JP2004030769A - 光情報記録媒体 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の目的は、インク定着性、耐水性、インク吸収性、滲み耐性が良好で、画像記録後の耐光性、変褪色耐性に優れた光情報記録媒体を提供することにある。
【解決手段】透明基板上に記録層、光反射層及び少なくとも1層の保護層とを順次積層してなる光情報記録媒体において、表面に露出している該保護層がインクジェット記録方法によるインク受容層であり、該インク受容層が紫外線硬化樹脂、光重合開始剤、無機微粒子及びポリアルキレンポリアミン・ジシアンジアミド系重縮合物を含有することを特徴とする光情報記録媒体。
【選択図】 なし
【解決手段】透明基板上に記録層、光反射層及び少なくとも1層の保護層とを順次積層してなる光情報記録媒体において、表面に露出している該保護層がインクジェット記録方法によるインク受容層であり、該インク受容層が紫外線硬化樹脂、光重合開始剤、無機微粒子及びポリアルキレンポリアミン・ジシアンジアミド系重縮合物を含有することを特徴とする光情報記録媒体。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光情報記録媒体に関し、詳しくは表面に筆記用具、インクジェットプリンター、昇華型プリンターで書き込み可能な光情報記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
光情報記録媒体には、情報の記録及び再生が可能な追記型と、記録後データの消去が可能な書換型の二種類に分けられる。その中でも、単板構造の追記型コンパクトディスクはCD−Rと呼ばれ、通常の再生専用CDと互換性を持つことから、近年その利用範囲が徐々に広がってきている。
【0003】
このCD−Rは、ポリカーボネート等のドーナツ状の円板からなる基板の上に、金やアルミニウム等を蒸着して反射層を設け、更にその上を紫外線硬化性樹脂等の保護層で覆った構造になっている。そして、データは、基板と反射層の間にピットを形成することで記録するようになっている。
【0004】
このCD−Rは、データの入っていない媒体を購入した後、利用者がそれぞれその利用者固有の情報やデータ等を書き込むのに使用する。そのため、該媒体には、どんな情報が記録されているかを何等かの方法で、一見してわかるようにラベル化しておくことが望まれている。
【0005】
近年、カラー化が極めて容易であり、かつ低コストで、操作が簡便であるなどの観点から、インクジェットプリンターを用いて保護層に、必要な情報を印刷する方法が利用されている。インクジェットプリンターによる印刷では、通常水性インクが用いられているため、ディスク表面の保護層に、水性インクが定着できるように親水性の層(例えば、水性インク受容層)を設けるなどの改良が必要になり、従来からその研究が進められている。
【0006】
このインクジェットプリンター対応のCD−Rに関しては、例えば、特開平1−43826号にはインクジェット吸収層を有する光情報記録媒体が提案されており、また特開平6−60432号には水性の印刷用インクが定着可能な親水性樹脂膜を有する光情報記録媒体が、特開平7−40649号には表層で用いる紫外線硬化樹脂モノマー成分を規定した方法が、特開平7−44888号には表層で硬化した親水性モノマー含有の重合性樹脂を用いた光情報媒体が、また、特開平8−102088号には、保護層及びインク受容層に紫外線硬化樹脂を用いた光情報記録媒体が、それぞれ提案されている。
【0007】
ところが、光情報記録媒体の保護層は、一般に、印刷インクのハジキが防止され、しかも親水性ポリマーによって印刷インクの定着性に優れているとされているが、インクの吸収能力と吸収速度が不十分であるため、吸収出来ないインクが滲み、画像が不鮮明となり、しかも、インクの乾燥が遅く、印刷後インクのベタつきが残る。また、保護層自体の耐水性が十分でないことに加え、印刷後、水の付着により印刷インクが溶出して脱色状態になる、高湿度雰囲気中で印刷インキが滲む等、耐水性にも問題がある。
【0008】
一方、耐水性を改善する手段として、例えば、特開平9−245379号には、ビニルアセタール樹脂、アルミナ水和物およびカチオン性樹脂が特定の割合で含有されたインク受容層を持つ光情報媒体が提案されている。しかしながら、上記のインク受容層は、その形成過程において、熱風乾燥機、熱ドラム等を使用して熱乾燥する必要があり、そのため、生産性が悪く、熱による光情報媒体の特性劣化などの問題がある。
【0009】
さらに、液状インクの浸透性を主眼として検討されているため、概して表面が粗くなり、空隙の多い表面が形成されることになる。これによりインク記録前、またはインク記録後の光沢感が失われ、高級感や精密電子部品のイメージを損ねた質感となるため、これを改善することが課題であった。また、光沢を付与しすぎると、逆にインク受容層に記録された情報(文字や絵、記号など)が読みとりにくくなり、視認性や機器による自動読み取り性が低下するという結果を招くことにある。すなわち、高光沢による反射光で幻惑され、インクにより記録された部分と下地部分が識別できない場合が、記録する情報の内容によっては発生することになる。
【0010】
一方、水溶性染料を用いた水性インクとしては主として酸性染料、直接染料、一部の食品用染料等に分類される水溶性染料の水溶液に、保湿剤としてグリコール類、アルカノールアミン類、表面張力の調整のための界面活性剤、更に必要に応じて増粘剤等を添加したものが用いられている。これら水溶性染料を用いた水性インクは、記録紙上でにじみやすく、使用用途の限定、記録品位の低下を余儀なくされている。即ち、記録紙に単に浸透し、乾燥固着しているだけの水溶性染料は「染着」しているとはいい難く、耐光性が非常に低い。
【0011】
また、空隙型のインク受容層を有する場合は、耐光性だけでなく、その空隙構造に起因して有害ガスによる変褪色を起こしやすい問題がある。特に、一般のカラーインクジェットプリンタに採用されているフタロシアニン系水性染料で起こりやすい。
【0012】
この変褪色のメカニズムは未だ明確にはなっていないが、微細空隙構造は高表面積を有し、かつ用いられている無機微粒子が活性な表面を有しているため、オゾン、オキシダント、SOx、NOxなど空気中の極微量の活性な有害ガスが染料を分解していると推察している。
【0013】
変褪色の現象を改善する技術については、例えば、特開昭63−252780号、同64−11877号、特開平1−108083号、同1−216881号、同1−218882号、同1−258980号、同2−188287号、同7−237348号、同7−266689号、同8−164664号等に記載されているが、空隙構造がより微細になるに従い、より劣化しやすい特性にあるため、従来の改良技術では改良の効果が不十分であり、より抜本的な改善が望まれている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、インク定着性、耐水性、インク吸収性、滲み耐性が良好で、画像記録後の耐光性、変褪色耐性に優れた光情報記録媒体を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
【0016】
1.透明基板上に記録層、光反射層及び少なくとも1層の保護層とを順次積層してなる光情報記録媒体において、表面に露出している該保護層がインクジェット記録方法によるインク受容層であり、該インク受容層が紫外線硬化樹脂、光重合開始剤、無機微粒子及びポリアルキレンポリアミン・ジシアンジアミド系重縮合物を含有することを特徴とする光情報記録媒体。
【0017】
2.透明基板上に記録層、光反射層及び少なくとも1層の保護層とを順次積層してなる光情報記録媒体において、表面に露出している該保護層がインクジェット記録方法によるインク受容層であり、該インク受容層が紫外線硬化樹脂、光重合開始剤、無機微粒子及び水溶性還元剤を含有することを特徴とする光情報記録媒体。
【0018】
3.透明基板上に記録層、光反射層及び少なくとも1層の保護層とを順次積層してなる光情報記録媒体において、表面に露出している該保護層がインクジェット記録方法によるインク受容層であり、該インク受容層が紫外線硬化樹脂、光重合開始剤、無機微粒子及び含硫黄化合物を含有することを特徴とする光情報記録媒体。
【0019】
4.透明基板上に記録層、光反射層及び少なくとも1層の保護層とを順次積層してなる光情報記録媒体において、表面に露出している該保護層がインクジェット記録方法によるインク受容層であり、該インク受容層が紫外線硬化樹脂、光重合開始剤、無機微粒子及び疎水性酸化防止剤の乳化分散物を含有することを特徴とする光情報記録媒体。
【0020】
5.透明基板上に記録層、光反射層及び少なくとも1層の保護層とを順次積層してなる光情報記録媒体において、表面に露出している該保護層がインクジェット記録方法によるインク受容層であり、該インク受容層が紫外線硬化樹脂、光重合開始剤、無機微粒子と、下記一般式(S)で表される化合物を含有することを特徴とする光情報記録媒体。
【0021】
一般式(S)
HO−N(R1)(R2)
〔式中、R1及びR2はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、カルバモイル基、アルコキシカルバモイル基又はアシル基を表す。〕
6.透明基板上に記録層、光反射層及び少なくとも1層の保護層とを順次積層してなる光情報記録媒体において、表面に露出している該保護層がインクジェット記録方法によるインク受容層であり、該インク受容層が紫外線硬化樹脂、光重合開始剤、無機微粒子、ポリアルキレンポリアミン・ジシアンジアミド系重縮合物と、(a)水溶性還元剤、(b)含硫黄化合物、(c)疎水性酸化防止剤の乳化分散物及び(d)前記一般式(S)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種とを含有することを特徴とする光情報記録媒体。
【0022】
7.前記インク受容層が、カチオン性ポリマーを含有することを特徴とする前記1〜6項のいずれか1項に記載の光情報記録媒体。
【0023】
本発明者らは、上記課題に鑑みて鋭意検討を行った結果、透明基板上に記録層、光反射層及び少なくとも1層の保護層とを順次積層してなる光情報記録媒体において、表面に露出している保護層がインク受容層であり、インク受容層が紫外線硬化樹脂、光重合開始剤及び無機微粒子を含有し、更にポリアルキレンポリアミン・ジシアンジアミド系重縮合物、水溶性還元剤、含硫黄化合物、疎水性酸化防止剤の乳化分散物又は前記一般式(S)で表される化合物の少なくとも1種を含有することにより、インク受容層の耐水性、インク吸収性、滲み耐性が良好で、画像記録後の耐光性に優れた光情報記録媒体を実現できることを見いだし、本発明に至った次第である。更に、インク受容層に加えてカチオン性ポリマーを併用することにより、本発明の効果がより一層発揮されることを見いだしたものである。
【0024】
以下、本発明の詳細について説明する。
本発明の光情報記録媒体は、透明基板上に記録層、光反射層及び少なくとも1層の保護層とを順次積層してなり、表面に露出している保護層がインクジェット記録方法によるインク受容層であり、このインク受容層が紫外線硬化樹脂と光重合開始剤及び無機微粒子を含有し、更にポリアルキレンポリアミン・ジシアンジアミド系重縮合物、水溶性還元剤、含硫黄化合物、疎水性酸化防止剤の乳化分散物又は前記一般式(S)で表される化合物の少なくとも1種を含有しているものである。
【0025】
本発明の光情報記録媒体において、はじめに、本発明に係るインク受容層の各構成因子について説明する。
【0026】
本発明においては、インク受容層に紫外線硬化性樹脂を用いることで、インク受容層を容易に形成することができ、製造上有利である。
【0027】
本発明で用いることのできる紫外線硬化性樹脂は、一般には分子中に一つ以上の反応性アクリル基を持つ重合性化合物のモノマー又はオリゴマー、あるいはこれらの混合物、反応開始剤及び必要により反応触媒からなり、従来から紫外線硬化性樹脂として知られているものから選択して使用することができる。なお、製品の変形などが伴わないように硬化収縮率の小さいものが選ばれる。
【0028】
一般に紫外線硬化樹脂は、ラジカル反応タイプの樹脂とイオン反応タイプの樹脂とがあるが、一般にイオン反応タイプの樹脂は反応速度が遅いため、ラジカル反応タイプの樹脂が好適に使用される。
【0029】
ラジカル反応タイプの紫外線硬化樹脂は、通常、少なくとも、樹脂モノマー成分および光重合開始剤を使用し、更に、必要に応じて樹脂オリゴマー成分を使用して調製される。樹脂モノマー成分や樹脂オリゴマー成分を種々選択することにより、様々な特性のインク受容層を得ることが出来る。すなわち、樹脂モノマー成分の種類と量により、粘度、硬度などが変化し、樹脂オリゴマー成分の種類と量により、硬度、密着性、耐水性、耐湿性などが変化する。
【0030】
樹脂モノマー成分としては、単官能または多官能モノマーの何れであってもよいが、インク受容層における架橋密度を上げて強度を保持するため、多官能モノマー成分を一定量含むのが好ましい。
【0031】
単官能モノマーとしては、例えば、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ノニルフェノキシエチルアクリレート、N−ビニルピロリドン、2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルオキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルオキシヘキサノリドアクリレート、1,3−ジオキサンアルコールのε−カプロラクトン付加物のアクリレート、1,3−ジオキソランアクリレート等が挙げられる。
【0032】
多官能モノマー成分としては、シクロペンテニールアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール(400)ジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールアジペートのジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールのε−カプロラクトン付加物のジアクリレート、2−(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−5−ヒドロキシメチル−5−エチル−1,3−ジオキサンジアクリレート、トリシクロデカンジメチロールジアクリレート、トリシクロデカンジメチロールジアクリレートのε−カプロラクトン付加物、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、プロピオン酸・ジペンタエリスリトールトリアクリト、ヒドロキシピバルアルデヒド変性ジメチロールプロパントリアクリレート、プロピオン酸・ジペンタエリスリトールのテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート等が挙げられる。
【0033】
樹脂オリゴマー成分としては、アクリル系オリゴマー、エステル系オリゴマー、ウレタン系オリゴマー、エーテル系オリゴマー等が挙げられる。これらは単独で使用してもよいが、複数種を組み合わせて使用すると、各々異なった特性を持つインク受容層が得られる。例えば、アクリル系オリゴマーと共にエステル系オリゴマーを使用すると、耐水性に優れ、硬い層を得ることが出来る。この場合、硬化収縮が大きいため、媒体に反りが生じることがあるが、予め、基板に逆方向の反りを与えておくことにより解決可能である。一方、アクリル系オリゴマーと共にウレタン系オリゴマーを使用すると、ウレタン系オリゴマーは分子量が大きく硬化収縮が小さいため、基板の反り等が生じる可能性は小さくなる。この場合、形成された硬化塗膜は比較的柔らかいものととなる。
【0034】
上記のアクリル系オリゴマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸や、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル等のアルキル(メタ)アクリレートの重合体、または、上記モノマーと、スチレン、α−メチルスチレン、(o,m,p)ビニルフェノール等の芳香族ビニル化合物、マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸などのビニルカルボン酸化合物、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、エチルアクリル酸グリシジル、クロトニルグリシジルエーテル、クロトン酸グリシジル等のグリシジル基含有ビニル化合物、ベンジル(メタ)アクリレート等の芳香族アクリレート化合物、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の置換アルキルアクリレート化合物、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド等のアクリルアミド系化合物、酢酸ビニル、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸クロライド、N−(メタ)アクリロイルモルホリン等から選ばれた化合物との共重合体が挙げられる。
【0035】
上記のエステル系オリゴマーとしは、例えば、無水フタル酸とプロピレンオキサイドの開環重合物から成るポリエステルジオールとアクリル酸とのエステル、アジピン酸1,6−ヘキサンジオールから成るポリエステルジオールとアクリル酸とのエステル、トリメリット酸ジエチレングリコールとの反応物から成るトリオールとアクリル酸とのエステル、δ−バレロラクトンの開環重合物とアクリル酸とのエステル等が挙げられる。
【0036】
上記のウレタン系オリゴマーとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートと1,6−ヘキサンジオールから成るポリウレタンと2−ヒドロキシエチルアクリレートとの反応物、アジピン酸と1,6−ヘキサンジオールから成るポリエステルジオールとトリレンジイソシアネートとを反応させたジイソシアネートオリゴマーに2−ヒドロキシエチルアクリレートを反応させたもの等が挙げられる。
【0037】
上記のエーテル系オリゴマーとしては、例えば、ポリプロピレングリコールとアクリル酸とのエステル等が挙げられる。その他、エポキシ樹脂にアクリレートを反応させたエポキシ系オリゴマー、ポリアリレート等も樹脂オリゴマー成分として使用することが出来る。
【0038】
また、その他の紫外線硬化性樹脂としては、山下晋三編、「架橋剤ハンドブック」、(1981年大成社);加藤清視編、「UV・EB硬化ハンドブック(原料編)」(1985年、高分子刊行会);ラドテック研究会編、「UV・EB硬化技術の応用と市場」、79頁、(1989年、シーエムシー);滝山栄一郎著、「ポリエステル樹脂ハンドブック」、(1988年、日刊工業新聞社)等に記載の市販品もしくは業界で公知のラジカル重合性ないし架橋性のモノマー、オリゴマー及びポリマーを用いることができる。
【0039】
本発明に係る紫外線硬化性樹脂には、必要に応じ、重合停止剤、保存安定剤、分散剤、消泡剤、紫外線硬化性樹脂以外のバインダー樹脂などを含有していてもよい。
【0040】
次いで、光重合開始剤について説明する。
本発明で用いることのできる光重合開始剤の例としては、光により発生したラジカルや他の活性種が上記モノマー、オリゴマー中の重合性二重結合と反応して重合反応を誘起するものであれば特に制限はなく、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルなどのベンゾイン又はそのエーテル、ベンジル、ベンジルメチルケタール、ベンジルエチルケタールなどのベンジル系化合物、ベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系化合物、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどのヒドロキシアルキルフェニルケトン系化合物、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルフォリノプロパノン−1、ビスアシルフォスフィンオキサイド等を挙げることができる。これらの光重合開始剤は1種或は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0041】
さらに光重合開始剤の例としては、加藤清視著「紫外線硬化システム」株式会社総合技術センター発行(平成元年2月28日発行)の第65〜148頁に記載されている光重合開始剤などを挙げることができる。これらの光重合開始剤の使用量は、特に制限されていないが、一般に1〜10質量%程度、好ましくは2〜5質量%程度使用される。
【0042】
次いで、無機微粒子について説明する。
本発明においては、インク受容層中に所定量の無機微粒子を含有させることにより、インクが受容層中に毛細管現象により瞬時に吸収される様な微細空隙構造を形成することができる。本発明に係る構成によれば、印字したインクを多量に吸収できるため、インク受容層表面でのインクの拡がり(にじみ)を制御でき、また、吸収速度を速めることができるため、浸透性、乾燥性が向上し、鮮明な画像を形成できる。
【0043】
本発明に係るインク受容層においては、無機微粒子をインク受容層(塗膜)の体積に対して、1%以上、85%以下含有させることが好ましく、この構成により、インク受容層の機械強度を制御し、基材への接着力を適切に維持できる。また、生産性においても、インク受容層のコーティング、あるいはスクリーン印刷で形成する際の塗料粘度を適切に制御できるため、塗布ムラやはじきなどの故障を抑制できる。また、複数の粒径や種類の異なる無機微粒子を併用することにより、仕上がりの外観に適度な表面粗さの付与や耐摩耗性や光沢の変化を与え留ことができる。
【0044】
上記の無機微粒子としては、公知の各種微粒子が挙げることができ、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、クレー、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、ハイドロタルサイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、リトポン、ゼオライト、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料等を挙げることができる。
【0045】
無機微粒子としては、表面がアニオン性で染料に対して定着性を有しない無機微粒子および染料に対して定着性を有する表面がカチオン性の無機微粒子のいずれも使用することができる。
【0046】
表面がアニオン性である無機微粒子を使用する場合には、通常カチオン性ポリマーを併用するが、表面がアニオン性の無機微粒子にカチオン性ポリマーを添加した場合、カチオン性ポリマーが無機微粒子表面に留まって不動化し、その不動化されたカチオン性ポリマーに定着されて染料が不動化するものと推定される。
【0047】
本発明においては、低コストであることや高い反射濃度が得られる低屈折率の微粒子であること等から、表面がアニオン性の無機微粒子としては気相法で合成されたシリカまたはコロイダルシリカが好ましい。
【0048】
上記表面がカチオン性の無機微粒子には、特開平8−34160号公報に記載されているような、第4級アンモニウム塩基を有するシランカップリング剤を無機微粒子の表面にカップリングさせて表面電荷をカチオン性に変換した無機微粒子も含まれる。
【0049】
本発明に係る無機微粒子としては、低屈折率で平均粒径の小さな微粒子が好ましく、例えば、シリカ、コロイダルシリカ、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、ベーマイト水酸化アルミニウムまたはその水和物等の微粒子が挙げられるが、好ましくはシリカ微粒子である。
【0050】
シリカ微粒子の製造方法は乾式法(気相法)と湿式法に大別され、乾式法としてはハロゲン化珪素の高温での気相加水分解による方法(火炎加水分解法)、及びケイ砂とコークスを電気炉でアークにより加熱還元気化しこれを空気酸化する方法(アーク法)が知られている。また湿式法としては珪酸塩の酸分解により活性シリカを生成した後、過度に重合させて凝集・沈殿させる方法が知られている。本発明においてはシリカ微粒子の中でも気相法により合成されたシリカが最も好ましい。
【0051】
気相法により合成された微粒子シリカは通常、四塩化珪素を水素及び酸素と共に高温で燃焼して得られる平均1次粒子径が5〜500nmのシリカ粉末であるが、本発明では特に30nm以下の平均1次粒子径を有するものが、光沢性の点で好ましい。
【0052】
気相法シリカとして現在市販されているものとしては、トクヤマ、あるいは日本アエロジル社の各種のアエロジルが該当する。
【0053】
本発明で好ましく用いられるコロイダルシリカは、珪酸ナトリウムの酸等による複分解やイオン交換樹脂層を通過させて得られるシリカゾルを加熱熟成して得られるものであり、このコロイダルシリカをインクジェット記録用紙に使用することは、例えば、特開昭57−14091号公報、同60−219083号公報、同60−219084号公報、同61−20792号公報、同61−188183号公報、同63−17807号公報、特開平4−93284号公報、同5−278324号公報、同6−92011号公報、同6−183134号公報、同6−297830号公報、同7−81214号公報、同7−101142号公報、同7−179029号公報、同7−137431号公報、及び国際特許公開WO94/26530号公報などに記載されている。
【0054】
コロイダルシリカの好ましい平均粒子径は、通常は5〜100nmであるが特に7〜30nmの平均粒子径が好ましい。
【0055】
気相法により合成されたシリカ及びコロイダルシリカは、その表面をカチオン変成されたものであってもよく、また、Al、Ca、Mg及びBa等で処理された物であってもよい。
【0056】
本発明においては、無機微粒子の少なくとも1種が平板状無機微粒子(鱗片状無機微粒子とも言う)であることが好ましい。
【0057】
本発明における平板状とは、薄片状、鱗片状、雲母状と言われる形状を包含し、厚み(粒子の最も短い軸の長さ)に対する最長径(粒子の最も長い軸の長さ)の比(アスペクト比)と、粒子幅(粒子の最も長い軸と最も短い軸の両方と直角に交わる軸の長さ)の比が何れも2以上のものが好ましい。又、最長径に対する粒子幅の比は0.5〜1が好ましい。平板状無機微粒子は微粒子状の大きさが制御されたものであり、粒子の最長径及び粒子幅は0.01〜20μmが好ましく、0.2〜20μmがより好ましく、またアスペクト比としては5〜90であることが、他の微粒子との混合比率の変化に対し、安定した白地を得ることができ、更にインク受容層の画像耐久性が向上すると共に、本発明で規定する60度光沢度を得ることができ好ましい。本発明に係る平板状無機微粒子は、粒子の厚さを薄く制御することででき、4〜200nmが好ましい。平板状無機微粒子には、平板が湾曲した形態も含まれる。
【0058】
平板状無機微粒子としては、平板状カオリンクレー、板状塩基性炭酸カルシウム、平板状セリナイト、平板状ジークライト、平板状マイカ、平板状炭酸マグネシウム、平板状タルク、金属酸化物被覆雲母末、魚鱗箔、雲母粉などが挙げられるが、好ましくは、雲母に反射性(高虹彩反射)を与える薄膜被膜として、可視域に透明で屈折性が2.0以上ある金属酸化物あるいは金属硫化物などを被覆したもので、例えば、Sb2S3、Fe2O3、PbO、ZnSe、CdS、Bi2O3、TiO2、PbCl2、CeO2、Ta2O5、ZnS、ZnO、CdO、Nd2O3、Sb2O3、SiOおよびInO3の単層の被覆、もしくは2層に被覆することにより形成され、好ましくは酸化チタン被覆雲母末である。
【0059】
酸化チタン被覆雲母末は、板状の雲母末の表面に酸化チタンの被覆を形成することにより、人工的に作り出された真珠状顔料を含み、雲母粉を懸濁させた硫酸チタニル溶液から酸化チタンを析出させると、雲母表面に酸化チタン膜ができる。これを水洗、乾燥、焼成して得られる。平板度、形状は、基体となる雲母粉の形状により調整できる。又、両面の被覆酸化チタンの光干渉に伴う虹採を調整するために、膜、雲母の厚さを調整することができる。
【0060】
本発明において、無機微粒子の平均粒径は、微細で高い空隙率を得るため、300nm以下がより好ましい。すなわち、平均粒径が300nmを超える場合は、微粒子間で形成される空隙が粗大化し、インクの吸収能力と吸収速度が低下し、充分なインク受容性が得られない。また、紫外線透過率が低くなり、インク受容層の光硬化が十分に行われないため層内部が硬化し難く、生産性に劣る傾向がある。微粒子の平均粒径は、さらに好ましくは5〜100nm、より更に好ましくは7〜30nmである。平均粒径が7nm未満の場合は、バインダー樹脂への分散性が低下する傾向があり、また、粒子間で形成される空隙が微細化し過ぎるため、充分なインク受容性が得られない傾向がある。
【0061】
インク受容層における無機微粒子の添加量は、インク受容層を形成する塗膜の体積に対し、1%以上、85%以下であり、好ましくは10%以上、80%以下、更に好ましくは35%以上75%以下である。1%未満ではインク吸収に必要な物理的、化学的性質を有するバインダーやポリマー、紫外線硬化樹脂の選択の幅が狭く、85%
を越えると、塗膜強度が劣化するので、バランスの取れた性能を維持しにくくなる。
【0062】
請求項1に係る発明においては、インク受容層中に上述の紫外線硬化性樹脂、光重合開始剤及び無機微粒子と共に、ポリアルキレンポリアミン・ジシアンジアミド系重縮合物を含有することが特徴である。
【0063】
本発明でいうポリアルキレンポリアミン・ジシアンジアミド系重縮合物とは、ポリアルキレンポリアミンとジシアンジアミドの重縮合物である。
【0064】
ポリアルキレンポリアミンとしては、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、イミノビスプロピルアミン及びこれらの塩酸塩、硫酸鉛、酢酸塩等が挙げられる。
【0065】
ポリアルキレンポリアミン・ジシアンジアミド系重縮合物としては、各種のものが市販されており、例えば、ネオフィックスRP−70、ネオフィックPNF−70、ネオフィックスE−117、(以上、日華化学社製)、パラフィックスEP(大原パラヂウム化学社製)、ダイアジンフィックス400(日成化成社製)、ファーストゲンP−708(東海製油工業社製)、ジェットフィックス20(黒田加工社製)、カヤフィックスM(日本化薬社製)、PAP−1(日本染化工業社製)、サンフィックス414(三洋化成)等、及びこれらの誘導体が挙げられる。これらの中でも、サンフィックス414、パラフィックスEPが特に好ましく用いられる。上記ポリアルキレンポリアミン・ジシアンジアミド系重縮合物の平均分子量は、2,000〜200,000が好ましい。
【0066】
請求項2に係る発明においては、インク受容層中に上述の紫外線硬化性樹脂、光重合開始剤及び無機微粒子と共に、水溶性還元剤を含有することが特徴である。
【0067】
本発明で用いることのできる水溶性還元剤は、特開平8−300807号公報、同8−150773号公報、同8−108617号公報、同9−267544号公報等に記載されており、例えば、亜硫酸塩、亜硝酸塩、亜燐酸塩、チオ硫酸塩、アスコルビン酸またはその塩、ヒドロキシルアミン誘導体(例えば、N,N−ジエチルヒドロキシルアミン、N,N−ジスルホエチルヒドロキシルアミン・ナトリウム塩、N−ヒドロキシフタルイミド、N,N−ジカルボキシエチルヒドロキシルアミン・ナトリウム塩等)、グルコース等が挙げられる。
【0068】
請求項3に係る発明においては、インク受容層中に上述の紫外線硬化性樹脂、光重合開始剤及び無機微粒子と共に、含硫黄化合物を含有することが特徴である。
【0069】
本発明で用いることのできる含硫黄化合物としては、特開昭61−177279号、同61−163886号、同64−36479号、特開平7−314883号、同7−314882号、同1−115677号等に記載されており、例えばチオシアン酸塩、チオ尿素、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトベンズチアゾール、2−メルカプトベンズオキサゾール、5−メルカプト−1−メチルテトラゾール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−トリアゾール、2,4,6−トリメルカプトシアヌル酸、チオサリチル酸、チオウラシル、1,2−ビス(2−ヒドロキシエチルチオ)エタン等が挙げられるが、好ましくは下記一般式(1)又は一般式(2)で表される化合物である。
【0070】
一般式(1)
R′−S−R″
一般式(1)において、R′とR″はアルキル基またはアリール基を表す。
【0071】
【化1】
【0072】
一般式(2)において、X1は5〜7員環を形成するのに必要な非金属原子群を表し、
【0073】
【化2】
【0074】
で表される基は他の構成要素と縮合して縮合環を形成していても良い。Mは水素原子、アンモニウムイオン、または金属原子を表す。
【0075】
上記一般式(1)において、R′とR″で表されるアルキル基は置換または未置換のアルキル基であり、置換基としてはヒドロキシル基、アリール基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アミノ基、メルカプト基、カルボキシル基、スルホ基、アシル基、カルバモイル基、スルファモイル基、ハロゲン原子等を挙げることが出来る。
【0076】
一般式(1)のR′とR″で表されるアリール基は置換または未置換のアリール基(フェニル基、ナフチル基等)であり、置換基としてはアルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アミノ基、メルカプト基、カルボキシル基、スルホ基、アシル基、カルバモイル基、スルファモイル基、ハロゲン原子等を挙げることが出来る。
【0077】
一般式(1)で表される化合物の具体例を以下に示す。
【0078】
【化3】
【0079】
【化4】
【0080】
上記化合物の中でも、特に好ましいのは、水溶性のチオエーテル化合物であり、特に好ましいのは少なくとも1個の水酸基またはカルボキシル基、スルホ基等の水溶性基を有する化合物である。
【0081】
次に一般式(2)で表される化合物において、非金属原子群によって形成される5〜7員環とは、好ましくは、5員のアゾール環であり、アゾール環としては、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、チアゾール、チアジアゾール、セレナゾール、テルラゾール等の環、及び例えばインドール、インダゾール、プリン、ベンズイミダゾール、ベンズトリアゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ナフトイミダゾール、ナフトチアゾール、ナフトオキサゾール等の縮合環が挙げられる。又、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、トリアジン等の6員環、及びその縮合環である、例えばキノリン、イソキノリン、フタラジン、キノキザリン、キナゾリン等の環や、アゼピン等の7員環等が好ましいものとしてあげられる。
【0082】
又、これらの環は置換基を有していても良く、そのような置換基としては例えば、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヒドロキシル基、アミノ基、メルカプト基、カルボキシル基、アシル基、カルバモイル基、スルファモイル基、ハロゲン原子、シアノ基等が含まれる。これらの置換基は更に置換基を有していても良い。
【0083】
一般式(2)で表される化合物の具体例を以下に示す。
【0084】
【化5】
【0085】
【化6】
【0086】
本発明の光情報記録媒体においては、インク受容層中に上記一般式(1)で表される化合物および一般式(2)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種が含有される。これらの化合物は1種であっても2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0087】
一般式(1)または一般式(2)で表される化合物の使用量は、光情報記録媒体1m2当たり、0.01〜5g、好ましくは0.05〜2gである。
【0088】
請求項4に係る発明においては、インク受容層中に上述の紫外線硬化性樹脂、光重合開始剤及び無機微粒子と共に、疎水性酸化防止剤の乳化分散物を含有することが特徴である。
【0089】
疎水性酸化防止剤としては、例えば特開昭57−74192号、同57−87989号、特開平1−115667号、同3−13376号、同10−142817号公報の5頁〜20頁に記載の化合物、特開2000−89490公報の表3に記載の化合物等の酸化防止剤が利用できる。特に好ましい酸化防止剤は、水酸基のオルト位の少なくとも一方が3級アルキル基で置換されている所謂ヒンダードフェノール系酸化防止剤、窒素原子に連結する二つの炭素原子がアルキル基で共に置換されているピペリジン系酸化防止剤(所謂ヒンダードアミン類)、フェノール類又はポリヒドロキシベンゼン類の少なくとも一つの水酸基がアルキル基によりエーテル化されている酸化防止剤である。
【0090】
上記疎水性酸化防止剤の中でも、一重項酸素消光速度(Kq)が106以上である化合物が好ましい。
【0091】
一重項酸素とは活性化された酸素の1つであり、その消光作用を有する化合物は極めて限られている。一重項酸素消光能力を規定する方法としては、第22回酸化反応討論会要旨集p7に記載された方法が知られており、一重項酸素消光速度(Kq)は上記方法によって求められる。本発明においては、上記方法によって求めた一重項酸素消光速度(Kq)が106以上の化合物が用いられる。また、一重項酸素消光速度(Kq)の上限は、化合物の安定性からすると109以下であることが好ましい。
【0092】
以下に、本発明に用いられる一重項酸素消光速度(Kq)が106〜109である化合物の具体的な化合物例を示すが、本発明で用いられる一重項酸素消光速度(Kq)が105以上である化合物は、これらによって限定されるものではない。
【0093】
【化7】
【0094】
【化8】
【0095】
また、上記疎水性酸化防止剤として、ラジカルトラップ速度(Ks)が1〜10,000である化合物が好ましい。
【0096】
ラジカルトラップ速度(Ks)が1〜10,000である化合物とは、フリーラジカルを消去する能力を有する化合物であり、Biochemica et Biophysica Acta,993(1989)168−173に記載の向井らの方法によって測定することができる。
【0097】
ラジカルトラップ能力を有する化合物において、ラジカルトラップ速度は上記向井らの方法により求めたものである。
【0098】
本発明において、上記向井らの方法により求めたラジカルトラップ速度(Ks)が1以上である化合物が用いられる。また、ラジカルトラップ速度(Ks)の上限は、化合物の安定性との兼ね合いから10,000以下である。
【0099】
以下に、本発明に用いられるラジカルトラップ速度(Ks)が1以上の化合物の具体的な化合物例を示すが、本発明で用いられるラジカルトラップ速度(Ks)が1以上の化合物は、これらによって限定されるものではない。
【0100】
【化9】
【0101】
【化10】
【0102】
本発明においては、上記疎水性酸化防止剤は、例えば、疎水性高沸点有機溶媒(ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジ−i−デシルフタレート、トリクレジルホスフェート、トリ−2−エチルヘキシルホスフェート等)と共に親水性バインダー中に乳化分散された状態で添加される。乳化方法としては、各種の方法を用いることができる。それらの例は、例えば、「機能性乳化剤・乳化技術の進歩と応用展開 シー エム シー」の86ページの記載にまとめられている。本発明においては、特に、超音波、高速回転せん断、高圧による乳化分散装置を使用することが好ましい。この疎水性酸化防止剤をアセトンやメタノール等の有機溶媒に溶解して添加したり、あるいは湿式粉砕法で添加した場合には、褪色防止の持続効果が小さい。疎水性酸化防止剤と高沸点有機溶媒の比率は、質量比で概ね1:5〜10:1である。
【0103】
請求項5に係る発明においては、インク受容層中に上述の紫外線硬化性樹脂、光重合開始剤及び無機微粒子と共に、前記一般式(S)で表される化合物を含有することが特徴である。
【0104】
前記一般式(S)のR1及びR2で表されるアルキル基は炭素原子数が1〜18の直鎖、分岐又は環状のアルキル基でありそれぞれ置換原子、置換基を有していても良い。置換原子、置換基としては例えば、アルコキシ基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アシル基、アルケニル基、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、スルホ基、カルボキシ基、スルファモイル基、ウレイド基、ホスホノ基又はホスフィン胃等が挙げられる。
【0105】
一般式(S)のR1及びR2で表されるアルコキシ基は炭素原子数が1〜8の直鎖又は分岐のアルコキシ基であり、置換基を有することもできる。置換基としてはR1及びR2がアルキル基である場合に有することの出来る置換基が挙げられる。
【0106】
一般式(S)のR1及びR2で表されるカルバモイル基は例えばメチルカルバモイル基、エチルカルバモイル基などであり、置換基を有することもできる。
【0107】
置換基としてはR1及びR2がアルキル基である場合に有することの出来る置換基から適宜選択される。
【0108】
一般式(S)のR1及びR2で表されるアルコキシカルボニル基は例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などであり置換基を有することもできる。置換基としてはR1及びR2がアルキル基である場合に有することの出来る置換基から適宜選択される。
【0109】
一般式(S)のR1及びR2で表されるアシル基は例えばアセチル基、プロパノイル基、ベンゾイル基等あり置換基を有することもできる。置換基としてはR1及びR2がアルキル基である場合に有することの出来る置換基から適宜選択される。
【0110】
一般式(S)で表される化合物の中では、特にR1とR2がそれぞれ独立に置換又は無置換のアルキル基が好ましいが、特に、スルホ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、スルホンアミド基等の親水性基を置換基として有し、水に対する溶解度が室温で1質量%以上のものが特に好ましい(例えば、スルホエチル基、スルホプロピル基、カルボキシエチル基、カルボキシメチル基、カルボキシプロピル基等)。
【0111】
親水性基を有する化合物は耐光性の改良幅が大きいだけでなく、印字前に記録用紙を高温で長期間保存した場合であっても耐光性改良効果が充分得られる。
【0112】
以下、一般式(S)で表される化合物の具体例を示す。
【0113】
【化11】
【0114】
【化12】
【0115】
【化13】
【0116】
上記一般式(S)で表される化合物は市販されているものもあるが、その多くは対応するヒドロキシルアミン類を適当なアルキル化剤でアルキル化したりアシル化剤でアシル化するなどして容易に合成することが出来、例えば、西ドイツ特許第1,159,634号公報や「インオルガニカ・ケミカ・アクタ」(Inorganica Chimica Acta),93(1984)101〜107等に記載されている合成方法に準じて容易に合成できる。
【0117】
一般式(S)で表される化合物を、インクジェット受容層に添加する量は、添加する形態により異なるが、一般には、1m2当たり通常0.01〜20g、より好ましくは0.1〜2gである。
【0118】
請求項7に係る発明においては、インク受容層が、カチオン性ポリマーを含有することが好ましい。
【0119】
本発明で用いることのできるカチオン性ポリマーとしては、分子内にカチオン性部分を含むものであれば、特に限られるものではないが、重量平均分子量が500〜50,000のものが好ましく、更に好ましくは1,000〜10,000のカチオン性樹脂を用いることが望ましい。重量平均分子量が500未満であると画像の耐水性が不十分となり、50,000を超えると分子構造的な立体障害による染料分子との結合効率が悪くなる傾向がある為、微量添加による効果が小さい。
【0120】
カチオン性ポリマーの例としては、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、ジシアンジアミドポリアルキレンポリアミン縮合物、ポリアルキレンポリアミンジシアンジアミドアンモニウム塩縮合物、ジシアンジアミドホルマリン縮合物、エピクロルヒドリン・ジアルキルアミン付加重合物、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合物、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド・SO2共重合物、ポリビニルイミダゾール、ビニルピロリドン・ビニルイミダゾール共重合物、ポリビニルピリジン、ポリアミジン、キトサン、カチオン化澱粉、ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド重合物、(2−メタクロイルオキシエチル)トリメチルアンモニウムクロライド重合物、ジメチルアミノエチルメタクリレート重合物、などが挙げられる。
【0121】
また、化学工業時報平成10年8月15,25日に述べられるカチオン性ポリマー、三洋化成工業株式会社発行「高分子薬剤入門」に述べられる高分子染料固着剤が例として挙げられる。
【0122】
紫外線硬化性樹脂組成物に含まれるカチオン性ポリマーは、インクジェットにより印刷された画像に耐水性を付与するため、インクを不溶化する働きがあるものと考えられる。一般に、インクジェットプリンター用インクにはアニオン性水溶染料が使用されており、カチオン性ポリマーの添加により、微細空隙に吸着されたインク中の染料を水に不溶性化することができ、この結果、形成画像の耐水性を付与できる。
【0123】
更に、本発明においては、インク受容層中に、メチロール化メラミン、メチロール化尿素、メチロール化ヒドロキシプロピレン尿素、イソシアネート等の架橋剤を含んでいてもよい。
【0124】
本発明に係るインク受容層は、必要により有機溶剤などを用いて前述の紫外線硬化性樹脂と有機又は無機微粒子等とを混合分散し、インク受容層形成用塗布液を調製した後、これを着色隠蔽層上に塗布し、更にこの上から紫外線を照射することにより、形成することができる。
【0125】
本発明におけるインク受容層の塗布方法としては、例えば、スピンコート法、ディップコート法、バーコート法、ブレードコート法、エアナイフコート法、ロールコート法、スクリーン印刷法などの方法で、前述の紫外線硬化樹脂組成物を塗布した後、紫外線照射することによって得られる。ところで、通常、光デイスク等のレーベル印刷には紫外線硬化型のスクリーン印刷機が使用されているため、これらの印刷機と兼用し、スクリーン印刷によって形成することにより、インク受容層形成工程の装置および工程時間が大きく改良される。
【0126】
紫外線照射の光源としては、例えば、高圧水銀灯、メタルハライドランプ等が使用される。そして、照射エネルギー量は、通常150〜2000mJ/cm2、好ましくは250〜1000mJ/cm2の範囲から選択される。この際、数秒で塗膜が硬化するため、生産性に優れているが、形成方法として、スクリーン印刷法を使用した場合、塗膜表面の平滑化、塗膜からの気泡の放出を瞬時に行い、塗膜面の光沢性を上げる目的でレベリング剤を添加するのが好ましい。レベリング剤としては、シリコン等が好ましい。
【0127】
本発明の光情報記録媒体は、透明基板上に、記録層、光反射層及び少なくとも1層のインク受容層を含む保護層が積層されており、インク受容層が最外層を形成している。インク受容層が保護層を兼ねていても、インク受容層とは別に保護層を有していてもよい。
【0128】
インク受容層とは別に保護層を設ける場合、保護層の樹脂の種類は特に制限されないが、インク受容層の場合と同様に紫外線硬化樹脂が好ましい。具体的には、先にインク受容層に使用可能であるとして例示したものと同様のものが挙げられ、層形成方法としても、インク受容層と同様の方法が挙げられるが、中でもスピンコート法が最も一般的である。保護層は、必要に応じて2層以上あってもよい。そして、保護層とインク受容層の中間に、耐擦傷性の付与、色調の調整などの目的で1層の保護層を設けてもよい。
【0129】
透明基板としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アモルファスポリオレフィン等の高分子材料の他、ガラス等の無機材料が使用される。特に、ポリカーボネート系樹脂は、光の透過性が高く且つ光学的異方性が小さいために好ましい。
【0130】
透明基板は、通常、その表面には記録位置を表す案内溝やピット等(グルーブ情報など)が形成される。グルーブ情報などは、通常、射出成形や注型によって基板を作る際に付与されるが、レーザーカッティング法や2P法(Photo・Polymer法)より作製してもよい。
【0131】
記録層は、レーザー光の照射により記録可能であれば特に制限されず、無機物質による記録層および有機物質による記録層の何れであってもよい。無機物質による記録層には、例えば、光熱磁気効果により記録を行うTb・Fe・CoやDy・Fe・Co等の希土類遷移金属合金が使用される。また、相変化するGe・Te、Ge・Sb・Teの様なカルコゲン系合金も使用し得る。
【0132】
また、有機物質による記録層には、主として、有機色素が使用される。有機色素としては、大環状アザアヌレン系色素(フタロシアニン色素、ナフタロシアニン色素、ポルフィリン色素など)、ポリメチン系色素(シアニン色素、メロシアニン色素、スタワリリウム色素など)、アントラキノン系色素、アズレニウム系色素、含金属アゾ系色素、含金属インドアニリン系色素などが挙げられ、特に、含金属アゾ系色素は、耐久性および耐光性に優れているため好ましい。
【0133】
色素含有記録層は、通常、スピンコート、スプレーコート、ディップコート、ロールコート等の塗布方法で成膜される。この際、溶剤としては、ジアセトンアルコール、3−ヒドロキシ−3−メチル−2−ブタノン等のケトンアルコール溶媒、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ溶媒、テトロフルオロプロパノール、オクタフルオロペンタノール等のパーフルオロアルキルアルコール溶媒、乳酸メチル、イソ酪酸メチル等のヒドロキシエチル溶媒が好適に使用される。
【0134】
光反射層は、通常、金、銀、アルミニウム等で構成されるが、記録層に有機色素を使用する場合は、特に銀によって構成するのが好ましい。光反射層は、蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法によって成膜される。なお、光反射層と記録層の間に層間の密着力を向上させるため、または、反射率を高める等の目的で中間層を設けてもよい。
【0135】
上記の記録層の厚さは通常10〜5000nm、光反射層の厚さは通常50〜200nm、インク受容層の厚さは、通常5〜50μm、保護層の厚さは通常1〜10μmである。
【0136】
インク受容層の厚さが5μm未満の場合、インクの吸収に必要な空隙容積を確保するのが困難であり、吸収できないインクが受容層表面に残るため、像のにじみの原因となる場合がある。逆に、厚さが50μmを超える場合は、インクの吸収および浸透が層の内部まで進行し、受容層表面のインクの発色性が低下し、像の鮮明性が低下する。更に、紫外線照射の際に紫外線透過性が劣り、層内部の硬化不足を起こす恐れがある。
【0137】
次いで、本発明の光情報記録媒体に、インクジェット記録を行う方法について説明する。
【0138】
本発明で用いることのできる記録方法としては、上記で説明した本発明の光情報記録媒体のインク受容層に、記録信号に従って記録ヘッドのオリフィスからインクを吐出させて記録を行うインクジェット記録方法によりレーベル情報を記録することが好ましい。この際に使用するインクとしては、インクジェット記録方法に用いられている従来公知の、色材と該色材を溶解又は分散させる液媒体とが少なくとも含有された水系インクを使用することが出来る。
【0139】
インク中の色材としては、例えば、直接染料、酸性染料、塩基性染料、反応性染料、食用色素に代表される水溶性染料、更には分散染料及び顔料が使用可能であり、通常のインクジェット記録用のものであれば、特に制限なく使用できるが、好ましくは、本発明の光情報記録媒体のインク受容層の好ましい構成材料であるカチオン性ポリマーとのイオン的結合性の点から、これらのうちアニオン性の染料或いは顔料分散体を用いることが好適である。又、これら色材のインク中における含有量は、従来のインクにおいて一般的に使用されているのと同様に、インク全量に対して0.1〜20質量%の割合で使用すればよい。
【0140】
本発明に用いる水系インクに使用する液媒体としては、水、又は水と水溶性有機溶剤との混合溶媒が使用されるが、本発明においては、特に、水と水溶性有機溶剤との混合溶媒であって、水溶性有機溶剤としてインクの乾燥防止効果を有する多価アルコールを含有するものを使用するのが好適である。
【0141】
前記で説明した本発明の光情報記録媒体のインク受容層上にインクを付与して記録を行う方法としては、公知のインクジェットヘッドを用いることができ、オンデマンド方式でもコンティニュアス方式でも構わない。また、吐出方式としては、電気−機械変換方式(例えば、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型、シェアードウォール型等)、電気−熱変換方式(例えば、サーマルインクジェット型、バブルジェット(R)型等)、静電吸引方式(例えば、電界制御型、スリットジェット型等)及び放電方式(例えば、スパークジェット型等)などを具体的な例として挙げることができるが、いずれの吐出方式を用いても構わない。
【0142】
【実施例】
以下に本発明の実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明の実施態様はこれらの例に限定されるものではない。
【0143】
《光情報記録媒体の作製》
(試料1の作製)
スタンパによりスパイラル状にトラッキングガイドを行うため、幅0.8μm、深さ0.08μm、トラックピッチ1.6μmのガイド溝が直径の46〜117mmφの範囲に形成された外形120mmφ、内径15mmφ、厚み1.2mmのポリカーボネート基板を用意した。
【0144】
〈色素記録層の形成〉
このポリカーボネート基盤上に、0.65gの1、1−ジブチル3、3、3、3、テトラメチル4、5、4、5−ジベンゾインドジカーボシアニンパークロレート(日本感光色素研究所製)を、ジアセトンアルコール10mlに溶解し、この溶液を、回転数を変化させながら平均膜厚130nmになるようにスピンコートし、乾燥させて、色素記録層を形成した。
【0145】
〈光反射層の形成〉
次いで、この色素記録層上に、金をスパッタリングし、厚さ100nmの光反射層を形成した。
【0146】
〈保護層の形成〉
次いで、スピンコート法により多官能アクリレートを主成分とする紫外線硬化性樹脂(TYD−102:サンノプコ(株))を塗布し、高圧水銀灯で230mj/cm2の紫外線を照射、硬化させて、厚さ10μmの保護層を形成した。
【0147】
〈インク受容層1の形成〉
下記の各組成物を混合した後、高圧ホモジナイザー(三和工業(株)社製)で分散して、インク受容層塗布液を調製した後、スピンコート法により、乾燥質量として9.5g/m2となるように保護層上に塗布して、高圧水銀灯で230mj/cm2の紫外線を照射、硬化させて、インク受容層1を形成して、光情報記録媒体である試料1を作製した。
【0148】
(試料2〜19の作製)
上記試料1の作製において、インク受容層1に、表1に記載の各化合物を添加した以外は同様にして、試料2〜19を作製した。
【0149】
表1に記載の各化合物の詳細は、以下の通りである
パラフィックスEP:大原パラジウム社製
サンフィックス414:三洋化成社製
ポリメント NK−100PM:日本触媒社製
なお、疎水性酸化防止剤は、当量のトリクレジルホスフェートと3倍量の酢酸エチルで溶解した後、界面活性剤を含むゼラチン溶液中に、超音波分散機を用いて乳化分散し、乳化分散物として添加した。
【0150】
以上のようにして作製した試料1〜19の各構成要素を、まとめて表1に示す。
【0151】
【表1】
【0152】
《画像の印字》
以上のようにして作製した試料1〜19のインク受容層上に、キャノン社製のバブルジェット(R)カラープリンターBJC−600を、試料が平行に搬送できるように改造した記録装置を用いて、イエローインク、マゼンタインク及びシアンインクによりベタ画像及び1mm間隔で線幅の異なる細線画像を連続して印字した。なお、印字モードはOHPモードで、23℃、55%RHの環境の部屋で行った。
【0153】
《形成画像の評価》
以上のようにして作成した各インクジェット画像について、下記の各評価を行った。
【0154】
(インク定着性の評価)
30℃、80%RHの環境下で、上記の方法でイエロー、シアン及びマゼンタの各2色の重ね打ちによるベタ画像を形成し、放置した後、記録画像に指触し、インクが指に付着するか否かで判断し、下記の基準に則りインク定着性を評価した。
【0155】
○:5分未満でインクが指に付着しなくなる
△:5分以上、10分未満でインクが指に付着しなくなる
×:10分経過してもインクが付着する
(インク吸収性の評価)
イエロー、シアン及びマゼンタインクのベタ画像を隣接して印字し、隣接する各2色のベタ画像境界面の混色の度合いを目視観察し、下記の基準に則りインク吸収性を評価した。
【0156】
○:2色が隣接しているベタ画像境界部の均一性が良好で、異色間の境界滲みがない
△:2色が隣接しているベタ画像境界部の均一性は良好であるが、異色間の境界滲みがやや劣るが、実用上許容の範囲にある
×:2色が隣接しているベタ画像境界部の均一性及び異色間の境界滲みが共に劣り、実用上問題がある
(耐水性の評価)
画像印字し、1時間後に、水の入ったトレイ中に各試料を10秒間浸漬し引き揚げた後に、キムタオル(商品名、十條キンバリー(株)製)にて水を拭き取り、その部分を目視観察し、下記の基準に則り印字したベタ画像部の耐水性を評価した。
【0157】
○:浸漬後の画像に、全く変化が認められない
△:インクの流れ出しは若干あるが著しい画像劣化は認められない
×:インク受容層が溶け出してしまっているもの、或いはインクの流れ出しが著しい
(滲み耐性の評価)
形成した各ベタ画像及び細線画像を、35℃、95%RHの環境下に10日間保管した後に、保存前の画像と保存後の画像を目視にて比較して、下記の基準に則り滲み耐性を評価した。
【0158】
○:高温高湿での保存後で、細線の変化がほとんど認められない
△:高温高湿での保存後で、滲み及び細線の線幅の拡大が僅か認められるが、実用上許容の範囲にある
×:保存前の画像に比べ、高温高湿での保存後で、滲み及び細線の線幅の拡大が著しく、実用上問題がある
(耐光性の評価)
キセノンフェードメーターにて120時間曝射した後の、試料の未曝射試料からの可視領域の極大吸収波長における反射スペクトル濃度の低下率を評価した。なお、評価は、シアン画像について行った。
【0159】
耐光性(%)=(曝射試料の極大吸収波長濃度/未曝射試料の極大吸収波長濃度)×100
に従って求め、以下の評価基準に基づいて4段階評価した。○以上であれば実用上問題ない。
【0160】
◎:耐光性が95%以上
○:耐光性が90%以上、95%未満
△:耐光性が80%以上、90%未満
×:耐光性が80%未満
(変褪色耐性の評価)
23℃で1日保存した記録用紙に印字したシアンのベタ印字画像部を、オフィス室内の窓際に貼り、外気流が曝露されるが直射日光の当たらない環境に6ヶ月放置した。放置前後のプリント部の反射濃度を赤色の単色光で濃度測定し、下式に従い濃度残存率を求め、下記の基準に則り変褪色耐性の評価を行った。
【0161】
濃度残存率=(6ヶ月放置後の濃度/放置前の濃度)×100(%)
◎:濃度残存率が95%以上
○:濃度残存率が90%以上、95%未満
△:濃度残存率が80%以上、90%未満
×:濃度残存率が80%未満
以上により得られた各評価結果を表2に示す。
【0162】
【表2】
【0163】
表2より明らかなように、インク受容層が紫外線硬化樹脂、光重合開始剤及び無機微粒子を含有し、更にポリアルキレンポリアミン・ジシアンジアミド系重縮合物、水溶性還元剤、含硫黄化合物、疎水性酸化防止剤の乳化分散物又は前記一般式(S)で表される化合物の少なくとも1種を含有した本発明の試料は、比較例に対して、同等以上のインク定着性、耐水性、インク吸収性、滲み耐性を有すると共に、画像記録後の耐光性、変褪色耐性に優れていることが分かる。
【0164】
【発明の効果】
本発明により、インク定着性、耐水性、インク吸収性、滲み耐性が良好で、画像記録後の耐光性、変褪色耐性に優れた光情報記録媒体を提供することができた。
【発明の属する技術分野】
本発明は、光情報記録媒体に関し、詳しくは表面に筆記用具、インクジェットプリンター、昇華型プリンターで書き込み可能な光情報記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
光情報記録媒体には、情報の記録及び再生が可能な追記型と、記録後データの消去が可能な書換型の二種類に分けられる。その中でも、単板構造の追記型コンパクトディスクはCD−Rと呼ばれ、通常の再生専用CDと互換性を持つことから、近年その利用範囲が徐々に広がってきている。
【0003】
このCD−Rは、ポリカーボネート等のドーナツ状の円板からなる基板の上に、金やアルミニウム等を蒸着して反射層を設け、更にその上を紫外線硬化性樹脂等の保護層で覆った構造になっている。そして、データは、基板と反射層の間にピットを形成することで記録するようになっている。
【0004】
このCD−Rは、データの入っていない媒体を購入した後、利用者がそれぞれその利用者固有の情報やデータ等を書き込むのに使用する。そのため、該媒体には、どんな情報が記録されているかを何等かの方法で、一見してわかるようにラベル化しておくことが望まれている。
【0005】
近年、カラー化が極めて容易であり、かつ低コストで、操作が簡便であるなどの観点から、インクジェットプリンターを用いて保護層に、必要な情報を印刷する方法が利用されている。インクジェットプリンターによる印刷では、通常水性インクが用いられているため、ディスク表面の保護層に、水性インクが定着できるように親水性の層(例えば、水性インク受容層)を設けるなどの改良が必要になり、従来からその研究が進められている。
【0006】
このインクジェットプリンター対応のCD−Rに関しては、例えば、特開平1−43826号にはインクジェット吸収層を有する光情報記録媒体が提案されており、また特開平6−60432号には水性の印刷用インクが定着可能な親水性樹脂膜を有する光情報記録媒体が、特開平7−40649号には表層で用いる紫外線硬化樹脂モノマー成分を規定した方法が、特開平7−44888号には表層で硬化した親水性モノマー含有の重合性樹脂を用いた光情報媒体が、また、特開平8−102088号には、保護層及びインク受容層に紫外線硬化樹脂を用いた光情報記録媒体が、それぞれ提案されている。
【0007】
ところが、光情報記録媒体の保護層は、一般に、印刷インクのハジキが防止され、しかも親水性ポリマーによって印刷インクの定着性に優れているとされているが、インクの吸収能力と吸収速度が不十分であるため、吸収出来ないインクが滲み、画像が不鮮明となり、しかも、インクの乾燥が遅く、印刷後インクのベタつきが残る。また、保護層自体の耐水性が十分でないことに加え、印刷後、水の付着により印刷インクが溶出して脱色状態になる、高湿度雰囲気中で印刷インキが滲む等、耐水性にも問題がある。
【0008】
一方、耐水性を改善する手段として、例えば、特開平9−245379号には、ビニルアセタール樹脂、アルミナ水和物およびカチオン性樹脂が特定の割合で含有されたインク受容層を持つ光情報媒体が提案されている。しかしながら、上記のインク受容層は、その形成過程において、熱風乾燥機、熱ドラム等を使用して熱乾燥する必要があり、そのため、生産性が悪く、熱による光情報媒体の特性劣化などの問題がある。
【0009】
さらに、液状インクの浸透性を主眼として検討されているため、概して表面が粗くなり、空隙の多い表面が形成されることになる。これによりインク記録前、またはインク記録後の光沢感が失われ、高級感や精密電子部品のイメージを損ねた質感となるため、これを改善することが課題であった。また、光沢を付与しすぎると、逆にインク受容層に記録された情報(文字や絵、記号など)が読みとりにくくなり、視認性や機器による自動読み取り性が低下するという結果を招くことにある。すなわち、高光沢による反射光で幻惑され、インクにより記録された部分と下地部分が識別できない場合が、記録する情報の内容によっては発生することになる。
【0010】
一方、水溶性染料を用いた水性インクとしては主として酸性染料、直接染料、一部の食品用染料等に分類される水溶性染料の水溶液に、保湿剤としてグリコール類、アルカノールアミン類、表面張力の調整のための界面活性剤、更に必要に応じて増粘剤等を添加したものが用いられている。これら水溶性染料を用いた水性インクは、記録紙上でにじみやすく、使用用途の限定、記録品位の低下を余儀なくされている。即ち、記録紙に単に浸透し、乾燥固着しているだけの水溶性染料は「染着」しているとはいい難く、耐光性が非常に低い。
【0011】
また、空隙型のインク受容層を有する場合は、耐光性だけでなく、その空隙構造に起因して有害ガスによる変褪色を起こしやすい問題がある。特に、一般のカラーインクジェットプリンタに採用されているフタロシアニン系水性染料で起こりやすい。
【0012】
この変褪色のメカニズムは未だ明確にはなっていないが、微細空隙構造は高表面積を有し、かつ用いられている無機微粒子が活性な表面を有しているため、オゾン、オキシダント、SOx、NOxなど空気中の極微量の活性な有害ガスが染料を分解していると推察している。
【0013】
変褪色の現象を改善する技術については、例えば、特開昭63−252780号、同64−11877号、特開平1−108083号、同1−216881号、同1−218882号、同1−258980号、同2−188287号、同7−237348号、同7−266689号、同8−164664号等に記載されているが、空隙構造がより微細になるに従い、より劣化しやすい特性にあるため、従来の改良技術では改良の効果が不十分であり、より抜本的な改善が望まれている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、インク定着性、耐水性、インク吸収性、滲み耐性が良好で、画像記録後の耐光性、変褪色耐性に優れた光情報記録媒体を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
【0016】
1.透明基板上に記録層、光反射層及び少なくとも1層の保護層とを順次積層してなる光情報記録媒体において、表面に露出している該保護層がインクジェット記録方法によるインク受容層であり、該インク受容層が紫外線硬化樹脂、光重合開始剤、無機微粒子及びポリアルキレンポリアミン・ジシアンジアミド系重縮合物を含有することを特徴とする光情報記録媒体。
【0017】
2.透明基板上に記録層、光反射層及び少なくとも1層の保護層とを順次積層してなる光情報記録媒体において、表面に露出している該保護層がインクジェット記録方法によるインク受容層であり、該インク受容層が紫外線硬化樹脂、光重合開始剤、無機微粒子及び水溶性還元剤を含有することを特徴とする光情報記録媒体。
【0018】
3.透明基板上に記録層、光反射層及び少なくとも1層の保護層とを順次積層してなる光情報記録媒体において、表面に露出している該保護層がインクジェット記録方法によるインク受容層であり、該インク受容層が紫外線硬化樹脂、光重合開始剤、無機微粒子及び含硫黄化合物を含有することを特徴とする光情報記録媒体。
【0019】
4.透明基板上に記録層、光反射層及び少なくとも1層の保護層とを順次積層してなる光情報記録媒体において、表面に露出している該保護層がインクジェット記録方法によるインク受容層であり、該インク受容層が紫外線硬化樹脂、光重合開始剤、無機微粒子及び疎水性酸化防止剤の乳化分散物を含有することを特徴とする光情報記録媒体。
【0020】
5.透明基板上に記録層、光反射層及び少なくとも1層の保護層とを順次積層してなる光情報記録媒体において、表面に露出している該保護層がインクジェット記録方法によるインク受容層であり、該インク受容層が紫外線硬化樹脂、光重合開始剤、無機微粒子と、下記一般式(S)で表される化合物を含有することを特徴とする光情報記録媒体。
【0021】
一般式(S)
HO−N(R1)(R2)
〔式中、R1及びR2はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、カルバモイル基、アルコキシカルバモイル基又はアシル基を表す。〕
6.透明基板上に記録層、光反射層及び少なくとも1層の保護層とを順次積層してなる光情報記録媒体において、表面に露出している該保護層がインクジェット記録方法によるインク受容層であり、該インク受容層が紫外線硬化樹脂、光重合開始剤、無機微粒子、ポリアルキレンポリアミン・ジシアンジアミド系重縮合物と、(a)水溶性還元剤、(b)含硫黄化合物、(c)疎水性酸化防止剤の乳化分散物及び(d)前記一般式(S)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種とを含有することを特徴とする光情報記録媒体。
【0022】
7.前記インク受容層が、カチオン性ポリマーを含有することを特徴とする前記1〜6項のいずれか1項に記載の光情報記録媒体。
【0023】
本発明者らは、上記課題に鑑みて鋭意検討を行った結果、透明基板上に記録層、光反射層及び少なくとも1層の保護層とを順次積層してなる光情報記録媒体において、表面に露出している保護層がインク受容層であり、インク受容層が紫外線硬化樹脂、光重合開始剤及び無機微粒子を含有し、更にポリアルキレンポリアミン・ジシアンジアミド系重縮合物、水溶性還元剤、含硫黄化合物、疎水性酸化防止剤の乳化分散物又は前記一般式(S)で表される化合物の少なくとも1種を含有することにより、インク受容層の耐水性、インク吸収性、滲み耐性が良好で、画像記録後の耐光性に優れた光情報記録媒体を実現できることを見いだし、本発明に至った次第である。更に、インク受容層に加えてカチオン性ポリマーを併用することにより、本発明の効果がより一層発揮されることを見いだしたものである。
【0024】
以下、本発明の詳細について説明する。
本発明の光情報記録媒体は、透明基板上に記録層、光反射層及び少なくとも1層の保護層とを順次積層してなり、表面に露出している保護層がインクジェット記録方法によるインク受容層であり、このインク受容層が紫外線硬化樹脂と光重合開始剤及び無機微粒子を含有し、更にポリアルキレンポリアミン・ジシアンジアミド系重縮合物、水溶性還元剤、含硫黄化合物、疎水性酸化防止剤の乳化分散物又は前記一般式(S)で表される化合物の少なくとも1種を含有しているものである。
【0025】
本発明の光情報記録媒体において、はじめに、本発明に係るインク受容層の各構成因子について説明する。
【0026】
本発明においては、インク受容層に紫外線硬化性樹脂を用いることで、インク受容層を容易に形成することができ、製造上有利である。
【0027】
本発明で用いることのできる紫外線硬化性樹脂は、一般には分子中に一つ以上の反応性アクリル基を持つ重合性化合物のモノマー又はオリゴマー、あるいはこれらの混合物、反応開始剤及び必要により反応触媒からなり、従来から紫外線硬化性樹脂として知られているものから選択して使用することができる。なお、製品の変形などが伴わないように硬化収縮率の小さいものが選ばれる。
【0028】
一般に紫外線硬化樹脂は、ラジカル反応タイプの樹脂とイオン反応タイプの樹脂とがあるが、一般にイオン反応タイプの樹脂は反応速度が遅いため、ラジカル反応タイプの樹脂が好適に使用される。
【0029】
ラジカル反応タイプの紫外線硬化樹脂は、通常、少なくとも、樹脂モノマー成分および光重合開始剤を使用し、更に、必要に応じて樹脂オリゴマー成分を使用して調製される。樹脂モノマー成分や樹脂オリゴマー成分を種々選択することにより、様々な特性のインク受容層を得ることが出来る。すなわち、樹脂モノマー成分の種類と量により、粘度、硬度などが変化し、樹脂オリゴマー成分の種類と量により、硬度、密着性、耐水性、耐湿性などが変化する。
【0030】
樹脂モノマー成分としては、単官能または多官能モノマーの何れであってもよいが、インク受容層における架橋密度を上げて強度を保持するため、多官能モノマー成分を一定量含むのが好ましい。
【0031】
単官能モノマーとしては、例えば、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ノニルフェノキシエチルアクリレート、N−ビニルピロリドン、2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルオキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルオキシヘキサノリドアクリレート、1,3−ジオキサンアルコールのε−カプロラクトン付加物のアクリレート、1,3−ジオキソランアクリレート等が挙げられる。
【0032】
多官能モノマー成分としては、シクロペンテニールアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール(400)ジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールアジペートのジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールのε−カプロラクトン付加物のジアクリレート、2−(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−5−ヒドロキシメチル−5−エチル−1,3−ジオキサンジアクリレート、トリシクロデカンジメチロールジアクリレート、トリシクロデカンジメチロールジアクリレートのε−カプロラクトン付加物、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、プロピオン酸・ジペンタエリスリトールトリアクリト、ヒドロキシピバルアルデヒド変性ジメチロールプロパントリアクリレート、プロピオン酸・ジペンタエリスリトールのテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート等が挙げられる。
【0033】
樹脂オリゴマー成分としては、アクリル系オリゴマー、エステル系オリゴマー、ウレタン系オリゴマー、エーテル系オリゴマー等が挙げられる。これらは単独で使用してもよいが、複数種を組み合わせて使用すると、各々異なった特性を持つインク受容層が得られる。例えば、アクリル系オリゴマーと共にエステル系オリゴマーを使用すると、耐水性に優れ、硬い層を得ることが出来る。この場合、硬化収縮が大きいため、媒体に反りが生じることがあるが、予め、基板に逆方向の反りを与えておくことにより解決可能である。一方、アクリル系オリゴマーと共にウレタン系オリゴマーを使用すると、ウレタン系オリゴマーは分子量が大きく硬化収縮が小さいため、基板の反り等が生じる可能性は小さくなる。この場合、形成された硬化塗膜は比較的柔らかいものととなる。
【0034】
上記のアクリル系オリゴマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸や、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル等のアルキル(メタ)アクリレートの重合体、または、上記モノマーと、スチレン、α−メチルスチレン、(o,m,p)ビニルフェノール等の芳香族ビニル化合物、マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸などのビニルカルボン酸化合物、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、エチルアクリル酸グリシジル、クロトニルグリシジルエーテル、クロトン酸グリシジル等のグリシジル基含有ビニル化合物、ベンジル(メタ)アクリレート等の芳香族アクリレート化合物、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の置換アルキルアクリレート化合物、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド等のアクリルアミド系化合物、酢酸ビニル、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸クロライド、N−(メタ)アクリロイルモルホリン等から選ばれた化合物との共重合体が挙げられる。
【0035】
上記のエステル系オリゴマーとしは、例えば、無水フタル酸とプロピレンオキサイドの開環重合物から成るポリエステルジオールとアクリル酸とのエステル、アジピン酸1,6−ヘキサンジオールから成るポリエステルジオールとアクリル酸とのエステル、トリメリット酸ジエチレングリコールとの反応物から成るトリオールとアクリル酸とのエステル、δ−バレロラクトンの開環重合物とアクリル酸とのエステル等が挙げられる。
【0036】
上記のウレタン系オリゴマーとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートと1,6−ヘキサンジオールから成るポリウレタンと2−ヒドロキシエチルアクリレートとの反応物、アジピン酸と1,6−ヘキサンジオールから成るポリエステルジオールとトリレンジイソシアネートとを反応させたジイソシアネートオリゴマーに2−ヒドロキシエチルアクリレートを反応させたもの等が挙げられる。
【0037】
上記のエーテル系オリゴマーとしては、例えば、ポリプロピレングリコールとアクリル酸とのエステル等が挙げられる。その他、エポキシ樹脂にアクリレートを反応させたエポキシ系オリゴマー、ポリアリレート等も樹脂オリゴマー成分として使用することが出来る。
【0038】
また、その他の紫外線硬化性樹脂としては、山下晋三編、「架橋剤ハンドブック」、(1981年大成社);加藤清視編、「UV・EB硬化ハンドブック(原料編)」(1985年、高分子刊行会);ラドテック研究会編、「UV・EB硬化技術の応用と市場」、79頁、(1989年、シーエムシー);滝山栄一郎著、「ポリエステル樹脂ハンドブック」、(1988年、日刊工業新聞社)等に記載の市販品もしくは業界で公知のラジカル重合性ないし架橋性のモノマー、オリゴマー及びポリマーを用いることができる。
【0039】
本発明に係る紫外線硬化性樹脂には、必要に応じ、重合停止剤、保存安定剤、分散剤、消泡剤、紫外線硬化性樹脂以外のバインダー樹脂などを含有していてもよい。
【0040】
次いで、光重合開始剤について説明する。
本発明で用いることのできる光重合開始剤の例としては、光により発生したラジカルや他の活性種が上記モノマー、オリゴマー中の重合性二重結合と反応して重合反応を誘起するものであれば特に制限はなく、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルなどのベンゾイン又はそのエーテル、ベンジル、ベンジルメチルケタール、ベンジルエチルケタールなどのベンジル系化合物、ベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系化合物、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどのヒドロキシアルキルフェニルケトン系化合物、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルフォリノプロパノン−1、ビスアシルフォスフィンオキサイド等を挙げることができる。これらの光重合開始剤は1種或は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0041】
さらに光重合開始剤の例としては、加藤清視著「紫外線硬化システム」株式会社総合技術センター発行(平成元年2月28日発行)の第65〜148頁に記載されている光重合開始剤などを挙げることができる。これらの光重合開始剤の使用量は、特に制限されていないが、一般に1〜10質量%程度、好ましくは2〜5質量%程度使用される。
【0042】
次いで、無機微粒子について説明する。
本発明においては、インク受容層中に所定量の無機微粒子を含有させることにより、インクが受容層中に毛細管現象により瞬時に吸収される様な微細空隙構造を形成することができる。本発明に係る構成によれば、印字したインクを多量に吸収できるため、インク受容層表面でのインクの拡がり(にじみ)を制御でき、また、吸収速度を速めることができるため、浸透性、乾燥性が向上し、鮮明な画像を形成できる。
【0043】
本発明に係るインク受容層においては、無機微粒子をインク受容層(塗膜)の体積に対して、1%以上、85%以下含有させることが好ましく、この構成により、インク受容層の機械強度を制御し、基材への接着力を適切に維持できる。また、生産性においても、インク受容層のコーティング、あるいはスクリーン印刷で形成する際の塗料粘度を適切に制御できるため、塗布ムラやはじきなどの故障を抑制できる。また、複数の粒径や種類の異なる無機微粒子を併用することにより、仕上がりの外観に適度な表面粗さの付与や耐摩耗性や光沢の変化を与え留ことができる。
【0044】
上記の無機微粒子としては、公知の各種微粒子が挙げることができ、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、クレー、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、ハイドロタルサイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、リトポン、ゼオライト、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料等を挙げることができる。
【0045】
無機微粒子としては、表面がアニオン性で染料に対して定着性を有しない無機微粒子および染料に対して定着性を有する表面がカチオン性の無機微粒子のいずれも使用することができる。
【0046】
表面がアニオン性である無機微粒子を使用する場合には、通常カチオン性ポリマーを併用するが、表面がアニオン性の無機微粒子にカチオン性ポリマーを添加した場合、カチオン性ポリマーが無機微粒子表面に留まって不動化し、その不動化されたカチオン性ポリマーに定着されて染料が不動化するものと推定される。
【0047】
本発明においては、低コストであることや高い反射濃度が得られる低屈折率の微粒子であること等から、表面がアニオン性の無機微粒子としては気相法で合成されたシリカまたはコロイダルシリカが好ましい。
【0048】
上記表面がカチオン性の無機微粒子には、特開平8−34160号公報に記載されているような、第4級アンモニウム塩基を有するシランカップリング剤を無機微粒子の表面にカップリングさせて表面電荷をカチオン性に変換した無機微粒子も含まれる。
【0049】
本発明に係る無機微粒子としては、低屈折率で平均粒径の小さな微粒子が好ましく、例えば、シリカ、コロイダルシリカ、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、ベーマイト水酸化アルミニウムまたはその水和物等の微粒子が挙げられるが、好ましくはシリカ微粒子である。
【0050】
シリカ微粒子の製造方法は乾式法(気相法)と湿式法に大別され、乾式法としてはハロゲン化珪素の高温での気相加水分解による方法(火炎加水分解法)、及びケイ砂とコークスを電気炉でアークにより加熱還元気化しこれを空気酸化する方法(アーク法)が知られている。また湿式法としては珪酸塩の酸分解により活性シリカを生成した後、過度に重合させて凝集・沈殿させる方法が知られている。本発明においてはシリカ微粒子の中でも気相法により合成されたシリカが最も好ましい。
【0051】
気相法により合成された微粒子シリカは通常、四塩化珪素を水素及び酸素と共に高温で燃焼して得られる平均1次粒子径が5〜500nmのシリカ粉末であるが、本発明では特に30nm以下の平均1次粒子径を有するものが、光沢性の点で好ましい。
【0052】
気相法シリカとして現在市販されているものとしては、トクヤマ、あるいは日本アエロジル社の各種のアエロジルが該当する。
【0053】
本発明で好ましく用いられるコロイダルシリカは、珪酸ナトリウムの酸等による複分解やイオン交換樹脂層を通過させて得られるシリカゾルを加熱熟成して得られるものであり、このコロイダルシリカをインクジェット記録用紙に使用することは、例えば、特開昭57−14091号公報、同60−219083号公報、同60−219084号公報、同61−20792号公報、同61−188183号公報、同63−17807号公報、特開平4−93284号公報、同5−278324号公報、同6−92011号公報、同6−183134号公報、同6−297830号公報、同7−81214号公報、同7−101142号公報、同7−179029号公報、同7−137431号公報、及び国際特許公開WO94/26530号公報などに記載されている。
【0054】
コロイダルシリカの好ましい平均粒子径は、通常は5〜100nmであるが特に7〜30nmの平均粒子径が好ましい。
【0055】
気相法により合成されたシリカ及びコロイダルシリカは、その表面をカチオン変成されたものであってもよく、また、Al、Ca、Mg及びBa等で処理された物であってもよい。
【0056】
本発明においては、無機微粒子の少なくとも1種が平板状無機微粒子(鱗片状無機微粒子とも言う)であることが好ましい。
【0057】
本発明における平板状とは、薄片状、鱗片状、雲母状と言われる形状を包含し、厚み(粒子の最も短い軸の長さ)に対する最長径(粒子の最も長い軸の長さ)の比(アスペクト比)と、粒子幅(粒子の最も長い軸と最も短い軸の両方と直角に交わる軸の長さ)の比が何れも2以上のものが好ましい。又、最長径に対する粒子幅の比は0.5〜1が好ましい。平板状無機微粒子は微粒子状の大きさが制御されたものであり、粒子の最長径及び粒子幅は0.01〜20μmが好ましく、0.2〜20μmがより好ましく、またアスペクト比としては5〜90であることが、他の微粒子との混合比率の変化に対し、安定した白地を得ることができ、更にインク受容層の画像耐久性が向上すると共に、本発明で規定する60度光沢度を得ることができ好ましい。本発明に係る平板状無機微粒子は、粒子の厚さを薄く制御することででき、4〜200nmが好ましい。平板状無機微粒子には、平板が湾曲した形態も含まれる。
【0058】
平板状無機微粒子としては、平板状カオリンクレー、板状塩基性炭酸カルシウム、平板状セリナイト、平板状ジークライト、平板状マイカ、平板状炭酸マグネシウム、平板状タルク、金属酸化物被覆雲母末、魚鱗箔、雲母粉などが挙げられるが、好ましくは、雲母に反射性(高虹彩反射)を与える薄膜被膜として、可視域に透明で屈折性が2.0以上ある金属酸化物あるいは金属硫化物などを被覆したもので、例えば、Sb2S3、Fe2O3、PbO、ZnSe、CdS、Bi2O3、TiO2、PbCl2、CeO2、Ta2O5、ZnS、ZnO、CdO、Nd2O3、Sb2O3、SiOおよびInO3の単層の被覆、もしくは2層に被覆することにより形成され、好ましくは酸化チタン被覆雲母末である。
【0059】
酸化チタン被覆雲母末は、板状の雲母末の表面に酸化チタンの被覆を形成することにより、人工的に作り出された真珠状顔料を含み、雲母粉を懸濁させた硫酸チタニル溶液から酸化チタンを析出させると、雲母表面に酸化チタン膜ができる。これを水洗、乾燥、焼成して得られる。平板度、形状は、基体となる雲母粉の形状により調整できる。又、両面の被覆酸化チタンの光干渉に伴う虹採を調整するために、膜、雲母の厚さを調整することができる。
【0060】
本発明において、無機微粒子の平均粒径は、微細で高い空隙率を得るため、300nm以下がより好ましい。すなわち、平均粒径が300nmを超える場合は、微粒子間で形成される空隙が粗大化し、インクの吸収能力と吸収速度が低下し、充分なインク受容性が得られない。また、紫外線透過率が低くなり、インク受容層の光硬化が十分に行われないため層内部が硬化し難く、生産性に劣る傾向がある。微粒子の平均粒径は、さらに好ましくは5〜100nm、より更に好ましくは7〜30nmである。平均粒径が7nm未満の場合は、バインダー樹脂への分散性が低下する傾向があり、また、粒子間で形成される空隙が微細化し過ぎるため、充分なインク受容性が得られない傾向がある。
【0061】
インク受容層における無機微粒子の添加量は、インク受容層を形成する塗膜の体積に対し、1%以上、85%以下であり、好ましくは10%以上、80%以下、更に好ましくは35%以上75%以下である。1%未満ではインク吸収に必要な物理的、化学的性質を有するバインダーやポリマー、紫外線硬化樹脂の選択の幅が狭く、85%
を越えると、塗膜強度が劣化するので、バランスの取れた性能を維持しにくくなる。
【0062】
請求項1に係る発明においては、インク受容層中に上述の紫外線硬化性樹脂、光重合開始剤及び無機微粒子と共に、ポリアルキレンポリアミン・ジシアンジアミド系重縮合物を含有することが特徴である。
【0063】
本発明でいうポリアルキレンポリアミン・ジシアンジアミド系重縮合物とは、ポリアルキレンポリアミンとジシアンジアミドの重縮合物である。
【0064】
ポリアルキレンポリアミンとしては、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、イミノビスプロピルアミン及びこれらの塩酸塩、硫酸鉛、酢酸塩等が挙げられる。
【0065】
ポリアルキレンポリアミン・ジシアンジアミド系重縮合物としては、各種のものが市販されており、例えば、ネオフィックスRP−70、ネオフィックPNF−70、ネオフィックスE−117、(以上、日華化学社製)、パラフィックスEP(大原パラヂウム化学社製)、ダイアジンフィックス400(日成化成社製)、ファーストゲンP−708(東海製油工業社製)、ジェットフィックス20(黒田加工社製)、カヤフィックスM(日本化薬社製)、PAP−1(日本染化工業社製)、サンフィックス414(三洋化成)等、及びこれらの誘導体が挙げられる。これらの中でも、サンフィックス414、パラフィックスEPが特に好ましく用いられる。上記ポリアルキレンポリアミン・ジシアンジアミド系重縮合物の平均分子量は、2,000〜200,000が好ましい。
【0066】
請求項2に係る発明においては、インク受容層中に上述の紫外線硬化性樹脂、光重合開始剤及び無機微粒子と共に、水溶性還元剤を含有することが特徴である。
【0067】
本発明で用いることのできる水溶性還元剤は、特開平8−300807号公報、同8−150773号公報、同8−108617号公報、同9−267544号公報等に記載されており、例えば、亜硫酸塩、亜硝酸塩、亜燐酸塩、チオ硫酸塩、アスコルビン酸またはその塩、ヒドロキシルアミン誘導体(例えば、N,N−ジエチルヒドロキシルアミン、N,N−ジスルホエチルヒドロキシルアミン・ナトリウム塩、N−ヒドロキシフタルイミド、N,N−ジカルボキシエチルヒドロキシルアミン・ナトリウム塩等)、グルコース等が挙げられる。
【0068】
請求項3に係る発明においては、インク受容層中に上述の紫外線硬化性樹脂、光重合開始剤及び無機微粒子と共に、含硫黄化合物を含有することが特徴である。
【0069】
本発明で用いることのできる含硫黄化合物としては、特開昭61−177279号、同61−163886号、同64−36479号、特開平7−314883号、同7−314882号、同1−115677号等に記載されており、例えばチオシアン酸塩、チオ尿素、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトベンズチアゾール、2−メルカプトベンズオキサゾール、5−メルカプト−1−メチルテトラゾール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−トリアゾール、2,4,6−トリメルカプトシアヌル酸、チオサリチル酸、チオウラシル、1,2−ビス(2−ヒドロキシエチルチオ)エタン等が挙げられるが、好ましくは下記一般式(1)又は一般式(2)で表される化合物である。
【0070】
一般式(1)
R′−S−R″
一般式(1)において、R′とR″はアルキル基またはアリール基を表す。
【0071】
【化1】
【0072】
一般式(2)において、X1は5〜7員環を形成するのに必要な非金属原子群を表し、
【0073】
【化2】
【0074】
で表される基は他の構成要素と縮合して縮合環を形成していても良い。Mは水素原子、アンモニウムイオン、または金属原子を表す。
【0075】
上記一般式(1)において、R′とR″で表されるアルキル基は置換または未置換のアルキル基であり、置換基としてはヒドロキシル基、アリール基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アミノ基、メルカプト基、カルボキシル基、スルホ基、アシル基、カルバモイル基、スルファモイル基、ハロゲン原子等を挙げることが出来る。
【0076】
一般式(1)のR′とR″で表されるアリール基は置換または未置換のアリール基(フェニル基、ナフチル基等)であり、置換基としてはアルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アミノ基、メルカプト基、カルボキシル基、スルホ基、アシル基、カルバモイル基、スルファモイル基、ハロゲン原子等を挙げることが出来る。
【0077】
一般式(1)で表される化合物の具体例を以下に示す。
【0078】
【化3】
【0079】
【化4】
【0080】
上記化合物の中でも、特に好ましいのは、水溶性のチオエーテル化合物であり、特に好ましいのは少なくとも1個の水酸基またはカルボキシル基、スルホ基等の水溶性基を有する化合物である。
【0081】
次に一般式(2)で表される化合物において、非金属原子群によって形成される5〜7員環とは、好ましくは、5員のアゾール環であり、アゾール環としては、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、チアゾール、チアジアゾール、セレナゾール、テルラゾール等の環、及び例えばインドール、インダゾール、プリン、ベンズイミダゾール、ベンズトリアゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ナフトイミダゾール、ナフトチアゾール、ナフトオキサゾール等の縮合環が挙げられる。又、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、トリアジン等の6員環、及びその縮合環である、例えばキノリン、イソキノリン、フタラジン、キノキザリン、キナゾリン等の環や、アゼピン等の7員環等が好ましいものとしてあげられる。
【0082】
又、これらの環は置換基を有していても良く、そのような置換基としては例えば、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヒドロキシル基、アミノ基、メルカプト基、カルボキシル基、アシル基、カルバモイル基、スルファモイル基、ハロゲン原子、シアノ基等が含まれる。これらの置換基は更に置換基を有していても良い。
【0083】
一般式(2)で表される化合物の具体例を以下に示す。
【0084】
【化5】
【0085】
【化6】
【0086】
本発明の光情報記録媒体においては、インク受容層中に上記一般式(1)で表される化合物および一般式(2)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種が含有される。これらの化合物は1種であっても2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0087】
一般式(1)または一般式(2)で表される化合物の使用量は、光情報記録媒体1m2当たり、0.01〜5g、好ましくは0.05〜2gである。
【0088】
請求項4に係る発明においては、インク受容層中に上述の紫外線硬化性樹脂、光重合開始剤及び無機微粒子と共に、疎水性酸化防止剤の乳化分散物を含有することが特徴である。
【0089】
疎水性酸化防止剤としては、例えば特開昭57−74192号、同57−87989号、特開平1−115667号、同3−13376号、同10−142817号公報の5頁〜20頁に記載の化合物、特開2000−89490公報の表3に記載の化合物等の酸化防止剤が利用できる。特に好ましい酸化防止剤は、水酸基のオルト位の少なくとも一方が3級アルキル基で置換されている所謂ヒンダードフェノール系酸化防止剤、窒素原子に連結する二つの炭素原子がアルキル基で共に置換されているピペリジン系酸化防止剤(所謂ヒンダードアミン類)、フェノール類又はポリヒドロキシベンゼン類の少なくとも一つの水酸基がアルキル基によりエーテル化されている酸化防止剤である。
【0090】
上記疎水性酸化防止剤の中でも、一重項酸素消光速度(Kq)が106以上である化合物が好ましい。
【0091】
一重項酸素とは活性化された酸素の1つであり、その消光作用を有する化合物は極めて限られている。一重項酸素消光能力を規定する方法としては、第22回酸化反応討論会要旨集p7に記載された方法が知られており、一重項酸素消光速度(Kq)は上記方法によって求められる。本発明においては、上記方法によって求めた一重項酸素消光速度(Kq)が106以上の化合物が用いられる。また、一重項酸素消光速度(Kq)の上限は、化合物の安定性からすると109以下であることが好ましい。
【0092】
以下に、本発明に用いられる一重項酸素消光速度(Kq)が106〜109である化合物の具体的な化合物例を示すが、本発明で用いられる一重項酸素消光速度(Kq)が105以上である化合物は、これらによって限定されるものではない。
【0093】
【化7】
【0094】
【化8】
【0095】
また、上記疎水性酸化防止剤として、ラジカルトラップ速度(Ks)が1〜10,000である化合物が好ましい。
【0096】
ラジカルトラップ速度(Ks)が1〜10,000である化合物とは、フリーラジカルを消去する能力を有する化合物であり、Biochemica et Biophysica Acta,993(1989)168−173に記載の向井らの方法によって測定することができる。
【0097】
ラジカルトラップ能力を有する化合物において、ラジカルトラップ速度は上記向井らの方法により求めたものである。
【0098】
本発明において、上記向井らの方法により求めたラジカルトラップ速度(Ks)が1以上である化合物が用いられる。また、ラジカルトラップ速度(Ks)の上限は、化合物の安定性との兼ね合いから10,000以下である。
【0099】
以下に、本発明に用いられるラジカルトラップ速度(Ks)が1以上の化合物の具体的な化合物例を示すが、本発明で用いられるラジカルトラップ速度(Ks)が1以上の化合物は、これらによって限定されるものではない。
【0100】
【化9】
【0101】
【化10】
【0102】
本発明においては、上記疎水性酸化防止剤は、例えば、疎水性高沸点有機溶媒(ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジ−i−デシルフタレート、トリクレジルホスフェート、トリ−2−エチルヘキシルホスフェート等)と共に親水性バインダー中に乳化分散された状態で添加される。乳化方法としては、各種の方法を用いることができる。それらの例は、例えば、「機能性乳化剤・乳化技術の進歩と応用展開 シー エム シー」の86ページの記載にまとめられている。本発明においては、特に、超音波、高速回転せん断、高圧による乳化分散装置を使用することが好ましい。この疎水性酸化防止剤をアセトンやメタノール等の有機溶媒に溶解して添加したり、あるいは湿式粉砕法で添加した場合には、褪色防止の持続効果が小さい。疎水性酸化防止剤と高沸点有機溶媒の比率は、質量比で概ね1:5〜10:1である。
【0103】
請求項5に係る発明においては、インク受容層中に上述の紫外線硬化性樹脂、光重合開始剤及び無機微粒子と共に、前記一般式(S)で表される化合物を含有することが特徴である。
【0104】
前記一般式(S)のR1及びR2で表されるアルキル基は炭素原子数が1〜18の直鎖、分岐又は環状のアルキル基でありそれぞれ置換原子、置換基を有していても良い。置換原子、置換基としては例えば、アルコキシ基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アシル基、アルケニル基、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、スルホ基、カルボキシ基、スルファモイル基、ウレイド基、ホスホノ基又はホスフィン胃等が挙げられる。
【0105】
一般式(S)のR1及びR2で表されるアルコキシ基は炭素原子数が1〜8の直鎖又は分岐のアルコキシ基であり、置換基を有することもできる。置換基としてはR1及びR2がアルキル基である場合に有することの出来る置換基が挙げられる。
【0106】
一般式(S)のR1及びR2で表されるカルバモイル基は例えばメチルカルバモイル基、エチルカルバモイル基などであり、置換基を有することもできる。
【0107】
置換基としてはR1及びR2がアルキル基である場合に有することの出来る置換基から適宜選択される。
【0108】
一般式(S)のR1及びR2で表されるアルコキシカルボニル基は例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などであり置換基を有することもできる。置換基としてはR1及びR2がアルキル基である場合に有することの出来る置換基から適宜選択される。
【0109】
一般式(S)のR1及びR2で表されるアシル基は例えばアセチル基、プロパノイル基、ベンゾイル基等あり置換基を有することもできる。置換基としてはR1及びR2がアルキル基である場合に有することの出来る置換基から適宜選択される。
【0110】
一般式(S)で表される化合物の中では、特にR1とR2がそれぞれ独立に置換又は無置換のアルキル基が好ましいが、特に、スルホ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、スルホンアミド基等の親水性基を置換基として有し、水に対する溶解度が室温で1質量%以上のものが特に好ましい(例えば、スルホエチル基、スルホプロピル基、カルボキシエチル基、カルボキシメチル基、カルボキシプロピル基等)。
【0111】
親水性基を有する化合物は耐光性の改良幅が大きいだけでなく、印字前に記録用紙を高温で長期間保存した場合であっても耐光性改良効果が充分得られる。
【0112】
以下、一般式(S)で表される化合物の具体例を示す。
【0113】
【化11】
【0114】
【化12】
【0115】
【化13】
【0116】
上記一般式(S)で表される化合物は市販されているものもあるが、その多くは対応するヒドロキシルアミン類を適当なアルキル化剤でアルキル化したりアシル化剤でアシル化するなどして容易に合成することが出来、例えば、西ドイツ特許第1,159,634号公報や「インオルガニカ・ケミカ・アクタ」(Inorganica Chimica Acta),93(1984)101〜107等に記載されている合成方法に準じて容易に合成できる。
【0117】
一般式(S)で表される化合物を、インクジェット受容層に添加する量は、添加する形態により異なるが、一般には、1m2当たり通常0.01〜20g、より好ましくは0.1〜2gである。
【0118】
請求項7に係る発明においては、インク受容層が、カチオン性ポリマーを含有することが好ましい。
【0119】
本発明で用いることのできるカチオン性ポリマーとしては、分子内にカチオン性部分を含むものであれば、特に限られるものではないが、重量平均分子量が500〜50,000のものが好ましく、更に好ましくは1,000〜10,000のカチオン性樹脂を用いることが望ましい。重量平均分子量が500未満であると画像の耐水性が不十分となり、50,000を超えると分子構造的な立体障害による染料分子との結合効率が悪くなる傾向がある為、微量添加による効果が小さい。
【0120】
カチオン性ポリマーの例としては、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、ジシアンジアミドポリアルキレンポリアミン縮合物、ポリアルキレンポリアミンジシアンジアミドアンモニウム塩縮合物、ジシアンジアミドホルマリン縮合物、エピクロルヒドリン・ジアルキルアミン付加重合物、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合物、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド・SO2共重合物、ポリビニルイミダゾール、ビニルピロリドン・ビニルイミダゾール共重合物、ポリビニルピリジン、ポリアミジン、キトサン、カチオン化澱粉、ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド重合物、(2−メタクロイルオキシエチル)トリメチルアンモニウムクロライド重合物、ジメチルアミノエチルメタクリレート重合物、などが挙げられる。
【0121】
また、化学工業時報平成10年8月15,25日に述べられるカチオン性ポリマー、三洋化成工業株式会社発行「高分子薬剤入門」に述べられる高分子染料固着剤が例として挙げられる。
【0122】
紫外線硬化性樹脂組成物に含まれるカチオン性ポリマーは、インクジェットにより印刷された画像に耐水性を付与するため、インクを不溶化する働きがあるものと考えられる。一般に、インクジェットプリンター用インクにはアニオン性水溶染料が使用されており、カチオン性ポリマーの添加により、微細空隙に吸着されたインク中の染料を水に不溶性化することができ、この結果、形成画像の耐水性を付与できる。
【0123】
更に、本発明においては、インク受容層中に、メチロール化メラミン、メチロール化尿素、メチロール化ヒドロキシプロピレン尿素、イソシアネート等の架橋剤を含んでいてもよい。
【0124】
本発明に係るインク受容層は、必要により有機溶剤などを用いて前述の紫外線硬化性樹脂と有機又は無機微粒子等とを混合分散し、インク受容層形成用塗布液を調製した後、これを着色隠蔽層上に塗布し、更にこの上から紫外線を照射することにより、形成することができる。
【0125】
本発明におけるインク受容層の塗布方法としては、例えば、スピンコート法、ディップコート法、バーコート法、ブレードコート法、エアナイフコート法、ロールコート法、スクリーン印刷法などの方法で、前述の紫外線硬化樹脂組成物を塗布した後、紫外線照射することによって得られる。ところで、通常、光デイスク等のレーベル印刷には紫外線硬化型のスクリーン印刷機が使用されているため、これらの印刷機と兼用し、スクリーン印刷によって形成することにより、インク受容層形成工程の装置および工程時間が大きく改良される。
【0126】
紫外線照射の光源としては、例えば、高圧水銀灯、メタルハライドランプ等が使用される。そして、照射エネルギー量は、通常150〜2000mJ/cm2、好ましくは250〜1000mJ/cm2の範囲から選択される。この際、数秒で塗膜が硬化するため、生産性に優れているが、形成方法として、スクリーン印刷法を使用した場合、塗膜表面の平滑化、塗膜からの気泡の放出を瞬時に行い、塗膜面の光沢性を上げる目的でレベリング剤を添加するのが好ましい。レベリング剤としては、シリコン等が好ましい。
【0127】
本発明の光情報記録媒体は、透明基板上に、記録層、光反射層及び少なくとも1層のインク受容層を含む保護層が積層されており、インク受容層が最外層を形成している。インク受容層が保護層を兼ねていても、インク受容層とは別に保護層を有していてもよい。
【0128】
インク受容層とは別に保護層を設ける場合、保護層の樹脂の種類は特に制限されないが、インク受容層の場合と同様に紫外線硬化樹脂が好ましい。具体的には、先にインク受容層に使用可能であるとして例示したものと同様のものが挙げられ、層形成方法としても、インク受容層と同様の方法が挙げられるが、中でもスピンコート法が最も一般的である。保護層は、必要に応じて2層以上あってもよい。そして、保護層とインク受容層の中間に、耐擦傷性の付与、色調の調整などの目的で1層の保護層を設けてもよい。
【0129】
透明基板としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アモルファスポリオレフィン等の高分子材料の他、ガラス等の無機材料が使用される。特に、ポリカーボネート系樹脂は、光の透過性が高く且つ光学的異方性が小さいために好ましい。
【0130】
透明基板は、通常、その表面には記録位置を表す案内溝やピット等(グルーブ情報など)が形成される。グルーブ情報などは、通常、射出成形や注型によって基板を作る際に付与されるが、レーザーカッティング法や2P法(Photo・Polymer法)より作製してもよい。
【0131】
記録層は、レーザー光の照射により記録可能であれば特に制限されず、無機物質による記録層および有機物質による記録層の何れであってもよい。無機物質による記録層には、例えば、光熱磁気効果により記録を行うTb・Fe・CoやDy・Fe・Co等の希土類遷移金属合金が使用される。また、相変化するGe・Te、Ge・Sb・Teの様なカルコゲン系合金も使用し得る。
【0132】
また、有機物質による記録層には、主として、有機色素が使用される。有機色素としては、大環状アザアヌレン系色素(フタロシアニン色素、ナフタロシアニン色素、ポルフィリン色素など)、ポリメチン系色素(シアニン色素、メロシアニン色素、スタワリリウム色素など)、アントラキノン系色素、アズレニウム系色素、含金属アゾ系色素、含金属インドアニリン系色素などが挙げられ、特に、含金属アゾ系色素は、耐久性および耐光性に優れているため好ましい。
【0133】
色素含有記録層は、通常、スピンコート、スプレーコート、ディップコート、ロールコート等の塗布方法で成膜される。この際、溶剤としては、ジアセトンアルコール、3−ヒドロキシ−3−メチル−2−ブタノン等のケトンアルコール溶媒、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ溶媒、テトロフルオロプロパノール、オクタフルオロペンタノール等のパーフルオロアルキルアルコール溶媒、乳酸メチル、イソ酪酸メチル等のヒドロキシエチル溶媒が好適に使用される。
【0134】
光反射層は、通常、金、銀、アルミニウム等で構成されるが、記録層に有機色素を使用する場合は、特に銀によって構成するのが好ましい。光反射層は、蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法によって成膜される。なお、光反射層と記録層の間に層間の密着力を向上させるため、または、反射率を高める等の目的で中間層を設けてもよい。
【0135】
上記の記録層の厚さは通常10〜5000nm、光反射層の厚さは通常50〜200nm、インク受容層の厚さは、通常5〜50μm、保護層の厚さは通常1〜10μmである。
【0136】
インク受容層の厚さが5μm未満の場合、インクの吸収に必要な空隙容積を確保するのが困難であり、吸収できないインクが受容層表面に残るため、像のにじみの原因となる場合がある。逆に、厚さが50μmを超える場合は、インクの吸収および浸透が層の内部まで進行し、受容層表面のインクの発色性が低下し、像の鮮明性が低下する。更に、紫外線照射の際に紫外線透過性が劣り、層内部の硬化不足を起こす恐れがある。
【0137】
次いで、本発明の光情報記録媒体に、インクジェット記録を行う方法について説明する。
【0138】
本発明で用いることのできる記録方法としては、上記で説明した本発明の光情報記録媒体のインク受容層に、記録信号に従って記録ヘッドのオリフィスからインクを吐出させて記録を行うインクジェット記録方法によりレーベル情報を記録することが好ましい。この際に使用するインクとしては、インクジェット記録方法に用いられている従来公知の、色材と該色材を溶解又は分散させる液媒体とが少なくとも含有された水系インクを使用することが出来る。
【0139】
インク中の色材としては、例えば、直接染料、酸性染料、塩基性染料、反応性染料、食用色素に代表される水溶性染料、更には分散染料及び顔料が使用可能であり、通常のインクジェット記録用のものであれば、特に制限なく使用できるが、好ましくは、本発明の光情報記録媒体のインク受容層の好ましい構成材料であるカチオン性ポリマーとのイオン的結合性の点から、これらのうちアニオン性の染料或いは顔料分散体を用いることが好適である。又、これら色材のインク中における含有量は、従来のインクにおいて一般的に使用されているのと同様に、インク全量に対して0.1〜20質量%の割合で使用すればよい。
【0140】
本発明に用いる水系インクに使用する液媒体としては、水、又は水と水溶性有機溶剤との混合溶媒が使用されるが、本発明においては、特に、水と水溶性有機溶剤との混合溶媒であって、水溶性有機溶剤としてインクの乾燥防止効果を有する多価アルコールを含有するものを使用するのが好適である。
【0141】
前記で説明した本発明の光情報記録媒体のインク受容層上にインクを付与して記録を行う方法としては、公知のインクジェットヘッドを用いることができ、オンデマンド方式でもコンティニュアス方式でも構わない。また、吐出方式としては、電気−機械変換方式(例えば、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型、シェアードウォール型等)、電気−熱変換方式(例えば、サーマルインクジェット型、バブルジェット(R)型等)、静電吸引方式(例えば、電界制御型、スリットジェット型等)及び放電方式(例えば、スパークジェット型等)などを具体的な例として挙げることができるが、いずれの吐出方式を用いても構わない。
【0142】
【実施例】
以下に本発明の実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明の実施態様はこれらの例に限定されるものではない。
【0143】
《光情報記録媒体の作製》
(試料1の作製)
スタンパによりスパイラル状にトラッキングガイドを行うため、幅0.8μm、深さ0.08μm、トラックピッチ1.6μmのガイド溝が直径の46〜117mmφの範囲に形成された外形120mmφ、内径15mmφ、厚み1.2mmのポリカーボネート基板を用意した。
【0144】
〈色素記録層の形成〉
このポリカーボネート基盤上に、0.65gの1、1−ジブチル3、3、3、3、テトラメチル4、5、4、5−ジベンゾインドジカーボシアニンパークロレート(日本感光色素研究所製)を、ジアセトンアルコール10mlに溶解し、この溶液を、回転数を変化させながら平均膜厚130nmになるようにスピンコートし、乾燥させて、色素記録層を形成した。
【0145】
〈光反射層の形成〉
次いで、この色素記録層上に、金をスパッタリングし、厚さ100nmの光反射層を形成した。
【0146】
〈保護層の形成〉
次いで、スピンコート法により多官能アクリレートを主成分とする紫外線硬化性樹脂(TYD−102:サンノプコ(株))を塗布し、高圧水銀灯で230mj/cm2の紫外線を照射、硬化させて、厚さ10μmの保護層を形成した。
【0147】
〈インク受容層1の形成〉
下記の各組成物を混合した後、高圧ホモジナイザー(三和工業(株)社製)で分散して、インク受容層塗布液を調製した後、スピンコート法により、乾燥質量として9.5g/m2となるように保護層上に塗布して、高圧水銀灯で230mj/cm2の紫外線を照射、硬化させて、インク受容層1を形成して、光情報記録媒体である試料1を作製した。
【0148】
(試料2〜19の作製)
上記試料1の作製において、インク受容層1に、表1に記載の各化合物を添加した以外は同様にして、試料2〜19を作製した。
【0149】
表1に記載の各化合物の詳細は、以下の通りである
パラフィックスEP:大原パラジウム社製
サンフィックス414:三洋化成社製
ポリメント NK−100PM:日本触媒社製
なお、疎水性酸化防止剤は、当量のトリクレジルホスフェートと3倍量の酢酸エチルで溶解した後、界面活性剤を含むゼラチン溶液中に、超音波分散機を用いて乳化分散し、乳化分散物として添加した。
【0150】
以上のようにして作製した試料1〜19の各構成要素を、まとめて表1に示す。
【0151】
【表1】
【0152】
《画像の印字》
以上のようにして作製した試料1〜19のインク受容層上に、キャノン社製のバブルジェット(R)カラープリンターBJC−600を、試料が平行に搬送できるように改造した記録装置を用いて、イエローインク、マゼンタインク及びシアンインクによりベタ画像及び1mm間隔で線幅の異なる細線画像を連続して印字した。なお、印字モードはOHPモードで、23℃、55%RHの環境の部屋で行った。
【0153】
《形成画像の評価》
以上のようにして作成した各インクジェット画像について、下記の各評価を行った。
【0154】
(インク定着性の評価)
30℃、80%RHの環境下で、上記の方法でイエロー、シアン及びマゼンタの各2色の重ね打ちによるベタ画像を形成し、放置した後、記録画像に指触し、インクが指に付着するか否かで判断し、下記の基準に則りインク定着性を評価した。
【0155】
○:5分未満でインクが指に付着しなくなる
△:5分以上、10分未満でインクが指に付着しなくなる
×:10分経過してもインクが付着する
(インク吸収性の評価)
イエロー、シアン及びマゼンタインクのベタ画像を隣接して印字し、隣接する各2色のベタ画像境界面の混色の度合いを目視観察し、下記の基準に則りインク吸収性を評価した。
【0156】
○:2色が隣接しているベタ画像境界部の均一性が良好で、異色間の境界滲みがない
△:2色が隣接しているベタ画像境界部の均一性は良好であるが、異色間の境界滲みがやや劣るが、実用上許容の範囲にある
×:2色が隣接しているベタ画像境界部の均一性及び異色間の境界滲みが共に劣り、実用上問題がある
(耐水性の評価)
画像印字し、1時間後に、水の入ったトレイ中に各試料を10秒間浸漬し引き揚げた後に、キムタオル(商品名、十條キンバリー(株)製)にて水を拭き取り、その部分を目視観察し、下記の基準に則り印字したベタ画像部の耐水性を評価した。
【0157】
○:浸漬後の画像に、全く変化が認められない
△:インクの流れ出しは若干あるが著しい画像劣化は認められない
×:インク受容層が溶け出してしまっているもの、或いはインクの流れ出しが著しい
(滲み耐性の評価)
形成した各ベタ画像及び細線画像を、35℃、95%RHの環境下に10日間保管した後に、保存前の画像と保存後の画像を目視にて比較して、下記の基準に則り滲み耐性を評価した。
【0158】
○:高温高湿での保存後で、細線の変化がほとんど認められない
△:高温高湿での保存後で、滲み及び細線の線幅の拡大が僅か認められるが、実用上許容の範囲にある
×:保存前の画像に比べ、高温高湿での保存後で、滲み及び細線の線幅の拡大が著しく、実用上問題がある
(耐光性の評価)
キセノンフェードメーターにて120時間曝射した後の、試料の未曝射試料からの可視領域の極大吸収波長における反射スペクトル濃度の低下率を評価した。なお、評価は、シアン画像について行った。
【0159】
耐光性(%)=(曝射試料の極大吸収波長濃度/未曝射試料の極大吸収波長濃度)×100
に従って求め、以下の評価基準に基づいて4段階評価した。○以上であれば実用上問題ない。
【0160】
◎:耐光性が95%以上
○:耐光性が90%以上、95%未満
△:耐光性が80%以上、90%未満
×:耐光性が80%未満
(変褪色耐性の評価)
23℃で1日保存した記録用紙に印字したシアンのベタ印字画像部を、オフィス室内の窓際に貼り、外気流が曝露されるが直射日光の当たらない環境に6ヶ月放置した。放置前後のプリント部の反射濃度を赤色の単色光で濃度測定し、下式に従い濃度残存率を求め、下記の基準に則り変褪色耐性の評価を行った。
【0161】
濃度残存率=(6ヶ月放置後の濃度/放置前の濃度)×100(%)
◎:濃度残存率が95%以上
○:濃度残存率が90%以上、95%未満
△:濃度残存率が80%以上、90%未満
×:濃度残存率が80%未満
以上により得られた各評価結果を表2に示す。
【0162】
【表2】
【0163】
表2より明らかなように、インク受容層が紫外線硬化樹脂、光重合開始剤及び無機微粒子を含有し、更にポリアルキレンポリアミン・ジシアンジアミド系重縮合物、水溶性還元剤、含硫黄化合物、疎水性酸化防止剤の乳化分散物又は前記一般式(S)で表される化合物の少なくとも1種を含有した本発明の試料は、比較例に対して、同等以上のインク定着性、耐水性、インク吸収性、滲み耐性を有すると共に、画像記録後の耐光性、変褪色耐性に優れていることが分かる。
【0164】
【発明の効果】
本発明により、インク定着性、耐水性、インク吸収性、滲み耐性が良好で、画像記録後の耐光性、変褪色耐性に優れた光情報記録媒体を提供することができた。
Claims (7)
- 透明基板上に記録層、光反射層及び少なくとも1層の保護層とを順次積層してなる光情報記録媒体において、表面に露出している該保護層がインクジェット記録方法によるインク受容層であり、該インク受容層が紫外線硬化樹脂、光重合開始剤、無機微粒子及びポリアルキレンポリアミン・ジシアンジアミド系重縮合物を含有することを特徴とする光情報記録媒体。
- 透明基板上に記録層、光反射層及び少なくとも1層の保護層とを順次積層してなる光情報記録媒体において、表面に露出している該保護層がインクジェット記録方法によるインク受容層であり、該インク受容層が紫外線硬化樹脂、光重合開始剤、無機微粒子及び水溶性還元剤を含有することを特徴とする光情報記録媒体。
- 透明基板上に記録層、光反射層及び少なくとも1層の保護層とを順次積層してなる光情報記録媒体において、表面に露出している該保護層がインクジェット記録方法によるインク受容層であり、該インク受容層が紫外線硬化樹脂、光重合開始剤、無機微粒子及び含硫黄化合物を含有することを特徴とする光情報記録媒体。
- 透明基板上に記録層、光反射層及び少なくとも1層の保護層とを順次積層してなる光情報記録媒体において、表面に露出している該保護層がインクジェット記録方法によるインク受容層であり、該インク受容層が紫外線硬化樹脂、光重合開始剤、無機微粒子及び疎水性酸化防止剤の乳化分散物を含有することを特徴とする光情報記録媒体。
- 透明基板上に記録層、光反射層及び少なくとも1層の保護層とを順次積層してなる光情報記録媒体において、表面に露出している該保護層がインクジェット記録方法によるインク受容層であり、該インク受容層が紫外線硬化樹脂、光重合開始剤、無機微粒子、ポリアルキレンポリアミン・ジシアンジアミド系重縮合物と、(a)水溶性還元剤、(b)含硫黄化合物、(c)疎水性酸化防止剤の乳化分散物及び(d)前記一般式(S)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種とを含有することを特徴とする光情報記録媒体。
- 前記インク受容層が、カチオン性ポリマーを含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の光情報記録媒体。
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