JP2004031457A - 半導体素子の製造方法、半導体素子を用いた集積回路、ディスプレイ装置、及び電子機器、並びに成膜方法及び成膜装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】薄膜トランジスタの製造工程において、予備加熱(ステップA1)〜第1ゲート絶縁膜の成膜(ステップA6)までを大気にさらされない状態で行うと共に、予備加熱(ステップA1)〜水素終端化(ステップA5)までを1Torr以下の減圧下で行い、第1ゲート絶縁膜の成膜(ステップA6)を100Torr以上の大気圧でプラズマ酸化によって行う。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、成膜方法、及び半導体素子の製造方法に関する。また、当該方法によって製造された半導体素子を用いた集積回路、或いは当該半導体素子を画素駆動のためのスイッチング素子等として用いた電気泳動表示装置、エレクトロルミネッセンス表示装置、液晶表示装置等のディスプレイ装置に関する。また、該ディスプレイ装置を表示部分として用いた携帯電話、情報端末、パーソナルコンピュータ等の電子機器に関する。更に、基材に膜を形成するための成膜装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、薄膜トランジスタ(以下、TFTと称す)を形成するに際し、下地絶縁膜と半導体膜との界面及びMOS界面を清浄に維持するために、下地絶縁膜及び半導体膜の形成と、半導体膜の結晶化と、第1ゲート絶縁膜の形成とを大気にさらさず、減圧下で行う技術が特開平10−116989号公報に開示されている。この方法により下地絶縁膜形成工程から半導体膜の形成、結晶化、第1ゲート絶縁膜の形成工程までの間で大気からの汚染の影響を完全に排除することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来技術では、高性能なTFTを得るには清浄な半導体膜や界面を得ることと、界面順位密度を下げることとが不可欠であるが、CVD(減圧化)で第1ゲート絶縁膜を形成を行っているため、清浄な半導体膜や界面が得られるにもかかわらず、MOS界面の界面準位密度が高くなり、TFT回路の応答時間が遅く不安定となり、デバイス特性に悪影響をおよぼすという問題点があった。
【0004】
本発明は斯かる問題点を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、清浄な半導体膜と界面とに基づいてTFTを製造する方法において、第1ゲート絶縁膜の形成をプラズマ酸化によって行うことにより、MOS界面の界面準位密度を低く抑えることができ、応答時間が早く安定した良好なデバイス特性を得ることができる半導体素子の製造方法、半導体素子を用いた集積回路、ディスプレイ装置、及び電子機器、並びに成膜方法及び成膜装置を提供する点にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するために、本発明に係る半導体素子の製造方法は、5Torr以下の圧力下にて半導体膜を形成する工程と、100Torr以上の圧力下にて前記半導体膜上に絶縁膜を形成する工程とを備えることを特徴とする。
【0006】
本発明によれば、5Torr以下の減圧下で半導体膜を形成することにより、清浄な半導体膜や界面を得ると共に、100Torr以上の大気圧下で半導体膜上に絶縁膜を形成することにより、MOS界面の界面準位密度を低く抑える。
【0007】
また本発明に係る半導体素子の製造方法は、前記絶縁膜を形成する工程は前記半導体膜をプラズマ酸化する工程を含み、前記プラズマ酸化が、大気圧の±10%の範囲内の圧力下にて行われることが望ましい。これにより、MOS界面の界面準位密度を更に低く抑える。
【0008】
また本発明に係る半導体素子の製造方法は、前記半導体膜を形成する工程と前記絶縁膜を形成する工程との間に、前記半導体膜を搬送する工程を更に具備し、前記搬送が1×10− 8Torr〜5Torrの圧力下にて行われることが望ましい。これにより、半導体膜を形成する工程から絶縁膜を形成する工程への搬送時に形成された半導体膜への汚染を防止する。
【0009】
本発明に係る半導体素子の製造方法は、半導体膜が形成された第1の基材を第1の圧力に保持された搬送室から圧力調節室に移動する工程と、前記圧力調節室を気密にした状態でその内部圧力を第2の圧力にする工程と、前記基材を前記圧力調節室から成膜室内に移動させる工程と、前記成膜室内を前記第2の圧力の±10%の範囲内にし、前記半導体膜上に酸化膜を形成する工程とを備えたことを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、半導体膜が形成された第1の基材を搬送室から成膜室に搬送するに際して圧力調節室を介し、圧力調節室を気密にした状態で圧力を調整することにより、搬送室から成膜室への搬送をスムーズに行う。
【0011】
また本発明に係る半導体素子の製造方法は、前記絶縁膜を形成する工程は前記半導体膜をプラズマ酸化する工程を含んでなることが望ましく、前記第1の圧力は、1×10− 8Torr以上5Torr以下であり、前記第2の圧力は100Torr以上836Torr以下であることが望ましい。
【0012】
また本発明に係る半導体素子の製造方法は、前記圧力調節室及び、前記成膜室内には実質的に同一組成のガスを注入することが望ましい。これにより、成膜室内に不適なガスの流入を防ぐ。
【0013】
また本発明に係る半導体素子の製造方法は、1Torr以下の圧力下にて前記基材上に前記半導体膜を形成する工程を更に具備することが望ましい。これにより、清浄な半導体膜や界面を得る。
【0014】
また本発明に係る半導体素子を用いた集積回路は、上記半導体素子の製造方法で製造された半導体素子を含むことを特徴とする。
【0015】
また本発明に係るディスプレイ装置は、スイッチング素子と、前記スイッチング素子により制御される電気光学層とを含むディスプレイ装置において、前記スイッチング素子は、上記半導体素子の製造方法で製造された半導体素子を含むことを特徴とする。
【0016】
また本発明に係る電子機器は、表示部として上記ディスプレイ装置を搭載することを特徴とする。
【0017】
本発明に係る成膜方法は、成膜室内にて基材に膜を形成する成膜方法において、第1の基材を第1の圧力に保持された搬送室から圧力調節室に移動する工程と、前記圧力調節室を気密にした状態でその内部圧力を第2圧力にする工程と、前記基材を前記圧力調節室から前記成膜室内に移動させる工程と、前記成膜室内を前記第2圧力の±10%の範囲内にし、前記第1の基材に前記膜を形成する工程とを具備することを特徴とする。
【0018】
本発明によれば、第1の圧力に保持された搬送室から圧力の異なる成膜室に搬送するに際して圧力調節室を介し、圧力調節室を気密にした状態で圧力を調整することにより、搬送室から成膜室への搬送をスムーズに行う。
【0019】
また本発明に係る成膜方法は、前記第1の基板が前記成膜室内に移動した後に、第2の基板を前記搬送室から前記圧力調節室に移動する工程を更に含んでなり、前記第1の基材に前記膜を形成する工程と同時期に前記圧力調節室の内部圧力を前記第2の圧力にすることが望ましい。これにより、成膜室で第1の基板に膜を成膜後、直ちに後続する第2の基板を成膜室に搬入することができ、スループットが向上する。
【0020】
また本発明に係る成膜方法は、前記第1の圧力は、1×10− 8Torr以上5Torr以下の圧力であり、前記第2圧力は、100Torr以上836Torr以下の圧力であることが望ましい。
【0021】
本発明に係る成膜装置は、内部を第1の圧力に保持可能な搬送路と、前記搬送路と接続されており内部圧力が可変である圧力調節室と、前記圧力調節室と接続されている成膜室と、を備え、前記成膜室の内部圧力は第2の圧力に保持可能であり、前記圧力調節室は、前記第1の圧力の±5Torr範囲内の圧力、及び前記第2の圧力の±10%範囲内の圧力の両圧力にその内部圧力を調節可能であることを特徴とする。
【0022】
本発明によれば、内部を第1の圧力に保持可能な搬送路から内部を第2の圧力に保持可能な成膜室に基板を搬送するに際し、第1の圧力の±5Torr範囲内の圧力、及び第2の圧力の±10%範囲内の圧力の両圧力にその内部圧力を調節可能である圧力調節室を介することで、搬送室から成膜室への搬送をスムーズに行う。
【0023】
また本発明に係る成膜装置は、前記搬送路に接続された第2の成膜室を更に備えてなることが望ましく、前記第2の成膜室に設けられ、被成膜物を搬出する搬出口と、前記第2の成膜室に気体を流入させる気体供給機構と、を更に具備し、前記気体供給機構は前記搬出口が開いているときに前記気体を前記第2の成膜室に流入するよう構成されてなることが望ましい。これにより、被成膜物を搬出する搬出口からの外気の流入を防止する。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0025】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明に係る半導体素子の製造方法の第1実施の形態が用いられる薄膜トランジスタ製造装置の構成を示す構成図である。
【0026】
本実施の形態が用いられるTFT製造装置の概略構成は、図1を参照すると、基板を搬送する搬送ロボット11が配置された搬送室10が構成され、搬送室10の周りに基板の搬入出を行うロードロック室20と、基板を加熱する予備加熱室30と、CVD法やPVD法により半導体膜の形成を行う半導体成膜室40と、レーザ照射によって結晶化を行う結晶化室50と、不対電子対を水素終端するプラズマ処理室60と、シリコン酸化膜(第1ゲート絶縁膜)の形成を行う絶縁膜成膜室70とが構成されている。搬送室10とロードロック室20とは、シャッタ82を介して接続され、搬送室10と半導体成膜室40は、シャッタ83を介して接続され、搬送室10と結晶化室50とは、シャッタ84を介して接続され、搬送室10とプラズマ処理室60とは、シャッタ85を介して接続され、搬送室10と絶縁膜成膜室70とは、シャッタ86を介して接続されている。ロードロック室20にはシャッタ81によって開閉される基板搬入出口が構成されている。なお、シャッタ81〜86は、各処理室20〜70への基板の搬入出の際に、開閉され、シャッタ81〜86が閉じた状態で各処理室20〜70での基板への処理が行われる。
【0027】
搬送室10、予備加熱室30、半導体成膜室40、結晶化室50、プラズマ処理室60及び絶縁膜成膜室70は、大気から遮断されており、ロードロック室20に搬入された基板は、搬送ロボット11により大気から遮断された状態で各処理室に搬入され、大気から遮断された状態で、下地保護膜及び半導体膜成膜処理と、結晶化処理と、水素化処理と、第1ゲート絶縁膜成膜処理とが行われる。
【0028】
搬送室10及び予備加熱室30は、真空度が1×10− 8Torr以上5Torr以下程度に構成されている。ロードロック室20は、大気圧(760Torr程度)から1×10− 8Torr以上5Torr以下程度となる様に構成されている。半導体成膜室40は、真空度が1×10− 8Torr以上5Torr以下程度に構成され、且つアルゴンやヘリウム、水素、モノシラン、ジシラン、トリシランなどを導入できる様に構成される。結晶化室50は、真空度が1×10− 8Torr以上5Torr以下程度に構成され、且つアルゴンや水素などを導入できる様に構成される。プラズマ処理室60は、真空度が1×10− 8Torr以上5Torr以下程度に構成され、且つアルゴンやヘリウム、水素、モノシラン、ジシラン、トリシラン、TEOS、笑気ガス、酸素などを導入できる様に構成される。
【0029】
絶縁膜成膜室70は、大気圧(760Torr程度)から1×10− 8Torr以上5Torr以下程度となる様に構成され、且つ酸素濃度2パーセントのヘリウム(He)ガスを導入できる様に構成されている。なお、図1の絶縁膜成膜室70に示されている矢印は、絶縁膜成膜室70への基板の搬入出経路を示している。
【0030】
次に、第1の実施の形態の動作について図2を参照して詳細に説明する。
図2は、本発明に係る半導体素子の製造方法の第1の実施の形態を示す工程図である。
【0031】
まず、基板をロードロック室20を介して搬送室10に入れ、10−6Torr程度の減圧下とした後、基板を搬送室10から予備加熱室30に搬入し、予備加熱室30で基板を450℃程度に予備加熱する(ステップS1)。
【0032】
次に、450℃程度に予備加熱された基板を予備加熱室30から搬送室10を介して半導体成膜室40に搬入する。この間基板は、予備加熱室30から搬送室10及び半導体成膜室40の内部まで、減圧下に保持され、大気にはさらされない。半導体成膜室40では、430℃程度の温度条件下で、基板の全面に厚さが200nm程度のシリコン酸化膜からなる下地保護膜と、基板の全面に厚さが60nm程度のアモルファスシリコン膜からなる半導体膜とをプラズマCVD法により形成する(ステップS2)。なお、下地保護膜としてはシリコン窒化膜等の絶縁膜やそれらの多層膜を用いることもできる。
【0033】
次に、基板を半導体成膜室40から搬送室10を介して予備加熱室30に搬入し、予備加熱室30で基板を490℃程度に予備加熱する(ステップS3)。この間基板は、半導体成膜室40から搬送室10及び予備加熱室30の内部まで、減圧下に保持され、大気にはさらされない。
【0034】
次に、490℃程度に予備加熱された基板を予備加熱室30から搬送室10を介して結晶化室50に搬入する。この間基板は、予備加熱室30から搬送室10及び結晶化室50の内部まで、減圧下に保持され、大気にはさらされない。結晶化室50では、基板に形成された半導体膜の少なくとも表面層を、エネルギー光(レーザ光やランプ光)によって真空中(減圧下)の非酸化性雰囲気中において溶融結晶化する(ステップS4)。結晶化室50での結晶化の方法としては、600℃以上の温度で数時間から数十時間熱処理を行うことによって半導体膜を固相で結晶化しても良い。
【0035】
次に、基板を結晶化室50から搬送室10を介してプラズマ処理室60に搬入する。この間基板は、結晶化室50から搬送室10及びプラズマ処理室60の内部まで、減圧下に保持され、大気にはさらされない。プラズマ処理室60では、基板を減圧下に保持した状態で、40.68MHzの酸素プラズマを照射し、引き続いて水素プラズマを照射して、半導体膜中に成在するシリコン膜の不対結合を終端化し、溶融結晶化した半導体膜に存在する欠陥を低減する(ステップS5)。
【0036】
次に、基板をプラズマ処理室60から搬送室10を介して絶縁膜成膜室70に搬入する。この間基板は、プラズマ処理室60から搬送室10及び絶縁膜成膜室70の内部まで、減圧下に保持され、大気にはさらされない。絶縁膜成膜室70では、酸素濃度2パーセントのヘリウム(He)ガスの導入により室内の圧力を100Torr以上に設定し、40.68MHzの電界を印加して発生させたプラズマによりプラズマ酸化を行い、基板の半導体膜上に第1ゲート絶縁膜を形成する(ステップS6)。なお、プラズマ酸化処理中の絶縁膜成膜室70の圧力は、100Torr以上で、好ましくは、大気圧(760Torr程度)の±10%の範囲で設定する。
【0037】
次に、絶縁膜成膜室70から酸素及びヘリウム(He)ガスを排気し、絶縁膜成膜室70の真空度を搬送室10と同じ10− 5Torr程度にした後に、基板を絶縁膜成膜室70から搬送室10を介してロードロック室20に搬入する。
【0038】
ロードロック室20に搬入された基板を、装置外の大気中に搬出し、フォトリソグラフィ技術を用いてパターニングを行い、素子分離をする。
【0039】
次に、基板の全面にシリコン酸化膜からなる第2ゲート絶縁膜をプラズマCVD法により形成し、所望の厚さにし、基板の全面にタンタル薄膜等の導電膜をスパッタ法等により形成し、導電膜をフォトリソグラフィ技術を用いてパターニングし、第2ゲート絶縁膜の表面にゲート電極を形成する。
【0040】
次に、ゲート電極をマスクとして半導体膜に対して例えばリンイオン(不純物イオン)を導入する。その結果、半導体膜12にはゲート電極15に対して自己整合的にソース・ドレイン領域16が形成され、不純物イオンが導入されなかった部分はチャネル領域17となる。次に、シリコン酸化膜からなる層間絶縁膜をプラズマCVD法等により形成する。次に、注入したリンイオンの活性化と層間絶縁膜の改質とを行う。次にコンタクトホールを形成し、しかる後にこのコンタクトホールを介してソース・ドレイン領域に導電接続するソース・ドレイン電極を形成する。このようにして基板の表面にTFTを形成する。
【0041】
以上のように、第1の実施の形態では、図2に示す、予備加熱(ステップS1)〜第1ゲート絶縁膜の成膜(ステップS6)までを大気にさらされない状態で行うと共に、予備加熱(ステップS1)〜水素終端化(ステップS5)までを1Torr以下の減圧下で行い、第1ゲート絶縁膜の成膜(ステップS6)を100Torr以上の大気圧で行う。
【0042】
(第2の実施の形態)
図3は、本発明に係る半導体素子の製造方法の第2実施の形態が用いられる薄膜トランジスタ製造装置における絶縁膜成膜室の構成を示す構成図である。
【0043】
第2の実施の形態は、図3を参照すると、第1の実施の形態の絶縁膜成膜室70に基板を装置外に搬出するためのシャッタ87が設けられている。
【0044】
絶縁膜成膜室70で基板に第1ゲート絶縁膜を形成した後、シャッタ87を開き、基板をシャッタ87から装置外の大気中に搬出する。シャッタ87からの基板の搬出後、シャッタ87を閉じ、絶縁膜成膜室70から大気、酸素及びヘリウム(He)ガスとを排気し、絶縁膜成膜室70の真空度を搬送室10と同じ1×10− 8Torr以上5Torr以下程度にした後に、次の基板をシャッタ86を介して絶縁膜成膜室70に搬入する。なお、シャッタ87を開いて基板を搬出している間は、絶縁膜成膜室70にガスを導入することで絶縁膜成膜室70に圧力を大気圧以上にして、シャッタ87から装置外へのガスの流れを形成することにより、絶縁膜成膜室70への外気の流入を防止している。なお、図3に示されている矢印は、絶縁膜成膜室70への基板の搬入出経路を示している。
【0045】
(第3の実施の形態)
図4は、本発明に係る半導体素子の製造方法の第3実施の形態が用いられる薄膜トランジスタ製造装置における絶縁膜成膜室の構成を示す構成図であり、図5は、本発明に係る半導体素子の製造方法の第3実施の形態が用いられる薄膜トランジスタ製造装置における絶縁膜成膜室への基板搬入動作を説明する図であり、図6は、本発明に係る半導体素子の製造方法の第3実施の形態が用いられる薄膜トランジスタ製造装置における基板毎の絶縁膜成膜室搬入フローを説明する図である。
【0046】
第3の実施の形態は、図4を参照すると、第2の実施の形態の絶縁膜成膜室70にシャッタ88を介して接続された圧力調整室71を設け、圧力調整室71をシャッタ86を介して搬送室10と接続される構成となっている。すなわち、基板は、搬送室10から圧力調整室71を介して絶縁膜成膜室70に搬送され、絶縁膜成膜後に絶縁膜成膜室70から直接装置外に搬出される。
【0047】
圧力調整室71は、ガスの導入と真空引きが行える様に構成され、絶縁膜成膜室70の圧力と同様の大気圧程度(760Torr程度)から搬送室10と同様の真空度である1×10− 8Torr以上5Torr以下程度となる様に構成されている。なお、圧力調整室71に導入するガスは、絶縁膜成膜室70で基板に第1ゲート絶縁膜を成膜するために使用するガス(酸素濃度2パーセントのヘリウム(He)ガス)と同一のものを使用すると好適である。
【0048】
図5を参照すると、第1ゲート絶縁膜を形成するために、予備加熱(ステップS1)〜水素終端化(ステップS5)までの処理が行われた基板Aを絶縁膜成膜室70に搬入するに際し、まず、圧力調整室71を真空引きして搬送室10と同様の真空度にする(ステップA1)。基板Aは、ステップA1で圧力調整室71が真空引きされているときに、搬送室10、もしくは予備加熱(ステップS1)〜水素終端化(ステップS5)が行われる各処理室20〜60に位置している。
【0049】
圧力調整室71が真空状態、すなわち搬送室10と同様の真空度になると、シャッタ86を開いて基板Aを搬送室10から圧力調整室71に搬入する(ステップA2)。基板Aが圧力調整室71に搬入されるとシャッタ86を閉じ、圧力調整室71内を大気圧程度するためにガスを圧力調整室71に導入する。なお、ステップA2において、圧力調整室71と搬送室10とが同一の真空度である必要はなく、圧力調整室71の圧力を搬送室10の圧力の±5Torr範囲内に調整した状態でシャッタ86を開いて基板Aを搬送室10から圧力調整室71に搬入することができる。
【0050】
圧力調整室71が大気圧状態、すなわち絶縁膜成膜室70の圧力と同様の大気圧程度になると、シャッタ88を開いて基板Aを圧力調整室71から絶縁膜成膜室70に搬入する(ステップA4)。基板Aが絶縁膜成膜室70に搬入されるとシャッタ88を閉じ、基板Aに第1ゲート絶縁膜を成膜すると共に、圧力調整室71を真空引きして搬送室10と同様の真空度にする(ステップB1)。基板Aの次に各処理が行われている基板Bは、ステップB1で圧力調整室71が真空引きされているときに、搬送室10、もしくは予備加熱(ステップS1)〜水素終端化(ステップS5)が行われる各処理室20〜60に位置している。なお、ステップA4において、圧力調整室71と絶縁膜成膜室70とが同一の圧力である必要はなく、圧力調整室71の圧力を搬送室10の圧力の±10%範囲内に調整した状態でシャッタ88を開いて基板Aを圧力調整室71から絶縁膜成膜室70に搬入することができる。
【0051】
圧力調整室71が真空状態になると、シャッタ86を開いて基板Bを搬送室10から圧力調整室71に搬入する(ステップB2)。このとき、絶縁膜成膜室70では、基板Aへの第1ゲート絶縁膜の成膜が行われている。
【0052】
基板Bが圧力調整室71に搬入されると、シャッタ86を閉じ、圧力調整室71にガスを導入して、圧力調整室71を大気圧状態にすると共に、シャッタ87を開いて第1ゲート絶縁膜の成膜が完了した基板Aを絶縁膜成膜室70から直接装置外に搬出する(ステップB3)。基板Aの装置外への搬出時、すなわちシャッタ87を開いている状態でも、絶縁膜成膜室70に絶縁膜の成膜に使用するガスを供給し続けることで絶縁膜成膜室70に圧力を大気圧以上にして、シャッタ87から装置外へのガスの流れを形成することにより、絶縁膜成膜室70への外気の流入を防止している。
【0053】
圧力調整室71が大気圧状態になると、シャッタ88を開いて基板Bを圧力調整室71から絶縁膜成膜室70に搬入する(ステップA4)。なお、基板Aの装置外への搬出と同時に、シャッタ88を開いて基板Bを圧力調整室71から絶縁膜成膜室70に搬入する場合には、圧力調整室71にガスを導入することによりシャッタ87から装置外へのガスの流れを形成させることもできる。
【0054】
基板Bが絶縁膜成膜室70に搬入されるとシャッタ87とシャッタ88とを閉じ、基板Bに第1ゲート絶縁膜を成膜すると共に、圧力調整室71を真空引きして搬送室10と同様の真空度にする(ステップB1)。圧力調整室71が真空状態になると、シャッタ86を開いて基板Bの次の基板Cを搬送室10から圧力調整室71に搬入し、以降、ステップB1〜B4の処理が繰り返され、絶縁膜成膜室70に順次搬入される基板に第1ゲート絶縁膜の成膜が行われる。
【0055】
すなわち、第3の実施の形態では、図6に示すように、1枚目の基板Aへの第1ゲート絶縁膜の成膜中(ステップB1からステップB3)に、圧力調整室71を真空引きして、圧力調整室71に次の2枚目の基板Bを搬入し、圧力調整室71を再び大気圧にしておくことにより、1枚目の基板Bへの第1ゲート絶縁膜の成膜完了、搬出後、直ちに次の2枚目の基板Bを絶縁膜成膜室70に搬入する(ステップB4)ことができ、真空引き、ベント待ち時間がなくなるため、高スループットでシーケンシャルに第1ゲート絶縁膜の成膜処理を行うことができる。
【0056】
(ディスプレイ装置)
図7は、ディスプレイ装置の構成を示すブロック図であり、図8は、ディスプレイ装置の構成を示す図であり、図7及び図8に、本発明に係る第1乃至3の実施の形態によって製造した半導体素子であるTFTを適用したディスプレイ装置の概要を示す。
【0057】
ディスプレイ装置は、液晶表示装置であり、図7を参照すると、アクティブマトリクス部(画素部)100と、データ線ドライバ101と、走査線ドライバ102とからなるアクティブマトリクス基板940を、タイミングコントローラ103と、映像信号増幅回路104と、映像信号発生装置105とによって駆動する構成となっている。アクティブマトリクス部100、データ線ドライバ101及び走査線ドライバ102に、本発明に係る第1乃至3の実施の形態によって製造した半導体素子であるTFTが用いられる。
【0058】
またディスプレイ装置は、図8を参照すると、アクティブマトリクス基板940上に、アクティブマトリクス部100、データ線ドライバ101及び走査線ドライバ102を構成するTFTを同一の製造プロセスで形成する。つまり、ドライバ搭載型のアクティブマトリクス基板940を用いて液晶表示装置を構成し、バックライト900と、偏光板920と、アクティブマトリクス基板940と、液晶950と、カラーフィルタ基板(対向基板)960と、偏光板970とからなる。
【0059】
(電子機器)
図9は、電子機器の構成を示す図であり、図9に、上述のディスプレイ装置を用いて構成される電子機器の概要を示す。
【0060】
電子機器は、図9を参照すると、表示情報出力源1000と、表示情報処理回路1001と、表示駆動回路1002と、上述のディスプレイ装置である液晶パネル1003と、タイミングジェネレータ1004と、電源回路1005とを含んで構成される。表示情報出力源1000は、ROM、RAMなどのメモリ、テレビ信号を同調して出力する同調回路などを含んで構成され、タイミングジェネレータ1004からのクロックに基づいて、ビデオ信号などの表示情報を出力する。表示情報処理回路1001は、タイミングジェネレータ1004からのクロックに基づいて表示情報を処理して出力する。この表示情報処理回路1001は、例えば増幅・極性反転回路、相展開回路、ローテーション回路、ガンマ補正回路或いはクランプ回路等を含むことができる。表示駆動回路1002は、走査側駆動回路及びデータ側駆動回路を含んで構成され、液晶パネル1003を表示駆動する。電源回路1005は、上述の各回路に電力を供給する。
【0061】
このような構成の電子機器として、液晶プロジェクタ、マルチメディア対応のパーソナルコンピュータ(PC)及びエンジニアリング・ワークステーション(EWS)、ページャ、或いは携帯電話、ワードプロセッサ、テレビ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、電子手帳、電子卓上計算機、カーナビゲーション装置、POS端末、タッチパネルを備えた装置等を挙げることができる。
【0062】
以上説明したように、本実施の形態によれば、減圧下で半導体膜が形成された基板を大気にさらすことなく絶縁膜成膜室70を搬入し、絶縁膜成膜室70の圧力を100Torr以上にしてプラズマ酸化によって第1ゲート絶縁膜を形成するため、界面準位密度を低く抑えることができ、応答時間が早く安定した良好なデバイス特性を得ることができるという効果を奏する。
【0063】
更に、本実施の形態によれば、減圧下で半導体膜が形成された基板を大気にさらすことなく絶縁膜成膜室70を搬入し、絶縁膜成膜室70の圧力を大気圧程度にしてプラズマ酸化によって第1ゲート絶縁膜を形成するため、界面準位密度を更に低く抑えることができ、応答時間が早く安定した良好なデバイス特性を得ることができるという効果を奏する。
【0064】
更に、本実施の形態によれば、搬送室10と絶縁膜成膜室70との間に圧力調整室71を設けて、真空の搬送室10から大気圧の絶縁膜成膜室70への基板の搬入に際し、圧力調整室71で圧力の調整を行うように構成することにより、真空引き、ベント待ち時間を無くすことができ、高スループットでシーケンシャルに第1ゲート絶縁膜の成膜処理を行うことができるという効果を奏する。
【0065】
なお、本発明が上記各実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、上記構成部材の数、位置、形状等は上記実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。なお、各図において、同一構成要素には同一符号を付している。
【0066】
【発明の効果】
本発明によれば、減圧下で半導体膜が形成された基板を大気にさらすことなく絶縁膜成膜室を搬入し、絶縁膜成膜室の圧力を100Torr以上にしてプラズマ酸化によって第1ゲート絶縁膜を形成するため、界面準位密度を低く抑えることができ、応答時間が早く安定した良好なデバイス特性を得ることができるという効果を奏する。
【0067】
更に、本発明によれば、減圧下で半導体膜が形成された基板を大気にさらすことなく絶縁膜成膜室を搬入し、絶縁膜成膜室の圧力を大気圧程度にしてプラズマ酸化によって第1ゲート絶縁膜を形成するため、界面準位密度を更に低く抑えることができ、応答時間が早く安定した良好なデバイス特性を得ることができるという効果を奏する。
【0068】
更に、本発明によれば、搬送室と絶縁膜成膜室との間に圧力調整室を設けて、真空の搬送室から大気圧の絶縁膜成膜室への基板の搬入に際し、圧力調整室で圧力の調整を行うように構成することにより、真空引き、ベント待ち時間を無くすことができ、高スループットでシーケンシャルに第1ゲート絶縁膜の成膜処理を行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る半導体素子の製造方法の第1実施の形態が用いられる薄膜トランジスタ製造装置の構成を示す構成図である。
【図2】本発明に係る半導体素子の製造方法の第1の実施の形態を示す工程図である。
【図3】本発明に係る半導体素子の製造方法の第2実施の形態が用いられる薄膜トランジスタ製造装置における絶縁膜成膜室の構成を示す構成図である。
【図4】本発明に係る半導体素子の製造方法の第3実施の形態が用いられる薄膜トランジスタ製造装置における絶縁膜成膜室の構成を示す構成図である。
【図5】本発明に係る半導体素子の製造方法の第3実施の形態が用いられる薄膜トランジスタ製造装置における絶縁膜成膜室への基板搬入動作を説明する図である。
【図6】本発明に係る半導体素子の製造方法の第3実施の形態が用いられる薄膜トランジスタ製造装置における基板毎の絶縁膜成膜室搬入フローを説明する図である。
【図7】ディスプレイ装置の構成を示すブロック図である。
【図8】ディスプレイ装置の構成を示す図である。
【図9】電子機器の構成を示す図である。
【符号の説明】
10 搬送室
11 搬送ロボット
20 ロードロック室
30 予備加熱室
40 半導体成膜室
50 結晶化室
60 プラズマ処理室
70 絶縁膜成膜室
71 圧力調整室
81〜88 シャッタ
Claims (17)
- 半導体素子の製造方法において、
5Torr以下の圧力下にて半導体膜を形成する工程と、
100Torr以上の圧力下にて前記半導体膜上に絶縁膜を形成する工程と、
を備えることを特徴とする半導体素子の製造方法。 - 請求項1に記載の半導体素子の製造方法において、
前記絶縁膜を形成する工程は前記半導体膜をプラズマ酸化する工程を含み、
前記プラズマ酸化が、大気圧の±10%の範囲内の圧力下にて行われることを特徴とする半導体素子の製造方法。 - 請求項1又は請求項2に記載の半導体素子の製造方法において、
前記半導体膜を形成する工程と前記絶縁膜を形成する工程との間に、前記半導体膜を搬送する工程を更に具備し、
前記搬送が1×10− 8Torr〜5Torrの圧力下にて行われることを特徴とする半導体素子の製造方法。 - 半導体素子の製造方法において、
半導体膜が形成された第1の基材を第1の圧力に保持された搬送室から圧力調節室に移動する工程と、
前記圧力調節室を気密にした状態でその内部圧力を第2の圧力にする工程と、
前記基材を前記圧力調節室から成膜室内に移動させる工程と、
前記成膜室内を前記第2の圧力の±10%の範囲内にし、前記半導体膜上に酸化膜を形成する工程と、
を備えたことを特徴とする半導体素子の製造方法。 - 請求項4に記載の半導体素子の製造方法において、
前記絶縁膜を形成する工程は前記半導体膜をプラズマ酸化する工程を含んでなることを特徴とする半導体素子の製造方法。 - 請求項4又は請求項5に記載の半導体素子の製造方法において、
前記第1の圧力は、1×10− 8Torr以上5Torr以下であり、
前記第2の圧力は100Torr以上836Torr以下であることを特徴とする半導体素子の製造方法。 - 請求項4乃至請求項6のうちいずれかに記載の半導体素子の製造方法において、
前記圧力調節室及び、前記成膜室内には実質的に同一組成のガスを注入することを特徴とする半導体素子の製造方法。 - 請求項4乃至請求項7のうちいずれかに記載の半導体素子の製造方法において、
5Torr以下の圧力下にて前記基材上に前記半導体膜を形成する工程を更に具備することを特徴とする半導体素子の製造方法。 - 請求項1乃至請求項8のうちいずれかに記載の方法により製造される半導体素子を含むことを特徴とする半導体素子を用いた集積回路。
- スイッチング素子と、前記スイッチング素子により制御される電気光学層と、を含むディスプレイ装置において、
前記スイッチング素子は、請求項1乃至請求項8のうちいずれかに記載の方法により製造される半導体素子を含むことを特徴とするディスプレイ装置。 - 表示部としてディスプレイ装置を含む電子機器において、前記表示部として請求項10に記載のディスプレイ装置を搭載したことを特徴とする電子機器。
- 成膜室内にて基材に膜を形成する成膜方法において、
第1の基材を第1の圧力に保持された搬送室から圧力調節室に移動する工程と、
前記圧力調節室を気密にした状態でその内部圧力を第2圧力にする工程と、
前記基材を前記圧力調節室から前記成膜室内に移動させる工程と、
前記成膜室内を前記第2圧力の±10%の範囲内にし、前記第1の基材に前記膜を形成する工程と、を具備することを特徴とする成膜方法。 - 請求項12に記載の成膜方法において、
前記第1の基板が前記成膜室内に移動した後に、第2の基板を前記搬送室から前記圧力調節室に移動する工程を更に含んでなり、前記第1の基材に前記膜を形成する工程と同時期に前記圧力調節室の内部圧力を前記第2の圧力にすることを特徴とする成膜方法。 - 請求項12又は請求項13に記載の成膜方法において、
前記第1の圧力は、1×10− 8Torr以上5Torr以下の圧力であり、前記第2圧力は、100Torr以上836Torr以下の圧力であることを特徴とする成膜方法。 - 成膜装置において、
内部を第1の圧力に保持可能な搬送路と、
前記搬送路と接続されており内部圧力が可変である圧力調節室と、
前記圧力調節室と接続されている成膜室と、を備え、
前記成膜室の内部圧力は第2の圧力に保持可能であり、
前記圧力調節室は、前記第1の圧力の±5Torr範囲内の圧力、及び前記第2の圧力の±10%範囲内の圧力の両圧力にその内部圧力を調節可能であることを特徴とする成膜装置。 - 請求項15に記載の成膜装置において、
前記搬送路に接続された第2の成膜室を更に備えてなることを特徴とする成膜装置。 - 請求項15又は請求項16に記載の成膜装置において、前記第2の成膜室に設けられ、被成膜物を搬出する搬出口と、前記第2の成膜室に気体を流入させる気体供給機構と、を更に具備し、前記気体供給機構は前記搬出口が開いているときに前記気体を前記第2の成膜室に流入するよう構成されてなることを特徴とする成膜装置。
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