JP2004027262A - 銅の電解採取用電極、電着銅の製造方法及び電着銅 - Google Patents
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Abstract
【課題】塩化物浴の電解採取法において、電着銅を確実にデンドライト状に析出させるカソード電極を提供することを目的とする。
【解決手段】電解採取法において、カソード板断面を波型構造にすることにより電流密度の差を生じさせ、電流密度の高い部分にデンドライト状の電着銅を析出させることにより、脱離性良好かつ形状の均一な電着銅を得る。
【選択図】図1
【解決手段】電解採取法において、カソード板断面を波型構造にすることにより電流密度の差を生じさせ、電流密度の高い部分にデンドライト状の電着銅を析出させることにより、脱離性良好かつ形状の均一な電着銅を得る。
【選択図】図1
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、非鉄製錬業における銅の電解採取法に使用する電極に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
銅製錬の対象となる鉱石として硫化鉱が多く、中でも黄銅鉱が中心であり、この黄銅鉱の製錬には乾式製錬法が広く用いられている。一方、硫化鉱の湿式製錬法には、大きく分けて常圧浸出法、加圧浸出法がある。常圧浸出法には、酸浸出法、錯イオン浸出法などが知られている。
【0003】
錯イオン浸出法は、金属が錯体を形成しその溶解度が増加する場合があるため、この性質を利用した浸出方法である。一般的に難溶性化合物の溶解度は、共存するイオンにより著しく変化する。例えば塩化物浴でのCuClの溶解度を考えると、その溶解度は塩素イオン濃度により変化する。このとき塩素イオン濃度の増加と共にCuCl溶解度も増加する。これはCuがCl錯体を形成するためであり、例えばCuCl2 −、CuCl3 2−のような錯体が形成される。このとき、塩素イオン濃度が高くなりすぎると、逆にCuCl溶解度は低下する。例えば、塩化物浴をNaClで調製した場合、NaCl濃度が350g/Lを越えるとNaClが溶解しなくなるため、CuCl溶解度が低下する。
【0004】
この錯イオン浸出法で浸出した溶液から目的金属を回収する一般的な方法として電解採取法がある。通常塩化物浴での電解採取では、電着物は板状では析出せず、銅粉状でカソード表面上に析出する。
【0005】
この銅粉状析出物のカソード表面からの剥離方法として、従来からスクレーパー、掻き取り棒等を間欠的にアノードとカソードの間の電解液中に挿入することにより機械的に掻き取る方法あるいはカソードに衝撃を与えることにより電着銅粉を脱離する方法が知られている。これらの方法は、電着銅がデンドライト状(樹枝状)で析出した場合その脱離効果が大きい。
【0006】
しかしながら、カソード形状を平板にすると電着銅がデンドライト状(樹枝状)で析出しにくいため、カソード表面上に電着銅粉が強固に付着するという問題点があり、上記剥離方法がうまく行われないという問題点があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記問題点を解決する、カソード表面の電着銅をデンドライト状で析出する簡便な電極を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、種々の検討を行った結果、カソード形状として、
(1)銅電解採取法によりカソード表面上に銅を析出させるに際して、カソード断面の形状を波型構造とすることによって、電流密度の差を生じさせ、電着銅形状をデンドライト状とする銅電解採取用電極。
(2)波型形状の一辺が10〜100mm、角度が50〜70度である上記(1)記載の銅電解採取用電極。
(3)銅電解採取浴がハロゲン浴において用いる上記(1)〜(2)記載の銅電解採取用電極
(4)上記(1)〜(3)記載の電極とカソードビームの持ち上げ機構及び落下機構が、モーターとこれに接続するカムギアと支点を有するアームとから構成され、モーターによる回転運動をカムギアと支点を有するアームにより直線運動に変換する手段を有する電着銅の剥離装置を併用して、電着銅を得る電着銅の製造方法。
(5)上記(1)〜(3)記載の電極を用いて電解採取することにより得られた電着銅。
を提供するものである。
【作用】
以下本発明の構成を詳しく説明する。なお構成は例を挙げて説明しているが、本発明はこの例に制限されるものではない。
【0009】
錯イオン浸出法は、金属が錯体を形成しその溶解度が増加する性質を利用した浸出方法である。この錯イオン浸出法において、例えば塩化物浴で浸出した溶液から目的金属を回収する一般的な方法として電解採取法がある。通常塩化物浴での電解採取では、電着物はデンドライト状で電着する。このデンドライト状析出物のカソード表面からの剥離方法として、従来からスクレーパー、掻き取り棒等を間欠的にアノードとカソードの間の電解液中に挿入することにより機械的に掻き取る方法が知られている。これらの方法は、電着銅がデンドライト状(樹枝状)で析出した場合その脱離効果が大きい。
【0010】
しかしながら、カソード形状を平板にすると電着銅がデンドライト状で析出しにくいため、カソード表面上に電着銅が強固に付着するという問題点があり、上記剥離方法がうまく行われないという問題点があった。
【0011】
そこで本発明者らは、デンドライト電着銅を得るための種々の検討を行った結果、カソード形状を波型にすることにより、安定してデンドライト状の電着銅が得られるとの知見を得た。
【0012】
すなわち、カソード板の断面を波型とすることにより、電流密度の大小を生じさせ、電流密度の大なる部分(波型凸部)にデンドライト状に銅を析出させる。このデンドライト状の電着銅は、スクレーパー等の公知の方法で容易に脱離が行える。
【0013】
図1により本発明の好ましい形状を説明する。カソード板1はカソードビーム2により支持され電解槽へ挿入される。このとき少なくともカソード板が液中に浸される部分が波型である。波型の凸部が、対面するアノードに最も近いため電流が集中し、高電流密度となる。このため、凸部にデンドライト状の銅が析出しやすくなる。デンドライト状の電着銅は、スクレーパーや掻き取り棒などでカソード表面より容易に剥離され電解槽底へ落下回収される。
【0014】
図2により波型の好ましい形状について説明する。波型は、円弧上であっても良い。
ただより好ましいのは、凹凸を形成する一辺が10〜100mmである。一辺の長さを100mmより長くすると対面するアノードとの距離が縮まりショートの危険性が出てくる。また一辺の長さを10mmより短くすると波型の凹凸が小さく、すなわち電流密度の分布が小さくなり、デンドライト状の析出が得難くなる。好ましくは、10〜40mmである。40mmより小さい方が、より上記したショートの危険性が少ないからである。
挟角は50〜70度が好ましい。角度を70度より大きくすると凹凸が小さくなり電流密度の差がなくなり、角度を50度より小さくすると凹部が極端に狭くなりこの部分に析出した電着銅が脱離せず凹部が閉塞する可能性がある。
より好ましくは、55〜65度である。65度より小さい方が、凹凸ができ、電流密度の差が大きくなるからであり,55度より、大きいほうが、凹部が極端に狭くならないため電着銅の脱離がし易いからである。
さらに、狭角は波型が正三角形を形成する60度が最も好ましい。
【0015】
カソード電極断面を波型にすることにより、表面積>投影面積となり差が生じる。このため一定電流を流した場合のカソード電流密度は、投影面積基準電流密度>表面積基準電流密度となり、電極全体に対する負荷が軽減される。したがって、平板と同一電流負荷を掛けた場合、見掛け電流密度は向上し生産性の向上が望める。
【0016】
また波型の凸部に電流が集中するため、安定してデンドライト状の電着銅が得られる。このことにより、デンドライト形状が安定し、不純物成分(Pb,Bi,Sb,As等)の少ない高純度の製品を得ることもできる。
【表1】
【0017】
以上説明したように、カソード断面形状を波型にすることにより、電着銅をデンドライト状で析出させ、製品の純度も高く、電着銅の剥離が容易な方法を確立した。
また更に電着銅の剥離装置を併用して、より効率的に電着銅の剥離が行われる。出願人が先に特許出願(特願2002−154868号)している電着銅の剥離装置を用いることが好ましい。
この装置の一例を第3図に示す。
前記装置は、カソードビームの持ち上げ機構及び落下機構が、モーターとこれに接続するカムギアと支点を有するアームとから構成され、モーターによる回転運動をカムギアと支点を有するアームにより直線運動に変換する手段を有することを特徴とする電着銅の剥離装置である。
【実施例】
【0018】
以下本発明の実施例を説明する。なお本発明は実施例に限定されるものではない。
【0019】
電解液として塩化第一銅と塩化ナトリウムの混合液を用いて電解採取を行った。電解液組成を以下に示す。
【表2】
【0020】
この電解液を用いて電解採取を行った。その条件を以下に示す。
図3に示した装置を使用した。カム8の起動に沿ってアーム7が動くため、振動と衝撃が定期的にカソード与えられ、以下に示すように電着銅が均一に剥離された。
【0021】
合計64時間通電したが、この間剥離不良によるショートは発生しなかった。表3に示すごとく、このときの電着銅平均粒径は407μmであり、10%通過粒径(P10)=233μm、90%通過粒径(P90)=645μmであった。また、嵩比重を測定した結果、2.61g/mLであった。
デンドライト銅はカソード凸部から約30mm程度アノード側に成長したが、電着銅の剥離装置との併用で容易に脱離され、30mm以上のデンドライト成長は認められなかった。
【比較例】
【0022】
カソードをチタンの平板とした他は実施例と同様にして電解試験を行った結果、通電開始から80時間通電したがショートは発生しなかった。
表3に示すごとく、電着銅粒度平均値は176μmであり、10%通過粒径(P10)=82μm、90%通過粒径(P90)425μmであった。また、嵩比重を測定した結果、2.84g/mLであった。
実施例の効果として、嵩比重は比較例と同等なものが得られ、さらに粒度の大きいかつ粒度の均一なデンドライト銅を得ることが可能であることが確認できた。
【0023】
【表3】
このように、カソードを波型とした結果、粒径が大きくかつ粒径ばらつきの少ない電着銅が得られた。粒径が大きくそのバラツキも小さいことにより、電着銅ハンドリングが容易に行えるメリットも発生した。
【0024】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明により
(1)塩化物浴においても確実にデンドライト状電着銅をカソード上に析出することが可能であり、その粒径が大きくかつ粒径ばらつきの少ないものが安定して製造可能である。
(2)デンドライト状であるためカソードからの離脱効果が高く、操業上においても好ましい。
(3)デンドライト状で得られた銅の純度も高品位の物が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】は、カソードの平面及び側面図を示す。
【図2】は、カソードの下方図を示す。
【図3】は、電着銅の剥離装置の斜視図を示す。
【符号の説明】
1 カソード板
2 カソードビーム
6 カソード端部
7 アーム
8 カム
【産業上の利用分野】
本発明は、非鉄製錬業における銅の電解採取法に使用する電極に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
銅製錬の対象となる鉱石として硫化鉱が多く、中でも黄銅鉱が中心であり、この黄銅鉱の製錬には乾式製錬法が広く用いられている。一方、硫化鉱の湿式製錬法には、大きく分けて常圧浸出法、加圧浸出法がある。常圧浸出法には、酸浸出法、錯イオン浸出法などが知られている。
【0003】
錯イオン浸出法は、金属が錯体を形成しその溶解度が増加する場合があるため、この性質を利用した浸出方法である。一般的に難溶性化合物の溶解度は、共存するイオンにより著しく変化する。例えば塩化物浴でのCuClの溶解度を考えると、その溶解度は塩素イオン濃度により変化する。このとき塩素イオン濃度の増加と共にCuCl溶解度も増加する。これはCuがCl錯体を形成するためであり、例えばCuCl2 −、CuCl3 2−のような錯体が形成される。このとき、塩素イオン濃度が高くなりすぎると、逆にCuCl溶解度は低下する。例えば、塩化物浴をNaClで調製した場合、NaCl濃度が350g/Lを越えるとNaClが溶解しなくなるため、CuCl溶解度が低下する。
【0004】
この錯イオン浸出法で浸出した溶液から目的金属を回収する一般的な方法として電解採取法がある。通常塩化物浴での電解採取では、電着物は板状では析出せず、銅粉状でカソード表面上に析出する。
【0005】
この銅粉状析出物のカソード表面からの剥離方法として、従来からスクレーパー、掻き取り棒等を間欠的にアノードとカソードの間の電解液中に挿入することにより機械的に掻き取る方法あるいはカソードに衝撃を与えることにより電着銅粉を脱離する方法が知られている。これらの方法は、電着銅がデンドライト状(樹枝状)で析出した場合その脱離効果が大きい。
【0006】
しかしながら、カソード形状を平板にすると電着銅がデンドライト状(樹枝状)で析出しにくいため、カソード表面上に電着銅粉が強固に付着するという問題点があり、上記剥離方法がうまく行われないという問題点があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記問題点を解決する、カソード表面の電着銅をデンドライト状で析出する簡便な電極を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、種々の検討を行った結果、カソード形状として、
(1)銅電解採取法によりカソード表面上に銅を析出させるに際して、カソード断面の形状を波型構造とすることによって、電流密度の差を生じさせ、電着銅形状をデンドライト状とする銅電解採取用電極。
(2)波型形状の一辺が10〜100mm、角度が50〜70度である上記(1)記載の銅電解採取用電極。
(3)銅電解採取浴がハロゲン浴において用いる上記(1)〜(2)記載の銅電解採取用電極
(4)上記(1)〜(3)記載の電極とカソードビームの持ち上げ機構及び落下機構が、モーターとこれに接続するカムギアと支点を有するアームとから構成され、モーターによる回転運動をカムギアと支点を有するアームにより直線運動に変換する手段を有する電着銅の剥離装置を併用して、電着銅を得る電着銅の製造方法。
(5)上記(1)〜(3)記載の電極を用いて電解採取することにより得られた電着銅。
を提供するものである。
【作用】
以下本発明の構成を詳しく説明する。なお構成は例を挙げて説明しているが、本発明はこの例に制限されるものではない。
【0009】
錯イオン浸出法は、金属が錯体を形成しその溶解度が増加する性質を利用した浸出方法である。この錯イオン浸出法において、例えば塩化物浴で浸出した溶液から目的金属を回収する一般的な方法として電解採取法がある。通常塩化物浴での電解採取では、電着物はデンドライト状で電着する。このデンドライト状析出物のカソード表面からの剥離方法として、従来からスクレーパー、掻き取り棒等を間欠的にアノードとカソードの間の電解液中に挿入することにより機械的に掻き取る方法が知られている。これらの方法は、電着銅がデンドライト状(樹枝状)で析出した場合その脱離効果が大きい。
【0010】
しかしながら、カソード形状を平板にすると電着銅がデンドライト状で析出しにくいため、カソード表面上に電着銅が強固に付着するという問題点があり、上記剥離方法がうまく行われないという問題点があった。
【0011】
そこで本発明者らは、デンドライト電着銅を得るための種々の検討を行った結果、カソード形状を波型にすることにより、安定してデンドライト状の電着銅が得られるとの知見を得た。
【0012】
すなわち、カソード板の断面を波型とすることにより、電流密度の大小を生じさせ、電流密度の大なる部分(波型凸部)にデンドライト状に銅を析出させる。このデンドライト状の電着銅は、スクレーパー等の公知の方法で容易に脱離が行える。
【0013】
図1により本発明の好ましい形状を説明する。カソード板1はカソードビーム2により支持され電解槽へ挿入される。このとき少なくともカソード板が液中に浸される部分が波型である。波型の凸部が、対面するアノードに最も近いため電流が集中し、高電流密度となる。このため、凸部にデンドライト状の銅が析出しやすくなる。デンドライト状の電着銅は、スクレーパーや掻き取り棒などでカソード表面より容易に剥離され電解槽底へ落下回収される。
【0014】
図2により波型の好ましい形状について説明する。波型は、円弧上であっても良い。
ただより好ましいのは、凹凸を形成する一辺が10〜100mmである。一辺の長さを100mmより長くすると対面するアノードとの距離が縮まりショートの危険性が出てくる。また一辺の長さを10mmより短くすると波型の凹凸が小さく、すなわち電流密度の分布が小さくなり、デンドライト状の析出が得難くなる。好ましくは、10〜40mmである。40mmより小さい方が、より上記したショートの危険性が少ないからである。
挟角は50〜70度が好ましい。角度を70度より大きくすると凹凸が小さくなり電流密度の差がなくなり、角度を50度より小さくすると凹部が極端に狭くなりこの部分に析出した電着銅が脱離せず凹部が閉塞する可能性がある。
より好ましくは、55〜65度である。65度より小さい方が、凹凸ができ、電流密度の差が大きくなるからであり,55度より、大きいほうが、凹部が極端に狭くならないため電着銅の脱離がし易いからである。
さらに、狭角は波型が正三角形を形成する60度が最も好ましい。
【0015】
カソード電極断面を波型にすることにより、表面積>投影面積となり差が生じる。このため一定電流を流した場合のカソード電流密度は、投影面積基準電流密度>表面積基準電流密度となり、電極全体に対する負荷が軽減される。したがって、平板と同一電流負荷を掛けた場合、見掛け電流密度は向上し生産性の向上が望める。
【0016】
また波型の凸部に電流が集中するため、安定してデンドライト状の電着銅が得られる。このことにより、デンドライト形状が安定し、不純物成分(Pb,Bi,Sb,As等)の少ない高純度の製品を得ることもできる。
【表1】
【0017】
以上説明したように、カソード断面形状を波型にすることにより、電着銅をデンドライト状で析出させ、製品の純度も高く、電着銅の剥離が容易な方法を確立した。
また更に電着銅の剥離装置を併用して、より効率的に電着銅の剥離が行われる。出願人が先に特許出願(特願2002−154868号)している電着銅の剥離装置を用いることが好ましい。
この装置の一例を第3図に示す。
前記装置は、カソードビームの持ち上げ機構及び落下機構が、モーターとこれに接続するカムギアと支点を有するアームとから構成され、モーターによる回転運動をカムギアと支点を有するアームにより直線運動に変換する手段を有することを特徴とする電着銅の剥離装置である。
【実施例】
【0018】
以下本発明の実施例を説明する。なお本発明は実施例に限定されるものではない。
【0019】
電解液として塩化第一銅と塩化ナトリウムの混合液を用いて電解採取を行った。電解液組成を以下に示す。
【表2】
【0020】
この電解液を用いて電解採取を行った。その条件を以下に示す。
図3に示した装置を使用した。カム8の起動に沿ってアーム7が動くため、振動と衝撃が定期的にカソード与えられ、以下に示すように電着銅が均一に剥離された。
【0021】
合計64時間通電したが、この間剥離不良によるショートは発生しなかった。表3に示すごとく、このときの電着銅平均粒径は407μmであり、10%通過粒径(P10)=233μm、90%通過粒径(P90)=645μmであった。また、嵩比重を測定した結果、2.61g/mLであった。
デンドライト銅はカソード凸部から約30mm程度アノード側に成長したが、電着銅の剥離装置との併用で容易に脱離され、30mm以上のデンドライト成長は認められなかった。
【比較例】
【0022】
カソードをチタンの平板とした他は実施例と同様にして電解試験を行った結果、通電開始から80時間通電したがショートは発生しなかった。
表3に示すごとく、電着銅粒度平均値は176μmであり、10%通過粒径(P10)=82μm、90%通過粒径(P90)425μmであった。また、嵩比重を測定した結果、2.84g/mLであった。
実施例の効果として、嵩比重は比較例と同等なものが得られ、さらに粒度の大きいかつ粒度の均一なデンドライト銅を得ることが可能であることが確認できた。
【0023】
【表3】
このように、カソードを波型とした結果、粒径が大きくかつ粒径ばらつきの少ない電着銅が得られた。粒径が大きくそのバラツキも小さいことにより、電着銅ハンドリングが容易に行えるメリットも発生した。
【0024】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明により
(1)塩化物浴においても確実にデンドライト状電着銅をカソード上に析出することが可能であり、その粒径が大きくかつ粒径ばらつきの少ないものが安定して製造可能である。
(2)デンドライト状であるためカソードからの離脱効果が高く、操業上においても好ましい。
(3)デンドライト状で得られた銅の純度も高品位の物が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】は、カソードの平面及び側面図を示す。
【図2】は、カソードの下方図を示す。
【図3】は、電着銅の剥離装置の斜視図を示す。
【符号の説明】
1 カソード板
2 カソードビーム
6 カソード端部
7 アーム
8 カム
Claims (5)
- 銅電解採取法によりカソード表面上に銅を析出させるに際して、カソード断面の形状を波型構造とすることによって、電流密度の差を生じさせ、電着銅形状をデンドライト状とすることを特徴とする銅電解採取用電極。
- 請求項1記載の電極が、波型形状の一辺が10〜100mm、角度が50〜70度であることを特徴とする銅電解採取用電極。
- 銅電解採取浴がハロゲン浴において用いることを特徴とする請求項1〜2記載の銅電解採取用電極。
- 請求項1〜3記載の電極とカソードビームの持ち上げ機構及び落下機構が、モーターとこれに接続するカムギアと支点を有するアームとから構成され、モーターによる回転運動をカムギアと支点を有するアームにより直線運動に変換する手段を有する電着銅の剥離装置を併用して電着銅を得ることを特徴とする電着銅の製造方法。
- 請求項1〜3記載の電極を用いて電解採取することにより得られたことを特徴とする電着銅。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002182783A JP2004027262A (ja) | 2002-06-24 | 2002-06-24 | 銅の電解採取用電極、電着銅の製造方法及び電着銅 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002182783A JP2004027262A (ja) | 2002-06-24 | 2002-06-24 | 銅の電解採取用電極、電着銅の製造方法及び電着銅 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004027262A true JP2004027262A (ja) | 2004-01-29 |
Family
ID=31179190
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002182783A Pending JP2004027262A (ja) | 2002-06-24 | 2002-06-24 | 銅の電解採取用電極、電着銅の製造方法及び電着銅 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004027262A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101483547B1 (ko) | 2011-01-31 | 2015-01-16 | 마츠다 산교 가부시끼가이샤 | 전해 회수 장치 및 그것을 사용하는 방법 |
-
2002
- 2002-06-24 JP JP2002182783A patent/JP2004027262A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101483547B1 (ko) | 2011-01-31 | 2015-01-16 | 마츠다 산교 가부시끼가이샤 | 전해 회수 장치 및 그것을 사용하는 방법 |
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