JP2004026959A - ポリフェニレンエーテルの製造方法 - Google Patents

ポリフェニレンエーテルの製造方法 Download PDF

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Abstract

【目的】水を溶剤としてフェノール類を酸化するポリフェニレンエーテルの新しい製造方法を提供する。
【構成】フェノール類に対して過剰の塩基を含む水を溶剤として用いてフェノール類を酸化する。フェノール類の1〜1万モル倍の塩基を含む水を溶剤とするのが好ましい。塩基はアルカリ類が好ましく、フェノール類の酸化には酸化剤、或いは酸素と金属錯体触媒とを用いるのが好ましい。2,6−ジメチルフェノールを酸化する(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)の新しい製造方法を提供することができる。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリフェニレンエーテルの製造方法に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
ポリフェニレンエーテル(PPE又はPPO)は、耐熱性、耐薬品性、寸法安定性、電気特性、加工性等に優れ、5大エンジニアリングプラスッチックの一つとして知られている。従来より、ポリフェニレンエーテル、特にポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)は、室温酸素下において、トルエン溶剤中、第3級アミン(例えばピリン等)と、同化合物と錯形成することができる金属塩(例えば塩化第一銅等)を触媒とし、2,6−ジメチルフェノールを酸化重合することにより工業的に製造されている。ここで、第3級アミンは金属錯体触媒の配位子としてだけではなく塩基としても働く。しかしながら、この従来の製造方法においては、溶剤として環境負荷の大きいトルエンを用いるため、溶剤回収工程が必要であり、また、酸素を酸化剤としトルエンを溶剤とする重合反応のため、耐防爆の反応槽が必要となる、といった問題があった。
【0003】
従来の製造方法における溶剤をトルエンから環境負荷の少ない水に代替できれば、溶剤回収工程を省き、反応層を簡略化することができる。しかし、従来の銅ピリジン錯体を触媒とした重合条件では、水を溶剤として2,6−ジメチルフェノールを酸化重合した場合、主成分として3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジフェノキノンが生成する化1の式(1)の反応経路が主となってしまう。
【0004】
【化1】
Figure 2004026959
そこで、酸化重合の溶剤として水を用いる場合、ジフェノキノンの副生(化1の式(1))を完全に抑制することが不可欠となる。
【0005】
水を溶剤としてポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)を合成した例として、C. C. Priceら(アメリカ学会誌、82巻、3632頁、1960年)は、4−位にブロモが置換した4−ブロモ−2,6−ジメチルフェノールをモノマーとし、酸化剤としてヘキサシアノ鉄(III)カリウムを用いて水/ベンゼン(容量比1/1)の二層混合溶剤で反応を行うと、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)を与えることを開示している。しかしこの反応のモノマーは、2,6−ジメチルフェノールを臭素一置換した4−ブロモ−2,6−ジメチルフェノールであり、2,6−ジメチルフェノールをモノマーとした場合と比べ臭素化工程が必要となり、さらに臭化水素が等量副生する。反応溶剤もベンゼンを加えた二層混合溶剤での反応であるため溶剤を水に代替したものではない。また、生成ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)の分子量も著しく低く(数平均分子量4.0×10)実用にはほど遠いのが現状である。また、C. C. Priceら(Journal of Polymer Science、61巻、135−141ページ、1962年)は、モノマーとして2,6−ジメチルフェノールを用いてヘキサシアノ鉄(III)カリウムを酸化剤とし、水を溶剤とする酸化重合を試みているが、ジフェノキノンの生成(化1の式(1))に留まったと報告している。
【0006】
また、V. Percecら(Jounal of Polymer Scinece, Polymer Letter、24巻、439頁、1986年)は、C. C. Priceらと同様の反応において、ヘキサシアノ鉄(III)カリウムではなく硫酸水素テトラブチルアンモニウムを酸化剤として加えることにより、高分子量体(数平均分子量6.0×10)のポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)が得られることを開示している。しかし、この反応もC. C. Priceらと同様、モノマーは臭素化工程が必要な4−ブロモ−2,6−ジメチルフェノールであり、さらに反応溶剤も水/ベンゼン(容量比1/1〜5/4)の二層混合溶剤での反応であるため溶剤を水に代替したものではない。
【0007】
また、2,6−ジメチルフェノールをモノマーとしてポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)を合成する方法として、小林四郎ら(Macromolecules、29巻、8702頁、1996年)は、水と有機溶剤(アセトン、1,4−ジオキサン、アセトニトリル、メタノール)との混合溶剤において、酸化酵素(ホースラディッシュオキシターゼ等)を触媒とした酸化重合を開示している。しかし、この反応も水と有機溶剤の混合溶剤であり、溶剤を水に代替したものではない。また、酵素反応であるため生成ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)の分子量、収率は著しく低く(数平均分子量4.5×10、収率38%)実用にはほど遠い。
【0008】
また、P. K. Limら(Journal of Molecular Catalysis A, Chemical、148巻、117頁、1999年)は、水/クロロホルム(容量比1/1)の二層混合溶剤において、銅アミン錯体触媒中、塩基としてアンモニアを用い、乳化剤としてn−ドデシル硫酸ナトリウムを加えて反応させることにより高分子量のポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)(数平均分子量4.8×10)を与えることを開示している。しかし、この反応も水/クロロホルムの二層系での反応であるため、溶剤を水に代替したものではない。また、環境負荷の大きいクロロホルムを用いているため、環境負荷の問題を改善するものではなく、溶媒回収工程が依然として必要である。
【0009】
以上のように、従来技術においては、水のみを溶剤として用いてフェノール類を酸化してポリフェニレンエーテルを製造した成功例はなかった。
【0010】
本発明はかかる課題に鑑みてなされたものであり、水を溶剤としてフェノール類を酸化することによるポリフェニレンエーテルの製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
発明者らは、前記問題点を解決すべく、鋭意研究を重ねた結果、過剰の塩基を含む水を溶剤として用いることによってジフェノキノン(化1の式(1))の生成が完全に抑制され、水を溶剤として用いたポリフェニレンエーテルの製造に有効であることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0012】
本発明の請求項1記載のポリフェニレンエーテルの製造方法は、フェノール類に対して過剰の塩基を含む水を溶剤として用いてフェノール類を酸化する方法である。
【0013】
また、本発明の請求項2記載のポリフェニレンエーテルの製造方法は、前記請求項1において、フェノール類の1〜1万モル倍の塩基を含む水を溶剤とする方法である。
【0014】
また、本発明の請求項3記載のポリフェニレンエーテルの製造方法は、前記請求項1又は2において、塩基はアルカリ類である方法である。
【0015】
また、本発明の請求項4記載のポリフェニレンエーテルの製造方法は、前記請求項1〜3のいずれか1項において、酸化剤を用いてフェノール類を酸化する方法である。
【0016】
また、本発明の請求項5記載のポリフェニレンエーテルの製造方法は、前記請求項1〜3のいずれか1項において、酸素と金属錯体触媒とを用いてフェノール類を酸化する方法である。
【0017】
さらに、本発明の請求項6記載のポリフェニレンエーテルの製造方法は、前記請求項1〜5のいずれか1項において、2,6−ジメチルフェノールを酸化してポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)を製造する方法である。
【0018】
上記の本発明の構成によれば、環境負荷の少ない水を溶剤として、ポリフェニレンエーテルを製造できる。また、従来の耐防爆/耐溶剤の反応槽から大幅に簡略化された反応槽に代替でき、また、反応後に水相に析出したポリマーを遠心分離等などで分離することによって目的のポリフェニレンエーテルを簡単に分離ができるため、溶剤回収工程を省くことができる。
【0019】
【発明の実施形態】
以下、本発明のポリフェニレンエーテルの製造方法について詳細に説明する。
【0020】
本発明におけるフェノール類とは、化2の一般式(3)で表されるものである。ここで、化2の式(3)中、Oは酸素原子を表し、R−Rはそれぞれ水素原子あるいは、メチル基、その他のアルキル基、置換アルキル基、フェニル基、置換アリール基、メトキシ基、スルホン酸基、カルボン酸基、フルオロ基、ブロモ基、クロロ基、ヨード基、ニトロ基、シアノ基を表し、互いに同じ種類であっても、異なった種類であってもよい。
【0021】
【化2】
Figure 2004026959
また、本発明における塩基とは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウムなどのアルカリ類、アンモアニア、トリメチルアミンなどのアミン類、塩基性基をもつイオン交換樹脂など、水相のpHを高く保つ作用を有するもののことをいう。また、アルカリ類とは、金属の水酸化物のことをいう。なお、本発明で用いる塩基としては、価格、取り扱い性などから、アルカリ類の水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好ましく用いられ、特に水酸化ナトリウムが好ましい。
【0022】
また、本発明における酸化剤とは、ヘキサシアノ鉄(III)カリウム、ヘキサシアノマンガン(IV)カリウム、酸化鉛、二酸化マンガン、酸化銀、酸化クロム、過酸化水素などのことをいう。
【0023】
また、本発明における金属錯体触媒とは、アミン系配位子をもって構成された単核・複核錯体系の酸素酸化触媒のことをいい、その例としては、ピリジン、イミダゾール等の芳香族アミン系配位子をもって構成された銅、鉄、マンガン錯体塩など、あるいは、1,4,7−トリアザシクロノナン、1,4,7−トリイソプロピル−1,4,7−トリアザシクロノナン等の脂肪族環状アミン系多座配位子をもって構成された銅、鉄、マンガン錯体塩、例えば(1,4,7−トリイソプロピル−1,4,7−トリアザシクロノナン)銅(II)クロリドなど、あるいは、エチレンジアミン、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、エチレンジアミン四酢酸等のアルキレンジアミン配位子をもって構成された銅、鉄、マンガン錯体塩など、あるいは、2,2’−ビピリジル、1,10−フェナントロリン等の芳香族アミン系多座配位子をもって構成された銅、鉄、マンガン錯体塩などが挙げられる。
【0024】
つぎに、上述したようなフェノール類、塩基、酸化剤、金属錯体触媒を用いた本発明のポリフェニレンエーテルの製造方法について説明する。
【0025】
まず、フェノール類と、このフェノール類に対して過剰の塩基とを水に溶解する。この過剰の塩基とは、好ましくは、フェノール類の1〜1万モル倍の塩基であり、さらに好ましくは、1〜500モル倍の塩基である。なお、塩基の量が1モル倍よりも少ないとポリフェニレンエーテルの収率が急激に低下し、塩基の量が500モル倍よりも多いとポリフェニレンエーテルの収率は多少向上するものの反応後の水の中和処理が困難になる。
【0026】
なお、本発明は、溶剤として水を用いることを特徴とするが、同様の性質を示すメタノール、エタノールに代替しても同様に反応は進行する。また、メタノール、エタノール、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、アセトン、アセトニトリル、1,4−ジオキサン等と水の2種以上の混合溶剤として用いても同様に反応は進行する。
【0027】
つぎに、必要に応じて、乳化剤を加える。この乳化剤は、疎水性のポリフェニレンエーテルを水に溶解しやすくし、高分子量のポリフェニレンエーテルの生成に寄与する。本発明で用いることのできる乳化剤の例としては、陰イオン系界面活性剤である、N−ドデシル硫酸ナトリウム、ドデカン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどがある。
【0028】
そして、酸化剤または金属錯体触媒を加える。酸化剤を加える場合は、フェノール類のモノマーに対して当量モル程度又はそれ以上の酸化剤を加える。また、このモノマーに対し当量モル程度又はそれ以下の酸化剤を段階的に加えることにより、ジフェノキノンの生成をより抑制し、ポリフェニレンエーテルの収率を向上させることができる。また、金属錯体触媒を加える場合は、フェノール類のモノマーに対して当量モルの1/100〜1/10程度を加える。
【0029】
その後、攪拌を行い、反応させる。この反応は、常温付近、常圧で、大気雰囲気下で行うのが望ましく、酸素を用いる金属錯体触媒を用いる場合は酸素を通気した酸素雰囲気下で行うのが望ましい。また、温度は0℃〜100℃であれば反応は進行する。反応時間は攪拌条件、温度条件などによって異なるが、数分〜数時間程度である。
【0030】
本発明においては、水を溶剤として用いているため、ポリフェニレンエーテルは生成すると白色浮遊物として析出する。そのため、反応の処理方法としてはろ過、または簡単な遠心分離のみで分離できる。乳化剤を用いた場合も、塩化ナトリウム等の塩を添加することにより目的物であるポリフェニレンオキシドが析出してくるため、同様にろ過、または簡単な遠心分離のみで分離できる。ろ別後、洗浄、乾燥して白色粉末状のポリフェニレンエーテルが得られる。
【0031】
以上詳述したとおり、本発明のポリフェニレンエーテルの製造方法は、フェノール類に対して過剰の塩基を含む水を溶剤として用いてフェノール類を酸化する方法であるので、安全で環境負荷の少ない水を溶剤として、常温付近、常圧と極めて穏和な条件でポリフェニレンエーテルを製造できる。また、従来の大掛かりな耐防爆/耐溶剤の反応槽から大幅に簡略化された反応槽に代替でき、また、反応後に水相に析出したポリマーを遠心分離等などで分離することによって目的のポリフェニレンエーテルを簡単に分離ができるため、溶剤回収工程を省くことができる。特に、フェノール類の1〜1万モル倍の塩基を含む水を溶剤とし、塩基はアルカリ類とし、酸化剤、或いは酸素と金属錯体触媒とを用いることで、安価に高収率でポリフェニレンエーテルを製造することができる。
【0032】
【実施例】
以下の具体的実施例により、本発明をさらに詳細に説明する。
【0033】
[実施例1]
2,6−ジメチルフェノール1.22g(0.01M)およびこの50モル倍の水酸化ナトリウム20g(0.5M)を水1lに溶解し、乳化剤としてn−ドデシル硫酸ナトリウム0.34g(0.001M)を加えた後、 ヘキサシアノ鉄(III)カリウム3.3g(0.01M)を混合し、50℃で攪拌した。3時間後再びヘキサシアノ鉄(III)カリウム3.3g(0.01M)を添加し、50℃でさらに3時間攪拌した。反応溶液に塩化ナトリウムを様子を見ながら適量加えることにより白色の浮遊物が得られた。ろ別後、水、メタノールで洗浄、減圧乾燥することにより白色粉末1.08gを得た。IRスペクトルにおけるエーテル結合1186cm−1(νC−O−C)、H−NMRスペクトル2.09ppm(s,6H),6.47ppm(s,2H)、13C−NMRスペクトル(16.8,114.5,132.5,145.4,154.7ppm)からポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)の生成を確認した。このとき、収率89%、数平均分子量5.7×10、重量平均分子量1.1×10、10%熱分解温度409℃であった。
【0034】
[実施例2]
乳化剤であるn−ドデシル硫酸ナトリウムを加えない以外は実施例1と同様に反応させることにより、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)が得られた。IRスペクトルにおけるエーテル結合1186cm−1(νC−O−C)、H−NMRスペクトル2.09ppm(s,6H),6.47ppm(s,2H)、13C−NMRスペクトル(16.8,114.5,132.5,145.4,154.7ppm)、収率72%、数平均分子量4.0×10、重量平均分子量7.0×10、10%熱分解温度350℃であった。
【0035】
[実施例3]
ヘキサシアノ鉄(III)カリウムを一度に6.6g加え、6時間攪拌した以外は実施例1と同様に反応させることにより、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)が得られた。IRスペクトルにおけるエーテル結合1186cm−1(νC−O−C)、H−NMRスペクトル2.09ppm(s,6H),6.47ppm(s,2H)、13C−NMRスペクトル(16.8,114.5,132.5,145.4,154.7ppm)、収率65%、数平均分子量4.6×10、重量平均分子量1.6×10、10%熱分解温度403℃であった。
【0036】
[実施例4]
水酸化ナトリウム量を2,6−ジメチルフェノールの20モル倍である8g(0.2M)に変化させた以外は実施例1と同様に反応させることにより、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)が得られた。IRスペクトルにおけるエーテル結合1186cm−1(νC−O−C)、H−NMRスペクトル2.09ppm(s,6H),6.47ppm(s,2H)、13C−NMRスペクトル(16.8,114.5,132.5,145.4,154.7ppm)、収率63%、数平均分子量6.6×10、重量平均分子量4.8×10、10%熱分解温度409℃であった。
【0037】
[実施例5]
2,6−ジメチルフェノール1.22g(0.01M)および水酸化ナトリウ20g(0.5M)を水1lに溶解し、乳化剤としてn−ドデシル硫酸ナトリウム0.34g(0.001M)を加えた後、 (1,4,7−トリイソプロピル−1,4,7−トリアザシクロノナン)銅(II)クロリド0.4g(0.001M)を混合し、酸素を通気しながら50℃で6時間攪拌した。反応溶液に塩化ナトリウムを適量加えることにより白色の浮遊物が得られた。ろ別後、水、メタノールで洗浄、減圧乾燥することにより白色粉末0.52gを得た。IRスペクトルにおけるエーテル結合1186cm−1(νC−O−C)、H−NMRスペクトル2.09ppm(s,6H),6.47ppm(s,2H)、13C−NMRスペクトル(16.8,114.5,132.5,145.4,154.7ppm)からポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)の生成を確認した。このとき、収率43%、数平均分子量7.0×10、重量平均分子量4.3×10、10%熱分解温度410℃であった。
【0038】
[実施例6]
2,6−ジメチルフェノール1.22g(0.01M)および水酸化ナトリウ20g(0.5M)を水1lに溶解し、乳化剤としてn−ドデシル硫酸ナトリウム0.3g(0.001M)を加えた後、過酸化水素15.8ml(0.2M)を混合し、50℃で6時間攪拌した。反応溶液に塩化ナトリウムを適量加えることにより白色の浮遊物が得られた。ろ別後、水、メタノールで洗浄、減圧乾燥することにより白色粉末0.4gを得た。IRスペクトルにおけるエーテル結合1186cm−1(νC−O−C)、H−NMRスペクトル2.09ppm(s,6H),6.47ppm(s,2H)、13C−NMRスペクトル(16.8,114.5,132.5,145.4,154.7ppm)からポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)の生成を確認した。このとき、収率33%、数平均分子量3.0×10、重量平均分子量5.5×10、10%熱分解温度335℃であった。
【0039】
[実施例7]
2,6−ジメチルフェノール61g(0.5M)と等モルの水酸化ナトリウム20g(0.5M)を水1lに溶解し、乳化剤としてn−ドデシル硫酸ナトリウム17g(0.05M)を加えた後、(1,4,7−トリイソプロピル−1,4,7−トリアザシクロノナン)銅(II)クロリド20g(0.05M)を混合し、酸素を通気しながら50℃で6時間攪拌した。反応溶液に塩化ナトリウムを適量加えることにより白色の浮遊物が得られた。ろ別後、水、メタノールで洗浄、減圧乾燥することにより白色粉末43.3gを得た。IRスペクトルにおけるエーテル結合1186cm−1(νC−O−C)、H−NMRスペクトル2.09ppm(s,6H),6.47ppm(s,2H)、13C−NMRスペクトル(16.8,114.5,132.5,145.4,154.7ppm)からポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)の生成を確認した。このとき、収率71%、数平均分子量5.0×10、重量平均分子量8.3×10、10%熱分解温度355℃であった。
【0040】
[比較例1]
2,6−ジメチルフェノール61g(0.5M)と等モルの水酸化ナトリウム20g(0.5M)を用いた以外は実施例1と同様に反応させることにより、赤色固体55.5gを得た。生成した赤色固体は3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジフェノキノンとポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)の混合物であった。H−NMRスペクトル2.14ppm(s,12H),7.72ppm(s,4H)、13C−NMRスペクトル (17.1,129.7,135.7,138.9,144.4,194.1ppm)から3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジフェノキノンの生成を確認した。キノンの収率は82%であった。また、IRスペクトルにおけるエーテル結合1186cm−1(νC−O−C)、H−NMRスペクトル2.09ppm(s,6H),6.47ppm(s,2H)、13C−NMRスペクトル(16.8,114.5,132.5,145.4,154.7ppm)からポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)の生成を確認した。このとき、収率9%、数平均分子量8.7×10、重量平均分子量1.5×10のオリゴマーであった。
【0041】
以上の結果を表1に示す。実施例1〜6の結果より明らかなように、フェノール類の濃度が0.01Mの場合は、フェノール類に対し過剰の塩基を用いることによって、高収率でポリフェニレンエーテルが得られた。また、フェノール類に対する塩基のモル比は高い方が好ましく、酸化剤を2段階に分けて添加した場合に最もよい結果が得られた。さらに、乳化剤を用いた方が用いない場合よりもよい結果が得られた。これは、乳化剤を用いることによって、反応中のポリフェニレンエーテルが溶媒としての水に溶解しやすくなり、ポリフェニレンエーテルの鎖長を増加させることに寄与しているためと思われる。
【0042】
また、実施例7の結果のとおり、フェノール類に対し等量モル程度の塩基を用いた場合であっても、フェノール類と乳化剤の濃度を高くすることによって、高収率でポリフェニレンエーテルが得られた。ただし、比較例の結果のとおり、酸化剤が少ない場合は、フェノール類に対し等量モルの塩基を用いた場合は、オリゴマーのポリェニレンエーテルが少量生成したのみであった。
【0043】
【表1】
Figure 2004026959
【0044】
【発明の効果】
本発明の請求項1記載のポリフェニレンエーテルの製造方法は、フェノール類に対して過剰の塩基を含む水を溶剤として用いてフェノール類を酸化する方法であるから、環境負荷の少ない水を溶剤として、ポリフェニレンエーテルを製造できる。また、従来の耐防爆/耐溶剤の反応槽から大幅に簡略化された反応槽に代替でき、また、反応後に水相に析出したポリマーを遠心分離等などで分離することによって目的のポリフェニレンエーテルを簡単に分離ができるため、溶剤回収工程を省くことができる。
【0045】
本発明の請求項2記載のポリフェニレンエーテルの製造方法は、前記請求項1において、フェノール類の1〜1万モル倍の塩基を含む水を溶剤とする方法であるから、高収率でポリフェニレンエーテルを製造することができる。
【0046】
本発明の請求項3記載のポリフェニレンエーテルの製造方法は、前記請求項1又は2において、塩基はアルカリ類であるから、安価に高収率でポリフェニレンエーテルを製造することができる。
【0047】
本発明の請求項4記載のポリフェニレンエーテルの製造方法は、前記請求項1〜3のいずれか1項において、酸化剤を用いてフェノール類を酸化する方法であるから、高収率でポリフェニレンエーテルを製造することができる。
【0048】
本発明の請求項5記載のポリフェニレンエーテルの製造方法は、前記請求項1〜3のいずれか1項において、酸素と金属錯体触媒とを用いてフェノール類を酸化する方法であるから、高収率でポリフェニレンエーテルを製造することができる。
【0049】
本発明の請求項6記載のポリフェニレンエーテルの製造方法は、前記請求項1〜5のいずれか1項において、2,6−ジメチルフェノールを酸化してポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)を製造する方法であるから、を環境負荷の少ない水を溶剤として、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)を製造できる。

Claims (6)

  1. フェノール類に対して過剰の塩基を含む水を溶剤として用いてフェノール類を酸化することを特徴とするポリフェニレンエーテルの製造方法。
  2. フェノール類の1〜1万モル倍の塩基を含む水を溶剤とすることを特徴とする請求項1記載のポリフェニレンエーテルの製造方法。
  3. 塩基はアルカリ類であることを特徴とする請求項1又は2記載のポリフェニレンエーテルの製造方法。
  4. 酸化剤を用いてフェノール類を酸化することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のポリフェニレンエーテルの製造方法。
  5. 酸素と金属錯体触媒とを用いてフェノール類を酸化することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のポリフェニレンエーテルの製造方法。
  6. 2,6−ジメチルフェノールを酸化してポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)を製造することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載のポリフェニレンエーテルの製造方法。
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