JP4180353B2 - シリコーン粘着剤組成物及び粘着テープ - Google Patents

シリコーン粘着剤組成物及び粘着テープ Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特にステンレス鋼などの金属に対して用いた場合でも糊残りしないシリコーン粘着剤組成物及び粘着テープに関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
シリコーン粘着剤を使用した粘着テープや粘着ラベルは、シリコーン粘着剤層が耐熱性、耐寒性、耐候性、電気絶縁性及び耐薬品性に優れることから、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、ウレタン系粘着剤、エポキシ系粘着剤では変質・劣化してしまうような厳しい環境下で使用されている。
【0003】
たとえば部品製造時や加工の際に加熱処理を行う場合、全面もしくは部分的に保護したりマスキングや仮固定が必要になることがある.このような用途に用いられる粘着テープには250℃の加熱後でも剥離が可能となるシリコーン粘着剤を用いたものが好適である。しかし、近年従来よりも高温での加熱処理が行われるようになり、シリコーン粘着剤の耐熱性も向上させる必要が生じている。
【0004】
一例をあげると,電子部品実装における鉛フリーハンダの実用化に伴い、電子部品を基板にハンダ付けするリフロー温度などが従来よりも高温となり、ピーク温度が280℃に達することもある。したがって、このような高温下においても粘着剤が剥がれてはならず、さらに処理が終了すれば被着対に移行したり残留することなく剥がせることが必要である。
【0005】
従来のシリコーン粘着剤を用いた粘着テープを金属部分に貼りつけたりマスキングし、250℃以上の高温の履歴を受けた場合粘着テープを剥がして除去するとき金属部分に粘着剤が残留したり、粘着テープの基材から粘着剤層が金属部分に移行してしまうことがあった。これを糊残りという。これはシリコーン粘着剤が加熱によって酸化され劣化し、これに伴い粘着剤層の凝集力が低下し、粘着剤層が破壊されたことによる。
【0006】
一方、半導体部品や銅製のリードフレーム積層部品の製造時に、シリコーン粘着剤に酸化防止剤を含有させた粘着テープを用いることで、200℃程度,数時間の工程でも粘着剤の劣化が起こらなくなることが公知である。(特開2001−345415)
【0007】
しかしながら上記のように酸化防止剤を添加したシリコーン粘着剤に280℃を超える高温の履歴を与えると,特にその金属が銅や銅合金、鉄、ステンレスなどの金属であれば、粘着テープを剥がして除去するときに糊残りが発生することがある。
【0008】
本発明は、上記事情を改善したもので、金属,特にステンレス鋼などの被着体に貼りつけたりマスキングし,300℃の高温の履歴を受けた場合でも、糊残りを起こさず、きれいに剥離することが可能なシリコーン粘着剤組成物および粘着テープを提供することを目的とする。
【0009】
【特許文献1】
特開2001−345415公報
【特許文献2】
特願2001−290863公報
【特許文献3】
特願2002−256801公報
【0010】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、シリコーン粘着剤組成物に対してカーボンブラックを含有させること、特に付加反応硬化型のシリコーン粘着剤組成物は、ビニル基をもつ主鎖がR1 2SiO単位からなる直鎖のポリジオルガノシロキサン、R1 3SiO0.5単位とSiO2単位とからなる3次元構造のポリオルガノシロキサン、ポリオルガノヒドロシロキサン又は白金化合物が硬化触媒として用いられる(特公昭54−37907号公報)が、このような付加反応硬化型のシリコーン粘着剤組成物にカーボンブラックを含有させることにより、金属,特にステンレス鋼などの被着体に貼りつけたりマスキングし、300℃の高温の履歴を受けた場合でも,糊残りを起こさず,きれいに剥離することが可能であるという効果を達成するものであることを知見し、本発明をなすに至った。
【0011】
従って、本発明はカーボンブラックを含有するシリコーン粘着剤組成物、特に
(A)アルケニル基含有ポリジオルガノシロキサン 20〜80重量部、
(B)R1 3SiO0.5単位及びSiO2単位を含有し、R1 3SiO0.5単位/SiO2単位のモル比が0.6〜1.7であるポリオルガノシロキサン(R1は炭素数1〜10の1価炭化水素基) 80〜20重量部、
(C)SiH基を含有するポリオルガノシロキサン
(A)成分中のアルケニル基に対する(C)成分中のSiH基のモル比が0.5〜20となる量、
(D)制御剤
(A)、(B)成分の合計100重量部に対して0〜5.0重量部、
(E)白金系触媒
(A)、(B)成分の合計に対し白金分として1〜5,000ppm、
(F)カーボンブラック
(A)、(B)の合計100重量部に対して0.1〜50重量部
を含有することを特徴とするシリコーン粘着剤組成物を提供する。また、本発明は、プラスチックフィルムの少なくとも1面に上記のシリコーン粘着剤組成物の硬化物層が積層されていることを特徴とする粘着テープを提供する。
【0012】
この場合、これらシリコーン粘着剤組成物及び粘着テープは、金属特にステンレス鋼のマスキングテープ用として有効に用いられる。
【0013】
以下、更に詳述すると、(A)成分はアルケニル基含有ポリオルガノシロキサンであり、下記式で示されるものであることが好ましい。
1 (3-a)aSiO−(R1XSiO)m−(R1 2SiO)n−SiR1 (3-a)a
1 2(HO)SiO−(R1XSiO)p−(R1 2SiO)q−SiR1 2(OH)
(式中、R1は脂肪属不飽和結合を有さない1価炭化水素基、Xはアルケニル基含有有機基であり、aは0〜3の整数、好ましくは1、mは0以上、nは100以上の数であり、aとmは同時に0にならない。また、pは1以上、qは100以上の数である。)
【0014】
ここで、R1としては、炭素数1〜10のものが好ましく、例示すると、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などのアルキル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基、フェニル基、トリル基などのアリール基などであり、特にメチル基、フェニル基が好ましい。
【0015】
Xのアルケニル基含有有機基としては、炭素数2〜10のものが好ましく、ビニル基、アリル基、ヘキセニル基、オクテニル基、アクリロイルプロピル基、アクリロイルメチル基、メタクリロイルプロピル基、シクロヘキセニルエチル基、ビニルオキシプロピル基などが好ましい。特に、工業的にはビニル基が好ましい。
【0016】
このポリジオルガノシロキサンの性状はオイル状、生ゴム状であればよく、(A)成分の粘度は25℃において50mPa・s以上、特に100mPa・s以上が好ましく、このとき2種以上を併用してもよい。50mPa・s以下のものでは粘着剤として硬化しなくなるため不適である。また、生ゴム状のものであれば、30%の濃度となるようにトルエンで溶解したときの粘度が100000mPa・s以下が好ましい。
【0017】
(B)成分はR1 3SiO0.5単位(R1は前記と同じ)及びSiO2単位を含有し、R1 3SiO0.5単位/SiO2単位のモル比が0.6〜1.7であるポリオルガノシロキサンである。R1は前記同様の基を示す。R1 3SiO0.5単位/SiO2単位のモル比が0.6未満では、粘着力やタックが低下することがあり、1.7を超えると粘着力や保持力が低下することがある。このとき(B)成分は、SiOH基を含有していてもよく、OH基含有量は0〜4.0重量%であればよい。OH基が4.0重量%を超えるものは粘着剤の硬化性が低下する理由により好ましくない。また、本発明の特性を損なわない範囲でR1SiO1.5単位,R1 2SiO単位を(B)成分中に含有させることも可能である。なお、(B)成分は2種以上を併用してもよい。
【0018】
(A)、(B)成分は単純に混合したものを使用してもよいし、(A)成分に次式のものを含有する場合、
1 2(HO)SiO−(R1XSiO)p−(R1 2SiO)q−SiR1 2(OH)(p、qは上記と同じ数を表す。)
(A)、(B)成分を縮合反応物として使用してもよい。縮合反応を行うには、トルエンなどの溶剤に溶解した(A)、(B)成分の混合物をアルカリ性触媒を用い、室温乃至還流下で反応させればよい。
【0019】
(A)、(B)成分の配合比は重量比として20/80〜80/20、特に30/70〜70/30とすることが好ましい。
【0020】
(C)成分は架橋剤で、1分子中にケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも2個、好ましくは3個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンで、直鎖状、分枝状、環状のものなどを使用することができる。
【0021】
(C)成分として、下記式のものを例示することができるが、これらのものには限定されない。
【0022】
【化1】
Figure 0004180353
(R1は前記と同じ炭化水素基であり、bは0または1、x,yは整数であり、このオルガノヒドロポリシロキサンの25℃における粘度が1〜5,000mPa・sとなる数を示す。また、sは2以上の整数、tは0以上の整数で、かつs+t≧3、好ましくは8≧s+t≧3の整数を示す。)
【0023】
このオルガノヒドロポリシロキサンの25℃における粘度は、1〜5,000mPa・sであることが好ましく、2種以上の混合物でもよい。
【0024】
(C)成分の使用量は(A)成分中のアルケニル基に対する(C)成分中のSiH基のモル比が0.5〜20、特に1〜15の範囲となるように配合することが好ましい。0.5未満では架橋密度が低くなり、これにともない保持力が低くなることがあり、20を超えると架橋密度が高くなり十分な粘着力及びタックが得られないことがある。
【0025】
(D)成分は制御剤であり、具体例としては、3−メチル−1−ブチン−3−オール、3−メチル−1−ペンチン−3−オール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、1−エチニルシクロヘキサノール、3−メチル−3−トリメチルシロキシ−1−ブチン、3−メチル−3−トリメチルシロキシ−1−ペンチン、3,5−ジメチル−3−トリメチルシロキシ−1−ヘキシン、1−エチニル−1−トリメチルシロキシシクロヘキサン、ビス(2,2−ジメチル−3−ブチノキシ)ジメチルシラン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラビニルシクロテトラシロキサン、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジビニルジシロキサンなどが挙げられる。
【0026】
(D)成分の配合量は成分(A)、(B)成分の合計100重量部に対して0〜5.0重量部の範囲であればよく、特に0.05〜2.0重量部が好ましい。5.0重量部を超えると硬化性が低下することがある。
【0027】
(E)成分は白金系触媒であり、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール溶液、塩化白金酸とアルコールとの反応物、塩化白金酸とオレフィン化合物との反応物、塩化白金酸とビニル基含有シロキサンとの反応物などが挙げられる。
【0028】
添加量は(A)、(B)成分の合計に対し、白金分として1〜5,000ppm、特に5〜2,000ppmとすることが好ましい。1ppm未満では硬化性が低下し、架橋密度が低くなり、保持力が低下することがあり、5,000ppmを超えると処理浴の使用可能時間が短くなる場合がある。
【0029】
(F)成分はカーボンブラックで、本発明の耐熱性を付与するための添加剤である。具体的にはファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック等があげられるが、ファーネスブラックまたはアセチレンブラックを用いることが好ましい。(F)成分の平均粒径としては1〜200nm、特に10〜100nmとすることが好ましい。平均粒径が200nmを超えると粘着剤に凝集した粒子が現れ、安定した粘着力が得られなくなる。
【0030】
(F)成分の添加量は(A)、(B)成分の合計100重量部に対して0.1〜50重量部、0.1重量部以下では300℃の高温履歴を受けた場合の糊残り防止効果が十分ではなく、50重量部以上では粘着力や保持力が低下することがある.
【0031】
上記の付加反応硬化型シリコーン粘着剤に、更に耐熱性を改善する目的で(G)成分のフェノール系酸化防止剤を添加してもよい。
(G)成分としては、特に分子中に下式の構造を有するものが好ましい。
【化2】
Figure 0004180353
【0032】
具体的には下記が挙げられる。
【化3】
Figure 0004180353
Figure 0004180353
【化4】
Figure 0004180353
(mは0以上、nは1以上の整数)
【0033】
(G)成分の添加量は(A)、(B)成分の合計100重量部に対して0.1〜10重量部、0.1重量部以下では高温履歴を受けた場合の糊残り防止効果が十分発揮されず、10重量部以上では保持力が低下することがある。
【0034】
本発明のシリコーン粘着剤組成物には、上記各成分以外に任意成分を添加することができる。例えば、ポリジメチルシロキサン、ポリジメチルジフェニルシロキサンなどの非反応性のポリオルガノシロキサン、さらに、フェノール系、キノン系、アミン系、リン系、ホスファイト系、イオウ系、チオエーテル系などの酸化防止剤、トリアゾール系、ベンゾフェノン系などの光安定剤、リン酸エステル系、ハロゲン系、リン系、アンチモン系などの難燃剤、カチオン活性剤、アニオン活性剤、非イオン系活性剤などの帯電防止剤、塗工の際の粘度を下げるための溶剤として、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤、ヘキサン、オクタン、イソパラフィンなどの脂肪族系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸イソブチルなどのエステル系溶剤、ジイソプロピルエーテル、1,4−ジオキサンなどのエーテル系溶剤、又はこれらの混合溶剤、染料、顔料などが使用される。
【0035】
上記のように配合されたシリコーン粘着剤組成物は、種々の基材に塗工し、所定の条件にて硬化させることにより粘着剤層を得ることができる。
基材としては、ポリエステル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニルなどのプラスチックフィルム、アルミニウム箔、銅箔などの金属箔、和紙、合成紙、ポリエチレンラミネート紙などの紙、布、ガラス繊維、これらのうちの複数を積層してなる複合基材が挙げられる。
【0036】
これらの基材と粘着層の密着性を向上させるためにプライマー処理、コロナ処理、エッチング処理、プラズマ処理したものを用いてもよい。
【0037】
塗工方法は、公知の塗工方式を用いて塗工すればよく、コンマコーター、リップコーター、ロールコーター、ダイコーター、ナイフコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、キスコーター、グラビアコーター、スクリーン塗工、浸漬塗工、キャスト塗工などが挙げられる。
【0038】
塗工量としては、硬化したあとの粘着剤層の厚みとして1〜200μmとすることができる。
【0039】
硬化条件としては、付加反応硬化型の場合、80〜130℃で30秒〜3分であるが、この限りではない。
【0040】
上記のように基材に直接塗工して粘着テープを製造してもよいし、剥離コーティングを行った剥離フィルムや剥離紙に塗工し、硬化を行った後、上記の基材に貼り合わせる転写法により粘着テープを製造してもよい。
【0041】
【発明の効果】
本発明により、金属、特にステンレスなどの被着体に貼りつけたりマスキングし,300℃の高温の履歴を受けた場合でも,糊残りを起こさず、きれいに剥離することが可能なシリコーン粘着剤組成物および粘着テープを得ることができる.
【0042】
【実施例】
以下、実施例と比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、例中の部は重量部を示したものであり、特性値は下記の試験方法による測定値を示す。また、Meはメチル基、Viはビニル基、tBuはt−ブチル基を表す。
【0043】
糊残り性
シリコーン粘着剤組成物溶液を、厚み25μm、幅25mmのポリイミドフィルムに硬化後の厚みが30μmとなるようにアプリケータを用いて塗工した後、130℃、1分の条件で加熱し硬化させ、粘着テープを作成した。この粘着テープを金属板(研磨したステンレス板)に貼りつけ、重さ2kgのゴム層で被覆されたローラーを1往復させることにより圧着した後、300℃の乾燥機中で放置した。所定時間後に金属板を取り出し、室温まで冷やした後、粘着テープを剥がして、粘着剤層が凝集破壊し金属板の表面に粘着剤が残留するかどうかを観察した。
【0044】
粘着力
糊残り性評価と同様の方法で粘着テープを作成し、この粘着テープをステンレス板に貼りつけ、重さ2kgのゴム層で被覆されたローラーを1往復させることにより圧着した。室温で約20時間放置した後、引っ張り試験機を用いて300mm/分の速度で180゜の角度でテープをステンレス板から引き剥がすのに要する力(N/25mm)を測定した。
【0045】
保持力
糊残り性評価と同様の方法で粘着テープを作成した。この粘着テープをステンレス板の下端に粘着面積が25×25mmとなるように貼りつけ、粘着テープの下端に重さ1kgの荷重をかけ、300℃で1時間、垂直に放置した後のずれ距離を読みとり顕微鏡で測定した。
【0046】
[実施例1]
分子鎖末端がビニル基で封鎖され、0.15モル%のメチルビニルシロキサン単位及び10モル%のジフェニルシロキサン単位を含む、30%の濃度となるようにトルエンで溶解したときの粘度が2200mPa・sであるビニル基およびフェニル基含有ポリジメチルシロキサン(27部)、Me3SiO0.5単位及びSiO2単位からなる(Me3SiO0.5単位/SiO2単位=0.85)ポリシロキサンの60%トルエン溶液(55部)、トルエン(18部)、次式の架橋剤(0.16部)、エチニルシクロヘキサノール(0.1部)を混合し,シロキサン分約60%のシリコーン粘着剤組成物を調製した。
Me3Si-[MeHSiO]40SiMe3
【0047】
この組成物100部にトルエン50部,平均粒径48nmのアセチレンブラック(電気化学工業社製、デンカブラックHS−100)(5部)を加え混合した。これに白金触媒CAT−PL−50T(信越化学工業社製)(0.5部)を添加しさらに混合し、シリコーン粘着剤組成物溶液を調製した。このシリコーン粘着剤の糊残り性、粘着力、保持力を測定した。結果を表1に示す。
【0048】
[比較例1]
実施例1でカーボンブラックを添加しないシリコーン粘着剤組成物溶液を調製した。
このシリコーン粘着剤の糊残り性、粘着力、保持力を測定した。結果を表1に示す。
【0049】
[比較例2]
実施例1でカーボンブラックを添加しないかわりに、次式のヒンダードフェノール系酸化防止剤((I)、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製、IRGANOX 1330)(0.5部)を加え混合した。これに白金触媒CAT−PL−50T(信越化学工業社製)(0.5部)を添加しさらに混合し、シリコーン粘着剤組成物溶液を調製した。このシリコーン粘着剤の糊残り性、粘着力、保持力を測定した。結果を表1に示す。
【化5】
Figure 0004180353
【0050】
[実施例2]
分子鎖末端がビニル基で封鎖され、0.15モル%のメチルビニルシロキサン単位及び10モル%のジフェニルシロキサン単位を含む、30%の濃度となるようにトルエンで溶解したときの粘度が2200mPa・sであるビニル基およびフェニル基含有ポリジメチルシロキサン(27部)、Me3SiO0.5単位及びSiO2単位からなる(Me3SiO0.5単位/SiO2単位=0.85)ポリシロキサンの60%トルエン溶液(60部)、トルエン(18部)、次式の架橋剤(0.16部)、エチニルシクロヘキサノール(0.1部)を混合し,シロキサン分約60%のシリコーン粘着剤組成物を調整した。
Me3SiO-[MeHSiO]40SiMe3
【0051】
この組成物100部にトルエン50部、実施例1で用いたアセチレンブラック(5部)および前記のフェノール系酸化防止剤(I)(0.5部)を加え混合した。これに白金触媒CAT−PL−50T(信越化学工業社製)(0.5部)を添加しさらに混合し、シリコーン粘着剤組成物溶液を調製した。このシリコーン粘着剤の糊残り性、粘着力、保持力を測定した。結果を表1に示す。
【0052】
[実施例3]
実施例2でフェノール系酸化防止剤(I)を0.1部添加したシリコーン粘着剤組成物溶液を調製した。
このシリコーン粘着剤の糊残り性、粘着力、保持力を測定した。結果を表1に示す。
【0053】
[実施例4]
分子鎖末端がビニル基で封鎖され、0.15モル%のメチルビニルシロキサン単位を含む、30%の濃度となるようにトルエンで溶解したときの粘度が2200mPa・sとなるビニル基含有ポリジメチルシロキサン(27部)、Me3SiO0.5単位及びSiO2単位からなる(Me3SiO0.5単位/SiO2単位=0.85)ポリシロキサンの60%トルエン溶液(60部)、トルエン(18部)、次式の架橋剤(0.16部)、エチニルシクロヘキサノール(0.1部)を混合し、シロキサン分約60%のシリコーン粘着剤組成物を調製した。
Me3SiO-[MeHSiO]40SiMe3
【0054】
この組成物100部にトルエン50部、アセチレンブラック(5部)および前記したフェノール系酸化防止剤(I)(0.5部)を加え混合した。これに白金触媒CAT−PL−50T(信越化学工業社製)(0.5部)を添加してさらに混合し、シリコーン粘着剤組成物溶液を調製した。
このシリコーン粘着剤の糊残り性、粘着力、保持力を測定した。結果を表1に示す。
【0055】
実施例5
分子鎖末端がビニル基で封鎖され、0.15モル%のメチルビニルシロキサン単位及び10モル%のジフェニルシロキサン単位を含む、30%の濃度となるようにトルエンで溶解したときの粘度が2200mPa・sであるビニル基およびフェニル基含有ポリジメチルシロキサン(27部)、MeSiO0.5単位、SiO単位からなる(MeSiO0.5単位/SiO単位=0.85)ポリシロキサンの60%トルエン溶液(55部)、トルエン(18部)、次式の架橋剤(0.16部)、エチニルシクロヘキサノール(0.1部)を混合し、シロキサン分約60%のシリコーン粘着剤組成物を調製した。
【0056】
この組成物100部にトルエン50部、実施例1で用いたアセチレンブラック7部を加え混合した。これに白金触媒CAT−PL−50T(信越化学工業社製)(0.5部)を添加しさらに混合し、シリコーン粘着剤組成物溶液を調製した。このシリコーン粘着剤の糊残り性、粘着力、保持力を測定した。結果を表1に示す。
【0057】
【表1】
Figure 0004180353
【0058】
糊残り性:〇 糊残りなし
△ 一部糊残りあり
× 全面が糊残り

Claims (3)

  1. (A)アルケニル基含有ポリジオルガノシロキサン 20〜80重量部、
    (B)R1 3SiO0.5単位及びSiO2単位を含有し、R1 3SiO0.5単位/SiO2単位のモル比が0.6〜1.7であるポリオルガノシロキサン(R1は炭素数1〜10の1価炭化水素基) 80〜20重量部、
    (C)SiH基を含有するポリオルガノシロキサン
    (A)成分中のアルケニル基に対する(C)成分中のSiH基の
    モル比が0.5〜20となる量、
    (D)制御剤 (A)、(B)成分の合計100重量部に対して0〜5.0重量部、
    (E)白金系触媒
    (A)、(B)成分の合計に対し白金分として1〜5,000ppm、
    (F)カーボンブラック
    (A)、(B)の合計100重量部に対して0.1〜50重量部
    ならびに
    (G)フェノール系酸化防止剤
    (A)、(B)の合計100重量部に対して0.1〜10重量部
    を含有することを特徴とするシリコーン粘着剤組成物。
  2. プラスチックフィルムの少なくとも1面に
    (A)アルケニル基含有ポリジオルガノシロキサン 20〜80重量部、
    (B)R 1 3 SiO 0.5 単位及びSiO 2 単位を含有し、R 1 3 SiO 0.5 単位/SiO 2 単位のモル比が0.6〜1.7であるポリオルガノシロキサン(R 1 は炭素数1〜10の1価炭化水素基) 80〜20重量部、
    (C)SiH基を含有するポリオルガノシロキサン
    (A)成分中のアルケニル基に対する(C)成分中のSiH基の
    モル比が0.5〜20となる量、
    (D)制御剤 (A)、(B)成分の合計100重量部に対して0〜5.0重量部、
    (E)白金系触媒
    (A)、(B)成分の合計に対し白金分として1〜5,000ppm、
    ならびに
    (F)カーボンブラック
    (A)、(B)の合計100重量部に対して0.1〜50重量部
    を含有するシリコーン粘着剤組成物の硬化物層が積層されていることを特徴とする粘着テープ。
  3. 前記シリコーン粘着剤組成物が(G)成分としてフェノール系酸化防止剤を(A)、(B)の合計100重量部に対して0.1〜10重量部含有することを特徴とする請求項2に係る粘着テープ。
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