JP2004025758A - 多層樹脂押出成形体 - Google Patents
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Abstract
【課題】表面層に使用する樹脂を、制御することにより、耐温水性および透明性に優れ、長期間使用しても色差の変化が少ない多層樹脂押出成形体を提供することにある。
【解決手段】本発明においては、無発泡若しくは低発泡からなる基材上に、光学濃度が1.0以下であり、基材樹脂と相溶性のあるアクリルニトリルの含有重量%が5〜30重量%であるアクリルニトリル−スチレン系共重合体を共押出成形してなることが特徴であり、これにより耐熱性、耐温水性および透明性に優れ、色の変化が少ない成形体を作製することができる。
【選択図】 なし
【解決手段】本発明においては、無発泡若しくは低発泡からなる基材上に、光学濃度が1.0以下であり、基材樹脂と相溶性のあるアクリルニトリルの含有重量%が5〜30重量%であるアクリルニトリル−スチレン系共重合体を共押出成形してなることが特徴であり、これにより耐熱性、耐温水性および透明性に優れ、色の変化が少ない成形体を作製することができる。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主として浴室などの温水を用いるところに使用する耐温水性を改善した多層樹脂押出成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、石目調や木目調など化粧性を付与した発泡樹脂を基材として、その表面に、化粧面の奥行き感、深み、もしくは耐候性の向上などの目的でアクリル樹脂からなる透明樹脂の表面層を積層し、多層押出成形された成形体が提案されている。ここで使用されるアクリル樹脂は透明性に優れ、耐候性も良く透明樹脂としては最も一般的に使用されているものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、アクリル樹脂は、耐熱性、特に耐温水性に問題がある。そのガラス転移温度(Tg)は94℃であり、浴室など温水を使用するところで長期間用いた場合、基材の色が変化してしまうという問題があった。
【0004】
本発明者らは、表面層に使用する樹脂を、アクリルニトリルの重量%を制御したアクリルニトリル−スチレン系共重合体とすることにより、耐温水性および透明性に優れ、長期間使用しても色差の変化が少ない多層樹脂押出成形体を提供する。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、無発泡若しくは低発泡からなる基材と、光学濃度が1.0以下であり、基材樹脂と相溶性のある熱可塑生樹脂からなる表面層との多層樹脂押出成形体において、
表面層の熱可塑生樹脂がアクリルニトリルの含有重量%が5〜30重量%であるアクリルニトリル−スチレン系共重合体であることを特徴とする耐温水性に優れた多層樹脂押出成形体が提供される。
【0006】
【発明の実施形態】
[作用]
本明細書において、光学濃度とは、通常の意味で使用されるものであり、分光光度計、例えば、日本分光(株)製 分光光度計 UVDEC−660を使用して、可視光線範囲の波長、即ち、0.4μm〜0.8μmで、1.0mm厚さのフィルムについて透過光の強度を測定し、下記式
式中、Ii =入射光強度、
It =透過光強度、
から求められるものである。
【0007】
本発明においては、無発泡若しくは低発泡からなる基材上に、光学濃度が1.0以下であり、基材樹脂と相溶性のあるアクリルニトリルの含有重量%が5〜30重量%であるアクリルニトリル−スチレン系共重合体を共押出成形してなることが特徴であり、これにより耐熱性、耐温水性および透明性に優れ、色の変化が少ない成形体を作製することができる。
【0008】
[基材]
本発明における基材としては、例えば塩化ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂等が挙げられる。
【0009】
塩化ビニル系樹脂としては、平均重合度が約600〜1400の塩化ビニル単独重合体(所謂ストレートポリマー)の他に塩化ビニルを主成分とする共重合体や、塩化ビニル重合体の変性物、塩化ビニル系樹脂と他の重合体とのブレンド物を挙げることができる。
塩化ビニル共重合体としては、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−エチレン共重合体、塩化ビニル−プロピレン共重合体、塩化ビニル−スチレン共重合体、塩化ビニル−イソブチレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−スチレン−無水マレイン酸三元共重合体、塩化ビニル−スチレン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−ブタジエン共重合体、塩化ビニル−塩化プロピレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン−酢酸ビニル三元共重合体、塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−マレイン酸エステル共重合体、塩化ビニル−メタクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、内部可塑化ポリ塩化ビニル等の重合体等が挙げられる。
塩化ビニル重合体の変性物としては、塩素化ポリ塩化ビニル等が挙げられる。また、他の重合体とのブレンド物としては、上記塩化ビニル系樹脂と、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリ−3−メチルブテンなどのα−オレフィン重合体又はエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、などのポリオレフィン及びこれらの共重合体、ポリスチレン、アクリル樹脂、スチレンと他の単量体(例えば無水マレイン酸、ブタジエン、アクリロニトリルなど)との共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリル酸エステル−ブタジエン−スチレン共重合体、メタクリル酸エステル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリ塩化ビニリデン、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、塩素化ゴム等の他の塩素含有重合体、とのブレンド品などを挙げることができる。
【0010】
アクリル樹脂としては、アクリル酸やメタクリル酸のエステルを主体とするものであり、このようなエステル単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸n−アミル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル等がある。ただし上記の(メタ)アクリル酸とはアクリル酸もしくはメタクリル酸を示す。上記(メタ)アクリル酸エステルは単独でも組み合わせても使用でき、また他の単量体との共重合体でもよい。好適なエステルは、メタクリル酸メチル(MMA)である。
これらの単量体と共に共重合される他の共単量体としては、スチレン、ビニルトルエン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル等を挙げることができる。
アクリル樹脂は官能基含有単量体成分の少量を含有していてもよく、官能基含有単量体成分としては、カルボキシル基、その塩の基、アミド基、水酸基、アミノ基、エポキシ基、メチロール基、及びエーテル化メチロール基を有するものである。
【0011】
スチレン系樹脂としては、スチレンを主体とする熱可塑性樹脂であり、スチレンの単独重合体及び共重合体が挙げられる。スチレン系共重合体としては、スチレン−ブタジエン共重合体(HIPS)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、アクリロニトリル−スチレン−アクリル酸エステル共重合体(ASA)、メタクリル酸メチル−スチレン共重合体(MS)、アクリロニトリル−エチレン/プロピレン/ジエンゴム−スチレン共重合体(A/EPDM/S)等が挙げられる。
【0012】
基材に使用する樹脂には必要に応じて、着色耐熱性樹脂の石目柄を配合したり、基材樹脂と同質または異質の樹脂を着色してなる着色ペレットを配合して化粧を施すことが好ましい。
【0013】
また、必要に応じて、それ自体公知の処方に従って、安定剤、可塑剤或いは滑剤等の加工助剤、強化剤、着色剤、発泡剤、架橋剤、酸素吸収剤、紫外線吸収剤、充填剤等を配合することができる。
【0014】
本発明の好適態様では、発泡体とすることがよい。発泡倍率が1.1乃至5倍、特に1.3乃至3.3倍の低発泡樹脂からなることが好ましく、この発泡樹脂は、押出発泡や押出架橋発泡等の手段で製造される。発泡剤としては、炭酸ガス、窒素、プロパン、ブタン、ペンタン等の気体発泡剤、重炭酸塩−有機酸、アゾビスイソブチロニトリル、アゾジカルボンアマイド、ジアゾアミノベンゼン、ベンゼンスルホニルヒドラジド等の化学発泡剤を、必要に応じ架橋剤と共に、樹脂に配合し、溶融押出することにより得られる。
【0015】
[表面層]
一方、表面層に使用する樹脂は、光学濃度が1.0以下であり、基材樹脂と相溶性あるアクリルニトリル−スチレン系共重合体(AS)を使用する。特にアクリルニトリル含有重量%が5〜30重量%、好適には20〜25重量%及びスチレン含有重量%が70〜95重量%、好適には、75〜80重量%の範囲にあるものが用いられる。なお上記範囲を下回る場合は、基材樹脂との相溶性が悪くなり、また上回る場合は、黄味を帯びてくるため透明性が低下する。また、AS系樹脂として、ブタジエン含有したABS樹脂、EPDM含有したAES樹脂なども使用可能である。その時のブタジエン含有重量%は10〜20重量%であり、EPDM含有重量%は10〜25重量%の範囲にあるものが用いられる。
【0016】
これらの樹脂にも、必要に応じて、それ自体公知の処方に従って、安定剤、可塑剤或いは滑剤等の加工助剤、強化剤、着色剤、酸素吸収剤、紫外線吸収剤等を配合することができる。
【0017】
[成形体]
本発明の多層樹脂押出成形体は、上記基材用樹脂押出機で基材樹脂組成物を、表面層用樹脂押出機で表面層用樹脂組成物を、それぞれ溶融混練し、多層多重ダイを通して一体に被覆するように合流させ、ダイ金型から共押し出しする。溶融押出された成形体は、必要によりフォーミングダイと噛み合わせて、成形体の寸法精度を向上させることができる。
用いるダイの形状は、フラットダイ、異形断面ダイ等の任意の断面形状を有するものであってよい。
【0018】
表面層の厚みは、0.2〜2.0mm、好ましくは0.3〜1.0mmの厚みで設けられている。上記範囲を下回る場合は、基材化粧の奥行き感、深み感が出にくく、さらに耐熱性、耐温水性が充分満足されず、また上記範囲を上回る場合は、透明性が低下する。また表面層は、樹脂成形体の用途に合わせて、成形体の全表面に設けても良いし、或いは成形体の外部に露出する一部の可視面にのみ設けることもできる。
【0019】
【実施例】
本発明を次の例で説明する。
以下の実施例において使用した材料はは次のものである。
【0020】
基材樹脂:
基材樹脂としては、ABS樹脂及びPVC用いた。
(1)ABS樹脂
ABS樹脂に、熱安定剤、加工助剤、滑剤、着色剤、発泡剤を配合したコンパウンドを用いた。
(2)PVC樹脂
PVC樹脂に、熱安定剤、加工助剤、滑剤、着色剤、発泡剤を配合したコンパウンドを用いた。
【0021】
表面層樹脂:
表面層樹脂としては、成形体としたときの光学濃度が0.1となり、アクリルニトリルの含有重量%が5〜30重量%であるAS系樹脂を用いた。
【0022】
測定及び評価は次のように行った。
(1)耐温水性
80℃温水に浸漬し、任意の時間後に取り出し、カラコムC型分光光度計(大日精化製)を用いて、明度差ΔLを測定した。
(2)外観
成形体の表面を目視にて評価した。
(3)基材との相溶性
○:共押出可能
×:共押出不可能(表面層剥離)
【0023】
実施例1
基材樹脂としてABS樹脂に発泡剤混合した樹脂組成物を用い、表面層樹脂として、AN含有重量%が23重量%、スチレン含有重量%が77重量%のAS樹脂を用いて、共押出成形により二層押出成形体を得た。
表面層の厚みは0.5mmであった。
得られた結果を表1に示す。
【0024】
実施例2
基材樹脂としてPVC樹脂に発泡剤を混合した樹脂組成物を用い、表面層樹脂として、AN含有重量%が23重量%、スチレン含有重量%が77重量%のAS樹脂を用いて、共押出成形により二層押出成形体を得た。
表面層の厚みは0.5mmであった。
得られた結果を表1に示す。
【0025】
実施例3
基材樹脂として に を混合した樹脂組成物を用い、表面層樹脂として、AN含有重量%が 、スチレン含有重量%が 、ブタジエンが のABS樹脂に を混合した樹脂組成物用いてとし、共押出成形により二層押出成形体を得た。
表面層の厚みは mmであった。
得られた結果を表1に示す。
【0026】
比較例1
基材樹脂としてABS樹脂に発泡剤を混合した樹脂組成物を用い、表面層樹脂として、アクリル樹脂を用いて、共押出成形により二層押出成形体を得た。
表面層の厚みは0.5mmであった。
得られた結果を表1に示す。
【0027】
比較例2
基材樹脂としてABS樹脂に発泡剤を混合した樹脂組成物を用い、表面層樹脂として、AN含有重量%が3重量%、スチレン含有重量%が97重量%のAS樹脂を用いて、共押出成形により二層押出成形体を得た。
表面層の厚みは0.5mmであった。
得られた結果を表1に示す。
【0028】
比較例3
基材樹脂としてABS樹脂に発泡剤を混合した樹脂組成物を用い、表面層樹脂として、AN含有重量%が35重量%、スチレン含有重量%が65重量%のAS樹脂を用いて、共押出成形により二層押出成形体を得た。
表面層の厚みは0.5mmであった。
得られた結果を表1に示す。
【0029】
【表1】
【0030】
【発明の効果】
本発明によれば、基材上に、光学濃度が1.0以下であり、アクリルニトリルの含有重量%が5〜30重量%のアクリルニトリル−スチレン系共重合体を多層押出成形することにより、耐熱性、耐温水性および透明性に優れ、色の変化が少ない多層樹脂押出成形体を提供することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、主として浴室などの温水を用いるところに使用する耐温水性を改善した多層樹脂押出成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、石目調や木目調など化粧性を付与した発泡樹脂を基材として、その表面に、化粧面の奥行き感、深み、もしくは耐候性の向上などの目的でアクリル樹脂からなる透明樹脂の表面層を積層し、多層押出成形された成形体が提案されている。ここで使用されるアクリル樹脂は透明性に優れ、耐候性も良く透明樹脂としては最も一般的に使用されているものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、アクリル樹脂は、耐熱性、特に耐温水性に問題がある。そのガラス転移温度(Tg)は94℃であり、浴室など温水を使用するところで長期間用いた場合、基材の色が変化してしまうという問題があった。
【0004】
本発明者らは、表面層に使用する樹脂を、アクリルニトリルの重量%を制御したアクリルニトリル−スチレン系共重合体とすることにより、耐温水性および透明性に優れ、長期間使用しても色差の変化が少ない多層樹脂押出成形体を提供する。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、無発泡若しくは低発泡からなる基材と、光学濃度が1.0以下であり、基材樹脂と相溶性のある熱可塑生樹脂からなる表面層との多層樹脂押出成形体において、
表面層の熱可塑生樹脂がアクリルニトリルの含有重量%が5〜30重量%であるアクリルニトリル−スチレン系共重合体であることを特徴とする耐温水性に優れた多層樹脂押出成形体が提供される。
【0006】
【発明の実施形態】
[作用]
本明細書において、光学濃度とは、通常の意味で使用されるものであり、分光光度計、例えば、日本分光(株)製 分光光度計 UVDEC−660を使用して、可視光線範囲の波長、即ち、0.4μm〜0.8μmで、1.0mm厚さのフィルムについて透過光の強度を測定し、下記式
式中、Ii =入射光強度、
It =透過光強度、
から求められるものである。
【0007】
本発明においては、無発泡若しくは低発泡からなる基材上に、光学濃度が1.0以下であり、基材樹脂と相溶性のあるアクリルニトリルの含有重量%が5〜30重量%であるアクリルニトリル−スチレン系共重合体を共押出成形してなることが特徴であり、これにより耐熱性、耐温水性および透明性に優れ、色の変化が少ない成形体を作製することができる。
【0008】
[基材]
本発明における基材としては、例えば塩化ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂等が挙げられる。
【0009】
塩化ビニル系樹脂としては、平均重合度が約600〜1400の塩化ビニル単独重合体(所謂ストレートポリマー)の他に塩化ビニルを主成分とする共重合体や、塩化ビニル重合体の変性物、塩化ビニル系樹脂と他の重合体とのブレンド物を挙げることができる。
塩化ビニル共重合体としては、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−エチレン共重合体、塩化ビニル−プロピレン共重合体、塩化ビニル−スチレン共重合体、塩化ビニル−イソブチレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−スチレン−無水マレイン酸三元共重合体、塩化ビニル−スチレン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−ブタジエン共重合体、塩化ビニル−塩化プロピレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン−酢酸ビニル三元共重合体、塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−マレイン酸エステル共重合体、塩化ビニル−メタクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、内部可塑化ポリ塩化ビニル等の重合体等が挙げられる。
塩化ビニル重合体の変性物としては、塩素化ポリ塩化ビニル等が挙げられる。また、他の重合体とのブレンド物としては、上記塩化ビニル系樹脂と、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリ−3−メチルブテンなどのα−オレフィン重合体又はエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、などのポリオレフィン及びこれらの共重合体、ポリスチレン、アクリル樹脂、スチレンと他の単量体(例えば無水マレイン酸、ブタジエン、アクリロニトリルなど)との共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリル酸エステル−ブタジエン−スチレン共重合体、メタクリル酸エステル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリ塩化ビニリデン、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、塩素化ゴム等の他の塩素含有重合体、とのブレンド品などを挙げることができる。
【0010】
アクリル樹脂としては、アクリル酸やメタクリル酸のエステルを主体とするものであり、このようなエステル単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸n−アミル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル等がある。ただし上記の(メタ)アクリル酸とはアクリル酸もしくはメタクリル酸を示す。上記(メタ)アクリル酸エステルは単独でも組み合わせても使用でき、また他の単量体との共重合体でもよい。好適なエステルは、メタクリル酸メチル(MMA)である。
これらの単量体と共に共重合される他の共単量体としては、スチレン、ビニルトルエン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル等を挙げることができる。
アクリル樹脂は官能基含有単量体成分の少量を含有していてもよく、官能基含有単量体成分としては、カルボキシル基、その塩の基、アミド基、水酸基、アミノ基、エポキシ基、メチロール基、及びエーテル化メチロール基を有するものである。
【0011】
スチレン系樹脂としては、スチレンを主体とする熱可塑性樹脂であり、スチレンの単独重合体及び共重合体が挙げられる。スチレン系共重合体としては、スチレン−ブタジエン共重合体(HIPS)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、アクリロニトリル−スチレン−アクリル酸エステル共重合体(ASA)、メタクリル酸メチル−スチレン共重合体(MS)、アクリロニトリル−エチレン/プロピレン/ジエンゴム−スチレン共重合体(A/EPDM/S)等が挙げられる。
【0012】
基材に使用する樹脂には必要に応じて、着色耐熱性樹脂の石目柄を配合したり、基材樹脂と同質または異質の樹脂を着色してなる着色ペレットを配合して化粧を施すことが好ましい。
【0013】
また、必要に応じて、それ自体公知の処方に従って、安定剤、可塑剤或いは滑剤等の加工助剤、強化剤、着色剤、発泡剤、架橋剤、酸素吸収剤、紫外線吸収剤、充填剤等を配合することができる。
【0014】
本発明の好適態様では、発泡体とすることがよい。発泡倍率が1.1乃至5倍、特に1.3乃至3.3倍の低発泡樹脂からなることが好ましく、この発泡樹脂は、押出発泡や押出架橋発泡等の手段で製造される。発泡剤としては、炭酸ガス、窒素、プロパン、ブタン、ペンタン等の気体発泡剤、重炭酸塩−有機酸、アゾビスイソブチロニトリル、アゾジカルボンアマイド、ジアゾアミノベンゼン、ベンゼンスルホニルヒドラジド等の化学発泡剤を、必要に応じ架橋剤と共に、樹脂に配合し、溶融押出することにより得られる。
【0015】
[表面層]
一方、表面層に使用する樹脂は、光学濃度が1.0以下であり、基材樹脂と相溶性あるアクリルニトリル−スチレン系共重合体(AS)を使用する。特にアクリルニトリル含有重量%が5〜30重量%、好適には20〜25重量%及びスチレン含有重量%が70〜95重量%、好適には、75〜80重量%の範囲にあるものが用いられる。なお上記範囲を下回る場合は、基材樹脂との相溶性が悪くなり、また上回る場合は、黄味を帯びてくるため透明性が低下する。また、AS系樹脂として、ブタジエン含有したABS樹脂、EPDM含有したAES樹脂なども使用可能である。その時のブタジエン含有重量%は10〜20重量%であり、EPDM含有重量%は10〜25重量%の範囲にあるものが用いられる。
【0016】
これらの樹脂にも、必要に応じて、それ自体公知の処方に従って、安定剤、可塑剤或いは滑剤等の加工助剤、強化剤、着色剤、酸素吸収剤、紫外線吸収剤等を配合することができる。
【0017】
[成形体]
本発明の多層樹脂押出成形体は、上記基材用樹脂押出機で基材樹脂組成物を、表面層用樹脂押出機で表面層用樹脂組成物を、それぞれ溶融混練し、多層多重ダイを通して一体に被覆するように合流させ、ダイ金型から共押し出しする。溶融押出された成形体は、必要によりフォーミングダイと噛み合わせて、成形体の寸法精度を向上させることができる。
用いるダイの形状は、フラットダイ、異形断面ダイ等の任意の断面形状を有するものであってよい。
【0018】
表面層の厚みは、0.2〜2.0mm、好ましくは0.3〜1.0mmの厚みで設けられている。上記範囲を下回る場合は、基材化粧の奥行き感、深み感が出にくく、さらに耐熱性、耐温水性が充分満足されず、また上記範囲を上回る場合は、透明性が低下する。また表面層は、樹脂成形体の用途に合わせて、成形体の全表面に設けても良いし、或いは成形体の外部に露出する一部の可視面にのみ設けることもできる。
【0019】
【実施例】
本発明を次の例で説明する。
以下の実施例において使用した材料はは次のものである。
【0020】
基材樹脂:
基材樹脂としては、ABS樹脂及びPVC用いた。
(1)ABS樹脂
ABS樹脂に、熱安定剤、加工助剤、滑剤、着色剤、発泡剤を配合したコンパウンドを用いた。
(2)PVC樹脂
PVC樹脂に、熱安定剤、加工助剤、滑剤、着色剤、発泡剤を配合したコンパウンドを用いた。
【0021】
表面層樹脂:
表面層樹脂としては、成形体としたときの光学濃度が0.1となり、アクリルニトリルの含有重量%が5〜30重量%であるAS系樹脂を用いた。
【0022】
測定及び評価は次のように行った。
(1)耐温水性
80℃温水に浸漬し、任意の時間後に取り出し、カラコムC型分光光度計(大日精化製)を用いて、明度差ΔLを測定した。
(2)外観
成形体の表面を目視にて評価した。
(3)基材との相溶性
○:共押出可能
×:共押出不可能(表面層剥離)
【0023】
実施例1
基材樹脂としてABS樹脂に発泡剤混合した樹脂組成物を用い、表面層樹脂として、AN含有重量%が23重量%、スチレン含有重量%が77重量%のAS樹脂を用いて、共押出成形により二層押出成形体を得た。
表面層の厚みは0.5mmであった。
得られた結果を表1に示す。
【0024】
実施例2
基材樹脂としてPVC樹脂に発泡剤を混合した樹脂組成物を用い、表面層樹脂として、AN含有重量%が23重量%、スチレン含有重量%が77重量%のAS樹脂を用いて、共押出成形により二層押出成形体を得た。
表面層の厚みは0.5mmであった。
得られた結果を表1に示す。
【0025】
実施例3
基材樹脂として に を混合した樹脂組成物を用い、表面層樹脂として、AN含有重量%が 、スチレン含有重量%が 、ブタジエンが のABS樹脂に を混合した樹脂組成物用いてとし、共押出成形により二層押出成形体を得た。
表面層の厚みは mmであった。
得られた結果を表1に示す。
【0026】
比較例1
基材樹脂としてABS樹脂に発泡剤を混合した樹脂組成物を用い、表面層樹脂として、アクリル樹脂を用いて、共押出成形により二層押出成形体を得た。
表面層の厚みは0.5mmであった。
得られた結果を表1に示す。
【0027】
比較例2
基材樹脂としてABS樹脂に発泡剤を混合した樹脂組成物を用い、表面層樹脂として、AN含有重量%が3重量%、スチレン含有重量%が97重量%のAS樹脂を用いて、共押出成形により二層押出成形体を得た。
表面層の厚みは0.5mmであった。
得られた結果を表1に示す。
【0028】
比較例3
基材樹脂としてABS樹脂に発泡剤を混合した樹脂組成物を用い、表面層樹脂として、AN含有重量%が35重量%、スチレン含有重量%が65重量%のAS樹脂を用いて、共押出成形により二層押出成形体を得た。
表面層の厚みは0.5mmであった。
得られた結果を表1に示す。
【0029】
【表1】
【0030】
【発明の効果】
本発明によれば、基材上に、光学濃度が1.0以下であり、アクリルニトリルの含有重量%が5〜30重量%のアクリルニトリル−スチレン系共重合体を多層押出成形することにより、耐熱性、耐温水性および透明性に優れ、色の変化が少ない多層樹脂押出成形体を提供することができる。
Claims (2)
- 無発泡若しくは低発泡樹脂からなる基材と、光学濃度が1.0以下であり、基材樹脂と相溶性のある熱可塑生樹脂からなる表面層との多層樹脂押出成形体において、
表面層の熱可塑生樹脂がアクリルニトリルの含有重量%が5〜30重量%であるアクリルニトリル−スチレン系共重合体であることを特徴とする透明性および耐温水性に優れた多層樹脂押出成形体。 - 上記表面層の厚みが0.2〜2.0mmの厚みを有することを特徴とする請求項1記載の透明性および耐温水性に優れた多層樹脂押出成形体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002188828A JP2004025758A (ja) | 2002-06-28 | 2002-06-28 | 多層樹脂押出成形体 |
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JP2002188828A JP2004025758A (ja) | 2002-06-28 | 2002-06-28 | 多層樹脂押出成形体 |
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JP (1) | JP2004025758A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009113471A (ja) * | 2007-10-17 | 2009-05-28 | Techno Polymer Co Ltd | 積層体及びその製造方法 |
-
2002
- 2002-06-28 JP JP2002188828A patent/JP2004025758A/ja active Pending
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