの一形態は、段差又はステップ(stepped)インピーダンスフィルタである。ステップインピーダンスフィルタは、インダクタやキャパシタのようなリアクタンス素子又は共振線路スタブ(stub)以外の、高インピーダンス及び低インピーダンス交互の伝送線路部分を使用する。従って、ステップインピーダンスフィルタは比較的設計が容易であり、一般に他の形式のフィルタより小型である。このため、ステップインピーダンスフィルタは、小さなフィルタが必要とされる回路に有利である。
【0003】
RF回路に使用されるステップインピーダンスフィルタは、様々な形式で形成され得る。マイクロストリップとして知られている1つの形態は、基板表面にステップインピーダンスフィルタ、及び一般に接地プレートとして取り扱われる第2導電層を設ける。埋め込みマイクロストリップとして知られている第2の形態は、ステップインピーダンスフィルタが誘電体基板材料で被覆されている点を除いて同様なものである。ストリップラインとして知られている第3の形態では、ステップインピーダンスフィルタが、2つの電気的に導電性の(接地)プレート間の基板内に挟まれている。
【0004】
基板材料の特性に影響を与える2つの重要な要因は、誘電率(しばしば比誘電率εrとも呼ばれる)及び損失タンジェント(loss tangent)(しばしば散逸因子(dissipation factor)とも呼ばれる)である。比誘電率は信号速度を決定し、従って伝送線路の電気的長さ及び基板に実装される他の素子に関する電気的長さを決定する。損失タンジェントは、その基板材料を伝搬する信号に生じる損失量を特徴付ける。従って、小さな損失の材料は、周波数を増加させる観点からいっそう重要になり、特に受信機のフロントエンドや低雑音増幅回路を設計する際に重要になる。
【0005】
損失を無視すると、ストリップライン又はマイクロストリップのような伝送線路の特性インピーダンスは、
【0006】
【数1】
に等しく、ここで、Llは単位長さ当たりのインダクタンスであり、Clは単位長さ当たりの容量である。Ll及びClの値は、一般に、伝送線路構造を絶縁するために使用される誘電体材料の誘電率及び透磁率(permeability)に加えて、線路構造の物理的な幾何学及び間隔によって決定される。
【0007】
従来のRF技術では、設計事項に適切な比誘電率の値を有する基板材料が選択される。いったん基板材料が選択されると、伝送線路の特性インピーダンスの値は、伝送線路の幾何学及び物理的な構造を制御することによって専ら(exclusively)調整される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
伝送線路、受動RF回路又は放射要素について選択された基板材料の誘電率は、その線路構造に関する所与のRFエネルギの物理的な波長に影響を及ぼす。マイクロ波RF回路を設計する際に遭遇する1つの問題は、基板に形成される様々な受動素子、輻射要素、及び伝送線路回路の総てに最適な誘電体基板材料を選択することである。特に、回路要素の幾何学形態は、素子に要求される固有の電気的又はインピーダンスの特性に起因して、物理的に大きく又は小さくなってしまうことがある。同様に、特性インピーダンス値を特別に高く又は低くするのに要する線幅は、多くの場合に、所与の基板に実際に実装する場合に過度に狭く又は広くなってしまう。マイクロストリップ又はストリップラインの物理的なサイズは、誘電体材料の比誘電率の逆数に関連するので、伝送線路の大きさは基板材料の選択に大きく影響される。
【0009】
上述した手法に関する固有の問題点は、少なくとも基板材料に関し、伝送線路インピーダンスに関する唯一の制御変数が、比誘電率εrであることである。この制限は、従来の基板材料に関する問題点を深刻化させ、例えば伝送線路の単位長さ当たりのインダクタンスLlのような、特性インピーダンスを決定する他の要因を考慮することは困難である。
【0010】
従来の回路基板は、一般に、画一的な(uniform)基板物理特性(誘電率を含む)を与えるキャスティング(casting)又はスプレーコーティングのような工程によって形成される。従って、RF回路に関する従来の誘電体基板形態は、電気的な及び物理的なサイズ特性両者に最適な回路を設計する際の制限となっていることが分かる。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、RFフィルタに関連する。RFフィルタは、複数の領域を有する基板を含む。各領域は、相対的な透磁率及び相対的な誘電率を含む各自の基板特性を有する。少なくとも1つのフィルタ部分は、基板のある領域に接続され、その領域は、基板の少なくとも1つの他の領域と比較して異なる基板特性を有する。他のフィルタ部分は、更に異なる基板特性を有する他の基板領域に接続され得る。例えば、基板領域の透磁率及び/又は誘電率が相違し得る。透磁率及び誘電率の少なくとも1つは、メタ材料を基板に添加することで及び/又は基板にボイドを形成することで調整され得る。
【0012】
RFフィルタはステップインピーダンスフィルタであり得る。少なくとも1つのフィルタ部分は、そのフィルタ部分が設けられる基板領域からの影響を受けるインピーダンスを有する伝送線路部分を含む。伝送線路部の構成は、マイクロストリップ、埋め込みマイクロストリップ及びストリップラインより成る群から選択され得る。更に、RFフィルタは、そのフィルタ部分直下に設けられた基板の補足層を包含し得る。
【0013】
【発明の実施の形態】
ステップインピーダンスフィルタは、典型的には無線周波数(RF)回路に使用され、一般にプリント回路基板又は基板に実装される。ステップインピーダンスフィルタは、典型的には、入力ポート、出力ポート及び複数の高インピーダンス及び低インピーダンス交互の伝送線路部分を有する。その伝送線路部分が接続される回路基板の基板特性に加えて、各伝送線路部分の長さ及び幅は、所望のインピーダンスを与えるように調整される。
【0014】
通常は、低い誘電率のプリント回路基板材料が、ステップインピーダンスフィルタを備えるRF回路に選択される。例えば、RT/duroid(登録商標)6002(誘電率2.94;損失タンジェント.009)及びRT/duroid(登録商標)5880(誘電率2.2;損失タンジェント.0007)のような構成に基づくポリテトラフルオロエチレン(PTEE:polytetrafluoroethylene)は、アリゾナ州85226チャンドラー、100エス、ルーズベルトアベニューの、ロジャーズマイクロウェーブプロダクツのアドバンスト回路材料部から入手することが可能である。これらの材料両者は一般的な基板材料の選択肢である。上記の基板材料は、低い損失タンジェントと供に相対的に低い誘電率を有する基板層を与える。
【0015】
しかしながら、従来の基板材料を利用することは、回路要素の小型化を妨げ、高い誘電率の層による恩恵をもたらす回路形態の機能発揮を妨げる。通信回路における典型的なトレードオフは、ステップインピーダンスフィルタの物理的なサイズと動作周波数との間におけるものである。これに対して、本発明は、特定の周波数で動作する上で、ステップインピーダンスフィルタのサイズを小型化するのに適した磁性を有する高誘電体基板層領域の利用を可能にすることで、更なる柔軟度(flexibility)を回路設計者に提供する。更に、本発明は、ステップインピーダンスフィルタの品質因子(Q)を制御する手段をも回路設計者に与える。このような更なる柔軟度は、RF回路に関し、改善された、特性、ステップインピーダンスフィルタ密度及び実効性を可能にする。ここに規定されるように、RFは、電磁波を伝搬させるために使用され得る任意の周波数を意味する。
【0016】
図1は、基板層100に搭載された例示的なステップインピーダンスフィルタ120を示す。図1に示される例は、説明の便宜上7要素のローパスフィルタの設計であるが、本発明は、要素数又は具体的なフィルタ特性に限定されないことに留意すべきである。本発明は、例えば、ハイパスフィルタ、バンドパスフィルタ、バンドノッチフィルタ、鋸歯状フィルタ、櫛形フィルタ等のような任意の
素子数を有する任意の形式のステップインピーダンスフィルタに使用され得る。
【0017】
基板層100は、第1の基板特性群を有する第1領域102より成る。伝送線路部分に隣接して、特定の基板特性を与えるために1つ又はそれ以上の領域が基板層に包含される。例えば、各々が第2の基板特性群を有する第2領域104が、設けられている。第3の基板特性群を有する第3領域106も設けられる。各々が、関連する基板特性を有する付加的な領域も設けられ得る。
【0018】
基板特性は、1+0j以外の一般化された複素数値の誘電率及び透磁率を包含し得る。特に、第1,第2及び第3の基板特性群は、総て互いに相違し得る。例えば、第2領域104は、第1領域102より高い誘電率及び/又は透磁率を有し得る。第3領域106は、更に高い誘電率及び/又は透磁率を有し得る。
【0019】
例示的なステップインピーダンスフィルタ120は、複数の伝送線路部分110,112,114、及び入力/出力ポート108を有する。高インピーダンス伝送線路部分110は第1領域102に接続され、低インピーダンス伝送線路部分112は第2領域104に接続される。最後に、低インピーダンス伝送線路部分114は、図示されているように、第3領域106に接続されている。このようにして、各伝送線路部分に隣接する基板特性は、各部分のインピーダンスの条件に対して最適化される。
【0020】
図2は、図1のステップインピーダンスフィルタ120及び基板層100の2−2線に沿う断面図である。接地プレート116がステップインピーダンスフィルタ106直下に設けられている。従って、基板層100は、ステップインピーダンスフィルタ120の接地面上の高さを規定する厚さを有する。その厚さは、ステップインピーダンスフィルタ120から下部の接地プレート116までの物理的な距離に近似的に等しい。この距離は、例えば、ある誘電体材料が使用される場合に容量を増加させる又は減少させるために、特定の誘電体幾何学形態を実現するように調整され得る。
【0021】
特定の領域で誘電率を増加させることは、その領域に隣接する伝送線路部分の容量をも増加させる。更に、特定の領域の誘電率を増加させることは、その領域に隣接する伝送線路部分のインダクタンスも増加させる。他の実施例では(図示せず)、ステップインピーダンスフィルタは各自自身の接地プレート116又は(撚り対線形態のような)復帰トレースを有し、接地プレート116又は復帰トレースにおける電流が、伝送線路部分110−114に流れる電流と反対方向に流れるようにする。この逆電流は、伝送線路部分110−114に付随する磁束を相殺し、それらの部分のインダクタンスを低くする。
【0022】
従って、各領域における誘電率及び透磁率は、関連する伝送線路部分に対して特定のインピーダンス特性を達成するために選択された所望の容量及びインダクタンスを与えるように調整され得る。例えば、容量及びインダクタンスは、フィルタ応答を改善するために選択され得る、ステップインピーダンスフィルタ応答の所望のQを達成するために調整され得る。
【0023】
一般に、伝送線路を伝搬する信号の伝搬速度は、近似的に、
【0024】
【数2】
の逆数に比例する。伝搬速度は比誘電率及び比透磁率の逆数に関連するので、基板層100の選択された領域における誘電率及び/又は透磁率を増加させることは、選択された領域に接続された伝送線路部分の信号の伝搬速度そして信号波長を減少させる。即ち、伝送線路部分110−114の長さ及び幅は、例えば第2領域104及び第3領域106のような選択された領域の誘電率及び/又は透磁率を増加させることで、短縮され得る。このため、ステップインピーダンスフィルタ120は、長さ及び幅の両者の観点から、従来の回路基板で必要とされていたであろうものよりも、小型化されることが可能である。
【0025】
基板層100の誘電率及び/又は透磁率は、ステップインピーダンスフィルタの特性を最適化するために、選択された領域で差別的に調整され得る。更なる他の態様にあっては、基板層の総ての領域にて誘電率及び/又は透磁率を差別的に調整することで、総ての基板層領域が調整され得る。
【0026】
ここで使用される「差別的な調整(differential modifying)」なる語は、誘電性及び磁性の少なくとも一方が、基板のある領域では他の領域に比較して異なるような基板層100に関する、付加を包含する任意の調整を示す。例えば、そのような調整は、ある基板層領域には特定の誘電性又は磁性を与えつつ、他の基板層領域が不変に維持されるような選択的な調整であり得る。
【0027】
一実施例によれば、補足的な誘電体層(supplemental dielectric layer)が基板層100に付加され得る。様々なスプレー技術、スピンオン技術、様々な堆積技術又はスパッタリングのような既存の手法が、その補足的な誘電体層に適用され得る。図3を参照するに、第1補足層302が、基板層100の全面に付加され、及び/又は第2補足層304が第2,第3領域104,106内に又はその選択された部分内に選択的に付加され得る。補足層302,304は、ステップインピーダンスフィルタ120直下の誘電体に関する誘電率及び/又は透磁率に変化を与える。他の実施例では、補足層が、第1領域102又はその選択された部分に付加され得る。例えば、補足層は、その領域における誘電率及び/又は透磁率を増加させるために、高インピーダンス伝送線路部分及び/又は入力/出力ポート108下部に付加され得る。
【0028】
第2補足層304は粒子306を含み、第1,第2及び/又は第3領域102−106の比透磁率を1以外に変更するために、粒子306を包含し得ることに留意を要する。例えば、反磁性又は強磁性粒子が領域102−106の何れかに添加され得る。更に、誘電性粒子も領域102−106に付加され得る。更に、第1補足層302及び第2補足層304は、例えば、ストリップライン、マイクロストリップ及び埋め込みマイクロストリップのような任意の形態に設けることが可能である。
【0029】
本発明の他の実施例が図4に示される。第4基板領域402が、高インピーダンス伝送線路部分110に隣接して設けられる。基板層100の他の領域のように、第4領域402における誘電率及び透磁率は、高インピーダンス伝送線路部分110に関する特定の電気特性を達成するために調整され得る。例えば、第4領域の誘電率及び透磁率は、高インピーダンス伝送線路部分110に関する所望のインダクタンス、キャパシタンス、インピーダンス及び/又はQを達成するために調整され得る。
【0030】
以下、図5に提示されるフローチャートを参照しながら、サイズ及び特性の最適化されたステップインピーダンスフィルタを形成する方法を説明する。ステップ510では、調整用の基板誘電体材料が用意される。上述したように、基板材料には、在庫があって商業的に入手可能な基板材料、又はポリマ材料その他の組み合わせより成る特注の基板材料が含まれ得る。この準備工程は、選択された基板材料の形式に依存して行われる。
【0031】
ステップ520では、第1,第2及び第3領域102−106のような1つ又はそれ以上の基板層領域が差別的に修正され、誘電率及び/又は透磁率がその領域の2つ又はそれ以上の部分の間で異なるようにする。差別的な修正は、上述したような様々な手法で行われ得る。ステップ530を参照するに、その後に、当該技術分野で既知の標準的な回路基板技術を利用して、金属層がステップインピーダンスフィルタ120に形成される。
【0032】
図6Aを参照するに、典型的なローパスステップインピーダンスフィルタに関する挿入損失曲線610及びリターンロス曲線615が描かれている。図6Bは、本発明により異なる特性を有する基板領域を利用した場合に得られる挿入損失曲線620及びリターンロス曲線625を示す。これらのグラフを比較すると、異なる基板特性を有する領域を含む基板を利用すると、フィルタ特性が顕著に改善されることが分かる。
【0033】
局在化した及び選択可能な磁性及び基板特性を与えるメタ材料領域を有する誘電体基板が、以下の手法で用意され得る。ここで規定されるように、「メタ材料(metamaterial)」なる語は、分子レベル又はナノメータレベルのような非常に微細なレベルにおける、2つ又はそれ以上の異なる材料の混合又は組み合わせより成る複合材料を示す。メタ材料は、その合成物の電磁特性を合わせること(tailoring)を可能にし、それは実効的な電気的誘電率εeff(即ち誘電率)及び実効的な磁気的透磁率μeffより成る実効的な電磁パラメータによって定められる。
【0034】
適切なバルク誘電体セラミック基板材料は、デュポン(登録商標)フェロのような製造業者から入手され得る。一般にグリーンテープ(登録商標)と呼ばれる未処理材料は、6インチ毎の領域のように、バルク誘電体テープからその領域のサイズに合わせて切断され得る。例えば、デュポンマイクロサーキットマテリアルズは、951低温コファイア(Cofire)誘電体テープ及び強誘電体材料ULF28−30超低炎(Ultra Low Fire)COG誘電体組成のような、グリーンテープ材料系を与える。これらの基板材料は、使用されるマイクロ波周波数における回路動作に関し、比較的低い損失タンジェントと供に、比較的適度な誘電率を有する基板層を与えるために使用される。
【0035】
複数層の誘電体基板材料を利用するマイクロ波回路を作成する製造工程では、ビア(via)、ボイド(void)、ホール又は空洞のような部分が、1つ又はそれ以上のテープを通じて穿孔され得る。ボイドは、機械的手段(例えば、パンチ(punch))又は方向付けられたエネルギ(例えば、レーザドリル、フォトリソグラフィ)を利用して規定され得るが、ボイドは他の適切な任意の手法を利用しても規定され得る。あるビアは基板の厚さ全体を貫通することが可能であるが、他のビアは基板厚さの変化する領域を通じてのみ到達し得る。
【0036】
ビアは、その後に、通常は裏埋め(backfill)材料の設定精度に関連するステンシル(stencil)を利用して、金属、他の誘電体、磁性材料、又はそれらの混合物により充填される。テープの個々の層は、完全な多層構造を形成するための既存の手法を利用して積層され得る。或いは、テープの個々の層は、一般にサブスタック(sub−stack)と呼ばれる不完全な多層構造を形成するように供に積層される。
【0037】
また、ボイドのある領域は、ボイドを残し得る。選択された材料により裏埋めされるならば、その選択された材料はメタ材料を包含することが好ましい。メタ材料組成を選択できることは、2以下から少なくとも2650までの比較的連続的な範囲にわたって調整可能な実行誘電定数を与え得る。あるメタ材料により、調整可能な磁気特性も利用可能である。例えば、適切な材料の選択により、比実効透磁率は、一般に、ほとんどの実用的なRF製品を網羅する4乃至116程度の範囲を有し得る。しかしながら、比実効透磁率は、2程度に低く又は数千に達する程度であり得る。
【0038】
ここで使用される「差別的に修正される(differentially modified)」という語は、誘電性又は磁性の特性の少なくとも一方が、基板のある領域では他の領域に比較して異なるような誘電体基板層に関する、ドーピングを含む修正を示す。差別的に修正された基板は、好ましくは、複数の領域を含む1つ又はそれ以上のメタ材料を含む。
【0039】
例えば、その修正は、ある基板層領域が誘電性又は磁性の第1の特性群を形成しつつ、他の基板層領域が差別的に修正され又は未修正に残され、第1の特性群とは異なる誘電性及び/又は磁性の特性を与えるような、選択的な修正であり得る。差別的な修正は様々な形式で実現され得る。
【0040】
一実施例によれば、基板層に補足的な誘電体層が付加され得る。様々なスプレー技術、スピンオン技術、様々な堆積技術又はスパッタリングのような当該技術分野で既知の技術が、そのような補足的な誘電体層に応用され得る。補足的な誘電体層は、ボイド又はホール内側を含む局所的な領域に、又は基板層全体にわたって選択的に付加され得る。例えば、補足的な誘電体層は、増加した実行誘電定数を有する基板領域を与えるために使用され得る。補足的な層として付加される誘電体材料は、様々なポリマ材料を含み得る。
【0041】
差別的な修正ステップは、更に、基板層又は補足的な誘電体層に付加的な材料を局所的に加えることを包含し得る。その付加的な材料は、所与の設計事項を達成するために、基板層の実行誘電定数又は磁性特性を更に制御するために使用され得る。
【0042】
付加的な材料は、複数の金属及び/又はセラミック粒子を含み得る。金属粒子は、好ましくは、鉄、タングステン、コバルト、バナジウム、マンガン、ある希土類金属、ニッケル又はニオブ粒子を包含する。これらの粒子は、好ましくは、一般にサブミクロンの物理的な大きさを有するナノサイズの粒子であり、以後、ナノ粒子と呼ぶ。
【0043】
ナノ粒子のような粒子は、好ましくは、有機性(organofunctionalized)合成物粒子であり得る。例えば、有機性合成粒子は、電気的な絶縁性被覆物を有する金属コア(metallic core)又は金属性被覆物を有する絶縁性コアを有する粒子を包含し得る。
【0044】
ここに説明される様々な用途に関する基板層の磁気特性を調整するのに一般的に適している磁性メタ材料粒子は、フェライト有機セラミックス(FexCyHz)−(Ca/Sr/Ba−Ceramic)を包含する。これらの粒子は、8−40GHzの周波数範囲の用途で良好に機能する。それに加えて又は代替的に、ニオブ有機セラミクス(NbCyHz)−(Ca/Sr/Ba−Ceramic)は、12−40GHzの周波数範囲に有用である。高周波用の材料は、低周波用途にも適用可能である。これら及び他の形式の組成粒子は、商業的に入手することが可能である。
【0045】
一般に、コーティングされた粒子は、それらがポリマ基(matrix)又は側鎖の半分(side chain moiety)との結合を支援するので、本発明に使用することが好ましい。誘電体の磁気特性を調整することに加えて、付加された粒子は、材料の実行誘電定数を制御するためにも使用され得る。約1乃至70%の複合粒子の充填率(fill ratio)を利用すると、基板層及び/又は補足的な誘電体層の領域の誘電定数を顕著に上昇させること及び低下させることが可能である。例えば、基板層に有機性のナノ粒子を加えることは、修正される基板層領域の誘電定数を上昇させるために使用され得る。
【0046】
ポリブレンド(polyblending)、混合及び撹拌を伴う充填を含む様々な技術によって、粒子が印加され得る。例えば、誘電定数は、約70%までの充填率を有する様々な粒子を利用することで、2から10程度の大きさの値に上昇させることが可能である。この目的に有用な金属酸化物には、アルミ酸化物、カルシウム酸化物、マグネシウム酸化物、ニッケル酸化物、ジルコニウム酸化物、及びニオブ酸化物(II,IV,V)が包含される。リチウムナイオベート(LiNbO3)及びカルシウムカルシウムジルコネートやマグネシウムジルコネートのようなジルコネート(zirconate)も使用され得る。
【0047】
選択可能な基板属性は、10ナノメートル程度の小さな領域に局所化され得る、又は基板表面全体を含むような大きな領域を網羅し得る。堆積技術に関するリソグラフィ及びエッチングのような従来の技術は、局在化された誘電性又は磁性特性を取り扱うために使用され得る。
【0048】
可能な他の所望の特性に加えて、2乃至2650の実質的に連続な範囲内の実行誘電定数を形成するために、材料は、他の材料と混合されて用意され、又は必要に応じてボイド領域(一般に、空気を導入する)の密度を変化させる。例えば、低い誘電定数(<2乃至4程度)を与える材料は、変化するボイド領域密度を有するシリカを含む。変化するボイド領域密度を有するアルミナは、4乃至9程度の誘電定数を与え得る。シリカもアルミナも顕著な磁性透磁率を有しない。しかしながら、20wt.%までのように、これら又はそれ以外の任意の顕著な磁性材料に変更するために、磁性粒子が添加され得る。例えば、磁気的特性は有機性と供に適合させられる(tailored)。磁性材料を付加することに起因する誘電定数への影響は、一般に、その誘電定数を増加させることとなる。
【0049】
中程度の誘電定数材料は、一般に、70乃至500+/−10%の範疇の誘電定数を有する。上述したように、これらの材料は、所望の実行誘電定数値を与えるように、他の材料又はボイドと混合される。これらの材料は、フェライトのドープされたカルシウムチタネートを包含し得る。ドーピング金属は、マグネシウム、ストロンチウム及びニオブを包含し得る。これらの材料は、45乃至600の比透磁率の範囲を有する。
【0050】
高誘電定数用途では、フェライト又はニオブのドープされたカルシウム又はバリウムチタネートジルコネートが使用され得る。これらの材料は2200乃至2650程度の誘電定数を有する。これらの材料に関するドーピング率は、概して1乃至10%程度である。他の材料に関して言及したように、これらの材料は、所望の誘電定数値を得るために、他の材料又はボイドと混合され得る。
【0051】
これらの材料は一般的に様々な分子修正(molecular modification)工程を経て修正される。修正工程は、ポリテトラフルオロエチレンPTEEのような炭素及びフッ素に基づく有機材料のような材料で充填することに先立って、ボイドを形成することが行われ得る。
【0052】
有機的な統合化(integartion)に代えて又はそれに加えて、製造工程は、固体自由形式形成(SFF:solid freeform fabrication)、光、紫外線(uv)、x線、電子ビーム又はイオンビーム放射を包含し得る。
【0053】
メタ材料を含む様々な材料は、基板層(サブスタック)の様々な領域に応用され、基板層(サブスタック)の複数の領域が様々な誘電率及び/又は磁気特性を有するようにする。上述したような裏埋め材料は、局所的に又はバルク基板領域全体にて、所望の誘電性及び/又は磁気的特性を得るための1つ又はそれ以上の付加的な処理工程に関連して使用され得る。
【0054】
最上層の導電性プリントは、一般に、修正される基板層、サブスタック又は完全なスタックに適用される。導電性トレースは、薄膜技術、厚膜技術、電気めっきその他の適切な技術を利用して設けられ得る。導電性パターンを規定するのに使用される工程は、一般的なリソグラフィ及びステンシルを含むが、それらに限定されない。
【0055】
複数の修正される基板を照合及び整合させるために、その後に台板が使用される。複数の基板の各々を介する調整孔は、この目的のために使用され得る。
【0056】
基板の複数層、1つ又はそれ以上のサブスタック、又は層若しくはサブスタックの組み合わせは、様々な方向から材料に圧力を加える平衡(isostatic)圧力、又は1つの方向だけから材料に圧力を加える単軸性(uniaxial)圧力を利用して、その後に(例えば、機械的に加圧して)供に積層される。積層基板は、その後に上述したように更に処理され、又はオーブンに導入され、処理される基板に適切な温度(上記の材料に対しては、850℃乃至900℃程度)に加熱される。
【0057】
複数のセラミックテープ層及び基板の積層されたサブスタックは、使用される基板に適切な速度で温度を上昇させるために制御され得る適切な炉(furnace)を利用して、その後に加熱される。温度の上昇率、最終温度、冷却特性、及び必要なホールド(hold)のような使用されるプロセス条件は、基板材料及びそこに裏埋めされる又は堆積される材料に選択されたもの(mindful)に依存する。加熱に続いて、積層された基板は、典型的には、光学顕微鏡を利用して欠陥について検査される。
【0058】
積層されたセラミック基板は、その後に、回路の機能仕様に合わせるのに必要な程度に小さな帯状片に選択的に裁断される。最終的な欠陥検査に続いて、帯状の基板片は、その後に、例えば誘電性の、磁性の及び/又は電気的な特性が仕様範囲内にあることを保証するために、様々な特性評価用の装置に搭載される。
【0059】
このようにして、誘電体基板材料には、局所的に選択された誘電性及び/又は磁性特性が与えられ、ステップインピーダンスフィルタを形成する要素を含む回路の密度及び実効性を向上させる。誘電体の柔軟性は、回路要素の独立した最適化を可能にする。
【0060】
以上本発明の好適実施例が図示及び説明されたが、本発明はそれらに限定されないことは明白であろう。特許請求の範囲に記載されたような本発明の精神及び範囲から逸脱することなしに、様々な修正、変形、変更、置換及び均等物が当業者に理解されるであろう。
【0061】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によりステップインピーダンスフィルタを小型化させるために基板に形成されたステップインピーダンスフィルタの平面図である。
【図2】図1の2−2線に沿うステップインピーダンスフィルタの断面図である。
【図3】図1の2−2線に沿うステップインピーダンスフィルタの他の態様に関する断面図である。
【図4】図1の2−2線に沿うステップインピーダンスフィルタの他の態様に関する断面図である。
【図5】本発明による物理的なサイズの小型化されたステップインピーダンスフィルタを製造する工程を示すために使用されるフローチャートである。
【図6A】典型的なローパスステップインピーダンスフィルタに関する挿入損失曲線及びリターンロス曲線を示すグラフである。
【図6B】本発明による異なる基板特性を有する基板領域を利用した場合の、典型的なローパスステップインピーダンスフィルタに関する挿入損失曲線及びリターンロス曲線を示すグラフである。
【符号の説明】
100 基板層
102 第1領域
104 第2領域
106 第3領域
108 入出力ポート
110 高インピーダンス伝送線路
112 低インピーダンス伝送線路
114 低インピーダンス伝送線路
116 接地面
120 ステップインピーダンスフィルタ
302 第1補足層
304 第2補足層
306 粒子
Claims (8)
- 各々が各自の比透磁率及び比誘電率を含む基板特性を有する複数の領域より成る基板;及び
前記基板の少なくとも1つの他の領域と比較して異なる基板特性を有する前記基板のある領域に接続される少なくとも1つのフィルタ部分;
より成ることを特徴とするRFフィルタ。 - 前記複数の領域に接続される複数のフィルタ部分より成り、前記領域の各々が前記基板の少なくとも他の1つの領域と比較して異なる基板特性を有することを特徴とする請求項1記載のRFフィルタ。
- 前記少なくとも1つのフィルタ部分が設けられる前記領域の透磁率が、少なくとも1つの他の領域のものと比較して異なることを特徴とする請求項1記載のRFフィルタ。
- 前記少なくとも1つのフィルタ部分が設けられる前記領域の誘電率が、少なくとも1つの他の領域のものと比較して異なることを特徴とする請求項1記載のRFフィルタ。
- 透磁率及び誘電率の少なくとも1つが、前記基板にメタ材料を添加することで調整されることを特徴とする請求項1記載のRFフィルタ。
- 透磁率及び誘電率の少なくとも1つが、前記基板にボイドを形成することで調整されることを特徴とする請求項1記載のRFフィルタ。
- 伝送線路部分が、マイクロストリップ、埋め込みマイクロストリップ及びストリップラインより成る群から選択された構成を有することを特徴とする請求項1記載のRFフィルタ。
- 更に、前記フィルタ部分の下部に設けられた、前記基板の補足層より成ることを特徴とする請求項1記載のRFフィルタ。
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