JP2004022828A - 複合材料放熱基板 - Google Patents
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Abstract
【課題】モジュール等によって発生した熱が蓄積され易い部分から、基板外周など比較的温度の低い部分に熱を伝導させ、モジュールの放熱を行う複合材料放熱基板を得る。
【解決手段】放熱基板9を固定させる連結部1を当該基板外周に複数備え、放熱基板9に実装したモジュール12を網羅しながら、隣り合う連結部1を結ぶ複数の熱伝導性強化繊維10を、熱伝導性強化繊維10よりも熱伝導性の低いマトリックス11に配向・配置し、モジュール12が発生した熱を放熱基板9の外周に備えた連結部1に伝導させる。
【選択図】 図1
【解決手段】放熱基板9を固定させる連結部1を当該基板外周に複数備え、放熱基板9に実装したモジュール12を網羅しながら、隣り合う連結部1を結ぶ複数の熱伝導性強化繊維10を、熱伝導性強化繊維10よりも熱伝導性の低いマトリックス11に配向・配置し、モジュール12が発生した熱を放熱基板9の外周に備えた連結部1に伝導させる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、高集積の半導体素子や高周波増幅器などのモジュール搭載に適した複合材料放熱基板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図11及び図12は、従来の複合材料放熱基板の構成を示す説明図である。図において、109は後述する板状部材114と熱伝導部材115とから成る放熱基板、114は銅または銅合金の板状部材、115は炭素等の繊維と金属マトリックスから成る複合材料の熱伝導部材、116,117は銅配線層、118はエポキシ樹脂、119は半導体素子である。
【0003】
図11及び図12に例示したものは、特開2000−150743号公報に開示された複合材料から成る熱伝導部材を備えた半導体装置用放熱基板である。
【0004】
図11は、放熱基板109を斜視したものである。図示した放熱基板109は、熱伝導性の高い銅または銅合金の板状部材114に四辺形の貫通孔を設け、炭素または黒鉛質の繊維と銅または銅合金の金属マトリックスから成る複合材料の熱伝導部材115のエッジに金属メッキを施し、この熱伝導部材115を板状部材114の貫通孔に挿入してロウ材で接合したものである。放熱基板109は、このように高熱伝導性を有する部材を用いて構成することで良好な放熱性を得ている。なお、ここで熱伝導部材115に用いられる複合材料は、板状部材114の貫通孔に挿入することから、熱膨張等の影響を抑制して板状部材114との接合を維持するため、炭素または黒鉛質の繊維が二次元面方向にランダムに配向しているものが望ましい。
【0005】
図12は、従来の複合材料放熱基板の縦断面を示したものである。板状部材114に銅または銅合金等の導電性を有する材料を用いた場合は、図12に示すように、板状部材114表面に絶縁性を有するエポキシ樹脂118等を塗布して絶縁膜を形成させ、このエポキシ樹脂118の絶縁膜上に配線層116,117を形成させる。図12に例示したものでは、配線層117に熱源となる半導体素子119が実装されている。このように、放熱基板109は配線層117に実装された半導体素子119によって発生された熱を配線層117を介して半導体素子119直下あるいは近傍の熱伝導部材115で吸熱して板状部材114の裏面側へ熱伝導させ、当該板状部材114裏面側を対流している気体等に放熱し、半導体素子119近傍に熱を蓄積させないようにするものである。このように図11及び図12に示した従来の放熱基板109は基板表面側から裏面側へ、即ち当該放熱基板109の厚み方向に熱伝導させるものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来の複合材料放熱基板は以上のように構成されているので、放熱性を良好にするため、銅などの高熱伝導性金属と炭素等の繊維が使用され、熱伝導特性として等方性を有する等方性材料が用いられている。これらの等方性を有する複合材料を用いた放熱基板に高集積の半導体素子や高周波増幅器などのモジュールを実装した場合、特にモジュールが実装される基板中央部分の放熱効率が悪く、モジュールが発生した熱がその周辺に蓄積されて部分的に温度が高くなり、モジュールの動作や信頼性に悪影響を及ぼすという課題があった。また、このような基板中央部分に蓄積される熱を放散させるヒートシンクを備える場合には、充分な放熱効果が得られる大型のヒートシンクが必要になり、基板上のモジュール等の配置に問題が生じるという課題があった。
【0007】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、モジュール等によって発生した熱が蓄積され易い部分から、基板外周など比較的温度の低い部分に熱を伝導させ、モジュールの放熱を行う複合材料放熱基板を得ることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る複合材料放熱基板は、当該複合材料放熱基板を固定させる連結部位を当該基板外周に複数備え、複合材料放熱基板に実装される熱源を網羅して隣り合う連結部位を結ぶように熱伝導性強化繊維をマトリックスに配向したものである。
【0009】
この発明に係る複合材料放熱基板は、当該複合材料放熱基板を固定する連結部位を当該基板の外周に複数備え、隣り合う二つの連結部位を結ぶ第一の仮想直線上の任意の点を仮定し、当該基板が有する熱源を通過する第二の仮想直線を仮定し、第一の仮想直線上の任意の点を中心にして仮定した同心円群と第二の仮想直線との交点を各々仮定し、この複数の交点を各々通過して隣り合う二つの連結部位を結ぶ複数の熱伝導性強化繊維をマトリックスに曲線部分を有するように配向させたものである。
【0010】
この発明に係る複合材料放熱基板は、熱伝導性強化繊維が熱源から最も近い連結部位へ熱伝導するように熱伝導性が低いマトリックスに配向されたものである。
【0011】
この発明に係る複合材料放熱基板は、熱伝導性強化繊維が複数の連結部位の中で温度が低い連結部位へ熱伝導するように熱伝導性が低いマトリックスに配向されたものである。
【0012】
この発明に係る複合材料放熱基板は、熱伝導性強化繊維に炭素繊維、金属繊維、あるいはセラミック繊維のいずれかを用いたものである。
【0013】
この発明に係る複合材料放熱基板は、マトリックスに樹脂、金属、あるいはセラミックのいずれかを用いたものである。
【0014】
この発明に係る複合材料放熱基板は、熱伝導性強化繊維に炭素繊維を用い、マトリックスに炭素を用いたものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の一形態を説明する。
実施の形態1.
図1ないし図9は、この発明の実施の形態1による複合材料放熱基板の構成を示す説明図である。図において、1は連結部(連結部位)、2は連結部1の中心点である。3は隣り合う連結部1と連結部1とを結ぶ仮想直線の中点(第一の仮想直線上の任意の点)、即ち後述する同心円群6の中心である。4は放熱基板9に実装されるモジュールなどの発熱中心点、5は中点3と中心点4とを通過する仮想直線(第二の仮想直線)、6は中点3を中心として仮想した同心円群、7は同心円群6と仮想直線5の交点である。8は図中実線で描かれた例えば双曲線状の仮想の曲線群で、熱伝導性強化繊維を配向・配置させる位置を示すものである。9は複合材料から成る放熱基板(複合材料放熱基板)である。10は曲線群8に配置された熱伝導性強化繊維、11はマトリックス、12はモジュール(熱源)、13はヒートシンク、30はヒートシンク13と放熱基板9とを連結する熱伝導性を有する連結部材である。
【0016】
次に、図1に例示した実施の形態1による複合材料放熱基板について説明する。図1に示した放熱基板9は四辺形に形成されたもので、四箇所の角部には外部取り付けのヒートシンク、または排熱用の基板を取り付ける、あるいは対流などにより空間に効率よく放熱できない環境では熱伝導経路を構成してシャシなどに熱を伝導すると共に当該放熱基板9を固定させる連結部1が各々設けられている。図1は、例えば中央部で最も発熱する発熱中心点4を有するモジュール12を、放熱基板9中央部に搭載する構成を示したものである。
【0017】
図1に示した四辺形の放熱基板9の表面上に、次の(1)〜(4)に説明する直線または曲線を仮定する。
(1)隣り合う二つの連結部1の中心点2を結ぶ仮想直線を描く。
(2)前記(1)の仮想直線の中央部位に中点3を想定し、中点3とモジュール12の発熱中心点4とを通過する仮想直線5を描く。
(3)隣り合う二つの連結部1の中心点2を結ぶ仮想直線の中点3を中心とする同心円群6を描く。
(4)同心円群6と仮想直線5が交差する交点7と、隣り合う二つの連結部1の中心点2とを結んで例えば双曲線状の曲線群8を描く。なお、この曲線群8は双曲線状に限定されず、熱伝導性強化繊維10が断絶しないことを条件にそれぞれの交点7を通過して二つの中心点2を最短距離で結ぶものが好ましい。
【0018】
(1)〜(4)で説明したように仮定された例えば双曲線状の曲線群8の位置に沿って、マトリックス11よりも高い熱伝導性を有する熱伝導性強化繊維10を当該マトリックス11に配向・配置する。図1の放熱基板9は連結部1を四箇所備えた四辺形なので、連結部1の中心点2は四箇所、隣り合う中心点2を結ぶ仮想直線が四本となり、その中点3が4箇所存在し、同心円群6は放熱基板9の外周を形成する各辺に対応する四箇所にそれぞれ描かれ、この四箇所の同心円群6に対応させて曲線群8が描かれる。熱伝導効率を良好にするためには各曲線群8の本数を多く、即ち放熱基板9に敷設する熱伝導性強化繊維10の密度を高くしてモジュール12の発熱領域を網羅する構成が好ましい。
【0019】
図示した熱伝導性強化繊維10は、一例として双曲線状に形成して二つの連結部1を結んだものであるが、距離の短い熱伝導経路ほど熱伝導させ易く、モジュール12の発熱中心点4から放熱できることから、発熱中心点4と各連結部1とを最短距離で結ぶ直線状の熱伝導経路が望ましい。しかし前述のように、熱伝導経路を形成する熱伝導性強化繊維10に、特に炭素系などの繊維素材を用いる場合には小さな曲率で配向を変化させると繊維が断絶・破断して熱伝導が途切れてしまう。熱伝導性強化繊維10は、モジュール12の発熱している部分を通過し、また高温となっている部分を網羅しながら、最短距離で放熱基板9に備えられた例えば二箇所の連結部1間を結ぶもので、繊維の断絶を防ぐために少なくとも部分的に曲線部分を有する。
【0020】
なお、図1には四箇所の連結部1を放熱基板9の四隅に備え、熱伝導性強化繊維を配向・配置したものを例示したが、この発明の実施の形態1による複合材料放熱基板は、二箇所以上の連結部1を有するマトリックス11に熱伝導性強化繊維10を配向・配置して、当該放熱基板9が例えば水平等となる状態で他のシャシ等に固定された場合でも放熱基板9の中央近傍で発せられた熱を当該放熱基板9の外周部位に備えた連結部1へ伝導し、この連結部1から他のシャシ等へ熱を伝導させ、放熱基板9に実装されたモジュール12の放熱を行うものである。また、二箇所の連結部1を結ぶ熱伝導性強化繊維10の中央近傍を放熱させたい部分に配置することにより、特に熱伝導性に異方性を有する炭素繊維などを熱伝導性強化繊維10に用いると効率よく発熱中心点4などの発熱部位の他に高温となっている部分からも熱を連結部1へ伝導することができる。
【0021】
図2は、平面が長方形状の放熱基板9外周の短辺9a,9bの中央に連結部1を各々一箇所、計二箇所備えた一例で、二つの連結部1を結ぶ仮想直線A上にモジュール12の発熱中心点4が位置するように、モジュール12を放熱基板9表面に配置したものである。図2に示したような形状の放熱基板9に熱伝導部材10を配向・配置する場合は、仮想直線A上にモジュール12の発熱中心点4を設置し、熱伝導が最も有効に行われるように配置する。モジュール12の発熱は発熱中心点4に限られるものではなく、放熱が必要になる温度まで発熱する部分はモジュール12の各部に分布している場合もあるので、必ずモジュール12の発熱中心点4を図示した仮想直線A上に配置することに限定されず、放熱基板9の平面上で図示した仮想直線Aと平行な直線を仮定し、モジュール12の熱を効率良く伝導できるように当該放熱基板に配置するようにしてもよい。
【0022】
仮想直線Aと直交する仮想直線Bを、発熱中心点4を通過するように仮定して、この仮想直線B上の適当な位置に図1に示した中点3に相当する同心円群6の中心を設定して当該同心円群6を仮定する。図2では図示を省略した同心円群6を構成する各円が仮想直線Bと交錯する交点を通り、放熱基板9の両側方に備えられた二つの連結部1を結ぶように熱伝導性強化繊維10を設ける。
【0023】
図3は、同じく平面が長方形状の放熱基板9外周の一対の対向する二箇所の角部9cに連結部1を設けた一例を示したものである。図3に示した放熱基板9も図2に示した放熱基板9で説明したように二箇所の連結部1間を結ぶ仮想直線Aを仮定し、この仮想直線Aと直交する仮想直線Bを仮定して、仮想直線B上の適当な位置に図1に示した中点3を仮定して同心円群6を描き、この同心円群6の各円周と仮想直線Bとの交点を通過して角部9cにそれぞれ備えられた二つの連結部1を結ぶように熱伝導性強化繊維10を設ける。なお、図2に示した放熱基板9の説明と同様に、放熱が必要になる温度まで発熱する部分はモジュール12の種類・構成により様々な部分に分布しているので、必ずモジュール12の発熱中心点4が放熱基板9の仮想直線A上となる配置には限定されず、放熱基板9の平面上で図示した仮想直線Aと平行な直線を適当な位置に仮定して、この仮想直線Aと直交する仮想直線B上に同心円群6を仮定してもよい。
【0024】
図3は、平面が円形状の放熱基板9に連結部1を三箇所備えた一例を示すもので、放熱基板9の外周に沿った円周部位に、例えば360度/3分割=120度の等間隔で連結部1を配置したものである。隣り合う二つの連結部1との間を結ぶように設けられた熱伝導性強化繊維10は、図1を用いて説明したように隣り合う二つの連結部1間に仮定した仮想直線の中間点3、同心円群6等を用いて配向・配置されたもので、ここではその配向・配置に関する説明を省略する。
【0025】
図5は、平面が円形状の放熱基板9に連結部1を四箇所設けた一例を示すもので、放熱基板9外周に沿った円周部位に360度/4分割=120度の等間隔で連結部1を配置したものである。このように円形状の放熱基板9に連結部1を四箇所設けた場合も、図1を用いて説明したように隣り合う二つの連結部1との間を結ぶように仮定した仮想直線の中間点3、及び同心円群6等を用いて熱伝導性強化繊維10を配向・配置する。なお、ここではその配向・配置に関する説明を省略する。
【0026】
図6は、細長い長方形状の放熱基板9に、長手方向の二辺の両縁端部位と中間部位に連結部1を計六箇所設けた一例を示したものである。図6では説明を簡単にするため、モジュール12を放熱基板9の中央部に搭載したものを例示しているが、モジュール12の配置は図示したものに限定されない。また、図6の放熱基板9は、基本的にはこれまで説明した他の形状の放熱基板9と同様に、図1に示した隣り合う二つの連結部1との間を結ぶように仮定した各仮想直線の中間点3、同心円群6等を用いて熱伝導性強化繊維10を配向・配置したものである。また、図6に示した放熱基板9は、モジュール12の中央部分に最も発熱する発熱中心点4があるものと仮定して熱伝導強化繊維10を配向・配置した一例を示したものである。
【0027】
例えば、図6に示したモジュール12が前述のように中央部分が最も発熱する発熱中心点4を有し、また他の部分でも相当発熱する発熱点4aを有するものである場合、モジュール12の発熱中心点4に最も近い連結部1aは相当高い温度となる。モジュール12の中央部以外の発熱点4aで発した熱は、連結部1aが最も近い場合でも連結部1aに向かって伝導されず、連結部1aに比べ温度の低い、例えば連結部1bへ向かって配向・配置されている熱伝導性強化繊維10によって連結部1bへ伝導され放熱される。
【0028】
図7は、図1に示した放熱基板と同様な形状をしたもので、四箇所の角部に連結部1を設けた長方形状をしている。例えばこのような形状の放熱基板9に当該基板中央部からオフセットさせてモジュール12を実装した場合に、当該放熱基板9に備えられる熱伝導性強化繊維10の配向・配置を示したものである。このように放熱基板9にモジュール12を実装する場合にも、図1を用いて(1)ないし(4)の項目に分けて説明した各仮想直線や、その中点3、同心円群6などを仮定してモジュール12の発熱中心点4を通過、もしくは近付けるようにし、発熱部位を網羅するように熱伝導性強化繊維10を配向・配置する。
【0029】
なお、放熱基板9は熱伝導性強化繊維10を有効な熱伝導が行える程度に基板厚み方向に複数重ねて構成し、また必要に応じて仮想する同心円群6の円の数を増やし、熱伝導性強化繊維10の密度を高くして敷設する。また、好ましくは二つの連結部1を結ぶ熱伝導性強化繊維10の長さ、即ち距離を短く敷設して熱伝導効率を高める。ただし、前述のように炭素繊維等が断絶する小さな曲率による曲げ等の構成を避け、少なくとも部分的に曲線部分を形成させる。
【0030】
また、単一の放熱基板9に複数のモジュール12が実装される場合には、放熱基板9において、最も高温となる箇所を発熱中心点4として熱伝導性強化繊維10を敷設構成する。また、図6に示したように、発熱中心点4の他に発熱点4aを想定して熱伝導性強化繊維10の配向・配置を複数の高温となる箇所から熱伝導が行えるように構成してもよい。
【0031】
図8及び図9は、例えば図2に示した連結部1を二箇所設けた放熱基板9の放熱作用を示したものである。図において、Hはモジュール12が発熱した熱の伝導を示す矢印である。図8は上方からみた放熱基板9の概略平面を示すもので、図9はヒートシンク13が取り付けられた放熱基板9の要部概略縦断面を示すものである。
【0032】
図8に示した放熱基板9のように、隣り合う連結部1を結ぶ熱伝導性強化繊維10を例えば双曲線状の曲線群として配向・配置させることにより、モジュール12で発生した熱は、放熱基板9の中央部に蓄積されることなく熱伝導性強化繊維10が配向・配置に沿って矢印Hで示した方向へ制御された熱流として効率よく連結部1に導かれる。放熱基板9の各連結部1に伝導された熱は、図9に示すように、連結部材30を介してヒートシンク13に迅速に伝導させることができ、放熱基板9の放熱性が顕著に向上する。
【0033】
【実施例】
実施例1.
次に、実施例1について説明する。
図10は、この発明の実施の形態1による実施例1ないし実施の形態4による実施例4の複合材料放熱基板の各部位の実測温度を表記した説明図である。
熱伝導性炭素繊維を熱伝導性強化繊維10に用い、アルミニウムをマトリックス11とした複合材料から構成された放熱基板9を、図8に示した熱伝導性強化繊維10のように配向・配置させて複合材料放熱基板を作製した。また、比較用の放熱基板として、アルミニウム単一材料からなる従来の放熱基板も作製した。作製した各放熱基板上に発熱源となるモジュール12として高周波増幅器を各々実装し、また各放熱基板をヒートシンク13として熱容量の大きなシャシに連結部1を介して固定した。連結部1に接する固定用のピン、ネジ等は、銅合金など熱伝導性の良いものを使用した。室温25℃でモジュール12を作動させ、30分以上動作維持した後、各放熱基板の中央部と連結部1の温度を赤外線温度計で測定し比較した。この測定結果を図10の項目1と項目2に示す。
【0034】
熱伝導性炭素繊維を熱伝導性強化繊維10とし、アルミニウムをマトリックス11とする複合材料からなる実施例1の複合材料放熱基板は、図10の項目2から明らかなように、図10の項目1に示した従来のアルミニウム単一材料からなる放熱基板に比べて、当該実施例1による放熱基板9の中央部の温度が低くなり、また当該基板中央部と連結部1の温度差も小さくなっており、この発明による複合材料放熱基板のように放熱強化繊維を配向・配置することによって、放熱性が顕著に向上することがわかる。
【0035】
以上のように、実施の形態1によれば、複合材料放熱基板に発熱量の大きなモジュール12等が搭載された場合でも当該基板内で温度上昇が抑えられるので、モジュール12やその他の素子の高集積化、高出力化、及び小型化が可能になると共に、モジュール12や素子が安定して動作することができ、また寿命が伸びることから信頼性が向上するという効果がある。また、放熱基板9の連結部1に連結部材30を連結して、放熱基板9の中央部からヒートシンク13等まで熱伝導経路を形成させることができ、ヒートシンク13へ迅速に放熱させることができるという効果がある。
【0036】
実施の形態2.
この発明の実施の形態2による複合材料放熱基板は、図1ないし図9を用いて説明した実施の形態1の複合材料放熱基板において、複合材料を構成する熱伝導性強化繊維10に炭素繊維、金属繊維、あるいはセラミック繊維のいずれかを用いて構成したもので、その他の部分は図1ないし図9に示したものと同様に構成され、ここでは図1ないし図9において同一部分に用いた符号を用い、その符号の説明及び複合材料放熱基板の詳細な構成の説明を省略する。
【0037】
実施の形態2による放熱基板9は、熱伝導性強化繊維10として熱伝導性を有する炭素繊維のピッチ系炭素繊維を使用したもの、あるいは金属繊維の銅、アルミニウム、銀などを加工した金属繊維を使用したもの、あるいはセラミック繊維の炭化珪素、窒化珪素等の繊維を使用したものである。これらのような熱伝導性を有する繊維を用いて、図1ないし図9に示した放熱基板9を構成した実施の形態2による複合材料放熱基板は、放熱基板9の中央部に蓄積される熱を当該基板外周部へ伝導させ、モジュール12から発せられる熱量に応じて十分に放熱させることができる。
【0038】
【実施例】
実施例2.
次に、実施例2について説明する。
熱伝導性炭素繊維を熱伝導性強化繊維10とし、エポキシ樹脂をマトリックス11として使用し、実施の形態1で説明したようにエポキシ樹脂のマトリックス11に熱伝導性強化繊維10の配向・配置を行い、図8に示した放熱基板9を作製した。実施例2の放熱基板9上に実装した発熱源となるモジュール12は、実施例1の放熱基板9及び比較用に製作した従来のアルミニウム単一材料から成る放熱基板に実装したものと同様な高周波増幅器を実装し、また、実施例2の放熱基板9が固定されるヒートシンク13は、実施例1の放熱基板9及び前記従来の放熱基板を固定したものと同じシャシを用い、室温25℃でモジュール12を作動させ、30分以上動作保持した後、当該実施例2による放熱基板9の中央部と連結部の温度を赤外線温度計で測定した。その測定結果を図10の項目3に示す。
【0039】
熱伝導性炭素繊維を熱伝導性強化繊維10とし、エポキシ樹脂をマトリックス11とする複合材料からなる実施例2の放熱基板9は、図10の項目3から明らかなように、図10の項目1に示した従来のアルミニウム単一材料からなる放熱基板9に比べて、当該放熱基板9の中央部の温度が低く、また中央部と連結部の温度差も小さくなっており、この発明による熱伝導性強化繊維10の配向・配置により実施例2の放熱基板9の放熱性が向上していることがわかる。また、熱伝導性炭素繊維を熱伝導性強化繊維10とし、エポキシ樹脂の代わりにシアネート樹脂をマトリックス11とした複合材料からなる放熱基板9においても、同様な放熱結果が得られた。
【0040】
以上のように、実施の形態2によれば、複合材料の放熱基板9に発熱量の大きなモジュール12や素子等が搭載されても、当該基板上の温度上昇が抑えられ、モジュール12等の高集積化、高出力化、及び小型化が可能になると共に、モジュール12等の動作が安定し、寿命が伸びるという効果がある。
【0041】
実施の形態3.
この発明の実施の形態3による複合材料基板は、実施の形態1あるいは実施の形態2による複合材料放熱基板において、マトリックス11に樹脂、金属、セラミックのいずれかの材料を用いて構成したものである。即ち、図1ないし図9に示した放熱基板と同様に構成され、熱伝導性強化繊維10に炭素繊維、金属繊維、あるいはセラミック繊維のいずれかを用い、マトリックスを樹脂、金属、あるいはセラミックのいずれかを用いて、これらの材料の組み合わせのいずれかにより構成された複合材料からなる放熱基板である。ここでは図1ないし図9に示した同一部分に用いた符号を用い、その符号の説明及び複合材料放熱基板の詳細な構成の説明を省略する。
【0042】
【実施例】
実施例3.
次に、実施例3について説明する。
銅繊維を熱伝導性強化繊維10とし、エポキシ樹脂をマトリックス11とする複合材料から成る実施例3の放熱基板9を、実施の形態1で説明した図8の放熱基板9のように熱伝導性強化繊維10を配向・配置させて作製した。実施例3の放熱基板9に実装する発熱源のモジュール12は、実施例1の放熱基板9及び比較用に製作した従来のアルミニウム単一材料からなる放熱基板に実装したものと同様な高周波増幅器を用い、また実施例3の放熱基板9を固定するヒートシンクも実施例1の放熱基板9及び前記従来の放熱基板を固定したシャシを用い、室温25℃でモジュール12を作動させ、30分以上動作保持した後、実施例3の放熱基板9の中央部と連結部の温度を測定した。その測定結果を図10の項目4に示す。
【0043】
図10に示した測定結果から明らかなように、銅繊維を熱伝導性強化繊維10とし、エポキシ樹脂をマトリックス11とする複合材料からなる実施例3の放熱基板9は、図10の項目1の従来のアルミニウム単一材料からなる放熱基板と比較して、基板中央部の温度が低く、また中央部と連結部の温度差も小さくなり、この発明による熱伝導性強化繊維10の配向・配置により実施例3の放熱基板9の放熱性が向上していることがわかる。
【0044】
実施の形態4.
この発明の実施の形態4による複合材料放熱基板は、図1ないし図9に示した放熱基板9において、熱伝導性強化繊維10に炭素繊維を用い、マトリックス11を炭素で構成したものである。ここでは図1ないし図9に示した同一部分に付した符号と同じ符号を用い、その符号の説明及び複合材料放熱基板の詳細な構成の説明を省略する。熱伝導性炭素繊維を熱伝導性強化繊維10とし、炭素をマトリックス11とする複合材料は、炭素繊維強化炭素複合材料(以下、C/Cと記載する)と呼ばれ、このようにC/Cから成る実施の形態4による放熱基板9は、炭素繊維が有する熱伝導の異方性を有効に利用することができ、当該基板中央部の熱を基板外周部分に向かって伝導する効率が非常に良好である。
【0045】
【実施例】
実施例4.
次に、実施例4を説明する。
熱伝導性を有するピッチ系炭素繊維を熱伝導性強化繊維10とし、炭素をマトリックス11とする複合材料(C/C)からなる放熱基板9を、実施の形態1で説明した図8の放熱基板9のように熱伝導性強化繊維10を配向・配置させて作製した。実施例4の放熱基板9に実装する発熱源のモジュール12は、実施例1の放熱基板9及び比較用に作製した従来のアルミニウム単一材料から成る放熱基板に実装したものと同様な高周波増幅器を用い、また実施例4の放熱基板9を固定するヒートシンクも実施例1の放熱基板9及び前記従来の放熱基板を固定したシャシを用い、室温25℃でモジュール12を作動させ、30分以上動作保持した後、実施例4の放熱基板9の中央部と連結部の温度を測定した。その測定結果を図10の項目5に示す。
【0046】
熱伝導性の複合材料(C/C)からなる実施例4の放熱基板9は、図10の項目1に示す従来のアルミニウム単一材料からなる放熱基板と比較して、当該実施例4の放熱基板9の中央部の温度はかなり低くなり、また中央部と連結部1の温度差も縮小して、この発明による熱伝導性強化繊維10の配向・配置によって実施例4の放熱基板9の熱伝導効率が向上していることがわかる。
【0047】
以上のように、実施の形態4によれば、放熱基板9に高発熱量のモジュール12や素子が搭載された場合も、当該基板の温度上昇が抑えられるため、モジュール12等の高集積化、高出力化、及び小型化が可能になる上に、モジュール12等が安定して動作し、寿命が伸びるという効果がある。
【0048】
また、以上のように実施の形態1による実施例1ないし実施の形態4による実施例4によれば、熱伝導性強化繊維10を備えることにより、放熱基板9の中央部分の熱を当該放熱基板9の外周に備えた各連結部1へ伝導させることができ、放熱基板9に実装されたモジュール12の放熱効率を高めることができる。また、同じ熱量を放熱する熱伝導性強化繊維10を備えていない従来の放熱基板に比べ薄く構成できるという効果がある。
【0049】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、熱源が発生した熱を複合材料放熱基板の中央部に蓄積することなく、当該放熱基板に備えられた熱伝導性強化繊維の配向に沿った熱流として効率よく当該放熱基板の連結部位に伝導することができるという効果がある。
【0050】
、この発明によれば、基板中央部の熱を当該放熱基板の外周方向へ伝導させることができ、当該放熱基板に高発熱量のモジュールや素子が搭載された場合も、モジュール等が搭載された部分の温度上昇が抑えられ、モジュール等の高集積化、高出力化、及び小型化が可能になると共に、モジュールや素子が安定して動作し寿命が伸びて信頼性が向上するという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1による複合材料放熱基板の構成を示す説明図である。
【図2】この発明の実施の形態1による複合材料放熱基板の構成を示す説明図である。
【図3】この発明の実施の形態1による複合材料放熱基板の構成を示す説明図である。
【図4】この発明の実施の形態1による複合材料放熱基板の構成を示す説明図である。
【図5】この発明の実施の形態1による複合材料放熱基板の構成を示す説明図である。
【図6】この発明の実施の形態1による複合材料放熱基板の構成を示す説明図である。
【図7】この発明の実施の形態1による複合材料放熱基板の構成を示す説明図である。
【図8】この発明の実施の形態1による複合材料放熱基板の構成を示す説明図である。
【図9】この発明の実施の形態1による複合材料放熱基板の構成を示す説明図である。
【図10】この発明の実施の形態1による実施例1ないし実施の形態4による実施例4の複合材料放熱基板の各部位の実測温度を表記した説明図である。
【図11】従来の複合材料放熱基板の構成を示す説明図である。
【図12】従来の複合材料放熱基板の構成を示す説明図である。
【符号の説明】
1,1a,1b 連結部(連結部位)、2 中心点、3 仮想直線の中点(第一の仮想直線上の任意の点)、4 発熱中心点、4a 発熱点、5 仮想直線(第二の仮想直線)、6 同心円群、7 交点、8 曲線群、9 放熱基板(複合材料放熱基板)、9a,9b 短辺、10 熱伝導性強化繊維、11 マトリックス、12 モジュール(熱源)、13 ヒートシンク、30 連結部材。
【発明の属する技術分野】
この発明は、高集積の半導体素子や高周波増幅器などのモジュール搭載に適した複合材料放熱基板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図11及び図12は、従来の複合材料放熱基板の構成を示す説明図である。図において、109は後述する板状部材114と熱伝導部材115とから成る放熱基板、114は銅または銅合金の板状部材、115は炭素等の繊維と金属マトリックスから成る複合材料の熱伝導部材、116,117は銅配線層、118はエポキシ樹脂、119は半導体素子である。
【0003】
図11及び図12に例示したものは、特開2000−150743号公報に開示された複合材料から成る熱伝導部材を備えた半導体装置用放熱基板である。
【0004】
図11は、放熱基板109を斜視したものである。図示した放熱基板109は、熱伝導性の高い銅または銅合金の板状部材114に四辺形の貫通孔を設け、炭素または黒鉛質の繊維と銅または銅合金の金属マトリックスから成る複合材料の熱伝導部材115のエッジに金属メッキを施し、この熱伝導部材115を板状部材114の貫通孔に挿入してロウ材で接合したものである。放熱基板109は、このように高熱伝導性を有する部材を用いて構成することで良好な放熱性を得ている。なお、ここで熱伝導部材115に用いられる複合材料は、板状部材114の貫通孔に挿入することから、熱膨張等の影響を抑制して板状部材114との接合を維持するため、炭素または黒鉛質の繊維が二次元面方向にランダムに配向しているものが望ましい。
【0005】
図12は、従来の複合材料放熱基板の縦断面を示したものである。板状部材114に銅または銅合金等の導電性を有する材料を用いた場合は、図12に示すように、板状部材114表面に絶縁性を有するエポキシ樹脂118等を塗布して絶縁膜を形成させ、このエポキシ樹脂118の絶縁膜上に配線層116,117を形成させる。図12に例示したものでは、配線層117に熱源となる半導体素子119が実装されている。このように、放熱基板109は配線層117に実装された半導体素子119によって発生された熱を配線層117を介して半導体素子119直下あるいは近傍の熱伝導部材115で吸熱して板状部材114の裏面側へ熱伝導させ、当該板状部材114裏面側を対流している気体等に放熱し、半導体素子119近傍に熱を蓄積させないようにするものである。このように図11及び図12に示した従来の放熱基板109は基板表面側から裏面側へ、即ち当該放熱基板109の厚み方向に熱伝導させるものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来の複合材料放熱基板は以上のように構成されているので、放熱性を良好にするため、銅などの高熱伝導性金属と炭素等の繊維が使用され、熱伝導特性として等方性を有する等方性材料が用いられている。これらの等方性を有する複合材料を用いた放熱基板に高集積の半導体素子や高周波増幅器などのモジュールを実装した場合、特にモジュールが実装される基板中央部分の放熱効率が悪く、モジュールが発生した熱がその周辺に蓄積されて部分的に温度が高くなり、モジュールの動作や信頼性に悪影響を及ぼすという課題があった。また、このような基板中央部分に蓄積される熱を放散させるヒートシンクを備える場合には、充分な放熱効果が得られる大型のヒートシンクが必要になり、基板上のモジュール等の配置に問題が生じるという課題があった。
【0007】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、モジュール等によって発生した熱が蓄積され易い部分から、基板外周など比較的温度の低い部分に熱を伝導させ、モジュールの放熱を行う複合材料放熱基板を得ることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る複合材料放熱基板は、当該複合材料放熱基板を固定させる連結部位を当該基板外周に複数備え、複合材料放熱基板に実装される熱源を網羅して隣り合う連結部位を結ぶように熱伝導性強化繊維をマトリックスに配向したものである。
【0009】
この発明に係る複合材料放熱基板は、当該複合材料放熱基板を固定する連結部位を当該基板の外周に複数備え、隣り合う二つの連結部位を結ぶ第一の仮想直線上の任意の点を仮定し、当該基板が有する熱源を通過する第二の仮想直線を仮定し、第一の仮想直線上の任意の点を中心にして仮定した同心円群と第二の仮想直線との交点を各々仮定し、この複数の交点を各々通過して隣り合う二つの連結部位を結ぶ複数の熱伝導性強化繊維をマトリックスに曲線部分を有するように配向させたものである。
【0010】
この発明に係る複合材料放熱基板は、熱伝導性強化繊維が熱源から最も近い連結部位へ熱伝導するように熱伝導性が低いマトリックスに配向されたものである。
【0011】
この発明に係る複合材料放熱基板は、熱伝導性強化繊維が複数の連結部位の中で温度が低い連結部位へ熱伝導するように熱伝導性が低いマトリックスに配向されたものである。
【0012】
この発明に係る複合材料放熱基板は、熱伝導性強化繊維に炭素繊維、金属繊維、あるいはセラミック繊維のいずれかを用いたものである。
【0013】
この発明に係る複合材料放熱基板は、マトリックスに樹脂、金属、あるいはセラミックのいずれかを用いたものである。
【0014】
この発明に係る複合材料放熱基板は、熱伝導性強化繊維に炭素繊維を用い、マトリックスに炭素を用いたものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の一形態を説明する。
実施の形態1.
図1ないし図9は、この発明の実施の形態1による複合材料放熱基板の構成を示す説明図である。図において、1は連結部(連結部位)、2は連結部1の中心点である。3は隣り合う連結部1と連結部1とを結ぶ仮想直線の中点(第一の仮想直線上の任意の点)、即ち後述する同心円群6の中心である。4は放熱基板9に実装されるモジュールなどの発熱中心点、5は中点3と中心点4とを通過する仮想直線(第二の仮想直線)、6は中点3を中心として仮想した同心円群、7は同心円群6と仮想直線5の交点である。8は図中実線で描かれた例えば双曲線状の仮想の曲線群で、熱伝導性強化繊維を配向・配置させる位置を示すものである。9は複合材料から成る放熱基板(複合材料放熱基板)である。10は曲線群8に配置された熱伝導性強化繊維、11はマトリックス、12はモジュール(熱源)、13はヒートシンク、30はヒートシンク13と放熱基板9とを連結する熱伝導性を有する連結部材である。
【0016】
次に、図1に例示した実施の形態1による複合材料放熱基板について説明する。図1に示した放熱基板9は四辺形に形成されたもので、四箇所の角部には外部取り付けのヒートシンク、または排熱用の基板を取り付ける、あるいは対流などにより空間に効率よく放熱できない環境では熱伝導経路を構成してシャシなどに熱を伝導すると共に当該放熱基板9を固定させる連結部1が各々設けられている。図1は、例えば中央部で最も発熱する発熱中心点4を有するモジュール12を、放熱基板9中央部に搭載する構成を示したものである。
【0017】
図1に示した四辺形の放熱基板9の表面上に、次の(1)〜(4)に説明する直線または曲線を仮定する。
(1)隣り合う二つの連結部1の中心点2を結ぶ仮想直線を描く。
(2)前記(1)の仮想直線の中央部位に中点3を想定し、中点3とモジュール12の発熱中心点4とを通過する仮想直線5を描く。
(3)隣り合う二つの連結部1の中心点2を結ぶ仮想直線の中点3を中心とする同心円群6を描く。
(4)同心円群6と仮想直線5が交差する交点7と、隣り合う二つの連結部1の中心点2とを結んで例えば双曲線状の曲線群8を描く。なお、この曲線群8は双曲線状に限定されず、熱伝導性強化繊維10が断絶しないことを条件にそれぞれの交点7を通過して二つの中心点2を最短距離で結ぶものが好ましい。
【0018】
(1)〜(4)で説明したように仮定された例えば双曲線状の曲線群8の位置に沿って、マトリックス11よりも高い熱伝導性を有する熱伝導性強化繊維10を当該マトリックス11に配向・配置する。図1の放熱基板9は連結部1を四箇所備えた四辺形なので、連結部1の中心点2は四箇所、隣り合う中心点2を結ぶ仮想直線が四本となり、その中点3が4箇所存在し、同心円群6は放熱基板9の外周を形成する各辺に対応する四箇所にそれぞれ描かれ、この四箇所の同心円群6に対応させて曲線群8が描かれる。熱伝導効率を良好にするためには各曲線群8の本数を多く、即ち放熱基板9に敷設する熱伝導性強化繊維10の密度を高くしてモジュール12の発熱領域を網羅する構成が好ましい。
【0019】
図示した熱伝導性強化繊維10は、一例として双曲線状に形成して二つの連結部1を結んだものであるが、距離の短い熱伝導経路ほど熱伝導させ易く、モジュール12の発熱中心点4から放熱できることから、発熱中心点4と各連結部1とを最短距離で結ぶ直線状の熱伝導経路が望ましい。しかし前述のように、熱伝導経路を形成する熱伝導性強化繊維10に、特に炭素系などの繊維素材を用いる場合には小さな曲率で配向を変化させると繊維が断絶・破断して熱伝導が途切れてしまう。熱伝導性強化繊維10は、モジュール12の発熱している部分を通過し、また高温となっている部分を網羅しながら、最短距離で放熱基板9に備えられた例えば二箇所の連結部1間を結ぶもので、繊維の断絶を防ぐために少なくとも部分的に曲線部分を有する。
【0020】
なお、図1には四箇所の連結部1を放熱基板9の四隅に備え、熱伝導性強化繊維を配向・配置したものを例示したが、この発明の実施の形態1による複合材料放熱基板は、二箇所以上の連結部1を有するマトリックス11に熱伝導性強化繊維10を配向・配置して、当該放熱基板9が例えば水平等となる状態で他のシャシ等に固定された場合でも放熱基板9の中央近傍で発せられた熱を当該放熱基板9の外周部位に備えた連結部1へ伝導し、この連結部1から他のシャシ等へ熱を伝導させ、放熱基板9に実装されたモジュール12の放熱を行うものである。また、二箇所の連結部1を結ぶ熱伝導性強化繊維10の中央近傍を放熱させたい部分に配置することにより、特に熱伝導性に異方性を有する炭素繊維などを熱伝導性強化繊維10に用いると効率よく発熱中心点4などの発熱部位の他に高温となっている部分からも熱を連結部1へ伝導することができる。
【0021】
図2は、平面が長方形状の放熱基板9外周の短辺9a,9bの中央に連結部1を各々一箇所、計二箇所備えた一例で、二つの連結部1を結ぶ仮想直線A上にモジュール12の発熱中心点4が位置するように、モジュール12を放熱基板9表面に配置したものである。図2に示したような形状の放熱基板9に熱伝導部材10を配向・配置する場合は、仮想直線A上にモジュール12の発熱中心点4を設置し、熱伝導が最も有効に行われるように配置する。モジュール12の発熱は発熱中心点4に限られるものではなく、放熱が必要になる温度まで発熱する部分はモジュール12の各部に分布している場合もあるので、必ずモジュール12の発熱中心点4を図示した仮想直線A上に配置することに限定されず、放熱基板9の平面上で図示した仮想直線Aと平行な直線を仮定し、モジュール12の熱を効率良く伝導できるように当該放熱基板に配置するようにしてもよい。
【0022】
仮想直線Aと直交する仮想直線Bを、発熱中心点4を通過するように仮定して、この仮想直線B上の適当な位置に図1に示した中点3に相当する同心円群6の中心を設定して当該同心円群6を仮定する。図2では図示を省略した同心円群6を構成する各円が仮想直線Bと交錯する交点を通り、放熱基板9の両側方に備えられた二つの連結部1を結ぶように熱伝導性強化繊維10を設ける。
【0023】
図3は、同じく平面が長方形状の放熱基板9外周の一対の対向する二箇所の角部9cに連結部1を設けた一例を示したものである。図3に示した放熱基板9も図2に示した放熱基板9で説明したように二箇所の連結部1間を結ぶ仮想直線Aを仮定し、この仮想直線Aと直交する仮想直線Bを仮定して、仮想直線B上の適当な位置に図1に示した中点3を仮定して同心円群6を描き、この同心円群6の各円周と仮想直線Bとの交点を通過して角部9cにそれぞれ備えられた二つの連結部1を結ぶように熱伝導性強化繊維10を設ける。なお、図2に示した放熱基板9の説明と同様に、放熱が必要になる温度まで発熱する部分はモジュール12の種類・構成により様々な部分に分布しているので、必ずモジュール12の発熱中心点4が放熱基板9の仮想直線A上となる配置には限定されず、放熱基板9の平面上で図示した仮想直線Aと平行な直線を適当な位置に仮定して、この仮想直線Aと直交する仮想直線B上に同心円群6を仮定してもよい。
【0024】
図3は、平面が円形状の放熱基板9に連結部1を三箇所備えた一例を示すもので、放熱基板9の外周に沿った円周部位に、例えば360度/3分割=120度の等間隔で連結部1を配置したものである。隣り合う二つの連結部1との間を結ぶように設けられた熱伝導性強化繊維10は、図1を用いて説明したように隣り合う二つの連結部1間に仮定した仮想直線の中間点3、同心円群6等を用いて配向・配置されたもので、ここではその配向・配置に関する説明を省略する。
【0025】
図5は、平面が円形状の放熱基板9に連結部1を四箇所設けた一例を示すもので、放熱基板9外周に沿った円周部位に360度/4分割=120度の等間隔で連結部1を配置したものである。このように円形状の放熱基板9に連結部1を四箇所設けた場合も、図1を用いて説明したように隣り合う二つの連結部1との間を結ぶように仮定した仮想直線の中間点3、及び同心円群6等を用いて熱伝導性強化繊維10を配向・配置する。なお、ここではその配向・配置に関する説明を省略する。
【0026】
図6は、細長い長方形状の放熱基板9に、長手方向の二辺の両縁端部位と中間部位に連結部1を計六箇所設けた一例を示したものである。図6では説明を簡単にするため、モジュール12を放熱基板9の中央部に搭載したものを例示しているが、モジュール12の配置は図示したものに限定されない。また、図6の放熱基板9は、基本的にはこれまで説明した他の形状の放熱基板9と同様に、図1に示した隣り合う二つの連結部1との間を結ぶように仮定した各仮想直線の中間点3、同心円群6等を用いて熱伝導性強化繊維10を配向・配置したものである。また、図6に示した放熱基板9は、モジュール12の中央部分に最も発熱する発熱中心点4があるものと仮定して熱伝導強化繊維10を配向・配置した一例を示したものである。
【0027】
例えば、図6に示したモジュール12が前述のように中央部分が最も発熱する発熱中心点4を有し、また他の部分でも相当発熱する発熱点4aを有するものである場合、モジュール12の発熱中心点4に最も近い連結部1aは相当高い温度となる。モジュール12の中央部以外の発熱点4aで発した熱は、連結部1aが最も近い場合でも連結部1aに向かって伝導されず、連結部1aに比べ温度の低い、例えば連結部1bへ向かって配向・配置されている熱伝導性強化繊維10によって連結部1bへ伝導され放熱される。
【0028】
図7は、図1に示した放熱基板と同様な形状をしたもので、四箇所の角部に連結部1を設けた長方形状をしている。例えばこのような形状の放熱基板9に当該基板中央部からオフセットさせてモジュール12を実装した場合に、当該放熱基板9に備えられる熱伝導性強化繊維10の配向・配置を示したものである。このように放熱基板9にモジュール12を実装する場合にも、図1を用いて(1)ないし(4)の項目に分けて説明した各仮想直線や、その中点3、同心円群6などを仮定してモジュール12の発熱中心点4を通過、もしくは近付けるようにし、発熱部位を網羅するように熱伝導性強化繊維10を配向・配置する。
【0029】
なお、放熱基板9は熱伝導性強化繊維10を有効な熱伝導が行える程度に基板厚み方向に複数重ねて構成し、また必要に応じて仮想する同心円群6の円の数を増やし、熱伝導性強化繊維10の密度を高くして敷設する。また、好ましくは二つの連結部1を結ぶ熱伝導性強化繊維10の長さ、即ち距離を短く敷設して熱伝導効率を高める。ただし、前述のように炭素繊維等が断絶する小さな曲率による曲げ等の構成を避け、少なくとも部分的に曲線部分を形成させる。
【0030】
また、単一の放熱基板9に複数のモジュール12が実装される場合には、放熱基板9において、最も高温となる箇所を発熱中心点4として熱伝導性強化繊維10を敷設構成する。また、図6に示したように、発熱中心点4の他に発熱点4aを想定して熱伝導性強化繊維10の配向・配置を複数の高温となる箇所から熱伝導が行えるように構成してもよい。
【0031】
図8及び図9は、例えば図2に示した連結部1を二箇所設けた放熱基板9の放熱作用を示したものである。図において、Hはモジュール12が発熱した熱の伝導を示す矢印である。図8は上方からみた放熱基板9の概略平面を示すもので、図9はヒートシンク13が取り付けられた放熱基板9の要部概略縦断面を示すものである。
【0032】
図8に示した放熱基板9のように、隣り合う連結部1を結ぶ熱伝導性強化繊維10を例えば双曲線状の曲線群として配向・配置させることにより、モジュール12で発生した熱は、放熱基板9の中央部に蓄積されることなく熱伝導性強化繊維10が配向・配置に沿って矢印Hで示した方向へ制御された熱流として効率よく連結部1に導かれる。放熱基板9の各連結部1に伝導された熱は、図9に示すように、連結部材30を介してヒートシンク13に迅速に伝導させることができ、放熱基板9の放熱性が顕著に向上する。
【0033】
【実施例】
実施例1.
次に、実施例1について説明する。
図10は、この発明の実施の形態1による実施例1ないし実施の形態4による実施例4の複合材料放熱基板の各部位の実測温度を表記した説明図である。
熱伝導性炭素繊維を熱伝導性強化繊維10に用い、アルミニウムをマトリックス11とした複合材料から構成された放熱基板9を、図8に示した熱伝導性強化繊維10のように配向・配置させて複合材料放熱基板を作製した。また、比較用の放熱基板として、アルミニウム単一材料からなる従来の放熱基板も作製した。作製した各放熱基板上に発熱源となるモジュール12として高周波増幅器を各々実装し、また各放熱基板をヒートシンク13として熱容量の大きなシャシに連結部1を介して固定した。連結部1に接する固定用のピン、ネジ等は、銅合金など熱伝導性の良いものを使用した。室温25℃でモジュール12を作動させ、30分以上動作維持した後、各放熱基板の中央部と連結部1の温度を赤外線温度計で測定し比較した。この測定結果を図10の項目1と項目2に示す。
【0034】
熱伝導性炭素繊維を熱伝導性強化繊維10とし、アルミニウムをマトリックス11とする複合材料からなる実施例1の複合材料放熱基板は、図10の項目2から明らかなように、図10の項目1に示した従来のアルミニウム単一材料からなる放熱基板に比べて、当該実施例1による放熱基板9の中央部の温度が低くなり、また当該基板中央部と連結部1の温度差も小さくなっており、この発明による複合材料放熱基板のように放熱強化繊維を配向・配置することによって、放熱性が顕著に向上することがわかる。
【0035】
以上のように、実施の形態1によれば、複合材料放熱基板に発熱量の大きなモジュール12等が搭載された場合でも当該基板内で温度上昇が抑えられるので、モジュール12やその他の素子の高集積化、高出力化、及び小型化が可能になると共に、モジュール12や素子が安定して動作することができ、また寿命が伸びることから信頼性が向上するという効果がある。また、放熱基板9の連結部1に連結部材30を連結して、放熱基板9の中央部からヒートシンク13等まで熱伝導経路を形成させることができ、ヒートシンク13へ迅速に放熱させることができるという効果がある。
【0036】
実施の形態2.
この発明の実施の形態2による複合材料放熱基板は、図1ないし図9を用いて説明した実施の形態1の複合材料放熱基板において、複合材料を構成する熱伝導性強化繊維10に炭素繊維、金属繊維、あるいはセラミック繊維のいずれかを用いて構成したもので、その他の部分は図1ないし図9に示したものと同様に構成され、ここでは図1ないし図9において同一部分に用いた符号を用い、その符号の説明及び複合材料放熱基板の詳細な構成の説明を省略する。
【0037】
実施の形態2による放熱基板9は、熱伝導性強化繊維10として熱伝導性を有する炭素繊維のピッチ系炭素繊維を使用したもの、あるいは金属繊維の銅、アルミニウム、銀などを加工した金属繊維を使用したもの、あるいはセラミック繊維の炭化珪素、窒化珪素等の繊維を使用したものである。これらのような熱伝導性を有する繊維を用いて、図1ないし図9に示した放熱基板9を構成した実施の形態2による複合材料放熱基板は、放熱基板9の中央部に蓄積される熱を当該基板外周部へ伝導させ、モジュール12から発せられる熱量に応じて十分に放熱させることができる。
【0038】
【実施例】
実施例2.
次に、実施例2について説明する。
熱伝導性炭素繊維を熱伝導性強化繊維10とし、エポキシ樹脂をマトリックス11として使用し、実施の形態1で説明したようにエポキシ樹脂のマトリックス11に熱伝導性強化繊維10の配向・配置を行い、図8に示した放熱基板9を作製した。実施例2の放熱基板9上に実装した発熱源となるモジュール12は、実施例1の放熱基板9及び比較用に製作した従来のアルミニウム単一材料から成る放熱基板に実装したものと同様な高周波増幅器を実装し、また、実施例2の放熱基板9が固定されるヒートシンク13は、実施例1の放熱基板9及び前記従来の放熱基板を固定したものと同じシャシを用い、室温25℃でモジュール12を作動させ、30分以上動作保持した後、当該実施例2による放熱基板9の中央部と連結部の温度を赤外線温度計で測定した。その測定結果を図10の項目3に示す。
【0039】
熱伝導性炭素繊維を熱伝導性強化繊維10とし、エポキシ樹脂をマトリックス11とする複合材料からなる実施例2の放熱基板9は、図10の項目3から明らかなように、図10の項目1に示した従来のアルミニウム単一材料からなる放熱基板9に比べて、当該放熱基板9の中央部の温度が低く、また中央部と連結部の温度差も小さくなっており、この発明による熱伝導性強化繊維10の配向・配置により実施例2の放熱基板9の放熱性が向上していることがわかる。また、熱伝導性炭素繊維を熱伝導性強化繊維10とし、エポキシ樹脂の代わりにシアネート樹脂をマトリックス11とした複合材料からなる放熱基板9においても、同様な放熱結果が得られた。
【0040】
以上のように、実施の形態2によれば、複合材料の放熱基板9に発熱量の大きなモジュール12や素子等が搭載されても、当該基板上の温度上昇が抑えられ、モジュール12等の高集積化、高出力化、及び小型化が可能になると共に、モジュール12等の動作が安定し、寿命が伸びるという効果がある。
【0041】
実施の形態3.
この発明の実施の形態3による複合材料基板は、実施の形態1あるいは実施の形態2による複合材料放熱基板において、マトリックス11に樹脂、金属、セラミックのいずれかの材料を用いて構成したものである。即ち、図1ないし図9に示した放熱基板と同様に構成され、熱伝導性強化繊維10に炭素繊維、金属繊維、あるいはセラミック繊維のいずれかを用い、マトリックスを樹脂、金属、あるいはセラミックのいずれかを用いて、これらの材料の組み合わせのいずれかにより構成された複合材料からなる放熱基板である。ここでは図1ないし図9に示した同一部分に用いた符号を用い、その符号の説明及び複合材料放熱基板の詳細な構成の説明を省略する。
【0042】
【実施例】
実施例3.
次に、実施例3について説明する。
銅繊維を熱伝導性強化繊維10とし、エポキシ樹脂をマトリックス11とする複合材料から成る実施例3の放熱基板9を、実施の形態1で説明した図8の放熱基板9のように熱伝導性強化繊維10を配向・配置させて作製した。実施例3の放熱基板9に実装する発熱源のモジュール12は、実施例1の放熱基板9及び比較用に製作した従来のアルミニウム単一材料からなる放熱基板に実装したものと同様な高周波増幅器を用い、また実施例3の放熱基板9を固定するヒートシンクも実施例1の放熱基板9及び前記従来の放熱基板を固定したシャシを用い、室温25℃でモジュール12を作動させ、30分以上動作保持した後、実施例3の放熱基板9の中央部と連結部の温度を測定した。その測定結果を図10の項目4に示す。
【0043】
図10に示した測定結果から明らかなように、銅繊維を熱伝導性強化繊維10とし、エポキシ樹脂をマトリックス11とする複合材料からなる実施例3の放熱基板9は、図10の項目1の従来のアルミニウム単一材料からなる放熱基板と比較して、基板中央部の温度が低く、また中央部と連結部の温度差も小さくなり、この発明による熱伝導性強化繊維10の配向・配置により実施例3の放熱基板9の放熱性が向上していることがわかる。
【0044】
実施の形態4.
この発明の実施の形態4による複合材料放熱基板は、図1ないし図9に示した放熱基板9において、熱伝導性強化繊維10に炭素繊維を用い、マトリックス11を炭素で構成したものである。ここでは図1ないし図9に示した同一部分に付した符号と同じ符号を用い、その符号の説明及び複合材料放熱基板の詳細な構成の説明を省略する。熱伝導性炭素繊維を熱伝導性強化繊維10とし、炭素をマトリックス11とする複合材料は、炭素繊維強化炭素複合材料(以下、C/Cと記載する)と呼ばれ、このようにC/Cから成る実施の形態4による放熱基板9は、炭素繊維が有する熱伝導の異方性を有効に利用することができ、当該基板中央部の熱を基板外周部分に向かって伝導する効率が非常に良好である。
【0045】
【実施例】
実施例4.
次に、実施例4を説明する。
熱伝導性を有するピッチ系炭素繊維を熱伝導性強化繊維10とし、炭素をマトリックス11とする複合材料(C/C)からなる放熱基板9を、実施の形態1で説明した図8の放熱基板9のように熱伝導性強化繊維10を配向・配置させて作製した。実施例4の放熱基板9に実装する発熱源のモジュール12は、実施例1の放熱基板9及び比較用に作製した従来のアルミニウム単一材料から成る放熱基板に実装したものと同様な高周波増幅器を用い、また実施例4の放熱基板9を固定するヒートシンクも実施例1の放熱基板9及び前記従来の放熱基板を固定したシャシを用い、室温25℃でモジュール12を作動させ、30分以上動作保持した後、実施例4の放熱基板9の中央部と連結部の温度を測定した。その測定結果を図10の項目5に示す。
【0046】
熱伝導性の複合材料(C/C)からなる実施例4の放熱基板9は、図10の項目1に示す従来のアルミニウム単一材料からなる放熱基板と比較して、当該実施例4の放熱基板9の中央部の温度はかなり低くなり、また中央部と連結部1の温度差も縮小して、この発明による熱伝導性強化繊維10の配向・配置によって実施例4の放熱基板9の熱伝導効率が向上していることがわかる。
【0047】
以上のように、実施の形態4によれば、放熱基板9に高発熱量のモジュール12や素子が搭載された場合も、当該基板の温度上昇が抑えられるため、モジュール12等の高集積化、高出力化、及び小型化が可能になる上に、モジュール12等が安定して動作し、寿命が伸びるという効果がある。
【0048】
また、以上のように実施の形態1による実施例1ないし実施の形態4による実施例4によれば、熱伝導性強化繊維10を備えることにより、放熱基板9の中央部分の熱を当該放熱基板9の外周に備えた各連結部1へ伝導させることができ、放熱基板9に実装されたモジュール12の放熱効率を高めることができる。また、同じ熱量を放熱する熱伝導性強化繊維10を備えていない従来の放熱基板に比べ薄く構成できるという効果がある。
【0049】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、熱源が発生した熱を複合材料放熱基板の中央部に蓄積することなく、当該放熱基板に備えられた熱伝導性強化繊維の配向に沿った熱流として効率よく当該放熱基板の連結部位に伝導することができるという効果がある。
【0050】
、この発明によれば、基板中央部の熱を当該放熱基板の外周方向へ伝導させることができ、当該放熱基板に高発熱量のモジュールや素子が搭載された場合も、モジュール等が搭載された部分の温度上昇が抑えられ、モジュール等の高集積化、高出力化、及び小型化が可能になると共に、モジュールや素子が安定して動作し寿命が伸びて信頼性が向上するという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1による複合材料放熱基板の構成を示す説明図である。
【図2】この発明の実施の形態1による複合材料放熱基板の構成を示す説明図である。
【図3】この発明の実施の形態1による複合材料放熱基板の構成を示す説明図である。
【図4】この発明の実施の形態1による複合材料放熱基板の構成を示す説明図である。
【図5】この発明の実施の形態1による複合材料放熱基板の構成を示す説明図である。
【図6】この発明の実施の形態1による複合材料放熱基板の構成を示す説明図である。
【図7】この発明の実施の形態1による複合材料放熱基板の構成を示す説明図である。
【図8】この発明の実施の形態1による複合材料放熱基板の構成を示す説明図である。
【図9】この発明の実施の形態1による複合材料放熱基板の構成を示す説明図である。
【図10】この発明の実施の形態1による実施例1ないし実施の形態4による実施例4の複合材料放熱基板の各部位の実測温度を表記した説明図である。
【図11】従来の複合材料放熱基板の構成を示す説明図である。
【図12】従来の複合材料放熱基板の構成を示す説明図である。
【符号の説明】
1,1a,1b 連結部(連結部位)、2 中心点、3 仮想直線の中点(第一の仮想直線上の任意の点)、4 発熱中心点、4a 発熱点、5 仮想直線(第二の仮想直線)、6 同心円群、7 交点、8 曲線群、9 放熱基板(複合材料放熱基板)、9a,9b 短辺、10 熱伝導性強化繊維、11 マトリックス、12 モジュール(熱源)、13 ヒートシンク、30 連結部材。
Claims (7)
- 熱伝導性強化繊維とマトリックスとから成る複合材料放熱基板において、
当該複合材料放熱基板を固定させる連結部位を当該基板外周に複数備え、
前記複合材料放熱基板に実装される熱源を網羅して隣り合う前記連結部位を結ぶように前記熱伝導性強化繊維を前記マトリックスに配向したことを特徴とする複合材料放熱基板。 - 熱伝導性強化繊維とマトリックスとから成る複合材料放熱基板において、
当該複合材料放熱基板を固定する連結部位を当該基板の外周に複数備え、
隣り合う二つの前記連結部位を結ぶ第一の仮想直線上に任意の点を仮定し、
当該基板が有する熱源を通過する第二の仮想直線を仮定し、
前記第一の仮想直線上の任意の点を中心にして仮定した同心円群と前記第二の仮想直線との交点を各々仮定し、
前記仮定した複数の交点を各々通過して前記隣り合う二つの連結部位を結ぶ複数の熱伝導性強化繊維を前記マトリックスに曲線部分を有するように配向させたことを特徴とする複合材料放熱基板。 - 熱伝導性強化繊維は、熱源から最も近い連結部位へ熱伝導するように当該熱伝導性強化繊維よりも熱伝導性が低いマトリックスに配向されたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の複合材料放熱基板。
- 熱伝導性強化繊維は、複数の連結部位の中で温度が低い連結部位へ熱伝導するように当該熱伝導性強化繊維よりも熱伝導性が低いマトリックスに配向されたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の複合材料放熱基板。
- 熱伝導性強化繊維に炭素繊維、金属繊維、あるいはセラミック繊維のいずれかを用いたことを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1項記載の複合材料放熱基板。
- マトリックスに樹脂、金属、あるいはセラミックのいずれかを用いたことを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1項記載の複合材料放熱基板。
- 熱伝導性強化繊維に炭素繊維を用い、マトリックスに炭素を用いたことを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1項記載の複合材料放熱基板。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007053145A (ja) * | 2005-08-16 | 2007-03-01 | Nippon Pillar Packing Co Ltd | 伝熱シート |
JP2008519452A (ja) * | 2004-11-04 | 2008-06-05 | コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ | 集積回路のナノチューブをベースにした基板 |
US8206815B2 (en) | 2005-11-30 | 2012-06-26 | Shimane Prefectural Government | Metal-based composite material containing both micron-size carbon fiber and nano-size carbon fiber |
US10567266B2 (en) | 2015-09-24 | 2020-02-18 | Assia Spe, Llc | Methods and apparatus for detecting internet connection problems |
-
2002
- 2002-06-17 JP JP2002176140A patent/JP2004022828A/ja active Pending
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