JP2004031281A - 電極積層型電池の冷却構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】電極積層型電池1は、正極板と負極板とをセパレータを間に挟んで積層する電極積層体の両面を、金属層と樹脂層とを備えた一対のラミネートフィルムで挟み、この一対のラミネートフィルムの周縁を互いに密着固定して内部を封止している。この電極積層型電池1を、両面から一対の押さえ板3で押さえ、この押さえ板3を、電極積層型電池1の周縁の一部より外側へ突出させ、この押さえ板3の突出部3aを、電極積層型電池1から発生する熱を放熱する放熱部とした。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、正極板と負極板とをセパレータを間に挟んで積層する電極積層体の両面を、金属層と樹脂層とを備えた一対のラミネートフィルムで挟み、この一対のラミネートフィルムの周縁を互いに密着固定して内部を封止する電極積層型電池の冷却構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、自動車の排ガスによる大気汚染が問題となっている中で、電気を動力源とする電気自動車や、エンジンとモータとを組み合わせて走行する、いわゆるハイブリッドカーが注目を集めており、これらに搭載する高エネルギ密度、高出力密度の電池の開発が産業上重要な位置を占めている。
【0003】
このような高出力型電池としては例えばリチウムイオン電池があり、この場合、正極板と負極板との間にセパレータを介在させて巻回した円筒型電池や、平板状の正極板と負極板とをセパレータを介在させつつ積層した積層型電池がある。
後者の積層型電池は、扁平となった発電要素の両面を一対のラミネートフィルムで挟み、その周縁部を熱溶着により接合して発電要素とともに電解液を密封している(特開平11−224652号公報参照)。
【0004】
ここで、電池の温度上昇を抑える冷却構造を備えたものとして、特開2001−143769号公報に、上記した円筒型電池を例として開示したものがある。この公報記載のものは、電池の正,負各電極の端子に放熱部材を接続して、電池を冷却している。
【0005】
一方、前記した積層型電池においては、外装ケースとしてラミネートフィルムを使用していることから、円筒型電池に比べ剛性が低く、また内部に封入した電解液の分解によるガス発生で外装ケースが膨らむことがある。このため、上記した円筒型電池における冷却構造を、積層型電池に採用する際には、電極端子に放熱部材を設けた上に、外装ケースの低剛性および膨らみに対処するために、電池をその両面から別部材で押さえ付ける必要がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このように、積層型電池において、前記した円筒型電池での冷却構造を採用する場合には、電極端子に設ける放熱部材と、電池を両面から押さえる押さえ部材がそれぞれ必要となり、部品点数が増加して組立工数の増加を招くものとなる。
【0007】
そこで、この発明は、部品点数の増加を抑えつつ、電池をその両面から押さえ付けかつ、冷却性を向上させることを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、この発明は、正極板と負極板とをセパレータを間に挟んで積層する電極積層体の両面を、金属層と樹脂層とを備えた一対のラミネートフィルムで挟み、この一対のラミネートフィルムの周縁を互いに密着固定して内部を封止する電極積層型電池の冷却構造において、前記電極積層型電池を、両面から一対の押さえ部材で押さえ、この押さえ部材を、前記電極積層型電池の周縁より外側へ突出させ、この押さえ部材の外側への突出部を、前記電極積層型電池から発生する熱を放熱する放熱部とした構成としてある。
【0009】
【発明の効果】
この発明によれば、電極積層型電池の両面を押さえ付ける一対の押さえ部材を、電極積層型電池の周縁より外側へ突出させ、この押さえ部材の突出部を、電極積層型電池から発生する熱を放熱する放熱部としたため、押さえ部材と放熱部とが一体化したものとなり、部品点数の増加を抑えつつ、電池をその両面から押さえ付けかつ、冷却性を向上させることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0011】
図1は、この発明の第1の実施形態に係わる電極積層型電池の冷却構造を示す側面図である。ここでの電極積層型電池は、例えばエンジンとモータとを組み合わせて走行するハイブリッドカーに搭載されるリチウムイオン二次電池である。
【0012】
ハイブリッドカー(HEV)は、モータ・コントローラ、エネルギ蓄電システムとともに、発電パワーユニットを搭載する車両システムである。通常の電気自動車(EV)が、電池のエネルギ密度の制限から、限られた距離しか走行できないのに対して、HEVは発電によりエネルギを供給することから、より少ない電池搭載で出力の供給が可能となる。
【0013】
図1に示す電極積層型電池1は、上下に複数積層して構成した組電池としてある。この各電極積層型電池1は、図示しない正極板と負極板とをセパレータを間に挟んで積層する電極積層体の両面を、金属層と樹脂層とを備えた一対のラミネートフィルムで挟み、この一対のラミネートフィルムの周縁を互いに密着固定して内部を封止した構造である。
【0014】
すなわち、この電極積層型電池1は、ラミネートフィルムを外装ケースとしてることから、そのままでは剛性がきわめて低いものとなっている。
【0015】
このため、上記した電極積層型電池1にあっては、その上下両面および相互間に、押さえ部材としての押さえ板3を配置し、この押さえ板3を、複数の固定用ボルトなどの固定具5によって締結固定して、上下両面から押さえ付けて低剛性に対処している。
【0016】
そして、上記した押さえ板3は、電極積層型電池1の周縁より外側(図1中では右側)へ突出させ、この押さえ板3の突出部3aを、電極積層型電池1から発生する熱を放熱する放熱部としている。
【0017】
このようにして構成した電極積層型電池の冷却構造によれば、押さえ板3によって電極積層型電池1の両面を押さえ付けることで、外装ケースの低剛性および膨らにみに対処するとともに、電極積層型電池1から発生した熱は、押さえ板3に伝達されて突出部3aから放熱される。この放熱によって電極積層型電池1の温度上昇が抑えられ、電池性能が向上する。
【0018】
この場合の放熱部となる突出部3aは、押さえ板3と一体であるため、押さえ部材と放熱部とを別部材とする場合に比べ、部品点数が少なく、組み付け工数も少なくて済む。
【0019】
なお、上記した電極積層型電池1における正極板は、その基材表面に設ける正極活物質が、リチウムニッケル複合酸化物、具体的には一般式LiNi1−xMxO2(但し、0.01≦x≦0.5であり、MはFe,Co,Mn,Cu,Zn,Al,Sn,B,Ga,Cr,V,Ti,Mg,Ca,Srの少なくとも一つである。)で表せる化合物を含有する。
【0020】
また、正極活物質は、リチウムニッケル複合酸化物以外の正極活物質を含有することも可能である。リチウムニッケル複合酸化物以外の正極活物質としては、例えば一般式LiyMn2−zM’zO4(但し、0.9≦y≦1.2、0.01≦z≦0.5であり、M’はFe,Co,Ni,Cu,Zn,Al,Sn,B,Ga,Cr,V,Ti,Mg,Ca,Srの少なくとも一つである。)で表される化合物であるリチウムマンガン複合酸化物などが挙げられる。
【0021】
また、一般式LiCo1−xMxO2(但し、0.01≦x≦0.5であり、MはFe,Ni,Mn,Cu,Zn,Al,Sn,B,Ga,Cr,V,Ti,Mg,Ca,Srの少なくとも一つである。)で表せる化合物であるリチウムコバルト複合酸化物を含有してもよい。
【0022】
上記したリチウムニッケル複合酸化物、リチウムマンガン複合酸化物、リチウムコバルト複合酸化物などは、例えばリチウム、ニッケル、マンガン、コバルトなどの炭酸塩を組成に応じて混合し、酸素存在雰囲気中において600℃〜1000℃の温度範囲で焼成することにより得られる。なお、出発原料は炭酸塩に限定されず、水酸化物、酸化物、硝酸塩、有機酸塩などからも同様に合成可能である。
【0023】
なお、リチウムニッケル複合酸化物やリチウムマンガン複合酸化物などの正極活物質の平均粒径は、30μm以下であることが好ましい。
【0024】
一方、負極板における負極活物質としては、比表面積が0.05m2/g以上、2m2/g以下の範囲であるものを使用する。これにより、負極表面上におけるSEI(SolidElectrolyte Interface:固体電解質界面)と呼ばれる皮膜の形成を充分に抑制することができる。
【0025】
負極活物質の比表面積が0.05m2/g未満である場合、リチウムの出入り可能な場所が小さすぎるため、充電時において負極活物質中にドープされたリチウムが、放電時において負極活物質中から充分に脱ドープされず、充放電効率が低下する。一方、負極活物質の比表面積が2m2/gを越える場合、負極表面上におけるSEI形成を制御することができない。
【0026】
負極活物質としては、対リチウム電位が2.0V以下の範囲でリチウムをドープ・脱ドープすることが可能な材料であれば何れも使用可能であり、具体的には、難黒鉛化性炭素材料、人造黒鉛、天然黒鉛、熱分解黒鉛類、ピッチコークスやニードルコークス、石油コークスなどのコークス類、グラファイト、ガラス状炭素類、フェノール樹脂やフラン樹脂などを適当な温度で焼成して炭化した有機高分子化合物焼成体、炭素繊維、活性炭、カーボンブラックなどの炭素質材料を使用することが可能である。
【0027】
また、リチウムと合金を形成可能な金属、およびその合金も使用可能であり、具体的には、酸化鉄、酸化ルテニウム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化スズなどの比較的低電位でリチウムをドープ・脱ドープする酸化物やその窒化物、3B族典型元素の他、SiやSnなどの元素、または例えばMxSi、MxSn(但し、式中MはSiまたはSnを除く1つ以上の金属元素を表す。)で表されるSiやSnの合金などを使用することができる。これらの中でも、特にSiまたはSi合金を使用することが好ましい。
【0028】
正極板および負極板の各基材は、電池の電気化学反応時での腐食による電池性能の低下を防止するために、純度の高い素材を使用することが好ましい。例えば、純アルミニウムや純銅、純ニッケルを用いる場合には、純度が99%以上のものが好ましい。但し、この純度に対する要求は、合金化するために添加される他の成分(合金成分)を排除するものではない。
【0029】
また、電解質としては、電解質塩を非水溶媒に溶解して調製される液状のいわゆる電解液であってもよいし、電解質塩を非水溶媒に溶解した溶液を高分子マトリクス中に保持させたポリマーゲル電解質であってもよい。非水電解質としてはポリマーゲル電解質を用いる場合、使用する高分子材料としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリアクリロニトリルなどが挙げられる。
【0030】
非水溶媒としては、この種の非水電解質二次電池においてこれまで使用されている非水溶媒であれば何でも使用可能であり、例えばプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、1,2−ジメトキシエタン、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、ジエチルエーテル、スルホラン、メチルスルホラン、アセトニトリル、プロピオニトリルなどが挙げられる。なお、これらの非水溶媒は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
【0031】
特に、非水溶媒は不飽和カーボネートを含有することが好ましく、具体的には、ビニレンカーボネート、エチレンエチリデンカーボネート、エチレンイソプロプロピリデンカーボネート、プロピリデンカーボネートなどを含有することが好ましい。また、これらの中でも、ビニレンカーボネートを含有することが最も好ましい。非水溶媒として不飽和カーボネートを含有することにより、負極活物質に生成するSEIの性状(保護膜の機能)に起因する効果が得られ、耐過放電特性がより向上すると考えられる。
【0032】
また、この不飽和カーボネートは電解質中に0.05重量%以上、5重量%以下の割合で含有されることが好ましく、特に0.5重量%以上、3重量%以下の割合で含有されることが最も好ましい。不飽和カーボネートの含有量を上記範囲とすることで、初期放電容量が高く、エネルギ密度の高い非水二次電池となる。
【0033】
電解質塩としては、イオン伝導性を示すリチウム塩であれば特に限定されることはなく、例えばLiClO4、LiAsF6、LiPF6、LiBF4、LiB(C6H5)4、LiCl、LiBr、CH3SO3Li、CF3SO3Liなどが使用可能である。これらの電解質塩は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を混合して用いることも可能である。
【0034】
図2は、この発明の第2の実施形態に係わる電極積層型電池の冷却構造を示す側面図である。この実施形態は、前記図1の電極積層型電池1を複数積層して構成した組電池全体を、押さえ板3を含めて電池ボックス7内に収納している。
【0035】
そして、押さえ板3の放熱部となる突出部3aは、電池ボックス7から外部に突出させている。
【0036】
この第2の実施形態では、電極積層型電池1を収納している電池ボックス7内が電極積層型電池1の発熱によって温度上昇するのを、突出部3aからの放熱によって抑えることができる。
【0037】
なお、上記した第1,第2の実施形態においては、突出部3aを車両の走行風を受ける位置に設定するか、あるいは別途送風ファンによって冷却風を突出部3aに向けて送風することで、放熱効果がより高まる。
【0038】
なお、押さえ部材として押さえ板3に代えて、ヒートパイプを用いてもよい。
【0039】
図3は、この発明の第3の実施形態に係わる電極積層型電池の冷却構造を示す放熱部の構造図である。この実施形態は、図1または図2における押さえ板3の突出部3a相互間に、波板状の放熱フィン9を設けている。放熱フィン9を設けることで、放熱効果をさらに向上させることができる。
【0040】
図4は、この発明の第4の実施形態に係わる電極積層型電池の冷却構造を示す側面図である。この実施形態は、二つの電極積層型電池1を互いに重ね合わせた電池対11を、押さえ部材としての押さえ板13で両面から押さえ付けている。なお、ここでは、上記した電池対11を2段としているが、これをさらに増やして3段あるいは4段としてもよい。
【0041】
そして、この電極積層型電池1を二つ重ねた電池対11は、図4のA−A断面図である図5に示すように、押さえ板13と平行となるよう、図5中で上下方向に複数並列配置してある。この並列配置した複数の電池対11に対し押さえ板13がその両面から同時に押さえ付けている。
【0042】
各電極積層型電池1は、内部の正極板および負極板から引き出された正極タブ15および負極タブ17を、図4中で左右両側にそれぞれ備えている。この正極タブ15および負極タブ17の左右の配置は、図5に示すように、隣接する電池対11同士で互いに逆にしてある。そして、上記並列配置した複数の電池対11が、互いに電気的に直列接続となるように、隣接する各電池対11の正極タブ15と負極タブ17とをバスバー19で接続している。
【0043】
また、上記した押さえ板13は、電極積層型電池1の図4中で左右両側の周縁部付近から外側に突出する放熱部となる突出部13aを備えている。そして、この放熱部13a相互間には、放熱フィン構成部21を設けてある。
【0044】
放熱フィン構成部21は、突出部13aの先端部相互間に位置する外側側板23と、バスバー17,19近傍の突出部13a相互間に位置する内側側板25と、上下各端板27,29とをそれぞれ備え、この各板23,25,27,29で囲まれた内側に、複数の放熱フィン31を上下に積層して配置してある。上記した複数の放熱フィン31は、図4中で左右方向に波形を形成し、相互間に仕切板33を設けてある。
【0045】
上記した第4の実施形態によれば、押さえ板13によって、二つの電極積層型電池1からなる電池対11の両面が押さえ付けられて、電極積層型電池1の低剛性に対処するとともに、各電極積層型電池1から発生した熱は、押さえ板13に伝達されて左右両側の突出部13aおよび放熱フィン構成部21から放熱される。
【0046】
この場合、放熱フィン構成部21に設けた放熱フィン31からも放熱されるので、放熱効果がより向上し、電極積層型電池1の性能がより一層向上する。
【0047】
なお、この第4の実施形態においては、図5に示すように、冷却空気となる車両走行風が、電池対11の配列方向の一方側(図5中で下部側)から他方側(図5中で上部側)に流れるように、車両に配置することで、放熱効果がより一層向上する。あるいは、電池対11の配列方向の一方側から別途設けた送風ファンによって冷却空気を放熱フィン31に向けて流すようにしてもよい。
【0048】
そして、この第4の実施形態においては、放熱フィン構成部21を、図4中で上下両側のうちのいずれかの押さえ板13に一体化可能であるので、放熱部となる突出部13aおよび放熱フィン構成部21は、いずれも押さえ板3と一体にでき、押さえ部材と放熱部とを別部材とする場合に比べ、部品点数が少なく、組み付け工数も少なくて済む。
【0049】
図6ないし図8は、この発明の第5の実施形態を示す。図6は、前記図4および図5に示した第4の実施形態と同様に、複数の電池対11を並列配置した状態を示す平面図である。この実施形態は、同一の冷却媒体流路を構成する冷却空気の流れ方向(図6中で下方から上方)に沿って、各放熱フィン構成部材21a,21b,21c,21d,21e,21fにおける図7に示す各放熱フィン31a,31b,31c,31d,31e,31fの放熱面積を変化させている。
【0050】
具体的には、図7に示すように、同図(a)で示す最も入口側の放熱フィン31aの波形を大きくして放熱面積を最も小さくし、同図(f)で示す最も出口側の放熱フィン31fの波形を小さくして放熱面積を最も大きくしている。その中間の同図(b),(c),(d),(e)におけるそれぞれの放熱フィン31b,31c,31d,31eは、冷却空気の流れに沿って波形を順次小さくして放熱面積を順次大きくしている。
【0051】
このように放熱フィンの表面積を冷却空気の流れに沿って変化させた理由を、図8を用いて説明する。図8は、冷却空気の流れ方向(横軸)に対する充放電中の電池上昇温度(縦軸)を、放熱フィンの放熱面積の違いにより示している。ここで破線P、一点鎖線Q、二点鎖線Rは、前記図4および図5に示した第4の実施形態と同様に、放熱フィン構成部材21a,21b,21c,21d,21e,21fにおけるすべての放熱フィンの放熱面積を均一としたもので、互いの放熱面積比を、破線Pが基準となる1.0、一点鎖線Qが2.0、二点鎖線Rが3.0として順次大きくしてある。
一方、実線Sは、前記図6および図7に示した第5の実施形態によるものである。すなわち、放熱フィンの放熱面積を、冷却空気の入口側から出口側に向けて順次大きくなるよう、上記面積比で1.0〜3.0の間で変化させている。
【0052】
これによれば、面積比を均一にした条件(P,Q,R)では、放熱面積が大きいほど、電池の温度上昇が抑えられている。すなわち、面積比3.0の二点鎖線Rのものが最も温度上昇を抑えている。
【0053】
しかし、この面積比を大きくした二点鎖線Rの場合には、入口側の温度と出口側の温度との温度差が大きく、並列配置した複数の電池相互で温度が互いに不均一となり、温度依存性を持った自己放電のばらつきが電池間で大きくなり、電池の劣化を招く。
【0054】
また、面積比を変化させた実線Sと、面積比が2.0となる一点鎖線Qとを、全体の放熱面積の総和を等しくした状態で考えると、面積比を変化させた本実施形態による実線Sのものが、最も温度が上がる出口側の電池の温度上昇を抑えることができる。このため、面積比均一の一点鎖線Qによるものは、出口側の電池の温度上昇を効果的に抑えられないことから電池が劣化しやすく、一方面積比を変化させた本実施形態のものについては、電池の劣化を防ぐことができる。
【0055】
このように、面積比を変化させた実線Sに対応する本実施形態によれば、電池の劣化を防ぐとともに、各電池の温度上昇差が小さいことから、温度依存性を持った自己放電の電池間のばらつきを抑えることができて各電池の充電量のばらつきを抑えることができ、電池の出力特性の低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施形態に係わる電極積層型電池の冷却構造を示す側面図である。
【図2】この発明の第2の実施形態に係わる電極積層型電池の冷却構造を示す側面図である。
【図3】この発明の第3の実施形態に係わる電極積層型電池の冷却構造を示す放熱部の構造図である。
【図4】この発明の第4の実施形態に係わる電極積層型電池の冷却構造を示す側面図である。
【図5】図4のA−A断面図である。
【図6】この発明の第5の実施形態に係わる電極積層型電池の冷却構造を示す平面図である。
【図7】図6の冷却構造における冷却空気の流れに沿った放熱フィンの形状変化を示す説明図である。
【図8】放熱フィンの放熱面積の違いによる冷却空気の流れに沿った電池の温度上昇を示す説明図である。
【符号の説明】
1 電極積層型電池
3,13 押さえ板(押さえ部材)
3a,13a 突出部(放熱部)
9,31,31a,31b,31c,31d,31e,31f 放熱フィン
21,21a,21b,21c,21d,21e,21f 放熱フィン構成部材(放熱部)
Claims (6)
- 正極板と負極板とをセパレータを間に挟んで積層する電極積層体の両面を、金属層と樹脂層とを備えた一対のラミネートフィルムで挟み、この一対のラミネートフィルムの周縁を互いに密着固定して内部を封止する電極積層型電池の冷却構造において、前記電極積層型電池を、両面から一対の押さえ部材で押さえ、この押さえ部材を、前記電極積層型電池の周縁より外側へ突出させ、この押さえ部材の外側への突出部を、前記電極積層型電池から発生する熱を放熱する放熱部としたことを特徴とする電極積層型電池の冷却構造。
- 前記押さえ部材を板状部材で構成したことを特徴とする請求項1記載の電極積層型電池の冷却構造。
- 前記一対の押さえ部材の前記各突出部相互間に、放熱フィンを設けたことを特徴とする請求項1または2記載の電極積層型電池の冷却構造。
- 複数の前記電極積層型電池を、この各電極積層型電池にそれぞれ対応して設けた前記放熱フィンが同一の冷却媒体流路中に位置するよう並列配置し、前記冷却媒体出口側の前記放熱フィンの放熱面積を、同入口側の前記放熱フィンの放熱面積より大きくしたことを特徴とする請求項3記載の電極積層型電池の冷却構造。
- 前記並列配置した複数の電極積層型電池を、前記一対の押さえ部材によって同時に押さえることを特徴とする請求項4記載の電極積層型電池の冷却構造。
- 前記電極積層型電池を、その厚さ方向に沿って複数重ね合わせ、この重ね合わせた各電極積層型電池相互間に前記押さえ部材を介装したことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の電極積層型電池の冷却構造。
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