JP2004025516A - シリコーン剥離層とシリコーン粘着層の積層物品及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【効果】本発明のシリコーン剥離剤組成物とシリコーン粘着剤組成物の積層物品は、フッ素シリコーン系剥離剤やフッ素系溶剤を用いないため、環境負荷を低減することができ、また軽剥離が可能で、残留接着率の高いものである。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、フッ素シリコーン系剥離剤やフッ素系溶剤を用いなくとも、軽剥離が可能なシリコーン剥離層とシリコーン粘着層の積層物品及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
シリコーン粘着剤を使用した粘着テープや粘着ラベルは、シリコーン粘着剤層が耐熱性、耐寒性、耐候性、電気絶縁性、耐薬品性に優れることから、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、ウレタン系粘着剤、エポキシ系粘着剤などでは変質・劣化してしまうような厳しい環境下での使用が可能である。また、シリコーン系材料の表面に対して粘着することから、撥水、離型などの目的でシリコーン処理された物品やシリコーン系剥離紙、シリコーンゴムへの粘着も可能である。
【0003】
シリコーン粘着剤を用いた粘着テープなどを製造するには、シリコーン粘着剤をプラスチックフィルムなどの基材に塗工し、粘着特性を向上させるため架橋反応を行い硬化させる。
【0004】
このような粘着テープの用途には、耐熱性のある基材にシリコーン粘着剤を塗工して製造した、耐熱粘着テープ、耐熱マスキングテープ、耐薬品マスキングテープ、電気絶縁テープ、シリコーン剥離紙どうしを連結するためのスプライシングテープなどがある。
【0005】
ところが、シリコーン粘着剤を塗工した粘着テープの粘着面を保護するには、シリコーン系剥離剤を塗工した剥離フィルムや剥離紙に対しては強く粘着してしまうので、フッ素含有シリコーン系剥離剤を塗工した剥離フィルムや剥離紙を貼り合わせていた(特開昭64−74268号公報)。
【0006】
フッ素含有シリコーン系剥離剤を基材に塗工するには、通常、フッ素含有有機溶剤が使用される。これは、非フッ素含有有機溶剤ではフッ素含有シリコーン剥離剤を溶解することができないためである。フッ素含有有機溶剤は大気中など環境中に漏洩した場合、オゾン層破壊などへの影響がある。揮発性が高いため、塗工装置からの溶剤回収が困難である。また回収した溶剤を焼却処理する場合にも、フッ酸が生成するおそれがあり、これを回収するための燃焼ガスの後処理が必要となる。
【0007】
また、フェニル基を含有するシリコーン粘着剤と、付加反応型シリコーン剥離剤との組合せで剥離が可能であることが提案されているが(特開平10−147758号公報)、経時で剥離力が増大してしまうなどの問題があった。
【0008】
本発明は、フッ素シリコーン系剥離剤やフッ素系溶剤を用いなくとも、軽剥離が可能なシリコーン剥離層とシリコーン粘着層の積層物品及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】
本発明者は、上記目的を改善するため鋭意検討を重ねた結果、ケイ素原子に結合する全有機基のうち6〜40モル%がフェニル基であるポリジオルガノシロキサンを含有するシリコーン粘着剤組成物の硬化物からなる粘着層と、縮合反応型シリコーン剥離剤組成物の硬化物からなる剥離層との積層物品が、フッ素シリコーン系剥離剤やフッ素系溶剤を用いなくとも、残留接着率が高く、軽剥離が可能となり得ることを知見し、本発明をなすに至った。
【0010】
従って、本発明は、下記に示すシリコーン剥離層とシリコーン粘着層の積層物品、及びその製造方法を提供する。
〔I〕ケイ素原子に結合する全有機基のうち6〜40モル%がフェニル基であるポリジオルガノシロキサンを含有するシリコーン粘着剤組成物の硬化物からなる粘着層と、縮合反応型シリコーン剥離剤組成物の硬化物からなる剥離層との積層物品。
〔II〕基材の片面又は両面にケイ素原子に結合する全有機基のうち6〜40モル%がフェニル基であるポリジオルガノシロキサンを含有するシリコーン粘着剤組成物を塗工・硬化させて粘着層を有する粘着シートを形成し、別の基材の片面又は両面に縮合反応型シリコーン剥離剤組成物を塗工・硬化させて剥離層を有する剥離シートを形成し、これらの粘着層と剥離層とが接するように積層させる〔I〕記載の積層物品の製造方法。
〔III〕基材の片面又は両面に縮合反応型シリコーン剥離剤組成物を塗工・硬化させて剥離層を有する剥離シートを形成し、この剥離層の片面又は両面上にケイ素原子に結合する全有機基のうち6〜40モル%がフェニル基であるポリジオルガノシロキサンを含有するシリコーン粘着剤組成物を塗工後硬化し、別の基材をこの上に貼り合わせる〔I〕記載の積層物品の製造方法。
〔IV〕基材の片面に縮合反応型シリコーン剥離剤組成物を塗工・硬化させて剥離層を形成し、この基材のもう一方の面にケイ素原子に結合する全有機基のうち6〜40モル%がフェニル基であるポリジオルガノシロキサンを含有するシリコーン粘着剤組成物を塗工・硬化させて粘着層を形成したシートの複数枚を、粘着層と剥離層とが接するように積層させる〔I〕記載の積層物品の製造方法。
【0011】
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
本発明に用いられるシリコーン粘着剤組成物は、ケイ素原子に結合する全有機基のうち6〜40モル%、好ましくは8〜20モル%がフェニル基であるポリジオルガノシロキサンを含有するシリコーン粘着剤組成物であり、より好ましくは、ケイ素原子に結合する全有機基のうち6〜40モル%がフェニル基であるポリジオルガノシロキサンと、R1 3SiO0.5単位(R1は炭素数1〜6の1価炭化水素基。)及びSiO2単位を含有し、R1 3SiO0.5単位/SiO2単位のモル比が0.6〜1.7であるポリオルガノシロキサンと、硬化剤を含有するシリコーン粘着剤組成物である。本発明のシリコーン粘着剤組成物としては、付加反応硬化型、有機過酸化物硬化型等のいずれでもよい。
【0012】
付加反応硬化型シリコーン粘着剤組成物の組成としては、次のものが好適に用いられる。
(A)1分子中に2個以上のアルケニル基を有し、ケイ素原子に結合する全有機基のうち6〜40モル%がフェニル基であるポリジオルガノシロキサン
(B)R1 3SiO0.5単位(R1は炭素数1〜6の1価炭化水素基。)及びSiO2単位を含有し、R1 3SiO0.5単位/SiO2単位のモル比が0.6〜1.7であるポリオルガノシロキサン
(C)SiH基を含有するポリオルガノシロキサン
(D)制御剤
(E)白金触媒
【0013】
ここで、(A)成分は、1分子中に2個以上のアルケニル基を有し、ケイ素原子に結合する全有機基のうち6〜40モル%、特に8〜20モル%がフェニル基であるポリジオルガノシロキサンであり、このようなアルケニル基及びフェニル基含有ポリジオルガノシロキサンとしては、下記式で示されるものが例示できる。
R(3−a)XaSiO−(RXSiO)k−(R2SiO)m−SiR(3−a)Xa
R2(HO)SiO−(RXSiO)p−(R2SiO)q−SiR2(OH)
(式中、Rは炭素数1〜6の1価炭化水素基であるが、ケイ素原子に結合する全有機基の6〜40モル%がフェニル基であるように選定され、Xはアルケニル基含有有機基であり、aは0〜3の整数で1が好ましく、kは0以上であるが、a=0の場合、kは2以上であり、mは、500≦k+m≦20,000を満足する数であり、pは2以上、qは、500≦p+q≦20,000を満足する数である。)
【0014】
Rは炭素数1〜6の1価炭化水素基であり、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などのアルキル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基、ビニル基、アリル基などのアルケニル基等が挙げられ、中でもメチル基、フェニル基が好ましい。
【0015】
Xはアルケニル基含有有機基であり、炭素数2〜10のものが好ましく、具体的には、ビニル基、アリル基、ヘキセニル基、オクテニル基、アクリロイルプロピル基、アクリロイルメチル基、メタクリロイルプロピル基、シクロヘキセニルエチル基、ビニルオキシプロピル基などが挙げられ、中でもビニル基、ヘキセニル基が好ましい。
【0016】
このポリジオルガノシロキサンの性状は、オイル状、生ゴム状であればよく、(A)成分の粘度は、25℃において1,000mPa・s以上、特に10,000mPa・s以上が好ましい。なお、上限としては、特に限定されないが、重合度が20,000以下となるように選定することが好ましい。また、(A)成分は1種を単独で又は2種以上を併用してもよい。
【0017】
(B)成分はR1 3SiO0.5単位(R1は炭素数1〜6の脂肪族不飽和結合を含有しない1価炭化水素基である。)及びSiO2単位を含有し、R1 3SiO0.5単位/SiO2単位のモル比が0.6〜1.7であるポリオルガノシロキサンである。R1 3SiO0.5単位/SiO2単位のモル比が0.6未満では粘着力やタックが低下することがあり、1.7を越えると粘着力や保持力が低下することがある。特には0.6〜1.0が好ましい。この時(B)成分は、SiOH基を含有していてもよく、OH基含有量は0〜4.0重量%であればよい。また、(B)成分は2種以上を併用してもよい。なお、R1は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などのアルキル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基、フェニル基等が挙げられ、メチル基が好ましい。
【0018】
(A),(B)成分は単純に混合したものを使用してもよいし、(A)成分の分子鎖の両末端にSiOH基を有するものを含有する場合、(A),(B)成分を縮合反応物として使用してもよい。縮合反応を行うには、トルエンなどの溶剤に溶解した(A),(B)成分の混合物を、アルカリ性触媒を用い、室温乃至還流下で反応させればよい。
【0019】
(B)成分はアルケニル基を含有しないので、付加反応による架橋に関与せず、架橋成分は主として(A)成分と架橋剤の(C)成分である。耐熱保持力などの耐熱性を向上させるためには、組成物中の架橋成分の割合を増やせばよいが、過剰に増やすと粘着力が低下するなどの影響が発生する場合がある。このような点から、(A),(B)成分の配合重量比は20/80〜80/20とすればよく、特に30/70〜70/30とすることが好ましい。(A)成分の配合割合が少ないとタックが低下することがあり、多いと粘着力、タックが低下することがある。
【0020】
(C)成分は架橋剤で、1分子中にケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも2個、好ましくは3個以上有するオルガノヒドロポリシロキサンで、直鎖状、分岐状、環状のものなどを使用することができる。
【0021】
(C)成分としては、下記式のものを例示することができるが、これらのものには限定されない。
【化1】
(R1は前記と同じ、bは0〜3の整数、x,yは整数であり、このオルガノヒドロポリシロキサンの25℃における粘度が1〜5,000mPa・sとなる数を示す。また、sは2以上の整数、tは0以上の整数で、かつ8≧s+t≧3の整数である。)
【0022】
このオルガノヒドロポリシロキサンの25℃における粘度は、1〜5,000mPa・s、特に5〜500mPa・sであることが好ましく、また2種以上の混合物でもよい。
【0023】
(C)成分の使用量は、(A)成分中のアルケニル基に対する(C)成分中のSiH基のモル比が0.5〜20、特に0.8〜15の範囲となるように配合することが好ましい。0.5未満では架橋密度が低くなり、これにともない保持力が低くなることがあり、20を越えると粘着力及びタックが低下したり、処理液の使用可能時間が短くなる場合がある。
【0024】
(D)成分は付加反応制御剤であり、シリコーン粘着剤組成物を調合乃至基材に塗工する際、加熱硬化の以前に処理液が増粘やゲル化をおこさないようにするために添加するものである。
【0025】
(D)成分の具体例としては、
3−メチル−1−ブチン−3−オール、
3−メチル−1−ペンチン−3−オール、
3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、
1−エチニルシクロヘキサノール、
3−メチル−3−トリメチルシロキシ−1−ブチン、
3−メチル−3−トリメチルシロキシ−1−ペンチン、
3,5−ジメチル−3−トリメチルシロキシ−1−ヘキシン、
1−エチニル−1−トリメチルシロキシシクロヘキサン、
ビス(2,2−ジメチル−3−ブチノキシ)ジメチルシラン、
1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラビニルシクロテトラシロキサン、
1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジビニルジシロキサン
などが挙げられる。
【0026】
(D)成分の配合量は、(A),(B)成分の合計100重量部に対して0〜8.0重量部の範囲であることが好ましく、特に0.05〜2.0重量部が好ましい。8.0重量部を越えると硬化性が低下することがある。
【0027】
(E)成分は白金系触媒であり、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール溶液、塩化白金酸とアルコールとの反応物、塩化白金酸とオレフィン化合物との反応物、塩化白金酸とビニル基含有シロキサンとの反応物などが挙げられる。
【0028】
(E)成分の添加量は、(A),(B)成分の合計に対し、白金分として1〜500ppm、特に5〜200ppmとすることが好ましい。1ppm未満では硬化性が低下し、架橋密度が低くなり、保持力が低下することがあり、500ppmを越えると処理浴の使用可能時間が短くなる場合がある。
【0029】
また、有機過酸化物硬化型シリコーン粘着剤組成物としては、次の組成ものが好適に用いられる。
(A’)ケイ素原子に結合する全有機基のうち6〜40モル%がフェニル基であるポリジオルガノシロキサン
(B)R1 3SiO0.5単位(R1は前記と同じ。)及びSiO2単位を含有し、R1 3SiO0.5単位/SiO2単位のモル比が0.6〜1.7であるポリオルガノシロキサン
(C’)有機過酸化物硬化剤
【0030】
ここで、(A’)成分のポリジオルガノシロキサンは、ケイ素原子に結合する全有機基のうち6〜40モル%、好ましくは8〜20モル%がフェニル基であり、残余の有機基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などのアルキル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基、ビニル基、アリル基などのアルケニル基等が挙げられ、特にメチル基が好ましい。
【0031】
このようなポリジオルガノシロキサンとしては、下記式で示されるものを例示できる。
R3SiO−(R2SiO)d−SiR3
R2(HO)SiO−(R2SiO)f−SiR2(OH)
(式中、Rは前記と同じであり、ケイ素原子に結合する全有機基の6〜40モル%がフェニル基であるように選定され、dは500≦d≦20,000を満たす数であり、fは500≦f≦20,000を満たす数である。)
【0032】
このポリジオルガノシロキサンの性状は、オイル状、生ゴム状であればよく、25℃における粘度は、1,000mPa・s以上、特に10,000mPa・s以上が好ましい。なお、上限は特に限定されないが、重合度が20,000以下となるように選定することが好ましい。また、(A’)成分は1種を単独で又は2種以上を併用してもよい。
【0033】
(B)成分のR1 3SiO0.5単位(R1は前記と同じ。)及びSiO2単位を含有し、R1 3SiO0.5単位/SiO2単位のモル比が0.6〜1.7であるポリオルガノシロキサンは、前記付加反応型の(B)成分と同様のものを例示することができる。
【0034】
(A’),(B)成分は単純に混合したものを用いてもよいし、(A’)成分が分子鎖の両末端にSiOH基を有するものである場合は、(A’),(B)成分を縮合反応物として使用してもよい。縮合反応を行うには、トルエンなどの溶剤に溶解した(A’),(B)成分の混合物を、アルカリ性触媒を用い、室温乃至還流下で反応させればよい。
【0035】
(A’)成分と(B)成分の配合重量比は、20/80〜80/20とすればよく、特に30/70〜70/30とすることが好ましい。(A’)成分の配合割合が少ないとタックが低下することがあり、多いと粘着力、タックが低下することがある。
【0036】
(C’)成分の有機過酸化物としては、特に限定されるものではないが、下記に示すものが例示できる。
ジベンゾイルパーオキサイド、
4,4’−ジメチルジベンゾイルパーオキサイド、
3,3’−ジメチルジベンゾイルパーオキサイド、
2,2’−ジメチルジベンゾイルパーオキサイド、
2,2’,4,4’−テトラクロロジベンゾイルパーオキサイド。
【0037】
(C’)成分の使用量は、(A’),(B)成分の合計100重量部に対して0.5〜20重量部、特に0.7〜5重量部であることが好ましい。
【0038】
本発明のシリコーン粘着剤組成物には、上記各成分以外に任意成分を添加することができる。例えば、ポリジメチルシロキサン、ポリジメチルジフェニルシロキサンなどの非反応性のポリオルガノシロキサン、塗工の際の粘度を下げるためのトルエン、キシレン等の芳香族系溶剤、ヘキサン、オクタン、イソパラフィンなどの脂肪族系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸イソブチルなどのエステル系溶剤、ジイソプロピルエーテル、1,4−ジオキサンなどのエーテル系溶剤、又はこれらの混合溶剤、酸化防止剤、染料、顔料などが挙げられる。なお、通常、組成物の粘度を下げ、塗工を容易にするために溶剤が使用される。
【0039】
上記のように配合されたシリコーン粘着剤組成物を、種々の基材に塗工し、所定の条件にて硬化させることにより、粘着層を得ることができる。
【0040】
シリコーン粘着剤組成物を塗工する基材として、具体的には、ポリエステル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニルなどのプラスチックフィルム、和紙、合成紙、ポリエチレンラミネート紙などの紙、布、ガラス繊維、アルミニウム、銅などの金属箔、これらのうちの複数を積層してなる複合基材などが例示できる。
【0041】
これらの基材と粘着層の密着性を向上させるために、基材面にプライマー処理、コロナ処理、エッチング処理、あるいはプラズマ処理したものを用いてもよい。
【0042】
塗工方法は、公知の塗工方式を用いて塗工すればよく、コンマコーター、リップコーター、ロールコーター、ダイコーター、ナイフコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、キスコーター、グラビアコーター、ワイヤーバーコーターなどによる塗工、スクリーン塗工、浸漬塗工、キャスト塗工などが例示できる。
【0043】
塗工量としては、硬化した後の粘着層の厚みとして2〜200μm、特に3〜100μmとすることができる。
【0044】
硬化条件としては、付加反応硬化型のものは80〜130℃で30秒〜3分、有機過酸化物硬化型のものは100〜200℃で30秒〜10分とすればよいが、この限りではない。
【0045】
次に、本発明に用いられる縮合反応型シリコーン剥離剤組成物としては、下記の成分を含有するものが好ましい。
(a)分子鎖の両末端にSiOH基を有するポリジオルガノシロキサン
(b)分子中にケイ素原子に結合するオルガノオキシ基を2個以上含有するオルガノシラン又はオルガノシロキサン
(c)縮合触媒
【0046】
ここで、(a)成分の分子鎖の両末端にSiOH基を有するポリジオルガノシロキサンとしては、下記式で示されるものを例示することができる。
R2 2(HO)SiO−(R2 2SiO)j−SiR2 2(OH)
(式中、R2は1価炭化水素基、1,000≦j≦20,000である。)
【0047】
ここで、R2は炭素数1〜6の1価炭化水素基であることが好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などのアルキル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基、フェニル基などのアリール基等が例示され、ケイ素原子に結合する全有機基の95モル%以上がメチル基であり、5モル%以下がフェニル基であることが好ましい。
【0048】
このポリジオルガノシロキサンの性状は、オイル状、生ゴム状であればよく、(a)成分の粘度は25℃において、1,000mPa・s以上、特に10,000mPa・s以上が好ましい。また、(a)成分は2種以上を併用してもよい。
【0049】
(b)成分は架橋剤で、1分子中にSiOR2基(R2は上記と同じである。)を少なくとも2個含有するオルガノシランもしくはオルガノシロキサン、又は1分子中にSiH基を少なくとも2個含有するポリオルガノシロキサンが好ましく、特にSiOR2基を含有するものが好ましい。また、(b)成分は、直鎖状、分岐状、環状のものなどを使用することができる。
【0050】
1分子中にSiOR2基を少なくとも2個含有するオルガノシランもしくはオルガノシロキサンとしては、下記式で示されるものを例示できる。
R3 4−cSi(OR2)c
R3 2(R2O)SiO−(R3 2SiO)k−SiR3 2(OR2)
(式中、R2は上記と同じであり、R3は炭素数1〜6の1価炭化水素基又はアルコキシ基であり、c,kは、2≦c≦4、0≦k≦20である。)
【0051】
ここで、R3は炭素数1〜6の1価炭化水素基又はアルコキシ基であり、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などのアルキル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基、フェニル基などのアリール基、メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基などのアルコキシ基が例示され、全R3のうち50モル%以上がメトキシ基であることが好ましい。
【0052】
また、R2は炭素数1〜6の1価炭化水素基、好ましくはアルキル基であり、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などが例示され、中でもメチル基、エチル基であることが好ましい。
【0053】
1分子中にSiH基を少なくとも2個含有するポリオルガノシロキサンとしては、下記式で示されるものが例示できる。
【化2】
(R3,b,x,y,s,tは前記と同じである。)
【0054】
このオルガノヒドロポリシロキサンの25℃における粘度は、1〜5,000mPa・s、特に5〜500mPa・sであることが好ましく、また2種以上の混合物でもよい。
【0055】
SiOR2基を含有するものの場合、(a),(b)成分の配合重量比は60/40〜95/5、特に70/30〜90/10とすることが好ましい。(a)成分の配合割合が少ないと剥離力が重くなることがあり、多いと硬化性が低下することがある。また、SiH基を含有するものの場合、(a),(b)成分の配合比は80/20〜99.5/0.5、特に90/10〜99/1とすることが好ましい。(a)成分の配合割合が少ないと剥離力が重くなることがあり、多いと硬化性が低下することがある。なお、(b)成分は2種以上を併用してもよい。
【0056】
(c)成分は縮合触媒であり、具体的には、ジブチルスズジアセテート、ジオクチルスズジアセテート、ジオクチルスズジオクテート、ジオクチルスズジラウレートなどのスズ化合物、亜鉛ジオクテートなどの亜鉛化合物、テトラメトキシチタン、テトライソプロポキシチタンなどのチタン化合物、トリブトキシアルミニウム、ブトキシアルミニウムビスアセチルアセトアセテート、アルミニウム(2,4−ペンタンジオネート)などのアルミニウム化合物、オクチル酸鉄などの鉄化合物、テトラブトキシジルコニウムなどのジルコニウム化合物などが例示できる。
【0057】
更に、メタンスルホン酸、トリフロロ酢酸、パラトルエンスルホン酸などの酸、トリブチルアミン、テトラエチレンジアミン、トリエタノールアミン、テトラブチルアンモニウム塩、アンモニウム塩などの窒素化合物も挙げられる。
【0058】
(c)成分の使用量は、(a),(b)成分の合計100重量部に対して0.5〜20重量部、特に1〜10重量部であることが好ましい。
【0059】
本発明のシリコーン剥離剤組成物には、上記各成分以外に任意成分を添加することができる。例えば、ポリジメチルシロキサンなどの非反応性のポリオルガノシロキサン、塗工の際の粘度を下げるためのトルエン、キシレン等の芳香族系溶剤、ヘキサン、オクタン、イソパラフィンなどの脂肪族系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸イソブチルなどのエステル系溶剤、ジイソプロピルエーテル、1,4−ジオキサンなどのエーテル系溶剤、又はこれらの混合溶剤、酸化防止剤、帯電防止剤、染料、顔料などが挙げられる。なお、通常、組成物の粘度を下げ、塗工を容易にするために溶剤が使用される。
【0060】
上記のように配合されたシリコーン剥離剤組成物を、種々の基材に塗工し、所定の条件にて硬化させることにより、剥離層を得ることができる。
【0061】
シリコーン剥離剤組成物を塗工する基材として、具体的には、ポリエステル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニルなどのプラスチックフィルム、和紙、合成紙、ポリエチレンラミネート紙などの紙、布、ガラス繊維、アルミニウム、銅などの金属箔、これらのうちの複数を積層してなる複合基材などが例示できる。
【0062】
これらの基材と剥離層の密着性を向上させるために、基材面にコロナ処理、エッチング処理、あるいはプラズマ処理したものを用いてもよい。
【0063】
塗工方法は、公知の塗工方式を用いて塗工すればよく、コンマコーター、リップコーター、ロールコーター、ダイコーター、ナイフコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、キスコーター、グラビアコーター、ワイヤーバーコーターなどによる塗工、スクリーン塗工、浸漬塗工、キャスト塗工などが例示できる。
【0064】
塗工量としては、硬化した後の剥離層の厚みとして0.03〜3μm、特に0.05〜1.5μmとすることができる。
【0065】
硬化条件としては、100〜180℃で30秒〜3分とすればよいが、この限りではない。
【0066】
本発明の積層物品は、上記のシリコーン粘着剤組成物の硬化物からなる粘着層と、シリコーン剥離剤組成物の硬化物からなる剥離層を、粘着層と剥離層が接するように積層することにより、得ることができる。
【0067】
この場合、剥離層を有する剥離シートを先に作製しておき、粘着層を有する粘着シートを作製したときに粘着層と剥離層が接するように剥離シートを貼り合わせ、積層物としてもよいし、また、剥離シートの剥離層上にシリコーン粘着剤組成物を塗工・硬化して粘着層を形成し、粘着シート用の基材をこれに貼り合わせて積層物としてもよい。形態は枚葉でも長尺のシートをロール状に巻き取ったものでもよい。
【0068】
また、ひとつの基材の片面にシリコーン剥離剤組成物を塗工・硬化して剥離層を形成し、この基材の別の面にシリコーン粘着剤組成物を塗工・硬化して粘着層を形成して、これをロール状に巻き取る、又はこれと同じシートを粘着層と剥離層が接するように積層することにより積層物品とすることもできる。
【0069】
本発明の積層物品において、粘着層に用いられるシリコーン粘着剤組成物はフェニル基を含有しており、剥離層に用いられるシリコーン剥離剤組成物はフェニル基を含有していないか又は含有量が少ないため、粘着層と剥離層の界面において両者は非相溶である。このことから、剥離層と粘着層を容易に剥離することができ、経時で重剥離化することもない。
【0070】
【発明の効果】
本発明のシリコーン剥離剤組成物とシリコーン粘着剤組成物の積層物品は、フッ素シリコーン系剥離剤やフッ素系溶剤を用いないため、環境負荷を低減することができ、また軽剥離が可能で、残留接着率の高いものである。
【0071】
【実施例】
以下、調製例及び実施例と比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記例中の部は重量部を示したものであり、特性値は下記の試験方法による測定値である。また、Meはメチル基、Phはフェニル基、Viはビニル基を表す。
【0072】
剥離力
剥離シートに25mm幅の粘着シートを貼りつけ、ゴム層で被覆された重さ2kgのローラーを1往復させることにより圧着し、シリコーン剥離層とシリコーン粘着層の積層物を作製した。室温で1日、又は50℃で2日間放置した後、引っ張り試験機を用いて300mm/分の速度で180゜の角度で粘着シートを剥離シートから引き剥がすのに要する力(N/25mm)を測定した。
【0073】
粘着力
剥離シートと25mm幅の粘着シートを貼り合わせて積層物を作製し、室温で1日、又は50℃で2日間エージングを行った。剥離シートから引き剥がした粘着シートをステンレス板に貼りつけ、ゴム層で被覆された重さ2kgのローラーを1往復させることにより圧着した。室温で約3時間放置した後、引っ張り試験機を用いて300mm/分の速度、180゜の角度で粘着シートをステンレス板から引き剥がすのに要する力(N/25mm)を測定した。
【0074】
残留接着率
剥離シートのかわりにポリテトラフロロエチレン製のシートに25mm幅の粘着シートを貼りつけ、50℃で2日間エージングを行った。ポリテトラフロロエチレン製シートから引き剥がした粘着シートをステンレス板に貼りつけ、ゴム層で被覆された重さ2kgのローラーを1往復させることにより圧着した。室温で約3時間放置した後、引っ張り試験機を用いて300mm/分の速度、180゜の角度で粘着シートをステンレス板から引き剥がすのに要する力(N/25mm)を測定した。剥離シートと粘着シートを貼り合わせ、50℃で2日間エージングを行ったものの粘着力のこの力に対する比を残留接着率とした。
【0075】
耐熱保持力
剥離シートから引き剥がした粘着シートをステンレス板の端部に貼りつけ部分が25×25mmとなるように貼りつけ、粘着テープの下端に重さ1kgの荷重をかけ、ステンレス板を垂直に支持し、150℃で1時間放置した後のずれ距離を読取顕微鏡で測定した。
【0076】
[調製例]
シリコーン剥離剤組成物Ia
下記式で示されるSiOH基含有ポリジメチルシロキサン(80部)、
Me2(OH)SiO−[Me2SiO]4000−SiMe2(OH)
下記式で示されるアルコキシ基含有ポリシロキサン(20部)、
Me2(MeO)SiO−(Me2SiO)1−SiMe2(OMe)
トルエン(1900部)を混合した。スズ触媒CAT−PS−3(信越化学工業社製)(13部)を添加して更に混合し、シリコーン剥離剤組成物溶液Iaを調製した。このシリコーン剥離剤組成物Iaを用いて下記に示す方法により、剥離シートIaを作製した。
【0077】
シリコーン剥離剤組成物Ib
下記式で示されるSiOH基含有ポリジメチルシロキサン(96部)、
Me2(OH)SiO−[Me2SiO]4000−SiMe2(OH)
下記式で示されるSiH基含有ポリシロキサン(4部)、
Me3SiO−(MeHSiO)40−SiMe3
トルエン(1900部)を混合した。スズ触媒CAT−PS−3(信越化学工業社製)(13部)を添加して更に混合し、シリコーン剥離剤組成物溶液Ibを調製した。このシリコーン剥離剤組成物Ibを用いて下記に示す方法により、剥離シートIbを作製した。
【0078】
シリコーン剥離剤組成物Ic
下記式で示されるアルケニル基含有ポリジメチルシロキサン(100部)、
Me2ViSiO−[MeViSiO]20−[Me2SiO]3980−SiMe2Vi下記式で示されるSiH基含有ポリシロキサン(0.76部)、
Me3SiO−[MeHSiO]40−SiMe3
エチニルシクロヘキサノール(0.018部)、トルエン(1900部)を混合した。白金触媒CAT−PL−50T(信越化学工業社製)(3.3部)を添加して更に混合し、シリコーン剥離剤組成物溶液Icを調製した。このシリコーン剥離剤組成物Icを用いて下記に示す方法により、剥離シートIcを作製した。
【0079】
シリコーン剥離剤組成物Id
下記式で示されるアルケニル基含有ポリジメチルシロキサン(97.7部)、
Me2ViSiO−[Me2SiO]150−SiMe2Vi
下記式で示されるSiH基含有ポリシロキサン(2.0部)、
Me3SiO−[MeHSiO]40−SiMe3
エチニルシクロヘキサノール(0.3部)を混合した。白金触媒CAT−PL−56(信越化学工業社製)(2.0部)を添加して更に混合し、シリコーン剥離剤組成物Idを調製した。このシリコーン剥離剤組成物Idを用いて下記に示す方法により、剥離シートIdを作製した。
【0080】
シリコーン粘着剤組成物IIA
下記式で示されるアルケニル基及びフェニル基含有ポリジメチルシロキサン(50部)、
Me2ViSiO−[MeViSiO]6−[Ph2SiO]400−[Me2SiO]3593−SiMe2Vi
Me3SiO0.5単位、SiO2単位からなるポリシロキサン(Me3SiO0.5単位/SiO2単位=0.85)の60%トルエン溶液(83部)、トルエン(34部)、下記式で示される架橋剤(0.37部)、
Me3SiO−[MeHSiO]40−SiMe3
エチニルシクロヘキサノール(0.2部)を混合した。白金触媒CAT−PL−50T(信越化学工業社製)(0.8部)を添加して更に混合し、シリコーン粘着剤組成物溶液IIAを調製した。このシリコーン粘着剤組成物IIAを用いて下記に示す方法により、粘着シートIIAを作製した。
【0081】
シリコーン粘着剤組成物IIB
下記式で示されるアルケニル基及びフェニル基含有ポリジメチルシロキサン(40部)、
Me2ViSiO−[MeViSiO]6−[Ph2SiO]400−[Me2SiO]3593−SiMe2Vi
Me3SiO0.5単位、SiO2単位からなるポリシロキサン(Me3SiO0.5単位/SiO2単位=0.85)の60%トルエン溶液(100部)、トルエン(27部)、下記式で示される架橋剤(0.74部)、
Me3SiO−[MeHSiO]40−SiMe3
エチニルシクロヘキサノール(0.2部)を混合した。白金触媒CAT−PL−50T(信越化学工業社製)(0.8部)を添加して更に混合し、シリコーン粘着剤組成物溶液IIBを調製した。このシリコーン粘着剤組成物IIBを用いて下記に示す方法により、粘着シートIIBを作製した。
【0082】
シリコーン粘着剤組成物IIC
下記式で示されるアルケニル基及びフェニル基含有ポリジメチルシロキサン(35部)、
Me2ViSiO−[MeViSiO]6−[Ph2SiO]400−[Me2SiO]3593−SiMe2Vi
Me3SiO0.5単位、SiO2単位からなるポリシロキサン(Me3SiO0.5単位/SiO2単位=0.85)の60%トルエン溶液(108部)、トルエン(24部)、下記式で示される架橋剤(0.26部)、
Me3SiO−[MeHSiO]40−SiMe3
エチニルシクロヘキサノール(0.2部)を混合した。白金触媒CAT−PL−50T(信越化学工業社製)(0.8部)を添加して更に混合し、シリコーン粘着剤組成物溶液IICを調製した。このシリコーン粘着剤組成物IICを用いて下記に示す方法により、粘着シートIICを作製した。
【0083】
シリコーン粘着剤組成物IID
下記式で示されるフェニル基含有ポリジメチルシロキサン(40部)、
Me3SiO−[Ph2SiO]400−[Me2SiO]3600−SiMe3
Me3SiO0.5単位、SiO2単位からなるポリシロキサン(Me3SiO0.5単位/SiO2単位=0.85)の60%トルエン溶液(100部)、トルエン(27部)を混合した。ジベンゾイルパーオキサイド(2部)を添加して更に混合し、シリコーン粘着剤組成物溶液IIDを調製した。このシリコーン粘着剤組成物IIDを用いて下記に示す方法により、粘着シートIIDを作製した。ただし、硬化条件を165℃で2分とした。
【0084】
シリコーン粘着剤組成物IIE
下記式で示されるアルケニル基及びフェニル基含有ポリジメチルシロキサン(40部)、
Me2ViSiO−[MeViSiO]6−[Ph2SiO]60−[Me2SiO]3954−SiMe2Vi
Me3SiO0.5単位、SiO2単位からなるポリシロキサン(Me3SiO0.5単位/SiO2単位=0.85)の60%トルエン溶液(100部)、トルエン(27部)、下記式で示される架橋剤(0.35部)、
Me3SiO−[MeHSiO]40−SiMe3
エチニルシクロヘキサノール(0.2部)を混合した。白金触媒CAT−PL−50T(信越化学工業社製)(0.8部)を添加して更に混合し、シリコーン粘着剤組成物溶液IIEを調製した。このシリコーン粘着剤組成物IIEを用いて下記に示す方法により、粘着シートIIEを作製した。
【0085】
剥離シートの作製
シリコーン剥離剤組成物溶液を、ポリエチレンラミネート紙基材に硬化後の厚みが0.8μmとなるようにワイヤーバーを用いて塗工した後、120℃、30秒の条件で加熱し、硬化させて剥離シートを作製した。
【0086】
粘着シートの作製
シリコーン粘着剤組成物溶液を、厚み25μm、幅25mmのポリエステルフィルム基材に硬化後の厚みが30μmとなるようにアプリケータを用いて塗工した後、130℃、1分の条件で加熱し、硬化させて粘着シートを作製した。
【0087】
[実施例1]
上記の剥離シートIaと粘着シートIIAを貼り合わせ、積層物を作製した。この積層物の剥離力、粘着力、残留接着率、耐熱保持力を測定した。結果を表1に示す。
【0088】
[実施例2]
上記の剥離シートIaと粘着シートIIBを貼り合わせ、積層物を作製した。この積層物の剥離力、粘着力、残留接着率、耐熱保持力を測定した。結果を表1に示す。
【0089】
[実施例3]
上記の剥離シートIaと粘着シートIICを貼り合わせ、積層物を作製した。この積層物の剥離力、粘着力、残留接着率、耐熱保持力を測定した。結果を表1に示す。
【0090】
[実施例4]
上記の剥離シートIaと粘着シートIIDを貼り合わせ、積層物を作製した。この積層物の剥離力、粘着力、残留接着率、耐熱保持力を測定した。結果を表1に示す。
【0091】
[実施例5]
上記の剥離シートIbと粘着シートIICを貼り合わせ、積層物を作製した。この積層物の剥離力、粘着力、残留接着率、耐熱保持力を測定した。結果を表1に示す。
【0092】
[比較例1]
上記の剥離シートIcと粘着シートIIBを貼り合わせ、積層物を作製した。この積層物の剥離力、粘着力、残留接着率、耐熱保持力を測定した。結果を表1に示す。
【0093】
[比較例2]
上記の剥離シートIdと粘着シートIIBを貼り合わせ、積層物を作製した。この積層物の剥離力、粘着力、残留接着率、耐熱保持力を測定した。結果を表1に示す。
【0094】
[比較例3]
上記の剥離シートIaと粘着シートIIEを貼り合わせ、積層物を作製した。この積層物の剥離力、粘着力、残留接着率、耐熱保持力を測定した。結果を表1に示す。
【0095】
【表1】
Claims (8)
- ケイ素原子に結合する全有機基のうち6〜40モル%がフェニル基であるポリジオルガノシロキサンを含有するシリコーン粘着剤組成物の硬化物からなる粘着層と、縮合反応型シリコーン剥離剤組成物の硬化物からなる剥離層との積層物品。
- ケイ素原子に結合する全有機基のうち6〜40モル%がフェニル基であるポリジオルガノシロキサンと、R1 3SiO0.5単位(R1は炭素数1〜6の1価炭化水素基。)及びSiO2単位を含有し、R1 3SiO0.5単位/SiO2単位のモル比が0.6〜1.7であるポリオルガノシロキサンと、硬化剤を含有するシリコーン粘着剤組成物の硬化物からなる粘着層と、縮合反応型シリコーン剥離剤組成物の硬化物からなる剥離層との積層物品。
- シリコーン粘着剤組成物が、
(A)1分子中に2個以上のアルケニル基を有し、ケイ素原子に結合する全有機基のうち6〜40モル%がフェニル基であるポリジオルガノシロキサン20〜80重量部
(B)R1 3SiO0.5単位(R1は炭素数1〜6の1価炭化水素基。)及びSiO2単位を含有し、R1 3SiO0.5単位/SiO2単位のモル比が0.6〜1.7で
あるポリオルガノシロキサン 80〜20重量部
(C)SiH基を含有するポリオルガノシロキサン
(A)成分中のアルケニル基に対する(C)成分中のSiH基のモル比が0.5〜20となる量
(D)制御剤
(A),(B)成分の合計100重量部に対して0〜8.0重量部
(E)白金系触媒
(A),(B)成分の合計に対して白金分として1〜500ppm
を含有する付加反応硬化型シリコーン粘着剤組成物である請求項1又は2記載の積層物品。 - シリコーン粘着剤組成物が、
(A’)ケイ素原子に結合する全有機基のうち6〜40モル%がフェニル基であ
るポリジオルガノシロキサン 20〜80重量部
(B)R1 3SiO0.5単位(R1は炭素数1〜6の1価炭化水素基。)及びSiO2単位を含有し、R1 3SiO0.5単位/SiO2単位のモル比が0.6〜1.7で
あるポリオルガノシロキサン 80〜20重量部
(C’)有機過酸化物硬化剤
(A’),(B)成分の合計100重量部に対して0.2〜10重量部
を含有する有機過酸化物硬化型シリコーン粘着剤組成物である請求項1又は2記載の積層物品。 - 縮合反応型シリコーン剥離剤組成物が、
(a)分子鎖の両末端にSiOH基を有するポリジオルガノシロキサン60〜95重量部
(b)分子中にケイ素原子に結合するオルガノオキシ基を2個以上含有するオル
ガノシラン又はオルガノシロキサン 40〜5重量部
(c)縮合触媒
(A),(B)成分の合計100重量部に対して0.5〜20重量部
を含有するものである請求項1乃至4のいずれか1項記載の積層物品。 - 基材の片面又は両面にケイ素原子に結合する全有機基のうち6〜40モル%がフェニル基であるポリジオルガノシロキサンを含有するシリコーン粘着剤組成物を塗工・硬化させて粘着層を有する粘着シートを形成し、別の基材の片面又は両面に縮合反応型シリコーン剥離剤組成物を塗工・硬化させて剥離層を有する剥離シートを形成し、これらの粘着層と剥離層とが接するように積層させる請求項1乃至5のいずれか1項記載の積層物品の製造方法。
- 基材の片面又は両面に縮合反応型シリコーン剥離剤組成物を塗工・硬化させて剥離層を有する剥離シートを形成し、この剥離層の片面又は両面上にケイ素原子に結合する全有機基のうち6〜40モル%がフェニル基であるポリジオルガノシロキサンを含有するシリコーン粘着剤組成物を塗工後硬化し、別の基材をこの上に貼り合わせる請求項1乃至5のいずれか1項記載の積層物品の製造方法。
- 基材の片面に縮合反応型シリコーン剥離剤組成物を塗工・硬化させて剥離層を形成し、この基材のもう一方の面にケイ素原子に結合する全有機基のうち6〜40モル%がフェニル基であるポリジオルガノシロキサンを含有するシリコーン粘着剤組成物を塗工・硬化させて粘着層を形成したシートの複数枚を、粘着層と剥離層とが接するように積層させる請求項1乃至5のいずれか1項記載の積層物品の製造方法。
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