JPH08154006A

JPH08154006A - 誘電体基板

Info

Publication number: JPH08154006A
Application number: JP6319321A
Authority: JP
Inventors: Seiji Kaminami; 誠治神波; Nobumitsu Amachi; 伸充天知; Hiroshi Takagi; 洋鷹木
Original assignee: Murata Manufacturing Co Ltd
Current assignee: Murata Manufacturing Co Ltd
Priority date: 1994-11-28
Filing date: 1994-11-28
Publication date: 1996-06-11

Abstract

(57)【要約】【目的】導体線路の面積を大きくする必要をなくし
て、２導体伝送線路素子を小型化することが可能な誘電
体基板を提供する。【構成】２導体伝送線路素子に用いられる誘電体基板
２の、伝送線路１が配設される部分のうちの任意の部分
２ｂを、周囲の部分２ａとは比誘電率の異なる材質から
形成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、誘電体基板に関し、
詳しくは、例えば、マイクロストリップラインを用いた
ローパスフィルタ、モノリシックＩＣなどの２導体伝送
線路素子に用いられる誘電体基板に関する。

【０００２】

【従来の技術】例えば、図４は、２導体伝送線路素子の
一つであるマイクロストリップラインを用いたローパス
フィルタの電極パターン（伝送線路）が形成された面を
示す平面図である。

【０００３】従来のローパスフィルタとしては、例え
ば、比誘電率が１０程度の均一な誘電体基板５２上に、
図４に示すような、幅の狭い部分５１ａと幅の広い部分
５１ｂが交互に形成された電極パターン（伝送線路）５
１を形成したものが用いられている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来のロ
ーパスフィルタのように、幅の狭い部分５１ａと幅の広
い部分５１ｂを有する電極パターン５１を配設すること
により素子を構成した場合、付与すべきフィルタ特性の
いかんによっては電極パターン５１が非常に大きくな
り、製品の大型化を招くという問題点がある。

【０００５】例えば、上記のローパスフィルタにおいて
は、電極パターン５１の幅の狭い部分５１ａの幅Ｗ₁が
１mm、長さＬ₁が数mm程度で、幅の広い部分５１ｂの幅
Ｗ₂及び長さＬ₂がそれぞれ５〜１０mm程度になり、素子
全体としては数cm²の面積の大きさになる場合がある。

【０００６】そして、素子自体の大きさに起因して、ま
た、クロストークを避けるため、隣接ラインとの間隔を
大きくすることが必要になり、この素子（上記ローパス
フィルタ）を用いた部品の小型化や高密度実装を妨げる
という問題点がある。

【０００７】この発明は、上記問題点を解決するもので
あり、電極パターン（伝送線路）の面積を大きくする必
要がなく、２導体伝送線路素子を小型化することが可能
な誘電体基板を提供することを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、この発明の誘電体基板は、２導体伝送線路素子に用
いられる誘電体基板であって、伝送線路が配設される部
分のうちの任意の部分が、その周囲の部分とは比誘電率
の異なる材質から形成されていることを特徴とする。

【０００９】すなわち、この発明においては、全体の比
誘電率が均一な誘電体基板を用いた場合には、大きな電
極パターン（伝送線路）が形成されることになる部分
を、他の部分より比誘電率の大きい材料に置き換えるこ
とにより、電極パターン（伝送線路）の小型化を実現し
ようとするものである。

【００１０】

【実施例】以下に、この発明の実施例を示して、その特
徴とするところをさらに具体的に説明する。

【００１１】なお、この実施例では、誘電体基板を用い
る２導体伝送線路素子のうち、ローパスフィルタを例に
とって説明する。

【００１２】図１は、この発明の一実施例にかかる誘電
体基板を用いたローパスフィルタを示す図であり、(ａ)
は平面図、(ｂ)は正面図である。

【００１３】このローパスフィルタは、図１(ａ)，(ｂ)
に示すように、誘電体基板２の上面側に各部の幅が均一
な電極パターン（伝送線路）１を配設し、下面側に裏面
電極３を配設することにより形成されている。そして、
この実施例では、電極パターン１の幅Ｗは０．５２８mm
に形成されている。

【００１４】また、このローパスフィルタにおいては、
特性インピーダンスが５０．０Ωの部分１ａと、２５．
３Ωの部分１ｂが梯子状に形成されており、梯子を構成
するそれぞれの段の長さが、１０ＧＨｚでの波長の１／
２になるように設計されている。

【００１５】一方、この実施例のローパスフィルタに用
いられている誘電体基板２は、図１に示すように、比誘電率ε_r＝１７．０で、長さＬ₁＝４．３１０mmの
部分２ａと比誘電率ε_r＝６０．０で、長さＬ₂＝２．１７８mmの
部分２ｂと、を交互に配設するとともに、両端側に、比誘電率ε_r＝１７．０で、長さＬ₃＝１０．００mmの
部分２ｃを配設することにより形成されている。

【００１６】そして、このローパスフィルターにおいて
は、電極パターン（伝送線路）１（図１）のうち、誘電
体基板２の比誘電率ε_rの小さい部分２ａに形成された
部分１ａが特性インピーダンス５０．０Ωの部分とな
り、比誘電率ε_rの大きい部分２ｂに形成された部分１
ｂが特性インピーダンス２５．３Ωの部分となってい
る。

【００１７】すなわち、この実施例のローパスフィルタ
においては、誘電体基板２として、比誘電率ε_rの異な
る２種類の誘電体材料を複合化してなる誘電体基板を用
いることによって、電極パターン１の幅を変えることな
く所望のフィルタ特性を実現している。

【００１８】これに対して、各部で比誘電率ε_rが均一
な誘電体基板（比誘電率ε_r＝１７．０Ω）を用い、電
極パターンの幅を変化させるようにした従来のローパス
フィルタ（図４）において上記実施例と同等の特性を実
現しようとすると、電極パターン５１の幅の狭い部分５
１ａの幅Ｗ₁が０．５２８mm、長さＬ₁が４．３１０mm、
幅の広い部分５１ｂの幅Ｗ₂が２．０９４mm、長さＬ₂が
３．９６７mmとなる。

【００１９】したがって、上記実施例のローパスフィル
タにおいては、電極パターン１の面積を、従来のローパ
スフィルタのそれの１／４程度にまで減少させることが
できる。

【００２０】次に、この発明の誘電体基板を用いた上記
ローパスフィルタの製造方法について説明する。

【００２１】まず、素原料として、ＢａＣＯ₃、ＭｇＣ
Ｏ₃、Ｎｄ₂ＣＯ₃、ＴｉＯ₂を用意し、表１に示すような
割合でそれぞれを秤量し、湿式ボールミルを用いて混合
粉砕を行い、表１のNo.１及びNo.２の２種類の素原料混
合粉末を得た。

【００２２】

【表１】

【００２３】それから、各素原料混合粉末を空気中、１
２００℃で３時間仮焼した後、仮焼体を湿式ボールミル
を用いて粉砕することにより、平均粒径１．０μmの仮
焼粉末を得た。

【００２４】次に、それぞれの仮焼粉末を、有機溶剤
（エタノ−ル／トルエン＝１／１重量比）・バインダー
（ＰＶＢ系）・可塑剤（ジオクチルフタレート系）・分
散剤（ソルビタン脂肪酸エステル系）と混合することに
よってスラリー化し、ドクターブレード法により厚み５
０μmのグリーンシートを作製した。

【００２５】そして、単体特性を測定するために、No.
１及びNo.２の組成の各グリーンシートをそれぞれ積層
・熱圧着した後に得られた構造物をカットして、寸法３
０mm×３０mm×１．０mmの成形体を得た。

【００２６】それから、２種類の成形体を空気中、４５
０℃に加熱して有機成分を燃焼させた後、酸素中におい
て１３８０℃で３時間焼成することによりそれぞれの焼
結体を得た。

【００２７】次いで、得られた２種類の焼結体にＩｎ−
Ｇａ電極を形成し、それぞれの比誘電率ε_rを測定し
た。その結果を、表１に併せて示す。

【００２８】そして、上記のようにして得られたNo.１
及びNo.２の２種類のグリーンシートを用いて、以下の
方法により誘電体基板を作製した。

【００２９】まず、No.１及びNo.２のグリーンシートを
交互に積層・圧着して、図２に示すように、下からNo.
２（厚み１１．７５mm），No.１（厚み２．５５mm），N
o.２（厚み５．０５mm），No.１（厚み２．５５mm），N
o.２（厚み５．０５mm），No.１（厚み２．５５mm），N
o.２（厚み１１．７５mm）の順に各層が積層・圧着され
たブロック１１を得た。

【００３０】それから、ブロック１１を積層・圧着方向
（図２，図３の矢印Ａの方向）に沿ってカットし、得ら
れた成形体を空気中、４５０℃に加熱して有機成分を燃
焼させた後、酸素中、１３８０℃で３時間焼成を行い焼
結体を得た。そして、得られた焼結体を、厚みが１．２
mmになるように表裏両面ともに鏡面研磨することによ
り、図３に示すような誘電体基板２を得た。

【００３１】なお、この誘電体基板２が、図３に示すよ
うに、比誘電率ε_rの小さい部分２ａと比誘電率ε_rの大
きい部分２ｂが交互に配設され、かつ、両端側に比誘電
率ε_rが小さく幅の広い部分２ｃが形成された構造とな
っていることは、Ｘ線マイクロアナライザを用いてＢａ
の組成分析を行うことにより確認した。

【００３２】それから、この誘電体基板２をアセトンで
洗浄した後、表裏面全体にスパッタ法を用いて厚み１μ
mのＡｕ電極を形成した。

【００３３】次いで、フォトリソグラフィーを用いて電
極パターンの形成を行った。まず、レジストを誘電体基
板の表裏面全体に塗布した後、電極パターンに対応する
窓部を形成したマスクで誘電体基板を覆い、紫外線を照
射した。そして、レジストの、紫外線によって変質した
部分を溶剤により除去し、電極の露出した部分をエッチ
ングにより除去した後、残りのすべてのレジストを溶剤
により溶解して除去することにより、図１に示すような
ローパスフィルタを得た。

【００３４】なお、得られたローパスフィルタのフィル
タ特性を調べるため、Ｓパラメータのうち、Ｓ₂₁の周波
数依存性を測定した。その結果を表２に示す。なお、表
２には、比較のために測定した従来のローパスフィルタ
（図４）の特性を比較例として併せて示す。

【００３５】

【表２】

【００３６】表２より、実施例のローパスフィルタは、
従来のローパスフィルタとほぼ同様の特性を有し、遮断
周波数が３ＧＨｚ程度のローパスフィルタとして機能す
ることがわかる。

【００３７】なお、上記実施例ではローパスフィルタを
例にとって説明したが、この発明の誘電体基板は、ロー
パスフィルタ用の誘電体基板に限られるものではなく、
モノリシックＩＣその他の種々の２導体伝送線路素子用
の誘電体基板に適用することが可能である。

【００３８】この発明は、さらにその他の点においても
上記実施例に限定されるものではなく、誘電体基板の製
造方法、誘電体基板を構成する各部の比誘電率、誘電体
基板の具体的形状や寸法、入出力端などの特性インピー
ダンス、電極パターン（伝送線路）の寸法などに関し、
発明の要旨の範囲内において、種々の応用、変形を加え
ることが可能である。

【００３９】

【発明の効果】上述のように、この発明の誘電体基板
は、伝送線路が配設される部分のうちの任意の部分が、
その周囲の部分とは比誘電率の異なる材質から形成され
ているため、伝送線路（電極パターン）の面積を大きく
することなく、ローパスフィルタやモノリシックＩＣな
どの２導体伝送線路素子を形成することができる。

【００４０】その結果、２導体伝送線路素子全体として
の大きさを、従来の素子の約１／４程度にまで小さくす
ることが可能になる。

【００４１】したがって、この発明によれば、低損失
で、高密度に実装された２導体伝送線路素子を得ること
が可能になる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の一実施例にかかる誘電体基板を用い
たローパスフィルタを示す図であり、(ａ)は平面図、
(ｂ)は正面図である。

【図２】この発明の誘電体基板の製造工程において形成
されたブロックの要部を示す斜視図である。

【図３】この発明の一実施例にかかる誘電体基板を示す
斜視図である。

【図４】従来のローパスフィルターの電極パターン（伝
送線路）が形成された面を示す平面図である。

【符号の説明】

１伝送線路（電極パターン）１ａ特性インピーダンスが５０．０Ωの部
分１ｂ特性インピーダンスが２５．３Ωの部
分２誘電体基板２ａ比誘電率ε_rの小さい部分２ｂ比誘電率ε_rの大きい部分２ｃ両端側の比誘電率ε_rの小さい部分３裏面電極１１ブロック

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】２導体伝送線路素子に用いられる誘電体
基板であって、伝送線路が配設される部分のうちの任意の部分が、その
周囲の部分とは比誘電率の異なる材質から形成されてい
ることを特徴とする誘電体基板。