JP2004026469A - 筒状支持体及び、当該支持体を用いたフィルム又はシートの巻取方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明は、芯管2、リード紙3、接着部4及び切目線5からなるフィルム又はシートを巻き取るための筒状支持体1であって、
a.芯管2にリード紙3が巻き取られており、
b.リード紙3の先端部分と下層リード紙3Lとが接着部4で接着され、
c.切目線5をリード紙先端部分の接着部4a端から下層リード紙3Lとの接着部4b端までの間Lに入れられた、
芯管2とリード紙3が一体となった筒状支持体1である。
【選択図】
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、フィルム又はシートを巻き取るための筒状支持体、及びその筒状支持体を用いてフィルム又はシートを巻き取る方法に関する。特に、印刷用樹脂フィルム又はシートの筒状支持体として好適に用いることができる。
【0002】
【従来の技術】
従来、渦巻状に巻き取られたフィルム又はシート(以下、ロールと記す)を用いる輪転印刷機では、印刷中のロールが無くなる前に新しいロールと連結して、ロール切れによる中断を無くし、連続的に印刷が行われている(例えば、特開平6−171067号公報、特開平7−232845号公報、特開平7−237792号公報)。または、ロールとロールの間にリード紙を貼付け、印刷ラインに通し、リード紙が印刷機内にある時に、フィルム又はシートの印刷位置を完全に合わせてから印刷する方法が用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前者方法は、フィルム又はシート同士をつなぎ合わせる時に若干のズレが生じやすく、ペースター(印刷中のロールから次の新しいロールへのシート又はフィルムの継ぎ変え)の際に、ぺースター直後の次のロールの最初の印刷部分に大きな画線ズレが生じるという問題があった。ロール継ぎ変え後に生じた大きな画線ズレは徐々に調整せざるを得ず、調整完了までの間に大量の不良印刷が行われるため、ムダが多く、各製品長にバラツキが生じることが多かった。したがって、キャリアテープのように、製品長に規格がある場合には、上記方法を適応するのは難しいものであった。
【0004】
一方、後者方法を用いた場合、ロールとロールの間にリード紙を貼付けて印刷ラインに通すため、印刷機内にリード紙がある時に、完全に印刷位置を合わせてからシートを印刷することから、フィルム又はシートに印刷不良が生じにくく、印刷後のフィルム又はシート長は一定のものを得ることが出来る。しかし、印刷する前に、予めフィルム又はシートにリード紙を取り付けるという作業が必要であった。これは、特開平7−101603号公報に記載されるような紙継ぎ方法を用いて、フィルム又はシートとリード紙の取付けを行うことが可能であるが、非常に手間のかかるものである。しかしながら、製品長に規格がある場合、規定長の製品が取れないことによる甚大な損失に比較してコスト的にメリットがあることからこの様な方法が長年とられてきた。
【0005】
そこで、本発明の目的とするところは、フィルム又はシート生産時に予めリード紙の付与された筒状支持体であって、フィルム又はシート製造時において通常の巻き取り装置を用いて巻取り可能であり、印刷工程時においても支障が生じないコスト的に非常に安価に製造することが可能な筒状支持体、及びその筒状支持体を用いてフィルムやシートを巻き取る方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は上記問題点を解決するために鋭意検討した結果、フィルム又はシート製造時の巻き取り工程と、印刷時の巻き取り工程では、フィルム又はシートの引っ張り強度が異なることを見出した。そして、この引っ張り強度の差を利用して、フィルム又はシート製造時には、リード紙が筒状支持体に固定されており、通常の筒状支持体と同様の工程でフィルム又はシートを巻き取ることができ、しかも、印刷時には、リード紙が自動的に繰り出し、リード紙の付いたフィルム又はシートとして利用することが可能な筒状支持体、及びその筒状支持体を用いてフィルムやフィルム又はシートを巻き取る方法により本発明を完成させた。
【0007】
すなわち、第1の本発明は、芯管2、リード紙3、接着部4及び切目線5からなるフィルム又はシートを巻き取るための筒状支持体1であって、
a.芯管2にリード紙3が巻き取られており、
b.リード紙3の先端部分と下層リード紙3Lとが接着部4で接着され、
c.切目線5がリード紙先端部分の接着部4a端から下層リード紙3Lとの接着部4b端までの間Lに入れられた、
芯管2とリード紙3が一体となった筒状支持体1である。
【0008】
第2の本発明は、切目線の破断強度が1N/m〜50N/mである上記筒状支持体1である。
【0009】
第3の本発明は、上記筒状支持体1を用い、リード紙3先端部分表面に接合部8を設け、フィルム又はシート6を接合し、筒状支持体1を回転させながらフィルム又はシートを巻き取る方法。
【0010】
【発明の実施の形態】
芯管2は、フィルム又はシートを巻き取ることの出来る十分な強度と機能性があれば、材質、サイズは特に制限されない。例えば、シートやフィルムの巻き取りに一般的に用いられている3インチ紙管と呼ばれている紙製(内径が約75mm、外径が約92mm)のものが挙げられる。また、場合によっては、プラスチック製や金属製のものでも全く問題ない。
【0011】
芯管に巻き付けておくリード紙3は印刷中、印刷機のガイドロールへフィルム又はシートを導くために使用するものであり、十分な長さが必要である。リード紙が短かすぎるとフィルム又はシート継ぎ変え時、印刷位置を合わせる前にリード紙が無くなり、位置合わせが不充分な状態でフィルム又はシートに印刷を行わなければならなくなる。一方、リード紙が長過ぎるとリード紙を繰り出す時間が余分に必要となり、作業効率が低下する。リード紙の適正な長さは印刷設備や、印刷を行う色数によって変化するのものであるが、一般的な印刷工程を考慮すれば、30m〜80mが好ましい。
【0012】
リード紙3は印刷の位置合わせ時に乾燥工程にとどまり、長時間熱を受けることがあるため、十分な耐熱性が必要である。通常、60〜150℃程度で乾燥が行われているため、一般的な紙でも耐熱性は十分であるが、特に高温の乾燥工程を通過する場合には耐熱性のある素材を用いることが好ましく、二軸延伸のポリエステルフィルムの様なプラスチック製の素材を用いることも出来る。
【0013】
リード紙3は、印刷機を通過する時にフィルム又はシートと同じテンションを受けるため、十分な強度が必要である。200μm程度のフィルム又はシートを印刷する場合、一般的に20g/m2〜150g/m2程度の目付けの紙やフィルムを用いることが多いが、これより厚いフィルム又はシートに印刷する場合にはより強いテンションで印刷が行われるため、より高い強度を持ったものを選択することが必要である。
【0014】
また、リード紙3の巾は、印刷のズレや、取り扱い上の点を考えるとフィルム又はシートの巾と、或いは芯管2の巾とほぼ同一であることが好ましい。そして、リード紙3は芯管2と十分な強度で接着されていることが必要である。好ましくは73N/m以上、更に好ましくは196N/m以上の接着強度を有するものである。接着強度が不充分だと、フィルム又はシートを巻き取ることができない。また、接着強度が十分であれば、接着方法は、粘着テープ、接着剤、両面テープ等何れの方法を用いても構わない。
【0015】
本発明のリード紙3は、下層リード紙3Lと接着部4で再剥離不可能な接着が行われていることが必要である。ここで、再剥離不可能な接着とは、印刷時のテンションに十分耐える接着強度を有することであり、好ましくは73N/m以上、更に好ましくは196N/m以上の接着強度を有するものである。接着部4の接着強度が不十分な場合、フィルム又はシートを印刷する時に剥離し、リード紙破断等の印刷トラブルが発生する可能性がある。
【0016】
接着部4は、上記範囲内の接着強度が得られれば、先端部分の横巾全部に設ける必要はなく、フィルム又はシートの横方向に一定間隔をあけてもうけることが出来る。また、接着部4の縦巾は、上記範囲内の接着強度が得られれば、特に制限されないが、先端部分内に0.1cm〜20cmの範囲で作成することが好ましく、更に好ましくは1cm〜5cmの範囲である。接着部4の縦巾が狭すぎると接着が不十分となる危険性があり、広すぎると経済的に好ましくない。ここで、便宜上リード紙及びフィルム又はシートの巻き取り方向を縦、巻き取り方向と垂直な方向を横として用いている。また、先端部分とは、リード紙先端部3aから縦に20cmまでの帯状の領域を指すものとする。
【0017】
本発明の筒状支持体1に切目線5を作成する具体的な方法としては以下の3つ方法が考えられるが、本発明は下記方法に限定されるものではない。
【0018】
まず、1つ目の方法は、リード紙3の一部にミシン目を形成する方法である。
【0019】
2つ目の方法は、リード紙3の一部に傷等を付け、リード紙3を薄くした部分を設ける方法である。
【0020】
3つ目の方法は、図4に示すように、リード紙3の一部を切断し、そこに目付けが低い紙などの破断可能な素材10をあてがい、切断部9を接着する方法がある。
【0021】
切目線は、図6に示すようにリード紙先端部分の接着部4a端から下層リード紙3Lとの接着部4b端までの間(図2に示される長さL)に作成することができ、好ましくは接着部4b端から10cm以内、更に好ましくは5cm以内、最も好ましくは2cm以内の範囲に作成される。接着部4bとの間隔が広いと印刷時の繰り出し時にミシン目が破断しにくくなるからである。
【0022】
切目線は、リード紙3に芯管2の中心軸と平行に入れることが好ましい。しかし、切目線5の破断強度が上記範囲内であれば、斜めに入れても構わない。切目線はリード紙3の全横巾にわたって入れることが好ましいが、上記破断強度を満たせば、リード紙3の横方向に一定間隔で切目線5を入れても構わない。更に、切目線5は、リード紙3の最外層に1ケ所のみ入れられていることが好ましい。2ケ所以上入っている場合には印刷時にリード紙破断を引き起こす可能性があるからである。
【0023】
切目線の破断強さとしては、印刷時のテンションにもよるが、スムーズな破断が行われるには印刷時のテンションの1/2以下が好ましく、更に好ましくは1/3以下である。通常、印刷時にフィルム又はシートにかかるテンションは、73N/m〜196N/mであるため、切目線の破断強度の範囲は50N/m以下であることが必要である。逆に、切目線の破断強度が弱すぎる場合には、フィルム又はシートを巻き付ける際に破断してしまうために好ましくない。したがって、切目線の破断強度の適正な範囲は1N/m〜50N/m、好ましくは1.5N/m〜25N/m、更に好適には2N/m〜15N/mである。切目線の破断強度が上記範囲内であれば、切目線はフィルム又はシートの巻き付け時には破断せずに巻き取りを行うことができ、印刷時には、切目線から破断し、スムーズにリード紙を繰り出すことができる。
【0024】
本発明の筒状支持体1は、リード紙3の最外層にフィルム又はシートを接合させるための接合部8を作成する。但し、接合部8を切目線5上に作成してしまうと、印刷時に切目線から破断しなくなってしまうため、少なくとも切目線5よりもリード紙先端部3a方向にあたる部分を接合部8とする必要があり、特にリード紙3の先端部分にのみ接合部8を作成することが好ましい。
【0025】
また、接合部6は、十分な接着強度を有するものであればどの様なものでも使用することが出来るが、印刷時のテンションに十分耐える接着強度が必要であることから、リード紙3とフィルム又はシートは、十分な強度で接合させる必要である。好ましくは73N/m以上、更に好ましくは196N/m以上の接着強度を有するものである。
【0026】
筒状支持体1とリード紙3を接着させるための手段は特に制限されないが、筒状支持体1とリード紙3は両面テープで接合させることが好ましい。両面テープを用いて接着する縦巾は上記接着強度が得られれば、特に制限されないが、先端部分内の1cm〜10cmが好ましい。更に好ましくは2cm〜5cmの範囲である。接着させる巾が狭すぎると接着強度が不十分となる危険性が発生する。一方、接着巾が広すぎると経済的に好ましくない。また、上記範囲内の接着強度が得られれば、先端部分の横巾全部に貼りつける必要はなく、フィルム又はシートの横方向に一定間隔をあけて貼り付けることも出来る。
【0027】
本発明の筒状支持体1を用いて、フィルム又はシートを巻き取る方法は、フィルム又はシートの先端部と筒状支持体1の接合部8とを接合した後は、通常の筒状支持体を用いて巻取りを行う場合と同様に、筒状支持体1を回転させながらフィルムやフィルム又はシートを巻き取ることができる。
【0028】
【発明の効果】
本発明の筒状支持体は、フィルム又はシート生産時にリード紙を付与したものであり、印刷時にリード紙を付与するための巻き直し工程を行う必要がない。しかも、フィルム又はシート製造時において通常の巻き取り装置を用いて巻き取ることが可能であり、コスト的にも非常に安価に製造することが可能な筒状支持体、及びその筒状支持体を用いてフィルムやフィルム又はシートを巻き取る方法を提供するものである。本筒状支持体、及びフィルムやフィルム又はシートを巻き取る方法は、製品長が規格統一されているなど、一定の印刷長の製品が求められる印刷用途にも好適に用いることができる。
【0029】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、切目線の破断強度及び接着強度は次の方法に従って行った。
【0030】
(1)切目線の破断強度試験
切目部分を切り取り、巾20mmの短冊状のサンプルを採取した。エーアンドディー社製テンシロンを用いて試験速度50mm/分として測定し、切目の破断強度測定を行った。
【0031】
(2)180度剥離試験
JIS−K−6854に準じた測定方法により、試験速度50mm/分として測定し、接着強度測定を行った。
【0032】
実施例−1
図2に記載されるように、米谷紙管株式会社製の紙製筒状支持体(芯管2;内径76mm、厚さ10mm)と、大王製紙株式会社製クラフト紙(リード紙3;目付け80g/m2)の終端部3bとを、両面テープ(寺岡製作所株式会社製:製品番号No.7644)を用いてを接合し、芯管2にリード紙3を60m4巻きつけを行った。
【0033】
リード紙3には破断強度が1.5N/mの切目線5(ミシン目)を下層リード紙3Lの接着部4b端から1cmの箇所に作成した。筒状支持体1のリード紙3の先端部分裏面に接着剤(接着強度196N/m)を用いてリード紙全横巾にわたって塗布し、接着部4を作成した。次に図3に示すようにシート6を接合するために、筒状支持体1の先端部分表面に両面テープ(寺岡製作所株式会社製:製品番号No.7644)を横全巾にわたって貼り付け、接合部8を作成した。
【0034】
この筒状支持体1を用いて、通常の筒状支持体と同様の要領で厚さ0.25mm、巾1m、長さ800mのシートを巻き取った。このときの接合部4とフィルム又はシート6の断面図を図6に示す。筒状支持体への巻き取りは図5に示すように接着部4が剥れずに、通常の筒状支持体の場合と同様、シワやムラが生じず、スムーズに行うことができた。更に、このロールを用いて印刷したところ、図7及び図8に示すようにリード紙3の切目線5より破断し、スムーズにリード紙が繰り出された。切目線により破断した破断部7は、印刷には特に影響を及ぼさなかった。したがって、シート部分の印刷が完全に終わり、リード紙が印刷機を通過している状態で印刷を停止して、シートの継ぎ替え、位置合わせが出来ることから、印刷したシートの長さは一定のものを得ることが出来た。
【0035】
比較例−1
実施例−1と同様にして、リード紙を60m巻きつけた筒状支持体1を得た。リード紙3に切目線5を形成せずに、先端部分裏面に接着剤を用いてリード紙3を横全巾にわたって接合した。そして、シート6の接着のために先端部分表面に両面テープ(寺岡製作所株式会社製:製品番号No.7644)を横全巾にわたって貼付け、接合部8を形成した。実施例と同様、シートの巻きつけは問題なく出来たが、印刷時にはリード紙が破断してしまい、リード紙を繰り出し出来なかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】切目線にミシン目を用いた筒状支持体の斜視図。
【図2】筒状支持体の構成を示す説明図。
【図3】筒状支持体とフィルム又はシートの貼り付けを示す説明図。
【図4】切目線に破断しやすい素材を用いた筒状支持体の斜視図。
【図5】フィルム又はシート生産時の巻取り工程を示す説明図。
【図6】図5における接着部4の断面図。
【図7】印刷時における巻取り工程を示す説明図。
【図8】図7の状態を表す斜視図。
【符号の説明】
1 筒状支持体
2 芯管
3 リード紙
3a リード紙先端部
3b リード紙終端部
3L 最外層より下層のリード紙
4 再剥離不可能な接着部
4a リード紙先端部分の接着部
4b リード紙先端部分との下層リード紙上の接着部
5 切目線
5a 切目線による破断部
6 フィルム又はシート
7 切目線から破断したリード紙部分
8 リード紙とフィルム又はシートの接合部
9 切断部
10 破断可能な素材
L 接着部4a端から下層リード紙3Lとの接着部4b端までの長さ
Claims (3)
- 芯管2、リード紙3、接着部4及び切目線5からなるフィルム又はシートを巻き取るための筒状支持体1であって、
a.芯管2にリード紙3が巻き取られており、
b.リード紙3の先端部分と下層リード紙3Lとが接着部4で接着され、
c.切目線5がリード紙先端部分の接着部4a端から下層リード紙3Lとの接着部4b端までの間Lに入れられた、
芯管2とリード紙3が一体となった筒状支持体1。 - 切目線の破断強度が1N/m〜50N/mである請求項1記載の筒状支持体1。
- 請求項1、又は2記載の筒状支持体1を用い、リード紙3先端部分表面に接合部8を設け、フィルム又はシート6を接合し、筒状支持体1を回転させながらフィルム又はシートを巻き取る方法。
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JP2002188983A JP3811667B2 (ja) | 2002-06-28 | 2002-06-28 | 筒状支持体及び、当該支持体を用いたフィルム又はシートの巻取方法 |
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CN112060563B (zh) * | 2020-08-07 | 2022-02-25 | 重庆工程职业技术学院 | 一种基于3d打印的切割索加工装置 |
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