JP2004022560A - 電荷転送素子及び固体撮像装置、並びにこれらの動作方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】固体撮像素子又は装置の寄生容量を減少することによって、消費電力を減少させると共に動作速度の向上、転送パルス波形の向上を図ることができる、電荷転送素子及び固体撮像装置を提供すること。
【解決手段】半導体基板5、埋め込みチャンネル領域16、絶縁膜4及び電荷転送電極3からなる電荷転送ゲート部7上に、層間絶縁膜2を介して電荷転送電極3に対応して複数に分割された遮光膜1が設けられている水平レジスタ部6において、互いに異なる転送電位が印加される隣接した電荷転送電極3に対向した複数の遮光層1に、制御された電位、例えば転送電位と同電位を印加する。
【選択図】 図1
【解決手段】半導体基板5、埋め込みチャンネル領域16、絶縁膜4及び電荷転送電極3からなる電荷転送ゲート部7上に、層間絶縁膜2を介して電荷転送電極3に対応して複数に分割された遮光膜1が設けられている水平レジスタ部6において、互いに異なる転送電位が印加される隣接した電荷転送電極3に対向した複数の遮光層1に、制御された電位、例えば転送電位と同電位を印加する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電荷転送領域上に第1絶縁層を介して電荷転送電極が設けられ、この電荷転送電極上に第2絶縁層を介して遮光層が設けられている電荷転送素子、及びこの電荷転送素子を具備する固体撮像装置、並びにこれらの動作方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図6は、従来の固体撮像装置61における水平レジスタ部56を示す。
【0003】
このレジスタ部はHCCD(Horizontal Charge Coupled Devise:以下、同様)として、例えば、p型シリコン半導体基板55に形成したN型ウェル68に、電荷転送領域となるN−型(埋め込みチャンネル)領域66上にSiO2からなる層間絶縁膜54を形成し、この上に端部が部分的に重なり合った2層ポリシリコンからなる電荷転送電極53a及び53bを2相駆動用として設け、これらの電極の組み合せ(一対)毎に共通した転送信号φH1、φH2を交互に印加して、垂直レジスタ部(ここでは図示せず)からの転送電荷を順次転送する。
【0004】
各転送電極は絶縁膜52によって被覆され、更にこの上の全面に、接地されたWやAl等の遮光膜51を形成して、外光の入射を防止している。なお、遮光膜51はW又はAl等の金属からなり、0V(グランド)に接地されていて、電荷転送ゲート部57を含む水平レジスタ部56の全面を覆うように形成されている。遮光膜51より上層の構造については、簡略化のためにその説明を省略する。
【0005】
図7(a)は、図6に示した構造と原理的には同様の2相駆動を行う電荷転送電極53を単層の電極とした構造を示す。以降の説明においては、図7(a)の固体撮像装置61を用いて説明することとする。
【0006】
次に、水平レジスタ部56を含む2次元の固体撮像装置61の電荷転送過程を簡略に示すと、図5において、固体撮像装置61のイメージ部15を成す画素部8に入射した入射光によって画素部8内に電荷が生じ、この電荷が画素部8から垂直レジスタ部(VCCD、Vertical Charge Coupled Devise:以下、同様)9へと転送され、更に電荷は垂直レジスタ部9から水平レジスタ部56へと転送される。
【0007】
水平レジスタ部56においては、図7(a)に示すように、2相(φH1(VH)63及びφH2(VL)64、VH=5V、VL=0V)の異なる転送パルス電圧がそれぞれの電荷転送電極53に交互に印加されることにより、水平レジスタ部56に転送された電荷は、チャンネル領域66を介して順次転送され、増幅器10を通して出力される。
【0008】
こうした電荷転送動作において、図7(a)に示すように、φH1(VH)63として5Vの転送パルス電圧を印加し、φH2(VL)64として0Vの転送パルス電圧を印加した際に、端子63に接続した電極53と遮光膜51との間、及び端子64に接続した電極53と遮光膜51との間には、クーロン力による寄生容量C1がそれぞれ生じる。
【0009】
そのために、端子63に接続した電極53の正電荷に対応する負電荷が遮光膜51下の絶縁膜52の表面に誘起され、また端子64に接続した電極53の負電荷に対応する正電荷が遮光膜51下の絶縁膜52の表面に誘起される。この場合、遮光膜51が0V(グランド)に接地されているために、端子64に接続した電極53上の絶縁膜52の表面に発生した正電荷は、0Vのグランドに放出されるので、後遮光膜51下には端子63に接続された電極53上の負電荷のみが残留する。図7(b)は、この状態を等価回路的に示すものである。
【0010】
ここで、端子63に5Vの電圧を印加した場合に、電極53から遮光膜51に向かって伸びる電束が、遮光膜51の平面に対して垂直方向に放出される成分が支配的であることから、この時の寄生容量C従は次式(1)で表される。即ち、
C従≒C1・・・(1)
である。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
上述した2次元の固体撮像装置においては垂直レジスタ部の駆動周波数と比較して水平レジスタの駆動周波数は2〜3桁程度高い。例えば、130万画素クラスの固体撮像装置においては、1000倍程度早くなっている。このため、水平レジスタ部の転送パルス電圧の動作周波数を高くして対応しているが、これによって垂直レジスタ部と比較して消費電力を増加させてしまう(図5参照)。
【0012】
そして、水平レジスタ部56で生じる消費電力の内、遮光膜51―電荷転送電極53間で発生する消費電力Pは、固体撮像装置61全体の消費電力に対して大きな割合を占めているが、消費電力Pの具体的な値は、遮光膜51―電荷転送電極53間の電位差及び寄生容量C1との関係によって生じる。
【0013】
この消費電力Pは次式(2)で表わされる。即ち、
【数1】
である。
【0014】
ここで、電荷転送時の印加電圧による遮光膜51−電荷転送電極53間の電位差をV、遮光膜51−電荷転送電極53間の寄生容量をC、駆動周波数をf、電極素子数をnとする。
【0015】
上記の式(2)において、可能な限り駆動周波数fの値を上げかつ消費電力Pの値を下げるためには、一定の値となる電位差V及び電極素子数nの値を除いて、寄生容量Cの値を減少させる必要がある。
【0016】
しかし、図7(b)の等価回路に示すように、電圧の印加時に遮光膜51−電荷転送電極53間に比較的大きな寄生容量C1(上記Cに相当)が発生するために、消費電力Pの値を減らすのが容易ではない。
【0017】
また、電荷転送ゲート部57の動作速度や、転送パルス波形は、時定数τの大きさと反比例の関係にあり、次式(3)で表わされる。即ち、
τ=R×C・・・(3)
である。
【0018】
ここで、電荷転送電極53の抵抗値をR、遮光膜51−電荷転送電極53間の寄生容量をCとする。
【0019】
時定数τの値が小さくなるのに従がってパルス波形のなまりが起こりにくくなり、早い動作速度に対応するが、このためには、電荷転送電極53の抵抗値Rは一定の値であるために、遮光膜51−電荷転送電極53間の寄生容量Cの値を減少する必要がある。
【0020】
しかし、上述のように、寄生容量C1の値が比較的大きいために、時定数τも減少し難く、従って動作速度を増大させ難く、転送パルス波形が劣化し易くなる。
【0021】
本発明は、上記のような状況に鑑みてなされたものであって、その目的は、固体撮像素子又は装置の寄生容量を減少することによって、消費電力を減少させると共に転送パルス波形及び動作速度の向上を図ることができる、電荷転送素子及び固体撮像装置を提供することにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、電荷転送領域上に第1絶縁層を介して電荷転送電極が設けられ、この電荷転送電極上に第2絶縁層を介して、前記電荷転送電極に対応して複数に分割された遮光層が設けられている電荷転送素子であって、互いに異なる転送電位が印加される隣接した前記電荷転送電極に対向した複数の前記遮光層の少なくとも一方に、制御された電位が印加されるように構成した電荷転送素子に係わるものである。
【0023】
本発明は又、光入射可能な画素部と、この画素部で発生した電荷を転送する電荷転送素子からなるレジスタ部とを具備し、電荷転送領域上に第1絶縁層を介して電荷転送電極が設けられ、この電荷転送電極上に第2絶縁層を介して、電荷転送電極に対応して複数に分割された遮光層が設けられている固体撮像装置であって、互いに異なる転送電位が印加される隣接した前記電荷転送電極に対向した複数の前記遮光層の少なくとも一方に、制御された電位が印加されるように構成した固体撮像装置に係わるものである。
【0024】
本発明は又、電荷転送領域上に第1絶縁層を介して電荷転送電極が設けられ、この電荷転送電極上に第2絶縁層を介して、前記電荷転送電極に対応して複数に分割された遮光層が設けられている電荷転送素子を動作させるに際し、互いに異なる転送電位が印加される隣接した前記電荷転送電極に対向した複数の前記遮光層の少なくとも一方に、制御された電位を印加する、電荷転送素子の動作方法に係わるものである。
【0025】
本発明は又、光入射可能な画素部と、この画素部で発生した電荷を転送する電荷転送素子からなるレジスタ部とを具備し、電荷転送領域上に第1絶縁層を介して電荷転送電極が設けられ、この電荷転送電極上に第2絶縁層を介して、電荷転送電極に対応して複数に分割された遮光層が設けられている固体撮像装置を動作させるに際し、互いに異なる転送電位が印加される隣接した前記電荷転送電極に対向した複数の前記遮光層の少なくとも一方に、制御された電位を印加する、固体撮像装置の動作方法に係わるものである。
【0026】
本発明によれば、互いに異なる転送電位が印加される隣接した前記電荷転送電極に対向した複数の前記遮光層の少なくとも一方に、制御された電位が印加されるように構成したことにより、転送電圧をそれぞれの電荷転送電極に印加した際に、これらの電荷転送電極に対応するそれぞれの分割された遮光層に正又は負の電荷が蓄積されても、隣接する遮光層間にのみ寄生容量が発生するように前記制御された電位が作用するために、全体的に寄生容量が減少し、これによって既述した消費電力の減少及び転送時のパルス波形のなまりの緩和により、早い動作速度での駆動を可能とすることができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
本発明においては、前記遮光層と前記電荷転送電極との間に寄生容量を生じさせないために、前記複数の遮光層に、その直下の前記電荷転送電極の各転送電位がそれぞれ印加されるように、対応する遮光層と電荷転送電極(特に、各遮光層とこの下部に位置する電荷転送電極)とが電気的に接続されているのが望ましい。
【0028】
また、第1導電型領域上に第2導電型領域が形成され、この第2導電型領域を含む領域上に前記電荷転送電極が設けられているのが望ましい。
【0029】
また、前記遮光層の分離位置が、互いに隣接する前記電荷転送電極の境界上の位置であるのが望ましい。
【0030】
また、前記電荷転送電極が第1電極とこの第1電極に部分的に重なり合った第2電極とからなり、この重なり合った領域上に前記遮光層の分離位置が存在していてよい。
【0031】
また、前記遮光膜の分離箇所から光が入射しないためには、その分離間隔が0.2μm以下であるのが望ましい。
【0032】
また、遮光膜の遮光能力を発揮するために、その層厚が100nm以上であるのが望ましい。
【0033】
また、電荷転送領域に入射光を到達させないために、前記第2絶縁層の表面と前記電荷転送領域の表面との距離が20nm以上である望ましい。
【0034】
また、前記した寄生容量の減少のためには、前記第2絶縁層の表面と前記電荷転送領域の表面との距離が、隣接する前記遮光膜間の間隔よりも小さいのが望ましい。
【0035】
また、電荷転送素子が、2次元固体撮像装置の水平レジスタ部及び/又は垂直レジスタ部を構成するのが望ましい。
【0036】
また、電荷転送素子が、1次元固体撮像装置のレジスタ部を構成するのが望ましい。
【0037】
以下に、本発明の好ましい実施の形態を図面の参照下に説明する。
【0038】
第1の実施の形態
図1に示す電荷転送素子19からなる固体撮像装置11においては、電荷転送電極3が電極3aと電極3bとの組み合わせからなり、かつこの電荷転送電極3に対応してWやAl等の遮光膜1が分割されている点に加えて、この遮光膜1がその直下の隣接した電荷転送電極3a及び3bに対向して配列されかつこれらの電極とそれぞれ電気的に接続され、例えば互いに異なる0Vと5Vの転送電位が交互に印加される点が、図6の固体撮像装置61と根本的に相違している。但し、同一構造部分の説明は省略する。
【0039】
また、図2(a)は、図1の構造とは異なって電荷転送電極3が単層からなっていて、固体撮像装置11の水平レジスタ部6(HCCD)を構成する構造を示す。遮光膜1より上層の構造については、簡略化のためにその説明を省略する。
【0040】
本実施の形態における固体撮像素子11の水平レジスタ部6(HCCD)は、図5のA−A’線断面として示すように、Si等からなるP型半導体基板5にN型ウェル18が形成され、このウェル内に電荷転送領域となるN−型の複数の埋め込みチャンネル領域16が形成されており、このチャンネル領域16とこのチャンネル領域16上の絶縁膜4とこの絶縁膜4上の電荷転送電極3とが一組になって、電荷転送ゲート部7を構成している。
【0041】
更に、このゲート部7上の層間絶縁膜2上には、半導体基板5へ光を透過させないための遮光膜1が形成されている。
【0042】
この遮光膜1は、各転送ゲート毎に複数に分割されていると共に、互いに異なる転送電位が印加される隣接した電荷転送電極3a及び3bに対向し、かつ電荷転送電極3a及び3bに電気的に接続され、電荷転送電極3a及び3bに印加されるのと同様の制御された電位が印加されるように構成されており、更には各々の遮光膜1を分離する分離部17が、隣り合う電極3間の境界上に位置している。分離部17の分離幅dは0.2μm以下である。
【0043】
ここで、遮光膜1の分離位置は、互いに隣接する電荷転送電極3の境界の上部に位置するのが望ましいが、この分離位置が、電荷転送電極3aと、この電極3aに部分的に重なり合った電荷転送電極3bとの重なり合った領域上の位置にあってもよい。これらの電極は例えば2層ポリシリコンからなっている。
【0044】
遮光膜1の分離部17から層間絶縁膜2内へ外部からの光を入射させないためには、分離間隔dが0.2μm以下であるのが望ましい(”IEEE TRANSLATION ON ELECTRON DEVICES”, Vol44, No.10 (1997) 1599−1602参照)。また、遮光層1の遮光能力を発揮するためには、遮光膜1の厚さtが100nm以上であるのが望ましい。
【0045】
また、電荷転送領域である半導体基板5に外部からの入射光を到達させないためには、層間絶縁膜2の表面と半導体基板5の表面との間の距離Tが20nm以上であるのが望ましいが、膜厚の比較的大きい層間絶縁膜2の存在によって、常に20nm以上となる。
【0046】
これらの条件を満たすと、外部からの入射光が半導体基板5に到達してノイズ成分となる電荷が発生することを確実に防止できる。
【0047】
また、電荷転送ゲート部7は、本実施の形態に示すような2次元の固体撮像装置11の水平レジスタ部6及び/又は垂直レジスタ部9(図5参照)を構成するのみならず、1次元の固体撮像装置のレジスタ部を構成してもよい。
【0048】
次に、図2(a)及び図2(b)を参照して、固体撮像装置11の電荷転送過程を詳しく述べる。
【0049】
入力端子13にφH1(VH)、例えば5Vの転送パルス電圧を印加し、入力端子14にφH2(VL)、例えば0Vの転送パルス電圧を印加した際に、分割された各遮光膜1が電荷転送電極3に電気的に接続されていて短絡状態となり、電荷転送電極3に印加されるのと同様の制御された電位がそれぞれ印加されるように構成されているので、端子14に接続された電極3と遮光膜1との間、及び端子13に接続された電極3と遮光膜1との間には、クーロン力による寄生容量C1がそれぞれ生じることはない。
【0050】
そのために、端子13に接続された電極3の正電荷に対応する負電荷が、対応する遮光膜1に誘起されることはなく、端子14に接続された電極3の負電荷に対応する正電荷が、対応する別の遮光膜1に誘起されることもない。
【0051】
そして、それぞれの遮光膜1は、従来のように0V(グランド)に接地されないで電極3とショートした状態であるために、端子14に接続された電極3上の遮光膜1には対応する電極3と同様の負電荷が生じ、端子13に接続された電極3上の遮光膜1には対応する電極3と同様の正電荷が生じることになり、それぞれの遮光膜1−電極3間には寄生容量C1が生じないが、端子14に接続された電極3上の遮光膜1に生じる正電荷と、端子13に接続した電極3上の遮光膜1に生じる負電荷との間には寄生容量C2が生じる。
【0052】
仮に、遮光膜1が電荷転送電極3に電気的に接続されずに短絡状態でなければ、各電極3−遮光膜1間にはそれぞれ寄生容量C1が生じ、各電極3−3間には寄生容量C2が生じる状態となる。
【0053】
ここで、固体撮像装置11全体の寄生容量Cの値であるが、これは、下記の計算式(4)によって算出される。
【0054】
即ち、遮光膜1−電荷転送電極3間のそれぞれの寄生容量をC1、隣り合う遮光膜1間の寄生容量をC2、固体撮像装置11全体の寄生容量をC新とすると、C新の値は下記の式で表される。即ち、
【数2】
である。
【0055】
さて、一般に寄生容量Cの値は下記の計算式(5)で求められる。即ち、
【数3】
である。
【0056】
ここで、Sはコンデンサの面積であり、dは遮光膜1−電極3間、遮光膜1−遮光膜1間又は電極3−電極3間の平行する平板間の距離であり、ε0とεrとは一定の値の係数である。
【0057】
ここで、図2の構造に示すように、遮光膜1−電極3間のコンデンサ面積をS1とし隣接する遮光膜1間のコンデンサ面積をS2とすると、S1>>S2の関係が生じ、更には、遮光膜1−電極3間の距離をd1とし隣接する遮光膜1間の距離をd2とすると、d1<d2の関係が生じることから、上記の計算式(5)にこれらの関係を当てはめて計算すると、C1>>C2の関係が成り立つ。
【0058】
実際には、遮光膜1と電極3との間がショートしていて寄生容量C1が生じていないために、本実施の形態における合成寄生容量C新の値は下記の式(6)で表される。即ち、
C新≒C2・・・(6)
である。
【0059】
従って、図2(b)の等価回路に示すように各電極3−3間には、寄生容量C2のみが生じた状態となる。
【0060】
ここで、上記の式(6)の算出は、図2の如く入力端子13及び14に接続された単層の電極3のみの構造を用いて行ったが、図1の如く2層又はそれ以上の転送電極を用いる構造であっても、式(6)で示される結果に変わりはない。
【0061】
そして、既述した従来の固体撮像装置61の寄生容量C従はC1と同じ(C従≒C1、式(1)参照)であるのに対し、上記式(6)で表される本実施の形態の寄生容量C新はC2と同じ(C新≒C2、式(6)参照)であり、かつ既述したようにC1>>C2の関係が成り立つので、下記の式(7)で示されるように、C新はC従よりも小さくなる。即ち、
C従≒C1>>C新≒C2・・・(7)
である。
【0062】
上記の式(7)から、本実施の形態における寄生容量C新の値が従来の寄生容量C従の値よりも小さくなって、全体の寄生容量が減少していることが分かる。
【0063】
このC新の値とC従の値とを、既述した消費電力Pを求める式(2)に代入すると、本実施の形態の消費電力P新と従来の消費電力P従との関係は、次式(8)のようになる。即ち、
【数4】
である。
【0064】
上記の式(8)において、一定の値である電極素子数n、及び遮光膜1−電荷転送電極3間の電位差Vと共に、駆動周波数fの値を一定にすると、P従>P新となり、本実施の形態によって、固体撮像装置11の消費電力Pの値を減少させることができる。本実施の形態では、上記の電位差Vはゼロとなるので、P新はゼロとなり、P従よりも大幅に小さくなる。
【0065】
また、上記の式(8)において、既に一定の値である電極素子数n及び遮光膜1−電荷転送電極3間の電位差Vと共に、消費電力Pの値を一定にすると、f新>f従となり、本実施の形態によって、固体撮像装置11の駆動周波数fの値を増大することができる。
【0066】
更に、上記のC新の値とC従の値を、時定数τを求める上述の式(3)に代入すると、本実施の形態の時定数τ新と従来の時定数τ従との関係は、次式(9)のようになる。即ち、
τ従=RC従>RC新=τ新 ・・・(9)
である。
【0067】
この式(9)によれば、C従>>C新の関係が存在し、更に電荷転送電極の抵抗Rの値が一定であるために、τ従>>τ新となり、本実施の形態によって、時定数τの値が小さくなる事からパルスなまりが小さくなり、これに応じて転送効率と同時に動作速度が増大することが可能になる。
【0068】
上述のように、本実施の形態によれば、水平レジスタ部6の遮光膜1が複数に分割され、かつ分割されたそれぞれの遮光膜1とこれらの遮光膜1に対応する電極3とが電気的に接続されて、遮光膜1と電極3と同じ電圧が印加されているので、電荷転送パルス電圧をそれぞれの電荷転送電極3に印加した際に、これらの電荷転送電極3に対応するそれぞれの分割された遮光層1に、電荷転送電極3と同じ正又は負の電荷が蓄積されて寄生容量C1がそれぞれ発生せず、かつ隣接する遮光層1間のみに寄生容量C2が発生するが、この寄生容量C2が寄生容量C1よりも小さいために、固体撮像装置11の全体の寄生容量を減少することができ、ひいては水平レジスタ部6の消費電力の減少及び動作速度の増大を可能とし、良好な電荷転送効率を有する固体撮像装置11を提供することができる。
【0069】
また、消費電力の減少によって固体撮像装置11の電力消費による発熱を抑えることができるので、白点抑制及び暗電流の低減にも効果のある固体撮像装置11を提供できる。
【0070】
第2の実施の形態
図3に示す電荷転送素子19からなる固体撮像装置11においては、隣接した電荷転送電極3a及び3bに対向して配列されかつこれらの電極のいずれか一方と電気的に接続され、例えば0V又は5Vの転送電位が交互に印加される遮光膜1と、0Vに接地された遮光膜1とが面方向に交互に配置されている点が、図6の固体撮像装置61と根本的に相違している。但し、同一構造部分の説明は省略する。
【0071】
また、図4(a)は、図3の構造とは異なって電荷転送電極3が単層からなっていて、固体撮像装置11の水平レジスタ部6(HCCD)を構成する構造を示す。遮光膜1より上層の構造については、簡略化のためにその説明を省略する。
【0072】
ここで、遮光膜1は、各転送ゲート毎に複数に分割されていると共に、互いに異なる転送電位が印加される直下の隣接した電荷転送電極3に対向していて、電荷転送電極3に電気的に接続され、電荷転送電極3に印加されるのと同様の制御された電位が印加されるように構成されたものと、接地されたものとが、面方向に交互に配置されている。
【0073】
次に、図4(a)及び図4(b)を参照して、固体撮像装置11の電荷転送過程を詳しく述べる。
【0074】
入力端子13にφH1(VH)、例えば5Vの転送パルス電圧を印加し、入力端子14にφH2(VL)、例えば0Vの転送パルス電圧を印加した際に、入力端子13側においては、遮光膜1が電荷転送電極3に電気的に接続されて短絡状態となり、更には、電荷転送電極3に印加されるのと同様の制御された正電位が印加されるように構成されているので、端子13に接続された電極3と遮光膜1とが同電位となってそれぞれに正電荷が滞留し、クーロン力による寄生容量C1は生じない。
【0075】
また、端子14に接続された電極3と遮光膜1との間においては、端子14に接続された電極3の負電荷に対応する正電荷が、対応する遮光膜1に瞬間的に誘起されるが、この遮光膜1が接地されているために正電荷が滞留しなくなって無電荷の状態になり、その結果、端子14に接続された電極3と遮光膜1との間の寄生容量C1が生じなくなって、隣接する遮光膜1間の寄生容量C2のみが生じることになる。
【0076】
それゆえ、この状態における合成寄生容量C新の値は下記の式(10)によって表される。即ち、
C新≒C2・・・(10)
である。
【0077】
次に、入力端子13にφH2(VL)、例えば0Vの転送パルス電圧を印加し、入力端子14にφH1(VH)、例えば5Vの転送パルス電圧を印加した際に、入力端子13側においては、遮光膜1が電荷転送電極3に電気的に接続されて短絡状態となり、更には、電荷転送電極3に印加されるのと同様の制御された負電位が印加されるように構成されているので、端子13に接続された電極3と遮光膜1とが同電位となってそれぞれに負電荷が滞留し、クーロン力による寄生容量C1は生じない。
【0078】
更に、端子14に接続された電極3と遮光膜1との間においては、端子14に接続された電極3の正電荷に対応する負電荷が、対応する遮光膜1に誘起され、0Vに接地されていてもこの負電荷が遮光膜1内に滞留するために、端子14に接続された電極3と遮光膜1との間の寄生容量C1は生じるが、隣接する遮光膜1間の寄生容量C2は生じない。
【0079】
ここで、この状態における合成寄生容量C新の値は下記の式(11)によって表される。即ち、
C新≒C1・・・(11)
である。
【0080】
従って、上記したことから、各電極3−3間には、寄生容量C1のみが生じる状態と寄生容量C2のみが生じる状態とが、異なった電圧が印加される度に交互に発生することになる。ここで、上記のようにC1>>C2の関係が成り立つこのため、次に示すように、固体撮像装置11全体の寄生容量Cを動作中を通してトータルでは減少させることができる。
C従≒C1>>C2≒C新、又は C従≒C1≒C新・・・(12)
である。
【0081】
上記の式(12)の算出は、図4の如く入力端子13及び14に接続された単層の電極3のみの構造を用いて行ったが、図3の如く2層又はそれ以上の転送電極を用いる構造であっても、式(12)で示される結果に変わりはない。
【0082】
そして、既述した従来の固体撮像装置61の寄生容量C従はC1と同じ(C従≒C1、式(1)参照)であるのに対し、上記式(12)で表される本実施の形態の寄生容量C新の値は、C1か或いはC2となり、遮光膜1−電極3間が短絡した状態の入力端子13に5Vの電圧が印加される時には、寄生容量がC2となって従来のC従の値よりも小さくなり、全体の寄生容量としては減少していることが分かる。
【0083】
その他、本実施の形態においては、上述した第1の実施の形態と同様の作用効果が得られる。また、端子14側では、遮光膜1に接続される配線が、一方は転送電位用であり、他方は接地配線であるが、この接地配線は転送電位用とは異なる側で形成可能であることから、その接地配線の形成が容易となる。
【0084】
以上に述べた実施の形態は、本発明の技術的思想に基づき種々に変形が可能である。
【0085】
例えば、遮光膜1に与える電位は上述したものに限られることなく、種々変更してよい。また、一つの入力端子に接続される電極数は上述の実施の形態のように1個又は2個に限られず、任意に変更してもよいし、印加する電荷転送パルス電圧も2相以上であってもよい。
【0086】
また、遮光膜1、遮光膜1の分離幅(スリット17)は変更してよいし、絶縁膜2及び4、その他の構成部分の形状、サイズ、材質等は種々であってよく、また転送部の構成も変更してよい。
【0087】
上述した分割された遮光膜を有する転送部の構造は、2次元の固体撮像装置の場合は垂直CCDにも採用してよいし、水平CCD及び垂直CCDの少なくとも一方に採用してよい。さらには一次元の固体撮像装置に用いてもよい。
【0088】
【発明の作用効果】
上述したように、本発明によれば、互いに異なる転送電位が印加される隣接した前記電荷転送電極に対向した複数の前記遮光層の少なくとも一方に、制御された電位が印加されるように構成したことにより、転送電圧をそれぞれの電荷転送電極に印加した際に、これらの電荷転送電極に対応するそれぞれの分割された遮光層に正又は負の電荷が蓄積されても、隣接する遮光層間にのみ寄生容量が発生するように前記制御された電位が作用するために、全体的に寄生容量が減少し、これによって既述した消費電力の減少及び転送時のパルス波形のなまりの緩和により、早い動作速度での駆動を可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態における固体撮像装置の要部概略断面図である。
【図2】同、他の固体撮像装置の要部断面図(a)及びその等価回路図(b)である。
【図3】本発明の第2の実施の形態における固体撮像装置の要部概略断面図である。
【図4】同、他の固体撮像装置の要部概略断面図である。
【図5】固体撮像装置のレイアウト図である。
【図6】従来例による固体撮像装置の要部概略断面図である。
【図7】同、他の固体撮像装置の要部概略断面図(a)及びその等価回路図(b)である。
【符号の説明】
1、51…遮光膜、2、4…絶縁膜、
3、3a、3b、53a、53b…電荷転送電極、5…基板、
6…水平レジスタ部、7…電荷転送ゲート部、8…画素部、
9…垂直レジスタ部、11…固体撮像装置、13、14…入力端子、
15…イメージ部、16…埋め込みチャンネル領域、17…分離部、
18…ウェル、19…電荷転送素子、
C1…遮光膜−電荷転送電極間の寄生容量、
C2…隣接する遮光膜間の寄生容量、d…隣接する遮光膜間の分離幅、
t…遮光膜の厚さ、T…遮光膜下面−基板表面間の距離
【発明の属する技術分野】
本発明は、電荷転送領域上に第1絶縁層を介して電荷転送電極が設けられ、この電荷転送電極上に第2絶縁層を介して遮光層が設けられている電荷転送素子、及びこの電荷転送素子を具備する固体撮像装置、並びにこれらの動作方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図6は、従来の固体撮像装置61における水平レジスタ部56を示す。
【0003】
このレジスタ部はHCCD(Horizontal Charge Coupled Devise:以下、同様)として、例えば、p型シリコン半導体基板55に形成したN型ウェル68に、電荷転送領域となるN−型(埋め込みチャンネル)領域66上にSiO2からなる層間絶縁膜54を形成し、この上に端部が部分的に重なり合った2層ポリシリコンからなる電荷転送電極53a及び53bを2相駆動用として設け、これらの電極の組み合せ(一対)毎に共通した転送信号φH1、φH2を交互に印加して、垂直レジスタ部(ここでは図示せず)からの転送電荷を順次転送する。
【0004】
各転送電極は絶縁膜52によって被覆され、更にこの上の全面に、接地されたWやAl等の遮光膜51を形成して、外光の入射を防止している。なお、遮光膜51はW又はAl等の金属からなり、0V(グランド)に接地されていて、電荷転送ゲート部57を含む水平レジスタ部56の全面を覆うように形成されている。遮光膜51より上層の構造については、簡略化のためにその説明を省略する。
【0005】
図7(a)は、図6に示した構造と原理的には同様の2相駆動を行う電荷転送電極53を単層の電極とした構造を示す。以降の説明においては、図7(a)の固体撮像装置61を用いて説明することとする。
【0006】
次に、水平レジスタ部56を含む2次元の固体撮像装置61の電荷転送過程を簡略に示すと、図5において、固体撮像装置61のイメージ部15を成す画素部8に入射した入射光によって画素部8内に電荷が生じ、この電荷が画素部8から垂直レジスタ部(VCCD、Vertical Charge Coupled Devise:以下、同様)9へと転送され、更に電荷は垂直レジスタ部9から水平レジスタ部56へと転送される。
【0007】
水平レジスタ部56においては、図7(a)に示すように、2相(φH1(VH)63及びφH2(VL)64、VH=5V、VL=0V)の異なる転送パルス電圧がそれぞれの電荷転送電極53に交互に印加されることにより、水平レジスタ部56に転送された電荷は、チャンネル領域66を介して順次転送され、増幅器10を通して出力される。
【0008】
こうした電荷転送動作において、図7(a)に示すように、φH1(VH)63として5Vの転送パルス電圧を印加し、φH2(VL)64として0Vの転送パルス電圧を印加した際に、端子63に接続した電極53と遮光膜51との間、及び端子64に接続した電極53と遮光膜51との間には、クーロン力による寄生容量C1がそれぞれ生じる。
【0009】
そのために、端子63に接続した電極53の正電荷に対応する負電荷が遮光膜51下の絶縁膜52の表面に誘起され、また端子64に接続した電極53の負電荷に対応する正電荷が遮光膜51下の絶縁膜52の表面に誘起される。この場合、遮光膜51が0V(グランド)に接地されているために、端子64に接続した電極53上の絶縁膜52の表面に発生した正電荷は、0Vのグランドに放出されるので、後遮光膜51下には端子63に接続された電極53上の負電荷のみが残留する。図7(b)は、この状態を等価回路的に示すものである。
【0010】
ここで、端子63に5Vの電圧を印加した場合に、電極53から遮光膜51に向かって伸びる電束が、遮光膜51の平面に対して垂直方向に放出される成分が支配的であることから、この時の寄生容量C従は次式(1)で表される。即ち、
C従≒C1・・・(1)
である。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
上述した2次元の固体撮像装置においては垂直レジスタ部の駆動周波数と比較して水平レジスタの駆動周波数は2〜3桁程度高い。例えば、130万画素クラスの固体撮像装置においては、1000倍程度早くなっている。このため、水平レジスタ部の転送パルス電圧の動作周波数を高くして対応しているが、これによって垂直レジスタ部と比較して消費電力を増加させてしまう(図5参照)。
【0012】
そして、水平レジスタ部56で生じる消費電力の内、遮光膜51―電荷転送電極53間で発生する消費電力Pは、固体撮像装置61全体の消費電力に対して大きな割合を占めているが、消費電力Pの具体的な値は、遮光膜51―電荷転送電極53間の電位差及び寄生容量C1との関係によって生じる。
【0013】
この消費電力Pは次式(2)で表わされる。即ち、
【数1】
である。
【0014】
ここで、電荷転送時の印加電圧による遮光膜51−電荷転送電極53間の電位差をV、遮光膜51−電荷転送電極53間の寄生容量をC、駆動周波数をf、電極素子数をnとする。
【0015】
上記の式(2)において、可能な限り駆動周波数fの値を上げかつ消費電力Pの値を下げるためには、一定の値となる電位差V及び電極素子数nの値を除いて、寄生容量Cの値を減少させる必要がある。
【0016】
しかし、図7(b)の等価回路に示すように、電圧の印加時に遮光膜51−電荷転送電極53間に比較的大きな寄生容量C1(上記Cに相当)が発生するために、消費電力Pの値を減らすのが容易ではない。
【0017】
また、電荷転送ゲート部57の動作速度や、転送パルス波形は、時定数τの大きさと反比例の関係にあり、次式(3)で表わされる。即ち、
τ=R×C・・・(3)
である。
【0018】
ここで、電荷転送電極53の抵抗値をR、遮光膜51−電荷転送電極53間の寄生容量をCとする。
【0019】
時定数τの値が小さくなるのに従がってパルス波形のなまりが起こりにくくなり、早い動作速度に対応するが、このためには、電荷転送電極53の抵抗値Rは一定の値であるために、遮光膜51−電荷転送電極53間の寄生容量Cの値を減少する必要がある。
【0020】
しかし、上述のように、寄生容量C1の値が比較的大きいために、時定数τも減少し難く、従って動作速度を増大させ難く、転送パルス波形が劣化し易くなる。
【0021】
本発明は、上記のような状況に鑑みてなされたものであって、その目的は、固体撮像素子又は装置の寄生容量を減少することによって、消費電力を減少させると共に転送パルス波形及び動作速度の向上を図ることができる、電荷転送素子及び固体撮像装置を提供することにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、電荷転送領域上に第1絶縁層を介して電荷転送電極が設けられ、この電荷転送電極上に第2絶縁層を介して、前記電荷転送電極に対応して複数に分割された遮光層が設けられている電荷転送素子であって、互いに異なる転送電位が印加される隣接した前記電荷転送電極に対向した複数の前記遮光層の少なくとも一方に、制御された電位が印加されるように構成した電荷転送素子に係わるものである。
【0023】
本発明は又、光入射可能な画素部と、この画素部で発生した電荷を転送する電荷転送素子からなるレジスタ部とを具備し、電荷転送領域上に第1絶縁層を介して電荷転送電極が設けられ、この電荷転送電極上に第2絶縁層を介して、電荷転送電極に対応して複数に分割された遮光層が設けられている固体撮像装置であって、互いに異なる転送電位が印加される隣接した前記電荷転送電極に対向した複数の前記遮光層の少なくとも一方に、制御された電位が印加されるように構成した固体撮像装置に係わるものである。
【0024】
本発明は又、電荷転送領域上に第1絶縁層を介して電荷転送電極が設けられ、この電荷転送電極上に第2絶縁層を介して、前記電荷転送電極に対応して複数に分割された遮光層が設けられている電荷転送素子を動作させるに際し、互いに異なる転送電位が印加される隣接した前記電荷転送電極に対向した複数の前記遮光層の少なくとも一方に、制御された電位を印加する、電荷転送素子の動作方法に係わるものである。
【0025】
本発明は又、光入射可能な画素部と、この画素部で発生した電荷を転送する電荷転送素子からなるレジスタ部とを具備し、電荷転送領域上に第1絶縁層を介して電荷転送電極が設けられ、この電荷転送電極上に第2絶縁層を介して、電荷転送電極に対応して複数に分割された遮光層が設けられている固体撮像装置を動作させるに際し、互いに異なる転送電位が印加される隣接した前記電荷転送電極に対向した複数の前記遮光層の少なくとも一方に、制御された電位を印加する、固体撮像装置の動作方法に係わるものである。
【0026】
本発明によれば、互いに異なる転送電位が印加される隣接した前記電荷転送電極に対向した複数の前記遮光層の少なくとも一方に、制御された電位が印加されるように構成したことにより、転送電圧をそれぞれの電荷転送電極に印加した際に、これらの電荷転送電極に対応するそれぞれの分割された遮光層に正又は負の電荷が蓄積されても、隣接する遮光層間にのみ寄生容量が発生するように前記制御された電位が作用するために、全体的に寄生容量が減少し、これによって既述した消費電力の減少及び転送時のパルス波形のなまりの緩和により、早い動作速度での駆動を可能とすることができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
本発明においては、前記遮光層と前記電荷転送電極との間に寄生容量を生じさせないために、前記複数の遮光層に、その直下の前記電荷転送電極の各転送電位がそれぞれ印加されるように、対応する遮光層と電荷転送電極(特に、各遮光層とこの下部に位置する電荷転送電極)とが電気的に接続されているのが望ましい。
【0028】
また、第1導電型領域上に第2導電型領域が形成され、この第2導電型領域を含む領域上に前記電荷転送電極が設けられているのが望ましい。
【0029】
また、前記遮光層の分離位置が、互いに隣接する前記電荷転送電極の境界上の位置であるのが望ましい。
【0030】
また、前記電荷転送電極が第1電極とこの第1電極に部分的に重なり合った第2電極とからなり、この重なり合った領域上に前記遮光層の分離位置が存在していてよい。
【0031】
また、前記遮光膜の分離箇所から光が入射しないためには、その分離間隔が0.2μm以下であるのが望ましい。
【0032】
また、遮光膜の遮光能力を発揮するために、その層厚が100nm以上であるのが望ましい。
【0033】
また、電荷転送領域に入射光を到達させないために、前記第2絶縁層の表面と前記電荷転送領域の表面との距離が20nm以上である望ましい。
【0034】
また、前記した寄生容量の減少のためには、前記第2絶縁層の表面と前記電荷転送領域の表面との距離が、隣接する前記遮光膜間の間隔よりも小さいのが望ましい。
【0035】
また、電荷転送素子が、2次元固体撮像装置の水平レジスタ部及び/又は垂直レジスタ部を構成するのが望ましい。
【0036】
また、電荷転送素子が、1次元固体撮像装置のレジスタ部を構成するのが望ましい。
【0037】
以下に、本発明の好ましい実施の形態を図面の参照下に説明する。
【0038】
第1の実施の形態
図1に示す電荷転送素子19からなる固体撮像装置11においては、電荷転送電極3が電極3aと電極3bとの組み合わせからなり、かつこの電荷転送電極3に対応してWやAl等の遮光膜1が分割されている点に加えて、この遮光膜1がその直下の隣接した電荷転送電極3a及び3bに対向して配列されかつこれらの電極とそれぞれ電気的に接続され、例えば互いに異なる0Vと5Vの転送電位が交互に印加される点が、図6の固体撮像装置61と根本的に相違している。但し、同一構造部分の説明は省略する。
【0039】
また、図2(a)は、図1の構造とは異なって電荷転送電極3が単層からなっていて、固体撮像装置11の水平レジスタ部6(HCCD)を構成する構造を示す。遮光膜1より上層の構造については、簡略化のためにその説明を省略する。
【0040】
本実施の形態における固体撮像素子11の水平レジスタ部6(HCCD)は、図5のA−A’線断面として示すように、Si等からなるP型半導体基板5にN型ウェル18が形成され、このウェル内に電荷転送領域となるN−型の複数の埋め込みチャンネル領域16が形成されており、このチャンネル領域16とこのチャンネル領域16上の絶縁膜4とこの絶縁膜4上の電荷転送電極3とが一組になって、電荷転送ゲート部7を構成している。
【0041】
更に、このゲート部7上の層間絶縁膜2上には、半導体基板5へ光を透過させないための遮光膜1が形成されている。
【0042】
この遮光膜1は、各転送ゲート毎に複数に分割されていると共に、互いに異なる転送電位が印加される隣接した電荷転送電極3a及び3bに対向し、かつ電荷転送電極3a及び3bに電気的に接続され、電荷転送電極3a及び3bに印加されるのと同様の制御された電位が印加されるように構成されており、更には各々の遮光膜1を分離する分離部17が、隣り合う電極3間の境界上に位置している。分離部17の分離幅dは0.2μm以下である。
【0043】
ここで、遮光膜1の分離位置は、互いに隣接する電荷転送電極3の境界の上部に位置するのが望ましいが、この分離位置が、電荷転送電極3aと、この電極3aに部分的に重なり合った電荷転送電極3bとの重なり合った領域上の位置にあってもよい。これらの電極は例えば2層ポリシリコンからなっている。
【0044】
遮光膜1の分離部17から層間絶縁膜2内へ外部からの光を入射させないためには、分離間隔dが0.2μm以下であるのが望ましい(”IEEE TRANSLATION ON ELECTRON DEVICES”, Vol44, No.10 (1997) 1599−1602参照)。また、遮光層1の遮光能力を発揮するためには、遮光膜1の厚さtが100nm以上であるのが望ましい。
【0045】
また、電荷転送領域である半導体基板5に外部からの入射光を到達させないためには、層間絶縁膜2の表面と半導体基板5の表面との間の距離Tが20nm以上であるのが望ましいが、膜厚の比較的大きい層間絶縁膜2の存在によって、常に20nm以上となる。
【0046】
これらの条件を満たすと、外部からの入射光が半導体基板5に到達してノイズ成分となる電荷が発生することを確実に防止できる。
【0047】
また、電荷転送ゲート部7は、本実施の形態に示すような2次元の固体撮像装置11の水平レジスタ部6及び/又は垂直レジスタ部9(図5参照)を構成するのみならず、1次元の固体撮像装置のレジスタ部を構成してもよい。
【0048】
次に、図2(a)及び図2(b)を参照して、固体撮像装置11の電荷転送過程を詳しく述べる。
【0049】
入力端子13にφH1(VH)、例えば5Vの転送パルス電圧を印加し、入力端子14にφH2(VL)、例えば0Vの転送パルス電圧を印加した際に、分割された各遮光膜1が電荷転送電極3に電気的に接続されていて短絡状態となり、電荷転送電極3に印加されるのと同様の制御された電位がそれぞれ印加されるように構成されているので、端子14に接続された電極3と遮光膜1との間、及び端子13に接続された電極3と遮光膜1との間には、クーロン力による寄生容量C1がそれぞれ生じることはない。
【0050】
そのために、端子13に接続された電極3の正電荷に対応する負電荷が、対応する遮光膜1に誘起されることはなく、端子14に接続された電極3の負電荷に対応する正電荷が、対応する別の遮光膜1に誘起されることもない。
【0051】
そして、それぞれの遮光膜1は、従来のように0V(グランド)に接地されないで電極3とショートした状態であるために、端子14に接続された電極3上の遮光膜1には対応する電極3と同様の負電荷が生じ、端子13に接続された電極3上の遮光膜1には対応する電極3と同様の正電荷が生じることになり、それぞれの遮光膜1−電極3間には寄生容量C1が生じないが、端子14に接続された電極3上の遮光膜1に生じる正電荷と、端子13に接続した電極3上の遮光膜1に生じる負電荷との間には寄生容量C2が生じる。
【0052】
仮に、遮光膜1が電荷転送電極3に電気的に接続されずに短絡状態でなければ、各電極3−遮光膜1間にはそれぞれ寄生容量C1が生じ、各電極3−3間には寄生容量C2が生じる状態となる。
【0053】
ここで、固体撮像装置11全体の寄生容量Cの値であるが、これは、下記の計算式(4)によって算出される。
【0054】
即ち、遮光膜1−電荷転送電極3間のそれぞれの寄生容量をC1、隣り合う遮光膜1間の寄生容量をC2、固体撮像装置11全体の寄生容量をC新とすると、C新の値は下記の式で表される。即ち、
【数2】
である。
【0055】
さて、一般に寄生容量Cの値は下記の計算式(5)で求められる。即ち、
【数3】
である。
【0056】
ここで、Sはコンデンサの面積であり、dは遮光膜1−電極3間、遮光膜1−遮光膜1間又は電極3−電極3間の平行する平板間の距離であり、ε0とεrとは一定の値の係数である。
【0057】
ここで、図2の構造に示すように、遮光膜1−電極3間のコンデンサ面積をS1とし隣接する遮光膜1間のコンデンサ面積をS2とすると、S1>>S2の関係が生じ、更には、遮光膜1−電極3間の距離をd1とし隣接する遮光膜1間の距離をd2とすると、d1<d2の関係が生じることから、上記の計算式(5)にこれらの関係を当てはめて計算すると、C1>>C2の関係が成り立つ。
【0058】
実際には、遮光膜1と電極3との間がショートしていて寄生容量C1が生じていないために、本実施の形態における合成寄生容量C新の値は下記の式(6)で表される。即ち、
C新≒C2・・・(6)
である。
【0059】
従って、図2(b)の等価回路に示すように各電極3−3間には、寄生容量C2のみが生じた状態となる。
【0060】
ここで、上記の式(6)の算出は、図2の如く入力端子13及び14に接続された単層の電極3のみの構造を用いて行ったが、図1の如く2層又はそれ以上の転送電極を用いる構造であっても、式(6)で示される結果に変わりはない。
【0061】
そして、既述した従来の固体撮像装置61の寄生容量C従はC1と同じ(C従≒C1、式(1)参照)であるのに対し、上記式(6)で表される本実施の形態の寄生容量C新はC2と同じ(C新≒C2、式(6)参照)であり、かつ既述したようにC1>>C2の関係が成り立つので、下記の式(7)で示されるように、C新はC従よりも小さくなる。即ち、
C従≒C1>>C新≒C2・・・(7)
である。
【0062】
上記の式(7)から、本実施の形態における寄生容量C新の値が従来の寄生容量C従の値よりも小さくなって、全体の寄生容量が減少していることが分かる。
【0063】
このC新の値とC従の値とを、既述した消費電力Pを求める式(2)に代入すると、本実施の形態の消費電力P新と従来の消費電力P従との関係は、次式(8)のようになる。即ち、
【数4】
である。
【0064】
上記の式(8)において、一定の値である電極素子数n、及び遮光膜1−電荷転送電極3間の電位差Vと共に、駆動周波数fの値を一定にすると、P従>P新となり、本実施の形態によって、固体撮像装置11の消費電力Pの値を減少させることができる。本実施の形態では、上記の電位差Vはゼロとなるので、P新はゼロとなり、P従よりも大幅に小さくなる。
【0065】
また、上記の式(8)において、既に一定の値である電極素子数n及び遮光膜1−電荷転送電極3間の電位差Vと共に、消費電力Pの値を一定にすると、f新>f従となり、本実施の形態によって、固体撮像装置11の駆動周波数fの値を増大することができる。
【0066】
更に、上記のC新の値とC従の値を、時定数τを求める上述の式(3)に代入すると、本実施の形態の時定数τ新と従来の時定数τ従との関係は、次式(9)のようになる。即ち、
τ従=RC従>RC新=τ新 ・・・(9)
である。
【0067】
この式(9)によれば、C従>>C新の関係が存在し、更に電荷転送電極の抵抗Rの値が一定であるために、τ従>>τ新となり、本実施の形態によって、時定数τの値が小さくなる事からパルスなまりが小さくなり、これに応じて転送効率と同時に動作速度が増大することが可能になる。
【0068】
上述のように、本実施の形態によれば、水平レジスタ部6の遮光膜1が複数に分割され、かつ分割されたそれぞれの遮光膜1とこれらの遮光膜1に対応する電極3とが電気的に接続されて、遮光膜1と電極3と同じ電圧が印加されているので、電荷転送パルス電圧をそれぞれの電荷転送電極3に印加した際に、これらの電荷転送電極3に対応するそれぞれの分割された遮光層1に、電荷転送電極3と同じ正又は負の電荷が蓄積されて寄生容量C1がそれぞれ発生せず、かつ隣接する遮光層1間のみに寄生容量C2が発生するが、この寄生容量C2が寄生容量C1よりも小さいために、固体撮像装置11の全体の寄生容量を減少することができ、ひいては水平レジスタ部6の消費電力の減少及び動作速度の増大を可能とし、良好な電荷転送効率を有する固体撮像装置11を提供することができる。
【0069】
また、消費電力の減少によって固体撮像装置11の電力消費による発熱を抑えることができるので、白点抑制及び暗電流の低減にも効果のある固体撮像装置11を提供できる。
【0070】
第2の実施の形態
図3に示す電荷転送素子19からなる固体撮像装置11においては、隣接した電荷転送電極3a及び3bに対向して配列されかつこれらの電極のいずれか一方と電気的に接続され、例えば0V又は5Vの転送電位が交互に印加される遮光膜1と、0Vに接地された遮光膜1とが面方向に交互に配置されている点が、図6の固体撮像装置61と根本的に相違している。但し、同一構造部分の説明は省略する。
【0071】
また、図4(a)は、図3の構造とは異なって電荷転送電極3が単層からなっていて、固体撮像装置11の水平レジスタ部6(HCCD)を構成する構造を示す。遮光膜1より上層の構造については、簡略化のためにその説明を省略する。
【0072】
ここで、遮光膜1は、各転送ゲート毎に複数に分割されていると共に、互いに異なる転送電位が印加される直下の隣接した電荷転送電極3に対向していて、電荷転送電極3に電気的に接続され、電荷転送電極3に印加されるのと同様の制御された電位が印加されるように構成されたものと、接地されたものとが、面方向に交互に配置されている。
【0073】
次に、図4(a)及び図4(b)を参照して、固体撮像装置11の電荷転送過程を詳しく述べる。
【0074】
入力端子13にφH1(VH)、例えば5Vの転送パルス電圧を印加し、入力端子14にφH2(VL)、例えば0Vの転送パルス電圧を印加した際に、入力端子13側においては、遮光膜1が電荷転送電極3に電気的に接続されて短絡状態となり、更には、電荷転送電極3に印加されるのと同様の制御された正電位が印加されるように構成されているので、端子13に接続された電極3と遮光膜1とが同電位となってそれぞれに正電荷が滞留し、クーロン力による寄生容量C1は生じない。
【0075】
また、端子14に接続された電極3と遮光膜1との間においては、端子14に接続された電極3の負電荷に対応する正電荷が、対応する遮光膜1に瞬間的に誘起されるが、この遮光膜1が接地されているために正電荷が滞留しなくなって無電荷の状態になり、その結果、端子14に接続された電極3と遮光膜1との間の寄生容量C1が生じなくなって、隣接する遮光膜1間の寄生容量C2のみが生じることになる。
【0076】
それゆえ、この状態における合成寄生容量C新の値は下記の式(10)によって表される。即ち、
C新≒C2・・・(10)
である。
【0077】
次に、入力端子13にφH2(VL)、例えば0Vの転送パルス電圧を印加し、入力端子14にφH1(VH)、例えば5Vの転送パルス電圧を印加した際に、入力端子13側においては、遮光膜1が電荷転送電極3に電気的に接続されて短絡状態となり、更には、電荷転送電極3に印加されるのと同様の制御された負電位が印加されるように構成されているので、端子13に接続された電極3と遮光膜1とが同電位となってそれぞれに負電荷が滞留し、クーロン力による寄生容量C1は生じない。
【0078】
更に、端子14に接続された電極3と遮光膜1との間においては、端子14に接続された電極3の正電荷に対応する負電荷が、対応する遮光膜1に誘起され、0Vに接地されていてもこの負電荷が遮光膜1内に滞留するために、端子14に接続された電極3と遮光膜1との間の寄生容量C1は生じるが、隣接する遮光膜1間の寄生容量C2は生じない。
【0079】
ここで、この状態における合成寄生容量C新の値は下記の式(11)によって表される。即ち、
C新≒C1・・・(11)
である。
【0080】
従って、上記したことから、各電極3−3間には、寄生容量C1のみが生じる状態と寄生容量C2のみが生じる状態とが、異なった電圧が印加される度に交互に発生することになる。ここで、上記のようにC1>>C2の関係が成り立つこのため、次に示すように、固体撮像装置11全体の寄生容量Cを動作中を通してトータルでは減少させることができる。
C従≒C1>>C2≒C新、又は C従≒C1≒C新・・・(12)
である。
【0081】
上記の式(12)の算出は、図4の如く入力端子13及び14に接続された単層の電極3のみの構造を用いて行ったが、図3の如く2層又はそれ以上の転送電極を用いる構造であっても、式(12)で示される結果に変わりはない。
【0082】
そして、既述した従来の固体撮像装置61の寄生容量C従はC1と同じ(C従≒C1、式(1)参照)であるのに対し、上記式(12)で表される本実施の形態の寄生容量C新の値は、C1か或いはC2となり、遮光膜1−電極3間が短絡した状態の入力端子13に5Vの電圧が印加される時には、寄生容量がC2となって従来のC従の値よりも小さくなり、全体の寄生容量としては減少していることが分かる。
【0083】
その他、本実施の形態においては、上述した第1の実施の形態と同様の作用効果が得られる。また、端子14側では、遮光膜1に接続される配線が、一方は転送電位用であり、他方は接地配線であるが、この接地配線は転送電位用とは異なる側で形成可能であることから、その接地配線の形成が容易となる。
【0084】
以上に述べた実施の形態は、本発明の技術的思想に基づき種々に変形が可能である。
【0085】
例えば、遮光膜1に与える電位は上述したものに限られることなく、種々変更してよい。また、一つの入力端子に接続される電極数は上述の実施の形態のように1個又は2個に限られず、任意に変更してもよいし、印加する電荷転送パルス電圧も2相以上であってもよい。
【0086】
また、遮光膜1、遮光膜1の分離幅(スリット17)は変更してよいし、絶縁膜2及び4、その他の構成部分の形状、サイズ、材質等は種々であってよく、また転送部の構成も変更してよい。
【0087】
上述した分割された遮光膜を有する転送部の構造は、2次元の固体撮像装置の場合は垂直CCDにも採用してよいし、水平CCD及び垂直CCDの少なくとも一方に採用してよい。さらには一次元の固体撮像装置に用いてもよい。
【0088】
【発明の作用効果】
上述したように、本発明によれば、互いに異なる転送電位が印加される隣接した前記電荷転送電極に対向した複数の前記遮光層の少なくとも一方に、制御された電位が印加されるように構成したことにより、転送電圧をそれぞれの電荷転送電極に印加した際に、これらの電荷転送電極に対応するそれぞれの分割された遮光層に正又は負の電荷が蓄積されても、隣接する遮光層間にのみ寄生容量が発生するように前記制御された電位が作用するために、全体的に寄生容量が減少し、これによって既述した消費電力の減少及び転送時のパルス波形のなまりの緩和により、早い動作速度での駆動を可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態における固体撮像装置の要部概略断面図である。
【図2】同、他の固体撮像装置の要部断面図(a)及びその等価回路図(b)である。
【図3】本発明の第2の実施の形態における固体撮像装置の要部概略断面図である。
【図4】同、他の固体撮像装置の要部概略断面図である。
【図5】固体撮像装置のレイアウト図である。
【図6】従来例による固体撮像装置の要部概略断面図である。
【図7】同、他の固体撮像装置の要部概略断面図(a)及びその等価回路図(b)である。
【符号の説明】
1、51…遮光膜、2、4…絶縁膜、
3、3a、3b、53a、53b…電荷転送電極、5…基板、
6…水平レジスタ部、7…電荷転送ゲート部、8…画素部、
9…垂直レジスタ部、11…固体撮像装置、13、14…入力端子、
15…イメージ部、16…埋め込みチャンネル領域、17…分離部、
18…ウェル、19…電荷転送素子、
C1…遮光膜−電荷転送電極間の寄生容量、
C2…隣接する遮光膜間の寄生容量、d…隣接する遮光膜間の分離幅、
t…遮光膜の厚さ、T…遮光膜下面−基板表面間の距離
Claims (28)
- 電荷転送領域上に第1絶縁層を介して電荷転送電極が設けられ、この電荷転送電極上に第2絶縁層を介して、前記電荷転送電極に対応して複数に分割された遮光層が設けられている電荷転送素子であって、互いに異なる転送電位が印加される隣接した前記電荷転送電極に対向した複数の前記遮光層の少なくとも一方に、制御された電位が印加されるように構成した電荷転送素子。
- 前記複数の遮光層に、その直下の前記電荷転送電極の各転送電位がそれぞれ印加されるように、対応する遮光層と電荷転送電極とが電気的に接続されている、請求項1に記載の電荷転送素子。
- 前記対応する遮光層と電荷転送電極とが、各遮光層とこの下部に位置する電荷転送電極である、請求項2に記載の電荷転送素子。
- 第1導電型領域上に第2導電型領域が形成され、この第2導電型領域を含む領域上に前記電荷転送電極が設けられている、請求項1に記載の電荷転送素子。
- 前記遮光層の分離位置が、互いに隣接する前記電荷転送電極の境界の上部に位置する、請求項1に記載の電荷転送素子。
- 前記電荷転送電極が第1電極とこの第1電極に部分的に重なり合った第2電極とからなり、この重なり合った領域上に前記遮光層の分離位置が存在している、請求項1に記載の電荷転送素子。
- 前記遮光層の分離間隔が0.2μm以下である、請求項1に記載の電荷転送素子。
- 前記遮光層の層厚が100nm以上である、請求項1に記載の電荷転送素子。
- 前記第2絶縁層の表面と前記電荷転送領域の表面との距離が20nm以上である、請求項1に記載の電荷転送素子。
- 前記第2絶縁層の表面と前記電荷転送領域の表面との距離が、隣接する前記遮光膜間の間隔よりも小さい、請求項1に記載の電荷転送素子。
- 2次元固体撮像装置の水平レジスタ部及び/又は垂直レジスタ部を構成する、請求項1に記載の電荷転送素子。
- 1次元固体撮像装置のレジスタ部を構成する、請求項1に記載の電荷転送素子。
- 光入射可能な画素部と、この画素部で発生した電荷を転送する電荷転送素子からなるレジスタ部とを具備し、電荷転送領域上に第1絶縁層を介して電荷転送電極が設けられ、この電荷転送電極上に第2絶縁層を介して、電荷転送電極に対応して複数に分割された遮光層が設けられている固体撮像装置であって、互いに異なる転送電位が印加される隣接した前記電荷転送電極に対向した複数の前記遮光層の少なくとも一方に、制御された電位が印加されるように構成した固体撮像装置。
- 前記電荷転送素子が、請求項2〜12の何れか1項に記載の電荷転送素子である、請求項13に記載の固体撮像素子。
- 電荷転送領域上に第1絶縁層を介して電荷転送電極が設けられ、この電荷転送電極上に第2絶縁層を介して、前記電荷転送電極に対応して複数に分割された遮光層が設けられている電荷転送素子を動作させるに際し、互いに異なる転送電位が印加される隣接した前記電荷転送電極に対向した複数の前記遮光層の少なくとも一方に、制御された電位を印加する、電荷転送素子の動作方法。
- 前記複数の遮光層に、その直下の前記電荷転送電極の各転送電位をそれぞれ印加する、請求項15に記載の電荷転送素子の動作方法。
- 前記直下の電荷転送電極の各転送電位をそれぞれ印加する各遮光層の下部に、それぞれの転送電位を印加する各電荷転送電極を配置する、請求項16に記載の電荷転送素子の動作方法。
- 第1導電型領域上に第2導電型領域が形成され、この第2導電型領域を含む領域上に前記電荷転送電極が設けられている、請求項15に記載の電荷転送素子の動作方法。
- 前記遮光層の分離位置が、互いに隣接する前記電荷転送電極の境界の上部に位置する、請求項15に記載の電荷転送素子の動作方法。
- 前記電荷転送電極が第1電極とこの第1電極に部分的に重なり合った第2電極とからなり、この重なり合った領域上に前記遮光層の分離位置が存在している、請求項15に記載の電荷転送素子の動作方法。
- 前記遮光層の分離間隔が0.2μm以下である、請求項15に記載の電荷転送素子の動作方法。
- 前記遮光層の層厚が100nm以上である、請求項15に記載の電荷転送素子の動作方法。
- 前記第2絶縁層の表面と前記電荷転送領域の表面との距離が20nm以上である、請求項15に記載の電荷転送素子の動作方法。
- 前記第2絶縁層の表面と前記電荷転送領域の表面との距離が、隣接する前記遮光膜間の間隔よりも小さい、請求項15に記載の電荷転送素子の動作方法。
- 2次元固体撮像装置の水平レジスタ部及び/又は垂直レジスタ部を構成する、請求項15に記載の電荷転送素子の動作方法。
- 1次元固体撮像装置のレジスタ部を構成する、請求項15に記載の電荷転送素子の動作方法。
- 光入射可能な画素部と、この画素部で発生した電荷を転送する電荷転送素子からなるレジスタ部とを具備し、電荷転送領域上に第1絶縁層を介して電荷転送電極が設けられ、この電荷転送電極上に第2絶縁層を介して、電荷転送電極に対応して複数に分割された遮光層が設けられている固体撮像装置を動作させるに際し、互いに異なる転送電位が印加される隣接した前記電荷転送電極に対向した複数の前記遮光層の少なくとも一方に、制御された電位を印加する、固体撮像装置の動作方法。
- 前記電荷転送素子を、請求項16〜26の何れか1項に記載の方法によって動作させる、請求項27に記載の固体撮像素子の動作方法。
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