JP2004068004A - 液晶性ポリマー粉末、その製造方法およびフィラー高充填樹脂材料 - Google Patents

液晶性ポリマー粉末、その製造方法およびフィラー高充填樹脂材料 Download PDF

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Abstract

【課題】液晶性ポリマー粉末およびその製造方法に関するものであり、さらに詳しくは、粉体流動性に優れ、他成分との混合性に優れた低コストの液晶性ポリマー粉末およびその効率的な製造方法およびそれを用いたフィラー高充填樹脂材料を提供することを課題とする。
【解決手段】JIS−K0069に基づく篩分け試験法に準じて測定した粉末粒度において目開き250μmを通過する粒子が40重量%以上存在し、かつ、粉末のかさ密度が0.25g/cm以上0.7g/cm以下であることを特徴とする液晶性ポリマー粉末およびその製造方法。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶性ポリマー粉末およびその製造方法に関するものであり、さらに詳しくは、粉体流動性に優れ、他成分との混合性に優れた低コストの液晶性ポリマー粉末およびその効率的な製造方法に関するものであり、また、その粉末を用いてなる、特性バラツキが抑制されたフィラー高充填樹脂材料の取得に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
液晶性ポリマーとは、ポリマーが溶融時に液晶相を示すものの総称であり、その本質は溶融時の液晶構造が成形固化後にも存在することにある。この本質からくる効果としてその優れた機械的強度が挙げられ、更に高精度の製品が得られ、成形収縮率及び線膨張係数が低いので温度変化に対する寸法安定性に優れ、又耐熱性、耐加水分解性、耐薬品性、流動性にも優れており、高度のエンジニアリングプラスチックスとして期待されている。
【0003】
近年、材料のさらなる高機能化要求が高まり、微細な機能性フィラー(ウィスカー、微細カーボン、黒鉛等)の添加、さらにはその高充填化による検討が行われている。しかし、通常、ペレット状の樹脂とフィラーを混合した場合、粒径があまりにも異なるためにコンパウンド製造時に安定性が損なわれたり、また、安定して均一な組成物が得られにくくなってきた。そこで液晶性ポリマー粉末のニーズが高まってきた。
【0004】
粉末化の方法としては、高重合度ペレットを機械的に粉砕する方法、あるいは、特許文献1に示すオリゴマーの状態で粉末吐出し、ついで固相重合を行うなどの方法が提案されている。
【0005】
しかしながら、粉砕機での単純な液晶性ポリマーの粉末化では、液晶性ポリマーは分子が一方向に配向する特徴により、フィブリル状(綿状)となり、目的の粉末が得られない。また、特許文献1に示すオリゴマーの状態で粉末吐出し、ついで固相重合を行った場合、低重合度で一度吐出するため、収率が悪く、固相重合のため、粒子の内部と外部では重合度が異なり、一度溶融させなければ、均質なポリマーが得られにくいという問題があった。また、かかる方法で得られたポリマー粉末は、比較的球状に近く、かさ密度が大きい。このような粉末を充填材と配合すると、充填材とのなじみ性が不十分で、分級しやすく、良好なペレットが得られないという問題があった。また配向の程度が弱いためか、上記粉末を粉砕しても、なお、充填材とのなじみ性が不十分で良好なペレットが得られないという問題があった。
【0006】
一方、液晶性ポリマーにフィラーを高充填化する手法とし液晶ポリマーを粉末化して用いることが、特許文献2にその手法が開示されている。しかしながら、かかる方法においては単に機械的に粉砕しているためにフィブリル状物が多くできてしまい、フィラーとの混練で分散不良が起こる問題があるため、それを取り除いて使用した場合、生産性が上がらない等の点について改良が求められていた。
【0007】
【特許文献1】
特公平1−39451号公報(第2頁、実施例)
【特許文献2】
国際公開第02/94529号パンフレット(第3頁、実施例)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した従来技術における問題点の解決を課題として検討した結果達成されたものである。
【0009】
したがって、本発明は、従来では得られなかった粉体流動性が高く、他成分との混合性に優れた液晶性ポリマー粉末を得ることを可能とし、かつ低コストで収の高い製造方法を提供すること、さらに該粉末を用いることでフィラーの偏分散による特性バラツキが抑制されたフィラー高充填樹脂材料を取得することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、本発明に至った。
【0011】
すなわち本発明は、
(1)JIS−K0069に基づく篩分け試験法に準じて測定した粉末粒度において目開き250μmを通過する粒子が40重量%以上存在し、かつ、粉末のかさ密度が0.25g/cm以上0.7g/cm以下であることを特徴とする液晶性ポリマー粉末、
(2)数平均分子量5000以上の液晶性ポリマーを粉砕することにより得られる上記(1)記載の液晶性ポリマー粉末、
(3)示差走査熱量計(DSC)において溶融温度を示す吸熱ピークの高温側の終点以下の溶融加工温度で溶融させて得られた液晶性ポリマーを粉砕することを特徴とする液晶性ポリマー粉末の製造方法を提供するものである。
【0012】
本発明はまた、
(4)上記(1)または(2)記載の液晶性ポリマー粉末(a)とフィラー(b)を配合してなり、その組成比が(a)2〜40重量%、(b)フィラー98〜60重量%であるフィラー高充填樹脂材料、
(5)フィラー高充填樹脂材料が錠剤型形状を有するものであるフィラー高充填樹脂材料。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。本発明において「重量」とは「質量」を意味する。
【0014】
本発明で用いられる液晶性ポリマーとは、異方性溶融相を形成し得る樹脂であり、エステル結合を有するものが好ましい。例えば芳香族オキシカルボニル単位、芳香族ジオキシ単位、芳香族および/または脂肪族ジカルボニル単位、アルキレンジオキシ単位などから選ばれた構造単位からなり、かつ異方性溶融相を形成する液晶性ポリエステル、あるいは、上記構造単位と芳香族イミノカルボニル単位、芳香族ジイミノ単位、芳香族イミノオキシ単位などから選ばれた構造単位からなり、かつ異方性溶融相を形成する液晶性ポリエステルアミドなどが挙げられ、具体的には、p−ヒドロキシ安息香酸および6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸から生成した構造単位、芳香族ジヒドロキシ化合物および/または脂肪族ジカルボン酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、4,4’−ジヒドロキシビフェニルから生成した構造単位、テレフタル酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸および/またはアジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、エチレングリコールから生成した構造単位、テレフタル酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、エチレングリコールから生成した構造単位、テレフタル酸およびイソフタル酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、エチレングリコールから生成した構造単位、4,4’−ジヒドロキシビフェニルから生成した構造単位、テレフタル酸および/またはアジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボンから生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、エチレングリコールから生成した構造単位、芳香族ジヒドロキシ化合物から生成した構造単位、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステルなど、また液晶性ポリエステルアミドとしては、芳香族オキシカルボニル単位、芳香族ジオキシ単位、芳香族および/または脂肪族ジカルボニル単位、アルキレンジオキシ単位などから選ばれた構造単位以外にさらにp−アミノフェノールから生成したp−イミノフェノキシ単位を含有した異方性溶融相を形成するポリエステルアミドなどが挙げられる。
【0015】
上記液晶性ポリエステルおよび液晶性ポリエステルアミドのうち、好ましい構造の具体例としては、下記(I)、(II)、(III) および(IV)の構造単位からなる液晶性ポリエステル、または、(I)、(III) および(IV)の構造単位からなる液晶性ポリエステルなどが挙げられる。
【0016】
特に好ましいのは(I)、(II)、(III)および(IV)の構造単位からなる液晶性ポリエステルである。
【0017】
【化1】
Figure 2004068004
【0018】
(ただし式中のR1は
【0019】
【化2】
Figure 2004068004
【0020】
から選ばれた1種以上の基を示し、R2は
【0021】
【化3】
Figure 2004068004
【0022】
から選ばれた1種以上の基を示す。ただし式中Xは水素原子または塩素原子を示す。)。
【0023】
上記構造単位(I)はp−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位であり、構造単位(II)は4,4’−ジヒドロキシビフェニル、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、t−ブチルハイドロキノン、フェニルハイドロキノン、メチルハイドロキノン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンおよび4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテルから選ばれた一種以上の芳香族ジヒドロキシ化合物から生成した構造単位を、構造単位(III)はエチレングリコールから生成した構造単位を、構造単位(IV)はテレフタル酸、イソフタル酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸、1,2−ビス(2−クロルフェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸および4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸から選ばれた一種以上の芳香族ジカルボン酸から生成した構造単位を各々示す。これらのうちR1が
【0024】
【化4】
Figure 2004068004
【0025】
であり、R2が
【0026】
【化5】
Figure 2004068004
【0027】
であるものが特に好ましい。
【0028】
本発明に好ましく使用できる液晶性ポリエステルは、上記したように、構造単位(I)、(III)、(IV)からなる共重合体および上記構造単位(I)、(II)、(III)、(IV)からなる共重合体から選択される1種以上であり、上記構造単位(I)、(II)、(III)および(IV)の共重合量は任意である。しかし、本発明の特性を発揮させるためには次の共重合量であることが好ましい。
【0029】
すなわち、上記構造単位(I)、(II)、(III)、(IV)からなる共重合体の場合は、上記構造単位(I)および(II)の合計は構造単位(I)、(II)および(III)の合計に対して30〜95モル%が好ましく、40〜90モル%がより好ましい。また、構造単位(III)は構造単位(I)、(II)および(III)の合計に対して70〜5モル%が好ましく、60〜10モル%がより好ましい。また、構造単位(I)の(II)に対するモル比[(I)/(II)]は好ましくは75/25〜95/5であり、より好ましくは78/22〜93/7である。また、構造単位(IV)は構造単位(II)および(III)の合計と実質的に等モルであることが好ましい。
【0030】
一方、上記構造単位(II) を含まない場合は流動性の点から上記構造単位(I)は構造単位(I)および(III)の合計に対して40〜90モル%であることが好ましく、60〜88モル%であることが特に好ましく、構造単位(IV)は構造単位(III)と実質的に等モルであることが好ましい。
【0031】
ここで実質的に等モルとは、末端を除くポリマー主鎖を構成するユニットが等モルであるが、末端を構成するユニットとしては必ずしも等モルとは限らないことを意味する。
【0032】
また液晶性ポリエステルアミドとしては、上記構造単位(I)〜(IV)以外にp−アミノフェノールから生成したp−イミノフェノキシ単位を含有した異方性溶融相を形成するポリエステルアミドが好ましい。
【0033】
上記好ましく用いることができる液晶性ポリエステル、液晶性ポリエステルアミドは、上記構造単位(I)〜(IV)を構成する成分以外に3,3’−ジフェニルジカルボン酸、2,2’−ジフェニルジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸などの脂肪族ジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸などの脂環式ジカルボン酸、クロルハイドロキノン、3,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、3,4’−ジヒドロキシビフェニル等の芳香族ジオール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂肪族、脂環式ジオールおよびm−ヒドロキシ安息香酸、2,6−ヒドロキシナフトエ酸などの芳香族ヒドロキシカルボン酸およびp−アミノ安息香酸などを液晶性を損なわない程度の範囲でさらに共重合せしめることができる。
【0034】
本発明において使用する上記液晶性ポリエステルの製造方法は、特に制限がなく、公知のポリエステルの重縮合法に準じて製造できる。
【0035】
例えば、上記液晶性ポリエステルの製造において、次の製造方法が好ましく挙げられる。
(1)p−アセトキシ安息香酸および4,4’−ジアセトキシビフェニル、ジアセトキシベンゼンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物のジアシル化物と2,6−ナフタレンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸から脱酢酸縮重合反応によって液晶性ポリエステルを製造する方法。
(2)p−ヒドロキシ安息香酸および4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物と2,6−ナフタレンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸に無水酢酸を反応させて、フェノール性水酸基をアシル化した後、脱酢酸重縮合反応によって液晶性ポリエステルを製造する方法。
(3)p−ヒドロキシ安息香酸のフェニルエステルおよび4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物と2,6−ナフタレンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸のジフェニルエステルから脱フェノール重縮合反応により液晶性ポリエステルを製造する方法。
(4)p−ヒドロキシ安息香酸および2,6−ナフタレンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸に所定量のジフェニルカーボネートを反応させて、それぞれジフェニルエステルとした後、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物を加え、脱フェノール重縮合反応により液晶性ポリエステルを製造する方法。
(5)ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルのポリマー、オリゴマーまたはビス(β−ヒドロキシエチル)テレフタレートなど芳香族ジカルボン酸のビス(β−ヒドロキシエチル)エステルの存在下で(1)または(2)の方法により液晶性ポリエステルを製造する方法。
【0036】
本発明に使用する液晶性ポリエステルは、機械特性を保持するために数平均分子量が5000以上であることが好ましく、さらに8000以上であることが好ましく、特に10000以上であることが好ましい。上限としては、一般的に製造可能な50000以下であることが好ましい。
【0037】
なお、この数平均分子量の測定方法は、液晶性樹脂が可溶な溶媒(ペンタフルオロフェノール等)を使用してGPC− LS(ゲル浸透クロマトグラフ−光散乱)法により測定する。
【0038】
本発明の液晶性ポリマー粉末は、粉体特性や、フィラーおよびその他配合成分と混合する際の均一性を良好にする点から、JIS−K0069に基づく篩分け試験法に基づき測定した場合の粒度分布において目の開き250μmを通過する粒子が得られる粉体の40重量%以上存在することが必須であり、好ましくは、45重量%以上、より好ましくは、50重量%以上、さらに目の開き180μmを通過する粒子が40重量%以上でかつ、目の開き840μmを通過しない粒子が5重量%未満、特に目の開き180μmを通過する粒子が40重量%以上でかつ、全ての粒子において840μm未満であることが好ましい。
【0039】
また、液晶性ポリマー粉体と他成分(例えば、フィラー等の添加剤や、その他樹脂粉末)との混合性、ハンドリング性の点から本発明の液晶性ポリマー粉末は、適度な異方性を有する形状であるなど、かさ密度が高くなりすぎないものであることが好ましい。また配向性の高い液晶性ポリマーを粉砕すると得られるフィブリル状の粉砕物のように、かさ密度が低くなりすぎないことが好ましい。本発明の液晶性ポリマー粉末のかさ密度として0.25g/cm以上0.7g/cm以下であり、好ましくは0.30g/cm以上0.6g/cm以下、より好ましくは0.35g/cm以上0.55g/cm以下である。かさ密度が高くなりすぎると、充填材など他の成分と配合する場合に、分級しやすくなるが、上記範囲内にあることにより、他成分と比重差があっても分級しにくく、優れた混合性を得ることができる。なお、上記かさ密度はPOWDER TESTER TYPE−E(ホソカワミクロン社製)を用いてステンレス製の100cm容器に粉末を入れ、タッピング時間10分間処理し、さらに容器の上部ですり切りし、その重量を測定し、容器の容量で除して求めたものである。
【0040】
本発明においては上記の如く、粒度とかさ密度を制御することにより、粉体流動性を改良し、かつフィラー等の添加剤あるいは、他樹脂の粉末等他成分との混合性を向上せしめることができる。
【0041】
かかる粒径およびかさ密度を有する粉末を得るには、たとえば、重合缶からの吐出時あるいは、ニーダー、ロール、単軸もしくは二軸の押出機などを用い、一度、塊状、フレーク状、粒状、ペレット状に加工する際に液晶性を緩和させ、ついで得られた液晶性ポリマーを乾式および湿式の状態で常温あるいは冷凍粉砕することによって得ることができる。冷凍粉砕は、ドライアイスあるいは液体窒素等で凍結させた後、一般的に知られている通常のハンマータイプ(アトマイザー)粉砕機、カッタータイプ粉砕機あるいはグラインダー型または石臼型の粉砕機により行うことができる。さらに必要があればかかる粉砕により得られた粉体を適宜所望の大きさの篩を用いて篩分けしてもよい。
【0042】
液晶性を緩和させる方法として、粉砕時のフィブリル化を抑制するために重合吐出時あるいは重合品を押出機等でリペレタイズする際の溶融加工温度を制御させる方法が挙げられる。ここでいう、溶融加工温度とは、樹脂温度を指す。
【0043】
本発明の好ましい溶融加工温度として、示差走査熱量計(DSC)において、用いる液晶性ポリマーの溶融温度を示す吸熱ピークの高温側の終点以下にすることが好ましく、より好ましくは溶融温度を示す吸熱ピークの高温側の終点−5℃以下、さらに好ましくは溶融温度を示す吸熱ピークの高温側の終点−10℃以下である。溶融温度を示す吸熱ピークの高温側の終点を越える温度で溶融加工を行った場合、液晶性ポリマーの配向を助長する結果となり、得られた液晶性ポリマー粉末がフィブリル化し、目的とする粉末が得られなかったり、あるいは、得られたとしても収率を損なうため、好ましくない。溶融加工温度の下限については、得られる粉末のかさ密度および生産性を考慮した場合、示差走査熱量計(DSC)において、融点以上で溶融状態としたものを降温した時に観測される発熱ピークの高温側の始点以上であることが好ましい。
【0044】
なお、上記吸熱・発熱ピークの始点・終点は、示差走査熱量計(DSC)において、ポリマーを融点以上の溶融状態とし、室温まで20℃/分の降温条件で一旦室温まで冷却した後、再度20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される溶融に認められる吸熱ピークに対してベースラインで接線を引いた場合の高温側の接点を吸熱ピークの高温側終点とし、また、上記20℃/分の降温条件で降温する際に認められる発熱ピークに対して同様に接線を引いた場合の高温側の接点を発熱ピークの高温側の始点とする。
【0045】
このように粉砕前の液晶性ポリマーの液晶性を適度に緩和させておくことにより、粉砕によってもフィブリル化することがなく、適切な粒度の粉末が得られ、かつ、配向性も小さすぎないことから、粉砕により適切な範囲のかさ密度を有する粉末が得られるため、粉体流動性など粉末特性に優れ、充填材とのなじみ性、すなわち混合性にも優れた液晶性ポリマー粉末となる。また、粉砕により得られる粉末は、通常、形状異方性を有していることから、他成分、ウィスカー状、板状など形状異方性を有するフィラーとのなじみ性に優れ、両者に比重差があっても分級することなく、均一混合することができる。特にウィスカーなどをはじめとするかさ密度が低く、従来液晶ポリマーへの充填性が困難なものの配合に好適であり、特にフィラーのかさ密度が0.4g/cm以下のもので液晶ポリマーの充填量が25重量%以上の時に好適である。
【0046】
本発明の液晶性ポリマー粉末は、高重合度で粉体流動性に優れ、他成分との混合性に優れることから、従来困難であった用途、例えば、液晶性ポリマーへの微細フィラーの添加用途あるいはフィラー高充填化用途、具体的には、トナーロール、静電板、集電板、ヒートシンク、プラマグ等の導電・磁石用途、あるいは、フェルール等の光ケーブルの接続コネクタ部品、光ピックアップ部品等、設置アンテナ等の屋外設置用の高寸法安定性用途、電気・電子等の電磁波シールド用途をはじめ、気体・液体等のバリヤー性を必要とする用途、発電システム、電気・電子部品、医療機器、食品容器、家庭・事務用品、建材関係部品、家具用部品などの帯電防止あるいは電気・熱伝導性が必要な各種用途に有効である。
【0047】
なお、本発明の液晶性ポリマー粉末と他成分とは、例えば2軸押出機を用いて溶融混練することにより、均一に配合することができるが、二軸押出機に供給する前にドライブレンドすることが更に均一性を高める上で好ましい。
【0048】
また、本発明の液晶性ポリマー粉末を用いることでフィラーの高充填化が可能となり、例えば後述するような方法により、従来得られなかったフィラー高充填樹脂材料を得ることができる。
【0049】
本発明に用いるフィラーとしては、繊維状もしくは、板状、鱗片状、粒状、不定形状、破砕品など非繊維状の充填剤が挙げられ、具体的には例えば、ガラス繊維、PAN系やピッチ系の炭素繊維、ステンレス繊維、アルミニウム繊維や黄銅繊維などの金属繊維、芳香族ポリアミド繊維などの有機繊維、石膏繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、ジルコニア繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、酸化チタン繊維、炭化ケイ素繊維、ロックウール、チタン酸カリウムウィスカー、チタン酸バリウムウィスカー、ほう酸アルミニウムウィスカー、窒化ケイ素ウィスカー、マイカ、タルク、カオリン、シリカ、炭酸カルシウム、ガラスビーズ、ガラスフレーク、ガラスマイクロバルーン、クレー、二硫化モリブデン、ワラステナイト、酸化チタン、酸化亜鉛、ポリリン酸カルシウム、グラファイト、金属粉、金属フレーク、金属リボン、金属酸化物、カーボン粉末、黒鉛、カーボンフレーク、鱗片状カーボン、カーボンナノチューブなどが挙げられる。金属粉、金属フレーク、金属リボンの金属種の具体例としては銀、ニッケル、銅、亜鉛、アルミニウム、ステンレス、鉄、黄銅、クロム、錫などが例示できる。ガラス繊維あるいは炭素繊維の種類は、一般に樹脂の強化用に用いるものなら特に限定はなく、例えば長繊維タイプや短繊維タイプのチョップドストランド、ミルドファイバーなどから選択して用いることができる。本発明においては、上記フィラーのうち、繊維状、板状、鱗片状の形状および破砕品が得られた材料の機械強度の点から好ましく用いられ、さらに成形品の強度等の点から繊維状あるいは板状、鱗片状が好ましい。なお、本発明において繊維状は、通常繊維状と呼ばれるものであって、ウィスカー形状のものも含み、例えば、平均繊維長あるいは平均長径/平均繊維径あるいは平均短径(アスペクト比)3〜10000程度の形状を有するものが挙げられる。板状、鱗片状は、通常、板状、鱗片状と呼ばれるものであって、長径に対し厚みを有する形状を有し、例えば平均長径/平均厚みが3〜5000程度のものが挙げられる。粒状は、比較的球状に近い形状をなす粒状のものであって、、例えば、平均長径/平均短径が2未満程度のものが挙げられる。不定形状は、粉砕品等の形が定まっていないものである。なお、これらの充填剤の形状(平均繊維長/平均繊維径、平均長径/平均厚み、平均長径/平均短径)は、走査型電子顕微鏡(SEM)により繊維長、繊維径、長径、短径あるいは厚みを各100個測定し、その数平均をもとめ、算出することができる。
【0050】
また、上記の充填剤は機械強度と成形品そりのバランスを得るために2種以上を併用して使用することもでき、例えば、ガラス繊維とマイカあるいはカオリン、ガラス繊維とガラスビーズ、炭素繊維とマイカあるいはカオリン、炭素繊維と黒鉛、黒鉛とカーボンブラック等が挙げられる。
【0051】
なお、本発明に使用する上記の充填剤はその表面を公知のカップリング剤(例えば、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤など)、その他の表面処理剤で処理して用いることもできる。また、上記の充填剤は、導電性物質で被覆して用いることもできる。
【0052】
また、ガラス繊維はエチレン/酢酸ビニル共重合体などの熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂で被覆あるいは集束されていてもよい。
【0053】
本発明で用いられる熱可塑性樹脂とフィラーとの配合量は、用いる充填剤の特性を発揮し、かつ溶融加工性とのバランスの点から、液晶性ポリマー粉末(a)とフィラー(b)の合計量100重量%に対し、通常、液晶性ポリマー粉末(a)2〜40重量%、フィラー(b)98〜60重量%が好ましく、液晶性ポリマー粉末(a)5〜35重量%、フィラー(b)95〜65重量%がさらに好ましく、液晶性ポリマー粉末(a)6〜30重量%、フィラー(b)94〜70重量%であることが特に好ましく、とりわけ液晶性ポリマー粉末(a)7重量%〜25重量%、フィラー(b)93〜75重量%であることが好ましい。
【0054】
本発明において、上記液晶性ポリマー粉末あるいはフィラー高充填樹脂材料には、本発明の効果を損なわない範囲で他の成分、例えば酸化防止剤や耐熱安定剤(ヒンダードフェノール系、ヒドロキノン系、ホスファイト系およびこれらの置換体等)、耐候剤(レゾルシノール系、サリシレート系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ヒンダードアミン系等)、離型剤及び滑剤(モンタン酸及びその金属塩、そのエステル、そのハーフエステル、ステアリルアルコール、ステアラミド、各種ビスアミド、ビス尿素及びポリエチレンワックス等)、顔料(硫化カドミウム、フタロシアニン、着色用カーボンブラック等)、染料(ニグロシン等)、結晶核剤(タルク、シリカ、カオリン、クレー等)、可塑剤(p−オキシ安息香酸オクチル、N−ブチルベンゼンスルホンアミド等)、帯電防止剤(アルキルサルフェート型アニオン系帯電防止剤、4級アンモニウム塩型カチオン系帯電防止剤、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレートのような非イオン系帯電防止剤、ベタイン系両性帯電防止剤等)、難燃剤(例えば、赤燐、燐酸エステル、メラミンシアヌレート、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の水酸化物、ポリリン酸アンモニウム、臭素化ポリスチレン、臭素化PPO、臭素化PC、臭素化エポキシ樹脂あるいはこれらの臭素系難燃剤と三酸化アンチモンとの組み合わせ等)、他の重合体を添加することができる。
【0055】
本発明において、フィラー高充填樹脂材料を得る方法としては、特に限定されず、例えば、特開平8−1663号公報の如く、押出機のヘッド部分をはずして押し出す方法、あるいは、錠剤型形状を有するフィラー高充填樹脂材料化する方法が挙げられる。特に錠剤型形状を有するフィラー高充填樹脂材料化する方法が、得られた組成物の品質安定性の点から、好ましい。錠剤化の具体的な手法としては、粉末状の原料を固相状態で圧縮成形することにより得ることができ、圧縮成形には、打錠機あるいはプリケットマシーンを用いることが好ましい。なお、上記において「固相状態で」とは液晶ポリマー粉末が溶融しない状態を意味する。
【0056】
本発明において、必要に応じて配合し得る他の成分を配合する場合、その配合方法に特に制限はなく、予め液晶性ポリマー粉末(a)に溶融混練した液晶性樹脂組成物の粉末を液晶性ポリマー粉末として用いてもよいし、液晶性ポリマー粉末(a)およびフィラー(b)を固相状態で均一にブレンドする際に、かかる他の成分も一緒に添加してブレンドしてもよい。また、予め液晶性ポリマー粉末(a)とフィラー(b)とを溶融混練した組成物の粉末を用いる場合には、その溶融混練の際に他の成分も一緒に添加してブレンドしてもよい。さらには錠剤のまわりに付着せしめることにより添加してもよい。
【0057】
本発明のフィラー高充填樹脂組材料の錠剤化形状としては、輸送時の形状保持性と成形時の易圧壊性を考慮した場合、例えば、円柱状、楕円柱状、円錐台形状、球状、楕円球状、鶏卵型形状、マセック型、円盤状、キュービック状、角柱状のものが挙げられる。なかでも加工時の計量安定性の点から円柱状、楕円柱状、円錐台形状、球状、楕円球状、鶏卵型形状、マセック型が好ましい。
【0058】
また、錠剤の錠剤サイズとしては、底面15mm直径以下×長さ20mm以下が好ましく、なかでも底面の直径または長さ(高さ)の最大値が15mm未満であることが好ましく、最小値が1mm以上であることが好ましい。なお、底面が円状でないものに関して、最大径、最小径の規定方法としては、外接円の最大直径で特定する場合、その最大直径が15mm未満、1mm以上であることが好ましく、更に好ましくは12mm以下、1.5mm以上であるのがよい。
【0059】
また、輸送時等の形状を安定に保つために、錠剤における打錠面の側面もしくは圧縮ロールでの圧縮面に対し、垂直に圧力をかけた時の圧縮破壊強度値(圧壊強度値)が、好ましくは5〜100N、より好ましくは15〜80Nである。好ましい圧壊強度値を得るための方法としては、例えば、例えば、原料組成によるところが最も大きく、融点50〜200℃の範囲のエステル系、アミド系、燐系添加剤を添加することにより、あるいは錠剤化工程において、原料供給ポケットに均一に原料を供給する方法、圧縮ロールの回転数を下げ圧縮ロール上での材料への加圧時間を延ばす方法、ホッパー内にフィードスクリューを用い、そのスクリューによりロール圧縮前において効果的な脱気と予備圧縮する方法などにより、高い錠剤密度が得られ、高い圧壊強度が得られる。なお、圧壊強度値の測定は、ロードセルなどの歪ゲージの上に錠剤を置き、その上から圧子を低速(好ましくは0.1〜2.0mm/sec)で降下させ、錠剤の圧縮破壊時に歪ゲージが示す圧力を測定する方法を用い行うことができる。
【0060】
かかる方法を用いることにより、従来、成し得なかったフィラー高充填樹脂材料を得ることが可能となる。
【0061】
かくして得られたフィラー高充填樹脂材料は、溶融成形が可能であり、射出成形、押出成形、プレス成形、インジェクションプレス成形などの方法により、三次元成形品、シート、容器状物などに加工することができる。特に、生産性から、射出成形、プレス成形、射出圧縮成形(インジェクションプレス成形)などが好ましく用いられるが、フィラーを特に多量に含有せしめる場合には、成形が容易に行える点でプレス成形が特に好ましい。
【0062】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明の骨子は以下の実施例にのみ限定されるものではない。
【0063】
参考例1 液晶性ポリマーの製造
LCP1:p−ヒドロキシ安息香酸995重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル126重量部、テレフタル酸112重量部、固有粘度が約0.6dl/gのポリエチレンテレフタレ−ト216重量部及び無水酢酸960重量部を撹拌翼、留出管を備えた反応容器に仕込み、室温から150℃まで昇温しながら3時間反応させ、150℃から250℃まで2時間で昇温し、250℃から320℃まで1.5時間で昇温させた後、320℃、1.5時間で0.5mmHg(67Pa)に減圧し、さらに約0.25時間反応させ重縮合を行った結果、芳香族オキシカルボニル単位80モル当量、芳香族ジオキシ単位7.5モル当量、エチレンジオキシ単位12.5モル当量、芳香族ジカルボン酸単位20モル当量からなるペレットを得た。
【0064】
LCP2:p−ヒドロキシ安息香酸907重量部と6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸457重量部及び無水酢酸873重量部を攪拌翼、留出管を備えた反応容器に仕込み、室温から150℃まで昇温しながら3時間反応させ、150℃から250℃まで2時間で昇温し、250℃から310℃まで1.5時間で昇温させた後、310℃、1.5時間で0.5mmHg(67Pa)に減圧し、さらに約0.25時間反応させ重縮合を行った結果、芳香族オキシカルボニル単位100モル当量からなるペレットを得た。
【0065】
LCP3:p−ヒドロキシ安息香酸995重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル126重量部、テレフタル酸112重量部、固有粘度が約0.6dl/gのポリエチレンテレフタレ−ト216重量部及び無水酢酸960重量部を撹拌翼、留出管を備えた反応容器に仕込み、室温から150℃まで昇温しながら3時間反応させ、150℃から250℃まで2時間で昇温し、250℃から320℃まで1.5時間で昇温させた後、320℃、1.5時間で0.5mmHg(67Pa)に減圧した結果、芳香族オキシカルボニル単位80モル当量、芳香族ジオキシ単位7.5モル当量、エチレンジオキシ単位12.5モル当量、芳香族ジカルボン酸単位20モル当量からなるプレポリマー(粉体状)を得た。このプレポリマーの数平均分子量は3500であった。ついでDS3−7.5型ニーダーを用いて窒素雰囲気下で240℃で2時間、240℃から290℃まで4℃/時間で昇温し、290℃で2時間処理し、粉末を得た。
【0066】
(1)吸熱ピークの高温側終点および発熱ピークの高温側始点
DSC−7(パーキンエルマー社製)を用いてサンプル量80mg、昇温速度40℃/分、融点+25℃で5分間保持し、20℃/分の降温条件で室温まで一旦冷却する時観測される発熱ピークに対してベースラインで接線を引き、その高温側の接点を発熱ピークの高温側始点とし、再度20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピークに対して同様に接線を引いた高温側の接点を吸熱ピークの高温側終点とした。なお、融点は上記吸熱ピーク温度(Tm2)を指す。
【0067】
(2)液晶性ポリマーの絶対分子量
GPC装置として、ウォーターズ社製244型ゲル浸透 クロマトグラフ、カラムは昭和電工社製ShodexH FIP806Mを用い、LALLS装置としてChro matix社KMX−6型低角度レーザー光散乱光度計を用い、測定溶媒ペンタフルオロフェノール/クロロホルム=1/2を溶媒とし、試料濃度約0.04重量/容量%、測定温度23℃で測定し、数平均分子量Mnを求めた。
【0068】
(3)粒度分布
Ro−Tap M/C(平衡製作所製)および試験篩(飯田製作所製)を用いてJIS−K0069に準拠し、粒度分布を測定した。
【0069】
(4)かさ密度
POWDER TESTER TYPE−E(ホソカワミクロン社製)を用いてステンレス製の100cm容器に粉末を入れ、タッピング時間10分間処理し、さらに容器の上部ですり切りし、その重量を測定した。
【0070】
得られた重量を容器の容量で除してかさ密度とした。
【0071】
(5)収量
実際に得られた液晶性ポリマー粉末に対して、重合開始時のモノマー仕込量から算出される理論収量に対する割合を次式
収量(%)=(得られた液晶性ポリマー粉末量/理論収量)×100
により求めた。
【0072】
実施例1〜3
参考例1記載の液晶性ポリマーを2軸押出機(PCM30:池貝鉄工製)を用いて、表1に示す溶融加工温度を樹脂温度(押出機吐出口で測定した温度)としてリペレタイズし、さらに液体窒素で冷却しながらアトマイザー(ハンマーミル)に投入して冷凍粉砕し、粉末を得た。ついで上記方法により、粉体特性を評価した。
【0073】
比較例1
参考例1記載のLCP3について実施例と同様に上記方法により粉体特性を評価した。
【0074】
比較例2
参考例1記載のLCP3について本発明の粒度分布内に収まるように液体窒素で冷却しながらアトマイザー(ハンマーミル)で冷凍粉砕し、粉末を得た。ついで実施例と同様に上記方法により粉体特性を評価した。
【0075】
これらの結果を表1に示す。
【0076】
【表1】
Figure 2004068004
【0077】
比較例3
参考例1記載の液晶性ポリマーを2軸押出機(PCM30:池貝鉄工製)を用いて、330℃の溶融加工温度を樹脂温度(押出機吐出口で測定した温度)としてリペレタイズし、液体窒素で冷却しながらアトマイザー(ハンマーミル)で冷凍粉砕した結果、液晶性ポリマーがフィブリル状になり、吐出口からほとんど排出されず、装置が過負荷で停止し、粉体がほとんど得られなかった。一部得られた粉末のかさ密度を測定した結果、0.12g/cmであった。
【0078】
表1の結果から明らかなように本発明の液晶性ポリマー粉末は、従来得られなかった粉体特性が得られ、かつ高い収率で得ることが可能となる。金属代替をはじめとする、従来代替不可能であった新規用途への展開を図ることが可能となる。
【0079】
実施例4
実施例3で得られた液晶性ポリマー粉末70重量部に対してかさ密度0.19g/cmのホウ酸アルミウイスカー(“アルボレックス”YS1;四国化成社製)を30重量部ドライブレンドして2軸押出機(PCM30:池貝鉄工製)を用いて、330℃の溶融加工温度を樹脂温度(押出機吐出口で測定した温度)としてペレタイズテストを行った結果、組成バラツキによる脈流もなく、良好なペレットが得られた。
【0080】
比較例4
比較例2で得られた液晶性ポリマー粉末70重量部に対して実施例4と同様にかさ密度0.19g/cmのホウ酸アルミウイスカー(“アルボレックス”YS1;四国化成社製)を30重量部ドライブレンドして2軸押出機(PCM30:池貝鉄工製)を用いて、330℃の溶融加工温度を樹脂温度(押出機吐出口で測定した温度)としてペレタイズテストを行った結果、押出機ホッパー内で組成分布が起こったためと思われるが、スタート時は押出性良好であったが、時間が経つにつれ、脈流が起こり、良好なペレットが得られなかった。
【0081】
実施例5
実施例3で得られた液晶性ポリマー粉末20重量部に対してアルミナAL−43KT(昭和電工社製:かさ密度1.4g/cm3、数平均粒径4.6μm)を80重量部、モンタン酸エステルワックス(クラリアントジャパン社製:融点78℃)0.5重量部をヘンシェルミキサーで5分間ブレンドし、自動原料供給フィーダーを備えた月島機械製ロータリー打錠機を用いて常温タブレット化により、7mm直径×3mm長の円柱状のタブレット(錠剤型樹脂材料)(最大値7mm、最小値3mm)を得た。ついで150℃で5時間熱風乾燥し、射出成形機UH−1000(日精樹脂社製)にて樹脂温度320℃、金型温度160℃で80mm×80mm×3mm厚のフィルムゲート角板型成形品を50個成形し、流れ方向と垂直方向の寸法を測定し、そのバラツキ度の標準偏差を求めた結果、流れ方向0.014、垂直方向0.011であった。
【0082】
実施例6
実施例3で得られた液晶性ポリマー粉末20重量部に対してアルミナAL−43KT(昭和電工社製:かさ密度1.4g/cm3、数平均粒径4.6μm)を80重量部、モンタン酸エステルワックス(クラリアントジャパン社製:融点78℃)0.5重量部をドライブレンドし、ヘッド部を外した2軸押出機(PCM30;池貝鉄鋼社製)を用いて樹脂温度325℃にて溶融混練を行い、組成物を得た。ついで150℃5時間熱風乾燥し、射出成形機UH−1000(日精樹脂社製)にて樹脂温度320℃、金型温度160℃で80mm×80mm×3mm厚のフィルムゲート角板型成形品を50個成形し、実施例5同様の評価を行った結果、流れ方向0.021、垂直方向0.017であった。
【0083】
比較例5
参考例1の液晶性ポリマーペレット20重量部に対してアルミナAL−43KTを80重量部、モンタン酸エステルワックス0.5重量部をドライブレンドし、ヘッド部を外した2軸押出機(PCM30;池貝鉄鋼社製)を用いて樹脂温度325℃で溶融混練を試みたところ、組成が均一化できずに押出機が動力過負荷で停止し、組成物が得られなかった。
【0084】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、従来得られなかった良好な粉体特性を有する液晶性ポリマー粉末が得られ、かつ高い収率で得ることが可能であることから、例えば、従来までかさ密度が低く、均一混合性に欠けた材料に関しても問題なく溶融混練可能となり、組成物も均質なものが得られることが明らかとなった。また、フィラー高充填組成物を得る際にも均一な組成物が得られることが明らかとなった。そのため、均質特性を重視した用途、例えば、導電・磁石用途、高寸法安定性用途、電気・電子等の電磁波シールド用途をはじめ、発電システム、電気・電子部品、医療機器、食品容器、家庭・事務用品、建材関係部品、家具用部品などの帯電防止あるいは電気・熱伝導性が必要な各種用途に有効である。

Claims (5)

  1. JIS−K0069に基づく篩分け試験法に準じて測定した粉末粒度において目開き250μmを通過する粒子が40重量%以上存在し、かつ、粉末のかさ密度が0.25g/cm以上0.7g/cm以下であることを特徴とする液晶性ポリマー粉末。
  2. 数平均分子量5000以上の液晶性ポリマーを粉砕することにより得られる請求項1記載の液晶性ポリマー粉末。
  3. 示差走査熱量計(DSC)において溶融温度を示す吸熱ピークの高温側の終点以下の溶融加工温度で溶融させて得られた液晶性ポリマーを粉砕することを特徴とすること液晶性ポリマー粉末の製造方法。
  4. 請求項1または2記載の液晶性ポリマー粉末(a)とフィラー(b)を配合してなり、その組成比が(a)2〜40重量%、(b)フィラー98〜60重量%であるフィラー高充填樹脂材料。
  5. フィラー高充填樹脂材料が錠剤型形状を有するものである請求項4記載のフィラー高充填樹脂材料。
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