JP2004029548A - プラスチック光ファイバ及びその製造方法 - Google Patents

プラスチック光ファイバ及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2004029548A
JP2004029548A JP2002188181A JP2002188181A JP2004029548A JP 2004029548 A JP2004029548 A JP 2004029548A JP 2002188181 A JP2002188181 A JP 2002188181A JP 2002188181 A JP2002188181 A JP 2002188181A JP 2004029548 A JP2004029548 A JP 2004029548A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
coating
optical fiber
plastic optical
refractive index
core
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002188181A
Other languages
English (en)
Inventor
Yukio Shirokura
白倉 幸夫
Takahito Miyoshi
三好 孝仁
Masataka Sato
佐藤 真隆
Toru Ogura
小倉 徹
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Photo Film Co Ltd filed Critical Fuji Photo Film Co Ltd
Priority to JP2002188181A priority Critical patent/JP2004029548A/ja
Publication of JP2004029548A publication Critical patent/JP2004029548A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Optical Fibers, Optical Fiber Cores, And Optical Fiber Bundles (AREA)

Abstract

【課題】耐環境性に優れたプラスチック光ファイバケーブルを提供することである。
【解決手段】導光路がプラスチックからなる光ファイバであって、該導光路の外周に、式P≦1(ここで、Pは40℃、90%RHにおける被覆材の透湿度(g/(m・24hr))である。)を満たすような被覆材からなる被覆層を有することを特徴とするプラスチック光ファイバ、好ましくは被覆層の外周に、さらに金属水酸化物を含む被覆層を有するプラスチック光ファイバ。
【選択図】     図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラスチック光ファイバおよびその製造方法に関し、さらに詳しくは耐湿性に優れたアクリル樹脂系のプラスチック光ファイバおよびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
プラスチック光ファイバは、石英系光ファイバと較べると、光の伝送損失が大きいものの、大口径化による接続容易性、端末加工容易性、これに伴う高精度調芯機構が不要になるメリット、人体への突き刺し災害による危険性の低さ、高い柔軟性による易加工性、耐振動性、低コストなどの観点から、伝送損失の大きさが問題とならない程度の短距離用の光通信媒体として種々検討されており、近年、オフィス内や家庭内の通信機器配線、産業用ロボットと制御コンピュータとの接続などに供せられてきた。特に家庭や車載用途で注目されてきている。
【0003】
こうした通信用途でのアクリル樹脂系プラスチック光ファイバは、その1本または複数本が種々の集合形態で集合されて光ケーブルとされ、その際、導光路を外部からの衝撃などから守る目的で種々の被覆がなされる。しかし、プラスチック光ファイバは、石英系の光ファイバに比べ伝送性能が環境変化によって影響を受けやすいといった問題が指摘されており、耐環境性の向上が求められている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、耐環境性に優れたプラスチック光ファイバケーブルを提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討行なった結果、以下に示す被覆に用いる素線を被覆用ダイスまで、乾燥除塵雰囲気下に保つ方法及びその製造装置により上記課題を解決し、本発明を完成するに至った。
(1)導光路がプラスチックからなる光ファイバであって、該導光路の外周に、下記式を満たすような被覆材からなる被覆層を有することを特徴とするプラスチック光ファイバ。
P≦1
ここで、Pは40℃、90%RHにおける被覆材の透湿度(g/(m・24hr))である。
(2)導光路の飽和吸水率が1.0%以上である(1)に記載のプラスチック光ファイバ。
(3)導光路がアクリル系樹脂である(1)または(2)に記載のプラスチック光ファイバ。
(4)被覆層の外周に、さらに金属水酸化物を含む被覆層を有する(1)〜(3)いずれか1つに記載のプラスチック光ファイバ。
(5)導光路が屈折率分布を有する(1)〜(4)いずれか1つに記載のプラスチック光ファイバ。
(6)導光路の外周に、該導光路より屈折率の低い樹脂層を有する(1)〜(5)いずれか1つに記載のプラスチック光ファイバ。
(7)被覆層が密着型である(1)〜(6)いずれか1つに記載のプラスチック光ファイバ。
(8)以下の条件を満たす流動開始温度(Tf)を有する被覆材で導光路を被覆する工程を含むことを特徴とするプラスチック光ファイバの製造方法。
60≦Tf≦(Tg+70℃)
ここで、Tfは被覆材の流動開始温度(℃)、Tgは導光路を形成するコアまたはインナークラッドのガラス転移温度のいずれか低いほうの温度(℃)である。
【0006】
【発明の実施の形態】
(プラスチック光ファイバ素線)
本発明において用いられる素線の種類、材質などは特に限定されない。石英光ファイバ素線、プラスチック光ファイバ素線等を用いることが可能であるが、本発明においてはプラスチック光ファイバ素線を用いることが好ましい。なお、以降の記述は外周のクラッド部からコア部中心に向って連続的に屈折率が変化する屈折率分布型プラスチック光ファイバ素線について記述しているが、屈折率分布を有しないステップインデックス型プラスチック光ファイバ素線については屈折率分布の付与を除くことで、材料や製法が同様に適用できる。
図1は、本発明のプラスチック光ファイバの一例を示す断面図である。21はプラスチック光ファイバのコア、22はコアと同じもしくはコアより低い屈折率を有するインナークラッドであり、光はこのコアとインナークラッド部により導かれ、コアおよびインナークラッドにより導光路が形成される。23はアウタークラッドであり、これはコアおよびインナークラッドよりもさらに低い屈折率を有する層である。21〜23からなるプラスチック光ファイバ素線は、24の被覆層にて全周を被覆される。
なお、本発明においては、コア層は中心方向に向かって屈折率が上昇する分布を有する、いわゆるGI型が好ましいが、均一屈折率を有するいわゆるSI型であってもよい。
【0007】
(コア部)
コア部の原料としては、その重合体が伝送される光に対して光透過性である限り特に制約はないが、伝送される光信号の伝送損失が少ない材料を用いるのが好ましく、特に透明性が高く、塊状重合で容易に形成できるアクリル系樹脂が好適に用いることができる。これら原料のモノマーとしては例えば、メチルメタクリレート(MMA)、イソプロピルメタクリレート、t−ブチルメタクリレートなどのアルキルメタクリレートのホモポリマー、重水素化メチルメタクリレート、トリフルオロエチルメタクリレート、ヘキサフルオロイソプロピル−2−フルオロアクリレートなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これら各モノマーからポリマーを重合してコア部として用いる。また、これらモノマーを2種以上用いて、共重合体(コポリマー)からコア部を形成してもよい。しかしながら、塊状重合が容易であるMMAを選択し、ストレートポリマー(ホモポリマー)であるポリメチルメタクリレート(PMMA)にてコア部を形成するのが好ましい。また、これらのモノマーが有する水素原子を重水素原子(D)またはハロゲン原子(X)で置換したモノマーを用いて、ポリマーを重合することもできる。特定の波長領域において、C−H結合に起因する光伝送損失が生じるが、HをDまたはXで置換することにより、この伝送損失を生じる波長域を長波長化することができ、伝送信号光の損失を軽減することができる。
【0008】
前記モノマーからポリマーを重合する際に、重合開始剤および重合調整剤を添加することができる。重合開始剤としては、重合されるポリマーに応じて適宜選択することができるが、過酸化ベンゾイル(BPO)、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート(PBO)、ジ−t−ブチルパーオキシド(PBD)、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート(PBI)、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)パラレート(PHV)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。重合調整剤は、主に重合体(ポリマー)の分子量の調整のために用いられ、ポリマーの重合度に応じて適宜選択することができるが、1−ブタンチオール、ドデシルメルカプタンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、2種類以上の重合調整剤を併用してもよい。
【0009】
コア部が、中心から外側に向かって屈折率の分布を有している伝送体を用いると伝送帯域が向上するので好ましい。特に屈折率分布の変化が連続的であるGI型であるとより好ましい。
この屈折率分布形状の状態を以下に示す、半径rのべき乗則により近似した値である屈折率分布係数gという指数で表すことができる。この値を最適化することで伝送帯域の向上をはかることが可能である。
Figure 2004029548
n1=コア部の屈折率(屈折率分布型の場合、コア部中心の最大屈折率)
n2=クラッド部の屈折率
a =コア部半径
Δ =比屈折率差
r =半径
この屈折率分布係数gの最適値は伝送に用いる波長帯によって異なるが、gは1.5〜4、特に2〜3.5の値を取ることが好ましい。
【0010】
また、コア部の開口数を上げることで光が入射しやすくなる。開口数(NA)は以下の式で表すことができる。
Figure 2004029548
この開口数の最適値は屈折率分布型の場合、0.2〜0.5の値を取ることが好ましい。
【0011】
屈折率分布の形成は、例えば国際公開WO93/08488号公報に記載されているように、コアを形成するモノマーが(インナー)クラッド内壁面を溶解してゲル層を形成し、重合をコア外周から進めることによって、屈折率調整剤の濃度分布をコア中心方向に向かって高く形成せしめる方法がある。また、重合体としたときに屈折率の異なる2種類以上のモノマーを用い、コア外周部より半径方向に共重合組成を変化させて屈折率分布を形成する、いわゆる界面ゲル重合法によって得ることができる。
前者の屈折率分布付与方法で用いる屈折率調整剤は、これを含有するポリマーが無添加のポリマーと比較して、屈折率が高くなる性質を有するものをいう。この性質を有し、ポリマーと安定して共存可能で、且つ前述の原料であるモノマーの重合条件(加熱および加圧等の重合条件)下において安定であるものであればいずれの屈折率調整剤をも用いることができる。例えば、安息香酸ベンジル(BEN)、硫化ジフェニル(DPS)、リン酸トリフェニル(TPP)、フタル酸ベンジル−n−ブチル(BBP)、フタル酸ジフェニル(DPP)、ビフェニル(DP)、ジフェニルメタン(DPM)、リン酸トリクレジル(TCP)、ジフェニルスルホキシド(DPSO)などが挙げられ、中でも、BEN、DPS、TPP、DPSOが好ましい。
【0012】
なお、屈折率分布を有するファイバを作成する場合、コアとインナークラッドとの界面状態を適正にするため、インナークラッドに対する親和性の高いモノマーをコア外周近傍に偏在させつつ重合を進めることが好ましく、後者の屈折率分布付与方法では特に好ましい。
【0013】
コア部を以上のように屈折率分布を有するように製造する場合は、その構成要素として多数の素材を必要とするため、素材の組合せによっては、基本的な伝送性能と水分などの湿度への耐性が排他の関係になる場合がある。湿度への耐性とは、湿度がコア部に浸透し、浸透した水分子の分子運動に起因する吸収や、屈折率調整剤とコアのマトリックスポリマーと水との親和性の差による散乱が伝送光に影響を与えるため性能劣化への耐性であり、この様な場合において本発明は極めて有用である。
本発明の被覆材との併用で好ましく用いることのできるファイバ素線を構成する導光路の飽和吸水率は1.0%以上であり、好ましくは1.3%以上である。この吸水率はASTM D−510の方法で測定される樹脂の飽和吸水率である。
【0014】
(クラッド部)
クラッド部は、1層以上からなってもよく、複層からなってもよい。本発明では複層からなる場合のクラッド部最内面層をインナークラッド、クラッド部最外面層をアウタークラッドと称する。
インナークラッドは、コア部を伝送する光がそれらの界面で全反射するために、コア部の屈折率より低い屈折率を有し、非晶性であり、コア部との密着性が良く、タフネスに優れ、耐熱性に優れているものが好ましく用いられる。クラッド部の原料であるモノマーとしてはコア部と同種の素材が好ましく、同様にアクリル系樹脂が好適に用いることができる。具体的には、メチルメタクリレート、重水素化メチルメタクリレート、トリフルオロエチルメタクリレート、ヘキサフルオロイソプロピル−2−フルオロアクリレートなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらのモノマーを2種以上用いて、共重合体からなるインナークラッド部を作製してもよい。
コア部およびインナークラッド部のポリマーは必ずしも同一である必要はないが、共通のモノマーを使用することが、コア部とインナークラッド部の界面の透明性を保持できる点で好ましい。
【0015】
前記モノマーからクラッド部のポリマーを重合する際にも、コア部の形成に用いた前述した重合開始剤および重合調整剤(例えば、連鎖移動剤等)を添加することができる。
【0016】
その他、クラッド部には、光伝送性能を低下させない範囲で、その他の添加剤を添加することができる。添加剤は、前記原料モノマーに添加し、その後モノマーを重合することによってクラッド部に含有させることができる。前記添加剤としては、耐候性や耐久性などを向上させる安定剤、光伝送性能を向上させる光信号増幅用の誘導放出機能化合物等が挙げられる。誘導放出機能化合物を添加することにより、減衰した信号光を励起光により増幅することが可能となり、伝送距離が向上するので、光伝送リンクの一部にファイバ増幅器として使用することができる。なお、これらの添加剤は、コア部の形成時にモノマーに添加させて、コア部に含有させることもできる。
【0017】
本発明においては、導光路内の光を外部に漏洩させないためにアウタークラッド部にコアおよびインナークラッドよりも屈折率の低い層を設けることが好ましい。光の漏洩は、特に、プラスチック光ファイバを湾曲させたときに顕著であり、伝送損失の悪化の原因となる。この現象(曲げ損失という)を防ぐという点でインナークラッドとアウタークラッド部の屈折率の差は大きいほど好ましく、曲げ損失の実用的な抑制には屈折率の差は0.01以上あることが好ましい。
また、アウタークラッド層は導光路であるコアおよびインナークラッドを保護するという点で、柔軟性が高く、かつアウタークラッドとインナークラッドとの界面で散乱による損失を最小限に抑えるという点から、インナークラッドとの親和性に優れていることが必要となる。
【0018】
かかる特性を満たす樹脂としてはフッ素原子を有するポリマーが好ましく、例えば、フルオロオレフィン系モノマー、アクリル酸もしくはメタクリル酸などのフッ化アルキルエステル系モノマー、パーフルオロ環状エーテル系モノマーなどの単独重合体または共重合体が挙げられる。より具体的には、フッ化ビニリデン、フッ化ビニル、メタクリル酸−2,2,3,3−トリフルオロエチル、パーフルオロ(ブテニルビニルエーテル)などが挙げられる。
【0019】
本発明においては、このアウタークラッド部の形成方法に特に制限はなく、導光路となるプリフォームにアウタークラッドとなるポリマー溶液を塗設する方法、ポリマーを溶融して噴霧または塗設する方法、などが挙げられる。また、延伸して得られたコアおよびインナークラッドからなる素線に、塗布や被覆によってアウタークラッド層を設けてもよい。
【0020】
(素線の作製)
以上の素材もちいて、クラッド部とコア部からなるプラスチック光ファイバ素線を作成する。
素線の製法に関しては特に制限はなく、既知の方法を適用することができる。例えば、コア部とクラッド部をそれぞれ形成する方法として、コア部作成後のクラッド部の積層付与による方法、クラッド部となる中空管を作成した後に内部にコア部を作成する方法、コア部とクラッド部の同時多層押出し方法等が挙げられる。
また、それらを素線に加工する方法として、直接紡糸する方法やプリフォームと呼ばれる予備加工品を延伸する方法などを好ましく用いることができる。
【0021】
以上の製造方法のうち、屈折率分布型のプラスチック光ファイバ素線の製造方法としては、国際公開WO93/08488に記載されているように、クラッド部となる樹脂の中空管を作成し、その管内にコア部を形成する樹脂組成物を入れ、界面ゲル重合法によりモノマーを重合することによりコア部を形成する方法が好ましい。
樹脂組成物は前述のように、単一の屈折率を持つ樹脂組成物に屈折率調整剤を添加したものや、屈折率の異なる樹脂を混合したものを用いることが可能であり、これにより屈折率を分布させることができる。なお、本発明に用いられる素線の直径は0.2〜1.5mmの範囲であることが好ましいが、この範囲に限定されるものではない。また、その素線におけるコア部の直径は、0.1〜1.0mmが好ましいが、この範囲に限定されるものではない。
【0022】
(被覆材)
このようにして得られたプラスチック光ファイバは、そのままでも通信用途などに使用することができるが、耐湿性に乏しく高湿度の環境において伝送損失の著しい悪化が見られる。
これらは前述のように水分がコア部に浸透し、浸透した水分子の分子運動に起因する光の吸収が伝送光に影響を与えるためである。本発明においては、プラスチック光ファイバの素線を、下記式を満たすような被覆材で被覆することで耐湿度性能を向上させることができる。
P≦1
ここで、Pは40℃、90%RHにおける被覆材の透湿度(g/(m・24hr))である。本発明でいう透湿度Pとは、温度40℃、相対湿度90%で測定される1m、24時間あたりに透過する水の質量で表され、JIS−Z0208に準拠した方法にて測定される。
【0023】
この透湿度は、同じ被覆材であっても被覆層の厚みによって変わり、厚い被覆ほど透湿度は小さくなる。図2に被覆材の透湿度と厚みの関係を示す。本発明においては、プラスチック光ファイバの用途やケーブルの形態に応じて上記式を満たす範囲内で適宜選択される。
透湿度が1g/(m・24hr)より大きい被覆層の場合、十分な防湿効果を得ることができず、高湿環境下においてプラスチック光ファイバの伝送損失は大幅に悪化する。
好ましい透湿度の範囲は0.7g/(m・24hr)以下であり、さらに好ましくは0.5g/(m・24hr)以下である。
【0024】
さらに被覆材は、被覆時のプラスチック光ファイバ素線の熱的ダメージによる伝送損失の低下を防ぐため、その流動開始温度Tfが以下の式の範囲内であることが好ましい。
60≦Tf≦(Tg+70℃)
ここで、Tfは被覆材の流動開始温度(℃)、Tgはプラスチック光ファイバ素線を形成するコアまたはインナークラッドのガラス転移温度のいずれか低いほうの温度(℃)である。
【0025】
被覆樹脂の流動開始温度とは、樹脂を細穴の空いた加熱可能のシリンダ上の容器に入れ、樹脂にピストン上の加圧具で一定荷重を加えつつ容器を加熱し、流動するに従って変化するピストンの移動量を計測することで測定される。流動開始温度が上記式の範囲よりも高いと、前述の如くプラスチック光ファイバ素線が熱によって局部的、もしくは広域にわたってダメージを受け、導光路の構造が不整化して伝送損失が悪化する。
一方、流動開始温度が60℃未満であると被覆樹脂が粘着性を示し耐熱性に乏しくなる。被覆樹脂の好ましい流動開始温度の下限は70℃、より好ましくは80℃である。
流動開始温度の上限は素線に加わる熱ダメージへの耐性によって変わるが、素線の(Tg+60℃)以下、より好ましくは(Tg+45℃)以下である。
【0026】
本発明で使用する被覆用樹脂組成物は上記の条件を満たしていれば特に限定されないが、前述した被覆材である被覆用樹脂組成物を選択する際には、製造時および製造後に素線へダメージを与えないものが重要である。
溶融押出法で被覆を行う場合、樹脂溶融によって被覆材に加えられた熱が、被覆工程で、素線へ伝播して素線に悪影響を与えてしまうため、組成物を構成する熱可塑性樹脂の流動開始温度が一定の範囲内に収まることが好ましい。
なお、後述のルース型の構造に被覆する場合には、素線と被覆の間の空隙層によって熱の伝播が緩和されるため、密着型の場合に比較して流動開始温度をより高く設定することが可能である。
また、紫外線硬化樹脂、電子線硬化樹脂のような活性エネルギー線硬化型の樹脂を塗布して活性エネルギー線で硬化させる場合、クラッド部を溶解させたりしない樹脂を選択することが好ましい。
【0027】
被覆材を形成する具体的な樹脂としては、たとえば溶融押出法の場合では、(低密度)ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン類、ポリ塩化ビニル、ポリスチレンなどのビニル系ポリマー、ポリアミド、ポリエステル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合体、変性ポリフッ化ビニリデン共重合体、変性ポリカーボネート、変性ポリテトラフルオロエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合体、ナイロン(ナイロン−6、ナイロン−66、ナイロン−11など)、エチレンアクリル酸エチル共重合体、ポリエステル化合物などの熱可塑性樹脂を挙げることができ、その中でも好ましくはポリエチレン、ポリプロピレンである。
これらの樹脂はポリマーの分子量や分子量分布、各成分の組合わせ、枝分かれ度、架橋度、末端の修飾や置換基の導入、可塑剤などの添加剤の種類や量などにより、流動開始温度制御の他に種々の設計が可能である。
【0028】
さらに、必要に応じて前記被覆層(1次被覆層)の外周にさらに被覆層(2次被覆層)を設けても良い。2次被覆層に難燃剤や紫外線吸収剤、酸化防止剤、ラジカル捕獲剤、昇光剤、滑剤などを導入してもよく、耐透湿性能を満足する限りにおいては、1次被覆層にも導入は可能である。
なお、難燃剤については臭素を始めとするハロゲン含有の樹脂や添加剤や燐含有のものがあるが、毒性ガス低減などの安全性の観点で難燃剤として金属水酸化物を加える主流となりつつある。金属水酸化物はその内部に結晶水として水分を有しており、またその製法過程での付着水が完全に除去できないため、金属水酸化物による難燃性被覆は本発明の対透湿性被覆(1次被覆層)の外層被覆(2次被覆層)として設けることが望ましい。
【0029】
(被覆の構造)
ケーブル製造の際にその被覆の形態として、被覆材とプラスチック光ファイバ素線の界面が全周にわたって接して被覆されている密着型の被覆と、被覆材とプラスチック光ファイバ素線の界面に空隙を有するルース型被覆がある。ルース型被覆では、たとえばコネクターとの接続部などにおいて被覆層を剥離した場合、その端面の空隙から水分が浸入して長手方向に拡散されるおそれがあるため、通常は密着型が好ましい。
しかし、ルース型の被覆の場合、被覆と素線が密着していないので、ケーブルにかかる応力や熱とはじめとするダメージの多くを被覆材層で緩和させることができ、素線にかかるダメージを軽減させることができるため、使用目的によっては好ましく用いることができる。水分の伝播については、空隙部に流動性を有するゲル状の半固体や粉粒体を充填することで、端面からの水分伝播を防止でき、かつ、これらの半固体や粉粒体に耐熱や機械的機能の向上などの水分伝播防止と異なる機能をあわせ持つようにすることでより高い性能の被覆を形成できる。
【0030】
ルース型の被覆を製造するには、クロスヘッドダイの押出し口ニップルの位置を調整し減圧装置を加減することで空隙層を作ることができる。空隙層の厚みは前述のニップル厚みと空隙層を加圧/減圧することで調整が可能である。
【0031】
図3及び図4は、本発明の光ファイバケーブルの実施態様を示す断面図である。図3又は図4において、Aは密着型の1次被覆3を有する光ファイバケーブルであり、aはルース型の1次被覆3を有する光ファイバケーブルである。B及びbに示すように、被覆は1次被覆3、2次被覆6等、複数層を設けることも可能である。また、空隙2が素線1と1次被覆3の間ではなく、素線1と1次被覆3が密着し一体となっており、1次被覆3の外側に空隙2のある形態も好ましく使用される。
【0032】
また、複数の機能を付与させるために、様々な機能を有する被覆を積層させてもよい。例えば、本発明のような難燃化以外に、素線の吸湿を抑制するためのバリア層や水分を除去するための吸湿材料、例えば吸湿テープや吸湿ジェルを被覆層内や被覆層間に有することができ、また可撓時の応力緩和のための柔軟性素材層や発泡層等の緩衝材7、剛性を挙げるための強化層など、用途に応じて選択して設けることができる。樹脂以外にも構造材として、高い弾性率を有する繊維(以下、抗張力繊維4と称す)および/または剛性の高い金属線等の線材5を熱可塑性樹脂に含有すると、得られるケーブルの力学的強度を補強することができることから好ましい。
抗張力繊維としては、例えば、アラミド繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維が挙げられる。また、金属線としてはステンレス線、亜鉛合金線、銅線などが挙げられる。いずれのものも前述したものに限定されるものではない。その他に保護のための金属管の外装、架空用の支持線や、配線時の作業性を向上させるための機構を組み込むことができる。
【0033】
また、ケーブルの形状は使用形態によって、図3H及び図4oに示す素線を同心円上にまとめた集合ケーブルや、図3C〜G及び図4d〜nに示す一列に並べたテープ心線と言われる態様、さらにそれらを押え巻8やラップシース9などでまとめた集合ケーブルなど用途に応じて選ぶことができる。
【0034】
(プラスチック光ファイバの製造方法)
本発明の光ファイバの製造に用いられる被覆ラインは、従来から知られている電気ケーブル等と同様な被覆ラインを使用することができる。
なお、被覆方法としては溶融押出し方法、活性エネルギー線硬化型樹脂を用いて、塗布・硬化させて被覆層を得る方法等を用いることができる。本発明においては、溶融押出し方法を用いることが好ましい。
本発明の製造方法は、前述した以下の条件を満たす流動開始温度(Tf)を有する被覆材で導光路を被覆する工程を含む。
60≦Tf≦(Tg+70℃)
ここで、Tfは被覆材の流動開始温度(℃)、Tgは導光路を形成するコアまたはインナークラッドのガラス転移温度のいずれか低いほうの温度(℃)である。
【0035】
(プラスチック光ファイバの製造装置)
本発明において好ましく用いられる光ファイバの製造装置の一実施態様を図5に示す。素線11は、送出機12より送り出され、冷却装置13により5〜35℃の温度まで冷却することが、被覆する際に素線11へのダメージを抑制するために好ましいが、この冷却装置13は省略することも可能である。その後に、被覆装置(被覆ダイス)14により素線11に被覆材を被覆してケーブル15が得られる。ケーブル15は、冷却槽16で冷水により冷却された後に、水分除去装置17によりその表面の水分が除去される。なお、ケーブル15の冷却は、水槽に限定されず、他の装置を用いてもよい。そして、ローラ18により搬送されて巻取機19に巻き取られる。
また、本発明において用いられる製造装置は、被覆用ダイスに至る走行路を調湿する調湿ユニット(図示せず)、及び帯電した光ファイバから電荷を除去する帯電除去ユニット(図示せず)を有していても良い。以下、製造装置について詳細に説明する。
【0036】
(被覆用ダイス)
被覆用ダイス14は原理的には銅線などのいわゆる電線被覆に用いるダイスと同じタイプが使用できる。ダイスの入口側には素線とわずかに離れているかあるいは軽く接するシール膜が内属された減圧機構がありポンプ等で引いた際にダイス内部の圧力を効率的に下げることができる。これによりダイスから出た被覆樹脂を引き落としながら素線に密着させることができる。
被覆時の溶融樹脂の温度はプラスチック光ファイバ素線の伝送損失の悪化を防ぐ観点から低いことが好ましい。しかしながら被覆温度が低すぎると樹脂の溶融不良が生じ、被覆の際に樹脂切れを起こしやすいため安定的に被覆を行うことができない。また、得られた被覆は引張り強度や曲げ強度が均一ではなく、かつ充分溶融して得られた被覆線に比べて低いものとなる。好ましい樹脂の被覆温度は(Tf+3)〜(Tf+30)℃であり、さらに好ましくは(Tf+5)〜(Tf+20)℃である。この被覆温度とはダイスから溶融押出しされた直後の被覆樹脂の温度をいい、具体的にはダイス口のごく近傍に熱電対温度計などを当てて測定することができる。
【0037】
素線に塵埃が付着しているとこのシール部分を通過する際に圧力変動を発生させたりシール部分に引っかかって大きく成長し、それが一気に抜けることにより目視でも容易に確認できるような塵埃の固りとなって被覆外形に凸部を作ったり素線を押しつけたりすることになり、光ファイバの性能を損うこととなる。また、塵埃がシール部分で圧縮されて大きな固りになると走行する光ファイバの抵抗となり、最悪の場合光ファイバを切ってしまうことがある。
【0038】
冷却槽16と被覆用ダイス14は接触させると熱が相互に移動しダイスの温度低下トラブルなどが発生するため注意が必要である。防塵の観点からはオーバラップするカバーを取付けるのが効果的である。
【0039】
(冷却槽)
冷却槽16は通常チラーによって10℃以下に冷却された清浄な冷却水を循環しその水中を被覆された光ファイバを走らせる。被覆速度が速くなると相対的に被覆の冷却がおそくなるため被覆が充分早く固化し、内部の素線も充分早く冷却されるように冷却水温を調整する必要がある。
【0040】
(線径測定器他)
冷却された光ファイバは水分除去装置17で表面に付着した水分を充分切ったのち線径測定器(図示せず)でX,Y2方向断面の線径が測定される。これとその後に設置された非接触式コブ検出器(図示せず)との組合せで光ファイバの線径異状(被覆異状)を検知することができる。
これらのデータは工程管理用コンピュータ(図示せず)に取り込み、光ファイバ走行長カウンタ(図示せず)との組み合わせで光ファイバのどの位置に異状があったか特定させオンラインでマーキングをすることもできる。
【0041】
被覆ラインの基本となる要素について説明したが、被覆装置はこれに限定されるものではない生産設備においては素線の供給を安定させるためにリールシャフトにサーボモータを取付けて一定テンションを保つようにしたり、生産の効率化の為ダンサーローラやアキュムレータを備えてリールの変換が行えるようにすることもできる。
【0042】
本発明の光ファイバケーブルを用いて光信号を伝送するシステムには、種々の発光素子、受光素子、他の光ファイバ、光バス、光スターカプラ、光信号処理装置、接続用光コネクター等で構成される。それらに関する技術としてはいかなる公知の技術も適用でき、例えば、プラスティックオプティカルファイバの基礎と実際(エヌ・ティー・エス社発行)等の他、特開平10−123350、特開2002−90571、特開2001−290055等の光バス、特開2001−74971、特開2000−32996、特開2001−74966、特開2001−74968、特開2001−318263、特開2001−311840等の光分岐結合装置、特開2000−241655等の光スターカプラ、特開2002−62457、特開2002−101044、特開2001−305395等の光信号伝達装置や光データバスシステム、特開2002−23011等の光信号処理装置、特開2001−86537等の光信号クロスコネクトシステム、特開2002−26815等の光伝送システム、特開2001−339554、特開2001−339555等のマルチファンクションシステムなどを参考にすることができる。
【0043】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。また、本発明における特性値は、以下の方法によって測定した。
【0044】
(透湿度)
被覆層に用いる樹脂を、T−ダイを取り付けた押し出し機を用い、被覆時と同じ温度でシート状に溶融押し出しし、10℃の水で冷却されたステンレス製回転ドラム上で冷却してシート状サンプルとした。押し出し量と回転ドラムの回転数を調整し、種々の厚みのシートを得た。これらのシートを水蒸気透過度計(LYSSY AG ZOLLIKON社製L80−5000型)を用いて40℃、相対湿度90%の条件にて透湿度を測定した。
【0045】
(耐湿性)
白色光源(安藤電気製AQ−4303B)を長さ3mのプラスチック光ファイバの一端に接続し、もう一端にスペクトラムアナライザ(安藤電気製AQ−6315A)を接続した。プラスチック光ファイバを真空乾燥機に入れて槽内を減圧せしめ、850nmの出力値をモニターしながら出力が一定になるまでプラスチック光ファイバを減圧乾燥した。次いでプラスチック光ファイバを20℃、相対湿度95%の恒温恒湿槽に移し、24時間後の850nm位置の出力値の変化量を求めた。
【0046】
(飽和吸水率)
ASTM D−510の方法にて測定した。
【0047】
(流動開始温度)
島津製作所(株)製フローテスタCFT−500D型を用いシリンダ圧力4.9MPa、ダイ穴径0.5mmダイ長さ1.0mm室温から5℃/分の昇温速度で測定した。
【0048】
(プラスチック光ファイバ素線の作製)
モレキュラーシーブスおよび蒸留によって重合禁止剤を除去し、並びに水分を100ppm以下に除去したメチルメタクリレート(MMA:飽和吸水率は水1.15g/MMA100g(20℃))350g、重合開始剤として脱水精製した過酸化ベンゾイルをMMAに対して0.5質量%、さらに連鎖移動剤としてドデシルメルカプタンをMMAに対して0.62質量%を計量し、目開き0.2μmの四フッ化エチレンのメンブレンフィルターで濾過しながら、内径25mm、長さ1000mmの内壁をポリテトラフルオロエチレンライニング処理した円筒状試験管に注入した。この試験管をシリコン栓で密封し、70℃の水槽中で振とうしながら2時間反応させた。次いで、70℃の熱風恒温槽内で円筒状試験管を水平状態に保持しつつ、長手方向を中心軸に3000rpmで回転させ、反応液を遠心力で試験管内壁に保持した状態で3時間反応せしめた。さらに槽内温度を90℃に上げ、24時間静置してPMMAインナークラッド(屈折率:1.492)を得た。
【0049】
試験管から円筒状のPMMAインナークラッドを取り出し、90℃の恒温槽にて予熱せしめた。
一方、先ほどと同様の方法で精製したMMA150g、重合開始剤として過酸化−ジ−tert−ブチルをMMAに対して0.013質量%、連鎖移動剤としてドデシルメルカプタンをMMAに対して0.016質量%、さらに屈折率調整剤として硫化ジフェニルをMMAに対して12.54質量%計量して混合後、目開き0.2μmの四フッ化エチレンのメンブレンフィルターで濾過しながら、予め90℃に予熱しておいたインナークラッド内に注入した。
このインナークラッドを内径27mmのステンレス管に挿入し、加圧重合容器に垂直に静置させ密閉した。加圧重合容器内の空気を窒素で十分置換して窒素雰囲気とした後、0.05MPaまで窒素で加圧した。この加圧重合容器を100℃に昇温し、この状態のまま48時間反応せしめ、次いで120℃に昇温して24時間反応を行ってプリフォームを完成した。その後、加圧重合容器から得られたプリフォームを取り出した。
【0050】
このプリフォームを、フッ素樹脂(変性ポリフッ化ビニリデン(アトフィナ社製KYNAR9301))の25%アセトン溶液中に浸漬し、ゆっくり引き上げつつ乾燥させる操作を5回行い、プリフォーム表層に厚み35μmのフッ素樹脂層を塗設せしめ、アウタークラッド層(屈折率:1.42)を形成せしめた。
【0051】
次いで、フッ素樹脂層を塗設したプリフォームを240℃の熱延伸により線引きし、直径750μmのアクリル樹脂光ファイバ素線を得た。このファイバ素線の屈折率分布係数は3、開口率は0.4であった。
【0052】
(実施例1)
アクリル樹脂光ファイバ素線を、低密度ポリエチレン(LDPE)(日本ポリオレフィン社製J−REX07A;流動開始温度106℃)を用い、図5に示すクロスヘッドダイを備えた被覆装置にて120℃で被覆して、被覆層が芯線に密着した外径1.8mm(被覆厚み0.525mm)のアクリル樹脂光ファイバを得た。このプラスチック光ファイバの伝送損失は171dB/kmであり、温度20℃、相対湿度95%の雰囲気で24時間静置させた後の伝送損失は179dB/kmであり、よってその上昇量は8dB/kmであった。
【0053】
(実施例2)
変性ポリフッ化ビニリデン(変性PVDF)(アトフィナ社製KYNAR9301;流動開始温度80℃)を、予め120℃でストランド状に溶融押し出しし、これを10℃の水槽で冷却してチップ化した。こうして得られたペレットを用いて実施例1と同じ方法で110℃で被覆を行い、外径4.0mm(被覆厚み1.625mm)のプラスチック光ファイバを得た。得られたプラスチック光ファイバの特性を表1に記した。
【0054】
(実施例3)
(1次被覆プラスチック光ファイバケーブルの作成)
アクリル樹脂光ファイバ素線に対して、1次被覆として高圧法により重合した、メルトフローレート(JIS K 6922−2)が80g/10minであり、密度が0.916g/cmの低密度ポリエチレン(以下、PEと称する)を、クロスダイヘッド付の被覆押し出し機(ダイス直径3.7mm、ニップル直径2.7mm)を用いた被覆ライン(図5参照)により、素線の搬送速度を50m/minとして被覆を行い、厚みが0.5mmの1次被覆層を有する密着型の被覆ケーブルを得た。
【0055】
(難燃性被覆用組成物の調整)
スクリューパターンを、長さ1Dの逆送りニーディングディスク(RD)、ニュートラルニーディングディスク(ND)、正送りニーディングディスク(FD)の3種が押出し方向にFD/FD/ND/ND/RDとなるように5個組合せたセットをスクリューユニット間に4セット配置した、ベルストルフ社製2軸押出機(スクリュー径40mm、スクリューL/D=40)に、流動開始温度が103℃、メルトフローレート(JIS K 6922−2)が80g/10min、密度が0.916g/cmのPEと、平均粒径2μm、99%粒径5μmの水酸化マグネシウムが組成異物中の含有量が50質量%となるようにし、別々の定量フィーダにて押出機へ8kg/hrの量を供給した。
スクリュー回転数100rpm、ベント圧力0.85気圧、押出機出口温度70℃でφ5mm×10穴のノズルから押出した樹脂ストランドを冷却切断して、径が2mm、長さが2〜3mmの樹脂ペレットを得た。
【0056】
(難燃性樹脂組成物の被覆)
この樹脂組成物を、被覆ラインのクロスダイヘッドを変えた被覆押し出し機(ダイス直径6.7mm、ニップル直径4.5mm)を用いた被覆ラインにより、1次被覆ケーブルの搬送速度を20m/minとして被覆を行い、厚みが1.0mmの難燃性の2次被覆層を有する被覆ケーブルを得た。
こうして得られた光ファイバケーブルの特性を表1に記した。
【0057】
また、燃焼性はケーブルを150mm切り取り、鉛直に吊下げて、ブタンガスライターの炎の高さを15cmに調節し、そのうち上から5cmの部分の炎が吊下げたケーブルに触れるようにし、炎をケーブルに10秒間当てケーブルがどの程度燃えるかを確認したところ、接炎直後にゆっくりと燃え始め、炎を離して90秒後に40mmだけ延焼して止まった。
【0058】
(比較例1)
アクリル樹脂系光ファイバ素線を被覆せずに温度20℃、相対湿度95%の雰囲気で24時間静置させた。特性を表1に記した。
【0059】
(比較例2)
軟質ポリ塩化ビニル(昭和化成工業社製KVC2203)45重量部とトリメリット酸55重量部とを、170℃の同方向回転式2軸押し出し機で混練し、ストランド状に溶融押し出しして10℃の水槽で冷却した後ペレット化し、流動開始温度118℃のポリ塩化ビニルペレットを作製した。このペレット(PVC)を用い、実施例1と同じ方法で、130℃で被覆を行って外径1.8mm(被覆厚み0.525mm)のアクリル樹脂光ファイバを得た。得られたアクリル樹脂光ファイバの特性を表1に記した。
【0060】
【表1】
Figure 2004029548
【0061】
【発明の効果】
本発明によれば、耐環境性に優れたプラスチック光ファイバを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のプラスチック光ファイバの一例を示す横断面図である。
【図2】本発明の実施例で使用した被覆樹脂の透過度と厚みの関係を示す図である。
【図3】本発明の一実施態様としての密着型の被覆を有するプラスチック光ファイバケーブルの断面を示す模式図である。
【図4】本発明の一実施態様としてのルース型の被覆を有するプラスチック光ファイバケーブルの断面を示す模式図である。
【図5】本発明において用いられるプラスチック光ファイバケーブルの製造装置の一実施態様を示す概略図である。
【符号の説明】
1     素線
2     空隙
3     1次被覆
4     抗張力繊維
5     線材(テンションメンバ)
6     2次被覆
7     緩衝材
8     押え巻
9     ラップシース
10    3次被覆
11    素線
12    送出機
13    冷却装置
14    被覆装置
15    ケーブル
16    水槽
17    水分除去装置
18    ローラ
19    巻取機
21    コア
22    インナークラッド
23    アウタークラッド
24    被覆層

Claims (3)

  1. 導光路がプラスチックからなる光ファイバであって、該導光路の外周に、下記式を満たすような被覆材からなる被覆層を有することを特徴とするプラスチック光ファイバ。
    P≦1
    ここで、Pは40℃、90%RHにおける被覆材の透湿度(g/(m・24hr))である。
  2. 被覆層の外周に、さらに金属水酸化物を含む被覆層を有する請求項1に記載のプラスチック光ファイバ。
  3. 以下の条件を満たす流動開始温度(Tf)を有する被覆材で導光路を被覆する工程を含むことを特徴とするプラスチック光ファイバの製造方法。
    60≦Tf≦(Tg+70℃)
    ここで、Tfは被覆材の流動開始温度(℃)、Tgは導光路を形成するコアまたはインナークラッドのガラス転移温度のいずれか低いほうの温度(℃)である。
JP2002188181A 2002-06-27 2002-06-27 プラスチック光ファイバ及びその製造方法 Pending JP2004029548A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002188181A JP2004029548A (ja) 2002-06-27 2002-06-27 プラスチック光ファイバ及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002188181A JP2004029548A (ja) 2002-06-27 2002-06-27 プラスチック光ファイバ及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2004029548A true JP2004029548A (ja) 2004-01-29

Family

ID=31183005

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002188181A Pending JP2004029548A (ja) 2002-06-27 2002-06-27 プラスチック光ファイバ及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2004029548A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN100403073C (zh) 塑料光纤及其制造方法
JP2006208551A (ja) プラスチック光ファイバ素線の製造方法およびその製造設備
KR20070047317A (ko) 플라스틱 광섬유를 수지로 코팅하기 위한 방법 및 그 장치
JP2006330190A (ja) プラスチック光ファイバプリフォーム及びその製造方法
KR20070004018A (ko) 플라스틱 광섬유를 제조하기 위한 장치 및 그 제조 방법
JP5304704B2 (ja) プラスチック光ファイバコード
JP5243011B2 (ja) プラスチック光ファイバケーブルの製造方法
KR20070010126A (ko) 수지로 플라스틱 광섬유를 코팅하기 위한 장치 및 방법
JP2004029548A (ja) プラスチック光ファイバ及びその製造方法
JP2006058774A (ja) 光ファイバケーブル及びその製造方法
KR20040088402A (ko) 플라스틱 광섬유 제조 방법 및 장치
JP2007072051A (ja) プラスチック光ファイバ被覆材表面へのマーク記録方法及び記録設備
JP2004240122A (ja) プラスチック光ファイバケーブルおよび製造方法
JP2006058775A (ja) プラスチック光ファイバの被覆方法
JP2015028645A (ja) プラスチック光ファイバ及びその製造方法、並びにプラスチック光ファイバケーブル
JP2005258218A (ja) プラスチック光ファイバ用クラッドパイプの製造方法及び装置
JP2005292668A (ja) プラスチック光ファイバの製造方法
JP2006215415A (ja) プラスチック光ファイバケーブル
JP2006163007A (ja) プラスチック光ファイバの製造方法及び製造装置
JP2005321761A (ja) プラスチック光ファイバの被覆方法及び装置
JP2013205735A (ja) プラスチック光ファイバコードの製造方法
JP2007086250A (ja) プラスチック光学材料の製造方法
JP2006178086A (ja) 光ファイバコード及びその製造方法
JP2004029339A (ja) 難燃性光ファイバケーブルおよびその製造方法
JP2007086249A (ja) プラスチック光学材料の製造方法