JP2004025463A - 包装材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】非フッ素系樹脂を用いて、塗工もしくは含浸加工等により、紙等のもつ通気性を損なわずに、耐油性を持たせた包装材料を提供することを課題とする。
【解決手段】アクリル系樹脂またはスチレン、ブタジエンのうち少なくとも一つをアクリル系モノマーと共重合した樹脂を水性エマルジョンとして、繊維構造物の表層もしくは全層に分散させたことを特徴とする包装材料である。
上記樹脂には、粘土系充填剤、非粘土系充填剤、無機フィラー、プラスチック顔料を混合させることができる。また、包装材料のガーレー式透気度は2000秒以下で、かつ耐油性(TAPPI UM557)がKIT6以上とすることが好ましい。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐油性を有する包装材料に関するものである。更に詳しくは、包装材料のもつ透気性、水蒸気透過性を損なわずに、耐油性をもたせたものであり、あらかじめ、透気性、水蒸気透過性に優れた空隙率をもつ繊維構造物に、充填剤、及び樹脂を含浸し、樹脂により油の浸透性を遅くし、かつ充填剤のもつ吸着性、空孔性により選択的に通気性、水蒸気透過性をもたせたことを特徴とする包装材料である。
【0002】
【従来の技術】
従来、耐油性を有する包装材料として、フッ素系の樹脂が内添またはコーティング、含浸されているものなどがある。またその他にも、シリコン系の樹脂が塗布されているもの、パラフィンワックスが含浸されているもの、樹脂コーティングされているもの、ポリオレフィン(特にPE)がラミネートされているものなど様々なものがある。
フッ素系の耐油機構はシリコン系と同様に紙の表面もしくは全層に分散し、紙の表面張力を下げることにより油を弾くというものであり、1〜2g/m程度の内添、もしくはサイズプレスで耐油性をもたせることができる。極めて低分子量のポリマーを少ない量で分散させているので、もともとの紙の空隙をうめることがないため、通気性および水蒸気の透過性に優れている。
そのため、揚げ物のように油分が多く自らの持熱で水蒸気を発散させている食品などを、この耐油紙で作られた包装紙袋で包んだ際に、袋のなかで水蒸気が結露して、揚げ物を湿気させ風味を損なうことがない。
しかしながら、近年、フッ素樹脂の耐熱性において危険性が指摘され、供給不安定を起こしつつある。
また、シリコン系の耐油包装材料については、フッ素系の樹脂と比較して、滑り性を上げてしまう効果が非常に高いため、のり貼り適性の劣った加工紙になってしまい、使用される形態に限りがある。
また、パラフィンワックスを含浸したものにおいても、のり貼り適性が劣っているという問題がある。
また他のポリオレフィンフィルムをラミネートする方法においては、完全な塗膜を形成するために、紙の通気性をなくしてしまうという問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる問題点に鑑みなされたものであり、非フッ素系樹脂を用いて、塗工もしくは含浸加工等により、紙等のもつ通気性を損なわずに、耐油性を持たせた包装材料を提供することを課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記の課題は以下の手段によって解決できる。
【0005】
本発明の第1発明は、アクリル系樹脂を水性エマルジョンとして、繊維構造物の表層もしくは全層に分散させたことを特徴とする包装材料としたものである。
【0006】
本発明の第2発明は、スチレン、ブタジエンのうち少なくとも一つをアクリル系モノマーと共重合した樹脂を水性エマルジョンとして、繊維構造物の表層もしくは全層に分散させたことを特徴とする包装材料としたものである。
【0007】
本発明の第3発明は、前記樹脂に粘土系充填剤を混合させたことを特徴とする上記包装材料である。
【0008】
本発明の第4発明は、前記樹脂に非粘土系充填剤を混合させたことを特徴とする上記包装材料である。
【0009】
本発明の第5発明は、前記樹脂に無機フィラーを含有した充填剤を混合させたことを特徴とする上記包装材料である。
【0010】
本発明の第6発明は、前記樹脂にプラスチック顔料を混合させたことを特徴とする上記包装材料である。
【0011】
本発明の第7発明は、透気度(JIS P8117ガーレ透気度)が2000秒以下で、かつ耐油性(TAPPI UM557)がKIT6以上であることを特徴とする上記包装材料である。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態について、さらに詳細に説明する。
【0013】
本発明の包装材料は、セルロースを主体とする構造物で、スラリー状のパルプからつくられる、一般的な普通紙、段ボール紙、コートボール紙、カップ原紙、もしくはパルプモールド体のようなセルロース構造物からなる。
本発明においては、上質紙、さらしクラフト、模造紙、純白ロール、グラシン紙、セミグラシン紙などの薄紙、もしくはコートボール紙、カップ原紙、ガード紙などの板紙が好ましく使用できる。
また、バージンパルプ100%で抄造された紙や、故紙をリサイクルした再生紙、または抄紙工程でこれらの紙を積層して抄造された原紙のいずれかを使用することも可能である。
さらに、本発明においては、含浸物を構成するセルロース繊維構造物は材質、構成に限定されるものではなく、基材として使用可能なものを任意に選択すれば良い。
【0014】
基材への耐熱性付与の加工方法は、抄紙時の内添やサイズプレス、もしくはエアナイフ、コンマーコーター、グラビアコーター、フレキソ印刷、どぶつけ含浸など、求められる性能に応じて、塗布量、含浸量を与えることのできる加工法が選択できる。
【0015】
耐油性付与の樹脂であるアクリル系樹脂を構成するアクリル系モノマーとしては、エチルメタアクリレートや、メチルメタアクリレートのようなモノマーが好ましく用いることができるが、特に制限はない。アクリル系モノマーは、成膜性が良好で、カルボキシル基が撥油性をもつため、本発明においては好ましく用いられる。
また、前記アクリル系モノマーと共にスチレンを共重合させると、成膜性、撥油性に加えて、強靱性を持たせることができる。
さらに、前記アクリル系モノマーと共にブタジエンを共重合させると、成膜性、撥油性に加えて、柔軟性を持たせることができる。
【0016】
本発明において充填剤を使用することにより、該充填剤の空孔性と嵩高な体積によって、繊維構造物を充填しつつ通気性を持たせることができる。
充填剤として、一般的に紙の加工に用いられるものが使用でき、特に粘土系充填剤、非粘土系充填剤、もしくは無機フィラー(無機繊維)が良好に使用できる。
【0017】
粘土系充填剤としては、3MgO・2SiO・2H2O(含水珪酸マグネシウム)が比重が小さく(=1)、滑らかでよくのび、アクリル系エマルジョンに対して分散性が良好なため、最もよく充填剤として使われる。
また、Al2O3・2SiO2・2H2O(カオリン)などを混ぜると、層状構造をもつため、油、水、等を吸着することができる。また、層状構造なので、空孔も持ち合わせた目に通気性をもっている。
また、Al2O3・5SiO2・2H2O(ベントナイト)も同じような構造をもっている。
また、Al2O3・K2O・SiO2(白マイカ)は、あまり分散性が良くないが、耐熱性については向上するので耐熱性が求められる場合には好ましく使用できる。
またその他として、ホワイトカーボンと呼ばれる微粉シリカ、珪砂、黄土などが使用できる。
【0018】
非粘土系充填剤としては、重炭酸カルシウム、軽炭酸カルシウムなどの1μmから5μm程度の粒子径をもったものが好ましく使用できるが、これに限らず、適宜選択すればよい。
【0019】
無機フィラーとしては、硝子繊維、シリカ繊維、炭素繊維などを有する無機フィラーが好ましく使用でき、樹脂が繊維構造物に含浸し、空隙を埋めた際にも、繊維と繊維を微細なフィラーが橋かけし、気体が通過するので、通気性をもたせることができる。
【0020】
また、上で述べたものよりコスト高になるが、プラスチック顔料も良好に使用することが出来る。最も一般的に使用されているのは、アクリル系モノマーとスチレンを共重合したエマルジョンタイプの微粒子である。合成型なので粒子形状に工夫を凝らすこと可能であり、ドーナッツ型、球形、金平糖型など様々なかたちのものが市販されている。粒子径は0.2〜0.4μmが一般的であるが、これも自由に選択することが出来る。本発明においては、アクリルスチレン系で中空型のエマルジョン顔料が最も良好に通気性を付与することができた。
【0021】
繊維構造物の表面に高濃度で塗膜を形成させた場合、無機フィラーや、炭酸カルシウムなど空孔率の高い充填剤を混合することにより、通気性をもたせることが可能であり、またこの充填剤は空孔に油を吸着するために配合比によっても油の浸透速度を調整することが可能である。
また、繊維構造物の空隙を樹脂で含浸することにより、ある程度の通気性を保ちながら、油の浸透速度を抑えた包装材料の提供が可能である。
さらに、塗工の場合と同じように、充填剤を混合することにより油の浸透速度を調整することが可能である。
これにより、繊維構造物の空隙を樹脂に加え、ポーラスな充填剤で埋めることにより、通気性をさらにあげ、かつ油が充填剤に吸着することで浸透速度をさらに落とすことができた。
また、本発明の包装材料を用いることにより、フッ素系の耐油紙と違い、油の浸透をさせながら浸透速度を非常に遅くしたパッケージの提供ができた。また、通気性をある程度もたせているので、内容物を入れた際に、水蒸気が結露したり、電子レンジに入れた際に通気性がなくふくらんで破裂したりすることのないパッケージを得ることができた。
【0022】
【実施例】
次に、本発明の具体的実施例を以下に詳細に説明する。
【0023】
<実施例1>
坪量35g/mで空隙率が70%、密度が0.4g/cmの上質紙を用いて、テストを行った。
この上質紙は、薄紙としては微少な空隙が多くあるものであり、もともとの気体透過の量(通気性)は非常に大きいものであり、透気度(JIS P8117)に従い計測したところ、10sec以下であった。
そのものに、表層にアクリル/スチレン/ブタジエンの共重合体を水性エマルジョンとしたものを表層に3g/m・dryで薄くコーティングし、サラダ油をたらして裏抜けするまでの時間を評価したところ、12時間かかった。
次に、市販されているチョコレートで経時試験(40℃の温度をかけて促進試験)をおこなったところ、一般的なフッ素耐油紙(KIT8)のものと同等なものであった。
また、このものの通気性を測定したところ2000secであった。
このものは、シェラックコーティングされているようなチョコレート等の、低い耐油性が必要なパッケージにおいて使用することができる。
【0024】
<実施例2>
坪量35g/mで空隙率が70%、密度が0.4g/cmの上質紙を用いて、テストを行った。
この全層に、炭酸カルシウムを充填剤として混合したアクリル/スチレンの共重合体を内添により均一に分散させた。このもののしみ込みの有無をKIT法により評価したところ、耐油性に関しては、一般的なフッ素耐油紙(KIT12)のものと同等なものであった。これの通気性を測定したところ300secであった。サラダ油を表面にたらし、一昼夜おいたところ裏面にしみ込みがなく、揚げ物などのパッケージに良好に使用できるものであった。
このパッケージに揚げたての唐揚げを入れ、実包テストを行ったところ、水蒸気の結露は見られなかった。また口を閉じ、電子レンジにかけたところ気体が完全に密閉されて、膨張して破袋するようなことはなかった。
【0025】
<実施例3>
坪量35g/mで空隙率が70%、密度が0.4g/cmの上質紙を用いて、テストを行った。
この全層に、ベークライトを充填剤として混合したアクリル/スチレン/ブタジエンの共重合体を内添により均一に分散させた。このもののしみ込みの有無をKIT法により評価した。耐油性に関しては、一般的なフッ素耐油紙(KIT10)のものと同等なものであった。サラダ油を表面にたらし、一昼夜おいたところ裏面にしみ込みがなく、ドーナッツなどのパッケージに良好に使用できるものであった。これの通気性を測定したところ300secであった。
また、PEラミネートされた耐油袋のようにパッケージ内部に油が溜まるようなこともなく、全体的に油がしみ込んでとってくれる(吸油する)ため、袋のなかが油でべたべたするようなことがなかった。
【0026】
<実施例4>
坪量35g/mで空隙率が70%、密度が0.4g/cmの上質紙を用いて、テストを行った。
この全層に、無機フィラーを充填剤として混合したアクリル/スチレン/ブタジエンの共重合体を内添により均一に分散させた。このもののしみ込みの有無をKIT法により評価した。耐油性に関しては、一般的なフッ素耐油紙(KIT8)のものと同等なものであった。サラダ油を表面にたらし、一昼夜おいたところ裏面にしみ込みがなく、チョコレートなどのパッケージに良好に使用できるものであった。これの通気性を測定したところ1500secであった。
【0027】
<実施例5>
坪量50g/m2で空隙率が60%、密度が0.5g/cm2の上質紙を用いて、テストを行った。
この全層に、アクリル/スチレン系の中空粒子を充填剤として混合したアクリル/スチレン/ブタジエンの共重合体を内添により均一に分散させた。このものの、しみ込みの有無をKIT法により評価した。耐油性に関しては、一般的なフッ素耐油紙(KIT8)のものと同等なものであった。
サラダ油を表面にたらし、一昼夜おいたところ裏面にしみ込みがなく、チョコレートなどのパッケージに良好に使用できるものであった。これの通気性を測定したところ500secであった。
【0028】
【発明の効果】
本発明は、本発明は、耐油性の必要なパッケージ分野に適応される。更に詳しくは紙のもつ透気性、水蒸気透過性を損なわずに、耐油性をもたせたものであり、揚げ物など、高温の油が付着しているような食品を包装して、紙の裏面に油が浸透することを防ぎながら、気体の通過性が持つため、揚げ物自身のだす水蒸気がパッケージ内に付着し結露することがなく、揚げ物を湿気させ風味を損なうことがない。また電子レンジ等で再加熱する際にも、袋が過剰に膨張し破袋することのないパッケージを得ることができた。

Claims (7)

  1. アクリル系樹脂を水性エマルジョンとして、繊維構造物の表層もしくは全層に分散させたことを特徴とする包装材料。
  2. スチレン、ブタジエンのうち少なくとも一つをアクリル系モノマーと共重合した樹脂を水性エマルジョンとして、繊維構造物の表層もしくは全層に分散させたことを特徴とする包装材料。
  3. 前記樹脂に粘土系充填剤を混合させたことを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の包装材料。
  4. 前記樹脂に非粘土系充填剤を混合させたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の包装材料。
  5. 前記樹脂に無機フィラーを含有した充填剤を混合させたことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の包装材料。
  6. 前記樹脂にプラスチック顔料を混合させたことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の包装材料。
  7. 透気度(JIS P8117ガーレ透気度)が2000秒以下で、かつ耐油性(TAPPI UM557)がKIT6以上であることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の包装材料。
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