JP2004022348A - 非水電解質二次電池用正極ペーストの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(1)少なくとも正極活物質と導電材とを混合して混合物を得る混合工程、および(2)前記混合物と、バインダーを分散媒または溶媒に分散または溶解させた練液とを練合してペーストを得る練合工程を具備する非水電解質二次電池用正極ペーストの製造方法において、非水電解質二次電池の製造工程において発生するスラッジペーストまたはスラッジ合剤を用いる。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、非水電解質二次電池用正極ペーストの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
非水電解質二次電池を代表するリチウム二次電池は、高起電力および高エネルギー密度という特長を有していることから、移動体通信機器および携帯電子機器などの主電源としての需要が拡大している。現在、市販されているリチウム二次電池の正極活物質は、主としてリチウムコバルト複合酸化物LixCoO2(ただし、xは活物質中のリチウム含量であり、電池の充放電によって変化する。)である。また、リチウムニッケル複合酸化物LixNiO2またはリチウムマンガン複合酸化物LixMn2O4などの正極活物質を用いたリチウム二次電池も僅かながら商品化されている。
【0003】
そして、今日のリチウム二次電池の市場に鑑みれば、品質および特性を維持・向上させながらも価格を低く抑えたいという要請が著しく見られる。このような要請に対応するためには製造コストの低減が必要であり、その一つの手段として生産ロスコストの削減がある。リチウムコバルト複合酸化物を正極活物質として用いたリチウム二次電池に関しては、原料であるコバルト化合物の価格が高いため、リチウムコバルト複合酸化物を含む生産ロスの削減が低コスト化のために有効な方法である。
【0004】
リチウム二次電池は主として正極、負極、セパレータ、電解液、電池ケースおよび封口板などの部材で構成されている。このようなリチウム二次電池の製造方法は概ね以下の工程からなる。まず、極板作製工程において、正極および負極は、活物質、バインダーおよび練液、さらに必要に応じて導電材を含むペーストを調製し、得られたペーストを帯状の導電性基板の両面に塗布し、乾燥後に前記導電性基板を圧延し、ついで電池に適切な寸法に裁断して得る。つぎに、極板群作製工程において、正極および負極の間にセパレータを挟んで捲回し、極板群を作製する。ついで、組立工程において、その極板群を電池ケースに挿入し、電解液を注入した後に封口板で密閉する。このようにして得られた物品はこの状態で電池として機能し、最終検査工程を経て製品として出荷される。
【0005】
ここで、以上のようなリチウム二次電池の製造工程におけるコストに着目すると、極板作製工程においては、種々の廃材ペーストが生じる。例えばペースト作製に用いる練合装置内部における残留物、ペーストを供給する配管内部における残留物、製造開始時の製造条件設定のためのテスト塗布で生じる廃材、製造終了時の塗布装置における残留物、および塗布工程での寸法規格から外れた不良物などが廃材ペーストとして挙げられる。また、スラッジ合剤も生じる。スラッジ合剤とは、塗布されたペーストが乾燥された後、電解液を注入する直前までの工程で生じる廃材のうち、活物質と導電材とバインダーとを含む混合物である。これは、圧延後に寸法規格から外れた不良の極板から金属箔を除去したもの、極板を裁断した際に残るマージン部分から導電性基板を除去したもの、極板群作製工程と電池ケースへの挿入作業における規格外不良物から活物質と導電材とバインダーとからなる混合物として採取したものとして生じる。
【0006】
したがって、本明細書中で用いる「スラッジペースト」とは、例えばペースト作製に用いる練合装置内部における残留物、ペーストを供給する配管内部における残留物、製造開始時の製造条件設定のためのテスト塗布で生じる廃材、製造終了時の塗布装置における残留物、および塗布工程での寸法規格から外れた不良物などを含む。また、「スラッジ合剤」とは、塗布されたペーストが乾燥された後、電解液を注入する直前までの工程で生じる廃材のうち、活物質と導電材とバインダーとを含む混合物をいい、例えば、圧延後に寸法規格から外れた不良の極板から金属箔を除去したもの、極板を裁断した際に残るマージン部分から導電性基板を除去したもの、極板群作製工程と電池ケースへの挿入作業における規格外不良物から活物質と導電材とバインダーとからなる混合物として採取したものなどを含む。
【0007】
このように、スラッジペーストおよびスラッジ合剤の観点からも、リチウムコバルト複合酸化物を用いるリチウム二次電池の製造工程における生産ロスは、いずれの工程においても発生する可能性がある。そのため、生産ロスの発生頻度および発生量の削減のために、製造工程の改良に対する取り組みが日々行われている。しかし、これまでは、やむを得ず発生した廃材は廃棄処分せざるを得なかった。廃棄処分においては、価値のある資源は回収されて適切な用途に再利用されることもあるが、それ以外の焼却および投棄などの手段も含めて、環境負荷の観点からは廃棄処分そのものは決して望ましいものではない。ゆえに、リチウム二次電池の生産ロスの削減は、資源価値の高いリチウムコバルト複合酸化物に限定されること無く、その他の正極活物質も含めた電池材料および部材全般に対してなされることが好ましい。
【0008】
このような考えに基づき、従来からいくつかの提案がなされている。例えば、特開平10−92417号公報においては、電極活物質粉末および熱可塑性結着剤を主体とする電極合剤層が導電性基板上に保持されてなる電極板を粉砕した後、得られた粉砕物を有機溶媒と混合して電極粉砕物塗料を調製し、この電極粉砕物塗料を導電性基板上に塗布することによって電極を製造することが提案されている。また、特開2000−348782号公報においては、電極材料が塗着された金属箔を二次電池廃材として熱分解処理し、電極材料中の金属化合物を回収する正極材回収方法が提案されている。この方法は、二次電池廃材を酸素含有ガス気流中300℃以上500℃未満に加熱して金属箔から電極材料を剥離させる剥離工程と、得られた剥離処理物から金属箔を分離除去して粉体物を回収する分離工程と、回収された粉体物を酸素含有ガス気流中500℃以上650℃以下に加熱して粉体物中の燃焼性物質を焼却する焙焼工程と、得られた焙焼物を正極材用途の金属化合物として回収する回収工程とを含む。しかし、これらの方法では、エネルギーと資源とを含めた環境負荷の削減、製造ロスコストの削減およびその方法で得られる電池の品質と特性の確保という同時に成立させるべき3つの目的が必ずしもバランス良く達成することができない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、上記特開平10−92417号および特開2000−348782号各公報記載の発明が有する問題点について述べる。特開平10−92417号公報で提案されている電極粉砕物塗料を用いた極板には、導電性基板として適用していた金属箔粉が少なからず混入する。この金属箔粉は電気化学的な充放電反応には関与しないものであり、これが極板合剤中に含まれるとその分が占める体積に応じて活物質含量が減らざるを得ないため自ずと電池容量が減ってしまう。よってこの方法には、再利用にかかるエネルギーとコストは少なくて好ましいが、電池特性が損なわれてしまうという問題がある。
【0010】
また、特開2000−348782号公報で提案されている方法には二つの問題がある。一つは、剥離工程と焙焼工程において高温に加熱する必要があるためにそのエネルギーコストが必要であるとともに、炭素導電材やフッ素樹脂バインダーの燃焼ガスは炭酸ガスや有害なフッ素化合物を含むために環境負荷を増加させてしまう。もう一つは、焙焼工程で炭素導電材が燃焼するときに活物質である酸化物を還元してしまい、得られる焙焼物の活物質としての機能は本来の機能よりも損なわれる可能性がある。このことは、同公報の実施例中で述べられているように、室温での放電容量が低下していることからも理解することができる。このような放電容量の低下は、焙焼工程で酸素含有ガスを多量に導入すれば軽減されるが、これを行うと上述のエネルギーコスト増加や燃焼ガス中から有害ガスを除去するコストが増加するという問題がある。
【0011】
このように、これまで提案されている方法では、エネルギーと資源とを含めた環境負荷の削減、製造ロスコストの削減およびその方法で得られる電池の品質と特性の確保という同時に成立させるべき3つの目的を達成することはできない。そこで、本発明の目的は、エネルギーと資源とを含めた環境負荷の削減、製造ロスコストの削減、および得られる電池の品質と特性の確保という3つの目的をバランス良く実現することのできる非水電解質二次電池用正極ペーストの製造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決すべく、本発明は、(1)少なくとも正極活物質と導電材とを混合して混合物を得る混合工程、および(2)前記混合物と、バインダーを溶媒に溶解させた練液とを練合してペーストを得る練合工程を具備し、非水電解質二次電池の製造工程において発生するスラッジペーストを前記工程(2)において混入させることを特徴とする非水電解質二次電池用正極ペーストの製造方法を提供する。
【0013】
また、本発明は、(1)少なくとも正極活物質と導電材とを混合して混合物を得る混合工程、および(2)前記混合物と、バインダーを溶媒に溶解させた練液とを練合してペーストを得る練合工程を具備し、非水電解質二次電池の製造工程において発生するスラッジ合剤を前記工程(1)において混入させることを特徴とする非水電解質二次電池用正極ペーストの製造方法をも提供する。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、上記の課題を解決するとともに、エネルギーと資源とを含めた環境負荷の削減、製造ロスコストの削減およびその方法で得られる電池の品質と特性の確保を同時に成立させる手段を見出した。
最初に、スラッジペーストならびにスラッジ合剤の回収方法について述べる。ここでは、容量減少の原因となる導電性基板に適用していた金属箔粉を混入させない必要がある。まず、導電性基板に塗布する以前に生じるスラッジペーストを用いることにおいて、混入の心配はないことは明らかである。そして、塗布後であっても乾燥以前の塗布ペーストはその表面を拭うことによりペーストのみを造作なく回収することができる。スラッジペーストには、本来のペーストに含まれている活物質と導電材とバインダーと練液以外のものは含まれていないため、電池特性を損ねる混入物は存在しない。
【0015】
また、乾燥後であっても圧延以前の極板は、導電性基板と合剤との密着性が弱いために極板に振動を加えることで合剤のみを容易に剥離して、スラッジ合剤として回収することが可能である。このスラッジ合剤には、本来の合剤に含まれている活物質と導電材とバインダー以外のものが含まれる可能性はない。
圧延後の状態にある極板には導電性基板と合剤とが密着しているため、振動だけではそれらを剥離できない。この場合の剥離方法としては、極板に含まれるバインダーの性質によって適切な方法を用いる。
【0016】
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)およびポリフッ化ビニリデン(PVDF)などのように、接着性に乏しいバインダーが含まれている場合には、室温で超音波振動を使う方法が適切である。超音波溶接などに用いる一般の装置を用い、その振動子を極板表面にあてがって超音波振動を印加することで、容易に導電性基板から合剤を剥離し、スラッジ合剤として回収可能である。スチレンブタジエンゴムなどのように接着性があるバインダーが含まれているときでも、その含量が少ないときには、上述の超音波振動を使う方法を適用することができる。
【0017】
また、板状の硬質ゴムなどを用いて機械的に摩擦することで導電性基板と合剤との界面にせん断応力が生じて剥離することも可能であるが、このときには導電性基板が破断して合剤に混入しないように注意する必要がある。現在製造されている極板については、上述の室温での超音波振動を使う方法によりスラッジ合剤を回収することができる。もしそれでも剥離が困難なときには、接着性を損なわせた状態にしてこの方法を実施すれば良い。例えば、極板を冷却したり、逆に加熱することが有効である。
なお、上記方法における超音波周波数、振幅、時間および温度などの諸条件は、当業者であればバインダーの性状などに応じて適切に設定することができる。
【0018】
回収されたスラッジ合剤には、本来の合剤に含まれている活物質と導電材とバインダー以外のものは含まれない。このように、本方法によれば、スラッジペーストおよびスラッジ合剤のいずれも、容量減少の原因となる導電性基板の金属箔粉を混入させることなく回収することができる。また、剥離のために高温に加熱する必要もなく、本来のペーストおよび合剤に含まれていた材料を元の成分比率のままで回収することができるため、再利用に際してのコストおよび環境負荷を最小にすることができる。
【0019】
つぎに、回収したスラッジペーストおよびスラッジ合剤の正極ペーストとしての再利用方法について述べる。本発明においては、回収したスラッジペーストおよび/またはスラッジ合剤を混入した正極ペーストは、スラッジを生成した本来のペーストと努めて同じ状態にするのが基本的な考え方である。なぜなら、本来のペーストは、それを用いて製造した非水電解質二次電池が最も良い品質と特性を示すように最適化された状態にあるからである。
【0020】
前述のように回収したスラッジペーストは、活物質と導電材とバインダーと練液とを含み湿った状態にあるため、練合工程で混入すべきである。もし、正極活物質と導電材とを乾式混合する混合工程において混入すると、凝集塊が生成し、混合工程の目的である正極活物質と導電材との均質混合が妨げられるからである。また、スラッジ合剤においては、正極活物質と導電材とがバインダーで結着して乾燥した状態にあるため、混合工程で混入すべきである。もし、練合工程において混入すると、スラッジ合剤の再分散が不充分となり、ペースト中に再分散しなかったスラッジ合剤の塊が混入し、均質なペーストが得られないからである。
【0021】
以上に述べたように、回収したスラッジペーストおよび/またはスラッジ合剤は、ペーストとして再利用することが可能である。これらの方法は、高温に加熱する必要もなく、炭酸ガスや有害なフッ素化合物も排出することもない。また、活物質が変質してしまうような化学反応を伴わないため、得られる電池の特性が損なわれることもない。本発明のスラッジペーストおよび/またはスラッジ合剤を回収および再利用する手段を用いれば、従来の問題点を解決するとともに、エネルギーと資源とを含めた環境負荷の削減、製造ロスコストの削減、およびその方法で得られる電池の品質と特性の確保という課題を同時に解決することができる。
【0022】
本発明の正極ペーストは、非水電解質二次電池の製造工程で発生するスラッジペーストおよび/またはスラッジ合剤を含むものであり、成分として正極活物質と導電材とバインダーと練液とを含んでいる。また、本発明の非水電解質二次電池は、少なくともその正極ペーストを用いて作製した正極と、負極と、非水電解質とを具備する。すなわち、本発明に係る製造方法により得られる正極ペーストは、従来からの負極および非水電解質などの構成要素とともに、好ましい非水電解質二次電池を提供する。当該非水電解質二次電池の構成要素は従来と同様でよいが、以下に簡単に説明する。
【0023】
本発明に適用することのできる正極活物質に制限はない。生産ロスコスト削減の観点では、コバルト含有化合物を用いるのが効果的であるが、いずれの活物質であっても本発明によるロスコストの削減は可能である。正極活物質としては、例えばLiCoO2、LiNiO2、LiMnO2、LiCoyNi1−yO2、LiCoyM1−yOz、LiNi1−yMyOz、LiMn2O4、LiMn2−yMyO4(M=Na、Mg、Sc、Y、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Al、Cr、Pb、Sb、Bのうち少なくとも一種、x=0〜1.2、y=0〜0.9、z=2.0〜2.3)などがあげられる。また、遷移金属カルコゲン化物、バナジウム酸化物およびそのリチウム化合物、ニオブ酸化物およびそのリチウム化合物、有機導電性物質を含む共役系ポリマー、ならびにシェブレル相化合物などもあげられる。また、複数の異なった正極活物質が混合されていても可能である。正極活物質の平均粒径は、特に限定はされないが、1〜30μmであることが好ましい。
【0024】
本発明において用いることのできる正極用導電材は、構成された電池において実質的に化学的に安定な電子伝導性材料であれば何でもよい。例えば、天然黒鉛(鱗片状黒鉛など)および人造黒鉛などのグラファイト、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラックおよびサーマルブラックなどのカーボンブラック、炭素繊維および金属繊維などの導電性繊維、フッ化カーボンおよびアルミニウムなどの金属粉末、酸化亜鉛およびチタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー、酸化チタンなどの導電性金属酸化物、ならびにポリフェニレン誘導体などの有機導電性材料などがあげられ、これらをそれぞれ単独で、または混合して用いることができる。これらの導電材のなかで、人造黒鉛およびアセチレンブラックが特に好ましい。導電材の添加量は、特に限定されないが、正極活物質に対して1〜50重量%が好ましく、特に1〜30重量%が好ましい。カーボンまたはグラファイトを用いる場合は、2〜15重量%が特に好ましい。
【0025】
本発明において用いることのできる正極用バインダーとしては、熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂のいずれであってもよい。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、スチレンブタジエンゴム、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−クロロトリフルオロエチレン共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE樹脂)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、フッ化ビニリデン−ペンタフルオロプロピレン共重合体、プロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−パーフルオロメチルビニルエーテル−テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体およびその(Na+)イオン架橋体、エチレン−メタクリル酸共重合体およびその(Na+)イオン架橋体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体およびその(Na+)イオン架橋体、ならびにエチレン−メタクリル酸メチル共重合体およびその(Na+)イオン架橋体をあげることができ、これらをそれぞれ単独で、または混合して用いることができる。また、これらの材料の中でより好ましいのはポリフッ化ビニリデン(PVDF)およびポリテトラフルオロエチレン(PTFE)である。
【0026】
本発明において用いることのできる正極用導電性基板としては、構成された電池において実質的に化学的に安定な電子伝導体基板であれば何でもよい。したがって、前記基板を構成する材料としては、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケル、チタン、炭素および導電性樹脂などがあげられ、また、アルミニウムおよびステンレス鋼の表面をカーボンまたはチタンで処理したものものなども用いることができる。特に、アルミニウムまたはアルミニウム合金が好ましい。これらの材料の表面を酸化して用いることもできる。また、表面処理により集電体表面に凹凸を付けることが望ましい。前記基板の形状としては、フォイル、フィルム、シート、ネット、パンチングされたシート、ラス体、多孔質体、発泡体、および繊維群の成形体などが用いられる。厚みは、特に限定されないが、1〜500μmのものが用いられる。
【0027】
本発明において負極活物質に制限はない。例えば、黒鉛材料、難黒鉛化性炭素質材料、リチウム金属、リチウムスズ合金、リチウムケイ素合金、リチウムアルミニウム合金、リチウム亜鉛合金、リチウムマグネシウム合金、およびリチウムチタン複合酸化物などがあげられる。負極には特性改善の目的のために導電材を用いることもでき、この場合は電子伝導性材料を用いればよい。例えば、天然黒鉛(鱗片状黒鉛など)、人造黒鉛および膨張黒鉛などのグラファイト、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラックおよびサーマルブラックなどのカーボンブラック、炭素繊維および金属繊維などの導電性繊維、銅およびニッケルなどの金属粉末、ならびにポリフェニレン誘導体などの有機導電性材料などがあげられ、これらをそれぞれ単独で、または混合して用いることができる。これらの導電材のなかで、人造黒鉛、アセチレンブラックおよび炭素繊維が特に好ましい。導電材の添加量は、特に限定されないが、負極活物質に対して1〜30重量%が好ましく、特に1〜10重量%が好ましい。
【0028】
本発明に用いられる負極用結着剤としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれであってもよい。本発明において好ましい結着剤は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、スチレンブタジエンゴム、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−クロロトリフルオロエチレン共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE樹脂)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、フッ化ビニリデン−ペンタフルオロプロピレン共重合体、プロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−パーフルオロメチルビニルエーテル−テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体または前記材料の(Na+)イオン架橋体、エチレン−メタクリル酸共重合体または前記材料の(Na+)イオン架橋体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体または前記材料の(Na+)イオン架橋体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体または前記材料の(Na+)イオン架橋体を挙げる事ができ、これらの材料を単独又は混合物として用いることができる。またこれらの材料の中でより好ましい材料は、スチレンブタジエンゴム、ポリフッ化ビニリデン、エチレン−アクリル酸共重合体または前記材料の(Na+)イオン架橋体、エチレン−メタクリル酸共重合体または前記材料の(Na+)イオン架橋体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体または前記材料の(Na+)イオン架橋体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体または前記材料の(Na+)イオン架橋体である。
【0029】
本発明に用いられる負極用導電性基板としては、構成された電池において実質的に化学的に安定な電子伝導体であれば何でもよい。前記基板を構成する材料としては、例えば、ステンレス鋼、ニッケル、銅、チタン、炭素および導電性樹脂などがあげられ、また、銅およびステンレス鋼の表面にカーボン、ニッケルまたはチタンを処理させたものなども用いることができる。特に、銅および銅合金が好ましい。これらの材料の表面を酸化して用いることもできる。また、表面処理により導電性基板表面に凹凸を付けることが望ましい。前記基材の形状としては、フォイル、フィルム、シート、ネット、パンチングされたシート、ラス体、多孔質体、発泡体、および繊維群の成形体などがあげられる。厚みは、特に限定されないが、1〜500μmのものが用いられる。
【0030】
正極合剤および負極合剤には、導電材および結着剤の他、フィラー、分散剤、イオン伝導体、圧力増強剤およびその他の各種添加剤を添加することができる。フィラーは、構成された電池において、化学変化を起こさない繊維状材料であれば用いることができる。通常用いられる繊維としては、ポリプロピレンおよびポリエチレンなどのオレフィン系ポリマー、ガラスならびに炭素などの繊維があげられる。フィラーの添加量は特に限定されないが、電極合剤に対して0〜10重量%が好ましい。
本発明における負極板と正極板の構成については、少なくとも正極合剤の面に対向して負極合剤の面が存在していることが好ましい。
【0031】
本発明において用いることのできる非水電解質にも特に制限はない。非水電解質が非水電解液の場合、当該非水電解質は非水溶媒と溶解するリチウム塩とから構成される。非水溶媒としては、例えば、エチレンカーボネ−ト(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)およびビニレンカーボネート(VC)などの環状カーボネート、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジプロピルカーボネート(DPC)などの鎖状カーボネート、ギ酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸メチルおよびプロピオン酸エチルなどの脂肪族カルボン酸エステル、γ−ブチロラクトンなどのγ−ラクトン、1,2−ジメトキシエタン(DME)、1,2−ジエトキシエタン(DEE)、エトキシメトキシエタン(EME)などの鎖状エーテル、テトラヒドロフランおよび2−メチルテトラヒドロフランなどの環状エーテル、ならびにジメチルスルホキシド、1,3−ジオキソラン、ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジオキソラン、アセトニトリル、プロピルニトリル、ニトロメタン、エチルモノグライム、リン酸トリエステル、トリメトキシメタン、ジオキソラン誘導体、スルホラン、メチルスルホラン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、3−メチル−2−オキサゾリジノン、プロピレンカーボネート誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、エチルエーテル、1,3−プロパンサルトン、アニソール、ジメチルスルホキシドおよびN−メチルピロリドンなどの非プロトン性有機溶媒をあげることができ、これらをそれぞれ単独で、または混合して用いることができる。なかでも環状カーボネートと鎖状カーボネートとの混合溶媒、または環状カーボネートと鎖状カーボネートと脂肪族カルボン酸エステルとの混合溶媒を用いるのが好ましい。
【0032】
これらの非水溶媒に溶解するリチウム塩としては、例えばLiClO4、LiBF4、LiPF6、LiAlCl4、LiSbF6、LiSCN、LiCl、LiCF3SO3、LiCF3CO2、Li(CF3SO2)2、LiAsF6、LiN(CF3SO2)2、LiB10Cl10、低級脂肪族カルボン酸リチウム、LiCl、LiBr、LiI、クロロボランリチウム、四フェニルホウ酸リチウム、およびイミドなどをあげることができ、これらをそれぞれ単独で、または組み合わせて用いることもできる。なかでも、特にLiPF6を用いることがより好ましい。
特に好ましい非水電解液は、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとの混合溶媒、および支持塩であるLiPF6を含む非水電解液である。
【0033】
非水電解質二次電池に含ませる非水電解液の量は、特に限定されないが、正極活物質および負極活物質の量、ならびに電池のサイズなどによって適宜選択すればよい。支持電解質の非水溶媒に対する溶解量は、特に限定されないが、0.2〜2mol/lが好ましい。特に、0.5〜1.5mol/lとすることがより好ましい。
さらに放電および充放電特性を改良する目的で、他の化合物を非水電解液に添加することも有効である。例えば、トリエチルフォスファイト、トリエタノールアミン、環状エーテル、エチレンジアミン、n−グライム、ピリジン、ヘキサリン酸トリアミド、ニトロベンゼン誘導体、クラウンエーテル、第四級アンモニウム塩およびエチレングリコールジアルキルエーテルなどをあげることができる。
【0034】
また、非水電解質には非水電解液の他にも次のような非水固体電解質も用いることができる。非水固体電解質は、無機固体電解質と有機固体電解質に分類できる。無機固体電解質には、Liの窒化物、ハロゲン化物および酸素酸塩などがよく知られている。なかでも、Li4SiO4、Li4SiO4−LiI−LiOH、xLi3PO4−(1−x)Li4SiO4、Li2SiS3、Li3PO4−Li2S−SiS2、および硫化リン化合物などが有効である。有機固体電解質としては、例えば、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリホスファゼン、ポリアジリジン、ポリエチレンスルフィド、ポリビニルアルコール、ポリフッ化ビニリデン、ポリヘキサフルオロプロピレンおよびこれらの誘導体などのポリマー材料、ならびにこれらの混合物および複合体などを用いることができる。
【0035】
本発明において用いることのできるセパレータに制限はない。一般にセパレータとしては、大きなイオン透過度、所定の機械的強度および絶縁性を有する微多孔性薄膜が用いられる。セパレータは、一定温度以上で孔が閉塞して抵抗が上がる機能を有するものが好ましい。具体的には、耐有機溶剤性および疎水性の観点から、ポリプロピレンおよびポリエチレンなどのオレフィン系ポリマー、ならびにガラス繊維などからつくられたシート、不織布ならびに織布があげられる。
セパレータの孔径は、電極シートより脱離した正負極材料、バインダーおよび導電材などが透過しない範囲であることが望ましく、例えば、0.01〜1μmが望ましい。セパレータの厚みは、一般的には10〜300μmである。また、空孔率は、電子およびイオンの透過性、素材および膜圧などに応じて決定されるが、一般的には30〜80%であることが望ましい。
【0036】
また、溶媒とその溶媒に溶解するリチウム塩とから構成される有機電解液をポリマー材料に吸収保持させ、これを正極合剤および負極合剤に含ませ、さらに有機電解液を吸収保持するポリマーからなる多孔性のセパレータを正極および負極と一体化して非水電解質二次電池を構成することも可能である。このポリマー材料としては、有機電解液を吸収保持できるものであればよいが、特にフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンの共重合体が好ましい。
【0037】
電池の形状としては、コイン型、ボタン型、シート型、積層型、円筒型、偏平型、角型、および電気自動車などに用いる大型など、いずれであってもよい。また、本発明の非水電解質二次電池は、携帯情報端末、携帯電子機器、家庭用小型電力貯蔵装置、自動二輪車、電気自動車およびハイブリッド電気自動車などに用いることができるが、特にこれらに限定されるわけではない。
【0038】
ここで、図1に、非水電解質電池である円筒型電池の一例の一部を断面にした正面図を示す。正極板5および負極板6がセパレータ7を介して複数回渦巻状に巻回されて電池ケース1内に収納される。そして、正極板5から引き出された正極リード5aが封口板2に接続され、負極板6から引き出された負極リード6aが電池ケース1の底部に接続される。電池ケースおよびリード板を構成する材料としては、耐有機電解液性および電子伝導性を有する金属または合金を用いることができる。例えば、鉄、ニッケル、チタン、クロム、モリブデン、銅およびアルミニウムなどの金属、ならびにこれらの合金があげられる。
【0039】
特に、電池ケースはステンレス鋼板またはAl−Mn合金を加工して作製するのが好ましく、正極リードはアルミニウム製が好ましく、負極リードはニッケル製が最も好ましい。また、電池ケースには、軽量化を図るため、各種エンジニアリングプラスチックスまたはこれと金属を併用したものを用いることも可能である。また、絶縁リング8が極板群4の上下部にそれぞれ設けられている。そして、電解液が注入され、封口板を用いて電池缶が形成されている。
【0040】
このとき、安全弁を封口板として用いることができる。安全弁の他、従来から知られている種々の安全素子を備えつけてもよい。例えば、過電流防止素子として、ヒューズ、バイメタルまたはPTC素子などを用いることができる。また、安全弁の他に電池ケースの内圧上昇の対策として、電池ケースに切込みを入れたり、ガスケットに亀裂を入れたり、封口板に亀裂を入れたり、または、リード板との切断方法を利用することもできる。また、充電器に過充電および過放電対策を組み込んだ保護回路を具備させたり、または、独立に接続させてもよい。また、過充電対策として、電池内圧の上昇により電流を遮断する方式を具備することができる。
【0041】
このとき、内圧を上げるための化合物を合剤または電解質の中に含ませることができる。内圧を上げる化合物としてLi2CO3、LiHCO3、Na2CO3、NaHCO3、CaCO3、およびMgCO3などの炭酸塩などがあげられる。キャップ、電池ケース、シートおよびリード板の溶接法は、例えば直流または交流を用いた電気溶接、レーザー溶接および超音波溶接などの従来公知の方法を用いることができる。封口用シール剤は、アスファルトなどの従来から知られている化合物または混合物を用いることができる。
以下に、実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
【0042】
【実施例】
《実施例1》
本実施例では、スラッジペーストを練合工程において混入して正極ペーストを製造した。活物質として選択したLiCoO2の粉末85重量部に対し、導電材の炭素粉末10重量部を混合機で乾式混合し、その混合物に、バインダーとして5重量部のポリフッ化ビニリデン樹脂を溶解したN−メチルピロリジノン溶液を加え、練合装置で湿式練合してスラッジペーストの元となる正極ペーストを製造した。
【0043】
この正極ペーストを塗布装置へと配管を経て供給し、アルミニウム箔からなる正極用の導電性基板に塗布した。これまでの作業において、練合装置内部に残留した正極ペースト、ペーストを供給する配管内部に残留した正極ペースト、塗布時の条件設定のためのテスト塗布で生じた正極ペースト、塗布終了時に塗布装置に残留した正極ペースト、および塗布後の極板から拭った正極ペーストをスラッジペーストとして回収した。
【0044】
つぎに、新たにLiCoO2の粉末85重量部に対し、導電材の炭素粉末10重量部を混合機で乾式混合した。その混合物に、バインダーとして5重量部のポリフッ化ビニリデン樹脂を溶解したN−メチルピロリジノン溶液を加えて練合装置で湿式練合した。この湿式練合の途中で、一旦練合装置を停止させ、湿式練合中のペーストに含まれる活物質の50重量%に相当する量の活物質が含まれるスラッジペーストを投入した。その後に湿式練合を再開して、スラッジペーストを混入させた正極ペーストを製造した。
【0045】
《実施例2》
本実施例においては、回収したスラッジ合剤を混合工程において混入して正極ペーストを製造した。活物質として選択したLiCoO2の粉末85重量部に対し、導電材の炭素粉末10重量部を混合機で乾式混合し、その混合物に、バインダーとして5重量部のポリフッ化ビニリデン樹脂を溶解したN−メチルピロリジノン溶液を加え、練合装置で湿式練合してスラッジペーストの元となる正極ペーストを製造した。
【0046】
この正極ペーストを塗布装置へと配管を経て供給し、アルミニウム箔からなる正極用の導電性基板に塗布し、乾燥して極板を得た。この段階で極板の一部を採取し、振動を加えて正極ペースト(合剤)を導電性基板から回収した。また、残った極板を圧延して所定の寸法に裁断した。裁断された極板に対して、超音波溶接機の振動子(振動ホーン)をあてがい、3秒間の超音波振動を印加した。この操作により、導電性基板から剥離した合剤を回収した。これら二つの段階で回収した合剤を混合してスラッジ合剤とした。
【0047】
つぎに、新たにLiCoO2の粉末85重量部に対し、導電材の炭素粉末10重量部を混合機で乾式混合した。この乾式混合の途中で、一旦混合装置を停止させ、乾式練合中の混合物に含まれる活物質の50重量%に相当する量の活物質が含まれるスラッジ合剤を投入した。その後に混合を再開してスラッジ合剤を混入させた混合物を得た。この混合物に、バインダーとして5重量部のポリフッ化ビニリデン樹脂を溶解したN−メチルピロリジノン溶液を加えて練合装置で湿式練合し正極ペーストを製造した。
【0048】
《比較例1》
本比較例においては、スラッジペーストを混合工程において混入し、正極ペーストを製造した。活物質として選択したLiCoO2の粉末85重量部に対し、導電材の炭素粉末10重量部を混合機で乾式混合し、その混合物に、バインダーとして5重量部のポリフッ化ビニリデン樹脂を溶解したN−メチルピロリジノン溶液を加えて練合装置で湿式練合して、スラッジペーストの元となる正極ペーストを製造した。
【0049】
この正極ペーストを塗布装置へと配管を経て供給し、アルミニウム箔からなる正極用の導電性基板に塗布した。これまでの作業において、練合装置内部に残留した正極ペースト、ペーストを供給する配管内部に残留した正極ペースト、塗布時の条件設定のためのテスト塗布で生じた正極ペースト、塗布終了時に塗布装置に残留した正極ペースト、および塗布後の極板から拭った正極ペーストをスラッジペーストとして回収した。
【0050】
つぎに、新たにLiCoO2の粉末85重量部に対し、導電材の炭素粉末10重量部とを混合機で乾式混合する途中で、一旦混合装置を停止させ、乾式混合中の混合物に含まれる活物質の50重量%に相当する量の活物質が含まれるスラッジペーストを投入した。その後に混合を再開してスラッジペーストを混入させた混合物を作製した。その混合物に、バインダーとして5重量部のポリフッ化ビニリデン樹脂を溶解したN−メチルピロリジノン溶液を加えて練合装置で湿式練合して正極ペーストを製造した。
【0051】
《比較例2》
本比較例においては、スラッジ合剤を練合工程において混入し、正極ペーストを製造した。活物質として選択したLiCoO2の粉末85重量部に対し、導電材の炭素粉末10重量部を混合機で乾式混合し、その混合物に、バインダーとして5重量部のポリフッ化ビニリデン樹脂を溶解したN−メチルピロリジノン溶液を加えて練合装置で湿式練合して、スラッジペーストの元となる正極ペーストを製造した。
【0052】
この正極ペーストを塗布装置へと配管を経て供給し、アルミニウム箔からなる正極用の導電性基板に塗布し、乾燥して極板を得た。この段階で極板の一部を採取し、振動を加えて正極ペースト(合剤)を導電性基板から回収した。また、残った極板を圧延して所定の寸法に裁断した。裁断された極板に対して、超音波溶接機の振動子(振動ホーン)をあてがい、3秒間の超音波振動を印加した。この操作により、導電性基板から剥離した合剤を回収した。これら二つの段階で回収した合剤を混合してスラッジ合剤とした。
【0053】
つぎに、新たにLiCoO2の粉末85重量部に対し、導電材の炭素粉末10重量部を混合機で乾式混合した。その混合物に、バインダーとして5重量%のポリフッ化ビニリデン樹脂を溶解したN−メチルピロリジノン溶液を加えて練合装置で湿式練合した。この湿式練合の途中で、一旦練合装置を停止させ、湿式練合中のペーストの50重量%に相当する量のスラッジペーストを投入した。その後に湿式練合を再開して、スラッジ合剤を混入させた正極ペーストを製造した。
【0054】
《比較例3》
本比較例においては、スラッジペーストを含まない正極ペーストを製造した。活物質として選択したLiCoO2の粉末85重量部に対し、導電材の炭素粉末10重量部とを混合機で乾式混合し、その混合物に、バインダーとして5重量%のポリフッ化ビニリデン樹脂を溶解したN−メチルピロリジノン溶液を加えて練合装置で湿式練合して、正極ペーストを製造した。
なお、以上の実施例1および2、ならびに比較例1〜3で最終的に得られる正極ペーストは、いずれもその中に含まれる活物質、導電材、バインダー、練液の成分組成比率は、等しくなるように製造した。
【0055】
《比較例4》
従来技術の一つである特開平10−92417号公報で提案されている方法に則して正極ペーストを作製した。すなわち、極板を粉砕し、得られた粉砕物を有機溶媒と混合して電極粉砕物ペーストを作製した。ここで、極板の粉砕および分離などの諸条件は、特開平10−92417号公報記載の実施例と同様に設定した。具体的には、正極板を、3000rpmの回転数でターボミルによって粉砕し、この後、150メッシュのふるいにかけることにより、アルミニウム箔の粉砕物と正極合剤の粉砕物とに分離した。得られた粉砕物について蛍光X線法によって定量分析を行ったところ、2重量%のアルミニウム箔が含まれていることが確認された。ただし、活物質、導電材およびバインダーの組成比などの諸条件は、比較例3と同様とした。
【0056】
《比較例5》
従来技術の一つである特開2000−348782号公報で提案されている方法に則して正極ペーストを作製した。すなわち、極板を酸素含有ガス気流中300℃以上500℃未満に加熱して金属箔から電極材料を剥離し、得られた剥離処理物から金属箔を分離除去して粉体物を回収し、回収された粉体物を酸素含有ガス気流中500℃以上650℃以下に加熱して粉体物中の燃焼性物質を焼却し、得られた焙焼物を正極材用途の金属化合物として回収、再利用した。ここで、剥離、回収および焼却などの諸条件は、特開2000−348782号公報記載の実施例と同様に設定した。
【0057】
正極板を約10〜100mm角に裁断して得た嵩比重0.1〜0.5の裁断物を、SUS−310S製のロータリーキルンに投入し、回転速度2rpm、加熱温度400〜450℃、滞留時間20〜30分、および空気導入量100〜200リットル/分の条件で熱分解処理を行い、その排出口から剥離処理物を抜き出した。剥離処理物を冷却し、250メッシュの自動振動篩に導入して篩分けし、篩上からアルミ箔を分離除去するとともに、篩下から粉体物を回収した。この分離工程で回収された粉体物を、SUS310製ロータリーキルンに投入し、回転速度6rpm、加熱温度570〜630℃、投入口側から最高温度域への温度勾配30℃/m、滞留時間29分、および空気導入量399リットル/分の条件で熱分解処理を行い、その排出口から焙焼物を抜き出した。この焙焼工程で得られた焙焼物を冷却した後、250メッシュの自動振動篩に導入して篩分けし、篩上から粒径の大きい焼結物を分離除去するとともに、篩下からコバルト酸リチウムの粉体を回収した。このコバルト酸リチウムを活物質として含む正極ペーストを作製したが、活物質、導電材およびバインダーの組成比などの諸条件は、比較例6と同様とした。
【0058】
本発明に係る方法によって製造した正極ペーストを用いた非水電解質二次電池を評価すべく、実施例1および2、ならびに比較例1〜5の正極ペーストを用い、以下のようにして図1に示す構造を有する円筒型電池を製造した。
正極板5は、上記の種々の正極ペーストを用い、アルミニウム箔からなる導電性基板に塗布し、乾燥および圧延して作製した。
負極板6は、黒鉛材料95重量部に対し、結着剤のポリフッ化ビニリデン樹脂5重量部を混合し、得られた混合物を脱水N−メチルピロリジノンに分散し、ポリフッ化ビニリデン樹脂を溶解させてスラリーを作製し、このスラリーを銅箔からなる導電性基板に塗布し、乾燥、圧延して作製した。
【0059】
セパレータ7を構成する材料としては、ポリエチレン製の微多孔性薄膜を用いた。電池ケース1を構成する材料としては、ステンレス鋼板を用いた。
正極リード5aおよび負極リード6aを構成する材料としては、各々アルミニウムとニッケルを用いた。
また、有機電解液としては、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートの体積比1:1の混合溶媒に、LiPF6を1.5モル/リットル溶解したものを使用した。
【0060】
[評価]
以上のようにして、実施例1および2、ならびに比較例1〜5の正極ペーストを用いた円筒型電池(実施電池1および2、ならびに比較電池1〜5)を製造し、その特性を評価した。ここでは、重要視される初期特性の一つである室温での電量負荷特性を評価した。低負荷放電容量および高負荷放電容量が大きい電池ほど優れていると評価される。低負荷放電容量に対する高負荷放電容量の比を負荷放電容量率と称し、これが1に近いものほど優れた電池と評価される。
【0061】
▲1▼実施電池1および2、ならびに比較電池1〜5を、300mAの定電流および4.20Vの充電終止電圧の条件で充電した。その後、300mAの定電流で2.5Vになるまで放電し、そのときの放電容量(低負荷放電容量)を計測した。
▲2▼実施電池1および2、ならびに比較電池1〜5を300mAの定電流および4.20Vの充電終止電圧の条件で充電した。その後、1500mAの定電流で2.5Vになるまで放電し、そのときの放電容量(高負荷放電容量)を計測した。なお、これらの充放電は20℃の恒温槽の中で行った。
この特性評価の結果を表1に示した。なお、低負荷放電容量と高負荷放電容量の数値単位はmAhである。
【0062】
【表1】
【0063】
この結果から分かるように、本発明のスラッジを混入した正極ペーストを用いた電池である実施電池1および2の電池特性は、スラッジを混入していない正極ペーストを用いた標準の電池である比較電池3の電池特性に比べて劣らない。しかし、比較電池4および5の電池特性は、上述したように、低負荷放電容量および高負荷放電容量に劣る。また負荷放電容量率にも劣る。比較電池4の低負荷放電容量が低い理由は、再利用による導電性基板の箔粉が極板合剤中に含まれ、その分の体積を占める活物質含量が減少しているためと考えている。
【0064】
また、比較電池4の低負荷放電容量が低い理由は、焙焼工程で炭素導電材が燃焼するときに活物質であるコバルト酸リチウムLiCoO2の一部が還元されてしまい、活物質としての機能をしない酸化コバルトになってしまったためである。この酸化コバルトの生成は焙焼物の粉末X線回折による分析で確認した。比較電池1および2の特性は、実施電池1および2ならびに比較電池3の特性に比べて幾分劣る。これは、それぞれの比較例で述べたような再利用方法により得られたスラッジペーストおよび/またはスラッジ合剤は、正極ペースト中での分散が不十分であるためと考えらる。このことは、極板の断面の顕微鏡観察において、その合剤中に混入したスラッジの凝集塊が存在することで確認された。
【0065】
【発明の効果】
以上のように、本発明に係る方法を用いれば、電池特性を損ねることなく、非水電解質二次電池の製造工程で発生するスラッジペーストおよび/またはスラッジ合剤を再利用することができる。そして、その製造方法は、簡便で低コストであり有害物質の排出も伴わない。すなわち、本発明によれば、従来からの問題点を解決するとともに、エネルギーと資源とを含めた環境負荷の削減、製造ロスコストの削減、およびその方法で得られる電池の品質と特性の確保を同時に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】円筒型電池の一例の一部を断面にした正面図である。
【符号の説明】
1 電池ケース
2 封口板
4 極板群
5 正極板
5a 正極リード
6 負極板
6a 負極リード
7 セパレータ
8 絶縁リング
Claims (2)
- (1)少なくとも正極活物質と導電材とを混合して混合物を得る混合工程、および(2)前記混合物と、バインダーを溶媒に溶解させた練液とを練合してペーストを得る練合工程を具備し、
非水電解質二次電池の製造工程において発生するスラッジペーストを前記工程(2)において混入させることを特徴とする非水電解質二次電池用正極ペーストの製造方法。 - (1)少なくとも正極活物質と導電材とを混合して混合物を得る混合工程、および(2)前記混合物と、バインダーを溶媒に溶解させた練液とを練合してペーストを得る練合工程を具備し、
非水電解質二次電池の製造工程において発生するスラッジ合剤を前記工程(1)において混入させることを特徴とする非水電解質二次電池用正極ペーストの製造方法。
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