JP2004027032A - タイヤ組成物用黒色複合充填材料及びタイヤ組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】アルミナ、水和アルミナ、水酸化アルミニウム、アルミノケイ酸塩、クレー、タルク、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、硫酸バリウム及び酸化亜鉛から選ばれる無機粒子の粒子表面が糊剤によって被覆されていると共に、該糊剤被覆無機粒子表面にカーボンブラックが付着している黒色複合粒子粉末であって、前記カーボンブラックの付着量が前記無機粒子粉末100重量部に対して1〜500重量部であることタイヤ組成物用黒色複合充填材料からなる。
【選択図】 なし
Description
【産業上の利用分野】
本発明は、黒色度が高く、光による褪色が抑制され、且つ、低い体積固有抵抗値と優れた分散性を有しているタイヤ用黒色複合充填材料を提供すると共に、該黒色複合充填材料をゴムに配合した場合、光による褪色が抑制され、且つ、低い電気抵抗値と優れた耐摩耗性及び引張強さとを有しているタイヤ組成物を提供することを目的とする。
【0002】
【従来の技術】
自動車用タイヤには、走行安全性の面から、湿潤路面におけるタイヤのグリップ性、耐摩耗性及び破断強度が高いことが要求されている。また、近年、省エネルギー、省資源の面から、自動車用タイヤの転がり抵抗を小さくして燃料消費を軽減する、いわゆる低燃費タイヤの開発が盛んに行われている。
【0003】
また、自動車用タイヤは、電気抵抗値が高い場合、静電破壊による放電によってラジオなどの電子機器へのノイズを発生させたり、自動車に発生した静電気が帯電して、給油中等にスパークして引火する危険性があるため、電気抵抗値が低いことが強く要求されている。
【0004】
従来、タイヤ等のゴム組成物には、補強、耐摩耗性向上及び電気抵抗値低減を目的として、カーボンブラックが配合されている。
【0005】
また、タイヤの各種性能を更に向上させる目的で、シリカ、アルミナ、アルミノシリケート、水酸化アルミニウム、酸化カルシウム及び炭酸カルシウム等をタイヤ等のゴム補強用充填材として配合することが提案されており、既に実用化されている(特開平9−328576号公報、特開平10−95873号公報、特開平10−158435号公報、特開2000−119400号公報、特開2000−119444号公報、特開2000−204196号公報、特開2000−230081号公報、特開2000−234036号公報、特開2000−281833号公報、特開2001−335664号公報、特開2002−12706号公報、特開2002−88198号公報)。
【0006】
しかしながら、上記シリカ、アルミナ、アルミノシリケート、水酸化アルミニウム、酸化カルシウム及び炭酸カルシウム等は、粒子表面に水酸基を有しているため親水性であり、タイヤ用に一般的に用いられているゴムとは相溶性が低く、タイヤ等のゴム組成物中への均一な分散が困難であった。
【0007】
そこで、ゴム組成物中への分散性改善を目的として、酸化カルシウムを高級脂肪酸、混合脂肪酸又はプロセスオイルで処理したゴム用充填剤を配合したトレッド用ゴム組成物が提案されている(特開平4−224839号公報)。
【0008】
また、充填補強材として前記シリカ、アルミナ、アルミノシリケート、水酸化アルミニウム、酸化カルシウム及び炭酸カルシウム等を用いた場合、該粒子粉末が非導電性であることによって、タイヤの電気抵抗値が高くなるため、該粒子粉末と共に、カーボンブラック粒子粉末等の導電性粒子粉末を併用することも行われており、既に実用化されている(特開昭52−93452号公報、特許第2722077号公報、特許第2788212号公報、特許第3160552号公報等)。
【0009】
更に、自動車のタイヤは一般に黒色であり、視覚性の面から黒色度が高く、光による褪色が抑制されることが強く要求されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
光による褪色が抑制され、且つ、低い電気抵抗値と優れた耐摩耗性及び引張強さを有しているタイヤ組成物は、現在最も要求されているところであるが、このような諸特性を有するタイヤ組成物は、未だ得られていない。
【0011】
前出特開平4−224839号公報には、酸化カルシウムを高級脂肪酸、混合脂肪酸又はプロセスオイルで処理したゴム用充填剤を配合したタイヤのトレッド用ゴム組成物が記載されているが、この方法によれば、表面処理酸化カルシウムのゴム中での分散性は改善できるが、表面処理酸化カルシウムの体積固有抵抗値は依然高いままであり、得られるタイヤのトレッド用ゴム組成物の電気抵抗値を低減することは困難であった。
【0012】
前出特開昭52−93452号公報、特許第2722077号公報及び特許第3160552号公報には、いずれも粒子表面にカーボンブラックが被覆されたシリカ粒子又は該表面被覆シリカ粒子粉末を充填材として含むゴム組成物が記載されているが、いずれも、有機物を熱分解することによりシリカ表面にカーボンブラック層を形成しているため、後出比較例に示す通り、芯粒子表面へのカーボンブラックの付着強度が弱く、ゴム組成物中に練込んだ場合、カーボンブラックが脱離して芯粒子表面が露出してしまうため、ゴム組成物中への分散が不均一となり、耐摩耗性及び引張強さが低下する。
【0013】
前出特許第2788212号公報には、シリカ量が0.1〜50重量%のシリカで表面処理をしたカーボンブラックを含むタイヤトレッド用ゴム組成物が記載されているが、カーボンブラック表面へのシリカの付着強度が弱いため、ゴム組成物中に練込んだ場合、シリカがカーボンブラック表面から脱離してしまい、均一な分散を妨げられる。
【0014】
そこで、本発明は、光による褪色が抑制され、且つ、低い電気抵抗値と優れた耐摩耗性及び引張強さとを有しているタイヤ組成物を得ることを目的として、黒色度が高く、光による褪色が抑制され、且つ、低い体積固有抵抗値と優れた分散性を有しているタイヤ組成物用黒色複合充填材料を得ることを技術的課題とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
前記技術的課題は、次の通りの本発明によって達成できる。
【0016】
即ち、本発明は、アルミナ、水和アルミナ、水酸化アルミニウム、アルミノケイ酸塩、クレー、タルク、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、硫酸バリウム及び酸化亜鉛から選ばれる一種または二種以上の無機粒子の粒子表面が糊剤によって被覆されていると共に、該糊剤被覆無機粒子表面の少なくとも一部にカーボンブラックが付着している平均粒子径が0.001〜5.0μmの黒色複合粒子粉末であって、前記カーボンブラックの付着量が前記無機粒子粉末100重量部に対して1〜500重量部であることを特徴とするタイヤ組成物用黒色複合充填材料である(本発明1)。
【0017】
また、本発明は、アルミナ、水和アルミナ、水酸化アルミニウム、アルミノケイ酸塩、クレー、タルク、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、硫酸バリウム及び酸化亜鉛から選ばれる一種または二種以上の無機粒子の粒子表面が、アルコキシシランから生成するオルガノシラン化合物又はポリシロキサンによって被覆されていると共に、該糊剤被覆無機粒子表面の少なくとも一部にカーボンブラックが付着している平均粒子径が0.001〜5.0μmの黒色複合粒子粉末であって、前記カーボンブラックの付着量が前記無機粒子粉末100重量部に対して1〜500重量部であることを特徴とするタイヤ組成物用黒色複合充填材料である(本発明2)。
【0018】
また、本発明は、本発明1又は本発明2記載の黒色複合粒子の粒子表面が、脂肪酸、脂肪酸金属塩又はカップリング剤によって被覆されていることを特徴とするタイヤ組成物用黒色複合充填材料である(本発明3)。
【0019】
また、本発明は、本発明1乃至本発明3記載の無機粒子の粒子表面が、あらかじめルミニウムの水酸化物、アルミニウムの酸化物、ケイ素の水酸化物及びケイ素の酸化物より選ばれる少なくとも一種からなる中間被覆物によって被覆されていることを特徴とするタイヤ組成物用黒色複合充填材料である。(本発明4)
【0020】
また、本発明は、本発明1乃至本発明4のいずれかに記載のタイヤ組成物用黒色複合充填材料を用いたことを特徴とするタイヤ組成物である。(本発明5)
【0021】
本発明の構成を詳しく説明すれば、次の通りである。
【0022】
先ず、本発明に係る黒色複合充填材料は、アルミナ、水和アルミナ、水酸化アルミニウム、アルミノケイ酸塩、クレー、タルク、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、硫酸バリウム及び酸化亜鉛から選ばれる一種または二種以上の無機粒子の粒子表面が糊剤によって被覆されていると共に、該糊剤被覆無機粒子表面の少なくとも一部にカーボンブラックが付着している黒色複合粒子からなる。
【0023】
本発明における無機粒子粉末としては、アルミナ、水和アルミナ、水酸化アルミニウム、アルミノケイ酸塩、クレー、タルク、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、硫酸バリウム及び酸化亜鉛から選ばれる一種または二種以上を用いることができる。得られる黒色複合充填材料のタイヤ組成物中における分散性を考慮すれば、アルミナ、水和アルミナ、水酸化アルミニウム、クレー、炭酸カルシウム及び酸化亜鉛が好ましい。
【0024】
無機粒子粉末の粒子形状は、球状、粒状、不定形、針状及び板状等のいずれの形状であってもよい。得られる黒色複合充填材料のタイヤ組成物中における分散性を考慮すれば、球状粒子又は粒状粒子が好ましい。
【0025】
無機粒子粉末の粒子サイズは、平均粒子径が0.001〜5.0μm、好ましくは0.002〜4.0μm、より好ましくは0.003〜3.0μmである。
【0026】
平均粒子径が5.0μmを超える場合には、得られる黒色複合充填材料が粗大粒子となるためタイヤ組成物中における均一性が低下し、0.001μm未満の場合には、粒子の微細化による分子間力の増大により凝集を起こしやすくなるため、粒子表面への糊剤による均一な被覆処理及びカーボンブラックによる均一な付着処理が困難となる。
【0027】
無機粒子粉末のBET比表面積値は0.1m2/g以上が好ましい。BET比表面積値が0.1m2/g未満の場合には、無機粒子が粗大であったり、粒子及び粒子相互間で焼結が生じた粒子となっており、得られる黒色複合充填材料が粗大粒子となるためタイヤ組成物中における均一性が低下する。タイヤ組成物中における均一性を考慮すると、BET比表面積値は0.2m2/g以上がより好ましく、最も好ましくは0.3m2/g以上である。無機粒子表面への糊剤による均一な被覆処理及びカーボンブラックによる均一な付着処理を考慮すると、その上限値は500m2/gが好ましく、より好ましくは400m2/g、最も好ましくは300m2/gである。
【0028】
本発明における無機粒子粉末の隠蔽力は、1000cm2/g未満が好ましい。得られる黒色複合充填材料の黒色度を考慮すれば、隠蔽力は800cm2/g以下がより好ましく、更に好ましくは600cm2/g以下、最も好ましくは300cm2/g以下である。
【0029】
無機粒子粉末の体積固有抵抗値は、通常1.0×105Ω・cm以上である。
【0030】
本発明における糊剤としては、無機粒子の粒子表面へカーボンブラックを付着できるものであれば何を用いてもよく、好ましくはアルコキシシラン、フルオロアルキルシラン、ポリシロキサン等の有機ケイ素化合物、シラン系、チタネート系、アルミネート系及びジルコネート系の各種カップリング剤、オリゴマー又は高分子化合物の一種又は二種以上である。無機粒子の粒子表面へのカーボンブラックの付着強度を考慮すれば、より好ましくはアルコキシシラン又はポリシロキサンである。
【0031】
本発明における有機ケイ素化合物としては、化1で表わされるアルコキシシランから生成するオルガノシラン化合物、化2で表わされるポリシロキサン、化3で表わされる変成ポリシロキサン、化4で表わされる末端変成ポリシロキサン並びに化5で表されるフルオロアルキルシランから生成するフッ素含有オルガノシラン化合物又はこれらの混合物を用いることができる。
【0032】
【化1】
【0033】
アルコキシシランとしては、具体的には、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0034】
無機粒子の粒子表面へのカーボンブラックの付着強度を考慮すると、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシランから生成するオルガノシラン化合物がより好ましく、最も好ましくはメチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン及びフェニルトリエトキシシランから生成するオルガノシラン化合物である。
【0035】
【化2】
【0036】
【化3】
【0037】
【化4】
【0038】
無機粒子の粒子表面へのカーボンブラックの付着強度を考慮すると、メチルハイドロジェンシロキサン単位を有するポリシロキサン、ポリエーテル変成ポリシロキサン及び末端がカルボン酸で変成された末端カルボン酸変成ポリシロキサンが好ましい。
【0039】
【化5】
【0040】
フルオロアルキルシランとしては、具体的には、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルメチルジメトキシシラン、トリフルオロプロピルエトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリエトキシシラン等が挙げられる。
【0041】
無機粒子の粒子表面へのカーボンブラックの付着強度を考慮すると、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシランから生成するフッ素含有オルガノシラン化合物が好ましく、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシランから生成するフッ素含有オルガノシラン化合物が最も好ましい。
【0042】
カップリング剤のうち、シラン系カップリング剤としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0043】
チタネート系カップリング剤としては、イソプロピルトリステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル・アミノエチル)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスフェイト)チタネート、テトラ(2−2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスフェイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート等が挙げられる。
【0044】
アルミネート系カップリング剤としては、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムジイソプロボキシモノエチルアセトアセテート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、アルミニウムトリスアセチルアセトネート等が挙げられる。
【0045】
ジルコネート系カップリング剤としては、ジルコニウムテトラキスアセチルアセトネート、ジルコニウムジブトキシビスアセチルアセトネート、ジルコニウムテトラキスエチルアセトアセテート、ジルコニウムトリブトキシモノエチルアセトアセテート、ジルコニウムトリブトキシアセチルアセトネート等が挙げられる。
【0046】
オリゴマーとしては、分子量300以上、10,000未満のものが好ましく、高分子化合物としては、分子量10,000以上、100,000程度のものが好ましい。無機粒子の粒子表面への均一な被覆処理を考慮すれば、液状、もしくは、水又は各種溶剤に可溶なオリゴマー又は高分子化合物が好ましい。
【0047】
糊剤の被覆量は、糊剤被覆無機粒子粉末に対してC換算で0.01〜15.0重量%が好ましく、より好ましくは0.02〜12.5重量%、最も好ましくは0.03〜10.0重量%である。
【0048】
0.01重量%未満の場合には、無機粒子粉末100重量部に対して1重量部以上のカーボンブラックを付着させることが困難である。15.0重量%を超える場合には、無機粒子粉末100重量部に対してカーボンブラックを1〜500重量部付着させることができるため、必要以上に被覆する意味がない。
【0049】
カーボンブラックの付着量は、無機粒子粉末100重量部に対して1〜500重量部であり、好ましくは30〜400重量部、より好ましくは50〜300重量部である。
【0050】
1重量部未満の場合には、カーボンブラックの付着量が不十分であり、十分に体積固有抵抗値を低減できないとともに、十分な黒色度を有する黒色複合充填材料を得ることが困難である。
【0051】
500重量部を超える場合には、十分な黒色度及び体積固有抵抗値を有する黒色複合充填材料が得られるが、カーボンブラックの付着量が多いためカーボンブラックが脱離しやすくなり、その結果、タイヤ組成物中への分散性が低下する。
【0052】
本発明に係る黒色複合充填材料の粒子形状や粒子サイズは、芯粒子である無機粒子の粒子形状や粒子サイズに大きく依存し、芯粒子に相似する粒子形態を有している。
【0053】
本発明に係る黒色複合充填材料の粒子サイズは、平均粒子径が0.001〜5.0μm、好ましくは0.002〜4.0μm、より好ましくは0.003〜3.0μmである。
【0054】
平均粒子径が5.0μmを超える場合には、粒子サイズが大きすぎるため、タイヤ組成物中における均一性が不十分となる。0.001μm未満の場合には、粒子の微細化による分子間力の増大により凝集を起こしやすくなるため、タイヤ組成物中における分散が困難となる。
【0055】
本発明に係る黒色複合充填材料のBET比表面積値は0.1〜500m2/gが好ましく、より好ましくは0.2〜400m2/g、最も好ましくは0.3〜300m2/gである。BET比表面積値が0.1m2/g未満の場合には、粒子が粗大であるか、粒子及び粒子相互間で焼結が生じた粒子となっており、タイヤ組成物中における均一性が低下する。BET比表面積値が500m2/gを超える場合には、粒子の微細化による分子間力の増大により凝集を起こしやすいため、タイヤ組成物中への分散性が低下する。
【0056】
本発明に係る黒色複合充填材料の黒色度は、L*値が22.0以下が好ましく、より好ましくは21.0以下、最も好ましくは20.0以下である。L*値が22.0を超える場合には、明度が高くなり、黒色度が優れているとは言い難い。
【0057】
本発明に係る黒色複合充填材料の体積固有抵抗値は、1.0×105Ω・cm未満が好ましく、より好ましくは5.0×104Ω・cm以下、最も好ましくは1.0×104Ω・cm以下である。体積固有抵抗値が1.0×105Ω・cm以上の場合は、得られるタイヤ組成物の体積固有抵抗値を十分に低減することが困難となる。体積固有抵抗値の下限値は1.0×10Ω・cm程度である。
【0058】
本発明に係る黒色複合充填材料の耐光性は、後述する評価方法において、ΔE*値で5.0以下が好ましく、より好ましくは4.0以下である。
【0059】
本発明に係る黒色複合充填材料のカーボンブラックの脱離率は20%以下が好ましく、より好ましくは15%以下である。カーボンブラックの脱離率が20%を超える場合には、脱離したカーボンブラックによりタイヤ組成物中での均一な分散が阻害される場合がある。
【0060】
本発明に係る黒色複合充填材料は、必要により、黒色複合充填材料の粒子表面を、更に、脂肪酸、脂肪酸金属塩又はシランカップリング剤によって被覆しておいてもよく(本発明3)、脂肪酸、脂肪酸金属塩又はシランカップリング剤によって被覆しない場合に比べ、タイヤ組成物中における分散性が向上する。
【0061】
本発明における脂肪酸としては、飽和又は不飽和の脂肪酸を用いることができ、炭素数12〜22のものが好ましい。
【0062】
本発明における脂肪酸金属塩としては、飽和又は不飽和の脂肪酸と金属との塩類を用いることができ、炭素数12〜18の脂肪酸とマグネシウム、カルシウム、ストロンチウム及びバリウム等のアルカリ土類金属、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属及び亜鉛、アルミニウム、銅、鉄、鉛、スズ等の金属との塩類を用いることが好ましい。タイヤ組成物中における分散性を考慮すれば、ステアリン酸のアルカリ土類金属塩又はステアリン酸亜鉛が好ましい。
【0063】
本発明におけるシランカップリング剤としては、ゴムの配合用に一般的に用いられているものを用いることができ、たとえば、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス−(3−(トリメトキシシリル)プロピル)テトラスルフェン、γ−トリメトキシシリルプロピルジメチルチオカルバミルテトラスルフェン、γ−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアジルテトラスルフェンがあげられる。
【0064】
タイヤ組成物中での補強効果を考慮すれば、ゴムの炭素−炭素二重結合と反応可能なポリスルフィド、メルカプト基、エポキシ基等の官能基をもつものが好ましく、具体的には、ポリスルフィドをもつものとしては、ビス−(3−(トリメトキシシリル)プロピル)テトラスルフェン、γ−トリメトキシシリルプロピルジメチルチオカルバミルテトラスルフェン、γ−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアジルテトラスルフェン等があり、メルカプト基をもつものとしては、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等があり、エポキシ基をもつものとしては、β−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等がある。
【0065】
脂肪酸、脂肪酸金属塩又はシランカップリング剤の被覆量は、脂肪酸、脂肪酸金属塩又はシランカップリング剤被覆黒色複合充填材料に対してC換算で0.1〜10.0重量%が好ましく、より好ましくは0.2〜7.5重量%、最も好ましくは0.3〜5.0重量%である。
【0066】
0.1重量%未満の場合には、タイヤ組成物中における分散性改善効果が得られない。10.0重量%を超える場合には、タイヤ組成物中における分散性改善効果が飽和するため、必要以上に被覆する意味がない。
【0067】
本発明3に係る黒色複合充填材料は、本発明1に係る黒色複合充填材料とほぼ同程度の粒子サイズ、BET比表面積値、体積固有抵抗値、黒色度、耐光性及びカーボンブラックの脱離率を有している。
【0068】
本発明に係る黒色複合充填材料は、必要により、無機粒子の粒子表面をあらかじめ、アルミニウムの水酸化物、アルミニウムの酸化物、ケイ素の水酸化物及びケイ素の酸化物より選ばれる少なくとも1種からなる中間被覆物で被覆しておいてもよく(本発明4)、中間被覆物で被覆しない場合に比べ、無機粒子の粒子表面からのカーボンブラックの脱離率をより低減することができる。
【0069】
中間被覆物による被覆量は、中間被覆物で被覆された無機粒子粉末に対してAl換算、SiO2換算又はAl換算量とSiO2換算量との総和で0.01〜
20重量%が好ましい。
【0070】
0.01重量%未満である場合には、カーボンブラックの脱離率の低減効果が得られない。0.01〜20重量%の被覆量により、カーボンブラックの脱離率低減効果が十分に得られるので、20重量%を超えて必要以上に被覆する意味がない。
【0071】
本発明4に係る黒色複合充填材料は、本発明1及び本発明2に係る黒色複合充填材料とほぼ同程度の粒子サイズ、BET比表面積値、体積固有抵抗値、黒色度及び耐光性を有している。また、カーボンブラックの脱離率は中間被覆物で被覆することによって向上し、脱離率は15%以下が好ましく、より好ましくは10%以下である。
【0072】
次に、本発明に係る黒色複合充填材料を用いたタイヤ組成物について述べる。
【0073】
本発明1又は本発明2に係る黒色複合充填材料を用いたタイヤ組成物は、分散状態は4又は5が好ましく、より好ましくは5であり、耐摩耗性は相対値で103以上が好ましく、より好ましくは105以上であり、体積固有抵抗値は1.0×105Ω・cm以下が好ましく、より好ましくは5.0×104Ω・cm以下であり、引張強さは23.0MPa以上が好ましく、より好ましくは23.5MPa以上であり、耐光性はΔE*値で5.0以下が好ましく、より好ましくは4.5以下であり、最も好ましくは4.0以下である。
【0074】
本発明3に係る黒色複合充填材料を用いたタイヤ組成物は、分散状態は好ましくは5であり、耐摩耗性は105以上が好ましく、より好ましくは107以上であり、体積固有抵抗値は1.0×105Ω・cm以下が好ましく、より好ましくは5.0×104Ω・cm以下であり、引張強さは23.5MPa以上が好ましく、より好ましくは24.0MPa以上であり、耐光性はΔE*値で4.5以下が好ましく、より好ましくは4.0以下であり、最も好ましくは3.5以下である。
【0075】
本発明4に係る黒色複合充填材料を用いたタイヤ組成物は、分散状態は好ましくは5であり、耐摩耗性は105以上が好ましく、より好ましくは107以上であり、体積固有抵抗値は1.0×105Ω・cm以下が好ましく、より好ましくは5.0×104Ω・cm以下であり、引張強さは23.5MPa以上が好ましく、より好ましくは24.0MPa以上であり、耐光性はΔE*値で4.5以下が好ましく、より好ましくは4.0以下であり、最も好ましくは3.5以下である。
【0076】
本発明に係るタイヤ組成物中における黒色複合充填材料の配合割合は、ゴム成分100重量部に対して10〜200重量部の範囲で使用することができ、タイヤ組成物のハンドリングを考慮すれば、好ましくは15〜150重量部、更に好ましくは20〜100重量部である。
【0077】
本発明に係るタイヤ組成物における構成基材としては、黒色複合充填材料と周知のゴムとともに、必要により、タイヤ組成物において通常使用される加硫剤、加硫促進剤、カップリング剤、充填剤、可塑剤、老化防止剤等の各種添加剤が配合される。
【0078】
ゴムとしては、天然ゴム(NR)、ポリイソプレンゴム(IR)、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム(X−IIR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴム、スチレン−イソプレン共重合体ゴム、スチレン−イソプレン−ブタジエン共重合体ゴム、イソプレン−ブタジエン共重合体ゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム、多硫化ゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム及びその混合物等を使用することができる。ゴムの主成分として、天然ゴム(NR)、ポリイソプレンゴム(IR)、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム(X−IIR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)等のジエン系ゴムを含むことが好ましい。
【0079】
本発明に係るタイヤ組成物は、上記ゴム及び黒色複合充填材料とともに、必要により各種添加剤とをバンバリーミキサー、ミキシングロール等を用いて従来の方法で混練りした後、120〜180℃で加硫することによって得られる。
【0080】
次に、本発明に係る黒色複合充填材料の製造法について述べる。
【0081】
本発明に係る黒色複合充填材料は、アルミナ、水和アルミナ、水酸化アルミニウム、アルミノケイ酸塩、クレー、タルク、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、硫酸バリウム及び酸化亜鉛から選ばれた1種または2種以上の無機粒子粉末と糊剤とを混合し、粒子表面を糊剤によって被覆し、次いで、糊剤によって被覆された無機粒子粉末とカーボンブラックとを混合することによって得ることができる。
【0082】
無機粒子粉末への糊剤による被覆は、無機粒子粉末と糊剤とを機械的に混合攪拌したり、無機粒子粉末に糊剤成分を噴霧しながら機械的に混合攪拌すればよい。添加した糊剤は、ほぼ全量が無機粒子の粒子表面に被覆される。
【0083】
糊剤を均一に無機粒子の粒子表面に被覆するためには、無機粒子粉末の凝集をあらかじめ粉砕機を用いて解きほぐしておくことが好ましい。
【0084】
無機粒子粉末と糊剤との混合攪拌、前記カーボンブラックと粒子表面に糊剤が被覆されている無機粒子粉末との混合攪拌をするための機器としては、粉体層にせん断力を加えることのできる装置が好ましく、殊に、せん断、へらなで及び圧縮が同時に行える装置、例えば、ホイール型混練機、ボール型混練機、ブレード型混練機、ロール型混練機を用いることができる。本発明の実施にあたっては、ホイール型混練機がより効果的に使用できる。
【0085】
上記ホイール型混練機としては、具体的に、エッジランナー(「ミックスマラー」、「シンプソンミル」、「サンドミル」と同義語である)、マルチマル、ストッツミル、ウエットパンミル、コナーミル、リングマラー等があり、好ましくはエッジランナー、マルチマル、ストッツミル、ウエットパンミル、リングマラーであり、より好ましくはエッジランナーである。上記ボール型混練機としては、具体的に、振動ミル等がある。上記ブレード型混練機としては、具体的に、ヘンシェルミキサー、プラネタリーミキサー、ナウタミキサー等がある。上記ロール型混練機としては、具体的に、エクストルーダー等がある。
【0086】
混合撹拌時における条件は、無機粒子粉末の粒子表面に糊剤ができるだけ均一に被覆されるように、線荷重は19.6〜1960N/cm(2〜200Kg/cm)、好ましくは98〜1470N/cm(10〜150Kg/cm)、より好ましくは147〜980N/cm(15〜100Kg/cm)、処理時間は5〜120分、好ましくは10〜90分の範囲で処理条件を適宜調整すればよい。なお、撹拌速度は2〜2000rpm、好ましくは5〜1000rpm、より好ましくは10〜800rpmの範囲で処理条件を適宜調整すればよい。
【0087】
糊剤の添加量は、無機粒子粉末100重量部に対して0.01〜50重量部が好ましい。0.01重量部未満の場合には、黒色度を改良できる程度にカーボンブラックを十分付着させることが困難である。50重量部の添加によって、カーボンブラックを十分付着させることができるので、必要以上に添加する意味がない。
【0088】
無機粒子の粒子表面に糊剤を被覆した後、カーボンブラックを添加し、混合攪拌して糊剤が被覆された粒子表面にカーボンブラックを付着させる。必要により更に、乾燥乃至加熱処理を行ってもよい。
【0089】
カーボンブラックは、少量ずつ時間をかけながら、殊に5〜120分程度をかけて添加するのが好ましい。
【0090】
混合攪拌時における条件は、カーボンブラックが均一に付着するように、線荷重は19.6〜1960N/cm(2〜200Kg/cm)、好ましくは98〜1470N/cm(10〜150Kg/cm)、より好ましくは147〜980N/cm(15〜100Kg/cm)、処理時間は5〜300分、好ましくは10〜240分の範囲で処理条件を適宜調整すればよい。なお、撹拌速度は2〜2000rpm、好ましくは5〜1000rpm、より好ましくは10〜800rpmの範囲で処理条件を適宜調整すればよい。
【0091】
本発明において使用するカーボンブラックは、市販のファーネスブラック、チャンネルブラック等を使用することができ、具体的には、#3050、#3150、#3250、#3750、#3950、MA100、MA7、#1000、#2400B、#30、MA77、MA8、#650、MA11、#50、#52、#45、#2200B、MA600等(商品名:三菱化学株式会社(製))シースト9H、シースト7H、シースト6、シースト3H、シースト300、シーストFM等(商品名、東海カーボン株式会社(製))、Raven 1250、Raven 860、Raven 1000、Raven 1190ULTRA(商品名:コロンビヤン・ケミカルズ・カンパニー(製))、ケッチェンブラックEC、ケッチェンブラックEC600JD(商品名:ケッチェンブラック・インターナショナル株式会社(製))、BLACK PEARLS−L、BLACK PEARLS 1000、BLACK PEARLS 4630、VULCAN XC72、REGAL 660、REGAL 400(商品名:キャボット・スペシャルティ・ケミカルズ・インク(製))、FW−200、FW−17、FW−18(商品名:デグサ・ジャパン(製))等が使用できる。
【0092】
カーボンブラックの添加量は、無機粒子粉末100重量部に対して1〜500重量部である。1重量部未満の場合には、カーボンブラックの付着量が不十分であり、高い黒色度を有する黒色複合充填材料を得ることが困難である。500重量部を超える場合には、十分な黒色度は得られるが、カーボンブラックの付着量が多くなるため粒子表面からカーボンブラックが脱離しやすくなり、その結果、タイヤ組成物中への分散性が低下する可能性がある。
【0093】
乾燥乃至加熱処理を行う場合の加熱温度は、通常40〜150℃が好ましく、より好ましくは60〜120℃であり、処理時間は、10分〜12時間が好ましく、30分〜3時間がより好ましい。
【0094】
本発明3に係る黒色複合充填材料は、上記で得られた黒色複合充填材料を脂肪酸、脂肪酸金属塩又はシランカップリング剤で被覆することによって得ることができる。
【0095】
黒色複合充填材料の脂肪酸、脂肪酸金属塩又はシランカップリング剤による被覆は、黒色複合充填材料と脂肪酸、脂肪酸金属塩又はシランカップリング剤とを加熱しながら機械的に混合攪拌すればよい。
【0096】
脂肪酸、脂肪酸金属塩又はシランカップリング剤の添加量は、黒色複合充填材料100重量部に対して0.1〜100重量部が好ましい。0.1〜100重量部の添加量により、黒色複合充填材料のタイヤ組成物中への分散性をより改善することができる。
【0097】
加熱温度は、40℃以上が好ましく、より好ましくは50℃以上、最も好ましくは60℃以上であり、その上限値は、被覆する脂肪酸、脂肪酸金属塩及びカップリング剤の融点もしくは沸点である。
【0098】
無機粒子粉末は、必要により、糊剤の混合撹拌に先立って、あらかじめ、アルミニウムの水酸化物、アルミニウムの酸化物、ケイ素の水酸化物及びケイ素の酸化物より選ばれる少なくとも一種からなる中間被覆物で被覆しておいてもよい。
【0099】
中間被覆物による被覆は、無機粒子粉末を分散して得られる水懸濁液に、アルミニウム化合物、ケイ素化合物又は当該両化合物を添加して混合攪拌することにより、又は、必要により、混合攪拌後にpH値を調整することにより、前記無機粒子の粒子表面を、アルミニウムの水酸化物、アルミニウムの酸化物、ケイ素の水酸化物及びケイ素の酸化物より選ばれる少なくとも一種からなる中間被覆物で被覆し、次いで、濾別、水洗、乾燥、粉砕する。必要により、更に、脱気・圧密処理等を施してもよい。
【0100】
アルミニウム化合物としては、酢酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム等のアルミニウム塩や、アルミン酸ナトリウム等のアルミン酸アルカリ塩等が使用できる。
【0101】
ケイ素化合物としては、3号水ガラス、オルトケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム等が使用できる。
【0102】
【発明の実施の形態】
本発明の代表的な実施の形態は、次の通りである。
【0103】
無機粒子粉末、カーボンブラック及び黒色複合充填材料の各粒子粉末の平均粒子径は、電子顕微鏡写真を縦方向及び横方向にそれぞれ4倍に拡大した写真に示される粒子約350個の粒子径をそれぞれ測定し、その平均値で示した。
【0104】
比表面積値は、BET法により測定した値で示した。
【0105】
無機粒子の粒子表面に存在するAl量及びSi量は、「蛍光X線分析装置3063M型」(理学電機工業株式会社製)を使用し、JIS K0119の「けい光X線分析通則」に従って測定した。
【0106】
無機粒子の粒子表面に被覆されている糊剤の被覆量、黒色複合充填材料に付着しているカーボンブラックの付着量及び黒色複合充填材料の粒子表面に被覆されている脂肪酸、脂肪酸金属塩又はシランカップリング剤の量は、「堀場金属炭素・硫黄分析装置EMIA−2200型」(株式会社堀場製作所製)を用いて炭素量を測定することにより求めた。
【0107】
黒色複合充填材料に付着しているカーボンブラックの脱離率(%)は、下記の方法により求めた値で示した。カーボンブラックの脱離率が0%に近いほど、粒子表面からのカーボンブラックの脱離量が少ないことを示す。
【0108】
黒色複合充填材料3gとエタノール40mlを50mlの沈降管に入れ、20分間超音波分散を行った後、120分静置し、比重差によって黒色複合充填材料と脱離したカーボンブラックを分離した。次いで、この黒色複合充填材料に再度エタノール40mlを加え、更に20分間超音波分散を行った後120分静置し、黒色複合充填材料と脱離したカーボンブラックを分離した。この黒色複合充填材料を100℃で1時間乾燥させ、前述の「堀場金属炭素・硫黄分析装置EMIA−2200型」(株式会社堀場製作所製)を用いて炭素量を測定し、下記数1に従って求めた値をカーボンブラックの脱離率(%)とした。
【0109】
【数1】
カーボンブラックの脱離率(%)={(Wa−We)/Wa}×100
Wa:黒色複合充填材料のカーボンブラック付着量
We:脱離テスト後の黒色複合充填材料のカーボンブラック付着量
【0110】
黒色複合充填材料及びカーボンブラックの黒色度は、試料0.5gとヒマシ油0.7mlとをフーバー式マーラーで練ってペースト状とし、このペーストにクリアラッカー4.5gを加え、混練、塗料化してキャストコート紙上に150μm(6mil)のアプリケーターを用いて塗布した塗布片(塗膜厚み:約30μm)を作製し、該塗料片について、多光源分光測色計「MSC−IS−2D」(スガ試験機株式会社製)を用いて測定を行い、JIS Z 8729に定めるところに従って表色指数L*値で示した。ここでL*値は、明度を表わし、L*値が小さいほど黒色度が優れていることを示す。
【0111】
無機粒子粉末の隠蔽力は、下記に示す方法に従って作製した原色エナメルを用いて、JIS K 5101 8.2のクリプトメーター法に従って得られた値で示した。
【0112】
原色エナメルの作製:
上記試料粉体10gとアミノアルキッド樹脂16g及びシンナー6gとを配合して3mmφガラスビーズ90gと共に140mlのガラスビンに添加し、次いで、ペイントシェーカーで45分間混合分散した後、アミノアルキッド樹脂50gを追加し、更に5分間ペイントシェーカーで分散させて、原色エナメルを作製した。
【0113】
無機粒子粉末、黒色複合充填材料及びタイヤ組成物の各体積固有抵抗値は、下記の方法で被測定試料を作製した試料の抵抗値を測定することにより求めた。
【0114】
無機粒子粉末及び黒色複合充填材料の場合、試料粒子粉末0.5gを測り取り、KBr錠剤成形器(株式会社島津製作所)を用いて、1.372×107Pa(140Kg/cm2)の圧力で加圧成形を行い、円柱状の被測定試料を作製した。また、タイヤ組成物の場合、後述する処法によって作製した樹脂プレートを打ち抜いて、円柱状の被測定試料を作製した。
【0115】
次いで、被測定試料を温度25℃、相対湿度60%環境下に12時間以上暴露した後、この被測定試料をステンレス電極の間にセットし、ホイートストンブリッジ(TYPE2768 横河北辰電気株式会社製)で15Vの電圧を印加して抵抗値R(Ω)を測定した。
【0116】
次いで、被測定(円柱状)試料の上面の面積A(cm2)と厚みt0(cm)を測定し、下記数2にそれぞれの測定値を挿入して、体積固有抵抗値(Ω・cm)を求めた。
【0117】
【数2】
体積固有抵抗値(Ω・cm)=R×(A/t0)
【0118】
黒色複合充填材料の耐光性は、上記に示す方法に従って作製した原色エナメルを冷間圧延鋼板(0.8mm×70mm×150mm)(JIS G−3141)に150μmの厚みで塗布、乾燥して塗膜を形成することによって得られた測定用試料片の半分を金属製フォイルで覆い、「アイ スーパーUVテスター SUV−W13」(岩崎電気株式会社製)を用いて、紫外線を照射強度100mW/cm2で6時間連続照射した。紫外線が照射された部分と、金属製フォイルで覆うことによって紫外線が照射されなかった部分との色相(L*値、a*値、b*値)を多光源分光測色計「MSC−IS−2D」(スガ試験機株式会社製)を用いてそれぞれ測定し、金属製フォイルで覆うことによって紫外線が照射されなかった部分の測定値を基準に、下記数3に従って算出したΔE*値によって耐光性を示した。
【0119】
【数3】
ΔE*値=((ΔL*値)2+(Δa*値)2+(Δb*値)2)1/2
ΔL*値: 比較する試料の紫外線照射有無のL*値の差
Δa*値: 比較する試料の紫外線照射有無のa*値の差
Δb*値: 比較する試料の紫外線照射有無のb*値の差
【0120】
タイヤ組成物の耐光性は、後述する処法によって作製した樹脂プレートの半分を金属製フォイルで覆い、「アイ スーパーUVテスター SUV−W13」(岩崎電気株式会社製)を用いて、紫外線を照射強度100mW/cm2で2時間連続照射した後、紫外線が照射された部分と金属製フォイルで覆うことによって紫外線が照射されなかった部分との色相(L*値、a*値、b*値)をそれぞれ測定し、金属製フォイルで覆うことによって紫外線が照射されなかった部分の測定値を基準に、上記数3に従って算出したΔE*値によって耐光性を示した。
【0121】
タイヤ組成物中への分散性は、得られたタイヤ組成物表面における未分散の凝集粒子の個数を目視により判定し、5段階で評価した。5が最も分散状態が良いことを示す。
【0122】
1: 1cm2当たりに50個以上
2: 1cm2当たりに10個以上50個未満
3: 1cm2当たりに5個以上10個未満
4: 1cm2当たりに1個以上5個未満
5: 未分散物認められず
【0123】
タイヤ組成物の耐摩耗性は、ランボーン摩耗試験機を用いて、荷重4.5kg、スリップ率50%の条件下、JIS K 6264に従って摩耗損失量を測定し、後出比較例1のタイヤ組成物の値を100として摩耗損失量を指数として示した。該摩耗損失量の指数が大きいほど、耐摩耗性が良好であることを示す。
【0124】
タイヤ組成物の引張強さは、JIS K 6301に従って測定を行った。
【0125】
<黒色複合充填材料の製造>
アルミナ粒子粉末(粒子形状:粒状、平均粒子径0.10μm、BET比表面積値13.8m2/g、隠蔽力110cm/m2体積固有抵抗値4.1×107Ω・cm)11.0kgに、メチルハイドロジェンポリシロキサン(商品名:TSF484:GE東芝シリコーン株式会社製)110gを、エッジランナーを稼動させながらアルミナ粒子粉末に添加し、588N/cm(60Kg/cm)の線荷重で40分間混合攪拌を行った。なお、この時の攪拌速度は22rpmで行った。
【0126】
次に、カーボンブラック(粒子形状:粒状、平均粒子径0.022μm、BET比表面積値134m2/g、黒色度L*値16.6)1.1kgを、エッジランナーを稼動させながら10分間かけて添加し、更に588N/cm(60Kg/cm)の線荷重で80分間混合攪拌を行い、メチルハイドロジェンポリシロキサン被覆にカーボンブラックを付着させた後、乾燥機を用いて105℃で60分間乾燥を行い、黒色複合充填材料を得た。なお、この時の攪拌速度は22rpmで行った。
【0127】
得られた黒色複合充填材料は、平均粒子径が0.10μmの粒状粒子であった。BET比表面積値は14.8m2/gであり、体積固有抵抗値は7.0×101Ω・cm、耐光性ΔE*値は2.0、黒色度L*値は16.8、カーボンブラックの脱離率は6.9%であり、メチルハイドロジェンポリシロキサンの被覆量はC換算で0.27重量%であった。付着しているカーボンブラック量はC換算で9.12重量%(アルミナ粒子粉末100重量部に対して10重量部に相当する)であった。電子顕微鏡写真の観察結果より、カーボンブラックがほとんど認められないことから、カーボンブラックのほぼ全量がメチルハイドロジェンポリシロキサン被覆に付着していることが認められた。
【0128】
<タイヤ組成物の製造>
下記に示す配合割合にてタイヤ組成物を常法に従ってバンバリーミキサー及び練りロール機で混合混練して調製した。
【0129】
スチレン−ブタジエン共重合体 100.0重量部、
黒色複合充填材料 40.0重量部、
亜鉛華 3.0重量部、
ステアリン酸 2.0重量部、
老化防止剤 2.0重量部、
ワックス 1.0重量部、
硫黄 1.8重量部、
加硫促進剤 0.8重量部。
【0130】
得られたタイヤ組成物を160℃で20分間プレス加硫して試験片を調製し、各種試験を行った。
【0131】
得られたタイヤ組成物の耐摩耗性は108、電気抵抗値は1.6×103Ω・cm、引張強さは25.6MPa、耐光性ΔE*値は0.43であり、黒色複合充填材料のタイヤ組成物中における分散性は5であった。
【0132】
【作用】
本発明において最も重要な点は、アルミナ、水和アルミナ、水酸化アルミニウム、アルミノケイ酸塩、クレー、タルク、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、硫酸バリウム及び酸化亜鉛から選ばれた1種または2種以上の無機粒子の粒子表面に糊剤を介してカーボンブラックを付着させた黒色複合充填材料は、黒色度が高く、光による褪色性が抑制され、且つ、低い体積固有抵抗値と優れた分散性を有しているという事実である。
【0133】
本発明に係る黒色複合充填材料の黒色度が高い理由について、本発明者は、着色力及び隠ぺい力の小さいアルミナ、水和アルミナ、水酸化アルミニウム、アルミノケイ酸塩、クレー、タルク、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、硫酸バリウム及び酸化亜鉛から選ばれた1種または2種以上の無機粒子粉末を芯粒子粉末として用いるとともに、カーボンブラックを無機粒子の粒子表面に糊剤を介して均一かつ緻密に付着できたことによって、付着させるカーボンブラックの黒色度を芯粒子の色相によって打ち消すことなく発色できたためと考えている。
【0134】
本発明に係る黒色複合充填材料の光による褪色性が抑制されている理由について、本発明者は、無機粒子の粒子表面を糊剤によって被覆したこと、及び、糊剤によって被覆することにより、無機粒子粉末の表面活性が抑制されたことによるものと考えている。
【0135】
本発明に係る黒色複合充填材料のタイヤ組成物中における分散性が優れている理由について、本発明者は次のように考えている。無機粒子粉末は、粒子表面に水酸基を有しているために親水性を有しており、タイヤ用に一般的に用いられているゴムとは相溶性が低く、また、前記水酸基同士の相互作用により粒子同士が凝集する傾向にあり、タイヤ等のゴム組成物中への均一な分散が困難であった。本発明においては、無機粒子の粒子表面にタイヤ等のゴム組成物中への分散性に優れているカーボンブラックを糊剤を介して付着させたことによって、タイヤ組成物に用いられるゴム成分との相溶性が向上したこと、及び黒色複合充填材料の粒子表面から脱離するカーボンブラックが少ないことに起因して、カーボンブラックによって系内の分散が阻害されないためと考えている。
【0136】
本発明に係るタイヤ組成物の耐光性が優れている理由について、本発明者は、タイヤ用充填材料として用いた本発明に係る黒色複合充填材料の耐光性が優れていることによるものと考えている。
【0137】
本発明に係るタイヤ組成物が、低い電気抵抗値を有している理由について、本発明者は、タイヤ用充填材料として用いた本発明に係る黒色複合充填材料が高い導電性を有していることによるものと考えている。
【0138】
本発明に係るタイヤ組成物が、優れた耐摩耗性及び引張強さを有している理由について、本発明者は、本発明に係る黒色複合充填材料をタイヤ組成物中により均一に分散させることができたためと考えている。
【0139】
【実施例】
次に、実施例並びに比較例を挙げる。
【0140】
芯粒子1〜5:
芯粒子粉末として表1に示す特性を有する各種無機粒子粉末を用意した。
【0141】
【表1】
【0142】
芯粒子6:
芯粒子1のアルミナ粒子粉末20kgと水150lとを用いてアルミナ粒子粉末を含むスラリーを得た。得られたアルミナ粒子粉末を含む分散スラリーのpH値を、水酸化ナトリウム水溶液を用いて10.5に調整し、次いで、該スラリーに水を加えスラリー濃度を98g/lに調整した。このスラリー150lを加熱して60℃とし、このスラリー中に3号水ガラス水溶液254g(アルミナ粒子粉末に対してSiO2換算で0.5重量%に相当する)を加え、30分間保持した後、酢酸を用いてpH値を7.0に調整した。この状態で30分間保持した後、濾過、水洗、乾燥、粉砕して粒子表面がシリカの酸化物により被覆されているアルミナ粒子粉末を得た。
【0143】
このときの製造条件を表2に、得られた表面処理済アルミナ粒子粉末の諸特性を表3に示す。
【0144】
芯粒子7:
芯粒子粉末の種類、中間被覆物の種類及び量を種々変化させた以外は、前記芯粒子6と同様にして粒子表面が中間被覆物で被覆されている無機粒子粉末を得た。
【0145】
このときの製造条件及び得られた表面処理済無機粒子粉末の諸特性を表2に示す。尚、表面処理工程における被覆物の種類のSはシリカの酸化物もしくは水酸化物、Aはアルミニウムの水酸化物を表わす。
【0146】
【表2】
【0147】
【表3】
【0148】
実施例1〜7、比較例1〜3:
芯粒子の種類、糊剤添加の有無、種類及び添加量、糊剤による被覆工程におけるエッジランナーによる処理条件、カーボンブラックの種類及び添加量、カーボンブラックの付着工程におけるエッジランナーによる処理条件を種々変えた以外は、前記発明の実施の形態と同様にして黒色複合充填材料を得た。実施例1〜7の各実施例で得られた黒色複合充填材料は、電子顕微鏡観察の結果、カーボンブラックがほとんど認められないことから、カーボンブラックのほぼ全量が糊剤被覆無機粒子の粒子表面に付着していることが認められた。
【0149】
使用したカーボンブラックA乃至Cの諸特性を表4に示す。
【0150】
【表4】
【0151】
このときの処理条件を表5に、得られた黒色複合充填材料の諸特性を表6に示す。
【0152】
【表5】
【0153】
【表6】
【0154】
比較例4(特許第3160552号公報 実施例1の追試実験):
芯粒子1のアルミナ粒子粉末を用い、回転式連続加熱炉中で、系内を十分に窒素置換し酸素濃度を0.3容量%以下にした後、窒素ガスとともにプロパンガスを10:1(窒素ガス/プロパンガス)の体積混合比率で流しながら、系内を900℃に熱し、プロパンガスを熱分解して、該アルミナ粒子粉末の粒子表面にカーボン層を形成した。カーボン層の被覆量は、アルミナ粒子粉末100重量部に対して20重量部であった。
【0155】
得られた黒色アルミナ粒子粉末の諸特性を表6に示す。
【0156】
実施例8:
黒色複合充填材料2kgにステアリン酸カルシウム20gを添加し、ヘンシェルミキサーを用いて攪拌しながら30分かけて120℃まで昇温し、この状態で45分間保持した後、更に30分かけて室温まで冷却することによって表面被覆黒色複合充填材料を得た。
【0157】
このときの製造条件を表7に、得られた表面被覆黒色複合充填材料の諸特性を表8に示す。
【0158】
実施例9及び10:
黒色複合充填材料の種類及び脂肪酸、脂肪酸金属塩及びカップリング剤の種類及び被覆量、ヘンシェルミキサーによる被覆工程における混練温度及び混練時間を種々変化させた以外は、実施例8と同様にして粒子表面が被覆物で被覆されている黒色複合充填材料を得た。
【0159】
このときの製造条件を表7に、得られた表面被覆黒色複合充填材料の諸特性を表8に示す。
【0160】
【表7】
【0161】
【表8】
【0162】
実施例11〜20、比較例5〜10:
充填材料の種類を種々変化させた以外は、前記発明の実施の形態と同様にしてタイヤ組成物を得た。
【0163】
このときの製造条件及び得られたタイヤ組成物の諸特性を表9に示す。
【0164】
【表9】
【0165】
【発明の効果】
本発明に係る黒色複合充填材料は、黒色度が高く、光による褪色が抑制されており、且つ、低い体積固有抵抗値と優れた分散性を有しているのでタイヤ組成物用充填材料として好適である。
【0166】
また、上記黒色複合充填材料をゴムに配合したタイヤ組成物は、光による褪色が抑制されており、且つ、低い電気抵抗値と優れた耐摩耗性及び引張強さとを有しているので、タイヤ組成物として好適である。
Claims (5)
- アルミナ、水和アルミナ、水酸化アルミニウム、アルミノケイ酸塩、クレー、タルク、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、硫酸バリウム及び酸化亜鉛から選ばれる一種または二種以上の無機粒子の粒子表面が糊剤によって被覆されていると共に、該糊剤被覆無機粒子表面の少なくとも一部にカーボンブラックが付着している平均粒子径が0.001〜5.0μmの黒色複合粒子粉末であって、前記カーボンブラックの付着量が前記無機粒子粉末100重量部に対して1〜500重量部であることを特徴とするタイヤ組成物用黒色複合充填材料。
- アルミナ、水和アルミナ、水酸化アルミニウム、アルミノケイ酸塩、クレー、タルク、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、硫酸バリウム及び酸化亜鉛から選ばれる一種または二種以上の無機粒子の粒子表面が、アルコキシシランから生成するオルガノシラン化合物又はポリシロキサンによって被覆されていると共に、該糊剤被覆無機粒子表面の少なくとも一部にカーボンブラックが付着している平均粒子径が0.001〜5.0μmの黒色複合粒子粉末であって、前記カーボンブラックの付着量が前記無機粒子粉末100重量部に対して1〜500重量部であることを特徴とするタイヤ組成物用黒色複合充填材料。
- 請求項1又は請求項2記載の黒色複合粒子の粒子表面が、脂肪酸、脂肪酸金属塩又はカップリング剤によって被覆されていることを特徴とするタイヤ組成物用黒色複合充填材料。
- 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の無機粒子の粒子表面が、あらかじめアルミニウムの水酸化物、アルミニウムの酸化物、ケイ素の水酸化物及びケイ素の酸化物より選ばれる少なくとも一種からなる中間被覆物によって被覆されていることを特徴とするタイヤ組成物用黒色複合充填材料。
- 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のタイヤ組成物用黒色複合充填材料を用いたことを特徴とするタイヤ組成物。
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