JP3674194B2 - 樹脂フィルムの製造方法および装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリプレグの製造に用いる樹脂フィルム、特に連続的に離型シートを巻出し、離型シート巻出し中の離型シートロールと待機中の離型シートロールとの交換を連続的に行い、巻出された離型シートの片面に樹脂をコーティングした樹脂フィルムを巻取った後に、待機中の巻取ロールに連続的に切り替え、巻取りを実施する樹脂フィルムの製造装置および製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
プリプレグの製造に際し、プリプレグ製造に用いる樹脂フィルム(離型紙上に樹脂をフィルム状に塗ったもの)は、通常種々のコータ又はフィルマーと呼ばれる装置で製造される。
【0003】
それらの離型シートを連続的に送り出し、樹脂を塗工したのち巻取る装置において、1軸タイプの巻出機、及び巻取機設備が単純で安価であることから、一般的に広く使用されている。このような装置を使用した場合、離型シートの巻量が尽きると一旦機械を停止させ、再度スタートさせる必要があった。
【0004】
近年、生産性の向上、または省人化のため自動切替えする装置、方法が検討されている。しかしながら、プリプレグに使用される樹脂フィルムを自動切り替えする装置、方法は未だ実施されていなかった。
【0005】
また、使用する離型シートの縦伸びによっては、一定速度で連続的に離型シート同士を繋ぐとき、離型シートの破れが頻発する原因となる。巻取についても使用する離型シートの縦伸びによっては、巻取コアーに巻き付ける時、樹脂フィルムが張力負荷のために破れが発生し、多くのロスを生じる原因となる。
【0006】
上記ロスを減少させるため、アキュームレータ設備を採用して離型シートを一旦止めた状態で離型紙同士を繋いだり、また樹脂フィルムを切り替える方法もあるが、設備費が高くなるばかりでなく設備スペースが広くなるという問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたもので、2軸以上のターレット機構を有した巻出機、巻取機を用いて連続的に離型シート巻出し体を次の巻出し体に切り替え、樹脂フィルム巻取体を巻き取りコアーに切り替える装置及び方法を提供し、安価で切替えの生産ロスがほとんど出ない生産性の高い樹脂フィルムの製造方法および装置を提供するにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の課題を解決するため、以下の手段を採用する。すなわち、
(1)離型シートを巻出しして、樹脂塗工機で樹脂を該離型シートの片面に塗布し、得られた樹脂フィルムを巻取る樹脂フィルムの製造装置において、
A.2軸以上のターレット機構を装備し、該ターレット軸に装着された一方の巻出し中の離型シートに待機中の他方のターレット軸に装着された離型シートを繋ぎ合わせる離型シート自動繋ぎ機構を有する巻出機であって、上記繋ぎ合わされた離型シート同士を連続的に巻出す巻出機、
B.2軸以上のターレット機構を装備し、該ターレット軸に装着された一方の巻取り中の樹脂フィルムを待機中の他方のターレット軸に装着された樹脂フィルムの巻芯上に繋ぎ合わせる樹脂フィルム自動繋ぎ機構を有する巻取機であって、上記繋ぎ合わされた樹脂フィルムを待機中の樹脂フィルム巻芯に巻取りする自動切り替え機構を有する巻取機、
C.巻取り中の樹脂フィルムを押圧し、接着させる押圧機構に具備させた樹脂フィルム跳ね返り防止機構
を備えたことを特徴とする樹脂フィルムの製造装置。
【0009】
(2)前記(1)記載の樹脂フィルムの製造装置において、
A.次に使用する離型シートの巻出し軸を予備駆動させる装置、
B.巻出し中の離型シートおよび次に使用する離型シートを切り替え位置に移動する装置、
C.次に使用する離型シートの巻取体上に現在巻出し中の離型シートを重ねて押圧する押圧機構、
D.現在巻出し中の離型シートを巻芯から切り放す切断機構、
E.これらの機構を定められた時間、タイミングで実施するシーケンス機構、
F.現在巻出し中の離型シートの巻量を検知するか、時間、あるいはマニュアル信号を検知して出力する検知機構、
を備えたことを特徴とする樹脂フィルムの製造装置。
【0010】
(3)前記(1)または(2)記載の樹脂フィルムの製造装置において、
A.次に使用する巻芯を予備駆動させる装置、
B.次に使用する巻芯および巻取り中の樹脂フィルム巻取体を切り替え位置に移動する装置、
C.次に使用する巻芯に現在巻取り中の樹脂フィルムを押圧し、接着させる押圧機構、
D.現在巻取り中の樹脂フィルムを巻取り中の巻芯から切り放す切断機構、
E.これらの機構を定められた時間、あるいはタイミングで実施するシーケンス機構、
F.現在巻取り中の樹脂フィルムの巻量を検知するか、時間、あるいはマニュアル信号を検知して出力する検知機構、
を備えたことを特徴とする樹脂フィルムの製造装置。
【0011】
(4)樹脂フィルム巻取機に使用する巻芯が、硬度10以上、厚み1mm以上の最外層を有するものであることを特徴とする前記(3)記載の樹脂フィルムの製造装置。
【0013】
(5)押圧時の樹脂フィルムの巻芯との接触角度が5゜以上であることを特徴とする前記(3)〜(4)のいずれかに記載の樹脂フィルムの製造装置。
【0014】
(6)プリプレグ用であることを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれかに記載の樹脂フィルムの製造装置。
【0015】
(7)離型シートを、巻出機から連続的に巻出しし、樹脂塗工機で樹脂を片面に塗布し、得られた樹脂フィルムを連続的に巻取る方法において、離型シートを2軸以上のターレット機構、および離型シート自動繋ぎ機構により連続的に巻出しし、樹脂フィルムを2軸以上のターレット機構、および樹脂フィルムの巻取を自動切り替えする機構により連続的に巻取することを特徴とし、かつ、樹脂フィルムを押圧し、接着させる押圧機構に樹脂フィルム跳ね返り防止機構を具備させることを特徴とする樹脂フィルムの製造方法。
【0016】
(8)前記(7)記載の樹脂フィルムの製造方法において、
A.次に使用する離型シートの巻取体を準備し、該巻取体の外層部巻端シート端のシート表面に接着剤を添付し、該シート端を巻取体本体に仮止めしてシートが巻出しされないが、切り替え時には巻出しされるよう準備する工程、
B.現在巻出し中の離型シートの巻量を検知するか、時間、マニュアル信号を検知して、離型シートの切り替えを開始する工程、
C.現在巻出し中の離型シートおよび次に使用する離型シートの巻取体を切り替え位置にターレット機構を用いて移動する工程、
D.次に使用する離型シートの巻取体を予備回転させる工程、
E.次に使用する離型シートの巻取体上に現在巻出し中の離型シートを重ねて押圧し、接着させる工程、
F.現在巻出し中の離型シートを巻芯から切り放す工程、を備えたことを特徴とする樹脂フィルムの製造方法。
【0017】
(9)前記(7)または(8)記載の樹脂フィルムの製造方法において、
A.次に使用する樹脂フィルムの巻芯を準備し、該巻芯に接着剤を添付し準備する工程、
B.現在巻取り中の樹脂フィルムの巻量を検知するか、時間、あるいはマニュアル信号を検知して、樹脂フィルムの切り替えを開始する工程、
C.巻芯、および巻取り中の樹脂フィルムをターレット機構を用いて切り替え位置に移動する工程、
D.次に使用する巻芯を予備回転させる工程。
【0018】
E.次に使用する巻芯に現在巻取り中の樹脂フィルムを押圧し、接着させる工程、
F.現在巻取り中の樹脂フィルムを巻取り中の巻芯から切り放す工程、
を備えたことを特徴とする樹脂フィルムの製造方法。
【0019】
(10)離型シートの巻出し速度を3〜50m/分となし、かつ少なくとも縦伸びが0.5%以上の離型シートを用いる前記(7)〜(9)のいずれかに記載の樹脂フィルムの製造方法。
【0020】
(11)離型シートの巻出時に離型シート同士を繋ぐ方法として、粘着力10N/20mm以上、剪断接着力150N/4cm以上の両面接着テープを用いることを特徴とする前記(7)〜(10)のいずれかに記載の樹脂フィルムの製造方法。
【0021】
(12)樹脂フィルムを巻芯に貼り付けるに際して、粘着力10N/20mm以上、剪断接着力150N/4cm以上の両面接着テープを使用することを特徴とする前記(7)〜(11)のいずれかに記載の樹脂フィルムの製造方法。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、図面に示す実施例に基づいて、本発明をさらに詳細に説明する。
【0024】
図1は、本発明の樹脂フィルム製造装置を構成する離型シートの巻出し装置の一例を示す側面概略図であり、図2は同じく樹脂フィルムの巻取り装置の一例を示す側面概略図であり、さらに、図3は、図2の要部を示す拡大図である。
【0025】
図1において、1a、1bは、ターレット機構を有する離型シート4の巻出し軸であり、巻芯を介してそれぞれ離型シートが巻かれた巻取体4a、4bを有する。1aは現在離型シートを巻出し中の巻出し軸であり、1bは現在待機中の離型シート巻出し軸である。巻出し軸1a、1bはそれぞれ予備駆動装置(図示せず)を有する。なお、予備駆動装置は、本発明の実施例では、本駆動装置を兼ねており、シーケンス制御により本駆動の前に予備駆動させるものである。
【0026】
2は待機中の離型シート巻取体4b上に、現在巻出し中の離型シート巻取体4aの離型シート4を重ねて押圧する押圧機構であり、該押圧機構2により、現在巻出し中の離型シート巻取体4aの離型シート4を待機中の離型シート巻取体4b上に接着してシート同士を繋ぐ役目をする。該押圧機構2はエアーシリンダーで駆動されるニップローラなどを用いる。ニップローラはシリコーンゴムなどからなり、防汚性に優れていることが好ましい。3aは現在巻出し中の離型シート巻取体4aからの離型シート4を巻芯から切り放す切断機構でエヤーシリンダーで駆動されるブレードなどが用いられる。3bは同じく待機中の離型シート巻出し軸1bの離型シート巻取体4b用の切断機構であり、ターレット軸1cの回転(反時計回り方向)とともに回転するようになっている。5a、5bは巻出し軸1a、1bにそれぞれ対応する離型シートの巻出しに際し、離型シート4をガイドするガイドローラであり、切断機構3a、3bと同様、ターレット軸1cの回転とともに回転するようになっている。
【0027】
さらに図示していないが、これらの機構を定められた時間、タイミングで実施するシーケンス機構および現在解舒中の離型シートの巻量を検知するか、時間、マニュアル信号を検知し出力する検知機構を備えている。
【0028】
巻出しされた離型シート4は、次にガイドローラ6、7、8を経て図示しない樹脂塗工機で樹脂を該離型シート4の片面に塗布され、樹脂フィルムとされ、図2に示す巻取機に巻き取られるようになっている。
【0029】
図2において、樹脂フィルム9はガイドローラ11、12、13を経て、ターレット機構を有する樹脂フィルム9の巻取り軸17aに巻芯19aを介して巻取体10aとして巻き取られる。17a、および17bはそれぞれ現在巻取り中の巻取り軸、および現在待機中の巻取り軸である。17a、17bはそれぞれ予備駆動装置(図示せず)を有する。なお、予備駆動装置は、本発明の実施例では、本駆動装置を兼ねており、シーケンス制御により本駆動の前に予備駆動させるものである。14は待機中の巻取り軸17bの巻芯19b上に、現在巻取り中の巻取り軸17a上の樹脂フィルム9を押圧する押圧機構であり、該押圧機構14により、現在巻取り中の樹脂フィルム9を待機中の巻芯19b上に接着して樹脂フィルム同士を繋ぐ役目をする。該押圧機構14はエアーシリンダーで駆動されるニップローラなどを用いる。ニップローラはシリコーンゴム、フッ素ゴムなどからなり、防汚性に優れていることが好ましい。
【0030】
16aは現在巻取り中の樹脂フィルムを巻芯から切り放す切断機構でエヤーシリンダーで駆動されるブレードなどが用いられる。16bは同じく待機中の樹脂フィルム巻取り軸17bの樹脂フィルム9用の切断機構であり、ターレット軸17cの回転(時計回り方向)とともに回転するようになっている。18a、18bは巻取り軸17a、17bにそれぞれ対応する樹脂フィルム9の巻取り中に、樹脂フィルム9をガイドするガイドローラであり、切断機構16a、16bと同様、ターレット軸17cの回転とともに回転するようになっている。
【0031】
さらに図示していないが、これらの機構を定められた時間、タイミングで実施するシーケンス機構および現在巻取り中の樹脂フィルムの巻量を検知するか、時間、マニュアル信号を検知し出力する検知機構を備えている。
【0032】
樹脂フィルム巻取機に使用する巻芯は、硬度10以上80未満、厚み1mm以上の最外層を有する巻芯であることが好ましい。
【0033】
また押圧機構14には切断した樹脂フィルムの端が粘着し巻き込まれることを防ぐため跳ね返り防止機構15を有していることが好ましい。跳ね返り防止機構15は、一例としてフッ素樹脂などの離型性材料から作られるか又は表面処理された格子状の板または平行の棒であることが好ましい。
【0034】
なお、図3に示すように、押圧機構14によって樹脂フィルム9を押圧したときに、巻芯19bとの接触角θが5゜以上、好ましくは10゜以上90゜未満であるように巻芯19bと押圧機構14の位置、押圧角度を設計、設定する。接触角が5゜未満では接着性が低く、90゜以上ではシート皺などが発生しやすくなり好ましくない。
【0035】
離型シートとしては、たとえば、厚み0.05〜0.2mm程度のクラフト紙、ロール紙、グラシン紙などの紙の両面に、クレー、澱粉、ポリエチレン、ポリビニルアルコールなどの目止剤の塗布層を設け、さらにその各塗布層の上にシリコーン系または非シリコーン系の離型剤、好ましくはポリジメチルシロキサンとポリジメチルハイドロジエンシロキサンとの縮合反応型または付加反応型シリコーンからなる離型剤を塗布したようなものである。
【0036】
また、上記離型シートの片面にコーティングする樹脂としては、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂を混合した樹脂を使用できる。熱硬化性樹脂としては、たとえば、エポキシ樹脂、マレイミド樹脂、ポリイミド樹脂、アセチレン末端を有する樹脂、ビニル末端を有する樹脂、アリル末端を有する樹脂、ナジック酸末端を有する樹脂、シアン酸エステル末端を有する樹脂などが挙げられる。これらは、一般に硬化剤や硬化触媒と組合わせて用いることができる。また、適宜、これらの熱硬化性樹脂を混合して用いることも可能である。また、熱可塑性樹脂としては、たとえば、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトンなどが挙げられる。
【0037】
本装置を使用してプリプレグ用樹脂フィルムを製造する方法について以下に説明する。
【0038】
まず離型シートの連続巻出し方法に関しては、最初に、次に使用する離型シートのロール状巻取体4bを準備し、該巻取体の外層巻端シート端のシート表面に接着剤を添付し、該シート端を巻取体本体に仮止めしてシートが解舒されないが、切り替え時には解舒されるよう準備する。次に切り替えの信号を検知し、離型シート巻取体を切り替え位置にターレット機構を用いて移動する。
【0039】
次に使用する待機中の離型シートの巻取体を予備回転させ、巻出し速度に対してほぼ等速度である所定の速度に達した後、待機中の離型シートの巻取体外周に現在巻出し中の離型シートを重ねて所定時間、所定の圧力で押圧し、前記接着剤を添付したシート端に現在巻出し中の離型シートを接着させ、最後に現在巻出し中の離型シートを巻芯から切り放すために切断する。押圧する時間、圧力は、貼り付け性により最適な値に調整する。なお、離型シート同士の繋ぎ完了後に予備駆動から本駆動(ライン速度)に切り替えられる。
【0040】
離型シートの速度として3〜50m/分であり、より好ましくは5〜30m/分である。余り遅いと経済的に好ましくなく、余り早い場合には樹脂の塗工が困難になる。
【0041】
本発明においては、離型シート同士を繋ぐ方法として、好ましくは粘着力10N/20mm以上、剪断接着力150N/4cm以上、より好ましくは200N/4cm以上である接着剤を新しく巻出す離型シートに塗布する。接着剤の塗布は、好ましくは両面接着テープを離型シートにしっかりと貼付ける方法による。粘着力が10N/20mm未満だと離型シート同士の接着が弱く初期の貼り付け性が低下する。また、剪断接着力150N/4cm未満では離型紙同士を繋いだ後、走行中張力が加わり剥がれを発生し易くなる。
【0042】
両面テープの粘着力は、JIS Z−1528により測定した。剪断接着力は、2枚の試験板の間に2×2cmの両面テープを挟み、圧着後引張り試験機を用いて試験板を200〜250mm/分の速度で上下に引張った時に試験板を分離するために必要な力を測定した。
【0043】
本発明においては、離型シート同士を繋ぐ両面テープの貼り方としては、離型シートの幅に対して80%以上、好ましくは90%以上さらに好ましくは、95%以上100%未満の長さの両面テープを離型シートの幅方向に貼るのがよい。80%未満だと、離型シートの両端が浮き、折れたまま走行し破れる原因となる。95%以上では接着面積を広くする方向でより好ましいが、離型シート幅を超えるとシートが不必要なところに接着するので、100%未満とすることが好ましい。
【0044】
両面テープを貼る時の長さ(離型シートの長手方向の幅)としては、50mm以上が好ましく、100mm以上、500mm以下であることがより好ましい。50mm未満では、安定した接着力が得られにくく、走行中に繋いだ部分が剥がれてくるという問題がある。100mm以上では、接着面積が広くなる点で好ましくなるものの、剥す場合の作業性が困難になることや、経済的な観点から500mm以下であることが好ましい。
【0045】
本発明において樹脂フィルムを連続巻取りする方法としては、最初に、次に使用する巻芯を準備し、巻芯に接着剤を添付して準備し、次に巻芯、及び巻取り中の樹脂フィルムを切り替え位置にターレット機構を用いて移動させ、次に使用する巻芯を予備回転させ、次に使用する巻芯に現在巻出し中の離型シートを所定時間所定圧力で押圧し、接着させたのち現在巻取り中の樹脂フィルムを巻取り中の巻芯から切り放すことからなる。なお、切り替え完了後に予備駆動から本駆動(ライン速度)に切り替えられる。
【0046】
本発明の、
A.次に使用する離型シートの巻出し軸を予備駆動させる装置、
B.巻出し中の離型シートおよび次に使用する離型シートを切り替え位置に移動する装置、
C.次に使用する離型シートの巻取体上に現在巻出し中の離型シートを重ねて押圧する押圧機構、
D.現在巻出し中の離型シートを巻芯から切り放す切断機構、
E.これらの機構を定められた時間、タイミングで実施するシーケンス機構、
F.現在巻出し中の離型シートの巻量を検知するか、時間、あるいはマニュアル信号を検知して出力する検知機構、
を備えた樹脂フィルムの製造装置において、上記E項のシーケンス機構の具体例は、例えば、
E−1 上記C,D項を、所定時間以内(例えば10秒以内)に実施するシーケンス機構、
E−2 次に使用する離型シートの外径から、予備駆動に必要な回転速度を得る(ライン速度と同じ周速度を算出させる)シーケンス機構、
E−3 また、巻出し軸を予備駆動し回転速度がライン速度に到達後、次に使用する離型シートの巻取体上に、現在巻出し中の離型シートを重ねて押圧するシーケンス機構、
E−4 押圧後、少なくとも所定時間以内(例えば3秒以内)に現在巻出し中の離型シートをカットし、新しい巻出し軸の自動張力制御をさせるシーケンス機構、
である。
【0047】
また、上記F項のシーケンス機構の具体例は、例えば、
F−1 現在巻出し中の離型シートを検尺計で検知する機構、またはライン速度より使用した離型シートの長さを検知する機構、
である。
【0048】
また、前記本発明の、
A.次に使用する巻芯を予備駆動させる装置、
B.次に使用する巻芯および巻取り中の樹脂フィルム巻取体を切り替え位置に移動する装置、
C.次に使用する巻芯に現在巻取り中の樹脂フィルムを押圧し、接着させる押圧機構、
D.現在巻取り中の樹脂フィルムを巻取り中の巻芯から切り放す切断機構、
E.これらの機構を定められた時間、あるいはタイミングで実施するシーケンス機構、
F.現在巻取り中の樹脂フィルムの巻量を検知するか、時間、あるいはマニュアル信号を検知して出力する検知機構、
を備えた樹脂フィルムの製造装置において、上記E項のシーケンス機構の具体例は、例えば、
E−1 上記C,D項を、所定時間以内(例えば30秒以内)に実施するシーケンス機構、
E−2 予備駆動において、樹脂フィルム巻取コアーの巻芯外径から、ライン速度と同じ周速度を算出させるシーケンス機構、
E−3 また、巻取軸を予備駆動し回転速度がライン速度に到達後、次に巻取る巻芯に、押さえロールを押し当て樹脂フィルムを貼り付け巻取らせるシーケンス機構、
E−4 押圧後、少なくとも所定時間以内(例えば3秒以内)に現在巻取りした樹脂フィルムをカットし、新しい巻取軸の自動張力制御をさせるシーケンス機構、
E−5 樹脂フィルムが新しい巻取軸に巻き取られた後も、初期の巻取り形状を安定させるため、押さえロールを少なくとも所定時間以上(例えば5秒以上)継続し押さえ続けるシーケンス機構、
E−6 一連の巻取軸切り替えを完了した後、巻取が完了した軸を停止させるシーケンス機構、
である。
【0049】
また、上記F項のシーケンス機構の具体例は、例えば、
F−1 現在巻取り中の樹脂フィルムを検尺計で検知する機構、またはライン速度より巻取りした樹脂フィルムの長さを検知する機構、
である。
【0050】
本発明における樹脂フィルム巻取コアーの巻芯として、少なくともその表層が硬度10以上厚み1mm以上であることが好ましい。より好ましくは硬度15〜80、さらに好ましくは15〜60、厚み3mm以上である。硬度10未満では、軟らかくなり過ぎ、耐久性がなくなり、頻繁に取り替えなければならなくなる。
【0051】
硬度80を越えると、巻芯に樹脂フィルムを両面テープで貼り付けるとき、押えロールで押える瞬間、樹脂フィルムに高圧力がかかり破れやすくなる。なお硬度値は、ゴム測定方法JIS K−6301に準じゴム硬度計で測定した。
【0052】
樹脂フィルムを巻取コアーの巻芯接着させる方法としては巻芯表面に両面テープを貼り、樹脂フィルムを巻き取ることが好ましい。両面テープとしては、粘着力が10N/20mm以上、好ましくは、20N/20mm以上であるのがよい。粘着力が10N/20mm未満であると、樹脂フィルムと巻芯の初期接着力が弱く貼り付け性が低下する。
【0053】
使用する両面テープの剪断接着力は、150N/4cm以上であることが好ましく、剪断接着力200N/4cm以上であるのがより好ましい。剪断接着力150N/4cm未満では樹脂フィルムが巻取コアーに接着した直後の張力で両面テープが破れたり剥がれたりすることがある。
【0054】
なお、剪断接着力が400N/4cm以上であると両面テープの破れや剥がれという問題は減少するものの、逆に保全時に巻芯から剥がれにくいことで作業が難かしくなる。
【0055】
本発明の樹脂フィルムの製造方法において、離型シートの縦伸びが0.5%以上のものを使用することにより、離型シートを繋いだ後の破れが抑えられ、安定生産が可能となる。特に好ましくは縦伸びが1.0%以上。さらに好ましくは1.0〜5.0%であるのが良い。縦伸びが0.5%未満では離型シートを繋ぐ場合、押えロール等で圧着するとき高張力がかかり、シートが破れ、切り替えの成功率が低下する。また余り高いとシートが伸び易く、形態保持が困難になるため、切断性などが低下して切り替え成功率が低下する。離型シートの引裂き強度は、25g以上であるものが好ましく、40g以上であるのがより好ましい。引裂き強度が、25g未満であると押えロール等で瞬間に張力に耐え切れず破れる場合がある。
【0056】
離型シートの縦伸びはJIS P−8132、引裂き強度は、JIS P−8116で測定した。
【0057】
本発明において、樹脂フィルム巻取コアーの巻芯に両面テープを貼る方法としては、樹脂フィルムの幅に対して80%以上であることが好ましく、より好ましくは90%以上であり、さらに好ましくは95%以上の長さに貼るのがよい。95%以上の長さについては、樹脂フィルムの幅以内(100%未満)を限度とすることが肝要で、この幅を超えるとエッジ部分で接着したり折れ込みによる段差を生じたり巻取不良の原因となる。
【0058】
また、巻芯の円周方向に対しては1/6以上、好ましくは1/5以上覆うように両面テープを貼るのがよい。巻芯の円周方向に対して1/6未満では接着力が不足し巻き取り性が低下する。一方操作性の面で1/2未満の幅であることが好ましい。
【0059】
【発明の効果】
本発明によれば、2軸以上のターレット機構を有した巻出機、巻取機を用いて連続的に離型シート巻出し体を次の巻出し体に切り替え、樹脂フィルム巻取体を巻き取りコアーに切り替える装置及び方法により、安価で切替えの生産ロスがほとんど出ない生産性の高い樹脂フィルムの製造方法および装置とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の樹脂フィルム製造装置を構成する離型シートの巻出し装置の一例を示す側面概略図である。
【図2】本発明の樹脂フィルム製造装置を構成する樹脂フィルムの巻取り装置の一例を示す側面概略図である。
【図3】図2の巻取装置の要部を示す拡大図である。
【符号の説明】
1a、1b:離型シートの巻出し軸
1c:ターレット軸
2:離型シートの押圧機構
3a、3b:離型シートの切断機構
4:離型シート
4a:現在巻出し中の離型シート巻取体
4b:待機中の離型シート巻取体
5a、5b、6、7、8:ガイドローラ
9:樹脂フィルム
10a、10b:樹脂フィルム巻取体
11、12、13:ガイドローラ
14:樹脂フィルム押圧機構
15:樹脂フィルム跳ね返り防止機構
16a、16b:樹脂フィルム切断機構
17a、17b:樹脂フィルムの巻取り軸
17c:ターレット軸
18a、18b:ガイドローラ
19a、19b:樹脂フィルムの巻芯
Claims (12)
- 離型シートを巻出しして、樹脂塗工機で樹脂を該離型シートの片面に塗布し、得られた樹脂フィルムを巻取る樹脂フィルムの製造装置において、
A.2軸以上のターレット機構を装備し、該ターレット軸に装着された一方の巻出し中の離型シートに待機中の他方のターレット軸に装着された離型シートを繋ぎ合わせる離型シート自動繋ぎ機構を有する巻出機であって、上記繋ぎ合わされた離型シート同士を連続的に巻出す巻出機、
B.2軸以上のターレット機構を装備し、該ターレット軸に装着された一方の巻取り中の樹脂フィルムを待機中の他方のターレット軸に装着された樹脂フィルムの巻芯上に繋ぎ合わせる樹脂フィルム自動繋ぎ機構を有する巻取機であって、上記繋ぎ合わされた樹脂フィルムを待機中の樹脂フィルム巻芯に巻取りする自動切り替え機構を有する巻取機、
C.巻取り中の樹脂フィルムを押圧し、接着させる押圧機構に具備させた樹脂フィルム跳ね返り防止機構
を備えたことを特徴とする樹脂フィルムの製造装置。 - 請求項1記載の樹脂フィルムの製造装置において、
A.次に使用する離型シートの巻出し軸を予備駆動させる装置、
B.巻出し中の離型シートおよび次に使用する離型シートを切り替え位置に移動する装置、
C.次に使用する離型シートの巻取体上に現在巻出し中の離型シートを重ねて押圧する押圧機構、
D.現在巻出し中の離型シートを巻芯から切り放す切断機構、
E.これらの機構を定められた時間、タイミングで実施するシーケンス機構、
F.現在巻出し中の離型シートの巻量を検知するか、時間、あるいはマニュアル信号を検知して出力する検知機構、
を備えたことを特徴とする樹脂フィルムの製造装置。 - 請求項1または2記載の樹脂フィルムの製造装置において、
A.次に使用する巻芯を予備駆動させる装置、
B.次に使用する巻芯および巻取り中の樹脂フィルム巻取体を切り替え位置に移動する装置、
C.次に使用する巻芯に現在巻取り中の樹脂フィルムを押圧し、接着させる押圧機構、
D.現在巻取り中の樹脂フィルムを巻取り中の巻芯から切り放す切断機構、
E.これらの機構を定められた時間、あるいはタイミングで実施するシーケンス機構、
F.現在巻取り中の樹脂フィルムの巻量を検知するか、時間、あるいはマニュアル信号を検知して出力する検知機構、
を備えたことを特徴とする樹脂フィルムの製造装置。 - 樹脂フィルム巻取機に使用する巻芯が、硬度10以上、厚み1mm以上の最外層を有するものであることを特徴とする請求項3記載の樹脂フィルムの製造装置。
- 押圧時の樹脂フィルムの巻芯との接触角度が5゜以上であることを特徴とする請求項3〜4のいずれかに記載の樹脂フィルムの製造装置。
- プリプレグ用であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂フィルムの製造装置。
- 離型シートを、巻出機から連続的に巻出しし、樹脂塗工機で樹脂を片面に塗布し、得られた樹脂フィルムを連続的に巻取る方法において、離型シートを2軸以上のターレット機構、および離型シート自動繋ぎ機構により連続的に巻出しし、樹脂フィルムを2軸以上のターレット機構、および樹脂フィルムの巻取を自動切り替えする機構により連続的に巻取することを特徴とし、かつ、樹脂フィルムを押圧し、接着させる押圧機構に樹脂フィルム跳ね返り防止機構を具備させることを特徴とする樹脂フィルムの製造方法。
- 請求項7記載の樹脂フィルムの製造方法において、
A.次に使用する離型シートの巻取体を準備し、該巻取体の外層部巻端シート端のシート表面に接着剤を添付し、該シート端を巻取体本体に仮止めしてシートが巻出しされないが、切り替え時には巻出しされるよう準備する工程、
B.現在巻出し中の離型シートの巻量を検知するか、時間、マニュアル信号を検知して、離型シートの切り替えを開始する工程、
C.現在巻出し中の離型シートおよび次に使用する離型シートの巻取体を切り替え位置にターレット機構を用いて移動する工程、
D.次に使用する離型シートの巻取体を予備回転させる工程、
E.次に使用する離型シートの巻取体上に現在巻出し中の離型シートを重ねて押圧し、接着させる工程、
F.現在巻出し中の離型シートを巻芯から切り放す工程、
を備えたことを特徴とする樹脂フィルムの製造方法。 - 請求項7記載の樹脂フィルムの製造方法において、
A.次に使用する樹脂フィルムの巻芯を準備し、該巻芯に接着剤を添付し準備する工程、
B.現在巻取り中の樹脂フィルムの巻量を検知するか、時間、あるいはマニュアル信号を検知して、樹脂フィルムの切り替えを開始する工程、
C.巻芯、および巻取り中の樹脂フィルムをターレット機構を用いて切り替え位置に移動する工程、
D.次に使用する巻芯を予備回転させる工程。
E.次に使用する巻芯に現在巻取り中の樹脂フィルムを押圧し、接着させる工程、
F.現在巻取り中の樹脂フィルムを巻取り中の巻芯から切り放す工程、
を備えたことを特徴とする樹脂フィルムの製造方法。 - 離型シートの巻出し速度を3〜50m/分となし、かつ少なくとも縦伸びが0.5%以上の離型シートを用いる請求項7〜9のいずれかに記載の樹脂フィルムの製造方法。
- 離型シートの巻出時に離型シート同士を繋ぐ方法として、粘着力10N/20mm以上、剪断接着力150N/4cm以上の両面接着テープを用いることを特徴とする請求項7〜10のいずれかに記載の樹脂フィルムの製造方法。
- 樹脂フィルムを巻芯に貼り付けるに際して、粘着力10N/20mm以上、剪断接着力150N/4cm以上の両面接着テープを使用することを特徴とする請求項7〜11のいずれかに記載の樹脂フィルムの製造方法。
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