JP2004026674A - 泥パック剤とその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】顔や手、頭部、その他、身体の全部または一部に塗布し、適当な時間をおいてから洗い流す泥パック剤に関し、沖縄本島の北部地域に埋蔵されている有用粘土の特質を生かしたパック剤とその製造方法を実現する。
【解決手段】100μm以下の微粒子からなり、約60%以上の珪酸アルミナを含み、800℃以上の耐熱性を有する粘土を主成分とする泥パック剤であり、月桃エキス、キダチアロエエキス、浜スーキエキスおよび仏桑花の葉のエキスと、深層海水とを含むことを特徴とする。図1は、この泥パック剤を製造する装置を工程順に説明する図である。
【選択図】 図1
【解決手段】100μm以下の微粒子からなり、約60%以上の珪酸アルミナを含み、800℃以上の耐熱性を有する粘土を主成分とする泥パック剤であり、月桃エキス、キダチアロエエキス、浜スーキエキスおよび仏桑花の葉のエキスと、深層海水とを含むことを特徴とする。図1は、この泥パック剤を製造する装置を工程順に説明する図である。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、顔や手、頭部、その他、身体の全部または一部に塗布し、適当な時間をおいてから洗い流す泥パック剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
化粧用、美肌用ないし保健用のパック剤は、顔や手など、身体の一部や全身に塗布して、皮膚を脱色して白化したり、パック剤中の栄養分を皮膚に供給したりすることを目的とするものである。
【0003】従来のこの種のパック剤としては、例えば特開平9−124454号公報に記載のように、火山灰が堆積して固まった吸着性泥岩を粉砕して粉末にしたものを含水せしめてペースト状にしたパック剤が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、本発明の発明家は、沖縄県内のある地域では、パック剤として有効な特性を有する粘土すなわちシルト岩微細粒子が埋蔵していることを発見した。この粘土は、沖縄本島の北部地域における標高数百メートルの山地を形成する古期岩類とそれが侵食された丘陵地形の土壌で形成された地層から得られるもので、この地層のより純度の高い粘土層から採取できる。
【0005】この地層は、旧・新期火山岩帯で、霧島火山帯の延長線上に存在する古い地層であり、これは沖縄本島中南部の新しい地層とは異なって、侵食・風化の度合いもより高度である。
【0006】この粘土の色調は、淡い黄褐色を示す粒状性の細かい酸性の粘土層で、保水性も高い性質を示す。また、この粘土には独特の粘りがあり、粒子が細かく均一性があることから、陶磁器にしたときの割れが発生し難いことや耐熱性がよいことから、陶磁器等の焼き物の素材としても珍重されている。例えば、沖縄本島の中南部に多いジャーガルと呼ばれる粘土はほぼネズミ色を呈し、約800℃で溶けだすが、前記の沖縄本島の北部地域の地層に埋蔵している淡い黄褐色の粘土は、1400℃でも溶けないので、耐熱性が極めて高いことが分かる。
【0007】この粘土の主成分は、100μm以下の微粒子で、比重1.6以上、約60%以上が雲母であると考えられる。その結果、研磨性がよく、パック剤として使用したとき、角質を除去したりする効果があるものと考えられる。その他スメクタイト、クロライト及びカオリナイトからなっている。そして、前記のような独特の粘りや微細な粒子部分の強い化学的吸着性により、皮膚の油脂成分やタンパクなどを取り除き、洗顔、パックをすることによって、皮膚の美容効果を発揮する。
【0008】さらに、この粘土には、頭皮の油脂成分やタンパクを取り除き、抜け毛を防ぎ、しっとりとしたうるおいのある髪を作る事が確認されている。また微粒子の強い化学的吸着性と研磨性を有することも確かめられている。
【0009】本発明の技術的課題は、このような沖縄本島の北部地域に埋蔵されているこの種粘土の特質を生かしたパック剤とその製造方法を実現することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の技術的課題は次のような手段によって解決される。請求項1は、100μm以下の微粒子からなり、約60%以上の珪酸アルミナを含み、800℃以上の耐熱性を有する粘土を主成分とすることを特徴とする泥パック剤である。
【0011】このように、約60%以上の珪酸アルミナを含む粘土は、強い研磨作用によって、肌の古い角質を除去する作用がある。また、強い化学的吸着性により、皮膚の油脂成分やタンパクを取り除く作用があるので、洗顔やパックに用いることによって、皮膚の美容・美肌効果を発揮する。
【0012】さらに、頭皮の油脂成分やタンパクを取り除き、抜け毛を防ぎ、しっとりとしたうるおいのある髪にする作用もあるので、育毛剤としても期待できる。
【0013】請求項2は、少なくとも月桃エキス、キダチアロエエキス、浜スーキエキスおよび仏桑華(方言名=赤バナー)の葉のエキスと、海洋深層海水とを含むことを特徴とする請求項1に記載の泥パック剤である。
【0014】このように、前記のような粘土に加えて、月桃エキス、キダチアロエエキス、浜スーキエキスおよび仏桑華の葉のエキスと、深層海水とを含んでいるため、これらの各成分が人体の塗布面から吸収されて、肌にうるおいを与え、人体に美容上または保健上の効果を発揮する。したがって、洗顔や洗髪、全身のパック剤として有効である。
【0015】請求項3は、泥パック剤の製造用の粘土の製造方法であって、原料粘土を粉砕し攪拌する工程と、悪玉菌除去用の微生物を添加する工程と、異物や粗い粒子を除去するためのろ過工程と、100μm以下の微粒子を通過させる最終ろ過工程と、微粒子粘土を沈殿させる工程と、塩素を加えて、微生物その他の雑菌を殺す工程と、粘土を乾燥させる工程と、を有することを特徴とする泥パック剤製造用の粘土の製造方法である。
【0016】このように、原料粘土を粉砕し攪拌する工程と悪玉菌除去用の微生物を添加する工程とを経ることで、天然の粘土に含まれている雑菌や悪玉菌、粘土の臭いなどを除去して、人体に悪影響のないパック剤を製造できる。
【0017】また、異物や粗い粒子を除去するためのろ過工程と、100μm以下の微粒子を通過させる最終ろ過工程と、微粒子粘土を沈殿させる工程とを経ることで、100μm以下の微粒子のみからなり、処理水とは分離した粘土のみを製造できる。そして、塩素を加えて、微生物その他の雑菌を殺す工程を経ることで、悪玉菌除去に使用済みの微生物やその他の雑菌を除去でき、人体に好適な粘土を実現できる。そして、乾燥工程によって、保存性に富み、以後の工程で使用し易い乾燥粘土を実現できる。
【0018】請求項4は、泥パック剤の製造用の粘土の製造装置であって、攪拌ろ過された粘土をさらにろ過するろ過水槽と、ろ過された粘土を沈殿させる沈殿水槽とを有しており、沈殿水槽で粘土を沈殿させた際の上澄み水をポンプアップして、前記のろ過水槽中のろ過手段に逆方向から水を噴射してろ過手段の洗浄とろ過水槽中の粘土の希釈を行なう構造となっていること、を特徴とする泥パック剤製造用の粘土の製造装置である。
【0019】このように、攪拌ろ過された粘土をさらにろ過するろ過水槽と、ろ過された粘土を沈殿させる沈殿水槽とを有しているので、100μm以下の微粒子粘土を容易にかつ確実に製造できる。そして、沈殿水槽で粘土を沈殿させた際の上澄み水をポンプアップして、前記のろ過水槽中のろ過手段に逆方向から水を噴射するので、ろ過手段を容易にかつ確実に洗浄して、ろ過手段の目詰まりを防止して、円滑にろ過できる。しかも、洗浄時の水がろ過水槽に入って、内部の粘土に加わることによって、ろ過水槽中の粘土が希釈されるので、粘土の微粒子がろ過水槽のろ過手段を通過し易くなり、目詰まりを効果的に遅らせることができる。
【0020】請求項5は、泥水の状態でろ過工程を通過し、沈殿処理された後の100μm以下の粘土を薄く延ばした状態で乾燥させることを特徴とする泥パック剤製造用の粘土の製造方法である。
【0021】このように、泥水の状態でろ過工程を通過し、沈殿処理された後の100μm以下の粘土を薄く延ばした状態で乾燥させるので、ドロドロの状態の粘土を効果的に乾燥できる。したがって、乾燥状態で保存や運搬、取り扱いが簡便となり、乾燥後の粘土を破砕して使用できるので、泥パック剤の製造に使用する際にも便利である。
【0022】
【発明の実施の形態】
次に本発明による泥パック剤とその製造方法が実際上どのように具体化されるか実施形態を説明する。本発明の泥パック剤を製造するのに用いる粘土は、沖縄本島の北部地域における標高数百メートルの山地を形成する古期岩類とそれが侵食された丘陵地形の土壌で形成された地層から得られるもので、100μm以下の微粒子から成り、大半すなわち約60%以上は珪酸アルミナ(雲母)で、その他スメクタイト、クロライト及びカオリナイトを含んでいる。
【0023】この粘土の特性としては、特有の粘りがあり、また微細な微粒子部分に強い化学的吸着性があるので、皮膚の油脂成分やタンパク、汚れなどを吸着して取り除く作用が強い。
【0024】この粘土は、そのままでは、パック剤として使用できない。すなわち、人体に塗布しても支障のないように、充分に殺菌したり、細部まで入り込んで油脂や汚れなどを吸着できるように、充分に微粒子化する必要がある。
【0025】次に、図1に基づいて、本発明の泥パック剤の製造に用いる粘土の製造方法を工程順に説明する。
【0026】図1において、図の左側から、1は原料土であり、2は粉砕攪拌槽、3は攪拌ろ過槽、4は最終ろ過槽、5は沈殿槽、6は水切り槽、7は乾燥装置である。
【0027】前記のような特別の地層から採取して搬入した原料土1は、ベルトコンベア8で、水の入った粉砕攪拌槽2に移送されて、図示しない粉砕手段で細かく粉砕される。その結果、泥水状態となる。この泥水に、EM・1(株式会社イーエム研究機構の商標)と呼ばれている微生物を加えて、土壌中の雑菌や人体に好ましくない菌類をえさにすることで殺菌したり、粘土の臭いを消したりする。
【0028】次いで、この水槽2中の泥水を、ポンプ付き輸送管9で攪拌ろ過槽3に送って、充分に攪拌し、かつろ過する。この攪拌ろ過槽3には、目の粗い第1フィルターF1と目の細かい第2フィルターF2を有している。また、第1フィルターF1と第2フィルターF2との間に、攪拌手段を配設する。
【0029】粉砕攪拌槽2から到来した泥水は第1フィルターF1でろ過されてから水槽3に入って溜まり、エアーブロー孔10から送られた圧縮空気で攪拌された後、第2フィルターF2を通過して、次の最終ろ過槽4に送られる。攪拌ろ過槽3中で攪拌されながら、第2フィルターF2を通過するので、粘土が滞留したりすることなく、円滑に第2フィルターF2を通過できる。
【0030】第2フィルターF2を通過した泥水は、ポンプ付き輸送管11で次の最終ろ過槽4に送られる。この水槽4にも、第1フィルターf1と第2フィルターf2を設けてある。したがって、第1フィルターf1でろ過された泥水だけが、この水槽4に流入し、次いで、水槽4中に立てられた円筒状の第2フィルターf2を通過して、底部4aから次の沈殿槽5にポンプ付き輸送管12で送られる。
【0031】水槽4中の泥水も、エアーブロー孔13から送られた圧縮空気で攪拌されるので、泥水が滞留することなく、円滑に最終の第2フィルターf2を通過して、100μm以下の微粒子のみが、次の沈殿水槽5に送られる。なお、水槽3、4において、圧縮空気で攪拌するのは、微生物EM・1が死滅するのを防止する作用も兼ねている。
【0032】沈殿水槽5に到来した泥水は、沈殿水槽5中で静置されて、粘土のみが沈殿する。沈殿によって発生した上澄みの水は、逆送水管14とポンプPによって、前記の円筒状の第2フィルターf2中に戻される。そして、第2フィルターf2の内面に吹き付けられる。
【0033】このように、水槽4中の泥水が第2フィルターf2を通過する方向とは逆方向から、第2フィルターf2に水圧が作用して洗浄される。この洗浄の際に、洗浄水が第2フィルターf2を通過して、最終ろ過槽4中に逆流するため、水槽4中の水が増えて、泥水が希釈され、第2フィルターf2を通過し易くなる。結果的に、第2フィルターf2が目詰まりを起こし難くなる。
【0034】このように、沈殿水槽5中で静置されて発生した上澄みの水を前段の最終ろ過槽4に逆送して洗浄に利用するので、EM菌の入った水を循環させて繰り返し使用できる。その結果、水とEM菌を効率的に使用して節約できる。
【0035】沈殿水槽5には、100μm以下の微粒子のみが到来して沈殿するが、底に沈殿した粘土のみが、ポンプ付き輸送管15で次の水切り槽6に送られる。なお、輸送管15のポンプは、水分の少ない粘土を送るため、泥水ポンプを用いる。
【0036】沈殿水槽5中に到来した泥は、幾分水を含んでいるが、2昼夜程度静置しておくと、上面のみに水が浮き上がるるので、この上澄みの水を排水すると、水切り状態の泥が残る。微生物による殺菌は、水槽5の時点で完了しているので、水切り槽6中の泥に塩素を散布することによって、EM菌を殺菌する。
【0037】微生物が残存していると、泥パック剤にした時点で死滅して腐敗を来すなどの恐れがあるので、先に殺菌しておくのがよい。
【0038】こうして底に残った、水分の少ない粘土の泥のみが、泥水ポンプ付き輸送管16で次の乾燥装置に送られる。塩素が残存していると、この塩素が、泥パック剤中に添加する薬草やハーブなどの成分に対して悪影響を与える恐れがあるので、乾燥時に塩素も飛散させるのがよい。
【0039】図2は以上のような処理の済んだ100μm以下の微粒子からなる泥を乾燥させる装置の斜視図である。17はステンレス板などからなる長方形の板からなるテーブルであり、その一端中に複数本の輸送管18…の先端が配設されている。この輸送管18…からは、前記の水切り後の泥が圧送されて来て、長方形テーブル17上に供給される。
【0040】テーブル17の両側には、チェーン19、20が張ってあり、両チェーン19、20間に渡した支軸バー21にスクレーパ22を取付けてある。したがって、このスクレーパ22は、チェーン19、20の動作によって、前後動できる。なお、実際には、左右のチェーン19、20を支持しているフレーム全体が、図示されていないカム機構などによって、10cm程度の範囲で上下動できる構造になっている。
【0041】この装置において、いま複数の輸送管18…で水切り後の泥が圧送されて来て、テーブル17上に押し出されると、その上に、チェーン19、20の下降によって、スクレーパ22が降りて来る。次いで、チェーン19、20が作動して、スクレーパ22を前進させることによって、押し出されて来た泥をテーブル17上に押し延ばしていく。
【0042】こうして、例えば2cm程度の厚さに押し延ばして平らに拡げた状態にし、その上から、湿度が40〜60%程度の空気を送風すると、24時間程度で乾燥する。送風する空気は、熱風や温風でもよいが、常温の風で充分である。乾燥したら、前記のスクレーパ22を2cm程度下降させてから、前後動させると、テーブル17上の乾燥した粘土を掻き落とすことができる。
【0043】なお、水切り後の泥は、屋外で押し拡げて、天日で乾燥させることも可能である。このようにして、乾燥させる際に、水切り工程で添加した殺菌用の塩素を飛散させ、消失させることができる。
【0044】こうして乾燥させた100μm以下の微粒子の粘土は、保存性がよく、粉砕して各種の液体エキスや水などで溶くことによって、泥パック剤の製造に使用できる。
【0045】図3、図4は、前記のような方法で製造した粘土による吸着性の試験結果である。図3は、本発明による粘土の油脂吸着性を試験した写真であり、(1)は、グラスに入れた水と被試験用の油脂(オレインリッチ)である。グラス中の水に前記の油脂を入れると、(2)のように、油脂が水面に浮く。次に、(3)のように、本発明の粘土を加えてかき混ぜると、約5分後には、(4)のように、油脂が粘土に吸着されて沈殿した。
【0046】この試験結果からも、本発明の粘土には、油成分を吸着する作用が強いことが明らかである。したがって、皮膚の油脂成分やタンパク成分などを取り除くのに適している。
【0047】図4は、本発明による粘土の汚れ吸着性を試験した写真であり、(1)は、グラスに入れた水と被試験用の墨汁(書芸呉竹)である。グラス中の水に前記の墨汁を入れると、(2)のように、全体が黒く変色する。次に、(3)のように、本発明の粘土を加えて棒でかき混ぜると、約4分30秒後には、(4)のように、墨汁が粘土に吸着されて沈殿した。
【0048】この試験結果からも、本発明の粘土には、墨汁その他の汚れなどを吸着する作用が強く、美白効果のあることが明らかである。
【0049】このように、本発明による粘土は、汚れや油脂成分を吸着除去する性質が強いので、この粘土をパック剤の原料にすると、高品質のパック剤を実現できる。本発明の場合、前記の装置で乾燥させた粘土25kgに対し、薬草やハーブなどのエキス液650g、深層海水420〜450g、軟水2リットルを加えて溶かし、練ることによって、泥パック剤を製造する。
【0050】前記のエキス液は、月桃エキス、キダチアロエエキス、浜スーキエキスおよび仏桑華の葉のエキスを混合した液体である。これらのエキス液の配合割合は、それぞれ等量でよいが、必要に応じて、好みのエキスを多少増減してもよい。
【0051】これらのエキスの効能は次の通りである。すなわち、月桃エキスは殺菌や消毒作用があり、キダチアロエのエキスは切り傷や擦り傷、火傷、発毛などに有効と言われている。また、浜スーキエキスはシミやソバカスなどの除去に有効で美白効果がある。仏桑華の葉のエキスは、リンス作用やトリートメント効果がある。
【0052】なお、これらのエキスに加えて、レモングラスのエキスやホルトのエキス、ローズマリーのエキス、ニタニアバラのエキスなども併用すると効果的である。なお、レモングラスのエキスとローズマリーのエキスは芳香を発する。また、ホルトのエキスとニタニアバラのエキスは、肌荒れに有効と言われている。
【0053】使用した深層海水は、沖縄県恩納村沖合い水深350メートルの深海より採取したもので、硝酸塩・リン酸塩・ケイ酸塩が多量に含まれている。薬草・ハーブは、名護市津嘉山の薬草農園で栽培管理された良質の薬草を使用しており、これらの薬草は、琉球薬草研究所で長年、アトピーや肌荒れなどで悩んでいる人々の間で好評を得ている物である。
【0054】なお、本発明による泥パック剤は、穏やかで良質の研磨剤としての効果があるので、歯磨きや鏡面磨き、貴金属やアクセサリー、食器などの油汚れ落としや艶出しとしても大変有効である。したがって、このような用途の製品に応用することもできる。
【0055】
【発明の効果】
請求項1のように、約60%以上の珪酸アルミナを含む粘土は、強い研磨作用によって、肌の古い角質を除去する作用がある。また、強い化学的吸着性により、皮膚の油脂成分やタンパクを取り除く作用があるので、洗顔やパックに用いることによって、皮膚の美容・美肌効果を発揮する。
【0056】さらに、頭皮の油脂成分やタンパクを取り除き、抜け毛を防ぎ、しっとりとしたうるおいのある髪にする作用もあるので、育毛剤としても期待できる。
【0057】請求項2のように、前記のような粘土に加えて、月桃エキス、キダチアロエエキス、浜スーキエキスおよび仏桑華の葉のエキスと、深層海水とを含んでいるため、これらの各成分が人体の塗布面から吸収されて、肌にうるおいを与え、人体に美容上または保健上の効果を発揮する。したがって、洗顔や洗髪、全身のパック剤として有効である。
【0058】請求項3のように、原料粘土を粉砕し攪拌する工程と悪玉菌除去用の微生物を添加する工程とを経ることで、天然の粘土に含まれている雑菌や悪玉菌、粘土の臭い等を除去して、人体に悪影響のないパック剤を製造できる。
【0059】また、異物や粗い粒子を除去するためのろ過工程と、100μm以下の微粒子を通過させる最終ろ過工程と、微粒子粘土を沈殿させる工程とを経ることで、100μm以下の微粒子のみからなり、処理水とは分離した粘土のみを製造できる。そして、塩素を加えて、微生物その他の雑菌を殺す工程を経ることで、悪玉菌除去に使用済みの微生物やその他の雑菌を除去でき、人体に好適な粘土を実現できる。そして、乾燥工程によって、保存性に富み、以後の工程で使用し易い乾燥粘土を実現できる。
【0060】請求項4のように、攪拌ろ過された粘土をさらにろ過するろ過水槽と、ろ過された粘土を沈殿させる沈殿水槽とを有しているので、100μm以下の微粒子粘土を容易にかつ確実に製造できる。そして、沈殿水槽で粘土を沈殿させた際の上澄み水をポンプアップして、前記のろ過水槽中のろ過手段に逆方向から水を噴射するので、ろ過手段を容易にかつ確実に洗浄して、ろ過手段の目詰まりを防止して、円滑にろ過できる。
【0061】しかも、洗浄時の水がろ過水槽に入って、内部の粘土に加わることによって、ろ過水槽中の粘土が希釈されるので、粘土の微粒子がろ過水槽のろ過手段を通過し易くなり、ろ過手段の目詰まりを効果的に遅らせることができる。
【0062】請求項5のように、泥水の状態でろ過工程を通過し、沈殿処理された後の100μm以下の粘土を薄く延ばした状態で乾燥させるので、ドロドロの状態の粘土を効果的に乾燥できる。したがって、乾燥状態で保存や運搬、取り扱いが簡便となり、乾燥後の粘土を破砕して使用できるので、泥パック剤の製造に使用する際にも便利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による泥パック剤の製造装置と製造方法を工程順に説明する斜視図である。
【図2】微粒子からなる泥を乾燥させる装置の斜視図である。
【図3】本発明による粘土の油脂吸着性を試験した結果を示す写真である。
【図4】本発明による粘土の汚れ吸着性を試験した結果を示す写真である。
【符号の説明】
1 原料土
2 粉砕攪拌槽
3 攪拌ろ過槽
4 最終ろ過槽
5 沈殿槽
6 水切り槽
7 乾燥装置
F1 第1フィルター
F2 第2フィルター
10・13 エアーブロー孔
f1 第1フィルター
f2 第2フィルター
14 逆送水管
17 テーブル
18 輸送管
19・20 チェーン
21 支持バー
22 スクレーパ
【産業上の利用分野】
本発明は、顔や手、頭部、その他、身体の全部または一部に塗布し、適当な時間をおいてから洗い流す泥パック剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
化粧用、美肌用ないし保健用のパック剤は、顔や手など、身体の一部や全身に塗布して、皮膚を脱色して白化したり、パック剤中の栄養分を皮膚に供給したりすることを目的とするものである。
【0003】従来のこの種のパック剤としては、例えば特開平9−124454号公報に記載のように、火山灰が堆積して固まった吸着性泥岩を粉砕して粉末にしたものを含水せしめてペースト状にしたパック剤が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、本発明の発明家は、沖縄県内のある地域では、パック剤として有効な特性を有する粘土すなわちシルト岩微細粒子が埋蔵していることを発見した。この粘土は、沖縄本島の北部地域における標高数百メートルの山地を形成する古期岩類とそれが侵食された丘陵地形の土壌で形成された地層から得られるもので、この地層のより純度の高い粘土層から採取できる。
【0005】この地層は、旧・新期火山岩帯で、霧島火山帯の延長線上に存在する古い地層であり、これは沖縄本島中南部の新しい地層とは異なって、侵食・風化の度合いもより高度である。
【0006】この粘土の色調は、淡い黄褐色を示す粒状性の細かい酸性の粘土層で、保水性も高い性質を示す。また、この粘土には独特の粘りがあり、粒子が細かく均一性があることから、陶磁器にしたときの割れが発生し難いことや耐熱性がよいことから、陶磁器等の焼き物の素材としても珍重されている。例えば、沖縄本島の中南部に多いジャーガルと呼ばれる粘土はほぼネズミ色を呈し、約800℃で溶けだすが、前記の沖縄本島の北部地域の地層に埋蔵している淡い黄褐色の粘土は、1400℃でも溶けないので、耐熱性が極めて高いことが分かる。
【0007】この粘土の主成分は、100μm以下の微粒子で、比重1.6以上、約60%以上が雲母であると考えられる。その結果、研磨性がよく、パック剤として使用したとき、角質を除去したりする効果があるものと考えられる。その他スメクタイト、クロライト及びカオリナイトからなっている。そして、前記のような独特の粘りや微細な粒子部分の強い化学的吸着性により、皮膚の油脂成分やタンパクなどを取り除き、洗顔、パックをすることによって、皮膚の美容効果を発揮する。
【0008】さらに、この粘土には、頭皮の油脂成分やタンパクを取り除き、抜け毛を防ぎ、しっとりとしたうるおいのある髪を作る事が確認されている。また微粒子の強い化学的吸着性と研磨性を有することも確かめられている。
【0009】本発明の技術的課題は、このような沖縄本島の北部地域に埋蔵されているこの種粘土の特質を生かしたパック剤とその製造方法を実現することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の技術的課題は次のような手段によって解決される。請求項1は、100μm以下の微粒子からなり、約60%以上の珪酸アルミナを含み、800℃以上の耐熱性を有する粘土を主成分とすることを特徴とする泥パック剤である。
【0011】このように、約60%以上の珪酸アルミナを含む粘土は、強い研磨作用によって、肌の古い角質を除去する作用がある。また、強い化学的吸着性により、皮膚の油脂成分やタンパクを取り除く作用があるので、洗顔やパックに用いることによって、皮膚の美容・美肌効果を発揮する。
【0012】さらに、頭皮の油脂成分やタンパクを取り除き、抜け毛を防ぎ、しっとりとしたうるおいのある髪にする作用もあるので、育毛剤としても期待できる。
【0013】請求項2は、少なくとも月桃エキス、キダチアロエエキス、浜スーキエキスおよび仏桑華(方言名=赤バナー)の葉のエキスと、海洋深層海水とを含むことを特徴とする請求項1に記載の泥パック剤である。
【0014】このように、前記のような粘土に加えて、月桃エキス、キダチアロエエキス、浜スーキエキスおよび仏桑華の葉のエキスと、深層海水とを含んでいるため、これらの各成分が人体の塗布面から吸収されて、肌にうるおいを与え、人体に美容上または保健上の効果を発揮する。したがって、洗顔や洗髪、全身のパック剤として有効である。
【0015】請求項3は、泥パック剤の製造用の粘土の製造方法であって、原料粘土を粉砕し攪拌する工程と、悪玉菌除去用の微生物を添加する工程と、異物や粗い粒子を除去するためのろ過工程と、100μm以下の微粒子を通過させる最終ろ過工程と、微粒子粘土を沈殿させる工程と、塩素を加えて、微生物その他の雑菌を殺す工程と、粘土を乾燥させる工程と、を有することを特徴とする泥パック剤製造用の粘土の製造方法である。
【0016】このように、原料粘土を粉砕し攪拌する工程と悪玉菌除去用の微生物を添加する工程とを経ることで、天然の粘土に含まれている雑菌や悪玉菌、粘土の臭いなどを除去して、人体に悪影響のないパック剤を製造できる。
【0017】また、異物や粗い粒子を除去するためのろ過工程と、100μm以下の微粒子を通過させる最終ろ過工程と、微粒子粘土を沈殿させる工程とを経ることで、100μm以下の微粒子のみからなり、処理水とは分離した粘土のみを製造できる。そして、塩素を加えて、微生物その他の雑菌を殺す工程を経ることで、悪玉菌除去に使用済みの微生物やその他の雑菌を除去でき、人体に好適な粘土を実現できる。そして、乾燥工程によって、保存性に富み、以後の工程で使用し易い乾燥粘土を実現できる。
【0018】請求項4は、泥パック剤の製造用の粘土の製造装置であって、攪拌ろ過された粘土をさらにろ過するろ過水槽と、ろ過された粘土を沈殿させる沈殿水槽とを有しており、沈殿水槽で粘土を沈殿させた際の上澄み水をポンプアップして、前記のろ過水槽中のろ過手段に逆方向から水を噴射してろ過手段の洗浄とろ過水槽中の粘土の希釈を行なう構造となっていること、を特徴とする泥パック剤製造用の粘土の製造装置である。
【0019】このように、攪拌ろ過された粘土をさらにろ過するろ過水槽と、ろ過された粘土を沈殿させる沈殿水槽とを有しているので、100μm以下の微粒子粘土を容易にかつ確実に製造できる。そして、沈殿水槽で粘土を沈殿させた際の上澄み水をポンプアップして、前記のろ過水槽中のろ過手段に逆方向から水を噴射するので、ろ過手段を容易にかつ確実に洗浄して、ろ過手段の目詰まりを防止して、円滑にろ過できる。しかも、洗浄時の水がろ過水槽に入って、内部の粘土に加わることによって、ろ過水槽中の粘土が希釈されるので、粘土の微粒子がろ過水槽のろ過手段を通過し易くなり、目詰まりを効果的に遅らせることができる。
【0020】請求項5は、泥水の状態でろ過工程を通過し、沈殿処理された後の100μm以下の粘土を薄く延ばした状態で乾燥させることを特徴とする泥パック剤製造用の粘土の製造方法である。
【0021】このように、泥水の状態でろ過工程を通過し、沈殿処理された後の100μm以下の粘土を薄く延ばした状態で乾燥させるので、ドロドロの状態の粘土を効果的に乾燥できる。したがって、乾燥状態で保存や運搬、取り扱いが簡便となり、乾燥後の粘土を破砕して使用できるので、泥パック剤の製造に使用する際にも便利である。
【0022】
【発明の実施の形態】
次に本発明による泥パック剤とその製造方法が実際上どのように具体化されるか実施形態を説明する。本発明の泥パック剤を製造するのに用いる粘土は、沖縄本島の北部地域における標高数百メートルの山地を形成する古期岩類とそれが侵食された丘陵地形の土壌で形成された地層から得られるもので、100μm以下の微粒子から成り、大半すなわち約60%以上は珪酸アルミナ(雲母)で、その他スメクタイト、クロライト及びカオリナイトを含んでいる。
【0023】この粘土の特性としては、特有の粘りがあり、また微細な微粒子部分に強い化学的吸着性があるので、皮膚の油脂成分やタンパク、汚れなどを吸着して取り除く作用が強い。
【0024】この粘土は、そのままでは、パック剤として使用できない。すなわち、人体に塗布しても支障のないように、充分に殺菌したり、細部まで入り込んで油脂や汚れなどを吸着できるように、充分に微粒子化する必要がある。
【0025】次に、図1に基づいて、本発明の泥パック剤の製造に用いる粘土の製造方法を工程順に説明する。
【0026】図1において、図の左側から、1は原料土であり、2は粉砕攪拌槽、3は攪拌ろ過槽、4は最終ろ過槽、5は沈殿槽、6は水切り槽、7は乾燥装置である。
【0027】前記のような特別の地層から採取して搬入した原料土1は、ベルトコンベア8で、水の入った粉砕攪拌槽2に移送されて、図示しない粉砕手段で細かく粉砕される。その結果、泥水状態となる。この泥水に、EM・1(株式会社イーエム研究機構の商標)と呼ばれている微生物を加えて、土壌中の雑菌や人体に好ましくない菌類をえさにすることで殺菌したり、粘土の臭いを消したりする。
【0028】次いで、この水槽2中の泥水を、ポンプ付き輸送管9で攪拌ろ過槽3に送って、充分に攪拌し、かつろ過する。この攪拌ろ過槽3には、目の粗い第1フィルターF1と目の細かい第2フィルターF2を有している。また、第1フィルターF1と第2フィルターF2との間に、攪拌手段を配設する。
【0029】粉砕攪拌槽2から到来した泥水は第1フィルターF1でろ過されてから水槽3に入って溜まり、エアーブロー孔10から送られた圧縮空気で攪拌された後、第2フィルターF2を通過して、次の最終ろ過槽4に送られる。攪拌ろ過槽3中で攪拌されながら、第2フィルターF2を通過するので、粘土が滞留したりすることなく、円滑に第2フィルターF2を通過できる。
【0030】第2フィルターF2を通過した泥水は、ポンプ付き輸送管11で次の最終ろ過槽4に送られる。この水槽4にも、第1フィルターf1と第2フィルターf2を設けてある。したがって、第1フィルターf1でろ過された泥水だけが、この水槽4に流入し、次いで、水槽4中に立てられた円筒状の第2フィルターf2を通過して、底部4aから次の沈殿槽5にポンプ付き輸送管12で送られる。
【0031】水槽4中の泥水も、エアーブロー孔13から送られた圧縮空気で攪拌されるので、泥水が滞留することなく、円滑に最終の第2フィルターf2を通過して、100μm以下の微粒子のみが、次の沈殿水槽5に送られる。なお、水槽3、4において、圧縮空気で攪拌するのは、微生物EM・1が死滅するのを防止する作用も兼ねている。
【0032】沈殿水槽5に到来した泥水は、沈殿水槽5中で静置されて、粘土のみが沈殿する。沈殿によって発生した上澄みの水は、逆送水管14とポンプPによって、前記の円筒状の第2フィルターf2中に戻される。そして、第2フィルターf2の内面に吹き付けられる。
【0033】このように、水槽4中の泥水が第2フィルターf2を通過する方向とは逆方向から、第2フィルターf2に水圧が作用して洗浄される。この洗浄の際に、洗浄水が第2フィルターf2を通過して、最終ろ過槽4中に逆流するため、水槽4中の水が増えて、泥水が希釈され、第2フィルターf2を通過し易くなる。結果的に、第2フィルターf2が目詰まりを起こし難くなる。
【0034】このように、沈殿水槽5中で静置されて発生した上澄みの水を前段の最終ろ過槽4に逆送して洗浄に利用するので、EM菌の入った水を循環させて繰り返し使用できる。その結果、水とEM菌を効率的に使用して節約できる。
【0035】沈殿水槽5には、100μm以下の微粒子のみが到来して沈殿するが、底に沈殿した粘土のみが、ポンプ付き輸送管15で次の水切り槽6に送られる。なお、輸送管15のポンプは、水分の少ない粘土を送るため、泥水ポンプを用いる。
【0036】沈殿水槽5中に到来した泥は、幾分水を含んでいるが、2昼夜程度静置しておくと、上面のみに水が浮き上がるるので、この上澄みの水を排水すると、水切り状態の泥が残る。微生物による殺菌は、水槽5の時点で完了しているので、水切り槽6中の泥に塩素を散布することによって、EM菌を殺菌する。
【0037】微生物が残存していると、泥パック剤にした時点で死滅して腐敗を来すなどの恐れがあるので、先に殺菌しておくのがよい。
【0038】こうして底に残った、水分の少ない粘土の泥のみが、泥水ポンプ付き輸送管16で次の乾燥装置に送られる。塩素が残存していると、この塩素が、泥パック剤中に添加する薬草やハーブなどの成分に対して悪影響を与える恐れがあるので、乾燥時に塩素も飛散させるのがよい。
【0039】図2は以上のような処理の済んだ100μm以下の微粒子からなる泥を乾燥させる装置の斜視図である。17はステンレス板などからなる長方形の板からなるテーブルであり、その一端中に複数本の輸送管18…の先端が配設されている。この輸送管18…からは、前記の水切り後の泥が圧送されて来て、長方形テーブル17上に供給される。
【0040】テーブル17の両側には、チェーン19、20が張ってあり、両チェーン19、20間に渡した支軸バー21にスクレーパ22を取付けてある。したがって、このスクレーパ22は、チェーン19、20の動作によって、前後動できる。なお、実際には、左右のチェーン19、20を支持しているフレーム全体が、図示されていないカム機構などによって、10cm程度の範囲で上下動できる構造になっている。
【0041】この装置において、いま複数の輸送管18…で水切り後の泥が圧送されて来て、テーブル17上に押し出されると、その上に、チェーン19、20の下降によって、スクレーパ22が降りて来る。次いで、チェーン19、20が作動して、スクレーパ22を前進させることによって、押し出されて来た泥をテーブル17上に押し延ばしていく。
【0042】こうして、例えば2cm程度の厚さに押し延ばして平らに拡げた状態にし、その上から、湿度が40〜60%程度の空気を送風すると、24時間程度で乾燥する。送風する空気は、熱風や温風でもよいが、常温の風で充分である。乾燥したら、前記のスクレーパ22を2cm程度下降させてから、前後動させると、テーブル17上の乾燥した粘土を掻き落とすことができる。
【0043】なお、水切り後の泥は、屋外で押し拡げて、天日で乾燥させることも可能である。このようにして、乾燥させる際に、水切り工程で添加した殺菌用の塩素を飛散させ、消失させることができる。
【0044】こうして乾燥させた100μm以下の微粒子の粘土は、保存性がよく、粉砕して各種の液体エキスや水などで溶くことによって、泥パック剤の製造に使用できる。
【0045】図3、図4は、前記のような方法で製造した粘土による吸着性の試験結果である。図3は、本発明による粘土の油脂吸着性を試験した写真であり、(1)は、グラスに入れた水と被試験用の油脂(オレインリッチ)である。グラス中の水に前記の油脂を入れると、(2)のように、油脂が水面に浮く。次に、(3)のように、本発明の粘土を加えてかき混ぜると、約5分後には、(4)のように、油脂が粘土に吸着されて沈殿した。
【0046】この試験結果からも、本発明の粘土には、油成分を吸着する作用が強いことが明らかである。したがって、皮膚の油脂成分やタンパク成分などを取り除くのに適している。
【0047】図4は、本発明による粘土の汚れ吸着性を試験した写真であり、(1)は、グラスに入れた水と被試験用の墨汁(書芸呉竹)である。グラス中の水に前記の墨汁を入れると、(2)のように、全体が黒く変色する。次に、(3)のように、本発明の粘土を加えて棒でかき混ぜると、約4分30秒後には、(4)のように、墨汁が粘土に吸着されて沈殿した。
【0048】この試験結果からも、本発明の粘土には、墨汁その他の汚れなどを吸着する作用が強く、美白効果のあることが明らかである。
【0049】このように、本発明による粘土は、汚れや油脂成分を吸着除去する性質が強いので、この粘土をパック剤の原料にすると、高品質のパック剤を実現できる。本発明の場合、前記の装置で乾燥させた粘土25kgに対し、薬草やハーブなどのエキス液650g、深層海水420〜450g、軟水2リットルを加えて溶かし、練ることによって、泥パック剤を製造する。
【0050】前記のエキス液は、月桃エキス、キダチアロエエキス、浜スーキエキスおよび仏桑華の葉のエキスを混合した液体である。これらのエキス液の配合割合は、それぞれ等量でよいが、必要に応じて、好みのエキスを多少増減してもよい。
【0051】これらのエキスの効能は次の通りである。すなわち、月桃エキスは殺菌や消毒作用があり、キダチアロエのエキスは切り傷や擦り傷、火傷、発毛などに有効と言われている。また、浜スーキエキスはシミやソバカスなどの除去に有効で美白効果がある。仏桑華の葉のエキスは、リンス作用やトリートメント効果がある。
【0052】なお、これらのエキスに加えて、レモングラスのエキスやホルトのエキス、ローズマリーのエキス、ニタニアバラのエキスなども併用すると効果的である。なお、レモングラスのエキスとローズマリーのエキスは芳香を発する。また、ホルトのエキスとニタニアバラのエキスは、肌荒れに有効と言われている。
【0053】使用した深層海水は、沖縄県恩納村沖合い水深350メートルの深海より採取したもので、硝酸塩・リン酸塩・ケイ酸塩が多量に含まれている。薬草・ハーブは、名護市津嘉山の薬草農園で栽培管理された良質の薬草を使用しており、これらの薬草は、琉球薬草研究所で長年、アトピーや肌荒れなどで悩んでいる人々の間で好評を得ている物である。
【0054】なお、本発明による泥パック剤は、穏やかで良質の研磨剤としての効果があるので、歯磨きや鏡面磨き、貴金属やアクセサリー、食器などの油汚れ落としや艶出しとしても大変有効である。したがって、このような用途の製品に応用することもできる。
【0055】
【発明の効果】
請求項1のように、約60%以上の珪酸アルミナを含む粘土は、強い研磨作用によって、肌の古い角質を除去する作用がある。また、強い化学的吸着性により、皮膚の油脂成分やタンパクを取り除く作用があるので、洗顔やパックに用いることによって、皮膚の美容・美肌効果を発揮する。
【0056】さらに、頭皮の油脂成分やタンパクを取り除き、抜け毛を防ぎ、しっとりとしたうるおいのある髪にする作用もあるので、育毛剤としても期待できる。
【0057】請求項2のように、前記のような粘土に加えて、月桃エキス、キダチアロエエキス、浜スーキエキスおよび仏桑華の葉のエキスと、深層海水とを含んでいるため、これらの各成分が人体の塗布面から吸収されて、肌にうるおいを与え、人体に美容上または保健上の効果を発揮する。したがって、洗顔や洗髪、全身のパック剤として有効である。
【0058】請求項3のように、原料粘土を粉砕し攪拌する工程と悪玉菌除去用の微生物を添加する工程とを経ることで、天然の粘土に含まれている雑菌や悪玉菌、粘土の臭い等を除去して、人体に悪影響のないパック剤を製造できる。
【0059】また、異物や粗い粒子を除去するためのろ過工程と、100μm以下の微粒子を通過させる最終ろ過工程と、微粒子粘土を沈殿させる工程とを経ることで、100μm以下の微粒子のみからなり、処理水とは分離した粘土のみを製造できる。そして、塩素を加えて、微生物その他の雑菌を殺す工程を経ることで、悪玉菌除去に使用済みの微生物やその他の雑菌を除去でき、人体に好適な粘土を実現できる。そして、乾燥工程によって、保存性に富み、以後の工程で使用し易い乾燥粘土を実現できる。
【0060】請求項4のように、攪拌ろ過された粘土をさらにろ過するろ過水槽と、ろ過された粘土を沈殿させる沈殿水槽とを有しているので、100μm以下の微粒子粘土を容易にかつ確実に製造できる。そして、沈殿水槽で粘土を沈殿させた際の上澄み水をポンプアップして、前記のろ過水槽中のろ過手段に逆方向から水を噴射するので、ろ過手段を容易にかつ確実に洗浄して、ろ過手段の目詰まりを防止して、円滑にろ過できる。
【0061】しかも、洗浄時の水がろ過水槽に入って、内部の粘土に加わることによって、ろ過水槽中の粘土が希釈されるので、粘土の微粒子がろ過水槽のろ過手段を通過し易くなり、ろ過手段の目詰まりを効果的に遅らせることができる。
【0062】請求項5のように、泥水の状態でろ過工程を通過し、沈殿処理された後の100μm以下の粘土を薄く延ばした状態で乾燥させるので、ドロドロの状態の粘土を効果的に乾燥できる。したがって、乾燥状態で保存や運搬、取り扱いが簡便となり、乾燥後の粘土を破砕して使用できるので、泥パック剤の製造に使用する際にも便利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による泥パック剤の製造装置と製造方法を工程順に説明する斜視図である。
【図2】微粒子からなる泥を乾燥させる装置の斜視図である。
【図3】本発明による粘土の油脂吸着性を試験した結果を示す写真である。
【図4】本発明による粘土の汚れ吸着性を試験した結果を示す写真である。
【符号の説明】
1 原料土
2 粉砕攪拌槽
3 攪拌ろ過槽
4 最終ろ過槽
5 沈殿槽
6 水切り槽
7 乾燥装置
F1 第1フィルター
F2 第2フィルター
10・13 エアーブロー孔
f1 第1フィルター
f2 第2フィルター
14 逆送水管
17 テーブル
18 輸送管
19・20 チェーン
21 支持バー
22 スクレーパ
Claims (5)
- 100μm以下の微粒子からなり、約60%以上の珪酸アルミナを含み、800℃以上の耐熱性を有する粘土を主成分とすることを特徴とする泥パック剤。
- 少なくとも月桃エキス、キダチアロエエキス、浜スーキエキスおよび仏桑華の葉のエキスと、海洋深層海水とを含むことを特徴とする請求項1に記載の泥パック剤。
- 泥パック剤の製造用の粘土の製造方法であって、
原料粘土を粉砕し攪拌する工程と、
悪玉菌除去用の微生物を添加する工程と、
異物や粗い粒子を除去するためのろ過工程と、
100μm以下の微粒子を通過させる最終ろ過工程と、
微粒子粘土を沈殿させる工程と、
塩素を加えて、微生物その他の雑菌を殺す工程と、
粘土を乾燥させる工程と、
を有することを特徴とする泥パック剤製造用の粘土の製造方法。 - 泥パック剤の製造用の粘土の製造装置であって、
攪拌ろ過された粘土をさらにろ過するろ過水槽と、
ろ過された粘土を沈殿させる沈殿水槽とを有しており、
沈殿水槽で粘土を沈殿させた際の上澄み水をポンプアップして、前記のろ過水槽中のろ過手段に逆方向から水を噴射してろ過手段の洗浄とろ過水槽中の粘土の希釈を行なう構造となっていること、
を特徴とする泥パック剤製造用の粘土の製造装置。 - 泥水の状態でろ過工程を通過し、沈殿処理された後の100μm以下の粘土を薄く延ばした状態で乾燥させることを特徴とする泥パック剤製造用の粘土の製造方法。
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---|---|---|---|
JP2002182083A JP2004026674A (ja) | 2002-06-21 | 2002-06-21 | 泥パック剤とその製造方法 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2008161188A (ja) * | 2006-12-07 | 2008-07-17 | Getto Chaya:Kk | 機能性飲料 |
JP2010059184A (ja) * | 2004-01-30 | 2010-03-18 | Elc Management Llc | 表面を傷つけることのない感覚的角質除去系 |
-
2002
- 2002-06-21 JP JP2002182083A patent/JP2004026674A/ja active Pending
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