JP2004026933A - 結晶性芳香族ポリカーボネート粉粒体の輸送方法 - Google Patents

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丹下 真也
Takeshi Katsuta
勝田 健
Ryoichi Nagashima
永嶋 良一
Hirotaka Suzuki
鈴木 啓高
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Abstract

【課題】溶融重合または固相重合によって得られた結晶性芳香族ポリカーボネート粉粒体を、微粉および静電気の発生を抑制して輸送する輸送方法を提供する。
【解決手段】結晶性芳香族ポリカーボネート粉粒体を輸送する際に、結晶化溶剤の非存在下で、結晶化および粉粒化をこの順序、逆の順序若しくは同時に実施して結晶性芳香族ポリカーボネート粉粒体として輸送する。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は芳香族ポリカーボネートの輸送方法に関するものであり、さらに詳しくは、結晶性芳香族ポリカーボネートの粉粒体を、輸送配管内でのスケーリングおよび容器の内壁への付着を最小限に抑えて、効率的に輸送する輸送方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
芳香族ポリカーボネートは、透明性、耐熱性、機械物性に優れた材料として、従来よりCD(コンパクトディスク)、光ディスク、レンズ等の光学用途や、エンジニアリングプラスチックとして、自動車分野、電気電子用途、各種容器等、様々な分野で利用されている。かかる芳香族ポリカーボネートの製造方法としては、ホスゲンと芳香族ジヒドロキシ化合物を水および水と混合しない溶剤の界面で重合させる界面重合法、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルをエステル交換触媒の存在下に加熱溶融反応させる溶融重合法等が利用されている。
【0003】
一方、低分子量非晶性芳香族ポリカーボネート(これらはポリカーボネートのオリゴマーあるいはプレポリマーと称されることがある)を結晶化および粉粒化させた後、これを真空下あるいは不活性ガス流通下において固相で重合させて高分子量のポリカーボネートを製造する固相重合法もよく知られている。例えば、特開平1−158033号公報、特開平3―223330号公報では、低分子量非晶性ポリカーボネートを結晶化させる際に有機溶剤等の結晶化溶剤を使用する方法、および加熱により結晶化させる方法に関する記載がある。また低分子量非晶性芳香族ポリカーボネートの溶融物に剪断をかけて結晶化させる方法がWO98/45351に開示されている。これらのいずれかの結晶化方法で得られた低分子量結晶性芳香族ポリカーボネートを固相重合によって高分子量化する技術が先述の特開平1−158033号公報、特開平3―223330号公報、WO98/45351に開示されている。
【0004】
上記の溶融重合と固相重合とを組み合わせて高分子量のポリカーボネートを製造する重合方法は、色相、成形性が良好な高分子量の芳香族ポリカーボネートが得られるという利点があることが知られるが、各工程間の輸送(低分子量結晶性芳香族ポリカーボネート粉粒体または高分子量結晶性芳香族ポリカーボネート粉粒体の輸送)中に、芳香族ポリカーボネートの微粉および静電気が発生し、芳香族ポリカーボネートの微粉が静電気力または液架橋によって輸送配管内でスケーリングを起こす、若しくは輸送配管および容器の内壁に多量に付着するという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、結晶性芳香族ポリカーボネートを、微粉および静電気の発生を抑制して輸送する輸送方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは結晶性芳香族ポリカーボネートを、微粉および静電気の発生を抑制して輸送する輸送方法について鋭意検討した結果、以下方法で結晶化処理することで実現できることを見出し、本発明に至った。
【0007】
即ち本発明は、芳香族ポリカーボネートを輸送する方法に関して、非晶性芳香族ポリカーボネートを結晶化溶剤の非存在下で、結晶化および粉粒化をこの順序で、逆の順序若しくは同時に実施して、結晶性芳香族ポリカーボネート粉粒体として輸送する結晶性芳香族ポリカーボネート粉粒体の輸送方法についてである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の方法について詳述する。なお本発明においては低分子量結晶性芳香族ポリカーボネートと高分子量結晶性芳香族ポリカーボネートによって製造方法が異なるのでこれらを分けて説明するが、本発明はこれらのどちらか一方に限定されるものではない。
【0009】
本発明の低分子量非晶性芳香族ポリカーボネートは、芳香族ジヒドロキシ化合物とカーボネート結合性化合物から製造することが好ましい。具体的には芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルをエステル交換触媒の存在下加熱溶融反応させる溶融重合法、または固相重合法が好ましく挙げられる。これらの中で溶融重合法による製造がより好ましい。
【0010】
本発明においては、低分子量非晶性芳香族ポリカーボネートとして、固有粘度[η]が0.05〜0.38のオリゴマーが好ましく使用できる。さらに好ましい固有粘度の範囲は0.10〜0.30であり、最も好ましいのは0.12〜0.25の範囲である。
【0011】
さらに低分子量結晶性芳香族ポリカーボネートを製造するには、得られた低分子量非晶性芳香族ポリカーボネートを結晶化させる。その結晶化方法としては1)加熱処理により結晶化させる加熱結晶化法、2)結晶化溶剤によって結晶化させる溶剤結晶化法(特開平01―58033号公報、特開平03―223330号公報に記載)、3)加熱処理と剪断処理を同時に行う事により結晶化させる加熱剪断結晶化法(WO98/45351に記載)が開示されているが、本発明ではスケーリングを起こさず、かつ静電気発生を抑えて輸送するために、第3成分である有機溶剤等の結晶化溶剤を用いずに、加熱結晶化法または加熱剪断結晶化法によって、低分子量結晶性芳香族ポリカーボネートを製造することが好ましい。
【0012】
具体的には加熱結晶化は、低分子量非晶性芳香族ポリカーボネートのガラス転移温度(Tg)以上かつ融点未満の温度範囲に保持して行う。この温度が低分子量非晶性芳香族ポリカーボネートのガラス転移温度(Tg)未満の温度では結晶化はほとんど進行せず、融点以上の温度では結晶が融解してしまう。好ましい結晶化処理温度は120〜220℃であり、さらに好ましくは160〜200℃であり、最も好ましくは170〜190℃である。加熱時間は、低分子量非晶性芳香族ポリカーボネートの分子量、ガラス転移温度(Tg)、量に依存するが0.1〜50時間が好ましい。
【0013】
また加熱処理と剪断処理を同時に行うことにより結晶化させる剪断結晶化法では、好ましくは例えば1軸ルーダーを用いて120〜220℃、さらに好ましくは160〜200℃、最も好ましくは170〜190℃の温度範囲で低分子量非晶性芳香族ポリカーボネートを加熱し溶融状態とし、さらに回転数を0rpmより大きく30rpm未満に設定し、滞留時間を1〜20分の範囲になるようにして溶融状態で剪断をかけることにより結晶化する。本剪断結晶化法では、結晶化を促進するために、特開2001−11171号公報に記載されているように、少量の結晶性芳香族ポリカーボネートを結晶核として添加しておくことも好ましい。
【0014】
本発明における低分子量結晶性芳香族ポリカーボネートの結晶化度としては10%〜70%であることが好ましい。結晶化度が10%未満では固相重合中に結晶性芳香族ポリカーボネート同士が融着する可能性が高くなり好ましくなく、結晶化度が70%を越えるものは製造が難しく、かつ結晶性芳香族ポリカーボネートが崩れ易くなり微粉および静電気を発生して輸送配管内でスケーリングを起こし易くなるため、好ましくない。該低分子量結晶性芳香族ポリカーボネートの結晶化度は15〜50%が好ましく、より好ましくは20〜35%である。さらに得られた低分子量結晶性芳香族ポリカーボネートは固有粘度[η]が0.05〜0.38と比較的低分子量になるように製造することが好ましい。さらに好ましい固有粘度の範囲は0.10〜0.30であり、最も好ましいのは0.12〜0.25の範囲である。また比表面積は0.001m/g以上〜0.2m/g未満であることが好ましい。好ましくは0.001〜0.19m/gであり、より好ましくは0.005〜0.17m/g、最も好ましいのは0.05〜0.15m/gの範囲である。
【0015】
次に高分子量結晶性芳香族ポリカーボネートについて説明する。本発明における高分子量結晶性芳香族ポリカーボネートは、前述の結晶化法で得られた低分子量結晶性芳香族ポリカーボネートを固相重合により製造したもの、または公知である溶融重合法により高分子量化した高分子量非晶性芳香族ポリカーボネートを結晶化したものを好ましく挙げることができる。それらの中でも低分子量結晶性芳香族ポリカーボネートを固相重合により製造したものであることがより好ましい。固相重合のプロセスは公知であり、例えば特開2001−11171号公報に記載されている。固相重合条件のうち重合反応温度は、(該結晶性芳香族ポリカーボネートのガラス転移温度+20℃以上)かつ(該結晶性芳香族ポリカーボネートの融点−5℃以下)が好ましい。(該結晶性芳香族ポリカーボネートのガラス転移温度+20℃)未満の温度では、固相重合反応が円滑に進み難いし、(該結晶性芳香族ポリカーボネートの融点−5℃)を超える温度では、結晶が融解し結晶性芳香族ポリカーボネートが固相を保つことが困難であるので好ましくない。また低分子量結晶性芳香族ポリカーボネートは高分子量化する事によってガラス転移温度が上昇することがあるので、固相重合反応が進行するにつれて重合反応温度を上げていく手法も好ましく採用される。反応圧力(反応器内部の圧力)は、不活性ガスの導通という特徴を活かすには、15kPa以上1000kPa以下、好ましくは90kPa以上500kPa以下、さらに好ましくは90kPa以上200kPa以下が望ましい。15kPaより低い圧力では、高真空を発生させることになり、これを維持するための装置が大掛かりなものとなる。1000kPaより高い圧力では不活性ガスを流通させるためのコンプレッサー、ブロワーなどの不活性ガスを流通させる機器・設備に負荷がかかり好ましくない。
【0016】
以上のような条件下で高分子量化することで、本発明の輸送方法に好ましい固有粘度[η]が0.38を越え1.0以下の所望の分子量を有し、結晶化度10%〜70%の高分子量結晶性芳香族ポリカーボネートを得ることができる。結晶化度は15〜50%がより好ましく、さらに好ましくは20〜35%である。
【0017】
本発明における芳香族ポリカーボネート(結晶化物および非晶物の双方を含む)の粉粒化方法としては特に限定はしないが、溶融状態の芳香族ポリカーボネートを所定の大きさで、所定の温度の板状に落として付着させる方法、ストランドカッター、液中カッター、ホットカッターなどを用いてペレット状に切断する方法、所定の大きさに固化した結晶化物若しくは非晶物を単に粉砕する方法、またはあらかじめ所定の大きさに粉砕し粉状にした結晶化物若しくは非晶物をシート状、タブレット状若しくはブリケット状に圧縮造粒する方法等が挙げられる。場合によっては粉砕した結晶化物若しくは非晶物は必要に応じて整粒・分級を行っても構わない。またシート状の圧縮造粒物は、粉砕機、整粒機および分級機に通して所定の形状・粒子径の結晶化物若しくは非晶物を得ることもできる。該形状は通常フレーク状または多角柱状である。シート状の圧縮造粒物はこの後、必要に応じて先述の様な手法で結晶化を行っても構わない。
またここで整粒とは粒径を一定値以下に整えることを、分級とは整粒よりさらに細かく一定の値の範囲にまで粒径分布を小さくすることを指す。
【0018】
粉砕機の型式は、特に限定しないが例えばピンローター式粗砕機、ロールブレーカー、フレークブレーカー、ラフブレーカー、ファインブレーカー、ロールグラニュレーター、カリューター、オシュレイティング・グラニュレーター、フレーククラッシャー、トーネードミル、フラッシュミル、ハンマークラッシャー、フェザーミル、フィッツミル、ジョークラッシャなどが挙げられる。なかでもハンマークラッシャーなどの衝撃式破砕機が好ましい。
【0019】
分級機は特に限定しないが例えば振動ふるい機、強制攪拌式ふるい機、超音波振動ふるい機などが挙げられる。
【0020】
芳香族ポリカーボネート粉粒体の平均粒子径は通常0.5mm〜30mmの範囲であることが好ましい。0.5mmより小さいと粉粒化前に固相重合をする場合は固相重合中に芳香族ポリカーボネート粒粒体同士の融着等が見られ好ましくないことがあるばかりか、不活性ガスを用いるタイプの固相重合装置においては微粉が舞い上がり均一な重合物を得ることが出来ないことがある。また、輸送中に静電気を発生し易くなるため静電気付着による閉塞が起こり易くなり、さらに、輸送配管等の壁面への液架橋付着による閉塞も起こりやすくなる。逆に30mmより大きいと粉粒化前に固相重合をする場合は固相重合速度が低下して好ましくないし、輸送効率が低下する。よって好ましい平均粒子径は1.0mm〜15mm、さらに好ましくは1.5mm〜10mmの範囲である。
【0021】
芳香族ポリカーボネート粉粒体の圧縮破壊強度は3kg重/cm以上の圧縮破壊強度を有していることが好ましい。この圧縮破壊強度よりも低いと芳香族ポリカーボネート粉粒体は、輸送、供給・排出等において破砕され、多量の微粉を発生して輸送配管内でのスケーリングを起こすことがある。
【0022】
以上の様な粉粒化は、先に結晶化を行い次いで粉粒化を実施する場合、先に粉粒化を行い次いで結晶化を実施する場合、若しくは結晶化と粉粒化を同時に実施する場合のいずれもが本発明の範囲となる。また得られた結晶性芳香族ポリカーボネート粉粒体は固有粘度[η]が0.05〜0.38の低分子量の物、および0.38を超え1.0以下固相重合終了後の高分子量物の両方を含んでいる。より好ましいのは固有粘度[η]が0.05〜0.38の場合および0.50〜0.70の場合である。またこのようにして得られた結晶化芳香族ポリカーボネート粒状物の結晶化度は10〜70%が好ましく、より好ましくは15〜50%、最も好ましくは20〜35%である。
【0023】
また本発明において好ましい結晶性芳香族ポリカーボネート粉粒体は下記式(1)
【0024】
【化1】
Figure 2004026933
【0025】
[上記式(1)中、R、R、RおよびRは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基または炭素数7〜20のアラルキル基であり、Wは単結合、炭素数1〜20のアルキレン基、炭素数2〜20のアルキリデン基、炭素数3〜15のシクロアルキリデン基、炭素数3〜15のシクロアルキレン基、酸素原子、硫黄原子、スルホキシド基又はスルホン基である。]
で表される芳香族ポリカーボネートであることである。上記式(1)中、R、R、R、Rは具体的には水素原子;フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基等の炭素数1〜10のアルキル基;フェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜20のアリール基;ベンジル基等の炭素数7〜20のアラルキル基等が挙げられる。Wは具体的には単結合;メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等の炭素数1〜20のアルキレン基;エチリデン基、プロピリデン基、ブチリデン基等の炭素数2〜20のアルキリデン基;1,3−シクロペンチレン基、1,4−シクロヘキシレン基等の炭素数3〜15のシクロアルキレン基;シクロペンチリデン基、シクロヘキシリデン基等の炭素数3〜15のシクロアルキリデン基;エーテル基、スルホキシド基、スルフィド基、スルホン基などが挙げられる。また本発明の効果に影響がない範囲内(例えば30モル%以下)で他の繰り返し単位からなる芳香族ポリカーボネートを共重合してもよい。
【0026】
なかでもより好ましくは主に下記式(2)
【0027】
【化2】
Figure 2004026933
【0028】
で表される繰り返し単位からなる結晶性芳香族ポリカーボネート粉粒体であることである。
【0029】
これらの粉粒体の輸送については、通常気体輸送が採用されるが、本発明における結晶性芳香族ポリカーボネート粉粒体の気体輸送の速度は15〜100m/sである。15m/sより小さいと粉粒体が十分輸送できず輸送配管内に堆積し、輸送配管内で微粉状芳香族ポリカーボネートによるスケールが発生して、運転上のトラブルの原因となる。100m/sより大きいと気体輸送用不活性ガスを流通させるためのコンプレッサー、ブロワーなどの設備能力が巨大になり、実際的でなくなるだけではなく、粉粒体が崩壊して大量の微粉を発生する。よって、好ましい気体輸送の速度は20〜80m/s、さらに好ましくは、25〜50m/sである。なお、ここで「気体輸送の速度」は、輸送配管内を流通する不活性ガス体積流量を配管断面積で除した、いわゆる平均流速を意味する。
【0030】
【発明の効果】
結晶性芳香族ポリカーボネートを、微粉および静電気の発生を抑制して、輸送配管内でのスケーリングおよび容器の内壁への粉体付着を抑えて輸送することができ、芳香族ポリカーボネートの生産効率を上げることができる。
【0031】
【実施例】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は、これらの実施例によって限定されるものではない。
【0032】
[分析方法]
1)芳香族ポリカーボネートの固有粘度[η]
ジクロロメタン中、20℃でウベローデ粘度計を用い固有粘度[η]を測定した。粘度平均分子量Mは以下式から計算する。
[η]=1.23×10−40.83
2)ガラス転移温度(Tg)、融点(Tm)
パーキンエルマーDSC7により、昇温速度20℃/分で測定してガラス転移温度(Tg)、融点(Tm)を求めた。また、結晶融解のエンタルピー(ΔH)は、結晶融解に対応する部分のピーク面積より算出した。
3)結晶化度
結晶化度は、DSC測定によって得られたΔHから、100%結晶化ポリカーボネートのΔHをジャーナル・オブ・ポリマー・サイエンス;パートB:ポリマー・フィジックス(J.Polym.Sci.:B:Polym.Phys.)1979年第25巻1511〜1517ページを参考にして109.8J/gとして計算した。
4)静電気発生量
キーエンス社製静電気チェッカーを用いて、測定対象サンプルを紙面上に3〜5mmの高さで広げて帯電量を測定した。
5)粉体付着率
配管内の結晶性芳香族ポリカーボネートを自重により全て抜出し、その抜出した結晶性芳香族ポリカーボネート重量を電子天秤で測定し、
粉体付着率=((配管に封入した結晶性芳香族ポリカーボネート重量)−(自重により抜出した結晶性芳香族ポリカーボネート重量))/(配管に封入した結晶性芳香族ポリカーボネート重量)×100
で求めた。
【0033】
[参考例1]低分子量結晶性芳香族ポリカーボネートおよび結晶性芳香族ポリカーボネート粉粒体の製造例
攪拌槽、精留塔、コンデンサー、減圧装置を有する重合反応装置の攪拌槽に、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを2000g/hr、ジフェニルカーボネートを1933g/hr、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド79mg/hrおよびビスフェノールAジナトリウム塩を1.2mg/hrの割合で連続的に供給し、温度240℃、反応圧力1.3kPa、平均滞留時間2時間で、反応副生成物のフェノールを攪拌槽から留出させながら反応を行った。反応したポリカーボネートは2345g/hrの割合で連続的に攪拌槽から抜き出した。この時点で、得られた低分子量非晶性芳香族ポリカーボネートの固有粘度[η]は0.16、ガラス転移温度は116℃であった。
この低分子量非晶性芳香族ポリカーボネートを以下に示す方法で結晶化・粉粒化した。
(A)低分子量非晶性芳香族ポリカーボネートをN雰囲気下180℃で10時間、12時間、20時間静置して低分子量結晶性芳香族ポリカーボネートを得た。この低分子量結晶性芳族ポリカーボネートをそれぞれDSCにより測定するとTm224℃・結晶化度20%、Tm225℃・結晶化度は25%、Tmは230℃・結晶化度は60%であった。
(B)ヒーター温度180℃に設定した一軸ルーダー(L/D=40)で剪断をかけながら低分子量結晶性芳香族ポリカーボネートを吐出した。この低分子量結晶性芳香族ポリカーボネートをDSCにより測定するとTm225℃、結晶化度26%であった。
(C)低分子量非晶性芳香族ポリカーボネートを粉砕した後、目開き2mmのふるいを用い分級し、2mm以下の粉体とした。次いで、本2mm以下の粉体を表面形状が平滑である圧縮ロールによって圧縮成形しシート状成形物を得た。圧縮ロール表面の設定温度は室温であり、圧縮線圧力2ton/cm、回転数15rpmの条件で成形した。次いで得られたシート状成形物を粉砕および整粒し、スクリーン径が2mm、回転数500rpmの分級装置にかけ2mm〜5mmの結晶性芳香族ポリカーボネート成形体の粉砕物を得、本成形体をN雰囲気下180℃で12時間静置して結晶性芳香族ポリカーボネート粉粒体を得た。この結晶性芳族ポリカーボネート粉粒体をDSCにより測定するとTm225℃・結晶化度25%であった。
(D)上記(A)で得られた結晶化度25%の低分子量芳香族ポリカーボネートを粉砕した後、目開き2mmのふるいを用い分級し、2mm以下の粉体とした。次いで、本2mm以下の粉体を表面形状が平滑である圧縮ロールによって圧縮成形しシート状成形物を得た。圧縮ロール表面の設定温度は室温、圧縮線圧力2ton/cm、回転数15rpmの条件で成形した。次いで得られたシート状成形物を粉砕および整粒し、スクリーン径が2mm、回転数500rpmの分級装置にかけ2mm〜5mmの結晶性芳香族ポリカーボネート成形体の粉砕物を得た。この結晶性芳族ポリカーボネート粉粒体(低分子量)をDSCにより測定するとTm223℃・結晶化度20%であった。
【0034】
[参考例2]結晶性芳香族ポリカーボネート粉粒体(高分子量)の製造例
上記(D)で得られた結晶性芳香族ポリカーボネート粉粒体(低分子量)を、以下条件で固相重合して高分子化した。
(E)上記(D)で得られた結晶化度25%の結晶性芳香族ポリカーボネート粉粒体を2000g/hrで連続的に容量100Lのジャケット付ホッパー型反応器に供給した。そして、反応器ジャケット内熱媒体の温度は200℃、反応圧力は常圧で窒素ガスを反応器に流通させながら固相重合反応を行った。また、この時、反応したポリカーボネートは1936g/hrの割合で連続的に反応器から抜き出した。また、窒素ガスを200℃に加熱し、50NL/minの割合で連続的に反応器の下部から上部に流通させた。得られた高分子量の結晶性芳香族ポリカーボネート粉粒体の固有粘度[η]は0.53、結晶化度は36%であった。
【0035】
[実施例1]
上記参考例(A)で得られた結晶化度20%の低分子量結晶性芳香族ポリカーボネートを粉砕した後、標準ふるいで粒子径0.5〜2mmに分級し、得られた結晶性芳香族ポリカーボネート粉粒体を170g/minで3分間、圧空により内径28.4mm、長さ3600mmのステンレス配管内を気体輸送した。圧空の配管内の流速は、20、25、31、37、42、100[m/s]である。ここで、「流速」とは、配管内を流通する圧空体積流量を配管断面積で除した、いわゆる平均流速を意味する。
【0036】
このとき輸送終了後の配管内壁には粉体付着が見られなかった。また、φ300円筒型粉体トラップ内の粉体付着量は、圧空の配管内の流速が20、25、31、37、42[m/s]のときは、5gであった。圧空の配管内の流速が100[m/s]のときは、φ300円筒型粉体トラップ内への粉体付着量は15gであった。
【0037】
[実施例2]
上記の参考例(A)で得られた結晶化度20%の低分子量結晶性芳香族ポリカーボネートを粉砕した後、標準ふるいで粒子径0.5〜2mmに分級し、得られた結晶性芳香族ポリカーボネート粉粒体をステンレス配管(内径/外径=φ28.4/φ34、長さ=400)に100g封入し、160回振り、結晶性芳香族ポリカーボネート粉粒体の静電気発生量の測定および配管内の付着状況の観測を行った。ステンレス配管中での粉体の静電気発生量は、0.06kVであった。また、壁面への粉体付着率は0.3%であった。
【0038】
[実施例3]
上記の参考例(A)で得られた結晶化度25%の低分子量結晶性芳香族ポリカーボネートを用いること以外は実施例2と同様に実施した。ステンレス配管中での粉体の静電気発生量は、0.06kVであった。また、壁面への粉体付着率は0.4%であった。
【0039】
[実施例4]
上記の参考例(A)で得られた結晶化度60%の低分子量結晶性芳香族ポリカーボネートを用いること以外は実施例2と同様に実施した。ステンレス配管中での粉体の静電気発生量は、0.22kVであった。また、壁面への粉体付着率は0.9%であった。
【0040】
[実施例5]
上記の参考例(D)で得られた結晶性芳香族ポリカーボネート粉粒体(低分子量)を結晶性芳香族ポリカーボネート粉粒体として用いること以外は実施例2と同様に実施した。ステンレス配管中での粉体の静電気発生量は、0.09kVであった。また、壁面への粉体付着率は0.6%であった。
【0041】
[実施例6]
上記の参考例(E)で得られた高分子量の結晶性芳香族ポリカーボネート粉粒体を用いること以外は実施例2と同様に実施した。
ステンレス配管中での粉体の静電気発生量は、0.03kVであった。また、壁面への粉体付着率は0.1%以下であった。
【0042】
[実施例7]
上記参考例(C)で得られた結晶化度25%の結晶性芳香族ポリカーボネート粉粒体を用いること以外は実施例1と同様に実施した。このとき気体輸送終了後の配管内壁には粉体付着が見られなかった。また、φ300円筒型粉体トラップ内の粉体付着量は、圧空の配管内の流速が20、25、31、37、42[m/s]のときは、6gであった。圧空の配管内の流速が100[m/s]のときは、φ300円筒型粉体トラップ内への粉体付着量は19gであった。
【0043】
[実施例8]
上記の参考例(C)で得られた結晶化度25%の結晶性芳香族ポリカーボネート粉粒体を用いること以外は実施例2と同様に実施した。
ステンレス配管中での粉体の静電気発生量は、0.07kVであった。また、壁面への粉体付着率は0.5%であった。
【0044】
[実施例9]
上記の参考例(B)で得られた低分子量結晶性結晶化ポリカーボネートを用いること以外は実施例2と同様に実施した。
ステンレス配管中での粉体の静電気発生量は、0.08kVであった。また、壁面への粉体付着率は、0.4%であった。
【0045】
[実施例10]
上記の参考例(A)で得られた結晶化度25%の低分子量結晶性芳香族ポリカーボネートを粉砕した後、標準ふるいで0.1mm以下に分級すること以外は、実施例2と同様に実施した。ステンレス配管中での粉体の静電気発生量は、0.30kVであった。また、壁面への粉体付着率は5%であった。
【0046】
[比較例1]
粒子径0.5mm〜1mmの低分子量非晶性芳香族ポリカーボネートをアセトン溶媒中室温で一時間浸漬し、その後アセトンを留去して、低分子量結晶性芳香族ポリカーボネートを得た。この低分子量結晶性芳香族ポリカーボネートをDSCにより測定するとTmは224℃、結晶化度20%であった。該低分子量結晶性芳香族ポリカーボネートを用い、圧空の配管内の流速を、20、25、31、37、42[m/s]とすること以外は実施例1と同様に気体輸送を実施した。
【0047】
このとき平均流速が25m/s以上のときは配管内壁に粉体付着は見られなかったが、平均流速20m/sのときは、配管内壁に粉体付着が観測された。また、φ300円筒型粉体トラップ内の粉体付着量は90gであった。
【0048】
[比較例2]
粒子径0.5mm〜1mmの低分子量非晶性芳香族ポリカーボネートをアセトン溶媒中室温で一時間浸漬し、その後アセトンを留去して、低分子量結晶性芳香族ポリカーボネートを得た。この低分子量結晶性芳香族ポリカーボネートをDSCにより測定するとTmは224℃、結晶化度20%であった。
【0049】
該低分子量結晶性芳香族ポリカーボネートを用いること以外は実施例2と同様に実施した。ステンレス配管中での粉体の静電気発生量は、0.78kVであった。また、壁面への粉体付着率は、8.9%であった。
【0050】
実施例1、実施例7および比較例1の気体輸送の結果を表1に、実施例2〜6、実施例8〜10および比較例2の静電気発生量・粉体付着テストの結果を表2に示す。
【0051】
【表1】
Figure 2004026933
【0052】
【表2】
Figure 2004026933

Claims (6)

  1. 芳香族ポリカーボネートを輸送する方法に関して、非晶性芳香族ポリカーボネートを結晶化溶剤の非存在下で、結晶化および粉粒化をこの順序、逆の順序若しくは同時に実施して、結晶性芳香族ポリカーボネート粉粒体として輸送する結晶性芳香族ポリカーボネート粉粒体の輸送方法。
  2. 該結晶性芳香族ポリカーボネート粉粒体の平均粒子径が0.5〜30mmである請求項1に記載の結晶性芳香族ポリカーボネート粉粒体の輸送方法。
  3. 該輸送方法が気体輸送である請求項1または2に記載の結晶性芳香族ポリカーボネート粉粒体の輸送方法。
  4. 該気体輸送の速度が15〜100m/sである請求項3に記載の結晶性芳香族ポリカーボネート粉粒体の輸送方法。
  5. 該結晶性芳香族ポリカーボネート粉粒体の結晶化度が10〜70%である請求項1〜4のいずれか1項に記載の結晶性芳香族ポリカーボネート粉粒体の輸送方法。
  6. 該結晶性芳香族ポリカーボネートが、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを溶融重合したものまたは固相重合したものである請求項1〜5のいずれか1項に記載の結晶性芳香族ポリカーボネート粉粒体の輸送方法。
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