JP2004023880A - インバータ駆動装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】インバータ回路の効率低下を最小限に抑えてサージ電圧の発生を抑制する制御回路を備えたインバータ駆動装置を提供する。
【解決手段】駆動指令回路2がスイッチング指令信号S1によりインバータ部を制御してモータの回転を上昇させ、インバータ部の出力電流が大きくなると、電流センサがこれを検出し、電流/PWM変換回路4及び絶縁型PWM/電圧変換回路60において、出力電流値が大きくなる程電圧が高くなる制御信号が生成される。制御信号は、コンパレータ55a〜55dにおいて抵抗56a〜56eに生成された各電圧レベルと比較され、コンパレータ55a〜55dの出力はFET58a〜58dのスイッチングを制御する。コンパレータ55a〜55dは、制御信号の電圧が高い程FET58a〜58dにより接地するコンデンサの数を多くするので、ゲート抵抗54との時定数によりIGBT11aのスイッチング速度は遅くなる。
【選択図】 図2
【解決手段】駆動指令回路2がスイッチング指令信号S1によりインバータ部を制御してモータの回転を上昇させ、インバータ部の出力電流が大きくなると、電流センサがこれを検出し、電流/PWM変換回路4及び絶縁型PWM/電圧変換回路60において、出力電流値が大きくなる程電圧が高くなる制御信号が生成される。制御信号は、コンパレータ55a〜55dにおいて抵抗56a〜56eに生成された各電圧レベルと比較され、コンパレータ55a〜55dの出力はFET58a〜58dのスイッチングを制御する。コンパレータ55a〜55dは、制御信号の電圧が高い程FET58a〜58dにより接地するコンデンサの数を多くするので、ゲート抵抗54との時定数によりIGBT11aのスイッチング速度は遅くなる。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インバータ回路のスイッチング素子のON・OFFの制御を行うインバータ駆動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、モータ等の負荷を駆動するためのインバータ回路では、高電流をスイッチングした場合、スイッチング時の電流変化や回路のインダクタンス成分等の要因により、スイッチング素子をON・OFFする際に、スイッチング素子を破壊する要因に成り得るサージ電圧が発生する。このサージ電圧の発生を抑制するには、例えばインバータ回路を駆動するための駆動指令回路(例えば車両に搭載されたECU:Electronic Control Unit )とインバータ回路のスイッチング素子のスイッチング制御端子との間に挿入されたスイッチング制御端子をドライブするための抵抗の抵抗値の制御を行い、インバータ回路のスイッチング速度を遅らせることが有効である。しかし、この方法ではサージ電圧は低下するものの、スイッチング素子のスイッチング損失が大幅に増大してしまうという問題が発生する。一方、サージ電圧に耐えるように素子耐圧のランクを上げると、スイッチング素子の導通損失が増大してしまうという問題がある。
【0003】
特に、ハイブリット自動車等のように、通常の走行中の出力電流に対し、始動時や加速時の高トルクアシスト(補助駆動)時や減速時の高トルク回生時に非常に大きな電流をスイッチングする必要があるシステムにおいては、高電流時にサージ電圧がスイッチング素子の耐圧を超えないように設定した抵抗値のまま使用領域の全域をスイッチングした場合、通常の電流域で無駄にインバータ回路のスイッチング速度を遅らせることになり、通常の電流域での効率をひどく損なってしまう。
【0004】
そのため、改善策として従来は、スイッチング時の出力電流や出力電圧を監視し、スイッチング時の出力電流や出力電圧が規定値を超えた場合にのみ、スイッチング制御端子をドライブする抵抗の抵抗値を制御することにより、インバータ回路のスイッチング速度を変更することが行われる。従って、インバータ回路には、その出力に出力電流や出力電圧を監視する監視手段が設けられ、またこれらの監視手段による出力電流や出力電圧の監視結果に基づいて、上述の抵抗の抵抗値を制御するためのスイッチ手段も設けられる。
【0005】
また、このような装置としては、例えば、特開2001−268926号公報に記載のものがある。この装置は、ゲート駆動制御回路により、インバータ回路の出力が過電流となりやすいインバータ回路の起動時には、インバータ回路を構成するスイッチング素子であるIGBT( Insulated Gate Bipolar Transistor:絶縁ゲート型バイポーラ・トランジスタ)のゲート抵抗の抵抗値を大きくするか、もしくはゲート電圧を小さくすることにより、インバータ回路のスイッチング速度を遅らせるように制御し、サージ電圧によるスイッチング素子の破壊を防止する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の装置のように、ゲート抵抗の抵抗値を大きくすることは、ゲート抵抗での損失を大きくすることであり、ゲート抵抗自体が発熱したり、回路全体の消費電力が増える等の問題が発生する。
また、インバータ回路に設けられた出力電流や出力電圧を監視する監視手段は、スイッチング時の電流や電圧を測定するので、スイッチング時のノイズに対する耐性を備えたものでなければならないため、容易に構成することができるものではない。特に、監視手段がスイッチング時の出力電流や出力電圧が規定値を超えたことを検出してから、スイッチ手段がゲート抵抗の抵抗値を制御するまでの遅延時間があり、かつ、スイッチング時のノイズに対する耐性は大きくせざるを得ず、インバータ回路に監視手段を設けることは、基板の大型化やコストアップを招くと共に、その回路は容易に構成することができないという問題があった。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、インバータ回路の効率低下を最小限に抑えてサージ電圧の発生を抑制することができる制御回路を備えたインバータ駆動装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1の発明に係るインバータ駆動装置は、インバータ回路(例えば実施の形態のインバータ部1)に備えられた複数のスイッチング素子(例えば実施の形態のIGBT11a〜11f)のスイッチング制御端子を駆動するためのインバータ駆動装置において、前記スイッチング制御端子と接地点との間に接続されたコンデンサ(例えば実施の形態のコンデンサ57a〜57d)と、前記コンデンサの容量値を変更するための切り替え回路(例えば実施の形態のFET58a〜58d)と、前記インバータ回路の出力電流の大きさを検出する電流センサ(例えば実施の形態の電流センサ3)と、前記インバータの起動時、または検出された前記インバータ回路の出力電流が大きい時に、前記切り替え回路を切り替えて、前記コンデンサの容量値を大きくする制御回路(例えば実施の形態の電流/PWM変換回路4及びコンパレータ55a〜55dや抵抗56a〜56e、更に絶縁型PWM/電圧変換回路60)とを備えたことを特徴とする。
【0009】
以上の構成を備えたインバータ駆動装置は、インバータ回路の起動時、または電流センサにより検出したインバータ回路の出力電流が大きい場合には、制御回路が切り替え回路を切り替えて、スイッチング素子のスイッチング制御端子と接地点との間に接続されたコンデンサの容量値を大きくすることにより、インバータ回路のスイッチング速度を遅らせるように制御し、サージ電圧の発生を抑制することができる。
【0010】
請求項2の発明に係るインバータ駆動装置は、インバータ回路(例えば実施の形態のインバータ部1)に備えられた複数のスイッチング素子(例えば実施の形態のIGBT11a〜11f)のスイッチング制御端子を駆動するためのインバータ駆動装置において、前記スイッチング制御端子と接地点との間に接続されたコンデンサ(例えば実施の形態のコンデンサ57a〜57d)と、前記コンデンサの容量値を変更するための切り替え回路(例えば実施の形態のFET58a〜58d)と、車両の状態を検出するセンサ(例えば実施の形態の各種センサ類16)からの信号に基づいて、前記インバータ回路の出力電流を設定すると共に、設定された前記出力電流の大きさに応じて前記切り替え回路を切り替えて、前記コンデンサの容量値を変更する制御回路(例えば実施の形態の駆動指令回路15及びコンパレータ55a〜55dや抵抗56a〜56e、更に絶縁型PWM/電圧変換回路60)とを備えたことを特徴とする。
【0011】
以上の構成を備えたインバータ駆動装置は、センサが取得した車両の状態から制御回路がインバータ回路の出力電流を設定すると共に、設定されたインバータ回路の出力電流の大きさに応じて、制御回路が切り替え回路を切り替えて、スイッチング素子のスイッチング制御端子と接地点との間に接続されたコンデンサの容量値を変更することにより、インバータ回路の効率とサージ電圧の抑制とのバランスを取りながらインバータ回路を作動させることができる。
【0012】
請求項3の発明に係るインバータ駆動装置は、請求項2に記載のインバータ駆動装置において、前記制御回路は、設定された前記出力電流の大きさが大きい程、前記コンデンサの容量値を大きくするように前記切り替え回路を切り替えることを特徴とする。
以上の構成を備えたインバータ駆動装置は、設定されたインバータ回路の出力電流が大きい場合には、制御回路が切り替え回路を切り替えて、スイッチング素子のスイッチング制御端子と接地点との間に接続されたコンデンサの容量値を大きくすることにより、インバータ回路のスイッチング速度を遅らせるように制御し、サージ電圧の発生を抑制することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
(第1の実施の形態)
まず、第1の実施の形態のインバータ駆動装置について説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態のインバータ駆動装置と該インバータ駆動装置により駆動されるインバータ回路を含むインバータ装置を示す回路図である。第1の実施の形態では、サージ電圧の発生を抑制するために、インバータ回路の出力電流の大きさに応じて、コンデンサを用いてインバータ回路のスイッチング速度をフィードバック制御する場合のインバータ駆動装置について説明する。
【0014】
図1において、本実施の形態のインバータ駆動装置を含むインバータ装置は、例えばスイッチング素子としてIGBTを3相ブリッジ接続したインバータ回路を備えたインバータ部1と、インバータ部1の各IGBTのゲート端子を制御する駆動指令回路2と、インバータ部1の出力電流を検出する電流センサ3及び検出された電流を、該電流の大きさに応じたパルス幅変調(PWM)信号に変換する電流/PWM変換回路4とを備えている。そして、電流センサ3から出力される検出信号が駆動指令回路2と電流/PWM変換回路4にそれぞれ入力されるよう接続されており、車両に備えられたアクセルセンサ5からモータ6の駆動を指示する指令信号が駆動指令回路2へ入力されると、駆動指令回路2からは、インバータ部1に駆動信号が出力され、これにより、モータ駆動用電源7から供給された直流電力が3相交流電力に変換されモータ6駆動される。
【0015】
なお、コンデンサ8は、電源電圧を安定させるための平滑コンデンサである。また、スイッチング素子として用いる素子は、IGBTに限らず、逆阻止サイリスタ、GTO(Gate Turn Off thyristor )、バイポーラトランジスタ、MOSFET等を用いても良い。
また、駆動指令回路2は、車両に搭載されたECUの一部として実現されても良い。
【0016】
また、インバータ部1は、3相ブリッジ接続したIGBT11a〜11fと、IGBT11a〜11fのそれぞれのコレクタ端子とエミッタ端子間に、カソード端子がコレクタ端子へ、アノード端子がエミッタ端子へそれぞれ接続されたFWD(Free Wheeling Diode:転流ダイオード)12a〜12fとを備えている。
更に、インバータ部1は、IGBT11a〜11fのそれぞれのゲート端子に接続され、駆動指令回路2から供給された駆動信号によりIGBT11a〜11fをON・OFF制御すると共に、電流/PWM変換回路4から供給された制御信号によりIGBT11a〜11fのスイッチング速度を制御するゲート制御回路13a〜13fを備えている。
【0017】
なお、駆動指令回路2からインバータ部1へ供給される駆動信号は、例えばPWM(Pulse Width Modulation)制御方式の駆動信号であるスイッチング指令信号S1であって、駆動指令回路2は、アクセルセンサ5からモータ6の駆動を指示する信号が駆動指令回路2へ入力されると、駆動指令回路2からインバータ部1の各IGBT11a〜11fのゲート端子へ接続されたスイッチング指令信号S1により、IGBT11a〜11fのON時間とOFF時間の割合を変えて出力電圧を制御する。
また、電流/PWM変換回路4からインバータ部1へ供給される制御信号S2は、電流センサ3により検出されたインバータ部1の出力電流の大きさに基づいて、IGBT11a〜11fのスイッチング速度を制御するための出力電流レベル信号であって、電流信号増幅回路4は、出力電流レベル信号S2によりIGBT11a〜11fのスイッチング速度を制御する。
【0018】
次に、ゲート制御回路13a〜13fについて図面を参照して説明する。ゲート制御回路13a〜13fは、全て同一の回路であるので、ここでは代表してゲート制御回路13aについて説明する。
図2は、ゲート制御回路13aを示す回路図であって、通常駆動を含めて全5モードの制御に対応する回路を一例として示す。
図2において、ゲート制御回路13aは、駆動指令回路2からIGBT11aのON時間とOFF時間の割合を変えて出力電圧を制御するためのスイッチング指令信号S1を受けて、IGBT11aを駆動する系統と、インバータ部1の出力電流の大きさに基づいてIGBT11aのスイッチング速度を制御するための出力電流レベル信号S2を電流/PWM変換回路4から受けて、IGBT11aのスイッチング速度を制御する系統に分類される。
【0019】
まず、スイッチング指令信号S1を受けてIGBT11aを駆動する系統について説明すると、IGBT11aのON・OFF制御を信号のDuty(デューティ)比で表したスイッチング指令信号S1は、駆動指令回路2から出力されて、バッファ51を介してフォトカプラ52へ入力される。フォトカプラ52では、光を媒体に信号を中継することにより、フォトカプラ52の入力端子と出力端子とを絶縁し、入力端子側と出力端子側との電位の差を許容して信号を中継することができる。そして、フォトカプラ52の出力は、更にバッファ53へ供給され、ゲート抵抗54を介してゲート制御回路13aの出力として、該ゲート制御回路13aの出力に接続されたIGBT11aのゲート端子に供給され、IGBT11aを駆動する。
【0020】
一方、電流/PWM変換回路4から出力電流レベル信号S2を受けてIGBT11a〜11fのスイッチング速度を制御する系統について、IGBT11aのスイッチング速度を制御する系統を例にとって説明すると、まず電流/PWM変換回路4から出力された出力電流レベル信号S2は、絶縁型PWM/電圧変換回路60へ入力される。絶縁型PWM/電圧変換回路60では、IGBT11aのスイッチング速度を信号のデューティ比で表した出力電流レベル信号S2を、該デューティ比に対応する電圧レベルに変換する。そして、絶縁型PWM/電圧変換回路60の出力は、コンパレータ55a〜55dへ供給され、ゲート制御回路13aの電源電圧を抵抗56a〜56eにより分圧して生成した各電圧レベルとそれぞれ比較される。
また、コンパレータ55a〜55dの出力は、それぞれ、例えばFET(Field−Effect Transistor :電界効果トランジスタ)58a〜58dのゲート端子へ供給される。FET58a〜58dは、IGBT11aのゲート端子をドライブするためのゲート抵抗54とゲート制御回路13aに接続されるIGBT11aのゲート端子との間に一端を接続された4個のコンデンサ57a〜57dの接続を制御するスイッチ手段である。
【0021】
ここで、FET58a〜58dのドレイン端子には、ゲート抵抗54とIGBT11aのゲート端子とに接続されたコンデンサ57a〜57dの反対側の端子が接続されており、FET58a〜58dのソース端子はグランド(接地点)に接続されている。すなわち、FET58a〜58dのゲート端子を制御してFET58a〜58dをONすると、コンデンサ57a〜57dが接地されることになる。
【0022】
この時、ゲート制御回路13aの電源電圧を抵抗56a〜56eにより分圧して生成した各電圧レベルは、抵抗56aと抵抗56bとの接続点をV1、抵抗56bと抵抗56cとの接続点をV2、抵抗56cと抵抗56dとの接続点をV3、抵抗56dと抵抗56eとの接続点をV4とすると、V1<V2<V3<V4であるため、制御信号S2の電圧値が上昇すると、コンパレータ55aから順に出力がHIGH(アクティブ)になる。従って、制御信号S2の電圧値が高ければ高い程、接地されるコンデンサの数は多くなる。
なお、スイッチ手段は、FET58a〜58dの代わりに、IGBTの他、逆阻止サイリスタ、GTO、バイポーラトランジスタ等を用いることができる。
【0023】
次に、図1と図2を参照して、本実施の形態のインバータ駆動装置の動作を説明する。図1と図2において、まず、例えばアクセルセンサ5からモータ6の駆動を指示する信号が駆動指令回路2へ入力されると、駆動指令回路2がスイッチング指令信号S1によりインバータ部1の出力を制御してモータ6の回転を上昇させる。この時、インバータ部1の出力電流が大きくなると、電流センサ3がこれを検出し、電流/PWM変換回路4において、インバータ部1へスイッチング速度を指示するための出力電流レベル信号S2に変換する。出力電流レベル信号S2は、IGBT11a〜11fのスイッチング速度をデューティ比で表した信号であって、電流センサ3の検出した電流値が大きくなる程、ディーティ比が大きい出力電流レベル信号S2に変換される。
【0024】
また、出力電流レベル信号S2は、絶縁型PWM/電圧変換回路60へ入力される。ここで、出力電流レベル信号S2と絶縁型PWM/電圧変換回路60との対応関係は、検出されたインバータ部1の出力電流が大きい程、絶縁型PWM/電圧変換回路60の出力電圧が高くなる対応関係を持っている。すなわち、電流センサ3の検出した電流値が大きくなる程、絶縁型PWM/電圧変換回路60の出力する制御信号の電圧を高くするように制御する。この制御信号は、コンパレータ55a〜55dにおいてゲート制御回路13aの電源電圧を抵抗56a〜56eにより分圧して生成した各電圧レベルとそれぞれ比較され、コンパレータ55a〜55dの出力はFET58a〜58dのスイッチングを制御する。従って、電流センサ3の検出した電流値が大きくなる程多くのコンパレータの出力がアクティブになり、FET58a〜58dにより接地されるコンデンサの数が多くなるので、ゲート抵抗54と接地されたコンデンサの合成容量とによる時定数が大きくなり、IGBT11a〜11fのスイッチング速度は遅くなる。
【0025】
なお、上述の実施の形態では、インバータ部1の出力電流を監視して、出力電流が大きくなると、IGBT11a〜11fのゲート端子に接続されたコンデンサの容量値を大きくして、IGBT11a〜11fのスイッチング速度が遅くなるように制御したが、インバータ部1の出力が過電流となりやすいインバータ部1の起動時に、IGBT11a〜11fのゲート端子に接続されたコンデンサの容量値を大きくして、IGBT11a〜11fのスイッチング速度が遅くなるように制御し、サージ電圧の発生を抑制しても良い。
【0026】
以上、第1の実施の形態として、インバータ回路の出力電流の大きさに応じて、コンデンサを用いてインバータ回路のスイッチング速度をフィードバック制御する場合のインバータ駆動装置について説明した。
以上説明したように、本実施の形態のインバータ駆動装置は、インバータ回路の起動時、または電流センサ3により検出されたインバータ回路の出力電流の大きさに基づいて、コンデンサ57a〜57dが接地される数を制御することにより、ゲート抵抗54と接地されたコンデンサの合成容量とによる時定数で決定されるIGBT11a〜11fのスイッチング速度をフィードバック制御し、ゲート抵抗での電力損失を発生させずに、ゲート抵抗の抵抗値を制御する場合よりもインバータ回路の効率低下を抑えつつサージ電圧の発生を抑制することができる。
【0027】
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態のインバータ駆動装置について説明する。
図3は、本発明の第2の実施の形態のインバータ駆動装置と該インバータ駆動装置により駆動されるインバータ回路を含むインバータ装置を示す回路図である。第2の実施の形態では、サージ電圧の発生を抑制するために、車両の状態を検出するセンサからの信号に基づいて設定されたインバータ回路の出力電流の大きさに応じて、コンデンサを用いてインバータ回路のスイッチング速度をフィードフォワード制御する場合のインバータ駆動装置について説明する。
【0028】
ここで、図3において、図1と同一の符号を付与した構成要素は、第1の実施の形態で説明した構成要素と同一の構成要素であるので、ここでは説明を省略する。
図3において、新しい構成要素である駆動指令回路15は、車両に備えられた各種センサ類16(例えばイグニッションやアクセル、ブレーキ、車速、更にはギヤ等の状態を検出するセンサ類)から得られた車両の状態に基づいて、インバータ部1の各IGBTのゲート端子を制御し、モータ駆動用電源7から供給された直流電力を3相交流電力に変換してモータ6を駆動する。
また、インバータ部1は、IGBT11a〜11fのそれぞれのゲート端子に接続され、駆動指令回路15からの駆動信号及び制御信号により、IGBT11a〜11fをON・OFF制御すると共に、IGBT11a〜11fのスイッチング速度を制御するゲート制御回路17a〜17fを備えている。
【0029】
なお、図3において設けられた電流センサ18は、インバータ部1を用いてモータ6をPWM制御方式によりベクトル制御するために利用するものであって、本実施の形態ではフィードフォワード制御を行うことでサージ電圧の発生を抑制するので制御遅延がなく、かつ、電流センサ18のノイズ電圧に対する耐性は、第1の実施の形態で利用したフィードバック制御用の電流センサ3よりも低くて良い。また、PWM制御方式においてベクトル制御を行うのでなければ、電流センサ18は必ずしも設ける必要はない。
【0030】
また、駆動指令回路15からインバータ部1へ供給される駆動信号は、第1の実施の形態と同様に、例えばPWM制御方式の駆動信号であるスイッチング指令信号S1であって、駆動指令回路15は、駆動指令回路15からインバータ部1の各IGBT11a〜11fへ接続されたスイッチング指令信号S1により、IGBT11a〜11fのON時間とOFF時間の割合を変えて出力電圧を制御する。
【0031】
また、駆動指令回路15からインバータ部1へ供給される制御信号は、車両に備えられたイグニッションやアクセル、ブレーキ、車速、更にはギヤ等の状態を検出する各種センサ類16から得られた車両の状態に基づいて、駆動指令回路15が出力電流指令制御マップを参照して設定したインバータ部1の出力電流をインバータ部1へ指示するための信号であって、駆動指令回路15は、指示する出力電流の量を、制御信号である出力電流レベル判定信号S3に変換してインバータ部1へ指示する。なお、出力電流レベル判定信号S3については、詳細を後述する。
【0032】
次に、ゲート制御回路17a〜17fについて図面を参照して説明する。ゲート制御回路17a〜17fも、全て同一の回路であるので、ここでは代表してゲート制御回路17aについて説明する。
図4は、ゲート制御回路17aを示す回路図であって、通常駆動を含めて全5モードの制御に対応する回路を一例として示す。
図4において、ゲート制御回路17aは、駆動指令回路15からIGBT11aのON時間とOFF時間の割合を変えて出力電圧を制御するためのスイッチング指令信号S1を受けて、IGBT11aを駆動する系統と、駆動指令回路15から設定したインバータ回路の出力電流に基づいてIGBT11aのスイッチング速度を制御するための出力電流レベル判定信号S3を受けて、IGBT11aのスイッチング速度を制御する系統に分類される。
【0033】
ここで、図4においても、図2と同一の符号を付与した構成要素は、第1の実施の形態で説明した構成要素と同一の構成要素であるので、ここでは説明を省略する。
すなわち、ゲート制御回路17aにおいて、スイッチング指令信号S1を受けてIGBT11aを駆動する系統は、第1の実施の形態で説明したゲート制御回路13a〜13fと同様であって、駆動指令回路15から出力されたスイッチング指令信号S1は、バッファ51を介してフォトカプラ52へ入力される。そして、フォトカプラ52の出力は、更にバッファ53aへ供給され、ゲート抵抗54aを介してゲート制御回路17aの出力として、該ゲート制御回路17aの出力に接続されたIGBT11aのゲート端子に供給され、IGBT11aを駆動する。
【0034】
一方、駆動指令回路15から出力電流レベル判定信号S3を受けてIGBT11aのスイッチング速度を制御する系統について説明すると、駆動指令回路15から出力された出力電流レベル判定信号S3は、絶縁型PWM/電圧変換回路60へ入力される。絶縁型PWM/電圧変換回路60では、IGBT11aのスイッチング速度を信号のデューティ(Duty)比で表した出力電流レベル判定信号S3を、該デューティ比に対応する電圧レベルに変換する。そして、絶縁型PWM/電圧変換回路60の出力は、コンパレータ55a〜55dへ供給され、ゲート制御回路13aの電源電圧を抵抗56a〜56eにより分圧して生成した各電圧レベルとそれぞれ比較される。
【0035】
なお、コンパレータ55a〜55dの出力がFET58a〜58dのゲート端子を制御して、コンデンサ57a〜57dの接続を変更し、接地されるコンデンサの数を制御する動作は、第1の実施の形態と同一であるので、ここでは説明を省略する。
また、絶縁型PWM/電圧変換回路60は、例えば入出力信号をトランス結合することで容易に実現することができる。
【0036】
次に、図3と図4を参照して、本実施の形態のインバータ駆動装置の動作を説明する。図3と図4において、まず、例えばイグニッションやアクセル、ブレーキ、車速、更にはギヤ等の状態を検出する各種センサ類16から車両の状態が駆動指令回路15へ入力されると、駆動指令回路15は、出力電流指令制御マップを参照して、インバータ部1の出力電流を設定する。そして、設定されたインバータ部1の出力電流を、インバータ部1へ指示するための出力電流レベル判定信号S3に変換する。出力電流レベル判定信号S3は、IGBT11a〜11fのスイッチング速度を信号のデューティ(Duty)比で表した信号であって、以下の表1に示すように、インバータ部1の出力電流I0の大きさ毎に出力電流1から出力電流nのn種類の出力電流レベル判定信号S3に変換される。
【表1】
【0037】
また、出力電流レベル判定信号S3は、絶縁型PWM/電圧変換回路60へ入力される。ここで、出力電流レベル判定信号S3と絶縁型PWM/電圧変換回路60との対応関係は、設定されたインバータ部1の出力電流が大きい程、絶縁型PWM/電圧変換回路60の出力電圧が高くなる対応関係を持つ。
すなわち、駆動指令回路15が設定したインバータ部1の出力電流の電流値が大きくなる程、絶縁型PWM/電圧変換回路60の出力する制御信号の電圧を高くするように制御する。この制御信号は、コンパレータ55a〜55dにおいてゲート制御回路17aの電源電圧を抵抗56a〜56eにより分圧して生成した各電圧レベルとそれぞれ比較され、コンパレータ55a〜55dの出力はFET58a〜58dのスイッチングを制御する。
【0038】
従って、絶縁型PWM/電圧変換回路60の出力する制御信号の電圧が高い程、出力がアクティブになるコンパレータが多くなり、FET58a〜58dにより接地されるコンデンサの数が多くなるので、ゲート抵抗54と接地されたコンデンサの合成容量とによる時定数が大きくなり、IGBT11aのスイッチング速度は遅くなる。
【0039】
なお、上述の各種センサ類16から入力された車両の状態から、インバータ部1の出力電流を設定するための出力電流指令制御マップは、予め車両を各種の環境下において、車両の状態とインバータ部1の出力電流との関係を実験的に測定してマップ化することで、容易に作成することができる。
また、出力電流レベル判定信号S3の場合分けに対してコンデンサの数を少なくし、出力電流レベル判定信号S3が異なっても、場合によっては同じ容量値になるように接地するコンデンサの数を制御しても良い。
【0040】
以上、第2の実施の形態として、車両の状態に基づいて設定されたインバータ回路の出力電流の大きさに応じて、コンデンサを用いてインバータ回路のスイッチング速度をフィードフォワード制御する場合のインバータ駆動装置について説明した。
以上説明したように、本実施の形態のインバータ駆動装置は、駆動指令回路15が設定したインバータ部1の出力電流の大きさに基づいて、コンデンサ57a〜57dが接地される数を制御することにより、ゲート抵抗54と接地されたコンデンサの合成容量とによる時定数で決定されるIGBT11a〜11fのスイッチング速度を制御し、ゲート抵抗での電力損失を発生させずに、ゲート抵抗の抵抗値を制御する場合よりもインバータ回路の効率低下を抑えつつサージ電圧の発生を抑制することができる。
【0041】
更に、駆動指令回路15が設定したインバータ部1の出力電流の大きさに基づいてフィードフォワード制御を行うので、インバータ部1の出力電流を検出してサージ電圧の発生を想定するための電流センサが必要なくなる。また、PWM制御のために必要な電流センサ18も、サージ電圧の抑制のための制御がフィードフォワード制御であるため制御遅延が発生せず、かつ、ノイズ電圧に対する耐性も、サージ電圧の発生を想定するための電流センサよりも低いものが利用できるようになる。
【0042】
【発明の効果】
以上の如く、請求項1に記載のインバータ駆動装置によれば、インバータ回路の起動時、または電流センサにより検出したインバータ回路の出力電流が大きい場合には、スイッチング制御端子に接続されたコンデンサの容量値を大きくすることにより、インバータ回路のスイッチング速度を遅らせるように制御し、サージ電圧の発生を抑制することができる。
従って、ゲート抵抗の抵抗値を制御してインバータ回路のスイッチング速度を遅らせるように制御する場合に比較して、インバータ回路の効率低下を抑えつつサージ電圧の発生を抑制するインバータ装置を実現することができるという効果が得られる。
【0043】
請求項2、3に記載のインバータ駆動装置によれば、センサが取得した車両の状態から設定されたインバータ回路の出力電流の大きさに応じて、スイッチング制御端子に接続されたコンデンサの容量値を変更することにより、インバータ回路の効率とサージ電圧の抑制とのバランスを取りながらインバータ回路を作動させることができる。特に、設定されたインバータ回路の出力電流が大きい場合には、コンデンサの容量値を大きくすることにより、インバータ回路のスイッチング速度を遅らせるように制御し、サージ電圧の発生を抑制することができる。
従って、実際にインバータ回路の出力電圧や出力電流を検出するセンサ等の、ノイズ電圧に耐えてインバータ回路の出力を監視する監視手段を用いることなく、インバータ回路の効率低下を最小限に抑えつつサージ電圧の発生を抑制するインバータ装置を実現することができるという効果が得られる。また制御遅延が発生せず、短時間で確実なサージ電圧抑制を行うことができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態のインバータ駆動装置を含むインバータ装置を示す回路図である。
【図2】同実施の形態のゲート制御回路を示す回路図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態のインバータ駆動装置を含むインバータ装置を示す回路図である。
【図4】同実施の形態のゲート制御回路を示す回路図である。
【符号の説明】
1 インバータ部
2 駆動指令回路
3 電流センサ
4 電流/PWM変換回路
11a〜11f IGBT
13a〜13f ゲート制御回路
15 駆動指令回路
16 各種センサ類
17a〜17f ゲート制御回路
54 ゲート抵抗
55a〜55d コンパレータ
56a〜56e 抵抗
57a〜57d コンデンサ
58a〜58d FET
60 絶縁型PWM/電圧変換回路
【発明の属する技術分野】
本発明は、インバータ回路のスイッチング素子のON・OFFの制御を行うインバータ駆動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、モータ等の負荷を駆動するためのインバータ回路では、高電流をスイッチングした場合、スイッチング時の電流変化や回路のインダクタンス成分等の要因により、スイッチング素子をON・OFFする際に、スイッチング素子を破壊する要因に成り得るサージ電圧が発生する。このサージ電圧の発生を抑制するには、例えばインバータ回路を駆動するための駆動指令回路(例えば車両に搭載されたECU:Electronic Control Unit )とインバータ回路のスイッチング素子のスイッチング制御端子との間に挿入されたスイッチング制御端子をドライブするための抵抗の抵抗値の制御を行い、インバータ回路のスイッチング速度を遅らせることが有効である。しかし、この方法ではサージ電圧は低下するものの、スイッチング素子のスイッチング損失が大幅に増大してしまうという問題が発生する。一方、サージ電圧に耐えるように素子耐圧のランクを上げると、スイッチング素子の導通損失が増大してしまうという問題がある。
【0003】
特に、ハイブリット自動車等のように、通常の走行中の出力電流に対し、始動時や加速時の高トルクアシスト(補助駆動)時や減速時の高トルク回生時に非常に大きな電流をスイッチングする必要があるシステムにおいては、高電流時にサージ電圧がスイッチング素子の耐圧を超えないように設定した抵抗値のまま使用領域の全域をスイッチングした場合、通常の電流域で無駄にインバータ回路のスイッチング速度を遅らせることになり、通常の電流域での効率をひどく損なってしまう。
【0004】
そのため、改善策として従来は、スイッチング時の出力電流や出力電圧を監視し、スイッチング時の出力電流や出力電圧が規定値を超えた場合にのみ、スイッチング制御端子をドライブする抵抗の抵抗値を制御することにより、インバータ回路のスイッチング速度を変更することが行われる。従って、インバータ回路には、その出力に出力電流や出力電圧を監視する監視手段が設けられ、またこれらの監視手段による出力電流や出力電圧の監視結果に基づいて、上述の抵抗の抵抗値を制御するためのスイッチ手段も設けられる。
【0005】
また、このような装置としては、例えば、特開2001−268926号公報に記載のものがある。この装置は、ゲート駆動制御回路により、インバータ回路の出力が過電流となりやすいインバータ回路の起動時には、インバータ回路を構成するスイッチング素子であるIGBT( Insulated Gate Bipolar Transistor:絶縁ゲート型バイポーラ・トランジスタ)のゲート抵抗の抵抗値を大きくするか、もしくはゲート電圧を小さくすることにより、インバータ回路のスイッチング速度を遅らせるように制御し、サージ電圧によるスイッチング素子の破壊を防止する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の装置のように、ゲート抵抗の抵抗値を大きくすることは、ゲート抵抗での損失を大きくすることであり、ゲート抵抗自体が発熱したり、回路全体の消費電力が増える等の問題が発生する。
また、インバータ回路に設けられた出力電流や出力電圧を監視する監視手段は、スイッチング時の電流や電圧を測定するので、スイッチング時のノイズに対する耐性を備えたものでなければならないため、容易に構成することができるものではない。特に、監視手段がスイッチング時の出力電流や出力電圧が規定値を超えたことを検出してから、スイッチ手段がゲート抵抗の抵抗値を制御するまでの遅延時間があり、かつ、スイッチング時のノイズに対する耐性は大きくせざるを得ず、インバータ回路に監視手段を設けることは、基板の大型化やコストアップを招くと共に、その回路は容易に構成することができないという問題があった。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、インバータ回路の効率低下を最小限に抑えてサージ電圧の発生を抑制することができる制御回路を備えたインバータ駆動装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1の発明に係るインバータ駆動装置は、インバータ回路(例えば実施の形態のインバータ部1)に備えられた複数のスイッチング素子(例えば実施の形態のIGBT11a〜11f)のスイッチング制御端子を駆動するためのインバータ駆動装置において、前記スイッチング制御端子と接地点との間に接続されたコンデンサ(例えば実施の形態のコンデンサ57a〜57d)と、前記コンデンサの容量値を変更するための切り替え回路(例えば実施の形態のFET58a〜58d)と、前記インバータ回路の出力電流の大きさを検出する電流センサ(例えば実施の形態の電流センサ3)と、前記インバータの起動時、または検出された前記インバータ回路の出力電流が大きい時に、前記切り替え回路を切り替えて、前記コンデンサの容量値を大きくする制御回路(例えば実施の形態の電流/PWM変換回路4及びコンパレータ55a〜55dや抵抗56a〜56e、更に絶縁型PWM/電圧変換回路60)とを備えたことを特徴とする。
【0009】
以上の構成を備えたインバータ駆動装置は、インバータ回路の起動時、または電流センサにより検出したインバータ回路の出力電流が大きい場合には、制御回路が切り替え回路を切り替えて、スイッチング素子のスイッチング制御端子と接地点との間に接続されたコンデンサの容量値を大きくすることにより、インバータ回路のスイッチング速度を遅らせるように制御し、サージ電圧の発生を抑制することができる。
【0010】
請求項2の発明に係るインバータ駆動装置は、インバータ回路(例えば実施の形態のインバータ部1)に備えられた複数のスイッチング素子(例えば実施の形態のIGBT11a〜11f)のスイッチング制御端子を駆動するためのインバータ駆動装置において、前記スイッチング制御端子と接地点との間に接続されたコンデンサ(例えば実施の形態のコンデンサ57a〜57d)と、前記コンデンサの容量値を変更するための切り替え回路(例えば実施の形態のFET58a〜58d)と、車両の状態を検出するセンサ(例えば実施の形態の各種センサ類16)からの信号に基づいて、前記インバータ回路の出力電流を設定すると共に、設定された前記出力電流の大きさに応じて前記切り替え回路を切り替えて、前記コンデンサの容量値を変更する制御回路(例えば実施の形態の駆動指令回路15及びコンパレータ55a〜55dや抵抗56a〜56e、更に絶縁型PWM/電圧変換回路60)とを備えたことを特徴とする。
【0011】
以上の構成を備えたインバータ駆動装置は、センサが取得した車両の状態から制御回路がインバータ回路の出力電流を設定すると共に、設定されたインバータ回路の出力電流の大きさに応じて、制御回路が切り替え回路を切り替えて、スイッチング素子のスイッチング制御端子と接地点との間に接続されたコンデンサの容量値を変更することにより、インバータ回路の効率とサージ電圧の抑制とのバランスを取りながらインバータ回路を作動させることができる。
【0012】
請求項3の発明に係るインバータ駆動装置は、請求項2に記載のインバータ駆動装置において、前記制御回路は、設定された前記出力電流の大きさが大きい程、前記コンデンサの容量値を大きくするように前記切り替え回路を切り替えることを特徴とする。
以上の構成を備えたインバータ駆動装置は、設定されたインバータ回路の出力電流が大きい場合には、制御回路が切り替え回路を切り替えて、スイッチング素子のスイッチング制御端子と接地点との間に接続されたコンデンサの容量値を大きくすることにより、インバータ回路のスイッチング速度を遅らせるように制御し、サージ電圧の発生を抑制することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
(第1の実施の形態)
まず、第1の実施の形態のインバータ駆動装置について説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態のインバータ駆動装置と該インバータ駆動装置により駆動されるインバータ回路を含むインバータ装置を示す回路図である。第1の実施の形態では、サージ電圧の発生を抑制するために、インバータ回路の出力電流の大きさに応じて、コンデンサを用いてインバータ回路のスイッチング速度をフィードバック制御する場合のインバータ駆動装置について説明する。
【0014】
図1において、本実施の形態のインバータ駆動装置を含むインバータ装置は、例えばスイッチング素子としてIGBTを3相ブリッジ接続したインバータ回路を備えたインバータ部1と、インバータ部1の各IGBTのゲート端子を制御する駆動指令回路2と、インバータ部1の出力電流を検出する電流センサ3及び検出された電流を、該電流の大きさに応じたパルス幅変調(PWM)信号に変換する電流/PWM変換回路4とを備えている。そして、電流センサ3から出力される検出信号が駆動指令回路2と電流/PWM変換回路4にそれぞれ入力されるよう接続されており、車両に備えられたアクセルセンサ5からモータ6の駆動を指示する指令信号が駆動指令回路2へ入力されると、駆動指令回路2からは、インバータ部1に駆動信号が出力され、これにより、モータ駆動用電源7から供給された直流電力が3相交流電力に変換されモータ6駆動される。
【0015】
なお、コンデンサ8は、電源電圧を安定させるための平滑コンデンサである。また、スイッチング素子として用いる素子は、IGBTに限らず、逆阻止サイリスタ、GTO(Gate Turn Off thyristor )、バイポーラトランジスタ、MOSFET等を用いても良い。
また、駆動指令回路2は、車両に搭載されたECUの一部として実現されても良い。
【0016】
また、インバータ部1は、3相ブリッジ接続したIGBT11a〜11fと、IGBT11a〜11fのそれぞれのコレクタ端子とエミッタ端子間に、カソード端子がコレクタ端子へ、アノード端子がエミッタ端子へそれぞれ接続されたFWD(Free Wheeling Diode:転流ダイオード)12a〜12fとを備えている。
更に、インバータ部1は、IGBT11a〜11fのそれぞれのゲート端子に接続され、駆動指令回路2から供給された駆動信号によりIGBT11a〜11fをON・OFF制御すると共に、電流/PWM変換回路4から供給された制御信号によりIGBT11a〜11fのスイッチング速度を制御するゲート制御回路13a〜13fを備えている。
【0017】
なお、駆動指令回路2からインバータ部1へ供給される駆動信号は、例えばPWM(Pulse Width Modulation)制御方式の駆動信号であるスイッチング指令信号S1であって、駆動指令回路2は、アクセルセンサ5からモータ6の駆動を指示する信号が駆動指令回路2へ入力されると、駆動指令回路2からインバータ部1の各IGBT11a〜11fのゲート端子へ接続されたスイッチング指令信号S1により、IGBT11a〜11fのON時間とOFF時間の割合を変えて出力電圧を制御する。
また、電流/PWM変換回路4からインバータ部1へ供給される制御信号S2は、電流センサ3により検出されたインバータ部1の出力電流の大きさに基づいて、IGBT11a〜11fのスイッチング速度を制御するための出力電流レベル信号であって、電流信号増幅回路4は、出力電流レベル信号S2によりIGBT11a〜11fのスイッチング速度を制御する。
【0018】
次に、ゲート制御回路13a〜13fについて図面を参照して説明する。ゲート制御回路13a〜13fは、全て同一の回路であるので、ここでは代表してゲート制御回路13aについて説明する。
図2は、ゲート制御回路13aを示す回路図であって、通常駆動を含めて全5モードの制御に対応する回路を一例として示す。
図2において、ゲート制御回路13aは、駆動指令回路2からIGBT11aのON時間とOFF時間の割合を変えて出力電圧を制御するためのスイッチング指令信号S1を受けて、IGBT11aを駆動する系統と、インバータ部1の出力電流の大きさに基づいてIGBT11aのスイッチング速度を制御するための出力電流レベル信号S2を電流/PWM変換回路4から受けて、IGBT11aのスイッチング速度を制御する系統に分類される。
【0019】
まず、スイッチング指令信号S1を受けてIGBT11aを駆動する系統について説明すると、IGBT11aのON・OFF制御を信号のDuty(デューティ)比で表したスイッチング指令信号S1は、駆動指令回路2から出力されて、バッファ51を介してフォトカプラ52へ入力される。フォトカプラ52では、光を媒体に信号を中継することにより、フォトカプラ52の入力端子と出力端子とを絶縁し、入力端子側と出力端子側との電位の差を許容して信号を中継することができる。そして、フォトカプラ52の出力は、更にバッファ53へ供給され、ゲート抵抗54を介してゲート制御回路13aの出力として、該ゲート制御回路13aの出力に接続されたIGBT11aのゲート端子に供給され、IGBT11aを駆動する。
【0020】
一方、電流/PWM変換回路4から出力電流レベル信号S2を受けてIGBT11a〜11fのスイッチング速度を制御する系統について、IGBT11aのスイッチング速度を制御する系統を例にとって説明すると、まず電流/PWM変換回路4から出力された出力電流レベル信号S2は、絶縁型PWM/電圧変換回路60へ入力される。絶縁型PWM/電圧変換回路60では、IGBT11aのスイッチング速度を信号のデューティ比で表した出力電流レベル信号S2を、該デューティ比に対応する電圧レベルに変換する。そして、絶縁型PWM/電圧変換回路60の出力は、コンパレータ55a〜55dへ供給され、ゲート制御回路13aの電源電圧を抵抗56a〜56eにより分圧して生成した各電圧レベルとそれぞれ比較される。
また、コンパレータ55a〜55dの出力は、それぞれ、例えばFET(Field−Effect Transistor :電界効果トランジスタ)58a〜58dのゲート端子へ供給される。FET58a〜58dは、IGBT11aのゲート端子をドライブするためのゲート抵抗54とゲート制御回路13aに接続されるIGBT11aのゲート端子との間に一端を接続された4個のコンデンサ57a〜57dの接続を制御するスイッチ手段である。
【0021】
ここで、FET58a〜58dのドレイン端子には、ゲート抵抗54とIGBT11aのゲート端子とに接続されたコンデンサ57a〜57dの反対側の端子が接続されており、FET58a〜58dのソース端子はグランド(接地点)に接続されている。すなわち、FET58a〜58dのゲート端子を制御してFET58a〜58dをONすると、コンデンサ57a〜57dが接地されることになる。
【0022】
この時、ゲート制御回路13aの電源電圧を抵抗56a〜56eにより分圧して生成した各電圧レベルは、抵抗56aと抵抗56bとの接続点をV1、抵抗56bと抵抗56cとの接続点をV2、抵抗56cと抵抗56dとの接続点をV3、抵抗56dと抵抗56eとの接続点をV4とすると、V1<V2<V3<V4であるため、制御信号S2の電圧値が上昇すると、コンパレータ55aから順に出力がHIGH(アクティブ)になる。従って、制御信号S2の電圧値が高ければ高い程、接地されるコンデンサの数は多くなる。
なお、スイッチ手段は、FET58a〜58dの代わりに、IGBTの他、逆阻止サイリスタ、GTO、バイポーラトランジスタ等を用いることができる。
【0023】
次に、図1と図2を参照して、本実施の形態のインバータ駆動装置の動作を説明する。図1と図2において、まず、例えばアクセルセンサ5からモータ6の駆動を指示する信号が駆動指令回路2へ入力されると、駆動指令回路2がスイッチング指令信号S1によりインバータ部1の出力を制御してモータ6の回転を上昇させる。この時、インバータ部1の出力電流が大きくなると、電流センサ3がこれを検出し、電流/PWM変換回路4において、インバータ部1へスイッチング速度を指示するための出力電流レベル信号S2に変換する。出力電流レベル信号S2は、IGBT11a〜11fのスイッチング速度をデューティ比で表した信号であって、電流センサ3の検出した電流値が大きくなる程、ディーティ比が大きい出力電流レベル信号S2に変換される。
【0024】
また、出力電流レベル信号S2は、絶縁型PWM/電圧変換回路60へ入力される。ここで、出力電流レベル信号S2と絶縁型PWM/電圧変換回路60との対応関係は、検出されたインバータ部1の出力電流が大きい程、絶縁型PWM/電圧変換回路60の出力電圧が高くなる対応関係を持っている。すなわち、電流センサ3の検出した電流値が大きくなる程、絶縁型PWM/電圧変換回路60の出力する制御信号の電圧を高くするように制御する。この制御信号は、コンパレータ55a〜55dにおいてゲート制御回路13aの電源電圧を抵抗56a〜56eにより分圧して生成した各電圧レベルとそれぞれ比較され、コンパレータ55a〜55dの出力はFET58a〜58dのスイッチングを制御する。従って、電流センサ3の検出した電流値が大きくなる程多くのコンパレータの出力がアクティブになり、FET58a〜58dにより接地されるコンデンサの数が多くなるので、ゲート抵抗54と接地されたコンデンサの合成容量とによる時定数が大きくなり、IGBT11a〜11fのスイッチング速度は遅くなる。
【0025】
なお、上述の実施の形態では、インバータ部1の出力電流を監視して、出力電流が大きくなると、IGBT11a〜11fのゲート端子に接続されたコンデンサの容量値を大きくして、IGBT11a〜11fのスイッチング速度が遅くなるように制御したが、インバータ部1の出力が過電流となりやすいインバータ部1の起動時に、IGBT11a〜11fのゲート端子に接続されたコンデンサの容量値を大きくして、IGBT11a〜11fのスイッチング速度が遅くなるように制御し、サージ電圧の発生を抑制しても良い。
【0026】
以上、第1の実施の形態として、インバータ回路の出力電流の大きさに応じて、コンデンサを用いてインバータ回路のスイッチング速度をフィードバック制御する場合のインバータ駆動装置について説明した。
以上説明したように、本実施の形態のインバータ駆動装置は、インバータ回路の起動時、または電流センサ3により検出されたインバータ回路の出力電流の大きさに基づいて、コンデンサ57a〜57dが接地される数を制御することにより、ゲート抵抗54と接地されたコンデンサの合成容量とによる時定数で決定されるIGBT11a〜11fのスイッチング速度をフィードバック制御し、ゲート抵抗での電力損失を発生させずに、ゲート抵抗の抵抗値を制御する場合よりもインバータ回路の効率低下を抑えつつサージ電圧の発生を抑制することができる。
【0027】
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態のインバータ駆動装置について説明する。
図3は、本発明の第2の実施の形態のインバータ駆動装置と該インバータ駆動装置により駆動されるインバータ回路を含むインバータ装置を示す回路図である。第2の実施の形態では、サージ電圧の発生を抑制するために、車両の状態を検出するセンサからの信号に基づいて設定されたインバータ回路の出力電流の大きさに応じて、コンデンサを用いてインバータ回路のスイッチング速度をフィードフォワード制御する場合のインバータ駆動装置について説明する。
【0028】
ここで、図3において、図1と同一の符号を付与した構成要素は、第1の実施の形態で説明した構成要素と同一の構成要素であるので、ここでは説明を省略する。
図3において、新しい構成要素である駆動指令回路15は、車両に備えられた各種センサ類16(例えばイグニッションやアクセル、ブレーキ、車速、更にはギヤ等の状態を検出するセンサ類)から得られた車両の状態に基づいて、インバータ部1の各IGBTのゲート端子を制御し、モータ駆動用電源7から供給された直流電力を3相交流電力に変換してモータ6を駆動する。
また、インバータ部1は、IGBT11a〜11fのそれぞれのゲート端子に接続され、駆動指令回路15からの駆動信号及び制御信号により、IGBT11a〜11fをON・OFF制御すると共に、IGBT11a〜11fのスイッチング速度を制御するゲート制御回路17a〜17fを備えている。
【0029】
なお、図3において設けられた電流センサ18は、インバータ部1を用いてモータ6をPWM制御方式によりベクトル制御するために利用するものであって、本実施の形態ではフィードフォワード制御を行うことでサージ電圧の発生を抑制するので制御遅延がなく、かつ、電流センサ18のノイズ電圧に対する耐性は、第1の実施の形態で利用したフィードバック制御用の電流センサ3よりも低くて良い。また、PWM制御方式においてベクトル制御を行うのでなければ、電流センサ18は必ずしも設ける必要はない。
【0030】
また、駆動指令回路15からインバータ部1へ供給される駆動信号は、第1の実施の形態と同様に、例えばPWM制御方式の駆動信号であるスイッチング指令信号S1であって、駆動指令回路15は、駆動指令回路15からインバータ部1の各IGBT11a〜11fへ接続されたスイッチング指令信号S1により、IGBT11a〜11fのON時間とOFF時間の割合を変えて出力電圧を制御する。
【0031】
また、駆動指令回路15からインバータ部1へ供給される制御信号は、車両に備えられたイグニッションやアクセル、ブレーキ、車速、更にはギヤ等の状態を検出する各種センサ類16から得られた車両の状態に基づいて、駆動指令回路15が出力電流指令制御マップを参照して設定したインバータ部1の出力電流をインバータ部1へ指示するための信号であって、駆動指令回路15は、指示する出力電流の量を、制御信号である出力電流レベル判定信号S3に変換してインバータ部1へ指示する。なお、出力電流レベル判定信号S3については、詳細を後述する。
【0032】
次に、ゲート制御回路17a〜17fについて図面を参照して説明する。ゲート制御回路17a〜17fも、全て同一の回路であるので、ここでは代表してゲート制御回路17aについて説明する。
図4は、ゲート制御回路17aを示す回路図であって、通常駆動を含めて全5モードの制御に対応する回路を一例として示す。
図4において、ゲート制御回路17aは、駆動指令回路15からIGBT11aのON時間とOFF時間の割合を変えて出力電圧を制御するためのスイッチング指令信号S1を受けて、IGBT11aを駆動する系統と、駆動指令回路15から設定したインバータ回路の出力電流に基づいてIGBT11aのスイッチング速度を制御するための出力電流レベル判定信号S3を受けて、IGBT11aのスイッチング速度を制御する系統に分類される。
【0033】
ここで、図4においても、図2と同一の符号を付与した構成要素は、第1の実施の形態で説明した構成要素と同一の構成要素であるので、ここでは説明を省略する。
すなわち、ゲート制御回路17aにおいて、スイッチング指令信号S1を受けてIGBT11aを駆動する系統は、第1の実施の形態で説明したゲート制御回路13a〜13fと同様であって、駆動指令回路15から出力されたスイッチング指令信号S1は、バッファ51を介してフォトカプラ52へ入力される。そして、フォトカプラ52の出力は、更にバッファ53aへ供給され、ゲート抵抗54aを介してゲート制御回路17aの出力として、該ゲート制御回路17aの出力に接続されたIGBT11aのゲート端子に供給され、IGBT11aを駆動する。
【0034】
一方、駆動指令回路15から出力電流レベル判定信号S3を受けてIGBT11aのスイッチング速度を制御する系統について説明すると、駆動指令回路15から出力された出力電流レベル判定信号S3は、絶縁型PWM/電圧変換回路60へ入力される。絶縁型PWM/電圧変換回路60では、IGBT11aのスイッチング速度を信号のデューティ(Duty)比で表した出力電流レベル判定信号S3を、該デューティ比に対応する電圧レベルに変換する。そして、絶縁型PWM/電圧変換回路60の出力は、コンパレータ55a〜55dへ供給され、ゲート制御回路13aの電源電圧を抵抗56a〜56eにより分圧して生成した各電圧レベルとそれぞれ比較される。
【0035】
なお、コンパレータ55a〜55dの出力がFET58a〜58dのゲート端子を制御して、コンデンサ57a〜57dの接続を変更し、接地されるコンデンサの数を制御する動作は、第1の実施の形態と同一であるので、ここでは説明を省略する。
また、絶縁型PWM/電圧変換回路60は、例えば入出力信号をトランス結合することで容易に実現することができる。
【0036】
次に、図3と図4を参照して、本実施の形態のインバータ駆動装置の動作を説明する。図3と図4において、まず、例えばイグニッションやアクセル、ブレーキ、車速、更にはギヤ等の状態を検出する各種センサ類16から車両の状態が駆動指令回路15へ入力されると、駆動指令回路15は、出力電流指令制御マップを参照して、インバータ部1の出力電流を設定する。そして、設定されたインバータ部1の出力電流を、インバータ部1へ指示するための出力電流レベル判定信号S3に変換する。出力電流レベル判定信号S3は、IGBT11a〜11fのスイッチング速度を信号のデューティ(Duty)比で表した信号であって、以下の表1に示すように、インバータ部1の出力電流I0の大きさ毎に出力電流1から出力電流nのn種類の出力電流レベル判定信号S3に変換される。
【表1】
【0037】
また、出力電流レベル判定信号S3は、絶縁型PWM/電圧変換回路60へ入力される。ここで、出力電流レベル判定信号S3と絶縁型PWM/電圧変換回路60との対応関係は、設定されたインバータ部1の出力電流が大きい程、絶縁型PWM/電圧変換回路60の出力電圧が高くなる対応関係を持つ。
すなわち、駆動指令回路15が設定したインバータ部1の出力電流の電流値が大きくなる程、絶縁型PWM/電圧変換回路60の出力する制御信号の電圧を高くするように制御する。この制御信号は、コンパレータ55a〜55dにおいてゲート制御回路17aの電源電圧を抵抗56a〜56eにより分圧して生成した各電圧レベルとそれぞれ比較され、コンパレータ55a〜55dの出力はFET58a〜58dのスイッチングを制御する。
【0038】
従って、絶縁型PWM/電圧変換回路60の出力する制御信号の電圧が高い程、出力がアクティブになるコンパレータが多くなり、FET58a〜58dにより接地されるコンデンサの数が多くなるので、ゲート抵抗54と接地されたコンデンサの合成容量とによる時定数が大きくなり、IGBT11aのスイッチング速度は遅くなる。
【0039】
なお、上述の各種センサ類16から入力された車両の状態から、インバータ部1の出力電流を設定するための出力電流指令制御マップは、予め車両を各種の環境下において、車両の状態とインバータ部1の出力電流との関係を実験的に測定してマップ化することで、容易に作成することができる。
また、出力電流レベル判定信号S3の場合分けに対してコンデンサの数を少なくし、出力電流レベル判定信号S3が異なっても、場合によっては同じ容量値になるように接地するコンデンサの数を制御しても良い。
【0040】
以上、第2の実施の形態として、車両の状態に基づいて設定されたインバータ回路の出力電流の大きさに応じて、コンデンサを用いてインバータ回路のスイッチング速度をフィードフォワード制御する場合のインバータ駆動装置について説明した。
以上説明したように、本実施の形態のインバータ駆動装置は、駆動指令回路15が設定したインバータ部1の出力電流の大きさに基づいて、コンデンサ57a〜57dが接地される数を制御することにより、ゲート抵抗54と接地されたコンデンサの合成容量とによる時定数で決定されるIGBT11a〜11fのスイッチング速度を制御し、ゲート抵抗での電力損失を発生させずに、ゲート抵抗の抵抗値を制御する場合よりもインバータ回路の効率低下を抑えつつサージ電圧の発生を抑制することができる。
【0041】
更に、駆動指令回路15が設定したインバータ部1の出力電流の大きさに基づいてフィードフォワード制御を行うので、インバータ部1の出力電流を検出してサージ電圧の発生を想定するための電流センサが必要なくなる。また、PWM制御のために必要な電流センサ18も、サージ電圧の抑制のための制御がフィードフォワード制御であるため制御遅延が発生せず、かつ、ノイズ電圧に対する耐性も、サージ電圧の発生を想定するための電流センサよりも低いものが利用できるようになる。
【0042】
【発明の効果】
以上の如く、請求項1に記載のインバータ駆動装置によれば、インバータ回路の起動時、または電流センサにより検出したインバータ回路の出力電流が大きい場合には、スイッチング制御端子に接続されたコンデンサの容量値を大きくすることにより、インバータ回路のスイッチング速度を遅らせるように制御し、サージ電圧の発生を抑制することができる。
従って、ゲート抵抗の抵抗値を制御してインバータ回路のスイッチング速度を遅らせるように制御する場合に比較して、インバータ回路の効率低下を抑えつつサージ電圧の発生を抑制するインバータ装置を実現することができるという効果が得られる。
【0043】
請求項2、3に記載のインバータ駆動装置によれば、センサが取得した車両の状態から設定されたインバータ回路の出力電流の大きさに応じて、スイッチング制御端子に接続されたコンデンサの容量値を変更することにより、インバータ回路の効率とサージ電圧の抑制とのバランスを取りながらインバータ回路を作動させることができる。特に、設定されたインバータ回路の出力電流が大きい場合には、コンデンサの容量値を大きくすることにより、インバータ回路のスイッチング速度を遅らせるように制御し、サージ電圧の発生を抑制することができる。
従って、実際にインバータ回路の出力電圧や出力電流を検出するセンサ等の、ノイズ電圧に耐えてインバータ回路の出力を監視する監視手段を用いることなく、インバータ回路の効率低下を最小限に抑えつつサージ電圧の発生を抑制するインバータ装置を実現することができるという効果が得られる。また制御遅延が発生せず、短時間で確実なサージ電圧抑制を行うことができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態のインバータ駆動装置を含むインバータ装置を示す回路図である。
【図2】同実施の形態のゲート制御回路を示す回路図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態のインバータ駆動装置を含むインバータ装置を示す回路図である。
【図4】同実施の形態のゲート制御回路を示す回路図である。
【符号の説明】
1 インバータ部
2 駆動指令回路
3 電流センサ
4 電流/PWM変換回路
11a〜11f IGBT
13a〜13f ゲート制御回路
15 駆動指令回路
16 各種センサ類
17a〜17f ゲート制御回路
54 ゲート抵抗
55a〜55d コンパレータ
56a〜56e 抵抗
57a〜57d コンデンサ
58a〜58d FET
60 絶縁型PWM/電圧変換回路
Claims (3)
- インバータ回路に備えられた複数のスイッチング素子のスイッチング制御端子を駆動するためのインバータ駆動装置において、
前記スイッチング制御端子と接地点との間に接続されたコンデンサと、
前記コンデンサの容量値を変更するための切り替え回路と、
前記インバータ回路の出力電流の大きさを検出する電流センサと、
前記インバータの起動時、または検出された前記インバータ回路の出力電流が大きい時に、前記切り替え回路を切り替えて、前記コンデンサの容量値を大きくする制御回路と
を備えたことを特徴とするインバータ駆動装置。 - インバータ回路に備えられた複数のスイッチング素子のスイッチング制御端子を駆動するためのインバータ駆動装置において、
前記スイッチング制御端子と接地点との間に接続されたコンデンサと、
前記コンデンサの容量値を変更するための切り替え回路と、
車両の状態を検出するセンサからの信号に基づいて、前記インバータ回路の出力電流を設定すると共に、設定された前記出力電流の大きさに応じて前記切り替え回路を切り替えて、前記コンデンサの容量値を変更する制御回路と
を備えたことを特徴とするインバータ駆動装置。 - 前記制御回路は、設定された前記出力電流の大きさが大きい程、前記コンデンサの容量値を大きくするように前記切り替え回路を切り替えることを特徴とする請求項2に記載のインバータ駆動装置。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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